明 細 書 分光ェリプソメータを用いた薄膜特性計測方法 技術分野
本発明は、 分光ェリプソメータを用いた薄膜特性計測方法、 さらに詳しく言え ば、 分光ェリプソメータを用いて様々な基板上に形成された薄膜の膜厚や光学定 数を決定する方法、結晶化合物半導体層の組成決定方法、 および多結晶化合物半 導体の組成決定方法に関する。 背景技術
(分光ェリプソメータにおける一般的な背景技術)
分光ェリプソメータを用いて入射光と反射光の偏光変化量を測定し、 その結果 から膜厚 (d) 、複素屈折率(N = n— i k) を算出することができる。 偏光変 化量 (p) は /0 = t an() exp ( i Δ) で表され、 波長 (λ) 、 入射角度 φ ) 、 膜厚、 複素屈折率等のパラメ一夕に依存するので、 その関係は次のようにな る。
(d, n, k) =F (Ψ, Δ, λ, φ) 入射角度を固定した場合、単一波長エリプソメ一夕では、 (d, n, k) の 3 つの未知数に対し、 2つの独立変数しか測定できないので、 d, n, kの内のい ずれか一つを既知として固定する必要がある。 単一波長でも入射角度を変えると 測定変数は増加する。 しかしながら、 入射角度 の違いによる (Ψΰ^ , Δ )対の中に強い相関関係があるため、 d, n, kを精度良く求めることは難 しい。
分光ェリプソメータを用いて測定された基板上に形成された単層および多層薄 膜の偏光変化を表している測定スぺクトル (ΨΕ ( ) , ΔΕ ( ) ) は、 前記基板の n, k情報、 各層の d, n, kの情報のすべてを含んでいるが、 これ から、前記基板の n, k情報、 各層の d, n, kの情報の唯一の組み合わせを算 出することはできない (基板のみの場合を除く) 。 この前記唯一の組み合わせを
探す方法は、 分光エリプソメータデータの解析と呼ばれる。 解析を行うときは、 前記基板の n, k情報、 各層の d, n, kの情報を利用してモデルをたてる。 こ の中の基板や各層の n, k情報には、 リファレンス (既知のテ一ブルデータ) や 分散式、 または似たような材質の単層薄膜の光学定数を使用する。
分散式とは、物質の誘電率の波長依存性を示す式であり、 近赤外から紫外線領 域では、 この誘電率 ε (λ) は材料の構成原子の結合様式から決定される。 分散 式として、調和振動子をもとにした計算式、 量子力学をもとにした計算式、 経験 式等が知られており、 通常 2つ以上のパラメータを含んでいる。 前述したモデル に含まれているすべての未知数 (各層の厚さや、 分散式パラメータ、混合比など ) を変化させながら、 測定データにあわせていく。 これをフイツティングといい 、 このフィッティングの結果、各層の膜厚や混合比などが求まり、 分散式パラメ —夕からは、材料の誘電率 ε (λ) を計算することができる。 材料の誘電率と屈 折率は下記の関係にある。
ε=Ν2
なお、 ここで、本発明方法で頻繁に使用するフィッティングについて簡単に説 明しておく。
(フイツティングの結果の τ 2 の意味)
Ν個の測定デ一夕対 Exp (i = l, 2. . . , N) と前記モデルの対応する N個のモデルの計算データ対 Mo d (i = l, 2. . . , N) とし、測定誤差は 正規分布をするとし、 標準偏差をび i とすると、平均二乗誤差 (%2 ) は、 次の ようにして与えられる。 χ2 = 〔 1/ (2Ν-Ρ) 〕 ∑ (Exp— Mod) σ ここで、 Ρは、 パラメ一夕の数である。 χ2 が小さいということは測定結果とモ デルの一致度が大きいということに他ならないから、 複数のモデルについて比較 するときに、 χ2 の最も低いものがベストモデルということになる。
前述した偏光変化量は、光が通る体積、 (位相角 (β) Xビーム径の面積) で 表すことができる。 位相角 (β) は次の式で表される。
β= 2 π (ά/λ) (Ν。2— N。2s i η2 。 ) 1/2 ビーム径が一定とすると偏光変化量は次のようになる。 偏光変化量∞膜厚 (d) X複素屈折率 (N) xf ( ) ここにおいて、 は入射角である。 膜厚 (d) が薄く、複素屈折率 (N) が低け れば、 位相角 ( の変化が小さくなり、 測定が困難になる可能性が出てくる。 また、前述した式のとおり、 入射角の正しさによって、 偏光変化量の値も変わ る。 したがって、何らかの方法で、 入射角を正しく求める必要がある。 正しい入 射角度が決定できることにより偏光変化量の値も正しく求めることが可能となる さらに化合物半導体層の場合はその組成比を正確に知りたい、 または一定の範 囲内に保ちたいという強い要請がある。 化合物半導体 (A(,-x, Bx)層の複素 屈折率 Nは、 Xの値にしたがって決まる。 例えば、原子 Aと原子 Bの化合物半導 体 A(1— Bx 層が基板 A上に形成されており、 さらに、組成比 Xが低い場合に は、基板の n。 , k。 と化合物半導体層の η』 , kj の違いがほとんどなくなり 、偏光変化量が小さくなる。 ここから、本件発明者等は、 入射角度を正確に求め ることが重要であると考える (図 1 8, 1 9参照) 。
最近、 多結晶化合物半導体などで、 その中の特定の層の原子 (注目原子) の濃 度等について測定したいという強い要請がある。
本発明では、 様々な理由により、 1つの分散式では膜の誘電率の波長依存性を 特定できないかまたは困難な場合についても問題にして、有効媒質論 (Effect iv e Medium Theory)を利用して、 有効誘電率 (Effective Dielectric Function) を 計算する。
一般的に、 例えばホスト材料中に様々な誘電率を持つ N個の物質(ゲスト) が 混ざり合っている場合、 有効誘電率 (ε) は、下記の様に表される。
( ε— ε h ) / ( ε + k ε h ) =∑ f j ( ε j ― ε h ) / ( ε j + k ε h ) この時、 £h はホストの誘電率を、 ε」 は j個目の誘電率を、 kはスクリ一ニン グファクタ一を示している。 ここで、 ホストの材料と、 中に入っている材料がほ ぼ同じ量で混ざり合っているか、 またはどちらがホストかゲストか分からない場 合、 ホストの材料自身が有効媒質材料と同じ ε = ε h になる。 この条件の有効媒 質論をブラッグマンの有効媒質近似 (Bruggeman Effective Medium Approximati on以下本願において単に EM A) と呼ばれている。 3つの球状物質 a, b, 。が 対照的に混在しているときの誘電率 εは次の式で与えられる。 f a ε a ― ε ) / (ea + 2 ε) + f b 、 ε b - ε ) / ( ε b + 2 ε )
+ f ο ( ε c - ε ) / (ε 0 + 2 ε) = 0 、
ε : 求めようとする有効誘電率
ε a , £b , S o : 球状物質 a b , cの誘電率
f a , f b , f c : 各物質の混合比(Volume Fraction 以下 Vf) で、
f a + f b + f c = 1
基板上の膜が不均一または不連続や、 いくつかの材料が混ざり合っている場合、 波長オーダ一より十分小さく、物理的に混合している複数の物質から成る媒質に ついては、有効媒質近似 (EMA) を利用してモデルをたてる。
物質 aと物質 bと物質 cが混合している場合について説明する。 このときの有 効媒質近似 (EMA) は、 物質 aの混合比、 物質 bの混合比、物質 cの混合比、 aと bと cの混合層の膜厚、誘電率には分散式やリファレンスデ一夕などを推定 してフイツティングを ί亍ぃ、評価する。
結晶材料とは、 実際は単結晶であり、 1つの無限大のグレイン (グレインバウ ンダリーなし) からなつている。 それに対し実際の多結晶材料は 「たくさんの小 さな単結晶 (グレイン) 」 または 「たくさんのグレインとアモルファス成分」 か
らなっている (作り方によっては空間が入る可能性あり) 。 見方を容易にすると 一般的に、 多結晶材料は 「結晶の成分とアモルファス成分」 または 「結晶の成分 とアモルファス成分、 空間 (Void) 」 の混ぜ合わせとして見ることができる。 こ こから、前述した有効媒質近似 ( E MA) を利用して、 多結晶の誘電率を計算す ることができる。
様々な結晶の物質の誘電率は良く知られており、 g知のデータ (リファレンス ) を利用することが一般的である。 それに対し、 アモルファス物質の誘電率は作 製方法によって非常に変化するため、 既知のデータは限られている材料および作 製方法にしか存在していない。
多結晶材料のグレインの大きさゃグレインバウンダリー (Grain boundary) の 大きさ、 アモルファス成分の有無、結晶化率によって、 多結晶材料の誘電率は非 常に変わる。 そのため、 リファレンスは限られている材料および作製方法にしか 存在しない。
シリコンなど半導体業界で一番よく使われている材料では、結晶シリコン (c- Si ) のみでなく、 アモルファスシリコン (a-Si ) やポリシリコン (p- Si ) にも、 リファレンスが存在する。
最近、非常に需要が多くなつた結晶 SiGe ( c-Si .-xGex ) の様々な Ge濃度 ( x ) の誘電率リファレンスは存在している。 結晶 SiGe ( c-Si ,-xGex ) の誘電率は Ge濃度に依存しているため、 分光ェリプソメータのデ一夕から C- S i Geの誘電率を 求めることで、 Ge濃度を計算することが可能となる。
それに対し、 多結晶 SiGe ( p-Si i -xGex ) では、前述した通り、 Ge濃度だけで なく、結晶化率も変わるため、 各結晶化率の各 Ge濃度によって誘電率が変化する 。 よって、 これにあわせたリファレンスを作製することは困難である。
前述した通り、 P- SiGeの場合、 前記した SiGeのように、 リファレンスを用いて 、 分光エリプソメ一夕のデータの誘電率から、 Ge濃度を計算することができない 本発明の第 1の目的は、膜厚ゃ複素屈折率等の組み合わせモデルを設定し、 そ のシユミレーションスぺクトルを算出して、 そのシユミレーションスぺクトルと 測定スぺクトルとのフイツティグを行うことにより薄膜構造を決定する分光ェリ
プソメータを用いた薄膜計測方法を提供することにある。
本発明の第 2の目的は、 化合物半導体層の膜厚ゃ複素屈折率、 組成比等の組み 合わせモデルを設定し、 そのシユミレーションスぺクトルを算出して、 そのシュ ミレーシヨンスぺクトルと測定スぺクトルとのフイツティングを入射角度を変え て行うことにより薄膜構造および組成比を決定する基板上の化合物半導体層の組 成決定方法を提供することにある。
本発明の第 3の目的は、 エリプソメータを用いて得たデータから、新しい近似 計算方法を用いることで、 最終的に多結晶化合物半導体中の注目原子の濃度を算 出する測定方法を提供することにある。 発明の開示
前記第 1の目的を達成するために、本発明による請求項 1記載の方法は、 分光 ェリプソメ一夕を用いた計測対象の基板上の薄膜計測方法において、計測対象の 基板上の薄膜を、 入射光の波長を変えて各波長 ごとの入射光と反射光の偏光 の変ィ匕である測定スぺクトル ΨΕ ( ; ) と ΔΕ ( ) を得る ΨΕ , ΔΕ スぺ クトル測定ステップと、前記基板の (N D ( n 0. k。 ) ) 、 第 1層目の (d , . N , ( n k , ) ) 、 第 j層目の (d j . N j ( n j . k j ) ) を仮定してモデルを決 定し、 リファレンスデータや分散式を用いてモデリングスペクトル ΨΜ ( A i ) と ΔΜ ( ) を得る ΨΜ, ΔΜ モデリングスぺクトル算出ステップと、前記 ΨΕ , Δ Ε スぺクトルと前記 ΨΜ. ΔΜ モデリングスぺクトルを比較し、評価基準に達 した前記 ΨΜ, ΔΜ.の構造を測定結果と決定する比較評価ステップと、前記モデル が前記評価基準に合致しないときは、次の修正モデルを選定し、 前記 ΨΜ. ΔΜ モ デリングスぺクトル算出ステップを行い、前記比較評価ステップを行う修正ステ ップとを含んで構成されている。
本発明による請求項 2記載の方法は、請求項 1記載の分光ェリプソメ一夕を用 いた薄膜計測方法において、前記モデルの評価基準は、前記 ΨΕ ( ; ) 、 ΔΕ ( λ ; ) と有限組の中の ΨΜ ( A i ) . ΔΜ ( A i ) 間の平均二乗誤差を求め、 最も小さい平均二乗誤差のものに決定することとしている。
本発明による請求項 3記載の方法は、請求項 1記載の分光ェリプソメ一夕を用
いた薄膜計測方法において、前記 ΨΜ. AM モデルシユミレ一ションスぺクトル算 出ステップは、 前記 ΨΕ , ΔΕ スペクトル測定ステップの公称入射角を 。 とす るときに、前記公称入射角を 。 の近傍の k を関数とするシュミレーシヨンス ベクトル Ψ« ( ) と AMk (λι ) を算出し、前記比較評価ステップは、 前記 ΨΕ , ΔΕ スぺクトルと Ψ«と Δ«モデリングスぺクトルを j:匕較し、評価基準に 達した前記 ΨΜ¾と△ «の構造を測定結果と決定する比較評価ステツプとしたもの である。
前記第 2の目的を達成するために、本発明による請求項 4記載の方法は、 分光 ェリプソメータを用いて基板上に形成された化合物半導体層の表面を測定し前記 基板上に形成された化合物半導体層の組成比、 x, yを決定する化合物半導体層 の組成決定方法であって、計測対象の基板上の薄膜を、 入射光の波長を変えて各 波長; 1; ごとの入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトル ΨΕ ( λ; ) と ΔΕ ( Xi ) を得る ΨΕ , ΔΕ スペクトル測定ステップと、前記基板の (No (nQ. k。 ) ) 、前記基板上の化合物半導体層の、 第 j層目の (dj. Nj (η,. kj ) ) を仮定してモデルを決定し、 モデリングスペクトル ΨΜ ( Ai ) と ΔΜ ( え i ) を得る ΨΜ, ΔΜ モデリングスペクトル算出ステップと、 前記 ΨΕ , ΔΕ スぺクトルと前記 ΨΜ. ΔΜ モデリングスぺクトルを比較し、評価基準に達した前 記 ΨΜ, ΔΜ の構造を測定結果と決定(d, n, kおよび組成比が求まる) する比 較評価ステップと、前記モデルが前記評価基準に合致しないときは、次の修正モ デルを選定し、前記 ΨΜ. Δμ モデリングスぺクトル算出ステップを行い、前記比 較評価ステップを行う修正ステツプとを含んでいる。
本発明による請求項 5記載の方法は、請求項 4記載の基板上の化合物半導体層 の組成決定方法において、 前記モデルの評価基準は、 前記 ΨΕ ( え i ) 、 ΔΕ ( λι ) と有限組の中の ΨΜ ( Ai ) . ΔΜ ( A; ) の間の平均二乗誤差を求め、 最も小さい平均二乗誤差のものに決定する。
本発明による請求項 6記載の方法は、 請求項 4記載の基板上の化合物半導体層 の組成決定方法において、 前記 ΨΜ. ΔΜ モデルシユミレーシヨンスぺクトル算出 ステップは、 前記 ΨΕ , ΔΕ スペクトル測定ステップの公称入射角を 。 とする ときに、前記公称入射角を 。 の近傍の k を関数とするシユミレ一シヨンスぺ
クトル ΨΜ1ί (λ ; ) と AMk (え i ) を算出し、 前記比較評価ステップは、前記 Ψ
E , ΔΕ スペクトルと ΨΜ15と AMkモデリングスペクトルを比較し、評価基準に達 した前記 WMkと AMkの構造を測定結果と決定する比較評価ステップとから構成さ れている。
本発明による請求項 7記載の方法は、請求項 4記載の基板上の化合物半導体層 の組成決定方法において、前記化合物半導体層は、 S iGe, AlGaAs, InGaAsP, InG aAs, InAlAs, InGaP, AlGalnP, AlGalnAs, AlGaAsSb, InAsSb, HgCdTe, ZnMgSSe
, ZnSSe, ZnCdSe, ZnMnSe, ZnFeSe, ZnCoSe のいずれかとしたものである。
前記第 3の目的を達成するために、 本発明による請求項 8記載の分光ェリプソ メータを用いた多結晶化合物半導体の組成決定方法は、 計測対象の基板上の前記 多結晶化合物半導体層を、 入射光の波長を変えて各波長; ごとの入射光と反射 光の偏光の変ィ匕である測定スぺクトル ΨΕ ( A i ) と ΔΕ ( λ ,- ) を得る ΨΕ , ΔΕ スぺクトル測定段階と、 基板の複素屈折率 (N o. ( n o. k o) ) および各層の 考えられる複素屈折率 (Ν ,. ( n i. k ,)、 N 2, ( n 2. k 2) · · · ) 、各層の膜厚 を設定する。
ここで、 多結晶化合物半導体層の複素屈折率には、 注目原子が入っている結晶 化合物半導体リファレンスと注目原子が入っているァモルファス化合物半導体と さらに注目原子が入っていない結晶化合物半導体リファレンスなどを混ぜ合わせ て使用する。 これらいくつかのモデルをたてる第 1ステップ、前記各モデルにつ いて、 膜厚や混合比を変数として、未知のアモルファス化合物半導体の分散式パ ラメ一夕をフイツティングする第 2ステツプ、前記フイツティングの結果から平 均二乗誤差が最も低く、 さらにァモルファス化合物半導体の混合比が最小の結果 を選択する第 3ステップ、 およぴ前記複数のモデルごとに得られた最良の結果の 中から、平均二乗誤差が最も低く、 さらにアモルファス化合物半導体の混合比が 最小の結果を選択する第 4ステップからなる解析第 1段階を含んで構成されてい る。
本発明による請求項 9記載の方法は、請求項 8記載の分光ェリプソメータを用 いた多結晶化合物半導体の組成決定方法において、 前記解析段階は、前記第 1段 階と、前記第 1段階のステップ 4で得られた最良のモデルから、 さらに多結晶化
合物半導体層の膜厚、 混合比、 または他の層の膜厚や混合比についてフイツティ ングを行う第 1ステツプ、前記フイツティングの結果を確認する第 2ステップ、 および確認の結果を保存する第 3ステップからなる解析第 2段階と、前記得られ た結果のうち、 多結晶化合物半導体の混合比と前記多結晶化合物半導体中の注目 原子の組成比に基づいて注目原子の組成を算出する計算段階から構成されている 本発明による請求項 1 0記載の方法は、請求項 8または 9記載の分光エリプソ メータを用いた多結晶化合物半導体の組成決定方法において、 多結晶化合物半導 体層は、結晶成分 (既知のリファレンスデ一夕) とアモルファス成分の混ぜ合わ せとして設定し、 関係する結晶成分の組成比とその混合比から、 多結晶化合物半 導体の組成比を求める。
さらに詳しくいえば、 多結晶化合物半導体層は原子 P, Qを含み、注目原子 Q の組成比率 (X) の異なる結晶化合物半導体 2種類(a 1, a 2) 、 注目原子を含 むァモルファス化合物半導体 bを含むものであり、解析段階で得られた各化合物 半導体は、 以下の組成比率 (X) と混合比 (VO を持つものであり、
a 1 : P (i-x,)Qx. 混合比が
a 2 : P (1-x2,Qx2 混合比が W2
b : R 混合比が V
濃度算出段階は、 多結晶化合物半導体注目原子濃度を次のアルゴリズムで算出 するように構成されている。
多結晶化合物半導体注目原子濃度
=( XI■ Vfi +X2 - Vf 2) - 100/(Vf,+Vf2)atom%
本発明による請求項 1 1記載の方法は、請求項 8〜 1 0記載の多結晶化合物半 導体の組成比を求める方法において、 多結晶化合物半導体の組成比はァモルフ了 ス部分の組成比と結晶部分の有効な組成比が同じであると仮定して計算を行う、 新しい近似方法を用いている。
本発明による請求項 1 2記載の方法は、請求項 8〜1 0記載の分光エリプソメ 一夕を用いた多結晶化合物半導体の組成決定方法において、 a 1は結晶 SiGeであ り、 Ge濃度が xl (Si(i-xnGexl) 、混合比 で表される。 a 2は結晶 SiGeであ
り、 Ge濃度が x2 (Si ( 1 -x 2) Gex 2 ) 、混合比 Vf2 で表される。 bはアモルファス Si Geであり、 混合比 Vf3 で表される。
本発明による請求項 1 3記載の方法は、請求項 8〜 1 0記載の分光ェリプソメ 一夕を用いた多結晶化合物半導体の組成決定方法において、計測対象の基板上の 前記多結晶化合物半導体層を、 入射光の波長を変えて各波長 λ : ごとの入射光と 反射光の偏光の変化である測定スペクトル ΨΕ ( ; ) と ΛΕ ( ) を得る Ψ
Ε , Δ Ε スぺクトル測定段階と、 予想される範囲内にある複数の測定条件 (Zi ) ごとに、請求項 9の解析第 2段階第 1ステップまでを行い、各測定条件ごとに得 られた結果の中から、 最低平均二乗誤差の値またはあらかじめ設定した膜厚や分 散式パラメ一夕、 混合比、 入射角度などのそれぞれ最大、 最小値の中に入ってい る平均二乗誤差の最も低いモデルを選択する第 1ステップが加わって構成されて いる。
本発明による請求項 1 4記載の方法は、請求項 8〜 1 0または 1 3記載の分光 エリプソメータを用いた多結晶化合物半導体の組成決定方法において、前記解析 第 1, 第 2段階における前記差の最も少ないものを選択するステップは、 フイツ ティングしたものと、 測定値の平均二乗誤差を求め、 最も小さい平均二乗誤差の ものまたは、 あらかじめ設定した膜厚、 分散式パラメ一夕、混合比、 入射角度な どの変量、 それぞれの最大、最小値の中に入っている最も小さい平均二乗誤差の ものに決定することである。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明方法で使用するエリプソメ一夕の構成を示すプロック図である 図 2は、 本発明による薄膜計測方法を説明するための流れ図である。
図 3は、 前記薄膜計測方法のステップ 2 0の分光測定デ一夕を示すグラフであ る。
図 4は、 前記薄膜計測方法のステップ 2 1で設定されるモデルのデータを説明 するための図表である。
図 5は、 前記薄膜計測方法のステップ 2 2のモデルのデータを示すグラフであ
る。
図 6は、 前記薄膜計測方法のステップ 2 3で比較される分光測定データと、 モ デルのデー夕を重ねて示したグラフである。
図 7は、 前記薄膜計測方法のステップ 2 4のフイツティングを説明するための 図表である。
図 8は、 前記薄膜計測方法のステップ 2 5のモデルの変更を説明するための図 表である。
図 9は、 前記薄膜計測方法のステップ 2 6を説明するために確定されたモデル のグラフと決定された構造を示す図表である。
図 1 0は、本発明による化合物半導体の組成決定方法を説明するための流れ図 である。
図 1 1は、前記組成決定方法のステップ 2 0の分光測定データを示すグラフで ある。
図 1 2は、前記組成決定方法のステップ 2 1で設定されるモデルのデータを説 明するための図表である。
図 1 3は、前記組成決定方法のステップ 2 2のモデルのデータを示すグラフで ある。
図 1 4は、前記組成決定方法のステップ 2 3で比較される分光測定データと、 モデルのデ一夕を重ねて示したグラフである。
図 1 5は、前記組成決定方法のステップ 2 4のフィッティングを説明するため の図表である。
図 1 6は、前記組成決定方法のステップ 2 5のモデルの変更を説明するための 図表である。
図 1 7は、前記組成決定方法のステップ 2 6を説明するために確定されたモデ ルのグラフと決定された構造を示す図表である。
図 1 8は、前記組成決定方法において、 入射角度を振って、 各角度におけるフ ィッティングを行い膜厚と組成比の最適モデルを決定するためのグラフである。 図 1 9は、前記組成決定方法において、前記フィッティングにより得られたデ 一夕のグラフである。
図 2 0は、 前記組成決定方法において、測定の対象となる層の構造の概念を示 す略図である。
図 2 1は、 本発明による多結晶化合物半導体の組成決定方法の基本的な流れ図 である。
図 2 2は、前記組成決定方法における解析第 1段階を詳細に示す流れ図である 図 2 3は、前記組成決定方法における解析第 2段階と計算段階を詳細に示す流 れ図である。 発明を実施するための最良の形態
以下図面等を参照して本発明による方法の形態を説明する。
図 1は、 本発明方法で使用するエリプソメータの構成を示すブロック図である 。 このプロック図に示されている分光エリプソメ一夕により、後述する方法の分 光測定デー夕の獲得ステツプ 1 0が実行される。
X eランプ 1は、 多数の波長成分を含む、 いわゆる白色光源である。 この X e ランプ 1の発光は光ファイバ 2を介して偏光子 3に導かれる。 偏光子 3により偏 向された光は、 測定対象であるサンプル 4の表面に特定の入射角 (例えば = 7 5 ° ) で入射させられる。 サンプル 4からの反射は、 光弾性変調器(P E M) 5 を介して検光子 6に導かれる。 光弾性変調器 (P E M) 5により 5 0 k H zの周 波数に位相変調されて、 直線〜楕円偏光までが作られる。 そのため、数 m秒の分 解能で Ψ, 厶を決定することができる。 検光子 6の出力は光ファイバ 7を介して 分光器 8に接続される。 分光器 8の出力デー夕がデ一夕取込部 9に取り込まれ、 分光測定データの獲得ステップ 1 0を終了する。 なお、 Ρ Ε Μ 5の位置は偏光子 3の後か検光子 6の前どちらでも可能とする。
(薄膜計測方法における実施の形態の説明)
図 は、 本発明による分光ェリプソメータを用いた薄膜計測方法の流れ図であ る。
(ステップ 2 0 ).
このステップとは分光測定デ一タを比較デ一タ化するステップである。 前述し
た分光測定デ一夕の獲得ステップ 1 0で獲得した分光測定デ一夕を ΨΕ ( λ) と
ΔΕ ( λ) の形で比較データ化する。
図 3は、 ステップ 2 0の分光測定データを示すグラフの例である。 縦軸は測定 スぺクトル ΨΕ ( ; ) P s i、 と ΔΕ ( ; ) De i t aを示している。 (ステップ 2 1 )
このステツプ 1 1は分光測定対象のモデル化ステツプである。 図 4はステツプ 1で設定されるモデルのデータを説明するための図表である。 前記ステップ 2 0で比較データ化された測定対象の製造プロセス等を考慮してモデルを作る。 基 板と各層の光学定数、 組成および各層の膜厚 (d) を設定する。 この実施例では 基板は Si 、 基板上に第 1層 Si 02 が形成されているものとし、 第 1層の厚さ d= 1 0 0 0人とし、 基板と第 1層の光学定数 (n, kまたは ε-, £ i ) を設定 する。 なお、 光学定数は既知の数値を用い、 必要に応じて過去の蓄積データを用 いて数値を順次修正して用いる。
(ステップ 2 2)
このステップ 2 2では、 前記ステップ 2 1で設定したシュミレーシヨンモデル から分散式を用いてモデリングスぺクトルを作製して比較データ化する。 図 5は 、 ステップ 2 2のモデルのデータを示すグラフである。 縦軸、 横軸は図 3で説明 したとおりである。 ステップ 2 1で採用したモデルを分散式を使ってモデリング スぺクトルを作製する。 分散式は、 物質の波長依存性を示す式であり、 各波長に おける n, kまたは £r. を算出できるから、 これらと前記第 1層の厚さ dか ら、 ΨΜ ( λ) と ΔΜ ( λ) を算出してモデリングスペクトルを作製する。 (ステップ 2 3)
このステツプは分光測定比較デー夕とモデル比較デ一タを比較するステツプで ある。 図 6は、 ステップ 2 3で比較される分光測定データと、 モデルのデータを 重ねて示したグラフである。 ステップ 2 2で算出したモデリングスぺクトル ΨΜ ( λ) , ΔΜ ( λ) と、 ステップ 2 0で供給された ΨΕ ( λ) , ΔΕ ( λ) を比 較する。
(ステップ 24)
このステップは、 前記比較の結果を評価するステップである。 図 7は、 ステツ
プ 2 4で行われるフィッティングを説明するための図表である。 最小二乗法を用 いて (ΨΕ ( 义) , ΔΕ ( え) ) と (ΨΜ ( λ) , ΔΜ ( λ) ) の違いが最小に なるようにパラメ一夕をフィッティングするその糸吉果、 測定デー夕とモデルが合 うか合わないかの判断をする。
評価は前記平均二乗誤差 ( % 2 ) が一定の範囲内にあるもの、 または後述する ステップ 2 5を含めたループ (ステップ 2 2→ステップ 2 3—ステップ 2 4→ス テツプ 2 5→ステップ 2 2 ) の有限繰り返し中のステップ 2 4で得られる有限の χ 2 の値の内最小の χ 2 を与えるモデルを測定データとモデルが合ったとして選 択する。
(ステップ 2 5 )
図 8は、 ステップ 2 5のモデルの変更を説明するための図表である。 このステ ップは、 ステップ 2 4でモデルと分光測定データが合わないと判断されたときに 、 モデルを変更し、 次のモデルを設定するステップである。 ステップと 2 1で設 定した S i 〇2 の膜厚 1 0 0 0人を 2 0 0 0人に変更する。 必要に応じて、 各層 の光学定数、 各層の組成等に適宜の変更を行い次のモデルを決定する。
(ステップ 2 2 )
ステップ 2 2は、 ステップ 2 5で設定されたモデルから、 理論的に次の ΨΜ ( A) , ΔΜ ( λ) を求める。 ステップ 2 3→ステップ 2 4—ステップ 2 5→ステ 、ソフ ° 2 2の繰り返し実行が行われる ο
(ステップ 2 6 )
図 9は、 ステップ 2 6を説明するために確定されたモデルのグラフと決定され た構造を示す図表である。
前記ステップ 2 4の評価ステップで合うと判断されたモデルのデ一夕を測定結果 として採択して、 測定を終了するステップである。 この実施例では、 前記繰り返 しの実行の過程で設定されたモデルから、 S i 02 の膜厚 1 8 2 0 . 4人とした ものが、 最小の z 2 を与えたものとして採択してある。
次に、 公称入射角 。 の近傍の入射角をパラメ一夕として測定する場合につい て説明する。 前述したように、 偏光変化量 (p ) は、 ) = t a n ^ e x p ( i Δ ) で表され、 波長 (λ ) 、 入射角度 ( ) 、 膜厚、 複素屈折率等のパラメ一タに
依存し、 その関係は次のようになる。 (d, n, k) =F (Ψ, Δ, λ, Φ) 図 1に示す公称入射角 。 により、 モデルを設定しても、 サンプルの表面の微 妙な形状等により、 入射角 。 を僅かに増減した方が良いことが予想され、 前述 した ΨΕ , ΔΕ も、 。 を修正した角度による測定データであったとする方が妥 当だと考える方が良い。
すなわち、 前記分光エリプソメ一夕を用いた薄膜計測方法において、 前記 ΨΕ , ΔΕ スペクトル測定ステップの公称入射角を 。 とし、 前記 ΨΜ. ΔΜ モデルシ ユミレーシヨンスぺクトル算出ステップでは、 前記 ø。 を関数とするシユミレ一 シヨンスペクトル ψΜ0 (Ai ) 、 AM。 (λι ) とさらに前記公称入射角を 。 の 近傍の k を関数とするシュミレーシヨンスペクトル Ψ« (λ; ) と Δ« (λ; ) を得る。 このモデルシユミレーションスぺクトルをステップと 2 1で算出して ΨΕ ( Ai ) ΔΕ ( Ai ) と比較する。
そこで前記公称入射角 φϋ を 7 5. 00 ° を中心として、 前記ステツプ 2 1で 、 一組の d, n, kに対して、 …ァ 4. 8° ·'·7 5. 0° ·'·7 5. 2° …と、 わ ずかに入射角度をかえて複数組のモデルを立て, 他の d, n, kの組に対しても 、一74. 8° 〜7 5. 0° 〜7 5. 2° …と、 わずかに入射角度をかえて複数 組のモデルを立てる。 このような組み合わせの内から最小の χ 2 を与えるものを ステップ 24を経て適合モデルとして選択する。
以上詳しく説明したように、 本発明による分光ェリプソメータを用いた薄膜計 測方法によれば、 以前は困難であった薄膜構造をモデルを使用し、 さらに入射角 をフイツティングすることにより精度よく正確に測定することができる。
(基板上の化合物半導体層の組成決定方法における実施の形態の説明) 図 1 0は、 本発明による分光エリプソメ一夕を用いた基板上のィ匕合物半導体層 の組成決定方法の流れ図である。 (ステップ 20) このステップとは分光測定デ ―夕を比較データ化するステップである。 前述した分光測定デ一夕のステップ 1 0で獲得した分光測定データを ΨΕ ( λ) と ΔΕ ( λ) の形で比較デ一夕化する 図 1 1は、 ステップ 2 0の分光測定デー夕を示すグラフである。 縦軸は反射光 の偏光の変化である測定スペクトル ΨΕ ( λι ) P s i、 と ΔΕ ( λ,- ) D e l
t aを示している。
(ステップ 2 1 )
このステップ 2 1は分光測定対象のモデル化ステップである。 図 1 2はステツ プ 2 1で設定されるモデルのデータを説明するための図表である。 前記ステップ
2 0で比較データ化された測定対象の製造プロセス等を考慮してモデルを作る。 基板と各層の光学定数、 組成、 各層の膜厚 ( d ) を設定する。
この実施例では S i 基板上に第 1層 S i G e ( x = 0 . 1 5 ) の化合物半導体 層、 d = 8 0 0 Aを想定する。 その上層に化合物半導体層の自然酸化層である第
2層が存在しているものとする。 第 2層の厚さ d = 2 O Aとし、 基板と第 1、 2 層の光学定数 (n , kまたは £ r, ε ; ) および組成比を設定する。 なお、 光学定 数は既知の数値を用い、 必要に応じて過去の蓄積データを用いて数値を順次修正 してデータベースを準備しておく。
(ステップ 2 2 )
このステップ 2 2では、 前記ステップ 2 1で設定したシュミレーシヨンモデル からモデリングスペクトルを作製して比較データ化する。 図 1 3は、 ステップ 2 2のモデルのデータを示すグラフである。 縦軸、 横軸は図 1 1で説明したとおり である。 ステップ 2 1で採用したモデルから乇デリングスぺクトルを作製する。 各波長における n, kまたは £ r, 'は既知として、 これらと前記第 1および第 2層の厚さ から、 ΨΜ ( λ) と ΔΜ ( λ) を算出してモデリングスペクトルを 作製する。
(ステップ 2 3 )
このステツプは分光測定比較デ一夕とモデル比較データを比較するステツプで ある。 図 1 4は、 ステップ 2 3で比較される分光測定デ一夕と、 モデルのデ一夕 を重ねて示したグラフである。 ステップ 2 2で算出したモデリングスペクトル Ψ Μ ( λ) , ΔΜ ( λ) と、 ステップ 2 0で供給された ΨΕ ( λ) , ΔΕ ( λ) を 比較する。
(ステップ 2 4 )
このステヅプは、 前記比較の結果を評価するステップである。 図 1 5は、 ステ ップ 2 4で行われるフイツティングを説明するための図表である。 最小二乗法を
用いて (ΨΕ ( ス) , ΔΕ ( え) ) と (ΨΜ ( λ) , ΔΜ ( λ) ) の違いが最小 になるようにパラメ一夕をフィッティングするその糸吉果、 沏 J定データとモデルが 合うか合わないかの判断をする。
評価は ft記平均二乗誤差 (χ2 ) が一定の範囲内にあるもの、 または後述する ステップ 2 5を含めたループ (ステップ 2 2→ステップ 2 3—ステップ 24—ス テツプ 2 5→ステップ 2 2) の有限繰り返し中のステップ 24で得られる有限の χ2 の値の内最小の χ 2 を与えるモデルを測定データとモデルが合ったとして選 択する。
(ステップ 2 5 )
図 1 6は、 ステップ 2 5のモデルの変更を説明するための図表である。 このス テツプは、 ステップ 2 4でモデルと分光測定データが合わないと判断されたとき に、 モデルを変更し、 次のモデルを設定するステップである。
ステップ 2 1で設定した第 1層である Si Geの膜厚 80 0人を 2000人に変 更し、 組成比を x = 0. 1 5から x = 0. 2に変更する。 必要に応じて、 各層の 光学定数、 各層の組成等に適宜の変更を行い次のモデルを決定する。
(ステップ 2 2)
ステップ 2 2は、 ステップ 2 5で設定されたモデルから、 理論的に次の ΨΜ ( λ) , ΔΜ ( λ) を求める。 ステップ 2 3—ステップ 24→ステップ 2 5—ステ つ。 1 1の繰り返し実行が行われる。
(ステップ 26 )
図 1 7は、 ステップ 2 6を説明するために確定されたモデルのグラフと決定さ れた構造を示す図表である。 前記ステップ 2 4の評価ステップで合うと判断され たモデルのデータを測定値として採択して、 測定を終了するステップである。 こ の実施例では、 前記繰り返しの実行の過程で設定されたモデルから、 第 1層であ る Si Ge (x=0.18) の膜厚を 1 80 8. 4人および前記組成比率 (x=0.18 ) に対応する化合物半導体層の (nし k, ) 、 第 2層である自然酸化層の膜厚を 20. 8 Aおよび自然酸化膜層の (n2. k2 ) としたものが、 最小の χ 2 を与え たものとして採択してある。
前記組成比決定の方法は 2通りある。 本件発明者は、 組成決定方法として、 例
ではステップ 26のように、 膜厚と光学定数と同時に組成比が求まるとしたが、 測定結果として得られた膜厚と光学定数から、誘電率 (光学定数) と組成間に成 立する関数関係にもとづいて、 組成を決定する方法もある。 また、光学定数には
、 既知の数値 (リファレンス) の他、 分散式 (物質の誘電率の波長依存性を示す 式) なども使用可能である。
次に、 公称入射角 の近傍の入射角をパラメ一夕として測定する場合につい て説明する。 前述したように、偏光変化量 (0) は、 /0 = t an^exp ( i Δ ) で表され、波長 (え) 、 入射角度( 、 膜厚、複素屈折率等のパラメ一夕に 依存し、 その関係は次のようになる。
(d, n, k, 組成比) =F (Ψ, Δ, λ, φ) 図 1に示す公称入射角 。 により、 モデルを設定しても、 サンプルの表面の微 妙な形状等により、 入射角 。 を僅かに増減したほうが良いことが予想され、前 述した ΨΕ , 厶 Ε も、 φ0 を修正した角度による測定データであったとするほう が妥当だと考えるほうが良い。
すなわち、 前記分光エリプソメ一夕を用いた薄膜計測方法において、前記 ΨΕ , ΔΕ スぺクトル測定ステップの公称入射角を 。 とし、前記 ΨΜ, ΔΜ モデルシ ユミレーシヨンスぺクトル算出ステップでは、前記 ø。 を関数とするシュミレー シヨンスペクトル ΨΜ0 (Ai ) . ΔΜΟ (Ai ) とさらに前記公称入射角を 。 の 近傍の k を関数とするシユミレ一シヨンスペクトル (Ai ) と AMk (Ai ) を得る。 このモデルシユミレ一シヨンスペクトルをステップと 21で算出して ΨΕ ( ) . ΔΕ ( λ; ) と比較する。
ここで、 例として図 18, 19を挙げる。 前記公称入射角を 。 の近傍の角度 <^kmin= 74. 85 ° から、 =0. 01° ずつ増加させてゆき各角度にお いて、 膜厚と組成比の最高の組み合わせとその根拠となった、 を示す。 この 例では ¾6kMax= 75. 00° としている。 これは、前述した 2 1ステップに相当 するステップで入射角 に対応して、 d, 組成比 Xに対応するモデルを順次作 成してフィッティングを行うことを意味する。 図 18において、 最上段は km ] = 74. 85 ° においては、 膜厚 dkmin =1 100. 4人と組成比 xkmi 7. 7876 (a t om ) が最適な組み合わせでそのときの χ 2 の値は
0. 6 29 2である。 図 1 9は、 各入射角度における組成比 Xと ¾; 2 を示すグラ フである。
図 1 8を検討すると、 kbest = 74. 97における、
膜厚 dkbe" = 1 1 00. 3 Aと組成比 xkbe" = 8. 9277 (a t om%) が最も小さい χ2 の値 0. 4406を示し、 このモデルをもって、最適な膜厚と 組成比を決定する。
なお、 図 1 9において、 XRDの示す線は X線を用いる他の測定機を用いて測 定した結果を参考までに記入したものである。 この測定によれば、 Ge濃度は x=9. 00 (a t om ) と本発明による場合とほぼ同じ値になり、 入射角度 を合わせることによって、 より真値に近い値を求めることができるということを 以上詳しく説明したように、本発明による基板上の化合物半導体の組成決定方 法によれば、 以前は困難であった薄膜の組成を様々なモデルを使用し、 さらに入 射角をフィッティングすることにより精度よく正確に測定することができる。
(多結晶化合物半導体の組成決定方法における実施の説明)
ここで例として多結晶 S i Geをあげる。 図 20は、測定対象の構成を説明す るための略図である。 図 2 1は本発明方法の流れ図である。 図 2 2に解析第 1段 階、 図 23に解析第 2段階、 と濃度計算段階を示している。
本発明方法の流れを図 2 1で説明する。 まず、 図 1に示す装置で測定を行う。 計測対象の前記多結晶化合物半導体層を、 入射光の波長を変えて各波長; ごと の入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトル ΨΕ ( ; ) と ΔΕ ( ) を得る ΨΕ , ΔΕ スぺクトル測定段階 1 0と、解析第 1段階 2 0と解析第 2段 階 30を含む解析段階と、 解析の結果から Geの濃度を演算する計算段階 40を含 んでいる。
〔測定段階〕
測定段階で使用される分光ェリプソメータを簡単に説明する。 X eランプ 1は 、 多数の波長成分を含む、 いわゆる白色光源である。 この Xeランプ 1の発光は 光ファイバ 2を介して偏光子 3に導かれる。 偏光子 3により偏光された光は、 測 定対象であるサンプル 4の表面に特定の入射角 (例えば φ = 75. 00 ° ) で入
射させられる。
サンプル 4からの反射は、光弾性変調器 (PEM) 5を介して検光子 6に導か れる。 光弾'性変調器 (PEM) 5により 5 0 kHzの周波数に位相変調されて、 直線から楕円偏光までが作られる。 そのため、 数 m秒の分解能で Ψ, Δを決定す ることができる。 検光子 6の出力は光ファイバ 7を介して分光器 8に接続される 。 分光器 8の出力データがデータ取込部 9に取り込まれ、 分光測定データの獲得 ステップを終了する。 なお、 PEM 5の位置は偏光子 3の後か検光子 6の前どち らでも可能とする。
〔解析第 1段階〕
この実施例の測定の対象となる層は、第 1物質 (a 1 ) 第 2物質(a 2 ) およ び第 3物質 (b) (それぞれ異なる光学定数をもつ) を含んでいる。 そして、 そ れらが混合比 νίΜ2:νί"3 (Vf, +Vf2 +Vf3 = 100%) で混合されているとす る。
a 1 c-SiGeの組成が Si _xl)Gexl で混合比が Vf,
a 2 c- SiGeの組成が Si (1- x2)Gex2 で混合比が Vf2
b a- SiGe アモルファス SiGe で混合比が Vf3
(ステップ 1 )
この実施例の測定の対象である試料は、 Ge濃度が 10〜30%と予想されるもので あるからこの点を考慮してモデル(1) (2)をたてる。 なお、 ここで使用した S i 98 Ge。2, S i 85Ge i s , S i 65 G e 35はリファレンス名であり、 実際にはそれぞ れ x = 0. 0 2 , x = 0. 1 5, x = 0. 3 5を示している。
モデル(1)
第 3層 自然酸化層 (Native Oxide) d 31
第 2層
+Si
85Gei
5(Vf
2 I)+ a-SiGe(Vf
3.) d
21
第 1層 Si02 d
基板(Sub) Si バルク モデル(2)
第 3層 自然酸化層 (Native Oxide) d 32
Si85Ge15(Vf,2) +Si65Ge35(Vf22)+ a— SiGe(Vf32) d22
第 1層 Si02 d12 基板(S ub) Si ノ ルク
(ステップ 2 ) 図 2 2
1層目と 3層目についてはリファレンスが存在するが、 2層目に付いては a 1 の c- SiGeの Si (1- xl)Gexlの組成比率が既知で、 a 2の c- SiGeの Si (い x2)Gex2の組 成比率が既知で、 それぞれリファレンスが存在するが、 a-SiGeについては、 リフ アレンスが存在しないので、 2層目の混合比 (Vf)をそれぞれ変えながら下記をフ イツティングをする。
モデル(1) について
2層目の混合比 (Vf)をそれぞれ変えながら下記をフイツティングをする。
2層目の膜厚 (d2 i )
3層目の膜厚 (d3.)
2層目の a-S i Geの分散式パラメ一夕(DSP , )
モデル( について
2層目の混合比 (Vf)をそれぞれ変えながら下記をフイツティングをする。
2層目の膜厚 (d22)
3層目の膜厚 (d32)
2層目の a- SiGeの分散式パラメータ(DSP2)
(ステップ 3 ) 図 2 2
モデル(1) について
各混合比の結果の中から以下にあてはまる結果を選択する。
X 2 が最小
a - SiGeの混合比が最小
Q 21 (b e s t) . d 3 I (b e s t) , Vl 1 1 (b es t) , Vl 2 ί (b es t) , DSPi (b e s t) , X I (b e s t) モデル( について
各混合比の結果の中から以下にあてはまる結果を選択する。
X 2 が最小
a-SiGeの混合比が最小
d 22 (b e s t) , d 32 Cb e s t) , Vf 12 (b e s t) , Vf 22 (b es ) , DSr 2 (b e s t) , X 2 (be s )
この例では、 p-SiGe層に既知の c- SiGeリフアレンスと未知の a- SiGeを混ぜ合わ せて設定している。 既知の c-SiGeリファレンスは、 Geの濃度が分かっているのに 対し、 未知 a- SiGe中の正確な Ge濃度が分からない。 そのため、 この a- SiGeの混合 比が少ないほど、 c-SiGeリファレンスからより正確に P- SiGeの Ge濃度を計算する ことが可能となる。 よって、 a- SiGeの混合比が最小の結果を選択するように説明 している。
(ステップ 4) 図 22
モデルごとの最良な結果の中から、 さらに X 2 が最小で a-SiGeの混合比が最小 のモデルおよび結果を選択する。
〔解析第 2段階〕
解析第 2段階では、 先の段階で選択した最良のモデルについて最終フイツティ ングをする。
第 3層 (d3 ) 自然酸化層
第 2層 (d
2 )
+ a-SiGe(Vf
3) 第 1層 ( ) Si02
基板 (Sub) Si
(ステップ 1 )
上記の最良のモデルについて下記のフイツティングを行う。
第 1層目の膜厚 (d, )
第 2層目の膜厚 (d2 )
第 3層目の膜厚 (d3 )
第 2層目のそれぞれの混合比 (Vf)
(ステップ 2)
前記フイツティングの結果を確認する。
(ステップ 3)
確認されたものを保存する。
〔計算段階〕
前記解析段階で第 2層目に含まれる各物質の組成比率と混合比率が下記のとお り特定されたとすると、計算段階では以下のアルゴリズムで Ge濃度を計算する。
なお、 ここで使用した S i 85Ge 15や S i 65 G e 35はリファレンス名であり、実 際は x = 0. 1 5と =0. 3 5を示している。
Si (i-xnGexi (Vf i)
a-SiGe(Vf3)
に実例をあてはめると、
Si85Ge,5 (72.2 %)
Si65Ge35 ( 9.23%)
a - SiGe (18.57 )
になるので、 これを下記式にあてはめる。
Ge濃度 =( XI · Vf, +X2 · Vf2) · 100/(Vf i+Vf 2) atom %
= (0.15 X72.2+0.35X9.23) x 100/(72.2+9.23)
= 17.27 atom%
以上詳しく説明したように、本発明による分光ェリプソメ一夕を用いた多結晶 化合物半導体の組成決定方法によれば、 基板上に形成された多結晶 S i Geの Ge濃度 を、 分光ェリプソメータを用いて得たデータを新しい近似計算方法を用いること により、 求めることができる。
本発明方法によれば、
1. 各結晶化率、 各 Ge濃度の正確な多結晶 SiGeリファレンスがなくても、 簡単 に早く多結晶 S i Geの Ge濃度を計算することができる。
2. 前述したように、 この手順は多結晶の SiGeだけでなく、 様々な多結晶の材 料の組成をほぼ決定することができる。
3. アモルファス部分の混合比が小さければ、 この方法の精度は良い。 経験上 、 アモルファス部分が約 2 0%程度であっても、正確に近い注目原子濃度を求め ることが可能である。
以上詳しく説明した実施例について、本発明の範囲内で種々の変形を施すこと ができる。 理解を容易にするために、 デ一夕の取得、 モデルの設定に関連して、 一貫して Ψ, △を用いて説明した。 当業者には良く知られている以下のデ一夕対 を用いても同様な、 測定およびフィッティングが可能であり、本発明の技術的範
囲に含まれるものである。
( n, k ) 、 ( ε i , ε - ) 、 ( tan Ψ, cos 厶) 、 ( I s > I 0 ) また、 基板上に S i 0 2 層を 1層形成する例を示したが、 様々な材料の単層 - 多層構造の測定や広い範囲の膜厚の測定にも同様に利用できる。 基板も S iの例 を示したが、 他の材料 (ガラスや石英、 その他異なる透明基板、 化合物半導体な ど) も同様に利用できる。
また、 基板上の化合物半導体層の組成決定方法において、 前記化合物半導体層 の例として SiGeの例を示して詳細に説明したが、他の化合物半導体層 AlGaAs, In GaAsP, InGaAs, InAlAs, InGaP, AlGalnP, AlGalnAs, AlGaAsSb, InAsSb, HgCdT e, ZnMgSSe, ZnSSe, ZnCdSe, ZnMnSe, ZnFeSe, ZnCoSe のいずれかの組成の決定 にも同様に利用できる。 また、 基板上に S iGe層を 1層形成する例を示したが、 異 なる多層構造の測定や広い範囲の膜厚の測定にも同様に利用できる。 基板も Siの 例を示したが、他の材料 (ガラスや石英、 その他異なる透明基板、化合物半導体 など) も同様に利用できる。
本件発明者は、 化合物半導体の組成決定方法として、 例ではステップ 2 6のよ うに膜厚と光学定数と同時に組成比が求まるとしたが、測定結果として得られた 膜厚と光学定数から、誘電率 (光学定数) と組成間に成立する関数関係に基づい て、組成を決定する方法もあり、 これも本発明の技術的範囲に含まれるものとす る。
光学定数には、 既知の数値 (リファレンス) を用いたが、 物質の誘電率の波長 依存性を示す分散式なども使用可能であり、本発明の技術的範囲に含まれるもの とする。 また、 分散式を使用する例では、 既知の数値を光学定数に使用する場合 もあり、 これも本発明の技^?的範囲に含まれるものとする。
例では、 基板上に S i02と多結晶 SiGeとして説明したが、 この構造、 この材料だ けでなく、 様々な厚さや構造、 材料など、 幅広いアプリケーションにも使用する ことができる。 また、 実施例として光弾性変調器 (P E M) の例を示したが、 P E M以外のェリプソメータを使用することもできる。
基板も Siの他、 ガラスや石英、 その他透明基板や化合物半導体なども同様に利 用できる。 また、 基板の種類によらず、 どんな平坦な基板でも、 あれている基板 でも使用することができる。
分散式には、 古典力学理論から作成された式や量子力学理論から作成された式 、経験式の他、 様々な式'パラメ一夕も使用可能であり、 これも本発明の技術的 範囲に含まれるものとする。
例では、 あらゆる全てのパラメ一夕を同時にフイツティングすると説明したが 、 別々にフィッティングする場合もあり、 これも本発明の技術的範囲に含まれる ものとする。
例では、 E M Aを使用すると説明したが、 他の有効媒質近似論の使用も可能で あり、 これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
多結晶化合物半導体層には、 注目原子が入っている結晶化合物半導体リファレ ンスと注目原子が入っているァモルファス化合物半導体を混ぜ合わせると説明し たが、注目原子を含まない結晶化合物半導体リファレンスを使用する場合もあり 、 これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
組成を求める層を 1層として説明したが、 2層以上になる場合もあり、 これも 本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
組成を求める層には結晶化合物半導体 2つとァモルファス化合物半導体 1つの 混ぜ合わせで説明したが、 結晶化合物半導体を 1つまたは 3つ以上混ぜ合わ^る 場合もあり、 これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
全ての例の 1部または全部は、手動や自動 (コンピュータや Dボットなど) で 行うことができ、 これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
例では入射角度を 7 5度として説明したが、 これ以外の角度でも使用可能であ り、 これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
請求項 3および 6で、 公称入射角度 (7 5度) 近傍で動かしながら解析すると 説明したが、 その他、 物理的に決定した入射角度の近傍で変化させながら解析す る場合もあり、 これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
入射角度を自動でいくつか変化させながら測定(Variable Angle Measurement ) を行い、 これら全体のデータ、 またはこの中の特定角度のデ一夕を用いて解析
する場合もあり、 これらも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。 さらに、 前記測定で得られた全体のデータ、 またはこの中の特定角度のデ一タ解析におしヽ て、 各入射角度近傍を変化させながらフィッティングする場合もあり、 これも本 発明の技術的範囲に含まれるものとする。 産業上の利用可能性
以上詳しく説明したように、本発明による分光ェリプソメ一タを用いた薄膜特 性計測方法を用いることにより半導体製造分野などで薄膜の厚さ、組成、光学定 数の特性を正確に計測することができる。