JP3937149B2 - 分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分光エリプソメータを用いて得たデータを、広範囲最極小値計算法(Extended Best Local Minimum Calculation 以下、Extended BLMC)を用いて処理する極薄膜2層構造の解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分光エリプソメータを用いて入射光と反射光の偏光変化量を測定し、その結果から膜厚(d)、複素屈折率N(N=n−ik)を算出することができる。
偏光変化量(ρ)はρ=tanψexp(iΔ)で表され、波長(λ)、入射角度(φ)、膜厚、複素屈折率等のパラメータに依存するので、その関係は次のようになる。
(d,n,k)=f(Ψ,Δ,λ,φ)
【0003】
入射角度を固定した場合、単一波長エリプソメータでは、(d,n,k)の3つの未知数に対し、2つの独立変数しか測定できないので、d,n,kの内のいずれか一つを既知として固定する必要がある。
単一波長でも入射角度を変えると測定変数は増加する。しかしながら、入射角度(φ)の違いによる(Ψφ1 ,Δφ1 )と(Ψφ2 ,Δφ2 )に強い相関関係があるため、d,n,kを精度良く求めることは難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
偏光変化量は、光が通る体積、(位相角(β)×ビーム径の面積)で表すことができる。ビーム径が一定とすると偏光変化量は次のようになる。
偏光変化量∝膜厚(d)×(複素屈折率N)×φ
ここにおいて、φは入射角である。膜厚(d)が薄く、Nが低ければ、位相角(β)の変化が小さくなり、dとNの間に相関関係が強くなる。
【0005】
前述した問題は、極薄膜2層構造の場合、上記にさらに各層の間に相関関係が発生する可能性があり、偏光変化量を表している測定結果(ΨE ( λi ) ,ΔE ( λi ) )から、各層のn,k,dを求めることが困難となる。
【0006】
前述したように、測定された多層薄膜の偏光変化を表している測定スペクトル(ΨE ( λi ) ,ΔE ( λi ) )は、前記基板のn,k情報、各層のn,k,dの情報のすべてを含んでいるが、これから、前記基板のn,k情報、各層のn,k,dの情報の唯一の組み合わせを算出することはできない(基板のみの場合を除く)。この前記唯一の組み合わせを探す方法は、分光エリプソメータデータの解析と呼ばれる。解析を行うときは、前記基板のn,k情報、各層のn,k,dの情報を利用してモデルをたてる。この中の基板や各層のn,k情報には、リファレンス(既知のテーブルデータ)や分散式、または似たような材質の単層薄膜の光学定数を使用する。
分散式とは、物質の誘電率の波長依存性を示す式であり、近赤外から紫外線領域では、この誘電率ε(λ)は材料の構成原子の結合様式から決定される。
分散式として、調和振動子をもとにした計算式、量子力学をもとにした計算式、経験式等が知られており、通常2つ以上のパラメータを含んでいる。
前述したモデルに含まれているすべての未知数(各層の厚さや、分散式パラメータ、混合比など)を変化させながら、測定データにあわせていく。
これをフィッティングといい、このフィッティングの結果、各層の膜厚や混合比などが求まり、分散式パラメータからは、材料の誘電率ε(λ)を計算することができる。材料の誘電率と屈折率は下記の関係にある。
ε=N2
本発明では、様々な理由により1つの分散式では膜の誘電率の波長依存性を特定できないかまたは困難な場合についても問題にして、有効媒質論(Effective Medium Theory)を利用して、有効誘電率(Effective Dielectric Function) を計算する。一般的に、例えばホスト材料中に様々な誘電率を持つN個の物質(ゲスト)が混ざり合っている場合、有効誘電率(ε)は、下記の様に表される。
この時εh はホストの誘電率を、εj はj個目の誘電率を、kはスクリーニングファクターを示している。ここで、ホストの材料と、中に入っている材料がほぼ同じ量で混ざり合っているか、またはどちらがホストかゲストか分からない場合、ホストの材料自身が有効媒質材料と同じε=εh になる。この条件の有効媒質論をブラッグマンの有効媒質近似(Bruggeman Effective Medium Approximation以下本願において単にEMA)と呼ばれている。3つの球状物質A,B,Cが対照的に混在しているときの誘電率εは次の式で与えられる。
fa (εa −ε)/(εa +2ε)+fb (εb −ε)/(εb +2ε)+fc (εc −ε)/(εc +2ε)=0
ここで、
ε : 求めようとする有効誘電率
εa , εb , εc : 球状物質A,B,Cの誘電率
fa , fb , fc : 各物質の混合比(Volume Fraction 以下Vf)で、
fa +fb +fc =1
基板上の膜が不均一または不連続や、いくつかの材料が混ざり合っている場合、波長オーダーより十分小さく、物理的に混合している複数の物質から成る媒質については、有効媒質近似(EMA)を利用してモデルをたてる。
物質Aと物質Bと物質Cが混合している場合について説明する。このときの有効媒質近似(EMA)は、物質Aの混合比、物質Bの混合比、物質Cの混合比、AとBとCの混合層の膜厚、誘電率には分散式やリファレンスデータなどを推定してフィッティングを行い、評価する。
【0007】
本発明の目的は、膜厚や複素屈折率などの組み合わせモデルを設定し、そのシミュレーションスペクトルを算出して、そのシミュレーションスペクトルと測定スペクトルとのフィッティングを広範囲最極小値計算法(Extended BLMC)を使用して行うことにより、極薄膜2層構造を決定する、分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造解析方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明による極薄膜2層構造を測定し解析する方法は基本的に、
まず、分光エリプソメータを用いて極薄膜2層構造を測定し、分光スペクトルを得る。
新しい解析方法は基本的には3つの段階から成立している。
解析第1段階の目的は、実際のサンプルに良く合うと思われるモデルを複数選択して初期値を決定する。
解析第2段階では、第1段階で得られた初期値をもとにExtended BLMCを行う。
必要に応じて、解析第3段階では最後のフィッティング、確認、保存を行う。
【0009】
本発明で利用する超薄膜および薄膜計測方法で用いる極小値計算法(BLMC)は、
極小値計算法(BLMC)による分光エリプソメータを用いた計測対象の基板表面の超薄膜および薄膜計測方法において、
計測対象の基板表面の薄膜を、入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトルΨE (λi )とΔE (λi )を得るΨE ,ΔE スペクトル測定ステップと、
前記基板の(N 0 (n0 ,k0 )),基板上の薄膜の(d,N(n,k))を分散式を用いて仮定し、さらに予想される範囲内にある複数の膜厚(d±mΔd)および予想される範囲内にある複数の入射角(φ±mΔφ)を設定するステップと、
前記入射角と膜厚の組み合わせにもとづいて、分散式(DSP)のパラメータ(εs ,ωt )のフィッティングを行うステップと、
前記フィッティングにより得られた各ΨM (λi )とΔM (λi )の中から前記ΨE (λi )とΔE (λi )との差の最も少なくなる膜厚(dbest)と入射角(φbest)の組み合わせを設定したモデルのフィッティング結果(DSPbest)を選択するステップと、
前記選択するステップで選択された入射角(φbest)を確定値として、膜厚(dbest)と分散式(DSPbest)のフィッティングを行うステップで構成されている。
【0010】
前記目的を達成するために本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法は、
計測対象の基板上の極薄膜2層構造を、分光エリプソメータにより入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトルΨE(λi)とΔE (λi )を得るΨE ,ΔE スペクトル測定段階と、極薄膜2層構造の基板の複素屈折率(N0(n0,k0 ))および各薄膜の材料(Mat1,Mat2)の考えられる光学定数に係る複素屈折率(N1(n1,k1 )),(N2 (n2 ,k2 ))、各層の膜厚(d1,d2)を利用し、複数のモデルをたてる第1ステップ、
前記各モデルごとに前記測定スペクトルとのフィッティングを行って平均二乗誤差(χ2 )を得る第2ステップ、および
前記各モデルごとのフィッティングの結果、最低の平均二乗誤差(χ2 )の 値をもつモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚の最大、最小値の中に入っている平均二乗誤差(χ2 )の値が最も低いモデルを選択し、膜厚(d1(best) ,d2(best) )を含むそのモデルに係る各層の値を得る第3ステップ
から成る解析第1段階と、
解析第1段階で得られた値を、前記解析第1段階後の新しいモデルの初期値として設定する第1ステップ、
前記解析第1段階の第3ステップにて得られたいずれか一方の層の膜厚(d1(best) またはd2(best) )を中心値として、そのまわりの複数点ごとに、もう一方の層の膜厚(d2(best)またはd1(best))を変化させ最極小値計算法(BLMC:Best Local Minimum Calculation)を用いてフィッティングを行う第2ステップ、および
前記複数点ごとの最極小値計算法(BLMC:Best Local Minimum Calculation)を用いて行ったフィッティングの結果から最低の平均二乗誤差(χ2)の値をもつモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、分散式パラメータ、入射角のそれぞれ最大、最小値の中に入っている平均二乗誤差(χ2 )の値が最も低いモデルを選択する第3ステップ
から成る解析第2段階と、
解析第2段階で選択されたモデルの複素屈折率及び膜厚を利用して最終的なフィッティングを行う第1ステップ、および
前記最終的なフィッティングで得られた結果の確認を行う第2ステップ
から成る解析第3段階と
から構成されている。
【0011】
本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法は、
上述した分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第2段階の第2ステップにおいて、前記いずれか一方の層は、2層構造中の材料において、光学定数がより分からない方の層とするものである。
【0012】
本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法は、
上述した分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第2段階の第2ステップにおいて、光学定数がより分かっている方の層の膜厚(d1(best) またはd2(best))を中心値として、その中心値の±10%までの範囲の中で変化させた膜厚ごとに、もう一方の層について最極小値計算法(BLMC:Best Local Minimum Calculation)を行う。
また、本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法は、
上述した分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第1段階の第1ステップは、1、2層どちらかの層が、複数の材料が混ざり合っている場合に、各材料の混合比(Vf1 ,Vf2)を利用し、有効媒質近似を用いてモデルをたてるものである。
【0013】
本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法は、
上述した分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第3段階の第1ステップにおいて、前記解析第2段階の第3ステップで選択したモデルの1、2層の光学定数を固定した1、2層目の膜厚のフィッティングまたは、モデルの1層の光学定数を固定した1、2層目の膜厚および2層目の光学定数のフィッティングを行うものである。
【0014】
本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法は、
上述した分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第3段階の第2ステップにおいて、フィッティングで得られた結果が、あらかじめ設定した膜厚と分散式パラメータでそれぞれの最大、最小値の間に入っているか否かを確認し、
入っていない場合は前記解析第1段階の第1ステップに戻り、極薄膜2層構造の基板の複素屈折率(N 0 (n 0 ,k 0 ))および各薄膜の材料(Mat 1 ,Mat 2 )の考えられる光学定数に係る複素屈折率(N 1 (n 1 ,k 1 )),(N 2 (n 2 ,k 2 ))、各層の膜厚(d 1 ,d 2 )を利用し、複数のモデルをたてて前記解析第1段階の第2ステップ以降を行うものである。
【0015】
本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法は、
計測対象の基板上の極薄膜2層構造を、入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトルΨE(λi)とΔE (λi )を得るΨE ,ΔE スペクトル測定段階と、
1,2層どちらかの層が、複数の材料が混ざり合っている場合、有効媒質近似を用いてモデルをたて、極薄膜2層構造の基板の複素屈折率(N0(n0 ,k0 ))および各薄膜の材料(Mat1 ,Mat2 )の考えられる複素屈折率(N1(n1 ,k1 )),(N2(n2 ,k2 ))、材料が混ざり合っている場合の各材料の混合比(Vf1,Vf2)、各層の膜厚(d1 ,d2 )を利用し、複数のモデルをたてる第1ステップ、
前記各モデルごとに前記測定スペクトルとのフィッティングを行う第2ステップ、および
前記各モデルごとのフィッティングの結果、最低の平均二乗誤差(χ2 )の値をもつモデルまたはあらかじめ設定した膜厚と混合比のそれぞれの最大、最小値の中に入っている平均二乗誤差(χ2 )の値の最も低いモデルに係る、膜厚(d1(best) ,d2(best) ),混合比Vf(best)を含む各層の値を得る第3ステップ
から成る解析第1段階と、
前記解析第1段階の第3ステップで得られた膜厚・混合比の値を、前記解析第1段階後の新しいモデルの初期値とし、未知の分散式が入っている他の層の前記解析第1段階の第3ステップで得られた膜厚の値を基に、予想される範囲内にある膜厚((d1±mΔd1 )または(d2 ±mΔd2 ))を設定し、もう一方の層の膜厚についても、前記解析第1段階で得られた膜厚の値を中心として、そのまわりの複数点((d2±mΔd2 )または(d1 ±mΔd1 ))を設定し、また、前記解析第1段階の第3ステップで得られた混合比の値を中心値として、そのまわりの複数点(Vf±mΔVf)を設定する第1ステップ、
混合比に係る複数点(Vf±mΔVf)と未知の分散式が入っている他の層のもう一方の層の膜厚に係る複数点((d2 ±mΔd2 )または(d1±mΔd1 ))との組み合わせのなかで、未知分散式が入っている他の層について最極小値計算法(BLMC:Best Local Minimum Calculation)を用いてフィッティングを行う第2ステップ、および
混合比と未知の分散式が入っている他の層のもう一方の層の膜厚との組み合わせごとに得られた結果の中から、最低の平均二乗誤差(χ2 )の値またはあらかじめ設定した膜厚、分散式パラメータ、混合比、入射角のそれぞれ最大、最小値の間に入っている最低の平均二乗誤差(χ2 )の値を持つ組み合わせのモデルを選択する第3ステップ
から成る解析第2段階と、
前記解析第2段階の第3ステップで選択されたモデルの複素屈折率及び膜厚を基に、両膜厚、混合比および、分散式のフィッティングまたは、両膜厚、混合比のフィッティングを行う第1ステップ、および
該第1ステップのフィッティングで得られた結果の確認を行う第2ステップ
から成る解析第3段階と
から構成されている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面等を参照して本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造データの解析方法の実施の形態を説明する。
図1は、本発明方法で使用するエリプソメータの構成を示す略図である。
なお測定の対象の試料 (サンプル) 4の一部を拡大して示してある。
【0017】
図1に示されている分光エリプソメータにより、後述する方法の分光測定データの獲得ステップが実行される。先ず、測定装置について簡単に説明する。Xeランプ1は、多数の波長成分を含む、いわゆる白色光源である。このXeランプ1の発光は光ファイバ2を介して偏光子3に導かれる。偏光子3により偏光された光は、測定対象であるサンプル4の表面に特定の入射角(例えばφ=75.00°)で入射させられる。サンプル4は後述する基板表面に2層に薄膜を形成した測定試料である。
サンプル4からの反射は、光弾性変調器(PEM)5を介して検光子6に導かれる。光弾性変調器(PEM)5により50kHzの周波数に位相変調されて、直線から楕円偏光までが作られる。そのため、数m秒の分解能でΨ,Δを決定することができる。検光子6の出力は光ファイバ7を介して分光器8に接続される。分光器8の出力データがデータ取込部9に取り込まれ、分光測定データの獲得ステップを終了する。なお、PEM5の位置は偏光子3の後か検光子6の前どちらでも可能とする。
【0018】
図2は、本発明による薄膜計測方法の実施形態を示す流れ図である。
図3は、前記実施形態における解析第1段階を示す詳細説明図である。
図4は、前記実施形態における解析第2段階を示す詳細説明図である。
図5は、前記実施形態における解析第3段階を示す詳細説明図である。
次の段落に本発明で用いる記号を一括して示す。
【0019】
(記号の定義)
Sub : 基板(物理定数は既知,バルクとして取り扱い可能)
Mat : 薄膜材料(物質の光学定数)
Matij: j 番目のモデルのi 層目の材料(同上)
d i : i 層目の膜厚
d i (best): フィッティングによって得られたi 層目の膜厚
dij: j 番目のモデルのi 層目の膜厚
dij(best): フィッティングで得たj 番目のモデルのi 層目の膜厚
X2 : 平均二乗誤差(χ2 )の値
X2(j) : j 番目のモデルにおける平均二乗誤差(χ2 )の値
Void : n=1,k=0の物質
Vf(ij) : j 番目のモデルのi 層目の混合比(Volume fraction)
Vf(ij)(best) : フィッティングで得られた j 番目のモデルのi 層目の混合比
【0020】
(フィッティングの結果のχ2 の意味)
N個の測定データ対Exp(i=1,2...,N)と前記モデルの対応するN個のモデルの計算データ対Mod(i=1,2...,N)とし、測定誤差は正規分布をするとし、標準偏差をσi とすると、平均二乗誤差(χ2 )は、次のようにして与えられる。
ここで、Pはパラメータの数である。χ2 が小さいということは測定結果とモデルの一致度が大きいということに他ならないから、複数のモデルについて比較するときに、χ2 の最も低いものがベストモデルということになる。
【0021】
(測定段階データ測定ステップ)
測定は図1に示す装置で測定を行う。計測対象4の基板表面の2層構造の薄膜(図中の拡大図を参照されたい)を、入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトルΨE ( λi ) とΔE ( λi ) を得るΨE ,ΔE スペクトルを測定する。
(測定段階データ保存ステップ)
前のステップで測定したデータを保存して比較の対象データとする(図2参照)。
【0022】
(解析第1段階ステップ1)
このステップで、基板の(N 0 (n0 ,k0 ))および各薄膜の材料(Mat1 ,Mat2 )の考えられる複素屈折率(N 1 (n1 ,k1 )),(N 2 (n2 ,k2 )),各層の膜厚(d1 ,d2 )を利用し、いくつかのモデルをたてる。
この実施例では、下記各モデル(1) 〜モデル(4) を設定したものとする。
図3の31が示す部分に前記各モデルを略図示してある。
モデル(1) は、基板(Sub)の上に第1層(Mat1 の光学定数,膜厚d11)と第2層(Mat2 の光学定数,膜厚d21)を形成したものである。
モデル(2) は、基板(Sub)の上に第1層(Mat1 の光学定数,膜厚d12)と第2層(Mat2 の光学定数+Void、膜厚d22)を形成したものである。なおVoidとは屈折率1の空間である。
モデル(3) は、基板(Sub)の上に第1層(Mat1 の光学定数,膜厚d13)と第2層(Mat2 の光学定数+Mat3 の光学定数、膜厚d23)を形成したものである。なお、(Mat2 +Mat3 )は、材料2と材料3をある比率で混合したものを意味する。
モデル(4) は、基板(Sub)の上に第1層(Mat1 の光学定数,膜厚d14)と第2層(Mat2 の光学定数の基準にする量(Special reference) +Void、膜厚d24)を形成したものである。なお、基準にする量とは似たような試料を用いて得られた光学定数である。
ここで、モデル(2) 〜(4) の2層目で設定されている混合比からは、有効媒質近似論を用いて、均質膜としての光学定数を求めることができる。なお前記各モデルは、基板Subの材料の光学定数は既知、第1層の光学定数は、ほぼ既知で、第2層の光学定数および、第1層の膜厚d1 、第2層の膜厚d2 は、未知(不確か)であることを前提にして前述の4個のモデルをたててある。
【0023】
(解析第1段階ステップ2)
前記ステップ1で選定した4個のモデル(1) 〜(4) のそれぞれについて、前記測定スペクトルより得られた測定データΨE ,ΔE とのフィッティングを行う。
図3の32の示す部分に各モデルのフィッティングの対象とフィッティングの結果得られたデータのχ2 値を示してある。
モデル(1) では、第1層目の膜厚d11と第2層目の膜厚d21をフィッティングして、その結果d11(best),d21(best)とχ2 値 X2 (1) を得る。
モデル(2) では、第1層目の膜厚d12,第2層目の膜厚d22と第2層目の混合比のフィッティングをして、その結果d12(best),d22(best),Vf22(best)およびχ2 値 X2 (2) を得る。
モデル(3) では、第1層目の膜厚d13,第2層目の膜厚d23と第2層目の混合比のフィッティングをして、その結果d13(best),d23(best),Vf23(best)およびχ2 値 X2 (3) を得る。
モデル(4) では、第1層目の膜厚d14,第2層目の膜厚d24と第2層目の混合比のフィッティングをして、その結果d14(best),d24(best),Vf24(best)およびχ2 値 X2 (4) を得る。
(解析第1段階ステップ3)
前記複数組のフィッティングの結果から、最低χ2 値またはあらかじめ設定した膜厚の最大、最小値の間に入っている最低χ2 値のモデルの結果を選択するステップであり、これを図3の33に示す。
【0024】
(解析第2段階ステップ1)
図4の41に解析第2段階で使用するモデル(初期値)が示されている。
この例では、Mat1 の光学定数は、ほぼ既知となっているので、解析第1段階で使用した光学定数(Mat1 )をそのまま利用している。2層目の材料の光学定数(Mat2 )は未知のため、ここでは分散式を用いている。なお、膜厚(d)の初期値は、解析第1段階ステップ3で得られた値を使用する。
(解析第2段階ステップ2)
このステップでは、図4の42に示すように、前記モデル(初期値)の1層目膜厚(d1(best) )を中心値としてd1(best) +10%,d1(best) + 5%,d1(best) ,d1(best) −5%,d1(best) −10%上下に変化させる。そして前記複数点(5点)に対して2層目の厚さ(d2(best) )を±10%の範囲で変化させてBLMCを行う。
各モデルの2層目の厚さd2jと光学定数Mat2jとχ2 値 X2 (j) を得る。
(解析第2段階ステップ3)
ステップ2で行われた結果から最低χ2 値またはあらかじめ設定した膜厚と分散式パラメータでそれぞれの最大、最小値の間に入っている最低χ2 値のモデルを選択する(図3、43)。
【0025】
(解析第3段階ステップ1)
解析第2段階ステップ3で選択したモデルの1,2層の光学定数を固定して1,2層目の膜厚のフィッティングを行う。または
1層の光学定数を固定して1,2層目の膜厚および2層目の光学定数をフィッティングする(図5、51参照)。
(解析第3段階ステップ2)
前記ステップ1の結果があらかじめ設定した膜厚と分散式パラメータでそれぞれの最大、最小値の間に入っている最低χ2 値かどうかの確認をする(図5、52参照)。なお、結果の確認が妥当でないときは解析第1段階に戻り、新しいモデルを設定して、フィッティング(ステップ2)を行う。
(解析第3段階ステップ3)
前記ステップ2で結果が妥当であるときは保存する(図5、53参照)。
【0026】
【実施例】
次に、前記同様に、1層目の光学定数は略既知、2層目の光学定数および1,2層目の膜厚が、未知の場合の実施例について説明する。図2に示した流れ図をそのまま使用することができる。この実施例は、基板SubがSiで、1層目の材料をSiO2, 2層目の材料を SiNX としたものである。
前記試料を図1に示す装置で測定を行う。計測対象4の基板表面の2層構造の薄膜を、入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトルΨE ( λi ) とΔE ( λi ) を得るΨE ,ΔE スペクトルを測定して測定したデータを保存して比較の対象データとする。
【0027】
図3の解析第1段階で、各薄膜の材料(SiO2 , SiNx )の考えられる複素屈折率(N 1 (n1 ,k1 )),(N 2 (n2 ,k2 ))と膜厚(d1 ,d2 )を利用し、モデルを準備する。この実施例では、下記各モデル(1) 〜モデル(4) を設定したものとする。
【0028】
(解析第1段階ステップ1)
モデル(1) は、基板(Sub:Si)の上に第1層( SiO2の光学定数、膜厚d11) と第2層(Si3N4 の光学定数,膜厚d21)を形成したものである。
モデル(2) は、基板(Sub:Si)の上に第1層( SiO2の光学定数、膜厚d12) と第2層( Si3N4 の光学定数+Void、膜厚d22 )を形成したものである。なおVoidとは屈折率1の空間である。
モデル(3) は、基板(Sub:Si)の上に第1層( SiO2の光学定数、膜厚d13) と第2層( Si3N4 の光学定数+ SiNX の光学定数、膜厚d23) を形成したものである。
なお、(Si3N4 +SiNx)は、Si3N4 とSiNxをある比率で混合したものを意味する。
モデル(4) は、基板(Sub:Si)の上に第1層(SiO2の光学定数、膜厚d14)と第2層( SiNx の光学定数(既知の基準量)+Void、膜厚d24 )を形成したものである。ここで、モデル(2) 〜(4) の2層目で設定されている混合比からは、有効媒質近似論を用いて、均質膜としての光学定数を求めることができる。なお前記各モデルは、基板Subの材料の光学定数は既知、第1層のSiO2の光学定数は、ほぼ既知で、第2層のSiNxの光学定数および、第1層の膜厚d1,第2層の膜厚d2 は、未知(不確か)であることを前提にしている。
【0029】
(解析第1段階ステップ2)
前記ステップ1で選定した4個のモデル(1) 〜(4) のそれぞれについて、前記測定スペクトルより得られた測定データΨE ,ΔE とのフィッティングを行う。
図3の31,32の示す部分に各モデルのフィッティングの対象とフィッティングの結果得られたデータのχ2 値を示してある。
モデル(1) では、第1層目の膜厚d11と第2層目の膜厚d21をフィッティングしてその結果d11(best)、d21(best)とχ2 値 X2 (1) を得る。
モデル(2) では、第1層目の膜厚d12、第2層目の膜厚d22と第2層目の混合比のフィッティングしてその結果d12(best)、d22(best)、Vf22(best)およびχ2 値 X2 (2) を得る。
モデル(3) では、第1層目の膜厚d13、第2層目の膜厚d23と第2層目の混合比のフィッティングしてその結果d13(best)、d23(best)、Vf23(best)およびχ2 値 X2 (3) を得る。
モデル(4) では、第1層目の膜厚d14、第2層目の膜厚d24と第2層目の混合比のフィッティングしてその結果d14(best)、d24(best)、Vf24(best)およびχ2 値 X2 (4) を得る。
【0030】
(解析第1段階ステップ3)
前記複数組のフィッティングの結果から、最低χ2 値またはあらかじめ設定した膜厚の最大、最小値の間に入っている最低χ2 値のモデルの結果を選択するステップであり、これを図3の33に示す。
【0031】
(解析第2段階ステップ1)〜(解析第3段階ステップ3)は前述したとおりである。
【0032】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、基板上に形成された極薄膜2層の厚さと光学定数を、分光エリプソメータを用いて得たデータを、広範囲最極小値計算法(Extended BLMC)を用いて処理することにより解析することができる。
前述したように基本的に3段階が含まれている手順は、2層以上の様々な構造の解析にも利用できる。
【0033】
本発明方法によれば、
1.極薄膜多層構造でも、この方法を用いることで信頼できる膜厚(各層において)および光学定数(少なくとも1層)が得られる。
2.この手順の第1段階を行うことで、未知のパラメータの初期値範囲を狭めることができる。
3.Extended BLMCを使用することで、好ましくないローカルミニマム(Local Minimum)に落ちこむことは劇的に減少し、結果の信頼性があがる。
【0034】
以上詳しく説明した実施例について、本発明の範囲内で種々の変形を施すことができる。理解を容易にするために、データの取得、モデルの設定に関連して、一貫してΨ,Δを用いて説明した。当業者には良く知られている以下のデータ対を用いても同様な、測定およびフィッティングが可能であり、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
(n,k) (εr ,εi ) ( tan Ψ,cos Δ) 、 (Is,Ic )
【0035】
基板上のMat1 ,Mat2 には、極薄膜誘電体材料多層構造だけでなく、様々な厚さや材料など、幅広いアプリケーションにも使用することができる。また、実施例として光弾性変調器(PEM)の例を示したが、PEM以外のエリプソメータを使用することもできる。
【0036】
上記手段の全部または1部を行う場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0037】
基板もSiの他、ガラスや石英、化合物半導体なども同様に利用できる。また、基板の種類によらず、どんな平坦な基板でも、あれている基板でも使用することができる。
【0038】
分散式には、クラシカル(古典力学)、アモルファス(量子力学)、経験式の他、様々な式・パラメータも使用可能であり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0039】
例ではあらゆる全てのパラメータを同時にフィッティングすると説明したが、別々にフィッティングする場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0040】
Extended BLMCの一部であるBLMCでは、前述したとおり、入射角度をフィッティングする場合がある。また、手順では入射角度と様々なパラメータを同時にフィッティングするとしたが、別々にフィッティングする場合や、入射角度を固定する場合もあり、これらも全て本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0041】
入射角度はBLMC以外でも、一般的なパラメータとしてフィッティングすることがあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0042】
例では、解析第1段階第1ステップのモデル準備過程において、基板はSi、第1層目はSiO2、第2層目は(1) Si3N4 、(2) Si3N4 とVoid、(3) Si3N4 と SiNX 、および(4) SiNx とVoidの(1) 〜(4) のモデルとしたが、製造プロセスになどによってモデルの種類、数が変わる場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0043】
上記のように、2ステップが含まれている手順は、2層以上の様々な構造にも対応可能である。
【0044】
例ではEMAを使用すると説明したが、他の有効媒質近似論の使用も可能であり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法で使用するエリプソメータの構成を示す略図であり、測定の対象の試料 (サンプル) 4の一部を拡大して示してある。
【図2】 本発明による薄膜計測方法の実施形態を示す流れ図である。
【図3】 前記実施形態における解析第1段階を示す詳細説明図である。
【図4】 前記実施形態における解析第2段階を示す詳細説明図である。
【図5】 前記実施形態における解析第3段階を示す詳細説明図である。
【符号の説明】
1 Xeランプ
2 光ファイバ
3 偏光子
4 サンプル
5 光弾性変調器(PEM)
6 検光子
7 光ファイバ
8 分光器
9 データ取込部
31 モデル複数組を準備する解析第1段階第1ステップ
32 フィッティングを行う解析第1段階第2ステップ
33 フィッティングの結果から、最低の平均二乗誤差(χ 2 )の値のモデルの結果を選択する解析第1段階第3ステップ
41 33で得られた結果を新しいモデルの初期値として設定する解析第2段階第1ステップ
42 一方の層の膜厚複数点ごとに、もう一方の層についてBLMCを行う解析第2段階第2ステップ
43 前記フィッティング結果から最低の平均二乗誤差(χ 2 )の値のモデルを選択する解析第2段階第3ステップ
51 前記選択されたモデルの最終フィッティングを行う解析第3段階第1ステップ
52 結果の確認を行う解析第3段階第2ステップ
53 保存を行う解析第3段階第3ステップ
Claims (7)
- 計測対象の基板上の極薄膜2層構造を、分光エリプソメータにより入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトルΨE(λi)とΔE (λi )を得るΨE ,ΔE スペクトル測定段階と、極薄膜2層構造の基板の複素屈折率(N0(n0,k0 ))および各薄膜の材料(Mat1,Mat2)の考えられる光学定数に係る複素屈折率(N1(n1,k1 )),(N2 (n2 ,k2 ))、各層の膜厚(d1,d2)を利用し、複数のモデルをたてる第1ステップ、
前記各モデルごとに前記測定スペクトルとのフィッティングを行って平均二乗誤差(χ2 )を得る第2ステップ、および
前記各モデルごとのフィッティングの結果、最低の平均二乗誤差(χ2 )の 値をもつモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚の最大、最小値の中に入っている平均二乗誤差(χ2 )の値が最も低いモデルを選択し、膜厚(d1(best) ,d2(best) )を含むそのモデルに係る各層の値を得る第3ステップ
から成る解析第1段階と、
解析第1段階で得られた値を、前記解析第1段階後の新しいモデルの初期値として設定する第1ステップ、
前記解析第1段階の第3ステップにて得られたいずれか一方の層の膜厚(d1(best) またはd2(best) )を中心値として、そのまわりの複数点ごとに、もう一方の層の膜厚(d2(best)またはd1(best))を変化させ最極小値計算法(BLMC:Best Local Minimum Calculation)を用いてフィッティングを行う第2ステップ、および
前記複数点ごとの最極小値計算法(BLMC:Best Local Minimum Calculation)を用いて行ったフィッティングの結果から最低の平均二乗誤差(χ2)の値をもつモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、分散式パラメータ、入射角のそれぞれ最大、最小値の中に入っている平均二乗誤差(χ2 )の値が最も低いモデルを選択する第3ステップ
から成る解析第2段階と、
解析第2段階で選択されたモデルの複素屈折率及び膜厚を利用して最終的なフィッティングを行う第1ステップ、および
前記最終的なフィッティングで得られた結果の確認を行う第2ステップ
から成る解析第3段階と
から構成された分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法。 - 請求項1記載の分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第2段階の第2ステップにおいて、前記いずれか一方の層は、2層構造中の材料において、光学定数がより分からない方の層とする分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法。 - 請求項1または2記載の分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第2段階の第2ステップにおいて、光学定数がより分かっている方の層の膜厚(d1(best) またはd2(best) )を中心値として、その中心値の±10%までの範囲の中で変化させた膜厚ごとに、もう一方の層について最極小値計算法(BLMC:Best Local Minimum Calculation)を行う分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第1段階の第1ステップは、1、2層どちらかの層が、複数の材料が混ざり合っている場合に、各材料の混合比(Vf1 ,Vf2)を利用し、有効媒質近似を用いてモデルをたてる分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第3段階の第1ステップにおいて、前記解析第2段階の第3ステップで選択したモデルの1、2層の光学定数を固定した1、2層目の膜厚のフィッティングまたは、モデルの1層の光学定数を固定した1、2層目の膜厚および2層目の光学定数のフィッティングを行う分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法において、
前記解析第3段階の第2ステップにおいて、フィッティングで得られた結果が、あらかじめ設定した膜厚と分散式パラメータでそれぞれの最大、最小値の間に入っているか否かを確認し、
入っていない場合は前記解析第1段階の第1ステップに戻り、極薄膜2層構造の基板の複素屈折率(N0 (n0 ,k0))および各薄膜の材料(Mat1,Mat2)の考えられる光学定数に係る複素屈折率(N1(n1 ,k1)),(N2 (n2 ,k2 ))、各層の膜厚(d1,d2 )を利用し、複数のモデルをたてて前記解析第1段階の第2ステップ以降を行う分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法。 - 計測対象の基板上の極薄膜2層構造を、入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化である測定スペクトルΨE(λi)とΔE (λi )を得るΨE ,ΔE スペクトル測定段階と、
1,2層どちらかの層が、複数の材料が混ざり合っている場合、有効媒質近似を用いてモデルをたて、極薄膜2層構造の基板の複素屈折率(N0(n0 ,k0 ))および各薄膜の材料(Mat1 ,Mat2 )の考えられる複素屈折率(N1(n1 ,k1 )),(N2(n2 ,k2 ))、材料が混ざり合っている場合の各材料の混合比(Vf1,Vf2)、各層の膜厚(d1 ,d2 )を利用し、複数のモデルをたてる第1ステップ、
前記各モデルごとに前記測定スペクトルとのフィッティングを行う第2ステップ、および
前記各モデルごとのフィッティングの結果、最低の平均二乗誤差(χ2 )の値をもつモデルまたはあらかじめ設定した膜厚と混合比のそれぞれの最大、最小値の中に入っている平均二乗誤差(χ2 )の値の最も低いモデルに係る、膜厚(d1(best) ,d2(best) ),混合比Vf(best)を含む各層の値を得る第3ステップ
から成る解析第1段階と、
前記解析第1段階の第3ステップで得られた膜厚・混合比の値を、前記解析第1段階後の新しいモデルの初期値とし、未知の分散式が入っている他の層の前記解析第1段階の第3ステップで得られた膜厚の値を基に、予想される範囲内にある膜厚((d1±mΔd1 )または(d2 ±mΔd2 ))を設定し、もう一方の層の膜厚についても、前記解析第1段階で得られた膜厚の値を中心として、そのまわりの複数点((d2±mΔd2 )または(d1 ±mΔd1 ))を設定し、また、前記解析第1段階の第3ステップで得られた混合比の値を中心値として、そのまわりの複数点(Vf±mΔVf)を設定する第1ステップ、
混合比に係る複数点(Vf±mΔVf)と未知の分散式が入っている他の層のもう一方の層の膜厚に係る複数点((d2 ±mΔd2 )または(d1±mΔd1 ))との組み合わせのなかで、未知分散式が入っている他の層について最極小値計算法(BLMC:Best Local Minimum Calculation)を用いてフィッティングを行う第2ステップ、および
混合比と未知の分散式が入っている他の層のもう一方の層の膜厚との組み合わせごとに得られた結果の中から、最低の平均二乗誤差(χ2 )の値またはあらかじめ設定した膜厚、分散式パラメータ、混合比、入射角のそれぞれ最大、最小値の間に入っている最低の平均二乗誤差(χ2 )の値を持つ組み合わせのモデルを選択する第3ステップ
から成る解析第2段階と、
前記解析第2段階の第3ステップで選択されたモデルの複素屈折率及び膜厚を基に、両膜厚、混合比および、分散式のフィッティングまたは、両膜厚、混合比のフィッティングを行う第1ステップ、および
該第1ステップのフィッティングで得られた結果の確認を行う第2ステップ
から成る解析第3段階と
から構成された分光エリプソメータを用いた極薄膜2層構造の解析方法。
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