JP4136740B2 - 分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法 - Google Patents

分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学定数が等しい第1層と第3層で光学定数が異なる第2層をサンドイッチした極薄膜3層構造を分光エリプソメータを用いて取得したデータにより解析する極薄膜3層構造の解析方法。
さらに詳しくいえば、本発明は、極薄膜3層構造、例えばシリコン基板上に形成された、二酸化珪素にサンドイッチされた窒化珪素よりなる極薄膜3層構造(以下ONO(Oxide/Nitride/Oxide)構造)等に適用できる極薄膜3層構造の解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分光エリプソメータとは、偏光した光を試料にあて、そこから返ってきた光の偏光変化量を測定する装置である。分光エリプソメータを用いて入射光と反射光の偏光変化量を測定し、その結果から周囲と基板の複素屈折率を既知とすると、膜厚(d)、膜の複素屈折率(N=n−ik)を算出することができる(基板のみの場合は基板の複素屈折率 (N0)を算出)。偏光変化量(ρ)はρ=tanψexp(iΔ)で表され、波長(λ)、入射角度(φ)、膜厚、膜・基板・周囲の複素屈折率等のパラメータに依存する。測定した偏光変化量から興味のある膜の膜厚や複素屈折率は次のように求めることができる。
(d,n,k)=F(ρ)=F(Ψ(λ,φ),Δ(λ,φ))
【0003】
入射角度を固定した場合、単一波長エリプソメータでは、(d,n,k)の3つの未知数に対し、2つの独立変数しか測定できないので、d,n,kの内のいずれか1つを既知として固定する必要がある。単一波長でも入射角度を変えると測定変数は増加する。しかしながら、入射角度(φ)の違いによる(Ψ(φi ),Δ(φi ) )対の中に強い相関関係があるため、d,n,kを精度良く求めることは難しい。
【0004】
分光エリプソメータを用いて測定された基板上に形成された単層および多層薄膜の偏光変化を表している測定スペクトル(ΨE ( λi ) とΔE ( λi ) )は、前記基板のn,k情報、各層のd,n,kの情報の全てを含んでいるが、これから、前記基板のn,k情報、各層のd,n,kの情報の唯一の組み合わせを算出することはできない(基板のみの場合を除く)。この前記唯一の組み合わせを探す方法は、分光エリプソメータデータの解析と呼ばれる。解析を行うときは、前記基板のn,k情報、各層のd,n,kの情報を利用してモデルをたてる。この中の基板や各層のn,k情報には、リファレンス(既知のテーブルデータ)や分散式、または似たような材質の単層薄膜の光学定数を使用する。
分散式とは、物質の誘電率の波長依存性を示す式であり、近赤外から紫外線領域では、この誘電率ε(λ)は材料の構成原子の結合様式から決定される。分散式として、調和振動子をもとにした計算式、量子力学をもとにした計算式、経験式等が知られており、通常2つ以上のパラメータを含んでいる。前述したモデルに含まれているすべての未知数(各層の厚さや、分散式パラメータ、混合比など)を変化させながら、測定データにあわせていく。これをフィッティングといい、このフィッティングの結果、各層の膜厚や混合比などが求まり、分散式パラメータからは、材料の複素誘電率ε(λ)を計算することができる。材料の複素誘電率と複素屈折率は下記の関係にある。
ε(λ)=N2 (λ)
【0005】
なお、ここで、本発明方法で頻繁に使用するフィッティングについて簡単に説明しておく。
(フィッティングの結果のχ2 の意味)
N個の測定データ対、Exp(i=1,2...,N)と前記モデルの対応するN個のモデルの計算データ対、Mod(i=1,2...,N)とし、測定誤差は正規分布をするとし、標準偏差をσi とすると、平均二乗誤差(χ2 )は、次のようにして与えられる。
Figure 0004136740
ここで、Pは、パラメータの数である。χ2 が小さいということは測定結果とモデルの一致度が大きいということに他ならないから、複数のモデルについて比較するときに、χ2 の最も低いものがベストモデルということになる。
【0006】
前述した測定試料が基板上に膜が1層ついているサンプルの場合、偏光変化量は、位相角(β)×ビーム径の面積に比例する。位相角(β)(Film Phase Thickness )は次の式で表される。
β=2π(d/λ)(N2 −NA 2 sin2 φ)1/2
ビーム径が一定とすると偏光変化量は次のようになる。
偏光変化量∝膜厚(d)×f(NA ,N0 ,N,φ)
ここで、NA は周囲 (Ambient)の複素屈折率、N0 は基板の複素屈折率、Nは膜の複素屈折率、φは入射角である。なお、NA は通常周囲の空気の複素屈折率であるから、以下の実施例では特に言及しない。前述した式のとおり、入射角の正しさによって、偏光変化量の値も変わる。したがって、何らかの方法で入射角を正しく求める必要がある。正しい入射角度が決定できることにより偏光変化量の値も正しく求めることが可能となる。
膜厚(d)が薄く、複素屈折率(N)が低ければ、位相角(β)の変化が小さくなり、測定が困難になる可能性が出てくる。明確に言うと、dとNの間に相関関係が強くなる。
前述した問題は、極薄膜多層構造の場合、上記にさらに各層の間に相関関係が発生する可能性があり、偏光変化量を表している測定結果(ΨE ( λi ) ,ΔE ( λi ) )から、各層のd,n,kを求めることが困難となる。
極薄膜3層構造として最近様々なデバイスに使用されているONO(Oxide / Nitride / Oxide )膜は、特に難しいケースである。第1,3層目の光学定数はほぼ同一しているため、第1層目のOxide と第3層目のOxide の両膜厚に強い相関関係が発生する。よって、Oxide の合計膜厚は見当をつけることができるが、それぞれの層の膜厚を正確に見分けることは非常に困難となる。
さらに、2層目の光学定数を正しく決定できるかどうかによって、第1,2,3層目それぞれの膜厚や、これらの合計膜厚にも影響する。よって、2層目の光学定数を正しく求めることが必要となる。
【0007】
本発明では、様々な理由により1つの分散式では膜の誘電率の波長依存性を特定できないかまたは困難な場合についても問題にして、有効媒質論(Effective Medium Theory)を利用して、有効誘電率(Effective Dielectric Function) を計算する。
一般的に、例えばホスト材料中に様々な誘電率を持つN個の物質(ゲスト)が混ざり合っている場合、有効誘電率(ε)は、下記の様に表される。
Figure 0004136740
この時εh はホストの誘電率を、εj はj個目の誘電率を、kはスクリーニングファクターを示している。ここで、ホストの材料と、中に入っている材料がほぼ同じ量で混ざり合っているか、またはどちらがホストかゲストか分からない場合、ホストの材料自身が有効媒質材料と同じε=εh になる。この条件の有効媒質論をブラッグマンの有効媒質近似(Bruggeman Effective Medium Approximation以下、本願において単にEMA)と呼ばれている。3つの球状物質a,b,cが対照的に混在しているときの誘電率εは次の式で与えられる。
a (εa −ε)/(εa +2ε)+fb (εb −ε)/(εb +2ε)+fc (εc −ε)/(εc +2ε)=0
ここで、
ε : 求めようとする有効誘電率
εa , εb , εc : 球状物質a,b,cの誘電率
a , fb , fc : 各物質の混合比(Volume Fraction 以下Vf)で、
a +fb +fc =1
基板上の膜が不均一または不連続や、いくつかの材料が混ざり合っている場合、波長オーダーより十分小さく、物理的に混合している複数の物質から成る媒質については、有効媒質近似(EMA)を利用してモデルをたてる。
物質aと物質bと物質cが混合している場合について説明する。このときの有効媒質近似(EMA)は、物質aの混合比、物質bの混合比、物質cの混合比、aとbとcの混合層の膜厚、誘電率には分散式やリファレンスデータなどを推定してフィッティングを行い、評価する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本件出願人等は、一般的な薄膜3層構造の解析方法についてすでに提案をしている。今回は特殊な構造を持つ極薄膜3層構造に注目する。ここで言う特殊な構造を持つ極薄膜3層構造とは、基板上に第1層に物質1、第2層に物質2、第3層に物質1または物質1に近い物質からなる極薄膜3層構造である。第1,3層目の光学定数はほぼ同一しているため、第1層目の物質1と第3層目の物質1の両膜厚に強い相関関係が発生する。よって、物質1の合計膜厚は見当をつけることができるが、それぞれの層の膜厚を正確に見分けることは非常に困難となる。さらに、2層目の光学定数を正しく決定できるかどうかによって、第1,2,3層目それぞれの膜厚や、これらの合計膜厚にも影響する。よって、2層目の光学定数を正しく求めることが必要となる。
例として、最近様々なデバイスに使用されているONO(Oxide/Nitride/Oxide)膜があげられる。
この特殊な構造の解析方法を提案する。層間に特定の関係がある場合には、その関係を考慮することで、一般的な3層構造の解析よりも、より早く、より正確に構造を解析することができる可能性に着目した。
【0009】
本発明では、BLMC (Best Local Minimum Calculation) とEBLMC (Extended Best Local Minimum Calculation )という計算方法を多用するから、これを簡単に定義してBLMCとEBLMCという略語を直接用いることにする。
BLMCとは、一つの層に対して行う方法である。任意のパラメータの初期値を一定の範囲内で変えながら、決まった手順でフィッティングを行い、最良な結果を決定する。
EBLMCとは、複数の層に対して行う方法である。BLMCを行う以外の層の、任意のパラメータをその中心値および付近の複数点にわたり選択して各点についてBLMCを行い、最良な結果を決定する。
【0010】
本発明の目的は、分光エリプソメータを用いて取得したデータを用い、さらにその測定対象の特徴を考慮して、極薄膜3層構造を解析する方法を提供することにある。
本発明のさらに詳細な目的は、第1層と第3層が共通する光学定数を持つ極薄膜3層構造を解析する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した通り、膜厚(d)が薄く、複素屈折率が(N)が低ければ、位相差(β)の変化が小さくなり、測定が困難になる可能性が出てくる。明確に言うと、dとNの間に相関関係が強くなる。
ONOの場合、第1,3層目の光学定数がほぼ同一しているため、第1層目のOxide と第3層目のOxide の両膜厚に強い相関関係が発生する。よってOxide の合計膜厚はほぼ見当をつけることができるが、それぞれの層の膜厚を正確に見分けることは非常に困難となる。さらに、2層目の光学定数を正しく決定できるかどうかによって、第1,2,3層目それぞれの膜厚や、これらの合計膜厚にも影響する。よって、2層目の光学定数を正しく求めることが必要となる。
本件ケース2の場合、第1層目の膜厚がほぼ既知だが、第2,3層目の膜厚はそれぞれ極薄膜としては広い膜厚範囲(0〜100オングストローム)の可能性がある。
一般に、若干屈折率の低い絶縁体はそれよりも屈折率の高い絶縁体にVoid(空気)を混ぜて表すことができる。ケース2の場合、「未知のパラメータ数を減らすため」および「2,3層間の相関関係を防ぐため」に3層目の光学定数を前述のとおり2層目の光学定数にVoidを合わせた近似光学定数の形で利用する。
解析フェーズ2ステップ2が終了した後、この近似光学定数を1層目の光学定数と同じものに戻す。
【0012】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、基板上の薄膜3層のうち第1層と第3層がともに共通する光学定数(Mat1 )を含み第2層が異なる光学定数(Mat2 )である場合の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法であって、分光エリプソメータを用いて測定データを得る分光測定フェーズと、既知の情報をもとに複数のモデルに係るケースの中から一のケースを選択するケース決定フェーズと、選択されたケースに対する複数のモデルの中から薄膜3層構造のフェーズ1モデルを決定する解析フェーズ1と、該解析フェーズ1により決定したフェーズ1モデルについて、各層の光学定数や膜厚などを決定する解析フェーズ2から構成され、前記ケース決定フェーズでは、少なくとも下記ケース1ないし3の何れか一つのケースを含むことを特徴とする
ケース1:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1層は既知であり、第2、第3層は略既知であり、膜の光学定数については、既知または略既知である。
ケース2:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1層はほぼ既知であり、第2、第3層は未知であり、膜の光学定数については、既知または略既知である。ただし、1層目の光学定数は2層目の光学定数より低いことを前提として使用する。
ケース3:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1、第2、第3層ともに未知であり、膜の光学定数については、第1、第3層は既知、第2層は未知である。
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、基板上の薄膜3層のうち第1層と第3層がともに共通する光学定数(Mat 1 )を含み第2層が異なる光学定数(Mat 2 )である場合の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法であって、分光エリプソメータを用いて測定データを得る分光測定フェーズと、すでに分かっている情報をもとに複数のモデルに係るケースの中から一のケースを選択するケース決定フェーズと、選択されたケースに対する複数のモデルの中から薄膜3層構造のフェーズ1モデルを決定する解析フェーズ1と、フェーズ1モデルについて、各層の光学定数や膜厚を決定する解析フェーズ2と、前記解析フェーズ2で得られたモデルについてフィッティングを行う解析フェーズ3とから構成され、前記ケース決定フェーズでは、少なくとも下記ケース1ないし3の何れか一つのケースを含むことを特徴とする
ケース1:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1層は既知であり、第2、第3層は略既知であり、膜の光学定数については、既知または略既知である。
ケース2:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1層はほぼ既知であり、第2、第3層は未知であり、膜の光学定数については、既知または略既知である。ただし、1層目の光学定数は2層目の光学定数より低いことを前提として使用する。
ケース3:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1、第2、第3層ともに未知であり、膜の光学定数については、第1、第3層は既知、第2層は未知である。
【0013】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記分光測定フェーズは、計測対象の基板上の薄膜3層構造について、入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化を表している測定スペクトルΨE(λi)とΔE (λi )を得る、ΨE 、ΔE スペクトル測定ステップと、前記測定で得たデータを保存する保存ステップとを含むことを特徴とする
【0014】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記ケース1が選択された場合において、前記解析フェーズ1は、複数のモデルからフィッティングにより選択する1つの最良近似モデル(Best First Approximation Model 以下BFAM)、または既知のデータから仮定した初期モデルをフェーズ1モデルとして決定するフェーズであり、前記BFAMをフェーズ1モデルとして決定することに対して、ケース1の範囲で各層の光学定数・膜厚、第2,3層の混合比および入射角度の組み合わせの異なる複数のモデルを準備するステップ1と、各モデルについて膜厚や混合比、入射角度フィッティングを行い、各モデルごと平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差のモデルを選択するステップ2と、前記選択されたモデルの中で、平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差のモデルを選択するステップ3とを含み、前記解析フェーズ2は、前記解析フェーズ1のステップ3で選択されたモデルにおいて、2層目の未知な材料層を1つの分散式に置きかえるステップ1と、3層目の膜厚や混合比などを複数点にわたり選択して各点について2層目についてBLMCを用いて平均二乗誤差を算出するステップ2と、前記ステップ2の結果から平均二乗誤差値の最も低いモデルまたはあらかじめ設定した膜厚や混合比、分散式パラメータ、入射角度最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選択するステップ3とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記ケース1が選択された場合、前記解析フェーズ1は、複数のモデルからフィッティングにより選択する1つの最良近似モデル(Best First Approximation Model 以下BFAM)、または既知のデータから仮定した初期モデルをフェーズ1モデルとして決定するフェーズであり、前記BFAMをフェーズ1モデルとして決定することに対して、ケース1の範囲で各層の光学定数・膜厚、第2,3層の混合比および入射角度の組み合わせの異なる複数のモデルを準備するステップ1と、各モデルについて膜厚や混合比、入射角度フィッティングを行い、各モデルごと平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差のモデルを選択するステップ2と、前記選択されたモデルの中で、平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差のモデルを選択するステップ3とを含み、前記解析フェーズ2は、前記最良モデルにおいて、2層目の未知な材料層を1つの分散式に置きかえるステップ1と、3層目の膜厚や混合比などを複数点にわたり選択して各点について2層目についてBLMCを用いて平均二乗誤差を算出するステップ2と、前記ステップ2の結果から平均二乗誤差値の最も低いモデルまたはあらかじめ設定した膜厚や混合比、分散式パラメータ、入射角度最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選択するステップ3とを含み、前記解析フェーズ3は、前記解析フェーズ2で得られたモデルについて最終フィッティングを行うステップ1と、前記モデルの結果があらかじめ設定された範囲内であるかないかを判定するステップ2と、前記判定結果があらかじめ設定された範囲内にあるときには結果を保存するステップ3とを含み、前記ステップ2で、前記モデルの結果があらかじめ設定された範囲内にない場合、前記解析フェーズ1へ戻って解析フェーズ1以降の処理を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記ケース2が選択された場合において、薄膜3層構造の3層目に混合比を設定した初期モデルを決定する解析フェーズ1と、前記初期モデルについて3層目の混合比を変えた複数のモデルについて、各モデルの2,3層目の膜厚、2層目の光学定数、および入射角度についてフィッティングを行うステップ1と、前記ステップ1の結果から、平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選定するステップ2と、前記選定されたモデルについて、3層目の未知定数を1層目とほぼ同じ光学定数に置きかえるステップ3からなる解析フェーズ2とから構成されたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記ケース2が選択された場合において、薄膜3層構造の3層目に混合比を設定した初期モデルを決定する解析フェーズ1と、前記初期モデルについて3層目の混合比を変えた複数のモデルについて、各モデルの2,3層目の膜厚、2層目の光学定数、および入射角度についてフィッティングを行うステップ1と、前記ステップ1の結果から、平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選定するステップ2と、前記選定されたモデルについて、3層目の未知定数を1層目とほぼ同じ光学定数に置きかえるステップ3からなる解析フェーズ2と前記解析フェーズ2で得られたモデルについて最終フィッティングを行うステップ1と、前記モデルの結果があらかじめ設定された範囲内であるかないかを判定し、範囲外であれば解析フェーズ1に戻るステップ2と、前記判定結果があらかじめ設定された範囲内にあるときには結果を保存するステップ3とからなる解析フェーズ3とから構成されたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記ケース3が選択された場合において、薄膜3層構造の初期モデルを決定する解析フェーズ1と、前記解析フェーズ1で決定されたフェーズ1モデルの全層の膜厚の予想値を割り付けてから、前記フェーズ1モデルについて各層の膜厚と入射角度についてフィッティングを行う解析第1段階ステップ1と、前記フィッティング結果の第2層目について予想値とのずれをチェックする解析第1段階ステップ2と、前記2層目の膜厚が設定値以下か設定値を超えるものであるかを判定する解析第1段階ステップ3と、前記解析第1段階ステップ3において、2層目の膜厚が設定値以下になった場合、前記フィッティングにより得られたモデル中の2層目の光学定数を1つの分散式に置きかえる解析第2段階ステップ1と、前記設定したモデルの1層目・3層目の膜厚を複数点にわたり選択して各点について2層目のBLMCを用いて平均二乗誤差を算出する解析第2段階ステップ2と、前記解析第2段階ステップ2の結果から平均二乗誤差値の最も低いモデルまたはあらかじめ設定した膜厚や混合比、分散式パラメータ、入射角度最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選択する解析第2段階ステップ3とからなる解析フェーズ2とから構成されたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記ケース3が選択された場合において、薄膜3層構造の初期モデルを決定する解析フェーズ1と、前記初期モデルについて、まずは予想値とのずれを調べるために、各層の膜厚と入射角度についてフィッティングを行う解析第1段階ステップ1と、前記フィッティング結果の第2層目について予想値とのずれをチェックする解析第1段階ステップ2と、前記2層目の膜厚が設定値以下か設定値を超えるものであるかを判定する解析第1段階ステップ3と、前記解析第1段階ステップ3において、2層目の膜厚が設定値以下になった場合、前記フィッティングにより得られたモデル中の2層目の光学定数を1つの分散式に置きかえる解析第2段階ステップ1と、前記設定したモデルの1層目・3層目の膜厚を複数点にわたり選択して各点について2層目のBLMCを用いて平均二乗誤差を算出する解析第2段階ステップ2と、前記解析第2段階ステップ2の結果から平均二乗誤差値の最も低いモデルまたはあらかじめ設定した膜厚や混合比、分散式パラメータ、入射角度最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選択する解析第2段階ステップ3とからなる解析フェーズ2と、前記解析フェーズ2で得られたモデルについて最終フィッティングを行うステップ1と、前記モデルの結果があらかじめ設定された範囲内であるかないかを判定し、範囲外であれば解析フェーズ1に戻るステップ2と、前記判定結果があらかじめ設定された範囲内にあるときには結果を保存するステップ3とからなる解析フェーズ3とから構成されたことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記2層目の膜厚が設定値以下か設定値を超えるものであるかを判定する解析第1段階ステップ3において、2層目の膜厚が設定値以上になった場合には、前記ケース決定フェーズへ戻り、ケース1又はケース2を選択してから解析フェーズ1以降の処理を行うことを特徴とする
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記解析第2段階ステップ2では、前記解析第1段階ステップ1のフィッティング結果に基づく1層目及び3層目の膜厚の合計を用いて1層目と3層目の膜厚を設定することを特徴とする
【0021】
本発明に係る分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法は、前記解析フェーズ1で、2層目に有効媒質近似を使用して初期モデルを決定した後、解析フェーズ2の第1段階で、請求項1,2のようにこの注目層を1つの分散式で表すことができない場合、この層にいくつかの材料が混ざり合っているとして有効媒質近似を続けて用い、このときこの2層目中のいくつかの材料のうち少なくとも1つを分散式で表す第1ステップと、前記設定した2層目以外の任意の層の膜厚や混合比などを複数点にわたり選択して、各点について2層目の混合比を変えながらこの層についてBLMCを用いて平均二乗誤差を算出する第2ステップとを含むことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下図面等を参照して本発明による分光エリプソメータを用いた極薄膜3層構造の解析方法の実施の形態を説明する。
図1は、本発明方法で使用するエリプソメータの構成を示す概略図であり、測定の対象の試料 (サンプル) 4の一部を拡大して示してある。
図2は、本発明による薄膜計測方法の実施形態を示す流れ図であって、ケース決定後の流れをケース別に示した詳細な流れ図である。
【0024】
(記号の定義)本願で用いる主要な記号について定義しておく。
Sub: 基板(光学定数は既知,バルクとして取り扱い可能)
Mat: 薄膜材料(物質の光学定数)
i : i層目の膜厚
i(best) : フィッティングによって得られたi層目の膜厚(最良値)
ij: j 番目のモデルのi層目の膜厚
ij(best): フィッティングで得たj 番目のモデルのi層目の膜厚(最良値)X2 : 平均二乗誤差(χ2)値
X2(j) : j 番目のモデルにおける平均二乗誤差(χ2)値
Void : n=1,k=0の物質
Vf(ij) : j 番目のモデルのi層目の混合比(Volume fraction)
Vf(ij)(best) : フィッティングで得られた j番目のモデルのi層目の混合比(最良値)
【0025】
図1に示されている分光エリプソメータにより、後述する方法の分光測定データの試料特定フェーズ10が実行される。先ず、測定装置について簡単に説明する。Xeランプ1は、多数の波長成分を含む、いわゆる白色光源である。このXeランプ1の発光は光ファイバ2を介して偏光子3に導かれる。偏光子3により偏光された光は、測定対象であるサンプル4の表面に特定の入射角(例えばφ=75.00°)で入射させられる。サンプル4は後述する基板表面に3層に薄膜を形成した測定試料である。
サンプル4からの反射は、光弾性変調器(PEM)5を介して検光子6に導かれる。光弾性変調器(PEM)5により50kHzの周波数に位相変調されて、直線から楕円偏光までが作られる。そのため、数m秒の分解能でΨ,Δを決定することができる。検光子6の出力は光ファイバ7を介して分光器8に接続される。分光器8の出力データがデータ取込部9に取り込まれ、分光測定データの測定フェーズ10を終了する。なお、PEM5の位置は偏光子3の後か検光子6の前どちらでも可能である。
【0026】
一方、本発明方法においては、図2に示すようにケース決定フェーズ20で既知の情報をもとに、下記ケース1ないし3のいずれかのケースを選択する。
図3に膜厚や光学定数など、すでに分かっている情報に基づいて選択したケースを示している。
ケース1:計測対象の基板上の3層構造の、膜の光学定数については、既知または略既知であり、薄膜の厚さは第1層は既知であり、第2、第3層は略既知である。
ケース2:計測対象の基板上の3層構造の、膜の光学定数については、既知または略既知であり、薄膜の厚さは第1層は既知であり、第2、第3層は未知である。
ケース3:計測対象の基板上の3層構造の、膜の光学定数については、第1、第3層は既知、第2層は未知であり、薄膜の厚さは第1、第2、第3層ともに未知である。
【0027】
図4〜図6を参照してケース1の解析について説明する。
図4は、図2のケース1の21Aの解析フェーズ1の説明図であって、図3のBFAMまたは初期モデルの設定の詳細を示す説明図である。
図5は、図2のケース1の22Aの解析フェーズ2を示す説明図である。
図6は、図2のケース1の23Aの解析フェーズ3を示す説明図である。
【0028】
(極薄膜3層膜フィッティング手順A)
この実施例では、第1層目の物質1(Mat1 )は既知、第2層目の物質2(Mat2 )は略既知、第3層目は物質1または物質1に近い物質(略既知)、1層目の膜厚(d1 )は既知、2,3層目の膜厚(d2,d3 )は略既知として説明する。
【0029】
解析フェーズ1でBFAMの設定を行う。または、初期モデルの仮定を行う。(解析フェーズ1ステップ1)
図4に示すように、考えられるモデル複数種類(4種類)をたてる。そして最も合う構造および初期膜厚を決定する。
このステップで、基板の(N0 (n0 ,k0 ))および各薄膜の材料(Mat1 ,Mat2 )の考えられる複素屈折率(N1 ,(n1 ,k1 )),(N2 ,(n2 ,k2 )),各層の膜厚(d1,d2,d3 )を利用し、いくつかのモデルをたてる。
この実施例では、下記各モデル(1) 〜(4) を設定したものとする。
図4のステップ1が示す部分に前記各モデルを略図示してある。
モデル(1) は、基板(Sub)の上に第1層( Mat1 の光学定数,膜厚d11) 、第2層(Mat2 の指定光学定数,膜厚d21)、第3層(Mat1 の光学定数,膜厚d31)を形成したものである。
モデル(2) は、基板(Sub)の上に第1層( Mat1 の光学定数,膜厚d12) 、第2層( Mat2 の指定光学定数、膜厚d22 )と第3層( Mat1 の光学定数+Void、膜厚d32 )を形成したものである。なお、指定光学定数とは光学定数の基準にする量(Special reference)を意味し、基準にする量とは似たような試料を用いて得られた光学定数である。また、Voidとは屈折率1の空間である。
モデル(3) は、基板(Sub)の上に第1層( Mat1 の光学定数,膜厚d13) 、第2層( Mat2 +Mat2'、膜厚d23) 、第3層( Mat1 の光学定数、膜厚d33) を形成したものである。
モデル(4) は、基板(Sub)の上に第1層(Mat1 の光学定数、膜厚d14)第2層( Mat2 +Mat2'、膜厚d24) 、第3層( Mat1 の光学定数+Void、膜厚d34) を形成したものである。
ここで、モデル(2) 〜(4) の2,3層目で設定されている混合比からは、有効媒質近似論を用いて、均質膜としての光学定数を求めることができる。なお前記各モデルは、基板Subの材料の光学定数は既知、第1層の光学定数と膜厚は既知で、第2層、第3層の光学定数および、第2層の膜厚d2,第3層の膜厚d3 は、略既知であることを前提にして前述の4個のモデルをたててある。
【0030】
(解析フェーズ1ステップ2)
前記ステップ1で選定した4個のモデル(1) 〜(4) のそれぞれについて、前記測定スペクトルより得られた測定データΨE ,ΔE とのフィッティングを行う。図4のステップ2の示す部分に各モデルのフィッティングの対象とフィッティングの結果得られたデータのχ2 値を示してある。
モデル(1) では、第1層目の膜厚d11、第2層目の膜厚d21,第3層目の膜厚d31および入射角φ1 をフィッティングして、その結果d11(best),d21(best), d31(best),φ1 (best)およびχ2 値 X2 (1) を得る。
モデル(2) では、第1層目の膜厚d12,第2層目の膜厚d22, 第3層目の膜厚d32, 第3層目の混合比Vf32および入射角φ2 のフィッティングをして、その結果d12(best),d22(best),d32(best),Vf32(best),φ2 (best)およびχ2 値 X2 (2) を得る。
モデル(3) では、第1層目の膜厚d13,第2層目の膜厚d23,第3層目の膜厚d33, 第2層目の混合比Vf23および入射角φ3 のフィッティングをして、その結果d13(best),d23(best),d33(best),Vf23(best),φ3 (best)およびχ2 値 X2 (3) を得る。
モデル(4) では、第1層目の膜厚d14,第2層目の膜厚d24,第3層目の膜厚d34,第2層目の混合比Vf24,第3層目の混合比Vf34および入射角φ4 のフィッティングをして、その結果d14(best),d24(best),d34(best),Vf24(best),Vf34(best),φ4 (best)およびχ2 値 X2 (4) を得る。
【0031】
(解析フェーズ1ステップ3)
前記複数組のフィッティングの結果から、最低χ2 値またはあらかじめ設定した膜厚や混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低χ2 値のモデルの結果を選択するステップであり、これを図4のステップ3に示す。
【0032】
(解析フェーズ2ステップ1)
図5のステップ1に解析フェーズ2で使用するモデルであるBFAMが示されている。
この例では、初期モデルではなく解析フェーズ1のフィッティング結果、BFAM中のモデル(4) のχ2 値が最も低かったものとする。2層目の光学定数を1つの分散式でおきかえる。このとき第2,3層の膜厚(d2,3 )および1,3層目の光学定数,3層目の混合比は解析フェーズ1のフィッティング結果の値で設定する。第1層目の膜厚は既知値50Åとする。
【0033】
(解析フェーズ2ステップ2)
この例では、図5のステップ2に示すように、1層目の膜厚を既知の値に固定して、3層目の膜厚を±10%程度、混合比を±10%程度変えながらそれぞれ2層目についてBLMCを行う。
3 =d3(best) −10%に固定して、Vf1 =Vf1 (best)±10%の範囲でそれぞれ動かしながら、2層目のMat2 (DSP)についてBLMCを行うものである。
同様に、d3 =d3(best) に固定、およびd3 =d3(best) +10%に固定してVf1 =Vf1 (best)±10%の範囲でそれぞれ動かしながら2層目のMat2 (DSP)についてBLMCを行い、得られたχ2 値のもっとも良い結果、またはあらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角それぞれの最大、最小の中に入っているχ2 値のもっとも良い結果をそれぞれ選択する。
【0034】
(解析フェーズ2ステップ3)
図5のステップ3で前記3とおりの結果からχ2 値のもっとも良いもの、またはあらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角それぞれの最大、最小の中に入っているχ2 値のもっとも良い結果を選択する。
【0035】
図6に示す解析フェーズ3の最終段階ステップ1では、前述したχ2 値の最も良い結果をもつモデルについて以下のフィッティングを行う。
全層の光学定数を固定し、
全層の膜厚と3層目の混合比のフィッティングを行う。または
1,3層の光学定数を固定し、全層の膜厚,および2層目の光学定数、3層目の混合比のフィッティングを行う。または
1,2層の光学定数を固定し、全層の膜厚,および3層目の光学定数のフィッティングを行う。または
1層目の光学定数を固定して、全層の膜厚,および2,3層目の光学定数のフィッティングを行う。
【0036】
解析フェーズ3のステップ2では、ステップ1のフィッティングの結果を確認する。例えば、フィッティングの結果があらかじめ定めた範囲内に入るか否かの確認を行う。この確認の結果が設定範囲から外れた場合には解析フェーズ1に戻る。解析フェーズ3のステップ3では確認された結果を保存する。
【0037】
次に、さらに図7を参照してケース2の場合の解析について説明する。
(解析フェーズ1モデルの選択)ケース2は、計測対象の基板上の3層構造の膜の光学定数については、既知または略既知であり、薄膜の厚さは第1層はほぼ既知であり、第2、第3層は未知である。
1層目の光学定数はMat1、膜厚はd1(50Å)
2層目の光学定数はMat2、膜厚はd2
3層目の光学定数は(Mat2+Void)、膜厚はd3 を選択する。
【0038】
(解析フェーズ2のステップ1)では、図7に示すように3層目の混合比を変える。
Mat2(50 %) +Void(50 %) , Mat2(60 %) +Void(40 %) , 〜 Mat2(90%) +Void(10 %)
そして各々について2,3層目の膜厚d2 ,d3 および2層目の光学定数Mat2入射角(AOI) についてフィッティングを行なう。
(解析フェーズ2のステップ2)それぞれのフィッティングの結果からχ2 の最も良いもの、またはあらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角それぞれの最大、最小の中に入っているχ2 値のもっとも良い結果(最低χ2 値)を選択する。
(解析フェーズ2のステップ3)3層目のMat2+VoidをMat1と略同じ光学定数に置き換える。
(解析フェーズ3のステップ1〜3)
解析フェーズ3のステップ1では以下のフィッティングを行う。
全層の光学定数を固定して全層の膜厚をフィッティング
または、
2層目の光学定数を固定して、全層の膜厚および
1層目の光学定数をフィッティング、または、
1層目の光学定数を固定して、全層の膜厚および
2層目の光学定数をフィッティング
解析フェーズ3のステップ2では、ステップ1のフィッティングの結果を確認する。例えば、フィッティングの結果があらかじめ定めた範囲内に入るか否かの確認を行う。この確認の結果が設定範囲から外れた場合には解析フェーズ1に戻る。解析フェーズ3のステップ3では確認された結果を保存する。
【0039】
次に、さらに図8,図9,図10を参照しながらケース3の場合の解析について説明する。このケースは、計測対象の基板上の3層構造の、膜の光学定数については、第1、第3層は既知、第2層は未知であり、薄膜の厚さは第1層、第2、第3層ともに未知である。このケースは図3のケース3に示すように、製膜条件が変わった場合、何らかの不明な処理があった場合、何らかの理由で予想値から、大きくずれた場合にあたる。
【0040】
(解析フェーズ1モデルの設定)
図8に示すように
1層目の光学定数はMat1、膜厚はd1
2層目の光学定数は指定光学定数(Special ref for Mat2)、膜厚はd2
3層目の光学定数はMat1、膜厚はd3
【0041】
(解析フェーズ2の解析第1段階ステップ1)では、
図8の解析フェーズ1に示すように2層目に指定光学定数(Special ref for Mat2) を当てる。そして、全層の膜厚の予想値を割りつける。
1,2,3層目の膜厚、入射角についてフィッティングを行い、
フィッティングの結果d1 (best),d2 (best),d3 (best),AOI(best)を算出する。
(解析フェーズ2の解析第1段階ステップ2)では、前記結果から特にd2 について予想値からのズレを調べる。
(解析フェーズ2の解析第1段階ステップ3)
Mat2の膜厚が設定値以上になった場合、つまり予想値から外れるときはケースの決定が誤ったものとしてケース決定の段階(ケース1,2)に戻し、ケースの選定を再度行なう。
前記ステップ2で、Mat2の膜厚が設定値以内になった場合はこれを最良モデルとして解析第2段階に進む。
(解析フェーズ2の解析第2段階ステップ1)では、下記の最良モデルの2層目の光学定数をひとつの分散式Mat2におきかえて新モデルを決定する。
1層目の光学定数はMat1、膜厚はd1b
2層目の光学定数は指定光学定数(Special ref for Mat2)、膜厚はd2b
3層目の光学定数はMat1、膜厚はd3b
新モデル
1層目の光学定数はMat1、膜厚はd1
2層目の光学定数はMat2、膜厚はd2
3層目の光学定数はMat1、膜厚はd3
(解析フェーズ2の解析第2段階ステップ2)では、前記新モデルについて1層目の膜厚を後述するように固定して、さらに3層目の膜厚を動かしながら2層目についてBLMCをおこなう。
1層目をd1 =4(d1b+d3b)/5 に固定して
3 =(d1b+d3b)−d1 ±20% の範囲で動かしながら2層目についてBLMCを行なう。その例を図10に詳細に示している。
1層目をd1 =3(d1b+d3b)/5 に固定して
3 =(d1b+d3b)−d1 ±20% の範囲で動かしながら2層目についてBLMCを行なう。
同様にして1層目をd1 =2(d1b+d3b)/5 に固定してd3 =(d1b+d3b)−d1 ±20% の範囲で動かしながら2層目についてBLMCを行なう。
同様にして1層目をd1 =(d1b+d3b)/5 に固定してd3 =(d1b+d3b )−d 1 ±20% の範囲で動かしながら2層目についてBLMCを行なう。
それらの結果からそれぞれのχ2 の最も良いもの、またはあらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角それぞれの最大、最小の中に入っているχ2 値のもっとも良い結果(最低χ2 値)を選択する。
(解析フェーズ2の解析第2段階ステップ3)では、前記のうちからχ2 の最も良いもの、またはあらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角それぞれの最大、最小の中に入っているχ2 値のもっとも良い結果(最低χ2 値)を選択する。
(解析フェーズ3)
ステップ1では全層の光学定数を固定して全層の膜厚をフィッティング、または1,3層の光学定数を固定して全層の膜厚と2層目の光学定数をフィッティング、または
3層目の膜厚を固定して1,2層目の膜厚と2層目の光学定数のフィッティング、または
1層目の膜厚を固定して、2,3層目の膜厚と2層目の光学定数のフィッティングを行う。
ステップ2ではステップ1のフィッティングの結果を確認する。例えば、フィッティングの結果があらかじめ定めた範囲内に入るか否かの確認を行う。この確認の結果が設定範囲から外れた場合には解析フェーズ1に戻る。
ステップ3では確認された結果を保存する。
【0042】
前述した解析方法は、前記Mat1 ,Mat2 はSiO2,SiNxである場合は最近よく使われているONOのケースに適用できる。
【0043】
前述した薄膜は膜厚0Å〜数100μmまでの極薄膜を含む範囲に適用できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、
1.相関関係が強い多層膜構造(特に極薄膜)でも、信頼できる膜厚(全ての層)および光学定数(少なくとも構造中の2層)を得ることができる。
2.BFAM決定ステップでは、考えられる必要な未知変数を最小限にすることができる。
3.この方法を用いることで、一般的な3層構造の解析よりもより早く、より正確に構造を解析することができる。
【0045】
以上詳しく説明した実施例について、本発明の範囲内で種々の変形を施すことができる。理解を容易にするために、データの取得、モデルの設定に関連して、一貫してΨ,Δを用いて説明した。当業者には良く知られている以下のデータ対を用いても同様な、測定およびフィッティングが可能であり、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
(n,k)、(εi ,εr )、( tan Ψ,cos Δ) 、 (Is , Ic
【0046】
また、基板上にSiO2 層,SiNx 層,SiO2 層を3層形成する例を示したが、様々な材料や広い範囲の膜厚にも同様に利用できる。
【0047】
光学定数には、既知の数値(リファレンス)を用いたが、物質の誘電率の波長依存性を示す分散式なども使用可能であり、本発明の技術的範囲に含まれるものとする。また、分散式を使用する例では、既知の数値を光学定数に使用する場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0048】
実施例として光弾性変調器(PEM)の例を示したが、PEM使用以外のエリプソメータを使用することもできる。
【0049】
基板もSiの他、ガラスや石英、その他透明基板や化合物半導体なども同様に利用できる。また、基板の種類によらず、どんな平坦な基板でも、あれている基板でも使用することができる。
【0050】
分散式には、古典力学理論から作成された式や量子力学理論から作成された式、経験式の他、様々な式・パラメータも使用可能であり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0051】
例では、EMAを使用すると説明したが、他の有効媒質近似論の使用も可能であり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0052】
全ての例の1部または全部は、手動や自動(コンピュータやロボットなど)で行うことができ、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0053】
例では入射角度を75度として説明したが、これ以外の角度でも使用可能であり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0054】
公称入射角度(75度)近傍で動かしながら解析すると説明したが、その他、物理的に決定した入射角度の近傍で変化させながら解析する場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0055】
入射角度を自動でいくつか変化させながら測定(Variable Angle Measurement)を行い、これら全体のデータ、またはこの中の特定角度のデータを用いて解析する場合もあり、これらも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。さらに、前記測定で得られた全体のデータ、またはこの中の特定角度のデータ解析において、各入射角度近傍を変化させながらフィッティングする場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0056】
例では基板上の1,2,3層構造の極薄膜(Mat1 ,Mat2 )としたが、Mat1 ,Mat2 には、極薄膜誘電体材料だけでなく、様々な厚さや材料など、幅広いアプリケーションにも使用することができる。
【0057】
上記手段の全部または1部を行う場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0058】
あらゆる任意のパラメータを同時にフィッティングすると説明したが、別々にフィッティングする場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0059】
EBLMCの一部であるBLMCでは、前述したとおり、入射角度をフィッティングする場合がある。また、手順では入射角度と様々なパラメータを同時にフィッティングするとしたが、別々にフィッティングする場合や、入射角度を固定する場合もあり、これらも全て本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0060】
入射角度はBLMC以外でも、一般的なパラメータとしてフィッティングすることがあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0061】
例では、BLMCやEBLMCを行う際に、中心値および付近の複数点にわたり選択する時に±10%、ステップ数5%として説明したが、さらに広い範囲や様々なステップ数も設定可能である。また、%として表したが、「最小値」、「最大値」、「ステップ数」として設定する場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0062】
例では、測定段階のステップの1つとしてデータ保存としたが、これは「この全解析過程が終了した後にも、再度データとして使用できるような永久保存する場合」や「全解析過程が終了するまでの一時保存とする場合」があり、これらも技術的範囲に含まれるものとする。
【0063】
例では、モデル準備過程においてSiO2 やSiNx ,Si34 ,Voidを混ぜ合わせた1〜4つのモデルを使用したが、その他様々な材料でも使用可能である。また、製造プロセスや未知総数によってモデルの種類・数が変わる場合があり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0064】
例では、フィッティングは入射角と膜厚の組み合わせで書いたが、ソフトによっては入射角を分散式と同時にフィッティングすることもあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0065】
平均二乗誤差の計算式として1例をあげたが、これ以外の式でも同様の手順が可能であり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【0066】
例では2種類の材料の混ぜ合わせで説明したが、3種類以上混ぜ合わせる場合もあり、これも本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で使用するエリプソメータの構成を示す概略図であり、測定の対象の試料 (サンプル) 4の一部を拡大して示してある。
【図2】本発明による薄膜計測方法の実施形態を示す流れ図であって、ケース決定後の流れをケース別に示した詳細な流れ図である。
【図3】前記流れ図の内のケース決定フェーズ20の詳細とケースが決定された状態を示す説明図である。
【図4】図2のケース1の21Aの解析フェーズ1の説明図であって、図3のBFAMまたは初期モデルの設定の詳細を示す説明図である。
【図5】図2のケース1の22Aの解析フェーズ2を示す説明図である。
【図6】図2のケース1の23Aの解析フェーズ3を示す説明図である。
【図7】図2のケース2の22Bおよび23Bの解析フェーズ2と解析フェーズ3を示す説明図である。
【図8】図2のケース3の解析フェーズ2を示す説明図である。
【図9】図2のケース3の解析フェーズ3を示す説明図である。
【図10】図2のケース3、図8の解析第2段階ステップ2のd1 =4(d1b+d3b)/5のフィッティングを詳細に示した説明図である。
【符号の説明】
1 Xeランプ
2 光ファイバ
3 偏光子
4 サンプル
5 光弾性変調器(PEM)
6 検光子
7 光ファイバ
8 分光器
9 データ取込部
10 分光エリプソメータを用いる試料(極薄膜3層構造)の測定ステップ
20 ケース決定(ケース決定フェーズ)
21 モデル設定(解析フェーズ1)
22 フィッティング(解析フェーズ2)
23 最終フィッティング(解析フェーズ3)

Claims (12)

  1. 基板上の薄膜3層のうち第1層と第3層がともに共通する光学定数(Mat1 )を含み第2層が異なる光学定数(Mat2 )である場合の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法であって、
    分光エリプソメータを用いて測定データを得る分光測定フェーズと、
    既知の情報をもとに複数のモデルに係るケースの中から一のケースを選択するケース決定フェーズと、
    選択されたケースに対する複数のモデルの中から薄膜3層構造のフェーズ1モデルを決定する解析フェーズ1と、
    該解析フェーズ1により決定したフェーズ1モデルについて、各層の光学定数や膜厚などを決定する解析フェーズ2
    から構成され、
    前記ケース決定フェーズでは、少なくとも下記ケース1ないし3の何れか一つのケースを含むことを特徴とする分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
    ケース1:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1層は既知であり、第2、第3層は略既知であり、膜の光学定数については、既知または略既知である。
    ケース2:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1層はほぼ既知であり、第2、第3層は未知であり、膜の光学定数については、既知または略既知である。ただし、1層目の光学定数は2層目の光学定数より低いことを前提として使用する。
    ケース3:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1、第2、第3層ともに未知であり、膜の光学定数については、第1、第3層は既知、第2層は未知である。
  2. 基板上の薄膜3層のうち第1層と第3層がともに共通する光学定数(Mat1 )を含み第2層が異なる光学定数(Mat2 )である場合の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法であって、
    分光エリプソメータを用いて測定データを得る分光測定フェーズと、
    すでに分かっている情報をもとに複数のモデルに係るケースの中から一のケースを選択するケース決定フェーズと、
    選択されたケースに対する複数のモデルの中から薄膜3層構造のフェーズ1モデルを決定する解析フェーズ1と、
    フェーズ1モデルについて、各層の光学定数や膜厚を決定する解析フェーズ2と、
    前記解析フェーズ2で得られたモデルについてフィッティングを行う解析フェーズ3とから構成され、
    前記ケース決定フェーズでは、少なくとも下記ケース1ないし3の何れか一つのケースを含むことを特徴とする分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
    ケース1:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1層は既知であり、第2、第3層は略既知であり、膜の光学定数については、既知または略既知である。
    ケース2:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1層はほぼ既知であり、第2、第3層は未知であり、膜の光学定数については、既知または略既知である。ただし、1層目の光学定数は2層目の光学定数より低いことを前提として使用する。
    ケース3:計測対象の基板上の3層構造の、薄膜の膜厚は第1、第2、第3層ともに未知であり、膜の光学定数については、第1、第3層は既知、第2層は未知である。
  3. 前記分光測定フェーズは、計測対象の基板上の薄膜3層構造について、入射光の波長を変えて各波長λi ごとの入射光と反射光の偏光の変化を表している測定スペクトルΨE(λi)とΔE (λi )を得る、ΨE 、ΔEスペクトル測定ステップと、
    前記測定で得たデータを保存する保存ステップと
    を含む請求項1または2記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  4. 前記ケース1が選択された場合において、
    前記解析フェーズ1は、複数のモデルからフィッティングにより選択する1つの最良近似モデル(Best First Approximation Model 以下BFAM)、または既知のデータから仮定した初期モデルをフェーズ1モデルとして決定するフェーズであり、
    前記BFAMをフェーズ1モデルとして決定することに対して、
    ケース1の範囲で各層の光学定数・膜厚、第2,3層の混合比および入射角度の組み合わせの異なる複数のモデルを準備するステップ1と、
    各モデルについて膜厚や混合比、入射角度フィッティングを行い、各モデルごと平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差のモデルを選択するステップ2と、
    前記選択されたモデルの中で、平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差のモデルを選択するステップ3と
    を含み、
    前記解析フェーズ2は、
    前記解析フェーズ1のステップ3で選択されたモデルにおいて、2層目の未知な材料層を1つの分散式に置きかえるステップ1と、
    3層目の膜厚や混合比などを複数点にわたり選択して各点について2層目についてBLMCを用いて平均二乗誤差を算出するステップ2と、
    前記ステップ2の結果から平均二乗誤差値の最も低いモデルまたはあらかじめ設定した膜厚や混合比、分散式パラメータ、入射角度最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選択するステップ3と
    を含む請求項1乃至3のいずれか一つに記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  5. 前記ケース1が選択された場合、
    前記解析フェーズ1は、複数のモデルからフィッティングにより選択する1つの最良近似モデル(Best First Approximation Model 以下BFAM)、または既知のデータから仮定した初期モデルをフェーズ1モデルとして決定するフェーズであり、
    前記BFAMをフェーズ1モデルとして決定することに対して、
    ケース1の範囲で各層の光学定数・膜厚、第2,3層の混合比および入射角度の組み合わせの異なる複数のモデルを準備するステップ1と、
    各モデルについて膜厚や混合比、入射角度フィッティングを行い、各モデルごと平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差のモデルを選択するステップ2と、
    前記選択されたモデルの中で、平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差のモデルを選択するステップ3とを含み、
    前記解析フェーズ2は、
    前記最良モデルにおいて、2層目の未知な材料層を1つの分散式に置きかえるステップ1と、
    3層目の膜厚や混合比などを複数点にわたり選択して各点について2層目についてBLMCを用いて平均二乗誤差を算出するステップ2と、
    前記ステップ2の結果から平均二乗誤差値の最も低いモデルまたはあらかじめ設定した膜厚や混合比、分散式パラメータ、入射角度最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選択するステップ3とを含み、
    前記解析フェーズ3は、
    前記解析フェーズ2で得られたモデルについて最終フィッティングを行うステップ1と、
    前記モデルの結果があらかじめ設定された範囲内であるかないかを判定するステップ2と、
    前記判定結果があらかじめ設定された範囲内にあるときには結果を保存するステップ3とを含み、
    前記ステップ2で、前記モデルの結果があらかじめ設定された範囲内にない場合、前記解析フェーズ1へ戻って解析フェーズ1以降の処理を行う請求項に記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  6. 前記ケース2が選択された場合において、
    薄膜3層構造の3層目に混合比を設定した初期モデルを決定する解析フェーズ1と、
    前記初期モデルについて3層目の混合比を変えた複数のモデルについて、各モデルの2,3層目の膜厚、2層目の光学定数、および入射角度についてフィッティングを行うステップ1と、
    前記ステップ1の結果から、平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選定するステップ2と、
    前記選定されたモデルについて、3層目の未知定数を1層目とほぼ同じ光学定数に置きかえるステップ3とからなる解析フェーズ2と
    から構成された請求項1または2に記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  7. 前記ケース2が選択された場合において、
    薄膜3層構造の3層目に混合比を設定した初期モデルを決定する解析フェーズ1と、
    前記初期モデルについて3層目の混合比を変えた複数のモデルについて、各モデルの2,3層目の膜厚、2層目の光学定数、および入射角度についてフィッティングを行うステップ1と、
    前記ステップ1の結果から、平均二乗誤差の最も低いモデルまたは、あらかじめ設定した膜厚、混合比、分散式パラメータ、入射角度の最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選定するステップ2と、
    前記選定されたモデルについて、3層目の未知定数を1層目とほぼ同じ光学定数に置きかえるステップ3とからなる解析フェーズ2と、
    前記解析フェーズ2で得られたモデルについて最終フィッティングを行うステップ1と、
    前記モデルの結果があらかじめ設定された範囲内であるかないかを判定し、範囲外であれば解析フェーズ1に戻るステップ2と、
    前記判定結果があらかじめ設定された範囲内にあるときには結果を保存するステップ3とからなる解析フェーズ3と
    から構成された請求項1または2に記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  8. 前記ケース3が選択された場合において、
    薄膜3層構造の初期モデルを決定する解析フェーズ1と、
    前記解析フェーズ1で決定されたフェーズ1モデルの全層の膜厚の予想値を割り付けてから、前記フェーズ1モデルについて各層の膜厚と入射角度についてフィッティングを行う解析第1段階ステップ1と、
    前記フィッティング結果の第2層目について予想値とのずれをチェックする解析第1段階ステップ2と、
    前記2層目の膜厚が設定値以下か設定値を超えるものであるかを判定する解析第1段階ステップ3と、
    前記解析第1段階ステップ3において、2層目の膜厚が設定値以下になった場合、前記フィッティングにより得られたモデル中の2層目の光学定数を1つの分散式に置きかえる解析第2段階ステップ1と、
    前記設定したモデルの1層目・3層目の膜厚を複数点にわたり選択して各点について2層目のBLMCを用いて平均二乗誤差を算出する解析第2段階ステップ2と、
    前記解析第2段階ステップ2の結果から平均二乗誤差値の最も低いモデルまたはあらかじめ設定した膜厚や混合比、分散式パラメータ、入射角度最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選択する解析第2段階ステップ3とからなる解析フェーズ2と
    から構成された請求項1または2に記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  9. 前記ケース3が選択された場合において、
    薄膜3層構造の初期モデルを決定する解析フェーズ1と、
    前記初期モデルについて、まずは予想値とのずれを調べるために、各層の膜厚と入射角度についてフィッティングを行う解析第1段階ステップ1と、
    前記フィッティング結果の第2層目について予想値とのずれをチェックする解析第1段階ステップ2と、
    前記2層目の膜厚が設定値以下か設定値を超えるものであるかを判定する解析第1段階ステップ3と、
    前記解析第1段階ステップ3において、2層目の膜厚が設定値以下になった場合、前記フィッティングにより得られたモデル中の2層目の光学定数を1つの分散式に置きかえる解析第2段階ステップ1と、
    前記設定したモデルの1層目・3層目の膜厚を複数点にわたり選択して各点について2層目のBLMCを用いて平均二乗誤差を算出する解析第2段階ステップ2と、
    前記解析第2段階ステップ2の結果から平均二乗誤差値の最も低いモデルまたはあらかじめ設定した膜厚や混合比、分散式パラメータ、入射角度最大値と最小値の間に入っている最低平均二乗誤差値のモデルを選択する解析第2段階ステップ3とからなる解析フェーズ2と、
    前記解析フェーズ2で得られたモデルについて最終フィッティングを行うステップ1と、
    前記モデルの結果があらかじめ設定された範囲内であるかないかを判定し、範囲外であれば解析フェーズ1に戻るステップ2と、
    前記判定結果があらかじめ設定された範囲内にあるときには結果を保存するステップ3とからなる解析フェーズ3と
    から構成された請求項1または2に記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  10. 前記2層目の膜厚が設定値以下か設定値を超えるものであるかを判定する解析第1段階ステップ3において、2層目の膜厚が設定値以上になった場合には、前記ケース決定フェーズへ戻り、ケース1又はケース2を選択してから解析フェーズ1以降の処理を行う請求項または記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  11. 前記解析第2段階ステップ2では、前記解析第1段階ステップ1のフィッティング結果に基づく1層目及び3層目の膜厚の合計を用いて1層目と3層目の膜厚を設定する請求項または記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
  12. 前記解析フェーズ1で、2層目に有効媒質近似を使用して初期モデルを決定した後、解析フェーズ2の第1段階で、請求項1,2のようにこの注目層を1つの分散式で表すことができない場合、この層にいくつかの材料が混ざり合っているとして有効媒質近似を続けて用い、このときこの2層目中のいくつかの材料のうち少なくとも1つを分散式で表す第1ステップと、
    前記設定した2層目以外の任意の層の膜厚や混合比などを複数点にわたり選択して、各点について2層目の混合比を変えながらこの層についてBLMCを用いて平均二乗誤差を算出する第2ステップと
    を含む請求項1または2記載の分光エリプソメータを用いた薄膜3層構造の解析方法。
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