炭素質材料の製造方法及び製造装置 技術分野
本発明は炭素質材料の製造方法及び製造装置に関し、 特にアーク放電 を利用して単層カーボンナノチューブ等の炭素質材料を製造する炭素質 材料の製造方法及び製造装置に明関する。
細
背景技術
力一ポンナノチューブは、 1 9 9 1年に、 S. I i j i ma, N a t u r e, V o l . 3 54 ( 1 99 1 ) 5 6で飯島により初めて報告され た新しい材料である。 特に、 単層カーボンナノチューブ (SWNT) は、 螺旋の巻き方、 いわゆるカイラリティ (c h i r a 1 i t y) により、 電子物性が金属的性質から半導体的性質まで変化することが理論的に分 かっており、 次世代の電子材料として有望視され、 ナノエレクトロニク ス材、 電界電子放出ェミッタ、 高指向性放射源、 軟 X線源、 一次元伝導 材、 高熱伝導材、 水素貯蔵材等への応用が考えられている。 又、 表面の 官能基化、 金属被覆、 異物質内包により、 カーボンナノチューブの応用 範囲は更に広がると思われる。
単層カーボンナノチューブをはじめとする炭素質材料を製造する方法 としては、 炭素棒を電極としアーク放電を利用した、 いわゆるアーク放 電法により大量合成する方法が従来より提案されている。 この方法では、 対向配置されたアノードとカソードとからなるアーク放電部においてァ ーク放電を発生させることによって炭素質材料が生成される。
アーク放電法を行う炭素質材料の製造装置の一例を第 1図に示す。 製
造装置 1 0 1には筒状の反応管 1 1 1が設けられており、 反応管 1 1 1 の内部には、 アノード 1 1 3と力ソード 1 1 4とが僅かな隙間を隔てて 対向配置されている。 アノード 1 1 3は正極側の電流導入端子 1 4 2に 電気的に接続されており、 力ソード 1 1 4は負極側の電流導入端子 1 4 1に電気的に接続されている。 これら 2つの電流導入端子 1 4 1、 1 4 2は、 反応管 1 1 1の外部に設けられた電流供給部 1 1 2に電気的に接 続されており、 アノード 1 1 3、 力ソード 1 1 4に電圧を印加可能に構 成されている。 アノード 1 1 3と力ソード 1 1 4とが互いに対向する先 端間でアーク放電部が規定される。 アーク放電部は、 反応管 1 1 1の軸 方向の略中央に位置しており、 アーク放電部に対応する位置であって反 応管 1 1 1の外側には、 アーク放電部を加熱するための電気炉 1 2 4が 設けられている。
アノード 1 1 3は、 鉄、 コバルト、 ニッケル、 ランタン等の触媒をな す金属を添加したカーボンからなる炭素電極である。 触媒は、 アーク放 電によって単層力一ボンナノチューブ等の炭素質材料を製造する際に用 いられる。 力ソード 1 1 4は、 触媒を含まない純粋炭素電極である。 反応管 1 1 1の両端には、 反応管 1 1 1の端部を覆う蓋体 1 1 1 C、 1 1 1 Dがそれぞれ設けられており、 反応管 1 1 1内を大気から遮断可 能に構成されている。 蓋体 1 1 1 Cには、 反応管 1 1 1の軸方向に貫通 し反応管 1 1 1内部と外部とを連通する貫通孔 1 1 1 aが形成されてお り、 この貫通孔 1 1 1 aには、 不活性ガス注入器 1 4 3がホース 1 1 7 を介して接続されている。 不活性ガス注入器 1 4 3は、 1^ 6ゃ八 1"等の 不活性ガスを反応管 1 1 1内部に供給可能に構成されている。 また、 ホ —ス 1 1 7の一部には、 フローメ一夕 1 1 8が設けられており、 反応管 1 1 1内部に注入される不活性ガスの流速を可変としている。
. 1 1 Dの周面には、 蓋体 1 1 1 Dの周面から半径方向に貫通し
反応管 1 1 1内部と外部とを連通する貫通孔 1 1 1 bが形成されている, 貫通孔 1 1 1 bには、 ポンプ 1 2 1がホース 1 1 9を介して接続されて いる。 ポンプ 1 2 1は、 反応管 1 1 1内部に存在する気体を負圧にて反 応管 1 1 1外部に排出可能に構成されている。 又、 ホース 1 1 9の一部 には、 フローメータ 1 2 0が設けられており、 反応管 1 1 1内部から排 出される不活性ガス等の流速を可変としている。
又、 蓋体 1 1 1 Dには、 反応管 1 1 1の軸方向に貫通する貫通孔 1 1 1 cが形成されており、 貫通孔 1 1 1 cには二重管 1 2 2が貫通した状 態で設けられている。 従って、 二重管 1 2 2の一部は、 反応管 1 1 1内 部に位置している。 二重管 1 2 2の一端であって二重管 1 2 2内に位置 している側の端部には、 アーク放電部で生成された炭素質材料を捕獲す るための捕獲器 1 2 3が設けられている。 捕獲器 1 2 3の内部は、 二重 管 1 2 2の外管の内周と内管の外周とで画成される空間に連通する空間 と、 二重管 1 2 2の内管の内周により画成される空間に連通する空間と が形成されている。 これら 2つの空間は互いに連通している。 この構成 により、 二重管 1 2 2の端部であって捕獲器 1 2 3が設けられていない 側から、 内管の内周により画成させる空間に冷却水が注入されると、 冷 却水は、 内管の内周により画成される空間を通過して捕獲器 1 2 3内に 到達し、 捕獲器 1 2 3を冷却し、 二重管 1 2 2の外管の内周と内管の外 周とで画成される空間へ流込み、 二重管 1 2 2の他端から排出されるよ うに構成される。
次に、 単層カーボンナノチューブ等の炭素質材料を製造する方法につ いて説明する。 アノード 1 1 3は、 力一ボンを粉状に粉碎し、 粉状の力 —ボンに鉄、 ニッケル、 コバルト、 ランタン等の触媒の粉体を混ぜたも のを、 アノード 1 1 3の形状に成形し、 更に、 焼成、 加工することによ つて製造される。 力ソード 1 1 4は、 力一ボンがそのままカソ一ド 1 1
4の形状に成形されることにより製造される。 次に、 アノード 1 1 3と 力ソード 1 1 4とを、 炭素質材料の製造装置 1 0 1にセットし、 一旦、 反応管 1 1 1内部を真空にする。 その後、 不活性ガス注入器 1 4 3によ つて不活性ガスを反応管 1 1 1内部に供給しポンプ 1 2 1によって反応 管 1 1 1の内の不活性ガスを排出している状態下、 即ち、 アーク放電部 にガス流が流れている状態下でァ一ク放電を行い、 アーク放電部におい てアノード 1 1 3を構成する力一ボンを材料として触媒の触媒作用によ り単層カーボンナノチューブ等の炭素質材料が生成される。 より詳細に は、 アーク放電部では、 アノード 1 1 3から金属と炭素とが同時に蒸発 し、 蒸発した炭素は煤として出現する。 得られた煤には、 単層力一ボン ナノチューブの他、 黒鉛、 アモルファス力一ボン、 触媒金属、 触媒金属 の酸化物などが混在している。 アーク反応部で生成された単層力一ボン ナノチューブ等の炭素質材料を含む煤は、 供給された不活性ガスの流れ により、 下流側に設けられた捕獲器 1 2 3へと搬送される。
上述のようなアーク放電法を用いて得られる単層カーボンナノチュー ブ等の炭素質材料の回収率を高めるために、 さまざまな技術が開示され ている。
特開平 6 - 1 5 7 0 1 6号公報、 特開平 6 - 2 8 0 1 1 6号公報によ れば、 アーク放電法における単層カーボンナノチューブの回収率は、 単 層カーボンナノチューブの生成される反応管内のガス分圧に大きく依存 していることが認められている。 特開平 6— 2 8 0 1 1 6号公報によれ ば、 反応管内の不活性ガスの圧力範囲を 2 0 0 T o r r (約 2 6 . 7 k P a ) 以上とすることにより、 単層カーボンナノチューブの回収率を高 めることができる旨が記載されており、 又、 特開平 6— 1 5 7 0 1 6号 公報には、 反応管内の不活性ガスの分圧が 5 0 0〜 2 5 0 0 T 0 r r (約 6 6 . 7〜3 3 3 . 3 k P a ) の範囲内のときに、 単層カーボンナ
ノチューブの回収率を最適化することができる旨が記載されている。 ま た、 特開平 6— 1 5 7 0 1 6号公報には、 ァ一ク放電部の温度を 1 00 0〜400 0°Cとすることにより、 単層カーボンナノチューブの回収率 を高めることができる旨が記載されている。
アーク放電法により単層カーボンナノチューブを生成すると、 炭素質 材料は反応管 1 1 1の壁面に、 煤状の生成物あるいは We b状の生成物 となって付着するが、 単層カーボンナノチューブは、 We b状の生成物 中に特に多く含まれる。 煤状の生成物は、 主にアモルファス状カーボン から成るといわれている。 そこで、 単層カーボンナノチューブの含有量 の高い生成物を得て回収率を高めるためには、 We b状の生成物を効率 よく回収する必要がある。
特開平 8— 1 2 3 1 0号公報には、 アーク放電法により生成された煤 を含む We b状生成物を、 効率よく回収する方法が記載されている。 こ の方法では、 反応管内の壁面から煤を含む We b状生成物を回収した後 に、 酸性溶液や熱酸化処理による生成物の精製処理を行って、 ある程度 高純度の単層カーボンナノチューブを得ている。
また、 T. S u g a i e t a 1. , J p n. J . Ap p l . P h y s . , Vo l . 3 8 , (2 0 0 0) L 47 7, T. S u g a i e t a 1. , J . C h e m. P y s . , V o l . 1 1 2 , (2 0 0 0 ) 60 0 0では、 電気炉内でアーク放電を行い、 高回収率で単層カー ボンナノチューブを生成する方法が報告されている。 これらの報告書で は、 電子顕微鏡やラマン分光器で単層カーボンナノチューブを評価して おり、 反応管内でアーク放電を行った場合と比較して、 単層力一ポンナ ノチューブをより効率的に得ていることが確認されている。
しかし、 特開平 6 - 1 5 7 0 1 6号公報、 特開平 6 _ 280 1 1 6号 公報記載の炭素質材料の製造方法では、 得られた煤等の炭素質材料につ
いて精製処理を行わないため、 得られたサンプル中には、 金属触媒ゃァ モルファス状カーボンが、 依然として相当量含まれている。 従って、 単 層カーボンナノチューブの純度を高めるには、 得られた炭素質材料に対 して精製処理を行うことが必須であると考えられる。 特開平 8— 1 2 3 1 0号公報に記載されている炭素質材料の製造方法では、 得られた炭素 質材料について精製処理を行っているが、 精製処理は、 得られた炭素質 材料が反応管内から一旦取出され大気に曝された後に行われる。 金属触 媒は微粒子であるため、 このように大気に曝されるとすぐに表面が酸化 してしまい、 一度酸化してしまうと金属触媒の除去が困難となり、 触媒 等をほとんど含まない純度の高い単層力一ボンナノチューブを得ること は困難であった。
そこで本発明は、 純度の高い単層カーボンナノチューブを高効率で得 ることができる炭素質材料の製造方法及び製造装置を提供することを目 的とする。 発明の開示
上記目的を達成するために、 本発明は、 炭素質材料生成室を画成する 反応管内に炭素系材料で構成されたアノードと、 該アノードに対向し該 アノードとの間でァ一ク放電部を規定する炭素系材料で構成されたカソ 一ドとを配置し、 該アーク放電部は雰囲気ガスにさらされながら、 該ァ ノード及びカソード間に電圧を供給してアーク放電がなされ、 該アーク 放電部で炭素質材料が生成され、 該雰囲気ガスは該アーク放電部を通過 可能な該反応管内の所定方向に流される炭素質材料の製造方法において. 該雰囲気ガスの流れ方向において該アーク放電部の下流側の炭素質材料 捕獲器で、 該炭素質材料捕獲器を加熱しながら生成された炭素質材料を 回収する炭素質材料の製造方法を提供している。
ここで、 該雰囲気ガスは触媒ガスであることが好ましい。
又、 該アノードは、 触媒を含有しない炭素系材料で構成されているこ とが好ましい。
又、 該雰囲気ガスは、 有機ガスと触媒ガスとの混合ガスであることが 好ましい。
又、 該アノードは、 触媒を含有しない炭素系材料で構成されているこ とが好ましい。
又、 該雰囲気ガスは、 有機ガスであることが好ましい。
又、 該炭素質材料捕獲器の加熱を減圧下で行うことが好ましい。 又、 アーク放電と該炭素質材料捕獲器の加熱とを同時に行うことが好 ましい。
又、 アーク放電の際に該雰囲気ガスは、 該ァ一ク放電部の周囲であつ て該アノードと該カソードとを結ぶ方向に進む螺旋流にて流されること が好ましい。
又、 複数の種類の異なる該雰囲気ガスを、 それぞれ別個に独立して該 反応管内に供給し、 該反応管内で混合させて混合ガスの螺旋流とするこ とが好ましい。
本発明は、 更に、 炭素質材料生成室を画成する反応管と、 該反応管内 に配置された炭素系材料で構成されたアノードと、 該反応管内に該ァノ ードと対向して設けられ、 該アノードとの間でアーク放電部を規定する 炭素系材料で構成された力ソードと、 該アノード及び力ソード間にァ一 ク放電を発生させるために、 該アノード及び該カゾードに接続された電 流供給部とを備え、 該反応管には該アーク放電部に向って雰囲気ガスを 供給し所定方向に雰囲気ガスを流すための雰囲気ガス供給部が連通して 接続され、 該反応管内であって雰囲気ガスの流れ方向において該アーク 放電部の下流側には、 炭素質材料捕獲器が設けられた炭素質材料の製造
装置において、 該炭素質材料捕獲器の内部又は外部には、 該炭素質材料 捕獲器を加熱するための加熱器が設けられている炭素質材料の製造装置 を提供している。
ここで、 該反応管の内径は、 雰囲気ガスの流れを一方向のみに限定し、 該反応管内の雰囲気ガスの対流を防止できる程度に小さく構成されてい ることが好ましい。
又、 該雰囲気ガスは、 有機ガスと触媒ガスとの混合ガスであることが 好ましい。
又、 該アノードは、 触媒を含有しない炭素系材料で構成されているこ とが好ましい。
又、 該雰囲気ガスは触媒ガスであることが好ましい。
又、 該アノードは、 触媒を含有しない炭素系材料で構成されているこ とが好ましい。
又、 該雰囲気ガスは、 有機ガスであることが好ましい。
又、 該反応管は断面が略円形であり、 該雰囲気ガス供給部は、 該ァ一 ク放電部でのアーク放電により生成された炭素質素材を捕獲器方向に搬 送するために、 該反応管に接続されて該アーク放電部の上流側から該ァ ーク放電部に向ってガスを供給するガス供給管を有し、 該ガス供給管は, 該反応管の略接線方向に延びて設けられ、 該反応管内で螺旋流を生成す ることが好ましい。
又、 該ガス供給管は、 該反応管の略接線方向に連通接続され第 1のガ スを該反応管内に供給する第 1の管と、 該第 1の管とは別の位置に該反 応管の略接線方向に連通接続され第 2のガスを該反応管内に供給する第 2の管との少なくとも 2本で構成されることが好ましい。
又、 該第 1のガスを該第 1の管内において第 1の速度で流すための第 1のフローメータが該第 1の管に接続され、 該第 2のガスを第 2の管内
において第 1の速度とは異なる第 2の速度で流すための第 2のフローメ —夕が該第 2の管に接続されていることが好ましい。
又、 該第 1のガスは、 有機ガスであることが好ましい。
又、 該第 2のガスは、 触媒ガスであることが好ましい。
又、 該ガス供給管は、 該アーク放電部から該捕獲器へと向かう方向に 対して鋭角に延びて該反応管に接続されていることが好ましい。
又、 該反応管内に、 該反応管よりも径の小さい内管が該反応管と同軸 的に配置され、 該内管は、 少なくとも該ガス供給管が接続されている位 置に設けられていることが好ましい。
又、 該反応管のアーク放電部周囲の内周面断面積が、 他の部位の内周 断面積よりも小さい縮径部にて構成されていることが好ましい。
又、 該縮径部は該捕獲器の直前まで延び、 該捕獲器の直前にて該反応 管が拡径して構成されていることが好ましい。 図面の簡単な説明
第 1図は、 従来の炭素質材料の製造装置を示す概略図、 第 2図は、 本 発明の実施の形態による炭素質材料の製造装置を示す概略図、 第 3図は、 本発明の実施の形態による炭素質材料の製造装置の反応管の、 供給管が 設けられた部分を示す概略図、 第 4図は、 本発明の実施の形態による炭 素質材料の製造装置の反応管の、 縮径部を示す概略図、 第 5図は、 本発 明 1のラマンスペクトルを示すグラフ、 第 6図は、 比較例 1のラマンス ベクトルを示すグラフ、 第 7図は、 本発明の実施の形態の変形例の反応 管の、 供給管が設けられた部分を示す概略図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態による炭素質材料の製造方法及び製造装置につい
て第 2図乃至第 4図に基づき説明する。
炭素質材料の製造装置 1は、 主として単層カーボンナノチューブを製 造する。 第 2図に示されるように、 炭素質材料の製造装置 1は、 略筒状 の反応管 1 1及び電流供給部 1 2を有し、 反応管 1 1は、 略筒状をした 左側反応管 1 1 Aと右側反応管 1 1 Bとの 2つの部分から構成されてい る。 従って、 反応管 1 1は、 左側反応管 1 1 Aと右側反応管 1 1 Bとに 分離可能に構成されており、 後述の捕獲器 2 3から単層力一ボンナノチ ユーブを取出しやすい構造となっている。 反応管 1 1は石英からなり、 耐熱性に優れ、 化学的に安定な性質を持つ。
左側反応管 1 1 Aの内部には、 棒状のアノード 1 3と力ソード 1 4と が設けられている。 アノード 1 3及び力ソード 1 4は、 純粋なカーボン により構成されている。 アノード 1 3、 力ソード 1 4の直径は、 それぞ れ 1 0 mm、 1 5 mmである。 アノード 1 3と力ソード 1 4とは同一線 上に配置されており、 アノード 1 3の一端 1 3 Aと力ソード 1 4の一端 1 4 Aとは、 僅かな隙間を隔てて対向配置されている。 アノード 1 3の 他端 1 3 Bは、 電流供給部 1 2の正極に電気的に接続されており、 カソ ード 1 4の他端 1 4 Bは、 電流供給部 1 2の負極に電気的に接続されて おり、 アノード 1 3、 力ソ一ド 1 4に電流を供給することによって、 ァ ノード 1 3の一端 1 3 Aと力ソード 1 4の一端 1 4 Aとの間にアーク放 電を発生可能に構成されている。 図示せぬ切換スィッチにより、 電極の 極性を逆にすることもできるように構成されており、 アノード 1 3の位 置と力ソ一ド 1 4の位置とを逆にしてァ一ク放電を発生させることもで きるように構成されている。 アノード 1 3と力ソード 1 4とが互いに対 向する先端間でアーク放電部が規定される。 アーク放電部は、 左側反応 管 1 1 Aの軸方向の略中央に位置している。
アノード 1 3は、 単層カーボンナノチューブ等の炭素質材料を製造す
る際に炭素質材料の原料として用いられるため消耗する。 この消耗によ り、 アノード 1 3と力ソード 1 4との間の隙間が広がることによりァー ク放電が生じなくなってしまうことを防止するため、 アノード 1 3と力 ソ一ド 1 4との間の隙間は、 常に一定に保たれるように構成されている 即ち、 アノード 1 3の他端 1 3 Bは、 直線運動導入機構 1 6によって支 持されており、 アノード 1 3をアノード 1 3の長手方向に移動可能とし ている。 力ソード 1 4の他端 1 4 Bは、 力ソ一ド 1 4を移動不能に支持 する支持部材 1 5によって支持されている。
反応管 1 1の両端は、 反応管 1 1の端部を覆う蓋体 1 1 C、 1 1 Dが それぞれ設けられており、 反応管 1 1内を大気から遮断する。 反応管 1 1の両端は円形をしているため、 反応管 1 1の両端を覆う蓋体 1 1 C、 1 1 Dの形状も円形をしている。 反応管 1 1の一部であって、 蓋体 1 1 Cからアーク放電部の方へ少し寄った位置には、 ガスを反応管内に供給 するための供給管 1 7が設けられており、 供給管 1 7の内部は反応管 1 1の内部に連通している。
供給管 1 7は、 第 3図に示されるように、 左側反応管 1 1 Aの周面の 接線方向に延出して設けられている。 従って、 左側反応管 1 1 A内に供 給されるガスも、 反応管 1 1の接線方向から供給される。 このため、 供 給されたガスは、 第 3図に矢印で示されるように、 反応管 1 1内で螺旋 流となり、 螺旋流のままアーク放電部に供給されるように構成されてい る。
供給管 1 7の一部には、 流量制御手段たる供給管フローメ一夕 1 8 (第 2図) が設けられており、 反応管 1 1と接続されている供給管 1 7 の一端に対する他端には、 図示せぬガス供給部が設けられている。 図示 せぬガス供給部は、 不活性ガス、 又は触媒ガスと有機ガスとの混合ガス を選択的に供給可能に構成されている。 触媒ガスとしては、 具体的には
昇華した状態のフエ口センが使用される。 不活性ガスとしては、 へリウ ムガスが使用される。 有機ガスは、 アノードをなす力一ボンと共に、 生 成される単層カーボンナノチューブ等の炭素質材料の原料をなし、 メタ ンガス単体が使用される。 供給管フローメ一夕 1 8は、 供給管 1 7内を 流れ反応管 1 1内に供給される混合ガスの流速を調節可能に構成されて いる。 反応管 1 1内のガスの最大流量は 5 L /m i nである。
左側反応管 1 1 A内のアーク放電部に、 生成される炭素質材料の原料 たる有機ガスが供給されるため、 アノードが炭素質材料の原料として用 いられる比率が低くなり、 アノードの消耗を大幅に減じることができる, 又、 反応管 1 1内のアーク放電部に触媒ガスが供給されるため、 触媒と カーボンと混合してアノードを構成する必要がなくなり、 アノード製造 の手間とコストとを低減することができ、 単層力一ボンナノチューブ等 の炭素質材料を安価で容易に製造することができる。
又、 螺旋流のままアーク放電部にガスが供給されるため、 アーク放電 部において触媒ガスや有機ガスが均一に供給され、 均一な放電を得るこ とができ、 安定した質の炭素質材料の生成を確保することができる。 右側反応管 1 1 Bの一部であって蓋体 1 1 Dからアーク放電部の方へ 少し寄った位置には、 反応管内からガスを排出するための排出管 1 9が 設けられており、 排出管 1 9の内部は反応管 1 1の内部に連通している 排出管 1 9の一部には、 排出管フ口一メ一タ 2 0が設けられており、 反 応管 1 1と接続されている排出管 1 9の一端に対する他端には、 ポンプ 2 1が設けられている。 ポンプ 2 1は、 負圧によって反応管 1 1内部の ガスを吸引することによって、 反応管 1 1内部のガスを反応管 1 1内部 から排出可能に構成されている。 排出管フローメ一タ 2 0は、 ポンプ 2 1による吸引力を調節可能に構成されている。
円形をした蓋体 1 1 Dの中央には、 反応管 1 1の軸方向、 即ち、 ァ一
ク放電部に向かって延出する棒状の捕獲器支持部材 2 2が設けられてい る。 蓋体 1 1 Dと接続されている捕獲器支持部材 2 2の一端に対する他 端には、 アーク放電部で生成された単層カーボンナノチューブ等を含む 炭素質材料を捕獲するための捕獲器 2 3が設けられている。 捕獲器 2 3 は、 黒鉛ロッドからなり、 円柱形状をし、 その長手方向の一端が捕獲器 支持部材 2 2に接続されている。 捕獲器 2 3は、 右側反応管 1 1 B内部 であって右側反応管 1 1 Bの軸方向の略中央からアーク放電部寄りの所 定の位置までの部分に位置している。 この位置は、 供給管 1 7から供給 されるガスの流れに着目すれば、 アーク放電部よりも下流側であり、 こ れに対して供給管 1 7の設けられている位置は、 アーク放電部よりも上 流側である。 アーク放電部で生成される炭素質材料には、 W e b状サン プル、 アモルファス状カーボン、 黒鉛、 触媒が含まれるが、 この順に密 度が大きくなる。 この密度の違いに着目し、 ガスの流量を適当な値とす ることにより、 下流側に設けられた捕獲器 2 3で W e b状サンプルのみ を選択的に得ることができるように構成されている。 捕獲器 2 3に捕獲 された単層カーボンナノチューブを取出す際には、 左側反応管 1 1 Aと お側反応管 1 1 Bとを分割して取り出すことができるように構成されて いる。
右側反応管 1 1 B内部の捕獲器 2 3に捕獲された炭素質材料を加熱す るために、 捕獲器 2 3が設けられている位置に対して、 右側反応管 1 1 Bの外周を巻回するように R Fヒーター 2 4が設けられている。 捕獲さ れた炭素質材料を、 捕獲器 2 3に捕獲されたままの状態で、 R Fヒータ 一 2 4により加熱することができるため、 得られた炭素質材料を大気に 曝すことなく精製処理することができる。 このため、 触媒に含まれる F e等の不純物を酸化することなく除去することことができ、 且つ、 結晶 性の悪い単層カーボンナノチューブを再配列し結晶性の良い単層カーボ
ンナノチューブとすることができ、 炭素質材料中の単層カーボンナノチ ユーブの比率を、 効率よく高めることができる。
反応管 1 1の径は、 第 2図及び第 4図に示されるように、 全ての部分 において均一となってはおらず、 部分的に径の小さい縮径部 1 1 Eを有' している。 即ち、 反応管 1 1の左端部からアーク放電部に向かって供給 管 1 7の設けられている位置を過ぎた辺りまでは、 径の大きい大径部 1 1 Fが同一径で続いているが、 この位置から、 径の小さな縮径部 1 1 E となりアーク放電部に至り、 ガスの流れ方向下流側の捕獲器 2 3が設け られている直前まで縮径部 1 1 Eは続く。 縮径部 1 1 Eとなっている部 分はその区間内で同一径である。 捕獲器 2 3の直前から再び反応管 1 1 の左端部と同一の大径部 1 1 Gとなり、 排出管 1 9の設けられている位 置を過ぎて反応管 1 1の右端部へと至る。 この大径部 1 1 Gも区間内で は同一径である。 縮径部 1 1 Eの径は、 3 0 mmであり、 大径部 1 1 F 1 1 Gの径は 5 0 mmである。 このように、 大径部 1 1 F、 1 1 G、 縮 径部 1 1 Eは、 反応管内の雰囲気ガスの対流を防止できる程度に小さく 構成されている。
又、 アーク放電部の位置において反応管 1 1の径が細い縮径部 1 1 E となっており、 縮径部 1 1 Eの断面積が、 供給管 1 7の設けられている 大径部 1 1 Fの断面積よりも小さいため、 原料ガスたる有機ガスを第 4 図の矢印に示されるように、 効率的にアーク放電部に収束させることが でき、 安定した原料ガスの供給を行うことができる。 このため、 アーク 放電部で有機ガスが希薄になることを防ぐことができ、 安定した放電が 可能となり、 安定して炭素質材料を生成することができる。
又、 アーク放電部を過ぎて捕獲器 2 3の直前まで縮径部 1 1 Eとなつ ているため、 反応管 1 1内を流れるガス流速を高めることができ、 ァー ク放電部と捕獲器 2 3との間の反応管 1 1の内周面部分に、 生成した炭
素質材料が付着してしまうのを極力防ぐことができ、 効率よく捕獲器 2 3にて炭素質材料を捕獲することができる。
又、 捕獲器 2 3の直前の位置において大径部 1 1 Gとなっており、 捕 獲器 2 3の周囲を流れるガスの流速を低下させることができるため、 生 成した炭素質材料が捕獲器 2 3に捕獲されずに通過してしまうのを極力 防ぐことができる。
次に、 単層カーボンナノチューブ等の炭素質材料の製造方法について 説明する。 炭素質材料の製造に先立ち、 先ず、 アノード 1 3が製造され る。 即ち、 力一ボン塊を棒状に削り、 アノード 1 3、 力ソード 1 4のそ れぞれの形状とする。
次に、 アノード 1 3、 力ソード 1 4を直線運動導入機構 1 6、 支持部 材 1 5にそれぞれセットし、 一旦、 反応管 1 1内を 1 0 1 P a以下に真 空引きする。 そして、 反応管 1 1内部に、 図示せぬガス供給部から供給 管を介して不活性ガスを供給し、 反応管 1 1内を約 6 6 . 7 k P a ( 5 O O T o r r ) にする。 その後、 不活性ガスの供給を止め、 アーク放電 部においてアーク放電を発生させ、 図示せぬガス供給部から触媒ガスと 有機ガスとの混合ガスを供給し、 これと同時に、 ポンプ 2 1を動作させ て反応管 1 1内のガスを排出し、 反応管 1 1内にガスの流れを生じさせ る。 混合ガス中の触媒ガスの比率は、 触媒ガスが 5 0 w t %である。 こ の間、 反応管 1 1内の気圧は約 6 6 · 7 k P aに保たれ、 アーク放電を 行う時間は 3 0分間である。 このときガスは、 供給管 1 7から左側反応 管 1 1 Aの内周面接線方向に供給されるため、 反応管 1 1内部、 特にァ —ク放電部において螺旋流となっている。 又、 アーク放電部の位置にお いては反応管 1 1の径が小さい縮径部 1 1 Eとなっているため、 原料ガ スたる有機ガスと触媒ガスとの混合ガスを効率的にアーク放電部に収束 させている。 この状態で、 単層カーボンナノチューブ等を含む炭素質材
料がァ一ク放電部において生成され、 有機ガスと触媒ガスとの混合ガス の流れによって捕獲器 2 3へと搬送される。
アーク放電が終了した後に、 反応管 1 1内を 1 0—1 P a以下に真空 引きし、 この状態で、 捕獲器 2 3によって捕獲された炭素質材料を、 R Fヒータ一 2 4によって加熱する。 加熱温度、 時間は、 1 1 0 0 °Cで 3 0分間である。 以上の製造工程によって、 純度の高い単層カーボンナノ チューブが、 高効率で製造される。
次に、 本発明による炭素質材料の製造方法及び製造装置について実験 を行った。 実験は、 本発明による炭素質材料の製造方法及び製造装置に より製造された炭素質材料である本発明 1〜6と、 比較例により製造さ れた炭素質材料である比較例 1、 2とを比較することにより行った。
本発明 1は、 本実施の形態による炭素質材料の製造方法及び製造装置 とほぼ同一の条件により製造されており、 次の条件のみが異なっている < アノードを直径 6 mm、 金属粉末と炭素とからなり組成が N i = 4 . 2 %、 Y = 1 . 0 %、 C = 9 4 . 8 %であるコンポジットロッドとした t 又、 ァ一ク放電を発生する前に、 チャンパ一内を 1 0— 1 P a以下に真 空引きした後に H eガスを導入して反応管 1 1内の気圧を 6 6 . 7 k P aとした。 この気圧を維持した状態で、 H eガスを毎分 5 Lの流速で反 応管 1 1内をフローさせた。 この状態下で、 アノード 1 3、 力ソード 1 4の両電極間に 1 5 0 Aの直流電流を加えアークを 2分間発生させた。 電極間の距離は、 電極間の電位差が 4 5〜5 0 Vになるように保持した 従って、 本発明 1でも本発明の実施の形態と同様に、 アーク放電が終 了した後、 チャンバ一内を 1 0—1 P a以下に保持し、 R Fヒータ一 2 4からの高周波により捕 ¾器 2 3を 1 1 0 0 °Cまで昇温し、 3 0分間保 持した。
本発明 2は、 反応管 1 1内を流れる H eガスの流速を毎分 0 . 5 Lに
した点を除き、 本発明 1を製造した条件と同一の条件により製造された ( 本発明 3は、 電極間に 2 0 OAの直流電流を加えた点を除き、 本発明 1 を製造した条件と同一の条件により製造された。 本発明 4は、 アーク放 電が終了した後に、 真空引きせずに H eガスの圧力を反応管内で 6 6. 7 k P aとしたままで、 RFヒータ一 24からの高周波により捕獲器 2 3を 1 1 0 0°Cまで昇温し 30分間保持した点を除き、 本発明 1を製造 した条件と同一の条件により製造された。
本発明 5は、 アノード電極を、 金属粉末と炭素とからなり組成が C o = 1. 2 %、 N i = 1. 2 %、 C= 9 7. 6 %であるコンポジットロッ ドとした点以外は、 本発明 1を製造した条件と同一の条件により製造さ れた。 本発明 6は、 アノード電極を、 金属粉末と炭素とからなり組成が C o = 1. 2 %、 N i = 1. 2 %、 C= 9 7. 6 %であるコンポジット ロッドとし、 アーク放電が終了した後に、 真空引きせずに Heガスの圧 力を反応管内で 6 6. 7 k P aとしたままで、 RFヒー夕一 24からの 高周波により捕獲器 2 3を 1 1 00°Cまで昇温し 3 0分間保持した点を 除き、 本発明 1を製造した条件と同一の条件により製造された。
比較例 1は、 捕獲器 2 3上に堆積した炭素質材料を、 加熱処理を行わ ずに回収した点を除き、 本発明 1を製造した条件と同一の条件により製 造された。 比較例 2は、 アノード電極を、 金属粉末と炭素とからなり組 成が C o = l . 2 %、 N i = 1. 2 %、 C = 9 7. 6 %であるコンポジ ットロッドとし、 捕獲器 2 3上に堆積した炭素質材料を、 熱処理を行わ ずに回収した点を除き、 本発明 1を製造した条件と同一の条件により製 造された。
本発明 1〜4及び比較例 1と、 本発明 5、 6及び比較例 2とは、 炭素 質材料の製造装置のアノードの組成が異なるため、 本発明 1〜4の比較 の対象は比較例 1であり、 本発明 5、 6の比較の対象は比較例 2である,
これら本発明 1〜6、 比較例 1、 2により生成された炭素質材料を、 熱 重量分析装置にかけて評価した。 熱重量分析 (TGA分析) は、 パ一キ ンエルマ一社製、 P y r i s 1 TGAを用いて行った。 分析用試料 をアルミナ製パンにセットし、 毎分 30m 1の流速で乾燥空気を流しな がら、 昇温速度を毎分 5°Cとして 1 0 5°Cまで加熱し、 この温度で 1時 間保持し試料中の水分を除去した。 続けて昇温速度を毎分 5 °Cとして 9 0 0°Cまで加熱した。 1 0 5 °Cで 1時間保持した後の重量を基準として, その後昇温させていったときの重量変化を評価した。 炭素質材料の炭素 は空気中での加熱により酸化されてしまうが、 触媒金属や金属の酸化物 は 9 00 °Cまで加熱した後にも残存する。 加熱後の残存量は、 得られた 炭質質材料に含まれる触媒金属や金属酸化物の量を表している。
実験を行った結果、 残存量は、 本発明 1が 7. 5 w t %、 本発明 2が 6. 4w t %、 本発明 3が 4. 8 w t %、 本発明 4が 2 0. lw t %、 比較例 1が 30. 2 w t %であった。 又、 本発明 5が 1. 3w t %、 本 発明 6が 5. 0 w t %、 比較例 2が 1 1. 2 w t %であった。 本発明 1 〜 4と比較例 1との比較においても、 本発明 5、 6と比較例 2との比較 においても、 残存量は本発明の方が比較例よりも少なくなつており、 捕 獲器 2 3に捕獲された炭素質材料を加熱処理することにより、 炭素質材 料中の金属や金属酸化物が蒸発、 飛散していることが分かる。 又、 本発 明 1、 2、 3と本発明 4との比較、 あるいは、 本発明 5と本発明 6との 比較を行うと、 前者では本発明 4の残存量が、 後者では本発明 6の残存 量が格段に多くなつているのが分かる。 これより、 真空引きした状態下 で、 捕獲器 23に捕獲された炭素質材料を加熱することにより、 炭素質 材料中の金属や金属酸化物の蒸発、 飛散が促進され、 金属や金属酸化物 の除去がより効果的になることが分かる。
又、 本発明 1、 比較例 1についてラマン分光分析を行ったところ、 第
5図、 第 6図に示されるように、 いずれについても単層カーボンナノチ ュ一ブの B r e a t h i n g mo d eによるピークが 1 80 c m_ 1 付近に現れている。 従って、 本発明 1、 比較例 1共に、 得られた炭素質 材料中に単層カーボンナノチューブが存在していることが確認できたが, 第 5図と第 6図とを比較すると、 第 5図の方が単層カーボンナノチュー ブの B r e a t i n g mo d eに対応するピークが強く現れており、 本発明 1では、 得られた炭素質材料を加熱している間に、 単層カーボン ナノチューブの成長が進行していることが分かる。
一方、 本発明 1、 比較例 1共に、 不純物たるアモルファス状カーボン による Dバンドが 1 3 5 0 c m—1付近に現れている。 第 6図に比べる と、 第 5図の方が、 アモルファス状カーボンに対応するピーク、 即ち D バンドが小さくなつている。 従って、 本発明 1では、 得られた炭素質材 料を加熱したことにより、 炭素質材料の乱れた結晶配向が規則的な結晶 配向へと変化したことが分かる。
本発明による炭素質材料の製造方法及び製造装置は上述した実施の形 態に限定されず、 特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が 可能である。 例えば、 本実施の形態では、 触媒ガスと有機ガスとの混合 ガスとしたが、 He、 A r等の不活性ガスと触媒ガスとの混合ガスとし てもよく、 触媒ガスと有機ガスと不活性ガスとの混合ガスとしてもよい' 又、 触媒ガスとして、 フエ口センを昇華させたものを用いたが、 フエ 口センに代えてフエ口セン以外の他のメタ口セン、 即ち、 フエ口セン中 の F eに代えて N iを有する二ッケロセンや、 F eに代えて C oを有す るコノ ソレトセン (B i s (e y e l o p e n t a d i e n y l ) c o b a 1 t ) 等を用いてもよく、 又、 これらを混合したもの、 例えば、 フエ 口センと二ッケロセンとを混合したもの等を用いてもよい。
又、 アノード 1 3、 力ソード 14は純粋なカーボンにより構成された
が、 予め F e、 N i、 C o等の触媒を含有しているような材料を用いて アノードを製造する場合には、 これらの触媒をカーボンロッドからわざ わざ除去する必要はなく、 そのまま使用してよい。
又、 反応管内に供給される有機ガスとしては、 メタンガス単体を用い たが、 メタン、 ェタン、 ブタン等のアルカン類のガスの単体または混合 物でもよい。 これらが特に好ましいが、 これらに代えて、 アルゲン類、 アルキン類、 芳香族等の有機ガスの単体又は混合物を用いることができ る。
又、 不活性ガスとしては、 ヘリゥムガスに代えてアルゴンガス、 ネオ ンガス等を用いてもよい。
又、 混合ガスの比率は、 触媒ガスを 50 w t %としたが、 4〜5 0 % の範囲内であればよい。
又、 反応管 1 1は石英により構成されたが、 SUS 304、 SUS 3 1 6、 タンタル、 モリブデン等により構成されてもよい。 即ち、 溶接可 能であり、 耐熱性が高く、 化学的に安定であり、 高周波の影響を受けな い物質であればよい。 又、 反応管 1 1の一部であってアーク放電部周辺 の位置のみをこれらの物質で構成するようにしてもよい。
又、 RFヒーター 24に代えて電気炉又は赤外炉を設けて、 捕獲器 2 3に捕獲された単層カーボンナノチューブを含む炭素質材料の加熱を行 つてもよい。
又、 R Fヒーター 24による加熱をアーク放電が終了してから行った が、 アーク放電を行うのと同時に加熱してもよい。 このようにすること によって、 単層カーボンナノチューブ等の炭素質材料を短時間で製造す ることができる。
又、 アーク放電が行われているときの反応管 1 1内の気圧を 66. 7 k P a ( 50 0 T o r r ) としたが、 約 1 3. 3〜3 3 3. 3 k P a
( 1 0 0〜2 5 0 0 T o r r ) の範囲内であればよい。
又、 ガスを供給する供給管 1 7を反応管 1 1に 1つだけ設けたが、 第 7図に示されるように、 複数接線方向に設けてもよい。 この場合でも、 供給管を、 アーク放電部よりもガスの流れ方向上流側の位置に設ける。 さらに、 複数の種類の異なるガスを、 それぞれ別個に独立して各供給管 から反応管内に供給するようにして、 反応管内で複数のガスを混合する ようにしてもよい。 又、 各供給管にはそれぞれフローメータを設けて、 各供給管から供給されるガスの流速をそれぞれ速度 V 1、 速度 V 2とし て異なるようにすれば、 反応管内で発生する混合ガスの螺旋流を強力に することができ、 第 1の管で第 1のガスを、 第 2管で第 2のガスを流す といったことが可能となるので、 両者の配合の制御が容易となるばかり か、 反応管にガスを導入する前に第 1のガスと第 2のガスとを混合させ ておくという手間を省略できる。 更に、 第 1のガスと第 2のガスとが混 ざり易くなり、 混合ガスの均質性を高めることができる。
又、 ガスを供給する供給管 1 7は、 反応管 1 7の周面の接線方向に延 出して設けられていたが、 このことに加えて、 アーク放電部から捕獲器 へと向かう方向に対して鋭角に延びて反応管に接続されるようにしても よい。 このようにすれば、 反応管内で発生する混合ガスの螺旋流の、 下 流方向への流速を速くすることができる。
又、 上述した混合ガスの螺旋流をより良好に形成するために、 反応管 よりも径の小さい内管が、 反応管内に反応管と同軸的に配置されていて もよい。 この内管は、 少なくとも供給管が設けられている位置に設けら れる。
又、 反応管 1 1の縮径部 1 1 Eを、 アーク放電部の位置から捕獲器 2 3の直前までの位置としたが、 アーク放電部の位置のみを縮径部として もよい。
又、 反応管 1 1の一部であって捕獲器 2 3の周辺を大径部 1 1 Gとし たが、 この部分も縮径部として、 縮径部 1 1 Eを右側反応管 1 1 B全体 に延長するような形状にしてもよい。
又、 捕獲器 2 3に捕獲された炭素質材料の加熱を真空下で行ったが、 減圧下で行ってもよく、 又、 真空下、 減圧下以外の状態で行ってもよい, 又、 反応管 1 1のアーク放電部近傍には、 アーク放電の状態を監視す るための窓を設けてもよい。
又、 ガスを供給する供給管 1 7は、 反応管 1 7の周面の接線方向に延 出して設けられていたが、 どの様な方向に延出するようにしてもよい。 又、 反応管 1 1に縮径部 1 1 Eを設けたが、 縮径部を設けなくてもよ い。
又、 アーク放電部に触媒ガスと有機ガスとの混合ガスを供給するよう にしたが、 この混合ガスに代えて、 不活性ガスのみを供給するようにし てもよい。 伹し、 この場合には、 アノードを、 従来の炭素質材料の製造 装置のアノード 1 1 3と同様に、 触媒を混入させた炭素電極とする必要 がある。
請求の範囲 1記載の炭素質材料の製造方法によれば、 雰囲気ガスがァ ーク放電部を通過可能な所定方向に流されるので、 アーク放電部で生成 された炭素質材料は所定方向に搬送され、 反応管内の任意の壁面に付着 することが防止され、 アーク放電部の下流側の炭素質材料捕獲器で確実 に回収できる。 そして炭素質材料捕獲器が加熱されるので、 捕獲器に付 着した炭素質素材が加熱され、 単層カーボンナノチューブの成長を進行 させることができ、 結晶性の悪い単層力一ボンナノチューブを再配列さ せ結晶性の良い単層カーボンナノチューブとすることができ、 炭素質材 料中の単層カーボンナノチューブの比率を、 効率よく高めることができ る。
請求の範囲 2記載の炭素質材料の製造方法によれば、 雰囲気ガスは触 媒ガスであるため、 アノードを触媒を含有させずに製造することができ る。 よって、 従来のように粉碎カ一ボンと粉体状の触媒とを混合、 成形. 焼成、 加工してアノードを製造するという手間が大幅に縮減され、 これ らの製造が簡単となる。
請求の範囲 3、 5記載の炭素質材料の製造方法によれば、 アノードは 触媒を含有しない炭素系材料で構成されているので、 アノードを触媒を 含有しない炭素質材料のみ、 例えばグラフアイト棒等で製造することが できる。
請求の範囲 4記載の炭素質材料の製造方法によれば、 雰囲気ガスは有 機ガスと触媒ガスとの混合ガスであるため、 アーク放電による炭素の消 費が有機ガスによって補われるので、 アノードの消費量が減り、 長期に 亘つてのアーク放電が可能となり、 且つ、 アノードを触媒を含有させず に製造することができる。
請求の範囲 6記載の炭素質材料の製造方法によれば、 雰囲気ガスは有 機ガスであるため、 アーク放電による炭素の消費が有機ガスによって補 われるので、 アノードの消費量が減り、 長期に亘つてのアーク放電が可 能となる。
請求の範囲 7記載の炭素質材料の製造方法によれば、 炭素質材料捕獲 器の加熱を減圧下で行うので、 得られた炭素質材料を大気に曝すことな く精製処理することができる。 このため、 捕獲器に蓄積している炭素質 材料中の触媒の昇華速度を早めることができ、 触媒等の不純物を酸化す ることなく除去することことができ、 より効率的な回収が可能となる。 請求の範囲 8記載の炭素質材料の製造方法によれば、 アーク放電と炭 素質材料捕獲器の加熱が同時になされるので、 炭素質材料の生成と、 そ の回収が同時に実行でき、 炭素質材料の製造速度を高めることができる <
請求の範囲 9記載の炭素質材料の製造方法によれば、 アーク放電の際 に、 雰囲気ガスをアーク放電部の周囲であってアノードとカソードとを 結ぶ方向に進む螺旋流にて供給するため、 アーク放電部に均一にガスを 供給することができ、 又、 アーク放電部で生成された炭素質材料を効率 よく捕獲器に搬送することができる。
請求の範囲 1 0記載の炭素質材料の製造方法によれば、 複数の種類の 異なる雰囲気ガスを、 それぞれ別個に独立して反応管内に供給し、 反応 管内で混合させて混合ガスの螺旋流としたため、 複数の種類の異なるガ スを予め混合する工程を省くことができる。
請求の範囲 1 1記載の炭素質材料の製造装置によれば、 炭素質材料捕 獲器の内部又は外部には、 炭素質材料捕獲器を加熱するための加熱器が 設けられているため、 炭素質材料捕獲器が加熱されるので、 捕獲器に付 着した炭素質素材が加熱され、 結晶性の悪い単層カーボンナノチューブ を再配列し結晶性の良い単層カーボンナノチューブとすることができ、 炭素質材料中の単層カーボンナノチューブの比率を、 効率よく高めるこ とができる。
請求の範囲 1 2記載の炭素質材料の製造装置によれば、 反応管の内径 は小さく構成されているため、 雰囲気ガスの流れを一方向のみに限定し. 反応管内の雰囲気ガスの対流を防止することができる。
請求の範囲 1 3記載の炭素質材料の製造装置によれば、 雰囲気ガスは 有機ガスと触媒ガスとの混合ガスであるため、 アーク放電による炭素の 消費が有機ガスによって補われるので、 アノードの消費量が減り、 長期 に亘つてのアーク放電が可能となり、 且つ、 アノードを触媒を含有させ ずに製造することができる。
請求の範囲 1 4、 1 6記載の炭素質材料の製造装置によれば、 ァノ一 ドは触媒を含有しない炭素系材料で構成されているので、 アノードを触
媒を含有しない炭素質材料のみ、 例えばグラフアイト棒等で製造するこ とができる。
請求の範囲 1 5記載の炭素質材料の製造装置によれば、 雰囲気ガスは 触媒ガスであるため、 アノードを触媒を含有させずに製造することがで きる。 よって、 従来のように粉碎カーボンと粉体状の触媒とを混合、 成 形、 焼成、 加工してアノードを製造するという手間が大幅に縮減され、 これらの製造が簡単となる。
請求の範囲 1 7記載の炭素質材料の製造装置によれば、 雰囲気ガスは 有機ガスであるため、 アーク放電による炭素の消費が有機ガスによって 補われるので、 アノードの消費量が減り、 長期に亘つてのアーク放電が 可能となる。
請求の範囲 1 8記載の炭素質材料の製造装置によれば、 反応管は断面 が略円形であり、 ガス供給管は、 反応管の略接線方向に延びて設けられ、 反応管内で螺旋流を生成するため、 アーク放電部で生成された炭素質材 料を効率よく捕獲器に搬送することができる。
請求の範囲 1 9記載の炭素質材料の製造装置によれば、 ガス供給管は、 少なくとも第 1の管と第 2の管とにより複数設けられているので、 反応 管内で発生する混合ガスの螺旋流が強力となる。 また、 第 1の管で第 1 のガスを、 第 2の管で第 2のガスを流すので、 両者の配合の制御が容易 となるばかりか、 反応管にガスを導入する前に第 1のガスと第 2のガス とを混合させておくという手間を省略できる。
請求の範囲 2 0記載の炭素質材料の製造装置によれば、 反応管内に導 入された第 1のガスの流速と第 2のガスの流速とを異なるようにするこ とができるので、 反応管内で発生した螺旋流において、 第 1のガスと第 2のガスとが混ざり易くなり、 混合ガスの均質性を高めることができる c 請求の範囲 2 1記載の炭素質材料の製造装置によれば、 第 1のガスは
有機ガスであるため、 有機ガスと他のガスとの混合を容易にすることが できる。
請求の範囲 2 2記載の炭素質材料の製造装置によれば、 第 2のガスは 触媒ガスであるため、 触媒ガスと他のガスとの混合を容易にすることが できる。
請求の範囲 2 3記載の炭素質材料の製造装置によれば、 ガス供給管が アーク放電部から捕獲器へと向かう方向に対して鋭角に延びて反応管に 接続されているため、 反応管内で発生する混合ガスの螺旋流の、 下流方 向への流速が速くなる。
請求の範囲 2 4記載の炭素質材料の製造装置によれば、 反応管内に、 反応管よりも径の小さい内管が反応管と同軸的に配置され、 内管は、 少 なくともガス供給管が接続されている位置に設けられているため、 径の 略均一な螺旋流とすることができ、 螺旋流を強力にすることができる。 請求の範囲 2 5記載の炭素質材料の製造装置によれば、 反応管のァー ク放電部周囲の内周面断面積が、 他の部位の内周断面積よりも小さい縮 径部にて構成されているので、 反応管内に導入されたガス流が、 効率的 にァ一ク放電部に収束でき、 炭素質材料の生成を効率的に行うことが可 能となる。 また生成された炭素質材料が反応管内で任意方向に飛散する ことなく、 所定方向に移動し、 その回収を容易にすることができる。 請求の範囲 2 6記載の炭素質材料の製造装置によれば、 反応管の縮径 部は捕獲器の直前まで延びているので、 アーク放電部で生成された炭素 質材料は、 捕獲器に至る途中でその運動性を失って反応管の内周面に付 着する可能性を低減できる。 また反応管は捕獲器直前で拡径されている ので、 生成された炭素質材料は、 捕獲器の直前でその移動速度が低下し 捕獲器にて効率的に回収することができる。