JP4693463B2 - 二層カーボンナノチューブを製造するための触媒とこれを用いる二層カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

二層カーボンナノチューブを製造するための触媒とこれを用いる二層カーボンナノチューブの製造方法 Download PDF

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本発明は、二層カーボンナノチューブを製造するための触媒とこれを用いる二層カーボンナノチューブの製造方法に関し、詳しくは、アーク放電法によって、電界放出(フィールドエミッション)特性にすぐれる二層カーボンナノチューブを選択的に製造することができる触媒と、このような触媒を用いる二層カーボンナノチューブを製造する方法に関する。更に、本発明は、このようにして得られる二層カーボンナノチューブからなる電子放出材料に関する。
カーボンナノチューブは、グラファイトからなるシート(以下、グラファイト層という。)が内部が中空の円筒状に巻かれた構造を有する炭素物質であり、上記グラファイト層からなる円筒の直径は1〜30nm程度である。このようなカーボンナノチューブは、通常、円筒構造が一層の単層ナノチューブ(例えば、特許文献1参照)と二層以上のグラファイト層が同心円状に重なった多層ナノチューブ(例えば、特許文献2参照)とに分けられ、その特異な構造や特性等から種々の分野で応用化の研究が進められている。特に、カーボンナノチューブは、電界放出(フィールドエミッション)特性を有し、この特性を利用したディスプレイ用の電子放出材料等として、従来、注目されている。
しかし、この電子放出材料として、単層ナノチューブは、初期特性にはすぐれるものの、耐久性が低く、他方、多層ナノチューブは、耐久性にはすぐれるものの、電子放出電圧が高く、いずれも実用上問題があった。これに対し、二層ナノチューブは、単層ナノチューブと同等の低い電圧で電子を放出し、しかも、寿命も長く、耐久性にすぐれるので、電界放出ディスプレイの実用化のための新素材として注目されている。
このような背景の下で、その層数を制御できるカーボンナノチューブの製造方法が求められており、最近、二層ナノチューブの選択的な製造方法が幾つか見出されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
従来、カーボンナノチューブの製造方法は、種々のものが知られているが(例えば、非特許文献1参照)、基本的には、炭素を(場合によっては触媒と共に)気相中で蒸発させ、これを凝縮させることによって得ることができる。具体的には、例えば、パルスレーザーを用いるレーザー蒸発法、炭素電極間で直流、交流、パルス等のアーク放電を起こして、陽極から炭素を蒸発させるアーク放電法、炭素源をガスとして高温の炉の中に導入する気相法等が知られている。
このような方法によれば、カーボンナノチューブは、アモルファスカーボン、グラファイト状のナノパーティクル、触媒に用いた金属の微粒子等と混じった煤に含まれる物質として得られる。但し、カーボンナノチューブそれ自体も、外見は、煤状の物質である。
しかし、上述したような二層カーボンナノチューブを製造するための従来の方法によれば、触媒として、ニッケル、コバルト、イットリウム等の高価な金属やパラジウム、白金等の貴金属を主成分とするものを用いる必要があり(例えば、特許文献5参照)、更に、反応後は、これらの金属成分が得られたナノチューブに混入して、その耐熱性や電界放出特性等の物性を低下させる原因となっているが、通常、このような金属成分を酸処理等で取り除くことは容易ではなく、また、繰り返し酸処理を行って、金属成分を相当に取り除いた場合には、ナノチューブ自体の損失も生じて、その収率が大幅に低下し、更には、ナノチューブの電界放出特性等の特性も低下する問題があった。
特開平08−091816号公報 特開平05−146592号公報 特表平02−503334号公報 特開2003−034515号公報 特開2000−095509号公報 「稲倉秀樹、「カーボンナノチューブ」、マテリアルインテグレーション((株)ティー・アイ・シー発行)、第17巻第6号第11〜14頁、2004年)
本発明は、カーボンナノチューブの製造における上述した問題を解決するためになされたものであって、電界放出特性にすぐれる二層ナノチューブを高い選択性と収率にて製造することができる方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、このような方法によって製造された二層カーボンナノチューブからなる電子放出材料を提供することを目的とする。
本発明によれば、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素1モル部に対して、亜鉛、銅及びスズから選ばれる少なくとも1種の典型元素0.01〜5モル部及び硫黄0.01〜5モル部からなる二層カーボンナノチューブを製造するための触媒が提供される。
また、本発明によれば、上記触媒を炭素と共に水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種と不活性ガスとからなる雰囲気中で蒸発させた後、凝縮させることを特徴とする二層カーボンナノチューブの製造方法が提供される。
特に、本発明の好ましい態様として、真空反応容器中において、前記触媒と炭素とを含む陽極を炭素からなる陰極と対向させ、水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種と不活性ガスとからなる雰囲気中で上記陽極と陰極との間にアーク放電させ、上記陽極を蒸発させた後、凝縮させることを特徴とする二層カーボンナノチューブの製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上述した方法によって得られた二層カーボンナノチューブからなる電子放出源が提供される。
本発明による触媒は、好ましい態様によれば、遷移金属として鉄を用い、これにある種の典型元素と硫黄とを組合わせてなるものであるので、低廉でありながら、二層カーボンナノチューブを選択的に高い収率にて得ることができる。しかも、本発明に従って、このような触媒を用いて得られる二層カーボンナノチューブは、耐熱性にすぐれており、加熱による損失(減少)や特性の劣化が少ないので、例えば、ディスプレイ用の電子放出材料として、好適に用いることができる。
しかも、二層ナノチューブを含む煤を酸で処理することによって、煤中に混入している上記金属成分を容易に溶解させ除去することができるので、ナノチューブの損失やその特性の劣化なしに、酸による金属成分の除去と空気中でのアモルファスカーボンの燃焼、除去によって、得られた二層ナノチューブを容易に精製することができる。更に、電界放出ディスプレイの製造には、基盤を数百度の温度で焼成する工程が含まれるが、このような場合においても、本発明による方法で得られる二層カーボンナノチューブは、特性の劣化が少ない。
本発明による二層カーボンナノチューブを製造するための触媒は、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素1モル部に対して、亜鉛、銅及びスズから選ばれる少なくとも1種の典型元素0.01〜5モル部及び硫黄0.01〜5モル部からなる。好ましくは、本発明による触媒は、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素1モル部に対して、亜鉛、銅及びスズから選ばれる少なくとも1種の典型元素は0.05〜3モル部、特に好ましくは、0.1〜1モル部の範囲であり、硫黄は0.05〜3モル部、特に好ましくは、0.1〜1モル部の範囲である。
本発明によれば、触媒を構成する上記遷移金属元素と典型元素と硫黄からなる触媒は、成分の一部又は全部が硫化物の形であってもよい。
また、本発明によれば、特に、上記遷移金属元素のなかでは、鉄が好ましく、上記典型元素のなかでは、亜鉛と銅が好ましく、なかでも、亜鉛が好ましい。従って、特に、本発明によれば、鉄1モル部に対して、亜鉛と銅から選ばれる少なくとも1種か、又は亜鉛0.05〜1モル部及び硫黄0.05〜1モル部からなる触媒が好ましく、鉄1モル部に対して、亜鉛と銅から選ばれる少なくとも1種か、又は亜鉛0.1〜0.5モル部及び硫黄0.1〜0.5モル部からなる触媒が最も好ましい。この場合において、鉄に対して、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種を合計にて90モル%までの範囲で鉄と共に併用してもよい。
本発明によれば、上記触媒を炭素と共に水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種と不活性ガスとからなる雰囲気中で蒸発させた後、凝縮させることによって、二層カーボンナノチューブを選択的に得ることができる。
上記不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が用いられるが、なかでも、アルゴンが好ましく用いられる。また、炭化水素としては、常温でガス状のものであれば、特に、炭素原子数が1〜4のものであれば、飽和、不飽和を問わず、どのような炭化水素でも用いられるが、例えば、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、アセチレン等を挙げることができる。しかし、本発明によれば、特に、アルゴンと水素からなる雰囲気が好ましく用いられる。水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種/不活性ガスの割合は、通常、水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種、好ましくは、水素が10〜100容量%の範囲である。また、雰囲気圧は、通常、100〜760Torrの範囲である。
本発明の好ましい態様によれば、真空反応容器中において、前記触媒と炭素とを含む陽極を炭素からなる陰極と対向させ、水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種と不活性ガスとからなる雰囲気中、所定の圧力下に上記陽極と陰極との間にアーク放電させ、上記陽極を蒸発させた後、気相中で凝縮させることによって、二層カーボンナノチューブを選択的に得ることができる。
図1は、上述したような方法によって二層カーボンナノチューブを得るために好適に用いることができる真空反応装置を示す。この真空反応装置においては、反応容器1内に前述した触媒と炭素とを含む陽極2と炭素からなる陰極3とが対向して配置されていて、上記陽極は、好ましくは、グラファイトからなり、陰極との対向面から中心軸に沿って孔を穿設されており、この孔のなかに前記触媒が充填されている。この陽極は、陰極と対向しつつ、その間の間隔を自由に調節することができると共に、陰極の方向に向かって僅かずつ移動し得るように、位置調節手段4に取付けられている。電極や触媒は、それらに用いる炭素材料のほか、それらの形態や構造において、上記例示に限定されるものではなく、例えば、触媒は、グラファイトやカーボンブラック等の炭素材料と触媒を混練し、ロッド状に成形したものでもよい。
上記陽極は、正確には、例えば、金属電極の先端に触媒と炭素とを含む炭素電極を取付けたものであり、陰極も、同様に、金属電極の先端に炭素電極を取付けたものである。上記陽極は、反応容器に取付けられた正極側端子5を介して、アーク電源6の正極端子に接続されている。同様に、陰極は、反応容器に取付けられた負極側端子7に接続されていて、この端子を介して、アーク電源の負極端子に接続されている。反応容器は、内部を所要の真空とするために、排気管8によって真空排気装置(図示せず)に接続されていると共に、流量調整弁を備えたガス導入管9に接続されていて、真空排気された反応容器内に所定の流量にて所要の雰囲気ガスが導入され、所要の雰囲気圧とされる。反応容器には、この反応容器内の圧力を測定するための圧力センサ10が取付けられている。
このような真空反応装置を用いて、選択的に二層カーボンナノチューブを製造するためには、先ず、反応容器内を排気した後、所要の雰囲気ガスを所要の圧力まで導入し、次いで、陽極と陰極との間隔を所定の値とした後、アーク電源から陽極と陰極との間に直流電圧を印加し、陽極と陰極との間に直流アーク放電を生じさせることによって、陽極がその先端から蒸発し始める。陽極は、このようにして、蒸発するにつれて、その長さが減少していき、この間、蒸発した触媒と炭素が気相中で凝縮して、陰極の先端において、陽極に向かって柱状に成長しながら、蓄積されて、堆積物を形成すると共に、煤として、金属微粒子と共に反応容器の内壁に煤が付着する。
上記アーク放電の間は、反応容器内の温度が上昇するので、好ましくは、反応容器の壁内に冷却水を流通して、冷却し、また、前記陽極と陰極も、その金属電極部分を冷却する。また、上述したようにして陰極上で成長する堆積物の先端に対して、蒸発によって消耗し、長さが低減していく陽極の先端が一定の間隔を保つように、陰極上の堆積物の成長と共に、前記位置調節手段によって、陽極を移動させ、電極間距離を一定に保って、安定に放電させる。電極間距離は、通常、0.5〜2mm程度である。このようにして、通常、陽極が消耗されるまで、アーク放電を行った後、放電と雰囲気ガスの導入を止めて、十分な冷却時間をおいた後、必要に応じて、反応容器内を真空排気した後、大気に開放する。
一般的には、触媒の成分組成を変えたり、また、雰囲気の組成や圧力を調節することによって、種々のフラーレンやナノチューブを得ることができるが、本発明によれば、目的とする二層ナノチューブは、反応容器の壁に付着する煤中に不定形の炭素と触媒に由来する金属微粒子と共に含まれており、この煤を回収することによって二層ナノチューブを得ることができる。本発明に従って、上述したようにして、上記触媒を用いるアーク放電法にてカーボンナノチューブを製造すれば、二層ナノチューブの含有率の高い煤は、布状にまとまるので、これを集めることによって、二層ナノチューブを高い収率で得ることができる。実際、このように、布状にまとまった煤中に含まれるカーボンナノチューブは、TEM観察によって、殆どが二層ナノチューブであることが確認された。従って、上記布状にまとまった煤を精製すれば、より高純度の二層ナノチューブを得ることができる。他方、前記陰極上の堆積物には主として二層以上の多層ナノチューブが含まれている。
前述したように、特に、本発明によれば、触媒は、鉄と亜鉛と硫黄とからなることが好ましく、このような触媒を用いて得られる二層ナノチューブを含む煤は、これを酸で処理することによって容易に触媒に由来する前記金属成分を溶解させ、除去することができる。更に、煤が炭素で被覆された金属微粒子を含んでいるときは、このような煤を酸処理しても、金属成分を溶解、除去することは困難であるが、煤を酸処理の後、空気中、例えば、300〜600℃の温度で焼成することによって、金属成分を被覆している炭素を燃焼、除去することができるので、本発明によれば、煤をこのように焼成した後、再度、酸処理を行うことによって、高純度の二層カーボンナノチューブを得ることができる。
本発明の方法によって得られる二層ナノチューブは、このようにして、精製処理を行うときにも、ナノチューブの損失やその特性の劣化が少ない。これに対して、従来の触媒を用いるカーボンナノチューブを含む煤を300℃以上の温度に加熱、焼成すれば、ナノチューブの損失が著しく、しかも、その特性も劣化する。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(二層カーボンナノチューブの製造とその熱的特性の評価)
実施例1
前述した装置を用いる直流アーク放電法によって二層カーボンナノチューブを含む煤を得た。即ち、直径9mm、長さ220mmのグラファイト棒に中心軸に沿って直径3mmの孔を穿設し、この孔に鉄/亜鉛/硫黄モル比3/1/1の鉄粉と亜鉛粉と硫黄の混合物とグラファイト粉末との1:1重量比の混合物を充填したものを陽極として用い、陰極にはグラファイト棒を用いた。真空反応容器の雰囲気ガスはアルゴン:水素=4:1(容量比)の混合ガスを用い、圧力は350Torrとし、放電中は真空反応容器の壁全体を水冷した。反応後、スラグの堆積する反応容器の底部を除く内壁と陰極周辺に堆積した煤を篩(500μm)で処理して、前述したように、二層ナノチューブ含有率の高い布状にまとまった煤をナノチューブを含む煤として回収した。このように、布状にまとまった煤中に含まれるカーボンナノチューブの殆どが二層ナノチューブであることは、TEM(透過型電子顕微鏡写真)による観察によって確認された。
二層カーボンナノチューブを含む上記布状にまとまった煤の収率とこの煤中の二層ナノチューブの含有率を表1に示す。表1において、「収率」とは、触媒を充填したグラファイト棒の消費量(重量)に対する二層ナノチューブを含む上記布状にまとまった煤の重量を百分率にて示し、「含有率」とは、上記二層ナノチューブを含む上記布状にまとまった煤中の全炭素質のうちのナノチューブの占める割合を意味し、SEM(走査型電子顕微鏡写真)による観察において、ナノチューブによる繊維状物の量が20%以上であるときをH(高い)、10%以上、20%未満であるときをM(中間)、10%未満であるときをL(低い)とした。
また、この実施例において得られた二層カーボンナノチューブを含む煤のSEM写真を図2に示し、空気中、400℃で10分間焼成した後のSEM写真を図3に示すように、焼成後の粒子の凝集やナノチューブの損失は少ないものであった。
更に、この実施例において得られた二層ナノチューブを含む布状にまとまった煤をアセトン中に分散させた後、濾紙を用いて濾過し、濾紙上でシート状に堆積させた。電界放出特性測定装置の真空容器内の直径30mmの円盤状の試料台に上記シート状物を導電性エポキシ樹脂にて貼り付けてカソードとし、これに対向させた直径5mmのステンレス製円柱をアノードとし、真空容器内を真空度10-6Pa台とし、これら電極間に直流電圧を印加して、上記二層ナノチューブを含む布状にまとまった煤の電界放出特性を測定した。結果をI−V(電流−電圧)曲線として図4に示す。図4において、横軸は印加電圧/電極間距離(V/μm)であり、縦軸は電界放出による電流密度、即ち、電流/アノード面積(μA/cm2)である。図4にみられるように、本発明による二層ナノチューブを含む布状にまとまった煤は、低い印加電圧によって電界放出電子を放出する。
次に、上記二層ナノチューブを含む布状にまとまった煤を400℃で10分間焼成し、これについて、同様にして、電界放出特性を測定した。結果を図5に示す。本発明による二層ナノチューブを含む煤は、焼成した後も、電界放出特性の低下が少ない。
更に、この実施例で得られた二層ナノチューブを空気中、400℃で10分間焼成した後、焼成前の状態とSEM写真にて観察して、その耐熱性を調べた。焼成後、ナノチューブの減少が殆どみられないときを○、焼成後、ナノチューブがやや減少しているときを△、焼成後、粒子の凝集とナノチューブの大幅な減少がみられるときを×とした。結果を表1に示す。
実施例2〜11
実施例1において、表1に示す触媒を用いた以外は、同様にして、二層ナノチューブを含む布状にまとまった煤を回収し、この煤の収率とこの煤中の二層ナノチューブの含有率と耐熱性を表1に示す。本発明に従って、遷移金属と硫黄と共に典型元素を併用してなる触媒を用いて二層ナノチューブを製造すれば、得られる二層ナノチューブは、従来より知られている遷移金属と硫黄とからなる触媒を用いて得られる二層ナノチューブに比べて、耐熱性が改善されている。
実施例2において得られた二層ナノチューブを含む煤について、実施例1と同様にして、電界放出特性を測定した。結果をI−V曲線として図4に示す。また、実施例1と同様にして、この二層ナノチューブを含む煤を400℃で10分間焼成し、これについて、同様にして、電界放出特性を測定した。結果を図5に示す。本発明による二層ナノチューブを含む煤は、焼成した後も、電界放出特性の低下が少ない。
比較例1〜7
実施例1において、表1に示す触媒を用いた以外は、同様にして、反応後、スラグの堆積する反応容器の底部を除く内壁と陰極周辺に堆積した煤をナノチューブを含む煤として回収した。この煤の収率とこの煤中の二層ナノチューブの含有率を表1に示す。但し、表1中、比較例5及び6においては、煤の全量が上記篩を通過したので、カーボンナノチューブを含む煤の収率を0とした。また、この煤中にカーボンナノチューブが含まれないことが確認された。
比較例1において得られた二層カーボンナノチューブを含む煤のSEM写真を図6に示し、実施例1と同様にして、空気中、400℃で10分間焼成した後のSEM写真を図7に示すように、焼成後は、粒子の凝集と共に、ナノチューブの著しい損失がみられた。
比較例1において得られた二層ナノチューブを含む煤について、実施例1と同様にして、電界放出特性を測定した。結果を図4に示す。また、実施例1と同様にして、この二層ナノチューブを含む煤を400℃で10分間焼成し、これについて、同様にして、電界放出特性を測定した。結果を図5に示す。この二層ナノチューブを含む煤は、焼成した後の電界放出特性の低下が著しい。
本発明の方法に従って、二層カーボンナノチューブを製造するための真空製造装置の一例を示す断面図である。 実施例1において得られた二層ナノチューブを含む煤のSEM写真である。 実施例1において得られた二層ナノチューブを含む煤を焼成した後のSEM写真である。 二層ナノチューブを含む煤の電界放出特性を示す電流−電圧曲線である。 二層ナノチューブを含む煤を焼成した後の電界放出特性を示す電流−電圧曲線である。 比較例1において得られた二層ナノチューブを含む煤のSEM写真である。 比較例1において得られた二層ナノチューブを含む煤を焼成した後のSEM写真である。
符号の説明
1…反応容器
2…陽極
3…陰極
4…陽極の位置調節手段
6…アーク電源

Claims (5)

  1. 鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素1モル部に対して、亜鉛、銅及びスズから選ばれる少なくとも1種の典型元素0.01〜5モル部及び硫黄0.01〜5モル部からなる二層カーボンナノチューブを製造するための触媒。
  2. 鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素1モル部に対して、亜鉛、銅及びスズから選ばれる少なくとも1種の典型元素0.01〜5モル部及び硫黄0.01〜5モル部からなる触媒を炭素と共に水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種と不活性ガスとからなる雰囲気中で蒸発させた後、凝縮させることを特徴とする二層カーボンナノチューブの製造方法。
  3. 真空反応容器中において、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素1モル部に対して、亜鉛、銅及びスズから選ばれる少なくとも1種の典型元素0.01〜5モル部及び硫黄0.01〜5モル部からなる触媒と炭素とを含む陽極を炭素からなる陰極と対向させ、水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種と不活性ガスとからなる雰囲気中で上記陽極と陰極との間にアーク放電させ、上記陽極を蒸発させた後、凝縮させることを特徴とする二層カーボンナノチューブの製造方法。
  4. 真空反応容器内の雰囲気が水素及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種10〜100容量%と不活性ガス90〜0容量%とからなる請求項2又は3に記載の二層カーボンナノチューブの製造方法。
  5. 真空反応容器内の雰囲気を100〜760Torrの圧力に保つ請求項2から4のいずれかに記載の二層カーボンナノチューブの製造方法。

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