JP3952478B2 - ホウ素含有カーボンナノ構造物及びその製造方法 - Google Patents

ホウ素含有カーボンナノ構造物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホウ素を含有するカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物及びその製造方法に関する。詳しくは、ホウ素を含むカーボンナノ構造物を効率よく製造する方法と該方法によって得られ得るホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物に関する。
カーボンを主体として構成されたナノサイズの構造物(即ちカーボンナノ構造物)として、チューブ状のカーボンナノチューブ、ファイバー(又はウィスカー)状のカーボンナノファイバー、ウォール(壁)状のナノサイズの薄片が集合して成るカーボンナノウォール等が知られている。これらカーボンナノ構造物はその独特の形状及びナノサイズ効果に基づく種々の特異的な物理的又は化学的性質を有しており、それら特質を生かした用途への使用が期待されている。例えば、カーボンナノチューブは、導電性、熱伝導性、機械的強度等に関して優れた特性を有することから、多くの分野から注目を集めている新素材である。カーボンナノチューブは、一般に、炭素又は炭素質原料を、高温条件(高エネルギー環境)下に置くことにより合成される。かかるカーボンナノチューブ製造方法としては、主に、アーク放電法、レーザ蒸発法、化学気相成長法(CVD法)が知られている。
ところで、カーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物は、構成炭素原子の一部をホウ素原子に置換することにより、耐熱性、耐火性等の性能を向上させることができることが期待される。例えば、特許文献1には、予め用意した出発原料であるカーボンナノチューブにホウ素酸化物を反応させてホウ素を含むカーボンナノチューブを製造する方法が記載されている。
また、非特許文献1には、炭素棒にドリルで孔を開けて該孔にホウ素を含む粉末を導入して形成した陽極棒を用いて不活性雰囲気中にアーク放電を行うことを特徴とする、ホウ素含有カーボンナノチューブの合成法が記載されている。
特開2000−281323号公報 テロンズ (M. Terrones)他4名、フラーレンサイエンス・アンド・テクノロジー(FULLERENE SCIENCE AND TECHNOLOGY)、1998年、第6巻(5)、p.787〜800
しかし、上記特許文献1に記載の製造方法によってホウ素含有カーボンナノチューブを作製する場合、予めカーボンナノチューブを製造した後に更にホウ素酸化物を該カーボンナノチューブと反応させる必要があり、製造工程が煩雑でコスト高であった。また、ホウ素含有率が比較的低いカーボンナノチューブしか得られなかった。
他方、非特許文献1に記載の方法では得られる生成物に不純物が混在し易い。また、ホウ素の分布に偏りがみられ、特定の部位(典型的にはチューブ先端部)にのみ部位特異的にホウ素を含有するカーボンナノチューブが生成されるため、全体としてはホウ素含有率が比較的低いカーボンナノチューブしか得られなかった。
そこで本発明は、かかる従来の課題を解決すべく開発されたものであり、製造工程が簡易であるとともにホウ素を含むカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を効率よく製造することができる方法を提供することを目的とする。また、そのような方法により製造されるホウ素含有カーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を提供することを他の目的とする。
本発明によって提供されるカーボンナノ構造物製造方法は、ホウ素を含有するカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物の製造方法である。
ここで開示される一つの方法は、アーク放電法に基づいてホウ素を含有するカーボンナノ構造物を製造する方法であって、ホウ素成分を含む固体炭素質原料を用意し、該炭素質原料を少なくとも陽極として用いること、および、水素ガス雰囲気中において該炭素質原料の炭素及びホウ素からホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物を合成することを包含する方法である。
本明細書において「カーボンナノ構造物」とは、ナノサイズの特異的な構造のカーボン構造体を示す用語であり、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノウォール等を包含する。例えば、「カーボンナノチューブ」とは、グラファイトシート(グラフェン)が、ナノメートルサイズ(典型的には1〜数十nm)の直径の円筒状に一層若しくは複数層巻かれたようなチューブ構造を有するカーボン構造体をいい、特別の形態(例えば長さや断面形状)に限定されない。いわゆる単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube;SWNT)及び多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nanotube;MWNT)のいずれの形態も包含する用語である。また、「カーボンナノファイバー(カーボンナノウィスカー)」とは、ナノメートルサイズ(典型的には10〜1000nm)の直径の繊維状構造を有するカーボン構造体をいい、特別の形態(例えば長さや断面形状)に限定されない。また、「カーボンナノウォール(カーボンナノフレーク)」とは、ナノメートルサイズの厚さ(典型的には1〜100nm)及び高さ(典型的には100〜1000nm)のウォール(壁)状カーボン薄片の集合をいい、典型的には襞(花びら)状構造物をいうが特別の形態(サイズや襞の間隔)に限定されない。
また、「ホウ素を含有するカーボンナノ構造物(例えばホウ素含有カーボンナノチューブ)」とは、構成要素として炭素(C)の他にホウ素(B)を含むものをいう。また、特に限定しない限り、カーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物のいずれの部分にホウ素を含むものでもよい。典型的には、カーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を構成する骨格(ネットワーク)にホウ素原子が組み込まれたもの(例えば一部の炭素原子がホウ素原子に置換されたもの)をいうが、これに限られず、例えばカーボンナノチューブの空洞内及び/又は表面にホウ素(典型的にはホウ素単体)が吸着されているものが挙げられる。
かかる構成の製造方法では、水素ガス雰囲気中においてホウ素成分を含む炭素質材料からカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を合成する。従来、ホウ素成分(ホウ素単体、種々のホウ素化合物を包含する。以下同じ。)を含む炭素質材料からカーボンナノ構造物を合成する場合(例えばアーク放電法によって合成する場合)は、雰囲気ガスとして窒素ガス、またはヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを用いていた。本発明者は、反応性の高い水素ガスを雰囲気ガスとして採用することによって、効率よくホウ素含有率の比較的高いカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本製造方法によれば、原料としてホウ素成分が含まれている炭素質材料を用いるとともに水素ガス雰囲気中において合成することによって所望のホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物が得られるので、カーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物にホウ素を含有させるための付加的な工程を必要とせず、製造工程も簡易である。
なお、ここでいう「水素ガス雰囲気」は、ホウ素含有カーボンナノ構造物の合成に支障がないよう実質的に水素ガスにより雰囲気ガスが構成されておればよく、低率(例えば40mol%以下)に他のガス種を含むものであってもよい。
ここで開示される好ましい製造方法は、上記炭素質原料としてホウ素成分が均一に分布する固体炭素質原料を用意すること、および、該炭素質原料の炭素及びホウ素からカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を合成することを包含する方法である。
本発明者は、炭素質材料(例えばグラファイト材)としてホウ素成分が均一に分布(典型的にはホウ素成分が均一に分散)する炭素質材料を用いてカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を合成することによって、効率よくホウ素含有率の比較的高いカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物が得られることを見出した。本製造方法によれば、原料としてホウ素成分が均一に分布する固体炭素質材料(典型的にはホウ素成分が均一に分散する固体材料)を用いることによって所望のホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物が得られるので、カーボンナノ構造物にホウ素を含有させるための付加的な工程を必要とせず、製造工程も簡易である。
好ましい態様の方法において、水素ガス雰囲気中においてカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を合成する。
カーボンナノ構造物の原料としてホウ素成分が均一に分布(分散)する炭素質原料を用い、且つ、水素ガス雰囲気中においてカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を合成することによって、特に純度の高いホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物を得ることができる。
他の好ましい態様の方法において、上記炭素質原料全体に占めるホウ素の含有率は1〜25質量%の範囲内である。より好ましくは、この含有率は5〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは8〜15質量%の範囲内である。炭素質原料のホウ素含有率をかかる範囲内に設定することによって、高いホウ素含有率(典型的にはカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物全質量の3〜30質量%、好ましくは全質量の10〜30質量%)のカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を効率よく製造することができる。
さらに、他の好ましい態様の方法において、上記炭素質原料は密度が1.80g/cmを超える固体である。好ましくは、かかる炭素質原料の密度は1.81〜1.90g/cm(例えば1.81〜1.87g/cm)の範囲内であり得る。炭素質原料(固体)の密度を該範囲内に制御することによって、高純度のホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物を効率よく製造することができる。そのような密度のホウ素成分含有グラファイト材が特に好ましい。
また、本発明の方法において、上記炭素質原料を少なくとも陽極として用い、アーク放電法に基づいてカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を合成する。
ここで「アーク放電法」とは、炭素質原料にアーク電圧を印加して、アーク放電を生じさせ、炭素質原料を蒸発させることによってカーボンナノ構造物を合成する方法をいう。典型的には、所定の雰囲気ガスを導入した領域(典型的には減圧可能なケーシング内)に配置した少なくとも一対の電極間にアーク放電を起こすことにより、陽極から炭素及びホウ素を蒸発させて該領域内においてカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を合成する方法をいう。
ここで開示される製造方法では、上記炭素質原料を陽極として用いるアーク放電法によって、特に効率よく高純度のホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物を得ることができる。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの製造方法によって得られる構造のホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物を提供する。
本発明によって提供される好ましいホウ素含有カーボンナノ構造物の一形態は、カーボンナノ構造物の全質量に占めるホウ素の含有率が3〜30質量%(特に好ましくは10〜30質量%)の範囲内である、
このようなホウ素含有率のカーボンナノ構造物(典型的には多層カーボンナノチューブ)は、ここで開示される製造方法に基づいて好適に得ることができる。高い含有率でホウ素を含むカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物は、炭素のみから成るカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物で従来得られていた所望の諸性能を保持しつつさらに耐熱性や耐火性等の性能を向上させ得る。このため、本発明のホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物は、高温条件下に使用される材料として好適である。或いは、かかる該性質に基づく新規な用途が期待される。
ここで開示されるホウ素含有カーボンナノ構造物の好ましい一形態は、全長が0.1mm以上のチューブ状又はファイバー状である。ここで開示される製造方法に基づくと比較的長いカーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノファイバーが得られる。例えばチューブ全長0.05mm以上(例えば0.05〜0.2mm又はそれ以上)、好ましくはチューブ全長0.1mm以上(例えば0.1〜0.2mm又はそれ以上)の長さのカーボンナノチューブが提供され得る。本発明によって得られる長いホウ素含有カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノファイバーは耐熱性及び耐火性に加えて他の優れた性能及び新規な用途が期待される。
また、ここで開示されるホウ素含有カーボンナノ構造物の好ましい一形態は、ウォール状のホウ素含有カーボン薄片の集合体である。ここで開示される製造方法に基づくと耐熱性の高いホウ素含有カーボンナノウォールが得られる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、雰囲気ガスの組成、炭素質原料の組成、密度、及び形態、炭素質原料の蒸発手段)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばアーク放電法の詳細)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示されるカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物製造方法で使用される炭素質原料の形態は、採用するカーボンナノ構造物合成法に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。固体では好適な形状としてブロック状、直方体、立方体、略球状、或いは棒状が挙げられる。特に、アーク放電法によってカーボンナノチューブ等を合成する場合には、かかる炭素質原料は電極として使用されるのに好適な形状に成形された固体であることが好ましい。例えば円柱、角柱、三角柱等の棒状電極を構成する炭素質原料を使用すると作業性に優れる。
ここで開示されるカーボンナノチューブ製造方法で使用される炭素質原料の主成分たる炭素成分はカーボンナノチューブの生成を可能とするものである限りいずれの形態の炭素成分であってもよいが、固体の場合は特にグラファイトであることが好ましい。固体炭素質原料の密度は特に限定されず種々の密度の原料を用いることができるが、例えばアーク放電法によって高純度のカーボンナノチューブを得るには、1.80g/cmを超える密度の原料(例えばホウ素含有グラファイト)が好ましく、密度が1.81〜1.90g/cmの範囲内であるものがさらに好ましく、1.81〜1.87g/cmの範囲内であるものが特に好ましい。
また、使用する炭素質材料のホウ素含有割合は特に限定されず、製造しようとするカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物の所望ホウ素含有率に応じて適宜選択することができる。例えば、固体状の炭素質原料に占めるホウ素の含有率は、材料全体の1〜30質量%の範囲内、好ましくは1〜25質量%の範囲内、より好ましくは3〜25質量%の範囲内、さらに好ましくは5〜20質量%の範囲内、特に好ましくは8〜15質量%の範囲内である。
炭素質原料中に含有されるホウ素成分は、カーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を構成するためのホウ素原子を供給する形態の物質であればよく特に限定されない。ホウ素単体であってもよく、ホウ素原子を構成要素とする種々の化合物(ホウ素化合物)でもよい。炭化ホウ素(BC等)、窒化ホウ素(BN)、酸化ホウ素(B等)等が挙げられる。ホウ素と種々の金属との化合物(例えばLaB、TiB)であってもよい
炭素質原料に含まれるホウ素成分は、いずれの形態で含有されていてもよく、特に限定されない。例えば好適なホウ素含有炭素質原料として、固体状の炭素質原料中にホウ素化合物が散在したもの(好ましくは均一に分布(即ち分散)したもの)が挙げられる。或いは、筒形(好ましくは円筒形)の固体炭素質原料(炭素質ブロック)の中心軸に棒状(好ましくは円柱状)のホウ素化合物から成るブロックが挿嵌されたものでもよい。或いは、ホウ素化合物を含有する微細な塊(例えば粒子)が固体炭素質原料(炭素質ブロック)中に散在したもの(好ましくは均一に分布したもの)でもよい。
炭素質原料には炭素成分及びホウ素成分の他、補助的な成分を含ませることができる。例えば、ニッケル、コバルト、鉄等の触媒として機能し得る金属成分を含有させることができる。
カーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を合成する際の雰囲気ガスとしては、アーク放電法等の一般的なカーボンナノチューブ合成法を該雰囲気中において実施した際に、炭素質材料の炭素及びホウ素を利用可能な形態とし、それらからホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物を合成し得るものであれば特に限定しない
本発明の実施に好適な雰囲気ガスは水素ガスである。従って、混合ガスを用いる場合、水素ガスの含有割合が高く、例えば50mol%以上であることが好適である。実質的に水素ガスのみから成る雰囲気が本発明の実施に特に好ましいが、他のガス種を所定の割合で含んでいてもよい。例えば、不純物として40mol%又はそれ以下の不活性ガス或いは窒素ガスの存在を排除するものではない。例えば、60mol%以上、さらには80mol%、さらには90mol%以上、特に95mol%以上の純度を有する水素ガスが好適である。
雰囲気ガスの圧力は、特に限定されず、従来カーボンナノチューブの製造において用いられてきた圧力で行うことができる。例えば、約1000〜70000Pa(凡そ10〜500Torr)、好ましくは約2000〜40000Pa(凡そ20〜300Torr)、より好ましくは約3000〜30000Pa、さらに好ましくは約3500〜28000Pa、特に好ましくは約4000〜25000Paである。特に雰囲気ガスとして水素ガス若しくは水素ガスとの混合ガスを用いる場合、水素ガスの圧力若しくは分圧が上記範囲であることが好ましい。
カーボンナノチューブ等のカーボンナノ構造物の合成法としては、特にアーク放電法が効率よくホウ素含有カーボンナノチューブその他のホウ素含有カーボンナノ構造物を製造し得るため好ましい。このとき、アーク放電を印加する陽極として、上記のような炭素質原料を用いる。特に、炭素質原料に触媒を含有させることなく、多層カーボンナノチューブを製造することが好ましい。また、該炭素質原料に触媒、例えば鉄触媒を含有させて、単層カーボンナノチューブを製造することもできる。一方、陰極は、耐熱性導電材料からなり、例えば、炭素、又は銅等の金属材料を用いることができる。
具体的には、アーク放電法によって、以下のようにカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を得ることができる。即ち、雰囲気ガスを導入した領域中で、ホウ素含有炭素質原料から構成される陽極(典型的には棒状)と陰極との間に電圧を印加し、電流を供給する。この結果発生したアーク放電によるアーク熱で、陽極から炭素及びホウ素が蒸発する。多層カーボンナノチューブを製造する場合、典型的には、蒸発した炭素及びホウ素の一部を陰極上に堆積させる。その堆積物の内部或いは外部(典型的には該堆積物の中心部分であるソフトコア部分)にカーボンナノチューブが形成される。また、該堆積物の外側部分(典型的にはソフトコア部分の外側にあるハードシェル部分)においてはさらにカーボンナノファイバーが形成され得る。また、さらに外側部分(典型的にはハードシェル部分の外側)においてはカーボンナノウォールが形成され得る。
一方、単層カーボンナノチューブを製造する場合、典型的には、蒸発した炭素及びホウ素から電極間の隙間でアーク熱によりカーボンナノチューブを形成させる。アーク放電法で得られたカーボンナノチューブは、その品質に優れるとともに、特に多層カーボンナノチューブを製造する場合に本製造方法を適用すると高収率を実現し得る。
また、供給する電流値は、特に限定されず、アーク放電法において従来公知の範囲に設定することができる。典型的には、陽極の直径に依存し、例えば直径約6mmのホウ素含有グラファイト電極では、30〜70A、特に50±5Aに設定し得る。電圧は所望の炭素及びホウ素蒸発速度に応じて適宜選択されるが、典型的には20〜40V程度である。アーク放電時間は、電極の長さ、製造装置(典型的には一対の電極を配置する減圧可能なチャンバー)の容量、及びカーボンナノチューブ製造量、等によって適宜変更され、特に限定されない。例えば、10秒〜60分間、好ましくは30秒〜30分間、特に好ましくは1分〜20分間である。また、直流であっても交流であってもよい。多層カーボンナノチューブを製造する場合、堆積物のできやすい直流が特に好ましい。
ここで開示される方法により得られたカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物は、好ましくはホウ素と炭素とから実質的に構成される。本発明のカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物は、該カーボンナノ構造物の全質量に占めるホウ素の含有率が1〜40質量%の範囲内、好ましくは3〜30質量%の範囲内、より好ましくは10〜30質量%の範囲内、さらに好ましくは10〜25質量%の範囲内、特に好ましくは15〜20質量%の範囲内であり得る。
また、ここで開示される方法では、得られるカーボンナノチューブの純度は比較的高い(特に上記ソフトコア部分)。従って、好ましくは、精製や洗浄等の後処理を行うことなくカーボンナノチューブ(又はカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物を含有する生成物)を種々の用途に用いることができる。
所望によりさらに純度を向上するための精製処理を行うことができる。
例えば多層カーボンナノチューブを陰極上に堆積させる場合、得られた堆積物を例えば500℃又はそれ以上に加熱することにより、不純物(例えば結晶性カーボン粒子)を除去することができる。
一方、単層カーボンナノチューブを電極間で形成させる場合(即ち反応チャンバー内空間で生成する場合)、不純物、例えばアモルファスカーボンや触媒金属等を従来公知のいずれかの手段によって除去することができる。例えば、還流条件下に過酸化水素水によって処理する方法が挙げられる。過酸化水素水にカーボンナノチューブを分散させる手段としては、攪拌棒による攪拌、ミキサー、又は超音波分散等が挙げられるがこれらに限定されない。また、無機酸を添加することによって精製することができる。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、亜硝酸等を特に制限なく用いることができる。塩酸の使用が好ましい。かかる無機酸による精製処理の終了後、精製カーボンナノチューブ(単層カーボンナノチューブ)を無機酸中から回収する。回収手段としては、特に限定されないが、暫く静置した後に沈殿物として分画濾過してもよいし、或いは遠心分離によって回収してもよい。
さらに、単層カーボンナノチューブを製造する場合、回収物に対し、酸化又は溶解された不純物を洗浄するために、洗浄液によって洗浄してもよい。洗浄液としては、不純物の少ない水又はアルコール、例えばエタノールが好ましい。また、洗浄効果を向上するために、超音波をかけて洗浄することが好適である。この洗浄工程は一回であってもよく、或いは複数回繰り返してもよい。得られた単層カーボンナノチューブは、例えば、吸引濾過等の手段によって回収することができる。
ここで開示されるカーボンナノチューブは、ホウ素を含有する限り、いずれの形態のカーボンナノチューブをも含み得る。即ち、他の製造条件(例えば採用するカーボンナノチューブ合成法の種類又は圧力、温度等の合成条件、或いは使用する炭素質材料の触媒金属を含む組成)によって、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、或いはその両方(混合物)を得ることができる。特に好ましくは、アーク放電法によって触媒を用いずに合成可能な多層カーボンナノチューブである。炭素質原料中に触媒を含有しないことにより、好適にホウ素を含有したカーボンナノチューブを合成することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例>
多層カーボンナノチューブを具体的に製造する方法を説明する。まず、使用した多層カーボンナノチューブ製造装置についての一例を図面を参照して説明する。
(1)カーボンナノチューブ製造装置;
図1にアーク放電法に基づく多層カーボンナノチューブ製造装置1の一構成例を示す。この装置1は、大まかにいって、反応容器3と、一対の電極13,15と、ガス供給手段7とから構成されている。
この装置1の反応容器3は、密閉可能な耐圧容器であり、例えば、ステンレスにより構成される。
一対の電極13,15のうち、陽極13は、太い棒状(例えば直径0.5〜2cm)に形成されたものであり、反応容器3内においてその中心軸が略垂直方向となるように配置されている。一方、図示されるように、陽極13と180°対置した位置(即ち陽極13の直下)に配置される陰極15は、表面が平面であるターンテーブル状に形成されている。陽極13と陰極15の隙間のサイズは特に限定されないが、例えば、アーク放電によるカーボンナノチューブ発生効率が高い0.3〜10mm、特に1〜2mm程度が好適である。
陽極13及び陰極15には、陽極13と陰極15の間にアーク放電を発生し得る電圧を印加可能な直流電源23が接続されている。
陽極13は、例えば、その大きさが約6mmの直径で、長さが約100mmの耐熱性導電材料であって、アーク放電によって炭素及びホウ素を蒸発可能な炭素質材料から構成される。例えば、炭素材料(グラファイト材)にホウ素成分(単体又は炭化ホウ素等の化合物)がほぼ均一に分布(分散)した市販品を用いることができる。即ち、陽極13は、図2に模式的に示すように、炭素(グラファイト)ロッド体71にホウ素含有粒子(例えばホウ素、酸化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素)73が均一に分散して構成されている。陽極13における陰極15の対向面(先端部)14とは反対側の端部(基部)19には、ソレノイド22が接続されている。即ち、ソレノイド22は図示しない電極保持部に保持された陽極13(電極保持部)を垂直方向(即ち、陰極15の対向面(先端部)16方向、図1における下方向)に移動可能としている。従って、ソレノイド22を作動して、炭素及びホウ素蒸発による陽極13の消耗に伴って陽極13を陰極表面方向に移動させて、両電極13,15間の隙間を一定に保持することができる。
陰極15は、例えばその直径が5〜20cmの円卓状であり、耐熱性導電材料から形成されている。例えば、炭素、又は銅等の金属材料を用いることができる。また、ターンテーブル状陰極15の支持部に相当する回転軸17にはモータ21が接続されている。このモータ21により回転軸17を作動させ、所定の速度でターンテーブル状陰極15を回転させることができる。
ガス供給手段7は、反応容器3内に雰囲気ガスを供給する。本実施例に係るガス供給手段7は、高純度の水素ガスを含有する水素ボンベ27を有し、バルブ28の開閉によって反応容器3の一部(ここでは底面30)に設けられたガス供給口31から所定量及び割合の水素ガスを反応容器3内に導入することができる。
或いは、高純度水素ガスに限られず、他のガスボンベを備え、目的に応じて他のガスを所定の割合で供給することもできる。使用可能なガスとしては、例えば、他の不活性ガス、即ち、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、又はキセノンガス、或いは窒素ガスが挙げられる。
排出部11は、反応容器3の一部(ここでは底面30)にガス流通可能に附設されている。反応容器3内のガスは、排出部11に備えられる排出口45から制御バルブ44を備えた真空ポンプ49によって吸引されることにより排出される。また、真空ポンプ49を作動させて反応容器3内の雰囲気ガス圧を調整することができる。
上記直流電源23並びにモータ21及びソレノイド22は、所定のプログラム又はマニュアル操作に基づいて動作する制御機構53からの制御指令が入力される入出力回路55に接続されており、電圧印加による陽極13の移動及び陰極15の回転を制御可能にしている。陽極13及び陰極15間に印加された電圧からアーク放電状態を制御機構53で演算し、アーク放電で発生したカーボンナノチューブ含有堆積物の生成量に応じて陽極13の移動、陰極15の回転を調整する制御信号を入出力回路55からモータ21及びソレノイド22に出力することができる。このようにすると、安定条件下でのアーク放電が可能となり、多層カーボンナノチューブの含有率の高い堆積物60を得ることができる。
(2)多層カーボンナノチューブ製造例I;
次に、このような製造装置1を用いて、ホウ素含有多層カーボンナノチューブを合成した。まず、上述したような陽極13及び陰極15を用意し、所定間隔に設定して反応容器3内の所定の位置に配置した。なお、陽極13としては、ホウ素を均一に分散して含む市販のグラファイト棒(ホウ素含有率:13.8質量%)を用いた。該グラファイト棒の密度は18.4g/cmであった。また、陰極15としては、グラファイト製ターンテーブルを用いた。
而して、容器3に設けられた排出部11のバルブ44を開け、当該排出口45に接続する真空ポンプ49を作動させて、反応容器3内を排気・減圧した。容器3内の圧力が減圧され、13×10−3〜1.3×10−3Pa程度の高真空になったら、バルブ44を閉め、その後、ガス供給手段7により水素ガスを導入した。そして、水素ガス圧を約4000〜9500Pa(30〜70Torr程度)に調整した。
そして、陽極13と陰極15間に電圧(20〜40V)を印加し、直流電源23から電流を供給した。この結果発生したアーク放電によるアーク熱で、陽極13から炭素及びホウ素を蒸発させた。また、印加された電圧から、アーク放電状態を制御機構53で演算し、アーク放電で蒸発した陽極13の消耗に応じて制御信号を入出力回路55からモータ21及びソレノイド22に出力し、陽極13の移動及び陰極15の回動を行った。図1に示すように、陰極15は、所定時間後、段階的に所定の角度だけ回動した。本実施例では、所定時間経過後ごとに陰極15をモータ21によって90°ずつ回動した。これにより、図1に示すように、所定時間のアーク放電の結果として、陽極13のほぼ真下に配置された部分の陰極15表面に適量のカーボンナノチューブを含む堆積物60が形成され、次いで、陰極15を回動し、新たに陽極13のほぼ真下に配置された部分の陰極15表面に所定時間のアーク放電の結果として適量の堆積物60が新たに形成された。この処理を順次行うことによって、陰極の回動方向に沿って間隔を設けながら点々と堆積物60が形成される。
このようなアーク放電法によって陰極15上に多層カーボンナノチューブを主体とする堆積物60が生成した。多層カーボンナノチューブの合成時間は、特に限定されないが、ここでは30秒〜60秒間行った。これを上述のように陰極15を回動しつつ繰り返すことによって、複数の堆積物60を陰極15上に形成できる(図1)。
(3)多層カーボンナノチューブのSEM観察;
得られた堆積物60の中心に存在したソフトコア部分をピンセットで取り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図3にその写真を示す。図3から明らかなように、得られた多層カーボンナノチューブには、比較的長いチューブが観察された。チューブの全長が0.1mm以上(0.1〜0.2mm)であるカーボンナノチューブも存在することが確認された。また、不純物であるナノサイズの粒子は、該チューブの周囲に少ししか観察されず、従来の製造方法と比較して格段に減少していた。このSEM観察によって、得られた多層カーボンナノチューブの純度が高いことが認められた。
(4)多層カーボンナノチューブのラマンスペクトル観察;
上記のようにして得られた多層カーボンナノチューブのラマンスペクトルを観察した。ラマンスペクトルは、ラマン分光測定装置、即ちJobin Yvon株式会社製のRAMANOR T64000によって、測定した。高波数側の結果(チャート)を図4に示す。なお、縦軸は強度(Intensity、arbitrary units)を示し、横軸はラマンシフト(Raman shift、cm−1)を示す。
図4から明らかなように、得られたカーボンナノチューブの高波数側のラマンスペクトルは、1360cm−1付近、及び1594cm−1付近にブロードなピークが観察された。炭素から成るカーボンナノチューブのピークが1340cm−1(Dバンド)及び1580cm−1(Gバンド)付近に観察されることと比較して、いずれのピークもやや高波数側にシフトしていることが判る。これは、カーボンナノチューブ中の炭素原子がホウ素原子で置換されたためと推測される。
(5)多層カーボンナノチューブの耐熱性試験I;
得られたカーボンナノチューブに対して、赤外線を2時間500℃で照射した。その後、カーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡で同様に観察したところ、カーボンナノチューブは切断されたり、破壊されたり、又は傷つけられることなく、同様な形態を保持しつつ残留していた。一方、従来の方法で得られた(即ち、陽極としてホウ素を含まないグラファイト棒を用いて製造した)カーボンナノチューブに対して、赤外線を1時間500℃で照射したところ、著しい損傷・消失が認められた。本実施例の多層カーボンナノチューブは、ホウ素を含むことによって耐熱性(耐酸化性)が向上したものと推測される。
(6)多層カーボンナノチューブの耐熱性試験II;
TGA(熱重量測定)によって、重量減少率(%)を測定した。測定機器としては、(株)島津製作所製の「DTG−60」を用いた。試料としては0.466mgのカーボンナノチューブを用いた。測定条件としては、10℃/分の加熱温度で1050℃まで昇温し、雰囲気ガスは空気で、ガスの流量は50ml/分とした。
この結果を図5に示す。図5において、縦軸は重量変化(mg)、横軸は温度(℃)を示す。図5から明らかなように、718.61℃までほぼ重量変化が認められなかった。従って、本実施例で得られたカーボンナノチューブは耐熱性に優れていることが判った。
(7)多層カーボンナノチューブの組成分析;
得られたカーボンナノチューブについて、エネルギー分散型X線分析装置による元素分析を行なった。測定は、(株)堀場製作所製の「EMAX5770W」を用いて行った。その結果、質量濃度(質量%)は、ホウ素が約18質量%、炭素が約78質量%、及び酸素が約4質量%であった。また、原子数濃度(atm%)は、ホウ素が20atm%、炭素が77atm%、及び酸素が3atm%であった。なお、微量に含まれる酸素はカーボンナノチューブ表面に吸着又は付着しているものと考えられる。従って、炭素質原料(陽極)として13.8質量%のホウ素を含むグラファイト棒を用いることによって、グラファイト棒におけるホウ素含有量と同等若しくはそれよりも高い含有率(18質量%)のホウ素含有カーボンナノチューブを得ることができることが判った。
(8)カーボンナノ構造物の構造確認;
また、得られた堆積物60の主として外側に分布するハードシェル部分をピンセットで取り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。この部分には、長さが0.1mm(典型的には0.1〜0.2mm)を超えるチューブ状又はファイバー状のカーボンナノ構造物が存在していた。従って、上記製造方法によって、0.1mm以上の長さのホウ素含有カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノファイバーが得られることが確認された。また、ハードシェルの外側の領域(典型的には陰極15の表面にフラットに堆積している部分)を採取してSEMで観察したところ、図8に示すように、ウォール状薄片の集合体である襞状外形のカーボンナノ構造物が存在していた。従って、上記製造方法によって、ホウ素含有カーボンナノウォールが得られることが確認された。
(9)多層カーボンナノチューブ製造例II;
陽極として、ホウ素含有率が27.4質量%である市販のホウ素含有グラファイト棒を用いたことを除いて、上記(2)多層カーボンナノチューブ製造例Iと同様にしてホウ素含有多層カーボンナノチューブを合成した。なお、該グラファイト棒の密度は、1.88g/cmであった。得られたカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡で観察した。その写真を図6に示す。
図6から明らかなように、多数の長いチューブ(例えば全長0.1〜0.2mm)が観察された。また、不純物であるナノサイズの粒子は、該チューブの周囲に少ししか観察されず、従来の製造方法と比較して減少していた。このSEM観察によって、得られた多層カーボンナノチューブの純度が高いことが認められた。
一方、上記(2)の製造例Iにおいて得られたカーボンナノチューブの写真(図3)と比較すると、ナノ粒子の量は増加していることが判った。従って、陽極として用いるグラファイト棒中のホウ素の含有率は10〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。
以上、一実施例の製造方法及び製造されたカーボンナノチューブその他のカーボンナノ構造物の性状を説明したが、本発明はかかる実施例に限定されない
また、陽極として、図7に示すようなホウ素含有炭素棒75を用いてもよい。このホウ素含有炭素棒75は、炭素(例えばグラファイト)からなる円筒体77の中心貫通孔に、ホウ素成分として、例えばホウ素(B)、酸化ホウ素(B)及び/又は窒化ホウ素(BN)(これらは例えばAldrich Co.から入手可能)を含む円柱体79が挿嵌されて構成されている。
以上、本発明の好適な実施態様を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した態様を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
一実施例において使用したカーボンナノチューブ製造装置の構成を示す模式図である。 炭素質原料(陽極)の一形態を示す模式図である。 一実施例において得られた多層カーボンナノチューブの電子顕微鏡(SEM)写真である。 一実施例において得られた多層カーボンナノチューブの高波数側のラマンスペクトル分析チャートである。 一実施例において得られた多層カーボンナノチューブのTGA測定結果を示すグラフである。 他の実施例において得られた多層カーボンナノチューブの電子顕微鏡(SEM)写真である。 炭素質原料(陽極)の一形態を示す模式図である。 一実施例において得られたカーボンナノウォールの電子顕微鏡(SEM)写真である。
符号の説明
1 カーボンナノチューブ製造装置
3 反応容器
7 ガス供給手段
11 排出部
13 陽極(炭素質原料)
15 陰極
31 ガス供給口
49 真空ポンプ
71 炭素ロッド体
73 ホウ素含有粒子
75 炭素棒
77 炭素円筒体
79 ホウ素含有円柱体

Claims (4)

  1. アーク放電法に基づいてホウ素を含有するカーボンナノ構造物を製造する方法であって、
    ホウ素成分を含む固体炭素質原料を用意し、該炭素質原料を少なくとも陽極として用いること、および
    水素ガス雰囲気中において該炭素質原料の炭素及びホウ素からホウ素含有カーボンナノ構造物を合成すること、
    を包含する、製造方法。
  2. 前記炭素質原料としてホウ素成分が均一に分布する固体炭素質原料を用意する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記炭素質原料全体に占めるホウ素の含有率は1〜25質量%の範囲内である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記炭素質原料は密度が1.80g/cm を超える固体である、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の製造方法。
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