明 細 書 血中濃度制御製剤 技術分野
本発明は、 β 3ァドレナリン受容体作動薬の血中濃度制御方法および血中濃度 制御製剤に関し、 殊に j83アドレナリン受容体作動薬の血中濃度を、 薬効発現に とって最も望ましく制御する方法およびその制御に適した製剤に関する。
また、 本発明は、 アルカリ化剤、 アミノ酸およびゼラチンから選ばれる 1種ま たは 2種以上と [3— [(2R)— [[(2R)— (3—クロ口フエ二ル)一 2—ヒドロキ シェチル]ァミノ]プロピル]— 1 H—インドール一 7—ィルォキシ]酢酸またはそ の低級アルキルエステルを含有してなる製剤に関し、 殊にアルカリ化剤、 ァミノ 酸おょぴゼラチンから選ばれる 1種または 2種以上を配合することにより、 [3 — [(2R)_[[(2R)— (3—クロ口フエ二ル)一 2—ヒドロキシェチル]ァミノ] プロピル]一 1 H—ィンドール一 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級アルキルェ ステルの十分な安定性を得ることができる製剤に関する。 背景技術
β 3ァドレナリン受容体は主に脂肪細胞に分布しており、 交感神経刺激 (カテ コラミン)によって白色脂肪組織では脂肪分解を、 また褐色脂肪組織では熱産生 を誘発する。 3アドレナリン受容体作動薬 (以下、 3ァゴニストと記すことも ある)はこれらの薬理作用に基づくエネルギー消費の促進作用によって、 齧歯類 に対する反復投与で体重を減少させ、 抗肥満作用を示す。 また、 3ァゴニスト は同じく齧歯類に対する反復投与で、 インスリン抵抗性の改善に基づく抗糖尿病 作用も示す。 更に、 ]33受容体が齧歯類の消化管にも存在し、 モルモットの摘出 結腸に対する収縮抑制作用を示すことも知られている。 以上のことから、 ]33ァ ゴニストは抗肥満薬、 抗糖尿病薬および過敏性腸症候群治療薬として有用であり、 その開発が期待されている。 このような) 33ァゴニストの薬理作用や各種疾病に 対する治療薬としての有用性は文献に詳しく記載されている(Annual Review of
Pharmacology and Toxicology 37卷(1997年) 421〜 450頁(以下、 文 献 1と記す)、 および Diabetes & Metabolism 25巻(1999年) 1 1〜21頁 β 3受容体の構造と機能の研究から、 β 3受容体は 7回膜貫通構造をもつ典型 的な G Τ Ρ蛋白質結合型受容体で、 おもに促進性 GTP結合蛋白質と共役するこ とが知られている(文献 1)。 また、 交感神経の興奮(力テコラミン、 おもにノル ェビネフリン)による受容体刺激は、 細胞内ではアデニル酸シクラーゼの活性化、 c AMP濃度上昇おょぴ c AMP依存性タンパク質リン酸化酵素 (protein kinase A) (以下、 PKAと記すこともある)の活性ィヒによって種々の機能性蛋白 質に伝達されることが明らかとなっている(文献 1)。 白色脂肪細胞では、 ホルモ ン感受性リパーゼ (以下、 HSLと記すこともある)が活性化され、 脂肪分解が促 進される。 また、 褐色脂肪細胞では c AMP応答配列結合タンパク質が活性ィ匕さ れ、 脱共役蛋白質 1の遺伝子発現が誘導され、 ミ トコンドリアにおける熱産生が 促進される(文献 1)。 これらの薬理作用が基盤となって 3ァゴニストによる ;3 3受容体の刺激作用により抗肥満作用、 抗糖尿病作用などの薬効が発現される。 一方、 インスリンがカテコラミン誘発性の脂肪分解を抑制することはよく知ら れている(Metabolisml卷(1984年) 76〜81頁)。 これは、 インスリンが環 状ヌクレオチドの分解酵素であるホスホジエステラーゼ 3 Bを活性化するためで あり、 これによつて脂肪細胞内の c AMP濃度が低下する結果、 c AMP依存性 の P K Aの活性低下と、 P K Aによつて活性化される H S Lの活性が低下するこ とによるものである(Molecular and Cellular Biology 19卷(1999年) 62 86〜 6296頁、 および Journal of Biological Chemistry 275卷(200 0年) 10093〜10098頁)。 この事実は、 33ァゴニストの薬理作用のひ とつである脂肪分解作用がィンスリンによって減弱されることを示唆している。 β 3ァゴニストによる病態の改善や薬理作用の発現と白色脂肪細胞における β 3受容体の機能との関係としては、 肥満糖尿病モデルの KK— Ay K aマウスを 用いた実験から 33ァゴニストの抗糖尿病作用 (ィンスリン抵抗性改善作用)が β 3ァゴニストの脂肪分解作用と熱産生作用に基づく白色脂肪細胞の小型化である こと(Diabetes 50卷(2001年) 113〜 122頁)、 また、 遺伝子操作マゥ スを用いた実験から/^ァゴエストによるエネルギー消費促進作用 (熱産生)、 ィ
ンスリン分泌促進作用おょぴ摂食抑制作用の発現には白色脂肪細胞における β 3 受容体の活十生化が重要であること(Journal of Biological Chemistry 2 7 2卷 ( 1 9 9 7年) 1 7 6 8 6〜 1 7 6 9 3頁)、 更には、 同じく遺伝子操作マウスを 用いた実験から j3 3ァゴニストによる消化管運動抑制作用が白色脂肪細胞におけ る j3 3受容体刺激によつて誘発されること(Journal of Pharmacology and
Experimental Therapeutics 2 8 7卷(1 9 9 8年) 7 2 0〜 7 2 4頁)が知られ ている。 発明の開示
本発明者は 3ァゴニストの薬効発現には白色脂肪細胞における 3受容体の 活性化が重要であり、 3ァゴニストの白色脂肪細胞に対する作用を減弱させる' インスリンが、 ]3 3ァゴニストの糖尿病、 肥満および過敏性腸症候群などの治療 効果の発現に対して、 抑制的に働く可能性が極めて強いことを見出した。 インス リンは食事の摂取など血糖値の上昇によつて勝臓 β細胞より分泌されるホルモン で、 末梢組織 (筋肉、 脂肪組織)でのィンスリン感受性糖輸送担体を介する糖取り 込みを促進し、 血糖値を一定レベルに維持するための重要なホルモンである。 糖 尿病患者はィンスリン分泌量が不足した状態、 または末梢組織におけるィンスリ ン感受性低下の状態にあり、 その治療として、 インスリン強化療法を施すか、 ま たはィンスリン分泌促進剤のスルフォニルゥレア剤(以下、 S U剤と記すことも ある)が現在臨床で用いられている。 従って、 本発明者は、 ]3 3ァゴニストを臨 床応用する場合、 肥満や過敏性腸症候群等の患者をはじめ一般的には、 食事の摂 取による血中ィンスリン濃度の上昇によって、 またィンスリン製剤や S U剤を使 用している糖尿病患者では、 食事の摂取に加えてィンスリン製剤の使用や S U剤 の使用等による血中インスリン濃度の上昇によって、 β 3ァゴニストの薬効発現 が減弱される等の影響を受けることを見出した。
/3 3ァゴニストは通常、 血中インスリン濃度を上昇させるさまざまな要因の存 在下で用いられることが想定される。 この場合は、 i3 3ァゴニスト自体の作用の 強さと血中ィンスリン濃度による i3 3ァゴニストの薬効減弱とのバランスの上で、 3ァゴニストの薬効が発現されることになるが、 血中インスリン濃度が上昇す
る環境下にあっても、 より効率的に] 3 3ァゴニストの薬効発現ができる方法が望 まれている。
β 3ァゴニストの薬理作用がインスリンによって減弱される影響を受けないた めには、 少なくとも血中インスリン濃度が上昇する食事や、 食後高血糖の抑制の ために投与される S U剤またはィンスリン製剤などの作用をさけて β 3ァゴニス トを作用させることが望ましい。 最も簡便には、 食後や S U剤、 インスリン製剤 の服薬後をさけ、 一定時間経過後に i3 3ァゴニストを月艮薬するという方法が考え られる。 し力 しながら、 糖尿病患者に投与する場合にはその病態は一様ではなく、 高血糖や S U剤に対するィンスリン分泌の反応性も多様であること力 ら、 e 3ァ ゴニストの作用を服薬のタイミングで制御することは極めて困難であり、 安定し た治療法ではない。 そこで、 3ァゴニストの薬効楽現にとつて、 最も好ましい 血中濃度を容易に力 安定に達成できる方法およびそれに適した製剤の開発が望 まれている。
その解決方法として、 ( 1 )ある血中濃度を持続的に維持できるような血中半減 期の長い ^ 3ァゴニストを見いだすこと、 または製剤的工夫により β 3ァゴニス トの望ましい血中濃度を維持すること、 (2 )インスリンの影響を避けるために食 事の摂取やインスリン製剤あるいは S U剤によって血中インスリン濃度が高レべ ルとなる一定時間の経過後に、 β 3ァゴニストの血中濃度を上昇させ維持できる ような製剤の開発、 (3 )持続的な i3 3受容体刺激によるエネルギー代謝亢進が生 体に及ぼす影響や負の制御が発現する可能性などの複雑な生体反応を回避するた め、 インスリンの作用時間をさけることができ、 かつある一定時間のみ 3 3ァゴ ニストの有効血中濃度を維持できるような製剤的改良を行うこと、 ( 4 )日常生活 におけるィンスリン作用の日内変化を前提として、 インスリン作用の低下時に ]3 3ァゴ-ストの作用を間欠的に、 または周期的に発揮させるように工夫すること が考えられる。
即ち、 本発明の目的は、 j8 3ァゴニストの臨床応用で、 糖尿病のみならず肥満、 過敏性腸症候群等の 3ァゴニストの適用となるレ、ずれの疾病の治療にぉレ、ても、 β 3ァゴニストの薬効発現に影響を与える可能性がある血中ィンスリン濃度を上 昇させるさまざまな要因の存在下で ]3。ァゴニストを投与する際に、 ]3。ァゴニ
ストの血中濃度を薬効発現にとって最も望ましく制御する方法おょぴそれに適し た製剤を提供することである。 図面の簡単な説明
図 1は、 B莫制御型製剤の模式図である。 図 1—Aはコーティングされた原薬、 芯粒子を有する徐放顆粒または錠芯を有する徐放綻の模式図であり、 図 1— Bは 核粒子を有する徐放顆粒の模式図である。
符号の説明
1 放出制御高分子皮膜
2 原薬、 芯粒子または錠芯
3 薬物層
4 核粒子
図 2は、 ヒトの食事摂取後の血中ィンスリン濃度の経時変化を示しているダラ フである。 発明を実施するための最良の形態
本発明は下記の種々の態様の発明を包含する。
[ 1 ] i33アドレナリン受容体作動薬の血中濃度制御方法およびその製剤、
[2][3— [(2R)— [[(2R)— (3—クロ口フエ-ル)一 2—ヒドロキシェチル] ァミノ]プロピル ]ー 1 H—インドールー 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級ァ ルキルエステルの血中濃度制御方法およびその製剤、
[3]経口固形製剤、 経皮製剤、 溶液製剤、 坐剤、 吸入剤および生分解性埋め込み 製剤から選ばれる製剤とする、 上記 [ 1 ]または [ 2 ]の血中濃度制御方法およびそ の製剤、
[4]速効性、 徐放性または溶出制御型の経口固形製剤とする、 上記 [1]または
[ 2 ]の血中濃度制御方法およぴその製剤、
[5]膜制御型またはマトリックス制御による徐放性経口固形製剤とする、 上記 [ 1 ]または [ 2 ]の血中濃度制御方法およびその製剤、
[ 6 ]腸溶性経口固形製剤とする、 上記 [ 1 ]または [ 2 ]の血中濃度制御方法およぴ
その製剤、
[ 7 ]溶出制御型製剤とする、 上記 [ 1 ]または [ 2 ]の血中濃度制御方法およびその 製剤、
[8]軟膏剤、 貼付剤および散布剤から選ばれる経皮製剤とする、 上記 [1]または [ 2]の血中濃度制御方法およびその製剤、
[ 9 ]経口液剤または注射剤とする、 上記 [ 1 ]または [ 2 ]の血中濃度制御方法およ ぴその製剤、
[10]速効性または徐放性の坐剤とする、 上記 [1]または [2]の血中濃度制御方 法およびその製剤、
[1 1]吸入剤とする、 上記 [1]または [2]の血中濃度制御方法およびその製剤、
[12]生分解性埋め込み製剤とする、 上記 [1]または [2]記載の血中濃度制御方 法およびその製剤、
[ 13 ] 3アドレナリン受容体作動薬を投与した際、 血中ィンスリンによる影響 を抑えるように β 3ァドレナリン受容体作動薬の血中濃度を制御する方法、
[14]アルカリ化剤、 アミノ酸およびゼラチンから選ばれる 1種または 2種以上 と [3— [(2 R)— [[(2 R)—(3—クロ口フエ二ル)一 2—ヒドロキシェチノレ]ァ ミノ]プロピル]一 1 Η—インドール— 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級アル キルエステルを含有してなる製剤、
[15]経口固形製剤である上記 [14]記載の製剤、
[ 16]溶液製剤である上記 [ 14]記載の製剤。
本発明における β 3ァドレナリン受容体作動薬としては、 β 3ァドレナリン受 容体刺激作用を有する化合物であれば、 レ、ずれの化合物を用いてもよい。 例えば、 [3— [(2 R)— [[(2 R)— (3—クロ口フエニル)_ 2—ヒドロキシェチル]アミ ノ]プロピル]— 1 Η—インドール一 7—ィルォキシ]酢酸もしくはその低級アル キルエステル、 EP 611003号公報、 WO 95/29159号公報、 WO 9
6/35685号公報、 WO 97/10822号公報、 WO 97/10825号 公報、 WO 97/16189号公報、 WO 97/25311号公報、 WO 97/ 46556号公報、 WO 98/03485号公報、 WO 98/04526号公報、 WO 98/09625号公報、 W〇 98/32753号公報、 WO 99/014
3 1号公報、 WO 9 9/2967 2号公報、 WO 99/296 73号公報、 WO 99/32475号公報、 WO 9 9/32476号公報、 WO 99/44609 号公報、 WOO 0/1 2462号公報、 WOO 0/3 58 90号公報、 WO 00 /40560号公報、 WO0 1/44 1 87号公報、 WO0 1/60786号公 報、 WO 0 1/62705号公報、 WO 01/706 87号公報、 WO 0 1/8 345 1号公報、 WO 01/83452号公報、 WO 0 1/8 345 3号公報、 US 4707497号公報、 US 545 16 7 7号公報、 US 5808080号 公報おょぴ Journal of Medicinal Chemistry 43卷(2000年) 38 32〜 3 8 36頁に記載された化合物が挙げられる。
特に好適であるのは、 [3— [(2R)— [[(2R)— (3—クロ口フエ二ル)一 2— ヒドロキシェチル]ァミノ]プロピル]一 1 H—インドール一 7—ィルォキシ]酢酸 またはその低級アルキルエステルであり、 ここにおいて低級アルキルエステルは、 炭素数 1〜6の低級アルキルエステルを意味し、 例えば、 メチルエステル、 ェチ ルエステル、 イソプロピルエステルが挙げられる。 [3_[(2R)— [[(2R)— (3—クロ口フエ-ノレ)一 2—ヒドロキシェチル]ァミノ]プロピル]— 1 H—ィン ドール— 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルは WO 96/1 6 938号公報に記載の方法で製造することができる。
本発明の ]33ァドレナリン受容体作動薬の血中濃度制御方法には種々の製剤化 が考えられ、 e 3ァドレナリン受容体作動薬の血中濃度を一定レベルにまたは一 定範囲内で変動させるような製剤であればいずれの製剤でもよく、 例えば、 長時 間血中濃度を持続させる製剤、 一定時間経過後に血中濃度を上昇させ持続させる 製剤、 一定時間経過後に血中濃度を上昇させ速やかに低下させる製剤、 血中濃度 の上昇と低下を周期的にかつ間隔を制御して行える製剤、 更には各患者に独自の 最適の血中濃度、 周期、 間隔等で ]33アドレナリン受容体作動薬を投与できるよ うに設計された(オーダーメイド)製剤が挙げられる。 経口製剤のほか、 経皮製剤、 経肺製剤、 経粘膜製剤(口腔、 鼻腔、 直腸等)、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 筋肉内 注射剤等、 投与経路を特に限定するものではなく、 3アドレナリン受容体作動 薬を必要な期間に体内に供給し、 3アドレナリン受容体作動薬の血中濃度を制 御するために、 一日投与量を血中濃度の恒常的な制御に必要な頻度 (例えば 2時
間毎)に分割した速効性の製剤、 投与回数を減じることができる徐放性または持 続性の製剤、 更には、 本目的を達成するよう設計された薬剤の定量供給装置また はデバイスを用レ、た製剤であつてもよい。
具体的には、 経口固形製剤としては、 速効性顆粒剤、 速効性錠剤等の速効性経 口固形製剤、 膜制御型の徐放製剤、 マトリックス制御による徐放製剤等の徐放性 経口固形製剤、 膜制御型の腸溶性経口固形製剤、 マトリックス制御による腸溶性 経口固形製剤またはこれらを組合わせてなる溶出制御型経口固形製剤が挙げられ る。 溶出制御型経口固形製剤は、 速効性経口固形製剤、 徐放性経口固形製剤また は腸溶性経口固形製剤を組合わせて溶出制御を可能とした経口固形製剤である。 経皮製剤としては、 軟膏剤、 貼付剤または散布剤が挙げられる。 溶液製剤とし ては経口液剤または注射剤が挙げられ、 坐剤としては速効性坐剤または徐放性坐 剤が挙げられ、 更にドライパウダー方式の吸入剤または生分解性埋め込み製剤が 挙げられる。
長時間血中濃度を持続させる製剤としては、 膜制御型の徐放製剤、 マトリック ス制御による徐放製剤、 経皮製剤、 徐放性坐剤、 生分解性高分子埋め込み製剤等 が挙げられる。 一定時間経過後に血中濃度を上昇させ持続させる製剤としては、 膜制御型の徐放製剤、 マトリックス制御による徐放製剤、 経皮製剤が挙げられる。 一定時間経過後に血中濃度を上昇させ速やかに低下させる製剤としては、 膜制御 型の腸溶性経口固形製剤、 マトリックス制御による腸溶性経口固形製剤が挙げら れる。 血中濃度の上昇と低下を周期的にかつ間隔を制御して行える製剤としては、 溶出制御型経口固形製剤が挙げられる。
[ 3— [ ( 2 R)— [ [ ( 2 R) _ ( 3—クロ口フエ二ノレ) _ 2—ヒドロキシェチル]ァ ミノ]プロピル]一 1 H—ィンドール一 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級アル キルエステルを製剤化する場合、 アルカリ化剤、 アミノ酸およびゼラチンから選 ばれる 1種または 2種以上を配合することにより、 十分な安定性が得られる。
アル力リィ匕剤としては、 例えば、 リン酸水素 2ナトリウム( 1 2水和物)、 リン 酸水素 2カリウム、 炭酸 2ナトリウム(1 0水和物)、 酸化マグネシウム、 水酸ィ匕 カルシウム、 水酸化ナトリウム、 メダルミン、 ェデト酸 2ナトリウムまたはトロ メタモール [トリス(ヒドロキシメチル)ァミノメタン]が挙げられる。 最も好まし
くは、 メグ ミンを用いる。
アミノ酸としては、 例えば、 グリシン、 D L—ァラニンまたは Lーァ /レギニン が挙げられる。 最も好ましくは、 L—ァルギニンを用いる。
アル力リィ匕剤、 ァミノ酸またはゼラチンの添加量は、 製剤重量の 1 0 %以下、 好ましくは 5 %以下、 最も好ましくは 0 . 5— 2 %である。
アルカリィ匕剤、 アミノ酸またはゼラチンは、 [ 3— [ ( 2 R)— [ [( 2 R)—(3— クロ口フエニル) _ 2—ヒ ドロキシェチル]ァミノ]プロピル]― 1 Η—ィンドール - 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルに賦形剤、 結合剤およ び崩壌剤と共に添加し、 粉末製剤とすることができる。 また、 造粒することによ り粒状物とすることができる。 粒状物は顆粒剤として用いることができるが、 更 に、 静電気防止または流動性を改善する目的でステアリン酸またはその塩類、 シ ョ糖脂肪酸エステル類、 タルク、 軽質無水ケィ酸等の滑沢剤を外部に後添加成分 として添加してもよい。
賦形剤としては、 乳糖、 マンニトール、 ソルビトール、 キシリ トール、 トレハ ロース、 ショ糖、 エリスリトール、 デンプンまたは結晶セルロース等を用いるこ とができ、 結合剤としては、 ヒ ドロキシプロピルセルロース、 ヒ ドロキシプロピ ルメチルセルロース、 プルラン、 デンプン、 ポリビュルアルコールまたはポリビ ニルピロリ ドン等を用いることができ、 崩壊剤としては、 低置換度ヒドロキシプ 口ピルセノレロース、 カノレメロースカノレシゥム、 クロスカノレメロースナトリウム、 架橋化ポリビュルピロリ ドンまたはカルボキシメチルスターチナトリゥム等を用 いることができる。
これらの粉末製剤あるいは顆粒剤は、 必要に応じて、 乳糖、 マンニトール、 ブ ドウ糖、 エリスリ トール、 ソノレビトール、 マルトース、 キシリ トール、 トレハロ ース等の糖類、 デンプン、 結晶セルロース等の適当な賦形剤と共に、 ゼラチン製 あるいはヒドロキシプロピルメチルセルロース製等のカプセルに充填し、 カプセ ル剤とすることもできる。
また、 先の粒状物あるいは粉末製剤に、 前述の賦形剤 (乳糖、 マンニトール、 ソルビトール、 キシリ トール、 トレノヽロース、 ショ糖、 エリスリ トール、 デンプ ン、 結晶セルロース等)および ζまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、
カルメロースカルシウム、 クロスカルメロースナトリウム、 架橋化ポリビュルピ 口リ ドン、 カルボキシメチルスターチナトリゥム等の崩壌剤および Zまたはステ アリン酸またはその塩類、 ショ糖脂肪酸エステル類、 タルク、 軽質無水ケィ酸等 の滑沢剤を配合 ·混合し、 常法に従って錠剤機により圧縮成形して錠剤化するこ とができる。
このようにして調製した、 粉末製剤、 顆粒剤、 挺剤あるいはカプセル剤は、 シ リ力ゲル等の適当な乾燥剤と共に包装することにより、 更に安定性を向上させる ことができる。
また、 更に安定性を向上させるためには、 アルカリィ匕剤、 アミノ酸またはゼラ チンと賦形剤、 崩壊剤および結合剤を含有する粒状物を予め調製し、 これに [3 _[(2R)_[[(2R)_(3—クロ口フエニル)ー 2—ヒドロキシェチル]ァミノ] プロピル]一 1 H—ィンドール一 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級アルキルェ ステルおょぴ前述の後添加成分の混合物を添加、 混合し、 これを常法に従って硬 カプセル用充填機によりカプセル剤とする力、、 錠剤機を用いて圧縮成形し錠剤と してもよい。
また、 アルカリィ匕剤、 アミノ酸またはゼラチンは、 [3— [(2R)— [[(2R)— (3—クロ口フエニル)ー 2—ヒドロキシェチル]ァミノ]プロピル]— 1H—イン ドール一 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルに、 必要に応じ て保存剤、 嬌 または等張化剤と共に添加し、 経口液剤、 注射剤等の溶液製剤 とすることもできる。 保存剤としてはパラォキシ安息香酸メチル、 パラォキシ安 息香酸ェチルおよび ζまたはパラ安息香酸プロピルを用いることができる。 嬌味 剤としてはショ糖、 ブドウ糖、 果糖、 D—ソルビトール、 マンニトール等の糖類 またはサッカリンナトリゥム等の合成甘味料を用いることができる。 等張化剤と しては塩化ナトリウム、 プドウ糖、 D—ソルビトールまたはマンニトール等を用 いることができる。 更に、 香料、 着色剤を添加してもよい。
なお、 WOO 1/40182号には特定の粒子径の [3— [(2R)— [[(2R)— (3—クロ口フエ二ル)一 2—ヒドロキシェチル]ァミノ]プロピル]一 1H—イン ドール一 7—ィルォキシ]酢酸を含んでなる固形製剤が記載されているが、 アル カリ化剤、 アミノ酸またはゼラチンによる安定化については一切記載されていな
レ、。
以下に、 3アドレナリン受容体作動薬の血中濃度を制御するための各製剤の 製造方法およぴ血中濃度制御方法について説明する。
I .経口固形製剤
速効性経口固形製剤
速効性経口固形製剤は、 jS 3アドレナリン受容体作動薬の物理的およぴ化学的 な安定性上許容される賦形剤(乳糖、 マンニトール、 ソルビトール、 キシリ トー ル、 トレハロース、 ショ糖、 エリスリ トール、 デンプン、 結晶セルロース)、 結 合斉 IJ (ヒ ドロキシプロピノレセノレロース、 ヒ ドロキシプロピノレメチノレセノレロース、 プルラン、 デンプン、 ポリビニルアルコール、 ポリビュルピロリ ドン等)および 崩壊剤(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、 カルメロースカルシウム、 ク ロスカルメロースナトリゥム、 架橋化ポリビュルピロリ ドン、 カルボキシメチル スターチナトリウム等)を配合して製造することができる。 また、 i8 3アドレナ リン受容体作動薬の 1日投与量を服用頻度に応じて分割する場合、 製剤の一回服 用量 (通常 5 0 m g〜2 0 0 m g程度)当たりの 3アドレナリン受容体作動薬含 有量を 0 . 5 m g以下に減少させた低含量製剤とすることもある。 必要に応じて、 このような低含量製剤における安定性を向上させる目的で、 更に安定化剤を添加 し、 β 3ァドレナリン受容体作動薬を含有する速崩壊型の粒状物とすることがで きる。 この粒状物はそのまま顆粒剤として用いることができるが、 更に、 静電気 防止または流動' I"生を改善する目的でステアリン酸またはその塩類、 ショ糖脂肪酸 エステル類、 タノレク、 軽質無水ケィ酸等の滑沢剤を外部に添加してもよい。
これらの顆粒剤は、 必要に応じて、 乳糖、 マンニトール、 ブドウ糖、 エリスリ トール、 ソルビトール、 マルトース、 キシリ トール、 トレハロース等の糖類、 デ ンプン、 結晶セルロース等の適当な賦形剤と共に、 ゼラチン製、 ヒドロキシプロ ピルメチルセルロース製等のカプセルに充填し、 カプセル剤とすることもできる。 速効性の錠剤は、 先の粒状物に、 前述の賦形剤おょぴ Ζまたは低置換度ヒドロ キシプロピノレセノレロース、 力/レメロース力/レシゥム、 クロス力ノレメロースナトリ ゥム、 架橋化ポリビュルピロリ ドン、 カルボキシメチルスターチナトリゥム等の 崩壊剤および ζまたはステアリン酸またはその塩類、 ショ糖脂肪酸エステル類、
タルク、 軽質無水ケィ酸等の滑沢剤を配合し、 常法に従って錠剤機により圧縮成 形して製造することができる。
以上のようにして調製した速効性経口固形製剤は、 食前服用することにより、 食事または S U剤の服用に基づくインスリン分泌が開始される前に、 iS 3アドレ ナリン受容体作動薬を溶出させることができる。
膜制御型の徐放製剤
膜制御型の徐放製剤は、 β 3ァドレナリン受容体作動薬の物理的およびィ匕学的 な安定性上許容される賦形剤 (乳糖、 マンニトール、 ソルビトール、 キシリ トー ル、 トレハロース、 ショ糖、 エリスリ トール、 デンプン、 結晶セルロース等)お よび結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒドロキシプロピルメチルセル口 ース、 プルラン、 デンプン、 ポリビュルアルコール、 ポリビニルピロリ ドン等) を用い、 必要に応じて主薬の安定性を向上させる目的で、 更に安定化剤を配合し、 更に必要に応じて滑沢剤としてステアリン酸またはその塩類、 ショ糖脂肪酸エス テル類、 タルク、 軽質無水ケィ酸等を添加して、 ]3 3アドレナリン受容体作動薬 を含有する非崩壌型の粒状物 (芯粒子)または錠剤 (錠芯)を製造し、 この粒状物
(芯粒子)または錠剤 (錠芯)に、 高分子、 油脂等から成る薬物溶出制御皮膜を施し、 必要に応じて加熱処理(キュアリング)を施すことにより、 製造することができる。 あるいは J3 3ァドレナリン受容体作動薬の薬物粒子 (原薬)に高分子、 油脂等から なる溶出制御被膜を直接施し、 これに前述の添加剤 (賦形剤、 崩壊剤、 滑沢剤)を 配合して、 碇剤または顆粒剤とする力、、 または粒状物とした後に錠剤とすること もできる。
薬物の溶出を制御するための膜成分としては、 ミツロウ、 カルナゥバロウ、 セ チルアルコーノレ、 セチルステアリルアルコール、 ベへニン酸グリセリン、 脂質' 油脂類、 セラック等の樹脂、 ェチルセルロース等のセルロースエステル類または ポリアクリル酸エステル類等の高分子を用い、 これらの膜成分をメタノール、 ェ タノール、 イソプロピルアルコール、 アセトン等の有機溶媒溶液、 有機溶媒と水 との混合液、 コーティング用水性懸濁液等を用いて、 原薬、 芯粒子または錠芯に 流動層造粒装置、 転動流動層造粒装置等の装置を用いてコーティングし、 図 1一 Aに示したような膜制御型の徐放製剤(コーティングされた原薬、 芯粒子を有す
る徐放顆粒または錠芯を有する徐放錠)とすることができる。
図 1一 Bに示す芯粒子を有する徐放顆粒は、 球状ショ糖または球状結晶セル口 一スを核粒子として、 これに j8 3アドレナリン受容体作動薬および結合剤(ヒド ロキシプロピルセルロース、 ヒ ドロキシプロピルメチルセノレロース、 プルラン、 デンプン、 ポリビュルアルコール、 ポリビニルピロリ ドン等)を積層し、 必要に 応じて賦形剤(乳糖、 マンニトール、 ソルビトール、 キシリ トール、 トレノヽロー ス、 ショ糖、 エリスリ トール、 デンプン、 結晶セルロース等)を添加して芯粒子 とし、 前述と同様に制御膜を施すことにより、 製造することができる。
このとき、 制御膜には、 セルロースエステル類、 ポリアクリル酸エステル類等 の高分子と共に、 必要に応じて可塑剤として、 プロピレングリコール、 グリセ口 ール、 ポリエチレンダリコール、 グリセリルトリァセテ一ト(トリァセチン)、 ク ェン酸トリェチル、 タエン酸ァセチルトリェチル、 フタル酸ジェチル、 セパシン 酸ジェチル、 セバシン酸ジブチル、 ァセチル化モノグリセリ ド、 ヒマシ油、 流動 パラフィン等を添加してもよい。
更に、 製剤製造過程での凝集あるいは付着防止剤として、 モノステアリン酸グ リセリン、 タルク、 軽質無水ケィ酸、 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を溶 出制御被膜成分中に添加することができる。 また、 遮光または識別性の向上を目 的として、 適当な着色剤を皮膜成分中に添加することができる。 着色剤しては、 黄色 4号、 黄色 5号、 青色 1号、 青色 2号等の水溶性合成色素、 これらのアルミ ェゥムレーキ類、 タルク、 酸化チタン、 酸化鉄類、 硫酸カルシウム、 炭酸カルシ ゥム、 リボフラビン、 カルミン、 ターメリック色素等を添加してもよい。 更に、 嗜好性を向上させるために、 甘味料、 香料等を添カ卩してもよレ、。 また、 必要に応 じて、 これら粒状物および錠剤同士の凝集、 付着を防止するために、 タルク、 軽 質無水ケィ酸、 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を付着防止剤として外部に 添加することができる。
更に、 徐放顆粒は、 必要に応じて、 乳糖、 マンニトール、 プドウ糖、 エリスリ トール、 ソルビトール、 マルトース、 キシリ トール、 トレハロース等の糖類、 デ ンプン、 結晶セルロース等の賦形剤と共に、 ゼラチン製、 ヒドロキシプロピルメ チルセルロース製等のカプセルに充填し、 カプセル剤とすることもできる。 ある
いは、 徐放顆粒に、 前述の賦形剤おょぴ Zまたは低置換度ヒドロキシプロピルセ ルロース、 カルメロースカルシウム等の崩壌剤おょぴ Zまたはステアリン酸また はその塩類、 ショ糖脂肪酸エステル類、 タルク、 軽質無水ケィ酸等の滑沢剤を配 合し、 常法に従って錠剤機で圧縮成形することにより、 膜制御型の徐放顆粒を含 有する錠剤とすることもできる。
これらの膜制御型の徐放錠およぴ徐放顆粒からの 3アドレナリン受容体作動 薬の溶出持続期間は溶出制御膜の厚さを増すことにより延長でき、 通常、 数時間 から 2 4時間にわたる持続的な溶出制御が可能である。 あるいは、 溶出制御膜中 の油脂、 樹脂または高分子の種類、 可塑剤の配合比率などによっても溶出期間の 制御は可能である。 一方、 血中濃度は、 製剤の服用量により調節することもでき るが、 錠芯または芯粒子中に添加する β 3ァドレナリン受容体作動薬量を調節す ることで可能となる。
マトリックス制御による徐放製剤
マトリックス制御による徐放製剤 (顆粒剤、 錠剤)は、 前述の芯粒子または錠芯 の製造時に、 ミツロウ、 カルナゥバロウ、 セチルアルコール、 セチルステアリル アルコール、 ベへニン酸グリセリン、 脂質'油脂類、 セラック等の樹脂、 ェチル セルロース等のセルロースエステル類、 ポリアクリル酸エステル類等の高分子よ り成る薬物溶出制御成分を、 予め、 乳糖、 マンニトール、 ブドウ糖、 エリスリ ト ール、 ソノレビトーノレ、 マルトース、 キシリ トール、 トレハロース等の糖類、 デン プン、 結晶セルロース等の適当な賦形剤と共に配合し、 成形後、 必要に応じて加 熱処理 (キュアリング)を施すことにより製造することができる。
このとき、 溶出制御成分には、 セルロースエステル類、 アクリル酸エステル類 等の高分子と共に、 必要に応じて可塑剤として、 プロピレングリコール、 グリセ ロール、 ポリエチレンダリコール、 グリセリノレトリァセテ一ト(トリァセチン)、 タエン酸トリエチル、 クェン酸ァセチルトリエチル、 フタル酸ジェチル、 セバシ ン酸ジェチル、 セバシン酸ジブチル、 ァセチル化モノグリセリ ド、 ヒマシ油、 流 動パラフィン等を添加してもよい。
更に、 製剤製造過程での凝集または付着防止剤として、 モノステアリン酸ダリ セリン、 タルク、 軽質無水ケィ酸、 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を剤皮
成分中に添加することができる。 このほか、 識別性の向上等を目的として、 適当 な着色剤を添加することもできる。 着色剤しては、 黄色 4号、 黄色 5号、 青色 1 号、 青色 2号等の水溶性合成色素、 これらのアルミニウムレーキ類、 タルク、 酸 化チタン、 酸化鉄類、 硫酸カルシウム、 炭酸カルシウム、 リボフラビン、 カルミ ン、 ターメリック色素等を添加してもよレ、。 更に、 嗜好性を向上させるために、 甘味料、 香料等を添加してもよい。 また、 必要に応じて、 これら粒状物おょぴ錠 剤同士の凝集、 付着を防止するために、 タルク、 軽質無水ケィ酸、 メタケイ酸ァ ルミン酸マグネシウム等を付着防止剤として外部に添加することができる。 更に、 マトリックス制御型製剤のうち粒状物としたものについては、 ゼラチン 製、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース製等のカプセルに充填し、 カプセル剤 とすることもできる。 あるいは、 乳糖、 マンニトール、 ブドウ糖、 エリスリ トー ノレ、 ソルビトール、 マルトース、 キシリ トール、 トレハロース等の糖類、 デンプ ン、 結晶セルロースなどの賦形剤および Zまたは低置換度ヒドロキシプロピルセ ルロース、 カルメロースカルシウム等の崩壌剤、 ステアリン酸またはその塩類、 ショ糖脂肪酸エステル類、 タルク、 軽質無水ケィ酸等の滑沢剤を配合し、 錠剤機 で圧縮成形することにより、 マトリックス型徐放顆粒を含有する錠剤とすること も可能である。
これらのマトリックス制御型の徐放錠および徐放顆粒からの j3 3ァドレナリン 受容体作動薬の溶出持続期間は製剤中の溶出制御成分の含有比率を上げることに より延長でき、 通常、 数時間から 2 4時間にわたる持続的な溶出制御が可能であ る。 あるいは、 溶出制御成分となる油脂、 樹脂または高分子の種類、 可塑剤の配 合比率、 更には、 製剤中に添加される、 乳糖、 マンニトール、 ブドウ糖、 エリス リ トール、 ソルビトール、 マルトース、 キシリ トール、 トレハロース等の水溶性 賦形剤の配合比率によっても溶出期間の制御は可能である。 一方、 血中濃度は、 製剤の服用量により調節することもできるが、 錠芯または芯粒子中に添加する β 3アドレナリン受容体作動薬量を調節することで可能となる。
腸溶性経口固形製剤
腸溶性経口固形製剤は、 前述のようにして調製した |8 3ァドレナリン受容体作 動薬を含有する速効性顆粒または徐放顆粒の芯粒子に、 中性からアルカリ性域の
Hで溶解する高分子より成る腸溶性皮膜を施すことにより腸溶性の粒状物とす る。 この場合、 腸溶性皮膜に使用する高分子としては、 ヒドロキシプロピルメチ ノレセルロースフタレート(H PMC P)、 セノレロースアセテートフタレート(C A P )、 ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(H P MC A S )またはアミノアルキルメタアクリル酸共重合物(オイドラギット R S、 R L)、 そのコーティング用懸濁液等が使用できる。 また、 これらの高分子の可塑剤とし て、 プロピレングリコーノレ、 グリセローノレ、 ポリエチレングリコーノレ、 グリセリ ルトリアセテート(トリァセチン)、 タエン酸トリエチル、 タエン酸ァセチルトリ ェチル、 フタノレ酸ジェチノレ、 セバシン酸ジェチル、 セバシン酸ジブチノレ、 ァセチ ル化モノグリセリ ド、 ヒマシ油、 流動パラフィン等を添カ卩してもよい。 また、 必 要に応じて、 これらの腸溶性粒状物の凝集、 付着を防止するために、 タルク、 軽 質無水ケィ酸、 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を付着防止剤として皮膜内 部および/または外部に添加することができる。
以上のようにして調製した腸溶性経口固形製剤は、 食事または S U剤の服用に 基づくィンスリンの分泌が収束し、 その後に薬物の溶出が始まるようにも設計で きる。 また、 必要に応じてこれを、 腸溶性皮膜を施さない速効性顆粒と適当な比 率で混合することによって、 徐放性製剤と類似した血中濃度制御製剤とすること もできる。 即ち、 このような速効性の顆粒を含有する製剤にあっては、 服用後ま ず速効性の粒状物が胃内で溶解し、 3アドレナリン受容体作動薬が溶出して薬 効を発現し、 その後、 製剤の消化管内における移行に伴う p Hの変化により、 腸 溶性の粒状物が小腸上部から結腸内で溶解するため、 再度 ]3 3ァドレナリン受容 体作動薬が溶出する。 こうして見かけ上、 数時間から 2 4時間にわたる ;3 3アド レナリン受容体作動薬の血中濃度の制御が可能となり、 徐放性顆粒剤として機能 する。
溶出制御型経口固形製剤
溶出制御型経口固形製剤は、 前述のようにして調製した速効性経口固形製剤、 膜制御型の徐放製剤、 マトリックス制御による徐放製剤 (徐放性経口固形製剤)ま たは腸溶性経口固形製剤を組合わせて製剤化することによって製造することがで さる。
例えば、 前述の腸溶性粒状物を、 消化管下部にて薬物の溶出が開始されるよう に設計し、 これを腸溶性皮膜を施さない速効性顆粒または徐放顆粒と適当な比率 で混合することによつて製造することができる。
即ち、 速効性経口固形製剤を含有する溶出制御製剤にあっては、 服用後まず速 効性経口固形製剤が胃内で溶解し、 3アドレナリン受容体作動薬が溶出して薬 効を発現し、 その後、 食事または S U剤の服用に基づくインスリンの分泌が収束 した後、 製剤の消化管内における移行に伴う p Hの変ィ匕により、 腸溶†生経口固形 製剤が結腸等の消化管下部で溶解するため、 再度 3アドレナリン受容体作動薬 が溶出する。 このようにして、 血中濃度の上昇と低下を周期的にかつ間隔を制御 して行える血中濃度制御製剤として機能する。 更に、 この腸溶性製剤の芯粒子
(錠芯)を、 前述の徐放性製剤で置換えた形態の製剤とすることにより、 製剤が消 化管下部に到達した後にも /3 3ァドレナリン受容体作動薬の溶出を持続させるこ とができる。
経口固形製剤全般
このようにして製造した本発明の経口固形製剤は、 必要に応じて、 適切な材質 によりブリスター包装、 ヒートシール包装、 あるいは瓶包装される。 また必要に 応じて、 シリカゲル等適当な乾燥剤を包装中に封入してもよい。
II.経皮製剤
経皮製剤としては、 軟膏剤、 貼付剤、 散布剤等が挙げられる。 3アドレナリ ン受容体作動薬を含有する経皮吸収製剤を調製するためには、 原薬をそのまま用 いる力、 必要ならば吸収率を上げる目的で、 適当な粉枠装置、 例えば流体ェネル ギーミル、 ボールミル、 振動ボールミル、 遊星ボールミル等を用いて粉砕し、 平 均粒子径が 1 0 m以下となるように微粒子化して用いてもよレ、。 あるいは粉砕 工程を経ずに、 合成の最終過程で結晶化条件を適当に調節するか、 超臨界流体技 術などを用いて 1 O ^a m以下の微粒子として用いてもよレ、。 更に /3 3アドレナリ ン受容体作動薬を効率よく吸収させるためには、 中鎖脂肪酸モノグリセリド等の 適当な吸収促進剤を基剤中に添加してもよレ、。 軟膏剤は、 油脂性基剤として白色ワセリン、 プラスチベース、 サラシミツロウ、
精製ラノリン、 硬化ヒマシ油等を用レ、、 必要に応じて植物油、 流動パラフィン等 を添加、 混合して粘ちよう性および接着性を調節し、 これに微粒子ィ匕した 3ァ ドレナリン受容体作動薬を添加し、 万能混合機、 コロイドミル等の適当な練合装 置を用い、 必要に応じて加温することにより、 均一な軟膏剤を製造することがで きる。 これをチューブ、 瓶等の適当な容器に充填して軟膏剤とする。
また、 マクロゴール等から成る水溶性基剤中に 3アドレナリン受容体作動薬 を同様の装置を用い、 必要に応じて加温して均一に混合 ·分散して軟膏剤とする こともでき、 乳剤性基剤または高分子ゲル基剤を使用して軟膏剤とすることもで さる。
貼付剤
貼付剤を製造するためにはまず、 薬物含有粘着基剤を調製する。 薬物含有粘着 基剤は、 ポリビュルピロリ ドン、 ポリイソプチレン、 酢酸ビュル共重合体、 ポリ アクリル酸エステル等の高分子またはこれらの混合物に、 グリセリン、 プロピレ ングリコール、 ポリエチレングリコ一/レ、 タエン酸トリエチル、 クェン酸ァセチ ノレトリェチノレ、 フタル酸ジェチル、 セバシン酸ジェチル、 セバシン酸ジブチル、 ァセチル化モノグリセリ ド等の可塑剤および溶剤を添加し均一に混合した後、 β
3ァドレナリン受容体作動薬を添加し二軸ェクストルーダー等の練合装置を用い て混合'溶解あるいは分散して、 調製することができる。 あるいは、 予め 3ァ ドレナリン受容体作動薬を溶解または分散させた溶剤に前述の高分子おょぴ可塑 剤を添カ卩し、 同様の操作により混合して調製することができる。 こうして調製し た薬物含有粘着基剤を適当な貝占付薬製造装置 (例えば、 乾燥 ·裁断機つき貼付薬 製造装置:㈱幸袋工作所製)を用いて、 適当なフィルム状の支持体 (アルミ箔、 ポ リウレタンフィルム、 ポリエチレンフィルム、 ポリエステル不織布、 ナイロン不 織布等またはこれらを積層し組み合わせたもの)上に塗布 ·展延し、 基剤層を乾 燥させた後、 保護フィルム(アルミ箔、 ポリウレタンフィルム、 ポリエチレンフ イルム、 ポリエステル不織布、 ナイロン不織布、 紙 (パルプ)等またはこれらを積 層し組み合わせたもの)により基剤層を被覆し、 投薬量に相当する適当なサイズ (面積)および形状に裁断し貼付剤とすることができる。 この貼付剤は、 保護ブイ ルムを用時剥離し、 胸部、 背部、 肩等の適当な皮膚上に貼付して使用する。
また、 薬物の含有量あるいは基剤の性質上粘着基剤層のみでは皮膚への接着性 が乏しい場合は、 必要に応じて薬物含有層とは別に粘着層を設けてもよく、 ある いは薬物の放出制御が必要な場合は放出制御層および粘着層を薬物含有層の上に 更に展延して貼付剤としてもよい。
貼付剤からの i3 3ァドレナリン受容体作動薬の放出期間は、 展延した基剤層の 単位面積あたりの] 3 3アドレナリン受容体作動薬重量を調節することにより制御 でき、 通常 0 . 5日力 ら 1日、 必要に応じて 1週間にわたり j3 3アドレナリン受 容体作動薬を持続的に供給することができる。 また、 必要に応じて貼付期間 (例 えば 0. 5時間〜 5時間)を調節することにより、 食事あるいは S U剤の影響が及 ばないように、 目的とする時間帯に限り β 3ァドレナリン受容体作動薬を供給す ることができる。 投与期間中目的の血中濃度を得るためには、 基剤中の;8 3アド レナリン受容体作動薬濃度を調節することにより製剤からの薬物放出速度を制御 する力、 あるいは裁断面積を調節する。
III.溶液製剤
経 Ρ液剤
経口液剤は、 ;8 3アドレナリン受容体作動薬の安定性を考慮して、 生理学的、 物理的およびィ匕学的に許容される適当な添加剤および溶剤を用いて、 ρ Ηを 9以 上、 好ましくは 1 0〜1 2、 更に好ましくは 1 1から 1 2に調節した化学的に安 定な水溶液とすることにより製造することができる。 必要に応じて安定化剤を添 加することができ、 また嬌味を施してもよい。 更に必要に応じてメチルパラベン、 ェチルパラベン、 プロピルパラベン等の適当な保存剤を添加することもできる。 本製剤は服用間隔を調節することで、 ]3 3アドレナリン受容体作動薬の血中濃度 を制御することができる。 一定時間 (例えば 2時間)おきに服用することで持続的 な血中濃度を得ることができる
注射剤
注射剤は、 3 3アドレナリン受容体作動薬の安定性を考慮して、 生理学的、 物 理的およびィ匕学的に許容される適当な添加剤おょぴ溶剤を用いて、 ρ Ηを 9以上、 好ましくは 1 0〜 1 2、 更に好ましくは 1 1から 1 2に調節した化学的に安定な 水溶液とし、 塩ィ匕ナトリウム、 プドウ糖、 D—ソルビトール、 マンニトール等の
等張化剤を添加し、 更に必要に応じて安定化剤を添加し、 これをガラスアンプノレ、 ガラスバイアル、 ポリエチレン容器等の適当な容器に充填し、 更に、 高圧蒸気滅 菌を施すことにより製造することができる。 また、 調製した水溶液を濾過滅菌し、 これを無菌的にガラスアンプル、 ガラスバイアル、 ポリエチレン容器等の適当な 容器に充填して製造してもよい。 こうして製造した注射剤は、 必要な期間薬剤を 体内に供給するために、 13 3ァドレナリン受容体作動薬の一日投与量を血中濃度 の恒常的な制御に必要な頻度 (例えば 2時間毎)に分割して静脈内、 筋肉内、 皮下 または皮内に投与するか、 輸液と共に持続的に点滴する力、 あるいは適当な持続 供給装置またはデバイスを用いて静脈内、 筋肉内、 皮下または皮内に注入するこ とにより、 血中濃度を持続的に制御することができる。 具体的には、 例えば、
MiniMed® (米国 Inf usaid Inc.製)、 Macrof lux® (米国 Alza社製)のような持続注 入装置、 MEDIPAD® (アイルランド Elan corporation, pic.,製)のように、 皮下ま たは皮内注射用の微小な注射針を備え、 皮膚上に固定することができる小型持続 注入デバィスに、 注射液を充填して製剤とすることができる。
IV.坐剤
坐剤としては、 β 3ァドレナリン受容体作動薬を適当な油脂性または水溶性基 剤に分散して速効性の坐剤を製造することもできるし、 CeNeS Drug Delivery社 (スコットランド)等が提供する徐放坐剤の技術を適用して、 徐放性の坐剤を製造 することもできる。
V. ドライパウダー方式の吸入剤
また、 3アドレナリン受容体作動薬を、 適当な粉碎装置、 例えば流体エネル ギーミル、 ポールミル、 振動ボールミル、 遊星ボールミルを用いて粉砕し、 平均 粒子径が 1 0 / m以下となるように微粒子ィ匕するカゝ、 粉砕工程を経ずに、 合成の 最終過程で結晶化条件を適当に調節するか、 または超臨界流体技術などを用いて 1 0 μ πι以下の微粒子とし、 これを適当な吸入剤用デバイスに適用しドライパゥ ダー方式の吸入剤とすることもできる。
VI.生分解性高分子埋め込み製剤
更に長期間の持続効果を必要とする場合は、 ポリ乳酸、 乳酸グリコール酸共重 合体、 ポリ酪酸、 ポリヒドロキシ吉草酸、 ポリ力プロラクトン、 架橋化ゼラチン、
コラーゲン等の生分解性高分子を に用いてマイクロスフェアとする力、 針状 または錠剤型に成形し、 埋め込み製剤とする。 j8 3アドレナリン受容体作動薬の 溶出期間を調節するには、 使用する高分子の分子量を適当に選択することで生体 内における分解速度を調節し、 また、 共重合体にあっては構成比率を適当に選択 することにより、 3アドレナリン受容体作動薬を 2週間〜数ケ月間にわたり体 内に供給することも可能である。
これらの生分解性高分子のマイクロスフェアを調製するには、 液中乾燥法、 気 中乾燥法、 晶析法等のいずれの方法を用いてもよい。
ポリ乳酸または乳酸グリコール酸共重合体を用いて液中乾燥法を行う場合は、 例えば、 以下のような方法によりマイクロスフェアを製造することができる。 ま ず、 流体エネルギーミル、 ボールミル等を用いて数ミクロン以下に微粉枠した j3 3ァドレナリン受容体作動薬をエタノール等の適当な有機溶媒に分散あるいは溶 解し、 必要に応じて 3アドレナリン受容体作動薬の溶解補助剤として乳酸、 酢 酸等を添加し、 これをポリ乳酸もしくは乳酸グリコール酸共重合体のジク口ロメ タン、 クロ口ホルム、 テトラヒ ドロフラン、 ァセトニトリル、 アセトン等の溶液 中またはこれらの 1種もしくは 2種以上の混合液中に分散 ·混合し、 スラーリ溶 液とする。 このスラーリ溶液を、 撹拌下ポリビエルアルコール水溶液(0 . 1 %- 5 %)中に滴下分散させ水中油型のェマルジヨンとし、 更に撹拌しながら、 必要 に応じて加温おょぴ Ζまたは減圧下で分散相である油相(i3 3ァドレナリン受容 体作動薬および高分子を含むスラーリの液滴)から有機溶媒を留去することによ り、 3アドレナリン受容体作動薬を含有するポリ乳酸または乳酸ダリコール酸 共重合体のマイクロスフェアとすることができる
気中乾燥法を用いる場合は、 前述の ^ 3アドレナリン受容体作動薬を含有する 高分子スラーリ溶液を、 適当な嘖霧乾燥装置を用いて、 必要に応じて適当な付着 防止の目的でフマル酸、 マレイン酸等の有機酸を添加することにより粉末ィ匕し、 マイクロスフェアとすることができる。 更には、 同様の乾燥工程を二酸化炭素超 臨界流体中で行うこともできる。
晶析法を用いる場合は、 高分子および 3ァドレナリン受容体作動薬の貧溶媒 でありかつスラーリ中の有機溶媒と均一に混合可能な溶媒をスラーリ溶液中に
徐々に滴下し、 3アドレナリン受容体作動薬おょぴ高分子を析出させることに よってマイクロスフェアを調製する。 更には、 有機溶媒に代えて二酸ィ匕炭素を使 用した超臨界流体技術により晶析を行ってもよい。
このようにして得られた、 ポリ乳酸または乳酸ダリコール酸共重合体より成る j3 3ァドレナリン受容体作動薬含有マイクロスフェアは、 更に注射用水中で洗浄 しマイクロスフェア外の不要成分を除去した後、 塩ィ匕ナトリゥムおよび適当な糖 類および Zまたは高分子等を等張化剤および Zまたは分散補助剤として添加して 注射用水懸濁液とし、 これをガラスバイアルまたはガラスアンプル中に充填し凍 結乾燥することにより、 水分および溶媒が十分に除去された安定な凍結乾燥注射 剤とすることができる。 これら一連の製造工程は全て、 必要に応じて無菌条件下 にて行う。 使用時には注射用水を必要量添加し再懸濁して用いる。 この懸濁液は、 適当な口径の注射針を装着した注射器を用いて筋肉内、 皮下、 皮内または体腔内 に注入することができる。
このほか、 例えば、 ポリ乳酸または乳酸グリコール酸共重合体(レジン)を予め 粉碎し、 ]3 3アドレナリン受容体作動薬の微粉末と共に均一に混合し、 適当な加 熱溶融成形装置を用いて針状または錠剤型に成形したのち、 必要に応じて放射線 滅菌等を施し埋め込み剤とする。 この埋め込み剤は、 外科的処置または適当なデ バイスを用いて筋肉内、 皮内、 皮下または体腔内に埋入することができる。
このようにして製造した /3 3アドレナリン受容体作動薬からなる血中濃度制御 製剤を、 血中濃度制御にとって好適な用法 ·用量で投与することにより、 例えば、 食前または S U剤、 インスリン製剤投与前 1〜数時間、 あるいは食事の摂取また は S U剤、 インスリン製剤投与と同時〜数時間後に投与する力、 もしくは 1日数 回に分割して投与するなどの手段をとることにより、 ]3 3アドレナリン受容体作 動薬の最も望ましい薬効発現を得ることができる。
実施例
以下に実施例等を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、 本発明はこれらに 限定されるものではない。 なお、 実施例中、 化合物 Aとあるのは [ 3— [ ( 2 R) _ [ [ ( 2 R)— ( 3—クロ口フエニル)一 2—ヒドロキシェチル]ァミノ]プロピル]一 1 H—インドール一 7—ィルォキシ]酢酸を意味し、 化合物 Bとあるのは [ 3—
[(2R)— [[(2R)— (3—クロ口フエニル)ー 2—ヒ ドロキシェチル]ァミノ]プ 口ピル]一 1 H—ィンドール一 7—ィルォキシ]酢酸ェチルエステルを意味する。 実施例 1 :速効性顆粒剤
表 1に示す処方に従って、 常法により速効性顆粒剤を製造した。
表 1 処方
成 分
1-1 1-2 粒状物 化合物 A 0.1 g 0.1 g 乳糖 70.9
D—マンニ トール 70.9 低置換度ヒ ドロキシプロピルセルロース 10.0 10.0 ヒ ドロキシプロピノレセノレロース 2.5 2.5 滑沢剤 軽質無水ケィ酸 0.5 g 合計 83.5 g 84.0 g 実施例 2 :顆粒剤
表 2に示す処方に従って、 常法により安定化顆粒剤を製造した。
表 2 処方
成 分
2-1 2-2 2-3 2-4 化合物 A 0. Olg 0. lg 0.05g O.Olg . 粒状物
D—マンニ トール
67.4 69.95 69.99 低置換度ヒ ドロキシプロ 10.0 10.0 10.0 10.0 ピノレセノレロース
ヒ ドロキシプロ ピノレセノレ 2.5 2.5 2.5 2.5 口一ス
メグノレミン 1.0 1.0 1.0
L一アルギニン 2.0 滑沢剤 軽質無水ケィ酸 0.5 g 0.5g
実施例 3 :速効性錠剤
表 3に示す処方に従って、 常法により速効性錠剤を製造した
表 3
実験例 1 :種々のアルカリィ匕剤による安定ィ匕
化合物 A水溶液 ( 0. 1 m g /m 1 )に種々のアル力リ化剤を添加し、 高速液体 クロマトグラフ法 (以下、 HPLCと記すこともある)により化合物 Aのピーク面 積を求めた。 この溶液をガラスアンプルに封入し、 100°Cで 24時間保存した 後、 再び高速液体クロマトグラフ法により化合物 Aのピーク面積を求めた。 加熱 保存前後の化合物 Aピーク面積を比較することにより、 化合物 A残存率を求めた。 結果は表 4に示す。
HPLC条件:
カラム: Develosil 0DS-5 (150 mmx 6 mm I.D. )
移動相: 0.01 mol/1クェン酸緩衝液、 pH 2. 5 / ァセトニトリル (75 / 25) 検出器:紫外可視分光光度計 (検出波長 220 nm)
流 速: 1.0 ml/分
温 度: 40°C
注入量:化合物 Aとして 2 μ g
ィ匕合物 Aはアル力リィ匕剤の添加により、 著しく安定性が改善されることがわ力 つた。 従って、 化合物 Aの製剤化にあたり、 これらのアルカリ化剤を添加するこ とにより、 安定な製剤が得られることがわかった。
表 4 各種 pH条件下における、 化合物 A水溶液(0 .1 m g/ /ml)
の苛酷安定性試験結果
(保存条件:ガラスアンプル、 100°C、 24時間)
化合物 A pH 調節剤 PH 残存率 *(%) 塩酸 1.0 34.7 精製水 7. 1 46.7
5 %リン酸水素 2ナトリウム(12水和物) 9.5 92.8
5%リン酸水素 2カリゥム 9.7 96.4
5 %炭酸 2ナトリウム(10水和物) 11.9 93.9
5%メグルミン 11.5 96.3 水酸ィヒナトリウム 12.7 87.8 汆 ム^ Δ雜ぉ > 一 HP LC法により求めた加熱保存後のピーク面積 X
^化口, 干— H p L C法により求めた加熱保存前のピーク面積 1 00 実験例 2 : アル力リィ匕剤による安定ィ匕
アルカリィ匕剤としてメダルミンを添カ卩して、 化合物 Aを 0. lmg含有する錠 剤を表 5に示す処方に従って調製した。 この錠剤を高密度ポリエチレン瓶に充 填 ·密栓し、 あるいは更にシリカゲルを瓶内に挿入し、 40°C75%RHの条件 下で 1ヶ月および 2ヶ月間保存し、 高速液体クロマトグラフ法により総類縁物質 量を測定した結果を表 6に示す。
高速液体クロマトグラフ法は、 共栓遠心沈殿管に錠剤 6個をとり、 HPLC移 動相 3mLを加えて超音波水槽中で攪拌、 分散させた後、 10分間振とうして、 錠剤中の薬物を抽出し、 更に、 毎分 10, 000回転で 10分間遠心分離し、 得 られた上澄液を試料溶液とし、 この試料溶液を実験例 1の条件で H PLCに注入 し、 自動積分法によりそれぞれのピーク面積を測定した。 面積百分率法により各 錠剤中の類縁物質量(%)を算出した。
メグルミンを添カ卩した実験例 2の錠剤では、 何れの保存期間においても著しい 安定性改善効果が認められた。
更に、 実験例 2の粒状物を錠剤化し、 高密度ポリエチレン瓶を用いて包装し、 シリカゲルを錠剤と共に封入することにより安定性を更に向上させることができ た。
表 5
表 6 総類縁物質量 (%) 保存期間および条件
対照 1 実験例 2 開始時 0 0. 08
1ヶ月間保存後 0. 36 0. 10
4 0 °C/ 7 5 % RHZ
瓶密栓 2ヶ月間保存後 0. 45 0. 12
1ヶ月
4 0 °C/ 7 5 %RH/ 間保存後 0. 16 0. 11 瓶密栓シリカゲル入り
2ヶ月間保存後 0. 45 0. 10 実験例 3 :ゼラチンによる安定ィ匕
粒状物の製造に使用する結合剤として、 ヒドロキシプロピルセル口ースに代え てゼラチンを使用し、 表 7実験例 3の粒状物を調製し、 これに後添加成分として
結晶セルロース、 ステアリン酸マグネシウムおよび軽質無水ケィ酸を添加、 混合 し、 錠剤機を用いて圧縮成形し錠剤とした。 この錠剤を高密度ポリエチレン瓶に 充填'密栓し、 あるいは更にシリカゲルを瓶内に挿入し、 4 0 °C 7 5 %R Hの条 件下で 1ヶ月および 2ヶ月間保存し、 高速液体ク口マトグラフ法により実験例 2 と同様にして、 総類縁物質量を測定した。 製剤の処方および安定性試験結果を表 7およぴ表 8に示す。 ヒドロキシプロピルセル口ースを使用した対照 1の製剤と 比較して、 実験例 3に示したゼラチンを使用した錠剤では、 何れの保存期間にお いても著しレ、安定性改善効果が認められた。
更に、 実験例 3の錠剤は高密度ポリエチレン瓶を用いて包装し、 シリカゲルと 共に封入することにより安定生を更に向上させることができた。
表 7
表 8
総類縁物質量 (%) 保存期間および条件
対照 1 実験例 3 開始時 0 0. 04
1ヶ月間保存後 0. 36 0. 17
4 0 °C/ 7 5 %RH/
瓶密栓
2ヶ月間保存後 0. 45 0. 21
1
40°C/7 5%RH/ ヶ月間保存後 0.16 0.04 瓶密栓シリカゲノレ入り
2ヶ月間保存後 0.45 0.13 実験例 4 :アミノ酸による安定ィ匕
化合物 A、 D—マンニトールおよびステアリン酸マグネシウムから成る混合粉 末を調製し、 更に安定化剤として L—アルギニンを添加して、 これを更に混合し 表 9の処方に示す粉末製剤を得た。 この製剤を 60 °C 1◦ 0 %R Hの条件下で 1 週間保存し、 高速液体クロマトグラフ法により、 共栓遠心沈殿管に化合物 AO. 6mgを含む粉末製剤をとる以外は実験例 2と同様にして、 総類縁物質量を測定 した。 この製剤の処方および安定性試験結果を表 9および表 10に示す。 対照 2 の製剤と比較して、 実験例 4— 1および 4 - 2に示した L—アルギニン添加製剤 では、 化合物 Aの安定性が著しく改善された。
実験例 4— 1および 4 _ 2の粉末製剤は更に力プセルに充填し力プセノレ剤とす ることができる。
表 9
表 1 0
総類縁物質量(%)
保存期間および条件 実験例 実験例 対照 2
4-1 4-2 開始時 0.05 0.12 0.01
60°C/100%
R HZ瓶密栓 1週間保存後 10.05 2.72 0.54
実施例 4 :安定化錠剤
表 1 1に示す処方に従って、 常法により錠剤を製造した c
実施例 5 :安定化錠剤
表 1 2に示す処方に従って、 常法により錠剤を製造した c
表 1 2 処方
成 分
5-1 5-2 5-3 粒状物 D—マンニトール 70. 0 g 70. 0g 70. 0g 低置換度ヒ ドロキシプロ ピルセルロー 10. 0 10. 0 10. 0 ス
ヒ ドロキシプロピノレセノレロース 2. 5 2. 5 2. 5 メグノレミ ン 1. 0 1. 0 1. 0
後添加 化合物 A 0. 05g 0. lg 0. 3g 成分 結晶セルロース 15. 45 14. 9 14. 7 ステアリン酸マグネシゥム 1. 0 1. 0 1. 0 軽質無水ケィ酸 0. 5 0. 5
A pき PT· 100. 0g 100. Og 100. Og 実施例 6 :安定化錠剤
表 1 3に示す処方に従って、 常法により錠剤を製造した c
表 1 3
実施例 7 :安定ィ匕カプセル剤
表 1 4に示す処方に従って、 常法により顆粒 (粒状物)を製造しカプセル剤とし た。
表 1 4 処方
成 分
7-1 7-2 7-3
化合物 A 0. 1 g 0. 05 g 0. 01 g 粒 D—マンニトール 70. 9 70. 95 70. 99 状 低置換度ヒ ドロキシプロピルセ 10. 0 10. 0 10. 0 物 ルロース
ヒ ドロキシプロピノレセノレロース 2. 5 2. 5 2. 5 結晶セルロース 15. 5 g 15. 0 g :
添
カロ ステアリン酸マグネシウム 1. 0 1. 0 1. 0 g 成
分 軽質無水ケィ酸 0. 5
ムき· 100. 0 g 84. 5 g 硬質ゼラチンカプセル(4号) 1 000個 1 000個 1 000個 実施例 8 :安定ィ匕カプセル剤
表 1 5に示す処方に従って、 常法により顆粒 (粒状物)を製造し力プセル剤とし た。
O
表 1 5 o o o
cn
処方
成 分
8-1 8-2 8-3 o o o 化合物 A 0. 1 g 0. 05 g 0. 01 g
D—マンニ トール 60. 9
粒
低置換度ヒ ドロキシプロピルセ 10. 0
状
ルロース
物
L一アルギニン 10. 0
ヒ ドロキシプロピノレセノレロース 2. 5 2. 5 2. 5 後
結晶セノレロース 15. 5 g 15. 0 g
添
カロ ステアリン酸マグネシゥム 1. 0 1. 0 1. 0 g 成
分 軽質無水ケィ酸 0. 5 a P I 100. 0g 100. Og 84. 5 g ヒ ドロキシプロ ピノレメ チノレセノレ
1000個 1000個 1000個 ロースカプセル(4号)
参考例 1
ィ匕合物 A 15g、 軽質無水ケィ酸 3 Ogおよび D—マンニトール 705gをポリ エチレン袋に入れて混合し、 30号篩を通して、 篩過末を得た。
実施例 9 :安定化カプセル剤
参考例 1で得られた篩過末 30 g、 軽質無水ケィ酸 10.8 gおよび D—マンニ トール 259.2 gをポリエチレン袋に入れて混合し、 30号篩を通した。 得られ た篩過末 25 Ogと D—マンニトーノレ 3, 81 Ogをポリエチレン袋に入れて混合 した。 得られた混合末を流動造粒乾燥機 (パゥレック社製)に入れて予熱混合し、 ヒ ドロキシプロピルセルロース 125 gの水溶液 2083 gをスプレーしながら造 粒した。 得られた造粒末 3850. 2gをパワーミル (昭和化学機械工作所製)を用 いて整粒した。 得られた整粒末 3682.8 gと結晶セノレロース 233.2 gおよび ステアリン酸マグネシウム 44 gをタンブラ一混合機(昭和化学機械工作所製)を 用いて混合後、 得られる混合末をカプセル充填機( I を用いてゼラチン カプセル 4号に充填し、 1カプセルあたり化合物 A 0.0 lmgを含有するカプ セル剤を製造した。
実施例 10 :安定化カプセル剤
参考例 1で得られた篩過末 250 gと D—マンニトーノレ 3, 810 gをポリエ チレン袋に入れて混合した。 得られた混合末を流動造粒乾 » (パゥレック社製) に入れて予熱混合し、 ヒ ドロキシプロピルセルロース 125 gの水溶液 2083 gをスプレーしながら造粒した。 得られた造粒末 3, 850. 2 gをパワーミル
(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒した。 得られた整粒末 3, 682.8 gと結 晶セ ロース 233.2 gおよびステアリン酸マグネシウム 44 gをタンブラ一 混合機 (昭和化学機械工作所製)を用いて混合後、 得られる混合末をカプセル充填 機( I M A社製)を用いてゼラチン力プセル 4号に充填し、 1力プセルあたりィ匕合 物 A 0. lmgを含有するカプセル剤を製造した。
実施例 1 1 :安定化カプセル剤
参考例 1で得られた篩過末 150 g、 軽質無水ケィ酸 6 gおよび D—マンニト ール 144 gをポリエチレン袋に入れて混合し、 30号篩を通した。 得られた篩 過末 250 gと D—マン-トール 3, 810 gをポリエチレン袋に入れて混合し
た。 得られた混合末を流動造粒乾 (パゥレック社製)に入れて予熱混合し、 ヒ ドロキシプロピルセ^/ロース 125 gの水溶液 2, 083 gをスプレーしながら 造粒した。 得られた造粒末 3, 850.2 gをパワーミル (昭和化学機械工作所製) を用いて整粒した。 得られた整粒末 3682.8 gと結晶セルロース 233.2g およびステアリン酸マグネシウム 44 gをタンブラ一混合機(昭和化学機械工作 所製)を用いて混合後、 得られる混合末をカプセル充填機( I MA社製)を用いて ゼラチンカプセル 4号に充填し、 1カプセルあたり化合物 A 0.05mgを含有 する力プセル剤を製造した。
実施例 12 :安定ィ匕カプセル剤
化合物 A 1.625 g、 軽質無水ケィ酸 13 g、 および D—マンニトール 13
63 gをバーチカルグラ二ユレータ(パゥレック社製)に入れて混合した後、 更に D—マンニトール 3, 900 gを加えて混合した。 得られた混合末 4, 953 gを 流動造粒乾 (バウレック社製)に入れて予熱混合し、 ヒドロキシプロピルセル ロース 152.5 gの水溶液 2, 544 gをスプレーしながら造粒した。 得られた 造粒末 4, 562 gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒した。
上記と同様の操作を更に 2回繰り返し、 12, 891 gの整粒末を得た。 該整 粒末と結晶セルロース 816.2 gおよぴステアリン酸マグネシウム 154 gを タンブラ一混合機 (昭和化学機械工作所製)を用いて混合後、 得られる混合末 13 410 gをカプセル充填機(IMA社製)を用いてゼラチンカプセル 4号に充填し、 1カプセルあたり化合物 A 0.025mgを含有するカプセル剤を製造した。 製造例 1 :徐放顆粒の芯粒子
表 16および表 17に示す処方に従って、 常法により化合物 Aを含有する芯粒 子および球状結晶セルロースまたは球状ショ糖を核粒子とする徐放顆粒の芯粒子 を製造した。
表 16 処方
芯粒子成分
9-1 9-2 化合物 A 2 g 2 g 乳糖 67
D—マンニ ト一ル 66 ヒ 卜口キンブロヒノレセノレ口1 ~ス 30 30 メグノレミン 1 軽質無水ケィ酸 1 1
Α 100 g 100 g
表 1 7
O
O
O
製造例 2 :徐放錠の錠芯
表 1 8に示す処方に従って、 常法により徐放錠の錠芯を製造した。
表 1 8 処方
錠 芯 成 分
11-1 11-2 11 - 3 11-4 化合物 A 1. 0 g 1. 0 g 2. 0 g 2. 0 g 轧糖 81. 5 80. 5
D—マン- トール 80. 5 79. 5 結晶セルロース 15. 0 15. 0 15. 0 15. 0 ヒ ドロキシプロピノレセノレロース 2. 5 2. 5 2. 5 2. 5 メグノレミ ン 1. 0 1. 0
100. Og 100. Og 100. Og
製造例 3 :溶出制御膜用コー
表 1 9に示す処方に従って、 常法により溶出制御膜用コー 夜を製造し た。
表 1 9
( * 1 )ェチルセルロースの擬似ラテックス、 セチルアルコールおよびラゥリル硫 酸ナトリウムを配合比率 8 7 %、 9 %および 4 %の割合で配合した、 固形分 3 0 w/ V %のコーティング用水性懸濁液
( * 2 )ァミノアルキルメタアタリル酸共重合体のコーティング用ラテックス懸濁 液
( * 3 )メタアクリル酸'メタアクリル酸メチルの 1 : 1共重合体
( * 4 )アタリル酸ェチルと、 メタアタリル酸メチルおよぴメタアタリル酸共重合 体の水系コーティング用懸濁液
実施例 1 3 :膜制御型徐放顆粒
製造例 1の処方 1 0 - 3で得た徐放顆粒の芯粒子に、 製造例 3の処方 1 2— 2 の溶出制御 S莫用コーティング液を用いて、 表 2 0に示す処方に従って、 常法によ り溶出制御膜を施して、 膜制御型徐放顆粒を製造した。
表 20
(* 5)コーティング液を粒子に噴霧し乾燥した後は、 精製水が除去されるため固 形分のみが残り制御膜を形成する。
実施例 14 :膜制御型腸溶性顆粒
製造例 1の処方 10-5で得た徐放顆粒の芯粒子に、 製造例 3の処方 12— 3 の溶出制御 B莫用コーティング液を用いて、 表 21に示す処方に従って、 常法によ り溶出制御膜を施して、 腸溶性顆粒を製造した。
表 21
(* 5)コーティング液を粒子に噴霧し乾燥した後は、 精製水が除去されるため固 形分のみが残り制御膜を形成する。
得られた腸溶性顆粒は、 処方 14— 1が見かけ密度 0. 76 g/m 1、 平均粒 径 328 μπι、 処方 14— 2力見がけ密度 0. 74 g/m 1、 平均粒径 414 μ mであった。
また、 得られた顆粒が腸溶性製剤であることを確認するために、 溶出試験を行 つた。 顆粒約 0.4 gをとり、 試験液に日本薬局方崩壌試験法第 1液(p HI.2) または 0.05mo 1/1リン酸塩緩衝液(pH 7.4) 90 Om 1を用い、 日本薬
局方溶出試験法第 2法 (パドル法)により、 試験液温度 37°C、 毎分 100回転で 溶出性を評価した。 装置には、 富山産業 (株)製溶出試験器 NTR— VS 6 P型を 用いた。 試験開始後、 30、 60、 120、 180および 240分のそれぞれの 時間に、 ファインフィルター F— 72を通してベッセル中の試験液を lm 1ずつ 採取し、 試料溶液とした。 この試料溶液中の薬物濃度を下記に示す H P L C条件 にしたがって定量し、 各時間における溶出率を算出した。
HP LC条件:
カラム: Develosil 0DS-5 (150 mmx4.6 mm I.D. )
移動相: 0.0 lmol/1クェン酸緩衝液、 PH2. 5/ァセトニトリノレ(60Z40)、 検出器:紫外可視分光光度計 (検出波長 220 nm)
流 速: 1. Oml/分
温 度: 40°C
注入量: 15 μ 1
結果は表 22に示す。
表 22
実施例 15 :膜制御型徐放綻
製造例 2の処方 1 1— 1で得た錠芯に、 製造例 3の処方 12-2の溶出制御膜 用コーティング液を用いて、 表 23に示す処方に従って、 常法により溶出制御膜 を施して、 膜制御型徐放錠を製造した。
表 23
(* 5)コーティング液を粒子に噴霧し乾燥した後は、 精製水が除去されるため固 形分のみが残り制御膜を形成する。
実施例 16 :溶出制御顆粒
表 24に示す処方に従って、 常法により腸溶性皮膜用コーティング液を製造し た。 製造例 1の処方 9一 1で得た芯粒子に、 表 24の処方 16— 3の腸溶性皮膜 用 ーティング液を用いて、 表 25に示す処方に従って、 速効性顆粒を混合し、 溶出制御顆粒を製造した。
表 24 処方
成 分
16-1 16-2 16-3 オイドラギッ ト L 1 00 (* 6) 6.0g
H PMC P 8.0g
オイ ドラギット R S 30 D 30.0g タノレク 3.0 9.0 ポリエチレングリ コール 6 00 0 1.0 マイノくセッ ト 9ー4 5 (* 7) 0.8
クェン酸ト リェチノレ 1.8 ユタノ一ノレ 90.0 45.2
ァセ トン 46.0
シリコーン油 0.2
精製水 59.0
A口 き口 + T 100.0g 100.0g 100.0g リル酸共重合体
(* 7)ァセチル化モノグリセリ ド(99. 947 w/w%), 天然トコフエロール (0.033 wZw0/))およびクェン酸(0.02 Ow/w%)の混合物
表 25
(* 8)コーティング液を粒子に噴霧し乾燥した後は、 精製水が除去されるため固 形分のみが残り制御膜を形成するため、 コーティング用ラテックス懸濁液の場合 は固形分量としての値である。
実施例 17 :油脂性基剤を用いた軟膏
表 26に示す処方に従って、 常法により油脂性基剤を用いた軟膏を製造した。
表 26
(* 9)平均粒子径約 1.5 im
実施例 1 8 :水溶性基剤を用いた軟膏
表 2 7に示す処方に従って、 常法により水溶性基剤を用いた軟膏を製造した c 表 2 7
(氺 1 0 )平均粒子径約 1. 5 m
実施例 1 9 :溶剤に水を使用した薬物含有粘着基剤を用いた貼付剤
表 2 8に示す処方に従って、 常法により溶剤に水を使用した貼付剤用薬物含有 粘着基剤を製造し、 これを貼付薬製造装置 (乾燥 ·裁断機つき貼付薬製造装置: ㈱幸袋工作所製)を用いて、 ポリエチレンをコートしたアルミ箔上 (アルミ側)に 1平方センチメ一トル当たり約 1 2. 5 m gとなるように塗布 ·展延し、 基剤層 を乾燥させた後、 面積 2平方センチメートルの円形状に裁断し薬物含有フィルム とする。 このフィルムを更に常法に従ってポリエチレン製の支持フィルムに保持 しアルミ箔製保護フィルム(内側材質:アルミ)により基剤層を被覆 ·密閉し、 面 積 5平方センチメートルの円形状に裁断し貼付剤とした。
表 2 8
( * 1 1 )平均粒子径約 1 . 5 i m
実施例 2 0 :溶剤に有機溶媒を使用した薬物含有粘着基剤を用いた貼付剤 表 2 9に示す処方に従つて、 常法により溶剤に有機溶媒を使用した貼付剤用薬 物含有粘着基剤を製造し、 これを貼付薬製造装置 (乾燥 ·裁断機つき貼付薬製造 装置:(株)幸袋工作所製)を用いて、 ポリエチレンをコートしたアルミ箔上 (アル ミ側)に 1平方センチメートル当たり約 1 2 . 5 m gとなるように塗布'展延し、 基剤層を乾燥させた後、 面積 2平方センチメートルの円形状に裁断し薬物含有フ イノレムとする。 このフィルムを更に常法に従ってポリエチレン製の支持フィルム に保持しアルミ箔製保護フィルム(内側材質:アルミ)により基剤層を被覆 ·密閉 し、 面積 5平方センチメートルの円形状に裁断し貼付剤とした。
表 2 9
( * 1 2 )平均粒子径約 1 . 5 m
実施例 2 1 :経口液剤
表 3 0に示す処方に従って、 常法により経口液剤を製造した。
表 3 0 処方
成分
21-1 21-2 21 - 3 21-4 化合物 A 0. 01 mg 0. 05 rag 0. 10 rag 0. 50 rag ェデト酸 2ナトリゥム 1. 0 10. 0 10. 0 10. 0
,
サッカリンナトリウム 50.0
、お
水酸化ナトリゥム(* 13) 、お
M . 迴量 MS 精製水 、 、: sfe 、
適直
全量 10.0 ml 10.0 ml 10.0 ml 10.0 ml
( * 13 ) p H調節剤:本剤の pHを 10から 11に調節する c
実施例 22 :注纏
表 31に示す処方に従って、 常法により注射剤を製造した c
表 31
実施例 23 :マイクロスフェア
表 32に示す処方に従って、 常法によりポリ乳酸 (または乳酸ダルコール酸共 重合体)調製用スラーリ溶液を製造し、 常法により液中乾燥法でマイクロスフエ ァを製造した。
表 32
固形成分合計 100 g 100 g 100 g 100 g 溶媒 ジクロロメタン 900 g
ァセトニトリル 900 g
ァセトン 900 g 900 g 全量 1000 g 1000 g 1000 g 1000 g
( * 1 4 )乳酸 Zダリコール酸モル比おょぴ重合度は、 目的とする薬物放出期間に 合わせて適当なものを選択する。
( * 1 5 )化合物 Aの溶解捕助剤
( * 1 6 )溶媒留去後はマイクロスフェアの理論組成となる。
血中濃度制御効果の確認試験
本発明の血中濃度制御製剤による効果を確認するために、 下記試験を行った。 食事摂取後の血中ィンスリン濃度の経時変化
食事の摂取による血中ィンスリン濃度の経時変化を確認するために、 ヒト( 6 例)に食事を摂取させた後、 0分 (直後)、 2 0分、 4 0分、 1時間、 2時間、 3 時間の血中インスリン濃度を測定した。 結果は図 2に示す。
食後 2 0分で血中インスリン濃度が急激に上昇し、 食後 3時間で投与時と同等 の血中インスリン濃度となった。
従つて、 インスリンの作用時間をさけるために、 一定時間経過後に薬物の血中 濃度を上昇させる製剤にあっては、 食後 3時間経過以後に薬物の血中濃度を上昇 させることが望ましい。 また、 薬物の血中濃度を長時間持続させる製剤にあって は、 3時間以上にわたって血中濃度を持続させることが望ましい。
経皮製剤による試験
実施例 1 7の処方 1 7— 2で得た軟膏を用いて、 経皮吸収試験を行った。 雄性ラット 2 0 0— 2 5 0 g (Jcl :SD、 日本クレア製)をエーテル麻酔下にて開腹 し、 採血用力ニューレとして左腸骨動脈にポリエチレンチューブ (SP- 31、 夏目製 作所製)を挿入し、 この片端を背部より体外に出し、 開腹部および背部傷口を鏠 合した。 細菌感染を予防するため、 縫合部にぺニシリン溶液( 2万単位/ m 1 )を 適量塗布した。 採血用力ニューレにはへパリン溶液( 1 0 0 0単位 Zm 1 )を満た
した。 また、 薬物を塗布するために左鼠蹊部の体毛を、 T字形の安全力ミソリを 用いて可能な限り除去した。 薬物投与は手術の翌日に行った。 プラスチベースの みからなるコント口ール軟膏または実施例 1 7の処方 1 7- 2で得た軟膏(以下、 化合物 A含有軟膏と記す)約 50 μ §をとり、 脱毛した右鼠溪部の直径約 2 cm の円の中にできる限り均一に塗布した。 ラットを固定器 (ボーノレマンケージ)に入 れ、 経時的(塗布後 1、 2、 3、 4、 6および 8時間)に動脈力ニューレより血液 を 0. 5 m 1採取した。 血液は予めへパリン溶液( 1 000単位/ m 1 ) 1 0 μ \ を入れたマイクロチューブに集めた。 この血液を直ちに遠心分離(1 0000 g、 1 0分、 4°C)し、 上清の血漿 0. 2m 1を採取した。 血漿中の化合物 A濃度を L C/MSZMS法によって測定した。
測定条件:
1) HP LC条件
カラム: Develosil C8(100 ram 2.0 mm、 野村化学)
移動相: 0. 1 %酢酸:メタノ一ル= 5 0 : 5 0 (v/v)
流 速: 0. 2 5 m 1 /分
温 度: 40°C
注入量 20 μ \
2) MSZMS条件
イオンィ匕モード: E S I (Electrospray ionization)
極性:正
スキャンタイプ: MRM (Multiple reaction monitoring)
モニターイオン: 40 3. 2→2 3 2. 1 (化合物 A)、 40 7. 1→2 3 6. 1 (内 部標準)
また、 血漿中遊離脂肪酸の濃度は NEF A C—テストヮコー (和光純薬)を用 いて測定した。 なお、 血漿中遊離脂肪酸の濃度についてはコントロール軟膏塗布 ラットおよび化合物 A含有軟膏塗布ラットの両方につき測定し、 その変化を比較 した。
表 3 3に化合物 A投与ラットの血漿中の化合物 A濃度の経時変化を示した。 コ ントロール軟膏を塗布した対照ラット(N o . 1 )ではいずれの時点においても化
合物 Aは検出されなかった。 一方、 化合物 A含有軟膏を塗布したラット(N o. 2 〜 5 )では、 塗布 2時間後から 8時間後の各時点において化合物 Aが高濃度に検 出された。 また、 血漿中の化合物 A濃度は塗布後 3時間目が最も高い値を示した。 なお、 ィヒ合物 Aをラットに静脈内投与(lmgZk g)した場合の血漿中消失半減 期は a相 0. 3時間、 /3相 1. 4時間であった。
表 3 3
n. d. :検出限界以下(く 1 0 n g/m 1 >
次に、 |33アドレナリン受容体作動薬の薬理作用発現を確認するために、 3 ァドレナリン受容体作動薬の主作用である血漿中遊離脂肪酸濃度上昇の経時変ィ匕 を調べた。 結果は表 34に示す。 コント口ール軟膏を塗布した対照ラット(No.
1)では血漿中遊離脂肪酸濃度に変ィ匕は認められなかった。 一方、 化合物 A含有 軟膏塗布ラット(No. 2〜 5 )では、 塗布 2時間後から血漿中遊離脂肪酸濃度の上 昇が認められ、 その後塗布 6時間後まで対照ラットよりも高値を示したが、 8時 間後にはほぼ対照ラットと同じレべノレとなつた。
表 34
以上の結果より、 次のことが明らかになった。 (1)化合物 Aは軟膏剤として皮 膚に直接塗布しても体内に吸収される。 (2)化合物 Aは静脈内投与ではその血漿 中半減期が 1.4時間であるにもかかわらず、 軟膏剤の場合は少なくとも塗布後 8時間までその血中濃度を高レベルに維持した。 (3)それによつて薬理作用発現 も長時間にわたつて持続した。
従って、 経皮製剤とすることにより、 ]33アドレナリン受容体作動薬の血中濃 度を、 薬効発現にとって最も望ましく制御することができる。
腸溶性経口固形製剤による試験
雄性ラット(Jcl:SD、 日本クレア製、 300— 350 g)をエーテル麻酔下にて 開腹し、 採血用力ニューレとして左腸骨動脈にポリエチレンチューブ(S P— 3 1、 夏目製作所)を挿入し、 この片端を背部より体外に出し、 開腹部および背部 傷口を縫合した。 細菌感染を予防するため、 縫合部にペニシリン溶液(2万単位 /ml)を適量塗布した。 採血用力ニューレにはへパリン溶液( 1000単位/ m 1 ) を満たし、 薬物投与は手術の翌日に行なった。
イオン交換水にトラガントゴムを溶解し、 トラガント溶液(5mg/m 1)を作 製した。 また、 酸性リン酸緩衝生理食塩液( 15 Om N a C 1、 1 OmM H
3PO4、 pH4.5)にトラガントゴムを溶解し、 酸性トラガント溶液(5mgZ m 1 )を作製した。 化合物 Aをトラガント溶液に、 実施例 14の処方 14一 2で 得た製剤を酸性トラガント溶液に懸濁し、 経口投与用ゾンデを用いて胃内に強制 経口投与した。 投与液量は 3 ml /k gとした。 薬物投与前、 および投与後、 経 時的に採血用力ニューレょり血液を 0. 5ml採取した。 血液は予めへパリン溶 液( 1000単位/ m 1) 10 μ 1を入れたマイクロチューブに集めた。 この血液 を直ちに遠心分離( 10000 g、 10分、 4°C)し、 上清の血漿 0. 25 m 1を 採取した。 血漿中の化合物 A濃度は LC/MS/MS法によつて経皮製剤による 試験と同一の測定条件で測定した。
ラットに化合物 Aを経口投与した結果、 化合物 Aの場合投与 1時間後の血漿中 化合物 A濃度は 809 ± 162 (標準誤差) p g Zm 1であり、 実施例 14の処 方 14一 2で得た製剤の場合これに相当する血漿中濃度に達したのは投与後 4時 間後で、 このときの血漿中化合物 A濃度は 547 ± 173 (標準誤差) p g/m 1であった。
化合物 Aは腸溶性経口固形製剤にすることにより、 薬物の経口投与後の血漿中 への移行を 3時間遅らせることができることが確認できた。
従って、 腸溶性経口固形製剤とすることにより、 3アドレナリン受容体作動 薬の血中濃度を、 薬効発現にとって最も望ましく制御することができる。
また、 軟膏剤、 腸溶性経口固形製剤以外の本発明の血中濃度制御製剤において も、 血漿中化合物 A濃度や血漿中遊離脂肪酸濃度は、 SU剤投与後や摂食後の血 漿中インスリン濃度の上昇とずれて、 あるいはインスリン消失後も継続して、 高 レべノレであった。
本発明の血中濃度制御製剤によれば、 β 3ァドレナリン受容体作動薬の血中濃 度を、 薬効発現にとって最も望ましく制御することができる。 産業上の利用可能性
本発明の血中濃度制御製剤は、 133ァドレナリン受容体作動薬の血中濃度を、 薬効発現にとって最も望ましく制御することができる製剤である。 糖尿病のみな らず肥満、 過敏性腸症候群等の ]33ァゴニストの適用となるいずれの疾病の治療
においても、 133ァゴニストの薬効発現にとって最も望ましい血中濃度を容易に かつ安定的に達成できる。
また、 アルカリ化剤、 アミノ酸およびゼラチンから選ばれる 1種または 2種以 上と [3— [(2 R)— [[(2 R)_ (3—クロ口フエ二ル)一 2—ヒドロキシェチル] ァミノ]プロピル]— 1 H—インドール— 7—ィルォキシ]酢酸またはその低級ァ ルキルエステルを含有してなる本発明の製剤は、 十分に安定な製剤である。