JP2004331500A - 血中濃度制御製剤 - Google Patents

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忠則 杉本
Taiji Furuya
泰治 古谷
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Teruaki Kuriyama
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勝 桧垣
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Abstract

【課題】βアゴニストの臨床応用において、その薬効発現に影響を与える可能性がある血中インスリン濃度を上昇させるさまざまな要因の存在下においても、βアゴニストの薬効発現にとって最も望ましい血中濃度を制御することができる製剤の提供。
【解決手段】βアドレナリン受容体作動薬からなる血中濃度制御製剤であって、長時間血中濃度を持続させる、一定時間経過後に血中濃度を上昇させ持続させる、一定時間経過後に血中濃度を上昇させ速やかに低下させる、血中濃度の上昇と低下を周期的にかつ間隔を制御して行える等の機能を有する経口固形製剤,経皮製剤,溶液製剤,坐剤,吸入剤または生分解性埋め込み製剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、βアドレナリン受容体作動薬からなる血中濃度制御製剤に関し、殊にβアドレナリン受容体作動薬の薬効発現にとって最も望ましい血中濃度を制御することができる製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
βアドレナリン受容体は主に脂肪細胞に分布しており、交感神経刺激(カテコラミン)によって白色脂肪組織では脂肪分解を、また褐色脂肪組織では熱産生を誘発する。βアドレナリン受容体作動薬(以下、βアゴニストと記すこともある。)はこれらの薬理作用に基づくエネルギー消費の促進作用によって、齧歯類に対する反復投与で体重を減少させ、抗肥満作用を示す。また、βアゴニストは同じく齧歯類に対する反復投与で、インスリン抵抗性の改善に基づく抗糖尿病作用も示す。更に、β受容体が齧歯類の消化管にも存在し、モルモットの摘出結腸に対する収縮抑制作用を示すことも知られている。以上のことから、βアゴニストは抗肥満薬、抗糖尿病薬および過敏性腸症候群治療薬として有用であり、その開発が期待されている。このようなβアゴニストの薬理作用や各種疾病に対する治療薬としての有用性は文献に詳しく記載されている(Annual Review of Pharmacology and Toxicology 37巻(1997年)421〜450頁(以下、文献1と記す。)、Diabetes & Metabolism 25巻(1999年)11〜21頁)。
【0003】
β受容体の構造と機能の研究から、β受容体は7回膜貫通構造をもつ典型的なGTP蛋白質結合型受容体で、おもに促進性GTP結合蛋白質と共役することが知られている(文献1)。また、交感神経の興奮(カテコラミン、おもにノルエピネフリン)による受容体刺激は、細胞内ではアデニル酸シクラーゼの活性化、cAMP濃度上昇およびcAMP依存性タンパク質リン酸化酵素(protein kinase A)(以下、PKAと記すこともある。)の活性化によって種々の機能性蛋白質に伝達されることが明らかとなっている(文献1)。白色脂肪細胞では、ホルモン感受性リパーゼ(以下、HSLと記すこともある。)が活性化され、脂肪分解が促進される。また、褐色脂肪細胞ではcAMP応答配列結合タンパク質が活性化され、脱共役蛋白質1の遺伝子発現が誘導され、ミトコンドリアにおける熱産生が促進される(文献1)。これらの薬理作用が基盤となってβアゴニストによるβ受容体の刺激作用により抗肥満作用、抗糖尿病作用などの薬効が発現される。
【0004】
一方、インスリンがカテコラミン誘発性の脂肪分解を抑制することはよく知られている(Metabolism 1巻(1984年)76〜81頁)。これは、インスリンが環状ヌクレオチドの分解酵素であるホスホジエステラーゼ3Bを活性化するためであり、これによって脂肪細胞内のcAMP濃度が低下する結果、cAMP依存性のPKAの活性低下と、PKAによって活性化されるHSL活性が低下することによるものである(Molecular and Cellular Biology 9巻(1999年)6286〜6296頁、Journal of Biological Chemistry 275巻(2000年)10093〜10098頁)。この事実は、βアゴニストの薬理作用のひとつである脂肪分解作用もインスリンによって減弱されることを示している。
【0005】
βアゴニストによる病態の改善や薬理作用の発現と白色脂肪細胞におけるβ受容体の機能との関係としては、肥満糖尿病モデルのKK−Aマウスを用いた実験からβアゴニストの抗糖尿病作用(インスリン抵抗性改善作用)がβアゴニストの脂肪分解作用と熱産生作用に基づく白色脂肪細胞の小型化であること(Diabetes 50巻(2001年)113〜122頁)、また、遺伝子操作マウスを用いた実験からβアゴニストによるエネルギー消費促進作用(熱産生)、インスリン分泌促進作用および摂食抑制作用の発現には白色脂肪におけるβ受容体の活性化が重要であること(Journal of Biological Chemistry 272巻(1997年)17686〜17693頁)、更には、同じく遺伝子操作マウスを用いた実験からβアゴニストによる消化管運動抑制作用が白色脂肪におけるβ受容体刺激によって誘発されること(Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 287巻(1998年)720〜724頁)が知られている。
【0006】
本発明者はβアゴニストの薬効発現には白色脂肪細胞におけるβ受容体の活性化が重要であり、βアゴニストの白色脂肪細胞に対する作用を減弱させるインスリンが、βアゴニストの糖尿病、肥満および過敏性腸症候群などの治療効果の発現に対して、抑制的に働く可能性が極めて強いことを見出した。インスリンは食事の摂取など血糖値の上昇によって膵臓β細胞より分泌されるホルモンで、末梢組織(筋肉,脂肪組織)でのインスリン感受性糖輸送担体を介する糖取り込みを促進し、血糖値を一定レベルに維持するための重要なホルモンである。糖尿病患者はインスリン分泌量が不足した状態、または末梢組織におけるインスリン感受性低下の状態にあり、その治療として、インスリン強化療法、またはインスリン分泌促進剤のスルフォニルウレア剤(以下、SU剤と記すこともある。)が現在臨床で用いられている。従って、本発明者は、βアゴニストを臨床応用する場合、肥満や過敏性腸症候群等の患者をはじめ一般的には、食事の摂取による血中インスリン濃度の上昇によって、またインスリン製剤やSU剤を使用している糖尿病患者では、食事の摂取に加えてインスリン製剤の使用やSU剤の使用等による血中インスリン濃度の上昇によって、βアゴニストの薬効発現が減弱される等の影響を受ける可能性があることを見出した。
【0007】
βアゴニストは通常、血中インスリン濃度を上昇させるさまざまな要因の存在下で用いられることが想定される。この場合は、βアゴニスト自体の作用の強さと血中インスリン濃度によるβアゴニストの薬効減弱とのバランスの上で、βアゴニストの薬効が発現されるであろうと考えられるが、より効率的にβアゴニストの薬効発現ができる方法が望まれている。
【0008】
βアゴニストの薬理作用がインスリンによって減弱される影響を受けないためには、少なくとも血漿中インスリン濃度が上昇する食事や、食後高血糖の抑制のために投与されるSU剤またはインスリン製剤などの作用をさけてβアゴニストを作用させることが望ましい。最も簡便には、食後やSU剤、インスリン製剤の服薬後をさけ、一定時間経過後にβアゴニストを服薬するという方法が考えられる。しかしながら、糖尿病患者に投与する場合にはその病態は一様ではなく、高血糖やSU剤に対するインスリン分泌の反応性も多様であることから、βアゴニストの作用を服薬のタイミングで制御することは極めて困難であり、安定した治療法ではない。そこで、βアゴニストの薬効発現にとって、最も好ましい血中濃度を容易にかつ安定に達成できる製剤の開発が望まれている。
【0009】
その解決方法のひとつとして、ある血中濃度を持続的に維持できるような血中半減期の長いβアゴニストを見いだすこと、または製剤的工夫によりβアゴニストの望ましい血中濃度を維持することがあげられる。更に望ましくは、インスリンの影響を避けるために食事の摂取やインスリン製剤あるいはSU剤によって血中インスリン濃度が高レベルとなる一定時間の経過後に、βアゴニストの血中濃度を上昇させ維持できるような製剤の開発があげられる。最も望ましくは、持続的なβ受容体刺激によるエネルギー代謝亢進が生体に及ぼす影響や負の制御が発現する可能性、およびインスリン作用を抑制することによる糖尿病患者に対する不利益が生じる可能性など、複雑な生体反応を回避するため、前述したインスリンの作用時間をさけることができ、かつある一定時間のみβアゴニストの有効血中濃度を維持できるような製剤的改良を行うことである。特に望ましくは、日常生活におけるインスリン作用の日内変化を前提として、インスリン作用の低下時にβアゴニストの作用を間欠的に、または周期的に発揮させるような製剤である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本発明の課題は、βアゴニストの臨床応用で、糖尿病のみならず肥満、過敏性腸症候群等のβアゴニストの適用となるいずれの疾病の治療においても、βアゴニストの薬効発現に影響を与える可能性がある血中インスリン濃度を上昇させるさまざまな要因の存在下でβアゴニストを投与する際に、βアゴニストの薬効発現にとって最も望ましい血中濃度を制御することができる製剤を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、[1]βアドレナリン受容体作動薬からなる血中濃度制御製剤、[2]βアドレナリン受容体作動薬が[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルである上記[1]の血中濃度制御製剤、[3]経口固形製剤,経皮製剤,溶液製剤,坐剤,吸入剤及び生分解性埋め込み製剤から選ばれる製剤である上記[1]または[2]の血中濃度制御製剤、[4]速効性、徐放性または溶出制御型の経口固形製剤である上記[1]または[2]の血中濃度制御製剤、[5]膜制御型またはマトリックス制御による徐放性経口固形製剤である上記[1]または[2]の血中濃度制御製剤、[6]溶出制御型経口固形製剤である上記[1]または[2]の血中濃度制御製剤、[7]軟膏剤、貼付剤及び散布剤から選ばれる経皮製剤である上記[1]または[2]の血中濃度制御製剤、[8]経口液剤または注射剤である上記[1]または[2]の血中濃度制御製剤、[9]速効性または徐放性の坐剤である上記[1]または[2]の血中濃度制御製剤、[10]吸入剤である上記[1]または[2]の血中濃度制御製剤、[11]生分解性埋め込み製剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤、[12]エデト酸2ナトリウム,メグルミン及びL−アルギニンから選ばれる1種または2種以上と[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルを含有してなる製剤、[13]エデト酸2ナトリウム,メグルミン及びL−アルギニンから選ばれる1種または2種以上と[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルを含有してなる溶液製剤が提供される。
【0012】
本発明におけるβアドレナリン受容体作動薬としては、βアドレナリン受容体刺激作用を有する化合物であれば、いずれの化合物を用いてもよい。例えば、[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸もしくはその低級アルキルエステルや、EP611003号公報、WO95/29159号公報、WO96/35685号公報、WO97/10822号公報、WO97/10825号公報、WO97/16189号公報、WO97/25311号公報、WO97/46556号公報、WO98/03485号公報、WO98/04526号公報、WO98/09625号公報、WO98/32753号公報、WO99/01431号公報、WO99/29672号公報、WO99/29673号公報、WO99/32475号公報、WO99/32476号公報、WO99/44609号公報、WO00/12462号公報、WO00/35890号公報、WO00/40560号公報、US4707497号公報、US5451677号公報、US5808080号公報及びJournal of Medicinal Chemistry 43巻(2000年)3832〜3836頁に記載された化合物が挙げられる。
【0013】
上記のβアドレナリン受容体刺激作用を有する化合物の中で、特に好適であるのは、[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルであり、ここにおいて低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
【0014】
本発明の血中濃度制御製剤としては、βアドレナリン受容体作動薬の血中濃度を一定レベルにまたは一定範囲内で変動させるような製剤であればいずれの製剤でもよく、例えば、長時間血中濃度を持続させる製剤、一定時間経過後に血中濃度を上昇させ持続させる製剤、一定時間経過後に血中濃度を上昇させ速やかに低下させる製剤、血中濃度の上昇と低下を周期的にかつ間隔を制御して行える製剤、更には各患者に独自の最適の血中濃度、周期、間隔等でβアドレナリン受容体作動薬を投与できるように設計された(オーダーメイド)製剤が挙げられる。経口製剤のほか、経皮製剤、経肺製剤、経粘膜製剤(口腔、鼻腔、直腸等)、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉内注射剤等、投与経路を特に限定するものではなく、βアドレナリン受容体作動薬を必要な期間に体内に供給し、βアドレナリン受容体作動薬の血中濃度を制御するために、一日投与量を血中濃度の恒常的な制御に必要な頻度(例えば2時間毎)に分割した速効性の製剤、投与回数を減じることができる徐放性または持続性の製剤、更には、本目的を達成するよう設計された薬剤の定量供給装置またはデバイスを用いた製剤であってもよい。
【0015】
具体的には、経口固形製剤としては、速効性顆粒剤、速効性錠剤等の速効性経口固形製剤、膜制御型の徐放製剤、マトリックス制御による徐放製剤等の徐放性経口固形製剤または溶出制御型経口固形製剤が挙げられる。経皮製剤としては、軟膏剤、貼付剤または散布剤が挙げられる。溶液製剤としては経口液剤または注射剤が挙げられ、坐剤としては速効性坐剤または徐放性坐剤が挙げられ、さらにドライパウダー方式の吸入剤または生分解性埋め込み製剤が挙げられる。
【0016】
以下に、βアドレナリン受容体作動薬の血中濃度を制御するための各製剤の製造方法及び血中濃度制御方法について説明する。
【0017】
速効性の経口製剤
速効性の経口製剤は、βアドレナリン受容体作動薬の物理的および化学的な安定性上許容される賦形剤(乳糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、ショ糖、エリスリトール、デンプン、結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン等)及び崩壊剤(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、架橋化ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルスターチナトリウム等)を配合して製造することができる。また、βアドレナリン受容体作動薬の1日投与量を服用頻度に応じて分割する場合、製剤の一回服用量(通常50mg〜200mg程度)当たりのβアドレナリン受容体作動薬含有量を0.5mg以下に減少させた低含量製剤とすることもある。必要に応じて、このような低含量製剤における安定性を向上させる目的で、更にメグルミン、L−アルギニン等の有機アルカリを安定化剤として添加し、βアドレナリン受容体作動薬を含有する速崩壊型の粒状物とすることができる。この粒状物はそのまま顆粒剤として用いることができるが、更に、静電気防止または流動性を改善する目的でステアリン酸またはその塩類、ショ糖脂肪酸エステル類、タルク、軽質無水ケイ酸等の滑沢剤を外部に添加してもよい。
【0018】
これらの顆粒剤は、必要に応じて、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、エリスリトール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、トレハロース等の糖類、デンプン、結晶セルロース等の適当な賦形剤とともに、ゼラチン製、ヒドロキシプロピルメチルセルロース製等のカプセルに充填し、カプセル剤とすることもできる。
【0019】
速効性の錠剤は、先の粒状物に、前述の賦形剤及び/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、架橋化ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤及び/またはステアリン酸またはその塩類、ショ糖脂肪酸エステル類、タルク、軽質無水ケイ酸等の滑沢剤を配合し、常法に従って錠剤機により圧縮成形して製造することができる。
【0020】
膜制御型の徐放製剤
膜制御型の徐放製剤は、βアドレナリン受容体作動薬の物理的および化学的な安定性上許容される賦形剤(乳糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、ショ糖、エリスリトール、デンプン、結晶セルロース等)及び結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン等)を用い、必要に応じて主薬の安定性を向上させる目的で、更にエデト酸2ナトリウム、メグルミン、L−アルギニン等の有機アルカリを配合し、更に必要に応じて滑沢剤としてステアリン酸またはその塩類、ショ糖脂肪酸エステル類、タルク、軽質無水ケイ酸等を添加して、βアドレナリン受容体作動薬を含有する非崩壊型の粒状物(芯粒子)または錠剤(錠芯)を製造し、この粒状物(芯粒子)または錠剤(錠芯)に、高分子、油脂等から成る薬物溶出制御皮膜を施し、必要に応じて加熱処理(キュアリング)を施すことにより、製造することができる。あるいはβアドレナリン受容体作動薬の薬物粒子(原薬)に直接高分子、油脂等からなる溶出制御被膜を施し、これに前述の添加剤(賦形剤、崩壊剤、滑沢剤)を配合して、錠剤または顆粒剤とするか、または粒状物(芯粒子)とした後に錠剤(錠芯)とすることもできる。
【0021】
薬物の溶出を制御するための膜成分としては、ミツロウ、カルナウバロウ、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、ベヘニン酸グリセリン、脂質・油脂類、セラック等の樹脂、エチルセルロース等のセルロースエステル類またはポリアクリル酸エステル類等の高分子を用い、これらの膜成分をメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の有機溶媒溶液、有機溶媒と水との混合液、コーティング用水性懸濁液等を用いて、原薬、芯粒子または錠芯に流動層造粒装置、転動流動層造粒装置等の装置を用いてコーティングし、図1−Aに示したような膜制御型の徐放製剤(コーティングされた原薬、芯粒子を有する徐放顆粒または錠芯を有する徐放錠)とすることができる。
【0022】
図1―Bに示す核粒子を有する徐放顆粒は、球状ショ糖または球状結晶セルロースを核粒子として、これにβアドレナリン受容体作動薬及び結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン等)を積層し、必要に応じて賦形剤(乳糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、ショ糖、エリスリトール、デンプン、結晶セルロース等)を添加して芯粒子とし、前述と同様に制御膜を施すことにより、製造することができる。
【0023】
セルロースエステル類、アクリル酸エステル類等の高分子には、必要に応じて可塑剤として、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、グリセリルトリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、ヒマシ油、流動パラフィン等を添加してもよい。
【0024】
更に、製剤製造過程での凝集あるいは付着防止剤として、モノステアリン酸グリセリン、タルク、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を溶出制御被膜成分中に添加することができる。また、遮光または識別性の向上を目的として、適当な着色剤を皮膜成分中に添加することができる。着色剤しては、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号等の水溶性合成色素、これらのアルミニウムレーキ類、タルク、酸化チタン、酸化鉄類、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、リボフラビン、カルミン、ターメリック色素等を添加してもよい。更に、嗜好性を向上させるために、甘味料、香料等を添加してもよい。また、必要に応じて、これら粒状物および錠剤同士の凝集、付着を防止するために、タルク、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を付着防止剤として外部に添加することができる。
【0025】
更に、徐放顆粒は、必要に応じて、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、エリスリトール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、トレハロース等の糖類、デンプン、結晶セルロース等の賦形剤とともに、ゼラチン製、ヒドロキシプロピルメチルセルロース製等のカプセルに充填し、カプセル剤とすることもできる。あるいは、徐放顆粒に、前述の賦形剤及び/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム等の崩壊剤及び/またはステアリン酸またはその塩類、ショ糖脂肪酸エステル類、タルク、軽質無水ケイ酸等の滑沢剤を配合し、常法に従って錠剤機で圧縮成形することにより、膜制御型の徐放顆粒を含有する錠剤とすることもできる。
【0026】
これらの膜制御型の徐放錠および徐放顆粒からのβアドレナリン受容体作動薬の溶出持続期間は溶出制御膜の厚さを増すことにより延長でき、通常、数時間から24時間にわたる持続的な溶出制御が可能である。あるいは、溶出制御膜中の油脂、樹脂または高分子の種類、可塑剤の配合比率などによっても溶出期間の制御は可能である。一方、血中濃度の制御に関しては、製剤の服用量により調節することもできるが、錠芯または芯粒子中に添加するβアドレナリン受容体作動薬量を調節することで可能となる。
【0027】
マトリックス制御による徐放製剤
マトリックス制御による徐放製剤(顆粒剤、錠剤)は、前述の芯粒子または錠芯の製造時に、ミツロウ、カルナウバロウ、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、ベヘニン酸グリセリン、脂質・油脂類、セラック等の樹脂、エチルセルロース等のセルロースエステル類、アクリル酸エステル類等の高分子より成る薬物溶出制御成分を、予め、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、エリスリトール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、トレハロース等の糖類、デンプン、結晶セルロース等の適当な賦形剤と共に配合し、成形後、必要に応じて加熱処理(キュアリング)を施すことにより製造することができる。
【0028】
このとき、セルロースエステル類、アクリル酸エステル類等の高分子には、必要に応じて可塑剤として、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、グリセリルトリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、ヒマシ油、流動パラフィン等を添加してもよい。
【0029】
更に、製剤製造過程での凝集または付着防止剤として、モノステアリン酸グリセリン、タルク、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を剤皮成分中に添加することができる。このほか、識別性の向上等を目的として、適当な着色剤を添加することもできる。着色剤しては、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号等の水溶性合成色素、これらのアルミニウムレーキ類、タルク、酸化チタン、酸化鉄類、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、リボフラビン、カルミン、ターメリック色素等を添加してもよい。更に、嗜好性を向上させるために、甘味料、香料等を添加してもよい。また、必要に応じて、これら粒状物および錠剤同士の凝集、付着を防止するために、タルク、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を付着防止剤として外部に添加することができる。
【0030】
更に、マトリックス制御型製剤のうち粒状物としたものについては、ゼラチン製、ヒドロキシプロピルメチルセルロース製等のカプセルに充填し、カプセル剤とすることもできる。あるいは、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、エリスリトール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、トレハロース等の糖類、デンプン、結晶セルロースなどの賦形剤及び/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸またはその塩類、ショ糖脂肪酸エステル類、タルク、軽質無水ケイ酸等の滑沢剤を配合し、錠剤機で圧縮成形することにより、マトリックス型徐放顆粒を含有する錠剤とすることも可能である。
【0031】
これらのマトリックス制御型の徐放錠および徐放顆粒からのβアドレナリン受容体作動薬の溶出持続期間は製剤中の溶出制御成分の含有比率を上げることにより延長でき、通常、数時間から24時間にわたる持続的な溶出制御が可能である。あるいは、溶出制御成分となる油脂、樹脂または高分子の種類、可塑剤の配合比率、さらには、製剤中に添加される、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、エリスリトール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、トレハロース等の水溶性賦形剤の配合比率によっても溶出期間の制御は可能である。一方、血中濃度の制御に関しては、製剤の服用量により調節することもできるが、錠芯または芯粒子中に添加するβアドレナリン受容体作動薬量を調節することで可能となる。
【0032】
また、例えば、浸透圧ポンプを利用したペレット(OROS system,米国Alza社製)またはシリンダー(ALZET system,米国Alza社製)型の経口徐放製剤としてもよい。
【0033】
溶出制御型経口固形製剤
溶出制御型経口固形製剤は、前述のようにして調製したβアドレナリン受容体作動薬を含有する速効性顆粒または徐放顆粒の芯粒子に、中性からアルカリ性域のpHで溶解する高分子より成る腸溶性皮膜を施すことにより腸溶性の粒状物とし、必要に応じてこれを、腸溶性皮膜を施さない速効性顆粒または徐放顆粒と適当な比率で混合することによって製造することができる。この場合、腸溶性皮膜に使用する高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCAS)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)またはアミノアルキルメタアクリレート共重合物(オイドラギットRS、RL)、そのコーティング用懸濁液等が使用できる。また、これらの高分子の可塑剤として、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、グリセリルトリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、ヒマシ油、流動パラフィン等を添加してもよい。また、必要に応じて、これらの腸溶性粒状物の凝集、付着を防止するために、タルク、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を付着防止剤として皮膜内部及び/または外部に添加することができる。
【0034】
以上のようにして調製した製剤は、速効性の顆粒を含有しない製剤にあっては、食事またはSU剤の服用に基づくインスリンの分泌が収束し、その後に薬物の溶出が始まるようにも設計できる。速効性の顆粒を含有する製剤にあっては、服用後まず速効性の粒状物が胃内で溶解し、βアドレナリン受容体作動薬が溶出した後、製剤の消化管内における移行に伴うpHの変化により、腸溶性の粒状物が小腸上部から結腸内で溶解するため、再度βアドレナリン受容体作動薬が溶出する。こうして見かけ上、数時間から24時間にわたるβアドレナリン受容体作動薬の持続的な溶出が可能となり、徐放性顆粒剤として機能する。
【0035】
経口固形製剤全般
このようにして製造した本発明の経口固形製剤は、必要に応じて、適切な材質によりブリスター包装、ヒートシール包装、あるいは瓶包装される。また必要に応じて、シリカゲル等適当な乾燥剤を包装中に封入してもよい。
【0036】
上述の経口固形製剤において、βアドレナリン受容体作動薬として0.5mg以下の[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルを含有する製剤、特に低含量製剤を製造する場合には、エデト酸2ナトリウム、メグルミン及びL−アルギニンから選ばれる1種または2種以上を添加すると、安定性に優れた製剤を得ることができる。
【0037】
経皮製剤
経皮製剤としては、軟膏剤、貼付剤、散布剤等が挙げられる。βアドレナリン受容体作動薬を含有する経皮吸収製剤を調製するためには、原薬をそのまま用いるか、必要ならば吸収率を上げる目的で、適当な粉砕装置、例えば流体エネルギーミル、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等を用いて粉砕し、平均粒子径が10μm以下となるように微粒子化して用いてもよい。あるいは合成の最終過程で結晶化条件を適当に調節するか、粉砕工程を経ずに超臨界流体技術などを用いて10μm以下の微粒子として用いてもよい。更にβアドレナリン受容体作動薬を効率よく吸収させるためには、中鎖脂肪酸モノグリセリド等の適当な吸収促進剤を基剤中に添加してもよい。
【0038】
軟膏剤
軟膏剤は、油脂性基剤として白色ワセリン、プラスチベース、サラシミツロウ、精製ラノリン、硬化ヒマシ油等を用い、必要に応じて植物油、流動パラフィン等を添加、混合して粘ちょう性および接着性を調節し、これに微粒子化したβアドレナリン受容体作動薬を添加し、万能混合機、コロイドミル等の適当な練合装置を用い、必要に応じて加温することにより、均一な軟膏剤を製造することができる。これをチューブ、瓶等の適当な容器に充填して軟膏剤とする。
【0039】
また、マクロゴール等から成る水溶性基剤中にβアドレナリン受容体作動薬を同様の装置を用い、必要に応じて加温して均一に混合・分散して軟膏剤とすることもでき、乳剤性基剤または高分子ゲル基剤を使用して軟膏剤とすることもできる。
【0040】
貼付剤
貼付剤を製造するためにはまず、薬物含有粘着基剤を調製する。薬物含有粘着基剤は、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレン、酢酸ビニル共重合体、アクリル系共重合体等の高分子またはこれらの混合物に、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド等の可塑剤および溶剤を添加し均一に混合した後、βアドレナリン受容体作動薬を添加し二軸エクストルーダー等の練合装置を用いて混合・溶解あるいは分散して、調製することができる。あるいは、予めβアドレナリン受容体作動薬を溶解または分散させた溶剤に前述の高分子および可塑剤を添加し、同様の操作により混合して調製することができる。こうして調製した薬物含有粘着基剤を適当な貼付薬製造装置(例えば、乾燥・裁断機つき貼付薬製造装置:幸袋工作所製)を用いて、適当なフィルム状の支持体(アルミ箔、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエステル不織布、ナイロン不織布等またはこれらを積層し組み合わせたもの)上に塗布・展延し、基剤層を乾燥させた後、保護フィルム(アルミ箔、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、紙(パルプ)等またはこれらを積層し組み合わせたもの)により基剤層を被覆し、投薬量に相当する適当なサイズ(面積)および形状に裁断し貼付剤とすることができる。この貼付剤は、保護フィルムを用時剥離し、胸部、背部、肩等の適当な皮膚上に貼付して使用する。
【0041】
また、薬物の含有量あるいは基剤の性質上粘着基剤層のみでは皮膚への接着性が乏しい場合は、必要に応じて薬物含有層とは別に粘着層を設けてもよく、あるいは薬物の放出制御が必要な場合は放出制御層および粘着層を薬物含有層の上に更に展延して貼付剤としてもよい。
【0042】
貼付剤からのβアドレナリン受容体作動薬の放出期間は、展延した基剤層の単位面積あたりのβアドレナリン受容体作動薬重量を調節することにより制御でき、通常0.5日から1日、必要に応じて1週間にわたりβアドレナリン受容体作動薬を持続的に供給することができる。また、必要に応じて貼付期間(たとえば0.5時間〜5時間)を調節することにより、食事あるいはSU剤の影響が及ばないように、目的とする時間帯に限りβアドレナリン受容体作動薬を供給することができる。投与期間中目的の血中濃度を得るためには、基剤中のβアドレナリン受容体作動薬濃度を調節することにより製剤からの薬物放出速度を制御するか、あるいは裁断面積を調節する。
【0043】
経口液剤
経口液剤は、βアドレナリン受容体作動薬の安定性を考慮して、生理学的、物理的および化学的に許容される適当な添加剤および溶剤を用いて、pHを9以上、好ましくは10〜12、更に好ましくは11から12に調節した化学的に安定な水溶液とすることにより製造することができる。必要に応じて安定化剤として、エデト酸2ナトリウム、メグルミン、L−アルギニン等を添加することができ、また嬌味を施してもよい。更に必要に応じてメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等の適当な保存剤を添加することもできる。本製剤は服用間隔を調節することで、βアドレナリン受容体作動薬の血中濃度を制御することができる。例えば2時間おきに服用することで持続的な血中濃度を得ることができる
【0044】
注射剤
注射剤は、βアドレナリン受容体作動薬の安定性を考慮して、生理学的、物理的および化学的に許容される適当な添加剤および溶剤を用いて、pHを9以上、好ましくは10〜12、更に好ましくは11から12に調節した化学的に安定な水溶液とし、必要に応じて安定化剤として、エデト酸2ナトリウム、メグルミン、L−アルギニン等を添加し、これをガラスアンプル、ガラスバイアル、ポリエチレン容器等の適当な容器に充填し、更に、高圧蒸気滅菌を施すことにより製造することができる。また、調製した水溶液を濾過滅菌し、これを無菌的にガラスアンプル、ガラスバイアル、ポリエチレン容器等の適当な容器に充填して製造してもよい。こうして製造した注射剤は、必要な期間薬剤を体内に供給するために、βアドレナリン受容体作動薬の一日投与量を血中濃度の恒常的な制御に必要な頻度(例えば2時間毎)に分割して静脈内、筋肉内、皮下または皮内に投与するか、輸液とともに持続的に点滴するか、あるいは適当な持続供給装置またはデバイスを用いて静脈内、筋肉内、皮下または皮内に注入することにより、血中濃度を持続的に制御することができる。具体的には、たとえば、MiniMed(米国Infusaid Inc.製)、 Macroflux(米国Alza社製)のような持続注入装置、MEDIPAD(アイルランドElan corporation, plc.,製)のように、皮下または皮内注射用の微小な注射針を備え、皮膚上に固定することができる小型持続注入デバイスに、注射液を充填して製剤とすることができる。
【0045】
溶液製剤全般
上述の経口液剤、注射剤等の溶液製剤において、βアドレナリン受容体作動薬として[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルを含有する溶液製剤を製造する場合には、エデト酸2ナトリウム、メグルミン及びL−アルギニンから選ばれる1種または2種以上を添加すると、安定性に優れた溶液製剤を得ることができる。
【0046】
坐剤
坐剤としては、βアドレナリン受容体作動薬を適当な油脂性または水溶性基剤に分散して速効性の坐剤を製造することもできるし、CeNeS Drug Delivery 社(スコットランド)等が提供する徐放坐剤の技術を適用して、徐放性の坐剤を製造することもできる。
【0047】
ドライパウダー方式の吸入剤
また、βアドレナリン受容体作動薬を、適当な粉砕装置、例えば流体エネルギーミル、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミルを用いて粉砕し、平均粒子径が10μm以下となるように微粒子化するか、合成の最終過程で結晶化条件を適当に調節するか、または粉砕工程を経ずに超臨界流体技術などを用いて10μm以下の微粒子とし、これを適当な吸入剤用デバイスに適用しドライパウダー方式の吸入剤とすることもできる。
【0048】
生分解性高分子埋め込み製剤
更に長期間の持続効果を必要とする場合は、ポリ乳酸、乳酸グリコール酸共重合体、ポリ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリカプロラクトン、架橋化ゼラチン、コラーゲン等の生分解性高分子を基剤に用いてマイクロスフェアとするか、針状または錠剤型に成形し、埋め込み製剤とする。βアドレナリン受容体作動薬の溶出期間を調節するには、使用する高分子の分子量を適当に選択することで生体内における分解速度を調節し、また、共重合体にあっては構成比率を適当に選択することにより、βアドレナリン受容体作動薬を2週間〜数ヶ月間にわたり体内に供給することも可能である。
【0049】
これらの生分解性高分子のマイクロスフェアを調製するには、液中乾燥法、気中乾燥法、晶析法等のいずれの方法を用いてもよい。
【0050】
ポリ乳酸または乳酸グリコール酸共重合体を用いて液中乾燥法を行う場合は、例えば、以下のような方法によりマイクロスフェアを製造することができる。まず、流体エネルギーミル、ボールミル等を用いて数ミクロン以下に微粉砕したβアドレナリン受容体作動薬をエタノール等の適当な有機溶媒に分散あるいは溶解し、必要に応じてβアドレナリン受容体作動薬の溶解補助剤として乳酸、酢酸等を添加し、これをポリ乳酸もしくは乳酸グリコール酸共重合体のジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等の溶液中またはこれらの1種もしくは2種以上の混合液中に分散・混合し、スラーリ溶液とする。このスラーリ溶液を、撹拌下ポリビニルアルコール水溶液(0.1%−5%)中に滴下分散させ水中油型のエマルジョンとし、さらに撹拌しながら、必要に応じて加温及び/又は減圧下で分散相である油相(βアドレナリン受容体作動薬および高分子を含むスラーリの液滴)から有機溶媒を留去することにより、βアドレナリン受容体作動薬を含有するポリ乳酸または乳酸グリコール酸共重合体のマイクロスフェアとすることができる
【0051】
気中乾燥法を用いる場合は、前述のβアドレナリン受容体作動薬を含有する高分子スラーリ溶液を、適当な噴霧乾燥装置を用いて、必要に応じて適当な付着防止の目的でフマル酸、マレイン酸等の有機酸を添加することにより粉末化し、マイクロスフェアとすることができる。さらには、同様の乾燥工程を二酸化炭素超臨界流体中で行うこともできる。
【0052】
晶析法を用いる場合は、高分子およびβアドレナリン受容体作動薬の貧溶媒でありかつスラーリ中の有機溶媒と均一に混合可能な溶媒をスラーリ溶液中に徐々に滴下し、βアドレナリン受容体作動薬及び高分子を析出させることによってマイクロスフェアを調製する。さらには、有機溶媒に代えて二酸化炭素を使用した超臨界流体技術により晶析を行ってもよい。
【0053】
このようにして得られた、ポリ乳酸または乳酸グリコール酸共重合体より成るβアドレナリン受容体作動薬含有マイクロスフェアは、更に注射用水中で洗浄しマイクロスフェア外の不要成分を除去した後、適当な糖類及び/または高分子(分散補助剤)等を添加して注射用水懸濁液とし、これをガラスバイアルまたはガラスアンプル中に充填し凍結乾燥することにより、水分及び溶媒が十分に除去された安定な凍結乾燥注射剤とすることができる。これら一連の製造工程は全て、必要に応じて無菌条件下にて行う。使用時には注射用水を必要量添加し再懸濁して用いる。この懸濁液は、適当な口径の注射針を装着した注射器を用いて筋肉内、皮下、皮内または体腔内に注入することができる。
【0054】
このほか、例えば、ポリ乳酸または乳酸グリコール酸共重合体(レジン)を予め粉砕し、βアドレナリン受容体作動薬の微粉末と共に均一に混合し、適当な加熱溶融成形装置を用いて針状または錠剤型に成形したのち、必要に応じて放射線滅菌等を施し埋め込み剤とする。この埋め込み剤は、外科的処置または適当なデバイスを用いて筋肉内、皮内、皮下または体腔内に埋入することができる。
【0055】
このようにして製造したβアドレナリン受容体作動薬からなる血中濃度制御製剤を、血中濃度制御にとって好適な用法・用量で投与することにより、βアドレナリン受容体作動薬の最も望ましい薬効発現を得ることができる。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、化合物Aとあるのは[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸を意味し、化合物Bとあるのは[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸エチルエステルを意味する。
【0057】
実施例1:速溶性顆粒剤
【0058】
表1に示す処方に従って、常法により速効性顆粒剤を製造した。
【0059】
【表1】
Figure 2004331500
【0060】
実施例2:安定化剤を含有する速効性顆粒剤
【0061】
表2に示す処方に従って、常法により速効性顆粒剤を製造した。
【0062】
【表2】
Figure 2004331500
【0063】
実施例3:速効性錠剤
【0064】
表3に示す処方に従って、常法により速効性錠剤を製造した。
【0065】
【表3】
Figure 2004331500
【0066】
実施例4:安定化剤を含有する速効性錠剤
【0067】
表4に示す処方に従って、常法により速効性錠剤を製造した。
【0068】
【表4】
Figure 2004331500
【0069】
製造例1:膜制御型徐放顆粒の芯粒子
【0070】
表5及び表6に示す処方に従って、常法により膜制御型徐放顆粒の芯粒子を製造した。
【0071】
【表5】
Figure 2004331500
【0072】
【表6】
Figure 2004331500
【0073】
製造例2:膜制御型徐放錠の錠芯
【0074】
表7に示す処方に従って、常法により膜制御型徐放錠の錠芯を製造した。
【0075】
【表7】
Figure 2004331500
【0076】
製造例3:膜制御型徐放錠または膜制御型徐放顆粒の溶出制御膜用コーティング液
【0077】
表8に示す処方に従って、常法により膜制御型徐放錠または膜制御型徐放顆粒の溶出制御膜用コーティング液を製造した。
【0078】
【表8】
Figure 2004331500
【0079】
(*1)エチルセルロースの擬似ラテックス、セチルアルコール及びラウリル硫酸ナトリウムを配合比率 87 %、9 %及び4 %の割合で配合した、固形分30w/v%のコーティング用水性懸濁液
(*2)アクリル酸エチルと、メタアクリル酸メチルおよびメタアクリル酸共重合体の水系コーティング用懸濁液
【0080】
実施例5:膜制御型徐放顆粒
【0081】
製造例1の処方5−5で得た膜制御型徐放顆粒の徐放芯に、製造例3の処方7−2の溶出制御膜用コーティング液を用いて、表9に示す処方に従って、常法により溶出制御膜を施して、膜制御型徐放顆粒を製造した。
【0082】
【表9】
Figure 2004331500
【0083】
(*3)コーティング液を粒子に噴霧し乾燥した後は、精製水が除去されるため固形分のみが残り制御膜を形成する。
【0084】
実施例6:膜制御型徐放錠
【0085】
製造例2の処方6−1で得た膜制御型徐放錠の錠芯に、製造例3の処方7−2の溶出制御膜用コーティング液を用いて、表10に示す処方に従って、常法により溶出制御膜を施して、膜制御型徐放錠を製造した。
【0086】
【表10】
Figure 2004331500
【0087】
(*3)コーティング液を粒子に噴霧し乾燥した後は、精製水が除去されるため固形分のみが残り制御膜を形成する。
【0088】
実施例7:徐放顆粒
【0089】
表11に示す処方に従って、常法により腸溶性皮膜用コーティング液を製造した。製造例1の処方5−1で得た膜制御型徐放顆粒の徐放芯に、表11の処方8−3の腸溶性皮膜用コーティング液を用いて、表12に示す処方に従って、常法により徐放顆粒を製造した。
【0090】
【表11】
Figure 2004331500
【0091】
(*4)メタアクリル酸共重合体
(*5)アミノアルキルメタアクリル酸共重合体のコーティング用ラテックス懸濁液
(*6)アセチル化モノグリセリド(99.947w/w%)、天然トコフェロール(0.033w/w%)及びクエン酸(0.020w/w%)の混合液
【0092】
【表12】
Figure 2004331500
【0093】
(*7)コーティング液を粒子に噴霧し乾燥した後は、精製水が除去されるため固形分のみが残り制御膜を形成するため、コーティング用ラテックス懸濁液の場合は固形分量としての値である。
【0094】
実施例8:油脂性器財を用いた軟膏
【0095】
表13に示す処方に従って、常法により油脂性基剤を用いた軟膏を製造した。
【0096】
【表13】
Figure 2004331500
【0097】
(*8)平均粒子径約1.5μm
【0098】
実施例9:水溶性基剤を用いた軟膏
【0099】
表14に示す処方に従って、常法により水溶性基剤を用いた軟膏を製造した。
【0100】
【表14】
Figure 2004331500
【0101】
(*9)平均粒子径約1.5μm
【0102】
実施例10:溶剤に水を使用した薬物含有粘着基剤を用いた貼付剤
【0103】
表15に示す処方に従って、常法により溶剤に水を使用した貼付剤用薬物含有粘着基剤を製造し、これを貼付薬製造装置(乾燥・裁断機つき貼付薬製造装置:幸袋工作所製)を用いて、ポリエチレンをコートしたアルミ箔上(アルミ側)に1平方センチメートル当たり約12.5mgとなるように塗布・展延し、基剤層を乾燥させた後、面積2平方センチメートルの円形状に裁断し薬物含有フィルムとする。このフィルムを更に常法に従ってポリエチレン製の支持フィルムに保持しアルミ箔製保護フィルム(内側材質:アルミ)により基剤層を被覆・密閉し、面積5平方センチメートルの円形状に裁断し貼付剤とした。
【0104】
【表15】
Figure 2004331500
【0105】
(*10)平均粒子径約1.5μm
【0106】
実施例11:溶剤に有機溶媒を使用した薬物含有粘着基剤を用いた貼付剤
【0107】
表16に示す処方に従って、常法により溶剤に有機溶媒を使用した貼付剤用薬物含有粘着基剤を製造し、これを貼付薬製造装置(乾燥・裁断機つき貼付薬製造装置:幸袋工作所製)を用いて、ポリエチレンをコートしたアルミ箔上(アルミ側)に1平方センチメートル当たり約12.5mgとなるように塗布・展延し、基剤層を乾燥させた後、面積2平方センチメートルの円形状に裁断し薬物含有フィルムとする。このフィルムを更に常法に従ってポリエチレン製の支持フィルムに保持しアルミ箔製保護フィルム(内側材質:アルミ)により基剤層を被覆・密閉し、面積5平方センチメートルの円形状に裁断し貼付剤とした。
【0108】
【表16】
Figure 2004331500
【0109】
(*11)平均粒子径約1.5μm
【0110】
実施例12:経口液剤
【0111】
表17に示す処方に従って、常法により経口液剤を製造した。
【0112】
【表17】
Figure 2004331500
【0113】
実施例13:注射剤
【0114】
表18に示す処方に従って、常法により注射剤を製造した。
【0115】
【表18】
Figure 2004331500
【0116】
(*12)pH調節剤:本剤のpHを10から11に調節する。
【0117】
実施例14:マイクロスフェア
【0118】
表19に示す処方に従って、常法によりポリ乳酸(または乳酸グルコール酸共重合体)調製用スラーリ溶液を製造し、常法により液中乾燥法でマイクロスフェアを製造した。
【0119】
【表19】
Figure 2004331500
【0120】
(*13)乳酸/グリコール酸モル比および重合度は、目的とする薬物放出期間に合わせて適当なものを選択する。
(*14)化合物Aの溶解補助剤
(*15)溶媒留去後はマイクロスフェアの理論組成となる。
【0121】
本発明の血中濃度制御製剤による効果を確認するために、実施例8の処方9−2で得た軟膏を用いて、下記試験を行った。
【0122】
ラットにおける経皮吸収試験
【0123】
雄性ラット250−300g(Jcl:SD、日本クレア製)をエーテル麻酔下にて開腹し、採血用カニューレとして左腸骨動脈にポリエチレンチューブ(SP−31、夏目製作所製)を挿入し、この片端を背部より体外に出し、開腹部および背部傷口を縫合した。細菌感染を予防するため、縫合部にペニシリン溶液(2万単位/ml)を適量塗布した。また、薬物を塗布するために左鼠蹊部の体毛を、T字形の安全カミソリを用いて可能な限り除去した。薬物投与は手術の翌日に行った。プラスチベースのみからなるコントロール軟膏または実施例9の処方9−2で得た軟膏(以下、化合物A含有軟膏と記す。)の約50μgをとり、脱毛した右鼠蹊部の直径約2cmの円の中にできる限り均一に塗布した。ラットを固定器(ボールマンケージ)に入れ、経時的(塗布後1、2、3、4、6および8時間)に動脈カニューレより血液を0.5ml採取した。この血液を直ちに遠心分離し、上清の血漿0.2mlを採取した。血漿中の化合物A濃度を通常HPLC法によって測定した。また、血漿中遊離脂肪酸の濃度はNEFA C−テストワコー(和光純薬)を用いて測定した。なお、血漿中遊離脂肪酸の濃度についてはコントロール軟膏塗布ラットおよび化合物A含有軟膏塗布ラットの両方につき測定し、その変化を比較した。
【0124】
表20に化合物A投与ラットの血漿中の化合物A濃度の経時変化を示した。コントロール軟膏を塗布した対照ラット(No.1)ではいずれの時点においても化合物Aは検出されなかった。一方、化合物A含有軟膏を塗布したラット(No.2〜5)では、塗布2時間後から8時間後の各時点において化合物Aが高濃度に検出された。また、血漿中の化合物A濃度は塗布後3時間目が最も高い値を示した。なお、化合物Aをラットに静脈内投与した場合の血漿中消失半減期は1.4時間であり、投与8時間後にはその血中濃度は約1/100に低下する
【0125】
【表20】
Figure 2004331500
【0126】
n.d.:検出限界以下(<10ng/ml>
【0127】
次に、βアドレナリン受容体作動薬の薬理作用発現を確認するために、血漿中遊離脂肪酸濃度の経時変化を調べた。結果は表21に示す。コントロール軟膏を塗布した対照ラット(No.1)では血漿中遊離脂肪酸濃度に変化は認められなかった。一方、化合物A含有軟膏塗布ラット(No.2〜5)では、塗布2時間後から血漿中遊離脂肪酸の上昇が認められ、その後塗布6時間後まで対照ラットよりも高値を示したが、8時間後にはほぼ対照ラットと同じレベルとなった。
【0128】
【表21】
Figure 2004331500
【0129】
以上の結果より、次のことが明らかになった。(1)化合物Aは軟膏剤として皮膚に直接塗布しても体内に吸収される。(2)化合物Aは静脈内投与ではその血漿中半減期が1.4時間であるにもかかわらず、軟膏剤の場合は少なくとも塗布後8時間までその血中濃度を高レベルに維持した。(3)それによって薬理作用発現も長時間にわたって持続した。
【0130】
従って、本発明の血中濃度制御製剤によれば、βアドレナリン受容体作動薬の薬効発現にとって最も望ましい血中濃度を制御することができる。
【0131】
【発明の効果】
本発明の血中濃度制御製剤は、βアドレナリン受容体作動薬の薬効発現にとって最も望ましい血中濃度を制御することができる製剤である。糖尿病のみならず肥満、過敏性腸症候群等のβアゴニストの適用となるいずれの疾病の治療においても、βアゴニストの薬効発現にとって最も望ましい血中濃度を容易にかつ安定的に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜制御型製剤の模式図である。図1−Aはコーティングされた原薬、芯粒子を有する徐放顆粒または錠芯を有する徐放錠の模式図であり、図1−Bは核粒子を有する徐放顆粒の模式図である。
【符号の説明】
1 放出制御高分子皮膜
2 原薬、芯粒子または錠芯
3 薬物層
4 核粒子

Claims (13)

  1. βアドレナリン受容体作動薬からなる血中濃度制御製剤。
  2. βアドレナリン受容体作動薬が[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルである請求項1記載の血中濃度制御製剤。
  3. 経口固形製剤,経皮製剤,溶液製剤,坐剤,吸入剤及び生分解性埋め込み製剤から選ばれる製剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  4. 速効性、徐放性または溶出制御型の経口固形製剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  5. 膜制御型またはマトリックス制御による徐放性経口固形製剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  6. 溶出制御型経口固形製剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  7. 軟膏剤、貼付剤及び散布剤から選ばれる経皮製剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  8. 経口液剤または注射剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  9. 速効性または徐放性の坐剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  10. 吸入剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  11. 生分解性埋め込み製剤である請求項1または請求項2記載の血中濃度制御製剤。
  12. エデト酸2ナトリウム,メグルミン及びL−アルギニンから選ばれる1種または2種以上及び[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルを含有してなる製剤。
  13. エデト酸2ナトリウム,メグルミン及びL−アルギニンから選ばれる1種または2種以上及び[3−[(2R)−[[(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその低級アルキルエステルを含有してなる溶液製剤。
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