明細書 電気抵抗素子ならびにその素材およびその製造方法 技術分野
この発明は、 一般的には電気抵抗素子ならびにその素材およびその製造方法に . 関し、 特にグローブラグゃ各種ヒータに有用な電気抵抗素子用素材に関するもの である。 背景技術
従来から加熱抵抗体に使用される素材として高温での耐食性に優れた素材が使' 用され、 加熱抵抗体だけの目的に適した素材としてはニクロム、 カンタルといつ たものが使用されている。 また、 温度が上昇するにつれて電気抵抗値が増加する ことを利用した温度制御機能 (自己温度制御機能という) が必要な場合には、 抵 抗温度係数の大きレ、低濃度二ッケル合金や高濃度コバル.ト令金が使用されている。 従来から使用されている温度制御機能を利用する素材については、 グロープラ グゃ各種ヒータ用として種々の素材が研究されてきた。 しかしながら、 これらの うち、 たとえば低濃度ニッケル合金は、 低温における抵抗温度係数が大きいが、 温度 4 0◦で以上では抵抗温度係数が小さく、 高温で使用することができない。 また、 高濃度コバルト合金は、 たとえば特開昭 5 8 - 8 3 1 2 4号公報、 特開平 2 - 1 3 3 9 0 1号公報、 特開平 9一 1 1 2 9 0 5号公報に開示されているよう に、 鉄を多く含んでおり、 耐食性と耐酸化性に問題がある。
そこで、 この発明は、 抵抗温度係数が低温から高温に至るまで大きく、 その温 度域で自己温度制御機能が働き、 耐食性と耐酸化性に優れた電気抵抗素子用素材 を提供することを目的とする。 発明の開示
この発明に従った電気抵抗素子用素材は、 ュッケル (N i ) を 2 0質量。 /。以上 6 0質暈%以下、 鉄 (F e ) を 5質量。/。未満含み、 残部が不可避的不純物とコバ
ルト (C o) を含む。
この発明の好ましい電気抵抗素子用素材は、 上記のニッケルと鉄の含有量が質 量%単位でそれぞれ Xど yであるとき、 x + 7y≤70の関係を満たす。
また、 この発明のより好ましい電気抵抗素子用素材は、 不可避的不純物の含有 量として、 炭素 (C) のみを 0. 1質量%以下、 およびシリコン (S i) 、 チタ ン (T i ) 、 マンガン (Mn) 、 クロム (C r) 、 アルミニウム (A 1 ) 、 硼素 (B) およびビスマス (B i) の合計を 0. 1質量%以下含む。
さらに、 この発明のより好ましい電気抵抗素子用素材は、 バナジウム (V) と タングステン (W) をそれぞれ 3質量。/。以下、 モリブデン (Mo) を 8質量。/0以 下さらに含む。
この発明に従った電気抵抗素子用素材の室温での電気抵抗 を p (RT) 、 電 気抵抗素子用素材の温度 1000 °Cでの電気抵抗値を p (1000) としたとき、 それらの比 p (1000) / p (RT) が 7以上 12以下であるのが好ましい。 この発明に従った電気抵抗素子は、 上述のような組成または特性を備えた素材 を用いる。 この場合、 電気抵抗素子は素材をコイル状にして使用する。 , この発明に従った電気抵抗素子用素材の製造方法は、 ニッケルを 2◦質量1 ½以 上 60質量%以下、 鉄を 5質量。/。未満含み、 残部がコバルトを含む組成物を準備 する第 1の工程と、 この組成物を溶解、 錄造して鎢塊を得る第 2の工程と、 この 铸塊を熱間加工して表面を除去する第 3の工程と、 この熱間加工体に冷間加工と 熱処理を施す第 4の工程とを備える。
亡の発明の電気抵抗素子用素材の製造方法において、 鹑造ェ程が上記の第 4の 工程の冷間加工で完了するのが好ましい。
また、 この発明の好ましい電気抵抗素子用素材の製造方法においては、 上記の , 第 4の工程における冷間加工の加工度が 75 %以上である。
さらに、 この発明のより好ましい電気抵抗素子用素材の製造方法においては、 上記の冷間加工が伸線加工を含む。
この発明によれば、'速熱性、 自己温度制御機能、 耐食性、 耐酸化性およびカロェ ' 性に優れた電気抵抗素子用素材を提供することができ、 電気抵抗素子の実用設計 の自由度が增し、 高性能で長寿命で信頼性の高い電気抵抗素子を提供することが
可能となる。 , 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明に従った電気抵抗素子用素材の組成領域を示す図である。
図 2は、 本発明の実施例で得られた試料の温度に対する抵抗比の変化を示す図 である。 ' 発明を実施するための最良の形態
上記の目的を達成するための本発明の電気抵抗素子用素材の第 1の特徴は、 二 ッケルを 2 0質量。/。以上 6 0質量%以下、 鉄を 5質量%未満含み、 残部が不可避 的不純物とコバルトを含む組成を有することである。
本発明の対象とする各種ヒータには、 通常、 急速に昇温後一定の温度を保ち続 けること、 すなわち速熱性と温度の飽和が求められる。 これらの特性を得るため には、 素材の抵抗比 (ある温度での電気抵抗値の室温での電気抵抗値に対する比 率) が高いことが必要である。 したがって、'上記の抵抗比が高い素材を使用する と、 良好な速熱性を保持しつつ、 自己温度制御機能がよく働くグローブラグゃ各 ' 種ヒータに有用な電気抵抗素子を得ることができる。 ·
また、 七ータでは、 高温での耐食性や耐酸化性および種々の泰子形状への加工 の容易さも必要な特性とされる。
従来、 金属のヒ一タ率材は、 鉄 (F e ) 、 ニッケル (N i ;) 、 コノくルト (C o ) の鉄族金属を主成分とする金属材料が使用されてきた。 これらの金属を上述 のような特性の観点から見ると、 鉄は、 室温から温度 7 5 0 °C付近までの昇温に よる抵抗比の増加が大きく、 冷間での加工† もよい。 しかし、 上記 3種類の金属 の中で鉄は高温での耐禽性と耐酸化性の点で劣る。 二ッケルは、 加工性や耐食性、 耐酸化性の点では優れている。 しかし、 ニッケルは、 抵抗比の増加がその磁気変 ' 態点 3 6 1 °Cまでは比較的大きいものの、 その温度を過ぎると抵抗比の増加が急 激に小さくなる。 一方、 コバルトは、 ニッケルに ¾ベて磁気変態点がかなり高い ため、 温度 9 0 0 °C付近まで抵抗比の増加が大きい。 しかし、 コバルトは、 その 結晶構造が六方晶であるため、 加工が困難である。
本発明の第 1の特徴で規定される組成は、 速熱性や自己温度制御機能をある程 度のレベルに維持しつつ、 特に高温での耐食性と耐酸化性、 冷問での加工性の改 善に主眼を置いて定められたものである。
これらの必要な特性のうち、 加工性は、'合金の結晶構造を加工が容易な立方晶 に変えることによって改善することができる。 本発明の第 1の特徴に従った組成 を有する素材では結晶構造が立方晶となり、 加工性を大幅に改善することができ る。
本発明の第 1の特徴で規定される成分のうち、 ニッケルの含有量が 20質量% 未満では加工性が低下し、 冷間での細線や複雑な形状への加工ができなくなる。 —方、 上記の組成領域であれば、 素材の結晶構造は立方晶であるため、 加工性が よく、 冷間での細線 (直径が数百 μπι以下) や複雑な形状への加工が容易になる。 また、 ニッケルの含有量が 60質量。/。を超え、 鉄の含有量が 5質量%以上にな ると、 耐食性と耐酸化性が低下するとともに、 抵抗比が小さくなり、 速熱性と自 己温度制御機能が両立できないので好ましぐない。
さらに、 上記の範囲内の組成領域であれば、 通常のコバルト—鉄系材料で見ら れるような昇温途上での相変態による急激な体積変化がなく、 それによる素子の 損傷を未然に防ぐことができる。 .
本発明の素材の第 2の特徴は、 上記の第 1の特徴に加え、 さらに素材中のニッ. ケルの含有量を X質量 鉄の含有量を y質量%としたときに、 x+ 7 y≤70 の関係を満たすことである。
図 1に本発明の素材の第 1の特徴に従つた組成領域と、 第 2の特徴に従った組 成領域の関係を示十。 図 1において縦軸は鉄の含有量、 横軸は-シケルの含有量 を示す。 なお、 縦軸と横軸のスケールは同じではない。 図 1において、 矩形 AB C Dの 4辺で囲まれた部分が第 1の組成領域、 五角形 A B E F Dの 5辺で囲まれ た部分が第 2の組成領域に相当する。 ただし、 いずれの組成領域においても、 線 分 CD上は含まない。 各点を (鉄の質量。/。の値、 ニッケルの質量%の値) で表わ した座標は、 A (20, 0) 、 B (60, 0) 、 C (60, 5) 、 D (20, 5) 、 E (60, 1. 43) 、 F (35, 5) である。
特開昭 58— 83124号公報には、 鉄を 10重量。/。以上含有する予熱栓用加
熱抵抗体の材料が開示されているが、 上述のようにこの材料は耐食性と耐酸化性 の で問題がある。 これに対して、 本 明の素材の第 2の特徴に従った組成領域 では、 良好な耐酸化性と耐食性を備えたものが得られる。 すなわち、 鉄の含有量 が少ない組成とすることによって良好な耐食性と耐酸化性を得るとともに、 これ を補完し、 加工性を維持するために鉄に代えてニッケルの含有量を增やしている。 鉄は二ッケルに比べて少量の添加で加工性の改善が見られ、 添加による加工性の 改善の程度と抵抗温度係数が低下する副作用の効果も鉄は二ッケルに勝るが、 鉄 の添加により耐食性と耐酸化性が劣化していく。 本発明の第 2の特徴に従った組 成領域では、 加工性が許容の範囲で抵抗温度係数が大きく、 かつ、 その変化が温 度に対して滑らかであり、 特に良好な耐酸化性と耐食性を得ることができる。 こ のことは、 素材表面からの劣化の進行が遅いということを意味し、 コンパク トな 機器に電気抵抗素子を内蔵するために細線化や薄板化を行なっても酸化による電 気抵抗値の増加といった劣化の進行が遅いので、 電気抵抗素子を備えた機器に + 分な寿命を与えることができる。 '
以上に述べた本発明の電気抵抗素子用素材の組成と機能との関係をまとめて、 図 1によって説明すれば、 以下のようになる。 すなわち、 四角形 A B C Dの 4辺 で囲まれた部分は、 速熱性と耐久性と加工性ともに良好な本発明の組成領域であ : り、 五角形 A B E F Dの 5辺で囲まれた部分 (第 2の領域) は、 速熱性と耐久性 が特に優れた領域である。 また、 三角形 C E Fの 3辺で囲まれた部分は、 速熱性 と耐久性ともに第 2の領域に比べて劣る領域である。
本発明の電気抵抗素子用素材の第 3の特徴は、 '以上の第 1、 第 2の特徴に加え てさらに電気抵抗素子用素材中の不可避的不! ¾物の含有量が、 炭素のみで、 およ びシリコン、 チタン、 マンガン、 クロム、 アルミニウム、 硼素およびビスマスの 合計で、 いずれも 0 . 1質量 °/o以下に制御されたものである。 これらの不可避的 不純物の含有量が 0 . 1質量%を超えると、 素材の加工性の低下を招きやすい。 また、 本発明の電気抵抗素子用素材の第 4の特徴は、 上記の基本組成に加えて、 バナジウムとタングステンをそれぞれ 3質量%以下さらに含む力 またはモリブ デンを 8質量0/。以下、 さらに含むことである。 これによつて、 この含有量の範囲 内であれば、 上記の基本組成物での速熱性と自己温度制御機能を維持しつつ、 よ
り一層の高温強度、 クリープ特性といった耐熱性や耐食性、 耐酸化性を素材に付 与することができる。
本発明の電気抵抗素子用素材は、 室温での電気抵抗値 p (R T) と温度 1 0 0
0。Cでの電気抵抗値 p ( 1 0 0 0 ) の比 p ( 1 0 0 0 ) / p (R T ) が 7以上 1 2以下であることを特徴とし、 抵抗温度係数が室温から単調に増加することが好 ましい。 この抵抗比が 7未満であると、 素材の自己温度制御機能がうまく働かな レ、。 1 2を超える抵抗比の値は、 コバルトが高濃度のコバルト一ニッケル系合金、 コバノレト—鉄系合金、 あるいは鉄の含有量が 6質量0 /0以上のコバルト一鉄系合金 で鉄の添加量を増やすことにより相 態時に急激に抵抗温度係数が増加すること を利用した合金で得られる。 しかしながら、 前者の合金は冷間加工が著しく困難 である。 後者の合金は鉄の含有量が多い,ため耐食性と耐酸化性に劣る。.また、 抵 抗比が 1 2を超える素材は自己温度制御機能を有していることはいうまでもない が、 本発明の抵抗比の範囲内であっても十分に自己温度制御機能を発揮すること が可能である。 したがって、 本発明に従えば、 耐食性と耐酸化性に優れ、 自己温
i
度制御機能を発揮することが可能な抵抗比を有する素材を得ることができる。 また、 自己温度制御機能をさらに有効に機能させるためには、 制御したレ、温度 までの抵抗温度係数が早調増加した方が望ましく、 このような抵抗温度係数を得 るためには、 1 0◦ 0 °Cまでの温度範囲であれば、 必要とする温度に応じてニッ ケル、 鉄、 バナジウム、 タングステン、 モリブデンの含有量を本発明の範囲内で 調節すればよい。
本発明の電気抵抗素子用素材は加工性に優れており、 必要とする直径や厚みま で加工することが容易である。 また、 本発明の素材は素材の靭性を回復するため の熱処理回数が少なくてすむという特徴を有している。 さらに、 本発明の素材は 冷間加工したままの状態で靭性が損なわれることがないため、 線材に加工したも' のは冷間加工したままの状態でコイル形状に成形することができる。 本発明の素 材をコィル形状に成形するためには冷問加工したままの加工硬化した線材を用い た方が、 熱処理を加えた素材に比べて矯正ローラや治具によるコイル成形性に優 れるため、 良好な生産性を期待することができる。
本発明に従った電気抵抗素子用素材の製造方法は、 熱間加工後または焼鈍後の
冷間加工度が好ましくは 7 5 %以上を特徴としている。 この特徴により、 素材を 錄造後、 所定の大きさ、 たとえば直径まで加工する際の熱処理回数が少なくてす み、 加工可能な冷間加工度が大きいため、 連続伸線機を使用することができるの で安価に素材を加工することができる。 また、 上記の特徴ば、 冷間加工度の大小 によつて耐食性と耐酸化性に差異が現われることを見出したことに基づくもので ある。 すなわち、 冷間加工度が 7 5 ° /。以上で加工された素材は、 . 7 5 %未満で加 ェされたものに比べて耐酸化性に優れていることを見出した。 素材の再結晶が進 行しない低温では酸化の進行も遅いため、 耐酸化性と加工度との関係は認められ ないが、 本発明の素材が主に使用されると思われる高温で素材が再結晶する温度 領域においては、 耐酸化性と加工度との関係が明確になってくる。 このことは、 冷間加工度の大小により再結晶挙動が異なり、 結晶粒度に差異が生じたため、 表 面への拡散速度に差異が現われ、 耐酸化性に影響を与えたものと推定される。 本 発明は、 良好な耐食性と耐酸化性を得ることを狙い、 鉄の含有量を制限している 力 冷問加工度を最適化することによって、 さらに良好な耐食性と耐酸化性を得 ることができる。 その結果、 本発明の素材を使用した電気抵抗素子の長寿命化が 可能となる。
上述のように通電昇温時の速熱性と電流制御機能を高めるためには、 抵抗比は 大きい方が望ましい。 しかしながら、 耐食性、 耐酸化性および加工性を重視した 本発明の組成範囲内では、 通常、 抵抗比の値が 1 2を超えることはまれである。 因みに、 特開昭 5 8— 8 3 1 2 4号公報ゃ特開平 2— 1 3 3 9 0 1号公報に開示 された組成物であれば、 抵抗比が 1 2を超えるものも得られるが、 このような組 成物は、 主にニッケルの含有量と鉄の含有量の違いから、 本癸明の素材に比べて 耐食性と耐酸化性で劣る。 本発明では、 素材に速熱性と温度制御機能が十分に付 与ざれているため、 電気抵抗素子の実用設計の自由度が増し、 さらに本発明の素 材には良好な耐酸化性と耐食性とが備えられているため、.高性能で信頼性の高 、 電気抵抗素子を提供することが可能となる。
(実施例 1 ) ' 表 1に示す化学組成を有する試料 N o . 1〜 1 2について、 各成分が所定の含 有量になるように秤量した素材を誘導炉で真空雰囲気下で溶解し、 直径 2 5 mm
の铸型に銹造して铸塊を得た。 鍀造時の表面欠陥を除去する目的で鍚塊の表面を 切削した後、 熱間鍛造 行なうことによって直径 1 Ommの線材を得た。 次に、 この線材に温度 900 °Cで 1時間の熱処理を施した後、 冷間伸線と熱処理を繰返 し行なうことによって、 加工不可能な試料を除き、 直径 0. 3mmの線に加工し た。 試料 No. 1 0については市販のニッケル線を用いた。 試料 N o . 8につい ては市販の鋼線にニッケルめっきを施した線を用いた。 なお、 表 1において試料 No. 2 - 1と試料 N o. 2- 2は同じ化学組成を有し、 熱処理時の線材の直径 を調節して、 最終直径までの冷問加工度を変えたものである。 冷間加工度は、 試 料 N o. 2- 1では 70 %、 試料 N o . 2— 2では 8 5。/。であった。
このようにして得られた加工可能であった各試料の温度 1 000°Cでの電気抵 抗値と室温での電気抵抗値との比 (抵抗比) と、 温度に対する抵抗温度係数の傾 向と、 冷間加工での限界加工度と、 耐酸化性を評価した。 結果を表 1に示 ~。 ま た、 これらの試料の抵抗比の温度に対す.る変化を図 2に示す。
含有量 (質量 抵抗温 限界冷間 耐酸化
No. Ni Fe Co V W Mo C 不純物 度係数 加工度 性
1 40 残 0. 04 0. 07 8. 9 〇 90% 5
2-1 25 4 0. 02 0. 08 9. 8 〇 92% 4
2-2 25 4 残 0. 02 0. 08 9. 8 〇 92% 5 実
3 45 2 残 1. 5 1. 1 5. 0 0. 06 0. 04 8. 5 〇 88% 5 ' 施
. 4 4 残 0. 02 0. 02 8. 7 〇 93% 4 例
5 55 1 3. 3 1. 6 4. 5 0. 03 0. 08 6. 7 X 86% 5
6 25 2 0. 15 0. 03 9. 5 〇 75% 5
7 50 4 残 0. 03 0. 05 7. 9 X 90% 3
8 Niめっき翁 9. 2 X 1
9 4 残 0. 02 0. 03 加工不可
10 100 6. 3 X 99%以上 5
11 10 4 0. 02 0. 26 加工不可
12 8 残 0. 02 0. 04 10. 7 〇 92% 2
表 1において、 「抵抗温度係数」 が 「〇」 であるものは室温から温度 8◦ 0 °C まで抵抗温度係数が単調増加したことを示し、 「X j であるものは室温から温度 8 0 0 °Cまで抵抗温度係数が単調増加しなかったことを示す。 また 「不純物」 は 不可避的不純物として炭素、 シリコン、 チタン、 マンガン、 クロム、 アルミユウ ム、 硼素およびビスマスの合計の含有量を示す。 耐酸化性が 「5」 であるものは 耐酸化性が非常に優れているものを示し、 「4」 は優れているものを、 「3」 は 良いも,のを、 「2」 はやや劣るものを、 「1」 は劣るものを示す。 .なお、 耐酸化 性の評価は、 各試枓を大気雰囲気中.で温度 9 0 0 °Cで 5 0時問保持した後で行な われた。 '
表 1と図 2から、 本発明に従つた試料 N o . 1〜 7は加工性が良好で高温と室 温での抵抗比が大きく、 かつ耐酸化性が良好な素材であることがわかる。
(実施例 2 )
実施例 1で得られたいくつかの試料を直径 0 · 1 mm以下の線に加工後コイル 状にして、 絶縁材料としてのマグネシアとともに、 S U S 3 1 6のパイプ内に充 填することにより、 局部加熱ヒータを作製した。 このヒータに直流電圧 5 Vを印 加して通電し、 通電開始から温度 5 0 0 °Cに到達するまでの時間 (5 0 0 C到達 時間)' を測定した。 また、 直流電圧 5 Vで 1 0秒間通電加熱した後、 1 0秒間電 流を遮断するヒートサイクノレ試験を 1 0万サイクノレ繰返すことによって耐久試験 を行なった。 これらの測定結果を表 2に示す。
表 2
表 2において 「定常温度」 とは、 通電後温度が一定となる温度を示す。 「耐久 試験」 については、 上記のヒートサイクル試験を行なった結果;. 試料の全数が断 線しなかったものを 「〇」 、 試料の一部が断線したものを 「△」 、 試料の全数が
断線したものを 「X」 で示す。
'表 2から、 本発明に従った素材を使用すると、 速熱性と耐酸化性を兼ね備えた 極小ヒータを作製することが可能であり、 本発明の素ネオは、 通電—遮断サイクル が頻繁に行なわれる、 たとえば電子部品の接続などに利用可能であることがわか る。
以上に開示された実施の形態や実施例はすべての点で例示であって制限的なも のではないと考慮されるべきである。 本発明の範囲は、 以上の実施め形態や実施 例ではなく、 特許請求の範 Sによって示され、 特許請求の範囲と均等の意味およ び範囲内でのすべての修正や変形を含むものであると意図される。
産業上の利用可能性 . この発明の電気抵抗素子用素材は、 グロ一プラグや各種ヒータ等の素材に有用 である。 ,