JPH09118967A - コイルばね用NiTi系形状記憶合金の製造方法 - Google Patents

コイルばね用NiTi系形状記憶合金の製造方法

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JPH09118967A
JPH09118967A JP30045895A JP30045895A JPH09118967A JP H09118967 A JPH09118967 A JP H09118967A JP 30045895 A JP30045895 A JP 30045895A JP 30045895 A JP30045895 A JP 30045895A JP H09118967 A JPH09118967 A JP H09118967A
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JP
Japan
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shape memory
memory alloy
coil spring
temperature
niti
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JP30045895A
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Yoshiaki Shiyugo
嘉朗 守護
Yoshio Kato
善夫 加藤
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、逆変態開始温度Asを所望の温度
にすることができるコイルばね用NiTi形状記憶合金
の製造方法、および逆変態開始温度As−10の温度で
の発生力FM と逆変態終了温度Af+10の温度での発
生力FP との発生力比Rを所望の値にすることができる
コイルばね用NiTi形状記憶合金の製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 重量%で、Ni:54〜57%、C:
0.02〜0.12%およびO:0.02〜0.10%
含有し、必要に応じてFe、Co、Mn、CrおよびV
の1種または2種以上を合計で0.01〜0.30%な
らびにCu:3.0〜10.0%を含み、残部実質的に
Tiからなるコイルばね用NiTi系形状記憶合金の製
造方法において、逆変態開始温度Asまたは発生力比R
を添加するC+Oの量を増減することによって所望の値
にすること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コイルばね用Ni
Ti系形状記憶合金の製造方法、詳細にはコイルばね用
NiTi系形状記憶合金の逆変態開始温度Asまたはコ
イルばねの発生力比を制御するコイルばね用NiTi系
形状記憶合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】NiTi系形状記憶合金は、マルテンサ
イト相での変形が逆変態開始温度As点以上の加熱によ
って元の形状に回復する形状記憶効果と、逆変態終了温
度のAf点以上の一定の温度範囲での変形が、除荷重の
みで元の形状に復帰する超弾性効果があることが知られ
ている。
【0003】このNiTi系形状記憶合金をコイルばね
に成形し、適当な熱処理を施したものは、横弾性係数
(ばね定数に比例する値)が使用温度によって大きく異
なり、すなわち逆変態終了温度のAf点以上で>210
0Kgf/mm2 、マルテンサイト変態終了温度のMf
点以下で<750Kgf/mm2 であるため、温度低下
に伴い、一定荷重下ではたわみ量が増加し、および一定
たわみ下では発生力(横弾性係数)が低下する。従っ
て、NiTi系形状記憶合金コイルばねは、変態温度を
感知して、駆動力および作動をおこすため、各種の工業
部品のセンサー兼アクチュエーターとして使用されてい
る。
【0004】このNiTi系形状記憶合金コイルばねの
一定たわみ下での発生力曲線(昇温過程)の挙動は図1
に示したとおりである。図1に見られるように逆変態開
始温度Af−10(以下「T1 」という。)の発生力F
M と逆変態終了温度Af+10(以下「T2 」とい
う。)の発生力FP は、逆変態温度AsまたはAfに依
存することがわかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、このNiTi系
形状記憶合金の逆変態温度As、Afは、熱処理温度、
NiとTiの組成比、および添加するFe、Co、M
n、Cr、V、Cuなどの含有量により変化することが
知られているが、他の方法は知られていなかった。
【0006】また、このNiTi系形状記憶合金コイル
ばねは、成分組成が一定であれば、熱処理温度が決まる
と、逆変態温度As、Afが決まるので、T1 の発生力
M、T2 の発生力FP 、発生力FP と発生力FM との
比(以下、「発生力比」という。)R(FM /FP )も
決まる。したがって、このNiTi系形状記憶合金のコ
イルばね温度T1 の発生力FMおよびT2 の発生力FP
のいずれか一方を所望の値にすることは、コイル形状
(線径、コイル径、有効巻数、自由長)を適宜選択する
こと、および熱処理条件を変更することにより可能であ
ったが、2点の発生力FM およびFP の両方を同時に所
望の値にすることは極めて困難であった。
【0007】本発明は、逆変態温度開始温度Asを所望
の温度にすることができるコイルばね用NiTi形状記
憶合金の製造方法、および発生力比Rを所望の値(発生
力比を所望の値にすれば、コイル形状(線径、コイル
径、有効巻数、自由長)を適宜選択することにより、2
点の発生力FM およびFP の両方を同時に所望の値にす
ることができるから。)にすることができるコイルばね
用NiTi形状記憶合金の製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、Ni:54〜57%、C:0.02〜0.12%お
よびO:0.02〜0.10%含有し、必要に応じてF
e、Co、Mn、CrおよびVの1種または2種以上を
合計で0.01〜0.30%ならびにCu:3.0〜1
0.0%を含み、残部実質的にTiからなるコイルばね
用NiTi系形状記憶合金の製造方法においては、逆変
態開始温度Asの温度を含有するC+Oの量を増減する
ことによって所望の温度に制御することである。
【0009】また、上記目的を達成するため、Ni:5
4〜57%、C:0.02〜0.12%およびO:0.
02〜0.10%を含有し、必要に応じてFe、Co、
Mn、CrおよびVの1種または2種以上を合計で0.
01〜0.30%ならびにCu:3.0〜10.0%を
含み、残部実質的にTiからなるコイルばね用NiTi
系形状記憶合金の製造方法においては、発生力比Rを含
有するC+Oの量を増減することによって所望の値に制
御することである。
【0010】
【作用】NiTi系形状記憶合金は、C+Oの量を増加
すると、逆変態開始温度Asは直線的に低下することを
実験的に確認した。すなわちC+Oの量を増減すること
により逆変態開始温度Asを任意の温度にすることがで
きる。またC+Oの量を増加すると、発生力比は直線的
に増加することを確認した。すなわちC+Oの量を増減
することにより任意の発生力比Rにすることができ、コ
イル形状(線径、コイル径、有効巻数、自由長)などを
適宜選択することにより2点の発生力FMおよびFP
両方を同時に所望の値にすることができる。
【0011】C+Oの量を増加すると発生力比Rが高く
なる理由は、CがTiCの炭化物になり、まかOがTi
4 Ni2 3 の酸化物になるので、これらの炭化物およ
び酸化物の存在が発生力FM の増大に寄与するためであ
る。また、逆変態開始温度Asの低下は、炭化物および
酸化物の存在によりNiTi相のNi濃度が増加するか
らである。
【0012】次に、本発明の対象となるNiTi系形状
記憶合金の含有量を限定した理由を説明する。 Ni:54〜57% Niは、54%未満でも、また57%を超えても形状記
憶特性を示さず、また加工性も低下するので、その範囲
を54〜57%とした。 C:0.02〜0.12% Cは、逆変態開始温度Asの温度および発生力比Rを変
えるために必要な元素で、0.02%より少ないと添加
効果がなく、また0.12%を超えるとTiCが多くな
り熱間加工性および冷間加工性が低下し、加工が困難に
なるので、その含有量の範囲を0.02〜0.12%と
した。
【0013】O:0.02〜0.10% Oは、逆変態開始温度Asの温度および発生力比Rを変
えるために必要な元素で、0.02%より少ないと添加
効果がなく、また0.12%を超えると酸化物が多くな
って熱間加工性および冷間加工性が低下し、加工が困難
になるので、その含有量の範囲を0.02〜0.10%
とした。Fe、Co、Mn、CrおよびVの1種または
2種以上を合計で0.01〜0.30% これらの元素は、この含有範囲で材料の加工性、強度、
耐食性のいずれかを向上することができ、また逆変態温
度As、Afを低下することができる。 Cu:3.0〜10.0% Cuは、この含有範囲でマルテンサイトの降伏応力が小
さくなり、また逆変態温度As、Afを上昇することが
できる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を説明するが、こ
れらによって本発明が限定されるものではない。原料と
して、ペレット状Ni、スポンジTi、板状Ti(O:
0.30%)、粒状黒鉛を使用し、表1に示したような
組成比になるように配合した合金を真空高周波誘導溶解
炉を用いて50Kgのインゴットを製造した。このイン
ゴットを鍛造→熱間圧延(φ2.6mm)→冷間伸線
(φ2.0mm)→コイル化→拘束下記憶熱処理(45
0℃×1hr)→座面研磨してコイルばねを製造した。
【0015】
【表1】
【0016】コイルの形状は、線径=φ2.0mm、コ
イルの内径Di=φ9.0mm、コイルの外径D=φ1
3.0mm、有効巻数=4.5回、自由長Lo〜32m
mである。コイルばね発生力評価法は、コイルばね設定
高さh=25.2mm、測定温度範囲=0〜80℃、加
熱冷却速度=2℃/分であった。
【0017】上記コイルをコイルばね発生力評価法で測
定した結果の逆変態開始温度As、測定したばね発生力
P 、FM および発生力比R(FM /FP )は表2に示
したとおりである。この測定結果の逆変態開始温度As
または発生力比R(FM /FP )を縦軸にし、C+0の
含有量を横軸にしたグラフを図2および図3に示す。
【0018】
【表2】
【0019】図2に示したようにC+Oの量の増加によ
り逆変態開始温度Asは若干バラツキがあるが、ほぼ直
線的に低下しているので、製造するコイルばね用NiT
i系形状記憶合金のC+Oの量を増減することにより逆
変態開始温度Asを任意の温度にすることができること
が分かる。また図3に示したようにC+Oの量の増加に
より発生力比R(FM /FP )は直線的に増加している
ので、製造するコイルばね用NiTi系形状記憶合金の
C+Oの量を増減することとコイル形状(線径、コイル
径、有効巻数、自由長)を適宜選択することを組み合わ
せることにより、2点の発生力FM 、FP を同時に所望
の値にすることができることが分かる。
【0020】
【発明の効果】本発明は、上記製造方法により、次のよ
うな優れた効果を奏する。 (1)C+Oの量を増減するだけで逆変態開始温度As
を所望の温度にすることができる。 (2)C+Oの量を増減するだけで発生力比を所望の値
にすることができるので、C+Oの量の増減とコイル形
状(線径、コイル径、有効巻数、自由長)を適宜選択す
ることなどにより2点の発生力FM 、FP を同時に所望
の値にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発生力と温度の関係を示す模式図である。
【図2】NiTi系形状記憶合金の逆変態開始温度As
とC+Oの量との関係を示すグラフである。
【図3】NiTi系形状記憶合金の発生力比R(FM
P )とC+Oの量との関係を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下同じ)、Ni:54〜5
    7%、C:0.02〜0.12%およびO:0.02〜
    0.10%を含有し、必要に応じてFe、Co、Mn、
    CrおよびVの1種または2種以上を合計で0.01〜
    0.30%ならびにCu:3.0〜10.0%を含み、
    残部実質的にTiからなるコイルばね用NiTi系形状
    記憶合金の製造方法において、製造されるコイルばね用
    NiTi系形状記憶合金の逆変態開始温度Asを含有す
    るC+Oの量を増減することによって所望の値にするこ
    とを特徴とするコイルばね用NiTi系形状記憶合金の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 Ni:54〜57%、C:0.02〜
    0.12%およびO:0.02〜0.10%を含有し、
    必要に応じてFe、Co、Mn、CrおよびVの1種ま
    たは2種以上を合計で0.01〜0.30%ならびにC
    u:3.0〜10.0%を含み、残部実質的にTiから
    なるコイルばね用NiTi系形状記憶合金の製造方法に
    おいて、製造されるコイルばね用NiTi系形状記憶合
    金の逆変態開始温度As−10℃の発生力FM と逆変態
    終了温度Af+10℃の発生力FP との比を添加するC
    +Oの量を増減することによって所望の値にすることを
    特徴とするコイルばね用NiTi系形状記憶合金の製造
    方法。
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