JP4552302B2 - 電気抵抗素子ならびにその素材およびその製造方法 - Google Patents

電気抵抗素子ならびにその素材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般的には電気抵抗素子ならびにその素材およびその製造方法に関し、特にグロープラグや各種ヒータに有用な電気抵抗素子用素材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から加熱抵抗体に使用される素材として高温での耐食性に優れた素材が使用され、加熱抵抗体だけの目的に適した素材としてはニクロム、カンタルといったものが使用されている。また、温度が上昇するにつれて電気抵抗値が増加することを利用した温度制御機能(自己温度制御機能という)が必要な場合には、抵抗温度係数の大きい低濃度ニッケル合金や高濃度コバルト合金が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来から使用されている温度制御機能を利用する素材については、グロープラグや各種ヒータ用として種々の素材が研究されてきた。しかしながら、これらのうち、たとえば低濃度ニッケル合金は、低温における抵抗温度係数が大きいが、温度400℃以上では抵抗温度係数が小さく、高温で使用することができない。また、高濃度コバルト合金は、たとえば特開昭58−83124号公報、特開平2−133901号公報、特開平9−112905号公報に開示されているように、鉄を多く含んでおり、耐食性と耐酸化性に問題がある。
【0004】
そこで、この発明は、抵抗温度係数が低温から高温に至るまで大きく、その温度域で自己温度制御機能が働き、耐食性と耐酸化性に優れた電気抵抗素子用素材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に従った電気抵抗素子用素材は、ニッケル(Ni)を20質量%以上60質量%以下、鉄(Fe)を5質量%未満含み、残部が不可避的不純物とコバルト(Co)からなる。上記のニッケルと鉄の含有量が質量%単位でそれぞれxとyであるとき、x+7y≦70の関係を満たす。不可避的不純物の含有量として、炭素(C)のみを0.1質量%以下、およびシリコン(Si)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、硼素(B)およびビスマス(Bi)の合計を0.1質量%以下含む。電気抵抗素子用素材の室温での電気抵抗値をρ(RT)、電気抵抗素子用素材の温度1000℃での電気抵抗値をρ(1000)としたとき、それらの比ρ(1000)/ρ(RT)が7以上12以下であり、結晶構造が立方晶であり、グロープラグ用である。
【0008】
さらに、この発明のより好ましい電気抵抗素子用素材は、バナジウム(V)とタングステン(W)をそれぞれ3質量%以下、モリブデン(Mo)を8質量%以下さらに含む。
【0010】
この発明に従った電気抵抗素子は、上述のような組成または特性を備えた素材を用いる。この場合、電気抵抗素子は素材をコイル状にして使用する。
【0011】
この発明に従った電気抵抗素子用素材の製造方法は、ニッケルを20質量%以上60質量%以下、鉄を5質量%未満含み、残部がコバルトと不可避的不純物からなる組成物を準備する第1の工程と、この組成物を溶解、鋳造して鋳塊を得る第2の工程と、この鋳塊を熱間加工して表面を除去する第3の工程と、この熱間加工体に冷間加工と熱処理を施す第4の工程とを備える。
【0012】
この発明の電気抵抗素子用素材の製造方法において、製造工程が上記の第4の工程の冷間加工で完了するのが好ましい。
【0013】
また、この発明の好ましい電気抵抗素子用素材の製造方法においては、上記の第4の工程における冷間加工の加工度が75%以上である。
【0014】
さらに、この発明のより好ましい電気抵抗素子用素材の製造方法においては、上記の冷間加工が伸線加工を含む。
【0015】
【発明の実施の形態】
上記の目的を達成するための本発明の電気抵抗素子用素材の第1の特徴は、ニッケルを20質量%以上60質量%以下、鉄を5質量%未満含み、残部が不可避的不純物とコバルトを含む組成を有することである。
【0016】
本発明の対象とする各種ヒータには、通常、急速に昇温後一定の温度を保ち続けること、すなわち速熱性と温度の飽和が求められる。これらの特性を得るためには、素材の抵抗比(ある温度での電気抵抗値の室温での電気抵抗値に対する比率)が高いことが必要である。したがって、上記の抵抗比が高い素材を使用すると、良好な速熱性を保持しつつ、自己温度制御機能がよく働くグロープラグや各種ヒータに有用な電気抵抗素子を得ることができる。
【0017】
また、ヒータでは、高温での耐食性や耐酸化性および種々の素子形状への加工の容易さも必要な特性とされる。
【0018】
従来、金属のヒータ素材は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)の鉄族金属を主成分とする金属材料が使用されてきた。これらの金属を上述のような特性の観点から見ると、鉄は、室温から温度750℃付近までの昇温による抵抗比の増加が大きく、冷間での加工性もよい。しかし、上記3種類の金属の中で鉄は高温での耐食性と耐酸化性の点で劣る。ニッケルは、加工性や耐食性、耐酸化性の点では優れている。しかし、ニッケルは、抵抗比の増加がその磁気変態点361℃までは比較的大きいものの、その温度を過ぎると抵抗比の増加が急激に小さくなる。一方、コバルトは、ニッケルに比べて磁気変態点がかなり高いため、温度900℃付近まで抵抗比の増加が大きい。しかし、コバルトは、その結晶構造が六方晶であるため、加工が困難である。
【0019】
本発明の第1の特徴で規定される組成は、速熱性や自己温度制御機能をある程度のレベルに維持しつつ、特に高温での耐食性と耐酸化性、冷間での加工性の改善に主眼を置いて定められたものである。
【0020】
これらの必要な特性のうち、加工性は、合金の結晶構造を加工が容易な立方晶に変えることによって改善することができる。本発明の第1の特徴に従った組成を有する素材では結晶構造が立方晶となり、加工性を大幅に改善することができる。
【0021】
本発明の第1の特徴で規定される成分のうち、ニッケルの含有量が20質量%未満では加工性が低下し、冷間での細線や複雑な形状への加工ができなくなる。
一方、上記の組成領域であれば、素材の結晶構造は立方晶であるため、加工性がよく、冷間での細線(直径が数百μm以下)や複雑な形状への加工が容易になる。
【0022】
また、ニッケルの含有量が60質量%を超え、鉄の含有量が5質量%以上になると、耐食性と耐酸化性が低下するとともに、抵抗比が小さくなり、速熱性と自己温度制御機能が両立できないので好ましくない。
【0023】
さらに、上記の範囲内の組成領域であれば、通常のコバルト−鉄系材料で見られるような昇温途上での相変態による急激な体積変化がなく、それによる素子の損傷を未然に防ぐことができる。
【0024】
本発明の素材の第2の特徴は、上記の第1の特徴に加え、さらに素材中のニッケルの含有量をx質量%、鉄の含有量をy質量%としたときに、x+7y≦70の関係を満たすことである。
【0025】
図1に本発明の素材の第1の特徴に従った組成領域と、第2の特徴に従った組成領域の関係を示す。図1において縦軸は鉄の含有量、横軸はニッケルの含有量を示す。なお、縦軸と横軸のスケールは同じではない。図1において、矩形ABCDの4辺で囲まれた部分が第1の組成領域、五角形ABEFDの5辺で囲まれた部分が第2の組成領域に相当する。ただし、いずれの組成領域においても、線分CD上は含まない。各点を(鉄の質量%の値、ニッケルの質量%の値)で表わした座標は、A(20,0)、B(60,0)、C(60,5)、D(20,5)、E(60,1.43)、F(35,5)である。
【0026】
特開昭58−83124号公報には、鉄を10重量%以上含有する予熱栓用加熱抵抗体の材料が開示されているが、上述のようにこの材料は耐食性と耐酸化性の点で問題がある。これに対して、本発明の素材の第2の特徴に従った組成領域では、良好な耐酸化性と耐食性を備えたものが得られる。すなわち、鉄の含有量が少ない組成とすることによって良好な耐食性と耐酸化性を得るとともに、これを補完し、加工性を維持するために鉄に代えてニッケルの含有量を増やしている。鉄はニッケルに比べて少量の添加で加工性の改善が見られ、添加による加工性の改善の程度と抵抗温度係数が低下する副作用の効果も鉄はニッケルに勝るが、鉄の添加により耐食性と耐酸化性が劣化していく。本発明の第2の特徴に従った組成領域では、加工性が許容の範囲で抵抗温度係数が大きく、かつ、その変化が温度に対して滑らかであり、特に良好な耐酸化性と耐食性を得ることができる。このことは、素材表面からの劣化の進行が遅いということを意味し、コンパクトな機器に電気抵抗素子を内蔵するために細線化や薄板化を行なっても酸化による電気抵抗値の増加といった劣化の進行が遅いので、電気抵抗素子を備えた機器に十分な寿命を与えることができる。
【0027】
以上に述べた本発明の電気抵抗素子用素材の組成と機能との関係をまとめて、図1によって説明すれば、以下のようになる。すなわち、四角形ABCDの4辺で囲まれた部分は、速熱性と耐久性と加工性ともに良好な本発明の組成領域であり、五角形ABEFDの5辺で囲まれた部分(第2の領域)は、速熱性と耐久性が特に優れた領域である。また、三角形CEFの3辺で囲まれた部分は、速熱性と耐久性ともに第2の領域に比べて劣る領域である。
【0028】
本発明の電気抵抗素子用素材の第3の特徴は、以上の第1、第2の特徴に加えてさらに電気抵抗素子用素材中の不可避的不純物の含有量が、炭素のみで、およびシリコン、チタン、マンガン、クロム、アルミニウム、硼素およびビスマスの合計で、いずれも0.1質量%以下に制御されたものである。これらの不可避的不純物の含有量が0.1質量%を超えると、素材の加工性の低下を招きやすい。
【0029】
また、本発明の電気抵抗素子用素材の第4の特徴は、上記の基本組成に加えて、バナジウムとタングステンをそれぞれ3質量%以下さらに含むか、またはモリブデンを8質量%以下、さらに含むことである。これによって、この含有量の範囲内であれば、上記の基本組成物での速熱性と自己温度制御機能を維持しつつ、より一層の高温強度、クリープ特性といった耐熱性や耐食性、耐酸化性を素材に付与することができる。
【0030】
本発明の電気抵抗素子用素材は、室温での電気抵抗値ρ(RT)と温度1000℃での電気抵抗値ρ(1000)の比ρ(1000)/ρ(RT)が7以上12以下であることを特徴とし、抵抗温度係数が室温から単調に増加することが好ましい。この抵抗比が7未満であると、素材の自己温度制御機能がうまく働かない。12を超える抵抗比の値は、コバルトが高濃度のコバルト−ニッケル系合金、コバルト−鉄系合金、あるいは鉄の含有量が6質量%以上のコバルト−鉄系合金で鉄の添加量を増やすことにより相変態時に急激に抵抗温度係数が増加することを利用した合金で得られる。しかしながら、前者の合金は冷間加工が著しく困難である。後者の合金は鉄の含有量が多いため耐食性と耐酸化性に劣る。また、抵抗比が12を超える素材は自己温度制御機能を有していることはいうまでもないが、本発明の抵抗比の範囲内であっても十分に自己温度制御機能を発揮することが可能である。したがって、本発明に従えば、耐食性と耐酸化性に優れ、自己温度制御機能を発揮することが可能な抵抗比を有する素材を得ることができる。
【0031】
また、自己温度制御機能をさらに有効に機能させるためには、制御したい温度までの抵抗温度係数が単調増加した方が望ましく、このような抵抗温度係数を得るためには、1000℃までの温度範囲であれば、必要とする温度に応じてニッケル、鉄、バナジウム、タングステン、モリブデンの含有量を本発明の範囲内で調節すればよい。
【0032】
本発明の電気抵抗素子用素材は加工性に優れており、必要とする直径や厚みまで加工することが容易である。また、本発明の素材は素材の靭性を回復するための熱処理回数が少なくてすむという特徴を有している。さらに、本発明の素材は冷間加工したままの状態で靭性が損なわれることがないため、線材に加工したものは冷間加工したままの状態でコイル形状に成形することができる。本発明の素材をコイル形状に成形するためには冷間加工したままの加工硬化した線材を用いた方が、熱処理を加えた素材に比べて矯正ローラや治具によるコイル成形性に優れるため、良好な生産性を期待することができる。
【0033】
本発明に従った電気抵抗素子用素材の製造方法は、熱間加工後または焼鈍後の冷間加工度が好ましくは75%以上を特徴としている。この特徴により、素材を鋳造後、所定の大きさ、たとえば直径まで加工する際の熱処理回数が少なくてすみ、加工可能な冷間加工度が大きいため、連続伸線機を使用することができるので安価に素材を加工することができる。また、上記の特徴は、冷間加工度の大小によって耐食性と耐酸化性に差異が現われることを見出したことに基づくものである。すなわち、冷間加工度が75%以上で加工された素材は、75%未満で加工されたものに比べて耐酸化性に優れていることを見出した。素材の再結晶が進行しない低温では酸化の進行も遅いため、耐酸化性と加工度との関係は認められないが、本発明の素材が主に使用されると思われる高温で素材が再結晶する温度領域においては、耐酸化性と加工度との関係が明確になってくる。このことは、冷間加工度の大小により再結晶挙動が異なり、結晶粒度に差異が生じたため、表面への拡散速度に差異が現われ、耐酸化性に影響を与えたものと推定される。本発明は、良好な耐食性と耐酸化性を得ることを狙い、鉄の含有量を制限しているが、冷間加工度を最適化することによって、さらに良好な耐食性と耐酸化性を得ることができる。その結果、本発明の素材を使用した電気抵抗素子の長寿命化が可能となる。
【0034】
上述のように通電昇温時の速熱性と電流制御機能を高めるためには、抵抗比は大きい方が望ましい。しかしながら、耐食性、耐酸化性および加工性を重視した本発明の組成範囲内では、通常、抵抗比の値が12を超えることはまれである。
因みに、特開昭58−83124号公報や特開平2−133901号公報に開示された組成物であれば、抵抗比が12を超えるものも得られるが、このような組成物は、主にニッケルの含有量と鉄の含有量の違いから、本発明の素材に比べて耐食性と耐酸化性で劣る。本発明では、素材に速熱性と温度制御機能が十分に付与されているため、電気抵抗素子の実用設計の自由度が増し、さらに本発明の素材には良好な耐酸化性と耐食性とが備えられているため、高性能で信頼性の高い電気抵抗素子を提供することが可能となる。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す化学組成を有する試料No.1〜12について、各成分が所定の含有量になるように秤量した素材を誘導炉で真空雰囲気下で溶解し、直径25mmの鋳型に鋳造して鋳塊を得た。鋳造時の表面欠陥を除去する目的で鋳塊の表面を切削した後、熱間鍛造を行なうことによって直径10mmの線材を得た。次に、この線材に温度900℃で1時間の熱処理を施した後、冷間伸線と熱処理を繰返し行なうことによって、加工不可能な試料を除き、直径0.3mmの線に加工した。試料No.10については市販のニッケル線を用いた。試料No.8については市販の鋼線にニッケルめっきを施した線を用いた。なお、表1において試料No.2−1と試料No.2−2は同じ化学組成を有し、熱処理時の線材の直径を調節して、最終直径までの冷間加工度を変えたものである。冷間加工度は、試料No.2−1では70%、試料No.2−2では85%であった。
【0036】
このようにして得られた加工可能であった各試料の温度1000℃での電気抵抗値と室温での電気抵抗値との比(抵抗比)と、温度に対する抵抗温度係数の傾向と、冷間加工での限界加工度と、耐酸化性を評価した。結果を表1に示す。また、これらの試料の抵抗比の温度に対する変化を図2に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004552302
【0038】
表1において、「抵抗温度係数」が「○」であるものは室温から温度800℃まで抵抗温度係数が単調増加したことを示し、「×」であるものは室温から温度800℃まで抵抗温度係数が単調増加しなかったことを示す。また「不純物」は不可避的不純物として炭素、シリコン、チタン、マンガン、クロム、アルミニウム、硼素およびビスマスの合計の含有量を示す。耐酸化性が「5」であるものは耐酸化性が非常に優れているものを示し、「4」は優れているものを、「3」は良いものを、「2」はやや劣るものを、「1」は劣るものを示す。なお、耐酸化性の評価は、各試料を大気雰囲気中で温度900℃で50時間保持した後で行なわれた。
【0039】
表1と図2から、本発明に従った試料No.1〜7は加工性が良好で高温と室温での抵抗比が大きく、かつ耐酸化性が良好な素材であることがわかる。
【0040】
(実施例2)
実施例1で得られたいくつかの試料を直径0.1mm以下の線に加工後コイル状にして、絶縁材料としてのマグネシアとともに、SUS316のパイプ内に充填することにより、局部加熱ヒータを作製した。このヒータに直流電圧5Vを印加して通電し、通電開始から温度500℃に到達するまでの時間(500℃到達時間)を測定した。また、直流電圧5Vで10秒間通電加熱した後、10秒間電流を遮断するヒートサイクル試験を10万サイクル繰返すことによって耐久試験を行なった。これらの測定結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0004552302
【0042】
表2において「定常温度」とは、通電後温度が一定となる温度を示す。「耐久試験」については、上記のヒートサイクル試験を行なった結果、試料の全数が断線しなかったものを「○」、試料の一部が断線したものを「△」、試料の全数が断線したものを「×」で示す。
【0043】
表2から、本発明に従った素材を使用すると、速熱性と耐酸化性を兼ね備えた極小ヒータを作製することが可能であり、本発明の素材は、通電−遮断サイクルが頻繁に行なわれる、たとえば電子部品の接続などに利用可能であることがわかる。
【0044】
以上に開示された実施の形態や実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものであると意図される。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、速熱性、自己温度制御機能、耐食性、耐酸化性および加工性に優れた電気抵抗素子用素材を提供することができ、電気抵抗素子の実用設計の自由度が増し、高性能で長寿命で信頼性の高い電気抵抗素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った電気抵抗素子用素材の組成領域を示す図である。
【図2】 本発明の実施例で得られた試料の温度に対する抵抗比の変化を示す図である。

Claims (8)

  1. ニッケルを20質量%以上60質量%以下、鉄を5質量%未満含み、残部が不可避的不純物とコバルトからなり、
    前記ニッケルと鉄の含有量が、質量%単位でそれぞれxとyであるとき、x+7y≦70の関係を満たし、
    前記不可避的不純物の含有量として、炭素のみを0.1質量%以下、かつシリコン、チタン、マンガン、クロム、アルミニウム、硼素およびビスマスの合計を0.1質量%以下含み、
    当該電気抵抗素子用素材の室温での電気抵抗値をρ(RT)、当該電気抵抗素子用素材の温度1000℃での電気抵抗値をρ(1000)としたとき、それらの比ρ(1000)/ρ(RT)が7以上12以下であり、
    結晶構造が立方晶であり、グロープラグ用である、電気抵抗素子用素材。
  2. バナジウムとタングステンをそれぞれ3質量%以下、モリブデンを8質量%以下さらに含む、請求項1に記載の電気抵抗素子用素材。
  3. 請求項1または2に記載の素材を用いた電気抵抗素子。
  4. 前記素材をコイル状にして使用する、請求項3に記載の電気抵抗素子。
  5. ニッケルを20質量%以上60質量%以下、鉄を5質量%未満含み、残部が不可避的不純物とコバルトからなる組成物を準備する第1の工程と、
    前記組成物を溶解、鋳造して鋳塊を得る第2の工程と、
    前記鋳塊を熱間加工して表面を除去する第3の工程と、
    前記熱間加工体に冷間加工と熱処理を施す第4の工程とを備える、電気抵抗素子用素材の製造方法。
  6. 製造工程が前記第4の工程の冷間加工で完了する、請求項5に記載の電気抵抗素子用素材の製造方法。
  7. 前記第4の工程における冷間加工の加工度が75%以上である、請求項5に記載の電気抵抗素子用素材の製造方法。
  8. 前記第4の工程において冷間加工が伸線加工を含む、請求項5に記載の電気抵抗素子用素材の製造方法。
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