JP2003226938A - 冷間鍛造性と電気伝導性に優れた電気部品用鋼材および電気伝導性に優れた電気部品並びにその製造方法 - Google Patents

冷間鍛造性と電気伝導性に優れた電気部品用鋼材および電気伝導性に優れた電気部品並びにその製造方法

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JP2003226938A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法精度の良好な冷間鍛造が行えるととも
に、優れた電気伝導性を確保することのできる電気部品
用鋼材を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.02%以下(0%を
含む)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、M
n:0.1〜0.5%、P:0.02%以下(0%を含
む)、S:0.02%以下(0%を含む)、Al:0.
01%以下(0%を含む)、N:0.005%以下(0
%を含む)、O:0.02%以下(0%を含む)を満た
すようにし、金属組織がフェライト単相組織となるよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や電車、船
舶用などを対象とする各種電装部品に使用される電気部
品、およびその原材料である電気部品用鋼材、並びに電
気部品の製造方法に関するものであり、特に成形加工時
において高歩留まりで寸法精度に優れた部品を得ること
ができ(以下、この特性を単に「冷間鍛造性」というこ
とがある)、かつ良好な電気伝導性を確保することので
きる電気部品用鋼材、および該鋼材を用いて得られる電
気伝導性に優れた電気部品、並びにこれら電気部品用鋼
材および電気部品の製造に有用な方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電気部品用材料には、その特性として、
製品の省電力化・小型化を図るべく、通電時のエネルギ
ー損失が小さく、かつジュール発熱の小さいことが要求
される。従って直流用電気部品等に用いられる材料に
は、電気抵抗が低く電気伝導性に優れていることが求め
られる。
【0003】電気伝導性を有する材料として、銅、ニッ
ケルまたはC量が0.05%以下の極低炭素鋼等が挙げ
られ、特に電気伝導性を重視する場合は銅が使用され、
耐食性を重視する場合はニッケル材が使用されるなど用
途に応じて材料が選択される。
【0004】ところで近年は、製造コストの低減を背景
とした部品構造の簡素化に伴い、電装部品に対し、特性
として電気伝導性とともに好適な剛性も兼ね備えている
ことが要求されつつある。
【0005】この様に、電装部品としてはある程度高い
強度を確保して剛性を高めることが必要であるが、一方
で強度が高すぎると、製造コスト低減の一手段として切
削加工にかわり冷間鍛造により部品成形を行うときに、
変形抵抗が大きすぎて良好に冷間鍛造を行えないといっ
た問題がある。
【0006】電気伝導性および電装部品の強度を確保で
きるほどの剛性の両特性を実現するには、銅を用いた場
合、他の構造材料との複合が必要となるので、製造工程
が複雑となり、製造コストの増加や製品の十分な小型化
を図ることができないといった問題が生じる。またニッ
ケル材を用いた場合は、適度の剛性は確保できるものの
コストが高くなるといったことが懸念される。
【0007】また電装部品には、ジュール熱を速やかに
部品の外部に伝達し、温度上昇を抑制するための、優れ
た熱伝導特性も兼備していることが要求される。図1
は、電気抵抗率と熱伝導度の関係を調べたものである
が、この図1に示されるように熱伝導度と電気抵抗率と
の間には相関関係があり、電気抵抗率の低い材料ほど熱
伝導度が高く、熱伝導性に優れる傾向を示すが、電気抵
抗率が約11μΩcmを超えるとその改善効果が低くな
るため、電気伝導性と熱伝導性を実用レベルで両立させ
るには、電気抵抗率を11μΩcm以下とする必要があ
る。即ち、熱伝導性を高めるためにも、電気伝導性をよ
り向上させる必要がある。
【0008】ところで電気伝導性に優れた鋼材は、表面
処理における被膜−基材の密着性向上や、該被膜の基材
熱伸縮への追従性向上といった技術の向上に伴い、鋼材
に被覆された被膜のクラック・ボイド等を抑制してさび
の発生を防止できることから、耐食性の要求される分野
においても適用されるなど要望はますます高まってい
る。
【0009】この様な電装部品に用いる鋼材に関する技
術として、例えば特許第2910288号には、ひずみ
時効硬化の原因となるCやNの低減をはじめ、合金成分
や圧延条件を調整することによって、変形抵抗の増加を
抑え、且つ優れた磁気特性を得る技術が提案されてい
る。しかしこの技術は、冷間鍛造時の工具寿命と磁気特
性に主眼を置いてなされたものであって、電気部品とし
て必要な良好な電気伝導性と好適な剛性の両特性を確保
するには更なる改善を要するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な事
情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電気伝
導性に優れ、かつ冷間鍛造において精度よく高歩留まり
で加工することのできる電気部品用鋼材と、この様な鋼
材を用いて得られる電気伝導性に優れた電気部品、更に
はこれらの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る冷間鍛造性
と電気伝導性に優れた電気部品用鋼材とは、質量%で、
C:0.02%以下(0%を含む)、Si:0.1%以
下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%、P:
0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下
(0%を含む)、Al:0.01%以下(0%を含
む)、N:0.005%以下(0%を含む)、O:0.
02%以下(0%を含む)を満たし、金属組織がフェラ
イト単相組織であるところに要旨を有する。
【0012】この様な鋼材を得るにあたっては、熱間圧
延に際して1000〜1200℃に加熱し、仕上げ圧延
を850℃以上で行った後、800〜500℃間の冷却
を平均冷却速度0.5〜10℃/secで行うのがよ
い。
【0013】更に本発明は、この様な鋼材を用いて得ら
れる電気伝導性に優れた電気部品も規定するものであっ
て、該電気部品は、C:0.02%以下(0%を含
む)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:
0.1〜0.5%、P:0.02%以下(0%を含
む)、S:0.02%以下(0%を含む)、Al:0.
01%以下(0%を含む)、N:0.005%以下(0
%を含む)、O:0.02%以下(0%を含む)を満た
し、金属組織が平均結晶粒径100μm以上のフェライ
ト単相組織であるところに要旨を有する。
【0014】またその製造方法は、前記鋼材を用いて所
定の部品形状に成形加工後、850〜950℃で2時間
以上焼鈍するところに特徴を有し、該焼鈍前に加工ひず
みが0.15以上の冷間加工または熱間加工を行うこと
を好ましい実施形態とする。
【0015】尚、前記「0%を含む」とは、0%の場合
を排除しないことを示し、前記「フェライトの平均結晶
粒径」とは、フェライト結晶粒の短径と長径の平均値を
いうものとする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前述した様な状況
の下で、成形加工時には優れた冷間鍛造性を発揮し、か
つ良好な電気伝導性を確保することのできる電気部品用
鋼材、およびこの様な鋼材を用いて得られる電気伝導性
に優れた電気部品の実現を目指し、化学成分組成や金属
組織の影響など様々な角度から検討を行った。その結
果、本発明で規定する成分組成とし、かつ金属組織を本
発明で規定するフェライト単相組織とすれば、電気伝導
度を高めることができ、更に成形加工時には変形抵抗を
大幅に低減して寸法精度の良好な冷間鍛造を行うことが
できることを見出し、上記本発明に想到した。以下、本
発明で金属組織および化学成分組成を規定した理由につ
いて詳述する。
【0017】金属材料の電気伝導度は自由電子(伝導電
子)の散乱状態と相関があり、材料固有の要因(電子−
電子相互作用、電子−フォノン相互作用)に加え、結晶
粒界、析出物および格子欠陥といった製造条件により決
定される構造要因に大きく影響を受け、析出物は粒界に
偏析し易く、また粒界では結晶方位が乱れることから自
由電子が散乱され易くなる。このため、金属組織におけ
る結晶粒界が多く存在すると、電気抵抗が増加し易いの
である。
【0018】本発明者らは、電気伝導性を向上すべく粒
界を減少させるにあたっては、フェライトの平均結晶粒
径を100μm以上とする必要があることを見出した。
平均結晶粒径が100μm未満の場合には、上述の通
り、電気抵抗が増加し易いことから、良好な電気伝導性
を発揮させることができないのである。前記フェライト
の平均結晶粒径は、好ましくは130μm以上である。
尚、熱処理時間(製造コスト)を費やして前記フェライ
トの平均結晶粒径が大きくしすぎても電気伝導性向上効
果は飽和するだけであるので、約250μm以下に留め
るようにする。
【0019】尚、フェライト単相組織とするにあたって
は、パーライトの生成を抑制するため、鋼材中の炭素量
を極めて少なくするのが有効である。
【0020】次に化学成分組成が電気伝導性および機械
的特性に及ぼす影響について調べた。その結果、化学成
分については、電気抵抗を増加させるC、Si、Mn、
P等の化学成分を必要最小限に抑制することが有効であ
ることを見出した。
【0021】C:0.02%以下(0%を含む) C(炭素)は鋼材の強度と延性のバランスを支配する基
本元素であり、添加量を低減するほど強度は低下し、延
性は向上する。
【0022】Cは、鋼中に固溶してひずみ時効硬化を生
じさせるので、変形抵抗の増大を抑制して冷間鍛造性を
向上させるには、C量が極力少ないほうが望ましい。図
2は、鋼中の炭素量が電気伝導度と変形抵抗値に及ぼす
影響を調べたものであり、実験は、鋼中炭素量の異なる
5試料につき、直流400mAの電流を流したときの抵
抗値から電気伝導度を測定し、円柱試料の端面拘束圧縮
試験から変形抵抗値を測定したものである。この図2か
ら分かるように、良好な電気特性を確保する観点からC
量は少ない方がよく、工業用Ni材と同等以上の電気特
性を満足し、かつ上述した様に良好な熱伝導性を確保す
るにあたっては、電気抵抗率を11μΩcm以下にして
電気伝導性を高めるのがよいことから、本発明では炭素
含有量を0.02%以下に抑えるようにした。好ましく
は0.01%以下である。
【0023】Si:0.1%以下(0%を含まない) Siは鋼の溶製時に脱酸剤として作用し、酸素による電
気抵抗率の上昇を抑制するが、含有量が多過ぎると冷間
鍛造性を阻害する。従って本発明では、部品成形時の冷
間鍛造性を確保する観点から、Si含有量の上限を0.
1%とした。より好ましくは、0.05%以下である。
【0024】Mn:0.1〜0.5% Mnは脱酸剤として有効に作用するとともに、鋼中のS
と結合してMnSを形成することにより、Sによる脆化
を抑制する。この様な効果を有効に発揮させるにはMn
を0.1%以上、好ましくは0.2%以上含有させるの
がよい。しかしMn量が多過ぎると、析出するMnSの
粒径が大きくなって電気抵抗率が上昇するため、0.5
%を上限とする。好ましくは0.3%以下である。
【0025】P:0.02%以下(0%を含む) P(リン)は、鋼中で粒界偏析を起こして冷間鍛造性や
電気特性に悪影響を及ぼす有害元素である。従って本発
明では、Pの含有量を0.02%以下、好ましくは0.
01%以下とする必要があり、この様にP量を制限する
ことで、優れた冷間鍛造性および電気特性を保証するこ
とができる。
【0026】S:0.02%以下(0%を含む) S(硫黄)は、上記の様に鋼中でMnSを形成し、S量
が多くなり過ぎると多量にMnSが析出して冷間鍛造性
と電気伝導性を著しく劣化させるので、0.02%以
下、好ましくは0.01%以下に抑える。
【0027】Al:0.01%以下(0%を含む) Alは、固溶Nを捕捉しAlNとなって結晶粒の微細化を
促進させる。その結果、結晶粒界を増加させることとな
り電気抵抗の増大を招く。従って、本発明ではAl量を
0.01%以下、好ましくは0.005%以下に抑える
ようにする。
【0028】N:0.005%以下(0%を含む) 上記の様にN(窒素)は、Alと結合しAlNを形成し
て電気特性を害するが、それに加え、Alなどにより固
定されなかったNは固溶Nとして鋼中に残存し、これも
電気抵抗の増大を招く。また固溶Nは、ひずみ時効によ
る変形抵抗の増加を引き起こす原因にもなる。よって、
何れにしてもN量は極力少なく抑えるべきであるが、鋼
材製造の実操業面も考慮し、且つ前記弊害を実質的に無
視し得る程度に抑えることのできる0.005%を上限
値として定めた。
【0029】O:0.02%以下(0%を含む) O(酸素)は常温では鋼に殆ど固溶せず、AlやSiな
どの元素と結合して硬質の酸化物系介在物となり、電気
抵抗を大幅に増加させることとなる。ゆえにO含有量は
極力低減すべきものであり、0.02%以下に抑える必
要がある。O含有量は0.01%以下に低減するのが好
ましく、より好ましくは0.005%以下にするのがよ
い。
【0030】またCu、Ni、Cr、Tiについては、
鋼中にこれらの元素の析出物が生じると電気抵抗の大幅
な増加を招くため、それぞれCuを0.02%以下、N
iを0.02以下、Crを0.05%以下、Tiを0.
01%以下とすることが望ましい。
【0031】本発明で規定する元素は上記の通りであ
り、残部成分は実質的にFeであるが、該鋼材中に、上
記説明したものの他、原料、資材、製造設備等の状況に
よって持ち込まれる不可避的不純物、更には、本発明の
課題達成に悪影響を与えないAs等の許容元素が含まれ
る場合も、本発明で用いる鋼材または鋼部品に包含され
る。
【0032】本発明に係る電気部品用鋼材の製造に際し
ては、上記化学成分の要件を満たす鋼材を常法により溶
融してから鋳造すればよいが、冷間鍛造性に優れ、且つ
焼鈍後の状態で良好な電気伝導性を得るには、1000
〜1200℃に加熱して熱間圧延し、850℃以上の仕
上げ温度で圧延を終了した後、800〜500℃の温度
域を0.5℃/sec以上、10℃/sec以下の平均
冷却速度で冷却することが極めて有効となる。以下、こ
れらの条件を定めた理由を説明する。
【0033】<熱間圧延に際しての加熱温度>合金成分
を母相に完全に固溶させるため、加熱温度はできるだけ
高温である方が望ましい。図3は、本発明の成分組成を
満たす鋼材を用い、加熱温度:850〜1100℃の範
囲内で変化させて加熱した後、熱間圧延を行ったときの
割れ発生率を測定したものである。この図3から明らか
なように、加熱温度が低過ぎると異相が局所的に生成し
て圧延時の割れ発生を招く危険性があり、しかも、低温
側では圧延時のロール負荷が上昇して生産性の低下を招
くことにもなる。従って加熱温度は1000℃以上、好
ましくは1100℃以上に設定するのがよい。一方、該
加熱温度が高すぎるとフェライト結晶粒の粗大化が顕著
となり、部品成形時の冷間鍛造性の低下を招くので、1
200℃以下、好ましくは約1150℃以下に抑えるの
がよい。
【0034】<仕上げ圧延温度>仕上げ圧延温度が低過
ぎると、微細に析出するMnSの粒径および密度に偏り
が生じ易くなる。従って、MnSを微細かつ均一に析出
させて電気特性への影響を極力抑制するには、仕上げ圧
延を850℃以上、好ましくは900℃以上で行うのが
よい。
【0035】<熱間圧延後の800〜500℃温度域の
冷却速度>熱間圧延後の冷却速度が速すぎると原子空孔
の増加をもたらし、焼鈍後において所望の電気特性が得
られ難くなる。よって800〜500℃の温度域の冷却
速度を10℃/sec以下、好ましくは5℃/sec以
下とするのがよい。一方、該温度域の冷却速度が遅過ぎ
ると生産性が低下する他、析出物であるMnSが粗大化
するので、0.5℃/sec以上、好ましくは1.0℃
/sec以上とする。
【0036】なお、冷却速度を制御する温度域を800
〜500℃の範囲と定めたのは、800℃を超える温度
域では、フェライト相への変態が進まないため、金属組
織への影響がほとんどなく、また500℃未満の温度で
は、フェライト相への変態がほぼ完了するからである。
【0037】<焼鈍条件>かくして得られる電気部品用
鋼材を用いて電気部品を製造するに当たっては、該鋼材
を冷間鍛造したのち焼鈍に付されるが、上記電気部品用
鋼材の特長を活かして優れた電気伝導性を発揮する部品
とするには、焼鈍を850℃以上950℃以下の温度域
で2時間以上行うのがよい。
【0038】図4は、焼鈍時間と焼鈍温度がフェライト
平均結晶粒径に及ぼす影響を調べたものであり、実験
は、化学成分組成がC:0.004%、Si:0.00
5%、Mn:0.22%、P:0.007%、S:0.
007%、Al:0.003%、Ti:0.002%を
満たす鋼材を用い、焼鈍温度:800〜950℃、焼鈍
時間:30分〜4時間の範囲内で変化させて焼鈍を行っ
ている。
【0039】この図4から明らかなように、850℃未
満では所望のフェライト結晶粒径とするのに長時間を要
し、実用的でない。一方、過度に焼鈍温度を高めても、
所望のフェライト結晶粒径とする効果は殆ど変わらない
ので、焼鈍温度範囲を850℃以上で950℃以下とし
た。
【0040】また焼鈍時間が短すぎると、焼鈍温度を高
めに設定したとしても焼鈍時間不足でフェライト結晶粒
を十分に粗大化させることができないので、少なくとも
2時間、好ましくは3時間以上焼鈍するのがよく、長す
ぎても所望のフェライト粒径とする効果はほとんど変わ
らないことから、6時間以下に抑えるのがよい。
【0041】前記焼鈍に際しては、加工ひずみが0.1
5以上の冷間加工または温間加工を施すことによって、
焼鈍を行ったときに結晶粒成長が顕著となり、電気伝導
性を一層向上させることができるので望ましい。
【0042】図5は、焼鈍前の冷間加工ひずみ量が電気
抵抗率に及ぼす影響を調べたものであり、加工ひずみ量
を0〜2.2の間で変化させた試料を作成し、該試料の
変形抵抗率を円柱試料(高さ/外径=1.5)の端面拘
束圧縮試験(圧縮率:80%)により測定したものであ
る。この図5に示される通り、加工ひずみが0.15以
上の加工を焼鈍前に行うことによって、より電気抵抗率
を低減、即ち、電気伝導度をより高めることができるの
である。より好ましくは0.2以上の加工ひずみを加え
るようにする。尚、図5は、冷間加工を行って加工ひず
みを加えた場合の結果であるが、焼鈍前に温間加工を行
った場合にも同様の効果が見られた。
【0043】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0044】表1に示す化学成分の供試鋼材を溶製し、
鋳造した後、表2に示す条件で熱間圧延を行い、直径1
0mmの線材を得た。得られた線材から採取した試料に8
50℃で3時間の焼鈍を施した後、該試料の金属組織を
観察した。また、前記線材を伸線加工して得た鋼線につ
いて、冷間鍛造性と焼鈍後の電気特性を調べた。
【0045】金属組織の観察は次の方法で行った。即
ち、線材の横断面を露出させた状態で支持基材内に埋め
込み、研磨後、5%のピクリン酸アルコール液に15〜
30秒間浸漬して腐食させた後、光学顕微鏡によりD/
4(D:線材の直径)部位の組織を100〜400倍で
10視野を写真撮影し、該写真からフェライト平均結晶
粒径を求めた。
【0046】一方、冷間鍛造後の部品の寸法精度は、変
形抵抗と相関が強いことから、冷間鍛造性は、端面拘束
圧縮時の変形抵抗値をもって評価した。変形抵抗の測定
には、直径10mm×高さ15mmの前記鋼線試料を用い、
常温での端面拘束圧縮における80%圧縮時(ひずみ速
度10/s)の荷重から求めた。本発明ではこの変形抵抗
が500N/mm2以下の場合を○、500N/mm2
超える場合を×とした。
【0047】電気特性として電気抵抗率を、通電法にて
通電電流と発生電圧を測定した後、通電電流と発生電圧
の比から算出した。尚、通電試験に際しては、電極の接
続長さを線径の10倍、電圧端子間距離を線径の20倍
とし、通電方向を正逆2通り実施することによって、接
触抵抗や偏流、熱起電力などの影響を除去した。本発明
では、電気抵抗率が11μΩcm以下の場合を電気伝導
性が良好であるとして○、電気抵抗率が11μΩcmを
超える場合を電気伝導性が好ましくないとして×と評価
した。
【0048】表2に各試料の金属組織、変形抵抗および
電気抵抗の測定結果を併せて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表2から次のように考察することができ
る。尚、以下のNo.は表2における実験No.を示
す。
【0052】No.1〜5は、本発明で規定する化学成
分組成および金属組織を満足するものであり、いずれも
工業用Ni材と同等以上の電気伝導性を有し、且つ優れ
た冷間鍛造性も兼備していることがわかる。
【0053】これに対し、No.6〜17は、本発明で
規定する化学成分を外れるか、または本発明で規定する
方法で製造を行わなかったものであり、伸線時に割れが
生じたり、所望の電気伝導性が得られなかったり、ある
いは変形抵抗の低減効果が十分でない等の不具合が生じ
た。
【0054】No.6〜9は、鋼材の化学成分組成が要
件を満足するものであるが、本発明で規定する条件で製
造を行わなかったため、上記不具合が生じたものと考え
られる。即ち、No.6では焼鈍温度が低すぎたため、
焼鈍での再結晶が十分に進まず電気伝導性を低下させる
結果となった。No.7では、焼鈍時間が短いため、焼
鈍にて再結晶が十分に進まず、粒界面積の多い組織とな
り、電気伝導性を低下させる結果となった。またNo.
8では、圧延時の冷却過程におけるフェライトの粒成長
が十分進まず、焼鈍後においても粒界面積が多くなり、
電気伝導性が低下する結果となった。No.9からは、
焼鈍における再結晶を促進するには、焼鈍前に加工ひず
みが0.15以上の加工を行うのがよいことがわかる。
【0055】またNo.10〜17は、本発明で規定す
る条件で製造を行ったものであるが、鋼材の化学成分組
成が本発明で規定する範囲を外れているため、上記不具
合が生じたものと考えられる。No.10は、C量が本
発明で規定する上限を超えて含有したものであるので、
電気伝導性が大幅に劣化する結果となった。No.11
は、Si量が上限を超えていることから、冷間鍛造性と
電気伝導性のどちらもが劣化する結果となった。No.
12は、Mnが本発明で規定する条件を超えて添加され
ており、生成したMnSがフェライト結晶粒の成長を抑
制し、また析出したMnSが伝導電子を散乱させるた
め、電気伝導性が低下したものと考えられる。No.1
3は、Pが過剰に含有され、粒界にPが偏析して結晶粒
の成長を抑制しているため、電気伝導性が劣化する結果
となった。No.14は、Sが過剰に含有されているこ
とから、析出するMnSが粗大化し、電気伝導性が劣化
することとなった。
【0056】No.15は、Alが本発明で規定する上
限を超えて含有しているため、多量のAlNが形成さ
れ、該AlNにより結晶粒の成長が抑制されて電気伝導
性が著しく低下することとなった。
【0057】No.16は、窒素が本発明で規定する上
限を超えて存在するため、ひずみ時効による変形抵抗の
増大に加え、電気伝導性も劣化することとなった。N
o.17は、酸素が本発明で規定する上限を超えて過剰
に存在するため、電気伝導性が劣化する結果となった。
【0058】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されており、
寸法精度の良好な冷間鍛造を行うことができるととも
に、優れた電気伝導性を確保することのできる電気部品
用鋼材、およびこの様な鋼材を用いて優れた電気伝導性
を発揮する電気部品が得られることとなり、Ni等コス
トのかかる材料を用いるものでないことから、自動車や
電車、船舶用などを対象とする各種電装部品を安価で提
供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気抵抗率と熱電導度の関係を調べたグラフで
ある。
【図2】鋼中の炭素量が電気伝導度と変形抵抗値に及ぼ
す影響を調べたグラフである。
【図3】熱間圧延に際しての加熱温度と熱間圧延時の割
れ発生率の関係を示すグラフである。
【図4】焼鈍時間と焼鈍温度がフェライト平均結晶粒径
に及ぼす影響を調べたグラフである。
【図5】加工ひずみ量が電気抵抗率に及ぼす影響を調べ
たグラフである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA01 AA04 AA16 AA21 AA26 AA27 AA29 CC04 CD02 CF03 CG00 CH05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で(以下同じ)、C :0.02
    %以下(0%を含む)、Si:0.1%以下(0%を含
    まない)、Mn:0.1〜0.5%、P :0.02%
    以下(0%を含む)、S :0.02%以下(0%を含
    む)、Al:0.01%以下(0%を含む)、N :
    0.005%以下(0%を含む)、O :0.02%以
    下(0%を含む)を満たし、金属組織がフェライト単相
    組織であることを特徴とする冷間鍛造性と電気伝導性に
    優れた電気部品用鋼材。
  2. 【請求項2】 C:0.02%以下(0%を含む)、S
    i:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜
    0.5%、P :0.02%以下(0%を含む)、S
    :0.02%以下(0%を含む)、Al:0.01%
    以下(0%を含む)、N :0.005%以下(0%を
    含む)、O :0.02%以下(0%を含む)を満た
    し、金属組織が平均結晶粒径100μm以上のフェライ
    ト単相組織であることを特徴とする電気伝導性に優れた
    電気部品。
  3. 【請求項3】 熱間圧延に際して1000〜1200℃
    に加熱し、仕上げ圧延を850℃以上で行った後、80
    0〜500℃間の冷却を平均冷却速度0.5〜10℃/
    secで行うことを特徴とする請求項1に記載の電気部
    品用鋼材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の鋼材を用い、所定の部
    品形状に成形加工後、850〜950℃で2時間以上焼
    鈍することを特徴とする請求項2に記載の電気部品の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記焼鈍前に加工ひずみが0.15以上
    の冷間加工または熱間加工を行う請求項4に記載の電気
    部品の製造方法。
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