明 細 書
技術分野
本発明は、 複数のアンテナ素子のアンテナ出力に重みを加えて指向性を適 応的に制御するァダプティブアレイアンテナ技術を用いる基地局装置に関す る。 背景技術
ァダプティブアレイアンテナ (以下、 「A A A」 と称することがある) を 用いる基地局装置 (以下、 「アレイアンテナ基地局装置」 と称することがあ る) は、 複数のアンテナ素子を備え、 各アンテナ素子にて受信される信号の 振幅と位相を調整することにより、 指向性を自由に設定する。 指向性は、 受 信信号又は送信信号に複素係数(以下、 この複素係数を「ウェイト」 という。) を乗算することにより形成される。
アレイアンテナ基地局装置は、 乗算するウェイトを調整することにより、 所望の方向から到来する信号のみを強く受信することができる。 これを、 「調 整可能な受信指向性を持つ」 という。 アレイアンテナ基地局装置は、 所望信 号を最適に受信する受信指向性を持つことにより、 各方向から到来する信号 の受信 S I R (S ignal to Inter ference Rat io) を高く保つことができる。 一方において、 移動体通信分野では、 周波数の再利用の観点から、 1つの 基地局がカバーする範囲 (セル) を小さくするマイクロセル方式が注目され ている。 このマイクロセル方式では、 同一面積をサービスするために必要な 無線基地局の数が増加するので、 設置場所、 重量、 サイズ等が制限され、 ま た、 ハンドオーバーが頻繁に生成するという問題がある。
これらの問題を解決する手段として、 中継局装置と制御局装置とをメ夕リ
ックケーブルにより接続した無線基地局装置が提案されている。 この無線基 地局装置は、 従来の無線基地局の無線変復調部、 制御部を主に備えた制御局 装置を中央に集中して配置し、 アンテナと送受信増幅器とを主に備えた中継 局装置を多数配置した構成を採る。 これにより、 基地局の小型化、 軽量化を 図ることが出来、 上述の設置場所の制限を解消することができる。 さらに、 ハンドオーバーの処理も制御局装置で集中して行うことができる。
図 1は、 上述した制御局装置と中継局装置との接続にメタリックケ一ブル を用いた従来のアレイアンテナ基地局装置の構成を示すブロック図である。 尚、 説明を簡単にするために、 アレイアンテナ基地局装置の受信側のみを示 す。 また、 一般に制御局装置は多数の中継局装置と接続されているが、 説明 を簡単にするためにこの図においては一つの中継局装置のみを示している。 この図に示すように、中継局装置 1 1は、 アンテナ 1 2—:!〜 1 2— Nと、 受信増幅器 1 3—:!〜 1 3— Nと、 を有して構成されている。 制御局装置 2 1は、 周波数変換部 2 2—;!〜 2 2— Nと、 復調部 2 3と、 を有して構成さ れている。 中継局装置 1 1と制御局装置 2 1はメタリックケーブル 3 1— 1 〜 3 1—Nで接続されている。
アンテナ 1 2—;!〜 1 2—Nのそれぞれに対応する N通りの経路において、 受信信号はいずれも同様の処理をされるので、 以下では、 アンテナ 1 2— 1 に対応する経路のみについて説明する。
中継局装置 1 1においては、 受信増幅器 1 3 _ 1はアンテナ 1 2— 1を介 して通信相手である通信端末装置(図示略)から受信した受信信号を増幅し、 メタリックケーブル 3 1一 1を介して周波数変換部 2 2一 1に出力する。 制 御局装置 2 1において、 周波数変換部 2 2一 1は受信増幅器 1 3— 1からの 受信信号を無線周波数帯からベースバンド周波数帯に周波数変換し、 復調部 2 3に出力する。 復調部 2 3は、 周波数変換部 2 2— 1〜2 2— Nから出力 された受信信号 (ベースバンド信号) にウェイトを乗算して復調する。
次に、 上記構成の基地局装置に取り込まれた受信信号の処理について説明
する。
アンテナ 1 2— 1を介して中継局装置 1 1に取り込まれた通信端末装置 (図示略) からの受信信号は、 メタリックケーブル 3 1— 1を介して制御局 装置 2 1へ送られる。 制御局装置 2 1へ送られた受信信号は、 周波数変換部 2 2— 1で増幅された後、 復調部 2 3においてウェイトを乗算されたうえで 復調される。 このように、 アレイアンテナ基地局装置は、 受信信号にウェイ トを乗算することにより特定の方向からの信号を強く受信することが出来る ので、 受信 S I Rを高く保つことができる。
しかしながら、 上述した従来のアレイアンテナ基地局においては、 以下に 示す問題がある。
1 ) 中継局装置から制御局装置への信号伝送にメ夕リックケーブルを用い ているので、 伝送される信号の損失が大きい。
2 ) 複数のアンテナ素子から取り込んだ信号を伝送する必要があるので、 メ夕リックケーブルの本数が多くなり、 設置場所が制限される。
3 ) 各アンテナ素子から受信された信号は、 各アンテナ素子に対応した経 路を通って復調部 2 3に到達する。 この各経路の特性は、 増幅器等に備えら れたアナログ素子の特性のばらつきによりそれぞれ異なる。 したがって、 各 受信信号に未知の振幅変動や位相回転が加わって、 復調部において得られる 指向性が所望の指向性からずれてしまう。 この各経路の特性を設置時に予め 測定し、 ずれを調整しておくことは可能であるが、 各経路の特性は温度の変 化等により経時的に変化するので所望の指向性を長時間に亘つて維持するこ とは困難である。 発明の開示
本発明の目的は、 中継局装置から制御局装置へ伝送される信号の損失が少 なく、 また、 設置場所の自由度が大きく、 さらに、 各経路のアナログ素子の 特性により生ずる振幅変動や位相回転等を校正することができ.
テナ基地局装置を提供することである。
本発明者らは、 無線基地局の中継局装置と制御局装置を結ぶケーブルとし て光ケーブルを採用することで、 信号を伝達する際の損失が減少し、 かつ、 設置場所も節約できることに着目した。 また、 本発明者らは、 各無線受信回 路のアナログ素子により送受信信号に生じる特性誤差を、 既知信号を用いて 測定することにより、 精度良くウェイ卜を算出することが出来ることにも着 目した。
つまり、 本発明の目的は、 アレイアンテナ基地局装置において、 中継局装 置と制御局装置とを光ケーブルで結び、 さらに、 既知信号である校正用信号 を用いてアナログ素子により付加される特性誤差を測定し、 測定した特性誤 差を受信信号及び送信信号から除去することにより達成される。 図面の簡単な説明
図 1は、 制御局装置と中継局装置との接続にメタリックケーブルを用いた 従来のアレイアンテナ基地局装置の受信側の構成を示すブロック図; 図 2は、 本発明の一実施の形態に係るァレイァンテナ基地局装置の概略 構成を示すブロック図;
図 3は、 本発明の一実施の形態に係. 基地局装置の受信側 の構成を示すブロック図;
図 4は、 本発明の一実施の形態に係- 基地局装置の送信側 の構成を示すブロック図;
図 5は、 本発明の一実施の形態に係- 基地局装置に備えら れた復調部の構成を示すプロック図
図 6は、 本発明の一実施の形態に 基地局装置に備えら れた変調部の送信側の構成を示すプロック図である, 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を実施するための最良の形態について、 添付図面を参照して 詳細に説明する。
(実施の形態)
まず、 本発明の一実施の形態に係るアレイアンテナ基地局装置の概略構成 について説明する。 図 2は、 本発明の一実施の形態に係るアレイアンテナ基 地局装置の概略構成を示すプロック図である。
この図に示すように、 アレイアンテナ基地局装置 1 0 0は、 アンテナ素子 1 0 1—:!〜 1 0 1— Nと、 共用器 1 0 2 — 1〜: L 0 2— Nと、 中継局装置 1 1 0と、 制御局装置 1 2 0と、 光ケーブル 1 4 0、 1 5 0と、 を有して構 成されている。 光ケーブル 1 4 0、 1 5 0は、 光ファイバを用いた配線ケ一 ブルである。 中継局装置 1 1 0は、 中継局受信装置 1 1 0 aと、 中継局送信装置 1 1 0 b と、 を有して構成される。 制御局装置 1 2 0は、 制御局受信装置 1 2 0 aと、 制御局送信装置 1 2 0 bと、 を有して構成される。
共用器 1 0 2 — 1は、 受信側と送信側の切り替えを行う。 すなわち、 共用 器 1 0 2— 1は、 受信の際にはアンテナ素子 1 0 1— 1〜 1 0 1— Nからの 受信信号を中継局受信装置 1 1 0 aに対して出力し、 送信の際にはアンテナ 素子 1 0 1— 1〜 1 0 1— Nを介して、 中継局送信装置 1 1 0 bからの送信 信号を送信する。
中継局受信装置 1 1 0 aは、 受信信号に受信増幅等の所定の処理を行った 後、 この受信信号を光ケーブル 1 4 0を介して制御局受信装置 1 2 0 aに出 力する。 制御局受信装置 1 2 0 aは、 中継局受信装置 1 1 0 aの出力信号に ウェイトを乗算することにより指向性を形成する。 また、 制御局受信装置 1 2 0 aは、 指向性を形成した信号に復調処理を行って受信データを得る。 制御局送信装置 1 2 0 bは、 送信データに変調処理を施して送信信号を生 成するとともに、 制御局受信装置 1 2 0 bが算出したウェイトを参照して生
成した送信信号に指向性を形成する。 生成された送信信号は、 光ケーブル 1 5 0を介して中継局送信装置 1 1 O bに出力される。 中継局送信装置 1 1 0 bは、 制御局送信装置 1 2 0 bの出力信号に対して送信増幅等の送信処理を 行って、 アンテナ素子 1 0 1— 1〜1 0 1— Nを介して出力する。
なお、 図 2においては、 説明の簡単のために中継局装置 1 1 0を 1つのみ 示したが、 通常、 中継局装置は 1つの制御局装置について複数設置されるも のであり、 中継局装置が複数設置される場合にはその各々が光ケーブルによ つて制御局装置 1 2 0に接続される。
次に、 アレイアンテナ基地局装置 1 0 0の構成を、 受信側と送信側とに分 けて説明する。 この際、 受信側の説明は図 3を参照して行い、 送信側の説明 は図 4を参照して行う。
<受信側〉
図 3は、 本実施の形態に係るアレイァンテナ基地局装置の受信側の構成を 示すブロック図である。 この図に示すように、 中継局受信装置 1 1 0 aは、 受信増幅器 1 1 1 一 1〜1 1 1 _ Nと、 E ZO (電気 Z光) 変換部 1 1 2— 1〜 1 1 2 _ Nと、 波長多重部 1 1 3と、 校正用信号生成部 1 1 4と、 を有 して構成されている。 また、 制御局受信装置 1 2 0 aは、 波長分離部 1 2 1 と、 OZ E (光ノ電気) 変換部 1 2 2—:!〜 1 2 2— Nと、 周波数変換部 1 2 3—:!〜 1 2 3— Nと、 信号識別部 1 2 4—:!〜 1 2 4— Nと、 校正用信 号測定部 1 2 5と、 記録部 1 2 6と、 復調部 1 2 7と、 を有して構成されて いる。 中継局受信装置 1 1 0 aと制御局受信装置 1 2 0 aは、 光ケーブル 1 4 0によって接続されている。
中継局受信装置 1 1 0 aにおいて、 校正用信号生成部 1 1 4は、 キヤリブ レーシヨンを行うための既知信号 (以下、 「校正用信号」 という) を生成し て受信増幅器 1 1 1 一 1〜受信増幅器 1 1 1 一 Nに出力する。 受信増幅器 1 1 1— 1は、 校正用信号生成部 1 1 4からの校正用信号とアンテナ素子 1 0 1 一 1を介して受信した通信端末装置 2 0 0 (図 2参照) からの受信信号を
それぞれ増幅して、 E /〇変換部 1 1 2— 1へ出力する。 同様に、 受信増幅 器 1 1 1 一 Nは、 校正用信号生成部 1 1 4からの校正用信号及びアンテナ素 子 1 0 1— Nを介して受信した通信端末装置 2 0 0からの受信信号をそれぞ れ増幅して、 E ZO変換部 1 1 2— Nへ出力する。 E /O変換部 1 1 2— 1 は、 受信増幅器 1 1 1 一 1からの校正用信号と受信信号を光信号に変換して 波長多重部 1 1 3へ出力する。 同様に、 E ZO変換部 1 1 2— Nは、 受信増 幅器 1 1 1 一 Nからの校正用信号及び受信信号を光信号に変換して波長多重 部 1 1 3へ出力する。 波長多重部 1 1 3は、 E ZO変換部 1 1 2— 1〜E Z O変換部 1 1 2— Nにおいてそれぞれ光変換された校正用信号及び受信信号 を多重し、 光ケーブル 1 4 0を介して波長分離部 1 2 1へ出力する。
制御局受信装置 1 2 0 aにおいて、 波長分離部 1 2 1は、 中継局受信装置 1 1 0 aからの多重された校正用信号及び受信信号を、 各経路毎の信号に分 離し、 分離した信号を対応する OZ E変換部 1 2 2— 1〜 1 2 2— Nに出力 する。 すなわち、 波長分離部 1 2 1は、 波長多重部 1 1 3からの多重された 信号のうち受信増幅器 1 1 1 一 l〜E ZO変換部 1 1 2— 1〜波長多重部 1 1 3の経路を経て送られた受信信号及び校正用信号を OZ E変換部 1 2 2— 1に対して出力する。 同様に、 波長多重部 1 1 3からの多重された信号のう ち受信増幅器 1 1 1 一 N〜E ZO変換部 1 1 2— N〜波長多重部 1 1 3の経 路を経て送られた受信信号及び校正用信号を OZ E変換部 1 2 2— Nに対し て出力する。
OZ E変換部 1 2 2— 1は、 波長分離部 1 2 1の出力信号を電気信号に変 換して周波数変換部 1 2 3 _ 1に出力する。 同様に、 〇 £変換部1 2 2— Nは、 波長分離部 1 2 1の出力信号を電気信号に変換して周波数変換部 1 2 3 _ Nに出力する。 周波数変換部 1 2 3— 1は、 OZ E変換部 1 2 2— 1の 出力信号をベースバンド周波数帯に周波数変換し、 変換後の信号を信号識別 部 1 2 4— 1に出力する。 同様に、 周波数変換部 1 2 3— Nは、 OZ E変換 部 1 2 2— Nの出力信号をベースバンド周波数帯に周波数変換し、 変換後の
信号を信号識別部 1 2 4 _ Nに出力する。 信号識別部 1 2 4 — 1は、 周波数 変換部 1 2 3— 1から出力された信号の中から受信信号を識別して復調部 1 2 7に出力する。 また、 信号識別部 1 2 4— 1は、 周波数変換部 1 2 3— 1 から出力された信号の中から校正用信号を識別して校正用信号測定部 1 2 5 に出力する。 同様に、 信号識別部 1 2 4— Nは、 周波数変換部 1 2 3— N 1 から出力された信号の中から受信信号を識別して復調部 1 2 7に出力する。 また、 信号識別部 1 2 4—Nは、 周波数変換部 1 2 3— Nから出力された信 号の中から校正用信号を識別して校正用信号測定部 1 2 5に出力する。 校正用信号測定部 1 2 5は、 信号識別部 1 2 4—:!〜 1 2 4— Nから出力 される校正用信号に重畳された特性誤差を測定する。 校正用信号には、 校正 用信号生成部 1 1 4から校正用信号測定部 1 2 5に至る経路に存在するアナ ログ素子により、 振幅変動や位相回転が特性誤差として付加されている。 校 正用信号測定部 1 2 5は、 信号識別部 1 2 4— 1〜 1 2 4— Nから出力され た校正用信号の振幅及び位相の期待される値からの偏差を求め、 この偏差を 特性誤差とする。 このようにして各経路毎に測定された特性誤差は、 記録部 1 2 6に出力される。 記録部 1 2 6は、 校正用信号測定部 1 2 5から出力さ れた特性誤差を校正表に保存する。 上記特性誤差は、 受信側の経路毎に独立 に測定されるので、 校正表は、 受信側の経路の数 (すなわち "N個" ) だけ 独立して作成される。
復調部 1 2 7は、 記録部 1 2 6に記憶された校正表に保存されている特性 誤差を参照して、 信号識別部 1 2 4 _ 1〜 1 2 4— Nから出力された受信信 号に重畳されている特性誤差を除去する。 また、 復調部 1 2 7は、 特性誤差 を除去した受信信号に基づいて、 所望の方向から到来する受信信号を強く受 信することが出来るように (又は、 所定の方向から到来する干渉波を抑圧す ることが出来るように) ウェイトを算出し、 算出したウェイトを各経路の受 信信号に乗算する。 復調部 1 2 7は、 ウェイトを乗算した各経路の受信信号 を互いに加算することにより合成信号を生成する。 復調部 1 2 7は、 このよ
うにして生成した合成信号に対して所定の復調処理を施して受信データを得 る。 また、 復調部 1 2 7は、 算出したウェイトを送信側の変調部 2 2 4 (図 4参照) に対して出力する。
次いで、 図 5を参照して、 復調部 1 2 7の構成について説明する。 特性誤 差演算部 5 0 1は、 記録部 1 2 6より出力された特性誤差の測定値を参照し て、 信号識別部 1 2 4—:!〜 1 2 4— Nより出力された受信信号に重畳され ている特性誤差を除去する。 つまり、 校正用信号と受信信号とは、 同じ経路 を通って復調部 1 2 7に入力されているので、 これらの校正用信号と受信信 号には同じアナログ素子から同じ特性誤差を畳重されていると考えられる。 したがって、 復調部 1 2 7は、 校正用信号に重畳された特性誤差を受信信号 から減ずることにより、 受信信号に重畳された特性誤差を除去することが出 来る。 このように、 校正用信号を用いて測定した特性誤差を受信信号 (又は 送信信号) から除去することを、 本明細書において 「キャリブレーション」 と称することがある。
特性誤差演算部 5 0 1において特性誤差が除去された受信信号は、 ウェイ 卜制御部 5 0 2及び乗算器 5 0 3—:!〜 5 0 3 _ Nに出力される。 ウェイト 制御部 5 0 2は、 受信信号の到来方向を推定し、 その推定結果及び事前情報 に基づいて所望の方向から到来する受信信号を強く受信することが出来るよ うに(又は、所定の方向から到来する干渉波を抑圧することが出来るように) 各経路毎にウェイトを算出し、 対応する乗算器 5 0 3—:!〜 5 0 3— N及び 図 4に示す変調部 2 2 4にそれぞれ出力する。 乗算器 5 0 3—;!〜 5 0 3— Nは、 特性誤差演算部 5 0 1から出力された受信信号にウェイトを乗算し、 加算器 5 0 4に出力する。 加算器 5 0 4は、 乗算器 5 0 3— 1〜5 0 3 — N より出力された受信信号を加算して、 指向性を有する受信信号を生成する。 このように指向性を有する受信信号は、 復調器 5 0 5にて Q P S Kや 1 6 Q A M等の所定の復調方式で復調され、 受信データが得られる。
次いで、 上記構成を有するアレイァンテナ基地局装置の受信側の動作につ
いて説明する。 なお、 本実施の形態に係るアレイアンテナ基地局装置は、 N 本のアンテナ素子を備え、 各アンテナ素子に対応した N通りの経路を有して いるが、 信号はどの経路においても同様の処理をされることから、 アンテナ 素子 1 0 1 — 1に対応する経路のみについて説明し、 その他の経路について は説明を省略する。
通信端末装置 2 0 0 (図 2参照) から送信された信号は、 アンテナ素子 1 0 1—:!〜 1 0 1 _ Nを介してアレイアンテナ基地局装置 1 0 0に受信され る。 アンテナ素子 1 0 1 — 1を介して受信された受信信号は、 共用器 1 0 2 - 1を経て受信増幅器 1 1 1 一 1に送られる。 受信増幅器 1 1 1 一 1におい て増幅された受信信号は、 Eノ O変換部 1 1 2— 1において光信号に変換さ れ、 波長多重部 1 1 3に出力される。 一方、 校正用信号生成部 1 1 4からは 校正用信号が出力され、 受信増幅器 1 1 1 一 1において増幅された後、 E Z 〇変換部 1 1 2— 1において光信号に変換され、 波長多重部 1 1 3に出力さ れる。 波長多重部 1 1 3においては、 光信号に変換された受信信号及び校正 用信号が多重され、 この多重信号が光ケーブル 1 4 0を介して波長分離部 1 2 1に出力される。
波長多重部 1 1 3より出力された多重信号は、 波長分離部 1 2 1において 各経路毎に分離される。 すなわち、 受信増幅器 1 1 1一 1〜Ε ΖΟ変換部 1 1 2 - 1〜波長多重部 1 1 3の経路を経て送られた受信信号及び校正用信号 【ま、 多重信号から分離された後、 OZ E変換部 1 1 2— 1に出力される。 同 様に、 受信増幅器 1 1 1 一 N〜E /〇変換部 1 1 2— N〜波長多重部 1 1 3 の経路を経て送られた受信信号及び校正用信号は、 多重された信号から分離 された後、 O Z E変換部 1 1 2— Nに出力される。
波長分離部 1 2 1から出力された受信信号及び校正用信号は、 O Z E変換 部 1 2 2— 1において電気信号に変換された後、 周波数変換部 1 2 3— 1に おいてベースバンド周波数帯に周波数変換されて信号識別部 1 2 4— 1に出 力される。 周波数変換部 1 2 3— 1から出力された信号のうち受信信号は、
信号識別部 1 2 4 _ 1において、 校正用信号から識別されて復調部 1 2 7に 送られる。 また、 周波数変換部 1 2 3— 1から出力された信号のうち校正用 信号は、 信号識別部 1 2 4— 1において、 受信信号から識別されて校正用信 号測定部 1 2 5に送られる。
校正用信号測定部 1 2 5では、 信号識別部 1 2 4— 1〜信号識別部 1 2 4 一 Nから出力された校正用信号に基づいて特性誤差が測定され、 測定された 特性誤差は記録部 1 2 6に出力される。 この特性誤差は、 記録部 1 2 6にお いて、 復調時に校正すべき特性誤差として校正表に保存される。 この場合、 特性誤差の測定は、 アンテナ素子 1 0 1— 1〜 1 0 1— Nのそれぞれに対応 した経路毎に独立に行われるため、 校正表もアンテナ素子の数だけ独立に設 けられる。
復調部 1 2 7においては、 記録部 1 2 6に記憶された校正表を参照して、 信号識別部 1 2 4—:!〜 1 2 4 _ Nから出力された受信信号に含まれる特性 誤差が除去される。 そして、 特性誤差を除去した受信信号に基づいて、 ゥェ ィ卜が算出され、 算出されたウェイ卜が各経路の受信信号に乗算される。 こ のようにウェイ卜が乗算された各経路の受信信号は互いに加算されて合成信 号が生成され、 この合成信号に復調処理が施されて受信データが得られる。
<送信側>
図 4は、 本実施の形態に係るァレイァンテナ基地局装置の送信側の構成を 示すブロック図である。 この図に示すように、 中継局送信装置 1 1 0 bは、 信号識別部 2 1 1— 1〜2 1 1 _ Nと、 送信増幅器 2 1 2—:!〜 2 1 2— N と、 OZ E変換部 2 1 3—:!〜 2 1 3— Nと、 波長分離部 2 1 4と、 校正用 信号測定部 2 1 5と、 記録部 2 1 6と、 を有して構成されている。 制御局送 信装置 1 2 O bは、 波長多重部 2 2 1と、 E ZO変換部 2 2 2—:!〜 2 2 2 — Nと、 周波数変換部 2 2 3—:!〜 2 2 3 _ Nと、 変調部 2 2 4と、 校正用 信号生成部 2 2 5と、 を有して構成されている。 中継局送信装置 1 1 0 bと 制御局送信装置 1 2 0 bとは、 光ケーブル 1 5 0を介して接続されている。
制御局送信装置 1 2 0 bにおいて、 変調部 2 2 4は、 送信デ一夕に Q P S K等の一次変調を行って送信信号を生成し、 後述するように記録部 2 1 6に 保存されている校正表を参照して各経路毎の送信信号から特性誤差を除去す る。 また、 変調部 2 2 4は、 制御局受信装置 1 2 0 aに備えられた復調部 1 2 7 (図 3参照) から出力されたウェイトを各経路の送信信号に乗算して、 送信信号に指向性を形成する。 このように、 生成された送信信号は、 対応す る周波数変換部 2 2 3—:!〜 2 2 3—Nにそれぞれ出力される。
校正用信号生成部 2 2 5は、キャリブレーションを行うための既知信号 (校 正用信号) を生成して周波数変換部 2 2 3—:!〜 2 2 3— Nに出力する。 周 波数変換部 2 2 3— 1は、 変調部 2 2 4からの送信信号及び校正用信号生成 部 2 2 5からの校正用信号を無線周波数帯に周波数変換して E ZO変換部 2 2 2— 1へ出力する。 同様に、 周波数変換部 2 2 3— Nは、 変調部 2 2 4力、 らの送信信号及び校正用信号生成部 2 2 5からの校正用信号を無線周波数帯 に周波数変換し、周波数変換した信号を E ZO変換部 2 2 2— Nへ出力する。 E ZO変換部 2 2 2— 1は、 周波数変換部 2 2 3— 1からの増幅された送信 信号及び校正用信号を電気信号から光信号へと変換し、 変換後の光信号を波 長多重部 2 2 1へ出力する。 同様に、 E ZO変換部 2 2 2— Nは、 周波数変 換部 2 2 3— Nからの増幅された送信信号及び校正用信号を電気信号から光 信号へと変換し、 変換後の光信号を波長多重部 2 2 1へ出力する。 波長多重 部 2 2 1は、 E /〇変換部 2 2 2—:!〜 2 2 2— Nから出力された光変換後 の送信信号及び校正用信号を多重し、 多重した信号を光ケーブル 1 5 0を介 して波長分離部 2 1 4に出力する。
中継局送信装置 1 1 0 bにおいて、 波長分離部 2 1 4は、 波長多重部 2 2 1から出力された送信信号及び校正用信号をアンテナ素子 1 0 1— 1〜1 0 1一 Nに対応する各経路毎に分離して、 OZ E変換部 2 1 3—:!〜 2 1 3— Nに出力する。 すなわち、 波長分離部 2 1 4は、 波長多重部 2 2 1からの多 重された信号のうち無線送信機 2 2 3 - 1〜E Z〇変換部 2 2 2 - 1〜波長
多重部 221から成る経路を伝送された信号を OZE変換部 21 3— 1に出 力する。 同様に、 波長多重部 221からの多重された信号のうち無線送信機 223— N〜E/0変換部 222— N〜波長多重部 221から成る経路を伝 送された信号を O/E変換部 213— Nに出力する。 他の経路を経て伝送さ れた受信信号及び校正用信号も、 同様に、 対応する〇/E変換部に出力され る。
OZE変換部 213— 1は、 波長分離部 214の出力信号を光信号から電 気信号へ変換し、 変換後の電気信号を送信増幅器 212— 1に出力する。 同 様に、 OZE変換部 2 13— Nは、 波長分離部 214の出力信号を光信号か ら電気信号へ変換し、変換後の電気信号を送信増幅器 212— Nに出力する。 送信増幅器 212_ 1は、 OZE変換部 213— 1から出力された信号を増 幅して信号識別部 21 1 - 1に出力する。 同様に、送信増幅器 2 12— Nは、 OZE変換部 213—Nの出力信号を増幅して信号識別部 21 1— Nに出力 する。 信号識別部 21 1— 1は、 送信増幅器 212- 1の出力信号の中から 校正用信号を識別して校正用信号測定部 215に出力する。 信号識別部 21 1一 1は、 送信増幅器 212— 1の出力信号の中から送信信号を識別してァ ンテナ素子 10 1— 1を介して無線送信する。 また、 信号識別部 2 1 1 - 1 は、 送信増幅器 212— 1から出力された信号のうち校正用信号を、 送信信 号と識別して校正用信号測定部 125に出力する。 同様に、 信号識別部 21 1一 Nは、 送信増幅器 212— Nから出力された信号のうち送信信号を、 校 正用信号と識別し、 アンテナ素子 101—Nを介して無線送信する。 また、 信号識別部 21 1—Nは、 送信増幅器 212—N 1から出力された信号のう ち校正用信号を、 送信信号と識別して校正用信号測定部 215に出力する。 校正用信号測定部 215は、 信号識別部 21 1 - 1〜信号識別部 21 1一 Nから出力された校正用信号に重畳された特性誤差を測定する。 校正用信号 には、 校正用信号生成部 225において生成されて校正用信号測定部 215 に入力されるまでの経路に存在するアナログ素子により、 振幅変動や位相回
転が特性誤差として付加されている。 校正用信号測定部 2 1 5は、 信号識別 部 2 1 1— 1〜2 1 1 _ Nから出力された校正用信号の振幅及び位相の期待 される値からの偏差を求め、 この偏差を特性誤差とする。 このようにして測 定された特性誤差は、 記録部 2 1 6に出力される。 記録部 2 1 6は、 校正用 信号測定部 2 1 5から送られた特性誤差を校正表に保存する。 上記特性誤差 は送信回路の経路毎に独立に測定されるので、 校正表は受信回路の回路の数 だけ独立して作成される。
ここで、 図 6を参照して変調部 2 2 4の構成についてさらに詳しく説明す る。 変調器 6 0 1は、 送信データに Q P S K等の一次変調を行って送信信号 を生成し、 生成した送信信号を乗算器 6 0 2— 1〜6 0 2—Nに出力する。 乗算器 6 0 2 _ 1〜6 0 2— Nは、 復調部 1 2 7から出力されたウェイトを 送信信号に乗算し、 乗算後の送信信号を特性誤差演算部 6 0 3に出力する。 特性誤差演算部 6 0 3は、 波長多重部 2 2 1より出力された特性誤差の測 定値を参照して、 後段の処理において送信信号に重畳されると予測される特 性誤差を除去する。 特性誤差演算部 6 0 3は、 例えば校正用信号に重畳され た特性誤差を送信信号から減ずることにより、 送信信号がアンテナ素子 1 0 1 一 1〜 1 0 1—Nから送信されるまでに、 アナログ素子において付加され る特性誤差を除去することが出来る。
次いで、 上記構成を有するアレイアンテナ基地局装置の送信側の動作につ いて説明する。 なお、 本実施の形態に係るアレイアンテナ基地局装置は、 N 本のアンテナ素子を備え、 各アンテナ素子に対応した N通りの経路を有して いるが、 信号はどの経路においても同様の処理をされることから、 アンテナ 素子 1 0 1— 1に対応する経路のみについて説明し、 その他の経路について は説明を省略する場合がある。
送信データは、 変調部 2 2 4において、 Q P S K等の変調処理を施され、 記録部 2 1 6に保存されている校正表の内容を参照して各経路毎の特性誤差 が除去される。 つまり、 送信信号は、 周波数変換部 2 2 3— 1〜2 2 3— N、
送信増幅器 2 1 2 _ 1〜2 1 2—N等に備えられたアナログ素子の特性のば らつきによって、 アンテナ素子 1 0 1— 1〜 1 0 1— Nより出力されるまで の間に未知の振幅変動や位相回転等の特性誤差を付加されるので、 変調部 2
2 4においては、 この特性誤差が予め除去される。 また、 復調部 2 2 4にお いては、 各経路の送信信号にウェイトが乗算されて、 周波数変換部 2 2 3—
1〜周波数変換部 2 2 3— Nに出力される。 これにより、 送信信号について 指向性が形成されている。変調部 2 2 4の出力信号(送信信号)は、 周波数変 換部 2 2 3— 1において所定の無線送信処理をされ、 E ZO変換部 2 2 2 -
1において光信号に変換された後、 波長多重部 2 2 1に出力される。 一方、 校正用信号生成部 2 2 5から出力された校正用信号は、 周波数変換部 2 2 3 - 1において無線送信処理された後、 E ZO変換部 2 2 2 - 1において光信 号に変換されて、 波長多重部 2 2 1に出力される。 周波数変換部 2 2 3 - 1 〜2 2 3— Nからの光変換された送信信号及び校正用信号は、 波長多重部 2
2 1において多重された後、 光ケーブル 1 5 0を介して波長分離部 2 1 4に 出力される。
波長多重部 2 2 1より出力された送信信号及び校正用信号は、 波長分離部 2 1 4において各経路毎の信号に分離される。 すなわち、 波長多重部 2 2 1 から出力された多重信号のうち無線送信機 2 2 3—:!〜 E /〇変換部 2 2 2 一 1〜波長多重部 2 2 1から成る経路を伝送された信号は、 対応する OZ E 変換部 2 1 3— 1に出力される。 また、 波長多重部 2 2 1からの多重された 信号のうち無線送信機 2 2 3 _ N〜E/0変換部 2 2 2— N〜波長多重部 2 2 1から成る経路を伝送された信号は、 対応する OZ E変換部 2 1 3— Nに 出力される。 なお、 他の経路を経て送られた受信信号及び校正用信号も同様 に対応する OZ E変換部に出力する。
波長分離部 2 1 4から出力された送信信号及び校正用信号は、 OZ E変換 部 2 1 3— 1において光信号から電気信号に変換された後、 送信増幅器 2 1 2一 1において所定の無線送信処理をされ、 信号識別部 2 1 1 - 1に出力さ
れる。 送信増幅器 2 1 2— 1から出力された信号のうち校正用信号は、 信号 識別部 2 1 1 - 1において、 受信信号と識別されて校正用信号測定部 2 1 5 に送られる。 校正用信号測定部 2 1 5では、 信号識別部 2 1 1—:!〜 2 1 1 一 Nからの校正用信号に基づいて特性誤差が測定され、 測定された特性誤差 は、 記録部 2 1 6に送られて復調時に校正すべき特性誤差として校正表に保 存される。 特性誤差の測定は、 アンテナ素子 1 0 1— 1〜 1 0 1— Nのそれ ぞれに対応した各経路毎に独立に行われるため、 校正表も受信回路の数だけ 独立に設けられる。
また、 送信増幅器 2 1 2— 1から出力された信号のうち送信信号は、 信号 識別部 2 1 1 - 1において、 校正用信号と識別されて、 アンテナ素子 1 0 1 一;!〜 1 0 1— Nより無線送信される。
このように、 本実施の形態に係るアレイアンテナ基地局装置においては、 中継局受信装置と制御局受信装置及び中継局送信装置と制御局送信装置をそ れぞれ光ケーブルにより接続したため、 伝送する信号の損失を小さくするこ とができる。 また、 光ケ一ブルにより信号を多重して伝送するため、 アンテ ナ素子に対応する経路毎にケーブルを設ける必要がなくなるので、 基地局装 置の設置場所の自由度が大きくなる。 さらに、 中継局受信装置から制御局受 信装置まで及び中継局送信装置から制御局送信装置に至る区間においてキヤ リブレーシヨンを行うことにより、 特性誤差を間欠的に調整することができ るので、 期待される指向性を精度良く得ることができる。
さらにまた、 中継局受信装置から制御局受信装置まで及び中継局送信装置 から制御局送信装置に至る区間においてキヤリブレーションを行うことによ り、 特性誤差を基地局装置の設置後に調整することができるので、 基地局装 置の設置の際の調整が不要となり、 設置が容易となる。
なお、 本実施の形態においては、 基地局装置の受信側と送信側の双方でキ ャリブレーシヨンを行う場合について説明したが、 受信側または送信側の一 方のみがキヤリブレ一シヨンを行う構成としてもよい。
なお、 本実施の形態においては、 校正用信号生成部をアレイアンテナ基地 局装置の内部に設ける構成としたが、 校正用信号を送信する校正用信号生成 機を基地局装置の外部に設ける構成としてもよい。 例えば、 校正用信号生成
-基地局装置の外部に設け、 この校正用信号生成機からァ -基地局装置に対して無線又は有線で校正用信号を伝送するよう にしても良い。
以上説明したように、 本発明によれば、 中継局装置から制御局装置へ伝送 される信号の損失が少なく、 また、 設置場所の自由度が大きく、 さらに、 各 回路のアナ口グ素子の特性により生ずる位相回転等を校正することができる アレイァンテナ基地局装置を提供することができる。
この出願は、 2 0 0 0年 3月 2 1日に日本国において出願された特願 2 0 0 0 - 0 7 8 4 1 0に基づいている。 この出願の内容は全てここに含めてお
産業上の利用可能性
本発明は、 複数のアンテナ素子のアンテナ出力に重みを加えて指向性を適 応的に制御するアレイアンテナ基地局装置の分野に利用するのに好適である。