JP3595740B2 - 無線通信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体と無線通信を行うためのアレーアンテナを有する無線基地局と、無線基地局の制御を行う制御局との間で、光ファイバ等の有線通信媒体を介してデータ通信を行う無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
比較的カバーエリアの狭い複数の無線基地局と一つの集中制御局とを光ファイバで接続し、各基地局と制御局の間で無線信号を光信号に変換して伝送するROF (Radio On Fiber) システムは、信頼性および広帯域性の面で優れ、また、緻密なサービスを行うことができるため、FTTH (Fiber To The Home) や加入者系無線や、ITS(Intelligent Transport System) 用のインフラとして有効である。
【0003】
特に、ROF システムを構築する場合に、制御局に変復調器や制御装置を設けて、各基地局を必要最小限の装置構成とすれば、基地局の簡素化、小型化および低コスト化が可能になる。このため、多数の基地局を道路沿い、地下街、トンネル等に配置することができ、効率的でかつ経済的なインフラ構築が可能となる。
【0004】
一方、基地局のアンテナとして、所望の端末局に対して指向性を持たせたり、あるいは他局からの干渉を抑圧したりして、任意の形状のカバーエリアを形成するアダプティブアンテナ技術が注目されている。
【0005】
アダプティブアンテナ技術は、複数のアンテナ素子から送受信される信号に位相および振幅に関する重み付けを行って放射パターンを制御するものである。放射パターンの制御方式として、主に、増幅器や移相器などのアナログ素子による重み付けを行う手法と、ディジタル信号に変換した後にディジタル信号処理により複素重み付けを行う手法がある。
【0006】
このアダプティブアンテナを基地局に備え、ROF 技術を用いて制御局と接続する無線通信システムがいくつか報告されている(例えば、特開平5−102894や特開平10−145286)。アダプティブアンテナを有する無線通信システムでは、アンテナ素子ごとに異なる無線信号を、基地局と制御局間で相対位相差と相対強度差を維持したまま伝送する技術が必要となる。
【0007】
このため、従来の報告では、ROF の伝送形態として、無線信号に周波数変換以外の信号処理を施さない波長多重伝送、あるいは、各ブランチにそれぞれ光ファイバを割り当てる手法が取られている。以下では、一つのアンテナ素子から送受信される信号を処理する系のことをブランチと呼ぶことにする。
【0008】
各ブランチごとに光ファイバを設ける手法では、基地局と制御局を接続する光ファイバの本数が大幅に増加するため、光ファイバの利用効率が低くなるとともに、複数の基地局と接続される制御局側の光伝送系の構成が複雑化し、規模も大きくなる。すなわち、アダプティブアンテナを有する無線通信システムに対するROF 技術は、光伝送系部分の構成要素が複雑かつ大規模になるという問題があり、基地局及び制御局の構成を簡易・小型化するのが難しい。
【0009】
これに対して、光ファイバによる伝送系において、一つの光源によって複数の無線信号を周波数軸で多重化する方式として、サブキャリア多重伝送(SCM) が知られている。ROF の実現方法として、SCMを用いると、必要な光ファイバが送受信あわせて一本ですむため、システム構築が低コスト化でき、また、光合波器・光分波器が不要でかつ光源が一つですむ等のメリットがある。それゆえ、各ブランチの送受信信号を一旦周波数変換し、それぞれにサブキャリアを割り当てて光ファイバ内を伝送する方式が有効である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の二つの手法では、各アンテナ素子にE/O 変換器(電気/光変換器) とO/E 変換器(光/電気変換器) の対を割り当てるため、基地局及び制御局には、ブランチ数分の対が必要となる。つまり、基地局及び制御局の光伝送部の構成要素が大幅に増加し、構成が複雑化して大きくなるという問題がある。
【0011】
また、基地局と制御局間で波長多重伝送を行う場合には、光合波器、光分波器、および光源の波長制御器等の構成を追加する必要があり、非常に高価なシステムになってしまう。
【0012】
また、SCMを用いる方式では、基地局−制御局間でキャリア同期とタイミング同期をとらなければ、多重化された各ブランチの信号を正しく取り出すことができないという問題がある。
【0013】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成を複雑にすることなく、制御局から基地局に送信される送信信号の位相および振幅調整を簡易かつ精度よく行うことができる無線通信システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、無線通信端末と、この無線通信端末と無線通信を行う基地局と、この基地局と有線伝送路を介して接続された制御局とからなる無線通信システムにおいて、前記基地局は、複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナと、前記有線伝送路を介して前記制御局から伝送されてきた前記各アンテナ素子に対応した各々の送信信号を、前記有線伝送路を介して前記制御局にフィードバックするフィードバック手段を有し、前記制御局は、前記フィードバック手段からフィードバックされた前記各送信信号の中から、少なくとも二つの信号を比較し、位相差及び又は振幅変動量を検出する比較検出手段と、前記比較検出手段で検出した位相差及び又は振幅変動量に基づいて、前記複数のアンテナ素子に対応した各々の送信信号を補償する補償手段とを有する。
請求項1の発明では、制御局が基地局に伝送した送信信号と、そのフィードバック信号とを比較して、位相差および振幅変動量を検出するため、簡易な構成で精度よく位相および振幅調整を行うことができる。
【0015】
請求項2および3の発明では、送信信号を制御局にフィードバックする際、フィードバック信号にパイロット信号を挿入するため、このフィードバック信号により、受信系での相対位相差と相対振幅変動量を検出することができ、その検出結果により、送信系の相対位相差と相対振幅変動量を検出することもできる。
【0016】
請求項4の発明では、各送信信号の絶対位相差と絶対振幅変動量を検出することができる。
【0017】
請求項5の発明では、各アンテナ素子に対応する送信信号のいずれかを任意に選択できるため、各送信信号の絶対位相差と絶対振幅変動量を検出することができる。
【0018】
請求項5〜7の発明では、送信信号を制御局にフィードバックするための専用伝送媒体を設けるため、パイロット信号なしに、相対位相差と相対振幅変動量を検出することができる。
【0019】
請求項8の発明では、位相差と振幅変動量を補償するための校正係数を加味した重み係数を演算するため、送信信号の重み付けと校正をまとめて行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した無線通信システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係る無線通信システムの第1の実施形態のブロック図である。図1のシステムは、アダプティブアンテナ1を有する基地局2と制御局3とを光ファイバ4で接続し、サブキャリア多重伝送を行う例を示している。図1のアダプティブアンテナ1は、3つのアンテナ素子1a〜1cを有するが、アンテナ素子1a〜1cの数には特に制限はない。
【0022】
図1の基地局2は、受信系の構成として、送受信の切り替えを行うサーキュレータ5a〜5cと、送受信信号の合成を行う合成器(合成手段)6a〜6cと、制御局3にフィードバックする送信信号にパイロット信号を挿入するパイロット信号挿入器(パイロット信号挿入手段)7と、パイロット信号挿入器7の出力信号を増幅するローノイズアンプ8a〜8cと、ローノイズアンプ8a〜8cの各出力信号をそれぞれ異なる周波数信号にダウンコンバートする周波数変換器(第1の周波数変換手段)9a〜9cと、周波数変換器9a〜9cから出力された各周波数信号を多重化する合成器(周波数多重化手段)10a〜10cと、合成器10a〜10cで合成された信号を光信号に変換して光ファイバ4を介して制御局3に伝送する電気/光変換器(第1の電気/光変換手段)11とを有する。
【0023】
また、図1の基地局2は、送信系の構成として、制御局3から伝送されてきた光信号を電気信号に変換する光/電気変換器12と、光/電気変換器12の出力信号を複数の周波数信号に分配する分配器13と、分配器13で分配された各周波数信号を無線周波数の信号に変換する周波数変換器14a〜14cと、周波数変換器14a〜14cの出力信号を増幅する増幅器15a〜15cと、増幅器15a〜15cの出力信号をサーキュレータ5a〜5cと合成器6a〜6cに分岐させるカップラ16a〜16cとを有する。
【0024】
この他、図1の基地局2は、周波数変換器9a〜9c,14a〜14cにそれぞれ局部発振信号を供給する周波数シンセサイザ17を有する。周波数シンセサイザ17は、それぞれ周波数の異なる信号を出力する複数の局部発振器を有するか、あるいは、一つの局部発振器と、この局部発振器から出力された局部発振信号を逓倍または分周して複数の周波数信号を出力する分周器とを有する。
【0025】
一方、図1の制御局3は、受信系の構成として、基地局2から伝送されてきた光信号を電気信号に変換する光/電気変換器(光/電気変換手段)21と、光/電気変換器21の出力信号を複数の信号に分配する分配器(分配手段)22と、分配器22から出力された各信号をそれぞれ異なる周波数の信号に変換する周波数変換器(第3の周波数変換手段)23a〜23cと、周波数変換器23a〜23cの出力信号に基づいて送信信号のフィードバック信号を検出するフィードバック信号検出器(フィードバック手段)24と、フィードバック信号に基づいて校正係数を演算する校正係数演算回路(比較手段)25と、校正係数に基づいて送受信用の重み係数を演算するアダプティブアンテナ重み係数演算回路(重み係数演算手段)26と、演算された重み係数に基づいて受信信号の重み付けを行う乗算器(第1の重み付け手段)27a〜27cと、乗算器27a〜27cの各出力信号を合成する合成器28と、合成器28で合成された信号を復調する復調器29とを有する。
【0026】
また、図1の制御局3は、送信系の構成として、送信用の変調信号を生成する変調器31と、変調信号を複数に分配する分配器32a〜32cと、分配された変調信号を重み係数に基づいて重み付けする乗算器(第2の重み付け手段)33a〜33cと、乗算器33a〜33cの出力信号をそれぞれ異なる周波数の信号に変換する周波数変換器34a〜34cと、周波数変換器34a〜34cの出力信号を多重化する合成器35と、合成器35で多重化された信号を光信号に変換して光ファイバ4を介して基地局2に伝送する電気/光変換器36とを有する。
【0027】
この他、図1の制御局3は、周波数変換器23a〜23c,34a〜34cにそれぞれ局部発振信号を供給する周波数シンセサイザ37を有する。周波数シンセサイザ37は、それぞれ周波数の異なる信号を出力する複数の局部発振器を有するか、あるいは、一つの局部発振器と、この局部発振器から出力された局部発振信号を逓倍または分周して複数の周波数信号を出力する分周器とを有する。本実施形態では、基地局2内の周波数シンセサイザ17と制御局3内の周波数シンセサイザ37は、周波数とタイミングの同期が取れていると仮定する。
【0028】
図1の基地局2において、合成器6a〜6c、パイロット信号挿入器7、ローノイズアンプ8a〜8c、周波数変換器9a〜9c、合成器9および電気/光変換器11がフィードバック手段に対応し、周波数変換器8a〜8c,9a〜9c、合成器10、および電気/光変換器11が伝送手段に対応する。また、図1の制御局2において、重み係数演算回路26と乗算器27a〜27c,33a〜33cとが補償手段に対応し、フィードバック信号検出器24が第1および第2の検出手段に対応する。
【0029】
図1の基地局2は、制御局3から基地局2に伝送された送信信号を、アレーアンテナ1から放射する前に、基地局2内の受信系を介して制御局3にフィードバックする。また、制御局3は、フィードバック信号のうち2つの信号を比較し、送信信号の相対位相差と相対振幅変動量を補償するための校正係数を生成する。
【0030】
以下、図1の無線通信システムの動作を説明する。アンテナ素子1a〜1cで受信された信号と制御局3から基地局2に伝送されてきた送信信号とは、合成器6a〜6cで合成された後、パイロット信号挿入器7によりパイロット信号が挿入される。その後、ローノイズアンプ8a〜8cを介して周波数変換器9a〜9cに入力され、各アンテナ素子1a〜1cに対応する各ブランチごとにそれぞれ異なる周波数に変換される。このとき、光ファイバ4や光源の周波数特性等に応じた中間周波数に変換するのが望ましい。中間周波数に変換することにより、光伝送系の構成を簡略化することができる。周波数変換器9a〜9cの出力信号は、合成器10にて周波数が多重化された後、電気/光変換器11にて光信号に変換されて基地局2に伝送される。
【0031】
図2は合成器10で周波数多重化された信号の周波数スペクトル図である。図2に示すように、アレーアンテナ1での受信信号と、パイロット信号と、制御局3からの送信信号とが、それぞれ異なる周波数間隔で配置され、これらを一群としてサブキャリアf1〜f3が割り当てられる。なお、周波数変換器9a〜9cの内部に設けられる不図示の帯域フィルタは、各サブキャリアの信号群を通過可能な帯域を持っている必要がある。
【0032】
制御局3に伝送されてきた光信号は、制御局3内の電気/光変換器21にて再び電気信号に変換された後、分配器22にて複数のブランチ信号に分配される。これらブランチ信号は、周波数変換器23a〜23cにて同一の周波数信号に変換された後、フィードバック信号検出器24と乗算器27a〜27cに入力される。
【0033】
フィードバック信号検出器24は、周波数変換器23a〜23cの各出力信号の中から、制御局3が送信した送信信号と、パイロット信号と、アダプティブアンテナ1で受信された受信信号とを抽出する。
【0034】
校正係数演算回路25は、フィードバック信号検出器24で抽出された各ブランチの送信信号のうち、いずれか一つのブランチの送信信号を基準として、残りのブランチの送信信号との相対位相差と相対振幅偏差を検出し、検出結果に応じた校正係数を演算する。
【0035】
重み係数演算回路26は、周波数変換器23a〜23cの出力信号と、校正係数演算回路25で演算された校正係数と、ビーム制御のために計算された送信/受信ウェイトとに基づいて、送信信号に対する重み係数と受信信号に対する重み係数を演算する。
【0036】
乗算器27a〜27cは、周波数変換器23a〜23cの出力信号と重み係数演算回路26で演算された重み係数とを乗算して受信信号の重み付けを行う。重み付けされた受信信号は、復調器29に入力されて復調される。
【0037】
一方、制御局3内の変調器31で変調された送信信号は、乗算器33a〜33cにて、重み係数演算回路26で演算された重み係数と乗算されて、重み付けされる。重み付けされた送信信号は、周波数変換器34a〜34cにてそれぞれ異なる周波数の信号に変換された後、合成器35にて周波数多重化される。
【0038】
周波数多重化された送信信号は、電気/光変換器36にて光信号に変換された後、光ファイバ4を介して基地局2に伝送される。
【0039】
基地局2に伝送されてきた光信号は、分配器13にて複数のブランチ信号に分配され、各ブランチ信号は周波数変換器14a〜14cに入力されて無線周波数の信号にアップコンバートされる。
【0040】
周波数変換器14a〜14cの各出力信号は、増幅器15a〜15cに入力されて増幅された後、カップラ16a〜16cとサーキュレータ5a〜5cを介してアンテナ素子1a〜1cに入力される。
【0041】
次に、図1のフィードバック信号検出器24、校正係数演算回路25、および重み係数演算回路26の詳細構成および動作について説明する。
【0042】
校正係数演算回路25は、図3に詳細構成を示すように、位相差検出器51と、振幅比検出器52と、演算器53とを有する。位相差検出器51と振幅比検出器52の双方には、周波数変換器23a〜23cの各出力信号がそれぞれ入力される。位相差検出器51は各出力信号間の位相差を検出し、振幅比検出器52は各出力信号間の振幅偏差を検出する。
【0043】
演算器53は、1番目のブランチを基準としたときのj番目のブランチの相対位相差をθ1j、相対振幅比をA1jとした場合、以下の(1)〜(3)式に基づいて、校正係数C1〜C3を演算する。
【0044】
【数1】
Figure 0003595740
図3の位相差検出器51は、図4に詳細構成を示すように、乗算器61と、低域フィルタ62と、位相識別器63とを有する。送信信号とフィードバック信号を乗算器61で乗算した後、低域フィルタ62で高周波成分を除去することにより、cosθijに比例した偏差成分を得ることができる。
【0045】
図3の振幅比検出器52は、図5に詳細構成を示すように、位相補正器65と、ダイオード66a,66bと、サンプリング器67a,67bと、割り算器68とを有する。位相補正器65は、2種類の送信信号のうち一方の送信信号の位相差補正を行って同相入力とする。位相補正器65の出力と他方の送信信号は、それぞれダイオード66a,66bに入力されて包絡線成分が取り出される。これら包絡線成分はサンプリング器67a,67bでサンプリングされ、サンプリング出力の比が割り算器68で得られる。
【0046】
図1の重み係数演算回路26は、校正係数と周波数変換器23a〜23cの各出力信号に基づいて、所望のアンテナパターンを形成するための送信ウェイトw’T1〜w’T3を演算する。送信ウェイトw’T1〜w’T3は、以下の(4)式で示すように、位相成分e φ と振幅成分Mとに分離することができる。
【0047】
w’Tj=Me φ (j=1,2,3) …(4)
結局、送信系のみの位相変動θ’ijは、θ’ij=θij−φi−φij、振幅変動A’ijは、A’ij=Aij/(M・Bij) で求められるので、補償すべき送信系の校正係数Cは、(5)〜(7)式のようになる。
【数2】
Figure 0003595740
(5)〜(7)式により、乗算器33a〜33cで重み付けされる校正値を含んだ送信信号に対する重み係数は、(8)式のようになる。
【0048】
Ti= w’Ti・CTi (i=1,2,3) …(8)
上述した(5)〜(8)式で示すような重み付けを行うことにより、アンテナ端から送信される地点で、所望のビームパターンを形成する信号が得られる。
【0049】
同様に、受信系の校正係数CRiは、以下の(9)〜(11)式で表される。
【0050】
【数3】
Figure 0003595740
図1の校正係数演算回路25は、上述した(5)〜(7)式に基づいて送信系の校正係数を演算するとともに、上述した(9)〜(11)式に基づいて受信系の校正係数を演算する。また、重み係数演算回路26は、上述した(8)式に基づいて送信信号に対する重み係数を演算し、同様にして受信信号に対する重み係数も演算する。
【0051】
次に、パイロット信号挿入器7で挿入されるパイロット信号について説明する。パイロット信号は、例えば、PN系列(擬似ランダム雑音系列)等で構成され、その信号列は制御局3−基地局2間で既知とする。また、パイロット信号は、フィードバックされる送信信号に時分割で挿入したり、周波数分割で挿入することが可能であるが、いずれの場合も、等振幅の信号を各ブランチごとに同時に挿入する必要がある。
【0052】
このように、パイロット信号としてPN系列を同時に挿入した場合、フィードバック信号検出器24で取り込まれた各ブランチのパイロット信号は、相関処理を行うことにより、図6に示すように、その到達タイミングと相関強度を表すインパルス性の強い相関出力になる。この相関出力により、受信系における各ブランチ間の到達遅延時間差t1, t2を観測でき,変動位相差φijを求めることができる。また,ピーク値を比較することにより,受信系の各ブランチ間の相対振幅比Bijを検出することができる。
【0053】
上述した実施形態では,PN 系列のパイロット信号を用いたが,正弦波の搬送波だけをパイロット信号としてフィードバックしてもよい。この場合、制御局3のフィードバック信号検出器24は,前述の位相差検出器の構成と同様に、乗積器と低域フィルタにより、相対位相差φiと相対強度比Biを推定することができる。
【0054】
このように、第1の実施形態では、基地局2から制御局3に対して、送信信号のフィードバック信号と、アレーアンテナ1での受信信号と、パイロット信号とを多重化して伝送するため、パイロット信号に基づいて、制御局3内で送信信号の相対位相差と相対振幅変動量を検出することができる。また、パイロット信号を用いることにより、周波数シンセサイザ17,37から出力される各局部発振信号の同期確立や、基地局2と制御局3との間で伝送される各ブランチ信号の同期確立が可能になる。
【0055】
また、第1の実施形態では、図4や図5に示すような簡易な構成の位相差検出器51や振幅比検出器52を用いて相対位相差と相対振幅変動量を検出できるため、システムの構成を簡略化でき、コストもそれほどかからない。また、アダプティブアンテナにおける送信ビーム制御を精度よく行えるため、高利得かつ狭ビームにより端末局を追尾することができ、一つの基地局2当たりのカバーエリアを拡大でき、ハンドオフ先基地局2の回線混雑による呼損率を低く抑えることもできる。
【0056】
さらに、メインビームに比べて角度的にセンシティブなヌルの制御を精度よく行えるため、隣接基地局2や他の基地局2と通信中の端末局への干渉を抑えることができ、通信品質を改善できるとともに、システム全体としてのユーザ収容能力の向上が図れる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、図2に示すように、送信信号とパイロット信号を周波数多重する方式について説明したが、送信信号とパイロット信号を時分割多重して制御局3にフィードバックする方式を採用してもよい。
【0058】
この方式を採用すれば、周波数変換器の通過帯域幅を狭くすることができ、また、各コンポーネントのわずかな周波数特性の影響による推定誤差の発生を防止できる。
【0059】
また、光ファイバ中では、多重されている受信信号、送信信号およびパイロット信号を受信後に分離することは容易なため、通信中でも校正を行うことができ、校正のために通信が遮断されるような不具合が起きなくなる。
【0060】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、送信信号の絶対位相を検出するものである。
【0061】
図7は本発明に係る無線通信システムの第2の実施形態のブロック図である。図7では、図1と共通する構成部分には同一符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0062】
図7の基地局2は、図1の基地局2と同様に構成されている。図7の制御局3は、図1の構成に加えて、重み付けされた送信信号のいずれか一つを選択する切替器(制御局内切替手段)71を有する。図7の校正係数演算回路25は、切替器71で選択された送信信号と、フィードバック信号検出器24の出力とに基づいて、送信信号の絶対位相と振幅変動の絶対値を検出する。
【0063】
図7の校正係数演算回路25の出力Cは(12)式のようになる。
【0064】
【数4】
Figure 0003595740
ここで、θiはi番目のブランチの絶対位相、Aiはi番目のブランチの絶対振幅変動量、φiはパイロット信号を基準として求められたi番目の受信ブランチの絶対位相、Biはパイロット信号を基準として求められたi番目の受信ブランチの絶対振幅変動量である。
【0065】
(12)式に示すように、θiとφiとの差分を演算することにより、送信信号の絶対位相と絶対振幅変動量を演算することができる。
【0066】
図7の重み係数演算回路26は、以下の(13)式に基づいて送信信号の重み係数wTiを演算する。
【0067】
Ti=w’Ti・CTi (i=1,2,3) …(13)
アダプティブアンテナを有する無線通信システムでは、送信信号の相対位相と相対振幅変動量がわかれば、正しい送信信号を形成できるが、それ以外の目的で各送信ブランチの絶対位相と絶対振幅変動値を知る必要がある場合に、上述した第2の実施形態は有効である。
【0068】
また、第2の実施形態は、送信信号がフィードバック伝送経路を介して戻ってくるまでの遅延時間、すなわち位相回転が信号の1シンボル長に比べて十分短い場合に有効である。
【0069】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、パイロット信号なしで絶対位相差と絶対振幅変動量を検出するものである。
【0070】
図8は本発明に係る無線通信システムの第3の実施形態のブロック図である。図8では、図7と共通する構成部分には同一符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0071】
図8の無線通信システムは、パイロット信号を伝送しない代わりに、制御局3から基地局2に伝送された送信信号を制御局3にフィードバックする校正用の伝送経路を有することを特徴とする。
【0072】
図8の基地局2は、制御局3からの送信信号のいずれか一つを選択する切替器(基地局内切替手段)72と、切替器72で選択された信号を増幅する増幅器73と、増幅器73で増幅された信号の周波数を変換する周波数変換器(第2の周波数変換手段)74と、周波数変換器74の出力信号を光信号に変換する光/電気変換器(第2の電気/光変換手段)75とを有する。
【0073】
また、図8の制御局3は、基地局2から伝送されてきた送信信号のフィードバック信号を電気信号に変換する光/電気変換器(第2の光/電気変換手段)76を有する。光/電気変換器76の出力信号は、フィードバック信号検出器24に入力される。
【0074】
図8の無線通信システムでは、基地局2内の切替器72と制御局3内の切替器71を順次切り替えて、送信ブランチを一つずつ校正する。ただし、現在校正しているアンテナ素子に対応するブランチを、制御局3と基地局2はともに把握しているものとする。
【0075】
また、図8の無線通信システムでは、各送信ブランチの位相差と振幅変動量は互いに異なっているが、専用のフィードバック伝送経路の位相差と振幅変動量は常に共通であるため、校正係数演算回路25で求められた各ブランチの校正係数は、ブランチ間で相対的な値として求められる。図8に示すようなアダプティブアンテナを有するシステムでは、相対位相と相対振幅が一定であればアンテナパターンは一意に定まるため、絶対的な位相や振幅変動量がわからなくても、校正を正しく行うことができる。
【0076】
また、図8の無線通信システムにおける受信系の校正は、第1の実施形態と同様に、送信系の校正が確立した後、基地局2において送信信号を受信系を介して制御局3にフィードバックし、制御局3で送信信号に対する重み係数で重み付けした送信信号と比較することにより、受信系の校正係数を求めることができる。
【0077】
このように、第3の実施形態では、パイロット信号を用いることなく相対位相差と相対振幅変動量を検出できるため、基地局2内でパイロット信号を挿入して多重化する処理が不要となり、また、制御局3内でパイロット信号を分離抽出する処理も不要となる。したがって、システムの構成を簡略化することができる。
【0078】
(第4の実施形態)
上述した第1〜第3の実施形態では、重み係数演算回路26にて、校正係数を加味した送信信号に対する重み係数を生成して送信信号の重み付けを行う例を説明したが、送信ウェイトによる送信信号の重み付けとは別個に、校正係数による送信信号の重み付けを行ってもよい。
【0079】
図9は本発明に係る無線通信システムの第4の実施形態のブロック図である。図9では図7と共通する構成部分には同一符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0080】
図9の基地局2は、図7と同様に構成されている。また、図9の制御局3内の校正係数演算回路25は、図7と同様の処理を行うが、その処理結果は、重み係数演算回路26ではなく、送信系に新たに設けられた乗算器(第3の重み付け手段)77a〜77cに供給される。
【0081】
また、重み係数演算回路26は、校正係数演算回路25で演算された校正係数を考慮に入れずに、送信ウェイトと受信ウェイトを演算する。乗算器33a〜33cは、送信ウェイトに基づいて送信信号の重み付けを行う。また、新たに追加された乗算器77a〜77cは、重み付けされた送信信号に対して、校正係数に基づいてさらに重み付けを行う。
【0082】
なお、上述した図8の無線通信システムについても、図9と同様に、送信ウェイトによる重み付けと校正係数による重み付けとを別々に行ってもよい。
【0083】
図10は図8を変形した無線通信システムのブロック図である。図10の基地局2は、図8と同様に構成されている。また、図10の制御局3内の重み係数演算回路26は、校正係数演算回路25で演算された校正係数を考慮に入れずに、送信ウェイトと受信ウェイトを演算する。乗算器33a〜33cは、送信ウェイトに基づいて送信信号の重み付けを行う。また、新たに追加された乗算器77a〜77cは、重み付けされた送信信号に対して、校正係数に基づいてさらに重み付けを行う。
【0084】
このように、第4の実施形態では、送信ウェイトによる重み付けと、校正係数による重み付けとを別々に行うため、どちらか一方のみを行うようにすることも可能になる。
【0085】
(その他の実施形態)
上述した各実施形態では、ROF内の伝送方式として副搬送波多重(SCM)方式を用いる例を説明したが、SCM以外の伝送方式、例えば、波長多重伝送方式、複数の光ファイバをそれぞれ別々のブランチに割り当てる方式、時分割多重伝送方式、符号分割多重方式による方法等でも同様のシステムを構築できる。
【0086】
また、上述した各実施形態において、送信用の光ファイバケーブルと受信用の光ファイバケーブルとを別個に設けてもよいが、送受信信号は時分割複信または周波数分割複信されるので、1本の光ファイバで送受信を行ってもよい。
【0087】
さらに、上述した実施形態では、基地局2と制御局3を接続する有線通信媒体として光ファイバを用いる例を説明したが、同軸ケーブルやイーサネットケーブル等を用いたシステムでも、同様の校正処理を行うことができ、同様の効果が得られる。
【0088】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、制御局から基地局に伝送された送信信号を制御局にフィードバックさせ、送信信号とフィードバックされた信号との比較結果、またはフィードバックされた信号のいずれか2つの信号の比較結果に基づいて、送信信号の位相および振幅調整を行うため、制御局および基地局内を送信信号が伝搬する間に生じた位相差や振幅変動量を簡易かつ精度よく校正することができる。
【0089】
また、本発明によれば、通信中においても校正処理を行えるため、校正のために通信が遮断されるおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無線通信システムの第1の実施形態のブロック図。
【図2】合成器で周波数多重化された信号の周波数スペクトル図。
【図3】校正係数演算回路の詳細構成を示すブロック図。
【図4】位相差検出器の詳細構成を示すブロック図。
【図5】振幅比検出器の詳細構成を示すブロック図。
【図6】パイロット信号の到達タイミングと相関強度を示す図。
【図7】本発明に係る無線通信システムの第2の実施形態のブロック図。
【図8】本発明に係る無線通信システムの第3の実施形態のブロック図。
【図9】本発明に係る無線通信システムの第4の実施形態のブロック図。
【図10】第4の実施形態の変形例を示すブロック図。
【符号の説明】
1 アレーアンテナ
1a〜1c アンテナ素子
2 基地局
3 制御局
4 光ファイバ
5a〜5c サーキュレータ
6a〜6c,10a〜10c,28,35 合成器
7 パイロット信号挿入器
8a〜8c ローノイズアンプ
9a〜9c,14a〜14c,23a〜23c,34a〜34c 周波数変換器
11,36a〜36c 電気/光変換器
12,21 光/電気変換器
13,22,32a〜32c 分配器
15 増幅器
16a〜16c カップラ
17 周波数シンセサイザ
24 フィードバック信号検出器
25 校正係数演算回路
26 重み係数演算回路
27a〜27c,33a〜33c 乗算器
29 復調器
31 変調器

Claims (9)

  1. 無線通信端末と、この無線通信端末と無線通信を行う基地局と、この基地局と有線伝送路を介して接続された制御局とからなる無線通信システムにおいて、
    前記基地局は、
    複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナと、
    前記有線伝送路を介して前記制御局から伝送されてきた前記各アンテナ素子に対応した各々の送信信号を、前記有線伝送路を介して前記制御局にフィードバックするフィードバック手段を有し、
    前記制御局は、
    前記フィードバック手段からフィードバックされた前記各送信信号の中から、少なくとも二つの信号を比較し、位相差及び又は振幅変動量を検出する比較検出手段と、
    前記比較検出手段で検出した位相差及び又は振幅変動量に基づいて、前記複数のアンテナ素子に対応した各々の送信信号を補償する補償手段とを有することを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記フィードバック手段は、
    前記複数のアンテナ素子への各送信信号に、位相及び又は振幅が既知のパイロット信号をそれぞれ挿入するパイロット信号挿入手段と、
    前記パイロット信号挿入手段の各出力信号を多重化して前記有線伝送路を介して前記制御局に伝送する伝送手段と、を更に有し、
    前記比較検出手段は、
    前記パイロット信号に基づいて、前記基地局から前記制御局への受信系経路の位相差及び又は振幅変動量を検出する第1の検出手段と、
    前記第1の検出手段の検出結果に基づいて、前記制御局から前記基地局への送信系経路の位相差及び又は振幅変動量を検出する第2の検出手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記フィードバック手段は、
    前記複数のアンテナ素子への各送信信号と、対応する前記アンテナ素子での受信信号とを合成する合成手段と、
    前記合成手段により合成された各信号に、位相及び又は振幅が既知のパイロット信号をそれそれ挿入するパイロット信号挿入手段と、
    前記パイロット信号挿入手段の各出力信号を、それぞれ異なる周波数の信号に変換する複数の第1の周波数変換手段と、
    前記複数の第1の周波数変換手段の各出力信号を多重化する周波数多重化手段と、
    前記周波数多重化手段で多重化された信号を光変調して前記有線伝送路を介して前記制御局に伝送する電気/光変換手段と、を有し、
    前記制御局は、
    前記電気/光変換手段から前記有線伝送路を介して伝送されてきた光信号を電気信号に変換する光/電気変換手段と、
    前記光/電気変換手段で変換された電気信号をそれぞれ異なる複数の周波数の信号に分配する分配手段と、
    前記分配手段で分配された各信号を同一周波数の信号に変換する複数の第2の周波数変換手段と、を有し、
    前記比較検出手段は、
    前記複数の第2の周波数変換手段の各出力信号の中から、前記パイロット信号と前記複数のアンテナ素子への送信信号のフィードバック信号とを抽出する抽出手段と、
    前記パイロット信号に基づいて、前記基地局から前記制御局への受信系経路の位相差及び又は振幅変動量を検出する第1の検出手段と、
    前記第1の検出手段の検出結果に基づいて、前記制御局から前記基地局への送信経路の位相差及び又は振幅変動量を検出する第2の検出手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  4. 無線通信端末と、この無線通信端末と無線通信を行う基地局と、この基地局と有線伝送路を介して接続された制御局とからなる無線通信システムにおいて、
    前記基地局は、
    複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナと、
    前記有線伝送路を介して前記制御局から伝送されてきた前記アンテナ素子に対応した各々の送信信号を、前記有線伝送路を介して前記制御局にフィードバックするフィードバック手段を有し、
    前記制御局は、
    前記複数のアンテナ素子に対応した前記各送信信号の少なくともいずれか一つと前記フィードバック手段からフィードバックされた信号の少なくともいずれか一つとを比較し、両者の絶対位相差及び又は絶対振幅変動量を検出する比較検出手段と、
    前記比較検出手段の比較結果に基づいて、前記複数のアンテナ素子に対応した各々の送信信号を補償する補償手段と、を有することを特徴とする無線通信システム。
  5. 前記制御局は、
    前記複数のアンテナ素子に対応した各々の送信信号のいずれか一つを選択する制御局内切替手段を有し、
    前記比較検出手段は、前記制御局内切替手段で選択された送信信号と、該送信信号に対応する前記フィードバック手段からフィードバックされた信号とに基づいて、該送信信号の絶対位相差及び又は絶対振幅変動量とを検出することを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
  6. 前記フィードバック手段は、前記複数のアンテナ素子に対応した各々の送信信号のうちいずれか一つを選択して前記制御局にフィードバックする専用伝送経路を有し、
    前記比較検出手段は、前記専用伝送経路を介して前記制御局にフィードバックされた信号と、該信号に対応する送信信号とを比較し、該送信信号の絶対位相差及び又は絶対振幅変動量を検出することを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
  7. 前記フィードバック手段は、
    前記複数のアンテナ素子に対応した各々の送信信号と、対応する前記アンテナ素子での受信信号とを合成する合成手段と、
    前記合成手段により合成された各信号を、それぞれ異なる周波数の信号に変換する複数の第1の周波数変換手段と、
    前記複数の第1の周波数変換手段の各出力信号を多重化する周波数多重化手段と、
    前記周波数多重化手段で多重化された信号を光変調して前記有線伝送路を介して前配制御局に伝送する第1の電気/光変換手段と、
    前記複数のアンテナ素子への各送信信号のうちいずれか一つを選択する基地局内切替手段と、
    前記基地局内切替手段で選択された送信信号を周波数変換する第2の周波数変換手段と、
    前記第2の周波数変換手段の出力信号を光変調して前記専用伝送路を介して前記制御局に伝送する第2の電気/光変換手段と、を有し、
    前記制御局は、
    前記第1の電気/光変換手段から前記有線伝送路を介して伝送されてきた光信号を電気信号に変換する第1の光/電気変換手段と、
    前記第1の光/電気変換手段で変換された電気信号を複数の周波数信号に分配する分配手段と、
    前記分配手段で分配された各信号を同一周波数の信号に変換する複数の第3の周波数変換手段と、
    前記第2の電気/光変換手段から前記専用伝送路を介して伝送されてきた光信号を電気信号に変換する第2の光/電気変換手段と、
    前記複数のアンテナ素子に対応した各々の送信信号のいずれか一つを選択する制御局内切替手段と、を有し、
    前記比較検出手段は、前記基地局内切替手段および前記制御局内切替手段を順次に切り替えて、前記アンテナ素子のそれぞれごとに、該信号に対応する送信信号と前記第2の光/電気変換手段の出力信号とを比較し、該送信信号の絶対位相差及び又は絶対振幅変動量を検出することを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
  8. 前記アレーアンテナは、送受信ビームの指向性を変更可能なアダプティブアンテナであり、
    前記制御局は、
    前記アダプティブアンテナの指向性を変更するため、前記各アンテナ素子に対する位相及び振幅に関するアダプティブアンテナ重み係数を演算するアダプティブアンテナ重み係数演算手段とを更に具備し、
    前記補償手段は、
    前記比較検出手段の比較結果に基づいて、前記複数のアンテナ素子に対応した各々の送信信号の位相差及び又は振幅変動量を推定するための校正係数を演算する校正係数演算手段と、
    前記アダプティブアンテナ重み係数と前記校正係数を基づいて送信重み係数と受信重み係数とを演算する重み係数演算手段と、
    前記受信重み係数に基づいて、前記複数のアンテナ素子での受信信号の重み付けを行う第1の重み付け手段と、
    前記送信重み係数に基づいて、前記複数のアンテナ素子への送信信号の重み付けを行う第2の重み付け手段とからなることを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
  9. 前記有線伝送路は、光ファイバを用いた伝送路であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無線通信システム。
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