明細書 消失模型錶造法および繊維補強塗型 技術分野
この発明は、 溶融金属の銪造における、 砂型鍊型内壁、 金型錶型内壁、 または、 消失模型に塗布する塗型、 および、 燃焼する消失模型から鎵造物への炭素吸収を 軽減する消失模型錶造方法、 特に、 消失模型の効率的な燃焼によって、 錶造物へ の炭素吸収を軽減する鎵造方法に関する。 従来の技術
一般に、 溶融金属 (以下、 「溶湯」 という) を鎵型である砂型に注入すると、 溶湯が砂型の骨材間に進入し、 物理的結合、 化学的結合を起こす。 また、 金型錶 造では溶湯と金型壁とが融着し、 鎵造物が錡型から分離出来なくなり、 強制的に 分離すると著しく錶物の商品的価値を損ずる。 このような現象を防止するため、 砂型の内壁、 または金型の内面に、 微細な耐火物骨材、 粘結剤として作用する添 加材及び溶媒とからなる塗型を層状に塗布して、 銪型と铸造物との結合又は融着 を防止する。 塗型の層は、 鎵造を開始すると溶湯の放射熱で加熱され、 層の表面は急激に加 熱され、 その温度差により応力が発生し、 その応力により塗型の層に亀裂が発生 する。 従って、 塗型の層と砂型壁または金型壁との接着が弱いと、 塗型の層が铸 型壁より剥離 ·落下する。 その結果、 塗型としての機能が果たせず、 一般的に、 铸物表面にベーニング ( 砂の焼き付き) 欠陥と言われている錶造欠陥、 及び、 その剥離塗型の層の溶湯へ の巻き込みによる錶物内部の塗型嚙み欠陥が発生する。
この欠陥の手入れには相当の工数を要し、 しかも、 これらの欠陥は、 完全に補 修しえず品質的にも問題となる。 なお、 塗型の層は、 厚いほどその欠陥防止効果 は期待されるが、 この層の剥離 '落下の傾向は、 層の厚い方が発生応力が大きく なるので、 顕著となる。 消失模型銪造法の塗型は、その錶造法の特殊性の故に、 鍊型に直接塗布するこ とが出来ず、 模型側に塗布する。 そのため、 塗型の層と ¾型壁との接着力が極め て弱く、 塗型の層の剥離…落下が発生しやすく、 ベーニング欠陥、 塗型嚙み欠陥 が多発する。 その対策として、 消失模型錡造法においては、 模型に塗布後、 塗型を乾燥固化 する前に、直ちに、塗型の層の表面に銪型材と同材料の骨材の微粒子を散布して、 骨材微粒子の付着力を利用する方法、 骨材微粒子と鍊型中に含まれる塗型中の粘 結剤との付着力を利用する方法、 または、 乾燥固化した塗型の上に接着材を塗布 し、 その状態で造型を行い、 塗型の層と踌型壁とを接着させる等の方法が取られ ている。 一方、 一般の鎵造法においては、 溶湯の熱を利用し、 S融点でガラス化する物 質を塗型の層と銪型壁との間に塗布して、 塗型の層の剥離を防止する方法が特開 昭 5 8— 8 1 5 4 0号公報に開示されている。 しかし、 この技術は、 模型側に塗 型の層を形成する消失模型銪造法には利用出来ない。 また、 低融点でガラス化す る物質と塗型とを二度塗布することは、多大な工数を要するので現実性に欠ける。 更に、 従来の塗型層の剥離 ·落下防止に対する技術では、 塗型は通常脆弱なも のとし、 塗型の層を強力に銃型壁に粘着することを目的としているので、 塗型の 層自体の強度で溶湯からの加熱の応力に耐えることは考慮していない。 また、 固 化した塗型の層を少量の粘結剤と塗型の層の凹凸とで銪型壁に固定しょうとして いる。
更に、 消失模型錶造法は、 有機物の発泡体である発泡ポリスチレン(E P S )、 または分解能力を改善した発泡ポリメタ 'クリル酸エステル (E P MMA) で目 的とする形状の模型を製作し、 その発泡体模型を水ガラス、 フラン樹脂等の粘結 剤を添加した铸物砂 (自硬性砂) や、 粘結剤を入れない铸物砂やショット (微細 鉄粒) (以下銪型材という) 中に埋め込み、 模型を取り去らず、 そのまま溶湯を 注湯し、 その熱で模型を分解 ·置換せしめ、 目的の形状の铸物製品を得る錶造法 である。 消失模型鎵造法は、 錶物製品の空洞を形成する中子が不要であり、 またその組 立も不要となり、 極めて高能率の錶造法である。 この錶造法は数 gから数 T o n までの製品が銪造できるので、 銪造品の重量、 寸法的には制限が無い利点を備え ている。 一方、 レプリキャスト C S法 (例えば、 J A C T N E W S 第 3 3 2号, 第 4版鋅型造型法) は、 精密銪造のロウ模型の代わりに消失模型銃造用の発泡体模 型の上に精密銪造用泥しょう (スラリ) を重ね塗りし、 固化乾燥させる。次いで、 そのスラリを塗布した模型全体を約 1 0 0 0 °Cの焼成炉中に入れ、 スラリを焼成 すると同時に発泡体模型を燃焼消失させ、 内部が空洞となった薄いセラミツクシ エルを製作し、 これをあらためて銪物砂叉はショット中に埋め、 銪型を形成し銪 造する銪造法である。 このレプリキャスト C S法の特徴は、 銪込み前の段階で発泡体模型を燃焼消失 させてしまうため、 発泡体模型の分解による炭素分の製品への浸入が防止できる 点である。 このレプリキャスト C S法は炭素成分が厳しく制限されている低炭素 ステンレス鋼も問題なく铸造可能とされている。 しかし、 この方法は、 基本的に 精密錶造法であり、 精密な小物が錶造出来るが、 薄いセラミックシェルの強度の 点から比較的大型の铸造品には適用できない。
更に、 一般の消失模型銃造法は、 重量、 寸法的には制 Sが無いという利点があ るが、 注入される溶融金属、 例えば溶鋼の熱で直接的に ¾泡体模型を燃焼消失さ せるため、 燃焼消失する過程で発生する分解ガスから炭素、 その他のガス成分の 溶鋼への浸入、 溶鋼側から見れば吸収は避けられない。 そのため、 完成した踌造品には、 元の溶鋼に対し 0. 05〜0. 45wt%の 不安定な炭素分の上昇が起こる。 したがって溶鋼の炭素分が元々多く、 この発泡 体模型の分解による炭素成分の浸入が問題とならない銪鉄 (一般に C=2. 5〜 3. 5wt %) に多く使用される。 しかし、 溶鋼の炭素量が少なく、 有機発泡体 模型の分解から炭素量の増加があり、 そのため組織の不均一、 硬度のバラツキ等 が問題となる銃鋼には適用されない。 このような錶鋼としては、 例えば炭素鋼銪鋼品 (J I S G 5 10 1 )、 溶 接構造用銬鋼品 (J I S G 5 102)、 構造用高張力炭素鋼および低合金鋼 銪鋼品(J I S G 5 1 1 1 )、 ステンレス鋼銪鋼品( J I S G 5 12 1)、 耐熱鋼錶鋼品 (J I S G 5 122 )、 高マンガン鋼銬鋼品 (J I S G 5 13 1)、 高温高圧用铸鋼品 ( J I S G 5 1 5 1 )、 S温高圧用錡鋼品 ( J I S G 5 1 52) 等がある。 また、一般の消失模型鎵造法は、発泡体模型の構成元素である炭素以外の水素、 酸素、 及び窒素成分の溶湯への吸収と凝固時のガス排出によるガスブロー欠陥の 発生が多い。 この炭素浸入及びガスブロー欠陥の発生を防止、 軽減す ¾ため、 製品体積と表 面積との比 (ガス発生量とガス排出面積の比) と使用する模型の発泡スチレン/ メ夕クリル酸エステルの重合割合との関係を論じた特開平 10— 76347 号 公報等の研究が開示されているが未だ完全に解決されていない。 これらの方法は
基本的に溶湯の熱で直接的に発泡体模型を分解消失させようとしているためであ る。 従来のレプリキャスト C S法は強度を有する発泡体模型を燃焼消失させると同 時に 2〜3 mm厚さのセラミックシェルを焼成し、 それをあらためて鈸物砂ある いはショヅト中に埋め銪型を形成するため、 その簿ぃ 2〜3 mmの脆弱なシェル の運搬、 埋め込みをしなくてはならず破損の恐れが有り、 又焼成炉に入る寸法で なくてはならず、 大型の物は銃造出来ない。 前述の文献に見るように 1 0 O K g 程度まである。 溶湯への炭素、 水素、 酸素および窒素の吸収を解決しょうとして銪込み前に発 泡体模型を燃焼消失させればよいが、 通常の塗型剤を塗布した消失模型を錶込み 前の段階で湯口等より空気、 酸素を供給し燃焼消失させてしまうと、 溶湯と銪型 骨材との反応を防止し錶物製品の品質を保証するための塗型剤層は、 銪型材側に は何ら固定されていないため、 支持を失い燃焼時の熱応力により容易に破壊、 落 下し、 錶型空間内に堆積する。 また、 非粘結剤銬物砂を利用する消失模型錶造法においては、 銪型空間は破壊 され、 製品形状を保ち得ない。 このような状態の銪型に溶湯を鎵込み銪造製品を 得ようとしても満足な製品を得ることは出来ない。 従って、 この発明の目的は、 塗型で形成される層の強度を高くし、 模型の燃焼 時および銪造時における加熱により銪型壁から容易に剥離しない塗型を提供する ことにある。 更に、 この発明の目的は、 燃焼する消失模型から錶造物への炭素、 水素、 酸素および窒素の吸収を軽減することができる消失模型錶造方法を提供す ることにある。 更に、 この発明の目的は、 銃型内に埋められた消失模型の効率的 な燃焼によって、 鋅造物への炭素、 水素、 酸素および窒素の吸収を軽減する鍩造 方法を提供することにある。
発明の開示
発明者等は、 上述した従来の問題点を解決するために、 鋭意研究を重ねた。 そ の結果、 市販されている消失模型錶造用塗型剤にガラス^維等の繊維補強材を混 入させた繊維補強塗型を使用すれば、 乾燥状態で強固な塗型剤層を消失模型の外 面に形成させることができ、 この繊維補強塗型を塗布した模型をガスバーナー等 で赤熱し、 その消失模型を燃焼消失させ、 その後、 放置し常温まで温度を下げて も、 更に 2〜3回加熱 ·冷却を繰り返しても熱応力により破壊されることなく、 その形状を充分に保ち得ることを知見した。 更に、 鎵型に埋められた消失模型を燃焼する場合に、 ¾素の供給口と、 撹拌用 空気の供給ロを堰部と揚がり部とに別々に設け、 酸素を铸型湯口から連通した堰 部から供給し、 撹拌用空気を揚がり部から鎵型内に吹き込むように供給すること によって、 消失模型の隅々まで完全に燃焼させることができることを知見した。 更に、 下流側の通気口出口において着火することによって、 铸型内に埋められ た消失模型を燃焼させる場合に、 爆発現象を発生させることなく安全に着火する ことができることを知見した。 更に、 塗型の層に繊維を混入させると、 塗型の層自体の強度を上げることがで き、 模型の燃焼時および銪造時の溶湯からの加熱による熱応力を受けても強度と 変形能力が極めて大となり、 銃型内面壁からの塗型の層の剥離 ·落下を防止でき ることを知見した。 この発明は上述した知見に基づいてなされたものである。
発明の第 1の態様は、 下記の工程を備えた消失模型鎵造法である。
( a ) 予め繊維補強材を混入させた塗型を消失模型に塗布し、 乾燥固化または自 硬後乾燥する工程と、
( b ) 前記乾燥させた模型を銪型材中に埋め込んで銪型を作成する工程と、
( c ) 前記錡型内にある消失模型を燃焼させる工程と、
( d ) 前記燃焼で形成された空間内に溶融金属を注入して铸造する工程。
本発明においては、 塗型に繊維補強材を混入してあるので、 溶融金属を注入する 前の段階で消失模型を燃焼させても、 塗型自体が強固なシェルを形成しているの で破損せず、 良好な鎵物を鎵造できる。 発明の第 2の態様は、 前記繊維補強材が金属繊維、 天然アスベスト、 ガラス繊 維、 シリカ繊維、 炭素繊維、 アルミナ繊維、 シリコンカーバイ ト繊維の 1種又は 2種以上の混合繊維であり、 かつその長さが 6〜 3 0 mmである繊維補強材であ ることを特徴とする消失模型銪造法である。 金属繊維、 天然アスベスト、 ガラス繊維、 シリカ繊維、 炭素繊維、 アルミナ繊 維、 シリコンカーパイ ト繊維は模型を燃焼した際乾燥した塗型剤に強度を与え、 形状を保持し、 その後の錶造においても破損することがない。 なお、 燃焼後、 繊 維を固定する塗型剤中の粘結剤は弱くなつており、 そのため、 補強繊維は長い方 が強度は得られるが、 銪造作業上および混練作業上 6 mm以上であることが望ま しく、 通常 3 0 mm以下が適当である。 本発明の消失模 S鎵造法においては、 上 記の通り無機質の繊維が望ましい。 有機質の繊維は模型の燃焼時に燃焼して存在 しないため塗型剤の層の強度が低下し塗型剤の層が破壊するので望ましくない。 第 1の態様に示す以外の、 銪型材中に消失模型を埋めたまま溶湯を注入する型 の一般に広く実施されている消失模型铸造法においては、 補強繊維は銪造に際し て溶湯が銪型に満たされる間のみ機能すればよい。 塗型の層の熱伝導率の低さを 考慮すれば、 特別な耐熱性は不要であり、 ビニロン繊維、 プロピレン繊維、 ァラ ミ ド繊維、 ポリエチレン繊維等の有機物でも使用できる 発明の第 3の態様は、 前記消失模型が発泡性樹脂からなる模型であることを特
徴とする消失模型銪造法である。 発明の第 1の態様に示す消失模型鍊造法におい ては、 酸素を使用し強力に燃焼させるから、 可燃物であれば種類を問題にしない が、 特に発泡性樹脂は容易に燃焼するので模型として好適である。 発明の第 4の態様は、 前記発泡性樹脂が、 ポリスチレン (E P S )、 または分 解能力を改善したポリメタクリル酸エステル (E P M M A ) のいずれかであるこ とを特徴とする消失模型銃造法である。
上記発泡性樹脂は通常市販されているので、 本発明に;系る模型材として好適で ある。 発明の第 5の態様は、 前記銪型が砂型銪型、 またはショット銪型であることを 特徴とする消失模型鎵造法である。
通常の砂型鍊型およびショット錶型に本発明は適用できる。 発明の第 6の態様は、 前記消失模型の燃焼が、 錶型湯口から連通した堰部及び 補助燃焼用配管部から空気及び酸素を供給しながら、 模型に点火することを特徴 とする消失模型銃造法である。
消失模型を充分燃焼させ炭素分を残留させないために:ま模型内に補助燃料用の 配管を設けて空気または酸素を供給することが望ましい。 発明の第 7の態様は、 前記溶融金属が炭素銪鋼品、 構造用高張力炭素鋼品、 低 合金鋼铸鋼品、 及びステンレス鋼錶鋼品の錶鋼のいずれかであることを特徴とす る消失模型銪造法である。
本発明は消失模型を利用して錶造する溶融金属のいずれにも適用できるが、 溶 融金属に炭素を与えないという点から、 炭素量が規格等により規定されている錶 鉄 ·銪鋼に対して特に好適に適用できる。 発明の第 8の態様は、 下記の工程を備えた消失模型錡造法である。
( a ) 予め繊維補強材を混入させた塗型を消失模型に塗布し、 乾燥固化または自 硬後乾燥する工程と、
( b ) 前記乾燥させた模型を錡型材中に埋め込んで銪型を作成する工程と、
( c ) 前記銪型内にある消失模型を、 酸素および撹拌用空気を供給して、 燃焼さ せ消失する工程と、
( d ) 前記燃焼で形成された空間内に溶融金属を注入して銪造する工程。 発明の第 9の態様は、 酸素の供給口と、 撹拌用空気の供給口を別々に設け、 酸 素を銪型湯口から連通した堰部から供給し、 撹拌用空気を揚がり部から銪型内に 吹き込むように供給しながら、 模型に点火して、 前記消失模型の燃焼を行うこと を特徴とする消失模型鍩造法である。
酸素の供給口と、 撹拌用空気の供給口を別々に設け、 素を錶型湯口から連通 した堰部から供給し、 撹拌用空気を揚がり部から錶型内に吹き込むように供給す ることによって、 模型の隅々まで完全に燃焼させることができる。 発明の第 1 0の態様は、 前記撹拌用空気の供給に際して、 銪型壁と模型燃焼面 によって形成される空間内に供給される酸素含有気体を、 前記空間内において十 分に撹拌して、 前記空間内における熱の発生を均一にすることを特徴とする消失 模型鍩造法である。 発明の第 1 1の態様は、 更に、 前記空間内において燃焼によって発生した排ガ スを速やかに前記空間内から排出するように、 前記撹拌用空気を供給することを 特徴とする消失模型銪造法である。 発明の第 1 2の態様は、 前記消失模型に通気口を設け、 前記通気口から酸素ま たは酸素と空気との混合気体を供給し、 前記通気口出口付近における前記消失模 型の下流範囲における未燃焼ガスおよびその廻りの空気との混合気体を安定的に 燃焼するように着火することを特徴とする消失模型鎵造法である。
発明の第 1 3の態様は、 前記消失模型に通気口を設け、 前記通気口から酸素ま たは酸素と空気との混合気体を供給し、 前記酸素または酸素と空気との前記混合 気体の流れに関し、 下流側の通気口出口において着火することを特徴とする消失 模型鎵造法である。
下流側の通気口出口において着火することによって、 鏵型内に埋められた模型 を燃焼させる場合に、 爆発現象を発生させることなく安全に着火することができ る 発明の第 1 4の態様は、 耐火物骨材、 無機質又は有機貢の添加材及び溶媒を主 成分とする塗型に、 長さ 6 ~ 3 0 mmの無機質又は有機質の繊維補強材を 5重量 %以下を配合して補強したことを特徴とする繊維補強塗型である。
鍊型壁に塗布した塗型に上記長さの繊維補強材が混入していると、 加熱されて も一定の強度があり、 熱応力が発生しても変形能力は大となり、 またたとえ亀裂 が発生しても塗型の層は鎵型壁から容易に剥離しないので、 錶造欠陥を生ずるこ とは減少する。 発明の第 1 5の態様は、 前記繊維補強材が、 金属繊維、 天然アスベスト、 ガラ ス繊維、 シリカ繊維、 炭素繊維、 アルミナ繊維、 シリコンカーバイ ト繊維、 ビニ ロン繊維、 ポリプロピレン繊維、 ァラミ ド繊維、 ポリエチレン繊維のいずれか 1 種または 2種以上の混合物であることを特徴とする繊維補強塗型である。
上記繊維は容易に入手でき、 また、 いずれの繊維も塗型の層を強化でき、 銪造 欠陥を防止できる。 上述のように、 消失模型銪造法の塗型は、 その銪造法の特徴のため、 直接に銪 型に塗型を塗布出来ず、 模型側に塗布する。 そのため、 塗型の層の加熱応力に対 し、鍊型壁との接着力が極めて弱く、 この塗型の層の剥離、 落下が発生しやすく、 ベ一ニング欠陥、 塗型嚙み欠陥が多発する。 そこで、 繊維補強塗型は特にその効
果を発揮する。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施した炭素吸収試験用試験片の銪造における塗型の塗布状況、 補助 燃焼配管、 通気口及び電気式発火装置の配置を示す図である。
図 2は、 炭素吸収試験用試験片を鎵物砂中に造型し、 铸込み前の段階で模型を 燃焼消失している状況を示す図である。
図 3は、 燃焼消失後の錡込み状況を示す図である。
図 4は、 銪造した炭素吸収試験用試験片における炭素成分の分析位置を示す図 である。
図 5は、 E P S製模型を使用した銪造における鎵物の炭素分布を表 1として示 す図である。
図 6は、 E P MM A製模型を使用した銪造における錶物中の炭素分布を表 2と して示す図である。
図 7は、 この発明の燃焼方法を説明する図である。
図 8は、 着火後の盛んに燃焼している状況のやや後半を示す図である。
図 9は、 燃焼後の繊維補強塗型で保持された銪型空洞内を示す図である。 図 1 0は、 この発明の着火法の原理を説明する図である。
図 1 1は、 この発明の着火法の詳細を示す図である。
図 1 2は、 消失模型銪造法の概要を示す図である。
図 1 3 ( a ) と (b ) は、 図 1 2の Z部の詳細を示す図で、 消失模型用模型の 表面に従来の塗型と本発明塗型を塗布し、 鍊造した場合における従来の塗型と本 発明塗型の挙動を示す図である。
図 1 4 ( a ) と (b ) は、 従来に対する本発明の塗型の効果を示した図である。 図 1 5は、 繊維補強塗型層の強度の測定方法を示す図である。
図 1 6は、 市販の塗型剤に各材質の繊維を混入させた場合の長さと強度との関 係を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、 基本的に下記の工程を備えた消失模型鋅造法である。
( a ) 予め繊維補強材を混入させた塗型を消失模型に塗布し、 乾燥固化または自 硬後乾燥する工程と、
( b ) 前記乾燥させた模型を銪型材中に埋め込んで銪型を作成する工程と、
( c ) 前記铸型内にある消失模型を燃焼させる工程と、
( d ) 前記燃焼で形成された空間内に溶融金属を注入して铸造する工程。
本発明においては、 塗型に繊維補強材を混入してあるので溶融金属を注入する前 の段階で消失模型を燃焼させても強固なシェルを形成しているので破損せず、 良 好な錶物を銪造できる。 上記繊維補強材としては金属繊維、 天然アスベス ト、 ガラス繊維、 シリカ 9 5 w t %のシリカ繊維、 シリカ 9 9 . 8 w t %の石英繊維等のシリカ繊維、 炭素繊 維、 純度 7 0〜9 9 . 5 w t %のアルミナ繊維、 シリコン力一バイ ト繊維の 1種 又は 2種以上の混合繊維が望ましく、 またその長さが 6 ~ 3 0 mmが望ましい。 使用する繊維の長さは、 基本的に塗型剤中の粘結剤の繊維および骨材への付着力 によって決定されているが、 一度加熱された粘結剤の付着力は弱く出来るだけ長 くすれば良いが、 6 mm未満では塗型の保持力がなく、 3 0 mmを超えると取り 扱いが不便である。 上記の通り無機質の繊維が望ましい。 繊維補強塗型の加熱後 の強度は、 その繊維自体の耐熱度によっても影響を受けており、 より熱間で安定 的な繊維を使用したものが最も強度を出現する。 上記の無機質の繊維はいずれも 耐熱性を有し、 いずれも本発明の消失模型銪造法に使用できる。 有機質の繊維は 模型の燃焼時に燃焼して残存しないため塗型剤の層の強度が低下し塗型剤の層が 破壊するので望ましくない。 塗型としては、 通常巿版されている塗型剤であれば使用できるが、 上記繊維と のなじみからャマシロコ一卜 S— 9 8 F (商品名) 等が望ましい。
消失模型としては容易に燃焼する材質であればよく、発泡性でなくともよいが、 発泡性樹脂からなる模型であると、 容易に燃焼するので模型として好適である。 このような発泡性樹脂としては、 ポリスチレン (E P S )、 または分解能カを改 善したポリメ夕クリル酸エステル (E P MMA) 等がある。 上記発泡性樹脂は通 常市販されているので、 本発明に係る模型材として好適である。 铸型としては砂型錶型、 またはショット鍊型等通常使用されている銪型であれ ばよい。 消失模型を完全に燃焼させるためには、 模型内に咧えば鎵型湯口より通 じた堰部及び内部に補助燃焼用配管部から空気または酸素を供給しながら、 模型 側に設けた発火装置により点火する。 消失模型を充分燃焼させ炭素分を残留させ ないためには補助燃焼用の配管を設けて空気または酸素を供給することが望まし い。 更に、 この発明の消失模型錄造法は、 下記工程を備えている。
( a ) 予め繊維補強材を混入させた塗型を消失模型に塗布し、 乾燥固化または自 硬後乾燥する工程と、
( b ) 前記乾燥させた模型を銪型材中に埋め込んで銪型を作成する工程と、
( c ) 前記銃型内にある消失模型を、 酸素および撹拌用空気を供給して、 燃焼さ せ消失する工程と、
( d ) 前記燃焼で形成された空間内に溶融金属を注入して銪造する工程。 更に、 この発明の消失模型銪造法において、 酸素の供給口と、 撹拌用空気の供 給口を別々に設け、 酸素を銃型湯口から連通した堰部から供給し、 撹袢用空気を 揚がり部から铸型内に吹き込むように供給しながら、 模型に点火して、 前記消失 模型の燃焼を行う- 更に、 この発明の消失模型銃造法において、 前記撹拌用空気の供給に際して、 銪型壁と模型燃焼面によって形成される空間内に供給される酸素含有気体を、 前
記空間内において十分に撹拌して、 前記空間内における熱の発生を均一にする。 更に、 この発明の消失模型銃造法において、 更に、 前記空間内において燃焼に よって発生した排ガスを速やかに前記空間内から排出するように、 前記撹拌用空 気を供給する。 更に、 模型の効率的な燃焼について以下に詳細に説明する。
銃型内に埋められた模型の燃焼状態を、 熱 (燃焼温度)、 可燃物及び酸素の燃 焼の 3要素を踏まえて考察すると、 以下の通りである。
第 1 条件である燃焼温度に関して、 発明者の研究に拠れば、 銪型内で発泡性 樹脂が燃焼している時点で、 最も温度が低いと考えられる最外部の塗型部分にお ける最高温度は約 1000°C、 最低温度でも 550°Cあり、 それより内側部分では、 さらに高温であると推定される。 従って、 十分に発泡性樹脂等の有機物を燃焼で きる温度に達している事を確認することができる。 第 2 条件である可燃物は、 可燃物である発泡性樹脂を燃焼させている事から 判断して、 十分に存在している。 第 3 条件の酸素に関して、 酸素が供給された 分だけ可燃物である模型が燃焼するので、 燃焼時間即ち發素の供給時間には制限 が無く、 酸素の絶対値は十分に存在している。
上述したところから明らかなように、 鎵型全体として見れば、 基本的に燃焼の 3要素は満たされており、 模型の完全燃焼が行われるはずである。 しかし、 現実には、 不完全な燃焼が発生し、 煤及びタール状の凝縮物が残るこ とがある。 即ち、 例えば、 大型の複雑形状の製品の場合には、 隅部、 凹部等の形 状的に酸素含有気体の気流の到達が困難な部分においては、 十分な酸素が得られ ず燃焼が悪くなることがある。 その結果、 燃焼消失後形成される銪型空洞内の上 型面隅部を中心に煤、 下型面の隅部を中心に模型の煤とタール状の凝縮物、 およ び、 下型面全体に夕一ル状の凝縮物が堆積することがある。
上述した煤及びタール状の凝縮物が残る原因は、 これらの現象が銪型壁と模型 燃焼面で形成された空間内での気体状の酸素と気体状の可燃物の分布が不均一に なり、 その結果、 空間内の熱の分布も不均一に成り、 焼も不均一となるからで あると考えられる。 従って、 先ず、 酸素、 ガス状の可燃物の分布の均一化を図り、 その空間内での 熱の発生を均一にすることが重要である。 次に、 このように発生した均一な熱に より可燃物のある模型燃焼面に均一な熱を供給しながら、 同時に酸素も均一に供 給することが重要である。 更に、 燃焼により発生した排ガスを、 部分的に滞留さ せることなく速やかにその空間外に排出することが重要である。 従って、 上述し た状況を成立させながら、 模型燃焼面を着火面から順次掂大して燃焼させること によって、 煤及びタール状の凝縮物を残留させないことができる。 更に、燃焼の最終の時点においては、熱の低下により、可燃物の蒸発も低下し、 燃焼条件が悪化しているから、 特に酸素を多くする必要があり、 この条件を成立 させる必要がある。 即ち、 順次空気量を減少させ酸素量を増すことにより、 撹拌 用空気による燃焼部よりの奪熱を少なくし、 酸素を多く供給することにより、 隅 部、 凹部等の燃焼条件の悪い部分も完全に燃焼することができる。 具体的には、 酸素の供給口と空気の供給口を別々に分散して設け、 酸素は堰部 から供給し、 攛拌用空気は、 鍊型への溶湯注湯の場合に铸型内の空気を速やかに 排出するために設けられている揚がり部から供給する。 撹拌を主目的した流速の 高い大量の空気を、 揚がり部から逆方向に銪型内へ吹き込むことによって、 燃焼 によって形成された銃型壁と模型燃焼面とによって形成される空間内の熱、 可燃 物、 酸素を均一にすることができる。 同時に、 吹き込まれる多量の撹袢用空気によって、 燃焼により発生した排ガス を速やかに錶型外へ排出して、 空間内に存在する酸素の濃度を全体的に上げるこ
とができる。 その結果、 上型面側の燃焼面から雨滴状に ¾下する凝縮物も完全に 燃焼することができる。 撹拌用空気は、その奪熱効果により銪型内の排ガス温度を低下させるとともに、 炎に曝された繊維補強塗型壁に加わる熱応力を低下させる働きがあり、それだけ、 塗型剤層の剥離、 落下、 変形が生じる確率が減少することになる。 燃焼の最終時点においては、 順次撹拌用空気を減少させ、 錡型内空間を高濃度 の酸素で満たすことにより、 模型の隅々まで完全に燃焼させることができ、 燃焼 消失後の鎵型内を十分に良好な状態にすることができる。 この発明の燃焼方法によると、 燃焼後に隅部、 凹部に煤や凝縮物が残ることも 無く、同時に下型面に落下して堆積するタール状の凝縮物も無くなる。その結果、 燃焼が不完全となると考えられる部分に、 燃焼促進のために事前に酸素を供給し ている純酸素供給用配管も不要となり、 作業の繁雑さも軽減することができる。 更に、 この発明の消失模型銃造法において、 前記消失模型に通気口を設け、 前 記通気口から酸素または酸素と空気との混合気体を供給し、 前記通気口出口付近 における前記消失模型の下流範囲における未燃焼ガスおよびその廻りの空気との 混合気体を安定的に燃焼するように着火する。 更に、 この発明の消失模型錡造法において、 前記消失模型に通気口を設け、 前 記通気口から酸素または酸素と空気との混合気体を供給し、 前記酸素または酸素 と空気との前記混合気体の流れに関し、 下流側の通気口出口において着火する。 以下に、 模型を燃焼させる場合の、 下流側の通気口出口において着火する着火 法について以下に説明する。
酸素または酸素と空気の混合気体を模型内に導入する通気口の入口側、 即ち、
気流の流れに関して上流側において着火すると、 特に大型模型の場合に、 着火直 後に酸素または酸素と空気の混合気体の入口側と反対側の出口側部分において爆 発現象を起こし、大きな音の発生、周辺物の破壊や飛散等を発生することがある。 上述した爆発現象は、 下流範囲の未燃ガスとその廻りの空気との混合気体部分の 燃焼が不安定であるために発生する。 従って、 下流範囲の燃焼を安定させれば解決できると考えられる。 このため、 一般的には、 下流範囲に安定的燃焼を与えるァフ夕一パーナ一を取り付けること が考えられるが、 この方式は、 バーナーの設置及びその着火タイミング等が煩雑 になり、 十分な解決法とは成らない。 図 1 0は、 この発明の着火法の原理を説明する図である。
図 1 0の A は、 着火時の状況を示す図である。 消失模型 2 0 1の中央部に通 気口 2 0 2を設け、 一端から、 酸素又は酸素と空気の混合気体 2 0 4を流す。 そ の後、 通気口の出口部 2 1 6、 すなわち、 酸素又は酸素と空気の混合気体 2 0 4 の流れに関して、 下流側に着火用バ一ナ 2 1 7によって着火する。 図 1 0の Bは、 着火直後の状況を示す図である。
図 1 0の B に示すように、 通気口出口側に着火すると、 下流範囲 2 1 4にお いては、 着火による熱と模型の可燃物と空気中の酸素 2 1 3との燃焼の 3要素が 構成され火炎 2 1 9を発生し安定的に燃焼する。 この状態は、 アフターバーナー を設置した状態と同様となり、 爆発現象は発生せず安定的に安全に燃焼する。 こ の安定的燃焼は全体の燃焼がほぼ完了し、 一部 "おき火"状の燃焼が残る状態に 移るまで継続する。 着火部に着火され発生した火炎は、 直ちに通気口内を上流側へ延焼するが、 そ の上流側の先端部分 2 1 8は、酸素又は酸素と空気の混合気体 2 0 4による酸素、 着火部より延焼した熱、 通気口廻りの可燃物の燃焼の 3 要素が十分に満たされ
ているため、 激しく燃焼し、 陶管製の堰部 2 0 3まで直ちに延焼し、 そこで停止 しする。 この時、 中流範囲 2 1 0の一度燃焼した部分 2 2 0では酸素不足となり、 通気 口の横方向すなわち壁面方向には燃焼は広がらない。
図 1 0の Cは、 着火後の全体的安定燃焼状況に入る状況を示す図である。 図 1 0の Cに示すように、 火炎が上流範囲 2 0 8の最上流側へ延焼するとともに、 上 流範囲が盛んに燃焼する。 同時に中流範囲 2 1 0では、 酸素不足のため燃焼が不 安定になる。 着火後約 1〜2 分以内では通気口の小空間内で小爆発 2 2 1を発生 し "ポンポン" と音を発生する。 しかし、 模型内の通気口内の小空間での小爆発 であり不安全なことは無い。 上流範囲 2 0 8を中心にした燃焼の中心 2 2 2は、 その後順次下流側の中流範 囲 2 1 0へと移動する。この時点では、上流範囲で消費される酸素も少なくなり、 中流範囲での酸素も十分となり爆発は発生しない。 この時点でも下流範囲 2 1 4 の火炎 2 1 9は大気中の酸素 2 1 3の安定的供給により安定的に燃焼を続け、 ァ フ夕ーバーナーしての作用を持続している。 この様な燃焼過程を通じ、 最終的に 中流範囲のやや下流側で燃焼は完了する。 これは、 最下流側の通気口出口廻の模 型面 2 2 3 (可燃物) が大気中の酸素のため、 少しづつ上流側に燃焼するためで ある。
上述したように、 この発明の着火法によると、 錡型内に埋められた模型を燃焼 するとき、 安全に着火できる。 塗型は通常耐火物である骨材、 粘結剤からなる添加材及び溶剤から構成されて いる。 骨材はシリカ、 アルミナ、 ジルコン等各種の耐火物粒子からなる。 粘結剤 として作用する添加材は粘土、 ベントナイ ト、 シリカゾル等の無機材とフエノー ル樹脂、 ロジン樹脂、 リグニン等の有機材であり、 溶媒としては水、 メタノール 等がある。
塗型を砂型又は金型の銪型内面に塗布し、 乾燥後銪造を行う。 しかし、 消失模 型錡型の場合には模型の表面に塗型を塗布する。 高温の溶湯が銪型内に侵入する と加熱され、 塗型の層に亀裂が発生するが、 亀裂で囲まれ、 支える物が無くなつ た状態の塗型の層と、 いまだ剥離、 分離されていない塗型の層の間を繊維状物質 が連結することにより剥離、 分離された塗型の層が分離、 落下するのを支え防止 する。 そのため、 繊維の長さが重要である。 6 mm未満では亀裂した塗型の層を支持 するには充分でなく、 3 0 mmを超えると繊維の種類によっては繊維が絡まりや すく、 塗型に均一に混合しなく、 塗布時に作業性が悪いため、 6〜3 0 mmの範 囲が望ましい。 繊維の直径は、 経験上混合等の取り扱いの便利さから 3〜 5 0 mの範囲が望ましい。 配合量は塗型 1 k gあたり 1 ~ 5 0 g程度が望ましく、 繊 維の種類によっては 1 ~ 1 0 gが望ましい。 繊維補強材としては、 金属繊維、 天然アスベスト、 ガラス繊維、 シリカ繊維、 炭素繊維、 アルミナ ·シリカ繊維、 シリコン力一バイ ト繊維、 ビニロン繊維、 ポ リプロピレン繊維、 ァラミ ド繊維、 ポリエチレン繊維のいずれも使用できる。 こ れらの繊維を 1種または 2種以上の混合物でも使用できる。 これらの無機、 有機 の繊維補強材は一般の従来からある消失模型錶造法に適用でき、 無機質の繊維補 強材は本発明の消失模型銪造法に適用することができる。 一般に行われている溶湯の銃込み前に発泡体模型を取り去らずそのまま溶湯を 注入する型の消失模型錶造法においては、 繊維補強材は、 銪造に際して溶湯が錶 型に満たされる間のみ機能すれば良い。塗型の層の熱伝導率の低さを考慮すれば、 特別な耐熱性は不要であり、 無機系の繊維に加え、 ビニロン繊維、 プロピレン繊 維、 ァラミ ド繊維、 ポリエチレン繊維等の有機物でも使用できる。
消失模型鎵造法においては模型に塗型を塗布するので、 塗型の層の加熱応力に 対し、 銪型壁との接着力が極めて弱く、 この塗型の層の剥離 ·落下が発生しやす く、 ベーニング欠陥、 塗型啮み欠陥が多発する。 そこで、 繊維補強塗型は特にそ の効果を発揮する。 図 1 2は、 従来の消失模型銪造法における錡造の概要を示す。 容器 3 1 2に収 容された溶湯 3 0 1は湯口 3 0 8から湯道を通り塗型を塗布された発砲性樹脂の 模型内に侵入する。 模型は金枠 3 1 1で囲まれた砂型 3 0 3で包周されている。 図 1 3は鎵造を開始した後における図 1 2の Z部の詳細な塗型の層の様子を模 式的に示した図である。 (a ) は、 従来の塗型を塗布した場合、 (b ) は、 本発明 塗型塗布の場合である。 発泡体模型の表面に塗型を塗布、 乾燥し、 鎵型内に造型 し、 溶湯を注入すると、 直ちに発泡体模型は、 その熱により燃焼、 消失し、 従来 の塗型の層 3 0 2と補強繊維入り塗型の層 3 0 5は溶湯の熱に直接曝され、 その 熱により塗型の層に応力が発生し、 亀裂が発生する。 従来の塗型の層は、 ある部分が亀裂に囲まれると、 その時点では、 すでに発泡 性樹脂部は消失しているため、 いまだ健全な塗型の層 3 0 2 aより分離され、 剥 離 '落下する ( 3 0 2 b )。 この剥離 '落下した部分に, g湯が浸入すると、 ベー ニング欠陥を形成する。 一方、 本発明の補強繊維入り塗型の層 3 0 5は、 亀裂で囲まれた塗型の層 3 0 5 aが形成されても補強繊維の架橋効果 3 0 6により、 いまだ健全な補強繊維入 り塗型の層 3 0 5 bにより支えられ剥離 ·落下することはない。 本発明は消失模型を利用して銪造する鉄系及び非鉄系の溶融金属のいずれにも 適用できるが、 溶融金属に炭素を与えないという点から、 少なくとも炭素量範囲 が規格等のより規定されている各種の銪鉄 '錡鋼、 例えば J I S、 A S T M、 D
I N等の規格に規定されている銪鉄 ·鍊鋼に好ましく適用される。 具体的には、 炭素鋼銪鋼品 ( J I S G 5 101)、 溶接構造用鎵鋼品 ( J I S G 5 102)、 構造用高張力炭素鋼および低合金鋼錶鋼品 (J I S G 51 11)、 ステンレス鋼鍩鋼品 (J I S G 5 12 1)、 耐熱鋼錶鋼品 (J I S G 5 122 )、 高マンガン鋼銪鋼品 (J I S G 5 131 )、 高温高圧用 銪鋼品 ( J I S G 5 15 1)、 低温高圧用錶鋼品 ( J I S G 5152) 等に好ましく適用される。 更に、 J I Sハンドブック( 1998年度版)において規定する各種の銪鉄( J I S G 5501、 5502、 5503、 5504、 55 10、 55 1 1、 5 526、 5527、 5528、 5702、 5703、 5704 ) にも適用できる。 上記はあくまで例示であって、 炭素量に規定がある全ての銪造用の铸鉄 ·錶鋼に 適用できる。 以上説明した通り、 本発明は、 消失模型錶造法において、 繊維補強塗型を使用 すると、 乾燥状態の繊維補強塗型剤の層が強固になり、 一般の消失模型銃造法と 同様に重量、 寸法の制限無く運搬、 砂込めができる。 更に、 溶鋼の注入の前の段階の銃型中で塗型剤層が付着している発泡体模型を 燃焼消失させ、 炭素成分を除去しても、 塗型剤層は、 燃焼消失時及びその後の冷 却及び溶融金属の注入時の熱応力にも十分に耐えることができるので、 消失模型 銪造法と同様な大型の錶型空間が確保できる。 そこで、 消失模型銪造法の欠点で ある炭素の吸収問題も同時に解決できる。 すなわち、 一般の重量制限のない消失模型銪造用模型において繊維補強塗型剤 を塗布 ·乾燥し、 寸法的制約、 取り扱い上の制約の無い普通の消失模型銃造法に より造型し、 溶鋼の注入の前の段階で発泡体模型を燃焼消失させると、 発泡体模
型に含まれている炭素、 水素、 窒素、 酸素を銃型内部から排除できる。 このよう にすると、 乾燥した強固な塗型剤層のシェルで囲まれた铸型空間が形成され、 そ の後、溶融金属を注入すると有機物である発泡体模型からの不安定な炭素、水素、 窒素、 酸素等の吸収が発生しないので健全な銃造品を得ることができる。 実施例 実施例 1
塗型として、 6 0〃mアンダーの骨材微粒子が 5 0〜9 0 %と、 無機または有 機粘結剤からなる市販の塗型剤を用いた。 繊維としては、 繊維径 1 3〃m、 繊維 長さ 1 3 mmのガラスの単繊維を約 1 0 0本束ね耐ァルカリ性コーティングし、 幅約 l mm、 厚さ約 0 . 0 5 mmの帯状としたものを補強材として、 これを塗型 1 K gあたり 1 0 g添加、 混入させ、 本実験用塗型剤とした。 上記のように混入する繊維は、 有る程度の剛性を持つ繊維の方が攪拌時の絡み も発生せず塗型中に良く分散、 混練される。 即ち、 炭素繊維、 アルミナシリカ繊 維、 シリカ繊維等の柔軟性のある繊維より、 シリコン力一バイ ト繊維、 耐ァルカ リガラス繊維等の剛性のある繊維の方が絡みは発生しない。 図 1は、 炭素吸収試験用試験片を銪造した場合の実施例を示す。 1 0 0 mm角 の長さ 7 1 0 mmの角柱に 3 2 6 mm角の厚さ 4 0 mmの板を付けた炭素吸収試 験用試験片を錡造した場合の実施例で、 塗型剤の塗布、 補助燃焼配管、 通気口、 及び電気式発火装置を示したものである。 模型材質は、 E P S、 E P M M Aの 2 種類について行った。 角柱の上端に径 2 0 0 mm、 高さ 2 0 0 mmの押し湯 1を付け、 下端の堰部 2 より押し湯 1上面まで約 2 5 mm øの貫通した通気口 3を開けた消失模型 4に補 強繊維入り塗型剤を刷毛にて塗布し 5 0 °Cにて 8時間乾燥させ塗型剤層 5を設け
た。 この時の塗型剤層 5は乾燥状態で 1~ 5mmの厚さであった。 乾燥後、 下端 に電気式発火装置 6を付け、 また、 それそれの板状部の隅の 1ケ所に補助燃焼用 キリ穴 7を開け、 それに約 1 Omm0の鋼管とビニールパイプで出来た補助燃焼 用配管 8を取り付けた。 なお、 空気、 酸素を供給しながら燃焼消失させるために押湯部に市販の燃焼式 の押湯スリーブを使用することは、 押湯スリーブが燃烷するために良くない。 本 実施例に示すように押し湯部も発泡体模型で製作する方か'良い。 模型の準備完了後、 図 2に示すように錄型砂 9中に埋め込み錶型を造型した。 この場合、 空気、 酸素を供給する湯口 10、 堰部 2、 通気口 3が、 着火前の段階 で通じていることが必要であり、 造型の都合上で一部に詰め物等を行う事は良く ない。 造型後、 堰部 2に通じた湯口 10及び補助燃焼用配管 8に酸素、 空気を供給す る為の配管 1 1及びタンク 12を連結し、 それそれ 6. OKgf/平方センチメ —トルの圧縮空気と 150 K g f/平方センチメートルの圧縮酸素ボンベよりの 酸素を配管し、 それらの空気 13、 15及び酸素 14、 16の流量を調整しなが ら、 電気式発火装置 6に通電し、 堰部 2より模型 4に着火した。 着火後、 その燃烧状況を見ながら適時調整用弁 17, 18, 19, 20を使用 し、 空気 13, 15及び酸素 14, 16の量を調整し模型 4を燃焼させた。 その 後、 炎及び煙 2 1が無くなり、 完全に燃焼消失が完了した事を確認した。 なお、 模型の燃焼消失時間は EPS製模型が約 17分、 E P M M A模型が約 10分であ つた。 図 3に示すように、 空気、 酸素の配管 1 1、 17、 18、 13、 14と 8、 1 2、 19、 20、 15、 16を取り去り、 湯口 10に C = 0. 22 wt %の溶鋼
22で満たされた取鍋 23のノズル部 24を合わせ、 ストッパー 25を開け、 塗 型剤層 5で保持された銃型空洞部 26に溶鋼 22を注入し銪込みを行った。
なお、 比較のための同型模型は、 普通の消失模型銪造法、 すなわち、 溶融金属 注入前に燃焼することなく、 下端の 4 Omm0の堰よ 、 それそれ同一溶鋼を錶 造した。 同一溶鋼で同型の EPS製模型と EPMMAI模型を用いて銃造し、 比 較のため通常の消失模型銪造法でも銪造した。 合計 EPS製 2個、 EPMMA製
2個の 4個を銪造した。 図 4は、 炭素吸収試験用試験片の各位置 (A〜D, 1〜4) より試料を切り出 し、 炭素量を測定した位置を示す。 図 5として示す表 1は EPS製模型による結 果、 図 6として示す表 2は EP MM A製模型による結杲を示す。 表 1の EP S製模型の炭素分析結果を見ると以下の様になる。 従来法では、 試 験片中央部 A, B, C, D及び端部 1, 2, 3, 4とも上部に行くに従い炭素分 析値は増大し、特に端部の 1では 0.42 wt %と元の成分に対し 0. 20wt% も増ている。 また、 バラツキに注目すると中央部 0. 03wt%、 端部 0. 17 wt %である。 このような炭素成分のバラツキが、 従来の消失模型鋅造法による銃鋼品の製造 を困難にしている。 一方、 本発明による値は、 従来法のごとき明確な上下位置に よる炭素成分の変化は認められない。バラツキに注目すると中央部.0.01 w t %、 端部 0. 01 w t %であり、 測定誤差程度の差しかない: 表 2に示す EP MM A模型の炭素分析結果を見ると以下の様になる。 従来法で は、 試験片中央部 A, B, C, D及び端部 1, 2, 3, 4とも上部に行くに従い 炭素分析値は増大し、 そのバラツキは中央部 0. 04wt %、端部 0. 02wt% である。
より分解性能を改善させた E P M M A製模型でも溶鋼中への炭素の浸入が発生
しているのが認められる。 本発明による値は、 EP S製模型の結果と同様に上下 位置による炭素成分の変化は認められない。 バラツキに注目すると中央部 0. 0 lwt%、 端部 0. 00vvt%であり、 EPSの結果と .¾]様に測定誤差程度の差 しかない。 以上より、 溶融金属の注入前に消失模型を燃焼消失し取り除いているため、 消 失模型の材質の違いにかかわらず、 本発明による消失模型銃造法は、 従来の最大 の欠点である炭素分の吸収問題を解決できる。 なお、 本実施例に示した銪込み重 量 25 OKg程度の物では、 塗型剤に混入する繊維はガラス繊維程度の耐熱性が 有れば十分である。 実施例 2
図 7は、 この発明の燃焼方法を説明する図である。
図 7において、 綴維補強塗型を塗布した模型が錶型内に造型された状態、 酸素 及び撹拌用空気の配管状態、 酸素及び撹拌用空気の供給状況、 および、 着火が示 されている。 目的形状の EP S製模型 ( 900幅 X 900長さ X 400厚み) 117を作製 し、 その模型内にその後堰 1 02を設置する予定の位置に合わせた通気口 103 を設けた。 この模型に繊維径 14〃m、 500本/ヤーン、 サイジング付着率 1. 2wt%のシリコンカーバイ ト繊維を長さ 6mm に切断した物 (商品名;ニカロン チョップ NCF— 0G) を消失模型用塗型剤 (商品名; S— 98F) に lv o 1 %撹 拌混入した繊維補強塗型 1 18を作製し、 塗布した。 塗布後、 約 8 時間乾燥炉 にて乾燥させ造型用の模型とした。 模型に内径 50mmの陶管製の堰 102、 湯道 1 0 1、 及び撹拌用空気 1 1 9、 120を供給する揚がり 12 1、 122を設けながら、 銪枠 123内の銪物砂 1 24中に埋め込み銬型を造型した。 この時、 撹拌用空気が流れるように通気口 1
0 3と撹拌用揚がり 1 2 1、 1 2 2の陶管部までの間を i¾ 10mm のキリ穴 1 2 5を開けて連結した。 この様にして、 銪型上面に湯道 1 0 1、 揚がり 1 2 1、 1 2 2及び開放押し湯の上面とその通気口出口 1 2 6が露出するように造型し、 銪 型を準備した。 これに、 内径 10mm のパイブ 1 2 7、 1 2 8、 1 2 9をはめ込み、 粘土 1 3 0、 1 3 1、 1 3 2で密封し、 酸素 1 3 3及び撹拌用空気 1 1 9、 1 2 0を供給 できるように配管を行った。 これらの配管は、 ノ レブ 1 3 4、 1 3 5、 1 3 6及 び図示しない流量計を通じ、 酸素ボンべ及び工業用空気 §己管に連結されている。 この様に準備した銪型において、 湯道 1 0 1を通じ 5 0 0 L/分の酸素 1 3 3 と撹拌用揚がり 1 2 1、 1 2 2を通じて 900L/分の撹拌用の空気 1 1 9、 1 2 0を流しながら、 これらの酸素及び空気の出口である押し湯側の通気口出口 1 2 6から着火用バ一ナ 1 3 7で着火した。 なお、 着火後の燃焼は、 着火された押し 湯側から順次進行するのではなく、 直ちに、 堰部 1 0 2へ到達し、 その部分を最 初の主な燃焼部とし燃焼を始める。 揚がり 1 2 1、 1 2 2の陶管の方向を下向きに 4 5 ° 方向とし、 下型面側に多 くの撹拌用空気 1 1 9、 1 2 0が当たるようにしているのは、 一般に銪物の銪造 姿勢は銪型空洞の下型面に複雑面を設定した方が銪造上有利なため、 下型面側に 燃焼状態の良くない隅部、 凹部が多く発生し、 下型面側の燃焼条件が悪くなるの で、 それを補うためである。 なお、 これらの撹拌用空気の水平面での噴出方向は、 铸型壁と模型の燃焼面で 形成される空間内を気流が全体として回転するように巴に配置している。 この様 に、 全体として気流を回転させることにより、 より燃焼がスムーズに進む。 図 8は、 着火後の盛んに燃焼している状況のやや後半を示す図である。 図 8に
示すように、 銪型壁 1 3 8と模型燃焼面 1 3 9で形成される空間 1 4 0内は、 撹 拌用空気と酸素が乱流 1 4 1となって混合した撹拌用気流により熱、 可燃物、 酸 素が均一に撹拌されるため燃焼がすみやかに進む。 この様な燃焼状態では、 模型 の上面側の燃焼面 1 4 2からの凝縮物の落下も無く、 従って、 その凝縮物が鎵型 空洞部の下面側に堆積することもなく燃焼する。 燃焼の後半では、 順次、 鈸型壁 1 3 8と模型の燃焼面 1 3 9で形成される空間 1 4 0内は広がり、 乱流により堰より供給される純酸素と十分に混合された酸素 富化撹拌用空気 1 4 3は、 自由に動きまわり隅々まで到達することが出来る。 従 つて、 酸素は、 複雑な形状部の隅々まで行き渡り、 その結果、 隅々まで燃焼消失 する。 最終時点においては、 撹拌用空気を 1 0 0 L /分まで減少し、 開放押し湯面 1 4 5に蓋 1 4 6を行い、 錶型内の酸素濃度を上昇させ、 個々に分断され燃焼して いるタール状の凝縮物を完全に燃焼させた。 図 9は、 燃焼後の繊維補強塗型で保持された銪型空洞内を示す図である。 図 9 に示すように、 燃焼は完全に行われ、 繊維補強塗型 1 1 8によって保持された、 煤及び落下堆積するタール状の凝縮物の無い銃型空洞 1 4 4が得られる。 実施例 3
図 1 1は、 この発明の着火法の詳細を示す図である。
図 1 1、Aに示すように、 5 0 0幅 X 1700長さ X 2 5 0厚みの長方形の PMMA 製模型 2 2 4の下部より 5 0 mmから 80mmの部分に 30 X 30mmの四角い通気 口 2 2 5を開け、その一端に内径 50mmの通気口を開けた外径 200mm X 200mm 高さの押し湯 2 2 6を取り付け模型とした。 この模型にシリコン力一バイ ト繊維 を lvol%混入させた繊維補強塗型 2 2 7を塗布し、 造型用の模型とした。 この 模型の一方の端に 030mm の陶管製の堰 2 2 8を設け、 銃枠 2 2 9内の銪物砂
2 3 0中に埋め燃焼前の銪型を完成させた。 なお、 この時に、 銃型内の模型の燃 焼状況を、銥型砂が模型の燃焼熱で加熱され発煙するここを利用し観察するため、 銪型の上面側の砂の厚みを約 5 0 mmと簿くした。 以上の銃型に、 堰 2 2 8に連なる陶管 2 3 2に 0 1 O mm のパイプ 2 3 3を 通じ、 その廻りを粘土シール 2 3 4にて密閉し、 約 100L/分の酸素 2 3 5を流 しながら下流側の押し湯 2 2 6より着火用バーナー 2 1 7にて着火した。 着火後の火炎 2 1 9は直ちに四角い通気口内をさかのぼり、 上流側の堰 2 2 8 へ延焼した。 この様に、 中流範囲で横方向すなわち通気口内の壁方向に燃焼が広 がらないで陶管製の堰部まで直ぐ延焼するのは、 燃焼している通気口の内面部の 上流側の先端 2 1 8は燃焼の 3 要素である熱、 可燃物、 酸素が十分に満たされ ており、 その部分で最も燃焼が盛んであること、 及び、 一度燃焼した中流範囲で は、 上流範囲の燃焼により未燃焼ガスと排ガスとの混合した気体であり、 酸素が 不足し燃焼が抑制されているためと考えられる。 最上流部に延焼すると、 それ以 上は陶管製の堰 2 2 8であり、 可燃物が無くなり延焼か'停止する。 図 1 1、 Bは、 最上流部の堰部まで延焼した後の状^を示す図である。 最上流 部に延焼すると、 上流範囲 2 0 8の部分を中心として盛んに燃焼し、 燃焼の中心 2 2 2を形成する。 この状況は、 煙 2 3 6の発生によって、 銪型外部から観察で きる。 その直後に中流範囲 2 1 0の模型内で 2〜3回の小爆発 2 2 ,1が発生する。 なお、 この時点では最下流部の大気中に開放されている部分は、 未燃焼ガスであ る可燃物と燃焼排ガスによる熱と当部の燃焼熱及び大気中の酸素 2 1 3が十分に 供給され、 安定的に火炎 2 1 9を形成し、 燃焼している。 この時、 通気口出口部 廻りの模型面 2 2 3は内部側 (上流側) へ燃焼するが、 その速度は上流側の燃焼 中心 2 2 2が下流側へ進む速度より遅い。 図 1 1、 Cは、 最上流部の燃焼が開始されてから後の終盤の状況を示す図であ
る。 全体としての燃焼の中心の移動を見れば、 最も酸素がある上流範囲より順次 下流範囲へ移動する。 このことは、 煙発生部の下流側への移動 2 3 7を観察する ことにより判断される。 燃焼の終盤では、 中流範囲のやや下流側よりの下型面側が最終的に燃焼し、 全 体の燃焼が終了する。 この状況は、 この時点では、 未燃焼ガスの量も低下し、 下 流範匪の火炎の勢いも低下し、 その後、 "おき火" の状態となるので、 押し湯部 より最終燃焼部 2 3 8とその部分で形成されている最終燃焼部の火炎 2 3 9を見 ることにより観察される。 同様な模型の燃烷を、 上流側からの着火で行うと、 天燃焼ガスすなわち可燃が スが多量に発生し、 最下流側の通気口の出口である押し湯開放部で空気中の酸素 と混合し大きな爆発現象を発生することがある。 以上のように、鎵型内の模型に酸素又は酸素と空気の混合気体を供給しながら、 模型を燃焼消失させる過程において、 その下流側すなわち大気中への酸素又は酸 素と空気の混合気体の出口部で着火することによって、 大きな爆発現象を発生さ せることなく安全に着火できる。 実施例 4
径が 6 0〃m以下のアルミナ骨材微粒子を 5 0〜 9◦重量%、 無機質及び有機 質添加材、 及び溶媒として水からなる塗型に、 アルミナ繊維で直径 3 0〃m、 繊 維長さ 1 3 mmの 維補強材を塗型 1 k gあたり 1 1 g添加して混合させた塗型 を作成した。 この繊維補強材入り塗型を消失模型である E P S製模型に通常の刷毛を使用し て塗布し、 乾燥させた。 その後、 通常の消失模型銃造法により溶湯を注入し、 銃 物を得た。
図 1 4は、 従来と本発明で得られる銪造欠陥の概要図であり、 図 1 4 ( a ) は 従来の鎵造法におけるベーニング欠陥 3 0 9、 塗型嚙み欠 ¾ 3 1 0を示し、 図 1
4 ( b ) は欠陥の無い健全な銪物を示す。 このように繊維補強塗型を使用した消失模型銃造法では、 繊維補強材により外 力や熱応力によって発生した亀裂によっては塗型の層が剥離 '落下しなくなり、 ベーニング欠陥、 塗型啮み欠陥の無い、 表面性状及び内部品質の良い銪物製品が 得られた。 実施例 5
本発明の消失模型鋅造法および一般の消失模型銪造法において、 前者は消失模 型の燃焼消失時の熱、 後者は注湯時の溶湯の輻射熱を受けることにより、 塗型層 は加熱を受ける。 その状況を想定した実験の一例として、 6 0秒間加熱された繊 維補強塗型剤と、 そこで使用される繊維補強材の長さと曲げ強度の関係について 示した。 この場合は、 有機系の繊維は加熱時に燃焼消失するため無機系のものに ついて行った。 市販の塗型剤 (商品名 ャマシ口コート S— 9 8 F ) に炭素繊維、 シリコン力 一バイ ト繊維、 シリカ繊維、 耐アルカリガラス繊維、 アルミナ · シリカ繊維を各 長さに切断し、 それそれもとの塗型剤に対し 1体積%添加、 混練し、 繊維補強塗 型を作製した。 この繊維補強塗型 4 0 3を図 1 5に示す凹型の鋼製の金具 4 0 1 の中空部 4 0 2に E P Sブロックを組み込んだ状態の物の上に塗布した。その後、
5 5 Cで 8時間乾燥固化させ、 試料を作成した。 次に、 本試料をガスパーナ一にて 6 0秒間加熱し、 E P S部を燃焼消失させる と同時に繊維補強塗型 4 0 3を赤熱した。 赤熱された繊維補強塗型の温度は、 光 温度計により測定すると約 9 0 0 °Cから 1 0 0 0 °Cの範囲であった。
6 0秒間の加熱後、 約 6 0分間放置 '冷却し、 常温に戻ったところで図 1 5中 に示す繊維補強塗型 4 0 3の層を圧子 4 0 4で押しつけ、 そのときの最高荷重を 試料の曲げ強度 (g/ 1試料) とした。 測定は一測定点当たり 1 0回行い、 その 平均を測定値とした。
図 1 6に示すグラフはその測定結果を示すものである。
この測定結果によると、 繊維補強塗型の曲げ強度は、 各繊維により異なるが、 全体として耐ァルカリガラス繊維を除き約 1 . 5〜 3 mmの長さから増加が始ま り、 6〜 1 0 mmの間で急激に増加し、 その後は緩やかになり、 一部のものは、 強度が低下するものもある。 耐アルカリガラス繊維の曲げ強度は、 1 0 mmまで の増加は緩やかであり、 1 2 ~ 2 5 mmにかけて急に増大し、 3 0 mmおよび図 示しない 5 0 mmにかけては増大が緩やかになる。 この測定結果が示すように、 繊維補強材として、 亀裂した塗型の層を支持するのに 6〜 3 0 mmの範囲が最適 な繊維長さであることが認められる。 このように一度加熱された繊維補強塗型層の曲げ強度が 6 ~ 3 0 mmの繊維長 さで十分にもたらされること、 先に述べたように繊維補強塗型の製作時の繊維の 絡み等の繊維添加時の混練の容易さおよび塗布時の作業性の観点から、 最終的に 6〜3 0 mmの範囲が最適な繊維長さであると結論づけたれる。 更に、 測定結果 が示すように、 曲げ強度に与える影響は、 長さのみでなく、 その繊維自体の熱的 安定性にも影響を受けていることが認められる。 即ち、 荧素繊維を除くと、 耐ァ ルカリガラス繊維くシリカ繊維くアルミナ ' シリカ繊維くシリコン力一バイ ト繊維 の順で大気中の物理的な熱的安定性は大であり、 その順で繊維補強塗型の最大曲 げ強度は大となる。 炭素繊維は、 本結果ではシリカ繊維とアルミナ 'シリカ繊維の間にある力 鍩 型壁に密着させる等の雰囲気条件を変更すると、 強度が大変に大になる等の別の 挙動を示す。
本発明によると、 次の効果が得られる。
( 1 ) 従来の消失模型銃造法による銃鉄 ·鈸鋼品の炭素吸収を排除できる。
(2) 数 T 0 nにも及ぶ大型の銪造品も銪造出来るので、 鍊造品の寸法制限が無 くなる。
( 3 ) 炭素量の規定がある鍊鉄 ·錡鋼品が消失模型錡造法により製造出来る。
(4) 低炭素テンレス鋼鈸鋼品を含む高級銃造品も消失模型銃造法により銃造出 来る。
(5) 錶造品の寸法制限無く、 レプリキャスト CS法と:司様な精密踌造品の製造 が可能である。
( 6 ) 有機物発泡体模型が含有する水素の溶融金属への浸入が防止できる。
(7) 従来の消失模型法の欠点である酸素ガス、 炭酸;'ス、 窒素ガスの吸収によ つて発生する錶造品のガスブ口一問題も解決出来る。
(8) 模型材質は、 基本的に燃焼消失する物であれば、 ¾泡の有無、 または材質 の種類も問わない。
更に、 次の効果が得られる。
(9) 銃型内に埋められた模型を燃焼させる場合に、 隅部、 凹部まで、 模型を十 分に燃焼消失させる事が出来る。
( 10)銪型空洞の下面側に夕一ル状の模型の凝縮物が堆積するのを防止できる。
( 1 1) 事前に燃焼が懸念される部分に、 部分的に燃烷を促進するための酸素を 供給している酸素供給用配管を設置せずに、 簡単に造型ができる。,
更に、 次の効果が得られる。
( 12) 銃型内に埋められた模型を燃焼させる場合に、 爆発現象を発生させるこ となく安全に着火できる。
更に、 次の効果が得られる。
( 14) 塗型の層が剥離、 落下することによる各種の錡造方法における銪物表面 のべ一二ング欠陥の防止できる。
( 15) 銪造方法にかかわらず剥離した塗型の層が溶湯に巻き込まれることによ
る、 銪物内部の塗型嚙み欠陥の防止ができる。
( 16) 湿態の塗型が乾燥する場合の収縮によって発生する亀裂による塗型剥離 の防止ができる。
( 17) 運搬、 造型中の外力による塗型の層の破壊、 剥離の防止もできる。
( 18) 塗型を厚く塗る事が出来、 肌砂が不必要になる。
( 19) 塗型の層を壊すことなく、 模型を抜型出来、 一般鍩造法もできる。
(20) 一回の塗布で塗型を厚く塗ることが出来、 工数を削減する事が出来る。 (21) 金型鎵造法において、 その厚みを自由に調整出来、 熱伝導の調整が容易 に出来る。
(22) 遠心錶造法においても、 遠心力による塗型の層の剥離が防止出来る。 (23) 特に消失模型錶造方法おいて本発明の塗型を使用すると鎵造欠陥を激減 できる効果がある。
(24) 本発明の第 1の態様に示す以外の一般の消失模型銪造法においては、 ビ 二ロン繊維、 ボリプロピレン繊維、 ァラミ ド繊維、 ポリエチレン繊維等の有機繊 維も塗型剤の補強材として使用できる。
(25) 従来の消失模型銃造法に使用すると、 塗型層の剥離により発生するべ一 ニング欠陥を大幅に改善できる。
(26) —般に銃物の銪肌改善のため、 発泡体模型の発泡粒間の間隙および発泡 体模型と発泡体模型のつなぎ目の間隙を有機物の樹脂で埋めることが行われてい るが、 その使用は分解発生ガスを増大するため制限がある。 本発明による消失模 型錶造法においては、注湯前に燃焼消失しているから、その使用量に制限がない。