明 細 書 自動車車体構造部材用アル ミ ニウム合金押出材及びその製造方法 技術分野
本発明は強度及び衝擎吸収性とスポッ ト溶接性及び表面処理性に 優れ、 かつ、 原料と して自動車回収アルミ铸物屑、 アルミ缶屑等の 回収アルミニウム材を用いて低価格で製造しう る自動車車体構造部 材用アルミ ニウム合金押出材及びその製造方法に関する。
また、 本発明は強度及び曲げ加工性とスポッ ト溶接性及び表面処 理性に優れ、 かつ、 原料として自動車回収アル ミ铸物屑、 アルミ缶 回収屑、 アルミサッ シ回収屑等の回収アルミニウム材を用いて低価 格で製造しう る自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材及び その製造方法に関する。 背景技術
自動車の構造部材には、 形状が複雑で、 中空の部材が多く、 アル ミニゥム合金材は、 軽量で他の材料よ り押出成形に適するので、 自 動車車体構造部材と してアル ミ ニウム合金の押出材の使用が検討さ れている。 このアルミニウム合金の押出材は軽量の上、 高剛性とい つた特徴があり、 さ らにそれ自体がクラ ッ シュするこ とにより衝突 時のエネルギーを吸収するこ とができ、 安全性を高めることができ るこ とからも好適な材料である。
しかし、 このようなアルミニゥム合金の押出材に従来用いられて いた材質は主と して 6 0 6 3 をはじめとする 6 0 0 0系アルミニゥ
ム合金であるが、 これらの 6 0 0 0系アルミニウム合金は他の材料 に比べ比較的強度が低く 、 衝撃吸収エネルギーが小さいため、 材料 肉厚を厚くする必要があるという問題があった。 またこれらの合金 は厳しい曲げ加工において割れを発生し、 曲げ加工性が劣るという 問題があった。 またスポッ ト溶接性が低く 、 自動車の組立工程にお いて、 スポッ ト溶接に非常な大電流を必要と し、 生産性を下げるこ と、 表面塗装などを行う場合に、 脱脂性、 化成処理性が悪く 、 その ため耐久性の良い塗装が困難なこと等の問題があった。 特に自動車 の構造部材の中で もサイ ドフ レーム、 リ ャフ レーム、 セ ンタ ー ピ ラー、 サイ ドシル、 フ ロアフ レームのよ う な車体構造部材と呼ばれ る ものは、 スポッ 卜溶接などによって固定されると同時に外部環境 に露出され、 さ らに ドロ水等の腐食環境にさ らされるため、 耐食性 を向上させる目的で塗装などが行われるこ とから、 化成処理性まで 必須の材料である。
しかし、 従来、 アル ミ ニウム合金と して要求される押出性と強度 及び加工性、 スポ ッ ト溶接性、 表面処理性等の自動車車体構造部材 と して必要な各種性能を備え、 リサイ クル性にも優れた材料は開発 されていなかった。
( i ) 例えば、 特開昭 5 8 — 3 1 0 5 5号には、 S i 2 . 3 ~ 6 w t % . g 0 . 4 ~ 1 . O w t %、 M n 0 . 4 〜 1 . 0 w t %及び少量の Z n及び S nを含み、 残部が A 1 よ りなる、 強 度、 溶接性、 切削性を向上させた構造用アル ミ ニウム合金が開示さ れているが、 これは曲げ加工性及びスポ ッ ト溶接性が十分でな く 、 C u、 Z nの両元素を含有し、 アル ミ ニウム合金の溶融温度を低下 させ、 スポッ ト溶接性と塗装等の前処理時の化成処理性 (りん酸亜
鉛の付着性) を改善したものでない点で本発明とは大き く異なる。 ( i i ) また、 特開昭 6 1 — 1 9 0 0 5 1号には、 5〜 1 5 w t %の 3 と 1 . O w t %までの M gを含み、 F eの含有量を 0. 5 w t %以下と し、 じ 11、 1^ 11などを 0. 2 5 w t %以下と したアルミ二 ゥム合金を用いる A 1 系中空押出形材の製造方法が開示されている が、 こ のアル ミ ニウ ム合金は、 本発明よ り S i 添加量が多く 、 耐 熱 · 耐磨耗特性を向上させた合金で、 自動車の高温暴露部材ゃ摺動 部材用の棒材及び厚肉押出材と して使用され、 スポッ ト溶接性及び りん酸亜鉛付着性等の表面処理性が低く 、 押出性も不足する。 従つ てこの材料は、 本発明のような車体構造用押出部材と して使用 しう る ものではない。
(iii)さらに、 特開平 5 — 2 7 1 8 3 4号には、 M g 0 . 2 〜 1 . 2 w t %、 S i 1 . 2 〜 2 . 6 w t %を含有 し、 かつ、 { S i ( w t % ) - M g ( w t % ) / 1 . 7 3 } の値が 0. 8 5 を超え 2. 0未満で、 残部が A 1 よ りな り、 結晶粒が微細で、 人 ェ時効性が安定なアルミニウム合金が開示されている。 これは M g と S i の組成比を化学量論的な組成よ り 、 過乗 lj S i 側と して、 M g 2 S i を生成しやすく した合金で、 これらは従来の J I S 6 N 0 1 合金や A A 6 0 0 5合金の組成について、 M g、 S i の成 分範囲を大き く したに過ぎず、 押出性は優れるが、 その他のスポッ 卜溶接性や表面処理性は不十分である。
( i V) さ らにまた、 特開平 8 _ 2 5 8 7 4号には、 S i 0. 5〜 2. 5 t % , F e 0. 2 ~ 1 . 0 w t %、 Z n 0 . 4 5 〜 1 . 5 w t %、 C u 0. 0 5〜 1 . 0 w t %、 M n 0 . 4 〜 1 . 5 w t %を含有する自動車構造部材用アル ミ ニウム合金押出材
が記載されている。 この押出材は、 押出性、 強度、 表面処理性は優 れるが、 素材の電気抵抗が低く 、 スポ ッ ト溶接性には問題があつ た。 即ち、 自動車の車体構造部材の量産ライ ンのスポッ ト溶接にお いては、 溶接用電極の損耗が問題であ り、 電極の損耗が進むと溶接 部の組織が不安定となり、 ナゲッ ト寸法が変化し接合部の強度が低 下するため、 電極の交換を頻繁に行わなければならず、 量産ラ イ ン の生産性を乱す最大の原因で、 溶接用電極の損耗がスポッ ト溶接性 に絡む最大の問題であった。
また近年、 環境問題、 資源の有効利用などの点から、 使用済みの 製品のリサイ クルの重要性が高ま ってきており、 自動車部品の回収 義務を立法化しよう という動き もあり、 金属屑の再利用についても 種々検討されている。 この中でと りわけ、 回収されているアルミ缶 やアルミ ニウムサッ シ回収屑、 廃車になった自動車の屑から高品質 の材料を再生する技術の確立が切望されている。
したがって本発明は、 スポ ッ 卜溶接性と、 化成処理性、 脱脂性な どの表面処理性とに優れ、 高い強度と延性を有して衝撃吸収性の優 れた自動車車体構造部材用アル ミ ニウム合金押出材を提供するこ と を目的とする。
また、 本発明は、 このようなスポッ ト溶接性、 表面処理性及び衝 撃吸収性の優れた自動車車体構造部材用アル ミ ニウム合金押出材の 製造方法を提供することを目的とする。
さ らに本発明は、 原料にアルミ缶回収屑や自動車アル ミ ニウム部 品屑を用いて製造しう る上記のような優れた特性を有する自動車車 体構造部材用押出材を提供することを目的とする。
さ らに本発明は、 スポッ ト溶接性と、 化成処理性、 脱脂性などの
表面処理性とに優れ、 高い強度と延性を有して曲げ加工性の優れた 自動車車体構造部材用アルミ ニウム合金押出材を提供するこ とを目 的とする。
また、 本発明は、 このよ う なスポ ッ 卜溶接性、 表面処理性及び曲 げ加工性の優れた自動車車体構造部材用アルミニゥム合金押出材の 製造方法を提供することを目的とする。
さ らに本発明は、 原料にアルミ サッ シ回収屑や自動車アルミニゥ ム部品屑を用いて製造しうる上記のような優れた特性を有する自動 車車体構造部材用押出材を提供するこ とを目的とする。
本発明の上記及び他の目的、 特徴及び利点は、 下記の記載からよ り明らかになるであろう。 発明の開示
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、 特定の組成を有 するアルミニウム合金を用い、 これを特定の条件で均質化処理後、 熱間圧延処理するこ とにより得られた押出材によ り、 上記課題を解 決できることを見出し、 この知見に基づき本発明をなすに至った。 すなわち本発明は、
( 1 ) S i 2. 6 w t % (以下単に、 w t %を%と記す) を越え 4. 0 %以下、 M g 0. 3 %を越え 1 . 5 %以下、 M n 0. 3 %を越え 1. 2 %以下、 Z n 0. 3 %を越え 1 . 2 %以下、 C u 0. 2 %を越え 1 . 2 %以下、 及び F e 0. 1 %を越え 1 . 5 %以下を含有し、 残部が A 1 及び不可避的不純物よ りなるアル ミ 二 ゥム合金 (以下、 第 1 のアル ミ ニウム合金という) を用いた押出材 であって、 導電率 4 8 % I A C S以下、 溶融開始温度 5 7 0 °C以下
であるこ とを特徴とする自動車車体構造部材用アル ミ ニウ ム合金押 出材、
( 2 ) S i 2. 6 w t %を越え 4. O w t %以下、 M g 0. 3 w t %を越え 1 . 5 w t %以下、 Z n 0. 3 w t %を越え 1 . 2 w t %以下、 C u 0. 3 w t %を越え 1 . 2 w t %以下及び F e 0. l w t %を越え 1 . 5 w t %以下を含有し、 さ らに、 M n 0. 0 1 セ %を越え 0. 3 w t %以下、 C r 0. 0 1 w t %を 越え 0. 3 w t %以下、 Z r 0. 0 1 \^ %を越え 0. 3 w t % 以下及び V 0. 0 1 w t %を越え 0. 3 w t Q/0以下から選ばれる 少な く とも一種を含有し、 残部が A 1 及び不可避的不純物よ りなる アル ミ ニウ ム合金 (以下、 第 2 のアル ミ ニウ ム合金という) を用 いた押出材であって、 導電率 5 0 % I A C S以下、 溶融開始温度 5 7 0 °C以下であることを特徴とする自動車車体構造部材用アルミ 二ゥム合金押出材、
( 3 ) 前記アル ミ ニウ ム合金がさらに S r又は S bを 5 0〜 5 0 0 p P m含有するこ とを特徴とする ( 1 ) 又は ( 2 ) 項記載の自動車 車体構造部材用アル ミ ニウ ム合金押出材、
( 4 ) アルミニウム合金铸塊を、 5 2 0 °0を越ぇ 5 7 0 以下のビ レツ ト温度で 1 時間以上の均質化処理後 4 0 0 °Cを越え 5 2 0 °C以 下の温度で 1 時間以上保持する均質化処理後、 冷却、 再加熱し、 3 3 0 °Cを越え 5 0 0 °C以下のビレツ 卜温度で熱間押出を行う こと を特徴とする ( 1 ) 、 ( 2 ) 又は ( 3 ) 項記載の自動車車体構造部 材用アル ミ ニウ ム合金押出材の製造方法、
( δ ) 押出ダイ スの材料摺動面の少な く と も一部がセラ ミ ッ ク ス コーティ ングを有することを特徴とする ( 4 ) 項記載の自動車車体
構造部材用アル ミ ニウム合金押出材の製造方法、
( 6 ) アル ミ ニウム合金铸塊の少なく とも一部に、 M n 0. 5 % を越え 1 . 2 %以下及び M g 1 . 2 %を越え 2. 0 %以下を含む アル ミ ニウム缶回収屑と、 S i 2. 5 %を越え 1 4 %以下を含む 自動車アルミニウム部品屑を使用 したことを特徴とする ( 4 ) 又は ( 5 ) 項記載の製造方法で製造した自動車車体構造部材用アルミ二 ゥム合金押出材 (但し、 アル ミ ニウム合金は前記第 1 のアル ミ ニゥ ム合金である) 、 及び
( 7 ) アルミ ニウム合金銬塊の少なく とも一部に、 M g 0 . 2 w t %を越え 1 . 0 w t %以下を含むアル ミ ニウ ムサ ッ シ回収屑 と、 S i 2. 5 w t %を越え 1 4 w t %以下を含む自動車アルミ ニゥム部品屑を使用 したことを特徴とする ( 4 ) 又は ( 5 ) 項記載 の製造方法で製造した自動車車体構造部材用アル ミ ニウム合金押出 材 (但し、 アル ミ ニウ ム合金は前記第 2 のアル ミ ニウ ム合金であ る)
を提供するものである。
こ こで、 特に断わらない限り、 本発明において用いるアルミ ニゥ ム合金とは、 前記第 1 の及び第 2のアルミ ニウム合金の両方を包含 する。 発明を実施するための最良の形態
本発明において用いる第 1 のアルミニウム合金は、 S i 2. 6 %を越え 4. 0 %以下、 好ま し く は 2. 6〜 3. 5 %、 M g 0. 3 %を越え 1 . 5 %以下、 好ま しく は 0. 3〜 0. 8 %、 M n 0. 3 %を越え 1 . 2 %以下、 好ま し く は 0 . 3〜 0 . 8 %、
Z n 0. 3 %を越え 1 . 2 %以下、 好ま し く は 0 . 3〜 0. 8 %、 C u 0 . 2 %を越え 1 . 2 %以下、 好ま し く は 0 . 2〜 0 . 8 %、 及び F e O . 1 %を越え 1 . 5 %以下、 好ま し く は 0. 1〜 1 . 0 %以下を含有する。
一方、 本発明において用いる第 2のアル ミ ニウム合金は、 S i
2. 6 w t %を越え 4. 0 %以下、 好ま しく は 2. 6〜 3. 5 w t , M g 0. 3 w t %を越え 1 . 5 w t %以下、 好ま しく は 0. 3〜 0. 8 w t %、 Z n 0. 3 w t %を越え 1 . 2 \^ %以 下、 好ま しく は 0. 3 ~ 0. 8 w t %、 C u 0 . 3 w t % を越 え に 2 w t %以下、 好ま しく は 0. 3〜 0. 8 w t %、 F e
0. l w t %を越え 1 . 5 w t %以下、 好ま しく は 0. 1〜 1 . 0 w t %を含有する。 さ らに、 M n、 C r、 Z r及び Vから選ばれる 少な く とも一種を含有し、 含有量はそれぞれ 0. 0 1 1 %を越え 0. 3 w t %以下である。
本発明のアルミニウム合金材中の各元素の作用を説明する。
S i はアルミ ニウム合金材の強度を高める一方、 必要な伸びを 確保し、 衝撃吸収エネルギー増大の作用を奏する。 その含有量が 2. 6 %未満ではその作用が不足し、 4. 0 %を越えると押出しが 困難となる。 こ こで衝撃吸収エネルギーとは圧縮、 伸び変形など によって吸収しう るエネルギーをいい、 本発明では引張試験にお ける破断までの変形エネルギーで評価する。 この値は 0 . 0 3 5 NmZmm2 以上が好ま しく 、 0. 0 4 Nm/mm2 以上がよ り好 ま しい。
また、 M gは、 上記 S i と金属間化合物を形成し、 M g 2 S i (析出物) を生成し強度を向上する作用がある。 M gが少なすぎる
と、 その効果が不足し、 多すぎると押出性が悪化する。
Z nは合金の融点を低下させ、 スポッ ト溶接性を向上させると同 時に、 表面反応性を増加させ、 これによ り脱脂性、.化成処理性等の 表面処理性を向上させる。 従来の自動車構造部材用アルミニウム合 金押出材では Z nを多くすると、 自己耐食性が悪化するという難点 があったのに対し、 本発明の組成では表面塗装が施されるため、 自 己耐食性低下の許容範囲が拡大するこ とによ り、 これが阻止されて いる。 Z nが少なすぎるとスポッ ト表面処理性が不足し、 化成処理 性が劣り、 多すぎると耐食性が悪化する。
C uは合金の強度を増大させると同時に導電性及び融点を低下さ せ、 スポッ ト溶接性を向上させる。 また、 合金の強度増大による衝 撃吸収エネルギーの向上にも寄与する。 C uが少なすぎるとその作 用が不足し、 多すぎると押出 しが困難となる。
また、 F e は、 結晶粒微細化による靱性向上、 衝撃吸収エネル ギ一増大の作用がある。 F eが少なすぎるとその作用が不足し、 多 すぎる と粗大晶出相によ り、 押出 し性が悪化し、 衝撃吸収エネル ギ一が低下する。
第 1 のアルミニウム合金において、 M nは、 強度を増大させ衝撃 吸収エネルギーを向上させる。 M nが少なすぎるとその作用が不足 し、 多すぎる と A 1 一 M n の粗大晶出相を発生し衝撃吸収エネル ギ一が低下するとともに押出性を低下させる。
さ らに、 第 2のアルミニウム合金においては、 上記割合の F e、 及び M n、 C r、 Z r、 Vから選ばれる元素は結晶粒微細化により 合金の成形性及び靱性を向上させる効果を持ち、 その結果曲げ加工 性を向上させる。
本発明においてアル ミ ニウ ム合金には、 必要に応じてさ らに S r 又は S bを 5 0〜 5 0 0 p p m含有させるこ とができる。 この S r 又は S bは、 上記したアル ミ ニウム合金の S i 粒子を微細化する作 用を奏する。 S r又は S bは添加量が 5 0 p p m以下では微細化効 果が不足し、 5 O O p p mを越えると微細化効果がな く なり、 いわ ゆるオーバーモディ フィ ケーショ ン状態となる。 したがって、 これ らの元素は 5 0〜 5 0 0 p p m, 好ま しく は 5 0〜 3 0 O p p m程 度添加される。
また、 S i 粒子の微細化のため、 S rや S bの代わりに、 N aが 用いられるこ とがあるが、 熱間押出時の割れ原因となるため、 極力 使用せず、 S rや S bを使用することが望ま しい。 N aは S i 粒子 の微細化処理の観点からは最大でも約 1 5 0 p p m程度で十分とさ れているが、 押出時の熱間割れを考慮すると、 使用量はその数分の 1 とする必要がある。
また、 本発明のアル ミ ニウ ム合金押出材の導電率は、 第 1 のアル ミニゥム合金を用いた場合 4 8 % I A C S以下、 好ま しく は 4 6 % I A C S以下であり、 第 2のアル ミ ニウム合金を用いた場合 5 0 % I A C S以下、 好ま しく は 4 9 % I A C S以下であり、 かつ、 溶融 開始温度が 5 7 0 °C以下、 好ま しく は 5 6 0 °C以下である。 導電率 が低く、 かつ、 溶融開始温度が低いことによ り、 車体組立工程にお いてスポッ ト溶接を大電流を必要とせず、 電極寿命も大幅に改善で きるため、 スポッ ト溶接部の溶接品質と溶接ラ イ ンの生産性を維持 しながらスポッ 卜溶接を行う ことができる自動車車体構造部材用押 出材とすることができる。
本発明の自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材は、 上記
した組成のアルミ ニウム合金铸塊を特定の条件で均質化処理したの ち、 冷却、 再加熱し、 所定の温度で熱間押出を行う こ とによ り製造 できる。
このときの均質化処理は、 ① 4 5 0 °Cを越え 5 2 0 °C以下の温度 で 1 時間以上の均質化処理、 ② 5 2 0 °Cを越え 5 7 0 °C以下のビレ ッ ト温度で 1 時間以上の均質化処理、 又は③ 5 2 0 °Cを越え 5 7 0 °C以下のビレツ ト温度で 1 時間以上の均質化処理後 4 0 0 °Cを越え 5 2 0 °C以下の温度で 1 時間以上保持、 の①、 ②又は③のいずれか によって行う ことができる。
4 5 0 °Cを越える温度での均質化処理によ り、 M g 2 S i が析出 し、 変形抵抗が低下する。 さ らに 5 2 0 °Cを越える高温での均質化 処理を行う と M n系析出物が粗大化し、 M g共存下での高温変形抵 抗が軽減され、 押出速度の上限を上げるこ とができる。
4 0 0 °C を越え 5 2 0 °C以下の温度での均質化処理は、 M g 2 S i を析出させ、 さ らに変形抵抗を減少させるこ とができ、 これにより押出速度の上限がさ らに増大する。
また、 ビレツ ト加熱温度は低すぎると圧力が過大になり押出がで きな く なる。 高すぎると押出時の加工発熱で溶融が発生する。
本発明の自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材はその製 造においては、 従来法より押出速度をより大き く しう ることを特徴 とする。 さらに、 押出ダイスの材料摺動面の一部又は全部にセラ ミ ッ クスコ一ティ ングを行う と、 摺動抵抗が低下し、 押出材速度の上 限を約 2 0 %向上させることができ、 好ま しい。 セラ ミ ツ クスコ一 ティ ングは、 少な く とも 3 m m以下のク リ アラ ンスを有する部分、 も しく はダイス面全部に施すこ とがさ らに好ま しい。
上記のように、 特定の組成のアル ミ ニウ ム合金錶塊を特定の温度 で均熱処理、 押出処理するこ とで、 押出時の割れの発生、 押出荷重 の過大等が改善され、 生産性が向上する。 押出時の割れの原因はメ タルフローの差によって各部位の速度に差ができ、 押出形材の内部 に内部剪断力が働きその張力で破断にいたるものと推定され、 特に 中柱のあるホロ一材は部位による速度差がつきやすく加工発熱も一 般に大きいため割れ発生の可能性が高いが、 本発明方法によればこ のような形状の部材も割れを発生することな く高い押出速度で製造 することができる。
第 1 のアルミニウム合金を用いる場合、 本発明における合金では 熱間押出時に割れが発生しやすく 、 生産性を悪化させる恐れがある が、 以下に示す、 均質化処理及び押出材の形状との関係から求まる 速度で押出を行う ことによ り、 割れを回避することができる。 (V は押出速度 ( m 分) 、 Tは押出開始時のビレツ ト温度 C ) を表 わす。 )
① 4 5 0 °Cを越え 5 2 0 °C以下の温度で 1 時間以上の均質化処理を 行った場合
中柱のあるホロー材 : V く 1 4 0 0 0ノ T 中柱のないホロー材及びソ リ ッ ド材 : V < 2 0 0 0 0 / T ② 5 2 0 °Cを越え 5 7 0 °C以下の温度で 1 時間以上の均質化処理を 行つた場合
中柱のあるホロー材 : V < 1 5 0 0 0 / T 中柱のないホロー材及びソ リ ッ ド材 : V < 2 2 0 0 0 / T ③ 5 2 0 °Cを越え 5 7 0 °C以下の温度で 1 時間以上の均質化処理を 行った後、 4 0 0 °Cを越え 5 3 0 °C以下の温度で 1 時間以上の保持
を行った場合
中柱のあるホロー材 : V < 1 6 0 0 0ノ T 中柱のないホロー材及びソ リ ッ ド材 : V < 2 4 0 0 0 / T 上記の通り、 押出速度は③、 ②、 ①の順に優れる。
また、 第 2のアル ミ ニウ ム合金を用いる場合、 本発明における熱 間押出の速度は特に制限はないが、 均質化処理及び押出材の形状と の関係で以下の速度が特に好ま しい。 (Vは押出速度 (m/分) 、 Tは押出開始時のビレツ 卜温度 C) を表わす。 )
① 4 5 0 °Cを越え 5 2 0 °C以下の温度で 1 時間以上の均質化処理を 行った場合
中柱のあるホロ一材 : V < 1 6 0 0 0 ZT 中柱のないホロー材及びソ リ ッ ド材 : V < 2 2 0 0 0 / T
② 5 2 0 °Cを越え 5 7 0 °C以下の温度で 1 時間以上の均質化処理を 行った場合
中柱のあるホロー材 : V < 1 7 0 0 0 / T 中柱のないホロー材及びソ リ ッ ド材 : V < 2 3 0 0 0 / T
③ 5 2 0 °Cを越え 5 7 0 °C以下の温度で 1 時間以上の均質化処理を 行った後、 4 0 0 °Cを越え 5 3 0 °C以下の温度で 1 時間以上の保持 を行った場合
中柱のあるホロー材 : V < 1 8 0 0 0 ZT 中柱のないホロー材及びソ リ ッ ド材 : V く 2 4 0 0 0 Z T 上記の通り、 押出速度は③、 ②、 ①の順に優れる。
本発明の自動車車体構造部材用アル ミ ニウ ム合金押出材の製造方 法では、 アルミ缶やアルミサッ シ、 また廃車になった自動車のアル ミ ニゥム層をリサイ クルして使用するこ とができるこ とが特徴の 1
つである。
本発明で用いる第 1 のアルミニウム合金は S i 、 M n、 Z nを、 第 2 のアル ミ ニウム合金は S i 、 Z nを多く 含むので、 その原料と して各種の金属屑をリサイ クル利用するこ とが可能である。 利用で きる リサイ クル屑と しては例えば、 回収したアルミニウム缶および アルミ ニゥムサッ シ屑ゃ自動車のエンジ ン屑をはじめとする部品屑 などがある。 好ま しく は M n 0 . 5 %を越え に 2 %以下及び M g 1 . 2 %を越え 2 . 0 %以下を含むアル ミ ニウム缶回収屑、 M g 0 . 2 %を越え 1 . 0 %以下を含むアルミニウムサッ シ回収 屑、 及び S i 2 . 5 %を越え 1 4 %以下を含む自動車アルミ ニゥ ム部品屑などの回収材を原料の一部に用いる。 この場合、 回収材に は必要に応じて純化処理を行うが、 これらの純化処理は、 α固溶体 分離処理等の通常行われている方法で行う ことができる。 このよう な純化処理方法自体は公知であり、 例えば、 特開平 7 _ 5 4 0 6 1 号、 同 7 _ 1 9 7 1 4 0号などに記載があり、 これに従って行う こ とができ る。
上記のような屑を使用することによ り、 得られる部材の衝撃吸収 エネルギーを増加させるこ とができる。 また、 これらの屑は比較的 入手しやすく 、 部材のコス ト低減にもつながる。
本発明の自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材は、 第 1 のアルミニゥム合金を用いた場合、 導電性と溶融開始温度が低いた めスポッ ト溶接時に電極の損耗が少な く 、 組立工程の生産性向上を 達成でき、 脱脂性、 化成処理性がよいため表面処理性に優れ、 さ ら に強度も高く 、 衝撃吸収エネルギーが大きいので、 肉厚が薄く てよ いという優れた効果を奏する。 このアル ミ ニウム合金押出材は、 自
動車車体構造部材と して、 サイ ドフ レーム、 リ アフ レーム、 セ ン ター ピラー、 サイ ドシル、 フ ロアフ レームのよ う なスポ ッ ト溶接性 と表面処理性の両者が要求される用途に用いられる。
さ らに、 本発明の自動車車体構造部材用アル ミ ニウム合金押出材 は、 第 2のアルミニウム合金を用いた場合、 導電性と溶融開始温度 が低いためスポッ ト溶接時に電極の損耗が少な く 、 組立工程の生産 性向上を達成でき、 脱脂性、 化成処理性がよいため表面処理性に優 れ、 さ らに強度も高く、 曲げ加工性が高く 、 高度の曲げ加工でも割 れを発生しないという優れた効果を奏する。 このアル ミ ニウム合金 押出材は、 自動車車体構造部材と して、 サイ ドフ レーム、 リ アフ レーム、 センター ピラー、 サイ ドンル、 フ ロアフ レームのよ う な曲 げ加工性とともにスポッ ト溶接性及び表面処理性が要求される用途 に用いられる。
また、 本発明の製造方法によれば、 高い押出速度で割れのない押 出材を生産性よく製造できる。 さ らに本発明の自動車車体構造部材 用アル ミ ニウム合金押出材は、 アル ミ缶回収屑やアル ミ サッ シ回収 屑、 自動車アルミ ニウム部品屑などを用いて高品質、 低コス トで製 造することが可能である。 実施例
次に、 本発明を実施例に基づいてさ らに詳細に説明するが、 本発 明はこれらに限定されるものではない。
表 4及び表 5に示すように、 表 1 に示す 1 A〜 1 I の組成のアル ミ ニゥム合金を、 表 3に示す I 〜V Iの条件でソ一キング、 押出加工 を行い、 アル ミ ニウ ム合金押出材試料 1 〜 1 5 の製造試験を行つ
た。 押出時フ ァ ン空冷後、 1 8 0 °Cで 2時間時効処理したのち、 下 記の特性を評価した。 結果を表 4及び表 5 に示した。
なお、 表 1 の 1 A〜 1 C に用いた A D C 1 2 Z 、 U B C及び A C 4 C Hの組成は表 2の通りであり、 純化は α固溶体分離処理法 によって行った。
各特性の試験方法は次の通りである。
①引張試験 (引張り強さ、 耐カ、 伸び値)
イ ンス ト ロ ン型引張試験機で、 J I S 5号試験片を用い、 引張速 度 1 0 m mノ m i nで行い、 引張強さ、 耐カ、 伸び値を求めた。 ②衝撃吸収エネルギー
押出形材の引張、 圧縮等の塑性変形によって吸収し得るエネル ギーのこ とで、 引張試験における破断までの変形エネルギーを求め た。
③導電率
標準試験片にて調整した測定装置によ り渦電流法により測定し、
I A C S %で表した。
④溶融開始温度
昇温速度 2 0 °C / m i nで D S C法にて、'熱分析を行って求め た。
⑤リ ン酸亜鉛付着量
リ ン酸亜鉛処理は、 各工程と も、 日本パー力一ライ ジ ング製の 市販薬剤を用い、 7 0 mm X 1 5 0 m mの寸法の試験片にて、 脱 脂及び表面調整の前処理後、 リ ン酸亜鉛処理を行う という手順で 行った。 その処理工程は、 脱脂剤 (商品名 F C — L 4 4 6 0 ) で 4 3 °C X 2 m i nの脱脂後、 表面調整剤 (商品名 P L - 4 0 4 0 )
で室温 x 3 0 s e c後、 さ らに リ ン酸亜鉛処理剤 (商品名 P B - L 3 0 2 0 ) で 4 3 °C X 2 m i nのリ ン酸亜鉛処理を行い、 処理終 了後、 水洗、 乾燥し、 リ ン酸亜鉛の単位面積当たりの付着重量を測 定した。
⑥スポッ ト溶接性
スポッ ト溶接は、 単相整流溶接器にて、 1 % C r _ C u Rタイ プ電極 R = 1 5 0を用い、 加圧力 3 9 2 3 N ( 4 0 0 K g f ) 、 溶 接電流 3 0 K Aで行った。 なお、 スポッ ト溶接は、 加圧力を一定時 間保持し、 その加圧力保持の間に溶接電流を印加し、 一定溶接電流 を一定時間保持した後、 溶接電流印加終了後も、 材料のナゲッ ト部 が完全に凝固するまでの間、 加圧力を保持する方法で行った。
こ こ で加圧力付加後、 溶接電流の立ち上がるまでの時間 (スク ィ ズタイム) は 3 5 サイ クル ( 0. 7 0 s e c ) 、 一定電流値を 保持 し材料を溶融する時間 (ウエル ドタ イ ム) を 1 2 サイ ク ル ( 0. 2 4 s e c ) 、 さらに電流印加終了後の保持時間 (ホール ド タイム) を 1 5サイ クル ( 0. 3 0 s e c ) と し、 溶接は 1 スポッ ト Z 3 s e cで行い、 その結果、 引.張せん断荷重が 3 0 0 0 k N以 下となった点を電極寿命と して評価した。
⑦曲げ加工性
9 0 ° の V字曲げ (先端 R 2 mm) を行い、 割れが発生しなけ れば良好、 割れの発生したものは不良と評価した。
表 1
表 2
組成 (w t °/o)
Cu F e S i Mn Mg C r T i Zn A 1
ADC12Z 2.1 1.15 11.7 0.31 0.16 0.01 0.01 1.83 残部
AC4CH 0.11 0.13 7.0 0.01 0.38 0.03 0.01 0.05 残部
UBC 0.11 0.38 0.07 0.78 1.48 0.01 0.01 0.00 残部
表 3
(注) * ダイス
ホロ一 1 1辺 4 Ommの曰の字 板厚 2. 0mm ハイス鋼製 ホロ一 2 1辺 40mmの口の字 板厚 2. 0mm ハイス鋼製 ソリッ ド 2. 0 t X 100W
T i Nコ一卜 :ベアリンク "部に 1 m厚でコーティング、
素地はハイス鋼
表 4
* 3秒に 1 丁点して Lヽき、せ く3000k NOTとなつた点^ ϊとし
比 較 例
No.
10 1 1 12 13 14 15
1 F 1G 1H 1 I 1G 1G
■ τ τ T T
丄 丄 丄 丄 V V vT 1 m m m 權 權 1れ 弓隨さ (MPa) 282 190 31 1
¾Wa) 9 Π U 丄 1 1 A 7 Δ 0 (
伸び(%) 1 . 0 13. 8 14. 7
曲 ί無 14 -t3¾i丁
0.034 0.023 0.040
^(Nm/ram2)
特
50 55 45
(IACS%)
性
蕭开 1½¾ 580 610 560
CO
リン 1. 40 0. 75 1. 65
量 (g/m2)
400 270 700 * 3秒に 1 打点していき、せ X«¾^3000 kNOTとなった点を ¾6卩とし/"o
表 4及び表 5 の結果から明らかなよ う に、 比較例と しての試料 1 0 は、 衝撃吸収エネルギーが低く 、 スポッ ト溶接時の電極寿命が 短い。 さ らに溶融開始温度が高く 、 りん酸亜鉛付着量も小さ く表面 処理性が劣る。 試料 1 1 は、 引張強さ及び耐力が著しく 劣り、 衝撃 吸収エネルギーが著しく小さ く 、 強度等機械的特性面で実用性がな い。 また、 こ の試料 1 1 は導電率と溶融開始温度が高く 、 スポ ッ 卜溶接時の電極寿命も短 く 、 りん酸亜鉛付着量 ( 1 . 8 gZm2 以上が必要であ り、 2. O g /m2 以上が好ま しい) も 0. 7 5 g / m 2 と著し く 低い。 また試料 1 2 は、 引張強さ、 伸び、 衝撃 吸収エネルギーは大き く 、 溶接性も良いが、 りん酸亜鉛付着量が 1 . 6 5 gZm2 と低く 、 化成処理性に劣る。
以上、 試料 1 0 ~ 1 2 は、 強度、 衝撃吸収エネルギー、 溶接性 (スポッ ト溶接時の電極寿命) 、 化成処理性のいずれかが低い等の 問題がある。
また試料 1 3〜 1 5 は、 押出性が著し く悪く 、 試料 1 3及び 1 5 はホロー材の中柱が割れ、 試料 1 4は押出不能で、 目的の押出材が 得られなかった。
これに対し本発明の試料 1 〜 9 は、 引張強さ及び伸びが優れ、 衝 撃吸収エネルギーが高く 、 導電率、 溶融開始温度が低い。 そして表 面処理性を示すリ ン酸亜鉛付着量は 1 . 8 7〜 2. 4 4 gZm2 の 値を示し非常に優れ、 さ らにスポ ッ ト溶接時の電極の損耗が少な く 、 電極の寿命が長く スポッ ト溶接性も優れる。
—方、 表 9及び表 1 0 に示すように、 表 6 に示す 2 A〜 2 I の組 成のアルミニゥム合金を、 表 8 に示す I 〜 VIの条件でソーキング、 押出加工を行い、 アル ミ ニウム合金押出材試料 1 6〜 3 0 の製造試
験を行った。 押出時フ ァ ン空冷後、 1 8 0 °Cで 2時間時効処理した のち、 各特性を評価した。 結果を表 9及び表 1 0 に示した。
なお、 表 6の 2 A〜 2 Cに用いた A D C 1 2 Z、 A C 4 C H及び サッ シ屑の組成は表 7の通りであり、 純化は α固溶体分離処理法に よって行った。
各特性の試験方法は前記の通りである。
表 6
組成 (w t )
種 別 備 考
M n M a C r T i Z r Z n S r A 1
ADC 12Z サ シ 1§
2 A 0. 55 0. 35 3. 21 0. 15 0. 49 0. 05 0. 03 0. 01 0. 05 0. 62 残部
混合純化
ADC 12Z サ シ屑
2 Α ' 0. 55 0. 35 3. 21 0. 15 0. 49 0. 05 0. 03 0. 01 0. 05 0. 62
1 nnm 残部
地金混合砘化 本
ADC 12Z サ シ/ g
2 Β 0. 82 0. 35 2. 65 0. 1 1 0. 68 0. 04 0. 04 0. 01 0. 03 0. 35 残部
発 地金混合純化 明 AC4CH. サプシ屑
2 C 1. 05 0. 85 3. 95 0. 08 0. 99 0. 07 0. 06 0. 01 0. 10 0. 31 残部
混合 例
2 D 0. 40 0. 25 2. 65 0. 03 0. 40 0. 03 0. 05 0. 03 0. 03 0. 30 残部
2 E 1. 10 1. 35 3. 95 0. 25 1. 40 0. 25 0. 25 0. 01 0. 25 1. 10 残部
2 F 0. 45 0. 33 2. 20 0. 01 0. 35 0. 03 0. 02 0. 00 0. 03 0. 00 残部 比 2 G 0. 01 0. 25 0. 39 0. 03 0. 48 0. 03 0. 05 0. 01 0. 25 0. 00 残部
較
2 H 0. 43 0. 33 2. 80 0. 20 0. 45 0. 03 0. 02 0. 01 0. 02 0. 20 残部
M
2 I 0. 55 0. 31 5. 12 0. 82 0. 45 0. 03 0. 05 0. 00 0. 03 0. 00 残部
表 7
(注) * ダイ ス
ホロ一 1 1辺 4 0 mmの日の字 扳厚 2. 0 mm ハイ ス鋼製 ホロ一 2 1辺 40 mmの口の字 板厚 2. 0 mm ハイ ス鋼製 ソ リ ッ ド 2. 0 t X 1 0 0 W
T i Nコー ト : べア リ ング部に 1 n m厚でコーティ ング、
素地はハイス鋼
表 9
(注) * 3秒に 1点打点していき、 せん断荷重が 3 0 0 0 k N以下となった点を寿命とした。
表 1 o
(注) * 3秒に 1点打点していき、 せん断荷重が 3 0 0 0 k N以下となった点 を寿命とした。
表 9 び表 1 0 の結果から明らかなよ う に、 比較例と しての試料 2 9 は押出性が著しく悪く押出が不能であ り、 試料 2 8及び 3 0は ホロー材の中柱が割れ、 目的の押出材が得られなかった。 試料 2 5 は、 押出結果は良好であったものの リ ン酸亜鉛付着量が低く 、 化成 処理性にも劣る。 さらに、 スポッ 卜溶接時の電極寿命についても非 常に低い。 試料 2 6 もスポ ッ ト溶接時の電極寿命が 2 7 0 と著しく 低く 、 リ ン酸亜鉛付着量も 0 . 7 5 g Z m 2 と極めて低いうえ、 溶 融開始温度が 6 1 0 °Cと高く なつている。 試料 2 7はリ ン酸亜鉛付 着量が低く、 表面処理性に劣る。
これに対し本発明の試料 1 6〜 2 4 は、 引張強さ、 耐カ及び伸び が優れ、 導電率、 溶融開始温度が低い。 そ して表面処理性を示すリ ン酸亜鉛付着量は 1 . 8 7 g Z m 2 以上の値を示し非常に優れ、 さ らにスポッ ト溶接時の電極寿命が長く 、 電極の損耗が少ないこ とが わ力、る。 産業上の利用可能性
本発明の自動車車体構造部材用アル ミ ニウム合金押出材は、 導電 性と溶融開始温度が低いためスポ ッ ト溶接時に電極の損耗が少な く 、 組立工程の生産性向上を達成でき、 脱脂性、 化成処理性がよい ため表面処理性に優れ、 さ らに強度も高く 、 かつ衝撃吸収エネル ギ一が大きいので肉厚が薄く てもよ く 及び Z又は曲げ加工性が高く て高度の曲げ加工でも割れを発生しないので、 自動車車体構造部材 と して、 サイ ドフ レーム、 リ アフ レーム、 セ ンター ピラー、 サイ ド シル、 フ ロアフ レームに用いるのに好適な ものである。
また、 本発明の自動車車体構造部材用アル ミ ニウム合金押出材の
製造方法は、 前記の優れた特性を有する押出材を、 原料と して回収 アルミニウム材を用いて低価格で製造する方法と して好適なもので のる。
さ らに、 本発明の自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材 は、 原料の少なく とも一部と して回収アルミニウム材を用いること ができ、 アルミニウム廃材のリサイ クル用途と しても好適なもので ある。 本発明をその実施態様とともに説明したが、 我々は特に指定しな い限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しょう とする も のではなく 、 添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反する こ となく幅広く解釈されるべきであると考える。