明 細 書 ベビー力一のサスペンション装置 技 術 分 野
本発明は、 買い物や散歩、 旅行等で外出する際に、 赤ちゃんを乗せる折り 畳み可能なベビーカーのサスペンション装置に関し、 とくに路面の大 '小の うねりを、 別個の機構, 即ちフレームサスペンショ ン機構および/またはホ ィ一ルサスペンション機構にて効果的に吸収するためのサスペンション装置 を提案する。 背 景 技 術
従来のベビーカーのサスペンション装置は、 路面のうねりを吸収するため に、 ホイールを固定しているキャスターにスプリング等を介挿したものが一 般的である。 この従来装置は、 いわゆるスプリングの弾性を利用して、 主と して走行時の小さなうねり (衝撃) のみを吸収するものである。
しかし、 ベビー力一を走行させる通路はいつも平坦で小さなうねりだけと は限らず、 ときとして大きなうねりのある曲がりくねった道やデコボコの道 があり、 また、 道路や店内等には大 ·小さまざまな段差がある。 このような 場合、 従来装置のように小さなうねりのみを吸収する機構によれば、 大きな 段差や大きな障害物を乗り越える機能が不足し、 また、 いざというときにス ムーズな操作ができないという問題があった。 そのため、 ベビーカーに対し、 路面のうねりの大小にかかわらず、 安定した走行性、 即ち、 デコボコ道ゃ段 差部の衝撃吸収作用に優れた機構の付与が求められている。
そこで本発明の主たる目的は、 デコボコ道ゃ段差部においても乗りごこち よく安定走行性に優れたべビ一力一のサスペンション装置を提案することに める。
本発明の他の目的は、 路面の大きなうねりを吸収するのに有効な衝撃吸収 機構 (フレームサスペンション機構) を装備したベビー力一を提案すること にある。
本発明のさらに他の目的は、 路面の小さなうねりを吸収するのに有効な衝 撃吸収装置 (ホイールサスペンショ ン機構) を装備したベビーカーを提案す ことにある。 発 明 の 開 示
上掲の目的を実現するため、 本発明にあっては、 上面にシートを固定した ベビーカーのエプロンに対し、 それの両側面の後部にハンドル支持金具を枢 着すると共に、 該ヱプロンの両側面中央部には、 前方端にキャスターを介し てフロントホイ一ルを取付けてなる左右一対のフロントフレームの後端部と、 後方端にキャスターを介してリャホイ一ルを取付けてなる左お一対のリャフ レームの前端部と、 セィフティ一ガ一ド支持用ガ一ドサポートの下端とを 、 該エプロンに横架貫通して設けたフレーム軸にそれぞれ枢着し、 かつ該フ ロントフレームにはそれの略中央部と前記ハンドル支持金具の下端部との間 に左右ー对のフロント リンクを連結し、 一方前記リャフレームには、 それの 略中央部と前記ハンドル支持金具の前記枢着部分との間に左右一対のリャリ ンクを連結してなるフレームサスペンション機構を設けたことを特徴とする ベビー力一のサスペンション装置を提案する。
また本発明は、 上面にシートを固定したベビー力一のエプロンに対し、 そ れの両側面の後部にハンドル支持金具を枢着すると共に、 該ェプ αン両側面 の中央部には、 前方端にキャスターを介してフロントホイ一ルを取付けてな るフロントフレームの後端部と、 後方端にキャスターを介してリャホイール を取付けてなるリャフレームの前端部と、 セィフティ一ガード支持用ガード サポートの下端とを、 該ェプロンに橫架貫通して設けたフレーム軸にそれぞ れ枢着し、 かつ前記フロントフレームおよびリャフレームの各々の下端に固
定したキャスターには;前側下部に鍔部を有しかつ後側下部に脚部を有する 軸受支持部材と、 この軸受支持部材の下部に枢軸を介して俯角仰角方向に揺 動可能に枢支するとともに内部にはブ σック状のラバーブッシュを収容して なる軸受部材と、 そしてこの軸受部材の後方端に軸支したホイール軸にて支 承されるホイ一ルとからなるホイ一ルサスペンション機構を取付けたことを 特徴とするベビーカーのサスペンション装置を提案する。
なお、 上記のホイ一ルサスペンション機構において、 ラバ一ブッシュには 1以上の圧潰防止用通気孔を穿設することが本発明の好ましい実施の態様と なる。
また、 本発明は、 上面にシートを固定したベビーカーのエプロンに対し; それの両側面後部にハンドル支持金具を枢着すると共に、 該エブ1 Dンの両側 面中央部には、 前方端にキャスターを介してフロントホイ一ルを取付けてな る左右一対のフ ントフレームの後端部と、 後方端にキヤスタ一を介してリ ャホイ一ルを取付けてなる左右一対のリャフレームの前端部と、 セィフティ 一ガード支持用ガードサポートの下端とを、 該エプロンに横架貫通して設け たフレーム軸にそれぞれ枢着し、 かつ該フロントフレームにはそれの略中央 部と前記ハンドル支持金具の下端部との間にフロント リ ンクを連結し、 一方 前記リャフレームには、 それの略中央部と前記ハンドル支持金具の前記枢着 部分との間にリャリ ンクを連結してなるフレームサスペンション機構を設け 、 さらに前記フロントフレームおよびリャフレームの各々の下端に固定した キャスターには;前側下部に鍔部を有しかつ後側下部に脚部を有する軸受支 持部材と、 この軸受支持部材の下部に枢軸を介して俯角仰角方向に揺動可能 に枢支するとともに内部にはプロック状のラバ一ブッシュを収容してなる軸 受部材と、 そしてこの軸受部材の後方端に軸支したホイール軸にて支承され るホイールとからなるホイ一ルサスペンション機構を取付けたことを特徴と するベビーカーのサスペンショ ン装置を提案する。
図面の簡単な説明
第 1図は、 べビ—力一の全体斜視図である。
第 2図は、 ホイ一ルサスペンション機構の部分を切り欠いて示したベビー 力一の側面図である。
第 3図は、 ホイールサスペンション機構の部分についての拡大断面図であ る。
第 4図は、 ホイ一ルサスペンション機構ならびにフレ一ムサスペンション 機構の構成を明らかにするベビーカーの一部を切り欠いて示した正面図であ o 発明を実施するための最良の形態
本発明にかかるベビーカーのサスペンション装置は、 ェャゃオイルを用い ることなく、 メカ二力ルな手段で路面からの衝撃を緩和するために開発され たものであり、 とくに路面の大きなうねり (凹凸面) に対して有効に作用す るフレームサスペンション機構 Fと、 路面の小さなうねり (凹凸面) に対し て有効に作用するホィ一ルサスペンショ ン機構 Wを単独もしくは組合わせて 用いる点に特徴を有するものである。
そのフレームサスペンション機構 Fについて簡単に説明すると、 この機構 は、 フロントフレームとリャフレームとをェプロンの両側部に枢着すると共 に、 これらのフレームをフロント リンクとリャリンクとで連繋させた構成と なっている。 そのフ ϋントフレームとリャフレームとは、 両者が交会するフ レ―ム枢支部を挟んで独立懸架の状態におかれ、 これらのフレームがもつ可 撓性ならびにリンク連繋機構により、 路面の大きなうねりに対応するサスぺ ンション作用が生じるようになつている。 なお、 フロント リンクとリャリ ン クはフロント部とリャ部の独立懸架を助けかつ路面からの衝撃を緩和する作 用を担うものである。
このフレームサスペンション機構 Fは、 硬いサスペンション構造を有しか
っ長ストロークで揺動するリンク機構を有するので、 走行時に路面から伝わ る大きなうねりを吸収緩和するのに有効で、 大きなデコボコ道や段差での障 害物乗り越えの機能を十分に果たし、 ベビーカーの安定した走行性を約束す るものである。
一方、 ホイ一ルサスペンショ ン機構 Wは、 路面から伝わる小さなうねりと 直接的な振動を吸収するのに有効な機構として設計してあり、 衝撃吸収にラ バ一ブッシュを利用する点に特徴がある。 即ち、 この機構 Wは、 ラバーのも つ弾性素材の特性を利用して、 柔らかいサスペンショ ン構造を有しかつ短い ストロークで応動するよう設計されているので、 走行中に路面から伝わる小 さなデコボコを吸収緩和するのに有効である。
また本発明は、 フレームサスペンショ ン機構 Fとホイ一ルサスペンション 機構 Wとを併用することにより、 両機構による相乗効果によって、 歩道や公 園、 デパート、 スーパ一マ一ケッ ト等のあらゆる路面に対応させることがで き、 安全でスムーズな走行が実現できる。
以下に、 本発明の構成を図面に基づいて詳しく説明する。
図面は、 買い物、 散歩、 旅行等で外出する際に、 赤ちゃんを乗せる折り畳 み可能なプラスチックあるいは軽金属製からなるベビー力一であり、 このべ ビーカーは、 図 1, 2に示すように、 上面にシ一ト 1を固定したエプロン 2 に対し、 その両側面の後部に、 アーチ形のハンドル 3の下端に固定した左お で一対のハンドル支持金具 3 Aを枢着し、 一方、 該エプロン 2の両側面の略 中央部のフレーム枢支部には、 前方端にフロントホイール 4をキャスター 5 を介して取付けた左右で一対のフロントフレーム 6, 6 'の後端部と、 後方 端にそれぞれリャホイール 7をキャスター 8を介して取付けた左右で一対の リャフレーム 9の前端部と、 およびアーチ形のセーフティガード 10を支持す る左右で一対のガードサポート 11の下端とがフレーム軸 12に枢着してある。 以下は、 椅子の片側についての構成のみで説明する。
なお、 本発明において、 べビ一力一は、 図示したところからわかるように、
シ一ト 1ならびにスプラッ ト 13を一体としてリクライニングさせることが可 能であり、 また、 折り畳むことも可能な構造を具えるものである。
さて、 上記フレームサスペンショ ン機構 Fは、 フロン トフレーム 6 , リャ フレーム 9 , フロン ト リ ンク 14, リャ リ ンク 15とをリ ンク機構として連翳さ せてなるものである。 より詳しくは、 フロン トフレーム 6の後方端とリャフ レーム 9の前方端とをェプロン 2に横架貫通して設けたフレーム軸 12 aの端 部にそれぞれ回動可能に枢着し、 かつヱプロン 2後部の両側面に枢着してあ るハンドル支持金具 3 Aの下端と該フロン トフレーム 6の略中央部との間を フロント リンク 14にて連結すると共に、 該ハンドル支持金具 3 Aの枢着部と 前記リャフレーム 9の略中央部との間をリャリンク 15に連結した構成を有す るものである。
なお、 前記フロン トフレーム 6とフロン ト リンク 14とを枢支しているピン 16は、 前記ェプロン 2の前方下部に設けた溝部 16 A内に着脱可能に嵌め入れ ることができるようになつていて、 このピン 16を溝部 16 A内に嵌着すること によって、 該フレームサスペンショ ン機構 Fによる走行のための組立てロ ッ クができ、 一方、 その抜き外しによってフレームとくにべビーカ一本体の折 り畳みが可能になる。 従って、 ベビー力一走行時は、 ピン 16が溝部 16 A内に 嵌着された状態で、 両フレーム 6 , 9および 2つのリ ンク 14 15およびハン ドル支持金具 3 Aの連繫ができ、 このような構成によって該フレーム 9 に加わる振動や衝撃を吸収緩和するのである。
また、 図示は省略するが、 フレームサスペンショ ン機構 Fのフレーム軸 12 5 による枢支部には、 フロン トフレーム 6とリャフレーム 9との間にクッシ ヨン部材等の回動付勢手段を取付けても良い。 なお、 この実施例において、 路面の主として小さなデコボコを吸収するための手段として、 このべビーカ 一本体に対しさらに、 下記のようなホイ一ルサスペンショ ン機構 Wを採用し てもよい。 ただし、 このような構成は、 本発明を限定するものではなく、 フ レ一ムサスペンション機構 Fとホイ 一ルサスペンション機構 Wとのいずれか
1つをべビーカー本体に対しそれぞれ単独に採用してもよいことは勿論であ る。
次に、 本発明のもう 1つの特徴であるホイ一ルサスペンショ ン機構 Wにつ いて説明する。
上記フロントフレーム 6ならびにリャフレーム 9のそれぞれの後方端, 先 方端には、 それぞれキャスタ一 5 , 8を介してフロントホイール 4 , リャホ ィ一ル 7が取付けられる。 本発明にかかるホイ一ルサスペンション機構 Wは、 上記の各キャスター 5, 8まわりに付設されるものであり、 路面から各ホイ ールに伝わる直接的で短いストロークの振動に対して有効に作用するよう に設計されたものである。
かかるホイ一ルサスペンション機構 Wは、 たとえばフロントホイ一ルの場 合、 図 3、 図 4に示すように、 前記キャスター 5の下端部に回動自在に支承 した 2個一対で用いられるフロントホイール 4 , 4 'に対し、 上述した各フ レームに加わる上下振動や揺動等の衝擊を吸収緩和するためのものである。 そのキャスター 5は、 パイプ状のキャスタホルダ一 5 Aの開放下端内部に、 筒状の軸受支持部材 19が軸まわりに 360 °回転するように嵌着してあり、 し かもこの軸受支持部材 19の下端には俯角仰角方向に揺動する軸受部材 18が枢 軸 20を介して取付けられ、 さらにこの軸受部材 18にはホイ一ル軸 17を介して フロントホイール 4 , 4 'が支承されている。 即ち、 これらのフロントホイ —ル 4, 4 'は、 断面 L字形ボックス状軸受部材 18の一端にある軸受 18 Aと ホイ一ル軸 17にて回転自在に支承されている。
上述したように、 前記軸受部材 18は、 前記軸受支持部材 19の下部に、 枢軸 20を介して俯角仰角方向に揺動自在に支承され、 この枢軸 20を中心として揺 動するとき、 この軸受支持部材 19の下部に設けた前側鍔部 19 Aに該軸受部材 18の上縁部 18 Cが当接することにより、 該軸受部材 18の俯角方向の限界とな る。
一方、 この軸受支持部材 19の後部下端は、 軸受部材 18の内部に収容したラ
バーブッシュ 21の上端面とくに後部側段部 21 aが当接している。 従って、 該 軸受部材 18がフロントホイール 4 , 4 'とともに仰角方向へ揺動するとき、 このラバーブッシュ 21には圧縮力が作用するが、 その圧縮力をラバーで吸収 することで、 振動, 衝撃を緩和する構成になっている。
そのために、 このラバーブッシュ 21、 とくにその後部には、 軸受支持部材
19にかかるべビーカーの重量による潰圧を避けるために、 略楕円形状の貫通 する 1以上の通気孔 22が穿設してある。
なお、 上述したフロントホイール 4, 4 'に対するホイ一ルサスペンショ ン機構は、 リャホイ一ル 6についても同じ構成にかかるホイ一ルサスペンシ ヨン機構 Wが設けてあるので、 リャホイールのホイ一ルサスペンショ ン機構 の説明は省略する。 産業上の利用可能性
本発明にかかるベビーカーのサスペンショ ン装置は、 フレームサスペンシ ヨン機構 Fを採用することにより、 走行中の大きなうねりに伴う路面から伝 わる固くかつ長ストロークの振動を効果的に吸収緩和することができ、 また、 ホイ一ルサスペンション機構 Wを採用したことにより、 走行中の小さなうね りに伴う柔らかくかつ短スト 1 —クの振動を効果的に吸収緩和することがで き、 ベビー力—の安定した走行性、 デコポコ道ゃ段差での障害物乗り越え の機能を十分に果たすことができ、 さらに操作性も良好である。
しかも、 上記両機構を併設した場合には、 これらの相乗効果により、 歩道 や公園、 デパート、 スーパ一マ一ケッ ト等のあらゆる路面に対応し、 安全で スム一ズな走行を実現することができる。
なお、 本発明のサスペンショ ン装置は、 ベビーカーに限らず、 他の同種の 走行車, 例えば、 病院の歩行器や車椅子などへの適用が可能である。