明細書 ぬる冷たいチーズフ ォ ンデュー
技術分野
この発明は、 主にパン等にぬるのに好適な冷たいチーズフ ォ ンデュ一に関する 背景技術
チーズフ ォ ンデューは、 ヨーロ ッパ特にスイス及びその周辺でポピュラーなチ
—ズ料理である。 熱でとろけるチーズをベースと し、 図 4 に示すよ うに加熱によ り鍋 1 の中で溶融状態とされる。 この熱いチーズフ ォ ンデュー 2 に、 串 3 に刺 し たサイ コ ロ状のパン 4を入れ、 串 3を回しながらパン 4の周囲にチーズフ ォ ンデ ユ ー 2 を付着させ、 この熱いチーズフ ォ ンデュー 2をパンとと もに食べる。 その 温度は 5 0 〜 9 0 °C近く あるのが一般的である。
このよ うにチーズフ ォ ンデューは熱いうちに食するもので、 冷めたら本来のチ —ズフ ォ ンデューでなく なってしま う。 従ってチーズフ ォ ンデュ一はいかに冷ま さないようにするかがポイ ン トであり、 レス トラ ン等ではその点に努力がはらわ れてきた。
ところで、 一般家庭等において、 食パンにはバターやマーガ リ ン等を塗っ て食 べるのが普通であるが、 脂肪等が多い欠点がある。 そこで、 近年、 粘性のあるチ ーズとバターを混ぜ、 マ一ガリ ンのようにク リーム状に したぬるチーズも市場に 出て、 これをパンに塗って食する場合もある。
しかしながら、 ぬるチーズとはいっても、 相当のバタ一が入っているため、 ど う してもバタ一の風味や感覚が残る。
この発明の課題は、 チーズフ ォ ンデューは熱いものという常識を覆し、 これを 冷たいチーズフォ ンデューという新しい食品と して生まれ変わらせ、 しかも、 バ 夕一やマーガリ ン等のように、 パン等にぬるための身近で気軽に食べられる新し いぬり物食品と して提供するこ とにある。
差替 え 用紙 (規則 26)
発明の開示
この発明では、 1 種又は 2種以上の酒類又はアルコールが除去若しく は低減さ れた酒類、 例えばワイ ン、 ブラ ンデー、 ウイスキー、 日本酒、 リ キュール等と、 】 種又は 2 種以上のチーズ、 例えばナチュラルチーズの一種である粘性のあるク リームチーズを含む。 これらが混練されたク リ ーム状の性状をな し、 かつ、 常温 又は常温よ り低い温度においてパンその他の食品にぬって食するものである。 チ ーズフ ォ ンデューは本来は、 上述のよ うに 5 0 〜 9 0 °C近く の熱い状態で食する のが常識であるが、 その常識を破り、 常温又は常温よ り低い温度のものとする。 そ して、 上記酒類又はアルコールが除去若しく は低減された酒類は、 チーズの味 の深みやこ く を出す。 また蜂蜜等の糖類を加えると、 適 Sの甘味を酸し出す。 こ れによ り大人から子供まで幅広い対象に馴染む食品となる。 また、 ク リ ーム状の 性状をなすので、 パン等にもぬりやすい。
酒類は、 例えば白ワイ ン等のワイ ンが推奨される。 白ワイ ンであればチーズと 混練しても、 チーズの色に影響を及ぼさない。 なお、 全体の色が変わってもよけ れば赤ワイ ンでもよい。
そ して、 好ま しい組成範囲と して、 例えばク リ ームチーズを 6 0 〜 9 0重量%、 白ワイ ンのアルコールを除去又は低滅したものを 5 〜 3 5重量%、 糖類と して例 えば蜂蜜を 0 . 1 〜 5重量%含むチーズフ ォ ンデュ一とするこ とができる。 ク リ —ムチーズの量が上記範囲よ り少なく、 逆にワイ ンが上記範囲よ り多 く なると、 チーズの風味が出に く いし、 逆にワイ ンの味が強く なりすぎる。 また流動性が大 き く なりすぎて、 ぬる際の粘度が不足する。 一方、 逆にク リ ームチーズの fiを上 記の範囲よ り大き く し、 白ワイ ンを少なく しすぎると、 チーズの味が強く なりす ぎ、 またワイ ンが過小でパン等にぬるのに適したク リーム状の性状を得難い。 ま た蜂蜜等の糖類の添加量が上記範囲よ り少ないと、 甘味を出す効果が達成しに く く、 また上限を超えると、 逆に蜂蜜等の風味が強すぎて、 チーズの味を減殺する 従って上記のような組成範囲とするこ とが望ま しい。
なお、 糖類と しては上記蜂蜜に限らず、 例えばシロ ップ、 ブ ドウ糖、 果糖その 他の糖類を適宜用いるこ とができる。 また、 一種のかく し味と して、 塩を若干添 加してもよい。 これは例えば上記ワイ ンやチーズ、 さ らには蜂蜜等の味を引き立
たせるのに有効となる。
ク リ ーム状の性状と したチーズフ ォ ンデューからワイ ン等の水分が離水しやす い場合は、 増粘剤を 0 . 0 0 1 〜 0 . 5重量%程度含めるこ とが有効である。 こ れによ り、 長期間保存してもチーズからの離水作用が防止ないしは抑制される。 また、 例えばク リームチーズとワイ ン等を混練する際に、 その溶け合いを容易に する意味で多少の乳化剤を加えてもよい。
さらに、 果肉 · 果汁等の果実成分、 例えばオレンジ、 レ一ズン、 ス ト ロベリ ー 等の果実成分を、 例えば 1 〜 2 0重量%加えるこ と もできる。 こ うすれば、 例え ばワイ ン、 チーズ等にさ らに果実の風味が加わり、 消費者の多用な嗜好を満たす ( また、 例えばピーナ ッ ツ又はアーモン ド等の豆類を粉砕したもの (すり した 物) を加えること、 かぼちゃの果肉を裏ごししたもの、 あるいはチ ョ コ レー 卜成 分を加えるこ ともできる。 これらは選択的に 1 種又は 2種以上組み合わせるこ と ができ、 このような穀物や野菜等の成分を、 上述のワイ ンやチーズに加えて (例 えば 1 ~ 2 0重量%程度) 混練することで、 ワイ ンゃチーズをベースと しながら. 多彩な味覚のバリ エーシ ョ ンができる。
なお、 必要に応じて、 例えばシナモン等の所定の香辛料、 例えばバニラエツセ ンス等の香料、 生ク リ ーム等を添加すること もでき、 味覚を多様化したり、 調 ¾ したりするために有効である。
上記のよ うなぬる冷たいチーズフ ォ ンデュ一は、 一般には容器中に収容され、 密封されて市場に供される。 例えばプラスチッ ク等の容器に入れ、 これを蓋で密 封して出荷する。 こ こ で例えば 5 〜 1 0 °C程度の冷蔵状態で市場流通するのがよ く、 家庭では冷蔵庫に保存するのがよい。 そ して、 消費者はこの蓋を開けて、 家 庭の食卓等でマ一ガリ ンのよ うな感覚でパンにぬって食すれば、 ワイ ン等とチ一 ズ、 さらに蜂蜜等の風味が微妙に溶けあった、 バターやマ一ガ リ ンでは決して味 わえない味覚、 すなわち冷たいチーズフ ォ ンデューの味覚を得ることができ る。 図面の油単な説明
図 1 は、 本発明のぬる冷たいチーズフ ォ ンデューの製法の一例を示す工程図 c 図 2は、 本発明のぬる冷たいチーズフ ォ ンデューを容器に入れた一例を示す図 (
図 3は、 その容器を開いてパンにぬる状態を示す図。
図 4 は、 伝統的な熱いどろどろのチーズフ ォ ンデューの食べ方を示す図。 発明の実施のための最良の形態
図 1 は、 本発明に従うぬる冷たいチーズフ ォ ンデューの製法の一例を示すもの であるが、 以下、 この製法に併せて、 この発明のぬる冷たいチーズフ ォ ンデュー の好ま しい実施の形態を説明する。
まず、 酒類と して例えば甘口の白ワイ ンを用意し、 これを火にかけてアルコ一 ルを蒸発させ、 例えば常温まで冷ま しておく。 こ こで、 白ワイ ンのアルコールを とばす際、 アルコールが燃えつきた時点で、 それ以上の加熱は しない方が望ま し い。 白ワイ ンが煮詰まると、 酸味が強く なる傾向があり、 ある程度あっ さ り仕上 げるには、 上記のよ うにするのがよい。 また、 赤ワイ ンを用いるこ ともできるが、 赤ワイ ンの場合はワイ ンそのものに涉味があって、 チーズの味が変わる場合があ り、 また色自体が港紅色であるため、 チーズと混ぜたときにチーズの色が変わる 事情がある。
一方、 チーズと して所定のク リームチーズを、 例えば 5 0 0 グラム程度用意し、 常温で柔らかく なるよ うに練る。 つま り、 ク リ ームチーズは通常は密閉 した袋で、 冷蔵 して保存するのが普通であるため、 これを柔らかくする。 こ こ で、 そのク リ ームチーズを袋のまま湯につけて柔らかくする (湯煎) か、 保温庫に入れて柔ら かい状態に してから練るこ とができる。 ただし、 温度が高 く なりすぎると、 チ一 ズの酸味が強く なる場合があるので、 温度は、 例えば 3 0 ~ 3 5 °C程度が望ま し い。
そ して、 柔らかく したク リ ームチーズに、 ワイ ンを例えば 1 2 0 c c程度、 少 しずつク リ ームチーズを延ばすよ うに混ぜつつ混練する。 ある程度の混練処理が 進んだところで、 流動性のある蜂蜜を、 例えば 8 グラム程度添加する。 ク リ ーム チーズと白ワイ ンと蜂蜜を一緒に容器に投入して攪拌するこ と もできるが、 そ う すると混ざりにく いため、 上述のようにすることが望ま しい。
なお、 このように して得たチーズフ ォ ンデューを保存した場合、 チーズからヮ ィ ンの水分が出て く る場合があれば、 所定量の增粘剤又は乳化剤を添加するのが
有効である。 乳化剤は、 例えばチーズとワイ ンを混ざりやすく し、 その混合状態 を安定化する ものであり、 増粘剤は例えばチーズとワイ ン等の混練物の粘度を増 すものである。 こ こ で例えば、 太陽化学株式会社製の商品名 : ネオソ フ ト X O
(粉末状のもの) を增粘剤と して、 例えば常温に冷ます前又は冷ま した後の白ヮ イ ンに添加するこ と、 あるいは蜂蜜に添加するこ と、 又は蜂蜜を添加した後の混 練物に加えるこ とができる。 なお、 増粘剤と しては、 これ以外に、 例えば商品名
: キサンタ ンガムを用いるこ と もできる。 これは主にブ ドウ糖から抽出された天 然の粉末状のものである。 いずれに しても、 最終的にチーズフ ォ ンデューに人れ た状態で、 粉状形態が残らないよ うに、 均一に攬拌 ' 分布させる。
こ こで必要に応じ、 例えばピーナッ ツ等の豆類の粉碎物、 オ レンジ等の果肉を すり潰した果実成分、 かぼちゃの果肉を裹ごし したもの、 スイー トポテ トを潰し て濾したもの、 あるいはチョ コ レー ト (ココアを含む) 成分等を、 通常は 1 ¾、 場合によっては 2種以上、 上述のク リ ームチーズやワイ ン等に加えて混練するこ ともできる。 また、 必要に応じて、 シナモンのよ うな香辛料、 バニラエッセ ンス のよ うな香料、 あるいは生ク リ ーム等を適: e加えることもできる。
なお、 以上の説明ではワイ ン等の酒類はすべてアルコールを除去又は低減した ものであった力 、 そのままのワイ ン (一般的にはアルコール分 1 0数% ) ゃリキ ユールをチーズ等と混練するこ と もでき る。 この場合は、 主に大人向けのぬる冷 たいチーズフ ォ ンデューとなろう。
次に、 本発明に従うチーズフ ォ ンデューの幾つかの具体的な組成例を実施例 1
〜実施例 5 に示す。 実施例 1
ク リ ームチーズ 7 9 . 6
白ワイ ン 1 9
蜂蜜 1 . 3 4
ガム (增粘剤) 0 . 0 5
0 . 0 1
(重量% )
実施例 2
ク リ ームチーズ 6 0 白ワイ ン 3 5 蜂蜜 4. 9 5 ガム (增粘剤) 0. 0 4 香辛料 (シナモン等) 0. 0 1 又は香料 (バニラエッセ ンス等)
(重量%〉 实施例 3
ク リ ームチーズ 8 0 白ワイ ン 9. 5 シロ ップ (糖類) 0. 5 オ レ ン ジ果肉成分 1 0
(重量% ) 実施例 4
ク リ ームチーズ 6 2 白ワイ ン 3 5 蜂蜜 1 ピーナ ッ ツ粉砕物 2 又はチ ョ コ レー トペース ト
(重量%〉 実施例 5
ク リ ームチーズ 8 8 白ワイ ン 9 かぼちゃの裏ご し物 3
又はスィ一 トポテ トを潸したもの
又は生ク リーム
(重量% ) こ こで、 実施例 1 のように、 ク リームチーズを約 8 0重量%程度、 白ワイ ンを 約 2 0重量%程度、 蜂蜜を 1 . 3 4重量%程度、 また必要に応じて増粘剤と して のガムを 0 . 0 5重量%程度、 さらに若干の塩 ( 0 . 0 1 重量%) を入れるこ と で、 ク リ ームチーズの味にワイ ンで奥行きを加え、 また適度の流動性をもたせる とと もに、 蜂蜜で好ま しい甘味を創出する。 また、 ガムが離水を効果的に抑え、 塩がチーズ . ワイ ン等の味を引き立たせるかく し味となる。
さ らに、 実施例 2 〜実施例 5のよ うにその組成を変えるこ とで、 チーズの風味 を強く したり、 ワイ ンの風味を強くすること、 さ らには甘味や粘度等を調整する こと、 さ らに果実や野菜、 穀物、 チョ コ レー ト等の風味を付加することができる ( 図 2 に示すように、 以上のよ うな本発明に従うぬる冷たいチーズフ ォ ンデュー は、 プラスチック等の簡易な容器 1 1 に収容し、 必要に応じて密封フ ィ ルム 1 2 をかけ、 また蓋 1 3で覆った状態で市場に供するこ とができる。
そ して図 3 に示すように、 消費者は上述の蓋を開けて開封し、 冷蔵状態 (例え ば 5〜 1 0 °C位) で適度の粘性をもったク リーム状のチーズフ ォ ンデュー 1 0を. 冷やした状態又は常温の状態でへら状の食器 1 5 で所定量取り、 パン 1 6 にバタ 一やマーガリ ンと同 じようにぬって、 これを食することができる。 そこで、 チー ズゃワイ ン、 さらに蜂蜜その他の味が微妙に調和した斬新な味覚が得られるとと もに、 バタ一やマーガリ ンと異なり、 またバターとチーズを併せた従来のぬり物 と も異なり、 脂肪が少なく てカルシウム . タ ンパク質が多 く、 高カルシウム . 高 タ ンパク · 低カロ リ ーで、 ヘルシーな新食品と して食卓に提供できる。