明細書
最尤復号同期検波方法
技術分野
この発明は、 受信された位相変調方式のディ ジタル信号をシンボル周期でサン プルした複数の受信系列を用いて、 同期検波用参照信号の最尤推定と、 送信シン ボルの最尤系列推定とを同時に行う最尤復号同期検波方法に関する。
従来技術
位相変調波の復調には同期検波や遅延検波が広く用いられている。 同期検波で は、 遅延検波に比較して優れた誤り率特性が得られるのが特徴である。 同期検波 を行うためには、 受信搬送波の位相を知る必要がある。 そこで、 受信側で搬送波 を何らかの手段で再生して、 それを参照信号として受信波の変調位相を検出し、 送信符号を判定する。 M相 P S Kの参照信号の抽出法として、 受信信号を Mil倍 して変調位相を除去し、 これにより電圧制御発振器 (V C O) を位相制御して搬 送波周波数の M倍の周波数の信号を発生させ、 その信号を M分周することにより 目的の搬送波を再生する遍倍法がある。 また、 判定した符号で受信信号を逆変調 して変調位相を除去して、 同様に V C 0で搬送波を再生する逆変調法などがある。 しかし、 いずれの方法とも、 搬送波の抽出、 再生過程が V C Oを用いた閉ループ を構成しているため搬送波再生が高速に行なえないという欠点がある。 .
再生した搬送波には 27Γ /Mラジァンの位相不確定性があるために、 周期的に既 知の信号系列 (例えば数シンボル) を送信し、 これを用いて位相の不確定性を除 去している。 この同期検波を、 絶対位相を検出するという意味で絶対同期検波と よぶ。 一方、 送信側で差動符号化、 受信側で差動復号化処理を行えば位相の不確 定性の影響を除去できるが、 誤り率が絶対同期検波の 2倍程度になる。 また、 絶 対同期検波の特性は遅延検波より優れている。 4相 P S Kの場合、 ビッ ト誤り率 0. 1 %を確保するために必要な 1 ビッ トあたりの受信ヱネルギ一対雑音電力密度 比 Eb/N。 の、 遅延検波と絶対同期検波との差は約 5 d Bにもなる。
ところで、 先に述べた方法と全く異なり、 搬送波の再生を行なわない同期検波 が提案されている (文献 1 ; D. Divsalar and M. . Simon, "Multiple-symbol dif ferential detection of PS , " IEEE Trans. Com鼠 , vol. 38, pp.300-308, March
1990 および文献 2 ; P. Y. am, "Maximum- likelihood digital data sequence es timation over the Gaussian channel with unknown carrier phase, " IEEE Tra ns. Comiun. , vol. C0M-35, PP.764-767. Jul 1987) 。 これら文献 1 , 2の方法は、 受信された信号をシンボル周期で標本化して得られた受信信号サンプルを用いて 送信シンボルの最尤位相系列推定を行う。 N個の受信信号サンプルを用いて Nシ ンボルからなる系列の全てに対してメ トリックを計算し、 それが最大となる系列 を出力する。 このため、 搬送波の位相を再生する必要がない。 理想的な同期検波 に特性を近づけるためには系列推定するシンボル数 Nを大きくしなければならな い。 し力、し、 最尤推定するためのメ トリック演算の回数は MN 回となるから、 変 調の位相数 Mと送信シンボル数 Nが増大するにつれて演算処理量が指数関数的に 増大するという欠点があった。
この発明の目的は、 ビタビアルゴリズムを適用して逐次的に送信シンボルの系. 列推定を行なう、 処理量を削減した最尤復号同期検波方法を提供することにある。 発明の開示
この発明の第 1の観点によれば、 周期的に既知の信号が挿入された M相位相変 調波 (M P S K ) の最尤復号同期検波方法において、
送信シンボル周期 Tで時点 nにおける受信信号を標本化して受信信号標本 z n を得、
各時点毎に、 連続する Q個の変調位相の組み合わせ { 0 n -,; q=l, 2, -, Q-l, Q} で表わされる MQ個の状態と、 その Μβ個のそれぞれの状態へ到達する最も確か らしいパスが一つ前の時点のどの状態から伸びているかを示すパスをパスメモリ に、 各状態毎にそれに到達する系列の確からしさを表わすバスメ ト リ ックをメ ト リックメモリに記億し、
先ず、 受信信号標本 ζ
η-,を π-, で逆変調して、 q=0 のときの値 z
nexp(-j 0
n) と、 q = 1から Qまでの加算値∑z
n -, exp(-j 0
n— ,)との内積の実数値を求め、 こ れを時点 n-1
{ 0
n -,; q=0, 1, 2, ···, Q-1 }への遷移の確からしさを表すブランチメ トリック; I (S
n-,-→ S„) とし、
このブランチメ ト リ ックを時点 n-1 の状態 Sn-,におけるパスメ ト リック A (Sn-
,)に加算して、 状態 Sn-,を経由する候補系列のパスメ トリック ACSnl S n-,)を求 め、
この演算を状態 Snに入るパスの時点 n-1 の状態 Sn すべてに対して繰り返し、 得られたパスメ ト リ ックの大小を比較して最大値を与える状態 Sn- を選択し、 この状態 Sn - を、 時点 nの状態 Snに至る最も確からしいパスの時点 n-1 の状 態として上記パスメモリに記憶するとともに、 そのパスメ トリック ACSnlSn-,' ) を時点 nの状態 Snにおけるパスメ トリック A(Sn)として上記メ ト リックメモリに δし億しヽ
以上の演算を時点 ηの MQ個の全ての状態に対して繰り返して行ない、 次に、 復号シンボルを出力するときに、 MQ 倔の状態におけるパスメ トリ ック の大小を比較し、 最大値を与える状態 Sn' を求め、
状態 Sn' を出発点としてパスメモリを一定時点 Dだけト レースバックし、 到達. した状態 Sn-Dを構成する位相 Φ„-D を復号シンボル位相として出力する。
この発明の第 2の観点によれば、 各時点毎に変調位相を表す M個の状態のそれ ぞれへ到達する最も確からしいパスが 1つ手前の時点のどの位相状態から出発し ているかを記憶するパスメモリと、 各状態毎にそれに到達する系列の確からしさ を表すパスメ ト リックを記憶するメ トリックメモリ とを使って最尤復号を行う M 相位相変調信号の最尤復号同期検波方法であり、
送信シンボル周期で受信波を標本化して時点 nにおける受信信号サンプル ζπを 得て、
時点 (η- 1) における Μ個の位相状態 S
n-,の中から、 時点 nの状態 S
nに到達する 最も確からしいパスを選択するときに、 時点 n-1 における M個のうちの 1つの状 態 S
n-,からバスメモリをトレースパックして、 上記状態 Sn-,を最終状態とする最 も確からしい系列 {
を求め、 その系列を用い て参照信号 ?■> を
〜
V n = zn— 4exp(-j ø n iソ
より求め、
上記参照信号 7? n を 0 η だけ位相回転したものと上記受信倩号サンプル Znとの 内積を、 時点 n-1 の状態 Sn-,から時点 nの状態 Snへの遷移の確からしさを表すブ ランチメ トリックス(Sn-i—Sn)として求め、
上記ブランチメ ト リック ス(Sn-,— Sn)を、 時点 n-1 の状態 ,におけるパスメ トリック A(Sn-,)に加算して、 上記状態 Sn—,を経由する候補系列のパスメ トリッ ク ACSnlSn -,) を求め、
M個の状態 Sn -,の全てに対して上記ステップ(b),(c),(d) の演算を繰り返して M個の候補系列に対するバスメ トリックを求め、 それらの大小を比較して最大値 を与える状態 Sn— を求め、
上記最大値を与える状態 を、 時点 nの状態 Snに至る最も確からしいパス の時点 n-1 の状態として上記パスメモリ に記憶するとともに、 そのパスメ トリッ ク A(Sn|Sn一 )を時点 nの状態 Snにおけるパスメ トリック A(Sn)として上記メ ト リ ックメモリに記憶し、
上記演算を時点 nの M個の全ての状態に対して繰り返して行つて M個のパスメ ト リックを求め、 大小を比較し、 最大値を与える状態 Sn' を求め、
上記状態 Sn' を出発点としてパスメモリを一定時点 Dだけトレースパックし、 到達した状態 Sn-Kを構成する位相 0n-D を復号シンボル位相^„—。 として出力す o
この発明の第 3の観点によれば、 各時点毎に変調位相を表; TM個の状態のそれ ぞれへ到達する最も確からしいパスが 1つ手前の時点のどの位相状態から出発し ているかを記憶するパスメモリと、 各状態毎にそれに到達する系列の確からしさ を表すパスメ トリックを記憶するメ トリックメモリとを使って最尤復号を行う M 相位相変調信号の最尤復号同期検波方法であり、
送信シンボル周期で受信波を標本化して時点 nにおける受信信号サンプル Znを 得て、
連続する 2個の位相(0 n, 0 η-,;)の組み合わせで構成される時点 nにおける M 2 個の状態 Snと、 その M2 個の状態のそれぞれへ到達する最も確からしいバスが 1 つ前の時点のどの状態 S からの延びているかを示すブランチメ トリックを計
算するために、 参照信号 V n を、 予測係数 を実数として
V n = Cl + 6r )ζη— iexp 一 j Φ — a:Zn-2exp(-j φ
により求め、
上記参照信号 n を だけ位相回転したものと受信信号サンプル znとの 2乗 誤差を、 Sn_,から Snへの遷移の確からしさを表すブランチメ トリ ック; KSn-t—S n)として求め、
上記ブランチメ ト リ ック ;i(Sn一,— Sn)を時点 11-1 の状 ^Sn -,におけるパスメ ト リック H(Sn―,) に加算して、 Sn-,を経由する候補系列のメ ト'リック H(Sn|Sn -,)を 求め、
以上の演算を、 M2個の Sn -,の全てに対して繰り返し、 得られたパスメ トリック の大小を比較して最小値を与える Sn - を求めて、 これを、 時点 nの Snに至る生 き残りパスが経由する状態としてパスメモリに記憶するとともに、 そのパスメ ト リ ック I SJSn-,')を Snにおけるバスメ ト リ ック H(Sn)としてパスメ トリ ックメモ リに記憶し、
以上の演算を時点 nの M2 個の全ての状態 Snに対して繰り返してパスメ ト リッ クを求め、 大小を比較し、 最小値を与える状態 Sn' を求め、 上記状態 Sn' を出発 点としてパスメモリを一定時点 Dだけトレースバックし、 到達した状態 Sn-Dを構 成する位相 0n-Dを復号シンボル位相 π-κとして出力する。
この発明の第 4の観点によれば、 上記第 3の観点において、 時点 ηにおける状 態 Snを 1個の位相 φη のみで表し、 上記参照信号を求める処理は、 状態 Sn-,の 1 つを最終状態とする生き残りパス上の時点 11-2 の位相 η-ίΜ η-, を用いて上記参 照信号 7? η を
? n = (l + ar )z„-iexp(-j Φ η-ι)— or z„-2exp^-j φ n_2|„_,) により求める処理である。
このように、 この発明の同期検波方法では、 M相位相変調 について、 各時点 毎に連続する Q個の変調位相の組み合わせ ; q=0, 1,2,'",Q-1)で表わせる MQ個の位相差状態を持ち、 時点毎に最も確からしいパスを選択する。 各状態に は 1時点前から M個のバスが伸びていてそのうちの一つを選択する。 このため 1
シンボル当たりのメ トリック演算回数は MQ X M = MQ"となり、 Nシンボルデ一 タ当たり、 N M Q+ I となる。 文献 1, 2と同一の誤り率はデータシンボル数 Nよ りはるかに少ない Qの値で実現できるので、 メ トリ ック演算回数は文献 1 , 2よ り大幅に低減できるという特徴がある。
図面の簡単な説明
図 1は M = 4、 Q = 1のときのトレリス線図。
図 2は送信フレーム構成の例を示す図。
図 3はこの発明の第 1実施例を適用した同期検波受信機の例を示すブロック図 c 図 4は第 1実施例の誤り率特性と、 遅延検波および理想同期検波による誤り率 の理論特性とを示す図。
図 5は第 2実施例を適用した同期検波受信機の例を示すブロック図。
図 6は第 3実施例を適用した同期検波受信機の例を示すブ ック図。
図 7は第 4実施例を適用した同期検波受信機の例を示すブロック図。
図 8は第 5実施例を適用した同期検波受信機の例を示すブ.口ック図。
図 9は第 2及び第 3実施例の計算機シミ ュレーショ ンによる誤り率特性を示す 図。
図 1 0は第 4及び第 5実施例の計算機シミ ユレーショ ンによる誤り率特性を示 す図。
図 1 1 は第 6実施例を適用した同期検波受信機の例を示すブロック図。
図 1 2は第 7実施例を適用した同期検波受信機の例を示すブ1□ック図。
図 1 3は第 8実施例を適用した同期検波受信機の例を示すブ πック図。
図 1 4は第 6及び第 7実施例の計算機シミュレーショ ンによる誤り率特性を示 す図。
図 1 5は第 6及び第 7実施例の計算機シミ ュレーショ ンによるフ ージング下 の誤り率特性を示す図である。
発明を実施する最良の形態
第 1実施例
この発明の第 1の実施例についてまず、 数式を用いて説明する。
Nシンボル位相系列 (ii=0, 1, 2.〜,N-1 ) が送信されているものとして、 こ
れを再尤推定することを考える。 時間(n—l)T≤ t≤nTで受信された iM相 P S K信号は
z(t)=(2Es/T)1/2exp{j(0„+ Θ )} + w(t) ( 1 )
のように表わせる。 ここで、 < = {2m7r/M; m=0, 1,'··,Μ-1}は変調位相、 Es は 1 シンボルあたりのエネルギー、 Tは 1 シンボル長、 <9は受信波 r(t)と受信機局 部信号との位相差、 w(t) は受信機雑音である。 z(t)をフィルタ リングした後、 シンボル周期 T毎の離散的時点 η =0,1, 2,…でサンプリングする。 得られたサン プル系列を {ζπ; π=0,1,2,〜,Ν-1) で表わす。 文献 2には、 次式で与えられ るメ トリ ック
N-1
Λ= I ∑ z„exp(-j0n)|2 (2)
n=0
を最大とする系列が最尤系列であることが示されている。 文献し 2に忠実に系 列推定を行なうと、 前述したように MN 回のメ トリック演算が必要になる。
この発明では、 まず式(2)を次式のように変形する。
N-1 N-1 n
Λ= ∑ |zn|2 + 2 Re{zn[∑ z„-,exp(- j ø„-<l)]*exp(-j n)}
n=0 n=0 q=l
(3)
*は複素共役を示し、 Re は複素数の実部を表す。
式(3)の右辺において、 第 1項は系列には無関係であるので省略できる。 式 (3)において、 qに関する加算の上限は nであり、 その最大値は N-1 になる。 こ のため、 系列の長さが長くなると処理量が指数関数的に大きくなる。 そこで qに 関する加算の上限を Q(«N)とし、 バスメ トリ ックを次式
N-1 Q
Λ= ∑1 Re{z„C H z„-,exp(-j Φ n-,)]*exp(- j φ„)} (4)
η=0 q=l
のように定義する。 このように定義すると Λを最大とする系列を、 ブランチメ ト リックを
とする M Q状態ビタビアルゴリズムにより逐次的に推定することができるように なる。 ここで、 7? n は次式
V n = Zn-,exp(-j Φ„-¾) (6 ) q=l
で表され、 式(1 )における(2Es/T)l/2exp(j )の推定値であり、 この値 77 n はサ ンブル系列 z„に対する同期検波用参照信号として使われる。 ビタビアルゴリズム の詳細は文献;今井著 「符号理論」 、 電子情報通信学会を参照。
図 1にトレリ ス線図を示す。 簡単のため、 M=4, Q= 1としている。 また、 時点 n-1 ではそこに到達する生き残りバス S Pが決まっている。 時点 nの各状態 Snは Q個の位相、 ; q=0, 1,2,···, Q-l、 の組み合わせで表現されされる。 即 ち、 Sn={0n— ,; q=0, 1,2,'",Q-1}である。 状態数は全部で MQ 個ある。 時点 n の各状態へは時点 n-1 の MQ個の状態の中から、 Qの値には無関係に M本のパス が伸びている。 時点 n-1 のある一つの状態 Sn -,から時点 nのある 1つの状態 Snへ の遷移は Q+1 個の位相、 ø η- ,; q=0,l,2,〜,Q-l,Q、 の組み合わせで表現される c この遷移の確からしさを表すブランチメ トリックを式(5)に基づいて計算し、 時 点 n-1 の状態 Sn-,におけるパスメ トリック A(Sn一,)に加算して候補系列のパスメ ト リック ACSnlSn-,) を求める。 これを時点 n-1 の MQ個の状態 Sn-, について 計算し、 大小を比較して、 時点 nの状態 Sn へ至る最も確からしいパスを一つ選 択する。
図 2に示すように、 復号された符号の位相の不確定性を除去するため Qシンポ ルの既知系列が N個のデータシンボル毎に周期的に挿入されているものとする。 既知の系列として Q= 1としても特性劣化はわずかである。 以下で復号の詳細を 以下に説明する。
(a)時点 n-1 における MQ個の状態 Sn-, から時点 nの状態 S„ に到達する最 も確からしいパスを選択するときに、 まず、 式(6)に従って、 受信信号サンプル 系列 zn -,; q=0,l,2.-,Q-l,Q を、 状態 Snと Sn-,を構成する位相系列^- ; q= 0,1,2,〜,Q-1,Qで逆変調し、 q= 0のときの逆変調結果と、 q= lから Qまでの 逆変調結果の和との内積をとり、 その実数部を、 時点 n-1 の状態 Sn-,から時点 n の状態 Snへの遷移の確からしさを表すブランチメ トリック λ· Sn一,— Sn) を求め ο
つまり、 zn-qに exp (つ -,)を乗算することは、 ζη-,を で逆変調したこ
とになり、 状態 Sn-, を構成する位相系列 (q=l,2,-,Q) で受信信号サン プル系列 Ζη-,の各対応するものをそれぞれ逆変調し、 これら逆変調結果を加算し た値 は式(6 )の演算結果となる。 η は通常の同期検波における参照波と対 応し、 時点 ηのサンプル ζηに対する参照信号として使われる。. また受信信号サン プル ζηに exp(- j0n)を乗算することにより ζηを ø„ で逆変調し、 この値と式(6) の 77 η との内積をとり、 その実数部を求めると、 式(5:)のブランチメ トリックが 得られる。
(b)ブランチメ ト リック / CSn-i—Sn) を、 時点 n-1 の状態 Sn-,におけるパス メ トリック A(Sn-,)に加算して、 状態 Sn を経由する候補系列のパスメ ト リ ック
A(S„|Sn-,) を求める。
(c)時点 nの状態 Snのある 1つに到達する、 状態 Sn-,のなかの M個の状態全て に対して以上の演算を繰り返して M個の候補系列に対するパスメ トリックを求め、 それらの大小を比較して最大値を与える状態 を求める。 これを、 時点 nの 状態 Snに至る最も確からしいパスの時点 n-1 の状態としてパスメモリに記憶する とともに、 そのパスメ トリ ック A(Sn|Sn一,')を時点 nの状態 Snにおけるパスメ ト リック A(Sn)として記憶する。
(d)以上の演算を時点 nの MQ 個の全ての状態に対して繰り返し行なって、 M Q個の状態に至る生き残りパスとパスメ ト リ ックを求める。 ただし、 Qシンボル の既知系列の時点における状態は Qシンボルから構成される唯一の状態として特 定されるので、 既知系列受信時点にはその唯一の状態に至るパスのみ生き残りと し (従って、 この時点では一つのバスのみ生き残りとなる) 、 それ以外は除外す る o
(e)時点 nの MQ個の全ての状態におけるパスメ トリックの大小を比較し、 最 大値を与える状態 Sn' を求め、 状態 Sn' を出発点としてパスメモリを一定時点 D だけトレースバックし、 到達した状態 Sn-Dを構成する位相 0n-D を復号シンボル
^„-D として出力する。 ただし、 Dは Nと等しいかそれより大きい整数である。 図 3はこの第 1実施例の方法を適用した受信機の例である。 入力端子 1 1から の受信波 r(t)を準同期検波器 1 2で局部発振器 1 3からの局部信号と乗算して準
同期検波し、 得られた中間周波 (又はベースパンド) の受信信号 z(t)を標本化回 路 1 4により一定周期 (シンボル周期 T ) で標本化して受信信号 z(t)の複素サン プル znを得る。 これを参照信号生成部 1 5内でそれぞれが遅延量 Tを有する遅延 回路 15D i〜15DQの直列回路に入力して、 1〜Qシンボル遅延したサンブル {zn一, ; q= l, 2, "', Q}を求め、 逆変調部 1 5 Aに与える。 逆変調部 1 5 Aはビタビ復号 部 1 7から与えられた位相系列 Φ Φ N- Qと上記遅延サンプル ζη— , ,…, zn-Qか ら、 式(6 )により参照信号 7 » を求め、 ブランチメ トリック演算部 1 6に与える c ブランチメ トリック演算部 1 6は、 各位相系列に付いて求めた参照信号 7 n とビ タビ復号部 1 7から与えられた M個の位相 0 n を使って式(5 )により時点 nの各 状態 Snに到るブランチメ ト リック ; をそれぞれ求め、 ビタビ復号部 1 7に与え る。 ビタビ復号部 1 7にはパスメモリ 1 7 と、 パスメ トリックメモリ 1 7 と が設けられている。 ビタビ復号部 1 7では処理(b)〜(e)を行なう。 その処理結果 として得られた復号データを端子 1 8から出力する。
4相 P S Kにこの発明の第 1実施例を適用したときの誤り率特性の計算機シミ ユレーシヨン結果を図 4に示す。 横軸は 1 ビッ ト当たりの信号エネルギー対雑音 電力密度の比 Eb/N。 である。 比較のため、 理想同期検波と遅延検波による誤り率 のシミ ュレーショ ン結果もプロッ トしてある。 ただし、 遅延検波を用いるときに は送信デ一タを差動符号にすることが必要である。 図中の実線は理論値である。 誤り率 0 . 1%を確保するための所要 E b/N。 の遅延検波と理想同期検波との差は 2. 4 dBであるが Q = 3とすることにより特性を 2 . 05 dB改善して、 理想同期検波の 特性まで 0 . 35 dBまで近付けることができる。 演算量を大きくして Q = 4とすれ ば理想同期検波に 0 . 25 dBまで近付けることができる。
第 2実施例
上述の第 1実施例では、 ビタビ復号における状態数を Μ β とし、 ブランチメ ト リックの計算には ø η から 0 Π- Q の合計 Q+1 個の位相を用いている。 こうすると Qを大きくするにつれて誤り率特性が改善するが、 状態数 MQが指数関数的に増 大するため処理量が指数関数的に増大してしまう。 そこで、 この点をさらに改善 した実施例を図 5を参照して以下に説明する。
ビタビ復号アルゴリズムによる復号の基本的動作は第 1実施例と同様である。
異なる点は、 状態数を変諷レベル数と等しい M個とし、 各自点の状態を 0n のみ で表すことにより、 演算量を削減していることである。 前述のように時点 nで使 用する参照信号 77 » は、 式(6 )から分かるように、 時点 n-1 から n- Q までの受信 信号サンプル を位相系列 ø„-,,·'·, 0n_Qで逆変調したものの和にな つている。 この第 2実施例では、 時点 n- 1 の状態 Sn-,から時点 nの状態 Snへのブ ランチメ トリックを計算するときに、 既にパスメモリ 1 7 Pに保持されている時 点 n-1 の状態 Sn-,に至る生き残りパスに沿って位相を Q-1 個トレースバックして η_2|η_ …, Qln一,の位相を得る。 このようにして得られた Q-1 個の位相を 式(6 )に代入して、 各状態 Sn-,に至る生き残りパスに対する参照信号 77 n を次式
〜
7„ = φ„-,ιη-ι) ( 7 )
によりそれぞれ計算する。 このようにすれば、 状態を Mに削減 (すなわちブラン チメ トリ ックの演算回数を削減) したままでト レースバックする個数を大きくす ることによって、 誤り率を理想的同期検波に近づけることができる。
この第 2の実施例の方法を実施する図 5に示す受信機の、 図 3に示す受信機と 異なる点は、 逆変調部 1 5 Aにおいて時点 n-1 の状態 Sn-,に至る生き残りパスの みに付いて、 それらに沿って遡り、 それぞれ Q-1 個の位相^ n-2,'", n-Qをビタ ビ復号部 1 7のパスメモリ 1 7 pから読み出して式(7 )により参照信号 。 を求 める点である。 ブランチメ トリック演算部 1 6はその参照信号を使って式(5 )に よりブランチメ トリック を計算する。 この実施例による処理を以下に示す。
(a) ビタビ復号部 1 7において時点 n-1 の状態 Sn—,に至る生き残りパスに沿つ てトレースバックして Q-1 個の位相 ^^η-Ϊ Ι η-, から^ n-Q -t を得て と共 に参照信号生成部 1 5に与え、 参照信号生成部 1 5において状態 Sn-,を経由する パスの参照信号 " を式(7 )により求める。
)時点 n-1 における M個の位相差状態の中から、 時点 πの状態 Snに到達する 最も確からしいバスを選択するときに、 ブランチメ トリック演算部 1 6は時点 n- 1 における M個のうちの 1つの状態 Sn-,における参照信号 7p と受信信号サンプ ル2„とから、 時点 n-1 の状態 Sn-,から時点 nの状態 Snへの遷移の確からしさを表
すブランチメ ト リック; I (Sn — Sn)を前述の式(5 )により計算する。
(c) ビタビ復号部 1 Ίにおいて、 ブランチメ トリック λ (Sn-t—Sn)を時点 η-1 の状態 Sn-,におけるパスメ トリック HCSn-,)に加算して、 状態 Sn-,を経由する候 補系列のパスメ トリック H(Sn|Sn -,) を求める。
(d) M個の状態 Sn-,の全てに対して以上の演算を繰り返して M個の候補系列に 対するバスメ トリックを求め、 それらの大小を比較して最大値を与える状態 Sn-,
' を求め、 これを時点 nの状態に至る最も確からしいパスの時点 n-1 の状態とし てパスメモリ 1 7 pに記憶すると共に、 そのバスメ ト リ ック H(Sn|Sn-,')を時点 nの状態 におけるパスメ トリック H(Sn)としてメ トリックメモリ 1 7 mに記憶 する。
(e) ビタビ復号部 1 7は以上の演算を時点 nの M個の全ての状態に対して繰り 返して行って M個のパスメ トリックを求め、 大小を比較し、 最大値を与える状態 S を求め、 状態 Sn, を出発点としてパスメモリを一定時点 Dだけトレースバッ クし、 到達した状態を復号シンボル位相 として出力する。
第 3実施例
上述の第 2の実施例において、 生き残りパスを 1個だけに限定し、 時点 n- Qか ら n-1 までの復号シンボル位相系列(^n-b ^n- 2,'··,^η-β)を用いて、 時点 ηの 判定に用いる参照信号 ? η を
Q
77 n= ^ Zn-4e p(-J ^"n-q) (8リ
q=l
により計算してもよい。 生き残りパスが 1つであるということは、 その生き残り パスを復号結果の位相系列とすることを意眛している。 この場合の受信機は図 6 に示すように、 ビタビアルゴリズムのような最尤系列推定による復号ではなく、 判定帰還型復号部 1 9を使つて現時点 nでの受信信号サンプル znに対する復号誤 差が最小となるような復号を行う。 参照信号生成部 1 5にはそれぞれがシンボル 周期 Tの遅延置を有する Q段の直列遅延段 15B ,〜 15BQが設けられ、 その直列遅延 回路に復号結果^ - が与えられている。 従って、 復号シンボル位相 ^n-L^n-i, がそれぞれの遅延段から逆変調部 1 5 Aに与えられ、 これらの復号シン
ボル位相系列と受信信号サンプル系列 Ζη-,, Ζη-ί , Ζη— Q とから逆変調部 1 5 A は式(8 )により参照信号 77 n を演算し、 ブランチメ トリック演算部 1 6に与える c この参照信号は、 受信サンプル系列 Zn Zn-Qと復号シンボル位相系列^ a_, 〜 n-Qで一義的に定まるものであり、 ブランチメ ト リック演 ^部 1 6では式(5 ) の演算によりブランチメ ト リック ; を計算して出力し、 判定帰還復号部 1 9で は を最大にする位相 0 η を復号シンボル位相 0 η として出力する。
第 4実施例
第 4の実施例は、 第 2の実施例におけるトレースバックを省略して更に処理量 を削減する。 この実施例では、 式(7 )に対し忘却係数/ (0≤ ≤1)を導入し、 時 点 IIが古いほど参照信号 η への寄与を小さくする。 即ち次式
Q ~
V T, = z„-!exp(-j φ„-! ) +∑, ^ ""'Zn-qexpC-j φ„-, !„-, ) (9 )
q=2 により状態 Sn を経由するパスの参照信号 7? n を定義し、 -、 から
η-, の位相は時点 n-1 の状態 Sn-,に至る生き残りパス上の位相系列である。 こう すると式(9)は次式
V n = Z„-ieXp(-j n-1 )+ Λ« 7? n- 1 (10)
のように簡略化することができる。 このように生き残りパス上の一つ前の時点 n-
2 の状態 Sn-2における参照信号 Ρ η-, を用いて状態 Sn における参照信号 77 η を 逐次的に計算できるので、 第 2の実施例より処理量を削減することができる。
この第 4実施例の方法を実施する受信機は図 7に示すように、 図 5において参 照信号生成部 1 5の遅延段を 1 5 D,のみとし、 逆変調部 1· 5 Α内に前回の参照信 号 vn-, を保持する参照信号メモリ 1 5 Amを設けた構成とすればよい。 逆変調部 1 5 Aは、 バスメモリ 1 7 pから時点 n-1 の状態 Sn-1に到達する場合の参照信号 を読み出し、 それを使って式(10)により時点 nの参照信号??„ を計算する。 その 他の部分の動作は図 5の場合と同様である。
第 5実施例
上述の第 4の実施例において、 生き残りバスを 1個だけとし、 時点 n-1 のみの
復号シンボル位相^
η—,を用いて、 時点 ηの判定に用いる参照信号 77„を次式
により計算する。 この場合の受信機も図 8に示すように、 図 6の場合と同 様に判定帰還復号部 1 9が用いられ、 遅延段 15B1から時点 n- 1'の復号シンボル位 相 η-, が逆変調部 1 5 Αに与えられる。 逆変調部 1 5 Aは、 参照信号メモリ 15
Amに保持されている前回の参照信号?? 。 と、 復号シンボル位相^ η - , と、 受信 信号サンプル Ζ η— ,とを使って式(1 1 )により参照信号 η を計算し、 ブランチメ ト リック演算部 1 6に与える。 その他の動作は図 7の場合と同様である。
上述の第 2〜第 5実施例の 4相 P S Kに対する計算機シミ ュレーショ ン結果を 図 9及び 1 0に示す。 計算機シミ ュレーショ ンでは、 変調の fe対位相を受信側で 知るために 1 6 シンボル中に 1 シンボルの無変調バイロッ トを送信するものとし た。 パイロッ トシンボル位置ではこの既知シンボルを用いて復号する。
図 9中の曲線 2 C及び 3 Cは第 2及び第 3実施例の、 フェージングのないとき の誤り率特性である。 横軸は 1ビッ ト当たりの信号エネルギー対雑音電力密度の 比 Eb/N。 である。 比較のため、 理想的な同期検波 (C D ) の特性と遅延検波 (D D ) の特性を示してある。 Q = 2 0 シンボルとすれば、 理想的な同期検波の特性 との差を 0 . 5dB以内に縮めることができる。 図 1 0中の曲線 4 C及び 5 Cは第 4 及び第 5実施例の、 フュージングのないときの誤り率特性である。 yu = 0 . 9とす れば、 第 2及び第 3実施例と同程度の特性を得ることができる。 必要な処理量の 大きさは第 2 >第 4 >第 3 >第 5である。
ところで、 移動通信では電波が建物などで反射されて受信されるため、 移動し ながら送受信すると、 受信波にはマルチパスフュージングが発生し、 受信波に現 れる不規則位相回転のために誤りが発生する。 以下に示す実施例では、 Mレベル 位相変調波の同期検波において、 フエージングによる不規則位相回転を取り除い た参照信号を得る線形予測方法と予測係数の適応制御方法、 及び送信シンボルの 系列推定方法をそれぞれ用いた同期検波方法の例を示す。
第 6実施例
第 6実施例の方法を適用した受信機の構成例を図 1 1に示す。 この実施例にお
いて、 各時点 nにおける状態を例えばその時点 nとその直前の時点 n-1 の 2つの 位相 0 η- , ) で表される Μ 2 個の状態を規定する。 Μ = 4のとき、 この実施 例における状態遷移を表す図 1のトレリス線図は図 1において状態数を iM 2 = 1 6としたものとなり、 時点 II- 1 までは生き残りパスが決定されていて、 時点 nの 各状態に接続する生き残りパスを決定するときの様子を示している。 ブランチメ ト リック演算部 1 6では、 1つ前の時点 n-1 の状態 Sn ,から時点 nの状態 Snへの 遷移の確からしさを表すブランチメ トリ ックを計算する。 ビタビ復号部 1 7では、 ビタビアルゴリズムにより逐次的に送信位相系列を推定する。 参照信号適応予測 部 1 5では、 フェージングによる受信波の変動を取り除いた参照信号を予測する c この第 6実施例の特徴は、 参照信号 ? n から計算される候補信号と受信信号サ ンプル znとの 2乗誤差をブランチメ 卜 リ ックとしてビタビアルゴリズ厶により送 信位相系列を推定することと、 参照信号を受信信号サンプル系列から適応予測す ることにある。 ビタビ復号部 1 7では、 ブランチメ トリックをもとに、 時点 nの 各状態毎にそれに到達する系列の確からしさを表すパスメ トリックを計算し、 次 いで時点 nの各状態へ到達すする最も確からしいパスが 1つ手前の時点のどの状 態から出発しているかを選択し、 各状態毎にパス履歴とパスメ ト リックとをそれ ぞれ、 パスメモリ 1 7 pとメ トリックメモリ 1 7 mとに記憶する。 そして、 時点 nの M 2 個の状態の中で最小のパスメ トリックを持つパスを一定時点 Dだけ遡つ て、 復号シンボル位相 n-D を出力する。
以上の本発明の系列推定アルゴリズムのステツプは以下のようになる。
(a)時点 nには、 連続する 2個の位相(0 η, 0 η - ι ) で表される M 2 個の状態 Sn がある。 ビタビ復号部 1 7において、 時点 n-1 における状態 Sn_ ,の中から、 時点 nの状態 Snの 1つに到達する最も確からしい状態遷移を選択するときに、 参照信 号適応予測部 1 5は実数の予測係数 を使って参照信号を次式
V n = (l+な )z„-i exp(-j φ„- , )— or z„- 2exp(-j φ„-2 ) (12) で表わし、 線形予測により求める。
(b)次に、 ブランチメ ト リック演算部 1 6は参照信号 7? n を だけ位相回転 したものを時点 nにおける受信信号の候補信号として、 これと受信信号サンブル
znとの 2乗誤差
A(S„-,→S„)= |zn— ?nexp(j0n)|2 (13) を、 時点 n- 1 の状態 Sn-,から時点 nの状態 Snへの遷移の確からしさを表すブラン チメ トリ ック; I (Sn-i—SJとする。
(c) ブランチメ ト リック ;i(Sn— を時点 II- 1 の状態 におけるパスメ ト リック I Sn-,:)に加算して、 状態 Sn-,を経由する候補系列のパスメ トリック H(Sn| η-ι 求める。
(d)以上の計算を、 時点 11-1 の M2 個の状態 Sn―,の全てに対して繰り返して M 2 個の候補系列に対するパスメ トリックを求め、 それらの大小を比較して最小値 を与える状態 Sn-,' を求めて、 これを、 時点 IIの状態 Snに至る生き残りパスの時 点 n-1 の状態としてパスメモリ 1 7 Pに記憶すると共に、 そのパスメ トリック H (Sn|Sn-,')を時点 nの状態 Snにおけるパスメ ト リ ック H(Sn) としてメ ト リ ックメ モリ 1 7 mに記憶する。
(e)以上の演算を時点 nの M2 個の全ての状態に対して繰り返して行って M2 個のパスメ トリックを求め、 大小を比較し、 最小値を与える状態 Sn' を求め、 こ の状態を出発点としてパスメモリ 1 7 pを一定時点 Dだけトレースバックし、 到 達した状態を構成する位相^ ,-。 を復号シンボル位相 »-D として出力する。 第 7実施例
上述の第 6実施例では時点毎に生き残りパスが M 2 個あるが、 処理量を低減す るために第 7実施例では時点 nでの各状態 Snを 1個の位相 φ で表すことにする。 こうすると生き残りパスは各時点で Μ個になる。 ビタビアルゴリズムによる復号 の基本動作は図 1 1の第 6実施例と同様であるが、 参照信号 ? η を、 Φη-ι を最 終状態とする生き残りパス上の一つ前の時点の位相^ η- 2 I η-·,を用いて次式
V
n-i)— arz„-
2exp(-j Φ'„-2Ι »-ι) (14) より計算する。 この場合の受信機の構成は図 1 2に示すように、 図 1 1の構成に おいて時点 n- 1 におげる M
2 個の状態を表す 2つの位相 0
n-
2) の全ての 候補を生成する代わりに、 ビタビ復号部 1 7のバスメモリ 1 7 pから とそ れに続く生き残りパス上の時点 n-2 の位相
n-
2 を読み出して、 逆変調部 1 5 A
に与える。 逆変調部 1 5 Aは与えられた位相? と受信信号サンプル Z
n -, , Zn
-2とを使って式(14)により参照信号?? n を計算する。 その他の動作は図 1 1の場 合と同様である。
第 8実施例
上述の図 1 2の実施例では時点毎に生き残りパスが M個あるが、 更に処理量を 低減するために、 この第 8実施例では各時点における生き残りバスを 1つとする。 従って、 復号部はビタビアルゴリズムによる復号ではなく、 図 8の場合と同様に 各時点毎にシンボル判定を実行する判定帰還アルゴリズムによる復号を行う。 こ の場合の受信機の構成を図 1 3に示す。
復号ステップは以下のようになる。
(a)逆変調部 1 5 Aにおいて参照信号 τ?η を過去 2つの復号シンボルに対応す る復号シンボル位相^ η-, 及び^ π-2 を用いて
7
n = (l+ar )z„-iexp(-j φ
η-ι)—
(15) により求める。
(b)式(5)と同様に、 ブランチメ トリック演算部 1 6において参照信号 τ?.π を Φ, だけ位相回転させ、 時点 ηにおける受信信号候補とし、 これと受信信号サン プル ζηとの内積の実数値を時点 η-1 の確定された状態 Sn-,から現時点 ηの状態 Sn に遷移する確からしさのブランチメ トリック値 KSn-i—Sn)とする。
(c) この演算を 0Π の全てに対して繰り返して、 それらの大小を比較して最大 のブランチメ ト リックを与える^ η を求め、 これを、 復号シンボル位相 η とし て出力する。
上述の第 6〜 8実施例において、 時点 ηで用いる参照信号を予測するための予 測係数 aは、 例えば時点 n-1 における状態 Sn_,毎にそれに接続する生き残りパス 上の位相系列を過去に遡つて、 逐次誤差最小アルゴリズムにより受信信号サンブ ルとその線形予測値との誤差を最小とするように適応予測することができる。 生 き残りバス毎に 1個の予測係数があることになる。 生き残りバス上の系列を Φ„- としたとき (ただし、 i=0, 1^··,η-1)、時点 nで用 I、る参照信号を予測する
ための予測係数 aC^ n- , )を、 次式で与えられる指数重み 2乗平均誤差
11-1
J =∑ β '|z„-,-iexp(-j 0„_,_,)- 77'„_,_, 18 (17)
i=0
を最小とするように選ぶ。 ここで は 1以下の忘却係数である。 iは、 過 去全ての時点において等し t、予測係数 α φ η -。 を用いて予測したときの時点 η- 1-i における予測参照信号であり、 次式で与えられる。
V η-ι-ι = {Η ^Φ n-i)}zn-2-iexp(-j φ„-2-i)
- (Φ n-i)zn-s-iexp(-j φ n-s-i) (18) 式(18)を最小とする a(0n-,)を求めると
n-l ) =
n-2
Re [ H 9 '{zn-i-iexp(- j0n-i-i)— zn-2— iexp(- j¾&n— 2一 i)}
i=0
X {zr-2-iexp(-j φ η-2-i)— z„-8-iexp(-j φ n_s-i)}*]
n-2
β ' | Zn-2-ieXp(-j Φ η-2-i )— Z„-s-ieXp(-j φ„-3-i)l
i=0 (19) となる。 これを逐次的に得ることができる。 即ち、
Ω
η-ι(0»_ι)= I z„-
2exp(-j0
n-
2)— z
B-
sexp(-j ø ¾-s)l
ζ θ
η-,(<ί
n-i)-z
n-
2exp(-j«i„-
2)}
X {z„-2exp(-j Φ zfl-sexp(-j Φ s)}*]
ただし、 Ω-^φ-,^^は小さな正整数であり、 © ( - =0, z-,=0, Z- 0で める。
β= \ として式(17)を用いて予測係数 αを決め、 4相 P SKに第 6及び第 7実 施例を適用した場合の、 フュージング無しの時の誤り特性の計算機シミュレーシ ョン結果を図 1 4の曲線 6 C及び 7 Cに示す。 横軸は 1 ビッ ト当たりの信号エネ ルギ一対雑音電力密度の比 Eb/N。 である。 比較のため、 理想的な同期検波の特性 C D及び遅延検波の特性 DDも示してある。 第 6実施例による特性 6 Cは理想的
な同期検波に約 1 dB以内に近づいている。 第 7実施例による特性 7 Cの理想的な 同期検波からの差は約し 5dBである。 第 7実施例は第 6実施例に比べて処理量は 約 1/4程度になる。
図 1 5にレイ リーフュージング下の第 6及び第 7実施例の特性を曲線 6 C , 7 Cで示す。 横軸は平均 Eb/N。 である。 fDT はフュージング変動の速さを表し、 fD は最大ドップラー周波数 (即ち、 移動端末機の移動速度 無線搬送波の波長) 、 Tは 1 シンボルの長さである。 従って 1 /T は伝送速度を示す。 遅延検波では平均 Eb/N. を大きく しても誤り率がある一定値に近づいてしまい、 それ以下にはなら ない。 ところが、 第 6実施例及び第 7実施例では、 平均 E b/N。 を大きくすれば誤 り率を小さくできる。
このように、 第 6及び第 7実施例では、 予測係数 αを受信波のフュージング状 況に適応して変えることができるため、 フ ージングのあるとき、 無いときとも 遅延検波より誤り率特性が良くなり、 理想的な同期検波特性に近づけることがで 。