WO1994007689A1 - Multi-layer laminate - Google Patents

Description

明 細 多層積層板 技術分野

本発明は、 金属板表面に補強織維を含む織維強化熱可塑 性樹脂層が積層されてなる多層積層板に関する。

背景技術

従来よ り、 金属板は機械的.強度に優れる という特徴を有 し、 各種材料に使用されているが、 軽量性に乏し く 、 耐 水性ゃ耐薬品性に も劣るために靖ゃ腐食が生じ易 く 、 さ らには外部よ り の衝撃、 振動、 音な どが直接反映される ため、 耐衝撃板、 制振板、 防音材などと して利用するに は問題があった。

かかる金属板の欠点を改善する ものと して、 た とえば 靖ゃ腐食の防止のために金属板の表面に樹脂をコ -ティ ン グした り、 樹脂メ ツキを行なった積層板が知られてい る

しかし、 このよ う な積層体は、 銷ゃ腐食に対しては或 る程度改善されるが、 樹脂層が非常に薄いために ピンホ ールが発生した り、 またわずかの衝撃で樹脂層に傷がつ いて金属部分が露出 し、 锖が発生する という 問題があ り . 長期間にわたって锖ゃ腐食に対して安定である とはいえ な力、つた。

さ らには外部よ り の衝撃、 振動、 音な どが吸収、 緩和 される こ とな く 金属板に反映されるため、 耐衝撃板、 制 振板、 防音材な どと して利用する こ と もできなかった。

発明の開示

このよ う なこ とから、 本発明者らはかかる問題を解決 し、 ピ ンホ ー ルや傷によ り金属部分が露出 して金属板に 锖ゃ腐食が発生する こ と もな く 、 耐衝撃板、 制振板、 防 音材な どと しても利用可能な多層積層板を開発すべ く 鋭 意検討の結果、 本発明に至った。

本発明は、 金属板表面に.補強織維を含む織維強化熱可 塑性樹脂層が積層されてなる こ とを特徴とする多層積層 板を提供する ものである。

図面の簡単な説明

第 1 図 （ A ) は衝撃 · 加振装置を、 第 1 図 （ B ) は同 装置を用いる振動 · 騒音の測定方法の概略図を示す。

第 2 図は実施例 4 で得た多層積層板の騒音レベルの測 定結果を示すチ ヤ 一 ト図である。

第 3 図は比較例 1 における鋼板単独での騒音レベルの 測定結果を示すチ ヤ一 ト図である。

第 4 図は実施例 4 で得た多層積層板の振動測定結果を 示すチ ャ ー ト図である。

第 5 図は比較例 1 における鋼板単独での振動測定結果 を示すチ ヤ一 ト図である。

発明を実施するための最良の形態

本発明の多層積層板において、 金属板と してはた とえ ば通常の鋼板、 超高張力鋼板、 ステ ン レ ス鋼板、 制振鋼 板、 アル ミ 板、 銅板な どの各種金属板が例示されるが、 これらはそれぞれの使用 目的に応じて適宜選択され、 特 に限定されない。 また金属板の厚み、 形状等について も 特に制限されず、 その使用 目的に応じて適宜選択される 補強織維を含む繊維強化熱可塑性樹脂層は、 強度補強 用の繊維 （補強繊維） とマ ト リ ッ クスを構成する各種熱 可塑性樹脂とからなる ものである。

補強繊維と しては通常はガラス織維、 炭素織維、 アル ミ ナ繊維な どの無機織維が.使用 され、 特にガラス織維が 好ま し く 使用される。

かかる補強繊維の繊維長さ は特に限定されないが、 1 m m以上、 特に 1 0 m m以上である こ とが多層積層板と しての性能上好ま しい。

熱可塑性樹脂と してはボ リ プロ ピレ ン、 ポ リ エステル 樹脂な どの各種熱可塑性樹脂が例示される。

これらの補強織維と熱可塑性樹脂をいかに組み合わせ るかはそれぞれの使用目的に応じて適宜決定されるが、 一般にはガラス織維とポ リ プロ ピ レ ンの組合せからなる 織維強化熱可塑性樹脂が用いられる。

また、 両者の配合割合は、 繊維強化熱可塑性樹脂を製 造する場合の公知の範囲内で適宜選択される。

本発明の多層積層板は、 前記したよ う に金属板表面に 織維強化熱可塑性樹脂層を積層 した ものであって、 該樹 脂層を金属板の片面のみに設けた 2 層構造からなる もの であって も よい し、 金属板の両面に樹脂層を設けた 3 層 構造からなる ものであって も よ く 、 また使用 目的によ つ てはこのよ う な多層積層板の片面ない しは両面にさ らに 金属板及び樹脂層が順次積層された 4 層以上の構造から なる ものであって も よいが、 最外層が繊維強化熱可塑性 樹脂層である多層積層板がその目的から好ま し く 、 特に 金属板の両面に樹脂層を設けた 3 層構造からなる ものが 好ま しい。

かかる多層積層板において、 繊維強化熱可塑性樹脂層 の厚みはそれぞれの使用 目.的によ り異なるが、 あま り薄 い場合には十分な性能が発揮出来ないため、 0 . 2 m m 以上、 特に 0 . 5 m m以上である こ とが好ま しい。

本発明の多層積曆板は、 前記したよ う な補強織維を含 む繊維強化熱可塑性樹脂をあ らかじめシー ト状に したた とえばスタ ンバブルシー ト と呼ばれる織維強化熱可塑性 樹脂シー ト、 あるいはこのよ う なシー トを製造する過程 で得られる半製品のウ ェブ （以下これらを総称して織維 強化熱可塑性樹脂シー ト と呼ぶ） を原料と し、 これを金 属板と直接または中間層を介 して接着剤等で接着させる こ とによ り製造でき るが、 織維強化熱可塑性樹脂シ - ト 中の熱可塑性樹脂の熱融着によ り金属板表面に該シ - ト を積層させる方法が最も好ま しい。

熱融着による方法と して、 代表的には、 所定の温度に 設定された加熱炉中で、 少な く と も表面部分の樹脂が溶 融して十分に流動する程度にまで予め加熱した織維強化 熱可塑性樹脂シ ー 卜 に、 予熱されていて も よい金属板を 重ねて圧縮する方法があげられる。

こ の と きの加熱温度は織維強化熱可塑性樹脂シ ー ト 中 のマ ト リ ッ ク ス樹脂によ り異な り、 た とえばマ ト リ ッ ク ス樹脂がポ リ プロ ピ レ ンである場合には通常 1 6 0 〜 2 3 0 °C、 好ま し く は 1 8 0 〜 2 2 0 °Cである。

また、 このときの圧縮力は、 樹脂に十分な流動性を与 え、 金属板表面との十分な密着性を付与するために も通 常 5 〜 3 0 0 k g Z c m ² 、 特に 1 0 〜 2 0 0 k g / c m ² である こ とが好ま しい.。

圧縮時間は通常 1 0 〜 3 0 0 秒、 好ま し く は 3 0 〜 2 0 0 秒である。

3 層構造以上の多層積層板は、 たとえば、 少な く と も 表面部分が溶融して十分に流動する程度にまで予め加熱 された織維強化熱可塑性樹脂シー トをプレ ス成形機にセ ッ ト し、 この上に金属板を重ねたのち、 さ らにその上に 先と同様の少な く と も表面部分が溶融して十分に流動す る程度にまで予め加熱された織維強化熱可塑性樹脂シ ー トを重ね、 ついでこれを圧縮する こ とによ り製造でき る < また、 別の製造法と して、 プレス成形機内に金属板と 繊維強化熱可塑性樹脂シー トを所望の層構造となる よ う に重ね、 該シー トの樹脂が溶融する程度までプレス成形 機を加熱したのち、 あるいは加熱しながら圧縮する こ と によ り多層成形板を製造する こ と もでき る。

この方法による場合の加熱温度、 圧縮力な どは前記と同 様である。 尚、 これらの方法において、 圧縮時に金属板を挟んだ 上下の繊維強化熱可塑性樹脂シ - トの溶融樹脂が流動 し て、 金属板の端部において上下のシー トが直接溶融しあ う よ う に、 金属板および 2 枚のシー トをセ ッ ト してお く と、 金属板の表面のみな らず端部にいたる まで完全に樹 脂層によ って包み込まれた多層積層板を得る こ とができ

O

また、 シー ト間に金属板を挟み込む場合に、 予め金属 板に小孔を 1 ない し 2個以.上設けてお く こ とによ り、 該 孔を通じて上下のシー ト 中の樹脂が直接融着し、 よ り強 固に金属板と織維強化熱可塑性樹脂シー トが積層された 多層積層体を得る こ とができ る。

本発明の多層積層体は、 金属板と繊維強化熱可塑性樹 脂が一体的に積層された構成となっているため、 必要と する強度に対しては、 製品その ものの厚みは多少増加す る ものの製品と しての重量を軽減する こ とができ、 また . 金属表面の樹脂層が厚 く 、 しかも堅固であるため锖ゃ腐 食の問題もな く 長期にわたって安定である という効果を 有している。

更には、 本発明の多層積層体の表面の樹脂層は織維強 化熱可塑性樹脂自体のもつ性能と して吸音効果、 消音効 果を有し、 振動減衰効果も大きいな どの各種のす ぐれた 性質を有するため、 金属板の もつ性質と こ の樹脂層の も つ性質が合わさ って、 機械的強度にす ぐれた防音材、 耐 衝撃板、 制振板、 断熱材な どと して有利に使用する こ と ができ る。

特に、 補強繊維と してガラス繊維な どの絶縁性材料を 用いた場合の本発明の多層積層体は、 機械的強度に優れ た絶縁性の構造材料と しても使用でき るな ど、 その用途 は極めて幅広いものがある。

[実施例】

以下、 実施例によ り本発明をさ らに詳細に説明するが 本発明がこれによ つて限定される ものでないこ とはいう までもない。

実施例 1

織維長が 1 0 m m以上のガラス鏃維を 8 0 %以上含む ガラス織維とポリ プロ ピレ ン樹脂からな り、 その重量％ 比力 s' 4 : 6 である 目付 1 , 0 0 0 g m のス夕 ンパブ ルシー ト （ケープラ シー ト株式会社製 ： 商品名 「ケープ ラ シー ト 」 ） を 2 9 0 m m四方に切断し、 こ のシ― ト 2 枚を 2 4 0 °Cにセ ッ 卜 された加熱炉で 4 . 5 分加熱した このと きのシー 卜の表面温度は 2 1 0 °Cであ り、 表面は 溶融樹脂が流動状態にあった。

加熱されたシー 卜の 1 枚を 6 0 °Cに保持された 3 0 0 X 3 0 0 m mのプレス型内にセ ッ ト し、 この上に 2 9 0 X 2 9 0 m m、 厚さ 0 . 8 m mの通常鋼板 （ S S 4 1 ) を重ね、 さ らにその上に上記と同様に加熱された も う 1 枚のシー トを重ね、 面圧 7 0 k / c m ² で 6 0 秒間圧 縮して、 全周端が上下シー 卜の樹脂で包み込まれた厚さ 2 . 5 m mの織維強化熱可塑性樹脂層 Z鋼板/織維強化 熱可塑性樹脂層からなる 3 層積層板を得た。

製品の表面に金属露出部はな く 、 鋼板の表面は完全に 密着 した織維強化熱可塑性樹脂で覆われていた。

得られた多層積層板の物性を表 1 に、 耐薬品性の評価 結果を表 2 に示す。

実施例 2

厚さ 0 . 8 m mの通常鋼板に代えて厚さ 0 . 6 m mの 通常鋼板を用いる以外は実施例 1 と同様に して全周端が 上下シー ト の樹脂で包み込まれた厚さ ₂ . i _{m m}の繊維 強化熱可塑性樹脂層 Z鋼板/織維強化熱可塑性樹脂層か らなる 3 層積層板を得た。

製品の表面に金属露出部はな く 、 鋼板の表面は完全に 密着した繊維強化熱可塑性樹脂で覆われていた。

得られた多層積層板の物性を表 1 に示す。

実施例 3

繊維長が 1 0 m m以上のガラス織維を 8 0 %以上含む ガラス繊維とポ リ プロ ピ レ ン樹脂からな り、 その重量％ 比が 4 : 6 である 目付 1 ， 0 0 0 g /m のス夕 ンハ⁰ブ ルシ— ト （ケープラ シ— ト株式会社製 ： 商品名 「ケープ ラ シ— ト」 ） を製造する過程で得られる 3 0 0 X 3 0 0 m mの製品状のシー ト （ゥ ヱブ） および半径 5 m mの円 形の孔を略均等に 9 個設けた 3 0 0 X 3 0 0 m m、 厚さ 0 . 6 m mのアル ミ 板を、 ウ ェブ Zアル ミ 板/ウ ェブの 順にプレス機にセ ッ ト し、 面圧 7 0 k g c m ² の圧力 を加えながら 1 8 0 °Cまで加熱した。 加熱状態を 6 0 秒間保持し、 厚さ 2 . 1 m mの織維強 化熱可塑性樹脂層 Zアル ミ 板/繊維強化熱可塑性樹脂層 からなる 3 層積層板を得た。

得られた多層積層板の物性を表 1 に示す。

比較例 1 〜 3

比較のために、 通常鋼板 （ S S 4 1 ) (比較例 1 ) 、 アル ミ 板 （比較例 2 ) および実施例 1 で用いた と同様の ケープラ シ— ト （但 し、 厚さ 4 . 4 m m ) (比較例 3 ) をそれぞれ用い、 その物性.および耐薬品性を評価 した。 結果を表 1 および表 2 に示す。

実施例 4

織維長が 1 0 m m以上のガラス織維を 8 0 %以上含む ガラス織維とポ リ プロ ピ レ ン樹脂からな り、 その重量 比力 4 ： 6 であ る 目付 2 ， 0 0 0 g /m ² のスタ ンパブ ルシ — ト （ケ—ブラ シー ト株式会社製 ： 商品名 「ケ—プ ラ シ— ト」 ） を 2 5 0 x 2 5 0 m mの大き さに切断し、 こ の シ― ト 2枚の間に 2 5 0 x 2 5 0 m m、 厚さ 1 . 2 m mの通常鋼板を挟んでプレス機にセ ッ 卜 し、 面圧 3 0 k g / c m ² の圧力を加えながら 2 1 0 °Cまで加熱した _c 加熱状態を 2 分間保持し、 厚さ 4 . 5 m mの鏃維強化熱 可塑性樹脂層 鋼板 織維強化熱可塑性樹脂層からなる 3 層積層板を得た。

得られた多層積層板を、 第 1 図 （ A ) に示す衝撃、 加 振試験装置を用い、 衝撃時の騒音レベルおよび振動の減 衰速度を測定した。 第一図 （ B ) に模式的に示すよ う に衝撃を、 直径 1 1 0 m m、 質量 5 . 6 gの鐧球を高さ 5 O m mの と こ ろか ら自由落下させて加えた。

騒音は所定の位置でのマイ ク によ り測定 し、 振動は衝 撃部裏側に取り付けた加速度計によ り測定した。

測定した騒音レベルの結果を第 2 図、 振動の減衰速度を 第 4 図にそれぞれ示す。

比較例 4

比較のために、 2 5 0 X .2 5 0 m m、 厚さ 2 . 0 m m の通常鋼板を用いて、 実施例 4 と同様の試験を行っ た。

測定 した騒音レベルの結果を第 3 図に、 振動の減衰速 度を第 5 図にそれぞれ示す。

表 1 多層積層板の物性

注 1 ： K Pはケ-ブラシ一トを示す,

注 2 ： kgf/mm2

注 3 ：単位重さ当たりの剛性

表 2 多層積層板の耐薬品性

3 6 %塩酸、 2 2 'C 5 0 %硫酸、 2 2 'C バッテリ一液、 7日間浸濱 7曰間 演 2 2て、 7 B間浸清 実施例 1 表面変化見られず 表面変化見られず 表面変化見られず 比較例 1 腐食部分発生 腐食により一部溶出 表面に腐食部分が発 表面より発泡 生 産業上の利用可能性

本発明に係る多層積層板は耐衝撃性にす ぐれ、 コーテ ィ ン グされた金属板とはこ とな り、 ピンホールの発生も な く 、 わずかの衝撃で樹脂層に傷がついて金属層の表面 が露出 し、 锖が発生する こ と も極めて少な く 、 耐衝撃板 制振板、 防音材と しての利用性が極めて高い積層板であ る 0

Claims

1 . 金属板表面に補強繊維を含む織維強化熱可塑性 樹脂層が積層されてなる こ とを特徴とする多層積層板 2. 金属板の両面に織維強化熱可塑性樹脂層が積層 されてなる こ とを特徴とする請求項 1 に記載の多層積層 板

請

3. 補強織維が無機織維である請求項 1 ま たは 2 に 記載の多層積層板

4. 無機繊維がガラス織維である請求項 3 に記載の 多層積層板 囲

5. 補強織維の繊維長さが l m m以上である請求項 1 〜 4 に記載の多層積層板

6. 織維長さが 1 0 m m以上である こ とを特徴とす る請求項 5 に記載の多層積層板

7. 熱融着によ り積層されてなる こ とを特徴とする 請求項 1 または 2 に記載の多層積層板

8. 織維強化熱可塑性樹脂層の厚さが 0 . 2 腿以上 である請求項 1 または 2 に記載の多層積層板

9. 少な く と もその表面部分の樹脂が溶融 して十分 に流動する程度にまで加熱した繊維強化熱可塑性樹脂シ — 卜を、 金属板と重ねて圧縮する こ とを特徴とする請求 項 1 に記載の多層積層板の製造法。

1 0. 少な く と もその表面部分の樹脂が溶融して十分 に流動する程度にまで加熱した 2枚の織維強化熱可塑性 樹脂シー トで金属板を挟み、 圧縮する こ とを特徴とする 請求項 1 に記載の多層積層板の製造法。

11. 熱可塑性樹脂がポ リ プロ ピ レ ンである請求項 9 または 1 0 に記載の多層積層板の製造法。

12. 加熱温度が 1 6 0 〜 2 3 0 °Cである請求項 1 1 に記載の多層積層板の製造法。

13. 圧縮力が 5 〜 3 0 0 kg / cm ² である請求項 9 ま たは 1 0 に記載の多層積層板の製造法。