WO1990015193A1 - Artificial lawn, pile yarn for artificial lawn, and method and spinneret for producing said lawn - Google Patents

Description

明 細 書

人工芝生， 人工芝生用パイル糸， 並びに 該パイル糸製造のための方法及び紡糸口金

産業上の利用分野

本発明は、 パイル糸が地組織表面に多数のカツ トパイ ルを形成するように植設された人工芝生、 及び人工芝生 用パイル糸及びその製造方法に関する。

更に本発明は、 上記パイル糸製造用の扁平状素糸を紡 糸するのに用いられる紡糸口金に関する。

従来の技術及びその問題点

芝様糸の地組織への植設に基づき、 多数のパイルが形 成された人工芝生は、 その用途に応じて種々提案されて いる。 近年、 野球， サッカー， ラグビー， テニス等のス ポーッを行うグラウンド又はコー トを形成するための人 ェ芝生として、 扁平状芝様糸が力ッ トパイルとして植設 されたものが多用されている。 .更に近年は、 比較的長尺 の力ッ トパイルを形成し、 該カッ トパイル間に砂を入れ. カツ トパイルの先端部を表面から突出させた人工芝生が 用いられている。 この砂入れ人工芝生を用いたグラウン ド， コー ト等は、 カッ トパイルの植設方向に現れがちな 筋目が見られず、 更に自然芝の如き外観も得られる極め て優れたものである。 しかしながら、 上記いずれの人工芝生を用いたダラゥ ン ド， コー ト等においても、 運動者が転倒等により、 力 ッ トパイル先端部と接触した際に、.擦過傷を受けたり、 摩擦熱によって火傷したりすることが多く、 これに対処 するために水を散布して摩擦及び摩擦熱発生の低減を図 つていた。

しかし、 上記人工芝生は、 パイルの保水性が悪く、 頻 繁に水の散布を行わなければならないという問題があり、 改善が望まれていた。

本発明は、 上記問題点を解決し、 保水性が高い人工芝 生、 高い保水性を付与し得る人工芝生用パイル糸及び該 パイル糸の製造方法を提供することを目的とする。

また、 本発明は、 上記パイル糸の製造に有利な素糸の ための紡糸口金を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段

本発明の上記目的は、 1本又は複数本の束の扁平状素 糸の捩り及びその捩り状態の固定により細長く且つ断面 略渦巻状に形成されたパイル糸が、 1本又は複数本によ り、 地組織表面の多数のカツ トパイルの各々を形成する ように該地組織に植設されていることを特徴 άする人工 芝生により達成される。

本願発明の上記目的はまた、 地組織表面に植設された 多数のカツ トパイルを形成するのに用いられる人工芝生 用パイル糸において、 1本又は複数本の束の扁平状素糸 の捩り及びその捩り状態の固定により細長く且つ断面略 渦巻状とされた形態を有していることを特徴とする人工 芝生用パイル糸、 又は、 地組織表面に植設された多数の 力ッ トパイルを形成するのに用いられる人工芝生用パイ ル糸において、 1本又は複数本の束の扁平状素糸が各々 —方向に捩られて細長く且つ断面略渦巻状とされた糸を 複数本備え、 該糸は、 複数本が前記方向とは逆の方向に 相互に撚り合わせられていることを特徵とする人工芝生 用パイル糸により達成される。

本発明の上記目的はさらに、 1本又は複数本の束の扁 平状素糸に捩りを施して断面略渦巻状とした後、 該略渦 巻状態を固定することを特徴とする人工芝生用パイル糸 の製造方法、 又は、 1本又は複数本の束の扁平状素糸に 捩りを施して断面略渦巻状の糸とした後、 該糸を複数本 束ね前記捩りとは逆の方向に撚り合わせることを特徴と する人工芝生用パイル糸の製造方法により達成される。

本発明の上記目的はさらに、 一端部が略直線的に延長 された C字状又は逆 C字状をなすノズル孔を有している ことを特徴とする人工芝生用素糸のための紡糸口金、 又 は、 略 S字状又は略逆 S字状をなすノズル孔を有してい ることを特徵とする人工芝生用索糸のための紡糸口金に より達成される。

前記扁平状素糸としては、 幅 3 〜 5 0 πιπι, 厚み

0 . 0 2 mra〜 0 . 1 5 ， 扁平比 1 5 0 〜 2 5 0 0のも のを用いるのが望ましい。 ここで、 扁平比とは、 素子の 幅を厚みで割ったものをいう。 また、 前記扁平状素糸は、 複数本分を横に連続させて紡糸したものを 1本毎に切断 して形成してもよい。

前記素糸としては、 従来からこの種人工芝生に使用さ れてきたものが広い範囲で使用でき、 例えばナイロン樹 脂， ポリプロピレン樹脂， ポリエステル樹脂， 塩化ビニ ール樹脂， ポリエチレン樹脂等を例示でき、 好ましいも のとしてポリプロピレン樹脂を挙げることができる。

本発明は以下の実施例によりさらに詳しく説明される C もっとも本発明は、 それらの実施例に限定されるもので はなく、 請求の範囲の記載内容において種々の変形が可 能である。

図面の簡単な説明

第 1図は本発明の 1実施例にかかる人工芝生を示す縱 断側面図、

第 2図はそのカツ トパイルの先端部を拡大して示す斜 視図、 第 3図は本発明人工芝生用パイル糸を製造するために 要する扁平状パイル糸を製造するための装置の 1例を模 式的に示す側面図、

第 4図は本発明紡糸口金の 1実施例を示す平面図、 第 5図は第 4図の I一 I線に沿う断面図、

第 6図は第 4図の A部を示す拡大図、

第 7図は上記 A部の他の例の拡大図、

第 8図は本発明の他の実施例にかかる人工芝生の力ッ トパイルの先端部を拡大して示す斜視図、

第 9図は本発明に係るパイル糸の種々の例の横断面図 である。

実 施 例

以下に、 本発明の実施例を、 添付図面を参照しつつ説 明する。

第 1図は、 本発明の 1実施例にかかる人工芝生を示す。 該人工芝生は、 パイル糸が、 地組織 （2 ) の表面に多数 の長尺カツ トパイル （ 1 ) として植設されたものである。 地組織 （2 ) の裏面には、 バッキング処理が施されてお り、 カツ トパイル （ 1 ) の抜落ちを防止する樹脂層 （3 ) が形成されている。 力ッ トパイル （ 1 ) は、 第 2図に示 すように、 片撚 （本実施例では Z撚） が施され、 細長く 且つ断面渦巻状に捩られている。 また、 カツ トパイル ( 1 ) は、 捲縮処理がなされたパイル糸により形成され ており、 これにより歩行感等を良好なものとする柔軟性 が付与されている。 勿論カツ トパイル （ 1 ) には、 S撚 が施されてもよい。

このよう 耩成された本発明人工芝生は、 例えば上述 のグラウンド， コ ト等を形成するのに用いられ、 砂が 力ッ トパイル ¾に入れられて力ッ トパイル （ 1 ) の先端 部を表面から突出させる。 該カツ トパイル （1 ) は、 上 記したように断面渦巻状に捩られて構成されているため、 各カツ トパイル （1) は、 その内部に細い空洞を形成し、 該空洞内に入り込んだ水を、 その表面張力等に基づき保 持する。 従って、 本発明人工芝生によれば、 摩擦及び摩 擦熱発生の低減を図るための水散布を頻繁に行う必要が な 、 運動者に対する安全性を長時間保ち得るという利 点を得ることができる。

なお、 上記断面渦巻状のカツ トパイル （1 ) を形成す るためには、 幅 3 ran！〜 50 mm, 厚み 0. 02 ran！〜

0. 1 5 で、 扁平比 1 50〜2 500の扁平状素糸を 用いるのが好ましく、 より好ま しく は幅 5 〜 30 mm, 厚み 0. 04mm〜 0. 1 0mmである。 この幅が、 3 未 満では力ッ トパイルの径が小さくなり過ぎて上述の如き 良好な保水性を得ることができず、 また 5 Ommを超える とカツ トパイルの径が大きくなり過ぎて自然芝の如き外 観を得難くなる。 また、 上記扁平状素糸の厚みが、

0. 02rain未満では、 例えばグラウン ド， コー ト等に用 いられた際におけるプレーヤとの接触により摩損し易く なり、 耐摩耗性に欠け、 0. 1 5龍を超える場合、 扁平 状素糸の剛性が高くなり過ぎて断面渦巻状に捩じり難く 製造が困難になるという欠点がある。

第 3図は、 上記扁平状素糸を製造するのに用いられる 扁平状素糸製造装置 （1 1) を模式的に示している。 該' 製造装置 （11) は、 多数本の扁平状索糸を製造するた めの装置であって、 溶融樹脂を押し出すための押出機

(図示せず） に取り付けられた下向きダイ （12) と、 該ダイ （12) に備えられた扁平状索糸紡糸口金 （13) とを有している。 紡糸口金 （13) のノズル孔から出る 扁平状押出物 （5 a) は、 該紡糸口金 （13) の直下に 配設された冷却水槽 （14) に通されたのち、 第 1のス ナップロール （15) を経て加熱槽 （16) に送られる。 該加熱槽 （ 16) で加熱されたフイ ラメ ン ト （5 b) は、 第 2のスナップロール （17) に巻き送られるようにな つており、 これら第 1のスナップロール （15) , 加熱 槽 （16) 及び第 2のスナップロール （17) で、 上記 扁平状押出物を、 例えば約 5倍の長さに延伸する。 この 延伸工程を通過した扁平吠素糸 （5 c ) は、 熱処理槽

(1 8) を通過し、 第 3のスナップロール （ 1 9) に巻 き送られる。 フィ ラメ ン ト （5 c ) を、 熱処理槽 （ 18) に通すことによって、 延伸工程によりフィ ラメ ン ト （ 5 c ) に発生した残留歪みを除去することができる。 第 3 のスナップ όール （1 9) に送られた扁平状フイ ラメ ン ト （5 c ) の各々は、 原糸として卷取機 （20) に巻き 取られ、 人工芝生製造装置 （図示せず） の片撚工程へ送 られる。

なお、 上記扁平状素糸製造装置 （ 1 1 ) においては、 これに設置されるスナップ口一ル （1 5) , (1 7) ,

( 1 9) に替えて、 ク ローバロール， コデッ ト ロール等 を用いることもできる。

上記扁平状素糸紡糸口金 （ 1 3) は、 第 4図， 第 5図 及び第 6図に示すように、 これに設けられたノズル孔 (21 ) が、 C字状に形成きれ、 その一端部 （2 1 ' ) が略直線状に延長されている。 従って、 該紡糸口金 （ 1 3) のノズル孔 （2 1 ) からの扁平状押出物は、 その断 面が該ノズル孔 （2 1 ) と同様の形状である。 このよう にして形成された扁平状素糸は、 これに片撚 （本実施例 では Ζ撚） を施すことにより、 その断面が容易に渦巻状 になり、 本発明パイル糸を簡便に製造し得るという利点 がある。 上記の形態に代えて、 ノズル孔 （2 1 ) の C字 形状における他端部 （2 1 ' ) が略直線伏に延長された ものとすれば、 該ノズル孔から形成される扁平状索糸は、 これに S撚を施すことにより、 簡便に断面渦巻状のパイ ル糸とすることができる。 上記扁平状素糸の幅が大きい 場合には弱撚を、 該幅が小さい場合には強撚を施すのが 好ま しい。 上記扁平状索糸に片撚を施す装置としては、 例えばリ ング式撚糸機， 合撚機， ダブルツイスタ等を挙 げることができ、 この撚伏態を固定する装置と して、 例 えば真空式スチームセッタ一等を採用し得る。 また、 上 記した断面 C字状素糸の他、 逆 C字状、 第 7図に示すよ うな S字状、 逆 S字状、 或いは通常の断面直線状素糸に 片撚を施して断面渦巻状としてもよい。

片撚工程を通過したパイル糸には、 つぎに必要に応じ てニッ トデニッ ト等の捲縮処理を施し、 この捲縮状態を 固定して再び卷き取る。 該パイル糸を地組織に植設する ことにより、 該地組織表面に断面渦巻状の力 ッ トパイル を多数形成することができる。

次に、 前記地組織からのカツ トパイルの抜落ちを防止 するためのバッキング処理を施す。 バッキング処理は、 パイル糸を地組織裏面側に樹脂で固定すること、 この樹 脂層にさ らにシー ト材を接着することなど、 通常の形態 で行われる。

なお、 上記片櫞工程を通過した複数本の断面渦巻の糸、 例えば 2本の糸を、 更に両撚工程に通して 1本のパイル 糸とし、 これを地組織に植設してもよい。 このようにし て形成されたパイル糸 （3 1 ) を第 8図に示す。 また、 上記片撚を複数本の素糸の束に施して断面渦巻状とし、 その撚を固定して 1本のパイル糸を形成してもよい。 さ らに、 複数本の素糸の束に撚を施して断面渦巻状の 1本 の糸とし、 該糸を複数本束にし、 前記撚とは逆の方向に 撚合わせて 1本のパイル糸を形成してもよい。 渦巻状断 面の形態は、 第 9図に例示するように、 種々のものとさ れ得る。 第 9図中 （ a ) は扁平状素糸がそのまま捩られ たもの、 （b ) は扁平状素糸が 2つ折り状態で捩られた もの、 （ c ) は扁平状素糸が Z字状の 3つ折り状態で捩 られたものの断面を示している。

これらの形態のパイル糸により形成された力ッ トパイ ルも、 上述した人工芝生のカツ トパイルと同様に、 その 内部に水を保持し得る空洞が形成されており、 更に複数 本の素糸間、 或いは複数本の断面渦巻状の糸の間におい ても、 水を保持することができるため、 より良好な保水 性を有することとなる。

更に、 以上のようなパイル糸を複数本束ねて植設し、 複数本のパイル糸から各カツ トパイルが構成されるよう にしてもよい。

なお、 上記両燃工程には、 上記した撚糸機の他、 通常 用いられる公知の両撚用撚糸機を採用することができる。

発明の効果

以上から明らかなように、 本発明人工芝生においては、 力ッ トパイルが断面略渦巻状に捩られたパイル糸で構成 されているので、 高い保水性を有することとなり、 これ により頻繁な水の散布を要することなく 、 運動者等の安 全性を長時間確保することができる。

また、 本発明人工芝生用パイル糸及び該パイル糸の製 造方法によれば、 断面略渦巻状の捩り形態を有し、 保水 性良好な人工芝生の製造に有利なパイル糸及びその製造 方法が提供される。

また、 本発明紡糸口金においては、 端部が略直線的 に外方へ延びた C字状又は逆 C字状、 或いは S字状又は 逆 S字状にノズル孔を形成したので、 これと同様の断面 形状の素糸が得られ、 上記した断面略渦巻状の人工芝生 用パイル糸の製造を簡便なものとすることができる。

Claims

請求の範囲

① 1本又は複数本の束の扁平状素糸の捩り及びその摈 り状態の固定により細長く且つ断面略渦巻状に形成さ れたパイル糸が、 1本又は複数本により、 地組織表面 の多数の力ッ トパイルの各々を形成するように該地組 織に植設されてい.ることを特徵とする人工芝生。

② 地組織表面に植設された多数の力ッ トパイルを形成 するのに用いられる人工芝生用パイル糸において、 1 本又は複数本の束の扁平状素糸の捩り及びその捩り状 態の固定により細長く且つ断面略渦巻状とされた形態 を有していることを特徴とする人工芝生用パイル糸。

③ 前記扁平状素糸として、 幅 3 mn！〜 5 0 ， 厚み

0 . 0 2 ran！〜 0 . 1 5 mm, 扁平比 1 5 0 〜 2 5 0 0の ものを用いることを特徵とする請求項 2記載の人工芝 生用パイル糸。

④ 地組織表面に植設された多数のカツ トパイルを形成 するのに用いられる人工芝生用パイル糸において、 1 本又は複数本の束の扁平状素糸が各々一方向に捩られ て細長く且つ断面略渦巻状とされた糸を複数本備え、 該糸は、 複数本が前記方向とは逆の方向に相互に撚り 合わせられていることを特徴とする人工芝生用パイル 糸。 ⑤ 1本又は複数本の束の扁平状素糸に捩りを施して断 面略渦巻状とした後、 該略渦巻状態を固定することを 特-徵とす^ ェ芝生用パ^ 糸の J¾造方法。

⑥ 1本又は複数本の束の扁平状素糸に捩りを施して断 面略渦巻状の糸とした後、 該糸を複数本束ね前記捩り とは逆の方向に燃り合わせることを特徵とする人工芝 生用パイル糸の製造方法。

⑦ 一端部が略直線的に延長された C字状又は逆 C字状 をなすノズル孔を有していることを特徴とする人工芝 生用素糸のための紡糸口金。

⑧ 略 s字状又は略逆 S字状をなすノズル孔を有してい ることを特徴とする人工芝生用素糸のための紡糸口金