JPWO2020116471A1 - 機能性構造体の前駆体および機能性構造体 - Google Patents

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Abstract

金属微粒子同士の凝集を防ぐと共に、さらには活性金属種と担体との結合を抑制し、反応に先立つ触媒の活性化を容易にすることができる機能性構造体を提供する。機能性構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体と、金属元素(M)を含み前記担体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質と、を備え、前記担体が、互いに連通する通路を有し、前記前駆体物質が、前記担体の少なくとも前記通路に存在し、かつ前記前駆体物質から派生する金属元素(M)と、前記担体を構成する元素とが部分的に置換している。

Description

本発明は、多孔質構造の担体(骨格体)と機能性物質とを備える機能性構造体の前駆体および機能性構造体に関する。
石油の代替燃料である合成油、合成燃料等の液体燃料製品の原料などに利用される炭化水素化合物を製造する方法として、種々の触媒が知られている。例えば、一酸化炭素ガス(CO)及び水素ガス(H)を主成分とする合成ガスから、触媒反応を利用して炭化水素、特に液体炭化水素を合成するフィッシャー・トロプシュ合成反応(以下、「FT合成反応」ということもある。)が知られている。このFT合成反応に使用される触媒として、例えば、特許文献1には、シリカ、アルミナ等の担体上に、コバルト、鉄等の活性金属を担持した触媒が開示され、特許文献2には、コバルト、ジルコニウム又はチタン、及びシリカを含有する触媒が開示されている。
FT合成反応に用いる触媒は、例えば、シリカ、アルミナ等の担体に、コバルト塩、ルテニウム塩等を含浸させ、これを焼成することによって、コバルト酸化物及び/又はルテニウム酸化物が担持された触媒(未還元触媒)として得ることができる。このようにして得られた触媒がFT合成反応に対して十分な活性を発現するために、特許文献3に開示されているように、該触媒を水素ガス等の還元ガスに接触させて還元処理し、活性金属であるコバルト及び/又はルテニウムを、酸化物の状態から金属の状態へと変換(改質)する必要がある。
ところで、FT合成反応は、特許文献4に開示されているように極めて大きな発熱を伴うため、触媒表面で局部的な過熱が発生し、これにより触媒表面に生じたホットスポットにおける副反応(炭素質の析出など)の進行が活性を劣化させてしまうことが知られている。このようなホットスポットの生成を防ぐために、触媒として作用する活性金属種(金属微粒子)を凝集させず、活性点を分散させる必要がある。活性金属種の凝集を防ぐ目的で、当該活性金属種と強い相互作用を有する担体を用い、金属微粒子同士が容易には凝集できないようにすることが考えられる。
この方法の一例として、金属微粒子を高分散に担持させるゾル・ゲル法が知られている。ゾル・ゲル法では、担体となる金属酸化物を合成する段階で活性金属種が原子レベルで均一に導入される。担持金属触媒の活性金属種は、担体である金属酸化物の格子の中に極めて高分散に包含されるため、各種の処理や反応においても容易には凝集しない。しかしながら、活性金属種が担体と強く結合しているため、反応に先立つ触媒の活性化が困難になり、十分な触媒活性が得られないという問題があった。
また、金属微粒子同士の凝集が生じると、触媒としての有効表面積の減少に伴い、触媒活性が低下することから、触媒自体の寿命が通常よりも短くなる。そのため、触媒自体を短期間で交換・再生しなければならず、交換作業と触媒の省資源化に不利になる。触媒の凝集を抑制するために、例えば特許文献5、6において、エマルション法によりアモルファスシリカ被覆金属微粒子を作製し、次いでこの粒子を水熱処理することで、ゼオライトに金属微粒子を包摂させた技術が報告されている。エマルション法によるアモルファスシリカ被覆金属微粒子の作製は、有機溶媒中で界面活性剤と金属源を混合した乳濁液に、還元剤を加えることによって金属微粒子を形成させた後に、シランカップリング剤を添加して金属微粒子表面にシリカ層を形成することで達成される。しかしながら、エマルション法で金属粒子を作製する場合、得られる粒子のサイズは、エマルション化した際の液滴のサイズと、金属粒子の凝集のしやすさにより影響を受ける。一般的に、卑金属はナノ粒子の状態を維持することが困難である。引用文献5、6でナノサイズの粒径を有する粒子について記載しているのは、実施例においては、貴金属の試料のみであり、凝集しやすい卑金属とその酸化物の試料についてナノサイズの粒径を有する粒子は開示されていない。また、引用文献5、6において、エマルション法では、有機溶媒、界面活性剤などが残留し、ゼオライト構造を形成する際に使用する試薬等が不純物となり、ゼオライトの熱安定性に悪影響を与えることも報告されている。
特開平4−227847号公報 特開昭59−102440号公報 国際公開第2015/072573号 特開2000−70720号公報 特開2017−128480号公報 国際公開第2010/097108号
本発明の目的は、金属微粒子同士の凝集を防ぐと共に、さらには活性金属種と担体との結合を抑制し、反応に先立つ触媒の活性化を容易にすることができる機能性構造体の前駆体物質および機能性構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体と、金属元素(M)を含み前記担体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質と、備え、前記担体が、互いに連通する通路を有し、前記前駆体物質が、前記担体の少なくとも前記通路に存在し、かつ前記前駆体物質から派生する金属元素(M)と、前記担体を構成する元素とが部分的に置換していることによって、金属微粒子同士の凝集を防ぐと共に、さらには活性金属種と担体との結合を抑制し、反応に先立つ触媒の活性化を容易にすることができる機能性構造体が得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1]ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体と、
金属元素(M)を含み前記担体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質と、
を備え、
前記担体が、互いに連通する通路を有し、
前記前駆体物質が、前記担体の少なくとも前記通路に存在し、かつ前記前駆体物質から派生する金属元素(M)と、前記担体を構成する元素とが部分的に置換していることを特徴とする、機能性構造体の前駆体。
[2]前記金属元素(M)は、4配位構造と6配位構造の2種類の配位構造の中心原子として、前記前駆体に存在していることを特徴とする、[1]に記載の機能性構造体の前駆体。
[3]前記4配位構造の金属元素(M)が、前記4配位構造の金属元素(M)と前記6配位構造の金属元素(M)の合計に対し、原子比で0.75以下であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の機能性構造体の前駆体。
[4]ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体と、
金属元素(M)を含み前記担体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体と、
を備える前駆体であって、
前記担体が、互いに連通する通路を有し、
前記前駆体物質が、前記担体の少なくとも前記通路に存在し、
XAFS測定による前記機能性構造体の前駆体に含まれる金属の吸収端から特定したXANESスペクトルに基づいて、前記4配位構造をとる金属元素(メタロシリケートに対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(a)と、前記6配位構造をとる金属元素(金属に還元する前の金属酸化物に対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(b)とを、以下の(1)式に代入して算出したときの4配位構造をとる金属元素(M)の存在割合Pの数値が、0.75以下であることを特徴とする、機能性構造体の前駆体。
P=(a)/(a+b) ・・・(1)
[5]前記存在割合Pの数値が0.20以下であることを特徴とする、[4]に記載の機能性構造体の前駆体。
[6]ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体と、
金属元素(M)を含み前記担体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体と、
を備える前駆体であって、
前記担体が、互いに連通する通路を有し、
前記前駆体物質が、前記担体の少なくとも前記通路に存在し、
XAFS測定による前記機能性構造体の前駆体に含まれる金属の吸収端から特定したXANESスペクトルに基づいて、前記4配位構造をとる金属元素(メタロシリケートに対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(a)と、前記6配位構造をとる金属元素(金属に還元する前の金属酸化物に対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(b)とを、以下の(1)式に代入して算出したときの4配位構造をとる金属元素(M)の存在割合Pの数値が、0以上0.10以下であることを特徴とする、機能性構造体の前駆体。
P=(a)/(a+b) ・・・(1)
[7]前記通路は、前記ゼオライト型化合物の骨格構造の一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれとも異なる拡径部とを有し、かつ
前記前駆体物質が、少なくとも前記拡径部に存在していることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の機能性構造体の前駆体。
[8]前記拡径部は、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の孔同士を連通していることを特徴とする、[7]に記載の機能性構造体の前駆体。
[9]前記機能性物質は、触媒物質であり、
前記担体は、少なくとも1つの前記触媒物質の触媒前駆体物質を担持することを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載の機能性構造体の前駆体。
[10]前記触媒前駆体物質は、金属酸化物微粒子であることを特徴とする、[9]に記載の機能性構造体の前駆体。
[11]前記金属酸化物微粒子の平均粒径が、前記通路の平均内径よりも大きく、且つ前記拡径部の内径以下であることを特徴とする、[10]に記載の機能性構造体の前駆体。
[12]前記金属酸化物微粒子の金属元素(M)が、前記機能性構造体に対して0.5〜2.5質量%で含有されていることを特徴とする、[10]に記載の機能性構造体の前駆体。
[13]前記金属酸化物微粒子の平均粒径が、0.1nm〜50nmであることを特徴とする、[10]〜[12]のいずれかに記載の機能性構造体の前駆体。
[14]前記通路の平均内径に対する前記金属酸化物微粒子の平均粒径の割合が、0.06〜500であることを特徴とする、[10]〜[13]のいずれかに記載の機能性構造体の前駆体。
[15]前記通路の平均内径は、0.1nm〜1.5nmであることを特徴とする、[1]〜[14]のいずれかに記載の機能性構造体の前駆体。
[16]前記担体の外表面に保持された少なくとも1つの他の機能性物質の前駆体物質を更に備えることを特徴とする、[1]〜[15]のいずれかに記載の機能性構造体の前駆体。
[17]前記担体に内在する前記少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質の含有量が、前記担体の外表面に保持された前記少なくとも1つの他の機能性物質の前駆体物質の含有量よりも多いことを特徴とする、[16]に記載の機能性構造体の前駆体。
[18]前記ゼオライト型化合物は、ケイ酸塩化合物であることを特徴とする、[1]〜[17]のいずれかに記載の機能性構造体の前駆体。
[19][1]〜[18]のいずれかに記載の前駆体の還元生成物であることを特徴とする機能性構造体。
本発明によれば、金属微粒子同士の凝集を防ぐと共に、さらには活性金属種と担体との結合を抑制し、反応に先立つ触媒の活性化を容易にすることができる機能性構造体を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る機能性構造体の前駆体の内部構造が分かるように概略的に示したものであって、図1(a)は斜視図(一部を横断面で示す。)、図1(b)は部分拡大断面図である。 図2は、図1の機能性構造体の機能の一例を説明するための部分拡大断面図であり、図2(a)は篩機能、図2(b)は触媒機能を説明する図である。 図3は、図1の機能性構造体の前駆体の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、図1の機能性構造体の前駆体の変形例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[機能性構造体の前駆体の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る機能性構造体の前駆体の構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図(一部を横断面で示す。)、(b)は部分拡大断面図である。なお、図1における機能性構造体の前駆体は、その一例を示すものであり、本発明に係る各構成の形状、寸法等は、図1のものに限られないものとする。
図1(a)に示されるように、機能性構造体の前駆体1は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体であるの骨格体10と、該骨格体10に内在する、少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質20とを備える。
前駆体物質20は、単独で、または骨格体10と協働することで、一又は複数の機能を発揮する物質である。また、上記機能の具体例としては、触媒機能、発光(または蛍光)機能、吸光機能、識別機能等が挙げられる。前駆体物質20を改質して得られる機能性物質は、例えば触媒機能を有する触媒物質であることが好ましい。そしてこのとき、前駆体物質20は、触媒物質の触媒前駆体物質であり、骨格体10は、触媒前駆体物質を担持する担体である。
機能性構造体の前駆体1において、複数の前駆体物質20,20,・・・を改質して得られる複数の機能性物質は、骨格体10の多孔質構造の内部に包接されている。前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の一例である触媒物質は、好ましくは金属微粒子の前駆体である金属酸化物微粒子である。金属酸化物微粒子および金属微粒子については、詳しくは後述する。また、前駆体物質20は、金属酸化物以外に、金属複合酸化物や金属酸化物の混合物または複合材料、金属酸化物と金属の混合物または複合材料を含む粒子であってもよい。
骨格体10は、多孔質構造であり、図1(b)に示すように、好適には複数の孔11a,11a,・・・が形成されることにより、互いに連通する通路11を有する。ここで前駆体物質20は、骨格体10の少なくとも通路11に存在しており、好ましくは骨格体10の少なくとも通路11に保持され、より好ましくは骨格体10と部分的に結合している。
このような構成により、骨格体10内での前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の移動が抑制され、前駆体物質20、20を改質して得られる機能性物質同士の凝集が有効に防止されている。その結果、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質としての有効表面積の減少を効果的に抑制することができ、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の機能は長期にわたって持続する。すなわち、機能性構造体の前駆体1によれば、それを改質して得られる機能性構造体において、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の凝集による機能の低下を抑制でき、その機能性構造体としての長寿命化を図ることができる。また、機能性構造体の長寿命化により、機能性構造体1の交換頻度を低減でき、使用済みの機能性構造体の廃棄量を大幅に低減することができ、省資源化を図ることができる。
通常、機能性構造体を、流体(例えば、重質油や、NOx等の改質ガスなど)の中で用いる場合、流体から外力を受ける可能性がある。この場合、機能性物質が、骨格体10の外表面に付着状態で保持されているだけであると、流体からの外力の影響で骨格体10の外表面から離脱しやすいという問題がある。これに対し、機能性構造体の前駆体1を改質して得られる機能性構造体では、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質は骨格体10の少なくとも通路11に保持され、または部分的に結合しているため、流体による外力の影響を受けたとしても、骨格体10から前駆体物質20を改質して得られる機能性物質が離脱しにくい。すなわち、機能性構造体の前駆体1を改質して得られる機能性構造体が流体内にある場合、流体は骨格体10の孔11aから、通路11内に流入するため、通路11内を流れる流体の速さは、流路抵抗(摩擦力)により、骨格体10の外表面を流れる流体の速さに比べて、遅くなると考えられる。このような流路抵抗の影響により、通路11内に保持された前駆体物質20を改質して得られる機能性物質が流体から受ける圧力は、骨格体10の外部において機能性物質が流体から受ける圧力に比べて低くなる。そのため、骨格体11に内在する前駆体物質20を改質して得られる機能性物質が離脱することを効果的に抑制でき、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の機能を長期的に安定して維持することが可能となる。なお、上記のような流路抵抗は、骨格体10の通路11が、曲がりや分岐を複数有し、骨格体10の内部がより複雑で三次元的な立体構造となっているほど、大きくなると考えられる。
一実施形態において、機能性構造体の前駆体1において、前駆体物質20から派生する金属元素(M)と、前記骨格体10を構成する元素とが部分的に置換している。ここで、「前駆体物質20から派生する金属元素(M)」とは、前駆体物質20に由来する金属元素(M)のことをいう。そして、骨格体10を構成する金属元素(M)は、前駆体物質20に含まれる金属元素(M)とともに粒子を構成していたものでもある。このように、前駆体物質20から派生する金属元素(M)と、前記骨格体10を構成する元素とが部分的に置換するメカニズムについては明らかにはなっていないが、前駆体物質20中の金属元素(M)が熱拡散等の何らかの現象によって、前駆体物質20から骨格体10との接触界面または骨格体10の内部への原子レベルでの金属元素(M)の拡散移動が生じた結果、骨格体10を構成する元素が、前駆体物質20に含まれていた金属元素(M)と部分的に置換したものと考えられる。このような構成により、骨格体10は固体酸触媒能を発現する。そして、このような固体酸触媒能は、機能性構造体の前駆体1を改質しても維持される。すなわち、このようにして得られる機能性構造体は、固体酸触媒として用いることができ、例えばナフサなどの炭化水素の水素化分解反応を促進することができる。一方で、機能性構造体の前駆体1において、金属元素(M)を含み骨格体10に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質20を備える場合、その前駆体物質20を改質して得られる機能性物質により、上述した固体酸触媒としての反応において、その触媒反応の副生成物として発生するコークスの堆積を抑制することができる。このコークスは、骨格体10(特に固体酸を有する部分)や前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の表面に付着して堆積することにより、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の触媒活性を低下させ、または喪失させ得るものである。したがって、機能性構造体の前駆体1によれば、上述したような前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の凝集や離脱による機能の低下を抑制できるという作用だけではなく、その機能性物質が存在することにより、コークスの堆積をも防止し、したがって、より長期間にわたって優れた触媒活性を維持することができる。
なお、「機能性物質」と、「機能性物質の前駆体物質」(単に「前駆体物質」ということもあるが、同一の意味である。)とは、それぞれ同じ金属元素(M)を含んでおり、「機能性物質」とは、金属元素(M)に由来する機能を発揮できる状態にあるものをいい、一方で、「前駆体物質」とは、金属元素(M)に由来する機能を発揮できない状態にあるか、またはその機能が前記の「機能性物質」に比べて低い状態にあるものをいう。「機能性物質」と「前駆体物質」は、求められる機能によりそれぞれ状態が異なるが、「機能性物質」が触媒物質である場合、「機能性物質」中における金属元素(M)は金属の状態にあり、一方で、「前駆体物質」は酸化物の状態にあるものを例示できる。言い換えれば、金属元素(M)は、金属の状態では触媒活性を示すが、酸化物の状態では触媒活性を示さない。
また、前記金属元素(M)は、4配位構造と6配位構造の2種類の配位構造の中心原子として、前記機能性構造体の前駆体に存在していることが好ましい。ここで、「4配位構造」および「6配位構造」は、X線吸収微細構造(XAFS,X−ray absorption fine structure)測定による前記機能性構造体の前駆体に含まれる金属の吸収端から特定したXANESスペクトルに基づいて同定されるものである。そして、「4配位構造」をとる金属元素(M)は、メタロシリケートに対応するスペクトル形状を持つ金属元素(M)であり、より具体的には、骨格体10の内部に、その骨格体10を構成する元素と部分的に置換した金属元素(M)である。一方で、「6配位構造」をとる金属元素(M)は、金属に還元する前の、すなわち、機能性物質の前駆体1における機能性物質の前駆体物質20(金属酸化物)に対応するスペクトル形状を持つ金属元素(M)である。このように、金属元素(M)は、骨格体10を構成する元素として含まれるとともに、その骨格体10の通路に前駆体物質20としても含まれる。
このような機能性構造体の前駆体1において、前記4配位構造の金属元素(M)が、前記4配位構造の金属元素(M)と前記6配位構造の金属元素(M)の合計に対し、原子比で0.75以下であることが好ましく、0.30以下であることがより好ましく、0.20以下であることが更に好ましく、0.10以下であることが特に好ましい。このように4配位構造の金属元素(M)の量を抑えて、6配位構造の金属元素(M)すなわち、機能性物質20としての金属元素(M)を所定量担保することにより、触媒活性が高くなり、例えばFT合成反応やメタン改質反応(オートサーマルリフォーミング、部分酸化反応、スチームリフォーミング、ドライリフォーミング)用触媒として優れた性能を有するものとなる。
なお、例えばFT合成反応やメタン改質反応(オートサーマルリフォーミング、部分酸化反応、スチームリフォーミング、ドライリフォーミング)などの反応に用いる場合、その触媒活性の観点から、機能性構造体の前駆体1において、前記4配位構造の金属元素(M)が、前記4配位構造の金属元素(M)と前記6配位構造の金属元素(M)の合計に対し、原子比で0であってもよい。すなわち、前駆体物質20から派生する金属元素(M)と、前記骨格体10を構成する元素とが部分的に置換していなくてもよい。前記4配位構造の金属元素(M)が、前記4配位構造の金属元素(M)と前記6配位構造の金属元素(M)の合計に対し、原子比で0以上0.10以下であることが好ましい。なお、例えば金属元素(M)がコバルト、モリブデン、銅、ニッケル、マンガン元素である場合、金属元素(M)が鉄元素である場合に比べて、4配位構造の金属元素(M)の割合が少なくなる(場合によっては0になる)傾向がより強い。
より具体的に、この比は、前記4配位構造をとる金属元素(メタロシリケートに対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(以下「a」とする)と、前記6配位構造をとる金属元素(金属に還元する前の金属酸化物に対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(以下「b」とする)とを、以下の(1)式に代入して算出したときの4配位構造をとる金属元素(M)の存在割合Pの数値である。なお、4配位構造をとる金属元素のピーク強度および6配位構造をとる金属元素のピーク強度は、ピーク分離が必要な場合には、最小二乗法により線形結合でのピーク分離を行う。4配位構造をとる金属元素のピーク強度および6配位構造をとる金属元素のピーク強度は、それぞれのピーク面積を用い、下記(1)式における数値aおよび数値bとする。
P=(a)/(a+b) ・・・(1)
また、通路11は、ゼオライト型化合物の骨格構造によって画定される一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、上記一次元孔、上記二次元孔及び上記三次元孔のうちのいずれとも異なる拡径部12とを有していることが好ましく、このとき、機能性物質20は、少なくとも拡径部12に存在していることが好ましく、少なくとも拡径部12に包接されていることがより好ましく、拡径部12に結合していることがさらに好ましい。ここでいう一次元孔とは、一次元チャンネルを形成しているトンネル型またはケージ型の孔、もしくは複数の一次元チャンネルを形成しているトンネル型またはケージ型の複数の孔(複数の一次元チャンネル)を指す。また、二次元孔とは、複数の一次元チャンネルが二次元的に連結された二次元チャンネルを指し、三次元孔とは、複数の一次元チャンネルが三次元的に連結された三次元チャンネルを指す。
これにより、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の骨格体10内での移動がさらに抑制され、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質の離脱や、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質同士の凝集をさらに有効に防止することができる。包接とは、前駆体物質20が骨格体10に内包されている状態を指す。このとき前駆体物質20と骨格体10とは、必ずしも直接的に互いが接触している必要はなく、前駆体物質20と骨格体10との間に他の物質(例えば、界面活性剤等)が介在した状態のことを指す。
更に、機能性物質20と骨格体10が部分的な結合を抑制することで機能性物質の活性化しやすくなる。
また、拡径部12は、上記一次元孔、上記二次元孔及び上記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の孔11a,11a同士を連通しているのが好ましい。これにより、骨格体10の内部に、一次元孔、二次元孔又は三次元孔とは異なる別途の通路が設けられるので、機能性物質20の機能をより発揮させることができる。
図1(b)では前駆体物質20が拡径部12に包接されている場合を示しているが、この構成だけには限定されず、前駆体物質20は、拡径部12に結合していてもよく、また、前駆体物質20は、その一部が拡径部12の外側にはみ出した状態で通路11に保持されていてもよい。また、前駆体物質20の前駆体物質は、拡径部12以外の通路11の部分(例えば通路11の内壁部分)に部分的に埋設され、または固着等によって保持されていてもよい。
また、通路11は、骨格体10の内部に、分岐部または合流部を含んで三次元的に形成されており、拡径部12は、通路11の上記分岐部または合流部に設けられるのが好ましい。
骨格体10に形成された通路11の平均内径Dは、上記一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかを構成する孔11aの短径及び長径の平均値から算出され、例えば0.1nm〜1.5nmであり、好ましくは0.5nm〜0.8nmである。また、拡径部12の内径Dは、例えば0.5nm〜50nmであり、好ましくは1.1nm〜40nm、より好ましくは1.1nm〜3.3nmである。拡径部12の内径Dは、例えば後述する前駆体材料(A)の細孔径、及び包接される前駆体物質20の平均粒径Dに依存する。拡径部12の内径Dは、前駆体物質20を包接し得る大きさである。
骨格体10は、ゼオライト型化合物で構成される。ゼオライト型化合物としては、例えば、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、陽イオン交換ゼオライト、シリカライト等のケイ酸塩化合物、アルミノホウ酸塩、アルミノヒ酸塩、ゲルマニウム酸塩等のゼオライト類縁化合物、リン酸モリブデン等のリン酸塩系ゼオライト類似物質などが挙げられる。中でも、ゼオライト型化合物はケイ酸塩化合物であることが好ましい。
ゼオライト型化合物の骨格構造は、FAU型(Y型またはX型)、MTW型、MFI型(ZSM−5)、FER型(フェリエライト)、LTA型(A型)、MWW型(MCM−22)、MOR型(モルデナイト)、LTL型(L型)、BEA型(ベータ型)などの中から選択され、好ましくはMFI型であり、より好ましくはZSM−5である。ゼオライト型化合物には、各骨格構造に応じた孔径を有する孔が複数形成されており、例えばMFI型の最大孔径は0.636nm(6.36Å)、平均孔径0.560nm(5.60Å)である。
以下、前駆体物質20が金属酸化物微粒子(以下、「微粒子」ということがある。)である場合について詳しく説明する。
機前駆体物質20が上記微粒子である場合、微粒子20は一次粒子である場合と、一次粒子が凝集して形成した二次粒子である場合とがあるが、微粒子20の平均粒径Dは、好ましくは通路11の平均内径Dよりも大きく、且つ拡径部12の内径D以下である(D<D≦D)。このような微粒子20は、通路11内では、好適には拡径部12に包接されており、骨格体10内での微粒子20の移動が規制される。より好適にはこのような微粒子20は、拡径部12に保持されて部分的に結合し微粒子20の移動がさらに抑制される。より好適にはこのような微粒子20は、拡径部12に保持されて部分的に結合し微粒子20の移動がさらに抑制される。よって、微粒子20が流体から外力を受けた場合であっても、骨格体10内での微粒子20の移動が抑制され、骨格体10の通路11に分散配置された拡径部12、12、・・のそれぞれに包接されるか又は結合された微粒子20、20、・・同士が接触するのを有効に防止することができる。
前駆体物質20が金属酸化物微粒子である場合には、金属酸化物微粒子20の平均粒径Dは、一次粒子および二次粒子のいずれの場合も、好ましくは0.1nm〜50nmであり、より好ましくは0.1nm以上30nm未満であり、さらに好ましくは0.4nm〜14.0nm、特に好ましくは1.0nm〜3.3nmである。また、通路11の平均内径Dに対する金属酸化物微粒子20の平均粒径Dの割合(D/D)は、好ましくは0.06〜500であり、より好ましくは0.1〜36であり、更に好ましくは1.1〜36であり、特に好ましくは1.7〜4.9である。
また、前駆体物質20が金属酸化物微粒子である場合、金属酸化物微粒子の金属元素(M)は、機能性構造体の前駆体1に対して0.5〜7.6質量%で含有されているのが好ましく、0.5〜6.9質量%で含有されているのがより好ましく、機能性構造体の前駆体1に対して0.5〜2.5質量%で含有されているのがさらに好ましく、0.5〜1.5質量%で含有されているのがさらに好ましい。例えば、金属元素(M)がCoである場合、Co元素の含有量(質量%)は、(Co元素の質量)/(機能性構造体の前駆体1の全元素の質量)×100で表される。
上記金属酸化物微粒子は、金属酸化物を含んで構成されていればよく、例えば、単一の金属酸化物で構成されていてもよく、あるいは2種以上の金属酸化物の混合物で構成されていてもよい。なお、本明細書において、金属酸化物微粒子を構成する(材質としての)「金属酸化物」は、1種の金属元素(M)を含む酸化物と、2種以上の金属元素(M)を含む複合酸化物とを含む意味であり、1種以上の金属元素(M)を含む酸化物の総称である。
このような金属酸化物としては、例えば酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)、酸化銅(CuO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化ニオブ(NbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ビスマス(BiO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化バナジウム(VO)、酸化クロム(CrO)、酸化マンガン(MnO)等が挙げられ、上記のいずれか1種以上を主成分とすることが好ましく、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マンガン(MnO)がより好ましい。前駆体物質20から派生する金属元素(M)と、前記骨格体10を構成する元素との置換をコントロールしやすいためである。
また、前駆体物質20が金属酸化物微粒子である場合には、これを改質して得られる金属微粒子の平均粒径Dは、一次粒子および二次粒子のいずれの場合も、好ましくは0.08〜30nmであり、より好ましくは0.08nm以上25nm未満であり、さらに好ましくは0.4nm〜11.0nmであり、特に好ましくは0.8〜2.7nmである。また、通路11の平均内径Dに対する金属微粒子20の平均粒径Dの割合(D/D)は、好ましくは0.05〜300であり、より好ましくは0.1〜30であり、更に好ましくは1.1〜30であり、特に好ましくは1.4〜3.6である。
前駆体物質20が金属酸化物微粒子である場合、これを改質して得られる金属微粒子の金属元素(M)は、機能性構造体の前駆体1に対して0.5質量%以上7.6質量%以下で含有されているのが好ましく、0.5質量%以上6.9質量%以下で含有されているのがより好ましく、機能性構造体の前駆体1に対して0.5質量%以上2.5質量%以下で含有されているのがさらに好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下で含有されているのがさらに好ましい。
上記金属微粒子は、酸化されていない金属を含んで構成されていればよく、例えば、単一の金属で構成されていてもよく、あるいは2種以上の金属の混合物で構成されていてもよい。なお、本明細書において、金属微粒子を構成する(材質としての)「金属」は、1種の金属元素(M)を含む単体金属と、2種以上の金属元素(M)を含む金属合金とを含む意味であり、1種以上の金属元素を含む金属の総称である。
このような金属としては、例えば白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)等が挙げられ、上記のいずれか1種以上を主成分とすることが好ましく、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)銅(Cu)、マンガン(Mn)がより好ましい。前駆体物質20から派生する金属元素(M)と、前記骨格体10を構成する元素との置換をコントロールしやすことから、これらの金属を用いた触媒構造体を製造しやすいたためである。
また、微粒子20を構成する金属元素(M)に対する、骨格体10を構成するケイ素(Si)の割合(原子数比Si/M)は、10〜1000であるのが好ましく、50〜200であるのがより好ましい。上記割合が1000より大きいと、活性が低いなど、機能性物質としての作用が十分に得られない可能性がある。一方、上記割合が10よりも小さいと、微粒子20の割合が大きくなりすぎて、骨格体10の強度が低下する傾向がある。なお、ここでいう微粒子20は、骨格体10の内部に保持され、または担持され、または結合した微粒子をいい、骨格体10の外表面に付着した微粒子を含まない。
[機能性構造体の機能]
機能性構造体の前駆体1は、上記のとおり、多孔質構造の骨格体10と、骨格体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質20とを備える。そして、このような機能性構造体の前駆体1においては、前駆体物質20が改質されて、機能性物質に変化する。なお、本項の以下の説明においては、便宜上、図1における「機能性構造体の前駆体1」および「機能性物質の前駆体物質20」をそれぞれ「機能性構造体1」および「機能性物質20」に読み替えて説明する。機能性構造体1は、骨格体に内在する機能性物質20が流体と接触することにより、機能性物質20に応じた機能を発揮する。具体的に、機能性構造体1の外表面10aに接触した流体は、外表面10aに形成された孔11aから骨格体10内部に流入して通路11内に誘導され、通路11内を通って移動し、他の孔11aを通じて機能性構造体1の外部へ出る。流体が通路11内を通って移動する経路において、通路11に保持され、または結合された機能性物質20と接触することによって、機能性物質20の機能に応じた反応(例えば、触媒反応)が生じる。また、機能性構造体1は、骨格体が多孔質構造であることにより、分子篩能を有する。
まず、機能性構造体1の分子篩能について、図2(a)を用いて、流体がベンゼン、プロピレン及びメシチレンを含む液体である場合を例として説明する。図2(a)に示すように、孔11aの孔径以下、言い換えれば、通路11の内径以下の大きさを有する分子で構成される化合物(例えば、ベンゼン、プロピレン)は、骨格体10内に浸入することができる。一方、分子の形状を考慮した上で孔11aの孔径を超える大きさを有する分子で構成される化合物(例えば、メシチレン)は、骨格体10内へ浸入することができない。このように、流体が複数種類の化合物を含んでいる場合に、骨格体10内に浸入することができない化合物の反応は規制され、骨格体10内に浸入することができる化合物を反応させることができる。
反応によって骨格体10内で生成した化合物のうち、孔11aの孔径以下の大きさを有する分子で構成される化合物のみが孔11aを通じて骨格体10の外部へ出ることができ、反応生成物として得られる。一方、孔11aから骨格体10の外部へ出ることができない化合物は、骨格体10の外部へ出ることができる大きさの分子で構成される化合物に変換させれば、骨格体10の外部へ出すことができる。このように、機能性構造体1を用いることにより、特定の反応生成物を選択的に得ることができる。
機能性構造体1では、図2(b)に示すように、好適には通路11の拡径部12に機能性物質20が保持されて、通路11と機能性物質とが結合している。機能性物質20が金属微粒子であるとき、金属微粒子の平均粒径Dが、通路11の平均内径Dよりも大きく、拡径部12の内径Dよりも小さい場合には(D<D<D)、金属微粒子と拡径部12との間に小通路13が形成される。そこで、図2(b)中の矢印に示すように、小通路13に浸入した流体が金属微粒子と接触する。各金属微粒子は、拡径部12に包接され、または結合しているため、骨格体10内での移動が抑制されている。これにより、骨格体10内における金属微粒子同士の凝集が防止される。その結果、金属微粒子と流体との大きな接触面積を安定して維持することができる。
次に、機能性物質20が触媒機能を有する場合について説明する。具体的に、機能性物質20が鉄(Fe)微粒子である場合、機能性構造体1は、例えばFT合成反応用触媒として用いることができる。このFT合成反応は、一酸化炭素と水素から触媒反応を用いて液体炭化水素を合成する反応であり、概略、以下の式で表されるものである。
(2n+1)H+nCO→C2n+2+nH
[機能性構造体の前駆体および機能性構造体の製造方法]
図3は、図1の機能性構造体1の製造方法を示すフローチャートである。以下、機能性構造体の前駆体における骨格体に内在する機能性物質が金属酸化物微粒子である場合を例に、機能性構造体の前駆体および機能性構造体の製造方法の一例を説明する。
(ステップS1:準備工程)
図3に示すように、先ず、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体を得るための前駆体材料(A)を準備する。前駆体材料(A)は、好ましくは規則性メソ細孔物質であり、機能性構造体の前駆体の骨格体を構成するゼオライト型化合物の種類(組成)に応じて適宜選択できる。
ここで、機能性構造体の前駆体の骨格体を構成するゼオライト型化合物がケイ酸塩化合物である場合には、規則性メソ細孔物質は、細孔径1〜50nmの細孔が1次元、2次元または3次元に均一な大きさかつ規則的に発達したSi−O骨格からなる化合物であることが好ましい。このような規則性メソ細孔物質は、合成条件によって様々な合成物として得られるが、合成物の具体例としては、例えばSBA−1、SBA−15、SBA−16、KIT−6、FSM−16、MCM−41等が挙げられ、中でもMCM−41が好ましい。なお、SBA−1の細孔径は8〜30nm、SBA−15の細孔径は6〜10nm、SBA−16の細孔径は6nm、KIT−6の細孔径は9nm、FSM−16の細孔径は3〜5nm、MCM−41の細孔径は1〜10nmである。また、このような規則性メソ細孔物質としては、例えばメソポーラスシリカ、メソポーラスアルミノシリケート、メソポーラスメタロシリケート等が挙げられる。
前駆体材料(A)は、市販品および合成品のいずれであってもよい。前駆体材料(A)を合成する場合には、公知の規則性メソ細孔物質の合成方法により行うことができる。例えば、前駆体材料(A)の構成元素を含有する原料と、前駆体材料(A)の構造を規定するための鋳型剤とを含む混合溶液を調製し、必要に応じてpHを調整して、水熱処理(水熱合成)を行う。その後、水熱処理により得られた沈殿物(生成物)を回収(例えば、ろ別)し、必要に応じて洗浄および乾燥し、さらに焼成することで、粉末状の規則性メソ細孔物質である前駆体材料(A)が得られる。ここで、混合溶液の溶媒としては、例えば水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶媒等を用いることができる。また、原料は、骨格体の種類に応じて選択されるが、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)等のシリカ剤、フュームドシリカ、石英砂等が挙げられる。また、鋳型剤としては、各種界面活性剤、ブロックコポリマー等を用いることができ、規則性メソ細孔物質の合成物の種類に応じて選択することが好ましく、例えばMCM−41を作製する場合にはヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等の界面活性剤が好適である。水熱処理は、例えば、密閉容器内で、80〜800℃、5時間〜240時間、0〜2000kPaの処理条件で行うことができる。焼成処理は、例えば、空気中で、350〜850℃、2〜30時間の処理条件で行うことができる。
(ステップS2:含浸工程)
次に、準備した前駆体材料(A)に、金属含有溶液を含浸させ、前駆体材料(B)を得る。
金属含有溶液は、機能性構造体の前駆体の金属微酸化物粒子を構成する金属元素(M)に対応する金属成分(例えば、金属イオン)を含有する溶液であればよく、例えば、溶媒に、金属元素(M)を含有する金属塩を溶解させることにより調製できる。このような金属塩としては、例えば、塩化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩等の金属塩が挙げられ、中でも硝酸塩が好ましい。溶媒としては、例えば水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶媒等を用いることができる。
前駆体材料(A)に金属含有溶液を含浸させる方法は、特に限定されないが、例えば、後述する焼成工程の前に、粉末状の前駆体材料(A)を撹拌しながら、金属含有溶液を複数回に分けて少量ずつ添加することが好ましい。また、前駆体材料(A)の細孔内部に金属含有溶液がより浸入し易くなる観点から、前駆体材料(A)に、金属含有溶液を添加する前に予め、添加剤として界面活性剤を添加しておくことが好ましい。このような添加剤は、前駆体材料(A)の外表面を被覆する働きがあり、その後に添加される金属含有溶液が前駆体材料(A)の外表面に付着することを抑制し、金属含有溶液が前駆体材料(A)の細孔内部により浸入し易くなると考えられる。
このような添加剤としては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、分子サイズが大きく前駆体材料(A)の細孔内部には浸入できないため、細孔の内部に付着することは無く、金属含有溶液が細孔内部に浸入することを妨げないと考えられる。非イオン性界面活性剤の添加方法としては、例えば、後述する焼成工程の前に、非イオン性界面活性剤を、前駆体材料(A)に対して50〜270質量%添加するのが好ましい。非イオン性界面活性剤の前駆体材料(A)に対する添加量が50質量%未満であると上記の抑制作用が発現し難く、非イオン性界面活性剤を前駆体材料(A)に対して500質量%よりも多く添加すると粘度が上がりすぎるので好ましくない。よって、非イオン性界面活性剤の前駆体材料(A)に対する添加量を上記範囲内の値とする。
また、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量は、前駆体材料(A)に含浸させる金属含有溶液中に含まれる金属元素(M)の量(すなわち、前駆体材料(B)に内在させる金属元素(M)の量)を考慮して、適宜調整することが好ましい。例えば、後述する焼成工程の前に、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量を、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液中に含まれる金属元素(M)に対する、前駆体材料(A)を構成するケイ素(Si)の比(原子数比Si/M)に換算して、10〜1000となるように調整することが好ましく、50〜200となるように調整することがより好ましい。例えば、前駆体材料(A)に金属含有溶液を添加する前に、添加剤として界面活性剤を前駆体材料(A)に添加した場合、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量を、原子数比Si/Mに換算して50〜200とすることで、金属酸化物微粒子の金属元素(M)を、機能性構造体の前駆体に対して0.5〜7.6質量%で含有させることができる。前駆体材料(B)の状態で、その細孔内部に存在する金属元素(M)の量は、金属含有溶液の金属濃度や、上記添加剤の有無、その他温度や圧力等の諸条件が同じであれば、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量に概ね比例する。また、前駆体材料(B)に内在する金属元素(M)の量は、機能性構造体の前駆体の骨格体に内在する金属酸化物微粒子を構成する金属元素の量と比例関係にある。したがって、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量を上記範囲に制御することにより、前駆体材料(A)の細孔内部に金属含有溶液を十分に含浸させることができ、ひいては、機能性構造体の前駆体の骨格体に内在させる金属酸化物微粒子の量を調整することができる。
前駆体材料(A)に金属含有溶液を含浸させた後は、必要に応じて、洗浄処理を行ってもよい。洗浄溶液として、水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶液を用いることができる。また、前駆体材料(A)に金属含有溶液を含浸させ、必要に応じて洗浄処理を行った後、さらに乾燥処理を施すことが好ましい。乾燥処理としては、一晩程度の自然乾燥や、150℃以下の高温乾燥が挙げられる。なお、金属含有溶液に含まれる水分や、洗浄溶液の水分が、前駆体材料(A)に多く残った状態で、後述の焼成処理を行うと、前駆体材料(A)の規則性メソ細孔物質としての骨格構造が壊れる恐れがあるので、十分に乾燥するのが好ましい。
(ステップS3:焼成工程)
次に、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体を得るための前駆体材料(A)に金属含有溶液が含浸された前駆体材料(B)を焼成して、前駆体材料(C)を得る。
焼成処理は、例えば、空気中で、350〜850℃、2〜30時間の処理条件で行うことが好ましい。このような焼成処理により、規則性メソ細孔物質の孔内に含浸された金属成分が結晶成長して、孔内で金属酸化物微粒子が形成される。
(ステップS4:水熱処理工程)
次いで、前駆体材料(C)と構造規定剤とを混合した混合溶液を調製し、前記前駆体材料(B)を焼成して得られた前駆体材料(C)を水熱処理して、機能性構造体の前駆体を得る。
構造規定剤は、機能性構造体の前駆体の骨格体の骨格構造を規定するための鋳型剤であり、有機構造規定剤(“organic structure directing agents”または“OSDA”と通常表記される)およびOHを持った無機構造規定剤の少なくともいずれか1つを用いることができる。このうち、有機構造規定剤としては、例えば界面活性剤を用いることができる。有機構造規定剤は、機能性構造体の前駆体の骨格体の骨格構造に応じて選択することが好ましく、例えばテトラメチルアンモニウムブロミド(TMABr)、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)等の界面活性剤が好適である。また、無機構造規定剤として代表的なものはアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物であり、たとえば水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(Rb(OH))、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))などが好適である。
前駆体材料(C)と構造規定剤との混合は、本水熱処理工程時に行ってもよいし、水熱処理工程の前に行ってもよい。また、上記混合溶液の調製方法は、特に限定されず、前駆体材料(C)と、構造規定剤と、溶媒とを同時に混合してもよいし、溶媒に前駆体材料(C)と構造規定剤とをそれぞれ個々の溶液に分散させた状態にした後に、それぞれの分散溶液を混合してもよい。溶媒としては、例えば水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶媒等を用いることができる。また、混合溶液は、水熱処理を行う前に、酸または塩基を用いてpHを調整しておくことが好ましい。
水熱処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、密閉容器内で、80〜800℃、5時間〜240時間、0〜2000kPaの処理条件で行うことが好ましい。また、水熱処理は、塩基性雰囲気下で行われることが好ましい。
ここでの反応メカニズムは必ずしも明らかではないが、前駆体材料(C)を原料として水熱処理を行うことにより、前駆体材料(C)の規則性メソ細孔物質としての骨格構造は次第に崩れるが、前駆体材料(C)の細孔内部での金属酸化物微粒子の位置は概ね維持されたまま、構造規定剤の作用により、機能性構造体の前駆体の骨格体としての新たな骨格構造(多孔質構造)が形成される。このようにして得られた機能性構造体の前駆体は、多孔質構造の骨格体と、骨格体に内在する金属酸化物微粒子を備え、さらに骨格体はその多孔質構造により複数の孔が互いに連通した通路を有し、金属酸化物微粒子はその少なくとも一部分が骨格体の通路に保持され、または結合している。
また、本実施形態では、上記水熱処理工程において、前駆体材料(C)と構造規定剤とを混合した混合溶液を調製して、前駆体材料(C)を水熱処理しているが、これに限らず、前駆体材料(C)と構造規定剤とを混合すること無く、前駆体材料(C)を水熱処理してもよい。
水熱処理後に得られる沈殿物(機能性構造体の前駆体)は、回収(例えば、ろ別)後、必要に応じて洗浄、乾燥および焼成することが好ましい。洗浄溶液としては、水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶液を用いることができる。乾燥処理としては、一晩程度の自然乾燥や、150℃以下の高温乾燥が挙げられる。なお、沈殿物に水分が多く残った状態で、焼成処理を行うと、機能性構造体の前駆体の骨格体としての骨格構造が壊れる恐れがあるので、十分に乾燥するのが好ましい。また、焼成処理は、例えば、空気中で、350〜850℃、2〜30時間の処理条件で行うことができる。このような焼成処理により、機能性構造体の前駆体に付着していた構造規定剤が焼失する。また、機能性構造体の前駆体は、使用目的に応じて、回収後の沈殿物を焼成処理することなくそのまま用いることもできる。例えば、機能性構造体の前駆体の使用する環境が、酸化性雰囲気の高温環境である場合には、使用環境に一定時間晒すことで、構造規定剤は焼失し、焼成処理した場合と同様の機能性構造体が得られるので、そのまま使用することが可能となる。
以上のようにして得られた機能性構造体は、水素ガス等の還元ガス雰囲気下で還元処理(改質)することで、骨格体に金属微粒子が内在する機能性構造体を得ることができる。この場合、骨格体に内在する金属酸化物微粒子が還元され、金属酸化物微粒子を構成する金属元素(M)に対応した金属微粒子が形成される。
[機能性構造体の前駆体1の変形例]
図4は、図1の機能性構造体の前駆体1の変形例を示す模式図である。
図1の機能性構造体の前駆体1は、骨格体10と、骨格体10に内在する前駆体物質20とを備える場合を示しているが、この構成だけには限定されず、例えば、図4に示すように、機能性構造体の前駆体2が、骨格体10の外表面10aに保持された他の前駆体物質30を更に備えていてもよい。
この前駆体物質30は、一又は複数の機能を発揮する物質の前駆体である。他の前駆体物質30を改質して得られる機能性物質が有する機能は、前駆体物質20を改質して得られる機能性物質が有する機能と同一であってもよいし、異なっていてもよい。他の前駆体物質30を改質して得られる機能性物質が有する機能の具体例は、前駆体物質20について説明したものと同様であり、中でも触媒機能を有することが好ましく、このとき前駆体物質30を改質して得られる機能性物質は触媒物質である。また、前駆体物質20,30を改質して得られる機能性物質が双方同一の機能を有する物質である場合、他の前駆体物質30を改質して得られる機能性物質の材料は、機能性物質20を改質して得られる機能性物質の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。本構成によれば、機能性構造体の前駆体2を改質して得られる機能性構造体に保持された機能性物質の含有量を増大することができ、機能性物質の機能発揮を更に促進することができる。
この場合、骨格体10に内在する前駆体物質20の含有量は、骨格体10の外表面10aに保持された他の前駆体物質30の含有量よりも多いことが好ましい。これにより、骨格体10の内部に保持され、または結合さしている機能性物質20による機能が支配的となり、安定的に機能性物質の機能が発揮される。
以上、本発明の実施形態に係る機能性構造体について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
(実施例1〜5)
[前駆体材料(A)の合成]
シリカ剤(テトラエトキシシラン(TEOS)、和光純薬工業株式会社製)と、鋳型剤としての界面活性剤とを混合した混合水溶液を作製し、適宜pH調整を行い、密閉容器内で、80〜350℃、100時間、水熱処理を行った。その後、生成した沈殿物をろ別し、水およびエタノールで洗浄し、さらに600℃、24時間、空気中で焼成して、表1に示される種類および孔径の前駆体材料(A)を得た。なお、界面活性剤は、前駆体材料(A)の種類に応じて(「前駆体材料(A)の種類:界面活性剤」)以下のものを用いた。
・MCM−41:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)(和光純薬工業株式会社製)
[前駆体材料(B)および(C)の作製]
次に、表1に示される種類の金属酸化物微粒子を構成する金属元素(M)に応じて、該金属元素(M)を含有する金属塩を、水に溶解させて、金属含有水溶液を調製した。なお、金属塩は、金属微粒子の種類に応じて(「金属微粒子:金属塩」)以下のものを用いた。
・Fe:硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬工業株式会社製)
・Co:硝酸コバルト(II)六水和物(和光純薬工業株式会社製)
次に、表1の「添加剤」の欄に「O−15」の記載がある実施例に関しては、粉末状の前駆体材料(A)に、添加剤としてのポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル(NIKKOL BO−15V、日光ケミカルズ株式会社製、以下、「O−15」と表記する。)の水溶液を添加する前処理を行い、金属含有水溶液を複数回に分けて少量ずつ添加し、室温(20℃±10℃)で12時間以上乾燥させて、前駆体材料(B)を得た。一方で、表1の「添加剤」の欄に「O−15」の記載のない実施例に関しては、上記のO−15添加の操作を除いて、上記と同様の方法で金属含有水溶液を添加し、乾燥処理を行った。
また、前駆体材料(A)に添加する金属含有水溶液の添加量は、該金属含有水溶液中に含まれる金属元素(M)に対する、前駆体材料(A)を構成するケイ素(Si)の比(原子数比Si/M)に換算したときの数値が、表1の値になるように調整した。
次に、上記のようにして得られた金属含有水溶液を含浸させた前駆体材料(B)を、550℃、12時間、空気中で焼成して、前駆体材料(C)を得た。
[機能性構造体の合成]
上記のようにして得られた前駆体材料(C)と、表1に示すNa/(Na+OSDA)比になるように構造規定剤(OSDA)と水酸化ナトリウムを調整して混合水溶液を作製し、密閉容器内で、80〜350℃、表1に示すpHおよび時間の条件で、水熱処理を行った。その後、生成した沈殿物をろ別し、水洗し、100℃で12時間以上乾燥させ、さらに550℃、12時間、空気中で焼成した。その後、焼成物を回収し、水素ガスの流入下、500℃で60分間、還元処理して、表1に示す骨格体と機能性物質としての金属酸化物微粒子とを有する機能性構造体を得た(実施例1)。
(比較例1)
比較例1では、含浸法によってMFI型シリカライトにFe粒子を担持させたものを用いた。
具体的には、実施例と同様の方法で、前駆体材料(A)に添加する金属含有水溶液の添加量を表1に示す割合に調整してMFI型シリカライトに金属含有水溶液を含浸させ、同条件で焼成し、その後還元処理を行い比較例1の機能性構造体を得た。
(比較例2)
比較例2では、MFI型シリカライトにFe金属を骨格置換させたものを用いた。具体的には、前駆体物質(A)と金属含有溶液を構造規定剤であるテトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)と混合して混合水溶液を作製し、密閉容器内で80〜350℃で水熱処理を行った。その後、生成した沈殿物をろ別し、水洗、乾燥させ、さらに空気中で焼成した。これにより、Fe元素を骨格内に含むメタロシリケートを得た。
[評価]
上記実施例の機能性構造体および比較例のシリカライトについて、以下に示す条件で、各種特性評価を行った。
[A]断面観察
上記実施例の機能性構造体および比較例1の酸化鉄微粒子付着シリカライトについて、粉砕法にて観察試料を作製し、透過電子顕微鏡(TEM)(TITAN G2、FEI社製)を用いて、断面観察を行った。
その結果、上記実施例の機能性構造体では、シリカライトまたはゼオライトからなる骨格体の内部に機能性物質が内在し、保持されていることが確認された。一方、比較例1のシリカライトでは、機能性物質が骨格体の外表面に付着しているのみで、骨格体の内部には存在していなかった。
また、上記実施例のうち金属酸化物が酸化鉄微粒子(FeOx)である機能性構造体について、FIB(集束イオンビーム)加工により断面を切り出し、SEM(SU8020、日立ハイテクノロジーズ社製)、EDX(X−Max、堀場製作所製)を用いて断面元素分析を行った。その結果、骨格体内部からFe元素が検出された。
上記TEMとSEM/EDXによる断面観察の結果から、骨格体内部に酸化鉄微粒子が存在していることが確認された。
[B]骨格体の通路の平均内径および機能性物質の平均粒径
上記評価[A]で行った断面観察により撮影したTEM画像にて、骨格体の通路を、任意に500個選択し、それぞれの長径および短径を測定し、その平均値からそれぞれの内径を算出し(N=500)、さらに内径の平均値を求めて、骨格体の通路の平均内径Dとした。また、機能性物質についても同様に、上記TEM画像から、機能性物質を、任意に500個選択し、それぞれの粒径を測定して(N=500)、その平均値を求めて、機能性物質の平均粒径Dとした。結果を表1に示す。
また、機能性物質の平均粒径及び分散状態を確認するため、SAXS(小角X線散乱)を用いて分析した。SAXSによる測定は、Spring−8のビームラインBL19B2を用いて行った。得られたSAXSデータは、Guinier近似法により球形モデルでフィッティングを行い、粒径を算出した。粒径は、金属酸化物が酸化鉄微粒子である機能性構造体について測定した。また、比較対象として、市販品である酸化鉄微粒子(Wako製)をSEMにて観察、測定した。
この結果、市販品では粒径約50nm〜400nmの範囲で様々なサイズの酸化鉄微粒子がランダムに存在しているのに対し、TEM画像から求めた平均粒径が2.5nmの各実施例の機能性構造体では、SAXSの測定結果においても粒径が10nm以下の散乱ピークが検出された。SAXSの測定結果とSEM/EDXによる断面の測定結果から、骨格体内部に、粒径10nm以下の機能性物質が、粒径が揃いかつ非常に高い分散状態で存在していることが分かった。
また、実施例1〜5の機能性構造体に対し、400℃以上の還元処理を行ったところ、TEM画像から求めた平均粒径が2.5nmの各実施例では、10nm以下の粒径を維持していた。
[C]金属含有溶液の添加量と骨格体内部に包接された金属量との関係
原子数比Si/M=50,100,200,1000(M=Fe)の添加量で、酸化金属微粒子を骨格体内部に保持包接させた機能性構造体を作製し、その後、上記添加量で作製された機能性構造体の骨格体内部に保持包接された金属量(質量%)を測定した。尚、本測定において原子数比Si/M=100,200,1000の機能性構造体は、金属含有溶液の添加量を調整して作製し、金属含有溶液の添加量を異ならせたこと以外は、実施例1の機能性構造体と同様の方法で作製した。
金属量の定量は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)単体か、或いはICPとXRF(蛍光X線分析)を組み合わせて行った。XRF(エネルギー分散型蛍光X線分析装置「SEA1200VX」、エスエスアイ・ナノテクノロジー社製)は、真空雰囲気、加速電圧15kV(Crフィルター使用)或いは加速電圧50kV(Pbフィルター使用)の条件で行った。
XRFは、金属の存在量を蛍光強度で算出する方法であり、XRF単体では定量値(質量%換算)を算出できない。そこで、Si/M=100で金属を添加した機能性構造体の金属量は、ICP分析により定量し、Si/M=50および100未満で金属を添加した機能性構造体の金属量は、XRF測定結果とICPO測定結果を元に算出した。
この結果、少なくとも原子数比Si/Mが50〜1000の範囲内で、金属含有溶液の添加量の増加に伴って、機能性構造体に内在包接された金属量が増大していることが確認された。
[D]4配位構造の金属元素(M)の存在割合
XAFS測定は、SPring−8のBL08B2でFe−K吸収端をライトル検出器を用いた蛍光収量法により行った。得られたXANESスペクトルに対し、Fe骨格置換ゼオライトとα−Feを標準物質として用いてMicrosoft Excel(登録商標)のソルバーを用いた最小二乗法により線形結合でのピーク分離を行い、4配位構造に由来するピークの面積および6配位構造に由来するピーク面積を算出し、上記(1)式より、4配位構造の金属元素の濃度を算出した。
[E]性能評価
上記実施例の機能性構造体および比較例のシリカライトについて、機能性物質(触媒物質)がもつ触媒能(性能)を評価した。結果を表1に示す。
(1)触媒活性
触媒活性は、以下の条件で評価した。
まず、触媒構造体を、常圧流通式反応装置に70mg充填し、水素(8ml/分)と一酸化炭素(4ml/分)を供給し、100〜700℃、0.1MPaで1時間加熱しながら、FT合成反応を行った。常圧流通式反応装置は、シングルマイクロリアクター(フロンティアラボ社、Rx−3050SR)を使用した。
反応終了後に、回収した生成ガスおよび生成液を、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により成分分析した。なお、生成ガスの分析装置には、TRACE 1310GC(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、検出器:熱伝導度検出器)を用いた。
230℃未満で炭化水素(CHを除く、以下同じ)の生成が確認できた場合(つまり、反応開始温度が230℃以下の場合)を触媒活性が優れていると判定して「◎」、250℃で炭化水素の生成が確認できた場合(つまり、反応開始温度が250℃より高く、250℃未満の場合)を触媒活性が良好であると判断して「○」、270℃で炭化水素の生成が確認できた場合(つまり、反応開始温度が255℃より高く、270℃未満の場合)を、触媒活性が良好ではないものの合格レベル(可)であると判断して「△」、反応開始温度が270℃以上の場合、またはFT合成反応が起こらなかった場合を、触媒活性が劣る(不可)と判定して「×」とした。
Figure 2020116471
表1から明らかなように、断面観察により骨格体の内部に機能性物質が保持されていることが確認された機能性構造体(実施例1〜5)は、単に単に機能性物質が骨格体の外表面に付着しているだけの機能性構造体(比較例1)または機能性物質を何ら有しておらず、骨格体の化学結合の一部をFeイオンにて置換されたのみの骨格体(比較例2)と比較して、FT合成反応において優れた触媒活性を示した。
1 機能性構造体
10 骨格体
10a 外表面
11 通路
11a 孔
12 拡径部
20 機能性物質
30 機能性物質
平均粒径
平均内径
内径

Claims (19)

  1. ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体と、
    金属元素(M)を含み前記担体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質と、
    を備え、
    前記担体が、互いに連通する通路を有し、
    前記前駆体物質が、前記担体の少なくとも前記通路に存在し、かつ前記前駆体物質から派生する金属元素(M)と、前記担体を構成する元素とが部分的に置換していることを特徴とする、機能性構造体の前駆体。
  2. 前記金属元素(M)は、4配位構造と6配位構造の2種類の配位構造の中心原子として、前記前駆体に存在していることを特徴とする、請求項1に記載の機能性構造体の前駆体。
  3. 前記4配位構造の金属元素(M)が、前記4配位構造の金属元素(M)と前記6配位構造の金属元素(M)の合計に対し、原子比で0.75以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の機能性構造体の前駆体。
  4. ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体と、
    金属元素(M)を含み前記担体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体と、
    を備える前駆体であって、
    前記担体が、互いに連通する通路を有し、
    前記前駆体物質が、前記担体の少なくとも前記通路に存在し、
    XAFS測定による前記機能性構造体の前駆体に含まれる金属の吸収端から特定したXANESスペクトルに基づいて、前記4配位構造をとる金属元素(メタロシリケートに対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(a)と、前記6配位構造をとる金属元素(金属に還元する前の金属酸化物に対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(b)とを、以下の(1)式に代入して算出したときの4配位構造をとる金属元素(M)の存在割合Pの数値が、0.75以下であることを特徴とする、機能性構造体の前駆体。
    P=(a)/(a+b) ・・・(1)
  5. 前記存在割合Pの数値が0.20以下であることを特徴とする、請求項4に記載の機能性構造体の前駆体。
  6. ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の担体と、
    金属元素(M)を含み前記担体に内在する少なくとも1つの機能性物質の前駆体と、
    を備える前駆体であって、
    前記担体が、互いに連通する通路を有し、
    前記前駆体物質が、前記担体の少なくとも前記通路に存在し、
    XAFS測定による前記機能性構造体の前駆体に含まれる金属の吸収端から特定したXANESスペクトルに基づいて、前記4配位構造をとる金属元素(メタロシリケートに対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(a)と、前記6配位構造をとる金属元素(金属に還元する前の金属酸化物に対応するスペクトル形状を持つ前記機能性構造体の前駆体の金属元素)のピーク強度の数値(b)とを、以下の(1)式に代入して算出したときの4配位構造をとる金属元素(M)の存在割合Pの数値が、0以上0.10以下であることを特徴とする、機能性構造体の前駆体。
    P=(a)/(a+b) ・・・(1)
  7. 前記通路は、前記ゼオライト型化合物の骨格構造の一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれとも異なる拡径部とを有し、かつ
    前記前駆体物質が、少なくとも前記拡径部に存在していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の機能性構造体の前駆体。
  8. 前記拡径部は、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の孔同士を連通していることを特徴とする、請求項7に記載の機能性構造体の前駆体。
  9. 前記機能性物質は、触媒物質であり、
    前記担体は、少なくとも1つの前記触媒物質の触媒前駆体物質を担持することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の機能性構造体の前駆体。
  10. 前記触媒前駆体物質は、金属酸化物微粒子であることを特徴とする、請求項9に記載の機能性構造体の前駆体。
  11. 前記金属酸化物微粒子の平均粒径が、前記通路の平均内径よりも大きく、且つ前記拡径部の内径以下であることを特徴とする、請求項10に記載の機能性構造体の前駆体。
  12. 前記金属酸化物微粒子の金属元素(M)が、前記機能性構造体に対して0.5〜2.5質量%で含有されていることを特徴とする、請求項10に記載の機能性構造体の前駆体。
  13. 前記金属酸化物微粒子の平均粒径が、0.1nm〜50nmであることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載の機能性構造体の前駆体。
  14. 前記通路の平均内径に対する前記金属酸化物微粒子の平均粒径の割合が、0.06〜500であることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の機能性構造体の前駆体。
  15. 前記通路の平均内径は、0.1nm〜1.5nmであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の機能性構造体の前駆体。
  16. 前記担体の外表面に保持された少なくとも1つの他の機能性物質の前駆体物質を更に備えることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の機能性構造体の前駆体。
  17. 前記担体に内在する前記少なくとも1つの機能性物質の前駆体物質の含有量が、前記担体の外表面に保持された前記少なくとも1つの他の機能性物質の前駆体物質の含有量よりも多いことを特徴とする、請求項16に記載の機能性構造体の前駆体。
  18. 前記ゼオライト型化合物は、ケイ酸塩化合物であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の機能性構造体の前駆体。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の前駆体の還元生成物であることを特徴とする機能性構造体。
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