JPWO2020111031A1 - アルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

アルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物の精製を低エネルギー化及び簡略化できる新たな手段を提供すること。
式(1)で表される化合物とアセチレンとをアルカリ金属触媒を用いて反応させる工程A、及び工程Aで得られた式(2)で表されるジビニルエーテル化合物を抽出せずに精製する工程Bを含む、ジビニルエーテル化合物の製造方法。
Figure 2020111031

〔式(1)中、R1は、炭素数4〜20のアルキレン基を示す。〕
Figure 2020111031

〔式(2)中、R1は、式(1)中のR1と同義である。〕

Description

本発明は、アルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物の製造方法に関するものである。
2つのビニルエーテル構造を有する化合物は、ジビニルエーテル化合物と呼ばれ、重合組成物原料の架橋成分、硬化成分として用いられる。中でも、アルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物は、低毒性、低刺激性、低収縮性等といった優れた特徴から、接着剤、塗料、印刷用インク、レジスト材料等への応用が期待されている。
ジビニルエーテル化合物の製造方法としては、アルカリ金属触媒の存在下でアルコール(ジオール)とアセチレンとを反応させるレッペ法が知られている。例えば、特許文献1には、ジエチレングリコールとアセチレンをジエチレングリコールジビニルエーテル存在下で反応させてジエチレングリコールモノビニルエーテルとジエチレングリコールジビニルエーテルの両方が生成した状態まで反応を進行させた後、抽出蒸留及び精製蒸留を行うことにより、ジエチレングリコールジビニルエーテルを分離回収するという手法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、ジエチレングリコールジビニルエーテルを高純度で回収できるものの、その回収には精製蒸留に加えて、処理に要するエネルギーが大きい抽出蒸留をすることが必要であった。また、高い割合(約30質量%)で生成させたジエチレングリコールモノビニルエーテルを反応原料として再利用できるとされているが、原料の回収にも過大なエネルギーを要するものと考えられる。また、この方法ではアルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物の製造を実現するに至っていなかった。
また、アルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物を合成し更に精製する方法として、ジメチルスルホキシドを非プロトン性極性溶媒として使用し、アルカンジオール及びアセチレンからレッペ法でアルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物を得て、これを多量の炭化水素系溶媒を用いて抽出する手法が知られているが(特許文献2)、この抽出処理に要するエネルギーが大きく、また、抽出処理で多量の溶媒を要するため、工業スケールで製造した場合に、抽出後の蒸留工程で釜効率が悪化することが懸念される。
特表2014−513048号公報 国際公開2015/190376号パンフレット
本発明の課題は、アルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物の精製を低エネルギー化及び簡略化できる新たな手段を提供することにある。
本発明の課題は、以下の<1>〜<7>の手段により解決された。
<1> 式(1)で表される化合物(以下、アルカンジオール(1)ともいう)とアセチレンとをアルカリ金属触媒を用いて反応させる工程A、及び工程Aで得られた式(2)で表されるジビニルエーテル化合物(以下、ジビニルエーテル化合物(2)ともいう)を抽出せずに精製する工程Bを含む、ジビニルエーテル化合物の製造方法(以下、本発明の製造方法、本発明のジビニルエーテル化合物の製造方法とも称する)。
Figure 2020111031
〔式(1)中、R1は、炭素数4〜20のアルキレン基を示す。〕
Figure 2020111031
〔式(2)中、R1は、式(1)中のR1と同義である。〕
<2> 式(1)で表される化合物が、式(3)、(4)又は(5)で表されるものである、<1>に記載の製造方法。
Figure 2020111031
〔式(3)中、R11〜R16のうちいずれか2つはヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基を示し、その他は水素原子を示す。〕
Figure 2020111031
〔式(4)中、R31〜R40のうちいずれか1つはメチル基を示し、その他は水素原子を示す。〕
Figure 2020111031
〔式(5)中、R41〜R64は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示すが、R41〜R64の組み合わせは、R41〜R64のうちいずれか1つが炭素数1〜8のアルキル基であり、その他は水素原子である組み合わせ、又はR41〜R64がいずれも水素原子である組み合わせである。〕
<3> 式(1)で表される化合物が、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,12−ドデカンジオール及び1,12−オクタデカンジオールからなる群から選択される少なくとも1種である、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4> 前記アルカリ金属触媒が、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属の炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である、<1>〜<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5> 前記精製が、ろ過、洗浄、乾燥、遠心分離、蒸留、クロマトグラフィー及び膜分離からなる群から選択される少なくとも1種の処理による精製である、<1>〜<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6> 前記反応を無溶媒で又はグライム系溶媒の存在下で行う、<1>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。
<7> 前記反応をグライム系溶媒の存在下で行う、<1>〜<6>のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、アルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物の精製を低エネルギー化及び簡略化することができる。
本発明のジビニルエーテル化合物の製造方法は、アルカンジオール(1)とアセチレンとをアルカリ金属触媒を用いて反応させる工程A、及び工程Aで得られたジビニルエーテル化合物(2)を抽出せずに精製する工程Bを含むものである。
式(1)、(2)中、R1で示されるアルキレン基(アルカンジイル基)の炭素数は4〜20であるが、生産速度や反応収率、精製工程の低エネルギー化及び簡略化等の点で、好ましくは6〜18である。また、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
アルキレン基の具体例としては、ブタン−1,1−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,1−ジイル基、ペンタン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,1−ジイル基、ヘキサン−1,2−ジイル基、ヘキサン−1,3−ジイル基、ヘキサン−1,4−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、2,4−ジエチル−ペンタン−1,5−ジイル基、2−ブチル−2−エチル−プロパン−1,3−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、オクタデカン−1,12−ジイル基、オクタデカン−1,18−ジイル基等が挙げられる。
(工程A)
工程Aは、アルカンジオール(1)とアセチレンとをアルカリ金属触媒を用いて反応させる工程である。
本発明で用いるアルカンジオール(1)としては、常圧での沸点が50℃以上のものが好ましく、常圧での沸点が100〜450℃のものがより好ましい。
また、アルカンジオール(1)としては、生産速度や反応収率、精製工程の低エネルギー化及び簡略化等の点で、下記式(3)〜(5)で表されるものが好ましい。また、式(3)で表されるアルカンジオールとしては、式(3−1)〜(3−3)で表されるものが挙げられる。本発明の製造方法によれば、このような構造のアルカンジオールからでも、対応するジビニルエーテル化合物を高純度で得ることができる。
Figure 2020111031
〔式(3)中、R11〜R16のうちいずれか2つはヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基を示し、その他は水素原子を示す。〕
なお、R11〜R16は、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基を示す場合、同種であっても異種であってもよい。
Figure 2020111031
〔式(3−1)中、R17〜R19のうちいずれか2つはヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基を示し、その他は水素原子を示す。〕
なお、R17〜R19は、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基を示す場合、同種であっても異種であってもよい。
Figure 2020111031
〔式(3−2)中、R20及びR21は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基を示す。〕
Figure 2020111031
〔式(3−3)中、R22及びR23は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基を示す。〕
Figure 2020111031
〔式(4)中、R31〜R40のうちいずれか1つはメチル基を示し、その他は水素原子を示す。〕
Figure 2020111031
〔式(5)中、R41〜R64は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示すが、R41〜R64の組み合わせは、R41〜R64のうちいずれか1つが炭素数1〜8のアルキル基であり、その他は水素原子である組み合わせ、又はR41〜R64がいずれも水素原子である組み合わせである。〕
41〜R64で示されるアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
アルカンジオール(1)の具体例としては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、4−メチル−2,3−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジオール、ピナコール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,4−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,3−ヘプタンジオール、3,4−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、4,4−ヘプタンジオール、5−メチル−2,4−ヘキサンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、4,5−オクタンジオール、3−メチル−2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−1,4−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,2−ペンタンジオール、2,4,4−トリメチル−1,2−ペンタンジオール、2−プロピル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−2−(1−メチルプロピル)−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,4,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−3−プロピル−1,4−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、2,7−ジメチル−2,7−オクタンジオール、3,6−ジメチル−3,6−オクタンジオール、2,3,4,5−テトラメチル−3,4−ヘキサンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、5−エチル−3−メチル−2,4−ノナンジオール、7−エチル−2−メチル−4,6−ノナンジオール、2−ブチル−1,3−オクタンジオール、2−メチル−2,3−ドデカンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−(4,4−ジメチルペンチル)−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、2,2,9,9−テトラメチル−1,10−デカンジオール、2−オクチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、2−デシル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−(2−メチルプロピル)−2−ノニル−1,3−プロパンジオール、5,13−ヘプタデカンジオール、2−ドデシル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,12−オクタデカンジオール、2,9−ジメチル−2,9−ジプロピル−1,10−デカンジオール、2−ドデシル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジオクチル−1,3−プロパンジオール、8−エチル−1,18−オクタデカンジオールが挙げられる。
これらの中では、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,12−ドデカンジオール及び1,12−オクタデカンジオールからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明で用いるアルカリ金属触媒は特に限定されるものでなく従来公知のものを用いることができる。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。なお、アルカリ金属触媒は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、生産速度や反応収率、精製工程の低エネルギー化及び簡略化等の点で、アルカリ金属の水酸化物が好ましい。
アルカリ金属触媒の使用量は、生産速度や反応収率、精製工程の低エネルギー化及び簡略化、製造コストの点で、アルカンジオール(1)100モルに対して、好ましくは1〜60モルの範囲であり、より好ましくは5〜45モルの範囲である。
本発明の製造方法における、アセチレンの供給圧力は特に限定されないが、安全性及び反応進行性の観点から、好ましくはゲージ圧で0.01〜0.4MPaであり、より好ましくはゲージ圧で0.01〜0.08MPaである。
アルカンジオール(1)とアセチレンの反応の反応温度は、安全性及び反応進行性の観点から、好ましくは50〜170℃の範囲であり、より好ましくは90〜160℃の範囲である。なお、アセチレン供給に先立ちアルカンジオール(1)をアルカリ金属触媒で予め処理してアルコキシド化する場合、当該アルコキシド化反応も同様の反応温度で行うことができる。
アルカンジオール(1)とアセチレンの反応の反応時間は、アルカンジオール(1)の種類等に応じて調整すればよいが、通常1〜72時間であり、好ましくは1.5〜48時間である。
また、アルカンジオール(1)とアセチレンの反応は、バッチ法、半連続法又は連続法で実施することができる。
アルカンジオール(1)とアセチレンの反応は、溶媒存在下で行っても溶媒非存在下で行ってもよいが、生産速度や反応収率、精製工程の低エネルギー化及び簡略化等の点で、溶媒非存在下で反応させるかグライム系溶媒の存在下で反応させるのが好ましい。溶媒非存在下で反応させるかグライム系溶媒の存在下で反応させることによって、抽出せずに、低エネルギー且つ簡便な精製処理で高純度ジビニルエーテル化合物(2)を得ることができる。なお、グライム系溶媒を用いた場合にこのような効果が奏される理由は、グライム系溶媒がアルカンジオール(1)とジビニルエーテル化合物(2)の両方を溶解させるためであると本発明者らは推察する。
グライム系溶媒とは、グリコールエーテル構造を有する溶媒を意味し、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。なお、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒存在下で反応を行う場合において、溶媒の使用量は、アルカンジオール(1)100質量部に対して、好ましくは10〜1000質量部の範囲であり、より好ましくは20〜500質量部の範囲である。
溶媒非存在下で反応を行う場合において、アルカンジオール(1)の使用量は、製造コストや生成するジビニルエーテル化合物の高純度化の点で、反応系内の液相(生成物を除く)の総量に対して、好ましくは85〜99質量%、より好ましくは90〜99質量%である。
また、溶媒非存在下で反応を行う場合において、アルカンジオール(1)とアルカリ金属触媒の合計の仕込み割合は、仕込み成分(アセチレンを除く)の合計に対して、好ましくは95〜100質量%、より好ましくは97.5〜100質量%である。
また、アルカンジオール(1)、アセチレン及びアルカリ金属触媒の接触の順番の前後は任意であり、例えば、アルカンジオール(1)、アセチレン及びアルカリ金属触媒の反応器内への供給を開始してからジビニルエーテル化反応を進行させる手法や、アルカンジオール(1)とアルカリ金属触媒を反応器内に予め仕込んでおき、所定の温度に昇温後、反応器内のアセチレン圧力を昇圧することによって、反応を開始させる手法が挙げられる。アルカンジオール(1)とアルカリ金属触媒を反応器内に予め仕込んでおく場合において、アセチレン供給に先立ちアルコキシド化反応を進行させてもよい。また、溶媒を用いる場合は、例えば、アルカンジオール(1)を供給するときに反応器内へ溶媒を供給すればよい。アルコキシド化反応の反応圧力は、好ましくは絶対圧力で1〜101.3kPaである。
(工程B)
工程Bは、工程Aで得られたジビニルエーテル化合物(2)を抽出せずに精製する工程である。
アルカンジオール(1)とアセチレンの反応の反応終了後、工程Aで得られたジビニルエーテル化合物(2)は、抽出することなく、低エネルギー且つ簡便な処理で精製することができる。精製処理の手法としては、ろ過、洗浄、乾燥、遠心分離、蒸留、クロマトグラフィー、膜分離等が挙げられ、これらのうち1種のみで処理しても2種以上を組み合わせて処理してもよい。例えば、ろ過によって触媒を分離した後、蒸留を行うなどして、目的とするジビニルエーテル化合物(2)を単離することができる。なお、ジビニルエーテル化合物(2)は、アルカンジオール(1)に由来するものであり、対応した化学構造を有する。
ろ過としては、具体的には、常圧ろ過、加圧ろ過、減圧ろ過等が挙げられる。また、ろ紙やろ布等のフィルタの通気度は、好ましくは0.3〜3.6cc/cm2・secの範囲である。また、25〜150℃の範囲でろ過することが好ましい。
また、蒸留は、通常、蒸留塔を用いて行われる。蒸留塔は、充填塔、棚段塔、泡鐘塔等のいずれでもよく、蒸留塔の段数は、好ましくは理論段数で1〜50段、より好ましくは理論段数で1〜30段である。また、還流比は、好ましくは1〜15の範囲である。
蒸留は、常圧蒸留、加圧蒸留、減圧蒸留のいずれでもよいが、減圧蒸留が好ましい。蒸留圧力は、好ましくは0.01〜20kPaであり、より好ましくは0.01〜10kPaである。また、蒸留温度は、好ましくは50〜300℃の範囲である。また、蒸留の方式はバッチ式、半連続式、連続式のいずれでもよい。
そして、本発明の製造方法によれば、低エネルギー且つ簡便な精製処理で高純度ジビニルエーテル化合物(2)を回収できる。また、ジビニルエーテル化合物(2)を、速やかな生産速度で且つ高い反応収率でアルカンジオール(1)及びアセチレンから製造できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における測定は、次の測定方法に従った。
(反応液の組成分析)
反応液の組成分析にはガスクロマトグラフィーを用いた。分析条件は以下のとおりである。
装置:製品名「GC−2010Plus」(島津製作所製)
検出器:FID
カラム:DB−5(30m、0.25mmID、1.0μm、Agilent社製)
・1,12−オクタデカンジオールジビニルエーテル(ODDVE)
INJ温度:250℃
DET温度:250℃
スプリット比:50
カラム温度:180℃で3min保持→10℃/minで250℃まで昇温→250℃で20min保持(計30min)
・2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル(DEPDVE)
INJ温度:250℃
DET温度:300℃
スプリット比:50
カラム温度:100℃から160℃まで4℃/minで昇温→160℃で10min保持→20℃/minで300℃まで昇温→300℃で13min保持(計45min)
・1,12−ドデカンジオールジビニルエーテル(3DVE)
INJ温度:250℃
DET温度:270℃
スプリット比:50
カラム温度:180℃で3min保持→5℃/minで250℃まで昇温→250℃で13min保持(計30min)
・3−メチル−1,5ペンタンジオールジビニルエーテル(MPDVE)
INJ温度:250℃
DET温度:300℃
スプリット比:50
カラム温度:100℃で5min保持→10℃/minで280℃まで昇温→280℃で7min保持(計30min)
・2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル(BEPDVE)
INJ温度:200℃
DET温度:300℃
スプリット比:70
カラム温度:100℃から300℃まで8℃/minで昇温→300℃で5min保持(計30min)
(カリウム濃度測定)
反応液のカリウム濃度測定には以下の装置を用いた。
装置:製品名「自動滴定装置COM−1700A」(平沼産業製)
滴定液:0.2mol/L 塩酸、エタノール
(留出液の水分測定)
留出液の水分測定には以下の装置を用いた。
装置:製品名「自動水分測定装置AQV−300」(平沼産業製)
滴定液:ハイドナール コンポジット5K(林純薬製)
滴定溶媒:カールフィッシャー試薬 ハヤシソルベント CE(林純薬製)
(反応速度測定)
反応速度の計算には、以下の式を用いた。
r1=M/{(t1)×V}
r1:反応速度(g/L・hr)
M:ジビニルエーテル生成量(g)
t1:反応時間(hr)
V:反応液体積(L)
(反応工程生産速度測定)
反応工程生産速度の計算には、以下の式を用いた。
r2=M/{(t1+t2)×V}
r2:反応工程生産速度(g/L・hr)
M:ジビニルエーテル生成量(g)
t1:反応時間(hr)
t2:カリウムアルコキシド調製時間(hr)
V:反応液体積(L)
(蒸留エネルギー測定)
反応終了後の反応液の組成分析をガスクロマトグラフィーで行い、反応液の組成と含まれる物質の蒸発潜熱から、製品1kg当たりに必要な蒸留エネルギーを算出した。
また、製品1kg当たりで使用する溶媒量における溶媒回収時の蒸留エネルギーについても同様に、抽出下層液の組成分析をガスクロマトグラフィーで行い、抽出下層液の組成と含まれる物質の蒸発潜熱から算出した。
(実施例1:1,12−オクタデカンジオールジビニルエーテル(ODDVE)の合成)
撹拌機、圧力計、温度計、ガス導入管、ガスパージライン、減圧ライン、液サンプリングラインを備えた容量10LのSUS316製耐圧反応容器に、水酸化カリウム(日本曹達(株)製)0.18kg(3.3mol)と、加温することで予め溶解させておいた1,12−オクタデカンジオール(小倉合成工業(株)製)3.50kg(12.2mol)とを仕込み、容器内を窒素置換した。
窒素置換後、容器内温度を150℃まで昇温し、250rpmで撹拌した。容器内圧力を徐々に3kPaA(Aは絶対圧力を示す)まで減圧し、液サンプリングラインから0.1NL/minの窒素によるバブリングを3hr行った。同操作により、主成分が水である留出液を0.06kg抜き出した。このようにすることで、1,12−オクタデカンジオール由来のカリウムアルコキシドを得た。
その後、420rpmで撹拌しながら、容器内をアセチレン置換した。そのままアセチレンを連続的に供給して容器内を0.03MPaG(Gはゲージ圧力を示す)、150℃に保持し、11.5hr反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析の結果、転化率は99%以上であり、選択率は97%であった。このときの反応速度は61g/L・hr、反応工程生産速度は49g/L・hrと計算された。
この反応液を、120℃、窒素圧力0.1MPaGにて、ろ布(通気度:0.6〜1.8cc/cm2・sec、ポリフェニレンサルファイド樹脂製)を用いて加圧ろ過することで、触媒を分離した。ろ液中のカリウム濃度は0.4質量%であった。さらに、0.02kPaA減圧下、ろ液の単蒸留を行い、1,12−オクタデカンジオールジビニルエーテル(以下、ODDVEと称す)3.37kg(10.0mol)を得た。得られたODDVEは、純度99%以上、収率81%であった。また、蒸留時に必要なエネルギーはODDVE 1kg当たり0.2MJと計算された。結果を表1に示す。
(実施例2:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル(DEPDVE)の合成)
実施例1と同じ反応容器に、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(KHネオケム(株)製)3.80kg(23.7mol)と、水酸化カリウム0.29kg(5.2mol)とを仕込み、容器内を窒素置換した。
窒素置換後、容器内温度を150℃まで昇温し、250rpmで撹拌した。液サンプリングラインから1NL/minの窒素によるバブリングを3hr行った。同操作により、主成分が水である留出液を0.09kg抜き出した。このようにすることで、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール由来のカリウムアルコキシドを得た。
その後、容器内温度を155℃まで昇温した後、420rpmで攪拌しながら、容器内をアセチレン置換した。そのままアセチレンを連続的に供給して容器内を0.03MPaG、155℃に保持し、11.5hr反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析の結果、転化率は99%以上であり、選択率は97%であった。このときの反応速度は60g/L・hr、反応工程生産速度は47g/L・hrと計算された。
この反応液を、120℃、窒素圧力0.1MPaGにて、実施例1と同じろ布を用いて加圧ろ過することで、触媒を分離した。ろ液中のカリウム濃度は0.2質量%であった。さらに、理論段数5の桐山蒸留塔を用いて、圧力1.3kPaA、還流比1の条件でろ液の精密蒸留を行い、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル(以下、DEPDVEと称す)3.50kg(16.5mol)を得た。得られたDEPDVEは、純度99%以上、収率70%であった。また、蒸留時に必要なエネルギーはDEPDVE 1kg当たり0.6MJと計算された。結果を表1に示す。
(実施例3:1,12−ドデカンジオールジビニルエーテル(3DVE)の合成)
実施例1と同じ反応容器に、水酸化カリウム0.23kg(4.1mol)と、加温することで予め溶解させておいた1,12−ドデカンジオール(富士フィルムワコーケミカル(株)製)3.96kg(19.6mol)とを仕込み、容器内を窒素置換した。
窒素置換後、容器内温度を135℃まで昇温し、250rpmで撹拌した。容器内圧力を徐々に20kPaAまで減圧し、液サンプリングラインから0.1NL/minの窒素によるバブリングを3hr行った。同操作により、主成分が水である留出液を0.09kg抜き出した。このようにすることで、1,12−ドデカンジオール由来のカリウムアルコキシドを得た。
その後、容器内温度を155℃まで昇温した後、420rpmで攪拌しながら、容器内をアセチレン置換した。そのままアセチレンを連続的に供給して容器内を0.03MPaG、155℃に保持し、17hr反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析の結果、転化率は99%以上であり、選択率は94%であった。このときの反応速度は52g/L・hr、反応工程生産速度は44g/L・hrと計算された。
この反応液を、120℃、窒素圧力0.1MPaGにて、実施例1と同じろ布を用いて加圧ろ過することで、触媒を分離した。ろ液中のカリウム濃度は0.2質量%であった。さらに、0.06kPaA減圧下、ろ液の単蒸留を行い、1,12−ドデカンジオールジビニルエーテル(以下、3DVEと称す)3.34kg(13.1mol)を得た。得られた3DVEは、純度99%以上、融点27℃、収率67%であった。また、蒸留時に必要なエネルギーは3DVE 1kg当たり0.3MJと計算された。結果を表1に示す。
(実施例4:3−メチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル(MPDVE)の合成)
実施例1と同じ反応容器に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(富士フィルムワコーケミカル(株)製)3.40kg(28.8mol)と、水酸化カリウム0.34kg(6.0mol)とを仕込み、容器内を窒素置換した。
窒素置換後、容器内温度を110℃まで昇温し、250rpmで撹拌した。容器内圧力を徐々に5.5kPaAまで減圧し、液サンプリングラインから0.1NL/minの窒素によるバブリングを3hr行った。同操作により、主成分が水である留出液を0.11kg抜き出した。このようにすることで、3−メチル−1,5−ペンタンジオール由来のカリウムアルコキシドを得た。
その後、容器内温度を155℃まで昇温した後、420rpmで攪拌しながら、容器内をアセチレン置換した。そのままアセチレンを連続的に供給して容器内を0.03MPaG、155℃に保持し、10hr反応させた。その後、容器内温度を135℃まで降温し、さらに3.5hr反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析の結果、転化率は99%以上であり、選択率は91%であった。このときの反応速度は62g/L・hr、反応工程生産速度は51g/L・hrと計算された。
この反応液を、120℃、窒素圧力0.1MPaGにて、実施例1と同じろ布を用いて加圧ろ過することで、触媒を分離した。ろ液中のカリウム濃度は0.2質量%であった。さらに、1.3kPaA減圧下、ろ液の単蒸留を行い、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル(以下、MPDVEと称す)3.41kg(20.0mol)を得た。得られたMPDVEは、純度99%以上、収率70%であった。また、蒸留時に必要なエネルギーはMPDVE 1kg当たり0.3MJと計算された。結果を表1に示す。
(実施例5:2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル(BEPDVE)の合成)
実施例1と同じ反応容器に、水酸化カリウム0.32kg(5.7mol)と、加温することで予め溶解させておいた2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(KHネオケム(株)製)2.20kg(13.7mol)と、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(キシダ化学(株)製)2.20kg(9.9mol)とを仕込み、容器内を窒素置換した。
窒素置換後、容器内温度を90℃まで昇温し、250rpmで撹拌した。容器内圧力を徐々に3kPaAまで減圧し、液サンプリングラインから0.1NL/minの窒素によるバブリングを3hr行った。同操作により、主成分が水である留出液を0.10kg抜き出した。このようにすることで、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール由来のカリウムアルコキシドを得た。
その後、容器内温度を110℃まで昇温した後、420rpmで攪拌しながら、容器内をアセチレン置換した。そのままアセチレンを連続的に供給して容器内を0.03MPaG、110℃に保持し、10.5hr反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析の結果、転化率は99%以上であり、選択率は80%であった。
この反応液を、室温下、窒素圧力0.1MPaGにて、実施例1と同じろ布を用いて加圧ろ過することで、触媒を分離した。ろ液中のカリウム濃度は0.1質量%であった。さらに、理論段数15の桐山蒸留塔を用いて、ろ液の精密蒸留を行った。圧力1.3kPaA、還流比20の条件で初留分を分離した後、還流比1で蒸留を行い、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル(以下、BEPDVEと称す)1.95kg(9.1mol)を得た。得られたBEPDVEは、純度99%以上、収率67%であった。また、蒸留時に必要なエネルギーはBEPDVE 1kg当たり2.0MJと計算された。さらに還流比1で蒸留を継続し、仕込み量の7割にあたるテトラエチレングリコールジメチルエーテル1.5kgを回収する場合に必要なエネルギーはBEPDVE 1kg当たり0.4MJと計算された。結果を表1に示す。
(比較例1:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル(DEPDVE)の合成)
実施例1と同じ反応容器に、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール1.00kg(6.3mol)と、水酸化カリウム0.10kg(1.8mol)と、ジメチルスルホキシド4.00kgとを仕込み、容器内を窒素置換した。
容器内を420rpmで攪拌しながら、80℃まで昇温した後、容器内をアセチレン置換した。そのままアセチレンを連続的に供給して容器内圧力を0.03MPaGに保持し、容器内温度80℃で7hr反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析の結果、転化率は99%以上であり、選択率は90%であった。このときの反応速度は32g/L・hr、反応工程生産速度は32g/L・hrと計算された。
この反応液を20Lポリ容器に移し、ヘキサン5.20kgを加えて振とうした後、静置した。静置後、上層を抜き出し、減圧濃縮した。さらに理論段数10の桐山蒸留塔を用いて、濃縮液の精密蒸留を行った。圧力1.3kPaA、還流比10の条件で、DEPDVE0.87kg(4.1mol)を得た。得られたDEPDVEは、純度99%以上、収率65%であった。また、濃縮・蒸留時に必要なエネルギーはDEPDVE 1kg当たり7.6MJと計算された。さらに、抽出下層液から仕込み量の7割にあたる2.8kgのジメチルスルホキシドを単蒸留により回収する場合に必要なエネルギーはDEPDVE 1kg当たり1.8MJと計算された。結果を表1に示す。
(比較例2:2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル(BEPDVE)の合成)
実施例1と同じ反応容器に、加温することで予め溶解させておいた2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール1.00kg(6.3mol)と、水酸化カリウム0.20kg(3.6mol)と、ジメチルスルホキシド4.00kgとを仕込み、容器内を窒素置換した。
容器内を420rpmで攪拌しながら、80℃まで昇温した後、容器内をアセチレン置換した。そのままアセチレンを連続的に供給して容器内圧力を0.03MPaGに保持し、容器内温度80℃で7hr反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析の結果、転化率は99%以上であり、選択率は92%であった。
この反応液を20Lポリ容器に移し、ヘプタン5.34kgを加えて振とうした後、静置した。静置後、上層を抜き出し、減圧濃縮した。さらに理論段数10の桐山蒸留塔を用いて、濃縮液の精密蒸留を行った。圧力1.3kPaA、還流比10の条件で、BEPDVE0.94kg(4.4mol)を得た。得られたBEPDVEは、純度99%以上、収率70%であった。また、濃縮・蒸留時に必要なエネルギーはBEPDVE 1kg当たり6.9MJと計算された。さらに、抽出下層液から仕込み量の7割にあたる2.8kgのジメチルスルホキシドを単蒸留により回収する場合に必要なエネルギーはBEPDVE 1kg当たり1.6MJと計算された。結果を表1に示す。
Figure 2020111031
表中の記号は、それぞれ以下を示す。
ODDVE:1,12−オクタデカンジオールジビニルエーテル
DEPDVE:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル
3DVE:1,12−ドデカンジオールジビニルエーテル
MPDVE:3−メチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル
BEPDVE:2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル
GL4:テトラエチレングリコールジメチルエーテル
DMSO:ジメチルスルホキシド
表1に示すとおり、アルカンジオール(1)とアセチレンを、無溶媒で反応させた場合(実施例1〜4)又はグライム系溶媒の存在下で反応させた場合(実施例5)に、アルキレン骨格を有するジビニルエーテル化合物を、抽出処理を行うことなく低エネルギーで且つ簡便な処理で精製することができた。

Claims (7)

  1. 式(1)で表される化合物とアセチレンとをアルカリ金属触媒を用いて反応させる工程A、及び工程Aで得られた式(2)で表されるジビニルエーテル化合物を抽出せずに精製する工程Bを含む、ジビニルエーテル化合物の製造方法。
    Figure 2020111031
    〔式(1)中、R1は、炭素数4〜20のアルキレン基を示す。〕
    Figure 2020111031
    〔式(2)中、R1は、式(1)中のR1と同義である。〕
  2. 式(1)で表される化合物が、式(3)、(4)又は(5)で表されるものである、請求項1に記載の製造方法。
    Figure 2020111031
    〔式(3)中、R11〜R16のうちいずれか2つはヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基を示し、その他は水素原子を示す。〕
    Figure 2020111031
    〔式(4)中、R31〜R40のうちいずれか1つはメチル基を示し、その他は水素原子を示す。〕
    Figure 2020111031
    〔式(5)中、R41〜R64は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示すが、R41〜R64の組み合わせは、R41〜R64のうちいずれか1つが炭素数1〜8のアルキル基であり、その他は水素原子である組み合わせ、又はR41〜R64がいずれも水素原子である組み合わせである。〕
  3. 式(1)で表される化合物が、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,12−ドデカンジオール及び1,12−オクタデカンジオールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記アルカリ金属触媒が、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属の炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記精製が、ろ過、洗浄、乾燥、遠心分離、蒸留、クロマトグラフィー及び膜分離からなる群から選択される少なくとも1種の処理による精製である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記反応を無溶媒で又はグライム系溶媒の存在下で行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記反応をグライム系溶媒の存在下で行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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