JPWO2020095910A1 - スパンボンド不織布、スパンボンド繊維、および積層不織布 - Google Patents

スパンボンド不織布、スパンボンド繊維、および積層不織布 Download PDF

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Abstract

本発明は、手に良く馴染む触り心地(優れたソフト感)を有するスパンボンド不織布を提供するものである。本発明のスパンボンド不織布は、繊維表層に帯状のポリエチレングリコール(PEG)領域が形成されており、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上である。

Description

本発明は、触り心地に優れ、特に衛生材料用途に好適なスパンボンド不織布、スパンボンド繊維、および積層不織布に関するものである。
一般に紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料に用いられる不織布は、少ない使用回数で廃棄される。このような不織布が広く使用されるためには安価である必要があり、生産性の高さが強く求められてきた。そのため、生産性に優れたウェブの形成方法であるスパンボンド法と、同じく生産性に優れた繊維同士の接着方法であるエンボス法を組み合わせて製造される、スパンボンド不織布が広く用いられている。
一方、衛生材料は乳児などの繊細な肌に直接触れることが多いことから、優れた触り心地を強く要求されている。例えば一般的な織編物を用いた肌着のような触り心地が求められているが、そのような触り心地のスパンボンド不織布は実現できていない。そのため、スパンボンド不織布の触り心地向上のために、種々の検討が行われている。
例えば、特許文献1には脂肪酸アミド化合物を添加したポリオレフィン繊維からなるスパンボンド不織布が提案されている。
日本国特開2001−226865号公報
特許文献1で開示されている技術によると、脂肪酸アミド化合物が滑材として原料ポリマーを柔軟にするため、スパンボンド不織布の剛軟度を小さく(柔軟に)することができる。しかし、本発明者らによるパネルテストの結果、好ましい触り心地とは、単純に剛軟度が低いことを指すわけではなく、手に良く馴染む触り心地も、特に心地良いと感じることが分かってきた。本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、手に良く馴染む触り心地(以下、「優れたソフト感」と呼称する)を有するスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、スパンボンド不織布やスパンボンド繊維が特定の親水性ポリマーを含み、かつ、この親水性ポリマーが繊維表層に多く存在している場合に特に心地良いと感じる触り心地が得られることを見出した。また、これらの物性値を制御することで優れたソフト感が得られるという知見を得た。
本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものである。本発明は、以下の態様を包含する。
本発明のスパンボンド不織布は、繊維表層に帯状のポリエチレングリコール(PEG)領域が形成されており、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記スパンボンド不織布が220℃以上300℃以下で融解する。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記スパンボンド不織布の繊維平均PEG比率が5質量%以上40質量%以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記スパンボンド不織布がポリエチレンテレフタラートとポリエチレングリコール(PEG)を含む。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記スパンボンド不織布に含まれる前記PEGの数平均分子量が4000以上20000以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記スパンボンド不織布の繊維表層の帯状のPEG領域の幅が10nm以上100nm以下である。
また、本発明のスパンボンド繊維は、繊維表層に帯状のポリエチレングリコール(PEG)領域が形成されており、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上である。
本発明のスパンボンド繊維の好ましい態様によれば、前記スパンボンド繊維がポリエチレンテレフタラートとポリエチレングリコール(PEG)を含み、かつ、前記スパンボンド繊維が220℃以上300℃以下で融解する。
さらに、本発明の積層不織布は、表層が前記のスパンボンド不織布であるか、もしくは、前記のスパンボンド繊維から構成される不織布である。
本発明によれば、優れたソフト感を有するスパンボンド不織布、スパンボンド繊維、および積層不織布を得ることができる。特に、本発明のスパンボンド不織布、スパンボンド繊維、および積層不織布は、優れたソフト感を有するという特徴から、高い生産性と触り心地の両立を強く求められる紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料に対し、好適に用いることができる。
図1は、本発明のスパンボンド不織布を構成する繊維、あるいは、本発明のスパンボンド繊維について、繊維表層においてPEGが多く存在する領域(帯状のPEG領域)を例示する斜視図である。
以下、本発明のスパンボンド不織布、スパンボンド繊維および積層不織布について説明する。なお、本明細書において、「質量」は「重量」と同義である。
[スパンボンド不織布、スパンボンド繊維]
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布、あるいは、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維は、熱可塑性樹脂を含んで構成され、繊維表層に帯状のポリエチレングリコール(PEG)領域が形成されており、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上である。以下に、この詳細について説明する。
(熱可塑性樹脂)
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布、あるいは、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維に用いる熱可塑性樹脂は、ポリエチレングリコール(PEG)を含むものである。PEGを含む熱可塑性樹脂の例としては、ポリマーとPEGがブレンドされたブレンドポリマーや、ポリマーとPEGが共重合した共重合ポリマーが挙げられる。ポリマーとPEGがブレンドされたブレンドポリマーは、優れたソフト感をもたらすため好ましい。これは、ブレンドポリマーの場合、PEGドメインがポリマーの中に形成されやすいためと考えられる。また、ポリマーとPEGが共重合した共重合ポリマーは、PEGが均一に分散するため、触感を精密に制御し易く、特に好ましい。
上記ポリマーとしては、「ポリエチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート」等の芳香族ポリエステル系ポリマーおよびその共重合体、「ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体、ポリカプロラクトン」等の脂肪族ポリエステル系ポリマーおよびその共重合体、「ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12」等の脂肪族ポリアミド系ポリマーおよびその共重合体、「ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン」等のポリオレフィン系ポリマーおよびその共重合体、エチレン単位を25モル%から70モル%含有する水不溶性のエチレン−ビニルアルコール共重合体系ポリマー、ポリスチレン系、ポリジエン系、塩素系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系のエラストマー系ポリマー等の中から1種類以上を選択することができる。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布、あるいは、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET)とPEGを含むことが好ましい。このとき、PETとPEGを含む熱可塑性樹脂を、上記スパンボンド繊維やスパンボンド不織布に好ましく用いることができる。PETとPEGを含む熱可塑性樹脂の例としては、PETとPEGがブレンドされたブレンドポリマーや、PETとPEGが共重合した共重合ポリエステルが挙げられる。
また、後述する芯鞘複合繊維を形成する場合等のように、異なる複数の熱可塑性樹脂を組み合わせて繊維や不織布を形成する場合は、使用する熱可塑性樹脂の組み合わせによって、全体としてPETとPEGが含まれる構成であってもよい。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布に用いられるポリエチレングリコールの数平均分子量は、4000以上20000以下であることが好ましい。ポリエチレングリコールの数平均分子量を好ましくは4000以上、より好ましくは5000以上とすることでスパンボンド不織布に優れたソフト感を付与することができ、良好な触感の不織布が得られる。またポリエチレングリコールの数平均分子量を好ましくは20000以下、より好ましくは10000以下とすることで、優れた製糸性を得やすく、欠点の少ないスパンボンド不織布となる。
また、本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布の繊維平均PEG比率が、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。繊維平均PEG比率が好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上とすることにより、優れた柔軟性と触感を有する不織布を得ることができる。また、繊維平均PEG比率が好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下とすることにより、実用に耐え得る耐熱性と高い機械強度を有する繊維を得ることができる。
本発明の実施形態におけるPEGの数平均分子量および繊維平均PEG比率とは、不織布中、あるいは繊維中のPEGを公知の方法で分子量測定および比率測定した値を指す。例えば、ポリエチレンテレフタラートとPEGが共重合した共重合ポリエステルにおける、PEGの数平均分子量および繊維平均PEG比率は、以下の(1)〜(11)に記載する方法によって測定できる。
(1)スパンボンド不織布、あるいはスパンボンド繊維を約0.05g採取する。
(2)(1)の試料に28質量%アンモニア水1.0mLを加える。
(3)(2)を120℃で5時間加熱し、(1)の試料を溶解させる。
(4)放冷後、精製水1.0mL、6mol/L塩酸1.5mLを加える。
(5)さらに精製水で5mLに定容し、遠心分離する。
(6)孔径が0.45μmのフィルターにて濾過する。
(7)ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)にて濾液の分子量分布を測定する。
(8)分子量が既知の標準試料を用いて、分子量の検量線を作成する。
(9)(8)の検量線を用いてPEGの数平均分子量を算出する。
(10)PEG水溶液にて溶液濃度の検量線を作成する。
(11)(10)の検量線を用いてPEGを定量し、試料中のPEGの比率を算出する。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布、あるいは、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維の融解温度は、220℃以上300℃以下であることが好ましい。上記融解温度は、より好ましくは240℃以上280℃以下である。融解温度を好ましくは220℃以上、より好ましくは240℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られやすくなる。また、融解温度を好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制できる。これにより、得られるスパンボンド不織布は欠点の少ないものとなる。
本発明の実施形態におけるスパンボンド不織布、あるいは、スパンボンド繊維の融解温度とは、示差走査熱量計(例えば、TA Instruments社製「DSCQ2000」など)を用い、窒素雰囲気下において、昇温速度16℃/分の条件で測定された吸熱ピークのピークトップ温度のことを指すものとする。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布、あるいは、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維に用いる熱可塑性樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
(繊維)
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布を構成する繊維、あるいは、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維は、単繊維繊維径が5μm以上30μm以下であることが好ましい。単繊維繊維径が30μm以下であることによって、高い均一性と柔軟性が得られる。また、単繊維繊維径が5μm以上であることによって、しっかりとした触り心地が得られる。上記単繊維繊維径は、25μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。また、単繊維繊維径は、7μm以上がより好ましく、9μm以上がさらに好ましい。
なお、本発明の実施形態における単繊維繊維径とは、マイクロスコープで500〜1000倍の表面写真を撮影し、ランダムに選択した計100本の繊維の幅を測定し、算術平均値から単繊維繊維径(μm)を算出した値である。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布を構成する繊維、あるいは、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維は、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上である。繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上であることによって、繊維の機械物性と優れたソフト感を両立し易いためである。繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率の上限は、各種条件によって大きく変動するため特に限定しないが、一般には、10以下であることによって、べたつきの無いタッチが得られる。繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率は、1.20以上が好ましく、1.50以上がより好ましい。
繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率は、芯鞘複合繊維においては、鞘に用いる熱可塑性樹脂にPEGを多く配置することで、大きくすることができる。また、PEGのブレンドの程度を低くすることでドメインサイズを大きくしておくと、紡糸工程でブリードアウトし易く、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が大きくなるため、好ましい。さらに、ブレンドまたは共重合するPEGの分子量を大きくすることでも同様の効果が得られる。
なお、本発明の実施形態における繊維表層PEG比率とは、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析(TOF−SIMS)法によって測定することができる。例えば、ポリエチレンテレフタラートとPEGが共重合した共重合ポリエステルの場合、飛行時間型2次イオン質量分析装置(例えば、アルバック・ファイ株式会社製「PHI(登録商標) nanoTOF II」など)を用い、1次イオンをBi ++とし、PEG由来のイオン種であるC のピーク強度を、ポリエチレンテレフタラートのフタル酸骨格由来のイオン種であるC のピーク強度で除した値に、換算係数(0.32)を掛けた値を指すものとする。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布を構成する繊維、あるいは、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維は、繊維表層に帯状のポリエチレングリコール(PEG)領域が形成されている。具体的には、繊維表層においてPEGが多く存在する領域(PEG領域)が繊維の軸方向に沿って帯状に存在し、その帯状のPEG領域が列のように並べられた縞状に存在している。この態様は、すなわち、図1に例示するように、繊維の軸方向を図中縦方向とすると、繊維1の表層において、帯状のPEG領域2が繊維軸に沿って存在し、かつ、それが横方向(繊維の周方向)に並べられて、縦縞状に存在している状態のことをいう。このような帯状のPEG領域が存在することによって、良好な触感が得られる。
さらに、繊維表層の帯状のPEG領域の幅は、10nm以上100nm以下であることが好ましい。前記の帯状のPEG領域の幅が10nm以上であることによって触感の向上が顕著になる。また、帯状のPEG領域の幅が100nm以下であることによって、スパンボンド不織布と手が適度になじむ。前記の帯状のPEG領域の幅は、PEGのブレンドの程度を調整することや、ブレンドまたは共重合するPEGの分子量、共重合する温度や時間によって制御することができる。
本発明の実施形態における、繊維表層に前記の帯状のPEG領域が形成されていることの確認方法、および、前記の帯状のPEG領域の幅の測定方法は、以下に記載の通りである。
(1)走査型プローブ顕微鏡(例えば、Bruker社製「NanoScopeV Dimension Icon」など)を用い、シリコンカンチレバーを探針とし、走査モードをピークフォースタッピングとして、繊維表面を2μm×2μmの視野で弾性率像を観察する。
(2)1μm以上連続する低弾性率領域(視野領域の平均から20%以上弾性率が低下した領域)があって、かつ、帯状にこの領域が形成されている場合に、「帯状のPEG領域」が形成されているとし、マッピング画像からこの帯状のPEG領域が列のように並べられた縞状に存在しているかどうかを確認する。
(3)前記の帯状のPEG領域の幅をマッピング画像の画像解析等によって測定する。
(スパンボンド不織布)
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布は、単位目付当たりの引張強度が、0.3(N/5cm)/(g/m)以上10.0(N/5cm)/(g/m)以下であることが好ましい。単位目付当たりの引張強度が、0.3(N/5cm)/(g/m)以上であることによって、紙おむつ等を製造する際の工程通過性や製品としての使用に耐え得るものとなる。また、単位目付当たりの引張強度が10.0(N/5cm)/(g/m)以下であることによって、柔軟性を兼ね備えられる。この単位目付当たりの引張強度は、8.0(N/5cm)/(g/m)以下がより好ましく、6.0(N/5cm)/(g/m)以下が更に好ましい。また、単位目付当たりの引張強度は、0.4(N/5cm)/(g/m)以上がより好ましく、0.5(N/5cm)/(g/m)以上が更に好ましい。単位目付当たりの引張強度は、熱可塑性樹脂や添加物の種類等、繊維径、紡糸速度、目付、見掛け密度、および/またはボンディングの方法によって制御することができる。
本発明の実施形態におけるスパンボンド不織布の引張強度は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.3 引張強さ及び伸び率(ISO法)」の「6.3.1 標準時」に準じて実施する、つかみ間隔が少なくとも5cmの引張試験により、直交する2つの方向の、引張強度(サンプルが破断したときの強度)の平均を、目付で除した値である。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布は、少なくとも片面の、KES法(Kawabata Evaluation System)による表面粗さSMDが、1.0μm以上2.8μm以下であることが好ましい。表面粗さSMDが1.0μm以上であることによって、スパンボンド不織布が過度に緻密化して風合いが悪化したり、柔軟性が損なわれたりすることを防ぐことができる。また、表面粗さSMDが2.8μm以下であることによって、表面が滑らかでざらつき感が小さく、肌触りに優れる。このSMDは、1.3μm以上がより好ましく、1.6μm以上が更に好ましい。また、表面粗さSMDは2.6μm以下がより好ましく、2.4μm以下が更に好ましい。表面粗さSMDは、繊維径、見掛け密度、および/またはボンディングの方法によって制御することができる。
本発明の実施形態における表面粗さSMDとは、表面試験機(例えば、KES−FB4、カトーテック株式会社製)により、直交する2つの方向の表面粗さSMDを測定し、以下の式により求めた値のことを指すものとする。
・表面粗さSMD(μm)=(方向1の表面粗さSMD(μm)+方向2の表面粗さSMD(μm))/2
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布のΔMRは、0.5%以上15.0%以下であることが好ましい。本発明者らは鋭意検討の結果、従来は繊維の吸放湿性の指標として用いられるパラメータであるΔMRと、スパンボンド不織布との触感に高い相関があることを見出した。ΔMRを0.5%以上、より好ましくは2.0%以上とすることで、スパンボンド不織布の表面が適度に吸湿した状態となり、表面に触れた時のしっとり感を持つ良好な触感となる。一方、ΔMRを15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは7.0%以下とすることで、べたつきのない触感となる。また、ΔMRを前記範囲とした場合、スパンボンド不織布の高速生産に適した滑り性と柔軟性を有することができ、優れた高次加工性を有するスパンボンド不織布となる。ΔMRは、熱可塑性樹脂の種類や、含有ポリエチレングリコールの数平均分子量、および含有比率によって調整することができる。
本発明の実施形態におけるスパンボンド不織布のΔMR(%)とは、以下の方法で測定、算出される値を指すこととする。
(1)測定試料3gを凍結粉砕し、乾燥温度110℃で24時間、真空乾燥してその絶乾質量(W)を測定する。
(2)上記試料を20℃×65%R.H.の状態に調湿された恒温恒湿機中に24時間放置し、平衡状態となった試料の質量(W20)を測定する。
(3)次いで、恒温恒湿機の設定を30℃×90%R.H.に変更し、更に24時間放置後の質量(W30)測定し、次の式に基づき算出する。
・ΔMR(%)=(W30−W20)/W(%)
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布は、厚みが0.05mm以上1.50mm以下であることが好ましい。厚みが0.05mm以上であることによって適度なクッション性が得られ、1.50mm以下であることによって曲げ柔軟性が得られるためである。この厚みは、0.14mm以下がより好ましく、0.13mm以下が更に好ましい。また、厚みは0.07mm以上がより好ましく、0.09mm以上が更に好ましい。
本発明の実施形態におけるスパンボンド不織布の厚みとは、圧縮試験機(KES−FB3、カトーテック株式会社製)で測定した0.5g/cmの荷重での厚み(T)をいう。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布は、目付が10g/m以上100g/m以下であることが好ましい。目付が10g/m以上であることによって、衛生材料用途に適した厚みや、実用に供し得る機械強度が得やすい。また、目付が100g/m以下であることによって、通気性や柔軟性を得やすい。この目付は、80g/m以下がより好ましく、60g/m以下が更に好ましい。
本発明の実施形態におけるスパンボンド不織布の目付(g/m)とは、JIS L1913:2010の「6.2 単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値から算出する1m当たりの質量を指すこととする。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布は、見掛け密度が0.01g/cm以上0.30g/cm以下であることが好ましい。見掛け密度が0.01g/cm以上であることで実用に供し得る形態安定性が得やすく、かつ、曲げ戻り率を小さくしやすい。また、見掛け密度が0.30g/cm以下であることで、通気性や柔軟性を得やすい。この見掛け密度は0.25g/cm以下がより好ましく、0.20g/cm以下が更に好ましい。また、見掛け密度は0.03g/cm以上がより好ましく、0.05g/cm以上が更に好ましい。
本発明の実施形態におけるスパンボンド不織布の見掛け密度とは、前記の目付を厚みで除した値である。
本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布は、表層を構成するスパンボンド不織布が、ポリエチレンテレフタラートとポリエチレングリコール(PEG)を含み、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上であり、かつ、220℃以上300℃以下で融解する、積層不織布であることも好ましい態様である。
[積層不織布]
本発明の積層不織布は、表層が本発明のスパンボンド不織布であるか、もしくは、本発明のスパンボンド繊維から構成される不織布である、積層不織布である。本発明の実施形態に係る積層不織布は、スパンボンド不織布層(表層)とメルトブロー不織布層(内層)とを積層させてなることが好ましい。このような構成とすることにより、衛生材料用の積層不織布として、特にウエストギャザー用途に要求されるレベルの耐水性を付与することができる。なお、本発明の積層不織布は、表層にスパンボンド不織布層(S)が配され、かつ内層にメルトブロー不織布層(M)が配されていればよく、その層の数や組み合わせについては、SMS、SMMS、SSMMS、およびSMSMSなどのように、目的に応じて任意の構成を採用することができる。
本発明の実施形態に係る積層不織布の目付は、10g/m以上100g/m以下とすることが好ましい。目付を好ましくは10g/m以上、より好ましくは13g/m以上、さらに好ましくは15g/m以上とすることにより、実用に供し得る機械強度の積層不織布を得ることができる。一方、目付を好ましくは100g/m以下、より好ましくは50g/m以下、さらに好ましくは35g/m以下とすることにより、衛生材料用の不織布としての使用に適した適度な柔軟性を有する積層不織布とすることができる。
本発明の実施形態における積層不織布の目付(g/m)とは、JIS L1913:2010の「6.2 単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値から算出する1m当たりの質量を指すこととする。
[スパンボンド繊維、スパンボンド不織布および積層不織布の製造方法]
次に、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維、スパンボンド不織布、および積層不織布を製造する好ましい態様を、具体的に説明する。
スパンボンド不織布を製造するためのスパンボンド法は、原料である熱可塑性樹脂を溶融し、紡糸口金から紡糸した後、冷却固化して得られた糸条に対し、エジェクターで牽引し延伸してスパンボンド繊維を作製し、得られたスパンボンド繊維を、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブ化した後、エンボス法等の接着方法によって熱接着する工程を要する、不織布の製造方法である。
スパンボンド繊維を作製する際に、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上になるよう調整し、さらに、熱可塑性樹脂中に含まれるPEG領域が繊維化によって引き延ばされることで、繊維表層に帯状のPEG領域が形成され、本発明の実施形態に係るスパンボンド繊維が得られる。繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率を大きくする方法としては、例えば、原料である熱可塑性樹脂において、PEGのブレンドの程度を低くしてドメインサイズを大きくしたり、ブレンドまたは共重合するPEGの分子量を大きくしたり、芯鞘複合繊維においては鞘に用いる熱可塑性樹脂にPEGを多く配置したりする等の方法が挙げられる。
また、繊維表層に帯状のPEG領域が形成されたスパンボンド繊維を用いて不織繊維ウェブを作製し、熱接着をすることで、本発明の実施形態に係るスパンボンド不織布を製造することができる。
さらに、表層が本発明のスパンボンド不織布であるか、もしくは、本発明のスパンボンド繊維から構成される不織布であるようにして、不織繊維ウェブを複数積層した状態で熱接着すれば、本発明の実施形態に係る積層不織布を製造することができる。
スパンボンド繊維の作製に用いられる紡糸口金やエジェクターの形状としては、丸形や矩形等種々のものを採用することができる。なかでも、圧縮エアの使用量が比較的少なく、糸条同士の融着や擦過が起こりにくいという観点から、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせを用いることが好ましい態様である。
本発明の実施形態において、原料である熱可塑性樹脂を必要に応じて真空乾燥した後、溶融し紡糸する。紡糸温度は、(原料である熱可塑性樹脂の融点+10℃)以上、(原料である熱可塑性樹脂の融点+100℃)以下とすることが好ましい。紡糸温度を上記範囲内とすることにより、安定した溶融状態が得られ、優れた紡糸安定性を得ることができるためである。
原料である熱可塑性樹脂を、押出機において溶融し計量して、紡糸口金へと供給し、長繊維として紡出する。このとき、原料である熱可塑性樹脂を2成分以上選び、チップブレンドすることや、2成分以上の熱可塑性樹脂を異なる押出機から供給して紡糸時に複合繊維にすることも、好ましい態様である。このとき、原料である熱可塑性樹脂の少なくとも1成分以上はPEGを含む熱可塑性樹脂である。また、原料である熱可塑性樹脂は、PETとPEGを含むことが好ましい。2成分以上の熱可塑性樹脂を使用する場合は、同一成分中にPETとPEGが含まれていてもよいし、異なる成分中にPETとPEGがそれぞれ含まれていてもよい。
次に、紡出された長繊維の糸条を冷却する。紡出された糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度で自然冷却する方法、および紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法等が挙げられる。これらの方法を複数組み合わせる方法を採用することもできる。また、冷却条件は、紡糸口金の単孔あたりの吐出量、紡糸する温度および雰囲気温度等を考慮して適宜調整して採用することができる。
次に、冷却固化された糸条は、エジェクターから噴射される圧縮エアによって牽引され、延伸される。紡糸速度は、2000m/分以上であることが好ましく、より好ましくは3000m/分以上であり、さらに好ましくは4000m/分以上である。紡糸速度を2000m/分以上とすることにより、高い生産性を有することになる。また、繊維の配向結晶化が進み高い強度の長繊維を得ることができる。
本発明の実施形態における紡糸速度とは、前記単繊維繊維径と、原料である熱可塑性樹脂の固形密度から長さ10000m当たりの質量を単繊維繊度として、小数点以下第二位を四捨五入して算出した値である単繊維繊度(dtex)と、各条件で設定した紡糸口金単孔から吐出される樹脂の吐出量(g/分)(以下、単孔吐出量と呼称する)から、次の式で算出した値である。
・紡糸速度(m/分)=(10000×単孔吐出量(g/分))/単繊維繊度(dtex)
続いて、得られた長繊維(スパンボンド繊維)を、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブ化する。本発明の実施形態においては、高い紡糸速度で延伸するため、エジェクターから出た繊維は、高速の気流で制御された状態でネットに捕集される。これにより、繊維の絡みが少なく均一性の高い不織布を得ることができる。このような不織布は、1枚のウェブだけを用いてスパンボンド不織布にすることもできる。また、複数の紡糸設備を工程方向に並べて複数のウェブを重ねることも、生産性を高めることができる点で好ましい態様である。このとき、ウェブごとに原料や工程条件を変えることができる。さらに、上記の不織繊維ウェブにメルトブロー不織布を積層することも好ましい態様の一つである。本発明の実施形態において、これらの積層体もまとめて不織繊維ウェブと呼称する。
続いて、得られた不織繊維ウェブを、熱接着により一体化することにより、本発明の実施形態にかかるスパンボンド不織布、あるいは本発明の実施形態に係る積層不織布を得ることができる。
上記の不織繊維ウェブを熱接着により一体化する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種ロールにより熱接着する方法が挙げられる。
熱接着時のエンボス接着面積率は、5%以上30%以下であることが好ましい。接着面積率を好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上とすることにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。一方、接着面積率を好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下とすることにより、特に衛生材料用のスパンボンド不織布として用いる場合に、十分な柔軟性を得ることができる。
ここでいう接着面積率とは、一対の、凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織繊維ウェブに当接する部分が、不織布全体に占める割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織繊維ウェブに当接する部分が、不織布全体に占める割合のことを言う。
熱エンボスロールに施される彫刻の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形など種々の形状を用いることができる。
熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、5N/cm以上70N/cm以下であることが好ましい。ロールの線圧を好ましくは5N/cm以上、より好ましくは10N/cm以上、さらに好ましくは20N/cm以上とすることにより、十分に熱接着させ不織布として実用に供しうる強度を得ることができる。一方、熱エンボスロールの線圧を好ましくは70N/cm以下、より好ましくは60N/cm以下、さらに好ましくは50N/cm以下とすることにより、特に衛生材料用の不織布として用いる場合に、十分な柔軟性を得ることができる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例の記載のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
(1)繊維表層PEG比率
飛行時間型2次イオン質量分析(TOF−SIMS)に測定装置として、アルバック・ファイ株式会社製「PHI(登録商標) nanoTOF II」を用いた。
(2)ポリエチレングリコールの数平均分子量および繊維平均PEG比率
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)に、以下の検出器を用いた。
・検出器:示差屈折率検出器RI(東ソー株式会社製 RI−8020、感度128x)
・フォトダイオードアレイ検出器(株式会社島津製作所製 SPD−M20A)
・カラム:TSKgelG3000PWXL(1本)(東ソー株式会社製)
測定条件は以下のとおりである。
・溶媒:0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液
・流速:0.8mL/min
・カラム温度:40℃
・注入量:0.05mL
・標準試料:ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド
(3)融解温度
示差走査熱量計として、TA Instruments社製「DSCQ2000」を用いた。
(4)帯状のPEG領域の形成および帯状のPEG領域の幅
走査型プローブ顕微鏡として、Bruker社製「NanoScopeV Dimension Icon」を用いた。
(5)ソフト感(級)
任意に選定した10名がスパンボンド不織布を手で触り、それぞれのスパンボンド不織布に対して、下の基準に従って評価した。各不織布について評価結果の平均点をその不織布のソフト感とした。
・5:非常に快適で、非常に好きなソフト感である
・4:やや快適で、やや好きなソフト感である
・3:不快ではないが快適でもなく、嫌いではないが好きでもないソフト感である
・2:やや不快で、やや嫌いなソフト感である
・1:非常に不快で、非常に嫌いなソフト感である
(実施例1)
ポリエチレンテレフタラート(PET)、および、含有ポリエチレングリコール(PEG)の数平均分子量が5500で、PEGの共重合量が8質量%の、共重合ポリエチレンテレフタラート(「PET−PEG」と表記する)を、それぞれ押出機で溶融した。次に、紡糸温度を290℃とし、芯成分がポリエチレンテレフタラート、鞘成分がPET−PEGである芯鞘複合繊維(芯鞘重量比率は1:1)として、孔径φが0.30mmの矩形口金から、単孔吐出量を0.6g/分として紡出した。紡出した糸条を、冷却固化した後、矩形エジェクターにおいてエジェクターでの圧力を0.10MPaとした圧縮エアによって、牽引・延伸し、移動するネット上に捕集して共重合ポリエステル長繊維からなる不織繊維ウェブを得た。続いて、得られた不織繊維ウェブを上ロール・下ロールで構成される上下一対の熱エンボスロールで熱接着した。このとき、上ロールには、金属製で水玉柄の彫刻が0.5mmの深さでなされた、接着面積率16%のエンボスロールを用いた。また、下ロールには、金属製フラットロールで構成される上下一対の熱エンボスロールを用いた。線圧が50N/cm、熱接着温度は230℃で熱接着し、単繊維繊維径13μm、目付18g/mのスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエチレンテレフタラート(PET)と、数平均分子量が5500のポリエチレングリコールを2軸押出機でブレンドした後、単成分繊維として紡出した以外は、実施例1と同様にしてスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
芯に用いる熱可塑性樹脂と鞘に用いる熱可塑性樹脂を逆にした以外は、実施例1と同様にしてスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
含有ポリエチレングリコールの数平均分子量が1000で、PEGの共重合量が8質量%の、共重合ポリエチレンテレフタラート(「PET−PEG」と表記する)を、単成分繊維として紡出した以外は、実施例1と同様にしてスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
Figure 2020095910
表1に示すとおり、実施例1および2は、官能評価の結果が4.0〜5.0であり、ソフト感に優れる結果であった。
一方、比較例1、2に示すように、スパンボンド不織布の繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比が1.05を下回るものは、官能評価の結果が1.5以下であり、ソフト感に劣ることを示す結果だった。
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2018年11月6日出願の日本特許出願(特願2018−208751)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1 繊維
2 帯状のPEG領域

Claims (9)

  1. 繊維表層に帯状のポリエチレングリコール(PEG)領域が形成されており、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上である、スパンボンド不織布。
  2. 前記スパンボンド不織布が220℃以上300℃以下で融解する、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
  3. 前記スパンボンド不織布の繊維平均PEG比率が5質量%以上40質量%以下である、請求項1または2に記載のスパンボンド不織布。
  4. 前記スパンボンド不織布がポリエチレンテレフタラートとポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
  5. 前記スパンボンド不織布に含まれる前記PEGの数平均分子量が4000以上20000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
  6. 前記スパンボンド不織布の繊維表層の帯状のPEG領域の幅が10nm以上100nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
  7. 繊維表層に帯状のポリエチレングリコール(PEG)領域が形成されており、繊維表層PEG比率/繊維平均PEG比率が1.05以上である、スパンボンド繊維。
  8. 前記スパンボンド繊維が、ポリエチレンテレフタラートとポリエチレングリコール(PEG)を含み、かつ、前記スパンボンド繊維が220℃以上300℃以下で融解する、請求項7に記載のスパンボンド繊維。
  9. 表層が請求項1〜6のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布であるか、もしくは、請求項7または8に記載のスパンボンド繊維から構成される不織布である、積層不織布。
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