JPWO2020095438A1 - 衣料の上半身部 - Google Patents

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Abstract

腕が正面中央側へ回るように肩が前方に出る姿勢を着用者にとらせづらくすることのできる衣料の上半身部を提供する。衣料の上半身部(1)では身頃(2)に左袖(3)と右袖(4)とが繋がっている。身頃のうち後身頃(12)は、左側に左抉り部(18)を有し、右側に右抉り部(19)を有し、かつ前身頃(11)よりも左右方向における引張力が強い。左袖は背面側に、左抉り部に縫合された左縫合部分を有する。左抉り部の上端から、当該上端の真下に位置する左抉り部の点までの間においては、左縫合部分が左抉り部から分離した時に、左縫合部分は左抉り部の対応する縫合箇所に達せず、左抉り部よりも左に位置する。右袖も同様である。

Description

本発明は、衣料の上半身部に関する。
着用者の上半身の少なくとも一部を覆うことができる衣類の上半身部が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−196587号公報
人はスマートフォン等の携帯機器を操作するとき、携帯機器をもつ腕が正面中央側へ回るように、肩が所定の姿勢よりも前方へ出てしまいやすい。「所定の姿勢」とは一般的に知られている正しい姿勢であり、具体的には例えば、平坦面に起立している人を真横から見た場合、首のつけ根、肩、ひじ、くるぶしが略一直線上に位置する姿勢である。この姿勢よりも肩が前方へ出る姿勢、いわゆる巻き肩や猫背は、頻繁にまたは連続して長時間にわたって保持された場合、肩こりまたは姿勢の悪化等の問題をもたらし得る。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、腕が正面中央側へ回るように肩が前方に出る姿勢を着用者にとらせづらくすることができる衣料の上半身部の提供を目的とする。
本発明の1つの観点による衣料の上半身部は、身頃に左袖と右袖とが繋がっている。身頃のうち後身頃は、左側に左抉り部を有し、右側に右抉り部を有し、かつ、これら左抉り部と右抉り部の間は着用時に左右の肩甲骨を左右方向の内方側へ引っ張る引張力を有する。左袖は背面側に、左抉り部に縫合された左縫合部分を有する。右袖は背面側に、右抉り部に縫合された右縫合部分を有する。左抉り部の上端から、その上端の真下に位置する左抉り部の点までの間においては、前記左縫合部分を前記左抉り部から分離させた時に、前記左縫合部分は前記左抉り部の対応する縫合箇所に達せず前記左抉り部よりも左に位置する(但し、前記真下に位置する左抉り部の点は、後身頃に形成した左抉り部の点の場合のほか、左抉り部の上端の左右方向外方への張り出し状況や前身頃と後身頃の縫合位置の状況によって前身頃に形成した左抉り部の点となる場合もある。)。右抉り部の上端から、その上端の真下に位置する右抉り部の点までの間においては、前記右縫合部分を前記右抉り部から分離させた時に、前記右縫合部分は前記右抉り部の対応する縫合箇所に達せず前記右抉り部よりも右に位置する(但し、前記真下に位置する右抉り部の点は、後身頃に形成した右抉り部の点の場合のほか、右抉り部の上端の左右方向外方への張り出し状況や前身頃と後身頃の縫合位置の状況によって前身頃に形成した右抉り部の点となる場合もある。)。 このように構成することで、この衣料の立体形状では両袖の延びる方向が標準的な方向よりも後方へ逸れる。したがって、標準的な体形の人でもこれらの両袖に両腕を通すだけで、後身頃の左抉り部と右抉り部の間に備える強い引張力で両肩が後方へ引かれる。すなわち、後身頃の左抉り部と右抉り部の間に備える引張力で着用者の左右の肩甲骨を内方側へ引き寄せ、着用者の左右の上腕上部と肩とに対して後方への高い負荷をかける。その結果、この衣料は、左右の上腕上部が正面中央側へ回るように左右の肩が前方に出る姿勢を着用者にとらせづらくし、巻き肩や猫背といった姿勢の悪化を着用者に確実に回避させることができる。また、既に巻き肩や猫背になった人に対しても優れた矯正効果を発揮することができる。
なお、身頃から左袖の縫合を解くことで、前記左縫合部分を前記左抉り部から分離させた時に、前記左縫合部分が前記左抉り部の対応する縫合箇所に達せず前記左抉り部よりも左に位置する上側の開始点としては、左抉り部の上端からその真下の10cmの範囲における箇所より開始させるようにしてもよい。また、身頃から右袖の縫合を解くことで、前記右縫合部分を前記右抉り部から分離させた時に、前記右縫合部分が前記右抉り部の対応する縫合箇所に達せず前記右抉り部よりも右に位置する上側の開始点としては、右抉り部の上端からその真下の10cmの範囲における箇所より開始させるようにしてもよい。逆に、前記左縫合部分を前記左抉り部から分離させた時に、前記左縫合部分が前記左抉り部の対応する縫合箇所に達せず前記左抉り部よりも左に位置する下側の終了点としては、左抉り部の最深部から真下に2cm〜5cm又は2cm〜10cmの箇所より終了させるようにしてもよい。また、前記右縫合部分を前記右抉り部から分離させた時に、前記右縫合部分が前記右抉り部の対応する縫合箇所に達せず前記右抉り部よりも右に位置する下側の終了点としては、右抉り部の最深部から真下に2cm〜5cm又は2cm〜10cmの箇所より終了させるようにしてもよい。
さらに、後身頃の左抉り部と右抉り部の間に備える強い引張力は、左右の抉り部の上端から下端(脇)までの領域で必ず存在させる必要があるというものではなく、最深部が左右の抉り部の中間にある場合には最深部から真上に3cm以上でかつ最深部から真下に3cm以上となる領域(範囲)で、最深部が左右の抉り部の上端にある場合にはその上端から真下に6cm以上となる領域(範囲)で、最深部が左右の抉り部の下端にある場合にはその下端から真上に6cm以上となる領域(範囲)で存在させることが好ましい。
左袖のうち少なくとも背面は、左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる高伸長力領域を有してもよい。右袖のうち少なくとも背面は、右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる高伸長力領域を有してもよい。左袖の高伸長力領域は左袖の背面から正面までに亘っていてもよく、右袖の高伸長力領域は右袖の背面から正面までに亘っていてもよい。左袖の正面は、左袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有してもよく、右袖の正面は、右袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有してもよい。これらの構成によれば、着用者に対して後身頃が加える引張力が両袖の背面の伸びによって大きくは減殺されず、着用者の左右の肩甲骨、更には上腕上部および肩を着用者の後方へ、更には背面中央側へと移動させる力がより強く働くことが新たに知見された。
左袖のうち少なくとも背面は、左袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有してもよく、右袖のうち少なくとも背面は、右袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有してもよい。左袖の非伸長領域は左連繋部の背面から正面までに亘ってもよく、右袖の非伸長領域は右連繋部の背面から正面までに亘ってもよい。左袖の正面は、左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上である高伸長力領域を有してもよい。右袖の正面は、右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上である高伸長力領域を有してもよい。いずれの構成でも、着用者の左右の肩甲骨、上腕上部、および肩が後身頃に更に強く引き寄せられ、着用者の後方へ、かつ背面中央側へと移動させられる。こうして、着用者の姿勢に対する矯正効果を更に高めることができる。
身頃の左脇部から左抉り部の最深部までの左右方向における距離が身頃の右脇部から右抉り部の最深部までの左右方向における距離に等しくてもよく、この距離の0.5〜6倍が、左抉り部の最深部から右抉り部の最深部までの左右方向における距離に等しくてもよい。この構成によれば、この衣料の上半身部のうち着用者の肩口を覆う部分が着用者の背面中央側へよれる事態を防止することができる。したがって、この事態に起因して、衣料の上半身部にしわが出たり、この衣料が着用者の運動を邪魔したりすることが回避される。
左袖のうち少なくとも着用者の左脇の下に対向する部分と、右袖のうち少なくとも着用者の右脇の下に対向する部分とは、柔軟性の高い生地を備えていてもよい。この構成によれば、後身頃の引っ張りにより左右の連繋部の背面側が着用者の後方へ、および背面中央側へ移動しても、着用者に脇の下の痛みを感じさせる事態を防止することができる。
後身頃は右抉り部と左抉り部によって前身頃(正面)の左右方向の幅よりも幅小に形成されるため、前身頃と後身頃とが同じ生地で構成されていても、後身頃は着用時に左右方向の内方側へ引っ張る引張力を有する。また、後身頃は前身頃と同じ生地で構成し、その生地の横地を、前身頃では上下方向とし、後身頃では左右方向にしてもよい。さらに、後身頃は、前身頃と同じ生地に樹脂が塗布された部分を含むことにより、左右方向の引張力が前身頃よりも強くてもよい。さらにまた、後身頃は前身頃よりも生地の引張力が強いものを使用してもよいし、後身頃は複数枚の生地を使用して前身頃よりも引張力を強くしてもよい。いずれによっても、後身頃に必要な強さの引張力を容易に生じさせることができる。
本発明によれば、腕が正面中央側へ回るように肩が前方に出る姿勢を着用者にとらせづらくすることができる衣料の上半身部を提供することができる。
本発明の第1実施形態による衣料の上半身部の立体形状の正面図である。 図1の示す立体形状の背面図である。 図1の示す立体形状の平面図である。 図1の示す立体形状の側面図である。 図1の示す衣料の着用状態を模式的に示す平面図である。 本発明の別の実施形態による衣料の上半身部の立体形状の背面図である。 本発明の第2実施形態による衣料の上半身部の立体形状の正面図である。 図7の示す立体形状の背面図である。 図8の一部拡大図である。 図7の示す衣料の一例について、後身頃の左側と左袖との縫合が解かれた状態を示す概略図である。 図7の示す衣料の一例について、後身頃の右側と右袖との縫合が解かれた状態を示す概略図である。 図7の示す衣料の第1変形例について、後身頃の左側と左袖との縫合が解かれた状態を示す概略図である。 図7の示す衣料の第2変形例について、後身頃の左側と左袖との縫合が解かれた状態を示す概略図である。 図7の示す衣料の第3変形例について、後身頃の左側と左袖との縫合が解かれた状態を示す概略図である。 本発明の第3実施形態による衣料の上半身部の立体形状の背面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
《第1実施形態》
図1に、本発明の第1実施形態による衣料の上半身部1の立体形状の正面図を示す。図2にこの立体形状の背面図を示す。図3にこの立体形状の平面図を示す。図4にこの立体形状の側面図を示す。衣料の「立体形状」とは、その衣料のいずれの部分をも伸長させることなく、かつ折り曲げることもなく、膨らませた状態における衣料の3次元的な形状を意味する。立体形状は一般に、標準的な人体の形状に合わせて、その形状を包み込むように設計される。
図1、図2、図3、図4に示されるように、衣料の上半身部1は、人体の上半身を包み込むことの可能な立体形状に構成されている。衣料の上半身部1としては、肌着として着用されるもの(インナーウェア)と、中衣もしくは上着として着用されるもの(アウターウェア)とがある。
衣料の上半身部1は身頃2と左袖3と右袖4とを備えている。身頃2は前身頃11と後身頃12とを有する。前身頃11と後身頃12とは、別体であっても、一体に構成されてもよい。左袖3は身頃2の左側に繋がれ、右袖4は身頃2の右側に繋がれている。左袖3と右袖4とは特に、前身頃11と一体に構成されている。後身頃12は、着用時に左右方向の内方側へ引っ張る引張力を有した後側領域8を含む。後身頃12のうち少なくとも後側領域8は、前身頃11と同じ生地を使用しても前身頃11(つまり正面)に相当する左右方向の幅よりも幅小であるため着用時に前身頃11よりも左右方向の内方側へ強い引張力を有する。その他、少なくとも後側領域8は、引張力の強い生地に変更したり生地を複数枚使用したりすることで、前身頃11よりも引張力を強くすることが可能である。さらに、後身頃12、特に後側領域8は前身頃11と同じ生地で構成し、その生地の横地は、前身頃11では上下方向とし、後身頃12では左右方向として、前身頃11よりも引張力を強くすることが可能である。また、後側領域8は、前身頃11と同じ生地に樹脂を塗布してもよい。この樹脂は弾性の高い種類であり、たとえば、ポリウレタン、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニルを含む。この場合においても、後側領域8は前身頃11よりも左右方向の引張力を強く設定することが可能である。
後側領域8の左側に左袖3が縫合され、右側に右袖4が縫合されている。なお、前身頃11と後身頃12とに対する両袖3、4のこの連繋構造は特に限定されるものではない。左袖3または右袖4は、後身頃12と一体に構成されてもよいし、前身頃11とは別体であってもよい。
身頃2は、衣料の上半身部1の上下方向を軸方向とする筒状体である。身頃2は着用者の体幹上部の形状に応じて伸縮し、その体幹上部を覆う。前身頃11は、着用者の体幹上部の正面に対向する部分であり、その正面のほぼ全体を覆う。後身頃12は、着用者の体幹上部の背面に対向する部分であり、その背面のほぼ全体を覆う。
後身頃12には、左袖3との連繋箇所と右袖4との連繋箇所との間に後側領域8(図2の示す第1ドット領域参照。)が設けられている。後側領域8は特に、身頃2の左脇部13と右脇部14とを左右方向に最短距離で結ぶ直線よりも上方に位置する。後側領域8は上記のとおり、左右方向に伸縮可能であって、左右方向の引張力が前身頃11よりも強い。この引張力が、左袖3と後側領域8との連繋箇所を右方へ引っ張り、かつ右袖4と後側領域8との連繋箇所を左方へ引っ張ることにより、着用者の左右の肩甲骨を背骨へ向けて引き寄せる。後身頃12のうち少なくとも後側領域8では、左右方向において20%伸長時に伸長力が60cN以上である。なお、この伸長力は、好ましくは、左右方向において20%伸長時に80cN以上600cN以下であり、更に好ましくは、100cN以上400cN以下である。
身頃2はまた、襟ぐり16、裾17、左抉り部18、および右抉り部19を含む。襟ぐり16は、身頃2の上端部のうち、左右方向における中央付近に配されている。裾17は襟ぐり16の下方に配されている。左抉り部18は、左袖3の背面側を後側領域8に縫合するための部分であり、後側領域8の左側に配されている。左抉り部81は、後側領域8から左側が抉り取られて形成された境界であり、概ね上下方向へ延びると共に、後身頃12の左右方向の中心縦線83へ向かって(図2では右側へ)凹んだ湾曲形状(凹形状)をしている。右抉り部19は、右袖4の背面側を後側領域8に縫合するための部分であり、後側領域8の右側に配されている。右抉り部19は、後側領域8から右側が抉り取られて形成された境界であり、概ね上下方向へ延びると共に、後身頃12の左右方向の中心縦線83へ向かって(図2では左側へ)凹んだ湾曲形状(凹形状)をしている。
左袖3は、身頃2に連通した筒状体である。この筒状の軸方向のサイズ、すなわち左袖3の長さ(図1では矢印21の方向におけるサイズ)は自由に設定可能である。第1実施形態において左袖3は長袖である。その他に、本発明における左袖は半袖でも七分袖でもよい。図1〜図4に示されるように、左袖3は左連繋部22を含む。左連繋部22は、左袖3のうち、身頃2の左側に繋がる部分であり、特に背面23(図2の示す第2ドット領域参照。)を左袖3の長さ方向の一端部(身頃2側にある上端部)に含む。より正確には、この背面23は、図2が示すとおり、身頃2の左脇部13から左袖3の長さ方向と直交する方向へ延びる左脇基準線(第1仮想線)25に対し、後側領域8の側に位置する左袖3の部分であり、後身頃12の後側領域8と隣り合っている。身頃2が標準的な人体の体幹上部を包んでいる場合、左連繋部22はその人体の左肩の背面から正面までを覆う。
左袖3は左連繋部22の背面23に、後側領域8の左抉り部18に縫合された左縫合部分を有する。左抉り部18に縫合される前、左縫合部分は左抉り部18よりも左方向に位置し、左縫合部分は右方向に引き伸ばされなければ左抉り部18には達しない。具体的には、左抉り部18の上端1Aから、その真下に位置する左抉り部の点1Bまでの間で左縫合部分が左抉り部18から分離されると、左縫合部分は、図2が示す破線1Cを描く。この破線1Cは、全体もしくは左抉り部18の上端1A付近を除きほぼ全体が左抉り部18よりも左に位置する。したがって、左縫合部分は右方向に引き伸ばされなければ左抉り部18には達しない。すなわち、このような寸法設定で左縫合部分が左抉り部18に縫合されている。このように構成されている結果、図3が示すように、衣料の上半身部1の立体形状において左連繋部22の延びる方向は標準的な方向よりも後方へ傾き、左袖3は標準的な人体の左腕よりも後方へ向かって延びる。すなわち、左連繋部22の後方への傾きにより左袖3の立体形状は、標準的な人体の左腕を包むように身頃2から左右方向に延びている仮想的な立体形状(図3の2点鎖線33参照。)よりも第1角度θ1>0だけ後方(左斜め後方)へ延びている。
右袖4は、身頃2に連通した筒状体である。この筒状の軸方向のサイズ、すなわち右袖4の長さ(図1では矢印26の方向におけるサイズ)は自由に設定可能である。第1実施形態において右袖4は長袖である。その他に、本発明における右袖は半袖でも七分袖でもよい。図1〜図4に示されるように、右袖4は右連繋部27を含む。右連繋部27は、右袖4のうち、身頃2の右側に繋がる部分であり、特に背面28(図2の示す第2ドット領域参照。)を右袖4の長さ方向の一端部(身頃2側にある上端部)に含む。より正確には、この背面28は、図2が示すとおり、身頃2の右脇部14から右袖4の長さ方向と直交する方向へ延びる右脇基準線(第2仮想線)29に対し、後側領域8の側に位置する右袖4の部分であり、後身頃12の後側領域8と隣り合っている。身頃2が標準的な人体の体幹上部を包んでいる場合、右連繋部27はその人体の右肩の背面から正面までを覆う。
右袖4は右連繋部27の背面28に、後側領域8の右抉り部19に縫合された右縫合部分を有する。右抉り部19に縫合される前、右縫合部分は右抉り部19よりも右方向に位置し、左方向に引き伸ばされなければ右抉り部19には達しない。具体的には、右抉り部19の上端2Aから、その真下に位置する右抉り部19の点2Bまでの間で右縫合部分が右抉り部19から分離されると、右縫合部分は、図2が示す破線2Cを描く。この破線2Cは、全体もしくは右抉り部19の上端2A付近を除きほぼ全体が右抉り部19よりも右に位置する。したがって、右縫合部分は左方向に引き伸ばされなければ右抉り部19には達しない。すなわち、このような寸法設定で右縫合部分が右抉り部19に縫合されている。このように構成されている結果、図3が示すように、衣料の上半身部1の立体形状において右連繋部27の延びる方向は標準的な方向よりも後方へ傾き、右袖4は標準的な人体の右腕よりも後方へ向かって延びる。すなわち、右連繋部27の後方への傾きにより右袖4の立体形状は、標準的な人体の右腕を包むように身頃2から左右方向に延びている仮想的な立体形状(図3の2点鎖線34参照。)よりも第2角度θ2>0だけ後方(右斜め後方)へ延びている。第2角度θ2は第1角度θ1と等しくても異なってもよい。第1角度θ1および第2角度θ2は、着用者に合わせて適宜設定されればよい。
第1実施形態においては、左袖3のうち少なくとも左連繋部22の背面23は、左袖3の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上600cN以下である強伸長力領域である。さらに、右袖4のうち少なくとも右連繋部27の背面28は、右袖4の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上600cN以下となる強伸長力領域である。強伸長力領域の伸長力は、好ましくは60cN以上500cN以下であり、更に好ましくは、80cN以上400cN以下である。ここでいう「伸長力」とは、幅2.5cm、長さ(生地把持間隔)10cmの生地(素材)を定速伸長形引張試験機により、約20℃(18℃〜22℃)の環境下において、引張り速度30cm/分で所定方向に20%伸長させた時の伸長力を意味する。本件では定速伸長形引張試験機として島津製作所製AGS−Xを採用し、これを用いて測定した伸長力を記載している。
以上のとおり、左連繋部22と右連繋部27とが身頃2から斜め後方へ向かって延びているので、両袖3、4の立体形状は、標準的な人体の両腕よりも後方へ向かっている。これにより、後身頃12の持つ左右方向の強い引張力が着用者の左右の肩甲骨を効果的に引き寄せるので、着用者の左右両方の上腕上部と肩とに対して、後方への高い負荷をかけることが可能となる。したがって、この衣料の上半身部1は、左右の上腕上部が正面中央側へ回るように左右の肩が前方に出る姿勢(図5の2点鎖線35参照。)を、着用者30にとらせづらくすることができる。その結果、巻き肩や猫背といった姿勢の悪化を着用者に確実に回避させることができる。この衣料の上半身部1はまた、既に巻き肩や猫背になった人に対しても優れた矯正効果を発揮することが可能である。
しかも、第1実施形態においては、左袖3の左連繋部22の背面23と右袖4の右連繋部27の背面28とが強伸長力領域であり、特に各袖3、4の長さ方向における20%伸長時に伸長力が45cN以上である。これにより、次のことが新たに知見された。着用者に対して後身頃12の後側領域8が発揮する左右方向の引張力(左連繋部22の背面23を右方へ引っ張り、かつ右連繋部27の背面28を左方へ引っ張る力)が、各連繋部22、27の背面23、28の伸びによって大きくは減殺されずに着用者の左右の肩甲骨を強く引き寄せて、着用者の左右の上腕上部と肩とを着用者の後方へ、かつ背面中央側へと十分に移動させる。
第1実施形態においては左袖3と右袖4とが、襟ぐり16から比較的離れた状態で身頃2の後側領域8の左右に縫合されている。しかし、本発明における左右の袖はこれらには限定されない。例えば図6が示す左袖44と右袖49とのように、襟ぐり16に対して比較的近づいた状態で身頃2の後側領域8の左右に左右の連繋部42、47の背面43、48側が縫合されていてもよい。
《第2実施形態》
図7に、本発明の第2実施形態による衣料の上半身部51の立体形状の正面図を示す。図8に、この立体形状の背面図を示す。図9に、図8の一部拡大図を示す。第2実施形態による衣料の上半身部51では第1実施形態によるもの1とは異なり、身頃2と左右の袖3、4とが完全に別体である。すなわち、図7、図8、図9が示すように、身頃2は左袖ぐりと右袖ぐりとを備え、これらの左右の袖ぐりで左袖3と右袖4とに縫合されている。
身頃2の左袖ぐりは左の連繋端部であり、正面53と背面54とを有する。以下の説明においては、左の連繋端部の正面53を単に左端部正面53といい、背面54を単に左端部背面54という。左端部正面53は前身頃11の上部左側に設けられており、左端部背面54は後身頃12の上部左側(後側領域8の左側)に設けられている。
身頃2の右袖ぐりは右の連繋端部であり、正面56と背面57とを有する。以下の説明においては、右の連繋端部の正面56を単に右端部正面56といい、背面57を単に右端部背面57という。右端部正面56は前身頃11の上部右側に設けられており、右端部背面57は後身頃12の上部右側(後側領域8の右側)に設けられている。
第2実施形態においては、後側領域8が左端部背面54から右端部背面57に亘って延びている。言い換えれば、後側領域8が、後側領域8の左側と左袖3との連繋箇所から後側領域8の右側と右袖4との連繋箇所に亘って延びている。
左袖3の立体形状においては、図7、図8に示されるように、身頃2の左側に繋がる左連繋部60が身頃2に対して後方へ向かって延びている。この左連繋部60が着用者の左肩の背面から正面までを覆う。左袖3は更に正面61と背面62とを有する。第2実施形態においてこれら61、62は別体である。その他に、これらが一体に構成されていてもよい。左袖3が筒状を成すように、左袖3の正面61と背面62とは前後に連続的に並べられている。左袖3の正面61と背面62とは、左袖3の長さ方向の一端部(上端部)で身頃2の左袖ぐりに縫合される一方、左袖3の長さ方向の他端部(下端部)で袖口65を形成している。左袖3の正面61には左連繋部60の正面67が含まれる。左連繋部60の正面67は左袖3の長さ方向の一端部(上端部)の正面側に設けられている。より正確には左連繋部60の正面67は、図7が示すとおり、身頃2の左脇部13から左袖3の長さ方向と直交する方向へ延びる左脇基準線(第1仮想線)25に対して後側領域8の側に位置し、身頃2の左端部正面53(前身頃11の上部左側)と隣り合っている。図8が示すとおり、左袖3の背面62には左連繋部60の背面68が含まれる。左連繋部60の背面68は左袖3の長さ方向の一端部(上端部)の背面側に設けられ、身頃2の左端部背面54(後身頃12の上部左側)と隣り合っている。
身頃2が標準的な人体の体幹上部を包んでいる場合、左連繋部60はその人体の左肩の背面から正面までを覆い、身頃2の左側から後身頃12の左斜め後方へ向かって延びている。これにより、左袖3の立体形状は標準的な人体の左腕よりも後方へ向かって延びている。左連繋部60の正面67は前身頃11に繋がり、左連繋部60の背面68は後身頃12に繋がっている。第2実施形態においては、左連繋部60の背面68が左端部背面54(後側領域8の左側)に縫合されている。左袖3のうち少なくとも左連繋部60の背面68は、左袖3の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上600cN以下である強伸長力領域を有する。この伸長力は、好ましくは60cN以上500cN以下であり、更に好ましくは80cN以上400cN以下である。
右袖4の立体形状においては、図7、図8に示されるように、身頃2の右側に繋がる右連繋部70が身頃2に対して後方へ向かって延びている。この右連繋部70が着用者の右肩の背面から正面までを覆う。右袖4は更に正面71と背面72とを有する。第2実施形態においてこれら71、72は別体である。その他に、これらが一体に構成されていてもよい。右袖4が筒状を成すように、右袖4の正面71と背面72とは前後に連続的に並べられている。右袖4の正面71と背面72とは、右袖4の長さ方向の一端部(上端部)で身頃2の右袖ぐりに縫合される一方、右袖4の長さ方向の他端部(下端部)で袖口75を形成している。右袖4の正面71には右連繋部70の正面77が含まれる。右連繋部70の正面77は右袖4の長さ方向の一端部(上端部)の正面側に設けられている。より正確には右連繋部70の正面77は、図7が示すとおり、身頃2の右脇部14から右袖4の長さ方向と直交する方向へ延びる右脇基準線(第2仮想線)29に対して後側領域8の側に位置し、身頃2の右端部正面56(前身頃11の上部右側)と隣り合っている。図8が示すとおり、右袖4の背面72には右連繋部70の背面78が含まれる。右連繋部70の背面78は右袖4の長さ方向の一端部(上端部)の背面側に設けられ、身頃2の右端部背面57(後身頃12の上部右側)と隣り合っている。
身頃2が標準的な人体の体幹上部を包んでいる場合、右連繋部70はその人体の右肩の背面から正面までを覆い、身頃2の右側から後身頃12の右斜め後方へ向かって延びている。これにより、右袖4の立体形状は標準的な人体の右腕よりも後方へ向かって延びている。右連繋部70の正面77は前身頃11に繋がり、右連繋部70の背面78は後身頃12に繋がっている。第2実施形態においては、右連繋部70の背面78が右端部背面57(後側領域8の右側)に縫合されている。右袖4のうち少なくとも右連繋部70の背面78は、右袖4の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上600cN以下である強伸長力領域を有する。この伸長力は、好ましくは60cN以上500cN以下であり、更に好ましくは80cN以上400cN以下である。
以上のとおり、左連繋部60と右連繋部70とが身頃2から斜め後方へ向かって延びているので、両袖3、4の立体形状は標準的な人体の両腕よりも後方へ向かっている。これにより、第1実施形態と同様に、後身頃12の持つ左右方向の強い引張力が着用者の左右の肩甲骨を効果的に引き寄せるので、着用者の左右の上腕上部と肩とに対して、後方への高い負荷をかけることが可能となる。したがって、この衣料の上半身部51は、左右の上腕上部が正面中央側へ回るように左右の肩が前方に出る姿勢を、着用者にとらせづらくすることができる。その結果、巻き肩や猫背といった姿勢の悪化を着用者に確実に回避させることができる。この衣料の上半身部51はまた、既に巻き肩や猫背になった人に対しても優れた矯正効果を発揮することが可能である。
しかも、第2実施形態においては、左袖3の左連繋部60の背面68と右袖4の右連繋部70の背面78とが強伸長力領域であり、特に各袖3、4の長さ方向における20%伸長時に伸長力が45cN以上である。これにより、着用者に対して後身頃12の後側領域8が発揮する左右方向の引張力(左連繋部60の背面68を右方へ引っ張り、かつ右連繋部70の背面78を左方へ引っ張る力)が、各連繋部60、70の背面68、78の伸びによって大きくは減殺されずに着用者の左右の肩甲骨を強く引き寄せて、着用者の左右の上腕上部と肩とを着用者の後方へ、かつ背面中央側へと十分に移動させる。
左袖3のうち少なくとも左連繋部60の背面68から正面67までに亘る部分(第2実施形態においては、左袖3の上端部から着用者の左脇の下に対向する部分を除いた部分)が強伸長力領域であり、左袖3の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上600cN以下である。この伸長力は、好ましくは60cN以上500cN以下であり、更に好ましくは80cN以上400cN以下である。
右袖4のうち少なくとも右連繋部70の背面78から右連繋部70の正面77までに亘る部分(第2実施形態においては、右袖4の上端部から着用者の右脇の下に対向する部分を除いた部分)が強伸長力領域であり、右袖4の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上600cN以下である。この伸長力は、好ましくは60cN以上500cN以下であり、更に好ましくは80cN以上400cN以下である。
この構成により、着用者に対して後身頃12が発揮する引張力が左右の連繋部60、70の背面68、78の伸びによって大きくは減殺されず、着用者の左右の肩甲骨、更には上腕上部および肩を着用者の後方へ、更には背面中央側へと移動させる力をより強く働かせる。こうして、この衣料の上半身部51は、着用者の姿勢矯正をより効果的に行うことができる。
図10に、後身頃12の後側領域8の左側と左袖3との縫合が解かれた状態の概略図を示す。図10において、後述の高柔軟性の生地191は、説明の便宜上省略されている。衣類の上半身部51において、左袖3は、図10に示す状態を経て後側領域8の左側に近接し、これと縫合される。
図9、図10に示されるように、第2実施形態においては、後身頃12の後側領域8の左側に左抉り部81が設けられている。左抉り部81は左袖3の左連繋部60の背面68と縫合されて、左端部背面54として機能する。左抉り部81は、後身頃12から左縁部の上側が抉り取られて形成された境界であり、概ね上下方向へ延びると共に、後身頃12の左右方向の中心縦線83へ向かって(図9では右側へ)凹んだ湾曲形状(凹形状)をしている。その形状のうち、中心縦線83へ向かって最も凹んだ部分に最深部85を左抉り部81は有する。
図11に、後身頃12の後側領域8の右側と右袖4との縫合が解かれた状態の概略図を示す。図11において、後述の高柔軟性の生地192は、説明の便宜上省略されている。衣類の上半身部51において、右袖4は、図11に示す状態を経て後側領域8の右側に近接し、これと縫合される。
図9、図11に示されるように、第2実施形態においては、後身頃12の後側領域8の右側に右抉り部101が設けられている。右抉り部101は右袖4の右連繋部70の背面78と縫合されて、右端部背面57として機能する。右抉り部101は、後身頃12から右縁部の上側が抉り取られて形成された境界であり、概ね上下方向へ延びると共に、後身頃12の左右方向の中心縦線83へ向かって(図9では左側へ)凹んだ湾曲形状(凹形状)をしている。その形状のうち、中心縦線83へ向かって最も凹んだ部分に最深部105を右抉り部101は有する。
このように、後身頃12の後側領域8の左側には左抉り部81が設けられ、右側には右抉り部101が設けられるので、後側領域8は前身頃11よりも左右方向に短くなる。着用者は後側領域8を少なくとも左右方向に伸ばしながら衣料の上半身部51を着用するので、着用者は後側領域8の引張力をより強く受ける。したがって、着用者の左右の肩甲骨、更には上腕上部と肩とはより強く引き寄せられて、着用者の後方へ、かつ背面中央側へと移動させられる。
図10に示されるように、第2実施形態においては、左袖3は左連繋部60の背面68に、後側領域8の左抉り部81と縫合される左縫合部分132を有する。左抉り部81と左縫合部分132とが縫合される際、左縫合部分132は右方向に引き伸ばされない限り左抉り部81には届かない。具体的には、まず、図10が示すように、左抉り部81の上端136を通る上下方向の第1直線1Lを想定する。第1直線1Lは左抉り部81と更に上端136の真下に位置する点86で交差する。次に、この交差点86と縫合される左縫合部分132の点134から左縫合部分132の上端135までを結ぶ第3直線3Lを想定する。第3直線3Lから左縫合部分132の各点P1までの右方向における距離d1(右方向を正とし、左方向を負とする。)は、その点P1と縫合される左抉り部81の点P2の第1直線1Lからの距離d2よりも短い。したがって、左縫合部分132の上端135が左抉り部81の上端136と合わされ、左縫合部分132の点134が左抉り部81の点86と合わされたとき、左縫合部分132は左抉り部81よりも左に位置する。左縫合部分132が右方向に引き伸ばされることで初めて、左縫合部分132の全体が左抉り部81まで届く。なお、上記の距離d1、d2間の差は、伸ばし縫い等により左抉り部81と左縫合部分132とを適切に縫合できる値であればよい。
図11に示されるように、第2実施形態においては、右袖4は右連繋部70の背面78に、後側領域8の右抉り部101と縫合される右縫合部分152を有する。右抉り部101と右縫合部分152とが縫合される際、右縫合部分152は左方向に引き伸ばされない限り右抉り部101には届かない。具体的には、まず、図11が示すように、右抉り部101の上端156を通る上下方向に平行な第2直線2Lを想定する。第2直線2Lは右抉り部101と更に、上端156の真下に位置する点106で交差する。次に、この交差点106と縫合される右縫合部分152の点154から右縫合部分152の上端155までを結ぶ第4直線4Lを想定する。第4直線4Lから右縫合部分152の各点P3までの左方向における距離d3(左方向を正とし、右方向を負とする。)は、その点P3と縫合される右抉り部101の点P4の第2直線2Lからの距離d4よりも短い。したがって、右縫合部分152の上端155が右抉り部101の上端156と合わされ、右縫合部分152の点154が右抉り部101の点106と合わされたとき、右縫合部分152は右抉り部101よりも右に位置する。右縫合部分152が左方向に引き伸ばされることで初めて右縫合部分152の全体が右抉り部101まで届く。なお、上記の距離d3、d4間の差は、伸ばし縫い等により右抉り部101と右縫合部分152とを適切に縫合できる値であればよい。
このように、身頃2と両袖3、4との縫合が解かれた状態では、左袖3の左縫合部分132が左抉り部81よりも短寸であり、右袖4の右縫合部分152が右抉り部101よりも短寸である。これにより、身頃2と両袖3、4とが縫合されると、左連繋部60の背面68と右連繋部70の背面78とがいずれも後方へ大きく傾く。こうして、両袖3、4の立体形状を標準的な人体の両腕よりも後方へ向かわせることができる。その結果、この衣料の上半身部51は、着用者の左右の肩甲骨、更には上腕上部と肩とを後方へ、かつ背面中央側へ、より積極的に引っ張ることができる。この積極的な引っ張りによって、より優れた矯正効果を発揮することができる。
なお、第2実施形態においては、左袖3の左縫合部分132と後身頃12の左抉り部81との縫合ラインが凸形状である。しかし、本発明における左袖と後身頃との縫合ラインはこの形状に限定されるものではない。左袖と後身頃との縫合が解かれた状態において図10と同様に、左縫合部分が左抉り部に届かない形状であればよい。たとえば、図12が示すように、凹形状の左抉り部81に対し、凹凸を両方含む形状の左縫合部分171が左袖3の背面68に設計されてもよい。図13が示すように、直線形状の左縫合部分172が左袖3の背面68に設計されてもよい。図14が示すように、凹形状の左縫合部分173が左袖3の背面68に設計されてもよい。
本発明における右袖の右連繋部の背面には、本発明における左袖の左連繋部の背面と同様の構成を採用することが可能である。第2実施形態においては、右袖4の右連繋部70の背面78が左袖3の左連繋部60の背面68と、後側領域8に対して左右対称である。
図9が示すように、第2実施形態においては、左抉り部81の最深部85が、上下方向における左抉り部81の中央181よりも下方に配置され、右抉り部101の最深部105が、上下方向における右抉り部101の中央182よりも下方に配置されている。この構成により、衣料の上半身部51のうち着用者の肩口に対向する部分が、着用者の背面中央側へはよれにくい。したがって、衣料の上半身部51は、しわに強く、着用者の運動に対する追従性を高く維持することができる。
第2実施形態においては、図9が示すように、左抉り部81の最深部85の深さv1が右抉り部101の最深部105の深さv2と等しく、これらの深さv1、v2の0.5〜6倍の範囲内に、左抉り部81の最深部85と右抉り部101の最深部105との間における後側領域8の左右方向の長さv3が収まる;v1:v2:v3=1:1:0.5〜6。左抉り部81の最深部85の深さv1は、この最深部85と第3仮想線87との最短距離に相当する。第3仮想線87は、身頃2の左脇部13(左抉り部81の下端部93)から左肩部95へ延びる垂直線であり、左右方向における後身頃12の中心縦線83と平行である。右抉り部101の最深部105の深さv2は、この最深部105と第4仮想線107との最短距離に相当する。第4仮想線107は、身頃2の右脇部14(右抉り部101の下端部113)から右肩部115へ延びる垂直線であり、左右方向における後身頃12の中心縦線83と平行である。左抉り部81の最深部85と右抉り部101の最深部105との間における後側領域8の左右方向の長さv3は、これら最深部85、105の間の最短距離に相当する。
第2実施形態においては、図7、図8、図9に示されるように、左袖3のうち少なくとも着用者の左脇の下に対向する部分に、柔軟性の高い生地191が備えられている。右袖4のうち少なくとも着用者の右脇の下に対向する部分に、柔軟性の高い生地192が備えられている。左袖3の生地191は、左袖3の左連繋部60の機能を損なわないように、左袖3の長さ方向の一端部の下側に設けられている。右袖4の生地192は、右袖4の右連繋部70の機能を損なわないように、右袖4の長さ方向の一端部の下側に設けられている。この構成により、衣類の上半身部51は、後身頃12(後側領域8)の引張力で両袖3、4の連繋部60、70の背面68、78を着用者の後方へ、かつ背面中央側へ移動させても、着用者に脇の下の痛みを感じさせることがない。
第2実施形態においては、両袖3、4のうち、着用者の左右の脇の下に対向する部分のみに高柔軟性の生地191、192が備えられている。しかし、本発明における高柔軟性の生地はこれらに限定されるものではない。例えば、図15が示すような、着用者の左右の脇の下に加え、左右の上腕および前腕の下側に対向する部分に、高柔軟性の生地195、196が備えられてもよい。
本発明における左袖は、第1実施形態および第2実施形態の左袖3に代えて、次の構成のものであってもよい。左袖のうち、少なくとも左連繋部の背面が、長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上(600cN以下)である強伸長力領域を有し、左連繋部の正面が、長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸長率が20%未満である非伸長領域を有する。同様に、本発明における右袖は、第1実施形態および第2実施形態の右袖4に代えて、次の構成のものであってもよい。右袖のうち、少なくとも右連繋部の背面が強伸長力領域を有し、右連繋部の正面が非伸長領域を有する。なお、ここでいう左右の袖には、全く伸びない袖が含まれる。この場合、例えば、各袖の正面と背面とが別体で(すなわち、異なる生地で)構成されてもよい。その他に、各袖の正面と背面とが、強伸長力領域を形成可能に一体に(すなわち、同一の生地で)構成されたうえで、非伸長領域が形成されるように、別の生地等が少なくとも連繋部の正面に設けられてもよい。
本発明における左袖は、第1実施形態または第2実施形態の左袖3に代えて、左袖のうち少なくとも左連繋部の背面が非伸長領域を有するものであってもよい。同様に、本発明における右袖は、第1実施形態または第2実施形態の右袖4に代えて、右袖のうち少なくとも右連繋部の背面が非伸長領域を有するものであってもよい。本発明における左袖は、第1実施形態および第2実施形態の左袖3に代えて、左袖のうち左連繋部の背面から正面までに亘って非伸長領域を有するものであってもよい。同様に、本発明における右袖は、第1実施形態および第2実施形態の右袖4に代えて、右袖のうち右連繋部の背面から正面までに亘って非伸長領域を有するものであってもよい。本発明における左袖は、第1実施形態および第2実施形態の左袖3に代えて、左袖のうち左連繋部の背面が非伸長領域を有し、かつ、左袖のうち少なくとも左連繋部の正面が強伸長力領域を有するものであってもよい。同様に、本発明における右袖は、第1実施形態および第2実施形態の右袖4に代えて、右袖のうち右連繋部の背面が非伸長領域を有し、かつ、右袖のうち少なくとも右連繋部の正面が強伸長力領域を有するものであってもよい。
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態および変形形態をとり得ることは明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
1 衣料の上半身部
2 身頃
3 左袖
4 右袖
12 後身頃
22 左連繋部
23 左連繋部の背面
27 右連繋部
28 右連繋部の背面
51 衣料の上半身部
60 左連繋部
67 左連繋部の正面
68 左連繋部の背面
70 右連繋部
77 左連繋部の正面
78 左連繋部の背面
81 左抉り部
85 左抉り部の最深部
101 右抉り部
105 右抉り部の最深部
132 左縫合部分
152 右縫合部分
181 左抉り部の上下方向の中央
182 右抉り部の上下方向の中央
191 柔軟性の生地
192 柔軟性の生地
195 柔軟性の生地
196 柔軟性の生地
v1 左抉り部における最深部の深さ
v2 右抉り部における最深部の深さ
v3 左抉り部の最深部と右抉り部の最深部との間における後側領域の左右方向の長さ

Claims (14)

  1. 身頃に左袖と右袖とが繋がっている衣料の上半身部であって、
    前記身頃のうち後身頃は、左側に左抉り部を有し、右側に右抉り部を有し、かつ、これら左抉り部と右抉り部の間は着用時に左右の肩甲骨を左右方向の内方側へ引っ張る引張力を有し、
    前記左袖は背面側に、前記左抉り部に縫合された左縫合部分を有し、
    前記右袖は背面側に、前記右抉り部に縫合された右縫合部分を有し、
    前記左抉り部の上端から、当該上端の真下に位置する左抉り部の点までの間においては、前記左縫合部分を前記左抉り部から分離させた時に、前記左縫合部分は前記左抉り部の対応する縫合箇所に達せず前記左抉り部よりも左に位置し、
    前記右抉り部の上端から、当該上端の真下に位置する右抉り部の点までの間においては、前記右縫合部分を前記右抉り部から分離させた時に、前記右縫合部分は前記右抉り部の対応する縫合箇所に達せず前記右抉り部よりも右に位置する、
    ことを特徴とする衣料の上半身部。
  2. 前記左袖のうち少なくとも背面は、前記左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる高伸長力領域を有し、
    前記右袖のうち少なくとも背面は、前記右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる高伸長力領域を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の衣料の上半身部。
  3. 前記左袖の高伸長力領域は前記左袖の背面から正面までに亘っており、
    前記右袖の高伸長力領域は前記右袖の背面から正面までに亘っている
    ことを特徴とする請求項2に記載の衣料の上半身部。
  4. 前記左袖の正面は、前記左袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有し、
    前記右袖の正面は、前記右袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衣料の上半身部。
  5. 前記左袖のうち少なくとも背面は、前記左袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有し、
    前記右袖のうち少なくとも背面は、前記右袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の衣料の上半身部。
  6. 前記左袖の非伸長領域は前記左袖の背面から正面までに亘っており、
    前記右袖の非伸長領域は前記右袖の背面から正面までに亘っている
    ことを特徴とする請求項5に記載の衣料の上半身部。
  7. 前記左袖の正面は、前記左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上である高伸長力領域を有し、
    前記右袖の正面は、前記右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上である高伸長力領域を有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項5に記載の衣料の上半身部。
  8. 前記身頃の左脇部から前記左抉り部の最深部までの左右方向における距離が、前記身頃の右脇部から前記右抉り部の最深部までの左右方向における距離に等しく、この距離の0.5〜6倍が、前記左抉り部の最深部から前記右抉り部の最深部までの左右方向における距離に等しいことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  9. 前記左袖のうち少なくとも着用者の左脇の下に対向する部分と、前記右袖のうち少なくとも着用者の右脇の下に対向する部分とは、柔軟性の高い生地を備えていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  10. 前記前身頃と前記後身頃とは同じ生地で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  11. 前記前身頃と前記後身頃とは同じ生地で構成されており、この生地の横地は、前記前身頃では上下方向であり、前記後身頃では左右方向であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  12. 前記後身頃は、前記前身頃と同じ生地に樹脂が塗布された部分を含むことにより、左右方向の引張力が前記前身頃よりも強いことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  13. 前記後身頃は前記前身頃よりも生地の引張力が強いことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  14. 前記後身頃は複数枚の生地を使用して前記前身頃よりも引張力が強いことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
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