JPWO2020075762A1 - (メタ)アクリル酸の精製方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸の精製方法 Download PDF

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Abstract

(メタ)アクリル酸粗結晶と、母液と、を含むスラリーをチャンバー内で固液分離する方法において、前記チャンバー内に気体を供給しながら、前記チャンバー内に配置されたフィルターを介して、前記スラリーから前記母液を分離する固液分離方法により、母液量、特に溶媒としてのメタノールが低減された粗結晶を得ることができ、母液と共に不純物の低減された粗結晶から精製することで、不純物の少ない精製(メタ)アクリル酸を得ることができる。

Description

本発明は、(メタ)アクリル酸の精製方法に関する。詳しくは(メタ)アクリル酸粗結晶を、精製塔内で精製する(メタ)アクリル酸の精製方法に関する。
直接酸化法などにより得られる(メタ)アクリル酸(「アクリル酸又はメタクリル酸」を示す、以下同様)中には、不純物として(メタ)アクリル酸以外のカルボン酸類やアルデヒド類が含まれる。これら不純物を含む粗(メタ)アクリル酸を精製する方法の一つとして晶析法が知られている。例えば、図3は、(メタ)アクリル酸製造のフローシートを示す。S1は上記のように直接酸化法やACH法により粗(メタ)アクリル酸を製造する工程である。次に、粗(メタ)アクリル酸とメタノール等の溶媒との混合液を晶析槽で冷却することで、(メタ)アクリル酸の結晶を析出させることにより、(メタ)アクリル酸結晶を含むスラリーを得る晶析工程S2を行う。なお、溶媒は、晶析における操作性を向上するために使用される。その後、該スラリーをろ過し、(メタ)アクリル酸結晶および結晶表面付着母液(以降(メタ)アクリル酸粗結晶と定義する)と母液を固液分離する(固液分離工程S3)。さらに精製塔において精製する(精製工程S4)ことにより、純度の高い(メタ)アクリル酸結晶を得ることができる。
精製塔での精製には、精製した結晶を融解した還流液、もしくは精製した結晶を一旦外部に取り出して外部で加熱融解した還流液と、精製前の原料粗結晶とを向流接触させて精製する方法が知られている。本出願人は、精製効率を向上する方法として、特許文献1及び2に記載の方法を提案している。
特許文献1では、精製塔内に導入する(メタ)アクリル酸粗結晶の(メタ)アクリル酸量および母液保持率を調整することで、精製効率を向上する方法を提案している。特許文献2では、精製塔内に導入する(メタ)アクリル酸粗結晶を加熱して、(メタ)アクリル酸粗結晶に同伴される母液量を低減することにより、さらなる精製効率の向上を図ることを提案している。
特開2011−256138号公報 特開2015−40205号公報
純度の高い(メタ)アクリル酸を生産性高く得ようとすると、不純物だけでなく充分に溶媒を除去しておく必要がある。しかしながら、本発明者等の検討によると、特許文献1及び2に記載の方法の場合、上述の固液分離工程S3において、充分に母液を除去することができず、上述の精製工程S4において純度の高い(メタ)アクリル酸結晶を生産性高く得ることが困難な場合があることが判明した。特に、冬場等、外気温が低くなるとスラリーの母液に含まれる(メタ)アクリル酸が凍結してしまい、その結果、母液中に含まれるメタノール等の溶媒が効率良く除去できずに、純度の高い(メタ)アクリル酸を生産性高く得ることが困難になる場合がある。
本発明では前記課題に鑑み、(メタ)アクリル酸粗結晶中の母液量を低減する固液分離工程を改善し、母液、特に溶媒であるメタノールの残存率の低い(メタ)アクリル酸結晶の固液分離方法を提供することを目的とする。又、本発明は、該固液分離法を含む(メタ)アクリル酸の精製方法を提供することを目的とする。
上記実情に鑑み鋭意検討の結果、本発明者らは、(メタ)アクリル酸粗結晶と溶媒とを含むスラリーを固液分離する方法において、該スラリーを固液分離するチャンバー内に気体を供給し、溶媒の蒸発を促すことにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を達成するに至った。すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
[1] (メタ)アクリル酸粗結晶と、母液と、を含むスラリーをチャンバー内で固液分離する方法において、前記チャンバー内に気体を供給しながら、前記チャンバー内に配置されたフィルターを介して、前記スラリーから前記母液を分離する固液分離方法。
[2] 前記チャンバー内に供給する気体の温度が前記スラリーの温度よりも高い、[1]に記載の固液分離方法。
[3] 前記チャンバー内に供給する気体の温度が、10℃以上65℃以下である[1]または[2]に記載の固液分離方法。
[4] 前記気体が空気である、[1]又は〜[3]のいずれかに記載の固液分離方法。
[5] 前記母液がメタノールを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の固液分離方法。
[6] 前記スラリー中のメタノール濃度が1質量%以上5質量%以下である[5]に記載の固液分離方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の固液分離方法により(メタ)アクリル酸の粗結晶を得る工程を含む、(メタ)アクリル酸の精製方法。
[8] [7]に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法を含む、精製(メタ)アクリル酸の製造方法。
本発明によれば、純度の高い(メタ)アクリル酸を生産性高く得ることができる。
ベルトフィルターを用いた固液分離装置の一例を示した概略側面図(A)と概略上面図(B)である。 精製塔における(メタ)アクリル酸粗結晶の精製の一例を示した模式図である。 (メタ)アクリル酸製造のフローシートである。 実施例で使用した実験装置の概略図である。
本発明は、(メタ)アクリル酸の粗結晶と母液とを含むスラリーをチャンバー内で固液分離する方法において、前記チャンバー内に気体を供給しながら、前記チャンバー内に配置されたフィルターを介して、前記スラリーから前記母液を分離する。
以下に、本発明を実施形態により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(スラリー)
本発明において、スラリーは、例えば、直接酸化法等により得られた粗(メタ)アクリル酸を溶媒と混合した後、該混合液を晶析槽において冷却し晶析させることにより得ることができる。このようにして形成されたスラリーは、少なくとも、(メタ)アクリル酸粗結晶と、溶媒と、を含有する。より詳細には、結晶化していない(メタ)アクリル酸と、溶媒と、粗(メタ)アクリル酸の製造由来の不純物と、を含有する母液と、(メタ)アクリル酸粗結晶とを含有する。
なお、粗(メタ)アクリル酸の製造方法は、直接酸化法に限定されず、例えば、公知のACH法等のように他の方法により製造することもできる。
不純物としては、特段の制限はないが、上述の通り、通常、粗(メタ)アクリル酸の製造由来の不純物が挙げられ、例えば、フェノール、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、シトラコン酸、安息香酸、トルイル酸、テレフタル酸等のカルボン酸類や、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、メタクロレイン、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類が挙げられる。
溶媒は、主に、晶析における操作性を向上させるために、粗(メタ)アクリル酸と混合されるものである。溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチル等を用いることができる。この中でも、(メタ)アクリル酸粗結晶との分離性の観点からメタノールを用いることが好ましい。
スラリーの組成比は特段の制限はないが、スラリー全量に対する(メタ)アクリル酸量、すなわち、スラリー全量に対する(メタ)アクリル酸粗結晶量と結晶化していない(メタ)アクリル酸量の和は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、一方、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがさらに好ましく、97質量%以下であることが特に好ましい。
スラリー全量に対する溶媒量は、特段の制限はないが、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、3質量%以上であることが特に好ましく、一方、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
スラリー全量に対する不純物量は、特段の制限はないが、0.1質量%以上の際に本発明はより有効であり、0.3質量%以上の際に特に有効である。なお、上限は特にない。
一方、スラリーを固形分((メタ)アクリル酸粗結晶)と液分(母液)の割合で考えた場合、スラリー全量に対する(メタ)アクリル酸粗結晶の割合は、特段の制限はないが、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましく、一方、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
スラリー全量に対する母液の割合は、特段の制限はないが、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましく、一方、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。
なお、上述のスラリーの組成に関する記載は、固液分離の対象とするスラリー、すなわち、固液分離装置に投入する前のスラリー組成を意味するものとする。
前記晶析操作により得られる(メタ)アクリル酸粗結晶を含むスラリー(以下、単に「スラリー」という)を晶析槽から抜き出した後、図1に示すようにチャンバー内で該スラリー1をベルトフィルター2により、ろ過しながら精製塔に搬送する。スラリーをろ過することで、母液が除去され、(メタ)アクリル酸粗結晶が堆積されて層状の(メタ)アクリル酸粗結晶が形成される。なお、母液には、上述の通り、主に、結晶化していない(メタ)アクリル酸と、溶媒と、不純物が含まれているために、母液を除去することにより不純物及び溶媒を多く除去することができる。
図1の固液分離装置10は、ベルトフィルター3が配されたチャンバー4を有し、チャンバー4のベルトフィルター3の一端部の上方にスラリー投入口5が設けられている。スラリー投入口5を介して、チャンバー4内に(メタ)アクリル酸粗結晶と母液とを含むスラリー1を導入し、ベルトフィルター3によりスラリーを搬送しながら母液を除去する。これにより、スラリー1がベルトフィルター3の他方の端部に到達するときには、所望の母液含有率(含液率)の(メタ)アクリル酸粗結晶2を得ることができる。なお、ベルトフィルター3で固液分離された母液は、チャンバー下部の排出口8から回収し、晶析槽(不図示)に戻して再利用することができる。
チャンバー4には、チャンバー内に気体を供給するための手段が設けられており、例えば、図1に示すように、配管A及びBを介して所定温度に設定された気体(ガスという)を導入できる構成を有している。配管Aはチャンバー上方のほぼ中央部分の供給口6からガスを供給することができ、チャンバー内の気体を流動させることができる。また、配管Bは、ベルトフィルター3の支持部に連結されており、スラリー1の下方からガスを供給できるように配されている。本実施形態においては、これらの配管を介して、チャンバー外部からチャンバー内に気体を供給することで、チャンバー内の気体が流動する。
一般的に、ベルトフィルターを用いてスラリーの固液分離を行うと、スラリー上部は(メタ)アクリル酸粗結晶の割合が多くなる一方で、スラリー下部、すなわち、ベルトフィルターの表面付近では、不純物を多く含む母液の存在割合が多くなる傾向がある。ここで、従来の方法の場合、効率良く母液を除去することができず、上述の精製工程S4において純度の高い(メタ)アクリル酸結晶を生産性高く得ることが困難な場合があることが判明した。特に、冬場等、外気温が低くなるとスラリーの母液に含まれる(メタ)アクリル酸が凍結してしまい、その結果、母液中に含まれるメタノール等の溶媒が効率良く除去できずに、純度の高い(メタ)アクリル酸を生産性高く得ることが困難になる場合がある。そこで、母液が凍結するのを回避する、又は凍結した母液を溶融するために、特許文献2のように、ベルトフィルターのみの加熱により、凍結した母液が存在するスラリー下部だけを加熱することも検討したが、この場合、凍結した母液を効率良く溶融できて、母液を分離することが可能となるため、スラリー中の不純物は低減されるものの、加熱能力の高い温水配管によってスラリー中の(メタ)アクリル酸結晶が直接加熱されるため、結晶融解によるロスが大きく、さらには、母液中の溶媒を効率良く除去することが困難であることが判明した。
これに対して、本実施形態では、固液分離時にチャンバー外部から気体をチャンバー内部に供給しており、ベント9を介して、気体の入れ替えが行われることになる。その結果、チャンバー内の雰囲気が溶媒の飽和状態になるのを防ぐことができるために、効率良くスラリー中の溶媒の気化を促すことができる。そのため、(メタ)アクリル酸結晶を大きくロスすることなく、純度の高い(メタ)アクリル酸を効率良く得ることができる。
また、チャンバー内へ供給する際の気体の温度は、固液分離装置に投入されるスラリーの温度以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることがさらに好ましく、30℃以上であることが特に好ましく、40℃以上であることが最も好ましい。供給する気体の温度を上記範囲内とすることにより、チャンバー内雰囲気温度を上げることができるためにメタノールの蒸発をさらに促進するとともに、スラリー中の母液が凍結するのを防ぐ、又は凍結した母液を溶融することができるために、固液分離において溶媒を効率良く除去することができる。また、温水配管等によりフィルター上のスラリーを直接加熱した場合と比較しても、同じ持ち込み熱量で考えた場合、(メタ)アクリル酸結晶が融解する量を抑えることができるために、生産性高く純度の高い(メタ)アクリル酸結晶を得ることができる。一方、気体の温度が高すぎても、結晶融解量の大幅な損失を防ぐために、供給する気体の温度は、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、65℃以下が特に好ましい。
チャンバー内に供給した気体は、さらにチャンバー内を流動させてもよい。具体的には、ベルトフィルター3の上流側にファンなどの送風装置を設けて、チャンバー内の気体を流動させてもよい。なお、(メタ)アクリル酸結晶が大幅に溶融しない範囲で、チャンバーの内部又は外部に加熱手段を設けて、スラリーを加熱してもよい。
チャンバー外部からチャンバー内部へ供給する気体は、特段の制限はないが、反応性の低い気体であることが好ましく、空気又は不活性ガスであることが好ましく、なかでも空気であることが特に好ましい。なお、不活性ガスとしては特段の制限はないが、好ましくは窒素が挙げられる。
図1に示す装置の場合、配管Aは一つのガス供給口から、配管Bは4つの気体供給口から気体が供給されることから、配管Bでは配管Aの4倍の供給量となる。なお、気体供給口6の配置は図1の例に限定されず、種々変更することが可能である。また、気体供給口の数も特に制限はない。すなわち、一つの気体供給口から気体を供給してもよいし、複数の気体供給口から気体を供給してもよい。なお、少なくとも一つの気体供給口からチャンバー内に気体を供給すれば、チャンバー全体の気体が流動し、スラリー全体が加熱されるために、本発明の効果は得られるが、なかでも、スラリー上部の気体を積極的に流動させて、スラリー上部をより加熱しやすくするという観点からは、ベルトフィルターよりも高い位置からチャンバー内に気体を供給することが好ましく、なかでも、チャンバー上部から気体を供給することが好ましい。一方、母液量の多いスラリー下部を加熱しやすくするために、スラリーよりも低い位置からガスを供給することも好ましく、これらを合わせて行うことが特に好ましい。
また、チャンバー容積当たりの1時間当たりの気体の供給量は特段の制限はないが、メタノール等の溶媒の気化を促進するために、チャンバー内容積に対して、100容積%/h以上であることが好ましく、200容積%/h以上であることがより好ましい。一方、チャンバーからベント9を介して放出される気体を処理する設備の経済性の観点から、10000容積%/h以下であることが好ましく、8000容積%/h以下であることがより好ましく、1000容積%以下であることがさらに好ましく、800容積%以下であることが特に好ましい。
スラリー中の(メタ)アクリル酸粗結晶量に対する気体の供給量は、特段の制限はないが、メタノール等の溶媒の気化を促進するために、1Nm/(m・h)以上であることが好ましく、10Nm/(m・h)以上であることがさらに好ましい。一方、(メタ)アクリル酸結晶の溶融を防ぐために、500Nm/(m・h)以下であることが好ましく、350Nm/(m・h)以下であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸粗結晶量とは、図1に示す固液分離装置の場合、ベルトフィルター上に存在する全ての(メタ)アクリル酸結晶量を意味している。
チャンバー容積に対する持ち込み熱量は、特段の制限はないが、メタノール等の溶媒の気化を促進するために、0.005kW/m以上であることが好ましく、0.01kW/m以上であることがさらに好ましい。一方、(メタ)アクリル酸結晶の溶融を防ぐために、5.0kW/m以下であることが好ましく、3.0kW/以下であることがさらに好ましく、1.0kW/以下であることが特に好ましい。
スラリー中の(メタ)アクリル酸粗結晶量に対する持ち込み熱量は、特段の制限はないが、メタノール等の溶媒の気化を促進するために、0.005kW/m以上であることが好ましく、0.01kW/m以上であることがさらに好ましい。一方、(メタ)アクリル酸結晶の溶融を防ぐために、100kW/m以下であることが好ましく、50kW/m以下であることがさらに好ましい。
また、チャンバー内の圧力は特段の制限はないが、装置の複雑化を避けるために、大気圧であることが好ましい。
固液分離装置内の気体は、ベント9により排出されるが、ベント9はチャンバー内の雰囲気を吸引する設備を有していてもよい。具体的には、ブロワ―を設けてもよい。
また、複数のガス供給口からガスを供給する場合、各ガス供給口から供給されるガスの温度は同じであってもよいし異なっていてもよい。なお、本発明において、複数のガス供給口からガスを供給する場合、チャンバー内に供給する際のガスの温度は、各ガス供給口から供給される各ガスの温度及び供給量を考慮したガスの平均温度を意味するものとする。また、固液分離中は、ベント9から気体を抜いてチャンバー内圧力を一定にすることが好ましい。
チャンバー内の雰囲気温度は固液分離が効率良く行える限りにおいて、特段の制限はないが、効率良く母液を融解するために10℃以上であることが好ましく、一方、(メタ)アクリル酸の融解を抑えるために40℃以下であることが好ましい。なお、雰囲気温度は、ガスの温度、ガス供給量等を制御することにより調整することができる。なお、本発明において、チャンバー内の雰囲気温度とは、ベルトフィルター上方のチャンバー内上部の温度を意味するものとする。
チャンバー外の温度(外気温度)は、特段の制限はないが、本発明は特に母液が凍結しやすい温度の場合に有効であるため、チャンバー外の温度が15℃以下の特に本発明はより有効であり、10℃以下である場合に特に有効である。
チャンバーの容積は特段の制限はないが、図1に示すようなベルトフィルターを用いた連続式の固液分離装置10の場合、2m以上であることが好ましく、3m以上であることがより好ましく、4m以上であることがさらに好ましく、5m以上であることが特に好ましく、一方、8m以下であることが好ましく、7m以下であることが特に好ましい。
固液分離装置10に投入する際のスラリー温度は、特段の制限はないが、晶析工程S2の運転安定性の観点から、−2℃以上12℃以下であることが好ましく、なかでも、3℃以上であることがさらに好ましく、10℃以下であることがさらに好ましい。
固液分離装置10に晶析槽から投入されるスラリー量としては、固液分離装置の大きさにも依存するが、80kg/h以上、5000kg/h以下の範囲が好ましく、なかでも、1000kg/h以上であることがより好ましく、一方、4000kg/h以下であることがより好ましい。この範囲であれば、生産性を確保しつつ、精製塔での安定運転を確保することができる。スラリー中の固形分の濃度(スラリー濃度)は、溶媒にメタノールを使用する場合、25〜50質量%であることが晶析槽の安定運転の点で好ましい。
ベルトフィルター3上でのスラリーの高さは10〜200cmが好ましく、40〜100cmがより好ましい。粗結晶中には毛細管力により一定量母液量が残るため、スラリー高さがこの範囲であれば、母液含液率が高くなりすぎることがなく、母液分離の時間も適性となる。
ベルトフィルターとしては、公知のベルトフィルターが使用できる。ベルトの幅は生産性(上記スラリーの供給量と高さの範囲との関係)と装置コストの観点から最適な幅を選択すればよいが、10〜200cmが好ましく、50〜150cmがより好ましくは、75〜125cmがさらに好ましい。また、ベルトの敷設長さは、母液の分離性と装置コストの観点から最適な長さを選択すればよいが、1〜10mが好ましく、4〜8mがより好ましい。なお、「ベルトの敷設長さ」とは、ベルトを張架している張架ローラ間の長さであり、スラリーと接しているベルトの長さとほぼ同じである。
ベルトフィルターとしては、固液分離するスラリーに影響されることがなく、また、スラリーに不純物を付着させない観点から、ステンレス鋼が好ましく、耐食性と経済性の観点からはSUS316がより好ましい。また、ベルトフィルターは固液分離のため、メッシュ構造などの多数の孔が設けられている。スラリー中の結晶の落下防止の観点から、メッシュサイズ(網目サイズ)は1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましい。一方、固液分離を効率的に行うため、孔径は0.6mm以上が好ましく、0.9mm以上がより好ましい。
固液分離時のベルト速度としては、ベルトの幅や敷設長さ、スラリーの供給量や高さなどにもよるが、2〜8m/hであることが、生産性と固液分離性能の点で好ましい。
このようにして固液分離され、母液量が低減された(メタ)アクリル酸粗結晶2は、さらに高純度化工程を行うことが好ましい。高純度化工程は、特段の制限はなく、公知の方法を使用することができる。なかでも、図2に示す精製塔20にて、精製した結晶を融解した還流液、もしくは精製した結晶を一旦外部に取り出して外部で加熱融解した還流液21と向流接触させる工程が好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸を精製することができる。精製塔20への(メタ)アクリル酸粗結晶2の供給量は、精製塔20の種類及び精製塔缶体24の外径、高さ等によって適宜設定すればよい。精製塔缶体24内部には攪拌装置25が配置されて、粗結晶の上昇と環流液の下降を制御している。精製塔20に供給する際の(メタ)アクリル酸粗結晶2の温度は5〜6℃であることが好ましい。また、精製塔20からの濃縮された不純物を含む母液23の排出量は(メタ)アクリル酸粗結晶2の供給量、製品22の留出量により適宜調節すればよい。
精製塔20の塔頂への外部還流液21の供給量(REF)は、洗浄作用の効果により製品22の品質を維持していく点から最低量REFmin以上に設定する必要がある。洗浄効果を充分に発揮させることのできるREFminは、すでに本発明者らにより(メタ)アクリル酸粗結晶2の含液量と等量であることが見出されている。すなわち、REFminは、下記式(1)により算出することができる。
REFmin=((メタ)アクリル酸粗結晶2の供給量)×qm/(100-qm) (1)
(式(1)中、qmは(メタ)アクリル酸粗結晶2の含液率である)。
また、外部還流液21の供給量が多すぎると製品22の生産性が低くなる。そのため、REFは、REFminの1.0〜1.1倍にすることが好ましい。
外部還流液21の温度は、35〜40℃であることが好ましい。外部還流液21の温度を35℃以上とすれば、発汗作用を充分に発揮させやすい。また、外部還流液21の温度を40℃以下とすれば、精製効率が低下し製品22の品質が劣化することを抑制しやすい。外部還流液21の温度は外部加熱器27に供給する加熱量により調節することができる。精製塔留出分26の温度は外部還流液21の温度と同じ温度である。
尚、本発明に係る精製方法は、図2に例示した精製塔20を用いる方法には限定されない。例えば、(メタ)アクリル酸粗結晶2を塔頂側から供給し、外部還流液を塔底側から供給し、不純物を含む母液を塔頂側から排出する精製塔を用いる方法であっても、図2に示す精製塔20を用いる方法と同様に高い精製効率で精製を行うことができる。
以上の精製工程により、精製(メタ)アクリル酸を製造することができる。
このように,本発明の一態様によれば、(メタ)アクリル酸粗結晶と、母液と、を含むスラリーをチャンバー内で固液分離する方法において、前記チャンバー内に気体を供給しながら、前記チャンバー内に配置されたフィルターを介して、前記スラリーから前記母液を分離する固液分離方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上記固液分離方法により(メタ)アクリル酸の粗結晶を得る工程を含む、(メタ)アクリル酸の精製方法が提供される。
加えて、本発明のさらに他の態様によれば、上記(メタ)アクリル酸の精製方法を含む、精製(メタ)アクリル酸の製造方法が提供される。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、メタクリル酸(MAA)結晶の残存率は下記式により求めた。
融解率(%)=(固液分離操作により融解した結晶量/粗結晶量)×100
結晶の残存率(%)=100(%)−融解率(%)
<実施例1>
図1に示す固液分離装置を用意した。なお、図1に示す固液分離装置の概要は下記の通りである。
ベルトフィルターの幅:600mm
ベルトフィルターの敷設長さ:4m
ベルトフィルターの材質:SUS316(螺旋メッシュタイプ、孔径:約1mm)
チャンバー容積:約4m
この固液分離装置に投入されるメタクリル酸(MAA)結晶と溶媒(メタノール)を含むスラリーが、スラリー流量:2200kg/h、スラリー濃度:44.3質量%、スラリー温度:5℃となるように晶析槽側の運転条件を整えて、図1に示される固液分離装置で得られる粗結晶量が950kg/h(理論値)となる連続運転を行った。さらに、固液分離装置内に配管Aから60℃の空気を3Nm/h、配管Bから60℃の空気を12Nm/hで供給しながらMAA粗結晶を4m/hで搬送して、精製塔に供給した。すなわち、チャンバー容積に対するチャンバー内への空気の供給量は約375容積%とした。なお、チャンバー上部の出口空気温度は、13℃であった。その後、精製塔においてはMAA粗結晶を、攪拌装置を用いて精製塔上部に搬送しながら、精製塔内を下降する精製MAA融解液(環流液)によって精製する連続運転を行った。このとき、固液分離装置におけるメタクリル酸結晶の残存率は99.8質量%であり、精製塔に供給する外部還流量は230kg/hであり、精製塔の塔頂から得られる精製メタクリル酸量は、626kg/hであり、精製塔での精製メタクリル酸量に対する外部還流量の比率は0.37であった。
<実施例2>
チャンバー内に供給する空気の温度を15℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、固液分離操作と精製塔において精製を行った。このとき、メタクリル酸結晶の残存率は99.9質量%であり、固液分離装置で得られた粗結晶量は951kg/hであった。また、精製塔に供給する外部還流液の量は265kg/hであり、精製塔の塔頂から得られる精製メタクリル酸量は577kg/hであり、精製塔での精製メタクリル酸量に対する外部還流量の比率は0.46であった。
実施例1及び2の結果から、60℃又は16℃の気体を供給することにより、母液の凍結を防止するとともに、メタノールの蒸発が促進され、その結果、スラリー中のメタノールを効率良く除去することができ、精製塔における外部還流量を抑制できたものと考えられる。その結果、純度の高いメタクリル酸を生産性高く得ることができたと考えられる。
実施例1,2における入口空気温度、出口空気温度、MAA粗結晶量(A)、気体供給量(B)、熱量(C)、チャンバー容積(D)を表1に示す。又、MAA粗結晶量及びチャンバー容積に対する気体供給量(B/A及びB/D)及び持ち込み量(C/A及びC/D)を合わせて示す。
以下の実施例及び比較例において、晶析装置としてはフラットパドル翼による攪拌機構、スクレーパーユニット、邪魔板を備えたステンレス製の連続型ジャケット冷却式晶析槽(容積4L)を用い、晶析操作を行った。熱媒体としては、40質量%エチレングリコール水溶液を用いた。
成分の濃度測定には、ガスクロマトグラフィー(本体:GC−17A(製品名)、(株)島津製作所製、分析カラム:HP−FFAP(商品名)、Agilent Technologies製)を用いた。
又、実験装置の概略を図4に示す。該実験装置は、図1の固液分離装置のフィルタの代わりにふるい41を用い、ふるい41の網目上にスラリー42を配置し、ガス供給口44及びガス排出口を備えた容器43にて実施した。なお、ろ過された母液はふるい41の下に不図示のトレーを配置して受けるようにした。また、比較例2,3については、ふるい41の網目上にらせん状のステンレス配管を配置して、温水を供給できる様にした。
<実施例3>
第3級ブチルアルコールを分子状酸素により接触気相酸化し、得られた反応ガスを水に吸収させて得られるメタクリル酸水溶液からn−ヘプタンを用いてメタクリル酸を抽出し、この抽出液を蒸留することにより有機溶剤及び不揮発分を除去して粗製メタクリル酸を得た。この粗製メタクリル酸に対し、3.8質量%のメタノールが混合された混合溶液を原料として用いた。
この混合溶液を10℃に冷却した後、その3.4Lを晶析槽内に仕込み、125rpmの撹拌条件下、晶析槽のジャケットに10℃の熱媒体を供給した。
その後、熱媒体温度を2.0℃/hrにて降温した。熱媒体温度が4.5℃となった時点で、1時間保持し、原料のスラリーを作製した。
そしてスラリーを下部にフィルターを設置したガラスカラム(内径:50mm、高さ:300mm)に移し、重力濾過した。
重力ろ過は3℃に保たれたインキュベーター内で10分間行った。重力ろ過後のフィルター上に残った粗結晶42を、図4に示すように、SUS304製のふるい(直径:15cm、目開き:180μm)41の網目上に移し、さらにこのふるい41をポリプロピレン製容器43(容量:7.8L)の中に設置した。
ふるいが収納された容器は3℃に保たれたインキュベーター内に設置した。ふるいの下部の気体供給口44から16℃の空気を10L/分の流量で20分間供給し、気体排出口45から排気した。
実施例3における入口空気温度、出口空気温度、MAA粗結晶量(A)、気体供給量(B)、熱量(C)、チャンバー容積(D)を表1に示す。又、MAA粗結晶量及びチャンバー容積に対する気体供給量(B/A及びB/D)及び持ち込み熱量(C/A及びC/D)を合わせて示す。
また、入口空気温度と出口空気温度の温度差から空気により容器全体に与えた熱量(与熱量(W))を算出した。
スラリー中のメタノール濃度を、ろ過後のスラリーを融解し、ガスクロマトグラフィーで測定した。処理前のスラリー中のメタノール濃度と比較して、その除去率を求めた。初期結晶質量とろ過後結晶質量とを比較して結晶残存率を求めた。結果を表2に示す。
<実施例4>
ふるい下部から供給する空気の温度を60℃にする以外は実施例3と同様にしてろ過実験を行い、実施例1と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1及び表2にまとめて示す。
<比較例1>
ふるい下部から空気を供給しない以外は実施例1と同様にしてろ過実験を行い、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1にまとめて示す。
<比較例2>
ふるい下部から空気を供給する代わりにふるい上に渦上に巻いたSUS316配管(内径:2mm、外径:3mm)を設置し、配管の上に結晶を移した。
配管に30℃の温水を150mL/分の流量で2分間流通させた後、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1にまとめて示す。なお、与熱量は配管通過後の水温を測定し、供給水温との温度差から温水が容器全体に与えた熱量(与熱量(J))を算出した。
<比較例3>
配管に50℃の温水を流通させる以外は、比較例2と同様に行った。その後、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1にまとめて示す。
Figure 2020075762
Figure 2020075762
固液分離後の高純度化操作において純度の高いメタクリル酸を得るために、固液分離後のスラリーのメタノール量を極力低減しておくとともに、高純度化操作における装置の処理量と生産性の観点から、結晶残存率を80質量%以上とすることが重要である。
しかしながら、表2の結果から分かるように、フィルター下部に温水配管を設けて30℃の温水でスラリーを加熱した比較例2の場合、温水配管による加熱を行わなかった比較例1と比較して、メタノールの残存率にほとんど差はなく、むしろ、加熱することにより結晶残存率が低下していることが分かる。また、50℃の温水で加熱した比較例3では、メタノールの除去率は比較例1と比較して向上させることができているものの、結晶残存量が極めて低くなっているために生産性が大幅に低下することが予測される。一方、本発明のように実施例3及び4では、いずれも結晶残存率を80%以上とすることができているとともに、メタノール量も大幅に低減できていることが分かる。これらの結果から、本発明においては、生産性高く純度の高い(メタ)アクリル酸を得ることができる。また、実施例1,2に示すように、実際のベルトフィルターを用いた固液分離装置でも、99.8%以上という高い結晶残存率が達成されている。
10 固液分離装置
1 スラリー
2 (メタ)アクリル酸粗結晶
3 ベルトフィルター
4 チャンバー
5 スラリー投入口
6 ガス供給口
8 排出口
9 ベント
20 精製塔
21 (外部)還流液
22 製品((メタ)アクリル酸結晶)
23 不純物を含む母液
24 精製塔缶体
25 攪拌装置
26 精製塔留出分
27 外部加熱器
前記晶析操作により得られる(メタ)アクリル酸粗結晶を含むスラリー(以下、単に「スラリー」という)を晶析槽から抜き出した後、図1に示すようにチャンバー内で該スラリー1をベルトフィルターにより、ろ過しながら精製塔に搬送する。スラリーをろ過することで、母液が除去され、(メタ)アクリル酸粗結晶が堆積されて層状の(メタ)アクリル酸粗結晶が形成される。なお、母液には、上述の通り、主に、結晶化していない(メタ)アクリル酸と、溶媒と、不純物が含まれているために、母液を除去することにより不純物及び溶媒を多く除去することができる。
また、チャンバー容積当たりの1時間当たりの気体の供給量は特段の制限はないが、メタノール等の溶媒の気化を促進するために、チャンバー内容積に対して、100容積%/h以上であることが好ましく、200容積%/h以上であることがより好ましい。一方、チャンバーからベント9を介して放出される気体を処理する設備の経済性の観点から、10000容積%/h以下であることが好ましく、8000容積%/h以下であることがより好ましく、1000容積%/h以下であることがさらに好ましく、800容積%/h以下であることが特に好ましい。
チャンバー容積に対する持ち込み熱量は、特段の制限はないが、メタノール等の溶媒の気化を促進するために、0.005kW/m以上であることが好ましく、0.01kW/m以上であることがさらに好ましい。一方、(メタ)アクリル酸結晶の溶融を防ぐために、5.0kW/m以下であることが好ましく、3.0kW/ 以下であることがさらに好ましく、1.0kW/ 以下であることが特に好ましい。
実施例1及び2の結果から、60℃又は1℃の気体を供給することにより、母液の凍結を防止するとともに、メタノールの蒸発が促進され、その結果、スラリー中のメタノールを効率良く除去することができ、精製塔における外部還流量を抑制できたものと考えられる。その結果、純度の高いメタクリル酸を生産性高く得ることができたと考えられる。
実施例1,2における入口空気温度、出口空気温度、MAA粗結晶量(A)、気体供給量(B)、熱量(C)、チャンバー容積(D)を表1に示す。又、MAA粗結晶量及びチャンバー容積に対する気体供給量(B/A及びB/D)及び持ち込み量(C/A及びC/D)を合わせて示す。
<実施例4>
ふるい下部から供給する空気の温度を60℃にする以外は実施例3と同様にしてろ過実験を行い、実施例と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1及び表2にまとめて示す。
<比較例1>
ふるい下部から空気を供給しない以外は実施例と同様にしてろ過実験を行い、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表にまとめて示す。
<比較例2>
ふるい下部から空気を供給する代わりにふるい上に渦に巻いたSUS316配管(内径:2mm、外径:3mm)を設置し、配管の上に結晶を移した。
配管に30℃の温水を150mL/分の流量で2分間流通させた後、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表にまとめて示す。なお、与熱量は配管通過後の水温を測定し、供給水温との温度差から温水が容器全体に与えた熱量(与熱量(J))を算出した。
<比較例3>
配管に50℃の温水を流通させる以外は、比較例2と同様に行った。その後、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表にまとめて示す。

Claims (8)

  1. (メタ)アクリル酸粗結晶と、母液と、を含むスラリーをチャンバー内で固液分離する方法において、前記チャンバー内に気体を供給しながら、前記チャンバー内に配置されたフィルターを介して、前記スラリーから前記母液を分離する固液分離方法。
  2. 前記チャンバー内に供給する気体の温度が前記スラリーの温度よりも高い、請求項1に記載の固液分離方法。
  3. 前記チャンバー内に供給する気体の温度が、10℃以上65℃以下である請求項1又は2に記載の固液分離方法。
  4. 前記気体が空気である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の(固液分離方法。
  5. 前記母液がメタノールを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固液分離方法。
  6. 前記スラリー中のメタノール濃度が1質量%以上5質量%以下である、請求項5に記載の固液分離方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の固液分離方法により(メタ)アクリル酸の粗結晶を得る工程を含む、(メタ)アクリル酸の精製方法。
  8. 請求項7に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法を含む、精製(メタ)アクリル酸の製造方法。
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