JPWO2020075762A1 - (メタ)アクリル酸の精製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
精製塔での精製には、精製した結晶を融解した還流液、もしくは精製した結晶を一旦外部に取り出して外部で加熱融解した還流液と、精製前の原料粗結晶とを向流接触させて精製する方法が知られている。本出願人は、精製効率を向上する方法として、特許文献1及び2に記載の方法を提案している。
[2] 前記チャンバー内に供給する気体の温度が前記スラリーの温度よりも高い、[1]に記載の固液分離方法。
[3] 前記チャンバー内に供給する気体の温度が、10℃以上65℃以下である[1]または[2]に記載の固液分離方法。
[4] 前記気体が空気である、[1]又は〜[3]のいずれかに記載の固液分離方法。
[5] 前記母液がメタノールを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の固液分離方法。
[6] 前記スラリー中のメタノール濃度が1質量%以上5質量%以下である[5]に記載の固液分離方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の固液分離方法により(メタ)アクリル酸の粗結晶を得る工程を含む、(メタ)アクリル酸の精製方法。
[8] [7]に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法を含む、精製(メタ)アクリル酸の製造方法。
(スラリー)
本発明において、スラリーは、例えば、直接酸化法等により得られた粗(メタ)アクリル酸を溶媒と混合した後、該混合液を晶析槽において冷却し晶析させることにより得ることができる。このようにして形成されたスラリーは、少なくとも、(メタ)アクリル酸粗結晶と、溶媒と、を含有する。より詳細には、結晶化していない(メタ)アクリル酸と、溶媒と、粗(メタ)アクリル酸の製造由来の不純物と、を含有する母液と、(メタ)アクリル酸粗結晶とを含有する。
チャンバー4には、チャンバー内に気体を供給するための手段が設けられており、例えば、図1に示すように、配管A及びBを介して所定温度に設定された気体(ガスという)を導入できる構成を有している。配管Aはチャンバー上方のほぼ中央部分の供給口6からガスを供給することができ、チャンバー内の気体を流動させることができる。また、配管Bは、ベルトフィルター3の支持部に連結されており、スラリー1の下方からガスを供給できるように配されている。本実施形態においては、これらの配管を介して、チャンバー外部からチャンバー内に気体を供給することで、チャンバー内の気体が流動する。
ベルトフィルターとしては、公知のベルトフィルターが使用できる。ベルトの幅は生産性(上記スラリーの供給量と高さの範囲との関係)と装置コストの観点から最適な幅を選択すればよいが、10〜200cmが好ましく、50〜150cmがより好ましくは、75〜125cmがさらに好ましい。また、ベルトの敷設長さは、母液の分離性と装置コストの観点から最適な長さを選択すればよいが、1〜10mが好ましく、4〜8mがより好ましい。なお、「ベルトの敷設長さ」とは、ベルトを張架している張架ローラ間の長さであり、スラリーと接しているベルトの長さとほぼ同じである。
固液分離時のベルト速度としては、ベルトの幅や敷設長さ、スラリーの供給量や高さなどにもよるが、2〜8m/hであることが、生産性と固液分離性能の点で好ましい。
(式(1)中、qmは(メタ)アクリル酸粗結晶2の含液率である)。
このように,本発明の一態様によれば、(メタ)アクリル酸粗結晶と、母液と、を含むスラリーをチャンバー内で固液分離する方法において、前記チャンバー内に気体を供給しながら、前記チャンバー内に配置されたフィルターを介して、前記スラリーから前記母液を分離する固液分離方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上記固液分離方法により(メタ)アクリル酸の粗結晶を得る工程を含む、(メタ)アクリル酸の精製方法が提供される。
加えて、本発明のさらに他の態様によれば、上記(メタ)アクリル酸の精製方法を含む、精製(メタ)アクリル酸の製造方法が提供される。
融解率(%)=(固液分離操作により融解した結晶量/粗結晶量)×100
結晶の残存率(%)=100(%)−融解率(%)
図1に示す固液分離装置を用意した。なお、図1に示す固液分離装置の概要は下記の通りである。
ベルトフィルターの幅:600mm
ベルトフィルターの敷設長さ:4m
ベルトフィルターの材質:SUS316(螺旋メッシュタイプ、孔径:約1mm)
チャンバー容積:約4m3
チャンバー内に供給する空気の温度を15℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、固液分離操作と精製塔において精製を行った。このとき、メタクリル酸結晶の残存率は99.9質量%であり、固液分離装置で得られた粗結晶量は951kg/hであった。また、精製塔に供給する外部還流液の量は265kg/hであり、精製塔の塔頂から得られる精製メタクリル酸量は577kg/hであり、精製塔での精製メタクリル酸量に対する外部還流量の比率は0.46であった。
実施例1,2における入口空気温度、出口空気温度、MAA粗結晶量(A)、気体供給量(B)、熱量(C)、チャンバー容積(D)を表1に示す。又、MAA粗結晶量及びチャンバー容積に対する気体供給量(B/A及びB/D)及び持ち込み量(C/A及びC/D)を合わせて示す。
成分の濃度測定には、ガスクロマトグラフィー(本体:GC−17A(製品名)、(株)島津製作所製、分析カラム:HP−FFAP(商品名)、Agilent Technologies製)を用いた。
又、実験装置の概略を図4に示す。該実験装置は、図1の固液分離装置のフィルタの代わりにふるい41を用い、ふるい41の網目上にスラリー42を配置し、ガス供給口44及びガス排出口を備えた容器43にて実施した。なお、ろ過された母液はふるい41の下に不図示のトレーを配置して受けるようにした。また、比較例2,3については、ふるい41の網目上にらせん状のステンレス配管を配置して、温水を供給できる様にした。
第3級ブチルアルコールを分子状酸素により接触気相酸化し、得られた反応ガスを水に吸収させて得られるメタクリル酸水溶液からn−ヘプタンを用いてメタクリル酸を抽出し、この抽出液を蒸留することにより有機溶剤及び不揮発分を除去して粗製メタクリル酸を得た。この粗製メタクリル酸に対し、3.8質量%のメタノールが混合された混合溶液を原料として用いた。
この混合溶液を10℃に冷却した後、その3.4Lを晶析槽内に仕込み、125rpmの撹拌条件下、晶析槽のジャケットに10℃の熱媒体を供給した。
その後、熱媒体温度を2.0℃/hrにて降温した。熱媒体温度が4.5℃となった時点で、1時間保持し、原料のスラリーを作製した。
そしてスラリーを下部にフィルターを設置したガラスカラム(内径:50mm、高さ:300mm)に移し、重力濾過した。
重力ろ過は3℃に保たれたインキュベーター内で10分間行った。重力ろ過後のフィルター上に残った粗結晶42を、図4に示すように、SUS304製のふるい(直径:15cm、目開き:180μm)41の網目上に移し、さらにこのふるい41をポリプロピレン製容器43(容量:7.8L)の中に設置した。
ふるいが収納された容器は3℃に保たれたインキュベーター内に設置した。ふるいの下部の気体供給口44から16℃の空気を10L/分の流量で20分間供給し、気体排出口45から排気した。
実施例3における入口空気温度、出口空気温度、MAA粗結晶量(A)、気体供給量(B)、熱量(C)、チャンバー容積(D)を表1に示す。又、MAA粗結晶量及びチャンバー容積に対する気体供給量(B/A及びB/D)及び持ち込み熱量(C/A及びC/D)を合わせて示す。
また、入口空気温度と出口空気温度の温度差から空気により容器全体に与えた熱量(与熱量(W))を算出した。
スラリー中のメタノール濃度を、ろ過後のスラリーを融解し、ガスクロマトグラフィーで測定した。処理前のスラリー中のメタノール濃度と比較して、その除去率を求めた。初期結晶質量とろ過後結晶質量とを比較して結晶残存率を求めた。結果を表2に示す。
ふるい下部から供給する空気の温度を60℃にする以外は実施例3と同様にしてろ過実験を行い、実施例1と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1及び表2にまとめて示す。
ふるい下部から空気を供給しない以外は実施例1と同様にしてろ過実験を行い、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1にまとめて示す。
<比較例2>
ふるい下部から空気を供給する代わりにふるい上に渦上に巻いたSUS316配管(内径:2mm、外径:3mm)を設置し、配管の上に結晶を移した。
配管に30℃の温水を150mL/分の流量で2分間流通させた後、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1にまとめて示す。なお、与熱量は配管通過後の水温を測定し、供給水温との温度差から温水が容器全体に与えた熱量(与熱量(J))を算出した。
<比較例3>
配管に50℃の温水を流通させる以外は、比較例2と同様に行った。その後、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1にまとめて示す。
しかしながら、表2の結果から分かるように、フィルター下部に温水配管を設けて30℃の温水でスラリーを加熱した比較例2の場合、温水配管による加熱を行わなかった比較例1と比較して、メタノールの残存率にほとんど差はなく、むしろ、加熱することにより結晶残存率が低下していることが分かる。また、50℃の温水で加熱した比較例3では、メタノールの除去率は比較例1と比較して向上させることができているものの、結晶残存量が極めて低くなっているために生産性が大幅に低下することが予測される。一方、本発明のように実施例3及び4では、いずれも結晶残存率を80%以上とすることができているとともに、メタノール量も大幅に低減できていることが分かる。これらの結果から、本発明においては、生産性高く純度の高い(メタ)アクリル酸を得ることができる。また、実施例1,2に示すように、実際のベルトフィルターを用いた固液分離装置でも、99.8%以上という高い結晶残存率が達成されている。
1 スラリー
2 (メタ)アクリル酸粗結晶
3 ベルトフィルター
4 チャンバー
5 スラリー投入口
6 ガス供給口
8 排出口
9 ベント
20 精製塔
21 (外部)還流液
22 製品((メタ)アクリル酸結晶)
23 不純物を含む母液
24 精製塔缶体
25 攪拌装置
26 精製塔留出分
27 外部加熱器
実施例1,2における入口空気温度、出口空気温度、MAA粗結晶量(A)、気体供給量(B)、熱量(C)、チャンバー容積(D)を表1に示す。又、MAA粗結晶量及びチャンバー容積に対する気体供給量(B/A及びB/D)及び持ち込み量(C/A及びC/D)を合わせて示す。
ふるい下部から供給する空気の温度を60℃にする以外は実施例3と同様にしてろ過実験を行い、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表1及び表2にまとめて示す。
ふるい下部から空気を供給しない以外は実施例3と同様にしてろ過実験を行い、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表2にまとめて示す。
<比較例2>
ふるい下部から空気を供給する代わりにふるい上に渦状に巻いたSUS316配管(内径:2mm、外径:3mm)を設置し、配管の上に結晶を移した。
配管に30℃の温水を150mL/分の流量で2分間流通させた後、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表2にまとめて示す。なお、与熱量は配管通過後の水温を測定し、供給水温との温度差から温水が容器全体に与えた熱量(与熱量(J))を算出した。
<比較例3>
配管に50℃の温水を流通させる以外は、比較例2と同様に行った。その後、実施例3と同様に質量測定、メタノール濃度測定を行った。結果を表2にまとめて示す。
Claims (8)
- (メタ)アクリル酸粗結晶と、母液と、を含むスラリーをチャンバー内で固液分離する方法において、前記チャンバー内に気体を供給しながら、前記チャンバー内に配置されたフィルターを介して、前記スラリーから前記母液を分離する固液分離方法。
- 前記チャンバー内に供給する気体の温度が前記スラリーの温度よりも高い、請求項1に記載の固液分離方法。
- 前記チャンバー内に供給する気体の温度が、10℃以上65℃以下である請求項1又は2に記載の固液分離方法。
- 前記気体が空気である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の(固液分離方法。
- 前記母液がメタノールを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固液分離方法。
- 前記スラリー中のメタノール濃度が1質量%以上5質量%以下である、請求項5に記載の固液分離方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の固液分離方法により(メタ)アクリル酸の粗結晶を得る工程を含む、(メタ)アクリル酸の精製方法。
- 請求項7に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法を含む、精製(メタ)アクリル酸の製造方法。
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