JPWO2020071503A1 - ポリテトラフルオロエチレンの製造方法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレンの製造方法 Download PDF

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Abstract

炭化水素系界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン及び変性モノマーを重合することによりポリテトラフルオロエチレンを得る重合工程を含み、重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量が、水性媒体に対して50ppm超であり、前記ポリテトラフルオロエチレンは、99.0質量%以上のテトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含むことを特徴とするポリテトラフルオロエチレンの製造方法を提供する。

Description

本開示は、ポリテトラフルオロエチレンの製造方法に関する。
乳化重合によりポリテトラフルオロエチレンを製造する場合、含フッ素アニオン界面活性剤が使用されてきた。最近では、含フッ素アニオン界面活性剤に代えて、炭化水素系界面活性剤の使用も提案されている。
特許文献1には、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記方法が、初期期間、および前記初期期間の後の安定化期間を含み、前記初期期間が:前記重合反応器において前記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する工程を含み、前記安定化期間が:前記重合反応器においてフルオロモノマーを重合する工程と、炭化水素含有界面活性剤を前記重合反応器に加える工程とを含み、前記安定化期間中、フッ素系界面活性剤が加えられない方法が記載されている。
特許文献2には、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記方法が、前記重合反応器に:(a)水性媒体、(b)水溶性炭化水素含有化合物、(c)分解剤、(d)フルオロモノマー、および(e)重合開始剤を加える工程を含む初期期間を含み、前記初期期間中、フッ素系界面活性剤は加えられず、前記分解剤が、前記重合開始剤の前に加えられる方法が記載されている。
特許文献3には、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記重合反応器に:水性媒体、重合開始剤、フルオロモノマー、および炭化水素含有界面活性剤を加える工程と、前記炭化水素含有界面活性剤を不活性化する工程とを含む方法が記載されている。
米国特許公報第9255164号 米国特許公報第8563670号 米国特許公報第9074025号
本開示では、炭化水素系界面活性剤を用いる重合によりポリテトラフルオロエチレンを製造することができ、さらには、炭化水素系界面活性剤を用いる重合であるにも関わらず、平均一次粒子径が小さいポリテトラフルオロエチレンを製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、炭化水素系界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン及び変性モノマーを重合することによりポリテトラフルオロエチレンを得る重合工程を含み、重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量が、水性媒体に対して50ppm超であり、前記ポリテトラフルオロエチレンは、99.0質量%以上のテトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含むことを特徴とするポリテトラフルオロエチレンの製造方法に関する。
本開示の製造方法は、更に、重合開始前、又は、水性媒体中に形成するポリテトラフルオロエチレンの濃度が5.0質量%以下であるときに、変性モノマーを水性媒体中に添加する工程を含むことが好ましい。重合開始前、又は、水性媒体中に形成するポリテトラフルオロエチレンの濃度が5.0質量%以下であるときに添加する変性モノマーの量は、得られるポリテトラフルオロエチレンに対して0.0001質量%以上であることが好ましい。
重合工程において、ポリテトラフルオロエチレン粒子の数が0.6×1013個/mL以上であることが好ましい。
重合工程は、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程を含むことが好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、水性媒体中に形成されるポリテトラフルオロエチレンの濃度が0.6質量%未満であるときに、炭化水素系界面活性剤を水性媒体中に添加し始めることが好ましい。
上記重合工程においては、重合温度が10〜150℃であることが好ましい。
上記変性モノマーは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記変性モノマーは、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する変性モノマーを含むことが好ましい。上記ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する変性モノマーは、下記式(4):
CX=CX−(CZ−Y (4)
(式中、X、X及びXは、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCFであり;Yは、親水基であり;Rは連結基であり;Z及びZは、それぞれ独立して、H、F又はCFであり、kは0又は1である)で表される化合物であることが好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤は、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤であることが好ましい。
上記重合工程は、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に行うことが好ましい。
上記ポリテトラフルオロエチレンは、コアシェル構造を有することが好ましい。
上記ポリテトラフルオロエチレンは、平均一次粒子径が500nm以下であることが好ましい。
上記ポリテトラフルオロエチレンは、一次粒子のアスペクト比が1.45以下であることが好ましい。
本開示によれば、炭化水素系界面活性剤を用いる重合によりポリテトラフルオロエチレンを製造することができ、さらには、炭化水素系界面活性剤を用いる重合であるにも関わらず、平均一次粒子径が小さいポリテトラフルオロエチレンを製造することができる製造方法を提供することができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO−、
RaCO−、
RaSO−、
RaCOO−、
RaNRaCO−、
RaCONRa−、
RaOCO−、及び
RaOSO
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
本明細書中、特に断りのない限り、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、又は、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
上記脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられる。
上記芳香族基は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族基としては、炭素数6〜12、好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基、例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセチルアミノフェニル基、4−メタンスルホニルフェニル基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記ヘテロ環基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜10の5〜6員ヘテロ環、例えば2−テトラヒドロフリル基、2−ピリミジル基等が挙げられる。
上記アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアシル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、3−ピリジンカルボニル基等が挙げられる。
上記アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜8のアシルアミノ基、総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、(t)−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2〜5のアルキルカルバモイル基、例えばN−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1〜6、好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル基等が挙げられる。
上記芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6〜10のアリールスルホニル基、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。
上記アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。
上記アシルアミノ基は、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは総炭素原子数2〜8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2−ピリジンスルホンアミド基等であってもよい。
上記スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1〜9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6〜11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のヘテロ環スルファモイル基、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4−ピリジンスルファモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
上記芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基、総炭素原子数1〜4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1〜4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2〜4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
上記脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1〜8、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
上記カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、4−ピリジンカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示のポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕の製造方法は、炭化水素系界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン〔TFE〕及び変性モノマーを重合することによりPTFEを得る重合工程を含む。
したがって、本開示の製造方法によれば、炭化水素系界面活性剤を用いる重合により、ポリテトラフルオロエチレンを製造することができる。
さらに、本開示の製造方法においては、重合開始時に、水性媒体に対して50ppm超の炭化水素系界面活性剤を存在させる。これによって、平均一次粒子径が小さく、アスペクト比が小さいポリテトラフルオロエチレンを製造することができる。すなわち、水性媒体中でのTFEおよび変性モノマーの重合によって、通常、ポリテトラフルオロエチレンの粒子を含有する水性分散液が得られるが、本開示の製造方法によれば、炭化水素系界面活性剤を用いてTFEおよび変性モノマーを重合するにも関わらず、平均一次粒子径が小さく、アスペクト比が小さい粒子が得られ、優れた分散安定性を有する水性分散液を得ることができる。さらに、水性分散液を凝析することにより、ポリテトラフルオロエチレン粉末を回収でき、粉末を回収した後に残る排水中には、ポリテトラフルオロエチレン(未凝析ポリマー)が残留しにくい。
上記PTFEは、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含む。このようなPTFEは、変性PTFEとも呼ばれる。
上記PTFEは、変性モノマーに基づく重合単位(以下「変性モノマー単位」とも記載する)の含有量が、PTFEの全重合単位に対して、0.00001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。変性モノマー単位の含有量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。変性モノマー単位の含有量の上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%がより好ましい。
本明細書において、上記変性モノマー単位とは、PTFEの分子構造の一部分であって変性モノマーに由来する部分を意味する。
本明細書において、PTFEを構成する各単量体の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
上記変性モノマーとしては、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、フルオロモノマーおよび非フルオロモノマーが挙げられる。また、用いる変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
非フルオロモノマーとしては、特に限定されず、一般式:
CH=CRQ1−LRQ2
(式中、RQ1は、水素原子またはアルキル基を表す。Lは、単結合、−CO−O−*、−O−CO−*または−O−を表す。*はRQ2との結合位置を表す。RQ2は、水素原子、アルキル基またはニトリル基を表す。)で表されるモノマーが挙げられる。
非フルオロモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレートブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ビニルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどが挙げられる。非フルオロモノマーとしては、なかでも、ブチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリル酸が好ましい。
フルオロモノマーとして、例えば、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕等のパーフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等のパーハロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;(パーフルオロアルキル)エチレン等が挙げられる。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては特に限定されず、例えば、下記一般式(A):
CF=CF−ORf (A)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(A)において、Rfが炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕が挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5である。
上記PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、更に、上記一般式(A)において、Rfが炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rfが下記式:
Figure 2020071503
(式中、mは、0又は1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rfが下記式:
Figure 2020071503
(式中、nは、1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
水素含有フルオロオレフィンとしては、CH=CF、CFH=CH、CFH=CF、CF=CFCF、CH=CFCF、CH=CHCF、CHF=CHCF(E体)、CHF=CHCF(Z体)などが挙げられる。
(パーフルオロアルキル)エチレン(PFAE)としては特に限定されず、例えば、(パーフルオロブチル)エチレン(PFBE)、(パーフルオロヘキシル)エチレン等が挙げられる。
上記変性モノマーとしては、モノマー反応性比が0.1〜8である変性モノマー(3)も好ましく例示される。変性モノマー(3)を存在させることによって、粒子径が小さいPTFE粒子を得ることができ、分散安定性の高い水性分散液を得ることができる。
ここで、TFEとの共重合におけるモノマー反応性比とは、成長ラジカルがTFEに基づく繰り返し単位未満であるときに、該成長ラジカルがTFEと反応する場合の速度定数を、該成長ラジカルが変性モノマーと反応する場合の速度定数で除した値である。この値が低いほど、変性モノマーがTFEと高反応性であることを表す。モノマー反応性比は、TFEと変性モノマーとを共重合して開始直後の生成ポリマー中の組成を求め、ファインマン−ロスの式より算出できる。
上記共重合は、内容積6.0Lのステンレス製オートクレーブに3600gの脱イオン脱気水、上記水に対して1000ppmのパーフルオロオクタン酸アンモニウム、100gのパラフィンワックスを使用して、圧力0.78MPa、温度70℃で実施する。0.05g、0.1g、0.2g、0.5g、1.0gの変性モノマーをそれぞれ反応器に加え、0.072gの過硫酸アンモニウム(対水20ppm)を加えて、重合圧力0.78MPaを維持させるため、TFEを連続的に供給する。TFE仕込量が1000gに到達したとき、撹拌を停止して、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。冷却後、パラフィンワックスを分離することにより、生成ポリマーを含む水性分散液が得られる。上記水性分散液を撹拌して生成ポリマーを凝析させ、150℃で乾燥させる。得られた生成ポリマー中の組成を、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出する。
モノマー反応性比が0.1〜8である変性モノマー(3)としては、式(3a)〜(3d)で表される変性モノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
CH=CH−Rf (3a)
(式中、Rfは炭素数が1〜10のパーフルオロアルキル基である。)
CF=CF−O−Rf (3b)
(式中、Rfは炭素数が1〜2のパーフルオロアルキル基である。)
CF=CF−O−(CFCF=CF (3c)
(式中、nは1又は2である。)
Figure 2020071503
(式中、X及びXはF、Cl又はメトキシ基であり、Yは式Y1又はY2である。)
Figure 2020071503
(式Y2中、Z及びZ’はF又は炭素数1〜3のフッ素化アルキル基である。)
変性モノマー(3)単位の含有量は、PTFEの全重合単位に対して0.00001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%がより好ましい。
上記変性モノマーとしては、変性ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均一次粒子径が小さく、一次粒子のアスペクト比が小さく、安定性に優れる水性分散液を得ることができることから、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フルオロ(アルキルビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン、エチレン、及び、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する変性モノマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。上記変性モノマーを使用することで、より平均一次粒子径が小さく、一次粒子のアスペクト比が小さく、分散安定性に優れるPTFEの水性分散液を得ることができる。また、未凝析ポリマーが少ない水性分散液を得ることができる。
上記変性モノマーは、TFEとの反応性の観点からは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
より好ましくは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び、(パーフルオロオクチル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことである。
上記ヘキサフルオロプロピレン単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位及び(パーフルオロアルキル)エチレン単位の合計量は、PTFEの全重合単位に対して、0.00001〜1質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更に好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%がより好ましい。
上記変性モノマーは、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する変性モノマー(以下「変性モノマー(A)」と記載する。)を含むことも好ましい。
上記変性モノマー(A)を存在させることによって、一次粒子径が小さいPTFE粒子を得ることができ、分散安定性の高い水性分散液を得ることができる。また、未凝析ポリマー量を少なくすることもできる。更に、一次粒子のアスペクト比を小さくすることができる。
上記変性モノマー(A)の使用量は、水性媒体の0.1ppmに相当する量を超える量であることが好ましく、0.5ppmを超える量であることがより好ましく、1.0ppmを超える量であることが更に好ましく、5ppm以上であることが更により好ましく、10ppm以上であることが特に好ましい。上記変性モノマー(A)の使用量が少なすぎると、得られるPTFEの平均一次粒子径が小さくならないおそれがある。
上記変性モノマー(A)の使用量は、上記範囲であればよいが、例えば、上限を5000ppmとすることができる。また、上記製造方法では、反応中または反応後の水性分散液の安定性を向上させるために、反応途中で変性モノマー(A)を系中に追加してもよい。
上記変性モノマー(A)は水溶性が高いので、未反応の変性モノマー(A)が水性分散液中に残存したとしても、濃縮工程、あるいは凝析・洗浄工程での除去は容易である。
上記変性モノマー(A)は、重合の過程で生成ポリマー中に取り込まれるが、重合系中の変性モノマー(A)の濃度そのものが低く、ポリマーに取り込まれる量が少ないため、PTFEの耐熱性が低下したり焼成後に着色したりする問題はない。
上記変性モノマー(A)における親水基としては、例えば、−NH、−POM、−OPOM、−SOM、−OSOM、−COOM(各式において、Mは、H、金属原子、NR7y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R7yは、H又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)が挙げられる。上記親水基としては、なかでも、−SOM又は−COOMが好ましい。R7yにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R7yとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記変性モノマー(A)における「ラジカル重合で反応可能な官能基」としては、例えば、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基は、下記式:
CX=CXR−
(式中、X、X及びXは、それぞれ独立して、F、Cl、H、CF、CFH、CFH、又は、CHであり;Rは連結基である。)で示すことができる。Rの連結基としては後述するRとしての連結基が挙げられる。好ましくは−CH=CH、−CF=CH2、−CH=CF2、−CF=CF、−CH−CH=CH、−CF−CF=CH、−CF−CF=CF、−(C=O)−CH=CH、−(C=O)−CF=CH、−(C=O)−CH=CF、−(C=O)−CF=CF、−(C=O)−C(CH)=CH、−(C=O)−C(CF)=CH、−(C=O)−C(CH)=CF、−(C=O)−C(CF)=CF、−O−CH−CH=CH、−O−CF−CF=CH、−O−CH−CH=CF、−O−CF−CF=CF等の不飽和結合を有する基が挙げられる。
上記変性モノマー(A)は、ラジカル重合で反応可能な官能基を有するので、上記重合において使用すると、重合反応初期に含フッ素モノマーと反応し、上記変性モノマー(A)に由来する親水基を有し安定性が高い粒子が形成されると推測される。このため、上記変性モノマー(A)の存在下に重合を行うと、粒子数が多くなると考えられる。
上記重合は、上記変性モノマー(A)を1種存在させるものであってもよいし、2種以上存在させるものであってもよい。
上記重合において、上記変性モノマー(A)として、不飽和結合を有する化合物を使用することができる。
変性モノマー(A)は、一般式(4):
CX=CX−(CZ−Y (4)
(式中、X、X及びXは、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCFであり;Yは、親水基であり;Rは連結基であり;Z及びZは、それぞれ独立して、H、F又はCFであり、kは0又は1である)で表される化合物が好ましい。
上記親水基としては、例えば、−NH、−POM、−OPOM、−SOM、−OSOM、−COOM(各式において、Mは、H、金属原子、NR7y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R7yは、H又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)が挙げられる。上記親水基としては、なかでも、−SOM又は−COOMが好ましい。R7yにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R7yとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記変性モノマー(A)を用いることによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができる。また、一次粒子のアスペクト比をより小さくすることもできる。
上記Rは、連結基である。本明細書において「連結基」は、二価連結基を指す。連結基は、単結合であってもよく、少なくとも1個の炭素原子を含むことが好ましく、炭素原子の数は、2以上であってよく、4以上であってよく、8以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってもよい。上限は限定されないが、例えば、100以下であってよく、50以下であってよい。
上記連結基は、鎖状又は分岐状、環状又は非環状構造、飽和又は不飽和、置換又は非置換であってよく、所望により硫黄、酸素、及び窒素からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、所望によりエステル、アミド、スルホンアミド、カルボニル、カーボネート、ウレタン、尿素及びカルバメートからなる群から選択される1つ以上の官能基を含んでよい。上記連結基は、炭素原子を含まず、酸素、硫黄又は窒素等のカテナリーヘテロ原子であってもよい。
上記Rは、例えば、酸素、硫黄、窒素等のカテナリーヘテロ原子、又は、2価の有機基であることが好ましい。
が2価の有機基である場合、炭素原子に結合する水素原子は、フッ素以外のハロゲン、例えば塩素等で置き換えられてもよく、二重結合を含んでも含まなくてもよい。また、Rは、鎖状及び分岐状のいずれでもよく、環状及び非環状のいずれでもよい。また、Rは、官能基(例えば、エステル、エーテル、ケトン、アミン、ハロゲン化物等)を含んでもよい。
はまた、非フッ素の2価の有機基であってもよいし、部分フッ素化又は過フッ素化された2価の有機基であってもよい。
としては、例えば、炭素原子にフッ素原子が結合していない炭化水素基、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭化水素基、炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子で置換された炭化水素基、−(C=O)−、−(C=O)−O−、又は、−(C=O)−を含有する炭化水素基であってもよく、これらは酸素原子を含んでいてもよく、二重結合を含んでいてもよく、官能基を含んでいてもよい。
は、−(C=O)−、−(C=O)−O−、又は、エーテル結合を含んでいてもよく、カルボニル基を含んでいてもよい炭素数1〜100の炭化水素基であることが好ましく、該炭化水素基は、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されていてもよい。
として好ましくは、−(CH−、−(CF−、−O−(CF−、−(CF−O−(CF−、−O(CF−O−(CF−、−(CF−[O−(CF−、−O(CF−[O−(CF−、−[(CF−O]−[(CF−O]−、−O[(CF−O]−[(CF−O]−、−O−[CFCF(CF)O]−(CF−、−(C=O)−、−(C=O)−O−、−(C=O)−(CH−、−(C=O)−(CF−、−(C=O)−O−(CH−、−(C=O)−O−(CF−、−(C=O)−[(CH−O]−、−(C=O)−[(CF−O]−、−(C=O)−O[(CH−O]−、−(C=O)−O[(CF−O]−、−(C=O)−O[(CH−O]−(CH−、−(C=O)−O[(CF−O]−(CF−、−(C=O)−(CH−O−(CH−、−(C=O)−(CF−O−(CF−、−(C=O)−O−(CH−O−(CH−、−(C=O)−O−(CF−O−(CF−、−(C=O)−O−C−、及び、これらの組み合わせから選択される少なくとも1種である。
式中、a、b、c及びdは独立して少なくとも1以上である。a、b、c及びdは独立して、2以上であってよく、3以上であってよく、4以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってよい。a、b、c及びdの上限は、例えば、100である。
として好適な具体例としては、−CF−O−、−CF−O−CF−、−CF−O−CH−、−CF−O−CHCF−、−CF−O−CFCF−、−CF−O−CFCH−、−CF−O−CFCFCH−、−CF−O−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)CF−、−CF−O−CF(CF)CF−O−、−CF−O−CF(CF)CH−、−(C=O)−、−(C=O)−O−、−(C=O)−(CH)−、−(C=O)−(CF)−、−(C=O)−O−(CH)−、−(C=O)−O−(CF)−、−(C=O)−[(CH−O]−、−(C=O)−[(CF−O]−、−(C=O)−O[(CH−O]−、−(C=O)−O[(CF−O]−、−(C=O)−O[(CH−O]−(CH)−、−(C=O)−O[(CF−O]−(CF)−、−(C=O)−(CH−O−(CH)−、−(C=O)−(CF−O−(CF)−、−(C=O)−O−(CH−O−(CH)−、−(C=O)−O−(CF−O−(CF)−、−(C=O)−O−C−等が挙げられる。中でも、上記Rは、具体的には、−CF−O−、−CF−O−CF−、−CF−O−CFCF−、−CF−O−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)CF−、−CF−O−CF(CF)CF−O−、−(C=O)−、−(C=O)−O−、−(C=O)−(CH)−、−(C=O)−O−(CH)−、−(C=O)−O[(CH−O]−、−(C=O)−O[(CH−O]−(CH)−、−(C=O)−(CH−O−(CH)−、又は、−(C=O)−O−C−が好ましい。
上記式中、nは1〜10の整数である。
上記一般式(4)における−R−(CZ−としては、−CF−O−CF−、−CF−O−CF(CF)−、−CF−O−C(CF−、−CF−O−CF−CF−、−CF−O−CF−CF(CF)−、−CF−O−CF−C(CF−、−CF−O−CFCF−CF−、−CF−O−CFCF−CF(CF)−、−CF−O−CFCF−C(CF−、−CF−O−CF(CF)−CF−、−CF−O−CF(CF)−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)−C(CF−、−CF−O−CF(CF)−CF−、−CF−O−CF(CF)−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)−C(CF−、−CF−O−CF(CF)CF−CF−、−CF−O−CF(CF)CF−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)CF−C(CF−、−CF−O−CF(CF)CF−O−CF−、−CF−O−CF(CF)CF−O−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)CF−O−C(CF−、−(C=O)−、−(C=O)−O−、−(C=O)−(CH)−、−(C=O)−(CF)−、−(C=O)−O−(CH)−、−(C=O)−O−(CF)−、−(C=O)−[(CH−O]−(CH)−、−(C=O)−[(CF−O]−(CF)−、−(C=O)−[(CH−O]−(CH)−(CH)−、−(C=O)−[(CF−O]−(CF)−(CF)−、−(C=O)−O[(CH−O]−(CF)−、−(C=O)−O[(CH−O]−(CH)−(CH)−、−(C=O)−O[(CF−O]−(CF)−、−(C=O)−O[(CF−O]−(CF)−(CF)−、−(C=O)−(CH−O−(CH)−(CH)−、−(C=O)−(CF−O−(CF)−(CF)−、−(C=O)−O−(CH−O−(CH)−(CH)−、−(C=O)−O−(CF−O−(CF)−(CF)−、−(C=O)−O−(CH−O−(CH)−C(CF−、−(C=O)−O−(CF−O−(CF)−C(CF−、又は、−(C=O)−O−C−C(CF−が好ましく、−CF−O−CF(CF)−、−CF−O−CF−CF(CF)−、−CF−O−CFCF−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)CF−CF(CF)−、−CF−O−CF(CF)CF−O−CF(CF)−、−(C=O)−、−(C=O)−O−(CH)−、−(C=O)−O−(CH)−(CH)−、−(C=O)−O[(CH−O]−(CH)−(CH)−、−(C=O)−O−(CH−O−(CH)−C(CF−、又は、−(C=O)−O−C−C(CF−がより好ましい。
上記式中、nは1〜10の整数である。
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、
Figure 2020071503
(式中、X及びYは上記と同じ。nは1〜10の整数である。)等が挙げられる。
としては、下記一般式(r1):
−(C=O)−(O)−CF−O−(CX −{O−CF(CF)}−(O)− (r1)
(式中、Xはそれぞれ独立してH、F又はCFであり、eは0〜3の整数であり、fは0〜3の整数であり、gは0又は1であり、hは0又は1であり、iは0又は1である)で表される2価の基が好ましく、下記一般式(r2):
−(C=O)−(O)−CF−O−(CX −(O)− (r2)
(式中、Xはそれぞれ独立してH、F又はCFであり、eは0〜3の整数であり、gは0又は1であり、hは0又は1であり、iは0又は1である。)で表される2価の基も好ましい。
上記一般式(4)の−R−(CZ−としてはまた、下記式(t1):
−(C=O)−(O)−CF−O−(CX −{O−CF(CF)}−(O)−CZ− (t1)
(式中、Xはそれぞれ独立してH、F又はCFであり、eは0〜3の整数であり、fは0〜3の整数であり、gは0又は1であり、hは0又は1であり、iは0又は1であり、Z及びZは、それぞれ独立して、F又はCFである)で表される2価の基も好ましく、式(t1)において、Z及びZは、一方がFで他方がCFであることがより好ましい。
また、上記一般式(4)において、−R−(CZ−としては、下記式(t2):
−(C=O)−(O)−CF−O−(CX −(O)−CZ− (t2)
(式中、Xはそれぞれ独立してH、F又はCFであり、eは0〜3の整数であり、gは0又は1であり、hは0又は1であり、iは0又は1であり、Z及びZは、それぞれ独立して、H、F又はCFである)で表される2価の基も好ましく、式(t2)において、Z及びZは、一方がFで他方がCFであることがより好ましい。
一般式(4)で表される化合物は、親水基(Y)を除いて、C−F結合を有し、C−H結合を有していないことも好ましい。すなわち、一般式(4)において、X、X、及びXの全てがFであり、Rは炭素数が1以上のパーフルオロアルキレン基であることが好ましく、上記パーフルオロアルキレン基は、鎖状及び分岐状のいずれでもよく、環状及び非環状のいずれでもよく、少なくとも1つのカテナリーヘテロ原子を含んでもよい。上記パーフルオロアルキレン基の炭素数は、2〜20であってよく、4〜18であってもよい。
一般式(4)で表される化合物は、部分フッ素化されたものであってもよい。すなわち、一般式(4)で表される化合物は、親水基(Y)を除いて、炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子を有し、炭素原子に結合した少なくとも1つのフッ素原子を有することも好ましい。
一般式(4)で表される化合物は、下記式(4a)で示される化合物であることも好ましい。
CF=CF−O−Rf−Y (4a)
(式中、Yは親水基であり、Rfは、過フッ素化されており、鎖状又は分岐状、環状又は非環状構造、飽和又は不飽和、置換又は非置換であってもよく、硫黄、酸素、及び窒素からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意追加的に含有する過フッ素化二価連結基である。)
一般式(4)で表される化合物は、下記式(4b)で示される化合物であることも好ましい。
CH=CH−O−Rf−Y (4b)
(式中、Yは親水基であり、Rfは式(4a)で定義される過フッ素化二価連結基である。)
一般式(4)において、Yは−OSOMであることが好ましい形態の一つである。Yが−OSOMである場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFCHOSOM)、CH=CH((CFCHOSOM)、CF=CF(O(CFCHOSOM)、CF=CF(OCFCF(CF)CHOSOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFCHOSOM)、CH=CH((CFCHOSOM)、CF=CF(OCFCFSON(CH)CHCHOSOM)、CH=CH(CFCFCHOSOM)、CF=CF(OCFCFCFCFSON(CH)CHCHOSOM)、CH=CH(CFCFCHOSOM)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
一般式(4)において、Yは−SOMであることも好ましい形態の一つである。Yが−SOMである場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFSOM)、CF=CF(O(CFSOM)、CF=CF(OCFCF(CF)SOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFSOM)、CH=CH(CFCFSOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFCFCFSOM)、CH=CH((CFSOM)、CH=CH(CFCFSOM)、CH=CH((CFSOM)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
一般式(4)において、Yは−COOMであることも好ましい形態の一つである。Yが−COOMである場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFCOOM)、CF=CF(OCFCFCFCOOM)、CF=CF(O(CFCOOM)、CF=CF(OCFCF(CF)COOM)、CF=CF(OCFCF(CF)O(CFCOOM)(nは1より大きい)、CH=CH(CFCFCOOM)、CH=CH((CFCOOM)、CH=CH(CFCFCOOM)、CH=CH((CFCOOM)、CF=CF(OCFCFSONR’CHCOOM)、CF=CF(O(CFSONR’CHCOOM)、CF=CF(OCFCF(CF)SONR’CHCOOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFSONR’CHCOOM)、CH=CH(CFCFSONR’CHCOOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFCFCFSONR’CHCOOM)、CH=CH((CFSONR’CHCOOM)、CH=CH(CFCFSONR’CHCOOM)、CH=CH((CFSONR’CHCOOM)等が挙げられる。上記式中、R’はH又はC1−4アルキル基であり、Mは上記と同じである。
一般式(4)において、Yは−OPOMであることも好ましい形態の一つである。Yが−OPOMである場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFCHOP(O)(OM))、CF=CF(O(CFCHOP(O)(OM))、CF=CF(OCFCF(CF)CHOP(O)(OM))、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFCHOP(O)(OM))、CF=CF(OCFCFSON(CH)CHCHOP(O)(OM))、CF=CF(OCFCFCFCFSON(CH)CHCHOP(O)(OM))、CH=CH(CFCFCHOP(O)(OM)、CH=CH((CFCHOP(O)(OM))、CH=CH(CFCFCHOP(O)(OM))、CH=CH((CFCHOP(O)(OM))等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
一般式(4)において、Yは−POMであることも好ましい形態の一つである。Yが−POMである場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFP(O)(OM))、CF=CF(O(CFP(O)(OM))、CF=CF(OCFCF(CF)P(O)(OM))、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFP(O)(OM))、CH=CH(CFCFP(O)(OM))、CH=CH((CFP(O)(OM))、CH=CH(CFCFP(O)(OM))、CH=CH((CFP(O)(OM))等が挙げられ、式中、Mは上記と同じである。
上記一般式(4)で表される化合物としては、下記一般式(5):
CX=CY(−CZ−O−Rf−Y) (5)
(式中、Xは、同一又は異なって、−H又は−Fであり、Yは−H、−F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、−H、−F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Yは、前記と同じである。)で表される単量体、下記一般式(6):
CX=CY(−O−Rf−Y) (6)
(式中、Xは、同一又は異なって、−H又は−Fであり、Yは−H、−F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Yは、前記と同じである。)で表される単量体、及び、下記一般式(7):
CX=CY(−Rf−Y) (7)
(式中、Xは、同一又は異なって、−H又は−Fであり、Yは−H、−F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Yは、前記と同じである。)で表される単量体、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なお、上記炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
上記一般式(5)において、Xは−H又は−Fである。Xは、両方が−Fであってもよいし、少なくとも1つが−Hであってよい。例えば、片方が−Fで他方が−Hであってもよいし、両方が−Hであってもよい。
上記一般式(5)において、Yは−H、−F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Yとしては、−H、−F又は−CFが好ましく、−Fがより好ましい。
上記一般式(5)において、Zは、同一又は異なって、−H、−F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Zとしては、−H、−F又は−CFが好ましく、−Fがより好ましい。
上記一般式(5)において、上記X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。例えば、Xが−Hであり、Y及びZが−Fであってよい。
上記一般式(5)において、上記Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。
上記含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。上記含フッ素アルキレン基としては、−CF−、−CHCF−、−CFCF−、−CFCH−、−CFCFCH−、−CF(CF)−、−CF(CF)CF−、−CF(CF)CH−等が挙げられる。上記含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は3以上が好ましい。また、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基としては、例えば、下記式:
Figure 2020071503
(式中、ZはFまたはCF;Z及びZはそれぞれHまたはF;ZはH、FまたはCF;p1+q1+r1が1〜10の整数;s1は0または1;t1は0〜5の整数)で表される2価の基であることも好ましい。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基として具体的には、−CF(CF)CF−O−CF(CF)−、−(CF(CF)CF−O)−CF(CF)−(式中、nは1〜10の整数)、−CF(CF)CF−O−CF(CF)CH−、−(CF(CF)CF−O)−CF(CF)CH−(式中、nは1〜10の整数)、−CHCFCFO−CHCFCH−、−CFCFCFO−CFCF−、−CFCFCFO−CFCFCH−、−CFCFO−CF−、−CFCFO−CFCH−等が挙げられる。上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
上記一般式(5)において、Yは、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR7y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R7yは、H又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)である。
7yにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。
7yとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記Mとしては、−H、金属原子又は−NR7y が好ましく、−H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は−NR7y がより好ましく、−H、−Na、−K、−Li又は−NHが更に好ましく、−Na、−K又は−NHが更により好ましく、−Na又は−NHが特に好ましく、−NHが最も好ましい。
上記Yとしては、−COOM又は−SOMが好ましく、−COOMがより好ましい。
一般式(5)で表される単量体は、下記一般式(5a)で表される単量体(5a)であることが好ましい。
CH=CF(−CF−O−Rf−Y) (5a)
(式中、Rf及びYは前記と同じ。)
一般式(5a)で表される単量体として具体的には、下記式
Figure 2020071503
(式中、ZはFまたはCF;Z及びZはそれぞれHまたはF;ZはH、FまたはCF;p1+q1+r1が0〜10の整数;s1は0または1;t1は0〜5の整数、Yは前記と同じ。ただし、Z及びZがともにHの場合、p1+q1+r1+s1が0でない)で表される単量体が挙げられる。より具体的には、
Figure 2020071503
などが好ましく挙げられ、なかでも
Figure 2020071503
であることが好ましい。
上記一般式(5a)で表される単量体としては、式(5a)中のYが−COOMであることが好ましく、特に、CH=CFCFOCF(CF)COOM、及び、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CH=CFCFOCF(CF)COOMがより好ましい。
一般式(5)で表される単量体は、下記一般式(5b)で表される単量体(5b)であることが好ましい。
CX =CFCF−O−(CF(CF)CFO)n5−CF(CF)−Y (5b)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は、0又は1〜10の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)
上記式(5b)において、上記n5は、得られる水性分散液の安定性の点で0又は1〜5の整数であることが好ましく、0、1又は2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。上記Yは、適度な水溶性と水性分散液の安定性が得られる点で−COOMであることが好ましく、上記Mは、不純物として残留しにくく、得られた成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(5b)で表されるパーフルオロビニルアルキル化合物としては、例えば、CH=CFCFOCF(CF)COOM、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
また、一般式(5)で表される単量体としては、下記一般式(5c)で表される単量体等も挙げられる。
CF=CFCF−O−Rf−Y (5c)
(式中、Rf及びYは上記と同じ)
より具体的には、
Figure 2020071503
等が挙げられる。
上記一般式(6)において、Xは−H又は−Fである。Xは、両方が−Fであってもよいし、少なくとも1つが−Hであってよい。例えば、片方が−Fで他方が−Hであってもよいし、両方が−Hであってもよい。
上記一般式(6)において、Yは−H、−F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Yとしては、−H、−F又は−CFが好ましく、−Fがより好ましい。
上記一般式(6)において、上記X及びYの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。例えば、Xが−Hであり、Y及びZが−Fであってよい。
上記一般式(6)において、上記Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。
上記含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、含フッ素アルキレン基の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。上記含フッ素アルキレン基としては、−CF−、−CHCF−、−CFCF−、−CFCH−、−CFCFCH−、−CF(CF)−、−CF(CF)CF−、−CF(CF)CH−等が挙げられる。上記含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
上記一般式(6)で表される単量体は、下記一般式(6a)、(6b)、(6c)、(6d)および(6e)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
CF=CF−O−(CFn1−Y (6a)
(式中、n1は、1〜10の整数を表し、Yは、−SO又は−COOMを表し、Mは、H、金属原子、NR7y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R7yは、H又は有機基を表す。)
CF=CF−O−(CFC(CF)F)n2−Y (6b)
(式中、n2は、1〜5の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)
CF=CF−O−(CFXn3−Y (6c)
(式中、Xは、F又はCFを表し、n3は、1〜10の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)
CF=CF−O−(CFCFXO)n4−CFCF−Y (6d)
(式中、n4は、1〜10の整数を表し、Y及びXは、前記定義と同じ。)
CF=CF−O−(CFCFCFXO)n5−CFCFCF−Y (6e)
(式中、n5は、0〜10の整数を表し、Y及びXは、前記定義と同じ。)
上記式(6a)において、上記n1は、5以下の整数であることが好ましく、2以下の整数であることがより好ましい。上記Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性を得られる点で、−COOMであることが好ましく、Mは、不純物として残留しにくく、得られる成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(6a)で表される単量体としては、例えば、CF=CF−O−CFCOOM(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
上記式(6b)において、上記n2は、得られる水性分散液の安定性の点で、3以下の整数であることが好ましく、Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性が得られる点で、−COOMであることが好ましく、Mは、不純物として残留しにくく、得られる成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(6c)において、上記n3は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、上記Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性が得られる点で、−COOMであることが好ましく、上記Mは、分散安定性がよくなる点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(6d)において、上記Xは、水性分散液の安定性の点で、−CFであることが好ましく、上記n4は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、上記Yは、適度な水溶性と水性分散液の安定性が得られる点で−COOMであることが好ましく、上記Mは、H又はNHであることが好ましい。
上記式(6d)で表される単量体としては、例えば、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOM(式中、Mは、H、NH又はアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
一般式(6e)において、上記n5は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、上記Yは、適度な水溶性と水性分散液の安定性が得られる点で−COOMであることが好ましく、上記Mは、H又はNHであることが好ましい。
一般式(6e)で表される単量体としては、例えば、CF=CFOCFCFCFCOOM(式中、Mは、H、NH又はアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
上記一般式(7)において、Rfは、炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基であることが好ましい。一般式(7)において、X及びYの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。
上記一般式(7)で表される単量体は、下記一般式(7a):
CF=CF−(CFn1−Y (7a)
(式中、n1は、1〜10の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)で表される単量体、及び、下記一般式(7b):
CF=CF−(CFC(CF)F)n2−Y (7b)
(式中、n2は、1〜5の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記Yは、−SO又は−COOMが好ましく、Mは、H、金属原子、NR7y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであることが好ましい。上記R7yは、H又は有機基を表す。
上記式(7a)において、上記n1は、5以下の整数であることが好ましく、2以下の整数であることがより好ましい。上記Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性を得られる点で、−COOMであることが好ましく、Mは、不純物として残留しにくく、得られる成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(7a)で表されるパーフルオロビニルアルキル化合物としては、例えば、CF=CFCFCOOM(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
上記式(7b)において、上記n2は、得られる水性分散液の安定性の点で、3以下の整数であることが好ましく、Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性が得られる点で、−COOMであることが好ましく、Mは、不純物として残留しにくく、得られる成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記変性モノマーは、変性モノマー(A)を含むことが好ましく、一般式(5c)、一般式(6a)、一般式(6b)、一般式(6c)、及び、一般式(6d)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、一般式(5c)で表される化合物を含むことがより好ましい。
上記変性モノマーが上記変性モノマー(A)を含む場合、変性モノマー(A)に基づく重合単位の含有量は、PTFEの全重合単位に対して、0.00001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%がより好ましい。
上記PTFEは、コアシェル構造を有していてもよい。上記コアシェル構造とは、従来公知の構造であり、米国特許第6841594号明細書に記載された方法等で製造することができる水性分散液中の一次粒子の構造である。
コアシェル構造を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば、TFE単独重合体のコア部と変性PTFEのシェル部とを含むコアシェル構造、変性PTFEのコア部とTFE単独重合体のシェル部とを含むコアシェル構造、変性PTFEのコア部と、該コア部を構成する変性PTFEとは異なる単量体組成を有する変性PTFEのシェル部とを含むコアシェル構造が挙げられる。
上記コアシェル構造のPTFEは、例えば、先ずTFE及び必要に応じて変性モノマーを重合してコア部(TFE単独重合体又は変性PTFE)を製造し、次いで、TFE及び必要に応じて変性モノマーを重合してシェル部(TFE単独重合体又は変性PTFE)を製造することによって得ることができる。
上記シェル部は、PTFE一次粒子表面から粒子内部への所定の厚みを構成している部分を意味し、コア部は、シェル部の内部を構成している部分を意味する。
本明細書において、上記コアシェル構造には、(1)コア部とシェル部とが異なるモノマー組成を有するもの、(2)コア部とシェル部とが同一のモノマー組成を有し、かつ、両部の数平均分子量が異なるもの、(3)コア部とシェル部とが異なるモノマー組成を有し、かつ、両部の数平均分子量も異なるもの、のすべてが含まれる。
シェル部が変性PTFEである場合、シェル部における変性モノマーの含有量は、0.00001〜1.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.0001質量%以上であり、更に好ましくは0.001質量%以上であり、更により好ましくは0.01質量%以上である。また、より好ましくは0.50質量%以下であり、更に好ましくは0.30質量%以下である。
コア部が変性PTFEである場合、コア部における変性モノマーの含有量は、0.00001〜1.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.0001質量%以上であり、更に好ましくは0.001質量%以上である。また、より好ましくは0.50質量%以下であり、更に好ましくは0.30質量%以下である。
上記PTFEは、平均一次粒子径が500nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、350nm以下であることが更に好ましい。本開示の製造方法により、平均一次粒子径が小さいPTFEを得ることができる。平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、例えば、50nmでもよいし、100nmであってよい。分子量の観点からは、例えば高分子量PTFEの場合、100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
上記平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。上記平均一次粒子径は、固形分濃度約1.0質量%に調整したPTFE水性分散液を作成し、動的光散乱法を使用して、25℃、溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・s、積算70回にて測定できる。動的光散乱法としては、例えばELSZ−1000S(大塚電子株式会社製)が使用できる。
上記PTFEは、一次粒子のアスペクト比が1.45以下であることが好ましい。上記アスペクト比は、1.40以下がより好ましく、1.35以下が更に好ましく、1.30以下が更により好ましく、1.25以下が殊更好ましく、1.20以下が特に好ましく、1.15以下が殊更特に好ましい。
水性分散液中で測定する場合は、上記アスペクト比は、固形分濃度が約1質量%となるように希釈したPTFE水性分散液を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に抽出した400個以上の粒子について画像処理を行い、その長径と短径の比の平均より求める。粉末で測定する場合、上記アスペクト比は、PTFE粉末に電子線を照射後、フッ素系界面活性剤水溶液に添加して、超音波にて再分散させることで、PTFE水性分散液を得ることが出来る。このPTFE水性分散液から上記水性分散液で測定する方法と同じ方法でアスペクト比を求める。
上記PTFEは、標準比重(SSG)が2.280以下であることが好ましく、2.200以下であることがより好ましく、2.190以下であることが更に好ましく、2.180以下であることが更により好ましい。また、2.130以上であることが好ましい。上記SSGは、ASTM D 4895−89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D−792に準拠した水置換法により測定する。
上記PTFEは、熱不安定指数(TII)が20以上であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。TIIは、25以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、35以上であることが更に好ましい。40以上であることが特に好ましい。上記TIIは、ASTM D 4895−89に準拠して測定する。
上記PTFEは、0.1%質量減少温度が400℃以下であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記0.1%質量減少温度は、下記方法にて測定した値である。
300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFEの粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定する。0.1%質量減少温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、0.1mass%の重量減少した点に対応する温度とした。
上記PTFEは、1.0%質量減少温度が492℃以下であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記1.0%質量減少温度は、下記方法にて測定した値である。
300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFEの粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定する。1.0%質量減少温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、1.0mass%の重量減少した点に対応する温度とした。
上記PTFEは、ピーク温度が342℃以下であることが好ましく、341℃以下であることがより好ましく、340℃以下が更に好ましい。上記ピーク温度は、下記方法にて測定した値である。
300℃以上の温度に加熱した履歴のない粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定する。ピーク温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、示差熱(DTA)曲線の極大値に対応する温度とした。
上記PTFEは、押出圧が50.0MPa以下であることが好ましく、40.0MPa以下であることがより好ましく、5.0MPa以上であることが好ましく、10.0MPa以上であることがより好ましく、15.0MPa以上であることが更に好ましい。上記押出圧は、下記方法で求めた値である。
PTFEの粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。押出圧は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値である。
上記PTFEは、通常、延伸性、フィブリル化特性および非溶融二次加工性を有する。
上記非溶融二次加工性とは、ASTM D−1238及びD 2116に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質、すなわち溶融温度領域でも容易に流動しない性質を意味する。
本開示の製造方法は、炭化水素系界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン及び変性モノマーを重合することによりポリテトラフルオロエチレンを得る重合工程を含む。
上記重合工程における重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするPTFEの分子量、反応速度によって適宜決定される。
例えば、重合温度が10〜150℃であることが好ましい。重合温度は、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。
重合圧力が0.05〜10MPaであることが好ましい。重合圧力は、0.3MPa以上がより好ましく、0.5MPa以上が更に好ましい。また、5.0MPa以下がより好ましく、3.0MPa以下が更に好ましい。特に、PTFEの得量を向上させる観点からは、1.0MPa以上が好ましく、1.2MPa以上がより好ましく、1.5MPa以上が更により好ましく、1.8MPa以上が殊更に好ましく、2.0MPa以上が特に好ましい。
上記重合工程において、重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、水性媒体に対して50ppm超である。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、好ましくは60ppm以上であり、より好ましくは70ppm以上であり、更に好ましくは80ppm以上であり、更により好ましくは100ppm以上であり、殊更に好ましくは150ppm以上であり、特に好ましくは200ppm以上であり、最も好ましくは300ppm以上である。上限は特に限定されないが、例えば、10000ppmであることが好ましく、5000ppmであることがより好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、上記範囲であることによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができる。また、未凝析ポリマー量がより少ない水性分散液を得ることができる。更に、一次粒子のアスペクト比をより小さくすることもできる。
重合は、反応器中の気体フルオロモノマーがポリテトラフルオロエチレンになり、反応器中の圧力降下が起こる時に開始したということができる。米国特許第3,391,099号明細書(Punderson)には、重合プロセスの2つの別個の段階、まず、核形成部位としてのポリマー核の形成、および次に、確立された粒子の重合を含む成長段階からなる、水性媒体中のテトラフルオロエチレンの分散重合が開示されている。なお、重合は通常、重合されるモノマーと重合開始剤との両方が反応器に充填された時に開始される。また、本開示では、核形成部位の形成に関する添加剤を核形成剤とする。
上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤の存在下、テトラフルオロエチレンと変性モノマーとの重合を水性媒体中で行う工程であり、上記工程において、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程を含むことも好ましい。
炭化水素系界面活性剤を連続的に添加するとは、例えば、炭化水素系界面活性剤を一括ではなく、経時的に、かつ、間断なく又は分割して、添加することである。
炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、水性媒体中に形成されるPTFEの濃度が0.60質量%未満であるときに、炭化水素系界面活性剤を水性媒体中に添加し始めることが好ましい。上記炭化水素系界面活性剤は、上記濃度が0.50質量%以下であるときに添加し始めることがより好ましく、0.36質量%以下であるときに添加し始めることが更に好ましく、0.30質量%以下であるときに添加し始めることが更により好ましく、0.20質量%以下であるときに添加し始めることが殊更に好ましく、0.10質量%以下であるときに添加し始めることが特に好ましく、重合開始とともに、添加し始めることが最も好ましい。上記濃度は、水性媒体及びPTFEの合計に対する濃度である。
上記工程を含むことによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができる。また、未凝析ポリマー量がより少ない水性分散液を得ることができる。更に、一次粒子のアスペクト比をより小さくすることもできる。
上記炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、上記炭化水素系界面活性剤の添加量は、水性媒体100質量%に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.05質量%であり、更に好ましい下限は0.1質量%であり、より好ましい上限は5質量%であり、更に好ましい上限は1質量%である。
上記炭化水素系界面活性剤の存在下、テトラフルオロエチレンと変性モノマーとの重合を水性媒体中で行う工程において、炭化水素系界面活性剤の量は、多いことが好ましく、水性媒体100質量%に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.1質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。
本開示の製造方法は、更に、重合開始前、又は、水性媒体中に形成するPTFEの濃度が5.0質量%以下であるときに、変性モノマーを水性媒体中に添加する工程を含むことが好ましい。重合初期に変性モノマーを添加することによって、平均一次粒子径が小さく、一次粒子のアスペクト比が小さく、安定性に優れる水性分散液を得ることができる。すなわち、上記変性モノマーは、重合開始前に添加してもよいし、重合開始と同時に添加してもよいし、重合を開始した後、PTFE粒子の核が形成される期間に変性モノマーを添加すればよく、例えば、PTFEの濃度が5.0質量%以下であるときに添加することが好ましい。
重合開始前、又は、水性媒体中に形成するPTFEの濃度が5.0質量%以下であるときに添加する変性モノマーの量は、得られるポリテトラフルオロエチレンに対して0.00001質量%以上が好ましく、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.003質量%以上であることが更に好ましい。上限は限定されるものではないが、例えば、1.0質量%である。
上記重合工程において、PTFE粒子の数が6.0×1012個/mL以上であることが好ましい。重合初期のPTFE粒子(核)の数を多くすることによって、平均一次粒子径が小さく、一次粒子のアスペクト比が小さく、安定性に優れる水性分散液を得ることができる。上記PTFE粒子の数は、7.0×1012個/mL以上であることがより好ましく、8.0×1012個/mL以上であることが更に好ましく、9.0×1012個/mL以上であることが更により好ましく、1.0×1013個/mL以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、7.0×1014個/mLである。
上記重合工程においては、0.6×1013個/ml以上のPTFE粒子を発生させることが好ましい。重合工程において多数の粒子を発生させることによって、平均一次粒子径が小さく、アスペクト比が小さい一次粒子が得られ、安定性に優れる水性分散液を得ることができる。発生させるPTFE粒子の数としては、0.7×1013個/mL以上であることがより好ましく、0.8×1013個/mL以上であることが更に好ましく、0.9×1013個/mL以上であることが更により好ましく、1.0×1013個/mL以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、7.0×1014個/mLである。
PTFE粒子は重合前半に集中して発生し、重合後半に発生しにくいことから、重合工程におけるPTFE粒子数は、重合前半に発生する粒子数とほぼ同じである。したがって、重合工程におけるPTFE粒子数は、最終的に得られるPTFE水性分散液中の一次粒子の数を測定することにより、予測することができる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、例えば、特表2013−542308号公報、特表2013−542309号公報、特表2013−542310号公報に記載されているもの等を使用することができる。
上記炭化水素系界面活性剤は、同じ分子上に親水性部分及び疎水性部分を有する界面活性剤であってよい。これらは、カチオン性、非イオン性またはアニオン性であってよい。
カチオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、アルキル化臭化アンモニウムなどのアルキル化ハロゲン化アンモニウムなどの正に帯電した親水性部分と、長鎖脂肪酸などの疎水性部分を有する。
アニオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩などの親水性部分と、アルキルなどの長鎖炭化水素部分である疎水性部分とを有する。
非イオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、帯電した基を含まず、長鎖炭化水素である疎水性部分を有する。非イオン性界面活性剤の親水性部分は、エチレンオキシドとの重合から誘導されるエチレンエーテルの鎖などの水溶性官能基を含む。
非イオン性炭化水素系界面活性剤の例
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルエステルの具体例:ポリエチレングリコールモノラウリレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等。
ソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等。
ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等。
グリセロールエステルの具体例:モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等。
上記誘導体の具体例:ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等。
上記エーテル及びエステルは、10〜18のHLB値を有してよい。
非イオン性炭化水素系界面活性剤としては、Dow Chemical Company製のTriton(登録商標)Xシリーズ(X15、X45、X100等)、Tergitol(登録商標)15−Sシリーズ、Tergitol(登録商標)TMNシリーズ(TMN−6、TMN−10、TMN−100等)、Tergitol(登録商標)Lシリーズ、BASF製のPluronic(登録商標)Rシリーズ(31R1、17R2、10R5、25R4(m〜22、n〜23)、Iconol(登録商標)TDAシリーズ(TDA−6、TDA−9、TDA−10)等が挙げられる。
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Resolution Performance ProductsのVersatic(登録商標)10、BASF製のAvanel Sシリーズ(S−70、S−74等)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、R−L−M(式中、Rが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成してもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5Z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5Zは、H又は有機基、−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
具体的には、ラウリル酸に代表されるようなCH−(CH−L−M(式中、nが、6〜17の整数である。LおよびMが、上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
が、12〜16個の炭素原子を有するアルキル基であり、L−Mが、硫酸塩又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)であるものの混合物も使用できる。
その他の界面活性能を有する化合物としては、R6Z(−L−M)(式中、R6Zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキレン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成してもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5Z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5Zは、H又は有機基、−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、R7Z(−L−M)(式中、R7Zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキリジン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキリジン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成してもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5Z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5ZはH又は有機基である。−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記R5zはH又はアルキル基が好ましく、H又は炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
本明細書中、特に断りのない限り、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、又は、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
上記炭化水素系界面活性剤としては、シロキサン炭化水素系界面活性剤も挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤としては、Silicone Surfactants,R.M.Hill,Marcel Dekker,Inc.,ISBN:0−8247−00104に記載されているものが挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造は、明確な疎水性部分および親水性部分を含む。疎水性部分は、1つ以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含み、ここで、シリコーン原子上の置換基が、完全に炭化水素である。
ヒドロカルビル基の炭素原子が、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換されるという意味では、これらのシロキサン炭化水素系界面活性剤は、炭化水素系界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基の炭素原子上の一価置換基は水素である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、リン酸エステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホサクシネート、タウレート(遊離酸、塩またはエステルとしての)、ホスフィンオキシド、ベタイン、ベタインコポリオール、第4級アンモニウム塩などのイオン性基を含む1つ以上の極性部分を含んでもよい。イオン性疎水性部分は、イオン的に官能化されたシロキサングラフトも含み得る。
このようなシロキサン炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン−グラフト−(メタ)アクリル酸塩、ポリジメチルシロキサン−グラフト−ポリアクリレート塩およびポリジメチルシロキサングラフト化第4級アミンが挙げられる。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分の極性部分は、ポリエチレンオキシド(PEO)、および混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテル(PEO/PPO)などのポリエーテル;単糖類および二糖類;およびピロリジノンなどの水溶性複素環によって形成される非イオン性基を含み得る。エチレンオキシド対プロピレンオキシド(EO/PO)の比率は、混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルにおいて変化され得る。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、イオン性部分と非イオン性部分との組合せも含み得る。このような部分としては、例えば、イオン的に末端官能化されたまたはランダムに官能化されたポリエーテルまたはポリオールが挙げられる。本開示の実施に好ましいのは、非イオン性部分を有するシロキサン、すなわち、非イオン性シロキサン界面活性剤である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造の疎水性および親水性部分の配置は、ジブロックポリマー(AB)、トリブロックポリマー(ABA)(ここで、「B」は、分子のシロキサン部分を表す)、またはマルチブロックポリマーの形態をとってもよい。あるいは、シロキサン界面活性剤は、グラフトポリマーを含んでいてもよい。
シロキサン炭化水素系界面活性剤については、米国特許第6,841,616号明細書にも開示されている。
シロキサンベースのアニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Lubrizol Advanced Materials,Inc.のNoveon(登録商標)Consumer Specialtiesから入手可能なSilSenseTMPE−100シリコーン、SilSenseTMCA−1シリコーン等が挙げられる。
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCのスルホサクシネート界面活性剤Lankropol(登録商標)K8300等も挙げられる。
スルホサクシネート界面活性剤としては、スルホコハク酸ジイソデシルNa塩、(ClariantのEmulsogen(登録商標)SB10)、スルホコハク酸ジイソトリデシルNa塩(Cesapinia ChemicalsのPolirol(登録商標)TR/LNA)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、Omnova Solutions,Inc.のPolyFox(登録商標)界面活性剤(PolyFoxTMPF−156A、PolyFoxTMPF−136A等)も挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性炭化水素系界面活性剤であることが好ましい。アニオン性炭化水素系界面活性剤としては上述したものを採用できるが、例えば、下記のアニオン性炭化水素系界面活性剤を好適に採用できる。
上記アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、例えば、下記式(α):
100−COOM (α)
(式中、R100は、1個以上の炭素原子を含有する1価の有機基である。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R101はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)で示される化合物(α)が挙げられる。R101の有機基としてはアルキル基が好ましい。R101としてはH又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
界面活性能の観点から、R100の炭素数は2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、水溶性の観点から、R100の炭素数は、29個以下であることが好ましく、23個以下がより好ましい。
上記Mの金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Mとしては、H、金属原子又はNR101 が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR101 がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
上記化合物(α)としては、R102−COOM(式中、R102が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基、若しくは、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成してもよい。Mは上記と同じ。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。具体的には、CH−(CH−COOM(式中、nが、2〜28の整数である。Mは上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
上記化合物(α)は、乳化安定性の観点で、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を含まないものであってもよい。
上記カルボニル基を含まない炭化水素含有界面活性剤としては、例えば、下記式(A):
103−COO−M (A)
(式中、R103は、6〜17個の炭素原子を含有するアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。R101は、同一又は異なって、H又は有機基である。)の化合物が好ましく例示される。
上記式(A)において、R103は、アルキル基又はアルケニル基(これらはエーテル基を含んでいてもよい)であることが好ましい。上記R103におけるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。上記R103の炭素数は限定されないが、例えば、2〜29である。
上記アルキル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は3〜29であることが好ましく、5〜23であることがより好ましい。上記アルキル基が分岐状である場合、R103の炭素数は5〜35であることが好ましく、11〜23であることがより好ましい。
上記アルケニル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は2〜29であることが好ましく、9〜23であることがより好ましい。上記アルケニル基が分岐状である場合、R103の炭素数は4〜29であることが好ましく、9〜23であることがより好ましい。
上記アルキル基及びアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ビニル基等が挙げられる。
上記化合物(α)(カルボン酸型炭化水素系界面活性剤)としては、例えば、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8、11−エイコサジエン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
特に、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
上記界面活性剤(α)(カルボン酸型炭化水素系界面活性剤)としては、重合により平均一次粒子径の小さい粒子が得られ、また、重合の際に多数の粒子を発生させ、効率よくポリテトラフルオロエチレンを製造できることから、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ラウリン酸及びその塩がさらに好ましく、ラウリン酸の塩が特に好ましく、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸アンモニウムが最も好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤としては、下記一般式(1):
Figure 2020071503
(式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。
また、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基;
は、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基;
を表す。
〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(以下、界面活性剤(1)ともいう)が好ましく例示される。
界面活性剤(1)について説明する。
式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。R〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
としての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
としての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
一価の置換基としては、一般式:−Y−Rで示される基、一般式:−X−Aで示される基、−H、置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基、−NH、−NHR(Rは有機基)、−OH、−COOR(Rは有機基)又は−OR(Rは有機基)が好ましい。上記アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。
としては、C1−10のアルキル基又はC1−10のアルキルカルボニル基が好ましく、C1−4のアルキル基又はC1−4のアルキルカルボニル基がより好ましい。
式中、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手を表す。
がカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基のいずれをも含まない場合は、Xはカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基であることが好ましい。
Xとしては、−CO−、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−S(=O)−O−、−O−S(=O)−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む2価の連結基、C1−10のアルキレン基、又は、結合手が好ましい。RはH又は有機基を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、RはH又は有機基である。4つのRは、同一でも異なっていてもよい。)を表す。一般式(1)において、Aは−COOMであることが好適な態様の一つである。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Mとしては、H、金属原子又はNR が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
式中、Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基を表す。
Yとしては、結合手、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基が好ましく、結合手、−COO−及び−OCO−からなる群より選択される2価の連結基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Rは、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。上記Rの有機基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。
のアルキル基は、炭素−炭素原子間にカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を1又は2以上含むことができるが、上記アルキル基の末端にこれらの基を含まない。上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−R11で示される基、
一般式:−R10−NRCO−R11で示される基、又は、
一般式:−R10−CONR−R11で示される基、
(式中、RはH又は有機基を表す。R10はアルキレン基、R11は置換基を有してもよいアルキル基)が好ましい。
としては、一般式:−R10−CO−R11で示される基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
10のアルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、20以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。また、R10のアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、3〜10が更に好ましい。
11のアルキル基の炭素数は、1〜20であってよく、1〜15が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜8が更により好ましく、1〜6が殊更好ましく、1〜3が尚更に好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。また、上記R11のアルキル基は、1級炭素、2級炭素、3級炭素のみで構成されていることが好ましく、1級炭素、2級炭素のみで構成されるのが特に好ましい。すなわち、R11としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、特にメチル基が最も好ましい。
一般式(1)において、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基であり、該Aは−COOMであることも好適な態様の一つである。
界面活性剤(1)としては、一般式(1−1)で示される化合物、一般式(1−2)で示される化合物又は一般式(1−3)で示される化合物が好ましく、一般式(1−1)で示される化合物又は一般式(1−2)で示される化合物がより好ましい。
一般式(1−1):
Figure 2020071503
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1−2):
Figure 2020071503
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1−3):
Figure 2020071503
(式中、R、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式:−X−Aで示される基としては、
−COOM、
−R12COOM、
−SOM、
−OSOM、−R12SOM、
−R12OSOM、
−OCO−R12−COOM、
−OCO−R12−SOM、
−OCO−R12−OSO
−COO−R12−COOM、
−COO−R12−SOM、
−COO−R12−OSOM、
−CONR−R12−COOM、
−CONR−R12−SOM、
−CONR−R12−OSOM、
−NRCO−R12−COOM、
−NRCO−R12−SOM、
−NRCO−R12−OSOM、
−OS(=O)−R12−COOM、
−OS(=O)−R12−SOM、又は
−OS(=O)−R12−OSO
(式中、R及びMは、上記のとおり。R12はC1−10のアルキレン基。)が好ましい。
上記R12のアルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
一般式:−Y−Rで示される基としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−COO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−COO−R11で示される基、
一般式:−NRCO−R10−CO−R11で示される基、又は、
一般式:−CONR−R10−NRCO−R11で示される基
(式中、R、R10及びR11は上記のとおり。)が好ましい。
式中、R及びRとしては、独立に、H又はC1−4のアルキル基が好ましい。
上記R及びRのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1−1)におけるRとしては、H又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、Hが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1−3)におけるRとしては、H、OH又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H、OH又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、H又はOHが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤としては、下記式(1−0A):
Figure 2020071503
(式中、R1A〜R5Aは、H、炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基、又は、一般式:−X−Aで示される基である。但し、R2A及びR5Aの少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基を表す。
は、各出現において同一又は異なって、2価の炭化水素基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
1A〜R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(1−0A)等も挙げられる。
一般式(1−0A)中、R1A〜R5Aにおいて、炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基の炭素数は1〜50であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。R1A〜R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。上記炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
式中、Xにおいて、2価の炭化水素基の炭素数は1〜50であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。上記2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルカンジイル基等が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
一般式(1−0A)中、R2A及びR5Aのいずれか1つが、上記一般式:−X−Aで示される基であることが好ましく、R2Aが上記一般式:−X−Aで示される基であることがより好ましい。
一般式(1−0A)中、好適な態様としては、R2Aが、一般式:−X−Aで示される基であり、R1A、R3A、R4A及びR5AがHである態様である。この場合、Xは結合手又は炭素数1〜5のアルキレン基であることが好ましい。
一般式(1−0A)中、好適な態様としてはまた、R2Aが、一般式:−X−Aで示される基であり、R1A及びR3Aが−Y−Rで示される基であり、Yは、各出現において同一又は異なって、−COO−、−OCO−、又は、結合手であり、Rは各出現において同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基である態様である。この場合、R4A及びR5AがHであることが好ましい。
一般式(1−0A)で表される炭化水素系界面活性剤としては、例えば、グルタル酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、ピメリン酸又はその塩、スベリン酸又はその塩、アゼライン酸又はその塩、セバシン酸又はその塩等が挙げられる。
また、一般式(1−0A)で表される脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤は2鎖2親水基型合成界面活性剤であってもよく、例えば、ジェミニ型界面活性剤として、ジェミニサ−フ(中京油脂株式会社)、Gemsurf α142(炭素数12 ラウリル基)、Gemsurf α102(炭素数10)、Gemsurf α182(炭素数14)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、また、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
また、上記カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤にラジカル処理又は酸化処理を行った炭化水素系界面活性剤も使用できる。
上記ラジカル処理とは、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤にラジカルを発生させる処理であればよく、例えば、反応器に、脱イオン水、炭化水素系界面活性剤を加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換し、反応器を昇温・昇圧した後、重合開始剤を仕込み、一定時間撹拌した後、反応器を大気圧になるまで脱圧を行い、冷却を行う処理である。上記酸化処理とは、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤に酸化剤を添加させる処理である。酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素水、酸化マンガン(IV)、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、硝酸、二酸化硫黄などが挙げられる。
上記カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤としては、式:R−X(式中、Rは、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭素数1〜2000のフッ素非含有有機基であり、Xは、−OSOX1、−COOXX1又は−SOX1(XX1は、H、金属原子、NRX1 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、RX1はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。))で示される界面活性剤が好ましい。Rは、炭素数が500以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましく、30以下であることが更により好ましい。RX1の有機基としてはアルキル基が好ましい。RX1としてはH又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤としては、下記式(a):
Figure 2020071503
(式中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、下記式(b):
Figure 2020071503
(式中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NRCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)、下記式(c):
Figure 2020071503
(式中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。Aは、−COOX又は−SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(c)、及び、下記式(d):
Figure 2020071503
(式中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。R3dは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Aは、−SO又は−COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中のAに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
界面活性剤(a)について説明する。
式(a)中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1aにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH−C(=O)−CH−で示される基は炭素数が3であり、CH−C(=O)−C−C(=O)−C−で示される基は炭素数が7であり、CH−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101a(式中、R101aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式中、R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2a及びR3aは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102a(式中、R102aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。合計の炭素数としては、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(a)中、Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基である。4つのR4aは、同一でも異なっていてもよい。R4aにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4aとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4a が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1aとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1aとしては、下記式:
Figure 2020071503
(式中、n11aは0〜10の整数であり、R11aは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。n11aが2〜10の整数である場合、R12aは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11aとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103a(式中、R103aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12aとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12aとしては、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)がより好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104a(式中、R104aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
界面活性剤(a)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Xは上述のとおりである。
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
界面活性剤(a)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
界面活性剤(a)は、式:
Figure 2020071503
(式中、R3aは上述のとおり、Eは脱離基である。)で示される化合物(10a)と、リチウム、及び、式:R201a Si−Cl(式中、R201aは、独立に、アルキル基又はアリール基である。)で示されるクロロシラン化合物とを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R3a、R201a及びEは上述のとおりである。)で示される化合物(11a)を得る工程(11a)、
化合物(11a)と、式:
Figure 2020071503
(式中、R1aは上述のとおり、R21aは単結合又は2価の連結基である。)で示されるオレフィンとを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R21a、R3a及びEは上述のとおりである。)で示される化合物(12a)を得る工程(12a)、
化合物(12a)が有する脱離基を脱離させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R21a及びR3aは上述のとおりである。)で示される化合物(13a)を得る工程(13a)、及び、
化合物(13a)と、式:
Figure 2020071503
(式中、Xは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R21a、R3a及びXは上述のとおりである。)で示される化合物(14a)を得る工程(14a)を含む製造方法により製造できる。
1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
工程(11a)では、リチウム及び上記クロロシラン化合物を予め反応させて、シロキシリチウム化合物を得た後、上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)とを反応させて、化合物(11a)を得ることが好ましい。
は脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
21aとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
上記クロロシラン化合物としては、例えば、
Figure 2020071503
が挙げられる。
工程(11a)におけるいずれの反応も、溶媒中で実施することができる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の温度としては、10〜40℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の温度としては、−100〜0℃が好ましく、−80〜−50℃がより好ましい。
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、1〜2時間がより好ましい。
工程(12a)において、化合物(11a)と上記オレフィンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(11a)1モルに対して、上記オレフィンが1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(12a)における反応は、チアゾリウム塩及び塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
上記チアゾリウム塩としては、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロリド等が挙げられる。
上記塩基としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチルアミン等が挙げられる。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール、エーテルが更に好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(12a)における反応の温度としては、40〜60℃が好ましく、50〜55℃がより好ましい。
工程(12a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(12a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(13a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(13a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(13a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(13a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(13a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(14a)において、化合物(13a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(13a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(14a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
工程(14a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
工程(14a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(13a)1モルに対して、1〜2モルが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(14a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(14a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(14a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(14a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
工程(14a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(14a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(14a)を回収してもよい。化合物(14a)が−OSOHで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、−OSOHを硫酸塩基に変換することも可能である。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(a)は、また、式:
Figure 2020071503
(式中、R3aは上述のとおり、R22aは1価の有機基、Eは脱離基である。)で示されるケトンと、式:
Figure 2020071503
(式中、R1aは上述のとおり、R23aは1価の有機基である。)で示されるカルボン酸エステルとを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R3a及びEは上述のとおり、R24aは単結合又は2価の連結基である。)で示される化合物(21a)を得る工程(21a)、
化合物(21a)が有する脱離基を脱離させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R24a及びR3aは上述のとおりである。)で示される化合物(22a)を得る工程(22a)、及び、
化合物(22a)と、式:
Figure 2020071503
(式中、Xは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R24a、R3a及びXは上述のとおりである。)で示される化合物(23a)を得る工程(23a)を含む製造方法により製造できる。
1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
は脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
22aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
23aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
24aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基(−CH−)がより好ましい。
工程(21a)における反応は、塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
上記塩基としては、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール、エーテルが更に好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(21a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(21a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(21a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(22a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(22a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(22a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(22a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(22a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(23a)において、化合物(22a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(22a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(23a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
工程(23a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
工程(23a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(22a)1モルに対して、1〜2モルが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(23a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(23a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(23a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(23a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
工程(23a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(23a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(23a)を回収してもよい。化合物(23a)が−OSOHで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、−OSOHを硫酸塩基に変換することも可能である。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(a)は、また、式:Y−R3a−OE
(式中、R3aは上述のとおり、Yはハロゲン原子、Eは脱離基である。)で示されるハロゲン化アルキルと、式:
Figure 2020071503
(式中、R1aは上述のとおりである。)で示されるリチウムアセチリドとを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R3a及びEは上述のとおりである。)で示される化合物(31a)を得る工程(31a)、化合物(31a)を酸化して、式
Figure 2020071503
(式中、R1a、R3a及びEは上述のとおりである。)で示される化合物(32a)を得る工程(32a)、
化合物(32a)が有する脱離基を脱離させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a及びR3aは上述のとおりである。)で示される化合物(33a)を得る工程(33a)、及び、
化合物(33a)と、式:
Figure 2020071503
(式中、Xは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R3a及びXは上述のとおりである。)で示される化合物(34a)を得る工程(34a)を含む製造方法により製造できる。
1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
は脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
工程(31a)において、上記ハロゲン化アルキルと上記リチウムアセチリドとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記ハロゲン化アルキル1モルに対して、上記リチウムアセチリドが1〜2モルであることが好ましく、1〜1.2モルがより好ましい。
工程(31a)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、ヘキサンが好ましい。
工程(31a)における反応の温度としては、−100〜−40℃が好ましく、−80〜−50℃がより好ましい。
工程(31a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(31a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(32a)における酸化は、[(Cn)RuIII(CFCO]・HO(式中、Cnは1,4,7−トリメチルー1,4,7−トリアザビシクロノナンを表す)を、(NHCe(NO及びトリフルオロ酢酸で処理した後、過塩素酸ナトリウムを添加することにより生じる錯体を使用して、ニトリル系溶媒中で実施できる。
酸化終了後に、アルカリにより中和し、エーテル等の有機溶媒を使用して化合物(32a)を抽出してもよい。
工程(32a)における反応の温度としては、30〜100℃が好ましく、40〜90℃がより好ましい。
工程(32a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(32a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(33a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(33a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(33a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(33a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(33a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(34a)において、化合物(33a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(33a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(34a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
工程(34a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
工程(34a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(33a)1モルに対して、1〜2モルが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(34a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(34a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(34a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(34a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
工程(34a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(34a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(34a)を回収してもよい。化合物(34a)が−OSOHで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、−OSOHを硫酸塩基に変換することも可能である。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(a)は、また、式:
Figure 2020071503
(式中、R1aは上述のとおり、R21aは単結合又は2価の連結基である。)で示されるアルケンと、式:
Figure 2020071503
(式中、Y51aはアルコキシル基である。)で示されるアルキンとを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a及びR21aは上述のとおりである。)
で示される化合物(41a)を得る工程(41a)、及び、
化合物(41a)に、式:
Figure 2020071503
(式中、Xは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1a、R21a及びXは上述のとおりである。)で示される化合物(42a)を得る工程(42a)を含む製造方法により製造できる。
1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
21aとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
工程(41a)において、上記アルケンと上記アルキンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルキン1モルに対して、上記アルケンが0.5〜2モルであることが好ましく、0.6〜1.2モルがより好ましい。
工程(41a)における反応は、金属触媒存在下に実施することが好ましい。上記金属としては、ルテニウム等があげられる。
工程(41a)における上記金属触媒の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルケン1モルに対して、0.01〜0.4モルが好ましく、0.05〜0.1モルがより好ましい。
工程(41a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドが好ましい。
工程(41a)における反応の温度としては、20〜160℃が好ましく、40〜140℃がより好ましい。
工程(41a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(41a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、4〜8時間がより好ましい。
工程(42a)において、化合物(41a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(41a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(42a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
工程(42a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
工程(42a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(41a)1モルに対して、1〜2モルが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(42a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(42a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(42a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(42a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
工程(42a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(42a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(42a)を回収してもよい。化合物(42a)が−OSOHで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、−OSOHを硫酸塩基に変換することも可能である。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
次に界面活性剤(b)について説明する。
式(b)中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1bにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1bとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1bとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
式(b)中、R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2b及びR4bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2b及びR4bとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましい。
2b及びR4bとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(b)中、R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3bは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、イソプロピレン基(−CH(CH)CH−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
式(b)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましく、5〜9、11〜25の整数が特に好ましい。
式(b)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が5以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(b)中、Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基である。4つのR5bは、同一でも異なっていてもよい。R5bにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5bとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5b (R5bは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5b が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(b)中、Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NRCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記Rは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
界面活性剤(b)としては、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R1b、R2b、L、n及びXは、上記のとおり。)で示される化合物が好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10%以上であることが好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤(b)において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
界面活性剤(b)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCH(CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa等が挙げられる。
界面活性剤(b)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
界面活性剤(b)は、下記式:
11b−CH=CH−(CR2b −(OR3b−(CR4b −L−OH
(式中、R2b〜R4b、n、p及びqは、上記のとおり。R11bは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NR6bCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OHに結合する側を指す。)で示される化合物(10b)をヒドロキシ化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(11b)を得る工程(11b)、
化合物(11b)を酸化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(12b)を得る工程(12b)、及び、
化合物(12b)を硫酸エステル化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R11b、n、p、q及びXは、上記のとおり。)で示される化合物(13b)を得る工程(13b)を含む製造方法により製造できる。
11bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
11bとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜9の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜9の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、H又はメチル基(−CH)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
工程(11b)におけるヒドロキシ化は、例えば、(1)酸素雰囲気中で化合物(10b)にフタロシアニン鉄(II)(Fe(Pc))及び水素化ホウ素ナトリウムを作用させる方法や、(2)化合物(10b)にイソピノカンフェイルボラン(IpcBH)を作用させた後、得られる中間体(ジアルキルボラン)を酸化する方法により実施できる。
方法(1)において、フタロシアニン鉄(II)の量は、触媒量であってよく、化合物(10b)1モルに対して、0.001〜1.2モルの量で使用できる。
方法(1)において、水素化ホウ素ナトリウムは、化合物(10b)1モルに対して、0.5〜20モルの量で使用できる。
方法(1)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、含窒素極性有機化合物等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
方法(1)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
方法(1)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
方法(1)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
方法(2)において、イソピノカンフェイルボランは、化合物(10b)1モルに対して、1.0〜10.0モルの量で使用できる。
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
方法(2)における酸化は、上記中間体に酸化剤を作用させることにより実施できる。上記酸化剤としては、過酸化水素が挙げられる。上記酸化剤は、上記中間体1モルに対して、0.7〜10モルの量で使用できる。
方法(2)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられ、なかでも水が好ましい。
方法(2)における酸化の温度としては、0〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。
方法(2)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
方法(2)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(12b)において、化合物(11b)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO/HSO)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5〜6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH、Al[OCH(CH等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
工程(12b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(12b)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(12b)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(12b)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(13b)における硫酸エステル化は、化合物(12b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施できる。上記硫酸化試薬としては、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体等の三酸化硫黄アミン錯体、三酸化硫黄ジメチルホルムアミド錯体等の三酸化硫黄アミド錯体、硫酸−ジシクロヘキシルカルボジイミド、クロロ硫酸、濃硫酸、スルファミン酸等が挙げられる。上記硫酸化試薬の使用量としては、化合物(12b)1モルに対して、0.5〜10モルが好ましく、0.5〜5モルがより好ましく、0.7〜4モルが更に好ましい。
工程(13b)における硫酸エステル化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ピリジン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトリル等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(13b)における硫酸エステル化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
工程(13b)における硫酸エステル化の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0.1〜5MPaがより好ましい。
工程(13b)における硫酸エステル化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
界面活性剤(b)は、また、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R1b〜R4b、n、p及びqは、上記のとおり。R101bは、有機基である。)で示される化合物(20b)をオゾン分解して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R1b〜R4b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(21b)を得る工程(21b)、及び、
化合物(21b)を硫酸エステル化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R1b〜R4b、n、p、q及びXは、上記のとおり。)で示される化合物(22b)を得る工程(22b)を含む製造方法により製造できる。
101bとしては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。2個のR101bは、同一でも異なっていてもよい。
工程(21b)におけるオゾン分解は、化合物(20b)にオゾンを作用させた後、還元剤で後処理することにより実施できる。
オゾンは、酸素ガス中の無声放電によって発生させることができる。
上記後処理に用いる還元剤としては、亜鉛、ジメチルスルフィド、チオウレア、ホスフィン類等が挙げられ、なかでもホスフィン類が好ましい。
工程(21b)におけるオゾン分解は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(21b)におけるオゾン分解の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
工程(21b)におけるオゾン分解の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(21b)におけるオゾン分解の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(22b)における硫酸エステル化は、化合物(21b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
界面活性剤(b)は、また、下記式:
21b−CH=CH−(CR2b −(OR3b−(CR4b −L−OH
(式中、L、R2b〜R4b、n、p及びqは、上記のとおり。R21bは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示される化合物(30b)をエポキシ化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R21b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(31b)を得る工程(31b)、
化合物(31b)と、R22b CuLi(R22bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示されるジアルキル銅リチウムとを反応させて、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R21b、R22b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(32b)を得る工程(32b)、
化合物(32b)を酸化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R21b、R22b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(33b)を得る工程(33b)、及び、
化合物(33b)を硫酸エステル化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R21b、R22b、n、p、q及びXは、上記のとおり。)で示される化合物(34b)を得る工程(34b)を含む製造方法により製造できる。
21bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
21bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
21bとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜8の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H又はメチル基(−CH)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
22bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
22bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
22bとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜9の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜9の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
2個のR22bは、同一でも異なっていてもよい。
21b及びR22bは、炭素数が合計で1〜7であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
工程(31b)におけるエポキシ化は、化合物(30b)にエポキシ化剤を作用させることにより実施できる。
上記エポキシ化剤としては、メタクロロ過安息香酸(m−CPBA)、過安息香酸、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド等の過酸、ジメチルジオキシラン、メチルトリフルオロメチルジオキシラン等が挙げられ、なかでも過酸が好ましく、メタクロロ過安息香酸がより好ましい。
上記エポキシ化剤は、化合物(30b)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(31b)におけるエポキシ化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、ピリジン、含窒素極性有機化合物、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、なかでもジクロロメタンが好ましい。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
工程(31b)におけるエポキシ化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(31b)におけるエポキシ化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(31b)におけるエポキシ化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(32b)において、上記ジアルキル銅リチウムは、化合物(31b)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(32b)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(32b)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(32b)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(32b)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(33b)において、化合物(32b)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO/HSO)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5〜6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH、Al[OCH(CH等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
工程(33b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(33b)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(33b)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(33b)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(34b)における硫酸エステル化は、化合物(33b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
界面活性剤(b)は、また、下記式:
11b−CH=CH−(CR2b −(OR3b−(CR4b −L−OH
(式中、L、R2b〜R4b、R11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(10b)を酸化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(41b)を得る工程(41b)、及び、
化合物(41b)を硫酸エステル化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b〜R4b、R11b、n、p、q及びXは、上記のとおり。)で示される化合物(42b)を得る工程(42b)を含む製造方法により製造できる。
工程(41b)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(10b)に酸化剤を作用させることにより実施できる。
上記酸化剤としては、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、トリフルオロメタンチオール銅等の一価又は二価の銅塩、塩化鉄、酢酸鉄、シアン化鉄、トリフルオロメタンチオール鉄、ヘキサシアノ鉄等の鉄塩、1,4−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン等のベンゾキノン類、H、MnO、KMnO、RuO、m−クロロ過安息香酸、酸素等が挙げられる。なかでも、銅塩、鉄塩、ベンゾキノン類が好ましく、塩化銅、塩化鉄、1,4−ベンゾキノンがより好ましい。
上記酸化剤は、化合物(10b)1モルに対して、0.001〜10モルの量で使用できる。
上記水は、化合物(10b)1モルに対して、0.5〜1000モルの量で使用できる。
上記パラジウム化合物としては、二塩化パラジウムが挙げられる。上記パラジウム化合物の量は、触媒量であってよく、化合物(10b)1モルに対して、0.0001〜1.0モルの量で使用できる。
工程(41b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられ、なかでも、シクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(41b)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
工程(41b)における酸化の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0.1〜5.0MPaがより好ましい。
工程(41b)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(42b)における硫酸エステル化は、化合物(41b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
界面活性剤(b)は、また、下記式:
11b−CH=CH−(CR2b −OH
(式中、R2b、R11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(50)とハロゲン化剤とを反応させて、下記式:
11b−CH=CH−(CR2b −Z51b
(式中、R2b、R11b及びnは、上記のとおり。Z51bは、ハロゲン原子である。)で示される化合物(51)を得る工程(51)、
化合物(51)と、HO−R3b−L−OH(L、R3bは、上記のとおり。)で示されるアルキレングリコールとを反応させて、下記式:
11b−CH=CH−(CR2b −O−R3b−L−OH
(式中、L、R2b、R3b、R11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(52)を得る工程(52)、
化合物(52)を酸化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b、R3b、R11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(53)を得る工程(53)、及び、
化合物(53)を硫酸エステル化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、L、R2b、R3b、R11b、n及びXは、上記のとおり。)で示される化合物(54)を得る工程(54)を含む製造方法により製造できる。
51bとしては、F、Cl、Br又はIが好ましく、Brがより好ましい。
工程(51)で使用するハロゲン化剤としては、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド等が挙げられる。
上記ハロゲン化剤は、化合物(50)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(51)の反応は、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類の存在下に実施できる。
上記ホスフィン類は、化合物(50)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(51)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(51)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(51)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(51)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(52)において、上記アルキレングリコールは、化合物(51)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(52)の反応は、塩基の存在下に実施できる。上記塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
上記塩基は、化合物(51)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(52)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、含窒素極性有機化合物、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(52)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(52)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(52)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(53)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(52)に酸化剤を作用させることにより実施でき、工程(41)における酸化と同様の条件が採用できる。
工程(54)における硫酸エステル化は、化合物(53)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
上述したいずれの製造方法においても、各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。また、得られる化合物が−OSOHで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリと接触させることにより、−OSOHを硫酸塩基に変換できる。
界面活性剤(b)の製造方法のなかでも、上記工程(41b)及び(42b)を含む製造方法が好ましい。
界面活性剤(c)について説明する。
式(c)中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1cにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH−C(=O)−CH−で示される基は炭素数が3であり、CH−C(=O)−C−C(=O)−C−で示される基は炭素数が7であり、CH−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101c(式中、R101cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式(c)中、R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2c及びR3cは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102c(式中、R102cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。合計の炭素数としては、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(c)中、式中、Aは、−COOX又は−SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R4cにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4cとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4c が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1cとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1cとしては、下記式:
Figure 2020071503
(式中、n11cは0〜10の整数であり、R11cは炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R12cは炭素数0〜3のアルキレン基である。n11cが2〜10の整数である場合、R12cは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11cとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103c(式中、R103cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12cは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12cとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12cとしては、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)がより好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104c(式中、R104cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
上記界面活性剤(c)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Aは上述のとおりである。
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503
界面活性剤(c)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
界面活性剤(c)は、式:
Figure 2020071503
(式中、R3cは上述のとおり、Eは脱離基である。)で示される化合物(10c)と、リチウム、及び、式:R201c Si−Cl(式中、R201cは、独立に、アルキル基又はアリール基である。)で示されるクロロシラン化合物とを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R3c、R201c及びEは上述のとおりである。)で示される化合物(11c)を得る工程(11c)、
化合物(11c)と、式:
Figure 2020071503
(式中、R1cは上述のとおり、R21cは単結合又は2価の連結基である。)で示されるオレフィンとを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c、R21c、R3c及びEは上述のとおりである。)で示される化合物(12c)を得る工程(12c)、
化合物(12c)が有する脱離基を脱離させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c、R21c及びR3cは上述のとおりである。)で示される化合物(13c)を得る工程(13c)、及び、
化合物(13c)を酸化させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c、R21c及びR3cは上述のとおりである。)で示される化合物(14c)を得る工程(14c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
1cにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
工程(11c)では、リチウム及び上記クロロシラン化合物を予め反応させて、シロキシリチウム化合物を得た後、上記シロキシリチウム化合物と化合物(10c)とを反応させて、化合物(11c)を得ることが好ましい。
は脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
21cとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
上記クロロシラン化合物としては、例えば、
Figure 2020071503
が挙げられる。
工程(11c)におけるいずれの反応も、溶媒中で実施することができる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(11c)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の温度としては、−78〜100℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。
工程(11c)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10c)との反応の温度としては、−100〜0℃が好ましく、−80〜−50℃がより好ましい。
工程(11c)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(11c)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10c)との反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(11c)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(11c)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10c)との反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、1〜2時間がより好ましい。
工程(12c)において、化合物(11c)と上記オレフィンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(11c)1モルに対して、上記オレフィンが1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(12c)における反応は、チアゾリウム塩及び塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
上記チアゾリウム塩としては、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロリド等が挙げられる。
上記塩基としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチルアミン等が挙げられる。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール又はエーテルが更に好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(12c)における反応の温度としては、40〜60℃が好ましく、50〜55℃がより好ましい。
工程(12c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(12c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(13c)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基を脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(13c)における脱離基の脱離反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(13c)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(13c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(13c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(14c)における酸化は、亜塩素酸ナトリウムの存在下に、溶媒中で実施できる。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、tert−ブチルアルコール等のアルコール及び水が使用できる。緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム溶液を使用してもよい。
化合物(14c)をアルカリと接触させて、−COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(c)は、また、式:
Figure 2020071503
(式中、R3cは上述のとおり、R22cは1価の有機基、Eは脱離基である。)で示されるケトンと、式:
Figure 2020071503
(式中、R1cは上述のとおり、R23cは1価の有機基である。)で示されるカルボン酸エステルとを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c、R3c及びEは上述のとおり、R24cは単結合又は2価の連結基である。)で示される化合物(21c)を得る工程(21c)、
化合物(21c)が有する脱離基を脱離させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c、R24c及びR3cは上述のとおりである。)で示される化合物(22c)を得る工程(22c)、及び、
化合物(22c)を酸化させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c、R24c及びR3cは上述のとおりである。)で示される化合物(23c)を得る工程(23c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
1cにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
は脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
22cとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
23cとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
24cとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基(−CH−)がより好ましい。
工程(21c)における反応は、塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
上記塩基としては、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール、エーテルが更に好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(21c)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20がより好ましい。
工程(21c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(21c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(22c)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(22c)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(22c)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(22c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(22c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(23c)における酸化は、亜塩素酸ナトリウムの存在下に、溶媒中で実施できる。
上記溶媒としては、アルコール及び水が使用できる。緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム溶液を使用してもよい。
化合物(23c)をアルカリと接触させて、−COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(c)は、また、式:Y−R3c−CH−OE
(式中、R3cは上述のとおり、Yはハロゲン原子、Eは脱離基である。)で示されるハロゲン化アルキルと、式:
Figure 2020071503
(式中、R1cは上述のとおりである。)で示されるリチウムアセチリドとを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c、R3c及びEは上述のとおりである。)で示される化合物(31c)を得る工程(31c)、
化合物(31c)を酸化して、式
Figure 2020071503
(式中、R1c、R3c及びEは上述のとおりである。)で示される化合物(32c)を得る工程(32c)、
化合物(32c)が有する脱離基を脱離させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c及びR3cは上述のとおりである。)で示される化合物(33c)を得る工程(33c)、及び、
化合物(33c)を酸化させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c及びR3cは上述のとおりである。)で示される化合物(34c)を得る工程(34c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
1cにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
は脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
工程(31c)において、上記ハロゲン化アルキルと上記リチウムアセチリドとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記ハロゲン化アルキル1モルに対して、上記リチウムアセチリドが1〜2モルであることが好ましく、1〜1.2モルがより好ましい。
工程(31c)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、ヘキサンが好ましい。
工程(31c)における反応の温度としては、−100〜−40℃が好ましく、−80〜−50℃がより好ましい。
工程(31c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(31c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(32c)における酸化は、[(Cn)RuIII(CFCO]・HO(式中、Cnは1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザビシクロノナンを表す)を、(NHCe(NO及びトリフルオロ酢酸で処理した後、過塩素酸ナトリウムを添加することにより生じる錯体を使用して、ニトリル系溶媒中で実施できる。
酸化終了後に、アルカリにより中和し、エーテル等の有機溶媒を使用して化合物(32c)を抽出してもよい。
工程(32c)における反応の温度としては、30〜100℃が好ましく、40〜90℃がより好ましい。
工程(32c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(32c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(33c)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(33c)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(33c)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(33c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(33c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(34c)における酸化は、亜塩素酸ナトリウムの存在下に、溶媒中で実施できる。
上記溶媒としては、アルコール及び水が使用できる。緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム溶液を使用してもよい。
化合物(34c)をアルカリと接触させて、−COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(c)は、また、式:
Figure 2020071503
で示されるジビニルケトンと、式:
Figure 2020071503
で示される2−メチルフランとを反応させて、式:
Figure 2020071503
で示される化合物(51c)を得る工程(51c)、
化合物(51c)と式:
Figure 2020071503
で示されるフランとを反応させて、式:
Figure 2020071503
で示される化合物(52c)を得る工程(52c)、化合物(52c)を酸の存在下で加熱することにより、式:
Figure 2020071503
で示される化合物(53c)を得る工程(53c)、及び、
化合物(53c)を酸化させて、式:
Figure 2020071503
で示される化合物(54c)を得る工程(54c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
工程(51c)において、ジビニルケトンと2−メチルフランとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、ジビニルケトン1モルに対して、2−メチルフランが0.5〜1モルであることが好ましく、0.6〜0.9モルがより好ましい。
工程(51c)における反応は、酸の存在下に実施することが好ましい。上記酸としては、酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸等があげられ、なかでも、酢酸が好ましい。
工程(51c)における上記酸の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、ジビニルケトン1モルに対して、0.1〜2モルが好ましく、0.1〜1モルがより好ましい。
工程(51c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、アセトニトリルが好ましい。
工程(51c)における反応の温度としては、20〜100℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
工程(51c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(51c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、4〜8時間がより好ましい。
工程(52c)において、化合物(51c)とフランとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(51c)1モルに対してフランが1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(52c)における反応は、酸の存在下に実施することが好ましい。上記酸としては、酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、なかでも、酢酸が好ましい。
工程(52c)における上記酸の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(51c)1モルに対して、0.1〜2モルが好ましく、0.1〜1モルがより好ましい。
工程(52c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水が好ましい。
工程(52c)における反応の温度としては、20〜100℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
工程(52c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(52c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、4〜8時間がより好ましい。
工程(53c)では、化合物(52c)を酸の存在下で加熱することにより、フラン環を開環させる。
上記酸としては、塩酸、硫酸が好ましい。
工程(53c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水が好ましい。
工程(53c)における反応の温度としては、50〜100℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
工程(53c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(53c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、1〜12時間がより好ましい。
工程(54c)における酸化は、亜塩素酸ナトリウムの存在下に、溶媒中で実施できる。
上記溶媒としては、tert−ブチルアルコール及び水が使用できる。緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム溶液を使用してもよい。
化合物(54c)をアルカリと接触させて、−COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(c)は、また、式:
Figure 2020071503
(式中、R1cは上述のとおり、R21cは単結合又は2価の連結基である。)で示されるアルケンと、式:
Figure 2020071503
(式中、Y61cはアルキルエステル基である。)で示されるアルキンとを反応させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c、R21c及びY61cは上述のとおりである。)で示される化合物(61c)を得る工程(61c)、及び、
化合物(61c)に、アルカリを作用させたのちに酸を作用させて、式:
Figure 2020071503
(式中、R1c及びR21cは上述のとおりである。)で示される化合物(62c)を得る工程(62c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
1cにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
21cとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
工程(61c)において、上記アルケンと上記アルキンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルキン1モルに対して、上記アルケンが0.5〜2モルであることが好ましく、0.6〜1.2モルがより好ましい。
工程(61c)における反応は、金属触媒存在下に実施することが好ましい。上記金属としては、ルテニウム等があげられる。
工程(61c)における上記金属触媒の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルケン1モルに対して、0.01〜0.4モルが好ましく、0.05〜0.1モルがより好ましい。
工程(61c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドが好ましい。
工程(61c)における反応の温度としては、20〜160℃が好ましく、40〜140℃がより好ましい。
工程(61c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(61c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、4〜8時間がより好ましい。
工程(62c)において、化合物(61c)と上記アルカリとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(61c)1モルに対して上記アルカリが0.6〜2モルであることが好ましく、0.8〜1.1モルがより好ましい。
工程(62c)における上記酸の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(61c)1モルに対して、1.0〜20.0モルが好ましく、1.0〜10.0モルがより好ましい。
工程(62c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水が好ましい。
工程(62c)における反応の温度としては、0〜100℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。
工程(62c)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(62c)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、4〜8時間がより好ましい。
化合物(62c)をアルカリと接触させて、−COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(d)について説明する。
式(d)中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1dにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1dとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1dとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
式(d)中、R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2d及びR4dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2d及びR4dとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましい。
2d及びR4dとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(d)中、R3dは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3dは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、イソプロピレン基(−CH(CH)CH−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(d)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましい。
式(d)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が6以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(d)中、Aは、−SO又は−COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R5dにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5dとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5d (R5dは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5d が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(d)中、Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記R6dは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中のAに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10以上であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
上記界面活性剤(d)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOH、CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHC(CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHSONa、
CHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)SONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(CHSONa
等が挙げられる。
界面活性剤(d)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
界面活性剤(d)は、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R1d、R2d及びnは、上記のとおりである。)
で示される化合物(10d)と、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R3dは、上記のとおりである。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−S(=O)−に結合する側を指す。)で示されるサルトンとを反応させて、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R1d〜R3d、n及びXは、上記のとおりである。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。)
で示される化合物(11d)を得る工程(11d)を含む製造方法により、好適に製造できる。
工程(11d)における反応は、塩基の存在下に実施できる。
上記塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン等が挙げられる。上記塩基は、化合物(10d)1モルに対して、0.5〜20モルの量で使用できる。
工程(11d)における反応は、溶媒中で実施できる。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましい。上記有機溶媒としては、エーテル、芳香族化合物、ニトリル、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
工程(11d)における反応の温度としては、−78〜150℃が好ましく、−20〜100℃がより好ましい。
工程(11d)における反応の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0〜1.0MPaがより好ましい。
工程(11d)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
界面活性剤(d)は、また、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R1d〜R4d、n、p及びqは上記のとおりである。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−CH−OHに結合する側を指す。)
で示される化合物(20d)を酸化させて、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R1d〜R4d、n、p、q及びXは上記のとおりである。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−CH−COOXに結合する側を指す。)
で示される化合物(21d)を得る工程(21d)を含む製造方法により、好適に製造できる。
工程(21d)における酸化は、化合物(20d)にニトロソ化剤を作用させることにより実施できる。
上記ニトロソ化剤としては、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸及び亜硝酸イソアミル等が使用できる。
上記ニトロソ化剤は、化合物(20d)1モルに対して、0.5〜10モルの量で使用できる。
工程(21d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、トリフルオロ酢酸、アセトニトリル等が使用できる。
工程(21d)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜100℃がより好ましい。
工程(21d)における酸化の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0〜1.0MPaがより好ましい。
工程(21d)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜24時間がより好ましい。
化合物(10d)及び化合物(20d)は、下記式:
11d−CH=CH−Y1d−OH
(式中、R11dは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。Y1dは、−(CR2d −又は−(CR2d −(OR3d−(CR4d −L−CH−(R2d〜R4d、n、L、p及びqは、上記のとおり。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−CH−に結合する側を指す。)である。)で示される化合物(100d)をヒドロキシ化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R11d及びY1dは、上記のとおり。)で示される化合物(101d)を得る工程(101d)、及び、
化合物(101d)を酸化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R11d及びY1dは、上記のとおり。)で示される化合物(102d)を得る工程(102d)を含む製造方法により製造できる。
11dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11dとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
11dとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜9の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜9の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、H又はメチル基(−CH)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
工程(101d)におけるヒドロキシ化は、例えば、(1d)酸素雰囲気中で化合物(100d)にフタロシアニン鉄(II)(Fe(Pc))及び水素化ホウ素ナトリウムを作用させる方法や、(2d)化合物(100d)にイソピノカンフェイルボラン(IpcBH)を作用させた後、得られる中間体(ジアルキルボラン)を酸化する方法により実施できる。
方法(1d)において、フタロシアニン鉄(II)の量は、触媒量であってよく、化合物(100d)1モルに対して、0.001〜1.2モルの量で使用できる。
方法(1d)において、水素化ホウ素ナトリウムは、化合物(100d)1モルに対して、0.5〜20モルの量で使用できる。
方法(1d)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、含窒素極性有機化合物等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
方法(1d)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
方法(1d)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
方法(1d)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
方法(2d)において、イソピノカンフェイルボランは、化合物(100d)1モルに対して、1.0〜10.0モルの量で使用できる。
化合物(100d)とイソピノカンフェイルボランとの反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
化合物(100d)とイソピノカンフェイルボランとの反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
化合物(100d)とイソピノカンフェイルボランとの反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
化合物(100d)とイソピノカンフェイルボランとの反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
方法(2d)における酸化は、上記中間体に酸化剤を作用させることにより実施できる。上記酸化剤としては、過酸化水素が挙げられる。上記酸化剤は、上記中間体1モルに対して、0.7〜10モルの量で使用できる。
方法(2d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられ、なかでも水が好ましい。
方法(2d)における酸化の温度としては、0〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。
方法(2d)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
方法(2d)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(102d)において、化合物(101d)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO/HSO)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(d)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5〜6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH、Al[OCH(CH等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
工程(102d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(102d)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(102d)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(102d)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
化合物(10d)及び化合物(20d)は、また、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R1d及びY1dは、上記のとおり。R101dは、有機基である。)で示される化合物(200d)をオゾン分解して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R1d及びY1dは、上記のとおり。)で示される化合物(201d)を得る工程(201d)を含む製造方法により製造できる。
101dとしては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。2個のR101dは、同一でも異なっていてもよい。
工程(201d)におけるオゾン分解は、化合物(200d)にオゾンを作用させた後、還元剤で後処理することにより実施できる。
オゾンは、酸素ガス中の無声放電によって発生させることができる。
上記後処理に用いる還元剤としては、亜鉛、ジメチルスルフィド、チオウレア、ホスフィン類等が挙げられ、なかでもホスフィン類が好ましい。
工程(201d)におけるオゾン分解は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(201d)におけるオゾン分解の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
工程(201d)におけるオゾン分解の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(201d)におけるオゾン分解の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
化合物(10d)及び化合物(20d)は、また、下記式:
21d−CH=CH−Y1d−OH
(式中、Y1dは、上記のとおり。R21dは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示される化合物(300d)をエポキシ化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R21d及びY1dは、上記のとおり。)で示される化合物(301d)を得る工程(301d)、
化合物(301d)と、R22d CuLi(R22dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示されるジアルキル銅リチウムとを反応させて、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R21d、R22d及びY1dは、上記のとおり。)で示される化合物(302d)を得る工程(302d)、及び、
化合物(302d)を酸化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R21d、R22d及びY1dは、上記のとおり。)で示される化合物(303d)を得る工程(303d)を含む製造方法により製造できる。
21dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
21dとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
21dとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜8の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H又はメチル基(−CH)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
22dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
22dとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
22dとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜9の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜9の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
2個のR22dは、同一でも異なっていてもよい。
21d及びR22dは、炭素数が合計で1〜7であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
工程(301d)におけるエポキシ化は、化合物(300d)にエポキシ化剤を作用させることにより実施できる。
上記エポキシ化剤としては、メタクロロ過安息香酸(m−CPBA)、過安息香酸、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド等の過酸、ジメチルジオキシラン、メチルトリフルオロメチルジオキシラン等が挙げられ、なかでも過酸が好ましく、メタクロロ過安息香酸がより好ましい。
上記エポキシ化剤は、化合物(300d)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(301d)におけるエポキシ化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、ピリジン、含窒素極性有機化合物、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、なかでもジクロロメタンが好ましい。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
工程(301d)におけるエポキシ化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(301d)におけるエポキシ化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(301d)におけるエポキシ化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(302d)において、上記ジアルキル銅リチウムは、化合物(301d)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(302d)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(302d)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(302d)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(302d)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(303d)において、化合物(302d)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO/HSO)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(d)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5〜6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH、Al[OCH(CH等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
工程(303d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(303d)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(303d)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(303d)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
化合物(10d)及び化合物(20d)は、また、下記式:
11d−CH=CH−Y1d−OH
(式中、R11d及びY1dは、上記のとおり。)で示される化合物(100d)を酸化して、下記式:
Figure 2020071503
(式中、R11d及びY1dは、上記のとおり。)で示される化合物(401d)を得る工程(401d)を含む製造方法により製造できる。
工程(401d)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(100d)に酸化剤を作用させることにより実施できる。
上記酸化剤としては、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、トリフルオロメタンチオール銅等の一価又は二価の銅塩、塩化鉄、酢酸鉄、シアン化鉄、トリフルオロメタンチオール鉄、ヘキサシアノ鉄等の鉄塩、1,4−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン等のベンゾキノン類、H、MnO、KMnO、RuO、m−クロロ過安息香酸、酸素等が挙げられる。なかでも、銅塩、鉄塩、ベンゾキノン類が好ましく、塩化銅、塩化鉄、1,4−ベンゾキノンがより好ましい。
上記酸化剤は、化合物(100d)1モルに対して、0.001〜10モルの量で使用できる。
上記水は、化合物(100d)1モルに対して、0.5〜1000モルの量で使用できる。
上記パラジウム化合物としては、二塩化パラジウムが挙げられる。上記パラジウム化合物の量は、触媒量であってよく、化合物(100d)1モルに対して、0.0001〜1.0モルの量で使用できる。
工程(401d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられ、なかでも、シクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(401d)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
工程(401d)における酸化の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0.1〜5.0MPaがより好ましい。
工程(401d)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
界面活性剤(d)は、また、下記式:
11d−CH=CH−(CR2d −(OR3d−(CR4d −L−COOX
(式中、R2d〜R4d、R11d、n、p、q及びXは、上記のとおり。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記R6dは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の−COOXに結合する側を指す。)で示される化合物(30d)を酸化して、下記式:
Figure 2020071503
(R2d〜R4d、L、R11d、n、p、q及びXは、上記のとおり。)で示される化合物(31d)を得る工程(31d)を含む製造方法により製造できる。
工程(31d)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(30d)に酸化剤を作用させることにより実施でき、工程(401d)における酸化と同様の条件が採用できる。
上述したいずれの製造方法においても、各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。また、得られる化合物が−SOH、−COOH等のXがHである化合物である場合は、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリと接触させることにより、これらの基を塩型に変換できる。
本開示の製造方法においては、上記炭化水素系界面活性剤を2種以上同時に用いてもよい。
上記重合工程は、特定の炭化水素系界面活性剤の存在下、テトラフルオロエチレンと変性モノマーとの重合を水性媒体中で行う工程であり、上記工程において、特定の炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程を含むことも好ましい。
特定の炭化水素系界面活性剤は、例えば、上述した界面活性剤(1)、上述したカルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤、又は、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行った炭化水素系界面活性剤である。特定の炭化水素系界面活性剤は、上述したカルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤、又は、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行った炭化水素系界面活性剤であることも好ましい。
上記の方法を採用することによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができる。また、未凝析ポリマー量がより少ない水性分散液を得ることができる。更に、一次粒子のアスペクト比をより小さくすることもできる。
本開示はまた、特定の炭化水素系界面活性剤の存在下、テトラフルオロエチレンと変性モノマーとの重合を水性媒体中で行う工程、及び、上記工程において、特定の炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程を含む製造方法により得られたポリテトラフルオロエチレンを提供する。
上記特定の炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、水性媒体中に形成されるPTFEの濃度が0.60質量%未満であるときに、上記特定の炭化水素系界面活性剤を水性媒体中に添加し始めるものであることが好ましい。上記特定の炭化水素系界面活性剤は、上記濃度が0.50質量%以下であるときに添加し始めることがより好ましく、0.36質量%以下であるときに添加し始めることが更に好ましく、0.30質量%以下であるときに添加し始めることが更により好ましく、0.20質量%以下であるときに添加し始めることが殊更に好ましく、0.10質量%以下であるときに添加し始めることが特に好ましく、重合開始とともに、添加し始めることが最も好ましい。上記濃度は、水性媒体及びPTFEの合計に対する濃度である。
上記の特定の炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、上記特定の炭化水素系界面活性剤の添加量は、水性媒体100質量%に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.05質量%であり、更に好ましい下限は0.1質量%であり、より好ましい上限は5質量%であり、更に好ましい上限は1質量%である。
上記の特定の炭化水素系界面活性剤の存在下、テトラフルオロエチレンと変性モノマーとの重合を水性媒体中で行う工程において、上記特定の炭化水素系界面活性剤の量は、多いことが好ましく、水性媒体100質量%に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.1質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。
上記特定の炭化水素系界面活性剤としては、上記一般式(1)で示される界面活性剤(1)、上記式(a)で表される界面活性剤(a)、上記式(b)で示される界面活性剤(b)、上記式(c)で示される界面活性剤(c)、上記式(d)で示される界面活性剤(d)、及び、これらの界面活性剤(a)〜(d)にラジカル処理または酸化処理を行った界面活性剤、からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、上記式(a)で表される界面活性剤(a)、上記式(b)で示される界面活性剤(b)、上記式(c)で示される界面活性剤(c)、上記式(d)で示される界面活性剤(d)、及び、これらの界面活性剤(a)〜(d)にラジカル処理または酸化処理を行った界面活性剤、からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
本開示の製造方法において用いる炭化水素系界面活性剤は、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤であることも好ましい。カルボン酸型炭化水素系界面活性剤は、硫酸エステル系の界面活性剤と比較すると凝析完了時間が短くなる傾向にある。しかし、本開示の製造方法によれば、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤を使用する場合であっても、長い凝析完了時間を有する水性分散液を製造することができる。
すなわち、本開示の製造方法は、炭化水素系界面活性剤がカルボン酸型炭化水素系界面活性剤である場合に特に好適である。
上記カルボン酸型炭化水素系界面活性剤としては、通常、カルボン酸塩の親水性部分と、アルキルなどの長鎖炭化水素部分である疎水性部分とを有するアニオン性の炭化水素系界面活性剤である。具体的には、カルボキシル基(−COOH)又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオン(例えば、金属原子、アンモニウム等)で置換された基を有するものであれば限定されず、例えば、上述した炭化水素系界面活性剤の中から、カルボキシル基又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオンに置換された基を有する炭化水素系界面活性剤を使用することができる。
カルボン酸型炭化水素系界面活性剤としては、脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤であってもよいし、脂肪族型以外のカルボン酸型炭化水素系であってもよい。
なお、本明細書では、「脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤」とは、カルボニル基(但し、カルボキシル基及びエステル基中のカルボニル基を除く)を含まないカルボン酸型の炭化水素系界面活性剤を意味する。
なお、上記エステル基は、−COO−又は−OCO−で示される基を意味する。
上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、上述した炭化水素系界面活性剤の中から、カルボキシル基又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオンに置換された基を有する炭化水素系界面活性剤を使用することができる。
上記重合工程及び添加工程で使用してよいカルボン酸型の炭化水素系界面活性剤としては、上記界面活性剤(1)、上述した式:R6z(−L−M)によって表されるアニオン性界面活性剤、及び、上述した式:R7z(−L−M)によって表されるアニオン性界面活性剤のうち、カルボキシル基(−COOH)又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオン(例えば、金属原子、アンモニウム等)で置換された基を有するもの、上記化合物(α)、上記界面活性剤(1−0A)、並びに、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤は、1種で用いてもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
上記化合物(α)には、上述した式:R100−COOM(式中、R100及びMは上記と同じ。)によって表されるアニオン性の炭化水素系界面活性剤(好ましくは、式(A)で表される化合物)だけでなく、上述した式:R−L−M(式中、R、L及びMは上記と同じ)によって表されるアニオン性界面活性剤、上記界面活性剤(c)及び上記界面活性剤(d)のうち、カルボキシル基(−COOH)又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオン(例えば、金属原子、アンモニウム等)で置換された基を有するもの等も含まれる。
上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤は、上記化合物(α)が好ましく、上記式(A)で表される化合物、上記式(c)においてAが−COOXである化合物、上記式(d)においてAが−COOXである化合物、上記式(1)においてAが−COOMである化合物、上記式(1−0A)においてAが−COOMである化合物、並びに、これらの化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、上記式(A)で表される化合物及び該化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
特に、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、及び、これらの塩、並びに、これらの化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ラウリン酸及びその塩、並びに、これらの化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、ラウリン酸の塩及びこれにラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましく、ラウリン酸ナトリウム及びこれにラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましい。上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
上記カルボン酸型炭化水素系界面活性剤として好ましくは、上記一般式(1−0A)で示される界面活性剤(1−0A)、上記化合物(α)、上記式(c)で示される界面活性剤(c)、及び、上記式(d)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤としては、また、上記カルボン酸型炭化水素系界面活性剤にラジカル処理又は酸化処理を行った炭化水素系界面活性剤も使用できる。上記カルボン酸型炭化水素系界面活性剤としては、上記化合物(α)が好ましい。
上記ラジカル処理とは、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤にラジカルを発生させる処理であればよく、例えば、反応器に、脱イオン水、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤を加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換し、反応器を昇温・昇圧した後、重合開始剤を仕込み、一定時間撹拌した後、反応器を大気圧になるまで脱圧を行い、冷却を行う処理である。上記酸化処理とは、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤に酸化剤を添加させる処理である。酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素水、酸化マンガン(IV)、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、硝酸、二酸化硫黄などが挙げられる。
本開示のPTFEの製造方法は、更に、炭化水素系界面活性剤を含む水性媒体のpHを塩基性に調整する工程を含むものであってもよい。塩基性とは、pH7.1以上が好ましく、7.5以上がより好ましく、8.0以上が更に好ましく、8.5以上が特に好ましく、9.0以上がことさら好ましい。pHを塩基性に調整することにより、界面活性能力を高くすることが出来る。上記pHを調整する工程は、上記カルボン酸型炭化水素系界面活性剤にラジカル処理又は酸化処理を行う工程の前に行うものであってもよいし、後で行うものであってもよいが、後に行うことが好ましい。上記pHを調整する方法としては特に限定されないが、上記水性媒体にpH調整剤を添加する方法が挙げられる。上記pH調整剤としては、アンモニア、NaOH水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸アンモニウム等を用いることができる。上記pHは、orion社製pHメーターによって測定することができる。
上記重合工程はまた、炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、pHが4.0以上の水性媒体中で重合するものであることも好ましい。pHが4.0以上の水性媒体中で行うことが好ましい。従来、ポリテトラフルオロエチレンを製造するための重合工程においては酸性を示す重合開始剤が使用されていたため、重合で使用される水性媒体のpHは4.0未満であった。本開示者等が鋭意検討したところ、意外なことに、重合に用いる水性媒体のpHを4.0以上にすることによって重合の安定性が向上し、分子量が高いポリテトラフルオロエチレンを製造することができることが見出された。
上記pHは4.0以上であればよく、4.0超が好ましく、4.5以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、5.5以上が更により好ましく、6.0以上が殊更に好ましく、6.5以上が特に好ましく、7.0以上が特に好ましく、7.5以上が特に好ましく、8.0以上が特に好ましい。上記pHの上限値は特に限定されないが、例えば、13.0以下であってよい。重合槽の腐食の観点からは、12.0以下であることが好ましく、11.5以下であることがより好ましく、11.0以下であることがより好ましい。
上記pHは、pHメーターにより測定することができる。
上記重合工程において、炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤であることが好ましく、カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤であることがより好ましい。
上記水性媒体のpHを4.0以上にする方法は限定されないが、例えば、アルカリ性水溶液を使用したり、アルカリ性を示す水性分散液を使用したり、pH調整剤を使用したりすることによってpHを4.0以上にすることができるが、特に限定されるものではない。また、水性媒体に溶解させた時に酸性を示す重合開始剤を使用する場合でも、更に、水酸化ナトリウム等のアルカリ化合物を加えることでpHを4.0以上に調整することもできる。上記アルカリ化合物としては、水に溶けて電離し、OHを生じる化合物であればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;アルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;アミン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。上記重合工程は、アルカリ化合物を水性媒体に添加する工程を含んでもよい。
上記重合工程の全ての期間において水性媒体のpHが4.0以上であってもよい。また、重合工程の中盤においてpHが4.0以上であってもよいし、重合工程の終盤でpHが4.0以上であってもよい。また、重合工程の中盤及び終盤でpHが4.0以上であってもよい。
例えば、上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が3質量%以上である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。言い換えると、上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤の存在下、水性媒体中でフルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る工程であり、上記重合工程において、上記水性媒体は、ポリマー固形分濃度が3質量%以上である時にpHが4.0以上であることが好ましい。上記水性媒体は、ポリマー固形分濃度が5質量%以上である時にpHが4.0以上であることがより好ましく、ポリマー固形分濃度が8質量%以上である時にpHが4.0以上であることが更に好ましく、ポリマー固形分濃度が10質量%以上である時にpHが4.0以上であることが更により好ましく、ポリマー固形分濃度が15質量%以上である時にpHが4.0以上であることが殊更に好ましく、ポリマー固形分濃度が18質量%以上である時にpHが4.0以上であることが特に好ましく、20質量%以上である時にpHが4.0以上であることがより好ましく、25質量%以上である時にpHが4.0以上であることが更に好ましい。
また、上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が25質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが好ましく、20質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることがより好ましく、18質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが更に好ましく、15質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが更により好ましく、10質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが殊更に好ましく、8質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが特に好ましく、5質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることがより好ましく、3質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが更に好ましい。
また、上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることも好ましい。上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が3質量%以上、15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることがより好ましく、5質量%以上、15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることがより好ましく、8質量%以上、15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることが更に好ましく、10質量%以上、15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることが更により好ましい。
また、上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が10質量%以上、15質量%までの間、水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが好ましく、8質量%以上、15質量%までの間、水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることがより好ましく、5質量%以上、15質量%までの間、水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが更に好ましい。
上記水性媒体のpHは、いずれの場合においても、4.0超が好ましく、4.5以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、5.5以上が更により好ましく、6.0以上が殊更に好ましく、6.5以上が特に好ましく、7.0以上がより好ましく、7.5以上が更に好ましく、8.0以上が更により好ましい。
上記重合工程において、重合開始の時点から、ポリマー固形分濃度が3質量%(好ましくは5質量%、より好ましくは8質量%、更に好ましくは10質量%、更により好ましくは15質量%、殊更に好ましくは18質量%、殊更により好ましくは20質量%、特に好ましくは25質量%)の時点迄の60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、殊更に好ましくは99%以上、特に好ましくは100%)の期間で水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が10質量%(好ましくは8質量、より好ましくは5質量%、更に好ましくは3質量%、更により好ましくは重合開始)の時点から、ポリマー固形分濃度が15質量%の時点迄の60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、殊更に好ましくは99%以上、特に好ましくは100%)の期間で水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が15質量%の時点から、ポリマー固形分濃度が18質量%(好ましくは20質量%、より好ましくは25質量%)の時点迄の60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、殊更に好ましくは99%以上、特に好ましくは100%)の期間で水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が25質量%(好ましくは20質量、より好ましくは18質量%、更に好ましくは15質量%、更により好ましくは10質量%、殊更に好ましくは8質量%、特に好ましくは5質量%、より好ましくは3質量%、更に好ましくは重合開始)の時点から、重合終了時点迄の60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、特に好ましくは100%)の期間で水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記水性媒体のpHは、いずれの場合においても、4.0超が好ましく、4.5以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、5.5以上が更により好ましく、6.0以上が殊更に好ましく、6.5以上が特に好ましく、7.0以上がより好ましく、7.5以上が更に好ましく、8.0以上が更により好ましい。
上記重合工程はまた、アニオン性の炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る重合工程を含み、上記炭化水素系界面活性剤が、該炭化水素系界面活性剤の塩を含むものであることも好ましい。言い換えると、上記重合工程におけるアニオン性の炭化水素系界面活性剤の少なくとも一部が塩の形態である。
本開示者等が鋭意検討したところ、意外なことに、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が、アニオン性の炭化水素系界面活性剤の塩を含むことによって重合の安定性が向上し、分子量が大きいフルオロポリマーを製造することができることが見出された。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤については後述する。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤が、該炭化水素系界面活性剤の塩を含むことは、導電率の測定により確認することができる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤の塩の濃度が、アニオン性の炭化水素系界面活性剤の総質量に対して50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更により好ましく、90質量%以上が殊更に好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
上記塩の割合は、溶液濃度と導電率により測定することができる。
上記重合工程において、上記炭化水素系界面活性剤は、カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤であることがより好ましい。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤の塩において、酸の水素原子を置き換える陽イオン(但し、水素原子を除く)は、例えば、金属原子、NR (Rは、各々、同一でも異なっていてもよく、H又は有機基である)、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムである。上記RはH又はアルキル基が好ましく、H又は炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤の塩における上記陽イオンとしては、金属原子、又は、NR が好ましく、NR がより好ましく、NHが更に好ましい。
導電率は、温度の影響が大きく変化することから、恒温槽を用いて、サンプル液温を25℃に保ち、pHメーターのセルの温度も同じにしてから導電率を測定する。
上記重合工程は、実質的に有機酸の形態の前記炭化水素系界面活性剤の非存在下で重合するものであることが好ましい。実質的に有機酸の形態の前記炭化水素系界面活性剤の非存在下で重合するものであることによって、重合の安定性がより向上し、高分子量のフルオロポリマーを得ることができる。
実質的に有機酸の形態の前記炭化水素系界面活性剤の非存在下とは、有機酸の濃度が得られた水性分散液の質量に対して、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、0.05質量%以下が殊更好ましく、0.01質量%以下が特に好ましい。
本明細書中で「有機酸」とは、酸性を示す有機化合物を意味する。有機酸としては、−COOH基を有するカルボン酸や、−SOH基を有するスルホン酸等が挙げられ、有機酸を含む水溶液のpHを調整するのが容易であるとの観点からカルボン酸が好ましい。
また、「有機酸の形態」とは、有機酸に含まれる酸性基(例えば、−COOH基、−SOH基等)のHが遊離していない形態である。
上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤を含む組成物を重合開始後に添加する添加工程を含むことが好ましい。上記添加工程によって、重合の安定性がより向上し、より高分子量のPTFEが得られる。
上記炭化水素系界面活性剤は、例えば、固体(例えば、炭化水素系界面活性剤の粉末)の形態であってもよいし、液体の形態であってもよい。
上記組成物は、炭化水素系界面活性剤を含むものであればよく、炭化水素系界面活性剤のみからなるものであってもよいし、炭化水素系界面活性剤と液状媒体とを含む炭化水素系界面活性剤の溶液又は分散体であってもよい。従って、上記添加工程は、炭化水素系界面活性剤単体又は炭化水素系界面活性剤を含む組成物を重合開始後に添加する工程ということもできる。
炭化水素系界面活性剤は1種類に限定されず、2種類以上の混合物であってもよい。
上記液状媒体としては、水性媒体及び有機溶媒のいずれでもよく、水性媒体及び有機溶媒を組み合わせて用いてもよい。
上記組成物として具体的には、炭化水素系界面活性剤が水性媒体に溶解した水溶液、炭化水素系界面活性剤が水性媒体に分散した水性分散液等が挙げられる。
上記添加工程において添加される炭化水素系界面活性剤は、水性媒体に対して、0.0001〜10質量%であることが好ましい。水性媒体に対して、より好ましくは、0.001質量%以上であり、更に好ましくは、0.01質量%以上であり、特に好ましくは、0.05質量%以上である。また、水性媒体に対して、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは、3質量%以下であり、特に好ましくは、1質量%以下である。
重合の安定性が向上し、より高分子量のPTFEが得られることから、上記組成物は、炭化水素系界面活性剤を含み、pHが5.0以上である水溶液であることが好ましい。
上記水溶液のpHは、6.0以上がより好ましく、6.5以上が更に好ましく、7.0以上が更により好ましく、7.5以上が殊更に好ましく、8.0以上が特に好ましい。また、pHの上限は特に限定されないが、12.0以下であってよく、また、11.0以下であってもよい。
上記添加工程における炭化水素系界面活性剤は、アニオン性炭化水素系界面活性剤であることが好ましく、カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤であることがより好ましい。
アニオン性炭化水素系界面活性剤及びカルボン酸型の炭化水素系界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、上述した炭化水素系界面活性剤の中で例示したアニオン性炭化水素系界面活性剤及びカルボン酸型炭化水素系界面活性剤を好適に使用できる。
本開示のPTFEの製造方法は、上記炭化水素系界面活性剤を少なくとも1種用いることによって、効率よく実施することが可能である。また、本開示のPTFEは、上記炭化水素系界面活性剤を2種以上同時に用いて製造してもよいし、揮発性を有するもの又はPTFEからなる成形体等に残存してもよいものであれば、上記炭化水素系界面活性剤以外の界面活性剤を同時に使用して製造してもよい。
上記重合工程は、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に、TFEを重合するものであることが好ましい。
従来、ポリテトラフルオロエチレンの重合には含フッ素界面活性剤が使用されてきたが、本開示の製造方法は、含フッ素界面活性剤を使用しなくてもポリテトラフルオロエチレンを得ることができる。
本明細書において「実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に」とは、水性媒体に対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味し、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更に好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下である。
上記含フッ素界面活性剤としては、アニオン性含フッ素界面活性剤等が挙げられる。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤は、例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよい。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、アニオン性部分の分子量が1000以下、より好ましくは800以下、さらに好ましくは600以下のフッ素を含む界面活性剤であってよい。
なお、上記「アニオン性部分」は、上記含フッ素界面活性剤のカチオンを除く部分を意味する。例えば、後述する式(I)で表されるF(CFn1COOMの場合には、「F(CFn1COO」の部分である。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤が挙げられる。上記LogPOWは、1−オクタノールと水との分配係数であり、LogP[式中、Pは、含フッ素界面活性剤を含有するオクタノール/水(1:1)混合液が相分離した際のオクタノール中の含フッ素界面活性剤濃度/水中の含フッ素界面活性剤濃度比を表す]で表されるものである。
上記LogPOWは、カラム;TOSOH ODS−120Tカラム(φ4.6mm×250mm、東ソー(株)製)、溶離液;アセトニトリル/0.6質量%HClO4水=1/1(vol/vol%)、流速;1.0ml/分、サンプル量;300μL、カラム温度;40℃、検出光;UV210nmの条件で、既知のオクタノール/水分配係数を有する標準物質(ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸及びデカン酸)についてHPLCを行い、各溶出時間と既知のオクタノール/水分配係数との検量線を作成し、この検量線に基づき、試料液におけるHPLCの溶出時間から算出する。
上記含フッ素界面活性剤として具体的には、米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、米国特許出願公開第2007/0015865号明細書、米国特許出願公開第2007/0015866号明細書、米国特許出願公開第2007/0276103号明細書、米国特許出願公開第2007/0117914号明細書、米国特許出願公開第2007/142541号明細書、米国特許出願公開第2008/0015319号明細書、米国特許第3250808号明細書、米国特許第3271341号明細書、特開2003−119204号公報、国際公開第2005/042593号、国際公開第2008/060461号、国際公開第2007/046377号、国際公開第2007/119526号、国際公開第2007/046482号、国際公開第2007/046345号、米国特許出願公開第2014/0228531号、国際公開第2013/189824号、国際公開第2013/189826号に記載されたもの等が挙げられる。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、下記一般式(N):
n0−Rfn0−Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl又は及びFである。Rfn0は、炭素数3〜20で、鎖状、分枝鎖状または環状で、一部または全てのHがFにより置換されたアルキレン基であり、該アルキレン基は1つ以上のエーテル結合を含んでもよく、一部のHがClにより置換されていてもよい。Yはアニオン性基である。)で表される化合物が挙げられる。
のアニオン性基は、−COOM、−SOM、又は、−SOMであってよく、−COOM、又は、−SOMであってよい。
Mは、H、金属原子、NR8y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R8yは、H又は有機基である。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、例えば、Na、K又はLiである。
8yにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。
8yとしては、H又はC1−10の有機基であってよく、H又はC1−4の有機基であってよく、H又はC1−4のアルキル基であってよい。
Mは、H、金属原子又はNR8y であってよく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR8y であってよく、H、Na、K、Li又はNHであってよい。
上記Rfn0は、Hの50%以上がフッ素に置換されているものであってよい。
上記一般式(N)で表される化合物としては、
下記一般式(N):
n0−(CFm1−Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl及びFであり、m1は3〜15の整数であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn1−O−(CF(CF)CFO)m2CFXn1−Y (N
(式中、Rfn1は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、m2は、0〜3の整数であり、Xn1は、F又はCFであり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn2(CHm3−(Rfn3−Y (N
(式中、Rfn2は、炭素数1〜13のエーテル結合を含み得る、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、m3は、1〜3の整数であり、Rfn3は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、qは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn4−O−(CYn1n2CF−Y (N
(式中、Rfn4は、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Yn1及びYn2は、同一若しくは異なって、H又はFであり、pは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、及び、下記一般式(N):
Figure 2020071503
(式中、Xn2、Xn3及びXn4は、同一若しくは異なってもよく、H、F、又は、炭素数1〜6のエーテル結合を含んでよい直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基である。Rfn5は、炭素数1〜3のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yは、上記定義したものである。但し、Xn2、Xn3、Xn4及びRfn5の合計炭素数は18以下である。)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(N)で表される化合物としてより具体的には、下記一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、下記一般式(II)で表されるω−Hパーフルオロカルボン酸(II)、下記一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、下記一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、下記一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、下記一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、下記一般式(VII)で表されるω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)、下記一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、下記一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、下記一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、下記一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、下記一般式(XII)で表される化合物(XII)、下記一般式(XIII)で表される化合物(XIII)などが挙げられる。
上記パーフルオロカルボン酸(I)は、下記一般式(I)
F(CFn1COOM (I)
(式中、n1は、3〜14の整数であり、Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。)で表されるものである。
上記ω−Hパーフルオロカルボン酸(II)は、下記一般式(II)
H(CFn2COOM (II)
(式中、n2は、4〜15の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)は、下記一般式(III)
Rf−O−(CF(CF)CFO)n3CF(CF)COOM (III)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、n3は、0〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)は、下記一般式(IV)
Rf(CHn4RfCOOM (IV)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基、n4は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロカルボン酸(V)は、下記一般式(V)
Rf−O−CYCF−COOM (V)
(式中、Rfは、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルスルホン酸(VI)は、下記一般式(VI)
F(CFn5SOM (VI)
(式中、n5は、3〜14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記ω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)は、下記一般式(VII)
H(CFn6SOM (VII)
(式中、n6は、4〜14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)は、下記一般式(VIII)
Rf(CHn7SOM (VIII)
(式中、Rfは、炭素数1〜13のパーフルオロアルキル基であり、n7は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルキルアルキレンカルボン酸(IX)は、下記一般式(IX)
Rf(CHn8COOM (IX)
(式中、Rfは、炭素数1〜13のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、n8は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記フルオロカルボン酸(X)は、下記一般式(X)
Rf−O−Rf−O−CF−COOM (X)
(式中、Rfは、炭素数1〜6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロスルホン酸(XI)は、下記一般式(XI)
Rf−O−CYCF−SOM (XI)
(式中、Rfは、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状であって、塩素を含んでもよい、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記化合物(XII)は、下記一般式(XII):
Figure 2020071503
式中、X、X及びXは、同一若しくは異なってもよく、H、F及び炭素数1〜6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rf10は、炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yはアニオン性基である。)で表されるものである。
は、−COOM、−SOM、又は、−SOMであってよく、−SOM、又は、COOMであってよい(式中、Mは上記定義したものである。)。
Lとしては、例えば、単結合、炭素数1〜10のエーテル結合を含みうる部分又は完全フッ素化されたアルキレン基が挙げられる。
上記化合物(XIII)は、下記一般式(XIII):
Rf11−O−(CFCF(CF)O)n9(CFO)n10CFCOOM (XIII)
(式中、Rf11は、塩素を含む炭素数1〜5のフルオロアルキル基であり、n9は、0〜3の整数であり、n10は、0〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。化合物(XIII)としては、CFClO(CFCF(CF)O)n9(CFO)n10CFCOONH(平均分子量750の混合物、式中、n9およびn10は上記定義したものである。)が挙げられる。
上述したように上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等が挙げられる。
上記重合工程はまた、TFEに基づく重合単位及び変性モノマーに基づく重合単位を含む粒子を得る工程(I)、及び、工程(I)で得られた粒子を含む水性媒体中でTFE及び必要に応じて変性モノマーを重合してPTFEを得る工程(II)を含む工程であることが好ましい。上記工程(II)によってTFEに基づく重合単位が99.0質量%以上であり、変性モノマーに基づく重合単位が1.0質量%以下であるPTFEを得ることができる。
上記のように上記工程(I)で前記粒子を得て、その後、工程(I)で得られた粒子を含む水性媒体中でTFE及び必要に応じて変性モノマーを重合することによって、PTFEの粒子数を増加させ、得量を大きくすることができる。
上記重合工程が上記工程(II)を含む場合、上記工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液をそのまま用いて工程(II)を行ってもよい。
また、工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液を希釈又は濃縮して工程(II)を行ってもよい。上記希釈又は濃縮は、反応器中でそのまま行ってもよいし、工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液を反応器から回収して行ってもよい。従って、上記重合工程が、上記工程(I)の後、上記工程(II)の前に、更に、工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液を回収する工程を含んでもよい。
また、工程(I)の後、工程(II)の前に、工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液を50℃未満、30℃未満又は10℃未満にする工程を含んでもよい。
工程(I)と工程(II)とを連続的に行う場合、工程(I)の後、一旦攪拌を停止し、その後、攪拌を再開させて引き続き工程(II)を行なうことができる。
また、工程(I)と工程(II)とを連続的に行う場合、工程(I)の後、場合によって攪拌を停止し、反応器内の圧力を変化させて、攪拌を再開させて、引き続き工程(II)を行なうことができる。
また、反応器のモノマー組成比を変えるために、工程(I)の後に、反応器の圧力を大気圧まで脱圧し、反応器に各々のモノマーを仕込んだのちに、引き続き工程(II)を行ってもよい。工程(I)の後、重合温度を変えて、引き続き工程(II)を行なうことができる。
上記重合工程が上記工程(II)を含む場合、上記工程(I)ではレドックス開始剤を使用することが特に好ましい。レドックス開始剤を用いることで上記粒子の粒子数を増加させることができる。
工程(I)と工程(II)とを連続的に行う場合、工程(I)でレドックス開始剤の仕込みを止めた後に、工程(II)の重合開始剤を仕込むことで連続的に製造することができる。レドックス開始剤としては、後述するものが挙げられる。
上記重合工程が上記工程(II)を含む場合、上記工程(I)ではラジカル重合開始剤を使用してもよい。ラジカル重合開始剤を用いることで上記粒子の粒子数を増加させることができる。
工程(I)と工程(II)とを連続的に行う場合、工程(I)でラジカル重合開始剤の仕込みを止めた後に、工程(II)の重合開始剤を仕込むことで連続的に製造することができる。ラジカル重合開始剤としては、後述するものが挙げられるが、工程(I)では、過硫酸アンモニウムであることが好ましい。工程(II)では、ジコハク酸パーオキサイドが好ましい。また、工程(II)では、ラジカル重合開始剤を連続又は断続的に仕込むことがこのましい。
上記重合工程が上記工程(II)を含む場合、上記工程(I)は、PTFEの濃度が20.0質量%以下の水性分散液を得る工程であることが好ましい。上記固形分濃度は、より好ましくは15.0質量%以下であり、更に好ましくは10.0質量%以下であり、更により好ましくは8.0質量%以下であり、特に好ましくは5.0質量%以下である。また、上記固形分濃度は0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.8質量%以上が更により好ましく、1.0質量%以上が殊更に好ましく、1.5質量%以上が特に好ましい。
上記粒子は、TFEに基づく重合単位及び変性モノマーに基づく重合単位を含む粒子である。上記粒子は、TFEに基づく重合単位が99.0質量%以上であり、変性モノマーに基づく重合単位が1.0質量%以下であるPTFEである。
上記粒子は、変性モノマーに基づく重合単位(以下「変性モノマー単位」とも記載する)が0.00001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。変性モノマー単位の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。変性モノマー単位の上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%がより好ましい。
上記工程(I)より得られた粒子は、平均一次粒子径が300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは150nm以下である。また、上記平均一次粒子径は、0.1nm以上が好ましく、より好ましくは1.0nm以上であり、更に好ましくは3.0nm以上である。
上記平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。上記平均一次粒子径は、固形分濃度約1.0質量%に調整したPTFE水性分散液を作成し、動的光散乱法を使用して、25℃、溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・s、積算70回にて測定できる。動的光散乱法としては、例えばELSZ−1000S(大塚電子株式会社製)が使用できる。
上記工程(II)は、上記粒子を含む水性媒体中でTFE及び必要に応じて変性モノマーを重合してPTFEを得る工程である。上記工程(II)は、製造されるPTFEのTFEに基づく重合単位を99.0質量%以上、変性モノマーに基づく重合単位を1.0質量%以下にできればよく、TFEのみを重合するものであってもよいし、TFE及び変性モノマーを重合するものであってもよい。変性モノマーとしては、上記重合工程において記載した変性モノマーを適宜使用することができる。
上記水性媒体は、重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
上記工程(II)における水性媒体は、工程(I)で得られた上記粒子を含む水性分散液に含まれる水性媒体を含むことが好ましい。上記粒子を含む水性分散液に含まれる水性媒体に加えて、他の水性媒体を加えてもよい。
上記工程(II)における重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするPTFEの分子量、反応速度によって適宜決定される。
例えば、重合温度が10〜150℃であることが好ましい。重合温度は、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。
また、重合圧力が0.05〜10MPaであることが好ましい。重合圧力は、0.3MPa以上がより好ましく、0.5MPa以上が更に好ましく、また、5.0MPa以下がより好ましく、3.0MPa以下が更に好ましい。
特に、得量を向上させる観点からは、1.0MPa以上が好ましく、2.0MPa以上がより好ましい。
上記工程(II)は、炭化水素系界面活性剤の存在下で行ってもよいし、炭化水素系界面活性剤の非存在下で行ってもよい。
上記工程(II)は、炭化水素系界面活性剤の存在下、上記粒子を含む水性媒体中でTFE及び必要に応じて変性モノマーを重合する工程であることが好ましい。
上記工程(II)は、炭化水素系界面活性剤の量が、水性媒体に対して0.0001〜15質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.001質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。0.0001質量%未満であると、分散力が不充分となるおそれがあり、15質量%を超えると、添加量に見合った効果が得られない。上記炭化水素系界面活性剤の添加量は、使用するモノマーの種類、目的とするPTFEの分子量等によって適宜決定される。
上記炭化水素系界面活性剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合開始後に一括して添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
上記工程(II)は、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程を含むことが好ましい。炭化水素系界面活性剤を連続的に添加するとは、例えば、炭化水素系界面活性剤を一括ではなく、経時的に、かつ、間断なく又は分割して、添加することである。上記連続的に添加する工程を含むことによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができる。
上記工程(II)において、重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、水性媒体に対して1ppb以上であることが好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、好ましくは10ppb以上であり、より好ましくは50ppb以上であり、更に好ましくは100ppb以上であり、更により好ましくは200ppb以上である。上限は特に限定されないが、例えば、100000ppmであることが好ましく、50000ppmであることがより好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、上記範囲であることによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができる。また、一次粒子のアスペクト比をより小さくすることもできる。
上記工程(II)において、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、水性媒体中に形成されるPTFEの濃度が10質量%以下であるときに、炭化水素系界面活性剤を水性媒体中に添加し始めることが好ましい。上記炭化水素系界面活性剤は、8.0質量%以下である時に添加し始めることがより好ましく、5.0質量%以下である時に添加し始めることが更に好ましく、4.0質量%以下である時に添加し始めることが更により好ましく、上記濃度が3.0質量%以下である時に添加し始めることが殊更好ましく、2.0質量%以下である時に添加し始めることが特に好ましく、1.5質量%以下である時に添加し始めることが特により好ましく、1.0質量%以下である時に添加し始めることが殊更特に好ましい。また、上記濃度が0.60質量%未満である時に添加し始めることが好ましく、0.50質量%以下であるときに添加し始めることがより好ましく、0.36質量%以下であるときに添加し始めることが更に好ましく、0.30質量%以下であるときに添加し始めることが更により好ましく、0.20質量%以下であるときに添加し始めることが殊更に好ましく、0.10質量%以下であるときに添加し始めることが特に好ましい。また、工程(II)の重合開始とともに、添加し始めることが好ましい。上記濃度は、水性媒体及びPTFEの合計に対する濃度である。
上記工程を含むことによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができる。また、未凝析ポリマー量がより少ない水性分散液を得ることができる。更に、一次粒子のアスペクト比をより小さくすることもできる。
上記炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、上記炭化水素系界面活性剤の添加量は、水性媒体100質量%に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.05質量%であり、更に好ましい下限は0.1質量%であり、より好ましい上限は5質量%であり、更に好ましい上限は1質量%である。
炭化水素系界面活性剤としては、上記一般式(1)で示される界面活性剤(1)、上記一般式(1−0A)で表される界面活性剤(1−0A)、上記式(a)で表される界面活性剤(a)、上記式(b)で示される界面活性剤(b)、上記式(c)で示される界面活性剤(c)、上記式(d)で示される界面活性剤(d)、上記化合物(α)、並びに、これらの界面活性剤(a)〜(d)及び化合物(α)のいずれかにラジカル処理または酸化処理を行った界面活性剤、からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。上記重合工程が上記工程(II)を含む場合、上記重合工程は、上記炭化水素系界面活性剤に上記ラジカル処理又は酸化処理を行う工程を含むことが好ましい。
上記工程(II)は、例えば、重合反応器に、上記粒子を含む水性分散液、TFE、必要に応じて水性媒体、変性モノマー、炭化水素系界面活性剤、他の添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の重合開始剤を加え、重合反応を開始することにより行うことができる。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤及び上記炭化水素系界面活性剤等を追加添加してもよい。上記炭化水素系界面活性剤を重合反応が開始した後に添加してもよい。
上記重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、上記工程(II)は、油溶性ラジカル重合開始剤又は水溶性ラジカル重合開始剤の存在下で行う工程であることが好ましい。特に、重合開始剤として後述する油溶性の過酸化物又は水溶性過酸化物を使用することが好ましい。
上記工程(II)において、重合開始剤はレドックス開始剤であることも好ましい。レドックス開始剤を用いることで得られるPTFEの分子量を高くすることができる。
また、30℃以下の低温で重合を実施する場合等では、重合開始剤として、酸化剤と還元剤を組み合わせるレドックス開始剤を用いるのが好ましい。
上記酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ジコハク酸パーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド等の有機過酸化物;過マンガン酸、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸のアルカリ金属塩(過マンガン酸カリウム等)、過マンガン酸のアルカリ土類金属塩等の過マンガン酸塩;三酢酸マンガン(CMnO);セリウム硝酸アンモニウム、セリウム硫酸アンモニウム等のセリウム(IV)塩;臭素酸、臭素酸アンモニウム、臭素酸のアルカリ金属塩、臭素酸のアルカリ土類金属塩等の臭素酸又はその塩等が挙げられる。
上記還元剤としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等のジカルボン酸又はその塩;臭素酸又はその塩;ジイミン;等が挙げられる。ジカルボン酸又はその塩としては、シュウ酸又はその塩が好ましい。臭素酸又はその塩としては、臭素酸カリウムが好ましい。
開始剤の分解速度を上げるため、レドックス開始剤の組み合わせには、銅塩、鉄塩を加えることも好ましい。銅塩としては、硫酸銅(II)、鉄塩としては硫酸鉄(II)が挙げられる。
上記レドックス開始剤としては、酸化剤が、過マンガン酸又はその塩、過硫酸塩、三酢酸マンガン、セリウム(IV)塩、若しくは、臭素酸又はその塩であり、還元剤が、ジカルボン酸又はその塩、若しくは、ジイミンであることが好ましい。
より好ましくは、酸化剤が、過マンガン酸又はその塩、過硫酸塩、若しくは、臭素酸又はその塩であり、還元剤が、ジカルボン酸又はその塩である。
上記レドックス開始剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸塩等が挙げられ、過マンガン酸カリウム/シュウ酸又は過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウムが好ましい。
レドックス開始剤を用いる場合は、酸化剤又は還元剤のいずれかをあらかじめ重合槽に仕込み、ついでもう一方を連続的又は断続的に加えて重合を開始させてもよい。例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸を用いる場合、重合槽にシュウ酸を仕込み、そこへ過マンガン酸カリウムを連続的に添加することが好ましい。
上記レドックス開始剤としては、レドックス開始剤水溶液のpHを4.0以上とすることができる酸化剤又は還元剤を使用することが好ましい。上記レドックス開始剤水溶液とは、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、または、還元剤の0.50質量%濃度水溶液を意味する。
すなわち、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の少なくとも一方のpHが4.0以上であればよく、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の両方のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記レドックス開始剤水溶液(酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、又は、還元剤の0.50質量%濃度水溶液)のpHは、それぞれ、5.0以上がより好ましく、5.5以上が更に好ましく、6.0以上が特に好ましい。
なお、本明細書のレドックス開始剤において、「過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム」と記載した場合、過マンガン酸カリウムとシュウ酸アンモニウムとの組合せを意味する。他の化合物においても同じである。
上記レドックス開始剤は特に、塩である酸化剤と塩である還元剤との組み合わせであることが好ましい。
例えば、上記塩である酸化剤は、過硫酸塩、過マンガン酸塩、セリウム(IV)塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、過マンガン酸塩が更に好ましく、過マンガン酸カリウムが特に好ましい。
また、上記塩である還元剤はシュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、シュウ酸塩が更に好ましく、シュウ酸アンモニウムが特に好ましい。
上記レドックス開始剤として具体的には、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記工程(II)でレドックス開始剤を用いることによって、得られるPTFEのSSGを小さくすることができ、延伸可能なものとすることができる。
また、上記重合工程でレドックス開始剤を用いることによって、水性分散液中に生成されるPTFEの粒子数を多くすることができる。また、PTFEの得量を高くすることもできる。
レドックス開始剤を使用する場合、重合初期に酸化剤と還元剤を一括で添加してもよいし、重合初期に還元剤を一括で添加し、酸化剤を連続して添加してもよいし、重合初期に酸化剤を一括で添加し、還元剤を連続して添加してもよいし、酸化剤と還元剤の両方を連続して添加してもよい。
重合開始剤としてレドックス開始剤を使用する場合、水性媒体に対して、酸化剤の添加量が5〜10000ppmであることが好ましく、10〜1000ppmであることがより好ましく、還元剤の添加量が5〜10000ppmであることが好ましく、10〜1000ppmであることがより好ましい。
また、上記重合工程でレドックス開始剤を用いる場合、重合温度は、100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましい。また、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。
上記工程(II)は、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に、TFE及び必要に応じて変性モノマーを重合するものであることが好ましい。「実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に」とは、重合で得られるPTFEに対して含フッ素界面活性剤が1ppm以下であることを意味し、好ましくは100ppb以下であり、より好ましくは10ppb以下であり、更に好ましくは1ppb以下である。
上記重合工程は、更に核形成剤の存在下に、テトラフルオロエチレン及び変性モノマーを重合するものであってもよい。上記重合工程が上記工程(II)を含む場合、上記工程(I)又は工程(II)は、更に核形成剤の存在下に重合するものであってもよい。核形成剤は工程(I)のみで使用してもよいし、工程(II)のみで使用してもよいし、工程(I)及び工程(II)の両方で使用してもよい。
上記核形成剤としては、例えば、フルオロポリエーテル、非イオン性界面活性剤、及び、連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
この場合、上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤(但し、非イオン性界面活性剤を除く)及び上記核形成剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン及び変性モノマーを重合することによりPTFEを得る工程であることが好ましい。また、この場合、炭化水素系界面活性剤は、アニオン性炭化水素系界面活性剤であることが好ましい。
重合工程において核形成剤を用いる場合は、特に、炭化水素系界面活性剤としてアニオン性炭化水素系界面活性剤を用い、核形成剤として非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
炭化水素系界面活性剤と核形成剤との質量比(炭化水素系界面活性剤:核形成剤)としては、好ましくは10:1〜100×10:1であり、より好ましくは100:1〜15×10:1であり、さらに好ましくは500:1〜1×10:1である。
上記フルオロポリエーテルとしては、パーフルオロポリエーテルが好ましい。
上記フルオロポリエーテルは、式(1a)〜(1d)で表される繰り返し単位を有するものであることが好ましい。
(−CFCF−CF−O−) (1a)
(−CF−CF−CF−O−) (1b)
(−CF−CF−O−)−(−CF−O−) (1c)
(−CF−CFCF−O−)−(−CF−O−) (1d)
(式(1a)〜(1d)中、m及びnは1以上の整数である。)
上記フルオロポリエーテルとしては、フルオロポリエーテル酸又はその塩が好ましく、上記フルオロポリエーテル酸は、カルボン酸、スルホン酸、スルホンアミド、又は、ホスホン酸であることが好ましく、カルボン酸であることがより好ましい。フルオロポリエーテル酸又はその塩のなかでも、フルオロポリエーテル酸の塩が好ましく、フルオロポリエーテル酸のアンモニウム塩がより好ましく、フルオロポリエーテルカルボン酸のアンモニウム塩が更に好ましい。
上記フルオロポリエーテル酸又はその塩は、分子の主鎖中の酸素原子が、1〜3個の炭素原子を有する飽和フルオロカーボン基により分離されているいずれかの鎖構造を有することが可能である。2種以上のタイプのフルオロカーボン基が分子中に存在し得る。
上記フルオロポリエーテル酸又はその塩としては、下記式:
CF−CF−CF−O(−CFCF−CF−O−)CFCF−COOH、CF−CF−CF−O(−CF−CF−CF−O−)−CF−CFCOOH、又は、
HOOC−CF−O(−CF−CF−O−)−(−CF−O−)CFCOOH
(式中、m及びnは前記と同じ。)
で表わされる化合物又はそれらの塩であることが好ましい。
これらの構造は、J.Appl.Polymer Sci.、57、797(1995年)においてKasaiにより検討されている。ここに開示されているとおり、このようなフルオロポリエーテルは、一端または両端に、カルボン酸基またはその塩を有することが可能である。同様に、このようなフルオロポリエーテルは、一端または両端に、スルホン酸またはホスホン酸基またはその塩を有し得る。加えて、両端に酸官能基を有するフルオロポリエーテルは、異なる基を各端部に有し得る。単官能性フルオロポリエーテルについて、分子の他端は通常は過フッ素化されているが、水素または塩素原子を含有していてもよい。
一端または両端に酸基を有するフルオロポリエーテルは、少なくとも2つのエーテル酸素、好ましくは少なくとも4つのエーテル酸素、およびさらにより好ましくは少なくとも6つのエーテル酸素を有する。好ましくは、エーテル酸素を分離するフルオロカーボン基の少なくとも1つ、より好ましくはこのようなフルオロカーボン基の少なくとも2つは、2または3個の炭素原子を有する。さらにより好ましくは、エーテル酸素を分離するフルオロカーボン基の少なくとも50%が2または3個の炭素原子を有する。また、好ましくは、フルオロポリエーテルは合計で少なくとも15個の炭素原子を有し、例えば、上記の繰り返し単位構造中のnまたはn+mの好ましい最小値は、少なくとも5である。酸基を一端または両端に有する2種以上のフルオロポリエーテルを、本開示による方法において用いることが可能である。典型的には、単一種の特定のフルオロポリエーテル化合物の製造において特別な注意が払われない限り、フルオロポリエーテルは、平均分子量に対する分子量範囲内の様々な割合で複数種の化合物を含有し得る。
上記フルオロポリエーテルは、数平均分子量が800g/mol以上であることが好ましい。フルオロポリエーテル酸又はその塩は、水性媒体中への分散が困難であるおそれがあることから、数平均分子量が6000g/mol未満であることが好ましい。フルオロポリエーテル酸又はその塩は、数平均分子量が800〜3500g/molであることがより好ましく、1000〜2500g/molであることが更に好ましい。
上記フルオロポリエーテルの量は、水性媒体に対して5〜3000ppmであることが好ましく、5〜2000ppmであることがより好ましく、さらに好ましい下限は10ppm、さらに好ましい上限は、100ppmである。
上記核形成剤としての非イオン性界面活性剤としては、上述した非イオン性界面活性剤が挙げられ、フッ素を含有しない非イオン性界面活性剤であることが好ましい。例えば、下記一般式(i)
−O−A−H (i)
(式中、Rは、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の1級又は2級アルキル基であり、Aは、ポリオキシアルキレン鎖である。)により表される化合物が挙げられる。Rの炭素数は10〜16が好ましく、12〜16がより好ましい。Rの炭素数が18以下であると水性分散液の良好な分散安定性が得られやすい。またRの炭素数が18を超えると流動温度が高いため取扱い難い。Rの炭素数が8より小さいと水性分散液の表面張力が高くなり、浸透性やぬれ性が低下しやすい。
ポリオキシアルキレン鎖はオキシエチレンとオキシプロピレンとからなるものであってもよい。オキシエチレン基の平均繰り返し数5〜20およびオキシプロピレン基の平均繰り返し数0〜2からなるポリオキシアルキレン鎖であり、親水基である。オキシエチレン単位数は、通常提供される広いまたは狭い単峰性分布、またはブレンドすることによって得られるより広いまたは二峰性分布のいずれかを含み得る。オキシプロピレン基の平均繰り返し数が0超の場合、ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシエチレン基とオキシプロピレン基はブロック状に配列しても、ランダム状に配列してもよい。
水性分散液の粘度および安定性の点からは、オキシエチレン基の平均繰り返し数7〜12およびオキシプロピレン基の平均繰り返し数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖が好ましい。特にAがオキシプロピレン基を平均して0.5〜1.5有すると低起泡性が良好であり好ましい。
より好ましくは、Rは、(R’)(R’’)HC−であり、ここで、R’及びR’’は、同じか又は異なる直鎖、分岐鎖、又は環式のアルキル基であり、炭素原子の合計量は、少なくとも5個、好ましくは7〜17個である。好ましくは、R’またはR’’のうちの少なくとも一つは、分岐状または環状炭化水素基である。
上記非イオン性界面活性剤の具体例としては、C1327−O−(CO)10−H、C1225−O−(CO)10−H、C1021CH(CH)CH−O−(CO)−H、C1327−O−(CO)−(CH(CH)CHO)−H、C1633−O−(CO)10−H、HC(C11)(C15)−O−(CO)−H等が挙げられる。上記非イオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、Genapol X080(製品名、クラリアント社製)、ノイゲンTDS−80(商品名)を例とするノイゲンTDSシリーズ(第一工業製薬社製)、レオコールTD−90(商品名)を例とするレオコールTDシリーズ(ライオン社製)、ライオノール(登録商標)TDシリーズ(ライオン社製)、T−Det A138(商品名)を例とするT−Det Aシリーズ(Harcros Chemicals社製)、タージトール(登録商標)15Sシリーズ(ダウ社製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤は、平均約4〜約18個のエチレンオキシド単位を有する2,6,8−トリメチル−4−ノナノールのエトキシレート、平均約6〜約12個のエチレンオキシド単位を有する2,6,8−トリメチル−4−ノナノールのエトキシレート、またはその混合物であることも好ましい。この種類の非イオン性界面活性剤は、例えば、TERGITOL TMN−6、TERGITOL TMN−10、及びTERGITOL TMN−100X(いずれも製品名、ダウ・ケミカル社製)としても市販されている。
また、非イオン性界面活性剤の疎水基は、アルキルフェノール基、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基の何れかであってもよい。
例えば、非イオン性界面活性剤としては、例えば、下記一般式(ii)
−C−O−A−H (ii)
(式中、Rは、炭素数4〜12の直鎖状又は分岐鎖状の1級若しくは2級のアルキル基であり、Aは、ポリオキシアルキレン鎖である。)で示されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系非イオン性化合物が挙げられる。上記ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系非イオン性化合物として具体的には、トライトンX−100(商品名、Dow Chemical社製)等が挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤としてはポリオール化合物も挙げられる。具体的には、国際公開第2011/014715号に記載されたもの等が挙げられる。
ポリオール化合物の典型例としては、ポリオール単位として1個以上の糖単位を有する化合物が挙げられる。糖単位は、少なくとも1個の長鎖を含有するように変性されてもよい。少なくとも1つの長鎖部分を含有する好適なポリオール化合物としては、例えば、アルキルグリコシド、変性アルキルグリコシド、糖エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。糖としては、単糖、オリゴ糖、及びソルビタンが挙げられるが、これらに限定されない。単糖としては、五炭糖及び六炭糖が挙げられる。単糖の典型例としては、リボース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、アラビノース、キシロースが挙げられる。オリゴ糖としては、2〜10個の同一又は異なる単糖のオリゴマーが挙げられる。オリゴ糖の例としては、サッカロース、マルトース、ラクトース、ラフィノース、及びイソマルトースが挙げられるが、これらに限定されない。
典型的に、ポリオール化合物として使用するのに好適な糖としては、4個の炭素原子と1個のヘテロ原子(典型的に、酸素又は硫黄であるが、好ましくは酸素原子)との五員環を含有する環状化合物、又は5個の炭素原子と上述のような1個のヘテロ原子、好ましくは酸素原子との六員環を含有する環状化合物が挙げられる。これらは、炭素環原子に結合している少なくとも2個の又は少なくとも3個のヒドロキシ基(−OH基)を更に含有する。典型的に、糖は、エーテル又はエステル結合が長鎖残基と糖部分との間に作製されるように、炭素環原子に結合しているヒドロキシ基(及び/又はヒドロキシアルキル基)の水素原子のうちの1個以上が、長鎖残基によって置換されているという点で変性されている。
糖系ポリオールは、1個の糖単位又は複数の糖単位を含有してもよい。1個の糖単位又は複数の糖単位は、上述のような長鎖部分で変性されてもよい。糖系ポリオール化合物の特定の例としては、グリコシド、糖エステル、ソルビタンエステル、並びにこれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。
ポリオール化合物の好ましい種類は、アルキル又は変性アルキルグルコシドである。これらの種類の界面活性剤は、少なくとも1個のグルコース部分を含有する。
Figure 2020071503
(式中、xは、0、1、2、3、4、又は5を表し、R及びRは、独立して、H又は少なくとも6個の炭素原子を含有する長鎖単位を表すが、但しR及びRのうちの少なくとも1個はHではない)によって表される化合物が挙げられる。R及びRの典型例としては、脂肪族アルコール残基が挙げられる。脂肪族アルコールの例としては、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール(ラウリルアルコール)、テトラデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール)、エイコサン酸、及びこれらの組み合わせ挙げられる。
上記の式は、ピラノース形態のグルコースを示すアルキルポリグルコシドの特定の例を表すが、他の糖又は同じ糖であるが異なる鏡像異性体又はジアステレオマー形態である糖を用いてもよいことが理解される。
アルキルグルコシドは、例えば、グルコース、デンプン、又はn−ブチルグルコシドと脂肪族アルコールとの酸触媒反応によって入手可能であり、これからは、典型例に、様々なアルキルグルコシドの混合物が得られる(Alkylpolygylcoside,Rompp,Lexikon Chemie,Version 2.0,Stuttgart/New York,Georg Thieme Verlag,1999)。脂肪族アルコールの例としては、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール(ラウリルアルコール)、テトラデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール)、エイコサン酸、及びこれらの組み合わせ挙げられる。また、アルキルグルコシドは、Cognis GmbH,Dusseldorf,Germanyから商品名GLUCOPON又はDISPONILとして市販されている。
その他のノニオン系界面活性剤として、BASFからPluronic(登録商標)Rシリーズとして供給される二官能基ブロックコポリマー、BASF CorporationからIconol(登録商標)TDAシリーズとして供給されるトリデシルアルコールアルコキシレート、炭化水素含有シロキサン界面活性剤、好ましくは炭化系水素界面活性剤であり、ここで、上記のヒドロカルビル基は、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換され、それによって、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素系界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基上の一価置換基は水素である。
上記非イオン性界面活性剤の量は、水性媒体に対して0.1〜0.0000001質量%であることが好ましく、0.01〜0.000001質量%であることがより好ましい。
上記連鎖移動剤としては、たとえばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、メタン、エタン、プロパン、イソブタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素などの各種ハロゲン化炭化水素、シクロヘキサンなどがあげられる。
連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用してもよい。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用して行う重合方法としては、たとえば、実質的に無酸素状態で、臭素化合物又はヨウ素化合物の存在下に、水性媒体中でフルオロモノマーの重合を行う方法があげられる(ヨウ素移動重合法)。使用する臭素化合物又はヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式:
Br
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、Rは炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによって、ヨウ素または臭素が重合体に導入され、架橋点として機能する。
臭素化合物又はヨウ素化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、2−ヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CFBr、BrCFCFBr、CFCFBrCFBr、CFClBr、BrCFCFClBr、CFBrClCFClBr、BrCFCFCFBr、BrCFCFBrOCF、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合わせて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、アルカン及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。アルカンの炭素数は、1〜6が好ましく、1〜5がより好ましい。またアルコールは、炭素数1〜5が好ましく、1〜4がより好ましい。連鎖移動剤としては、特に、メタン、エタン、プロパン、イソブタン、メタノール、エタノール、及び、イソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記連鎖移動剤の量は、水性媒体に対して0.001〜10000ppmが好ましい。上記連鎖移動剤の量は、水性媒体に対して0.01ppm以上がより好ましく、0.05ppm以上が更に好ましく、0.1ppm以上が特に好ましい。また、水性媒体に対して1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下が更に好ましく、100ppm以下が特に好ましい。
上記連鎖移動剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合開始後に一括して添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
また、本開示の製造方法において、上記炭化水素系界面活性剤と、所望により用いるその他の界面活性能を有する化合物に加え、各化合物を安定化するため添加剤を使用することができる。上記添加剤としては、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤などが挙げられる。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系オイル、フッ素系溶剤、シリコーンオイルなどが好ましい。安定化助剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定化助剤としては、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で液体でも、半固体でも、固体であってもよいが、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、通常40〜65℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。
安定化助剤の使用量は、使用する水性媒体の質量基準で0.1〜12質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。安定化助剤は十分に疎水的で、TFEの重合後にPTFE水性乳化液と完全に分離されて、コンタミ成分とならないことが望ましい。
上記製造方法における重合は、重合反応器に、水性媒体、上記炭化水素系界面活性剤、モノマー及び必要に応じて他の添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の重合開始剤を加え、重合反応を開始することにより行うことができる。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤及び上記界面活性剤等を追加添加してもよい。上記炭化水素系界面活性剤を重合反応が開始した後に添加してもよい。
上記重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。上記重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤、水溶性ラジカル重合開始剤又はレドックス開始剤を使用できる。
上記重合開始剤の濃度は、モノマーの種類、目的とするPTFEの分子量、反応速度によって適宜決定される。
重合開始剤の添加量は、特に限定はないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(たとえば、数ppm対水濃度)以上を重合の初期に一括して、または逐次的に、または連続して添加すればよい。上限は、装置面から重合反応熱で除熱を行いながら、反応温度を上昇させてもよい範囲であり、より好ましい上限は、装置面から重合反応熱を除熱できる範囲である。
上記重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤、または水溶性ラジカル重合開始剤を使用できる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類、ジt−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類などが、また、ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などが代表的なものとしてあげられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、たとえば、過硫酸、過ホウ素酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸などのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t−ブチルパーマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがあげられる。サルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤も併せて含んでもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1〜20倍であってよい。
本開示の製造方法において、重合開始剤はレドックス開始剤であることが好ましい。レドックス開始剤を用いることで得られるPTFEの分子量を高くすることができる。
また、30℃以下の低温で重合を実施する場合等では、重合開始剤として、酸化剤と還元剤を組み合わせるレドックス開始剤を用いるのが好ましい。
酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ジコハク酸パーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド等の有機過酸化物;過マンガン酸、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸のアルカリ金属塩(過マンガン酸カリウム等)、過マンガン酸のアルカリ土類金属塩等の過マンガン酸塩;三酢酸マンガン(CMnO);セリウム硝酸アンモニウム、セリウム硫酸アンモニウム等のセリウム(IV)塩;臭素酸、臭素酸アンモニウム、臭素酸のアルカリ金属塩、臭素酸のアルカリ土類金属塩等の臭素酸又はその塩等が挙げられる。
上記還元剤としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等のジカルボン酸又はその塩;臭素酸又はその塩;ジイミン;等が挙げられる。ジカルボン酸又はその塩としては、シュウ酸又はその塩が好ましい。臭素酸又はその塩としては、臭素酸カリウムが好ましい。
開始剤の分解速度を上げるため、レドックス開始剤の組み合わせには、銅塩、鉄塩を加えることも好ましい。銅塩としては、硫酸銅(II)、鉄塩としては硫酸鉄(II)が挙げられる。
上記レドックス開始剤としては、酸化剤が、過マンガン酸又はその塩、過硫酸塩、三酢酸マンガン、セリウム(IV)塩、若しくは、臭素酸又はその塩であり、還元剤が、ジカルボン酸又はその塩、若しくは、ジイミンであることが好ましい。
より好ましくは、酸化剤が、過マンガン酸又はその塩、過硫酸塩、若しくは、臭素酸又はその塩であり、還元剤が、ジカルボン酸又はその塩である。
上記レドックス開始剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸塩等が挙げられ、過マンガン酸カリウム/シュウ酸又は過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウムが好ましい。
レドックス開始剤を用いる場合は、酸化剤又は還元剤のいずれかをあらかじめ重合槽に仕込み、ついでもう一方を連続的又は断続的に加えて重合を開始させてもよい。例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸を用いる場合、重合槽にシュウ酸を仕込み、そこへ過マンガン酸カリウムを連続的に添加することが好ましい。
なお、本明細書のレドックス開始剤において、「過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム」と記載した場合、過マンガン酸カリウムとシュウ酸アンモニウムとの組合せを意味する。他の化合物においても同じである。
上記レドックス開始剤としては、レドックス開始剤水溶液のpHを4.0以上とすることができる酸化剤又は還元剤を使用することが好ましい。上記レドックス開始剤水溶液とは、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、または、還元剤の0.50質量%濃度水溶液を意味する。
すなわち、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の少なくとも一方のpHが4.0以上であればよく、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の両方のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記レドックス開始剤水溶液(酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、又は、還元剤の0.50質量%濃度水溶液)のpHは、それぞれ、5.0以上がより好ましく、5.5以上が更に好ましく、6.0以上が特に好ましい。
上記レドックス開始剤は特に、塩である酸化剤と塩である還元剤との組み合わせであることが好ましい。
例えば、上記塩である酸化剤は、過硫酸塩、過マンガン酸塩、セリウム(IV)塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、過マンガン酸塩が更に好ましく、過マンガン酸カリウムが特に好ましい。
また、上記塩である還元剤は、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、シュウ酸塩が更に好ましく、シュウ酸アンモニウムが特に好ましい。
上記レドックス開始剤として具体的には、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記重合工程でレドックス開始剤を用いることによって、得られるPTFEのSSGを小さくすることができ、延伸可能なものとすることができる。
また、上記重合工程でレドックス開始剤を用いることによって、水性分散液中に生成されるPTFEの粒子数を多くすることができる。また、PTFEの得量を高くすることもできる。
レドックス開始剤を使用する場合、重合初期に酸化剤と還元剤を一括で添加してもよいし、重合初期に還元剤を一括で添加し、酸化剤を連続して添加してもよいし、重合初期に酸化剤を一括で添加し、還元剤を連続して添加してもよいし、酸化剤と還元剤の両方を連続して添加してもよい。
重合開始剤としてレドックス開始剤を使用する場合、水性媒体に対して、酸化剤の添加量が5〜10000ppmであることが好ましく、10〜1000ppmであることがより好ましく、還元剤の添加量が5〜10000ppmであることが好ましく、10〜1000ppmであることがより好ましい。
また、上記重合工程でレドックス開始剤を用いる場合、重合温度は、100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましい。また、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。
重合開始剤の添加量は、特に限定はないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(たとえば、数ppm対水濃度)以上を重合の初期に一括して、または逐次的に、または連続して添加すればよい。上限は、装置面から重合反応熱で除熱を行いながら、反応温度を上昇させてもよい範囲であり、より好ましい上限は、装置面から重合反応熱を除熱できる範囲である。
上記重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を用いることもできる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化物が好ましい。ラジカル重合開始剤としては、上述した油溶性ラジカル重合開始剤、水溶性ラジカル重合開始剤等が挙げられるが、上記水溶性ラジカル重合開始剤が好ましい。水溶性ラジカル重合開始剤としてより好ましくは、過酸化物であり、更に好ましくは、過硫酸塩や有機過酸化物、又はこれらの混合物である。過硫酸塩として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。有機過酸化物として、ジコハク酸パーオキシド、ジグルタル酸パーオキシド等が挙げられる。更により好ましくは、過硫酸アンモニウム、ジコハク酸パーオキサイドである。上記重合工程は、例えば、水性媒体に対して5ppm以上の過硫酸アンモニウムを添加するものであることが好ましく、10ppm以上がより好ましく、20ppm以上が更に好ましく、30ppm以上が更により好ましく、40ppm以上が殊更好ましく、50ppm以上が殊更より好ましく、80ppm以上が特に好ましく、100ppm以上が殊更特に好ましい。上記重合工程において、重合を開始した後に、ラジカル重合開始剤を連続的に又は断続的に加えてもよい。
上記水性媒体は、重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
本開示の製造方法は、特に、変性モノマーがヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含み、
重合温度が10〜150℃であり、
重合開始前、又は、水性媒体中に形成するポリテトラフルオロエチレンの濃度が5.0質量%以下、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは、重合開始と同時であるときに、変性モノマーを水性媒体中に添加する工程を含むものであることが好ましい。
本開示の製造方法は、また、変性モノマーが上記変性モノマー(A)を含み、
重合温度が10〜150℃であり、
重合開始前、又は、水性媒体中に形成するポリテトラフルオロエチレンの濃度が5.0質量%以下、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは、重合開始と同時であるときに、変性モノマーを水性媒体中に添加する工程を含むものであることが好ましい。
本開示のPTFEの製造方法によりPTFE水性分散液を得ることができる。PTFE水性分散液の固形分濃度は限定されないが、例えば、1.0〜70質量%であってよい。上記固形分濃度は、8.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、また、60.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以下がより好ましい。
本開示のPTFEの製造方法において、付着量は、最終的に得られたPTFEに対して、3.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下が更に好ましく、0.7質量%以下が更により好ましく、0.6質量%以下が特に好ましい。
PTFE水性分散液の用途としては特に限定されず、水性分散液のまま適用するものとして、基材上に塗布し乾燥した後必要に応じて焼成することよりなる塗装;不織布、樹脂成形品等の多孔性支持体を含浸させ乾燥した後、好ましくは焼成することよりなる含浸;ガラス等の基材上に塗布し乾燥した後、必要に応じて水中に浸漬し、基材を剥離して薄膜を得ることよりなるキャスト製膜等が挙げられ、これら適用例としては、水性分散型塗料、テント膜、コンベアベルト、プリント基板(CCL)、電極用結着剤、電極用撥水剤等が挙げられる。
PTFE水性分散液は、公知の顔料、増粘剤、分散剤、消泡剤、凍結防止剤、成膜助剤等の配合剤を配合することにより、又は、更に他の高分子化合物を複合して、コーティング用水性塗料として用いることができる。
また添加剤用途として、電極の活物質の脱落を抑える結着剤、バインダー用途、ドリップ防止剤などのコンパウンド用途、土砂や埃等の舞い立ちを防止する塵埃抑制処理用途等に用いることができる。
PTFE水性分散液は、塵埃抑制処理剤として使用することも好ましい。上記塵埃抑制処理剤は、発塵性物質と混合し、該混合物に20〜200℃の温度で圧縮−せん断作用を施すことによりPTFEをフィブリル化して発塵性物質の塵埃を抑制する方法、例えば特許第2827152号公報、特許第2538783号公報等の方法において、用いることができる。
上記PTFE水性分散液は、例えば、国際公開第2007/004250号に記載の塵埃抑制処理剤組成物に好適に用いることができ、国際公開第2007/000812号に記載の塵埃抑制処理方法にも好適に用いることができる。
上記塵埃抑制処理剤は、建材分野、土壌安定材分野、固化材分野、肥料分野、焼却灰及び有害物質の埋立処分分野、防爆分野、化粧品分野、猫砂に代表されるペット排泄用の砂等の塵埃抑制処理に好適に用いられる。
本開示のPTFEの製造方法は、更に、上述の方法で得られたPTFE水性分散液を回収する工程、PTFE水性分散液中のPTFEを凝集させる工程、凝集したPTFEを回収する工程、及び、回収したPTFEを100〜250℃で乾燥させる工程のうち、少なくとも1つの工程を含む製造方法で好適に得ることができる。このような工程を含むことにより、PTFE粉末を得ることができる。
上記水性分散液に含まれるPTFEを凝集させることにより粉末を製造できる。上記PTFEの水性分散液は、必要に応じて濃縮等の後処理した後、凝集、洗浄、乾燥を経て粉末として各種用途に使用することができる。上記PTFEの水性分散液に対して凝集を行う場合、通常、ポリマーラテックス等の重合により得た水性分散液を、水を用いて10〜25質量%のポリマー濃度になるように希釈し、場合によっては、pHを中性又はアルカリ性に調整した後、撹拌機付きの容器中で反応中の撹拌よりも激しく撹拌して行う。上記凝集は、メタノール、アセトン等の水溶性有機化合物、硝酸カリウム、炭酸アンモニウム等の無機塩や、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸等を凝析剤として添加しながら撹拌を行ってもよい。上記凝集は、また、インラインミキサー等を使用して連続的に行ってもよい。
本開示の製造方法によって得られるPTFE水性分散液は、PTFE微粒子(一次粒子)の平均一次粒子径が50〜340nmであることが好ましく、100〜340nmであることがより好ましく、130〜340nmであることが更に好ましく、180〜340nmであることが更により好ましく、190〜340nmであることが殊更好ましく、200〜340nmであることが殊更より好ましく、210〜340nmが殊更好ましく、220〜340nmであることが更に殊更好ましく、220〜320nmであることが特に好ましく、240〜320nmであることが殊更特に好ましい。
PTFE微粒子の平均一次粒子径が小さいと、PTFE水性分散液の安定性は向上する。しかしながら、安定化し過ぎると、PTFE水性分散液の濃縮や、PTFE水性分散液に攪拌剪断力を加えてPTFE微粒子を凝集し、PTFEファインパウダーを得る際に、時間や手間を要するので、生産効率が損なわれることが多い。また、PTFE微粒子の平均一次粒子径が大きいと、PTFE水性分散液の安定性が低下し、TFEの重合中での凝集物の量が増して生産性上不利であること、TFEの重合後にPTFE水性分散液を濃縮する際に、濃縮槽での多量の凝集物が発生すること、濃縮液の沈降安定性が損なわれて保存安定性が低下すること、PTFE水性分散液に攪拌剪断力を加えてPTFE微粒子を凝集し、PTFEファインパウダーを得る際に、重合槽から凝集槽に至る前に多量の凝集物が発生して配管が閉塞すること、及び、歩留まりが大幅に低下することなど、製造上多くの問題が生じる。PTFE微粒子の平均一次粒子径が上記範囲内であれば、PTFE水性分散液の安定性はその後の加工性や成形性等が低下しない程度に優れ、耐熱性等に優れた成形品等が得られ易い。
本開示の製造方法により得られるPTFE水性分散液は、後述する実施例に記載の方法により測定した凝析完了時間が、変性モノマーを入れないこと以外は全く同じ条件で重合して得られるPTFE水性乳化液の値に比して、20%以上向上し、かつ900秒以内であることが好ましく、800秒以内であることがより好ましく、700秒以内であることが更に好ましい。
凝析完了時間の向上が20%未満では、PTFE水性分散液の安定化の効果が不充分である。また、凝析完了時間が1000秒を超えると、安定過ぎるので、PTFEファインパウダーを得るまでの凝集疎水化時間が、長くなるので生産性上不利である。
上記水性分散液は、上述した重合を行うことにより得られる水性分散液、この水性分散液を濃縮するか又は分散安定化処理して得られるディスパージョン、及び、ポリテトラフルオロエチレンからなる粉末を、上記界面活性剤の存在下に水性媒体に分散させたものの何れであってもよい。
上記水性分散液を製造する方法としてはまた、上記重合により得られた水性分散液を、(I)非イオン性界面活性剤の存在下に、陰イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を含む混床と接触させる工程(I)、及び/又は、(II)固形分濃度が水性分散液100質量%に対して30〜70質量%となるように濃縮する工程(II)により精製水性分散液を製造することができる。
非イオン性界面活性剤は、特に限定されるものではないが、後述のものを用いることができる。上記陰イオン交換樹脂は、特に限定されるものではないが、公知のものを用いることができる。また、上記陰イオン交換樹脂と接触させる方法は、公知の方法を用いることができる。
上記水性分散液を製造する方法としては、上記重合より得られた水性分散液に工程(I)を行ない、工程(I)で得られた水性分散液に工程(II)を行なって精製水性分散液を製造することができる。また、工程(I)を行なわずに、工程(II)を行ない精製水性分散液を製造することもできる。また、工程(I)及び工程(II)を繰り返し行うこともできるし、組み合わせることも可能である。
上記陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基として−N(CH基(Xは、Cl又はOHを表す。)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂、−N(CH(COH)基(Xは、上記と同じ。)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂等、公知のものが挙げられる。具体的には、国際公開第99/62858号、国際公開第03/020836号、国際公開第2004/078836号、国際公開第2013/027850号、国際公開第2014/084399号に記載されたもの等が挙げられる。
上記陽イオン交換樹脂としては特に限定されず、例えば、官能基として−SO 基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、官能基として−COO基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂等、公知のものが挙げられるが、なかでも、除去効率の観点から、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、H型の強酸性陽イオン交換樹脂がより好ましい。
上記「陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とからなる混床」としては特に限定されず、両者が同一のカラムに充填されている場合、両者がそれぞれ異なるカラムに充填されている場合、両者が水性分散液に分散している場合等を含むものである。
上記濃縮の方法としては公知の方法が採用される。具体的には、国際公開第2007/046482号、国際公開第2014/084399号に記載されたもの等が挙げられる。例えば相分離、遠心沈降、曇点濃縮、電気濃縮、電気泳動、限外ろ過を用いた濾過処理、逆浸透膜(RO膜)を用いた濾過処理、ナノ濾過処理等が挙げられる。上記濃縮は、用途に応じて、ポリテトラフルオロエチレン濃度を30〜70質量%に濃縮することができる。濃縮によりディスパージョンの安定性が損なわれることがあるが、その場合は更に分散安定剤を添加してもよい。
上記分散安定剤としては、上記非イオン性界面活性剤や、その他の各種の界面活性剤を添加してもよい。
上記非イオン性界面活性剤としては、上述した核形成剤として例示した非イオン性界面活性剤と同じであり、上述した非イオン性界面活性剤を適宜採用できる。上記非イオン性界面活性剤は、芳香族部分を含まないことが好ましい。
また、非イオン性界面活性剤の曇点は、水への界面活性剤の溶解性の尺度である。本開示の水性分散液中で使用される界面活性剤は、曇点約30℃〜約90℃、好ましくは約35℃〜約85℃を有する。
上記分散安定剤の総量は、上記ディスパージョンの固形分に対し0.5〜20質量%の濃度である。0.5質量%未満であると、分散安定性に劣る場合があり、20質量%を超えると、存在量に見合った分散効果がなく実用的でない。上記分散安定剤のより好ましい下限は2質量%であり、より好ましい上限は12質量%である。
上記の濃縮操作によって、上記界面活性剤を除去してもよい。
上記重合を行うことにより得られた水性分散液は、また、用途によっては濃縮せずに分散安定化処理して、ポットライフの長い水性分散液に調製することもできる。使用する分散安定剤としては上記と同じものを挙げることができる。
上記水性分散液の粘度を調整する目的で、あるいは顔料、フィラーなどの混和性改良の目的で、アニオン性界面活性剤を好ましく含むことができる。アニオン性界面活性剤は、経済面、環境面で問題のない範囲で適宜添加することができる。
上記アニオン性界面活性剤としては、非フッ素化アニオン性界面活性剤や含フッ素アニオン性界面活性剤が挙げられるが、フッ素を含まない非フッ素化アニオン性界面活性剤、即ち炭化水素アニオン界面活性剤が好ましい。
粘度を調整する目的の場合、公知のアニオン性界面活性剤であれば種類は特に限定されないが、例えば国際公開第2013/146950号や国際公開第2013/146947号に記載されているアニオン性界面活性剤を用いることができる。例えば、炭素数6〜40、好ましくは炭素数8〜20、より好ましくは炭素数9〜13の飽和又は不飽和の脂肪族鎖を有するものが挙げられる。上記飽和又は不飽和の脂肪族鎖は、直鎖又は分岐鎖の何れであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。上記炭化水素は、芳香族性であってもよいし、芳香族基を有するものであってもよい。上記炭化水素は、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有するものであってもよい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート及びそれらの塩;脂肪族(カルボン)酸及びその塩;リン酸アルキルエステル、リン酸アルキルアリールエステル又はそれらの塩;等が挙げられるが、中でも、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、脂肪族カルボン酸またはそれらの塩が好ましい。
アルキルサルフェートまたはその塩としては、ラウリル硫酸アンモニウム、またはラウリル硫酸ナトリウム等が好ましい。
脂肪族カルボン酸またはその塩としては、コハク酸、デカン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸、ラウリン酸、ハイドロドデカン酸、またはそれらの塩が好ましい。
アニオン性界面活性剤の添加量は、アニオン性界面活性剤やその他配合剤の種類にもよるが、ポリテトラフルオロエチレンの固形分質量に対して10ppm〜5000ppmであることが好ましい。
アニオン性界面活性剤の添加量の下限としては、50ppm以上がより好ましく、100ppm以上が更に好ましい。添加量が少なすぎると、粘度調整効果が乏しい。
アニオン性界面活性剤の添加量の上限としては、3000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましい。添加量が多すぎると水性分散液の機械的安定性、貯蔵安定性が損なわれることがある。
上記水性分散液の粘度を調整する目的で、アニオン性界面活性剤以外に、例えば、メチルセルロース、アルミナゾル、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ビニルポリマー等を配合することもできる。
上記水性分散液のpHを調整する目的で、アンモニア水などのpH調整剤を配合することもできる。
上記水性分散液に、必要に応じ、水性分散液の特徴を損なわない範囲でその他の水溶性高分子化合物を含有するものであってもよい。
上記その他の水溶性高分子化合物としては特に限定されず、例えば、ポリエチレンオキサイド(分散安定剤)、ポリエチレングリコール(分散安定剤)、ポリビニルピロリドン(分散安定剤)、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。更に、イソチアゾロン系、アゾール系、プロノポール、クロロタロニル、メチルスルホニルテトラクロルピロジン、カルベンタジム、フルオロフォルベット、二酢酸ナトリウム、ジヨードメチルパラトリルスルホンなどの防腐剤を含有してもよい。
本開示において、凝析撹拌に用いるPTFE水性分散液(以下、凝析用PTFE分散液という)は、PTFE固形分濃度が10〜25質量%であることが好ましい。PTFE固形分濃度は、10〜22質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。PTFEファインパウダーの嵩密度を高めるには、凝析用PTFE水性分散液中のPTFE固形分濃度が高いことが好ましい。凝析用PTFE水性分散液中のPTFE固形分濃度が高いと、PTFEの一次粒子の会合度合いが高まり、PTFEの一次粒子が密に会合・凝集して造粒する。凝析用PTFE水性分散液のPTFE固形分濃度が10質量%未満であると、PTFEの一次粒子の凝集密度が疎になり易く、嵩密度の高いPTFEファインパウダーが得られ難い。一方、凝析用PTFE水性分散液中のPTFE固形分濃度が高すぎると、未凝集のPTFEが増大し、凝集排水中の未凝集のPTFE固形分濃度が増加する。凝析排水中の未凝集のPTFE固形分濃度が高いと、配管閉塞や、排水処理にコストや手間がかかる。また、PTFEファインパウダーの収率が低下する。凝析排水中の未凝集のPTFE固形分濃度は、PTFEファインパウダーの生産性の観点から低いことが好ましく、0.4質量%未満がより好ましく、0.3質量%未満が更に好ましく、0.2質量%未満が特に好ましい。凝析用PTFE水性分散液のPTFE固形分濃度が25質量%を超えると、凝析排水の未凝集のPTFE固形分濃度を0.4質量%未満にすることが困難である。なお、上記工程lで得られるPTFE水性分散液中のPTFE固形分濃度は、およそ10〜45質量%であるので、PTFE固形分濃度が高い場合は、水等の希釈溶媒を添加して10〜25質量%に調整する。また、重合後のPTFE水性分散液中のPTFE固形分濃度が10〜25質量%である場合は、PTFE水性分散液を、そのまま凝析用PTFE水性分散液として用いることができる。
上記凝集前や凝集中に、着色のための顔料や機械的性質を改良するための各種充填剤を添加することにより、顔料や充填剤が均一に混合した顔料入り又は充填剤入りのPTFEの粉末を得ることができる。
上記PTFEを凝集して得られた湿潤粉末の乾燥は、通常、上記湿潤粉末をあまり流動させない状態、好ましくは静置の状態を保ちながら、真空、高周波、熱風等の手段を用いて行う。粉末同士の、特に高温での摩擦は、一般にファインパウダー型のPTFEに好ましくない影響を与える。これは、この種のPTFEからなる粒子が小さな剪断力によっても簡単にフィブリル化して、元の安定な粒子構造の状態を失う性質を持っているからである。上記乾燥は、10〜300℃(好ましくは10〜250℃)、好ましくは100〜300(好ましくは100〜250℃)℃の乾燥温度で行うことができる。
本開示は、また、PTFE粉末にも関する。上記PTFE粉末は、好適には、上述した本開示の製造方法により、製造することができる。
上記PTFE粉末は、平均粒子径(平均二次粒子径)が100〜2000μmであることが好ましい。平均二次粒子径の下限は、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが更に好ましい。平均二次粒子径の上限は1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることが更に好ましく、700μm以下が特に好ましい。上記平均粒子径は、JIS K 6891に準拠して測定した値である。
上記PTFE粉末は、成形用として好ましく、好適な用途としては、航空機及び自動車等の油圧系、燃料系のチューブ等が挙げられ、薬液、蒸気等のフレキシブルホース、電線被覆用途等が挙げられる。また、電池用結着剤、防塵用途としても使用できる。また、上記PTFE粉末から延伸体を製造することもできる。
上記PTFE粉末は、破断強度が13.0N以上であることがより好ましく、16.0N以上であることが更に好ましく、19.0N以上であることが更により好ましく、22.0N以上であることが更により好ましく、23.0N以上であることが更により好ましく、25.0N以上であることが更により好ましく、28.0N以上であることが更により好ましく、29.0N以上であることが更により好ましく、30.0N以上であることが更により好ましく、32.0N以上であることが更により好ましく、35.0N以上であることが更により好ましく、37.0N以上であることが更により好ましく、40.0N以上であることが更により好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、100.0N以下であってよく、80.0N以下であってよく、50.0N以下であってよい。破断強度の上限は、例えば、50.0Nである。上記破断強度は、下記方法で求めた値である。後述する条件(A)の延伸試験(ストレッチ試験)で得られた延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
上記PTFE粉末は、応力緩和時間が50秒以上であることが好ましく、80秒以上であることがより好ましく、100秒以上であることが更に好ましく、120秒以上であってもよく、150秒以上であってもよく、190秒以上であってもよく、200秒以上であってもよく、220秒以上であってもよく、240秒以上であってもよく、300秒以上であってもよい。上記応力緩和時間は、下記方法にて測定した値である。
後述する条件(A)の延伸試験(ストレッチ試験)で得られた延伸ビードの両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間とする。
上記PTFE粉末は、押出圧が50.0MPa以下であり、条件(A)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことも好ましい。
上記PTFE粉末において、熱不安定指数(TII)は、20以上であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記TIIは、ASTM D 4895−89に準拠して測定する。
上記PTFE粉末は、押出圧が50.0MPa以下であり、条件(A)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることも好ましい。
上記PTFE粉末は、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
上記PTFE粉末は、条件(A)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、30.0N以上であることがより好ましく、32.0N以上であることが更に好ましく、35.0N以上であることがより好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、破断強度の上限は、例えば、80.0Nである。
上記PTFE粉末は、条件(B)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が22.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、23.0N以上がより好ましく、25.0N以上が更に好ましく、28.0N以上がより好ましく、30.0N以上が特に好ましい。破断強度は高ければ高いほどよく破断強度の上限は限定されないが、例えば、80.0N以下であってよく、50.0N以下であってよい。
上記PTFE粉末は、上記条件(A)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が34.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことも好ましい。
上記PTFE粉末において、熱不安定指数(TII)は、20以上であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記TIIは、ASTM D 4895−89に準拠して測定する。
上記PTFE粉末は、上記条件(A)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が34.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることも好ましい。
上記PTFE粉末は、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
上記PTFE粉末は、上記条件(B)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことが好ましい。
上記PTFE粉末において、熱不安定指数(TII)は、20以上であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記TIIは、ASTM D 4895−89に準拠して測定する。
上記PTFE粉末は、上記条件(B)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることが好ましい。
上記PTFE粉末は、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
上記PTFE粉末は、条件(A)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が34.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、35.0N以上であることがより好ましく、37.0N以上であることが更に好ましく、40.0N以上であることがより好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、破断強度の上限は、例えば、100.0Nである。
上記PTFE粉末は、条件(B)で作製した延伸体の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、30.0N以上がより好ましく、32.0N以上が更に好ましく、35.0N以上がより好ましい。破断強度は高ければ高いほどよく破断強度の上限は限定されないが、例えば、100.0N以下であってよく、80.0N以下であってよい。
上記PTFE粉末は、240℃の温度で熱処理し、下記条件(A)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことも好ましい。
条件(A):
PTFE粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。
上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むPTFE押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたPTFE押出ビードを得る。次に、乾燥されたPTFE押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチ(38mm)の間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで1000%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さと関連して表される。
条件(X):
上記延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
上記潤滑剤としては、イソパラフィン炭化水素100%からなり、初留点180℃、乾点188℃、引火点54℃、密度(15℃)0.758g/cm、KB(カウリ・ブタノール値)26、アニリン点85℃、芳香族含有量<0.01質量%である潤滑剤を使用することができ、このような潤滑剤として具体的にはエクソン社製のアイソパーH(登録商標)を使用できる。
上記PTFE粉末はまた、240℃の温度で熱処理し、条件(A)で作製した延伸体の破断強度が29.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることも好まし
い。
上記PTFE粉末において、上記破断強度は、30.0N以上がより好ましく、32.0N以上が更に好ましく、35.0N以上がより好ましい。破断強度は高ければ高いほどよく破断強度の上限は限定されないが、例えば、80.0N以下であってよく、50.0N以下であってよい。
上記PTFE粉末は、240℃の温度で熱処理し、下記条件(B)で作製した延伸ビードの条件(X)で測定した破断強度が22.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことが好ましい。
条件(B):
PTFE粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。
上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むPTFE押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたPTFE押出ビードを得る。次に、乾燥されたPTFE押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が2.0インチ(51mm)の間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで100%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さと関連して表される。
条件(X):
上記延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
上記潤滑剤としては、イソパラフィン炭化水素100%からなり、初留点180℃、乾点188℃、引火点54℃、密度(15℃)0.758g/cm、KB(カウリ・ブタノール値)26、アニリン点85℃、芳香族含有量<0.01質量%である潤滑剤を使用することができ、このような潤滑剤として具体的にはエクソン社製のアイソパーH(登録商標)を使用できる。
上記PTFE粉末は、240℃の温度で熱処理し、条件(B)で作製した延伸体の破断強度が22.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることも好ましい。
上記PTFE粉末において、条件(B)で作製した延伸体の破断強度は23.0N以上がより好ましく、25.0N以上が更に好ましく、28.0N以上がより好ましく、30.0N以上が特に好ましい。破断強度は高ければ高いほどよく破断強度の上限は限定されないが、例えば、80.0 N以下であってよく、50.0N以下であってよい。
上記PTFE粉末は、固形分全質量に対して、PTFEが99.0質量%以上であり、PTFE以外の成分が1.0質量%以下であることが好ましく、PTFEが99.5質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.5質量%以下であることがより好ましく、PTFEが99.9質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.1質量%以下であることが更に好ましく、PTFEが実質的に100.0質量%であることが特に好ましい。
上記PTFE粉末は、湿潤粉末であってよく、0.0001〜50質量%の水性媒体を含むものであってよい。水性媒体の量は、0.0001〜1.0質量%であってよく、また、0.0001〜0.01質量%であってよい。
上記水性媒体の量は、150℃、60分の条件で乾燥した時の重量減少によって求めることができる。
上記PTFE粉末において、上記熱処理は240℃で行う。より具体的には、240℃、18時間の条件で行う。
上記熱処理は、上記PTFE粉末を乾燥するものであってよい。例えば、上記PTFE粉末が、PTFEの湿潤粉末である場合、該湿潤粉末中に含まれる水分を乾燥させるものであってよい。
上記PTFE粉末において、延伸体の作製は上記条件(A)または条件(B)で行う。
上記PTFE粉末は、上述した本開示の製造方法において、特に、上記重合工程が、炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、pHが4.0以上の水性媒体中で重合するものであることによって得ることができる。
上記製造方法は、炭化水素系界面活性剤の存在下で、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下であっても高分子量のPTFEを製造することができるため、上記の破断強度を満足しながら、実質的に炭化水素系界面活性剤を含まないPTFE粉末とすることができる。また、上記不安定指数(TII)は、炭化水素系界面活性剤の存在下で重合することによって20以上とすることができる。
上記PTFE粉末は、PTFEを含むものである。PTFEとしては、本開示の製造方法において記載したPTFEの構成を全て採用できる。
上記PTFE粉末は、PTFEが99.0質量%以上であり、PTFE以外の成分が1.0質量%以下であることが好ましく、PTFEが99.5質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.5質量%以下であることがより好ましく、PTFEが99.9質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.1質量%以下であることが更に好ましく、PTFEが実質的に100.0質量%であることが特に好ましい。
上記PTFE粉末は、熱不安定指数(TII)が25以上であってよく、30以上であってよく、35以上であってよく、40以上であってよい。
上記PTFE粉末は、押出圧が50.0MPa以下であることが好ましく、40.0MPa以下であることがより好ましく、8.0MPa以上であることが好ましく、10.0MPa以上であることがより好ましい。上記押出圧は、特開2002−201217号公報記載の方法に従い、下記方法で求めた値である。
PTFE粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。押出圧は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値である。
上記PTFE粉末は、延伸可能なものであることが好ましい。本明細書において「延伸可能」とは、下記の基準で判断する。
PTFEの粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。ペースト押出により得られたビードを230℃で30分加熱することにより、潤滑剤をビードから除去する。次に、ビード(押出成形体)を適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチ(38mm)の間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを所望のストレッチ(総ストレッチ)に相当する分離距離となるまで所望の速度(ストレッチ速度)で離し、ストレッチ試験を実施する。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さと関連して表される。上記作製方法において、上記ストレッチ速度は、1000%/秒であり、上記総ストレッチは2400%である。このストレッチ試験で切断せずに、均一な外観を持つ延伸ビードが得られることを意味する。
上記PTFE粉末は、応力緩和時間が50秒以上であることが好ましく、80秒以上であることがより好ましく、100秒以上であることが更に好ましく、120秒以上であることが特に好ましく、150秒以上であることがより好ましく、190秒以上であることがより好ましく、200秒以上であることがより好ましく、220秒以上であることがより好ましく、240秒以上であることがより好ましく、300秒以上であることがより好ましい。上記応力緩和時間は、下記方法にて測定した値である。
上記条件(A)で作製された延伸体(延伸ビード)の両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間とする。
上記PTFE粉末は、0.1%質量減少温度が400℃以下であってよい。0.1%質量減少温度が400℃以下であるPTFE粉末は、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記0.1%質量減少温度は、下記方法にて測定した値である。
300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFEの粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定する。0.1%質量減少温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、0.1mass%の重量減少した点に対応する温度とした。
上記PTFE粉末は、1.0%質量減少温度が492℃以下であってよい。1.0%質量減少温度が492℃以下であるPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記1.0%質量減少温度は、下記方法にて測定した値である。
300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFEの粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を測定する。1.0%質量減少温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、1.0mass%の重量減少した点に対応する温度とした。
上記PTFE粉末は、平均粒子径(平均二次粒子径)が100〜2000μmであることが好ましい。平均二次粒子径の下限は、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが更に好ましい。平均二次粒子径の上限は1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることが更に好ましく、700μm以下が特に好ましい。上記平均粒子径は、JIS K 6891に準拠して測定した値である。
上記PTFE粉末におけるPTFEとしては、上述した本開示の製造方法において記載したPTFEの特徴を全て採用できる。特に、高分子量のPTFEであることが好ましい。また、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含む変性PTFEであることが好ましい。特に、上記変性モノマーは、TFEとの反応性の観点からは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。より好ましくは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び、(パーフルオロオクチル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことである。
上記ヘキサフルオロプロピレン単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位及び(パーフルオロアルキル)エチレン単位の合計量は、PTFEに対して、0.00001〜1質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、上限としては、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が特に殊更に好ましい。
上記PTFE粉末において、「実質的に含フッ素界面活性剤を含まない」とは、PTFEに対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味する。含フッ素界面活性剤の含有量は、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更により好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下であり、特に好ましくは、液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC/MS/MS)による測定による、含フッ素界面活性剤が検出限界以下である。
上記含フッ素界面活性剤量は、公知な方法で定量できる。例えば、LC/MS/MS分析にて定量することが出来る。まず、得られた粉末をメタノールの有機溶剤に抽出し、抽出液をLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる界面活性剤の構造式との一致を確認する。
その後、確認された界面活性剤を5水準以上の濃度の水溶液を作成し、それぞれの濃度のLC/MS/MS分析を行ない、エリア面積との検量線を作成する。
得られた粉末をメタノールにてソックスレー抽出を行ない、抽出液をLC/MS/MS分析を行なうことで定量測定することが出来る。
上記含フッ素界面活性剤としては、上述した製造方法において例示したものと同じである。例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよく、アニオン性部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよく、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤であってよい。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、上記一般式(N)で表される化合物が挙げられ、具体的には、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、及び、一般式(N)で表される化合物が挙げられる。より具体的には、一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、一般式(II)で表されるω−Hパーフルオロカルボン酸(II)、一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、一般式(VII)で表されるω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)、一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、及び、一般式(XII)で表される化合物(XII)が挙げられる。
また、本開示によれば、色調L*が20〜85であり、リダクションレシオ(RR)1600における円柱押出圧力が、120MPa以下であるPTFE(以下、PTFE(P1)ということがある)が提供される。本開示のPTFE(P1)は、これらの構成を備えていることから、炭化水素系界面活性剤を用いるテトラフルオロエチレン(TFE)の重合により容易に製造することができ、高いリダクションレシオでの押出成形が容易である。したがって、本開示のPTFE(P1)を用いることにより、細く長い成形体を得ることも容易である。
また、本開示によれば、炭化水素系界面活性剤を含有し、リダクションレシオ1600における円柱押出し圧力が、120MPa以下であるPTFE(以下、PTFE(P2)ということがある)が提供される。本開示のPTFE(P2)は、これらの構成を備えていることから、炭化水素系界面活性剤を用いるテトラフルオロエチレン(TFE)の重合により容易に製造することができ、高いリダクションレシオでの押出成形が容易である。したがって、本開示のPTFE(P2)を用いることにより、細く長い成形体を得ることも容易である。
PTFE(P1)の色調L*は、20〜85であり、好ましくは30以上であり、より好ましくは40以上であり、好ましくは80以下であり、より好ましくは75以下である。色調L*が上記範囲内にあることにより、PTFEの優れた生産性と、PTFE(P1)を用いて得られる成形体の優れた美観とを両立することができる。PTFE(P1)の色調L*は、たとえば、炭化水素系界面活性剤を用いてPTFE(P1)を製造することによって、上記範囲内に調整することができる。上記色調L*は、炭化水素系界面活性剤を用いるテトラフルオロエチレン(TFE)の重合によりPTFE(P1)を製造し、得られたPTFE(P1)に対する特別な後処理を要することなく達成できる。したがって、このようなPTFE(P1)は生産性に優れる。
PTFEの色調L*は、PTFEを385℃で10分間熱処理をした後の色調L*である。すなわち、PTFE(P1)は、385℃で10分間熱処理をした場合において、上述した範囲内の色調L*を示す熱処理品を与えることができる。PTFEの色調L*は、PTFEを385℃で10分間熱処理をし、JIS Z8781−4に準拠して、測色色差計ZE 6000(日本電色工業社製)を用いて、熱処理されたPTFEの色調L*を測定することによって、特定することができる。PTFEが水性分散液中に分散している場合などは、熱処理前にPTFEを乾燥粉末としておく。色調L*を測定するサンプルが粉末である場合には、圧縮成形により圧縮成形体を作製し、圧縮成体の色調L*を測定する。圧縮成形は、たとえば、圧力5307N(8.27MPa)、保持時間60秒の条件で行うことができる。
PTFE(P1)およびPTFE(P2)(以下、まとめてPTFE(P)ということがある)のRR1600における円柱押出圧力は、120MPa以下であり、好ましくは100MPa以下であり、より好ましくは80MPa以下であり、さらに好ましくは、60MPa以下である。下限は特に限定されないが、20MPa以上であってよい。RR1600における円柱押出圧力が上記範囲内にあることにより、本開示のPTFE(P)は、成形性に優れており、たとえば、RR3000での押出成形も可能である。したがって、本開示のPTFEを用いることにより、細く長い成形体を含め、多種多様な成形体を高い生産性で製造することができる。PTFE(P)のRR1600における円柱押出圧力は、PTFE(P)に含まれる一次粒子を適切に構成することによって、調整することができる。
RR1600における円柱押出圧力は、100質量部のPTFEに対して、20.5質量部の潤滑剤(商品名:アイソパーG(登録商標)、エクソン モービル コーポレーション製)を添加して得られる混合物を、1600:1のリダクションレシオで押し出すときの押出圧力である。RR1600における円柱押出圧力は、たとえば、次の方法により測定することができる。
測定には、ASTM D 4895に準拠した押出機を用いる。PTFE粉末60gに、潤滑剤(商品名:アイソパーG(登録商標)、エクソン モービル コーポレーション製)12.3g(PTFE粉末100重量部に対して20.5重量部に相当する量として)を添加し、室温にて容器中で3分間混合する。次いで、容器を、押出前少なくとも1時間、室温(25±2℃)に放置する。PTFE粉末と潤滑剤の混合物を、室温(25±2℃)で、リダクションレシオ1600(1600:1のリダクションレシオ(RR))のオリフィスを通して、1600:1のリダクションレシオ(RR)でペースト押出し、ビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20mm/分とする。円柱押出圧力は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値とする。
本開示のPTFE(P)の一実施形態においては、含フッ素界面活性剤を含有する。含フッ素界面活性剤を含有するPTFE(P)は、含フッ素界面活性剤を用いて、高い生産性で安定的にPTFE(P)を製造することができる利点がある。
本開示のPTFE(P)の一実施形態においては、含フッ素界面活性剤を実質的に含有しない。含フッ素界面活性剤を実質的に含有しないPTFE(P)は、含フッ素界面活性剤を用いることなくTFEを重合させて製造する必要があるが、後述する本開示の製造方法により、製造が可能となった。
本開示において、「含フッ素界面活性剤を実質的に含有しない」とは、PTFE(P)中の含フッ素界面活性剤の含有量が、10ppm以下であることを意味し、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更に好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下であり、特に好ましくは、液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC/MS/MS)による測定による、含フッ素界面活性剤が検出限界未満である。
含フッ素界面活性剤の含有量は、公知な方法で定量できる。例えば、上述したように、LC/MS/MS分析にて定量することができる。まず、PTFE(P)にメタノールを加え、抽出を行ない、得られた抽出液をLC/MS/MS分析する。
さらに抽出効率を高めるために、ソックスレー抽出、超音波処理等による処理を行ってもよい。
得られたLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる含フッ素界面活性剤の構造式との一致を確認する。
その後、確認された含フッ素界面活性剤の5水準以上の含有量の水溶液を作製し、それぞれの含有量の水溶液のLC/MS/MS分析を行ない、含有量と、その含有量に対するエリア面積と関係をプロットし、検量線を描く。
そして、検量線を用いて、PTFE(P)のLC/MS/MSスペクトルのエリア面積を、含フッ素界面活性剤の含有量に換算することができる。
本開示のPTFE(P)の形態は、特に限定されず、水性分散液またはスラリーに分散したPTFE(P)であってもよいし、粉末、クラム、ペレットなどであってもよい。本開示のPTFE(P)の形態は、好適には粉末である。
本開示のPTFE(P)の熱不安定指数(TII)は、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは30以上であり、特に好ましくは35以上であり、最も好ましくは40以上である。熱不安定指数(TII)が上記範囲内にあることにより、PTFE(P)の高い生産性と、優れた成形性とを両立することができる。PTFE(P)の熱不安定指数(TII)は、たとえば、炭化水素系界面活性剤を用いてPTFE(P)を製造することによって、上記範囲内に調整することができる。熱不安定指数(TII)は、ASTM D 4895−89に準拠して測定することができる。
本開示のPTFE(P)は、一次粒子の平均一次粒子径が500nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、350nm以下であることが更に好ましい。一次粒子の平均一次粒子径が比較的小さいことにより、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができる。一次粒子の比較的小さい平均一次粒子径は、たとえば、TFEの重合初期に、変性モノマーを重合系に添加することにより、得ることができる。平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、例えば、50nmでもよいし、100nmであってよい。PTFE(P)の分子量によって好適な平均一次粒子径が相違する場合もあり、たとえば、PTFE(P)の分子量が高い場合、好ましくは100nm以上であり、より好ましくは150nm以上である。
PTFE(P)の一次粒子の平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。まず、ポリマー固形分濃度を約1.0質量%に調整したPTFE(P)水性分散液を作製し、動的光散乱法を使用して、測定温度を25℃、溶媒(水)の屈折率を1.3328、溶媒(水)の粘度を0.8878mPa・s、積算回数を70回として、測定できる。動的光散乱法においては、たとえば、ELSZ−1000S(大塚電子社製)が使用できる。
本開示のPTFE(P)の標準比重(SSG)は、2.280以下であることが好ましく、2.200以下であることがより好ましく、2.190以下であることが更に好ましく、2.130以上であることが好ましい。SSGが上記範囲内にあることにより、優れた成形性と、成形により得られる成形体の優れた物性とを両立することができる。SSGは、ASTM D 4895−89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定する。
本開示のPTFE(P)は、一次粒子のアスペクト比が1.45以下であることが好ましい。PTFE(P)のアスペクト比は、1.40以下がより好ましく、1.35以下が更に好ましく、1.30以下が更により好ましく、1.25以下が殊更好ましく、1.20以下が特に好ましく、1.15以下が殊更特に好ましい。アスペクト比が比較的小さいことにより、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができる。一次粒子の比較的小さいアスペクト比は、たとえば、TFEの重合初期に、変性モノマーを重合系に添加することにより、得ることができる。
PTFE(P)のアスペクト比を、PTFE(P)の水性分散液を用いて測定する場合は、ポリマー固形分濃度が約1.0質量%となるように調整したPTFE(P)水性分散液を作製し、走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に抽出した400個以上の粒子について画像処理を行い、その長径と短径の比の平均よりアスペクト比を求めることができる。PTFE(P)のアスペクト比をPTFE(P)の粉末を用いて測定する場合、PTFE(P)粉末に電子線を照射した後、含フッ素界面活性剤の水溶液に添加して、超音波を負荷し、水溶液中に再分散させることにより、PTFE(P)水性分散液を作製する。このようにして作製した水性分散液を用いて、上記した方法でアスペクト比を求めることができる。
本開示のPTFE(P)の0.1%質量減少温度は、400℃以下であってよい。0.1%質量減少温度が上記範囲内にあることにより、PTFE(P)の高い生産性と、優れた成形性とを両立することができる。PTFE(P)の0.1%質量減少温度は、たとえば、炭化水素系界面活性剤を用いてPTFE(P)を製造することによって、上記範囲内に調整することができる。
0.1%質量減少温度は、300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFE(P)の粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納して、TG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定することができる。0.1%質量減少温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、質量が0.1質量%減少した点に対応する温度として、特定できる。
本開示のPTFE(P)の1.0%質量減少温度は、492℃以下であってよい。1.0%質量減少温度が上記範囲内にあることにより、PTFE(P)の高い生産性と、優れた成形性とを両立することができる。PTFE(P)の1.0%質量減少温度は、たとえば、炭化水素系界面活性剤を用いてPTFE(P)を製造することによって、上記範囲内に調整することができる。
1.0%質量減少温度は、300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFE(P)の粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納して、TG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定することができる。1.0%質量減少温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、質量が1.0質量%減少した点に対応する温度として、特定できる。
本開示のPTFE(P)のピーク温度は、342℃以下であることが好ましく、341℃以下であることがより好ましく、340℃以下が更に好ましい。
PTFE(P)のピーク温度は、300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFE(P)の粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納して、TG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定することができる。ピーク温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させることにより示差熱(DTA)曲線を得て、得られた示差熱(DTA)曲線における極大値に対応する温度として、特定できる。
本開示のPTFE(P)は、TFE単位のみを含有するTFEホモポリマーであってもよいし、TFE単位および変性モノマー単位を含有する変性PTFE(P)であってもよい。
本開示のPTFE(P)は、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができることから、TFE単位および変性モノマー単位を含有することが好ましい。本開示において、上記変性モノマー単位とは、PTFE(P)の分子構造の一部分であって変性モノマーに由来する部分を意味する。
PTFE(P)がTFE単位および変性モノマー単位を含有する場合、PTFE(P)の変性モノマー単位の含有量としては、PTFE(P)を構成する全重合単位に対して、0.00001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。変性モノマー単位の含有量の下限としては、好ましい順に、0.0001質量%、0.0005質量%、0.001質量%、0.005質量%である。変性モノマー単位の含有量の上限としては、好ましい順に、0.90質量%、0.50質量%、0.40質量%、0.30質量%、0.10質量%、0.08質量%、0.05質量%、0.01質量%である。
本開示において、PTFE(P)を構成する各単量体の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。また、PTFE(P)を構成する各単量体の含有量は、重合に用いた変性モノマーの添加量から計算により求めることもできる。
本開示のPTFE(P)は、コア部およびシェル部を備える一次粒子を含有することが好ましい。PTFE(P)中の一次粒子がコアシェル構造を備えることにより、高いリダクションレシオにおける円柱押出圧力を一層低下させることができる。本開示において、コア部とは、一次粒子の中心を構成する部分であり、シェル部とは、コア部の周囲を覆う部分を意味する。また、本開示において、一次粒子とは、水性媒体中でTFEを重合することにより得られる水性分散液中に含まれる粒子であり、PTFE(P)の粉末を構成する粒子である。PTFE(P)の粉末は、通常、一次粒子が集まって形成された二次粒子である。一次粒子において、コア部とシェル部と間には明確な境界が存在していなくてもよく、コア部を形成する重合体と、シェル部を形成する重合体とが、相互に挿入された構造を有していてもよい。
本開示のPTFE(P)において、平均一次粒子径が小さい一次粒子が容易に得られ、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができることから、コア部が、TFE単位および変性モノマー単位を含有する重合体から形成されていることが好ましい。
コア部の重合体に含まれる変性モノマー単位を構成する変性モノマーとしては、特に限定されず、後述する変性モノマーが挙げられる。なかでも、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、それによって、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができることから、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)および(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ヘキサフルオロプロピレンがより好ましい。
コア部が、TFE単位および変性モノマー単位を含有する重合体から形成されている場合において、当該重合体における変性モノマー単位の含有量は、前記一次粒子を形成する重合体を構成する全重合単位に対して、0.00001〜1.0質量%であることが好ましい。変性モノマー単位の含有量の下限としては、好ましい順に、0.0001質量%、0.0005質量%、0.001質量%、0.005質量%である。変性モノマー単位の含有量の上限としては、好ましい順に、0.90質量%、0.50質量%、0.40質量%、0.30質量%、0.10質量%、0.08質量%、0.05質量%、0.01質量%である。当該重合体における変性モノマー単位の含有量を上記範囲内とすることにより、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、それによって、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができる。
本開示のPTFE(P)において、コア部が、連鎖移動剤の非存在下に、TFEを重合することにより得られる重合体から形成されていることが好ましい。連鎖移動剤の非存在下にTFEを重合することにより得られる重合体からコア部を形成することによって、低い円柱押出圧力などの優れた成形性と、成形により得られる成形体の優れた物性(たとえば機械的強度)とを両立することができる。
本開示のPTFE(P)において、高いリダクションレシオにおける円柱押出圧力を一層低下させられることから、シェル部が、TFE単位および変性モノマー単位を含有する重合体から形成されていることが好ましい。
シェル部の重合体に含まれる変性モノマー単位を構成する変性モノマーとしては、特に限定されず、後述する変性モノマーが挙げられる。なかでも、高いリダクションレシオにおける円柱押出圧力を一層低下させられることから、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)および(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ヘキサフルオロプロピレンがより好ましい。
シェル部が、TFE単位および変性モノマー単位を含有する重合体から形成されている場合において、当該重合体における変性モノマー単位の含有量は、前記一次粒子を形成する重合体を構成する全重合単位に対して、0.00001〜1.0質量%であることが好ましい。変性モノマー単位の含有量の下限としては、好ましい順に、0.0001質量%、0.0005質量%、0.001質量%、0.005質量%である。変性モノマー単位の含有量の上限としては、好ましい順に、0.90質量%、0.50質量%、0.40質量%、0.30質量%、0.10質量%、0.08質量%、0.05質量%、0.01質量%である。
本開示のPTFE(P)において、シェル部が、TFE単位のみを含有する重合体から形成されているものであってもよい。シェル部が、TFE単位のみを含有する重合体から形成されている場合であっても、シェル部を形成する重合体を、連鎖移動剤の存在下に、TFEを重合することにより得られる重合体とすることにより、高いリダクションレシオにおける円柱押出圧力を十分に低下させることができる。
本開示のPTFE(P)において、高いリダクションレシオにおける円柱押出圧力を一層低下させられることから、シェル部が、連鎖移動剤の存在下に、TFEを重合することにより得られる重合体から形成されていることが好ましい。連鎖移動剤を用いた重合によりシェル部を形成させることによって、シェル部を構成する重合体の分子量が適切に調整され、十分に低い円柱押出圧力を得ることができる。
シェル部を形成する重合体を得るための重合における連鎖移動剤の存在量は、水性媒体に対して、好ましくは0.001〜10000質量ppmであり、より好ましくは0.01質量ppm以上であり、さらに好ましくは0.05質量ppm以上であり、特に好ましくは0.1質量ppm以上であり、より好ましくは1000質量ppm以下であり、さらに好ましくは500質量ppm以下であり、特に好ましくは100質量ppm以下である。連鎖移動剤の存在量を上記範囲内とすることによって、シェル部を構成する重合体の分子量が適切に調整され、十分に低い円柱押出圧力を得ることができる。
本開示のPTFE(P)において、コア部とシェル部との質量比(コア部:シェル部)としては、好ましくは60:40〜97:3であり、より好ましくは70:30〜95:5であり、さらに好ましくは80:20〜90:10である。コア部とシェル部との質量比を適切に調整することによって、特にTFE単位および変性モノマー単位を含有する重合体から形成されている場合において、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子を容易に形成させることができると同時に、高いリダクションレシオにおける低い円柱押出圧力を得ることができる。コア部とシェル部との質量比は、TFEの継続した重合において、変性モノマーおよび/または連鎖移動剤の添加の時機を適切に調整することにより、調整することができる。
本開示のPTFE(P)は、コア部およびシェル部を備える一次粒子を含有し、一次粒子中のコア部が、コア中心部およびコア外側部を備えていることも好ましい。コア中心部は、一次粒子の中心部分を形成するコア部のさらに中心部分を形成する部分である。コア外側部は、コア中心部の周囲を覆う部分であり、コア中心部と、コア外側部の外側を形成するシェル部との中間部分である。
本開示のPTFE(P)において、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、それによって、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができることから、コア中心部が、TFE単位および変性モノマー単位を含有する重合体から形成されていることが好ましい。
コア中心部が、TFE単位および変性モノマー単位を含有する重合体から形成されている場合において、当該重合体における変性モノマー単位の含有量は、前記一次粒子を形成する重合体を構成する全重合単位に対して、0.00001〜1.0質量%であることが好ましい。変性モノマー単位の含有量の下限としては、好ましい順に、0.0001質量%、0.0005質量%、0.001質量%、0.005質量%である。変性モノマー単位の含有量の上限としては、好ましい順に、0.90質量%、0.50質量%、0.40質量%、0.30質量%、0.10質量%、0.08質量%、0.05質量%、0.01質量%である。当該重合体における変性モノマー単位の含有量を上記範囲内とすることにより、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、それによって、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができる。
本開示のPTFE(P)において、コア外側部が、TFE単位のみを含有する重合体から形成されていることが好ましい。コア外側部がTFEホモポリマーから形成されていることにより、低い円柱押出圧力などの優れた成形性と、成形により得られる成形体の優れた物性(たとえば機械的強度)とを両立することができる。
以上のような優れた物性を備える本開示のPTFE(P)は、たとえば、後述する本開示の製造方法により製造することができる。
次に、PTFE(P)の製造方法について説明する。
PTFE(P)の製造方法は、炭化水素系界面活性剤の存在下に、水性媒体中でTFEを重合することによりPTFE(P)を得る重合工程を含む。水性媒体中でのTFEの重合により得られるPTFE(P)は、通常、水性分散液中に分散した一次粒子の形態で得られる。
PTFE(P)の製造方法においては、TFEの重合を炭化水素系界面活性剤の存在下に行うことから、従来の技術のように、含フッ素界面活性剤を用いることなく、PTFE(P)を製造できる。得られるPTFE(P)は、比較的低めの色調L*を示し、比較的高めの熱不安定指数(TII)を示す。
重合工程における炭化水素系界面活性剤の存在量としては、水性媒体に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
重合工程における重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするPTFE(P)の分子量、反応速度によって適宜決定される。
重合温度としては、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
重合圧力としては、好ましくは0.05〜10MPaでり、より好ましくは0.3MPa以上であり、さらに好ましくは0.5MPa以上であり、より好ましくは5.0MPa以下であり、さらに好ましくは3.0MPa以下である。特に、PTFE(P)の得量を向上させる観点から、重合圧力としては、好ましくは1.0MPa以上であり、より好ましくは1.2MPa以上であり、さらに好ましくは1.5MPa以上であり、特に好ましくは1.8MPa以上であり、最も好ましくは2.0MPa以上である。
重合は、反応器中の気体フルオロモノマーがPTFE(P)になり、反応器中の圧力降下が起こる時に開始したということができる。米国特許第3,391,099号明細書(Punderson)には、重合プロセスの2つの別個の段階、まず、核形成部位としてのポリマー核の形成、および次に、確立された粒子の重合を含む成長段階からなる、水性媒体中のTFEの分散重合が開示されている。なお、重合は通常、重合されるモノマーと重合開始剤との両方が反応器に充填された時に開始される。また、本開示では、核形成部位の形成に関する添加剤を核形成剤とする。
さらに、PTFE(P)の製造方法においては、重合工程において、反応器にTFEを連続的または断続的に供給し、重合に用いるTFEの全量の60質量%超のTFEを供給した時点で、変性モノマーおよび連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種を前記反応器に添加する。したがって、PTFE(P)の製造方法によれば、コア部およびシェル部を備える一次粒子を含有するPTFE(P)が得られ、得られるPTFE(P)は、高いリダクションレシオで容易に押出成形できる。
変性モノマーおよび連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種を添加するまでの重合工程においては、一次粒子中のコア部が形成される。
コア部を形成するための重合工程においては、TFEの供給開始前、または、重合に用いるTFEの全量の5質量%以下のTFEを供給した時点で、変性モノマーを前記反応器に添加することが好ましい。すなわち、重合開始前に、重合開始と同時に、または、重合を開始した後、一次粒子の核が形成される期間に、変性モノマーを添加することが好ましい。重合工程の初期に変性モノマーを反応器に添加することによって、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができる。また、重合により得られる水性分散液を凝析することにより、PTFE(P)粉末を回収でき、粉末を回収した後に残る排水中には、PTFE(P)(未凝析ポリマー)が残留しにくい。
コア部を形成するための重合工程において添加する変性モノマーとしては、特に限定されず、後述する変性モノマーが挙げられる。なかでも、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、それによって、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができることから、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)および(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ヘキサフルオロプロピレンがより好ましい。
TFEの全量の5質量%以下のTFEを供給した時点で添加する変性モノマーの添加量は、最終的に得られるPTFE(P)の全量に対して、0.00001〜1.0質量%であることが好ましい。変性モノマーの添加量の下限としては、好ましい順に、0.0001質量%、0.0005質量%、0.001質量%、0.005質量%である。変性モノマーの添加量の上限としては、好ましい順に、0.90質量%、0.50質量%、0.40質量%、0.30質量%、0.10質量%、0.08質量%、0.05質量%、0.01質量%である。重合工程の初期に、上記範囲内のTFEを供給することにより、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、それによって、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができる。また、重合により得られる水性分散液を凝析することにより、PTFE(P)粉末を回収でき、粉末を回収した後に残る排水中には、PTFE(P)(未凝析ポリマー)が残留しにくい。
変性モノマーおよび連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種を添加するまでの重合工程においては、連鎖移動剤の非存在下に、TFEを重合することが好ましい。連鎖移動剤の非存在下に、TFEを重合することにより、コア部を形成することによって、低い円柱押出圧力などの優れた成形性と、成形により得られる成形体の優れた物性(たとえば機械的強度)とを備えるPTFE(P)を製造できる。
重合工程において、重合に用いるTFEの全量の60質量%超のTFEを供給した時点で、変性モノマーおよび連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種を前記反応器に添加することにより、コア部を覆うシェル部が形成される。重合工程の後期に変性モノマーおよび連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種を反応器に添加することによって、高いリダクションレシオで容易に押出成形できるPTFE(P)を製造することができる。
シェル部を形成するための重合工程において添加する変性モノマーとしては、特に限定されず、後述する変性モノマーが挙げられる。なかでも、高いリダクションレシオにおける円柱押出圧力を一層低下させられることから、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)および(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ヘキサフルオロプロピレンがより好ましい。
シェル部を形成するための重合工程において添加する変性モノマーの添加量は、最終的に得られるPTFE(P)の全量に対して、0.00001〜1.0質量%であることが好ましい。変性モノマーの添加量の下限としては、好ましい順に、0.0001質量%、0.0005質量%、0.001質量%、0.005質量%である。変性モノマーの添加量の上限としては、好ましい順に、0.90質量%、0.50質量%、0.40質量%、0.30質量%、0.10質量%、0.08質量%、0.05質量%、0.01質量%である。
シェル部を形成するための重合工程においては、変性モノマーの非存在下に、TFEを重合することも好ましい。このような重合方法により、シェル部が、TFE単位のみを含有する重合体から形成されている一次粒子を含有するPTFE(P)が得られる。シェル部が、TFE単位のみを含有する重合体から形成されている場合であっても、シェル部を形成する重合体を、連鎖移動剤の存在下に、TFEを重合することにより得られる重合体とすることにより、高いリダクションレシオにおける円柱押出圧力を十分に低下させることができる。
シェル部を形成するための重合工程においては、なかでも、連鎖移動剤を添加することが好ましい。連鎖移動剤を用いた重合によりシェル部を形成させることによって、シェル部を構成する重合体の分子量が適切に調整され、十分に低い円柱押出圧力を得ることができる。
シェル部を形成するための重合工程において添加する連鎖移動剤の添加量は、水性媒体に対して、好ましくは0.001〜10000質量ppmであり、より好ましくは0.01質量ppm以上であり、さらに好ましくは0.05質量ppm以上であり、特に好ましくは0.1質量ppm以上であり、より好ましくは1000質量ppm以下であり、さらに好ましくは500質量ppm以下であり、特に好ましくは100質量ppm以下である。連鎖移動剤の添加量を上記範囲内とすることによって、シェル部を構成する重合体の分子量が適切に調整され、十分に低い円柱押出圧力を得ることができる。
変性モノマーおよび連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種を添加する時機は、重合に用いるTFEの全量の60質量%超のTFEを供給した時点であり、好ましくは70質量%超のTFEを供給した時点であり、より好ましくは80質量%超のTFEを供給した時点であり、好ましくは97質量%以下のTFEを供給した時点であり、より好ましくは95質量%以下のTFEを供給した時点であり、さらに好ましくは90質量%以下のTFEを供給した時点である。変性モノマーおよび連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種を添加する時機を適切に選択することにより、得られる一次粒子のコア部とシェル部との質量比を適切に調整することができ、平均一次粒子径が小さい一次粒子が得られると同時に、高いリダクションレシオで容易に押出成形できるPTFE(P)が得られる。
本開示において、「重合に用いるTFEの全量の60質量%超のTFEを供給した時点」とは、重合に用いるTFEの全量を100質量%としたときに、重合に用いるTFEの60質量%超を反応器に供給した時点以降である。また、「重合に用いるTFEの全量の97質量%以下のTFEを供給した時点」とは、重合に用いるTFEの全量を100質量%としたときに、重合に用いるTFEの97質量%以下を供給する前の時点である。また、「重合に用いるTFEの全量」とは、重合工程中に反応器に供給するTFEの全量である。供給したTFEは、重合によりほぼ全量が消費されると推認できるので、たとえば、重合に用いるTFEの全量の60質量%超のTFEを供給した時点で、変性モノマーおよび連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種を添加した場合は、コア部とシェル部との質量比(コア部:シェル部)が約60:40の一次粒子を含むPTFE(P)が得られる。
コア部を形成するための重合工程においては、テトラフルオロエチレンの供給開始前、または、重合に用いるTFEの全量の5質量%以下のTFEを供給した時点で、変性モノマーを反応器に添加し、重合に用いるTFEの全量の5質量%超70質量%以下のTFEを供給した時点で、変性モノマーを反応器から除去してもよい。重合の初期に反応器に添加した変性モノマーを、適切な時機に反応器から除去することによって、コア部およびシェル部を備えており、コア部が、コア中心部およびコア外側部を備えている一次粒子を形成させることができる。このようにして得られる一次粒子は、コア中心部が、TFE単位および変性モノマー単位を含有する重合体から形成されており、コア外側部が、TFE単位のみを含有する重合体から形成されている。したがって、低い円柱押出圧力などの優れた成形性と、成形により得られる成形体の優れた物性(たとえば機械的強度)とを備えるPTFE(P)を製造できる。
変性モノマーを反応器から除去する方法としては、特に限定されないが、たとえば、反応器内圧を大気圧まで脱圧する方法があげられる。反応器内圧を大気圧まで脱圧する際には、TFEの反応器への供給を一時的に停止する。変性モノマーを反応器から除去した後、TFEの反応器への連続的または断続的な供給を再開することで、TFE単位のみを含有する重合体から形成されるコア外側部が得られる。
重合工程においては、特に限定されないが、水性媒体に対して50ppm超の炭化水素系界面活性剤を存在させることも好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の存在量としては、好ましくは60ppm以上であり、より好ましくは70ppm以上であり、更に好ましくは80ppm以上であり、更により好ましくは100ppm以上であり、殊更に好ましくは150ppm以上であり、特に好ましくは200ppm以上であり、最も好ましくは300ppm以上である。上限は特に限定されないが、例えば、10000ppmであることが好ましく、5000ppmであることがより好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の存在量を上記範囲内とすることによって、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができる。また、重合により得られる水性分散液を凝析することにより、PTFE(P)粉末を回収でき、粉末を回収した後に残る排水中には、PTFE(P)(未凝析ポリマー)が残留しにくい。
PTFE(P)の製造方法において、重合工程を、実質的に含フッ素界面活性剤(但し、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する化合物を除く)の非存在下に行うことが好ましい。従来、PTFE(P)の重合には含フッ素界面活性剤が使用されてきたが、PTFE(P)の製造方法は、含フッ素界面活性剤を使用しなくてもPTFE(P)を得ることができる。PTFE(P)において「実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に」とは、水性媒体に対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味し、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更に好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下である。
重合工程においては、0.6×1013個/ml以上のPTFE粒子を発生させることが好ましい。重合工程において多数の粒子を発生させることによって、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFEを容易に製造することができる。発生させるPTFE粒子の数としては、0.7×1013個/mL以上であることがより好ましく、0.8×1013個/mL以上であることが更に好ましく、0.9×1013個/mL以上であることが更により好ましく、1.0×1013個/mL以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、7.0×1014個/mLである。
PTFE粒子は重合初期に集中して発生し、重合中期以降に発生しにくいことから、重合工程におけるPTFE粒子数とは、重合初期に発生する粒子数とほぼ同じである。したがって、重合工程におけるPTFE粒子数は、最終的に得られるPTFE(P)水性分散液中の一次粒子の数から推定できる。
PTFE(P)水性分散液中の一次粒子の数は、一次粒子を、平均一次粒子径を直径とした球状粒子と仮定し、球状粒子の比重(たとえば2.28)と、ポリマー固形分濃度とから計算により算出できる。
重合工程において、特に限定されないが、炭化水素系界面活性剤を連続的に反応器に添加することも好ましい。炭化水素系界面活性剤を連続的に添加するとは、例えば、炭化水素系界面活性剤を一括ではなく、経時的に、かつ、間断なく又は分割して、添加することである。炭化水素系界面活性剤を連続的に反応器に添加するによって、平均一次粒子径およびアスペクト比が小さい一次粒子が容易に得られ、水性媒体中でのTFEの重合が円滑に進行し、PTFE(P)を容易に製造することができる。また、重合により得られる水性分散液を凝析することにより、PTFE(P)粉末を回収でき、粉末を回収した後に残る排水中には、PTFE(P)(未凝析ポリマー)が残留しにくい。
炭化水素系界面活性剤の添加を開始する時機は、特に限定されないが、TFEの供給開始前、または、重合に用いるTFEの全量の0.60質量%以下のTFEを供給した時点で、前記炭化水素系界面活性剤の反応器への添加を開始することが好ましい。炭化水素系界面活性剤の添加を開始する時機は、重合に用いるTFEの全量の0.60質量%以下のTFEを供給した時点であり、好ましくは0.50質量%以下のTFEを供給した時点であり、より好ましくは0.36質量%以下のTFEを供給した時点であり、さらに好ましくは0.30質量%以下のTFEを供給した時点であり、特に好ましくは0.20質量%以下のTFEを供給した時点であり、最も好ましくは0.10質量%以下のTFEを供給した時点である。
炭化水素系界面活性剤の添加を終了する時機は、特に限定されないが、重合に用いるTFEの全量の95質量%以上のTFEを供給した時点まで、炭化水素系界面活性剤の反応器への添加を継続することが好ましい。また、TFEの反応器への供給を停止する時点、すなわち、反応を終了する時点まで、炭化水素系界面活性剤の反応器への添加を継続してもよい。
連続的に添加する炭化水素系界面活性剤の添加量は、水性媒体に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
本開示のPTFE(P)およびその製造方法のその他の構成として、上述したPTFEおよび本開示の製造方法の構成を適用することができる。
本開示のPTFE(以下、PTFEにはPTFE(P)を含む)または重合により得られる上記PTFE粉末は、延伸性及び非溶融加工性を有し、延伸体(多孔体)の原料としても有用である。
この延伸体が膜である場合(PTFE延伸膜またはPTFE多孔膜)、公知のPTFE延伸方法によって延伸することができる。延伸することにより高分子量PTFEは容易にフィブリル化し、結節と繊維からなるPTFE多孔体(膜)となる。
好ましくは、シート状または棒状のペースト押出物を押出方向にロール延伸することで、一軸延伸膜を得ることができる。
更に、テンター等により幅方向に延伸して、二軸延伸膜も得ることができる。
延伸前に半焼成処理を行うことも好ましい。
このPTFE延伸体は、高い空孔率を持つ多孔体であり、エアフィルター、薬液フィルター等の各種精密濾過フィルターの濾材、高分子電解質膜の支持材等として好適に利用できる。
また、繊維分野、医療分野、エレクトロケミカル分野、シール材分野、空気濾過分野、換気/内圧調整分野、液濾過分野、一般消費材分野等で使用する製品の素材としても有用である。
上記延伸体は、破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことが好ましい。
上記延伸体は、熱不安定指数(TII)が20以上であってよい。このようなPTFE延伸体は、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記TIIは、ASTM D 4895−89に準拠して測定する。
上記延伸体は、破断強度が29.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることも好ましい。
上記延伸体は、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
上記延伸体は、PTFEを含むものである。PTFEとしては、本開示の製造方法において記載したPTFEの構成を全て採用できる。
上記延伸体におけるPTFEとしては、上述した本開示の製造方法において記載したPTFEの特徴を全て採用できる。特に、高分子量のPTFEであることが好ましい。また、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含む変性PTFEであることが好ましい。特に、上記変性モノマーは、TFEとの反応性の観点からは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。より好ましくは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び、(パーフルオロオクチル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことである。上記ヘキサフルオロプロピレン単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位及び(パーフルオロアルキル)エチレン単位の合計量は、PTFEに対して、0.00001〜1質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく。上限としては、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が特に殊更に好ましい。
上記延伸体は、PTFEが99.0質量%以上であり、PTFE以外の成分が1.0質量%以下であることが好ましく、PTFEが99.5質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.5質量%以下であることがより好ましく、PTFEが99.9質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.1質量%以下であることが更に好ましく、PTFEが実質的に100.0質量%であることが特に好ましい。
上記延伸体において、「実質的に含フッ素界面活性剤を含まない」とは、PTFEに対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味する。含フッ素界面活性剤の含有量は、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更により好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下であり、特に好ましくは、液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC/MS/MS)による測定による、含フッ素界面活性剤が検出限界以下である。
上記含フッ素界面活性剤量は、公知な方法で定量できる。例えば、LC/MS/MS分析にて定量することが出来る。まず、得られた微細化された延伸体をメタノールの有機溶剤に抽出し、抽出液をLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる界面活性剤の構造式との一致を確認する。
その後、確認された界面活性剤を5水準以上の濃度の水溶液を作成し、それぞれの濃度のLC/MS/MS分析を行ない、エリア面積との検量線を作成する。
得られた微細化された延伸体をメタノールにてソックスレー抽出を行ない、抽出液をLC/MS分析を行なうことで定量測定することが出来る。
上記含フッ素界面活性剤としては、上述した本開示の製造方法において例示したものと同じである。例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよく、アニオン性部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよく、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤であってよい。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、上記一般式(N)で表される化合物が挙げられ、具体的には、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、及び、一般式(N)で表される化合物が挙げられる。より具体的には、一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、一般式(II)で表されるω−Hパーフルオロカルボン酸(II)、一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、一般式(VII)で表されるω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)、一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、及び、一般式(XII)で表される化合物(XII)が挙げられる。
上記延伸体は、熱不安定指数(TII)が25以上であってよく、30以上であってよく、35以上であってよく、40以上であってよい。
上記延伸体は、破断強度が13.0N以上であることがより好ましく、16.0N以上であることが更に好ましく、19.0N以上であることが更により好ましく、22.0N以上であることが更により好ましく、23.0N以上であることが更により好ましく、25.0N以上であることが更により好ましく、28.0N以上であることが更により好ましく、29.0N以上であることが好ましく、30.0N以上であることがより好ましく、32.0N以上であることが更に好ましく、35.0N以上であることがより好ましく、37.0N以上であることが更により好ましく、40.0N以上であることが更により好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、破断強度の上限は、例えば、100.0N以下であってよく、80.0Nであってもよい。上記破断強度は、下記方法で求めた値である。
上記延伸体について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
上記延伸体は、応力緩和時間が50秒以上であることが好ましく、80秒以上であることがより好ましく、100秒以上であることが更に好ましく、110秒以上であることが更により好ましく、120秒以上であることが特に好ましく、150秒以上であることがより好ましく、190秒以上であることがより好ましく、200秒以上であることがより好ましく、220秒以上であることがより好ましく、240秒以上であることがより好ましく、300秒以上であることがより好ましい。上記応力緩和時間は、下記方法にて測定した値である。
上記延伸体の両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間とする。
上記延伸体は、ピーク温度が325〜350℃の間に存在することが好ましい。また、上記延伸体は、ピーク温度が325〜350℃の間と、360〜390℃の間のいずれにも存在することが好ましい。
上記ピーク温度は、延伸体について示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記延伸体は、その形状が膜、チューブ、繊維、ロッドであることも好ましい。
上記延伸体は、空孔率が30%〜99%の範囲が好ましい。空孔率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。延伸体におけるPTFEの割合が小さ過ぎると、延伸体の強度が十分でなくなるおそれがあるので、空孔率は98%以下が好ましく、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。
延伸体の空孔率は、見掛け密度ρを用いて下記式から算出することができる。
空孔率(%)=[(2.2−ρ)/2.2]×100
上記式中、2.2はPTFEの真密度(g/cm)である。
上記延伸体の密度ρは、延伸体が膜またはシート状の場合、特定の大きさにカットした試料の質量を精密天秤にて測定し、測定した資料の質量及び膜厚みから、以下の式により試料の密度を計算する。
ρ=M/(4.0×12.0×t)
ρ=密度(膜密度)(g/cm
M=質量(g)
t=膜厚み(cm)
3か所について上記測定および計算を行い、それらの平均値を膜密度とする。
膜厚みは、膜厚計を使用し、延伸体を5枚重ねて全体の膜厚みを測定し、その値を5で割った数値を1枚の膜厚みとする。
延伸体が円柱状の場合、上記延伸体の密度ρは、一定の長さにカットした試料の質量を精密天秤にて測定し、測定した試料の質量及び外径から、以下の式により試料の密度を計算する。
ρ=M/(r×r×π)×L
ρ=密度(g/cm
M=質量(g)
r=半径(cm)
L=長さ(cm)
π=円周率
延伸体の外径はレーザ式変位センサを使用して測定する。半径はその値を2で割った数値とする。
3か所について上記測定および計算を行い、それらの平均値を密度とする。
上記延伸体は、例えば、本開示の製造方法、特に、上記重合工程が、炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、pHが4.0以上の水性媒体中で重合するもので得られるPTFEをペースト押出し圧延後、未焼成又は半焼成し、少なくとも1方向に延伸して(好ましくは、圧延方向にロール延伸し次いでテンターにより幅方向に延伸して)、製造することができる。延伸条件としては、5〜1000%/秒の速度、500%以上の延伸倍率が好ましく採用される。延伸することによりPTFEは容易にフィブリル化し、結節と繊維からなる延伸体となる。
以下に、具体的な用途を例示する。
エレクトロケミカル分野
誘電材料プリプレグ、EMI遮蔽材料、伝熱材料等。より詳細には、プリント配線基板、電磁遮蔽シールド材、絶縁伝熱材料、絶縁材料等。
シール材分野
ガスケット、パッキン、ポンプダイアフラム、ポンプチューブ、航空機用シール材等。
空気濾過分野
ULPAフィルター(半導体製造用)、HEPAフィルター(病院・半導体製造用)、円筒カートリッジフィルター(産業用)、バグフィルター(産業用)、耐熱バグフィルタ−(排ガス処理用)、耐熱プリーツフィルター(排ガス処理用)、SINBRANフィルター(産業用)、触媒フィルター(排ガス処理用)、吸着剤付フィルター(HDD組込み)、吸着剤付ベントフィルター(HDD組込み用)、ベントフィルター(HDD組込み用他)、掃除機用フィルター(掃除機用)、汎用複層フェルト材、GT用カートリッジフィルター(GT向け互換品用)、クーリングフィルター(電子機器筐体用)等。
換気/内圧調整分野
凍結乾燥用の容器等の凍結乾燥用材料、電子回路やランプ向けの自動車用換気材料、容器キャップ向け等の容器用途、タブレット端末や携帯電話端末等の小型端末を含む電子機器向け等の保護換気用途、医療用換気用途等。
液濾過分野
半導体液ろ過フィルター(半導体製造用)、親水性PTFEフィルター(半導体製造用)、化学薬品向けフィルター(薬液処理用)、純水製造ライン用フィルター(純水製造用)、逆洗型液ろ過フィルター(産業排水処理用)等。
一般消費材分野
衣類、ケーブルガイド(バイク向け可動ワイヤ)、バイク用衣服、キャストライナー(医療サポーター)、掃除機フィルター、バグパイプ(楽器)、ケーブル(ギター用信号ケーブル等)、弦(弦楽器用)等。
繊維分野
PTFE繊維(繊維材料)、ミシン糸(テキスタイル)、織糸(テキスタイル)、ロープ等。
医療分野
体内埋設物(延伸品)、人工血管、カテーテル、一般手術(組織補強材料)、頭頸部製品(硬膜代替)、口内健康(組織再生医療)、整形外科(包帯)等。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
つぎに本開示を実施例をあげて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例において、各物性の測定は以下の方法により行った。
(1)付着量
反応終了後、得られたPTFE水性分散液を内容積6Lの攪拌機付きSUS製の反応器内部から取り出した後に、反応器、攪拌翼に付着していた湿潤PTFE凝集物を取り出し、パラフィンワックスを分離し、残った付着凝集物を150℃、18時間で乾燥した付着乾燥物の質量を測定した。また、得られたPTFE水性分散液を凝析し、凝析物を乾燥させ、乾燥した凝析粉末の質量を測定した。付着乾燥物の質量の凝析粉末に対する比率を算出し、付着量(質量%)とした。
(2)ポリマー固形分濃度
PTFE水性分散液1gを、送風乾燥機中で150℃、60分の条件で乾燥し、水性分散液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表した値を採用した。
(3)平均一次粒子径
固形分濃度約1.0質量%に調整したPTFE水性分散液を作製し、ELSZ−1000S(大塚電子株式会社製)を使用して25℃、積算70回にて測定する。溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・sとした。表2及び4の平均一次粒子径として、(3)の方法で測定した値を示す。
(3’)平均一次粒子径
PTFE水性分散液を水で固形分濃度が0.15質量%になるまで希釈し、得られた希釈ラテックスの単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向径を測定して決定した数基準長さ平均一次粒子径とを測定して、検量線を作成する。この検量線を用いて、各試料の550nmの投射光の実測透過率から平均一次粒子径を決定する。
(4)PTFE粒子数
PTFE粒子数は、上記(3)の方法で測定した平均一次粒子径を直径とした球状粒子とし、球状粒子の比重を2.28とすると、ポリマー固形分濃度から計算することが出来る。平均一次粒子径をAnm、ポリマー固形分濃度をB質量%と置くと、PTFEの粒子数Xは、次の式にて計算できる。
X=((B/100)/(1−B/100))/(4/3×3.14×((A/2)×10−7)^×2.28)
(5)アスペクト比
固形分濃度が約1質量%となるように希釈したPTFE水性分散液を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に抽出した400個以上の粒子について画像処理を行い、その長径と短径の比の平均より求めた。
(6)変性量(変性モノマーの含有量)
FT−IR測定により求めた。
HFP含有量は、PTFE粉末をプレス成形することで、薄膜ディスクを作製して測定した赤外線吸光度から求めた。982cm−1における吸光度/935cm−1における吸光度の比に0.3を乗じて求めた。
PFBEは、固体NMR測定より求めた。
実施例3及び4で用いた変性モノマーA(CH=CF(CFOCF(CF))COONH)含有量は、仕込んだ量である。
(7)凝析完了時間
得られたPTFE水性分散液を内径17cmの円筒状容器に、PTFE水性分散液の固形分濃度を15%に調合して総量2700gを仕込み、温度を25±1℃に調整した。そして、シャフトに取り付けた外径9.0cmの翼を、底部から50mm上げて設置し、10%硝酸16gを添加して、直ちに500rpmの条件で攪拌を開始し、PTFE水性分散液が破壊されて、疎水化されたPTFEが生じるまでの時間(R)を計測し、凝析完了時間とした。凝析完了時間は、攪拌トルクが急激に減少している凝析中ゾーンと、攪拌トルクが安定している凝析完了ゾーンとの境界であり、凝析完了時の安定している攪拌トルクより5%高いトルクを示す時間とする。
(8)未凝析ポリマー量
上記(7)で得られた凝析完了後のPTFE水性分散液を、湿潤PTFE粉末と凝析排水とに分離させ、凝析排水を回収し、凝析排水の約10gをサンプリングし、150℃、2時間乾燥した。その後、残留分の質量をサンプリングした質量で除して、凝析排水中の未凝析ポリマー量を算出した。
(9)標準比重(SSG)
ASTM D4895−89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定した。
(10)熱不安定指数(TII)
ASTM D 4895−89に準拠して測定した。
(11)ピーク温度
実施例により得られたPTFE粉末について、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて、昇温速度10℃/分の条件にて融解熱曲線を描き、上記融解熱曲線に現れる吸熱ピークの極大値に対応する温度とした。実施例1〜8のピーク温度として(11)の方法で測定した値を示す。
(12)押出圧
PTFE水性分散液から得られた粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。押出圧は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値とする。
(13)延伸試験
上記のペースト押出しにより得られたビードを230℃で30分加熱することにより、潤滑剤をビードから除去する。次に、ビード(押出成形体)を適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチ(38mm)となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを所望のストレッチ(総ストレッチ)に相当する分離距離となるまで所望の速度(ストレッチ速度)で離し、ストレッチ試験を実施する。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さに対する比率として表される。上記作製方法において、上記ストレッチ速度は、1000%/秒であり、上記総ストレッチは2400%である。
(14)破断強度A
上記延伸試験で得られた延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度Aとして測定した。
(15)破断強度B
上記延伸試験でクランプ間隔を2.0インチ(51mm)、及び、ストレッチ速度が100%/秒に変更する以外は同じ方法で得られた延伸ビードについて、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度Bとして測定した。
(16)応力緩和時間
上記延伸試験で得られた延伸ビードの両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間として測定した。
(17)破断強度C
各実施例で得られた湿潤PTFE粉末を285℃で18時間乾燥し、PTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末を上記押出圧の測定方法と同じ方法で押出を行ない、ビードを得た。得られたビードを用いて、上記延伸試験と同じ方法で延伸ビードを得た。得られた延伸ビードについて、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度Cとして測定した。
(18)破断強度D
各実施例で得られた湿潤PTFE粉末を285℃で18時間乾燥し、PTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末を上記押出圧の測定方法と同じ方法で押出を行ない、ビードを得た。延伸試験でクランプ間隔を2.0インチ(51mm)、及び、ストレッチ速度を100%/秒に変更する以外は上記破断強度Cの測定と同じ方法で延伸ビードを得た。得られた延伸ビードについて、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度Dとして測定した。
(19)pH値
pH値は、25℃で、HORIBA pH/ION METER F−72で測定した値を採用した。
(20)含フッ素界面活性剤含有量
PTFE粉末1gにメタノール10g(12.6mL)を加え、60分間の超音波処理を行い、含フッ素界面活性剤を含む上澄み液を抽出した。
得られた抽出液をLC/MS/MS分析した。得られたLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる含フッ素界面活性剤の構造式との一致を確認した。
その後、確認された含フッ素界面活性剤の5水準以上の含有量の水溶液を作製し、それぞれの含有量の水溶液のLC/MS/MS分析を行ない、含有量と、その含有量に対するエリア面積と関係をプロットし、検量線を描いた。
そして、検量線を用いて、PTFE(P)のLC/MS/MSスペクトルのエリア面積を、含フッ素界面活性剤の含有量に換算した。
LC/MS/MS分析は、下記条件により測定した。定量限界は、13ppbであった。
Figure 2020071503
合成例1
10−ウンデセン−1−オール(16g)、1,4−ベンゾキノン(10.2g)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(160mL)、水(16mL)及びPdCl(0.34g)の混合物を90℃で12時間加熱撹拌した。
その後減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を分液及びカラムクロマトグラフィーで精製し、11−ヒドロキシウンデカン−2−オン(15.4g)を得た。
得られた11−ヒドロキシウンデカン−2−オンのスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl) δppm:1.29−1.49(m,14H)、2.08(s,3H)、2.45(J=7.6,t,2H)、3.51(J=6.5,t,2H)
11−ヒドロキシウンデカン−2−オン(13g)、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体(13.9g)、テトラヒドロフラン(140mL)の混合物を50℃下12時間撹拌した。ナトリウムメトキシド(3.8g)/メタノール(12mL)溶液を反応液に滴下した。
析出固体を減圧濾過し、酢酸エチルで洗浄し、10−オキソウンデシル硫酸ナトリウム(15.5g)(以下、界面活性剤Aという)を得た。得られた10−オキソウンデシル硫酸ナトリウムのスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl) δppm:1.08(J=6.8,m,10H)、1.32(m,2H)、1.45(m,2H)、1.98(s,3H)、2.33(J=7.6,t,2H)、3.83(J=6.5,t,2H)
合成例2
内容積1Lの攪拌機付きガラス製の反応器に、588.6gの脱イオン水、70.0gの界面活性剤Aを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行い、酸素を取り除いた。反応器を90℃に昇温し、窒素で0.4MPaに昇圧する。41.4gの過硫酸アンモニウム(APS)を仕込み、3時間撹拌した。撹拌を停止し、反応器を大気圧になるまで脱圧を行ない、冷却を行ない、界面活性剤水溶液Bを得た。
実施例1
内容積6Lの攪拌機付きSUS製の反応器に、3600gの脱イオン脱気水、180gのパラフィンワックス、及び0.540gの界面活性剤Aを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行い、酸素を取り除いた。更に、系内をTFEで置換を行ない、反応器の圧力を0.1MPaとし、反応器を90℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を2.70MPaにする。0.775gのヘキサフルオロエチレン(HFP)を反応器に仕込んだと同時に、重合開始剤として0.031gの過硫酸アンモニア(APS)、1.488gのジコハク酸パーオキサイド(DSP)を仕込んだ。反応圧が2.70MPa一定となるようにTFEを仕込む。TFEが仕込み始めたと同時に界面活性剤水溶液Bを連続的に仕込み始めた。TFEを900g仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。反応終了までに界面活性剤水溶液Bは103g仕込んだ。内容物を反応器より取り出して、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。
得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は21.5質量%であり、平均一次粒子径は、260nmであった。なお、(3’)の方法で測定した平均一次粒子径は、(3)の方法で測定した値と、同じ値であった。表2の平均一次粒子径は、(3)の方法で測定した値を示す。
得られたPTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が10質量%となるように希釈して、高速撹拌条件下で凝固させた。凝固した湿潤粉末を150℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表2及び3に示す。
実施例2
0.775gのヘキサフルオロエチレン(HFP)を0.155gのパーフルオロブチルエチレン(PFBE)に変えた以外は実施例1と同様に重合を行った。
得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は20.9質量%であり、平均一次粒子径は、260nmであった。なお、(3’)の方法で測定した平均一次粒子径は、(3)の方法で測定した値と、同じ値であった。表2の平均一次粒子径は、(3)の方法で測定した値を示す。
得られたPTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が10質量%となるように希釈して、高速撹拌条件下で凝固させた。凝固した湿潤粉末を150℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表2及び3に示す。
実施例3
0.775gのヘキサフルオロエチレン(HFP)を7.2mgの変性モノマーAに変えた以外は実施例1と同様に重合を行った。
得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は21.6質量%であり、平均一次粒子径は、272nmであった。なお、(3’)の方法で測定した平均一次粒子径は、(3)の方法で測定した値と、同じ値であった。表2の平均一次粒子径は、(3)の方法で測定した値を示す。
得られたPTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が10質量%となるように希釈して、高速撹拌条件下で凝固させた。凝固した湿潤粉末を150℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表2及び3に示す。
合成例3
反応器に5−methoxy−5−oxopentanoic acid(25.0g)、触媒量DMFを加え、撹拌しながら、室温下塩化チオニル(40.7g)を滴下ロートを用いて滴下した。撹拌終了後、エバポレーターを用いてO,O’−(1,4−dichloro−1,4−dioxobutane−2,3−diyl) dimethyl diglutarateを収率90%で合成した。
次に反応器を用いてO,O’−(1,4−dichloro−1,4−dioxobutane−2,3−diyl) dimethyl diglutarate(5.22g)、酒石酸(2.38g)、硫酸を加え70℃で撹拌した。撹拌後、精製し、目的生成物の2,3−bis((5−methoxy−5−oxopentanoyl)oxy)succinic acidを収率52%で得た。
次に反応器に2,3−bis((5−methoxy−5−oxopentanoyl)oxy)succinic acid(3.23g)にMeOHを加え、撹拌しながら、室温下で2M NH in MeOH(7.95mL)を滴下した。撹拌後、乾燥させ、目的のアンモニウム塩(以下、界面活性剤Cという)を収率90%で得た。
実施例4
内容積6Lの撹拌機付きSUS製の反応器に、3600gの脱イオン脱気水、180gのパラフィンワックス、及び0.540gの界面活性剤Cを加え、反応器を密閉し、系内の窒素置換を行い、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を2.70MPaにする。0.360gの変性モノマーAを反応器に仕込んだと同時に、重合開始剤として、0.620gの過硫酸アンモニウム(APS)、1.488gのジコハク酸パーオキサイド(DSP)を仕込んだ。反応圧が2.70MPa一定となるようにTFEを仕込んだ。TFEを仕込み始めたと同時に、濃度10質量%に調整した界面活性剤C水溶液を連続的に仕込み始めた。TFEを890g仕込んだ時に、攪拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なった。反応終了までに濃度10質量%に調整した界面活性剤C水溶液は156.6g仕込んだ。内容物を反応器より取り出して、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の平均一次粒子径は、198nmであった。また、得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は、19.1質量%であった。なお、(3’)の方法で測定した平均一次粒子径は、(3)の方法で測定した値と、同じ値であった。表2の平均一次粒子径は、(3)の方法で測定した値を示す。
得られたPTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が約10質量%となるように希釈し、高速攪拌条件下で凝固させた。水を分離後、凝固した湿潤粉末を150℃、18時間乾燥した。
得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表2及び3に示す。
合成例4
内容積1Lの攪拌機付きガラス製の反応器に、658.0gの脱イオン水、35.0gのラウリン酸ナトリウムを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行い、酸素を取り除いた。反応器を90℃に昇温し、窒素で0.4MPaに昇圧する。6.90gの過硫酸アンモニウム(APS)を仕込み、3時間撹拌した。撹拌を停止し、反応器を大気圧になるまで脱圧を行い、冷却を行なった。
得られた界面活性剤水溶液にアンモニア水溶液を攪拌しながら徐々に加えて、pHを8.5に調整した界面活性剤水溶液Dを得た。この界面活性剤水溶液Dのラウリン酸ナトリウム濃度は4.75質量%となった。
実施例5
内容積3LのSUS製のオートクレーブに1800gの脱イオン水、90gのパラフィンワックス、0.540gのラウリン酸ナトリウム、0.25gのシュウ酸を加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、6.8gのHFPを加え、さらにTFEにて昇圧し、2.70MPaとした。重合開始剤として、1.0質量%濃度の過マンガン酸カリウム水溶液を反応器に連続的に仕込むことで反応を行なった。反応圧が2.70MPa一定となるようにTFEを仕込んだ。45gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なった。水性分散液を反応器から取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液に含まれる平均一次粒子径は、81nmであった。得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は、2.5質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を高速攪拌条件下で凝固させ、水を分離した。凝固した湿潤粉末を210℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末のHFP変性量は、0.06質量%、ピーク温度は328℃であった。
実施例6
内容積3LのSUS製のオートクレーブに1454gの脱イオン水、90gのパラフィンワックス、355gの実施例5で得られたPTFE水性分散液を加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を85℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を2.70MPaとした。重合開始剤として、0.5724gのジコハク酸パーオキサイド(DSP)を仕込んだ。反応圧が2.70MPa一定となるようにTFEを仕込んだ。合成例4で得られた界面活性剤水溶液Dを直ちに反応器に連続的に仕込んだ。さらに、濃度2.0質量%のジコハク酸パーオキサイド水溶液を反応器に連続的に仕込んだ。175gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なった。反応終了時にまでに27.4gの界面活性剤水溶液Dと30gのジコハク酸パーオキサイド水溶液を仕込んだ。水性分散液を反応器から取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の平均一次粒子径は、216nmであった。得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は、8.5質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を高速攪拌条件下で凝固させ、水を分離した。凝固した湿潤粉末を210℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末のSSGは、2.201であり、HFP変性量は、0.003質量%であった。
実施例7
内容積3LのSUS製のオートクレーブに1780gの脱イオン水、90gのパラフィンワックス、0.270gのラウリン酸ナトリウムを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を85℃に昇温し、7.0gのHFPを加え、さらにTFEにて昇圧し、2.70MPaとした。20gの純水に0.310gの過硫酸アンモニウム(APS)を溶解した重合開始剤水溶液を反応器に仕込んだ。反応圧が2.70MPa一定となるようにTFEを仕込んだ。45gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、大気圧まで脱圧を行なった。直ちに、反応器をTFEにて充填し、反応圧を2.70MPaとした。攪拌を再開して、反応を継続させた。合成例4で得られた界面活性剤水溶液Dを直ちに反応器に連続的に仕込んだ。さらに、濃度2.0質量%のジコハク酸パーオキサイド水溶液を反応器に連続的に仕込んだ。685gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なった。反応終了時にまでに47.0gの界面活性剤水溶液Dと14.5gのジコハク酸パーオキサイド水溶液を仕込んだ。水性分散液を反応器から取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の平均一次粒子径は、189nmであった。得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は、26.8質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を高速攪拌条件下で凝固させ、水を分離した。凝固した湿潤粉末を210℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末のSSGは、2.198であり、HFP変性量は0.03質量%であった。
合成例5
脱イオン水に0.273gのラウリン酸を加え、攪拌しながらアンモニア水を徐々に加え、30gの界面活性剤水溶液Eを得た。界面活性剤水溶液EのpHは8.5であった。
合成例6
脱イオン水に5gのラウリン酸を加え、攪拌しながらアンモニア水を徐々に加え、pHを8.5に調整した界面活性剤水溶液Fを得た。この界面活性剤水溶液Fのラウリン酸濃度は、4.35質量%であった。
実施例8
内容積3LのSUS製のオートクレーブに1750gの脱イオン水、90gのパラフィンワックス、30gの界面活性剤水溶液Eを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を85℃に昇温し、7.0gのHFPを加え、さらにTFEにて昇圧し、2.70MPaとした。20gの純水に0.310gの過硫酸アンモニウム(APS)を溶解した重合開始剤水溶液を反応器に仕込んだ。反応圧が2.70MPa一定となるようにTFEを仕込んだ。45gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、大気圧まで脱圧を行なった。直ちに、反応器をTFEにて充填し、反応圧を2.70MPaとした。攪拌を再開して、反応を継続させた。上記で得られた界面活性剤水溶液Fを直ちに反応器に連続的に仕込んだ。さらに、濃度2.0質量%のジコハク酸パーオキサイド水溶液を反応器に仕込んだ。375gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なった。反応終了時にまでに27gの界面活性剤水溶液Fと14gのジコハク酸パーオキサイド水溶液を仕込んだ。得られた水性分散液を反応器から取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の平均一次粒子径は、144nmであった。得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は、16.9質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を高速攪拌条件下で凝固させ、水を分離した。凝固した湿潤粉末を210℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末のSSGは、2.205であり、ピーク温度は339℃、HFP変性量は0.03質量%であった。
Figure 2020071503
Figure 2020071503
調製例1
16gの脱イオン水に0.273gのラウリン酸を入れて攪拌しながら2.77gのアンモニア2.8%水溶液を徐々に加えて水溶液Aを得た。
調製例2
100gの脱イオン水に10gのラウリン酸を入れて攪拌しながら25gのアンモニア10%水溶液を徐々に加えて水溶液Bを得た。このときのpHは、9.6を示した。
実施例9
内容積3LのSUS製の撹拌機付き反応器に1748gの脱イオン水、90gのパラフィンワックス、水溶液A、0.5gのシュウ酸アンモニウムを加えた。この時の水性分散液のpHは9.0であった。反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、2.0gのHFPを加え、さらに、TFEにて昇圧し、2.70MPaとした。重合開始剤として、0.5質量%の過マンガン酸カリウム水溶液を反応器に連続的に仕込むことで反応を行なった。反応圧を2.70MPa一定となるようにTFEを仕込んだ。80gのTFEを仕込んだ時に撹拌を停止し、反応圧が大気圧になるまで脱圧を行なった。直ちに、反応器にTFEを充填し、反応圧を2.70MPaとし、撹拌を再開して、反応を継続した。
水溶液Bを直ちに反応器に連続的に仕込み始めた。590gのTFEを仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器を大気圧になるまで脱圧を行なった。反応終了までに72.4gの過マンガン酸カリウム水溶液と30gの水溶液Bを仕込んだ。水性分散液を反応器から取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液のpHは8.3であった。
得られたPTFE水性分散液を、10%濃度に水で希釈した後、高速撹拌条件下で、凝固させ、水と分離して、湿潤PTFE粉末を得た。得られた湿潤PTFE粉末を240℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉体の物性を下記表4〜6に示す。
実施例10
実施例9と同様にして反応を行ない、680gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止した。反応終了までに56.0gの過マンガン酸カリウム水溶液と26.2gの水溶液Bを仕込んだ。得られたPTFE水性分散液のpHは8.8であった。
実施例9と同様にして凝固・乾燥した。得られたPTFE粉末の物性を下記表4〜6に示す。
得られたPTFE粉末の含フッ素界面活性剤含有量は、定量限界未満であった。
調製例3
100gの脱イオン水に、9.9gのラウリン酸を入れて攪拌しながら、14gのアンモニア10%水溶液を仕込んで水溶液Cを得た。この時のpHは9.5であった。
実施例11
水溶液Aの代わりに0.273gのラウリン酸を使用したこと以外は実施例9と同様に反応器に仕込んだ。この時の水性分散液のpHは6.7であった。
その後、実施例9と同様にして反応を行なった。反応途中で水溶液Bの代わりに水溶液Cを反応器に連続的に仕込む以外は同様に反応を継続した。800gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、実施例9と同様な操作を行なった。反応終了までに52.2gの過マンガン酸カリウム水溶液と25.5gの水溶液Cを仕込んだ。
得られたPTFE水性分散液のpHは8.2であった。実施例9と同様にして凝固・乾燥した。得られたPTFE粉末の物性を下記表4〜6に示す。
Figure 2020071503
Figure 2020071503
Figure 2020071503

Claims (15)

  1. 炭化水素系界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン及び変性モノマーを重合することによりポリテトラフルオロエチレンを得る重合工程を含み、
    重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量が、水性媒体に対して50ppm超であり、
    前記ポリテトラフルオロエチレンは、99.0質量%以上のテトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含む
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレンの製造方法。
  2. 更に、重合開始前、又は、水性媒体中に形成するポリテトラフルオロエチレンの濃度が5.0質量%以下であるときに、変性モノマーを水性媒体中に添加する工程を含む請求項1記載の製造方法。
  3. 重合開始前、又は、水性媒体中に形成するポリテトラフルオロエチレンの濃度が5.0質量%以下であるときに添加する変性モノマーの量は、得られるポリテトラフルオロエチレンに対して0.00001質量%以上である請求項2記載の製造方法。
  4. 重合工程において、ポリテトラフルオロエチレン粒子の数が0.6×1013個/mL以上である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 重合工程は、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、水性媒体中に形成されるポリテトラフルオロエチレンの濃度が0.6質量%未満であるときに、炭化水素系界面活性剤を水性媒体中に添加し始める請求項5記載の製造方法。
  7. 重合工程において、重合温度が10〜150℃である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記変性モノマーは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記変性モノマーは、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する変性モノマーを含む請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する変性モノマーは、下記式(4):
    CX=CX−(CZ−Y (4)
    (式中、X、X及びXは、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCFであり;Yは、親水基であり;Rは連結基であり;Z及びZは、それぞれ独立して、H、F又はCFであり、kは0又は1である)で表される化合物である請求項9記載の製造方法。
  11. 前記炭化水素系界面活性剤は、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記重合工程は、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に行う請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記ポリテトラフルオロエチレンは、コアシェル構造を有する請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 前記ポリテトラフルオロエチレンは、平均一次粒子径が500nm以下である請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 前記ポリテトラフルオロエチレンは、一次粒子のアスペクト比が1.45以下である請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
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