JPWO2020067207A1 - 難燃性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

下記(A)成分〜(C)成分を下記含有量で含み、190℃でのメルトフローレートが0.05g/10分以上12g/10分以下であり、アンチモンを実質的に含まない難燃性樹脂組成物。(A)ポリオレフィン 65質量%以上98.9質量%以下、(B)ラジカル発生剤 0.1質量%以上5質量%以下、(C)難燃剤 1質量%以上30質量%以下。

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物及び成形体に関する。
ポリオレフィンは、その優れた特性から成形材料として広範な分野で使用されているが、可燃性であるため、工業材料としての使用には難燃性の付与が要求される場合が多い。
難燃性を目的として、ポリオレフィンに、アンチモン化合物を加えた組成物が知られている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2002−322322号公報 特開2012−500880号公報
本発明の目的は、アンチモンの含有量を抑制し、難燃性に優れた成形体を得ることができる難燃性樹脂組成物及び成形体を提供することである。
本発明者らは、その知見から、難燃性樹脂組成物がアンチモン化合物、特に三酸化二アンチモンを含む場合、三酸化二アンチモンが毒劇物であり、また特化則指定物質であるため、用途が限定されることに気付いた。
本発明者らは、鋭意検討した結果、難燃性樹脂組成物のメルトフローレートを特定の値とすることで、難燃性樹脂組成物中のアンチモンの含有量を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の難燃性樹脂組成物等が提供される。
1.下記(A)成分〜(C)成分を下記含有量で含み、
190℃でのメルトフローレートが0.05g/10分以上12g/10分以下であり、アンチモンを実質的に含まない難燃性樹脂組成物。
(A)ポリオレフィン 65質量%以上98.9質量%以下
(B)ラジカル発生剤 0.1質量%以上5質量%以下
(C)難燃剤 1質量%以上30質量%以下
2.前記(A)成分の230℃でのメルトフローレートが0.1g/10分以上15g/10分未満である1に記載の難燃性樹脂組成物。
3.前記(A)成分がポリプロピレンを含む1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
4.前記(A)成分がポリプロピレンである1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
5.前記(C)成分がハロゲン系難燃剤を含む1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
6.前記(C)成分が臭素系難燃剤を含む1〜5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
7.前記(C)成分がトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートを含む1〜6のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
8.前記(C)成分の融点が50℃以上250℃以下である1〜7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
9.前記(C)成分の分解温度が200℃以上400℃以下である1〜8のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
10.前記(B)成分が2,3−ジメチルー2,3−ジフェニル−ブタン構造を含む1〜9のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
11.前記(B)成分が2,3−ジメチルー2,3−ジフェニル−ブタン又はポリ1,4−ジイソプロピルベンゼンである1〜10のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
12.1〜11のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を用いて作製した成形体。
本発明によれば、アンチモンの含有量を抑制し、難燃性に優れた成形体を得ることができる難燃性樹脂組成物及び成形体が提供できる。
本明細書において、「x〜y」は「x以上、y以下」を表わすものとする。
本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいと言える。
発明の効果を損なわない範囲で、任意構成要件を加えることができる。
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX〜YYのZZ基」という表現における「原子数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表すものであり、置換されている場合の置換基の原子数は含めない。ここで、「YY」は「XX」よりも大きく、「XX」と「YY」はそれぞれ1以上の整数を意味する。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは前記置換基で置換されておらず、水素原子が結合していることを意味する。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様は、下記(A)成分〜(C)成分を下記含有量で含み、190℃でのメルトフローレートが0.05g/10分以上12g/10分以下であり、アンチモンを実質的に含まない。
(A)ポリオレフィン(以下、「(A)成分」ともいう。) 65〜98.9質量%(好ましくは、70〜95.7質量%、より好ましくは75〜94.65質量%、さらに好ましくは80〜93.6質量%、特に好ましくは85〜91.55質量%)
(B)ラジカル発生剤(以下、「(B)成分」ともいう。) 0.1〜5質量%(好ましくは、0.30〜4質量%、より好ましくは0.35〜3質量%、さらに好ましくは0.40〜2質量%、特に好ましくは0.45〜1質量%)
(C)難燃剤(以下、「(C)成分」ともいう。) 1〜30質量%(好ましくは、4〜26質量%、より好ましくは5〜22質量%、さらに好ましくは6〜18質量%、特に好ましくは8〜14質量%)
これにより、アンチモンの含有量を抑制し、難燃性に優れた成形体を得ることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様は、190℃でのメルトフローレート(MFR)が0.05〜12g/10分であり、0.1〜11g/10分が好ましく、0.3〜10g/10分がより好ましく、0.5〜9g/10分がさらに好ましく、0.8〜8g/10分が特に好ましくい。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様では、MFRをASTM D−1238(2013年)に準拠し、190℃、2.16kgの条件で測定する。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様は、アンチモンを実質的に含まない。
「アンチモンを実質的に含まない」とは、下記測定装置の検出限界(2000ppm)未満であることを示す。
アンチモン含有量については、JSM−6390LA(日本電子株式会社製)内蔵のEDS(エネルギー分散型X線分析)装置を用いて測定する。
ポリオレフィンとしては、特に制限はないが、ホモポリオレフィン、オレフィン共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィンは、ポリプロピレン及びポリエチレン等が挙げられる。成形体の耐熱性の観点から、ポリプロピレンが好ましい。
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、α−オレフィン等が挙げられる。
α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。
ホモポリオレフィンとしては、ホモポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、ホモポリプロピレン等が挙げられる。成形体の耐熱性の観点から、ホモポリプロピレンが好ましい。
オレフィン共重合体は、ブロック共重合体でも、ランダム共重合体でもよく、これらの混合物でもよい。
オレフィン共重合体としては、プロピレン共重合体、エチレン共重合体等が挙げられる。プロピレン共重合体は、プロピレンと、プロピレン以外の上述のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。また、エチレン共重合体は、エチレンと、エチレン以外の上述のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。オレフィンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
難燃性樹脂組成物の軽量さ、成形性、成形体の剛性、成形体の耐衝撃性の観点から、(A)成分の230℃でのMFRが0.01〜100g/10分であることが好ましく、0.1〜90g/10分がより好ましく、1〜70g/10分がさらに好ましく、3〜50g/10分が特に好ましい。
また、成形性の観点から、0.1g/10分以上15g/10分未満、15〜50g/10分等でもよい。
(A)成分の230℃でのMFRは、MFRはASTM D−1238(2013年)に準拠し、230℃、2.16kgの条件で測定する。
市販のポリオレフィンとしては、プライムポリマー株式会社製のポリプロピレン「プライムポリプロ」、「ポリファイン」、「プライムTPO」等の各シリーズ(例えば、品番「J−700GP」、「J106MG」、「J707G」、「H700」、「H−100M」、「J105P」、「J707P」、「F−300SP」、「J−466HP」「E−105GM」);出光興産株式会社製のポリプロピレン(例えば、品番「J−966HP」);プライムポリマー株式会社製の各種ポリエチレン樹脂「ハイゼックス」、「ネオゼックス」、「ウルトゼックス」、「モアテック」、「エボリュー」等の各シリーズ(例えば、高密度ポリエチレン樹脂、品番「2200J」);東ソー株式会社製の低密度ポリエチレン(例えば、品番「ペトロセン190」)等が挙げられる。
(A)成分は、成形体の耐熱性の観点から、ポリプロピレンであることが好ましい。
(A)成分は、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
(B)成分の分解温度は、難燃性の観点から、80〜280℃が好ましく、120〜240℃がより好ましい。
(B)成分の分解温度は後述のTGA(熱重量分析)/DSC(示差走査熱量計)1を用いて測定する。
(B)成分の融点は、難燃性の観点から、50〜250℃であることが好ましく、100〜200℃がより好ましい。
(B)成分の融点は、後述のTGA/DSC1を用いて測定する。
(B)成分は、有機過酸化物、炭素炭素結合が開裂する開始剤、窒素窒素結合が開裂する開始剤等が挙げられる。
(B)成分は、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニル−ブタン構造(ジクメン構造ともいう。)を含むことが好ましい。
(B)成分は、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニル−ブタン、ポリ1,4−ジイソプロピルベンゼン(トリ1,4−ジイソプロピルベンゼン)等が挙げられる。
(B)成分は、難燃性の観点から、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニル−ブタンであることが好ましい。
また、(B)成分は、難燃性の観点から、ポリ-1,4−ジイソプロピルベンゼンであることが好ましい。
(C)成分の融点は、難燃性の観点から、50〜250℃であることが好ましく、100〜200℃がより好ましい。
(C)成分の融点は、後述のTGA/DSC1を用いて測定する。
(C)成分の分解温度は、耐熱性の観点から、200〜400℃であることが好ましく、250〜350℃がより好ましい。
(C)成分の分解温度は後述のTGA/DSC1を用いて測定する。
(C)成分としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤等が挙げられる。
ハロゲン系難燃剤としては、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、臭素化エポキシオリゴマー、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化ポリカーボネート(共)重合体、ハロゲン化ポリカーボネート又はハロゲン化ポリカーボネート(共)重合体のオリゴマー、ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化ポリオレフィン等が挙げられる。
また、ハロゲン系難燃剤としては、臭素系難燃剤等が挙げられる。
(C)成分は、難燃性の観点から、臭素系難燃剤を含むことが好ましい。
臭素系難燃剤としては、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]スルホン、ペンタブロモベンジルアクリレートポリマー、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン、2,4,6−トリス−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、トリブロモ−ネオペンチルアルコール、2,2−ビス(4−アリルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、BC−52テトラブロモビスフェノールA、BC−58テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、1,1’−[エチレンビス(オキシ)]ビス(2,4,6−トリブロモベンゼン)、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェノールアクリレート、オクタブロモジフェニルエーテル、2,2’−[イソプロピリデンビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ]]ジエタノール、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン、TBAビスブロモエチルエーテル、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス−ジブロモプロピルイソシアヌレート等が挙げられる。
(C)成分は、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス−ジブロモプロピルイソシアヌレートを含むことが好ましく、難燃性の観点から、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートを含むことがより好ましい。
(C)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様は、必要に応じて、さらに添加剤を含んでもよい。
添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、結晶核剤、軟化剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、抗菌又は抗カビ剤、顔料、天然無機フィラー等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
滑剤としては、特に限定されないが、脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪酸金属塩系滑剤等が挙げられる。
結晶核剤としては、特に限定されないが、ソルビトール類、リン系核剤、ロジン類、石油樹脂類等が挙げられる。
軟化剤としては、特に限定されないが、流動パラフィン、鉱物油系軟化剤(プロセスオイル)、非芳香族系ゴム用鉱物油系軟化剤(プロセスオイル)等が挙げられる。
帯電防止剤としては、特に限定されないが、例えば、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤、両性系帯電防止剤、グリセリン脂肪酸モノエステル等の脂肪酸部分エステル類が挙げられる。
金属不活性化剤としては、特に限定されないが、ヒドラジン系金属不活性化剤、窒素化合物系金属不活性化剤、亜リン酸エステル系金属不活性化剤等が挙げられる。
抗菌又は抗カビ剤としては、特に限定されないが、有機化合物系抗菌又は抗カビ剤、天然物有機系抗菌又は抗カビ剤、無機物系抗菌又は抗カビ剤等が挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、酸性染料レーキ、塩基性染料レーキ、縮合多環顔料等が挙げられる。
天然無機フィラーを含む場合、天然無機フィラーの含有量は、難燃性樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
天然無機フィラーとしては、タルク、ウォラストナイト等が挙げられる。
天然無機フィラーは、難燃性の観点から、タルク及びウォラストナイトからなる群から選択される1以上を含むことが好ましい。
天然無機フィラーがタルクである場合の平均粒径(D50)は、難燃性樹脂組成物の難燃性を向上させる観点から7〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
平均粒径(D50)とは、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量になる径をいう。
天然無機フィラーがタルクである場合、天然無機フィラーの平均粒径(D50)は、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定する。
天然無機フィラーがウォラストナイトである場合、樹脂組成物の難燃性を向上させる観点から、400メッシュ(ASTM規格)通過率が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。また、100%以下が好ましい。
400メッシュ通過率は、400メッシュ上にサンプルを置き、振動ふるいによってふるった際の通過率によって求める。
天然無機フィラーがタルクである場合の水分は、コンパウンド(混合)の観点から、また、成形時の不良現象の抑制の観点から、0〜0.5%が好ましく、0〜0.1%がより好ましい。
天然無機フィラーの水分は、カールフィッシャ法を用いて測定する。
天然無機フィラーがタルクである場合の白色度W値は、成形体の外観の観点から、50〜100%が好ましく、70〜100%がより好ましい。
天然無機フィラーの白色度W値は、SMカラーコンピューターを用いて測定する。
天然無機フィラーがタルクである場合の見かけ比重は、コンパウンド時のフィードの観点から、0.2〜0.8g/mlが好ましく、0.3〜0.5g/mlがより好ましい。
天然無機フィラーの見かけ比重は、JIS K5101準拠にて測定する。
天然無機フィラーがタルクである場合の強熱減量500℃は、成形体の外観の観点から、0〜6%が好ましく、0〜3%がより好ましい。
天然無機フィラーがタルクである場合の強熱減量500℃は、マッフル炉を用いて測定する。
また、添加剤として、窒素系化合物、金属水酸化物、シリコーン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、
ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ポリホウ酸ナトリウム等のホウ酸化合物、
シリカ(二酸化ケイ素)、合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ藻土等のケイ素化合物、
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、ジルコニウム−アンチモン複合酸化物等の金属酸化物、及び
膨張性黒鉛等を、発明の効果が損なわれない範囲で添加してもよい。
上記の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤の配合量は、難燃性樹脂組成物の特性が損なわれない範囲であれば特に制限はない。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様は、本質的に、(A)成分〜(C)成分、及び任意に添加剤からなっており、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様の、例えば、80〜100質量%、90〜100質量%、95〜100質量%、98〜100質量%又は100質量%が、
(A)成分〜(C)成分、又は
(A)成分〜(C)成分、及び任意に添加剤からなっていてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様は、例えば、(A)成分〜(C)成分と、必要に応じて、添加剤とを配合し、熱溶融混合(混練)することで製造できる。例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等より上記成分を配合、混練することができる。混練時の加熱温度は、通常、160〜250℃である。
また、通常用いられる機器(例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラー等)により上記成分を配合、予備混合した後、上記装置により混練してもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物の一態様の形状は、ペレット等が挙げられる。
本発明の成形体の一態様は、上述の難燃性樹脂組成物を用いて作製することができる。
作製は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法等により行うことができる。
本発明の成形体の一態様は、例えば、自動車、産業資材、建材、電子・電気機器、OA機器、機械分野、家電、家電(ハイグレード)に好適に用いることができる。
実施例1〜9及び比較例1〜2
[難燃性樹脂組成物の製造]
表1に示す各成分を、表1に示す配合割合(質量%)で、2軸押出機TEM−30(株式会社日本製鋼所製)により、200℃、300rpmで溶融混合し、ペレット(難燃性樹脂組成物)を製造した。
用いた成分を以下に示す。
(A)成分
表1において、樹脂A〜Dの後ろに記載した括弧内の数値は、下記メルトフローレート(MFR)である。
樹脂A:H-700(株式会社プライムポリマー製、ホモポリプロピレン、230℃でのMFR:10g/10分)
樹脂B:H−100M(株式会社プライムポリマー製、ホモポリプロピレン、230℃でのMFR:1.5g/10分)
樹脂C:F−300SP(株式会社プライムポリマー製、ホモポリプロピレン、230℃でのMFR:3.1g/10分)
樹脂D:J−700GP(株式会社プライムポリマー製、ホモポリプロピレン、230℃でのMFR:8.0g/10分)
樹脂E:J105P(株式会社プライムポリマー製、ホモポリプロピレン、230℃でのMFR:15g/10分)
樹脂G:J707P(株式会社プライムポリマー製、エチレン−プロピレンブロック共重合体、230℃でのMFR:27g/10分)
樹脂H:E−105GM(株式会社プライムポリマー製、ホモポリプロピレン、230℃でのMFR:0.5g/10分)
(B)成分
ラジカル発生剤A:CC−P3(ユナイテッドイニシエーターズ社製、ポリ1,4−ジイソプロピルベンゼン、下記式で表される化合物、融点:105〜135℃、分解温度:220℃)
Figure 2020067207
ラジカル発生剤B:ノフマーBC−90(日油株式会社製、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニル−ブタン、純度:86%、下記式で表される化合物、融点:80〜130℃、分解温度:140℃(TGA(熱重量分析)1%loss))
Figure 2020067207
(C)成分
難燃剤A:CR−900(大八化学工業株式会社製、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、融点:182℃、分解温度:313℃(TGA1%loss))
(A)成分のMFRはASTM D−1238(2013年)に準拠し、230℃、2.16kgの条件で測定した。
(B)成分及び(C)成分の融点は、TGA/DSC1(METTLER TOLEDO社製)を用いて測定した。30℃から600℃に昇温、昇温速度20℃/分、N雰囲気下で測定した。
(B)成分及び(C)成分の分解温度はTGA/DSC1を用いて測定した。30℃から600℃に昇温、昇温速度20℃/分、N雰囲気下で測定し、1%重量減少した温度を分解温度とした。
[難燃性樹脂組成物のMFRの測定]
得られたペレットについて、MFRをASTM D−1238(2013年)に準拠し、190℃、2.16kgの条件で測定した。
結果を表1に示す。
[成形体の製造]
得られたペレットを80℃で乾燥後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製「NEX110III」)により200℃で成形し、厚さが、それぞれ、0.8mm、1.6mm又は3.2mmのUL試験片(下記UL94試験用の試験片)(成形体)を製造した。
[アンチモン(Sb)含有量の測定]
得られたペレット及び成形体について、JSM−6390LA(日本電子株式会社製)内蔵のEDS(エネルギー分散型X線分析)装置を用い、加速電圧20kVにて測定をした。結果を表1に示す。「−」は検出限界(2000ppm)未満であることを示す。
[難燃性評価1(厚さ0.8mm)]
成形体の製造で得られた厚さ0.8mmのUL試験片について、難燃性評価試験機(Atlas社製、HVULプラスチックUL燃焼テストチャンバー)を用いて、UL94規格に従って垂直燃焼試験(UL94試験)を行った。具体的に、5本の試験片について、それぞれ1回目と2回目の燃焼時間、及び綿の発火の有無等から、UL94規格に従って難燃性のランクを付けた。
結果を表1に示す。
[難燃性評価2(厚さ1.6mm)]
厚さ0.8mmのUL試験片に代えて、成形体の製造で得られた厚さ1.6mmのUL試験片を用いた以外、難燃性評価1と同様に評価した。結果を表1に示す。
[難燃性評価3(厚さ3.2mm)]
厚さ0.8mmのUL試験片に代えて、成形体の製造で得られた厚さ3.2mmのUL試験片を用いた以外、難燃性評価1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2020067207
上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
この明細書に記載の文献、及び本願のパリ条約による優先権の基礎となる出願の内容を全て援用する。

Claims (12)

  1. 下記(A)成分〜(C)成分を下記含有量で含み、
    190℃でのメルトフローレートが0.05g/10分以上12g/10分以下であり、アンチモンを実質的に含まない難燃性樹脂組成物。
    (A)ポリオレフィン 65質量%以上98.9質量%以下
    (B)ラジカル発生剤 0.1質量%以上5質量%以下
    (C)難燃剤 1質量%以上30質量%以下
  2. 前記(A)成分の230℃でのメルトフローレートが0.1g/10分以上15g/10分未満である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分がポリプロピレンを含む請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分がポリプロピレンである請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記(C)成分がハロゲン系難燃剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 前記(C)成分が臭素系難燃剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 前記(C)成分がトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートを含む請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 前記(C)成分の融点が50℃以上250℃以下である請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 前記(C)成分の分解温度が200℃以上400℃以下である請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  10. 前記(B)成分が2,3−ジメチルー2,3−ジフェニル−ブタン構造を含む請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  11. 前記(B)成分が2,3−ジメチルー2,3−ジフェニル−ブタン又はポリ1,4−ジイソプロピルベンゼンである請求項1〜10のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を用いて作製した成形体。
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