JPWO2020050342A1 - N,n’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩及びその製造方法 - Google Patents

N,n’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の目的の一つは、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩(特に、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩)及びその製造方法を提供することであり、かかる目的を達成するために、本発明は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を製造する方法であって、N,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させて、前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を生成させる工程を含む、前記方法を提供する。

Description

本発明は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩(特に、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩)及びその製造方法に関する。また、本発明は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩(特に、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩)を使用して、N,N’−ジベンジルビオチン(特に、高純度のN,N’−ジベンジルビオチン)、ビオチン(特に、高純度のビオチン)、N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物又はビオチンエステル化合物を製造する方法に関する。さらに、本発明は、高純度のN,N’−ジベンジルビオチン及び高純度のビオチンに関する。
ビオチンは、下記式で表される化合物である。
Figure 2020050342
ビオチンは、例えば、以下の合成ルートにより製造される。なお、Bnはベンジル基を表す。
Figure 2020050342
上記合成ルートにおいて、ビオチンを高純度で得るためには、その前躯体(合成中間体)であるN,N’−ジベンジルビオチンを高純度で得る必要がある。
ビオチンは、糖尿病予防効果等が期待される水溶性ビタミンであり、医薬、飼料添加剤等として有用な化合物であり、高純度のビオチンが求められている。N,N’−ジベンジルビオチンは、タンパク質の標識物質(特許文献1及び非特許文献1参照)、ウイルス逆転写酵素阻害剤(特許文献2参照)等として有用な化合物であり、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンが求められている。
国際公開WO2010/106347号公報 米国特許第5763469号
Langmuir 2015,31,p.12573−12578
N,N’−ジベンジルビオチンは結晶化が可能であるものの、融点が低く、難結晶性である。本発明者らが確認したところ、上記合成ルートで得られるN,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度は75.58%であった。
本発明は、N,N’−ジベンジルビオチン若しくはその誘導体又はビオチン若しくはその誘導体を高純度で製造することを可能とする技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、N,N’−ジベンジルビオチン若しくはその誘導体又はビオチン若しくはその誘導体を高純度で製造することを可能とする技術について鋭意検討を重ねた結果、N,N’−ジベンジルビオチンをジシクロへキシルアミンと接触させて、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩を形成させることにより、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩を固体として得ることができることを見出した。また、本発明者らは、得られたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩を少なくとも1種の酸と接触させて、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩の脱ジシクロへキシルアミン塩化又はN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩の脱ジシクロへキシルアミン塩化及び脱ベンジル化を進行させることにより、高純度のN,N’−ジベンジルビオチン又は高純度のビオチンを得ることができることを見出した。そして、本発明者らは、これらの知見に基づいて、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]下記式(1):
Figure 2020050342
[式中、Bnはベンジル基を表す。]
で表されるN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩。
[2]HPLC純度が96%以上である、[1]に記載のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩。
[3]下記式(2):
Figure 2020050342
[式中、Bnは前記と同義である。]
で表されるN,N’−ジベンジルビオチンであって、HPLC純度が96%以上である、前記N,N’−ジベンジルビオチン。
[4]下記式(3):
Figure 2020050342
で表されるビオチンであって、HPLC純度が96%以上である、前記ビオチン。
[5][1]に記載のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を製造する方法であって、
下記式(2):
Figure 2020050342
[式中、Bnは前記と同義である。]
で表されるN,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させて、前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を生成させる工程を含む、前記方法。
[6]前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のHPLC純度が96%以上である、[5]に記載の方法。
[7]前記N,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度が95%以下である、[5]又は[6]に記載の方法。
[8]下記式(A):
Figure 2020050342
[式中、Rはベンジル基又は水素原子を表す。]
で表される化合物(A)を製造する方法であって、
[1]に記載のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を少なくとも1種の酸と接触させて、前記化合物(A)を生成させる工程を含む、前記方法。
[9]前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のHPLC純度が96%以上である、[8]に記載の方法。
[10]前記酸が、塩酸、硫酸及び硫酸水素塩から選択される少なくとも1種の酸であり、
前記化合物(A)が、下記式(2):
Figure 2020050342
[式中、Bnは前記と同義である。]
で表されるN,N’−ジベンジルビオチンである、[8]又は[9]に記載の方法。
[11]前記N,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度が96%以上である、[10]に記載の方法。
[12]前記酸が、メタンスルホン酸、硫酸及び臭化水素酸から選択される少なくとも1種の酸であり、
前記化合物(A)が、下記式(3):
Figure 2020050342
で表されるビオチンである、[8]又は[9]に記載の方法。
[13]前記ビオチンのHPLC純度が96%以上である、[12]に記載の方法。
[14]下記式(4):
Figure 2020050342
[式中、Bnは前記と同義であり、Rは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基及び炭素数7〜30の置換アラルキル基から選択される基を表す。]
で表されるN,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を製造する方法であって、
[1]に記載のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を、塩基の存在下、下記式(5):
Figure 2020050342
[式中、Rは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を表す。]
で表されるハロゲン化物と反応させて、前記N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を生成させる工程を含む、前記方法。
[15]前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のHPLC純度が96%以上である、[14]に記載の方法。
[16]下記式(6):
Figure 2020050342
[式中、Rは前記と同義である。]
で表されるビオチンエステル化合物を製造する方法であって、
[14]又は[15]に記載の方法で製造されたN,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物からベンジル基を脱離させて、前記ビオチンエステル化合物を生成させる工程を含む、前記方法。
本発明によれば、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩(特に、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩)及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩(特に、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩)を使用して、N,N’−ジベンジルビオチン(特に、高純度のN,N’−ジベンジルビオチン)、ビオチン(特に、高純度のビオチン)、N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物又はビオチンエステル化合物を製造する方法が提供される。さらに、本発明によれば、高純度のN,N’−ジベンジルビオチン及び高純度のビオチンが提供される。
≪第1態様≫
本発明の第1態様は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩に関する。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩は、下記式(1)で表される化合物である。N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩は、精製を行っても完全には純物質とはならず、不可避的不純物を含む。したがって、「N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩」は、純物質ではなく、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩と不可避的不純物との混合物を意味する。
Figure 2020050342
式(1)において、Bnはベンジル基を表す。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩のHPLC純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より一層好ましくは98%以上、より一層好ましくは98.5%以上、より一層好ましくは99%以上である。N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩のHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。
≪第2態様≫
本発明の第2態様は、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンに関する。
N,N’−ジベンジルビオチンは、下記式(2)で表される化合物である。N,N’−ジベンジルビオチンは、精製を行っても完全には純物質とはならず、不可避的不純物を含む。したがって、「N,N’−ジベンジルビオチン」は、純物質ではなく、N,N’−ジベンジルビオチンと不可避的不純物との混合物を意味する。
Figure 2020050342
式(2)において、Bnはベンジル基を表す。
N,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より一層好ましくは98%以上、より一層好ましくは98.5%以上、より一層好ましくは99%以上である。N,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。
≪第3態様≫
本発明の第3態様は、高純度のビオチンに関する。
ビオチンは、下記式(3)で表される化合物である。ビオチンは、精製を行っても完全には純物質とはならず、不可避的不純物を含む。したがって、「ビオチン」は、純物質ではなく、ビオチンと不可避的不純物との混合物を意味する。
Figure 2020050342
ビオチンのHPLC純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より一層好ましくは98%以上、より一層好ましくは98.5%以上、より一層好ましくは99%以上である。ビオチンのHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。
≪第4態様≫
本発明の第4態様は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩を製造する方法に関する。N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩は、上記式(1)で表される化合物である。
本発明の第4態様に係る方法は、N,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させて、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を生成させる工程を含む。なお、N,N’−ジベンジルビオチンは、上記式(2)で表される化合物である。
ジシクロヘキシルアミンと接触させるN,N’−ジベンジルビオチンは、公知の方法によって製造することができる。例えば、背景技術に記載のビオチンの合成ルートにおいて合成中間体として得ることができる。あるいは、ビオチンを、塩基の存在下、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、ベンジルアイオダイド等のベンジル化剤と反応させることにより得ることができる。反応後、N,N’−ジベンジルビオチンを含有する反応液を氷水中に加え、酸を加えて酸性にした後、酢酸エチル等の有機溶媒でN,N’−ジベンジルビオチンを抽出し、洗浄及び濃縮することにより、N,N’−ジベンジルビオチンを単離することができる。N,N’−ジベンジルビオチンは、シリカゲルカラム精製等により精製することができる。精製は、例えば、シリカゲルカラムを備える自動分取精製装置等を使用して行うことができる。
ジシクロヘキシルアミンと接触させるN,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度は、好ましくは30〜95%、より好ましくは50〜94%、より一層好ましくは70〜93.5%である。N,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。なお、背景技術に記載のビオチンの合成ルートで得られるN,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度は75.58%である。
N,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させることにより、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩を製造することができる。
N,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させる際に使用する溶媒は、N,N’−ジベンジルビオチンが溶解し得る溶媒である限り特に限定されず、公知の有機溶媒の中から適宜選択することができる。有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;THF、2−メチル−THF、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。1種の有機溶媒を単独でも使用してもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を使用してもよい。有機溶媒の中でも、工業的に入手可能な点、取り扱いが容易な点等から、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンが好ましく、特に好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が好ましい。又はこれらの2種以上の混合溶媒を使用することが好適である。N,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させる際に使用する溶媒の量は、反応容器の容量等を勘案して適宜調整することができるが、N,N’−ジベンジルビオチン 1質量部に対して、通常1〜100容量部の範囲である。なお、溶媒の量が、N,N’−ジベンジルビオチン 1質量部に対して、1〜100容量部の範囲であることは、溶媒の量が、N,N’−ジベンジルビオチン 1gに対して、1〜100mLの範囲であることを意味する。以下同様である。
N,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させる際に使用するジシクロヘキシルアミンの量は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩が生成するのに十分な量である限り特に限定されず、適宜調整することができるが、N,N’−ジベンジルビオチン 1モルに対して、通常、1.0〜2.0モルの範囲である。
N,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させる際の反応温度及び反応時間は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩が生成するのに十分な条件である限り特に限定されず、適宜調整することができるが、反応温度は、通常−20〜100℃の範囲、好ましくは−10〜50℃の範囲であり、反応時間は、通常0.5〜72時間の範囲である。
反応後、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を含有する反応液から公知の固液分離方法により、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を単離することができる。単離されたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩は、そのままでも十分に高純度であるが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルエーテル、ヘキサン、トルエン、キシレン又はこれらの2種以上の混合物を使用して精製してもよい。
本発明の第4態様に係る方法によれば、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩を製造することができる。本発明の第4態様に係る方法により製造されるN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩のHPLC純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より一層好ましくは98%以上、より一層好ましくは98.5%以上、より一層好ましくは99%以上である。N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩のHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。
≪第5態様≫
本発明の第5態様は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を使用して、化合物(A)を製造する方法に関する。
化合物(A)は、下記式(A)で表される化合物である。化合物(A)は、精製を行っても完全には純物質とはならず、不可避的不純物を含む。したがって、「化合物(A)」は、純物質ではなく、化合物(A)と不可避的不純物との混合物を意味する
Figure 2020050342
式(A)において、Rは、ベンジル基又は水素原子を表す。
式(A)において、Rがベンジル基を表す場合、化合物(A)は、上記式(2)で表されるN,N’−ジベンジルビオチンである。
式(A)において、Rが水素原子を表す場合、化合物(A)は、上記式(3)で表されるビオチンである。
本発明の第5態様に係る方法は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を少なくとも1種の酸と接触させて、化合物(A)を生成させる工程を含む。
少なくとも1種の酸と接触させるN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩は、本発明の第4態様に係る方法で製造されたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩であることが好ましい。
少なくとも1種の酸と接触させるN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のHPLC純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より一層好ましくは98%以上、より一層好ましくは98.5%以上、より一層好ましくは99%以上である。N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩のHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩と接触させる少なくとも1種の酸は、製造される化合物(A)の種類に応じて適宜選択することができる。
以下、製造される化合物(A)がN,N’−ジベンジルビオチンである場合について説明する。
製造される化合物(A)がN,N’−ジベンジルビオチンである場合、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化を進行させることができる少なくとも1種の酸が選択される。N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を少なくとも1種の酸と接触させて、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化を進行させることにより、N,N’−ジベンジルビオチンを製造することができる。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化を行う際、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩と接触させる少なくとも1種の酸は、例えば、塩酸、硫酸、硫酸水素塩等から選択することができる。硫酸水素塩としては、例えば、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの酸の中でも、工業的に入手可能な点、取り扱いが容易な点等から、硫酸、硫酸水素塩、特に硫酸水素カリウム等を使用することが好適である。酸の使用量は、脱ジシクロヘキシルアミン塩化が進行するのに十分な量である限り特に限定されず、適宜調整することができる。酸の使用量は、短時間で効率的に脱ジシクロヘキシルアミン塩化を行う点から、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩 1当量に対して、好ましくは1.0〜1000当量の範囲、より好ましくは1.0〜100当量の範囲である。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化を行う際に使用する溶媒としては、公知の有機溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。1種の有機溶媒を単独で使用してもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を使用してもよい。溶媒の使用量は、反応容器の容量等を勘案して適宜調整することができるが、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩 1質量部に対して、通常1〜100容量部の範囲である。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化を行う際の反応温度及び反応温度は適宜調整することができるが、反応温度は、通常−20〜120℃の範囲、好ましくは−10〜100℃の範囲であり、反応時間は、通常0.5〜72時間の範囲である。
反応後、N,N’−ジベンジルビオチンを含有する反応液を氷水中に加え、アルカリを加えて塩基性にした後、酢酸エチル等の有機溶媒でN,N’−ジベンジルビオチンを抽出し、洗浄し、濃縮することにより、N,N’−ジベンジルビオチンを単離することができる。単離されたN,N’−ジベンジルビオチンは十分に高純度であり、そのまま種々の用途に使用してもよいが、さらに精製してもよい。精製は、例えば、シリカゲルカラム精製等により行うことができる。シリカゲルカラム精製は、例えば、シリカゲルカラムを備える自動分取精製装置等を使用して行うことができる。
本発明の第5態様に係る方法によれば、高純度のN,N’−ジベンジルビオチンを製造することができる。本発明の第5態様に係る方法により製造されるN,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より一層好ましくは98%以上、より一層好ましくは98.5%以上、より一層好ましくは99%以上である。N,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。
以下、製造される化合物(A)がビオチンである場合について説明する。
製造される化合物(A)がビオチンである場合、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化を進行させることができる少なくとも1種の酸が選択される。N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を少なくとも1種の酸と接触させて、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化を進行させることにより、ビオチンを製造することができる。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化を行う際、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩と接触させる少なくとも1種の酸は、例えば、メタンスルホン酸、硫酸、臭化水素酸等から選択することができる。これらの酸を使用することにより、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化が、同時に、あるいは、脱ジシクロヘキシルアミン塩化の後に脱ベンジル化が進行し、ビオチンが得られるものと推測される。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化を行う際、酸の使用量は、脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化が進行するのに十分な量である限り特に限定されないが、短時間で効率的に脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化を行う点から、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩 1当量に対して、好ましくは10〜1000当量の範囲である。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化を行う際に使用する溶媒としては、公知の有機溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロピルエーテル等のエーテル類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。中でも、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化が効率的に進行し、得られるN,N’−ジベンジルビオチン及びビオチンの純度をより一層高くするためには、芳香族炭化水素類、特にメシチレンを使用することが好ましい。1種の有機溶媒を単独して使用してもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を使用してもよい。溶媒の使用量は、反応容器の容量等を勘案して適宜調整することができるが、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩 1質量部に対して、通常1〜100容量部の範囲である。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化を行う際の反応温度及び反応時間は、適宜調整することができるが、反応温度は、通常20〜200℃の範囲、好ましくは40〜150℃の温度、より好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは100〜150℃であり、反応時間は、通常0.5〜17時間の範囲である。
反応後、ビオチンを含有する反応液を水中の注加し、析出した固体を濾過することにより、ビオチンを単離することができる。単離されたビオチンは十分に高純度であり、そのまま種々の用途に使用してもよいが、さらに精製してもよい。精製は、例えば、シリカゲルカラム精製等により行うことができる。シリカゲルカラム精製は、例えば、シリカゲルカラムを備える自動分取精製装置等を使用して行うことができる。
本発明の第5態様に係る方法によれば、高純度のビオチンを製造することができる。本発明の第5態様に係る方法により製造されるビオチンのHPLC純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より一層好ましくは98%以上、より一層好ましくは98.5%以上、より一層好ましくは99%以上である。ビオチンのHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。
なお、酸として硫酸を使用する場合、反応温度を40℃以下に調整することにより、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化が進行し、N,N’−ジベンジルビオチンを得ることができる一方、反応温度を40℃超に調整することにより、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の脱ジシクロヘキシルアミン塩化及び脱ベンジル化が進行し、ビオチンを得ることができる。
≪第6態様≫
本発明の第6態様は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩を使用して、N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を製造する方法に関する。
N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物は、下記式(4)で表される化合物である。
Figure 2020050342
式(4)において、Bnはベンジル基を表し、Rはアルキル基、置換アルキル基、アラルキル基及び置換アラルキル基から選択される基を表す。
「アルキル基」は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。
アルキル基の炭素数は、通常1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、より一層好ましくは1〜8、より一層好ましくは1〜6、より一層好ましくは1〜4である。なお、直鎖状のアルキル基の炭素数は1以上であり、分岐鎖状のアルキル基の炭素数は3以上である。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、4,4−ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
「置換アルキル基」は、1以上の置換基を有するアルキル基を意味する。「アルキル基」に関する上記説明は、別段規定される場合を除き、置換アルキル基の元になるアルキル基にも適用される。
置換アルキル基において、1以上の置換基は、それぞれ、アルキル基の水素原子と置換されている。置換アルキル基が有する置換基の数は、好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2である。置換基の数が2以上である場合、2以上の置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。置換アルキル基が有する1以上の置換基は、それぞれ独立して、後述する置換基群αから選択することができる。
置換アルキル基の炭素数(置換アルキル基が、炭素原子を含有する1以上の置換基を有する場合には、置換アルキル基の合計炭素数)は、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、より一層好ましくは16以下、より一層好ましくは14以下、より一層好ましくは12以下、より一層好ましくは10以下である。
置換アルキル基としては、例えば、シレキセチル基等のシクロアルキルオキシカルボニルオキシアルキル基等が挙げられる。
「アラルキル基」は、1以上のアリール基を有するアルキル基を意味する。「アルキル基」に関する上記説明は、別段規定される場合を除き、アラルキル基に含まれるアルキル基にも適用される。「アリール基」に関する下記説明は、別段規定される場合を除き、アラルキル基に含まれるアリール基にも適用される。
「アリール基」は、1以上の単環式又は縮合多環式の芳香族環を有する芳香族炭化水素から、芳香族環の1個の水素原子を除去することにより生成される基を意味する。
アリール基の炭素数は、通常6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜18、より一層好ましくは6〜16、より一層好ましくは6〜14、より一層好ましくは6〜12、より一層好ましくは6〜10である。
アリール基としては、例えば、単環式又は縮合多環式の芳香族環基が挙げられる。縮合多環式の芳香族環基は、通常2〜4環式、好ましくは2又は3環式、より好ましくは2環式である。単環式又は縮合多環式の芳香族環基における環構成炭素原子の数は、通常6〜18、好ましくは6〜14、より好ましくは6〜10である。単環式の芳香族環基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。縮合多環式の芳香族環基としては、例えば、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等が挙げられる。縮合多環式の芳香族環基は、部分的に飽和されていてもよい(すなわち、芳香族環を構成する結合の一部が水素化されていてもよい)。部分的に飽和された縮合多環式の芳香族環基としては、例えば、ジヒドロナフチル基、インダニル基、アセナフテニル基等が挙げられる。
アリール基には、1以上のアルキル基を有する単環式又は縮合多環式の芳香族環基も包含される。「アルキル基」に関する上記説明は、別段規定される場合を除き、単環式又は縮合多環式の芳香族環基が有するアルキル基にも適用される。単環式又は縮合多環式の芳香族環基が有するアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、より一層好ましくは1〜6、より一層好ましくは1〜4、より一層好ましくは1〜3、より一層好ましくは1又は2である。単環式又は縮合多環式の芳香族環基が有し得るアルキル基の数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、より一層好ましくは1又は2である。アルキル基の数が2以上である場合、2以上のアルキル基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。1以上のアルキル基を有する単環式の芳香族環基としては、例えば、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
アリール基には、単結合で共有結合した2以上の単環式又は縮合多環式の芳香族環を有する基も包含される。単結合で共有結合した2以上の単環式の芳香族環を有する基としては、例えば、ビフェニル、テルフェニル等が挙げられる。
アリール基は、好ましくは、フェニル基又は1以上のアルキル基を有するフェニル基である。
アラルキル基の炭素数は、通常7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜18、より一層好ましくは7〜16、より一層好ましくは7〜14、より一層好ましくは7〜12、より一層好ましくは7〜10である。
アラルキル基に含まれるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、より一層好ましくは1〜6、より一層好ましくは1〜4、より一層好ましくは1〜3である。
アラルキル基が有するアリール基の数は、好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2、より一層好ましくは1である。アラルキル基が有するアリール基の数が2以上である場合、2以上のアリール基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル基、α−メチルベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、ビフェニルメチル基、テルフェニルメチル基等が挙げられる。
「置換アラルキル基」は、1以上の置換基を有するアラルキル基を意味する。「アラルキル基」に関する上記説明は、別段規定される場合を除き、置換アラルキル基の元になるアラルキル基にも適用される。
置換アラルキル基において、1以上の置換基は、それぞれ、アリール部分及び/又はアルキル部分の水素原子と置換されている。置換される水素原子は、アリール部分の水素原子であってもよいし、アルキル部分の水素原子であってもよいが、アリール部分の水素原子であることが好ましい。置換アリール基が有する置換基の数は、好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2である。置換基の数が2以上である場合、2以上の置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。置換アリール基が有する1以上の置換基は、それぞれ独立して、後述する置換基群αから選択することができる。置換アリール基の炭素数(置換アリール基が、炭素原子を含有する1以上の置換基を有する場合には、置換アリール基の合計炭素数)は、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、より一層好ましくは16以下、より一層好ましくは14以下、より一層好ましくは12以下、より一層好ましくは10以下である。
置換基群αは、以下の置換基から構成される。
(α−1)ハロゲン原子
(α−2)ニトロ基
(α−3)アルキルオキシ基
(α−4)アルキルカルボニル基
(α−5)アルキルカルボニルオキシ基
(α−6)アルキルオキシカルボニル基
(α−7)アルキルオキシカルボニルオキシ基
(α−8)シクロアルキル基
(α−9)シクロアルキルオキシ基
(α−10)シクロアルキルカルボニル基
(α−11)シクロアルキルカルボニルオキシ基
(α−12)シクロアルキルオキシカルボニル基
(α−13)シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基
(α−14)アリールオキシ基
(α−15)アリールカルボニル基
(α−16)アリールカルボニルオキシ基
(α−17)アリールオキシカルボニル基
(α−18)アリールオキシカルボニルオキシ基
(α−19)アラルキルオキシ基
(α−20)アラルキルカルボニル基
(α−21)アラルキルカルボニルオキシ基
(α−22)アラルキルオキシカルボニル基
(α−23)アラルキルオキシカルボニルオキシ基
置換基群αは、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基及びアラルキルオキシカルボニルオキシ基から構成されることが好ましく、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基及びアリールオキシ基から構成されることがさらに好ましい。
「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
「アルキルオキシ基」は、アルキル基−O−で表される基を意味する。
「アルキルカルボニル基」は、アルキル基−CO−で表される基を意味する。
「アルキルカルボニルオキシ基」は、アルキル基−CO−O−で表される基を意味する。
「アルキルオキシカルボニル基」は、アルキル基−O−CO−で表される基を意味する。
「アルキルオキシカルボニルオキシ基」は、アルキル基−O−CO−O−で表される基を意味する。
「アルキル基」に関する上記説明は、別段規定される場合を除き、アルキルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアルキルオキシカルボニルオキシ基に含まれるアルキル基にも適用される。アルキルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアルキルオキシカルボニルオキシ基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、より一層好ましくは1〜6、より一層好ましくは1〜4、より一層好ましくは1〜3、より一層好ましくは1又は2である。
「シクロアルキル基」は、環状の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。シクロアルキル基の炭素数は、通常3〜10、好ましくは3〜8、より好ましくは3〜6である。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
「シクロアルキルオキシ基」は、シクロアルキル基−O−で表される基を意味する。
「シクロアルキルカルボニル基」は、シクロアルキル基−CO−で表される基を意味する。
「シクロアルキルカルボニルオキシ基」は、シクロアルキル基−CO−O−で表される基を意味する。
「シクロアルキルオキシカルボニル基」は、シクロアルキル基−O−CO−で表される基を意味する。
「シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基」は、シクロアルキル基−O−CO−O−で表される基を意味する。
「シクロアルキル基」に関する上記説明は、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニル基又はシクロアルキルオキシカルボニルオキシ基に含まれるシクロアルキル基にも適用される。
「アリールオキシ基」は、アリール基−O−で表される基を意味する。
「アリールカルボニル基」は、アリール基−CO−で表される基を意味する。
「アリールカルボニルオキシ基」は、アリール基−CO−O−で表される基を意味する。
「アリールオキシカルボニル基」は、アリール基−O−CO−で表される基を意味する。
「アリールオキシカルボニルオキシ基」は、アリール基−O−CO−O−で表される基を意味する。
「アリール基」に関する上記説明は、別段規定される場合を除き、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニルオキシ基に含まれるアリール基にも適用される。アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニルオキシ基に含まれるアリール基の炭素数は、好ましくは6〜18、より好ましくは6〜16、より一層好ましくは6〜14、より一層好ましくは6〜12、より一層好ましくは6〜10である。
「アラルキルオキシ基」は、アラルキル基−O−で表される基を意味する。
「アラルキルカルボニル基」は、アラルキル基−CO−で表される基を意味する。
「アラルキルカルボニルオキシ基」は、アラルキル基−CO−O−で表される基を意味する。
「アラルキルオキシカルボニル基」は、アラルキル基−O−CO−で表される基を意味する。
「アラルキルオキシカルボニルオキシ基」は、アラルキル基−O−CO−O−で表される基を意味する。
「アラルキル基」に関する上記説明は、別段規定される場合を除き、アラルキルオキシ基、アラルキルカルボニル基、アラルキルカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニル基又はアラルキルオキシカルボニルオキシ基に含まれるアラルキル基にも適用される。アラルキルオキシ基、アラルキルカルボニル基、アラルキルカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニル基又はアラルキルオキシカルボニルオキシ基に含まれるアラルキル基の炭素数は、好ましくは7〜18、より好ましくは7〜16、より一層好ましくは7〜14、より一層好ましくは7〜12、より一層好ましくは7〜10である。
本発明の第6態様に係る方法は、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を、塩基の存在下、下記式(5):
Figure 2020050342
で表されるハロゲン化物と反応させて、N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を生成させる工程を含む。
ハロゲン化物と反応させるN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩は、本発明の第4態様に係る方法で製造されたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩であることが好ましい。
ハロゲン化物と反応させるN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のHPLC純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より一層好ましくは98%以上、より一層好ましくは98.5%以上、より一層好ましくは99%以上である。N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩のHPLC純度は、実施例に記載の方法により測定される。
式(5)において、Rは、式(4)と同義であり、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択することができるが、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択することが好ましい。
ハロゲン化物としては、例えば、ヨードメタン、エチルブロミド、プロピルブロミド、アリルブロミド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、シレキセチルクロリド等が挙げられる。
ハロゲン化物の使用量は、反応が進行するに十分な量である限り特に限定されず、適宜調整することができるが、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩 1モルに対して、好ましくは、1.0〜10モル、より好ましくは、1.0〜3.0モルの範囲である。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩をハロゲン化物と反応させる際に使用する塩基としては、例えば、エステル化反応に使用される塩基を好適に使用することができる。かかる塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、重曹、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU等が挙げられる。これらの塩基の中でも温和な条件で製造可能である点から、炭酸カリウム、トリエチルアミンを使用することが好適である。
塩基の使用量は、反応が進行するに十分な量である限り特に限定されず、適宜調整することができるが、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩 1モルに対して、好ましくは1〜10モルの範囲、より好ましくは1〜3モルの範囲である。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩をハロゲン化物と反応させる際に使用する溶媒としては、例えば、エステル化反応に使用される溶媒を好適に使用することができる。かかる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N−N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−N’−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)等のアミド類;テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−THF、1,4−ジオキサン、t−ブチル−メチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。1種の溶媒を単独で使用してもよいし、2種以上の溶媒の混合溶媒を使用してもよい。かかる溶媒の中でも、DMF、DMA、NMP等のアミド類又はこれらの2種以上の混合溶媒が好適である。
溶媒の使用量は、反応容器の容量等を勘案して適宜調整することができるが、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩 1質量部に対して、通常0.5〜100容量部の範囲、好ましくは2.0〜20容量部の範囲である。
N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩をハロゲン化物と反応させる際の反応温度及び反応時間は、適宜調整することができるが、反応温度は、通常−20〜100℃の範囲、好ましくは0〜50℃の範囲であり、反応時間は、通常0.5〜48時間の範囲、好ましくは1.0〜17時間の範囲である。
反応後、N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を含有する反応液に水及び酸を加えて中性にした後、酢酸エチル等の有機溶媒でN,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を抽出し、洗浄し、濃縮することにより、N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を単離することができる。単離されたN,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物をさらに精製してもよい。N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物は、シリカゲルカラム精製等により精製することができる。精製は、例えば、シリカゲルカラムを備える自動分取精製装置等を使用して行うことができる。
≪第7態様≫
本発明の第7態様は、ビオチンエステル化合物を製造する方法に関する。
ビオチンエステル化合物は、下記式(6)で表される化合物である。
Figure 2020050342
式(6)において、Rは式(4)と同義である。
本発明の第6態様に係る方法は、本発明の第5態様に係る方法で製造されたN,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物からベンジル基を脱離させて、式(6)で表されるビオチンエステル化合物を生成させる工程を含む。
N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物からのベンジル基の脱離は、常法に従って行うことができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
HPLC純度の測定
以下の製造例及び実施例において、N,N’−ジベンジルビオチン、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩及びビオチンの各化合物のHPLC純度の値は、下記測定条件に準じてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)を行い、該HPLCで測定される全ピークの面積値(溶媒由来のピークを除く)の合計に対する、該HPLCで測定される各化合物のピーク面積値の割合から求められる値である。
<HPLCの測定条件>
(1)N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩及びN,N’−ジベンジルビオチンに関するHPLCの測定条件
・カラム:L−coulmn ODS 5μm(4.6x150mm)
・移動相:50mM KHPO (pH 3.0)/CHCN=60:40
・流量:1mL/min
・カラム温度:40℃
・測定波長:254nm
・分析時間:40min
なお、上記HPLCの測定条件において、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩は、約20.7min、N,N’−ジベンジルビオチンは、約20.7minにピークが確認される。
(2)ビオチンに関するHPLCの測定条件
・カラム:X bridge O18 5μm(4.6x150mm)
・移動相:[移動相A]50mM KHPO(pH3.0),[移動相B]CHCN
・流量:1mL/min
・カラム温度:40℃
・測定波長:210nm
・分析時間:50min
移動相A,Bの混合比を下記表1のように変化させて濃度勾配を制御した。
Figure 2020050342
なお、上記HPLCの測定条件において、ビオチンは、約17.3minにピークが確認される。
製造例:N、N’−ジベンジルビオチンの製造
ビオチン(1.0g,4.09mmol,HPLC純度:99.98%)をジメチルスルホキシド(DMSO,20mL)に溶解させ、25℃で、水酸化カリウム(758mg,13.5mmol)を加えた。そこへ同温度で、ベンジルクロリド(1.55mL,13.5mmol)を加えて15時間攪拌した。
反応終了後、0℃で10%塩酸を加え、pH1に調整した。そこへ酢酸エチル(80mL)を加えて分液し、得られた水層を再度酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を合し、水洗(3x100mL)後、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を濃縮することにより得られた濃縮残渣にメタノール(8mL)と水(4mL)を加えて溶解させ、0℃で水酸化ナトリウム(0.41g,10.2mmol)を加え、25℃で17時間攪拌した。
反応終了後、反応液を濃縮した。濃縮残渣に水(140mL)を加えて溶解させ、水層をtert−ブチルメチルエーテル(40mL)で洗浄した。水層を0℃に冷やし、10%塩酸でpH1に調整した。ここへ酢酸エチル(80mL)を加えて分液し、得られた水層を再度酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を合し、水洗(3x60mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、Isolera(バイオタージ社)(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製することにより、N、N’−ジベンジルビオチン(1.23g,71.0%,HPLC純度:93.01%)を得た。得られたN、N’−ジベンジルビオチンを以下の実施例で使用した。
実施例1:N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の製造
N,N’−ジベンジルビオチン(80mg,0.188mmol,HPLC純度:93.01%,オイル状)の酢酸エチル(1.6mL)溶液に、25℃で、ジシクロヘキシルアミン(37.4μL,0.188mmol)を加え、同温度で3.5時間、0℃で1時間攪拌した後、析出した結晶をろ取し、冷酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥することにより、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩(73.6mg,収率:64.5%,HPLC純度:99.25%)を得た。
実施例1で得られたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の物性データは、以下の通りである。
融点:126℃
IR:2940,1697,1447cm−1
H−NMR:δ7.30−7.18(m,10H),4.76(d,1H),4.48(d,1H),4.10(d,1H),3.99(d,1H),3.94(m,1H),3.79(m,1H),3.14(m,1H),2.78(dd,1H),2.61(m,3H),2.05(t,2H),1.79−0.98(m,26H)
13C−NMR:δ175.6,161.6,138.2,137.9,129.0,128.4,128.3,127.8,127.7,62.7,61.6,55.9,52.6,48.2,45.6,35.4,35.2,32.8,29.5,28.9,26.2,25.5,25.0
なお、上記HPLCの測定条件において、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩由来のピークと、N,N’−ジベンジルビオチン由来のピークとは同じ位置(時間)に検出される。これは、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩が、HPLCのカラム中で、N,N’−ジベンジルビオチンとジシクロヘキシルアミンとに解離しているためと推測される。したがって、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩に関する測定は、解離したN,N’−ジベンジルビオチンに関する測定を行うことにより、間接的に行い、その純度を評価した。
実施例2:N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の製造
N,N’−ジベンジルビオチン(5.0g,11.7mmol,HPLC純度:93.01%)の酢酸ブチル(50mL)溶液に、25℃で、ジシクロヘキシルアミン(2.34mL、11.7mmol)を加え、同温度で2時間、0℃で1時間攪拌した後、析出した結晶をろ取し、冷酢酸ブチルで洗浄し、減圧乾燥することにより、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩(6.05g,収率:84.8%,HPLC純度:98.93%)を得た。
実施例2で得られたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の物性データは、以下の通りである。
融点:126℃
IR:2940,1697,1447cm−1
H−NMR:δ7.30−7.18(m,10H),4.76(d,1H),4.48(d,1H),4.10(d,1H),3.99(d,1H),3.94(m,1H),3.79(m,1H),3.14(m,1H),2.78(dd,1H),2.61(m,3H),2.05(t,2H),1.79−0.98(m,26H)
13C−NMR:δ175.6,161.6,138.2,137.9,129.0,128.4,128.3,127.8,127.7,62.7,61.6,55.9,52.6,48.2,45.6,35.4,35.2,32.8,29.5,28.9,26.2,25.5,25.0
実施例3:N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の製造
N,N’−ジベンジルビオチン(80mg,0.188mmol,HPLC純度:93.01%)のアセトン(1.6mL)溶液に、25℃で、ジシクロヘキシルアミン(37.4μL、0.188mmol)を加え、同温度で2時間、0℃で1時間攪拌した後、析出した結晶をろ取し、冷酢酸ブチルで洗浄し、減圧乾燥することにより、N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩(40.0mg,収率:35.1%、HPLC純度:98.66%)を得た。
実施例3で得られたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩の物性データは、以下の通りである。
融点:126℃
IR:2940,1697,1447cm−1
H−NMR:δ7.30−7.18(m,10H),4.76(d,1H),4.48(d,1H),4.10(d,1H),3.99(d,1H),3.94(m,1H),3.79(m,1H),3.14(m,1H),2.78(dd,1H),2.61(m,3H),2.05(t,2H),1.79−0.98(m,26H)
13C−NMR:δ175.6,161.6,138.2,137.9,129.0,128.4,128.3,127.8,127.7,62.7,61.6,55.9,52.6,48.2,45.6,35.4,35.2,32.8,29.5,28.9,26.2,25.5,25.0
実施例4:N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩の脱ジシクロへキシルアミン塩化によるN,N’−ジベンジルビオチンの製造
実施例2で得られたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩(200mg,0.330mmol)を酢酸エチル(1.5mL)に加えて縣濁させ、25℃で硫酸水素カリウム(58mg、0.429mmol)の水(500μL)溶液を加え、1.5時間攪拌した。反応終了後、反応液に酢酸エチル(20mL)を加えて分液し、得られた水層を再度酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を合わせ、水洗(30mL)後、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濃縮し、N,N’−ジベンジルビオチン(140mg,収率:quant.,HPLC純度:98.66%,無色透明の固体,融点:94℃)を得た。
実施例5:N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロへキシルアミン塩の脱ジシクロへキシルアミン塩化及び脱ベンジル化によるビオチンの製造
実施例2で得られたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩(2.0g,3.30mmol)をメシチレン(5.0mL)及びメタンスルホン酸(3.17g、33.0mmol)の二相溶媒に加えて溶解させ、135℃で2.5時間攪拌した。さらに、メタンスルホン酸(3.17g、33.0mmol)を加え、同温で、4.5時間攪拌した。反応終了後、80℃で酢酸(580μL)を加えて二層に分離し、メシチレンを除去した。残りの反応溶液に0℃で蒸留水(40mL)を加え、同温度で1時間攪拌した。析出した結晶をろ取し、水及びアセトンで洗浄し、減圧乾燥することにより、ビオチン(625mg,収率:77.6%,HPLC純度:99.00%)を得た。
実施例6:N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のエステル化によるN,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物の製造
以下の反応式に示すように、N,N’−ジベンジルビオチンシレキセチルエステルを合成した。
Figure 2020050342
実施例2で得られたN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩(1.0g,1.65mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF,10mL)に加えて溶解させた。そこへ、炭酸カリウム(342mg,2.47mmol)を25℃で加えた後、同温度でシレキセチルクロリド(452μL、2.47mmol)を加え、60℃で6時間攪拌した。反応終了後、25℃で水(10mL)を加え、5%塩酸でpH7に調整した。そこへ、酢酸エチル(80mL)を加えて分液し、得られた水層を再度酢酸エチル(30mL)で抽出した。有機層を合わせ、水洗(3x50mL)後、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濃縮後、Isolera(バイオタージ社)(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、シレキセチル(3aS,4S,6aR)−5−(1,3−ジベンジル−2,3,3a,4,6,6a−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエン[3,4−d]イミダゾール5−イル)ペンタノエート(1.46g,収率:quant.)を得た。

Claims (16)

  1. 下記式(1):
    Figure 2020050342
    [式中、Bnはベンジル基を表す。]
    で表されるN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩。
  2. HPLC純度が96%以上である、請求項1に記載のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩。
  3. 下記式(2):
    Figure 2020050342
    [式中、Bnは前記と同義である。]
    で表されるN,N’−ジベンジルビオチンであって、HPLC純度が96%以上である、前記N,N’−ジベンジルビオチン。
  4. 下記式(3):
    Figure 2020050342
    で表されるビオチンであって、HPLC純度が96%以上である、前記ビオチン。
  5. 請求項1に記載のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を製造する方法であって、
    下記式(2):
    Figure 2020050342
    [式中、Bnは前記と同義である。]
    で表されるN,N’−ジベンジルビオチンをジシクロヘキシルアミンと接触させて、前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を生成させる工程を含む、前記方法。
  6. 前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のHPLC純度が96%以上である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記N,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度が95%以下である、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 下記式(A):
    Figure 2020050342
    [式中、Rはベンジル基又は水素原子を表す。]
    で表される化合物(A)を製造する方法であって、
    請求項1に記載のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を少なくとも1種の酸と接触させて、前記化合物(A)を生成させる工程を含む、前記方法。
  9. 前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のHPLC純度が96%以上である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記酸が、塩酸、硫酸及び硫酸水素塩から選択される少なくとも1種の酸であり、
    前記化合物(A)が、下記式(2):
    Figure 2020050342
    [式中、Bnは前記と同義である。]
    で表されるN,N’−ジベンジルビオチンである、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記N,N’−ジベンジルビオチンのHPLC純度が96%以上である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記酸が、メタンスルホン酸、硫酸及び臭化水素酸から選択される少なくとも1種の酸であり、
    前記化合物(A)が、下記式(3):
    Figure 2020050342
    で表されるビオチンである、請求項8又は9に記載の方法。
  13. 前記ビオチンのHPLC純度が96%以上である、請求項12に記載の方法。
  14. 下記式(4):
    Figure 2020050342
    [式中、Bnは前記と同義であり、Rは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基及び炭素数7〜30の置換アラルキル基から選択される基を表す。]
    で表されるN,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を製造する方法であって、
    請求項1に記載のN,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩を、塩基の存在下、下記式(5):
    Figure 2020050342
    [式中、Rは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を表す。]
    で表されるハロゲン化物と反応させて、前記N,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物を生成させる工程を含む、前記方法。
  15. 前記N,N’−ジベンジルビオチンのジシクロヘキシルアミン塩のHPLC純度が96%以上である、請求項14に記載の方法。
  16. 下記式(6):
    Figure 2020050342
    [式中、Rは前記と同義である。]
    で表されるビオチンエステル化合物を製造する方法であって、
    請求項14又は15に記載の方法で製造されたN,N’−ジベンジルビオチンエステル化合物からベンジル基を脱離させて、前記ビオチンエステル化合物を生成させる工程を含む、前記方法。
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