JPWO2020044708A1 - コンクリート組成物用養生剤、及びコンクリート組成物の養生方法 - Google Patents

コンクリート組成物用養生剤、及びコンクリート組成物の養生方法 Download PDF

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Abstract

硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、カルシウムアルミネート、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、ジエタノールアミン、及びギ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含むコンクリート組成物用養生剤である。

Description

本発明は、コンクリート組成物用養生剤、及びコンクリート組成物の養生方法に関する。
世界的に見るとセメントの生産量は増加しており、急速にインフラ整備が進められている。特に、中国や東南アジアでの建設ラッシュは現在も続いている。インフラ整備の中でも、道路整備は重要な位置付けにある。道路は新設の際にも、また、補修の際にも、早期解放が望まれるため、使用する材料としても早期供用を可能とする材料が求められている。その一例として、急硬コンクリートが挙げられる。
急硬コンクリートは、セメント種により初期材齢で十分な強度発現性を満たさない場合がある。また、初期の強度発現性は外気温に大きく左右されるため、冬期等の気温が低い場合は、必要な強度発現性を満たさない場合がある。
今日、セメント種や外気温に関わらず、初期材齢で十分な強度発現性を有する急硬コンクリートの開発が強く望まれている。
他方、コンクリートの凝結硬化を促進する目的で、凝結促進剤をコンクートに添加する方法、例えば、硫酸アルミニウムを添加する方法(特許文献1、特許文献2)が提案されている。
また、コンクリートが硬化した後、すなわち、コテ仕上げを終えた後、しばらくしてからパラフィン系の塗膜養生剤を被覆する方法も知られている(特許文献3)。
フランス特許2031950号 特開平08−48553号公報 特開2007−308353号公報
しかし、特許文献1や2の方法だと、運搬中にコンクリートのコンシステンシーが低下し、打設時の作業性が著しく悪くなり、施工が上手くいかず、施工欠陥を招くおそれもあった。また、特許文献3の方法はコンクリートの中性化や塩害を抑制する方法であるが、強度を増進させるものではなかった。
以上から、本発明は、コンクリート組成物を硬化させる際に初期の強度発現性を向上させることが可能なコンクリート組成物用養生剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々努力を重ねた結果、例えば施工現場にて特定の成分を含む養生剤を用いることにより、初期の強度発現性に優れるコンクリート組成物の硬化物を調製できることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
[1] 硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、カルシウムアルミネート、ジエタノールアミン、及びギ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含むコンクリート組成物用養生剤。
[2] さらに流動パラフィンを含有してなる[1]に記載のコンクリート組成物用養生剤。
[3] 前記硫酸アルミニウムが、硫酸アルミニウム8水塩である[1]又は[2]に記載のコンクリート組成物用養生剤。
[4] コンクリート組成物の養生に、[1]〜[3]のいずれかに記載のコンクリート組成物用養生剤を用いるコンクリート組成物の養生方法。
[5] 前記コンクリート組成物を打設し、その後、該コンクリート組成物が硬化する前に、その表面に前記コンクリート組成物用養生剤を塗布する[4]に記載のコンクリート組成物の養生方法。
[6] 前記コンクリート組成物用養生剤を打設箇所に塗布してから、前記コンクリート組成物を打設し、その後、該コンクリート組成物が硬化する前に、その表面に養生剤を塗布する[4]又は[5]に記載のコンクリート組成物の養生方法。
[7] 前記コンクリート組成物が生コン出荷型急硬コンクリートであることを特徴とする[4]〜[6]のいずれかに記載のコンクリート組成物の養生方法。
本発明によれば、コンクリート組成物を硬化させる際に初期の強度発現性を向上させることが可能なコンクリート組成物用養生剤を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書における「部」や「%」は特に規定しない限り質量基準とする。また、本明細書におけるコンクリート組成物とは、モルタル、コンクリートを総称するものである。
[コンクリート組成物用養生剤]
本発明のコンクリート組成物用養生剤(以下、単に「養生剤」ということがある)は、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、カルシウムアルミネート、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、ジエタノールアミン、及びギ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
これらは、初期のエトリンガイト生成が卓越することで、コンクリート組成物を硬化させる際に初期の強度発現性を向上させることができる。
(硫酸アルミニウム)
硫酸アルミニウムとは、Al成分とSO成分を含有する化合物を総称するものであり、特に限定されるものではない。一般式Al(SO・nHOで表され、式中のnは0〜18の範囲にあり、様々な結晶水の硫酸アルミニウムが存在する。本発明では、初期強度の発現性の観点から、8水塩を使用することが好ましい。
(アルミン酸ナトリウム)
アルミン酸ナトリウムは、化学成分としてNaOとAlを含有するもので、組成比がNaOとAlの含有モル比(NaO/Al)で0.7〜1.5のアルミン酸ナトリウムであることが好ましい。
(カルシウムアルミネート)
カルシウムアルミネートとは、含有化学成分としてCaOとAlを含む結晶質やガラス化が進んだ構造の水和活性物質であって、CaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.50〜2.60のカルシウムアルミネート化合物であることが好ましい。水和反応活性がより高いものが得られることから、非晶質含有割合が90質量%以上であることが好ましい。
具体的には、12CaO・7Al、CaO・Al、3CaO・Al等のカルシウムアルミネート等が挙げられる。また、カルシウムアルミネート系急結剤も、上記カルシウムアルミネート化合物を含んでいれば使用することができる。カルシウムアルミネート系急結剤の市販品としては、デンカ社製ナトミックタイプZ等が挙げられる。
(硝酸リチウム)
硝酸リチウムとしては、無水物(無水塩)の他、0.5水和物(0.5水塩)及び3水和物(3水塩)が存在し、特に限定されないが、無水物が好ましい。
(硝酸ナトリウム)
硝酸ナトリウムとしては、NaNOで表され、本発明では特に限定されるものではなく、天然に産出されるチリ硝石を粉砕して用いることも可能である。
(硝酸カルシウム)
硝酸カルシウムとしては、Ca(NO・nHOで表され、4水塩の他、4水塩を脱水した脱水製品が存在するが、本発明では特に限定されるものではない。
(ジエタノールアミン)
ジエタノールアミンとしては、HN(CHCHOH)で表され、純度98%以上のものを用いるのが好ましい。
(ギ酸)
ギ酸としては、76%〜98.6%までの様々な純度が存在するが、本発明では特に限定されるものではない。
上記の各成分の中でも、初期のエトリンガイトの生成量の観点から、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、カルシウムアルミネートが好ましく、硫酸アルミニウムがより好ましい。
本発明の養生剤にさらに、流動パラフィンを含有することが好ましい。その割合は特に限定されるものでないが、流動パラフィンと養生剤との質量比は、10:90〜90:10が好ましく30:70〜70/30がより好ましい。
パラフィンとは、非揮発性の精製した飽和炭化水素の混合物の総称であり、炭化水素化合物の一種であり、炭素原子の数nが20以上のアルカン(alkane、アルカン族、一般式がCnH2n+2とあらわされる鎖式飽和炭化水素)を総称するものである。通常、パラフィンは均一の物質ではなく「構成する炭素鎖」に、さまざまなものが混ざっている。パラフィンのなかで、炭素鎖が長いものを多く含むものは、固体状で、「石油ワックス」と呼ばれる。一方、炭素鎖に短いものが多く含まれるものは、常温常圧で液状であり、「流動パラフィン」(liquid paraffin)と呼ばれる。本発明では、流動パラフィンを用いることが好ましい。本発明では、市販されているパラフィン系養生剤を用いることができる。その具体例としては、例えば、BASFポゾリス(株)製「マスターキュア」や、フォスロック社製「コンキュアー」等を挙げることができる。
[コンクリート組成物の養生方法]
本発明のコンクリート組成物の養生方法においては、コンクリート組成物の養生に、本発明のコンクリート組成物用養生剤を用いる。
本発明の養生剤を使用する方法としては、特に限定されないが、コンクリート組成物を打設し、その後、コンクリート組成物が硬化する前に、その表面にコンクリート組成物用養生剤を塗布する方法;コンクリート組成物用養生剤を打設箇所に塗布してから、コンクリート組成物を打設し、その後、該コンクリート組成物が硬化する前に、その表面に養生剤を塗布する方法;等が好ましく挙げられる。
コンクリート打設後から凝結の始発前までのいずれのタイミングでも可能であるが、初期強度の発現性の観点から、コンクリート打設後はできるだけ早いタイミングで使用することが望ましく、コンクリート打設後、1時間以内に養生剤を使用することが好ましく、30分以内がより好ましい。
本発明の養生剤の施工方法は、均一に施工できるものであれば、特に限定されるものではなく、散布、塗布、吹付け、噴霧等で行うことが可能であり、塗布が好ましい。
本発明の養生剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常、コンクリート組成物1m当たり、養生剤50g〜500gの範囲で使用することが好ましく、100g〜300gがより好ましい。50g〜500gの範囲で使用することで、十分な初期強度発現性が得られやすくなる。
本発明の養生方法の対象としては、公知のモルタル及びコンクリート等で特に限定されないが、コンクリート組成物として生コン出荷型急硬コンクリートに使用することが好ましい。
生コン出荷型急硬コンクリートに使用することで、当該生コン出荷型急硬コンクリートの初期強度を増進させることができる。
ここで、「生コン出荷型急硬コンクリート」とは、生コン工場や生コンプラント等で眠剤を多量に添加し、眠らせた急硬コンクリート(水和硬化がほぼ停止したコンクリート)を混練した後、アジテータ車によって搬送されて、土木工事現場や建設現場等の施工現場に出荷され、現場で生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を添加することで水和硬化を再び復活させることができるコンクリートである。
以下では、本発明の養生剤が好ましく用いられる生コン出荷型急硬コンクリートについて説明する。
まず生コンプラントでは、急硬材と眠剤を予め添加混合した各種のベースコンクリートを用意する必要があり、起硬剤は現場まで搬送後に各種のベースコンクリートに対して添加混合する必要がある。起硬剤を施工現場でなく生コンプラントで予め各種のベースコンクリートに対して混合すると、可使時間が確保できない。また、生コン工場で急硬材と起硬剤の双方を添加すると、可使時間が極端に短くなり、搬送途中でコンクリートの破棄を余儀なくされる。
起硬剤を生コン工場で添加し、施工現場で急硬材を添加する場合には、急硬材を添加した後の可使時間が10分以下と極端に短くなり、施工ができない。急硬材と起硬剤を施工現場で添加する場合には、可使時間が短縮され、圧縮強度も低い値となり、耐摩耗性も改悪傾向となることに加え、アジテータのドラム容積の30%程度しか搬送できない。このように、急硬材と起硬剤の添加タイミングは極めて重要である。
そこで、本実施形態では、セメント、急硬材、及び眠剤を含むA材と、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を含むB材とからなる2材型とすることで、具体的には、生コンプラントから施工現場まで、A材とB材を別々に搬送し、施工現場でこれらを混合することで、本実施形態の生コン出荷型急硬コンクリート組成物とすることができる。以下、本実施形態に係る各成分等を詳細に説明する。
(生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤)
生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤に係る実施形態において、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤(以下、単に「起硬剤」ということがある)とは、後述する眠剤を多量に添加し、眠らせた急硬コンクリート(水和硬化がほぼ停止したコンクリート)の水和硬化を例えば施工現場で再び呼び覚ます材料を意味する。その具体例としては、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムアルミネート系化合物、カルシウムシリケート系化合物、コロイダルシリカ、ポルトランドセメント、カルシウムサルフォアルミネートセメント、高炉スラグなどの1種または2種以上を併用することが可能である。
ここで、本実施形態でいう「生コン出荷型急硬コンクリート」とは、既述のとおりであり、搬送時間の関係から、出荷から作業完了まで、最低でも可使時間は120分以上必要であり、搬送距離が長い場合には180分以上の可使時間を確保することが望まれる。本実施形態は、このような用途に特化して用いられるものである。
なお、上記の「アジテータ車」とは、生コンを撹拌しながら輸送することができる、荷台部分にミキシング・ドラム(練り混ぜ用容器)を備えた貨物自動車であり、その機能に大きな差はないが、最大積載量2〜26t級のものがあり、用途に応じて使い分けられている。
ただし、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を添加した後も、作業時間を確保する必要があり、少なくとも15分以上の可使時間が確保できる起硬剤の種類の選定と添加量の設定が必要である。その観点から、起硬剤として、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム等の急結剤の選定は避ける必要がある。これらの急結剤は、添加後直ちに急結性を示し、10分以上の可使時間を確保することが困難となる。したがって、これら急結剤は生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤100部に対して、30部以下とすることが好ましく、まったく使用しないことがより好ましい。
生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤は既述のいずれかの成分を必須成分とするが、温度依存性を改善するために、水酸化カルシウムだけ、又は、水酸化カルシウムとカルシウムアルミネート系化合物とを併用することがより好ましい。併用する場合のその配合割合は特に限定されないが、水酸化カルシウムとカルシウムアルミネート系化合物との質量比(水酸化カルシウム/カルシウムアルミネート系化合物)で、1/99〜99/1であることが好ましく、2/98〜98/2であることがより好ましい。質量比1/99〜99/1であることで、温度依存性を小さくできることに加え、セメントの種類が変化した際にも安定した起硬剤の効果を発揮することができる。当該質量比は、さらに、10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましい。
生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤は、例えば、300μm篩い残分が5%以下であり、100μm篩い残分が10%以下であることが好ましい。
本発明においてカルシウムアルミネート系化合物は、後述する急硬材にも用いるが、起硬剤に適用するカルシウムアルミネート系化合物は、CaO/Alモル比で0.5〜2.4の範囲のものが好ましい。CaO/Alモル比が0.5以上であることで、温度依存性の改善効果をより十分に発揮させることができ、2.4以下であることで、起硬剤をスラリーで用いる際に急硬を抑えることができる。
なお、上記の好ましい範囲内でも、可使時間を長くする観点からは、0.5〜1.2の範囲のものがより好ましく、0.75〜1.0の範囲のものがさらに好ましい。初期の強度発現の観点からは、1.2〜2.4の範囲のものがより好ましく、1.25〜2.3の範囲のものがさらに好ましい。
さらにカルシウムアルミネート系化合物は、非晶質カルシウムアルミネート系化合物と結晶質カルシウムアルミネート系化合物に大別されるが、長期強度の発現性から非晶質カルシウムアルミネート系化合物の使用が好ましい。
また、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤における、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムアルミネート系化合物、カルシウムシリケート系化合物、コロイダルシリカ、ポルトランドセメント、カルシウムサルフォアルミネートセメント、及び高炉スラグのそれぞれ、又は、併用する場合はそれらの合計は、それぞれの効果、又は、複合効果を効率よく発揮させる観点から、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
なお、上記例示した起硬剤以外の物質(その他の成分)の存在も、当該起硬剤の分散性を高めたり、起硬剤の効果を助長したりできるもので、本発明の効果を阻害しないものあれば、30%以下の範囲で含有させることができる。
起硬剤においては、既述のいずれかの成分に、さらに、セッコウを含有することが好ましく、カルシウムアルミネート系化合物とセッコウとを含有してなることがより好ましい。使用するセッコウは、無水セッコウ、半水セッコウ、二水セッコウのいずれのセッコウも使用できる。さらに天然セッコウや、リン酸副生セッコウ、排脱セッコウ、及びフッ酸副生セッコウなどの化学セッコウ、または、これらを熱処理して得られるセッコウなども使用できる。これらの中では、強度発現性の点で、無水セッコウ及び/又は半水セッコウが好ましいが、コストの観点から無水セッコウを選定することが好ましく、II型無水セッコウ及び/又は天然無水セッコウが好ましい。セッコウの粒度はブレーン値で3000cm/g以上が好ましく、4000〜7000cm/gがより好ましい。3000cm/g以上であることで初期強度発現性を良好に発揮させることができる。
セッコウの使用量は、起硬剤(好ましくはカルシウムアルミネート系化合物)100部に対して10〜200部が好ましく、15〜150部がより好ましく、90〜130部がさらに好ましい。これらの範囲であることで長期強度発現性と耐久性を良好にすることができる。
生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤の使用量は、特に限定されるものではないが、後述のセメントと急硬材との合計100部に対して、0.5〜7部が好ましく、1〜5部がより好ましい。0.5〜7部であることで、短時間材齢の強度発現性を十分なものとし、可使時間を確保することができる。なお、起硬剤はスラリー化して各種のベースコンクリートなどに添加してもよい。この場合、コンクリート配合から練り混ぜ水の一部を起硬剤のスラリーに充て、ベースコンクリートからその分の水を差し引いておくことが、強度発現性の観点から望ましい。また、起硬剤は予めポリビニルアルコール(PVA)フィルムなどの水溶性フィルムによって包装された状態で各種のベースコンクリートなどに添加してもよい。この場合、起硬剤とともにその効果を阻害しない範囲で種々の添加物を混合してもよい。なお、本明細書において、ベースコンクリートとは、少なくとも、セメント、急硬材、眠剤、骨材、及び混練水を混練してなるコンクリートをいう。
ここで、好ましい態様の水溶性フィルムは、木材パルプ、多糖類、ポバール、セルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、でんぷん等を原料としたものを用い、原料中の木材パルプの含有量は75〜95%が好ましく、80〜90%はより好ましい。木材パルプを除く多糖類、ポバール、セルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、でんぷん等の原料は、5〜25%が好ましく、10〜20%がより好ましい。
上記範囲より多糖類、ポバール、セルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、でんぷん等の原料が少ない場合、水溶紙を製造する際のヒートシールに必要な接着剤原料が不足し、製造が困難となり、上記範囲より多い場合、コンクリート中に空気を巻き込むので好ましくない。
また、好ましい態様の水溶性フィルムは水溶性であれば特に限定されるものではないが、20℃の水500mlが入ったビーカー(容量1000ml)に水溶性フィルムを10g添加し、スターラー(池田理工社製)により800rpmで撹拌した時の分散時間が、30秒以下であることが好ましく、20秒以下がより好ましい。分散時間は目視により凝集物がなくなった状態の時を言う。分散時間が30秒を超えるものはコンクリート練混ぜ後に分散しきらず、コンクリート中に残存する場合がある。
上記好ましい態様の水溶性フィルムによって起硬剤を包装した態様を用いたコンクリートの練混ぜ時間は、当該態様を用いない無混和のコンクリートと比較して同程度であるが、上記好ましい態様の水溶性フィルムでない水溶性フィルムを用いた場合、コンクリートの練混ぜ時間が長くなることがあり、同じ練混ぜ時間の場合、投入袋数が好ましい態様の水溶性フィルムと同じでも、水溶性フィルムがコンクリート中に残存する場合がある。
さらに、起硬剤をスラリー化して各種のベースコンクリートなどに圧送添加する場合においては、デキストリン及びセルロース誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してなることが好ましい。なかでも、デキストリン、あるいはデキストリンとセルロース誘導体との組み合わせがより好ましい。
デキストリンは、セメントの凝結を遅らせることで後述の生コン出荷型急硬コンクリート組成物の安定性を高めることができる。デキストリンは、一般に化工澱粉とも呼ばれ、通常、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘薯澱粉、及び米澱粉等を加水分解して得られる。なかでも、希酸を加え、分解して得られる酸焙焼デキストリンが最も一般的であり、酸浸漬法で得られるもの、澱粉の酵素分解で得られるマルトデキストリン、無焙焼で得られるブリティッシュガム、あるいは、澱粉に水を加えたものを加熱したり、アルカリや濃厚な塩類の溶液を加えてアルファー化したりしたものを急速に脱水乾燥して得られるアルファー化澱粉、もしくは、これらを水に溶解させて残留分を乾燥させた粉末等が使用できる。この他、カルボン酸エステル化、炭酸エステル化、及びエーテル化等の化学変性をさせたものが使用できる。特に、デキストリンの20℃における冷水可溶分が5〜90%のものが好ましく、10〜65%がより好ましい。デキストリンの20℃における冷水可溶分が小さくなると充分な凝結遅延効果が得られない場合があり、デキストリンの20℃における冷水可溶分が大きくなると硬化不良を引き起こすおそれがある。
デキストリンは、起硬剤100部に対して、0.01〜5部が好ましく、0.1〜3部がより好ましい。0.01〜5部であることで、短時間材齢の強度発現性を十分なものとし、起硬材をスラリー化したときの発熱を抑制することができる。
セルロース誘導体は、起硬材をスラリー化したときのブリーディング防止に寄与するものであり、特に限定されるものではないが、一般に水溶性高分子物質と呼ばれているもので、メチルセルロース(MC)、カルボキシルメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
セルロース誘導体の使用量は、デキストリン100部に対して、5〜80部が好ましく、10〜50部がより好ましい。5〜80部であることで、ブリーディング防止と長距離圧送性を両立することができる。
(セメント)
本実施形態でいう「セメント」とは、特に限定されるものではないが、例えば、日本工業規格(JIS)で定められる普通、早強、中庸熱、低熱の各種ポルトランドセメント、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカを混合した各種の混合セメント、石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などを混合したフィラーセメント、並びに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)などのあらゆるセメントが挙げられる。また、海外のEN197−2000で定められたセメントや中国GB規格で定められるあらゆるセメントを挙げることができ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
ポルトランドセメントの構成化合物は、エーライト(3CaO・SiO)、ビーライト(2CaO・SiO)、アルミネート(3CaO・Al)、フェライト(4CaO・Al・Fe)と、さらに、二水セッコウが混合されている(この一部が半水セッコウに変化することもある)。本実施形態では、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ、石灰石微粉末などの混合材を含まないセメントを選定することが強度発現性の観点から望ましく、中でも、エーライト含有量が高く、粉末度の高い(粒度が細かい)セメントを選定することが好ましい。これに該当するセメントとしては、例えば、日本のセメントで例示すると、早強セメントや普通セメントを挙げることができる。また、中国のセメントで例示すると、PII52.5やPII42.5を挙げることができる。
(急硬材)
本実施形態の急硬材は、カルシウムアルミネート系化合物とセッコウ類とからなる。ここで、カルシウムアルミネート系化合物とは、CaOとAlを主体とする化合物を総称するものであり、特に限定されるものではない。その具体例としては、CaO・Al、12CaO・7Al、11CaO・7Al・CaF、3CaO・Al、3CaO・3Al・CaSO、更に、CaOとAlを主体とする非晶質物質(例えば、CaO−Al−SiO系化合物)等が挙げられる。中でも、非晶質物質を選定することが強度発現性の観点から好ましい。
ここで、本明細書における非晶質度とは、以下のように定義する。対象物質を1000℃で2時間焼きなました後、5℃/分の冷却速度で徐冷して結晶化させる。そして、結晶化させたものを粉末X線回折法により測定し、結晶鉱物のメインピークの面積Sを求める。次いで、焼きなまし前の物質の結晶のメインピーク面積Sから、以下の式により非晶質度Xを求める。
X(%)=100×(1−S/S
なお、一般の工業原料にはSiO、MgO、Fe、TiO、KO、NaO等の不純物が含まれているが、これらの不純物は、カルシウムアルミネート系化合物の非晶質化を助長する面もあり、これらの総量が20%以下の範囲で存在しても差し支えない。中でも、SiOの存在は好ましく、非晶質カルシウムアルミネートを得る目的で、1〜18%の範囲で含有させることもできる。
したがって、急硬材としては、CaO−Al−SiO系化合物とセッコウ類とを含み、このCaO−Al−SiO系化合物の非晶質度が70%以上で、かつ、SiOが1〜18質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは、CaO−Al−SiO系化合物の非晶質度が80%以上で、かつ、SiOが2〜13質量%の範囲である。
カルシウムアルミネート系化合物は、粉砕処理により、ブレーン比表面積で3000〜9000cm/gに調整することが好ましく、4000〜8000cm/gに調整することがより好ましい。カルシウムアルミネート系化合物の粉末度(ブレーン比表面積)が、4000〜9000cm/gであることで十分な急硬性が得られやすくなり、低温での強度発現性も得られやすくなる。
また、本実施形態の急硬材は、粉砕処理により、ブレーン比表面積で3000〜9000cm/gに調整することが好ましく、4000〜8000cm/gに調整することがより好ましい。急硬材の粉末度が、3000〜9000cm/gであることで十分な超速硬性が得られやすくなり、低温での強度発現性も得られやすくなる。
急硬材の使用量は、セメントと急硬材との合計100部中、10〜35部が好ましく、15〜30部がより好ましく、20〜25部がさらに好ましい。10〜35部であることで、良好な初期強度発現性が得られやすくなり、長期強度の低下も起こりにくくなる。
(眠剤)
本実施形態で使用する眠剤は、生コンから出荷した急硬コンクリートを眠らせる(水和硬化をほぼ停止させる)働きを持つものであり、生コンプラントでの急硬トラブルや、アジテータ車で搬送する際の急硬トラブルを回避するものである。眠剤としては、例えば、オキシカルボン酸、又は、その塩、或いはこれらとアルカリ金属炭酸塩の併用、糖類、ホウ酸等が挙げられる。オキシカルボン酸とアルカリ金属炭酸塩を併用することが、急硬コンクリートを眠らせる効果が大きい面や、起硬剤を添加した後の強度発現性が良好な面から好ましい。ただし、アルカリ金属炭酸塩はリチウム以外のアルカリ金属炭酸塩を選定することが好ましい。ベースコンクリートの十分な可使時間を確保し、かつ、起硬剤を添加した後も一定の可使時間を確保し、さらに、強度発現性を良好にする必要があり、この観点から炭酸リチウムの適用は好ましくない。
眠剤としては、オキシカルボン酸、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含むことが好ましく、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩とオキシカルボン酸とを含むことがより好ましい。リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩とオキシカルボン酸との混合比は、アルカリ金属炭酸塩/オキシカルボン酸で、10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましい。
オキシカルボン酸又はその塩としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられ、その塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
眠剤の使用量は、セメントと急硬材の合計100部に対して、0.3〜5部が好ましく、0.3〜4.5部がより好ましい。0.3〜5部であることで、現場までの搬送時間に加え、十分な作業時間の確保がしやすくなる。また、起硬剤を添加した際に水和硬化を再び呼び起こしやすくなる。
(セッコウ)
本実施形態で使用するセッコウ類は、無水セッコウ、半水セッコウ、二水セッコウのいずれのセッコウも使用できる。さらに天然セッコウや、リン酸副生セッコウ、排脱セッコウ、及びフッ酸副生セッコウなどの化学セッコウ、または、これらを熱処理して得られるセッコウなども使用できる。これらの中では、強度発現性の点で、無水セッコウ及び/又は半水セッコウが好ましいが、コストの観点から無水セッコウを選定することが望ましく、II型無水セッコウ及び/又は天然無水セッコウが好ましい。セッコウの粒度はブレーン値で3000cm/g以上が好ましく、4000〜7000cm/gがより好ましい。3000cm/g以上であることで初期強度発現性を良好に発揮させることができる。
セッコウ類の使用量は、カルシウムアルミネート系化合物100部に対して10〜200部が好ましく、15〜150部がより好ましく、20〜130部がさらに好ましい。これらの範囲であることで強度発現性を良好に発揮させることができる。
本実施形態では、既述の急硬材、眠剤、起硬剤の他に、膨張材、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高炉徐冷スラグ微粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などのスラグ、石灰石微粉末やフライアッシュ、シリカフューム等の混和材料、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー、ベントナイトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法の実施形態は、少なくとも、セメント、急硬材、及び眠剤を混練水とともに練り混ぜ用容器内で練り混ぜる工程と、さらに、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を例えば施工現場で混合する工程と、を順次含む。
なお、上記混練水は例えば、生コン工場や生コンプラント等から出荷される。また、練り混ぜ工程では、練り混ぜとともに運搬も行われる場合が多い。
生コン工場や生コンプラント等から出荷され、練り混ぜ(・運搬する)工程においては、少なくとも、セメント、急硬材、眠剤、及び混練水を含むベースコンクリートの容量を、練り混ぜ(・運搬)用容器の内容積の40%(容量%)以上とすることが好ましく、50容量%以上とすることがより好ましい。
ここで、練り混ぜ(・運搬)用容器とは、例えば、アジテータ車のドラム等のような生コン運搬車に備え付けられ、生コンを撹拌しながら保持できる容器をいう。
そして、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を混合した後の可使時間が10分以上、好ましくは15分以上確保できるように生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤の種類と混合量を定めることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤は、生コン(レディミクストコンクリート)を混練した後、この混練物が搬送されて施工現場に出荷され、打ち込み作業後に添加される混和材料としての使用に好適である。また、同様に、本実施形態に係る生コン出荷型急硬コンクリート材料も、起硬剤と同様に、打ち込み作業後に添加される混和材料としての使用に好適である。そして、可使時間を例えば、120分以上、好ましくは180分以上とすることができる。
以下、実験例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験例1)
セメント380kg/m、急硬材Aを120kg/m、水/結合材比32%、s/a=42%、空気量2.0±1.5容量%の急硬コンクリートを調製した。この際、セメントと急硬材からなる結合材100部に対して、眠剤を1.5部添加し、24時間以上、水和硬化しないようにした(A材)。急硬コンクリートを調製して120分後に起硬剤(B材)を結合材100部に対して3部添加した。このコンクリート打設直後に下記に示す様々な養生剤をコンクリート1m当たり200g塗布した。養生剤塗布後から6時間後(練り上がりから8時間後)の圧縮強度(初期圧縮強度)を測定した。結果を下記表1に併記する。
なお、s/aは、細骨材率で、コンクリート中の全骨材量に対する細骨材量の絶対容積比を百分率で表した値である。
<使用材料>
(1)養生剤
養生剤イ:硫酸アルミニウム8水塩、試薬1級
養生剤ロ:アルミン酸ナトリウム(NaO/SiOモル比=1.0)、試薬1級
養生剤ハ:CaO/Alモル比が2.20のカルシウムアルミネートを含むカルシウムアルミネート系急結剤、市販品、デンカ社製ナトミックタイプZ
養生剤ニ:硝酸リチウム(無水塩)、試薬1級
養生剤ホ:硝酸ナトリウム、試薬1級
養生剤ヘ:硝酸カルシウム(4水塩)、試薬1級
養生剤ト:ジエタノールアミン(純度98%)、試薬1級
養生剤チ:ギ酸、試薬1級
(2)起硬剤
水酸化カルシウム、市販品、300μm残分1%未満、100μm残分が5%
(3)急硬材
急硬材A:CaO−Al−SiO系非晶質物質と無水セッコウの等量混合物。CaO−Al−SiO系非晶質物質のCaO含有量は43%、Alは44%、SiOは10%、その他は3%。密度2.85g/cm、ブレーン比表面積5000cm/g、非晶質度90%。
(4)眠剤
試薬1級の炭酸カリウム75部と試薬1級のクエン酸25部の混合物
(5)その他
セメント:市販の普通ポルトランドセメント(デンカ社製 密度3.15g/cm
水:水道水
細骨材:天然川砂
粗骨材:砕石
<測定方法>
・圧縮強度(初期圧縮強度):JIS A 1108に準じて測定した。
Figure 2020044708
表1より、各種養生剤を塗布することにより良好な圧縮強度が発現することが分かった。
(実験例2)
養生剤イを使用し、表2に示すように流動パラフィンを併用したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<使用材料>
流動パラフィン:パラフィン系養生剤、マスターキュア(登録商標)106(BASFポゾリス(株)製)
Figure 2020044708
表2より、養生剤/流動パラフィン=10:90〜90:10であると圧縮強度が高くなることが分かった。
(実験例3)
表3に示すように結晶水の数の異なる硫酸アルミニウムを使用したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表3に示す。
<使用材料>
養生剤リ:無水硫酸アルミニウム、試薬1級
養生剤ヌ:硫酸アルミニウム18水塩、試薬1級
Figure 2020044708
表3より、硫酸アルミニウム8水塩であると圧縮強度が高くなることが分かった。
(実験例4)
養生剤イを使用し、表4に示すように養生剤を塗布するタイミングを変化させたこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
Figure 2020044708
表4より、養生剤を塗布するタイミングはコンクリートが硬化する前であると圧縮強度が高くなることが分かった。
(実験例5)
コンクリートの打設前に予め打設箇所に養生剤イを1m当たり200g塗布した。セメント380kg/m、急硬材Aを120kg/m、水/結合材比32%、s/a=42%、空気量2.0±1.5容量%の急硬コンクリートを調製した。この際、セメントと急硬材からなる結合材100部に対して、眠剤1を1.5部添加し、24時間以上、水和硬化しないようにした(A材)。急硬コンクリート調製120分後に起硬剤(B材)を結合材100部に対して3部添加し、養生剤を塗布した打設箇所に、このコンクリートを打設した。コンクリート打設直後に養生剤イをさらに1m当たり200g塗布した。養生剤塗布後から6時間後(練り上がりから8時間後)の圧縮強度を測定した。結果を下記表5に示す。
なお、s/aは、細骨材率で、コンクリート中の全骨材量に対する細骨材量の絶対容積比を百分率で表した値である。
Figure 2020044708
表5より、養生剤を打設後のコンクリート表面に塗布するだけでなく、養生剤を打設前の打設箇所及び打設後のコンクリート表面に塗布すると圧縮強度が高くなることが分かった。
(実験例6)
養生剤イを使用し、表6に示すように養生剤の塗布量を変化させたこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表6に示す。
Figure 2020044708
表6より、養生剤の塗布量は1mあたり50〜500gであると圧縮強度が高くなることが分かった。
本発明の養生剤を用いることにより、短時間で優れた強度発現性が得られるため、特に、土木建築分野で好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、カルシウムアルミネート、ジエタノールアミン、及びギ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含むコンクリート組成物用養生剤。
  2. さらに流動パラフィンを含有してなる請求項1に記載のコンクリート組成物用養生剤。
  3. 前記硫酸アルミニウムが、硫酸アルミニウム8水塩である請求項1又は2に記載のコンクリート組成物用養生剤。
  4. コンクリート組成物の養生に、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート組成物用養生剤を用いるコンクリート組成物の養生方法。
  5. 前記コンクリート組成物を打設し、その後、該コンクリート組成物が硬化する前に、その表面に前記コンクリート組成物用養生剤を塗布する請求項4に記載のコンクリート組成物の養生方法。
  6. 前記コンクリート組成物用養生剤を打設箇所に塗布してから、前記コンクリート組成物を打設し、その後、該コンクリート組成物が硬化する前に、その表面に養生剤を塗布する請求項4又は5に記載のコンクリート組成物の養生方法。
  7. 前記コンクリート組成物が生コン出荷型急硬コンクリートであることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のコンクリート組成物の養生方法。
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