JPWO2020031590A1 - 組成物、膜、赤外線透過フィルタ、構造体、光センサおよび画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、赤外線透過フィルタなどに用いられる組成物に関する。また、本発明はこの組成物を用いた膜、赤外線透過フィルタ、構造体、光センサおよび画像表示装置に関する。
赤外線は可視光に比べて波長が長いので散乱しにくく、距離計測や、3次元計測などにも活用可能である。また、赤外線は人間、動物などの目に見えないので、夜間に被写体を赤外線光源で照らしても被写体に気付かれることなく、夜行性の野生動物を撮影する用途、防犯用途として相手を刺激せずに撮影することにも使用可能である。このように、赤外線に感知する光センサは、様々な用途に展開が可能であり、このような光センサについて種々の検討がなされている。例えば、赤外線透過フィルタを用いて、光センサに赤外線を利用したセンシング機能を組み込む試みなどが検討されている。
赤外線透過フィルタに求められる分光特性としては、可視光の遮光性が高く、かつ、特定の波長領域の赤外線を選択的に透過できる分光特性を有することが望まれている。このような分光特性を有する膜を形成するための組成物についての検討がなされている。
例えば、ラクタム系顔料やペリレン系顔料などの有機黒色顔料を含む組成物を用いて、可視光の遮光性が高く、かつ、特定の波長領域の赤外線を選択的に透過できる分光特性を有する膜を形成する試みがなされている。
特許文献1には、着色剤、光重合開始剤および光重合性成分を含有する感光性着色組成物であって、着色剤としてラクタム系顔料、および、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有する感光性着色組成物に関する発明が記載されている。
特許文献2には、(A)ペリレン系黒色顔料と、ペリレン系黒色顔料以外の黒色着色剤とを含有する着色剤、(B)バインダー樹脂、及び(C)重合性化合物を含有する硬化性組成物に関する発明が記載されている。特許文献2では、ペリレン系黒色顔料以外の黒色着色剤としては、オキソベンゾフラニリデン−ジヒドロインドロン化合物などのラクタム系顔料が用いられている。
しかしながら、本発明者の検討によれば、ラクタム系顔料やペリレン系顔料を含む組成物は、製造ラインの配管チューブ内を汚染しやすい傾向にあることが分かった。また、本発明者が特許文献1、2に記載された組成物について検討したところ、これらの組成物でも配管チューブ内が汚染されやすいことが分かった。
よって、本発明の目的は、分光特性の良好な膜を形成でき、かつ、配管チューブ内の汚染を抑制できる組成物を提供することにある。また、前述の組成物を用いた膜、赤外線透過フィルタ、構造体、光センサおよび画像表示装置を提供することにある。
本発明者の検討によれば、以下の組成物を用いることで上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下を提供する。
<1> 波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもたない顔料Aと、分散剤と、重合性モノマーとを含み、
顔料Aは、ラクタム系顔料およびペリレン系顔料から選ばれる有機黒色顔料を含み、
顔料A中における有機黒色顔料の含有量が10質量%以上であり、
顔料Aの100質量部に対して分散剤を20〜80質量部含有し、
重合性モノマーは、4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマーを含む、組成物。
<2> 顔料Aは青色顔料を含む、<1>に記載の組成物。
<3> 青色顔料はフタロシアニン化合物である、<2>に記載の組成物。
<4> 青色顔料は、カラーインデックスピグメントブルー15:3、カラーインデックスピグメントブルー15:6およびカラーインデックスピグメントブルー16から選ばれる少なくとも1種である、<2>に記載の組成物。
<5> 顔料Aは黄色顔料を含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の組成物。
<6> 黄色顔料はイソインドリン化合物である、<5>に記載の組成物。
<7> 重合性モノマーの全量中における4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマーの含有量が20質量%以上である、<1>〜<6>のいずれかに記載の組成物。
<8> 更に光重合開始剤を含む、<1>〜<7>のいずれかに記載の組成物。
<9> 光重合開始剤の波長365nmにおけるモル吸光係数が5000L・mol-1・cm-1以上である、<8>に記載の組成物。
<10> 更にバインダー樹脂を含む、<1>〜<9>のいずれかに記載の組成物。
<11> 更に赤外線吸収剤を含む、<1>〜<10>のいずれかに記載の組成物。
<12> 上記組成物は、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが4.5以上である、<1>〜<11>のいずれかに記載の組成物。
<13> 上記組成物は、波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Amin1と、波長900〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax1との比であるAmin1/Bmax1が4.5以上である、<1>〜<11>のいずれかに記載の組成物。
<14> 赤外線透過フィルタ用の組成物である、<1>〜<13>のいずれかに記載の組成物。
<15> <1>〜<14>のいずれかに記載の組成物を用いて得られる膜。
<16> <1>〜<14>のいずれかに記載の組成物を用いて得られる赤外線透過フィルタ。
<17> 受光素子と、受光素子の受光面上に設けられた、カラーフィルタと赤外線カットフィルタとを含む積層体で構成された第1の画素と、受光素子の受光面上であって第1の画素が設けられた領域とは異なる位置に設けられた、<16>に記載の赤外線透過フィルタを含む第2の画素と、を有する構造体。
<18> <16>に記載の赤外線透過フィルタを含む光センサ。
<19> <16>に記載の赤外線透過フィルタを含む画像表示装置。
本発明によれば、分光特性の良好な膜を形成でき、かつ、配管チューブの汚染を抑制できる組成物を提供することができる。また、前述の組成物を用いた膜、赤外線透過フィルタ、構造体、光センサおよび画像表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、(メタ)アリルは、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定でのポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID(内径)×15.0cm)を用い、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
本明細書において、赤外線とは、波長700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
<組成物>
本発明の組成物は、
波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもたない顔料Aと、分散剤と、重合性モノマーとを含み、
顔料Aは、ラクタム系顔料およびペリレン系顔料から選ばれる有機黒色顔料を含み、
顔料A中における有機黒色顔料の含有量が10質量%以上であり、
顔料Aの100質量部に対して分散剤を20〜80質量部含有し、
重合性モノマーは、4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマーを含むことを特徴とする。
本発明の組成物は、上記顔料Aの100質量部に対して分散剤を20〜80質量部含有するので、上記顔料A中に上記有機黒色顔料が多く含まれていても、配管チューブと上記有機黒色顔料との相互作用を抑制でき、配管チューブの内壁に上記有機黒色顔料が付着することが抑制できると推測される。また、この組成物は、4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマー(以下、重合性モノマーAともいう)を含む。この重合性モノマーAは、アルキレンオキシ基を有するので親水性が比較的高いモノマーである。配管チューブの内壁は、疎水性が高い傾向にあるため、配管チューブと重合性モノマーAとの相互作用が低くなり、配管チューブの内壁に重合性モノマーAが吸着されにくいと推測される。さらには、この重合性モノマーAは、4官能以下であるため、反応性が比較的低く、そのため、配管チューブ内での重合性モノマーの暗反応が生じにくいと推測される。このため、本発明の組成物は、ラクタム系顔料およびペリレン系顔料から選ばれる有機黒色顔料を、顔料A中に10質量%以上含有しているにもかかわらず、配管チューブ内の汚染の発生を効果的に抑制することができる。そして、この組成物は、顔料A中における有機黒色顔料の含有量が10質量%以上であり、かつ、顔料Aの100質量部に対して分散剤を20〜80質量部含有するので、分光特性に優れた膜を形成することができる。
また、この組成物は、有機黒色顔料を大量に含有させても配管チューブ内の汚染を抑制することができる。このため、本発明の組成物を用いることで分光特性の良好な膜を形成でき、例えば、赤外線透過フィルタなどに適した分光特性を有する膜を形成することができる。
本発明の組成物は、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが4.5以上であることが好ましく、7.5以上であることがより好ましく、15以上であることが更に好ましく、20以上であることが特に好ましい。このような分光特性を有する組成物を用いることで、赤外線透過フィルタなどに適した分光特性を有する膜を形成することができる。
ある波長λにおける吸光度Aλは、以下の式(A1)により定義される。
Aλ=−log(Tλ/100) ・・・(A1)
Aλは、波長λにおける吸光度であり、Tλは、波長λにおける透過率(%)である。
本発明において、吸光度の値は、溶液の状態で測定した値であってもよく、組成物を用いて製膜した膜の値であってもよい。膜の状態で吸光度を測定する場合は、ガラス基板上にスピンコート等の方法によって組成物を塗布し、ホットプレート等を用いて100℃、120秒間乾燥して得られた膜を用いて測定することが好ましい。
また、本発明の組成物は、以下の(1)〜(3)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。なかでも、(1)の分光特性を満たしている組成物の場合、組成物の全固形分中における有機黒色顔料の含有量が相対的に多くなる傾向にあるので、本発明の効果がより顕著に得られる。
(1):波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Amin1と、波長900〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax1との比であるAmin1/Bmax1が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
(2):波長400〜830nmの範囲における吸光度の最小値Amin2と、波長1000〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax2との比であるAmin2/Bmax2が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜830nmの範囲の光を遮光して、波長940nmを超える赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
(3):波長400〜950nmの範囲における吸光度の最小値Amin3と、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax3との比であるAmin3/Bmax3が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nmを超える赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
本発明の組成物は、乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μmまたは20μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上である分光特性を満たしていることが好ましい。波長400〜640nmの範囲における最大値は、15%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。波長1100〜1300nmの範囲における最小値は、75%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
また、本発明の組成物は、以下の(11)〜(13)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。なかでも、(11)の分光特性を満たしている組成物の場合、組成物の全固形分中における有機黒色顔料の含有量が相対的に多くなる傾向にあるので、本発明の効果がより顕著に得られる。
(11):乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μmまたは20μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長900〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
(12):乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μmまたは20μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜830nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1000〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
(13):乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μmまたは20μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
本発明の組成物は、赤外線透過フィルタ用の組成物として好ましく用いることができる。以下に、本発明の組成物を構成し得る各成分について説明する。
<<波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもたない顔料(顔料A)>>
本発明の組成物は、波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもたない顔料(以下Aともいう)を含有する。
本発明の組成物においては、顔料Aとして、ラクタム系顔料およびペリレン系顔料から選ばれる有機黒色顔料を含むものが用いられる。
上記式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して置換基を表し、aおよびbはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、aが2以上の場合、複数のR3は、同一であってもよく、異なってもよく、複数のR3は結合して環を形成していてもよく、bが2以上の場合、複数のR4は、同一であってもよく、異なってもよく、複数のR4は結合して環を形成していてもよい。
R1〜R4が表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−OR301、−COR302、−COOR303、−OCOR304、−NR305R306、−NHCOR307、−CONR308R309、−NHCONR310R311、−NHCOOR312、−SR313、−SO2R314、−SO2OR315、−NHSO2R316または−SO2NR317R318を表し、R301〜R318は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
式(BF−1)〜(BF−3)の詳細については、特表2010−534726号公報の段落番号0014〜0037の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。ラクタム系顔料の具体例としては下記構造の化合物、特表2010−534726号公報に記載の化合物、特表2012−515233号公報、特表2012−515234号公報、国際公開WO2014/208348号公報に記載の化合物、特表2015−525260号公報に記載の化合物などが挙げられる。ラクタム系顔料の市販品としては、BASF社製の「Irgaphor Black S 0100 CF」などが挙げられる。
式中RP1およびRP2は、それぞれ独立して、フェニレン、ナフチレンまたはピリジレンを表す。
RP1およびRP2が表すフェニレン、ナフチレンおよびピリジレンは、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−ORP101、−CORP102、−COORP103、−OCORP104、−NRP105RP106、−NHCORP107、−CONRP108RP109、−NHCONRP110RP111、−NHCOORP112、−SRP113、−SO2RP114、−SO2ORP115、−NHSO2RP116および−SO2NRP117RP118が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基およびハロゲン原子が好ましい。RP101〜RP118は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。これらの基は、さらに置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよい。更なる置換基としては、上述した基が挙げられる。
RP11〜RP18は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を表す。RP11〜RP18が表す置換基としては、上述した置換基が挙げられ、ハロゲン原子であることが好ましい。ハロゲン原子としては、F、Cl、Brが好ましい。
RP21およびRP22は、それぞれ独立して、置換基を表す。RP21およびRP22が表す置換基としては、上述した置換基が挙げられ、アラルキル基であることが好ましい。アラルキル基はさらに上述した置換基を有していてもよい。
本発明の組成物に用いられる顔料Aは、上述した有機黒色顔料のみであってもよく、有彩色顔料を更に含むものであってもよい。この態様によれば、可視領域の遮光性の高い膜を形成できる組成物が得られやすい。顔料Aとして有機黒色顔料と有彩色顔料とを併用する場合、両者の質量比は、有機黒色顔料:有彩色顔料=100:10〜300であることが好ましく、100:20〜200であることがより好ましい。
有彩色顔料としては、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、紫色顔料およびオレンジ色顔料が挙げられる。また、有彩色顔料としては、無機顔料または有機‐無機顔料に、有機発色団を置換した材料を用いることもできる。無機顔料や有機‐無機顔料を有機発色団で置換することで、色相設計をしやすくできる。顔料Aには、赤色顔料、青色顔料および黄色顔料から選ばれる少なくとも1種を含むものが好ましく用いられ、青色顔料および黄色顔料から選ばれる少なくとも1種を含むものがより好ましく用いられ、青色顔料を含むものが更に好ましく用いられる。この態様によれば、可視領域の遮光性に優れた膜を形成しやすい。また、青色顔料を用いることで、耐光性に優れた膜を形成できる。また、黄色顔料を用いることで、得られる膜の可視透過率の均一化を図ることができる。
青色顔料は、耐光性に優れた膜を形成しやすいという理由からフタロシアニン化合物であることが好ましい。また、青色顔料は、カラーインデックス(C.I.)ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン/ポリメチン系)が挙げられ、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントブルー16から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6であることがより好ましい。
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。このような化合物としては、配位子がリン酸エステルであるアルミニウムフタロシアニン化合物などが挙げられる。リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物の具体例としては、特開2012−247591号公報の段落0022〜0030、特開2011−157478号公報の段落0047に記載の化合物が挙げられる。
黄色顔料としては、アゾ化合物、キノフタロン化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物、アントラキノン化合物等が挙げられ、イソインドリン化合物であることが好ましい。また、黄色顔料は、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,231,232(メチン/ポリメチン系)等が挙げられる。
また、黄色顔料として、特開2017−201003号公報に記載されている顔料、特開2017−197719号公報に記載されている顔料を用いることができる。また、黄色顔料として、下記式(I)で表されるアゾ化合物およびその互変異性構造のアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種のアニオンと、2種以上の金属イオンと、メラミン化合物とを含む金属アゾ顔料を用いることもできる。
式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、−OHまたは−NR5R6であり、R3およびR4はそれぞれ独立して、=Oまたは=NR7であり、R5〜R7はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。R5〜R7が表すアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれであってもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基およびアミノ基が好ましい。
上記の金属アゾ顔料については、特開2017−171912号公報の段落番号0011〜0062、0137〜0276、特開2017−171913号公報の段落番号0010〜0062、0138〜0295、特開2017−171914号公報の段落番号0011〜0062、0139〜0190、特開2017−171915号公報の段落番号0010〜0065、0142〜0222の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
赤色顔料としては、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、アゾ化合物、キナクリドン化合物などが挙げられ、ジケトピロロピロール化合物が好ましい。また、赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red)等が挙げられる。
また、赤色顔料として、特開2017−201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール系顔料、特許第6248838号の段落番号0016〜0022に記載のジケトピロロピロール系顔料などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。
オレンジ色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等が挙げられる。紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリルメタン系),61(キサンテン系)等が挙げられる。緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7,10,36,37,58,59,62,63等が挙げられる。また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10〜14個であり、臭素原子が平均8〜12個であり、塩素原子が平均2〜5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/118720号公報に記載の化合物が挙げられる。
有機黒色顔料と有彩色顔料の好ましい組み合わせとしては、例えば以下が挙げられる。
(A−1)有機黒色顔料と青色顔料とを含有する態様。
(A−2)有機黒色顔料と青色顔料と黄色顔料とを含有する態様。
(A−3)有機黒色顔料と青色顔料と黄色顔料と赤色顔料とを含有する態様。
(A−4)有機黒色顔料と青色顔料と黄色顔料と紫色顔料とを含有する態様。
上記(A−1)の態様において、有機黒色顔料と青色顔料との質量比は、有機黒色顔料:青色顔料=100:1〜70であることが好ましく、100:5〜60であることがより好ましく、100:10〜50であることが更に好ましい。
上記(A−2)の態様において、有機黒色顔料と青色顔料と黄色顔料の質量比は、有機黒色顔料:青色顔料:黄色顔料=100:10〜90:10〜90であることが好ましく、100:15〜85:15〜80であることがより好ましく、100:20〜80:20〜70であることが更に好ましい。
上記(A−3)の態様において、有機黒色顔料と青色顔料と黄色顔料と赤色顔料との質量比は、有機黒色顔料:青色顔料:黄色顔料:赤色顔料=100:20〜150:1〜60:10〜100であることが好ましく、100:30〜130:5〜50:20〜90であることがより好ましく、100:40〜120:10〜40:30〜80であることが更に好ましい。
上記(A−4)の態様において、有機黒色顔料と青色顔料と黄色顔料と紫色顔料との質量比は、有機黒色顔料:青色顔料:黄色顔料:紫色顔料=100:20〜150:1〜60:10〜100であることが好ましく、100:30〜130:5〜50:20〜90であることがより好ましく、100:40〜120:10〜40:30〜80であることが更に好ましい。
本発明の組成物に用いられる顔料Aは、波長700nmを超え800nm以下の範囲に極大吸収波長を有する顔料を用いることもできる。このような顔料は近赤外線吸収顔料として用いられる。顔料Aとしてこのような分光特性を有する顔料を含むものを用いることで、得られる膜について透過させる光の波長をより長波長側にシフトさせることができる。波長700nmを超え800nm以下の範囲に極大吸収波長を有する顔料は、波長500nmにおける吸光度A1と極大吸収波長における吸光度A2との比率A1/A2が、0.08以下であるものが好ましく、0.04以下であるものがより好ましい。
波長700nmを超え800nm以下の範囲に極大吸収波長を有する顔料としては、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、イミニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物等が挙げられる。
顔料Aの含有量は、本発明の組成物の全固形分中10〜60質量%であることが好ましい。下限は、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。
また、顔料A中における上述した有機黒色顔料の含有量は10質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることがより一層好ましく、60質量%以上であることが更に一層好ましい。従来の組成物は、有機黒色顔料の含有量が多くなるに伴い配管チューブ内の汚染が生じやすい傾向にあったが、本発明の組成物は、有機黒色顔料の含有量を高めても配管チューブ内の汚染を生じにくくできるので、有機黒色顔料の含有量が多いほど本発明の効果が顕著に奏される。
また、顔料A中における有機黒色顔料としてのラクタム系顔料の含有量は10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることがより一層好ましく、40質量%以上であることが更に一層好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。
また、上述した有機黒色顔料の含有量は、本発明の組成物の全固形分中5〜70質量%であることが好ましい。下限は、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。上限は65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
<<赤外線吸収剤>>
本発明の組成物は、更に赤外線吸収剤を含有することができる。赤外線吸収剤を含有させることで得られる膜について透過させる光の波長をより長波長側にシフトさせることができる。本発明で用いられる赤外線吸収剤は、極大吸収波長を波長800nmよりも長波長側に有する化合物である。赤外線吸収剤の極大吸収波長は波長800nmを超え1800nm以下の範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。また、赤外線吸収剤は、波長500nmにおける吸光度A1と極大吸収波長における吸光度A2との比率A1/A2が、0.08以下であることが好ましく、0.04以下であることがより好ましい。
赤外線吸収剤としては、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、イミニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物、金属酸化物、金属ホウ化物等が挙げられる。ピロロピロール化合物としては、特開2009−263614号公報の段落番号0016〜0058に記載の化合物、特開2011−68731号公報の段落番号0037〜0052に記載の化合物、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0033に記載の化合物などが挙げられる。スクアリリウム化合物としては、特開2011−208101号公報の段落番号0044〜0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060〜0061に記載の化合物、国際公開WO2016/181987号公報の段落番号0040に記載の化合物、特開2015−176046号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0072に記載の化合物、特開2016−74649号公報の段落番号0196〜0228に記載の化合物、特開2017−67963号公報の段落番号0124に記載の化合物、国際公開WO2017/135359号公報に記載の化合物、特開2017−114956号公報に記載の化合物、特許6197940号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/120166号公報に記載の化合物などが挙げられる。シアニン化合物としては、特開2009−108267号公報の段落番号0044〜0045に記載の化合物、特開2002−194040号公報の段落番号0026〜0030に記載の化合物、特開2015−172004号公報に記載の化合物、特開2015−172102号公報に記載の化合物、特開2008−88426号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0090に記載の化合物などが挙げられる。クロコニウム化合物としては、特開2017−82029号公報に記載の化合物が挙げられる。イミニウム化合物としては、例えば、特表2008−528706号公報に記載の化合物、特開2012−012399号公報に記載の化合物、特開2007−92060号公報に記載の化合物、国際公開WO2018/043564号公報の段落番号0048〜0063に記載の化合物が挙げられる。フタロシアニン化合物としては、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006−343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013−195480号公報の段落番号0013〜0029に記載の化合物が挙げられる。ナフタロシアニン化合物としては、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、酸化亜鉛、Alドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ二酸化スズ、ニオブドープ二酸化チタン、酸化タングステンなどが挙げられる。酸化タングステンの詳細については、特開2016−006476号公報の段落番号0080を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。金属ホウ化物としては、ホウ化ランタンなどが挙げられる。ホウ化ランタンの市販品としては、LaB6−F(日本新金属(株)製)などが挙げられる。また、金属ホウ化物としては、国際公開WO2017/119394号公報に記載の化合物を用いることもできる。酸化インジウムスズの市販品としては、F−ITO(DOWAハイテック(株)製)などが挙げられる。
赤外線吸収剤としては、また、特開2017−197437号公報に記載のスクアリリウム化合物、国際公開WO2017/213047号公報の段落番号0090〜0107に記載のスクアリリウム化合物、特開2018−054760号公報の段落番号0019〜0075に記載のピロール環含有化合物、特開2018−040955号公報の段落番号0078〜0082に記載のピロール環含有化合物、特開2018−002773号公報の段落番号0043〜0069に記載のピロール環含有化合物、特開2018−041047号公報の段落番号0024〜0086に記載のアミドα位に芳香環を有するスクアリリウム化合物、特開2017−179131号公報に記載のアミド連結型スクアリリウム化合物、特開2017−141215号公報に記載のピロールビス型スクアリリウム骨格又はクロコニウム骨格を有する化合物、特開2017−082029号公報に記載されたジヒドロカルバゾールビス型のスクアリリウム化合物、特開2017−068120号公報の段落番号0027〜0114に記載の非対称型の化合物、特開2017−067963号公報に記載されたピロール環含有化合物(カルバゾール型)、特許第6251530号公報に記載されたフタロシアニン化合物などを用いることもできる。
赤外線吸収剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分中50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。下限は1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。
顔料Aと赤外線吸収剤との合計の含有量は、本発明の組成物の全固形分中10〜70質量%であることが好ましい。下限は20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。上限は65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。また、顔料Aと赤外線吸収剤との合計量中における、顔料Aの含有量は、30〜95質量%であることが好ましい。上限は、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。下限は、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
また、本発明の組成物は、赤外線吸収剤を実質的に含有しないことも好ましい。本発明の組成物が赤外線吸収剤を実質的に含有しない場合とは、本発明の組成物の全固形分中の赤外線吸収剤の含有量が0.1質量%以下であることを意味し、0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが更に好ましい。
<<分散剤>>
本発明の組成物は分散剤を含有する。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40〜105mgKOH/gが好ましく、50〜105mgKOH/gがより好ましく、60〜105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。塩基性分散剤のアミン価は10〜40mgKOH/gであることが好ましい。
分散剤は、立体反発基を有する樹脂であることも好ましい。立体反発基を有する樹脂としては、グラフト共重合体などが挙げられる。グラフト共重合体は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。グラフト共重合体の詳細は、特開2012−255128号公報の段落番号0025〜0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、グラフト共重合体としては特開2012−255128号公報の段落番号0072〜0094に記載の樹脂などが挙げられる。
分散剤は、オリゴイミン構造を有する樹脂(オリゴイミン系共重合体)であることも好ましい。オリゴイミン系共重合体としては、繰り返し単位の主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含む樹脂が挙げられる。オリゴイミン系共重合体については、特開2012−255128号公報の段落番号0102〜0174の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、分散剤には、アミノ基およびポリエーテル構造を含有する樹脂を用いることも好ましい。ポリエーテル構造としては、ポリオキシエチレン構造、ポリオキシプロピレン構造などが挙げられる。アミノ基としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミンなどが挙げられる。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアリルアミン系樹脂などが挙げられる。上記分散剤のアミン価は、10〜40mgKOH/gであることが好ましい。
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製のDisperbykシリーズ(例えば、Disperbyk−111など)、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパースシリーズ(例えば、ソルスパース76500など)、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパーシリーズ等が挙げられる。また、特開2014−130338号公報の段落番号0041〜0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の組成物において、分散剤の含有量は、顔料Aの100質量部に対して20〜80質量部である。上限は70質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましい。下限は、23質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましい。
また、本発明の組成物が、更に顔料A以外の顔料を含む場合、分散剤の含有量は、組成物に含まれる顔料の合計(顔料Aとそれ以外の顔料の合計)100質量部に対して20〜80質量部であることが好ましい。上限は70質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましい。下限は、23質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましい。
<<バインダー樹脂>>
本発明の組成物は、更にバインダー樹脂を含有することができる。バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000〜2000000が好ましい。上限は、1000000以下がより好ましく、500000以下が更に好ましい。下限は、3000以上がより好ましく、5000以上が更に好ましい。
バインダー樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。環状オレフィン樹脂としては、耐熱性向上の観点からノルボルネン樹脂が好ましく用いることができる。ノルボルネン樹脂の市販品としては、例えば、JSR(株)製のARTONシリーズ(例えば、ARTON F4520)などが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。また、マープルーフG−0150M、G−0105SA、G−0130SP、G−0250SP、G−1005S、G−1005SA、G−1010S、G−2050M、G−01100、G−01758(日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)などを用いることもできる。また、バインダー樹脂は、国際公開WO2016/088645号公報の実施例に記載された樹脂、特開2017−57265号公報に記載された樹脂、特開2017−32685号公報に記載された樹脂、特開2017−075248号公報に記載された樹脂、特開2017−066240号公報に記載された樹脂を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、フルオレン骨格を有する樹脂を好ましく用いることもできる。フルオレン骨格を有する樹脂については、米国特許出願公開第2017/0102610号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
バインダー樹脂は立体反発基を有さない樹脂であることも好ましい。また、バインダー樹脂はグラフト鎖を有さない樹脂であることも好ましい。また、パインダー樹脂はオリゴイミン構造を有さない樹脂であることも好ましい。
本発明で用いるバインダー樹脂は、酸基を有していてもよい。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが例示される。酸基を有する樹脂はアルカリ可溶性樹脂として用いることもできる。
酸基を有する樹脂は、側鎖にカルボキシル基を有する繰り返し単位を含むポリマーであることも好ましい。また、酸基を有する樹脂は、更に重合性基を有する樹脂であることも好ましい。重合性基としては、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。市販品としては、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(カルボキシル基含有ポリウレタンアクリレートオリゴマー、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)、アクリキュアーRD−F8((株)日本触媒製)などが挙げられる。
酸基を有する樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むポリマーであることも好ましい。
エーテルダイマーの具体例としては、特開2013−29760号公報の段落番号0317に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
酸基を有する樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
式(X)において、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは1〜15の整数を表す。
酸基を有する樹脂については、特開2012−208494号公報の段落番号0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685〜0700)の記載、特開2012−198408号公報の段落番号0076〜0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。例えば、アクリベースFF−426(藤倉化成(株)製)などが挙げられる。
酸基を有する樹脂の酸価は、30〜500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましく、150mgKOH/g以下が更により好ましく、120mgKOH/g以下が特に好ましい。
本発明の組成物がバインダー樹脂を含有する場合、バインダー樹脂の含有量は組成物の全固形分中0.5〜30質量%が好ましい。下限は1.0質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることが更に好ましく、2.0質量%以上であることが更により好ましい。上限は25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましく、15質量%以下であることが更により好ましい。本発明の組成物は、バインダー樹脂を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の組成物に含まれるバインダー樹脂は、酸基を有する樹脂の含有量が80〜100質量%であることが好ましい。下限は90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、99質量%以上であることが更により好ましい。
<<重合性モノマー>>
本発明の組成物は重合性モノマーを含有する。重合性モノマーとしては、ラジカルの作用により重合可能な化合物が好ましい。すなわち、重合性モノマーは、ラジカル重合性モノマーであることが好ましい。重合性モノマーは、エチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、スチレン基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。重合性モノマーは、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、多官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
重合性モノマーの分子量は100〜3000であることが好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
本発明に用いられる重合性モノマーは、4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマー(以下、重合性モノマーAともいう)を含む。
本発明に用いられる重合性モノマーの全量中における重合性モノマーAの含有量は20〜100質量%であることが好ましい。下限は、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが更により好ましい。
重合性モノマーAの含有量が20質量%以上であれば、本発明の効果がより顕著に発揮される。
重合性モノマーAは、3官能または4官能の重合性モノマーであることが好ましく、3官能の重合性モノマーであることがより好ましい。また、重合性モノマーAは、エチレン性不飽和結合基を3個または4個有する化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合基を3個有する化合物であることがより好ましい。
重合性モノマーAの重合性基価は、5.0〜10.7mmol/gであることが好ましい。下限は、5.5mmol/g以上であることがより好ましく、6.0mmol/g以上であることが更に好ましく、6.5mmol/g以上であることが更により好ましい。上限は10.0mmol/g以下であることがより好ましい。重合性モノマーAの重合性基価は、重合性モノマーAの1分子中に含まれる重合性基の数を重合性モノマーAの分子量で割ることで算出される値である。
また、重合性モノマーAのC=C価は、5.0〜10.7mmol/gであることが好ましい。下限は、5.5mmol/g以上であることがより好ましく、6.0mmol/g以上であることが更に好ましく、6.5mmol/g以上であることが更により好ましい。上限は10.0mmol/g以下であることがより好ましい。重合性モノマーAのC=C価は、重合性モノマーAの1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数を重合性モノマーAの分子量で割ることで算出される値である。
重合性モノマーAは、アルキレンオキシ基を2個以上有する化合物であることが好ましく、2〜20個有する化合物であることがより好ましい。下限は、3個以上がより好ましい。上限は、10個以下がより好ましく、6個以下が更に好ましい。重合性モノマーAは、アルキレンオキシ基を2〜6個有する化合物であることがより好ましく、アルキレンオキシ基を3〜6個有する化合物であることが更に好ましい。また、アルキレンオキシ基の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましく、2または3が特に好ましく、2が最も好ましい。
式(A−1)中、A1〜A3は、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し、L1〜L3は、それぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、R1〜R3は、それぞれ独立してアルキレン基を表し、m1〜m3は、それぞれ独立して0〜10の整数を表し、L10は3価の連結基を表し、m1とm2とm3の合計は1以上である。
式(A−2)中、A4〜A7は、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し、L4〜L7は、それぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、R4〜R7は、それぞれ独立してアルキレン基を表し、m4〜m7は、それぞれ独立して0〜10の整数を表し、L20は4価の連結基を表し、m4とm5とm6とm7の合計は1以上である。
A1〜A7が表すエチレン性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基が挙げられる。
L1〜L7が表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜10が更に好ましい。
R1〜R7が表すアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましく、2または3が特に好ましく、2が最も好ましい。アルキレン基は、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキレン基の具体例は、エチレン基、直鎖または分岐のプロピレン基などが挙げられ、エチレン基が好ましい。
m1〜m3は、それぞれ独立して0〜10を表し、0〜7が好ましく、0〜5がより好ましく、0〜3が更に好ましい。また、m1とm2とm3の合計は1以上であり、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。上限は、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましい。また、m1とm2とm3の合計は、2〜6であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。
m4〜m7は、それぞれ独立して0〜10の整数を表し、0〜5が好ましく、0〜7がより好ましく、0〜3が更に好ましい。また、m4とm5とm6とm7の合計は1以上であり、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、4以上であることが更に好ましい。上限は、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましい。また、m4とm5とm6とm7の合計は、2〜6であることが好ましく、3〜6であることがより好ましく、4〜6であることが更に好ましい。
L10が表す3価の連結基、および、L20が表す4価の連結基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基およびこれらの組み合わせからなる基、ならびに、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基および複素環基から選ばれる少なくとも1種と、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−および−NH−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、分岐が好ましい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜10が更に好ましい。複素環基は、非芳香族の複素環基であってもよく、芳香族複素環基であってもよい。複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基を構成するヘテロ原子の種類は窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。複素環基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基は、置換基を有していてもよい。
式(A−1−1)中、R11〜R13は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R1〜R3は、それぞれ独立してアルキレン基を表し、m1〜m3は、それぞれ独立して0〜10の整数を表し、L10は3価の連結基を表し、m1とm2とm3の合計は1以上である。式(A−1−1)のR1〜R3、L10、m1〜m3は、式(A−1)のR1〜R3、L10、m1〜m3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A−2−1)中、R14〜R17は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R4〜R7は、それぞれ独立してアルキレン基を表し、m4〜m7は、それぞれ独立して0〜10の整数を表し、L20は4価の連結基を表し、m4とm5とm6とm7の合計は1以上である。式(A−2−1)のR4〜R7、L20、m4〜m7は、式(A−2)のR4〜R7、L20、m4〜m7と同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明において、重合性モノマーAは、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。また、重合性モノマーAを2種以上併用する場合、アルキレンオキシ基の数の異なる化合物を併用することが好ましい。アルキレンオキシ基の数の異なる化合物を2種以上併用した場合、より微細なパターンを密着性良く形成することができる。
重合性モノマーAの市販品としては、SR−454(サートマー社製)、TMPEOTA(ダイセル・オルネクス(株)製)などが挙げられる。
本発明の組成物は、重合性モノマーとして、上述した重合性モノマーA以外の重合性モノマー(以下、重合性モノマーBともいう)を含有してもよい。重合性モノマーBとしては、5官能以上の重合性モノマー、アルキレンオキシ基を有さない重合性モノマーなどが挙げられる。重合性モノマーBは、エチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和基を3〜10個有する化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和基を3〜6個有する化合物であることが更に好ましい。重合性モノマーBは、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜10官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることが更に好ましい。重合性モノマーBについては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜0108、特開2013−29760号公報の段落番号0227、特開2008−292970号公報の段落番号0254〜0257の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合性モノマーBは、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D−330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D−320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D−310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA−DPH−12E;新中村化学工業(株)製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP−1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO−2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA−7200(新中村化学工業(株)製)、8UH−1006、8UH−1012(大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB−A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
重合性モノマーBは、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。市販品としては、オグソールEA−0200、EA−0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。重合性モノマーBは、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA−12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。重合性モノマーBは、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600、LINC−202UA(共栄社化学(株)製)、8UH−1006、8UH−1012(以上、大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB−A0(共栄社化学(株)製)などを用いることも好ましい。
重合性モノマーの含有量は、本発明の組成物の全固形分中0.1〜50質量%が好ましい。下限は、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、5質量%以上が更により好ましく、7質量%以上がより一層好ましく、10質量%以上が特に好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が更により好ましい。また、重合性モノマーAの含有量は本発明の組成物の全固形分中0.1〜50質量%が好ましい。下限は、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、5質量%以上が更により好ましく、7質量%以上がより一層好ましく、10質量%以上が特に好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が更により好ましい。
<<光重合開始剤>>
本発明の組成物は、光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3−アリール置換クマリン化合物が好ましく、オキシム化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物がより好ましく、オキシム化合物が更に好ましい。光重合開始剤については、特開2014−130173号公報の段落0065〜0111、特許第6301489号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
α−ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959、IRGACURE−127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α−アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE−907、IRGACURE−369、IRGACURE−379、及び、IRGACURE−379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE−819、DAROCUR−TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
オキシム化合物としては、特開2001−233842号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653−1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156−162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202−232)に記載の化合物、特開2000−66385号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、特表2004−534797号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物、特開2017−19766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開WO2015/152153号公報に記載の化合物、国際公開WO2017/051680号公報に記載の化合物、特開2017−198865号公報に記載の化合物、国際公開WO2017/164127号公報の段落番号0025〜0038に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3−ベンゾイルオキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。市販品としては、IRGACURE−OXE01、IRGACURE−OXE02、IRGACURE−OXE03、IRGACURE−OXE04(以上、BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN−1919((株)ADEKA製、特開2012−14052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI−730、NCI−831、NCI−930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
本発明において、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014−137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載の化合物、特表2014−500852号公報に記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報に記載の化合物(C−3)などが挙げられる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落番号0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落番号0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007〜0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)が挙げられる。
本発明において、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/036910号公報に記載されるOE−01〜OE−75が挙げられる。
本発明は、光重合開始剤として、2官能あるいは3官能以上の光重合開始剤を用いてもよい。このような光重合開始剤を用いることにより、光重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルなどの活性種が発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光重合開始剤の具体例としては、特表2010−527339号公報、特表2011−524436号公報、国際公開WO2015/004565号公報、特表2016−532675号公報の段落番号0407〜0412、国際公開WO2017/033680号公報の段落番号0039〜0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013−522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開WO2016/034963号公報に記載されているCmpd1〜7、特表2017−523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017−167399号公報の段落番号0020〜0033に記載されている光開始剤、特開2017−151342号公報の段落番号0017〜0026に記載されている光重合開始剤(A)などが挙げられる。
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
光重合開始剤は、波長365nmにおけるモル吸光係数が2000L・mol-1・cm-1以上の化合物であることが好ましく、前述のモル吸光係数が5000L・mol-1・cm-1以上の化合物であることがより好ましく、前述のモル吸光係数が7000L・mol-1・cm-1以上の化合物であることが更に好ましく、前述のモル吸光係数が10000L・mol-1・cm-1以上の化合物であることが特に好ましい。
なお、本発明において、光重合開始剤の波長365nmにおけるモル吸光係数は、光重合開始剤を溶剤に溶解させて、光重合開始剤の5mol%溶液(測定溶液)を調製し、前述の測定溶液の吸光度を測定することで算出される。具体的には、前述の測定溶液を幅1cmのガラスセルに入れ、Agilent Technologies社製UV−Vis−NIRスペクトルメーター(Cary5000)を用いて吸光度を測定し、下記式に当てはめて、波長365nmにおけるモル吸光係数(L・mol-1・cm-1)を算出される。
上記式においてεはモル吸光係数(L・mol-1・cm-1)、Aは吸光度、cは測定溶液の濃度(mol/L)、lは光路長(cm)を表す。
光重合開始剤のモル吸光係数の測定において、測定溶液の調製に用いる溶剤としては、アセトニトリル、クロロホルムが挙げられる。光重合開始剤がアセトニトリルに溶解する化合物である場合は、アセトニトリルを用いて測定溶液を調製する。光重合開始剤がアセトニトリルに溶解しないが、クロロホルムに溶解する化合物である場合は、クロロホルムを用いて測定溶液を調製する。また、光重合開始剤がアセトニトリルおよびクロロホルムに溶解しないが、ジメチルスルホキシドに溶解する化合物である場合は、ジメチルスルホキシドを用いて測定溶液を調製する。
波長365nmにおけるモル吸光係数が5000L・mol-1・cm-1以上の光重合開始剤の好ましい例として、フッ素原子を有するオキシム化合物、ニトロ基を有するオキシム化合物、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物などが挙げられる。具体例としては、上記オキシム化合物の具体例に挙げた(C−13)、(C−15)、(C−16)の化合物、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)などが挙げられる。
光重合開始剤は、オキシム化合物とα−アミノケトン化合物とを含むことも好ましい。両者を併用することで、現像性が向上し、矩形性に優れたパターンを形成しやすい。オキシム化合物とα−アミノケトン化合物とを併用する場合、オキシム化合物100質量部に対して、α−アミノケトン化合物が50〜600質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
本発明の組成物が光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分中0.1〜20質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。上限は、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。本発明の組成物は、光重合開始剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。光重合開始剤を2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<エポキシ化合物>>
本発明の組成物は、エポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)を含有することができる。エポキシ化合物は、エポキシ基を1分子に1〜100個有する化合物であることが好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。下限は、2個以上がより好ましい。エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)でもよい。エポキシ化合物の重量平均分子量は、2000〜100000が好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下がより好ましく、5000以下が更に好ましく、3000以下が更により好ましい。エポキシ化合物の市販品としては、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N−695(DIC(株)製)、アデカグリシロール ED−505((株)ADEKA製、エポキシ基含有モノマー)などが挙げられる。また、エポキシ化合物としては、特開2013−011869号公報の段落番号0034〜0036、特開2014−043556号公報の段落番号0147〜0156、特開2014−089408号公報の段落番号0085〜0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。本発明の組成物がエポキシ化合物を含有する場合、エポキシ化合物の含有量は、本発明の組成物の全固形分中0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。本発明の組成物は、エポキシ化合物を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。エポキシ化合物を2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<顔料誘導体>>>
本発明の組成物は、更に顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、色素骨格に、酸基および塩基性基から選ばれる少なくとも1種の基が結合した化合物が挙げられる。顔料誘導体の具体例としては、特開昭56−118462号公報、特開昭63−264674号公報、特開平1−217077号公報、特開平3−9961号公報、特開平3−26767号公報、特開平3−153780号公報、特開平3−45662号公報、特開平4−285669号公報、特開平6−145546号公報、特開平6−212088号公報、特開平6−240158号公報、特開平10−30063号公報、特開平10−195326号公報、国際公開WO2011/024896号公報の段落番号0086〜0098、国際公開WO2012/102399号公報の段落番号0063〜0094等に記載の化合物が挙げられる。本発明の組成物が顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し1〜50質量部が好ましい。下限値は、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましい。上限値は、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましい。顔料誘導体は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<界面活性剤>>
本発明の組成物は界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができ、より優れた耐光性を有する膜を形成し易いという理由からフッ素系界面活性剤であることが好ましい。更には、フッ素系界面活性剤を用いることで塗布性に優れた組成物とすることもできる。界面活性剤については、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0258〜0265を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率としては、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、7〜25質量%が更に好ましい。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤であれば、本発明の効果がより顕著に得られる。
フッ素系界面活性剤としては、特開2014−41318号公報の段落番号0060〜0064(対応する国際公開2014/17669号公報の段落番号0060〜0064)等に記載の界面活性剤、特開2011−132503号公報の段落番号0117〜0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造で、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS−21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016−216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011−89090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報の段落番号0050〜0090および段落番号0289〜0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、RS−72−K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落番号0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。
界面活性剤の含有量は、本発明の組成物に対して0.01〜1質量%が好ましい。上限は、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、0.05質量%以下であることが更により好ましい。下限は、0.015質量%以上であることがより好ましい。
<<溶剤>>
本発明の組成物は溶剤を含有することが好ましい。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。有機溶剤の例としては、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ジクロロメタン、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。また、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドも溶解性向上の観点から好ましい。ただし、芳香族炭化水素系溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
本発明においては、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
溶剤の含有量は、組成物の全量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましく、30〜90質量%であることが更に好ましい。
<<重合禁止剤>>
本発明の組成物は、更に重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p−メトキシフェノールが好ましい。本発明の組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、本発明の組成物に対して0.001〜5質量%が好ましい。
<<シランカップリング剤>>
本発明の組成物は、更にシランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、スチレン基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤は、特開2009−288703号公報の段落番号0018〜0036に記載の化合物、特開2009−242604号公報の段落番号0056〜0066に記載の化合物、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0248〜0256に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。本発明の組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分中0.01〜15.0質量%が好ましく、0.05〜10.0質量%がより好ましい。シランカップリング剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
本発明の組成物は、更に紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012−208374号公報の段落番号0052〜0072、特開2013−68814号公報の段落番号0317〜0334、特開2016−162946号公報の段落番号0061〜0080の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV−503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落番号0049〜0059に記載された化合物を用いることもできる。本発明の組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分中0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<酸化防止剤>>
本発明の組成物は酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1〜22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−330(以上、(株)ADEKA)などが挙げられる。また、酸化防止剤は、特許第6268967号公報の段落番号0023〜0048に記載された化合物を使用することもできる。本発明の組成物が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分中0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他成分>>
本発明の組成物は必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、0107〜0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100〜250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80〜200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開WO2014/021023号公報、国際公開WO2017/030005号公報、特開2017−008219号公報に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、アデカアークルズGPA−5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
本発明の組成物の粘度(23℃)は、例えば、塗布により膜を形成する場合、1〜100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上が更に好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下が更に好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
本発明の組成物の固形分濃度は、12〜28質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。組成物の固形分濃度が上記範囲であれば、塗布性が良好である。
<組成物の調製方法>
本発明の組成物は、前述の成分を混合して調製できる。組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解または分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜配合した2つ以上の溶液または分散液をあらかじめ調製し、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
<膜>
次に、本発明の膜について説明する。本発明の膜は、上述した本発明の組成物から得られるものである。本発明の膜は、赤外線透過フィルタとして好ましく用いることができる。本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。100μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
<赤外線透過フィルタ>
次に、本発明の赤外線透過フィルタについて説明する。本発明の赤外線透過フィルタは、上述した本発明の組成物を用いて得られるものである。本発明の赤外線透過フィルタは、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上である分光特性を満たしていることが好ましい。波長400〜640nmの範囲における最大値は、15%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。波長1100〜1300nmの範囲における最小値は、75%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
また、本発明の赤外線透過フィルタは、以下の(111)〜(113)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。
(111):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長900〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。この態様によれば、波長400〜750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える赤外線を透過可能なフィルタとすることができる。
(112):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜830nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1000〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。この態様によれば、波長400〜830nmの範囲の光を遮光して、波長940nmを超える赤外線を透過可能なフィルタとすることができる。
(113):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。この態様によれば、波長400〜950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nmを超える赤外線を透過可能なフィルタとすることができる。
本発明の赤外線透過フィルタは、本発明の膜の表面に特開2017−151176号公報の段落番号0073〜0092に記載の保護層が設けられていてもよい。
本発明の赤外線透過フィルタは、有彩色着色剤を含むカラーフィルタと組み合わせて用いることもできる。カラーフィルタは、有彩色着色剤を含む着色組成物を用いて製造できる。
<パターン形成方法>
次に、本発明の組成物を用いたパターン形成方法について説明する。パターン形成方法は、本発明の組成物を用いて支持体上に組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により、組成物層に対してパターンを形成する工程と、を含むことが好ましい。
フォトリソグラフィ法でのパターン形成は、本発明の組成物を用いて支持体上に組成物層を形成する工程と、組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含むことが好ましい。また、ドライエッチング法でのパターン形成は、本発明の組成物を用いて支持体上に組成物層を形成し、支持体上の組成物層を硬化して硬化物層を形成し、次いで、この硬化物層上にパターニングされたレジスト層を形成し、次いで、パターニングされたレジスト層をマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングするなどの方法で行うことができる。以下、各工程について説明する。
<<組成物層を形成する工程>>
組成物層を形成する工程では、本発明の組成物を用いて、支持体上に組成物層を形成する。支持体としては、例えば、シリコン、無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなどの材質で構成された基板が挙げられる。また、InGaAs基板などを用いることも好ましい。InGaAs基板は、波長1000nmを超える光に対する感度が良好であるため、InGaAs基板上に本発明の膜を積層することで、感度に優れた赤外線センサが得られやすい。また、支持体には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、支持体には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、支持体には、必要により、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
支持体への組成物の適用方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009−145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット−特許に見る無限の可能性−、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ〜133ページ)や、特開2003−262716号公報、特開2003−185831号公報、特開2003−261827号公報、特開2012−126830号公報、特開2006−169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、樹脂組成物の塗布方法については、国際公開WO2017/030174号公報、国際公開WO2017/018419号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
支持体上に形成した組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスによりパターンを形成する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10〜3000秒が好ましく、40〜2500秒がより好ましく、80〜2200秒が更に好ましい。乾燥は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
(フォトリソグラフィ法でパターン形成する場合)
<<露光工程>>
次に、組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180〜300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波長の光源も利用できる。
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、50000000W/m2以上であることが好ましく、100000000W/m2以上であることがより好ましく、200000000W/m2以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、1000000000W/m2以下であることが好ましく、800000000W/m2以下であることがより好ましく、500000000W/m2以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
照射量(露光量)は、例えば、0.03〜2.5J/cm2が好ましく、0.05〜1.0J/cm2がより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2〜100000W/m2(例えば、5000W/m2、15000W/m2、または、35000W/m2)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
<<現像工程>>
次に、露光後の組成物層における未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する。未露光部の組成物層の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが支持体上に残る。現像液としては、下地の固体撮像素子や回路などにダメージを与えない、アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20〜30℃が好ましい。現像時間は、20〜180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。現像液は、これらのアルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。また、現像液には、界面活性剤を添加して用いてもよい。界面活性剤の例としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5〜100倍の範囲に設定することができる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100〜240℃が好ましく、200〜240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、KR1020170122130Aに記載の方法で行ってもよい。
(ドライエッチング法でパターン形成する場合)
ドライエッチング法でのパターン形成は、本発明の組成物を用いて支持体上に組成物層を形成し、この組成物層の全体を硬化させて硬化物層を形成する工程と、この硬化物層上にフォトレジスト層を形成する工程と、フォトレジスト層をパターン状に露光したのち、現像してレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンをマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程と、を含むことが好ましい。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013−064993号公報の段落番号0010〜0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
以上説明した、各工程を行うことにより、本発明の特定の分光を有する膜のパターン(画素)を形成できる。
<構造体>
次に、本発明の構造体について説明する。
本発明の構造体は、
受光素子と、
受光素子の受光面上に設けられた、カラーフィルタと赤外線カットフィルタとを含む積層体で構成された第1の画素と、
受光素子の受光面上であって第1の画素が設けられた領域とは異なる位置に設けられた、上述した本発明の赤外線透過フィルタを含む第2の画素と、を有する。
本発明の構造体において、第1の画素と第2の画素は、受光素子上の異なる位置に配置されていればよいが、両者が受光素子上に二次元配置されていることが好ましい。なお、本発明において、第1の画素と第2の画素が二次元配置されているとは、両者の画素の少なくとも一部が同一平面上に存在していることを意味する。本発明の構造体において、第1の画素と第2の画素は、同一平面上に形成されていることが好ましい。以下、本発明の構造体について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の構造体の一実施形態であって、この構造体201は、受光素子130上に、赤外線カットフィルタ112と、カラーフィルタ111との積層体からなる第1の画素と、赤外線透過フィルタ120からなる第2の画素を有している。なお、図1に示す実施形態において、カラーフィルタ111は着色画素111a、111b、111cとで構成されているが、カラーフィルタ111は単一色の着色画素のみで構成されているものであってもよく、2色の着色画素で構成されていてもよく、4色以上の着色画素で構成されていてもよい。用途および目的に応じて適宜選択することができる。また、図1に示す実施形態では、受光素子130上に赤外線カットフィルタ112、カラーフィルタ111の順に積層して第1の画素が形成されているが、赤外線カットフィルタ112とカラーフィルタ111との積層順番は特に限定は無く、図2に示すように、受光素子130上にカラーフィルタ111、赤外線カットフィルタ112の順に積層して第1の画素が形成されていてもよい。また、図1に示す実施形態では、第1の画素(カラーフィルタ111と赤外線カットフィルタ112との積層体)および第2の画素(赤外線透過フィルタ120)は、それぞれ受光素子130上に直接形成されているが、図3に示すように、下地層131を介して受光素子130上に形成されていてもよい。また、図1に示す実施形態では、第1の画素は、カラーフィルタ111と赤外線カットフィルタ112との積層体で構成されているが、図4に示すように、カラーフィルタ111と赤外線カットフィルタ112との間に中間層132を含んでいてもよい。中間層132は1層のみであってもよく、2層以上であってもよい。また、図5に示すように、最外層側のフィルタ上に平坦化層133が形成されていてもよい。平坦化層133は1層のみであってもよく、2層以上であってもよい。なお、図4の構造体204においては、カラーフィルタ111と中間層132と赤外線カットフィルタ112との積層体が第1の画素に該当する。図5の構造体205においては、カラーフィルタ111と赤外線カットフィルタ112と平坦化層133との積層体が第1の画素に該当し、赤外線透過フィルタ120と平坦化層133との積層体が第2の画素に該当する。また、図1に示す実施形態では、第1の画素と第2の画素の上面同士の高低差は、ほぼ同一であるが、両者の上面同士の高低差は異なっていてもよい。本発明の構造体において、第1の画素と第2の画素の上面同士の高低差は、最も厚い画素の膜厚の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがより好ましい。画素の上面同士の高低差が最も厚い画素の膜厚の20%以下であれば各画素の上面にマイクロレンズを配置した際において、マイクロレンズの歪みを小さくでき、歪みの少ない鮮明な画像や、ノイズの少ない環境光などを感度よく検出できる。さらには、フィルタの製造工程を簡略化でき、フィルタの製造コストを削減できる。画素同士の上面の高低差を小さくするには、各画素の形成時における膜厚を調整したり、各画素を形成した後に上面を研磨して平坦化したり、いずれかの画素の上面および/または下面に平坦化層を形成して画素同士の高さを調整する方法などが挙げられる。また、図1〜5に示す実施形態では、第1の画素と第2の画素は隣接しているが、第1の画素と第2の画素とが接していない態様とすることもできる。解像度の観点から、第1の画素と第2の画素は隣接していることが好ましい。
<<受光素子>>
本発明の構造体に用いられる受光素子130としては、特に限定は無く、光起電力効果により電流や電圧を発生させる機能を有する素子であればいずれの受光素子であっても好ましく用いることができる。例えば、シリコン基板などの公知の半導体基板上にCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)等を形成した素子などが挙げられる。
<<第1の画素>>
本発明の構造体において、第1の画素はカラーフィルタ111と赤外線カットフィルタ112とを含む積層体で構成されている。
カラーフィルタ111としては、特定の波長の光を透過させる着色画素を有するフィルタが挙げられ、赤色画素、青色画素、緑色画素、黄色画素、シアン色画素およびマゼンタ色画素から選ばれる少なくとも1種の着色画素を有するフィルタであることが好ましい。カラーフィルタ111は、単一色の着色画素のみからなるフィルタであってもよいが、2色以上の着色画素を有するフィルタであることが好ましい。カラーフィルタ111は、有彩色着色剤を含む組成物を用いて形成することができる。図1に示す実施形態では、カラーフィルタ111は着色画素111a、111b、111cとで構成されている。
赤外線カットフィルタ112としては、極大吸収波長を波長700〜2000nmの範囲に有するフィルタであることが好ましく、波長700〜1300nmの範囲に有するフィルタであることがより好ましく、700〜1000nmの範囲に有するフィルタであることがさらに好ましい。また、赤外線カットフィルタ112の極大吸収波長における吸光度Amaxと、波長550nmにおける吸光度A550との比である吸光度Amax/吸光度A550は、20〜500であることが好ましく、50〜500であることがより好ましく、70〜450であることが更に好ましく、100〜400であることが特に好ましい。
赤外線カットフィルタ112は赤外線吸収剤を含有することが好ましい。赤外線吸収剤としては、上述した本発明の組成物の欄で説明した材料が挙げられ、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、クロコニウム化合物およびイミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、スクアリリウム化合物、シアニン化合物およびクロコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましく、スクアリリウム化合物またはクロコニウム化合物であることがより一層好ましく、スクアリリウム化合物であることが特に好ましい。
第1の画素において、カラーフィルタ111の厚みと赤外線カットフィルタ112の厚みとの比率は、カラーフィルタ111の厚み/赤外線カットフィルタ112の厚み=(1/10)〜(10/1)であることが好ましく、(1/5)〜(5/1)であることがより好ましい。赤外線カットフィルタ112の厚みは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。下限は特に限定はないが、例えば0.05μm以上とすることができる。カラーフィルタ111の厚みは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。下限は特に限定はないが、例えば0.05μm以上とすることができる。
カラーフィルタ111の線幅(カラーフィルタ111が複数の着色画素を有する場合は、それぞれの着色画素の線幅)は、0.1〜100.0μmであることが好ましい。下限は、0.2μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましい。上限は、50.0μm以下であることが好ましく、30.0μm以下であることがより好ましい。
第1の画素の厚み(赤外線カットフィルタ112とカラーフィルタ111との他に他の層を含む場合は、赤外線カットフィルタ112とカラーフィルタ111と他の層との合計の厚さ)は、40μm以下であることが好ましい。上限は20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましい。下限は0.1μm以上とすることができる。
<<第2の画素>>
次に、第2の画素について説明する。第2の画素は、赤外線透過フィルタ120を含む画素である。第2の画素は、赤外線透過フィルタ120のみで構成されていてもよく、赤外線透過フィルタ120の他に他の層を有していてもよい。赤外線透過フィルタ120は上述した本発明の組成物を用いて形成できる。
第2の画素において、赤外線透過フィルタ120の厚みは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。下限は特に限定はないが、例えば0.05μm以上とすることができ、0.1μm以上とすることもできる。また、第2の画素の厚み(赤外線透過フィルタ120の他に他の層を含む場合は、赤外線透過フィルタ120と他の層との合計の厚さ)は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。下限は特に限定はないが、例えば0.05μm以上とすることができ、0.1μm以上とすることもできる。
赤外線透過フィルタ120の画素の線幅は、0.1〜100.0μmであることが好ましい。下限は、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることが更に好ましい。上限は、50.0μm以下であることがより好ましく、30.0μm以下であることが更に好ましい。
<光センサ>
本発明の光センサは、本発明の赤外線透過フィルタを有する。光センサとしては、固体撮像素子などが挙げられる。本発明の光センサの構成としては、本発明の赤外線透過フィルタを有する構成であり、光センサとして機能する構成であれば特に限定はない。本発明の赤外線透過フィルタが組み込まれた光センサは、生体認証用途、監視用途、モバイル用途、自動車用途、農業用途、医療用途、距離計測用途、ジェスチャー認識用途などの用途に好ましく用いることができる。
<画像表示装置>
本発明の赤外線透過フィルタは、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などの画像表示装置に用いることもできる。画像表示装置の定義や詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子としては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、特開2003−45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線−高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集−」、技術情報協会、326〜328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm〜485nm)、緑色領域(530nm〜580nm)及び黄色領域(580nm〜620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加え更に赤色領域(650nm〜700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<分散液の調製>
下記の表に記載の原料を混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して顔料分散液を製造した。下記の表に記載の量を表す数値は質量部である。
<組成物(赤外線透過フィルタ用組成物)の調製>
下記の表に記載の原料を混合して、実施例および比較例の組成物(赤外線透過フィルタ用組成物)を調製した。下記の表に記載の数値は質量部である。
上記表に記載の原料は以下の通りである。
(顔料)
[有機黒色顔料](波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもたない顔料)
IB: Irgaphor Black S 0100 CF(BASF社製、下記構造の化合物、ラクタム系顔料)
PBk32: C.I.Pigment Black 32(下記構造の化合物、ペリレン系顔料)
[有彩色顔料](波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもたない顔料)
PR254 :C.I.ピグメントレッド254(赤色顔料)
PY139 :C.I.ピグメントイエロー139(黄色顔料)
PB15:6 :C.I.ピグメントブルー15:6
PB16 :C.I.ピグメントブルー16
PV23 :C.I.Pigment Violet 23
[赤外線吸収顔料](波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもつ顔料)
K1〜K4:下記構造の化合物(K1、K2およびK4は波長800〜1000nmの範囲に極大吸収波長を有する。K3の極大吸収波長は1100nmである)。
(分散剤)
C1:下記構造の樹脂。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=20,000。
C2:下記構造の樹脂。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=24,000。
C3:下記構造の樹脂。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=20,000。
(重合性モノマー)
D1:下記構造の化合物(アルキレンオキシ基を有する3官能の(メタ)アクリレート化合物)
D2:下記構造の化合物(アルキレンオキシ基を有する3官能の(メタ)アクリレート化合物)
D3:下記構造の化合物(アルキレンオキシ基を有さない4官能の(メタ)アクリレート化合物)
D4:下記構造の化合物の混合物(左側化合物(6官能の(メタ)アクリレート化合物)と右側化合物(5官能の(メタ)アクリレート化合物)とのモル比が7:3の混合物)
D5:下記構造の化合物(アルキレンオキシ基を有する4官能の(メタ)アクリレート化合物)
(光重合開始剤)
I1:下記構造の化合物(波長365nmにおけるモル吸光係数=4800L・mol-1・cm-1)
I2:下記構造の化合物(波長365nmにおけるモル吸光係数=18900L・mol-1・cm-1)
I3:下記構造の化合物(波長365nmにおけるモル吸光係数=5000L・mol-1・cm-1以上)
I4:下記構造の化合物(波長365nmにおけるモル吸光係数=5000Lmol-1・cm-1以上)
(重合禁止剤)
G1:p−メトキシフェノール
(溶剤)
J1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
J2:シクロヘキサノン
<配管チューブ汚れの評価>
フッ素樹脂チューブ(ナフロンPFA−HGチューブ、ニチアス株式会社製)の切片を各組成物が入った瓶に6ヶ月浸漬させた後、この切片を組成物中から取り出し、PGMEAで超音波洗浄を10〜60秒実施し、洗浄後の切片の透明度を目視で観察した。
A:10秒の超音波洗浄で切片の透明度が組成物に漬け込む前と同等の透明度になった。
B:10秒の超音波洗浄では切片に着色が残っていたが、20秒の超音波洗浄で切片の透明度が組成物に漬け込む前と同等の透明度になった。
C:20秒の超音波洗浄では切片に着色が残っていたが、30秒の超音波洗浄で切片の透明度が組成物に漬け込む前と同等の透明度になった。
D:30秒の超音波洗浄では切片に着色が残っていたが、60秒の超音波洗浄で切片の透明度が組成物に漬け込む前と同等の透明度になった。
E:超音波洗浄を60秒間実施しても切片に着色が残っていた。
<分光特性の評価>
各組成物をガラス基板上にスピンコートし、ポストベーク後の膜厚が下記表に記載の膜厚となるように塗布し、100℃、120秒間ホットプレートで乾燥した後、さらに、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い、膜を形成した。膜が形成されたガラス基板を、紫外可視近赤外分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Amin、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxを測定した。
A:Amin/Bmaxが20以上である。
B:Amin/Bmaxが20未満である。
上記表に示すように、実施例の組成物は分光特性の良好な膜を形成でき、かつ、配管チューブを汚染しにくいものであった。なお、実施例1〜13の組成物は、4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマーを含み、波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもたない顔料A(有機黒色顔料と有彩色顔料との合計量)における有機黒色顔料の含有量が10質量%以上であり、顔料Aの100質量部に対して分散剤を20〜80質量部含有していた。一方、比較例1の組成物は、4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマーを含んでいなかった。また、比較例2の組成物は、分散剤の含有量が顔料Aの100質量部に対して20質量部未満であった。また、比較例3の組成物は、分散剤の含有量が顔料Aの100質量部に対して80質量部を超えるものであった。
また、実施例の組成物は、いずれも上記Amin/Bmaxが20以上であり、分光特性に優れていた。この組成物は、赤外線透過フィルタ用の組成物として適していた。
111:カラーフィルタ
111a、111b、111c:着色画素
112:赤外線カットフィルタ
120:赤外線透過フィルタ
130:受光素子
131:下地層
132:中間層
133:平坦化層
201〜205:構造体
Claims (19)
-
波長800nmよりも長波長側に極大吸収波長をもたない顔料Aと、分散剤と、重合性モノマーとを含み、
前記顔料Aは、ラクタム系顔料およびペリレン系顔料から選ばれる有機黒色顔料を含み、
前記顔料A中における前記有機黒色顔料の含有量が10質量%以上であり、
前記顔料Aの100質量部に対して前記分散剤を20〜80質量部含有し、
前記重合性モノマーは、4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマーを含む、組成物。
-
前記顔料Aは青色顔料を含む、請求項1に記載の組成物。
-
前記青色顔料はフタロシアニン化合物である、請求項2に記載の組成物。
-
前記青色顔料は、カラーインデックスピグメントブルー15:3、カラーインデックスピグメントブルー15:6およびカラーインデックスピグメントブルー16から選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の組成物。
-
前記顔料Aは黄色顔料を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
-
前記黄色顔料はイソインドリン化合物である、請求項5に記載の組成物。
-
前記重合性モノマーの全量中における前記4官能以下で、かつアルキレンオキシ基を有する重合性モノマーの含有量が20質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
-
更に光重合開始剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
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前記光重合開始剤の波長365nmにおけるモル吸光係数が5000L・mol-1・cm-1以上である、請求項8に記載の組成物。
-
更にバインダー樹脂を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
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更に赤外線吸収剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
-
前記組成物は、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが4.5以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
-
前記組成物は、波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Amin1と、波長900〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax1との比であるAmin1/Bmax1が4.5以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
-
赤外線透過フィルタ用の組成物である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
-
請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物を用いて得られる膜。
-
請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物を用いて得られる赤外線透過フィルタ。
-
受光素子と、
受光素子の受光面上に設けられた、カラーフィルタと赤外線カットフィルタとを含む積層体で構成された第1の画素と、
受光素子の受光面上であって第1の画素が設けられた領域とは異なる位置に設けられた、請求項16に記載の赤外線透過フィルタを含む第2の画素と、を有する構造体。
-
請求項16に記載の赤外線透過フィルタを含む光センサ。
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請求項16に記載の赤外線透過フィルタを含む画像表示装置。
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