JPWO2019235201A1 - ポリアミド樹脂、成形品およびポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂、成形品およびポリアミド樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

酸素バリア性に優れ、黄色度が十分に低く、フィッシュアイの発生が抑制されたポリアミド樹脂、成形品およびポリアミド樹脂の製造方法を提供する。ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とから構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70〜30モル%がイソフタル酸に由来し(但し、ジカルボン酸由来の構成単位の合計が100モル%を超えることはない)、リン原子を50〜150質量ppmの割合で含み、ナトリウム原子をリン原子:ナトリウム原子のモル比が1:1〜2となる割合で含む、ポリアミド樹脂。

Description

本発明は、ポリアミド樹脂、成形品およびポリアミド樹脂の製造方法に関する。
従来、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸とから合成されるポリアミド樹脂が知られている(特許文献1)。特許文献1では、この樹脂のフィルムが透明性に優れ黄色度が低いことを利用して、食品包装材料等に適用することが提案されている。
WO2017/090556号パンフレット
上述のとおり、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸とから合成されるポリアミド樹脂は優れた特性を有する樹脂であるが、その成形品におけるフィッシュアイ(FE)の発生において改善する余地があることが分かってきた。フィッシュアイとは、樹脂成分の一部が周囲の材料と混和しないために成形品に生じる微小な塊である。これが生じると、成形品の外観に影響を与えることがある。
本発明は、課題を解決することを目的とするものであって、酸素バリア性に優れ、黄色度が低く、フィッシュアイの発生が抑制されたポリアミド樹脂、成形品およびポリアミド樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、下記手段<1>により、好ましくは、下記手段<2>〜<9>により、上記課題は解決された。
<1>ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とから構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70〜30モル%がイソフタル酸に由来し(但し、ジカルボン酸由来の構成単位の合計が100モル%を超えることはない)、リン原子を50〜150質量ppmの割合で含み、ナトリウム原子をリン原子:ナトリウム原子のモル比で1:1〜2となる割合で含む、ポリアミド樹脂。
<2>前記リン原子が、次亜リン酸ナトリウムに由来する、<1>に記載のポリアミド樹脂。
<3>前記炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸を含む、<1>または<2>に記載のポリアミド樹脂。
<4>23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過係数が0.2cc・mm/m・day・atm以下である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂。
<5>2mmの厚さに成形した成形品のYIが10.0以下である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂。
<6>ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とから構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70〜30モル%がイソフタル酸に由来し(但し、ジカルボン酸由来の構成単位の合計が100モル%を超えることはない)、フィッシュアイの数が、600以下であり、2mmの厚さに成形した成形品のYIが6.5以下であるポリアミド樹脂;ここで述べるフィッシュアイの数とは、厚さ60μmのフィルムに成形したとき、フィルム1mあたりに含まれる円相当径200μm以上の微小な塊の数をいう。
<7><1>〜<6>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂を含む組成物から形成された成形品。
<8>ジアミンとジカルボン酸を、ナトリウムを含む触媒の存在下で重縮合させることを含み、前記ジアミンの70モル%以上がメタキシリレンジアミンであり、前記ジカルボン酸の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸であり、70〜30モル%がイソフタル酸である(但し、ジカルボン酸の合計が100モル%を超えることはない)、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
<9>ジアミンとジカルボン酸を、次亜リン酸ナトリウムの存在下で重縮合させることを含むポリアミド樹脂の製造方法であって、前記ジアミンの70モル%以上がメタキシリレンジアミンであり、前記ジカルボン酸の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸であり、70〜30モル%がイソフタル酸であり(但し、ジカルボン酸の合計が100モル%を超えることはない)、前記ポリアミド樹脂中に、リン原子を50〜150質量ppmの割合で含む、ポリアミド樹脂の製造方法。
本発明により、酸素バリア性に優れ、黄色度が低く、フィッシュアイの発生が抑制されたポリアミド樹脂、成形品およびポリアミド樹脂の製造方法の提供が可能となった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とから構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70〜30モル%がイソフタル酸に由来し(但し、ジカルボン酸由来の構成単位の合計が100モル%を超えることはない)、リン原子を50〜150質量ppmの割合で含み、ナトリウム原子をリン原子:ナトリウム原子のモル比で1:1〜2となる割合で含むことを特徴とする。
このようなポリアミド樹脂とすることにより、酸素バリア性に優れ、黄色度が低く、フィッシュアイの発生が抑制されたポリアミド樹脂となる。
本発明では、キシリレンジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸から形成されるポリアミド樹脂において、ジカルボン酸由来の構成単位として、イソフタル酸由来の構成単位を導入している。このようなポリアミド樹脂の合成に際し、ナトリウムを含む触媒を用いて合成すると、得られるポリアミド樹脂は浸水処理後の透明性に劣ると考えられていた。しかしながら、本発明者が検討を行った結果、通常のポリアミド樹脂の合成に用いる触媒量を調整することにより、ナトリウムを含む触媒を用いた場合でも、浸水処理後の透明性の低下を抑制できることを見出した。さらに、所定のリン原子:ナトリウム原子のモル比とすることにより、優れた酸素バリア性および低黄色度を維持しつつ、フィッシュアイの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明のポリアミド樹脂は、通常、非晶性樹脂である。非晶性樹脂を用いることにより、透明性をより向上させることができる。尚、非晶性樹脂とは、結晶融解エンタルピーΔHmが5J/g以下である樹脂をいう。
本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、好ましくは80モル%以上が、より好ましくは90モル%以上が、さらに好ましくは95モル%以上が、一層好ましくは99モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来する。
メタキシリレンジアミン以外のジアミン(他のジアミン)としては、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが例示される。これら他のジアミンは、1種のみでも2種以上であってもよい。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン由来の構成単位の30モル%以下の割合で用い、より好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
本発明のポリアミド樹脂におけるジカルボン酸由来の構成単位を構成する全ジカルボン酸のうち、イソフタル酸の割合の下限値は、33モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましく、38モル%以上がさらに好ましく、40モル%以上が一層好ましく、41モル%以上であってもよい。前記イソフタル酸の割合の上限値は、67モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、62モル%以下が一層好ましく、60モル%以下がさらに一層好ましい。イソフタル酸の割合を30モル%以上とすることにより、非晶性樹脂とすることができ、透明性をより向上させることができる。
本発明のポリアミド樹脂におけるジカルボン酸由来の構成単位を構成する全ジカルボン酸のうち、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の割合の下限値は、33モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましく、38モル%以上がさらに好ましく、40モル%以上が一層好ましい。前記炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の割合の上限値は、67モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、62モル%以下が一層好ましく、60モル%以下がさらに一層好ましく、59モル%以下であってもよい。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の割合を30モル%以上とすることにより、ポリアミド樹脂の合成が容易になる。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示され、アジピン酸およびセバシン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂における、ジカルボン酸由来の構成単位を構成する全ジカルボン酸のうち、イソフタル酸と炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の合計の割合は、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であってもよい。このような割合とすることにより、成形品としたときの透明性がより向上し、黄色度がより低下する傾向にある。また、本発明におけるフィッシュアイの抑制効果が顕著になる点で好ましい。
イソフタル酸と炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外の他のジカルボン酸としては、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸化合物等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
本発明のポリアミド樹脂はテレフタル酸由来の構成単位を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、ポリアミド樹脂に含まれるテレフタル酸の割合がイソフタル酸のモル量の5モル%以下であり、3モル%以下が好ましく、1モル%以下がさらに好ましい。
なお、本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸由来の構成単位とジアミン由来の構成単位とから構成されるが、ジカルボン酸由来の構成単位およびジアミン由来の構成単位以外の構成単位や、末端基等の他の部位を含みうる。他の構成単位としては、ε−カプロラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸等由来の構成単位が例示できるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明のポリアミド樹脂は、合成に用いた添加剤等の微量成分が含まれていてもよい。本発明のポリアミド樹脂は、通常、95質量%以上、好ましくは98質量%以上が、ジカルボン酸由来の構成単位またはジアミン由来の構成単位である。
本発明のポリアミド樹脂は、リン原子を50〜150質量ppmの割合で含み、ナトリウム原子をリン原子:ナトリウム原子のモル比で1:1〜2となる割合で含む。
本発明のポリアミド樹脂におけるリン原子濃度の下限値は、60質量ppm以上が好ましく、70質量ppm以上がより好ましく、80質量ppm以上がさらに好ましく、90質量ppm以上であってもよい。リン原子濃度の上限値は、140質量ppm以下が好ましく、130質量ppm以下がより好ましく、120質量ppm以下、110質量ppm以下であってもよい。なお、リン原子の濃度は、ポリアミド樹脂(重合物)に対する質量比に基づき算定される。
本発明のポリアミド樹脂におけるリン原子:ナトリウム原子のモル比は1:1〜2となる割合であり、1:1〜1.5となる割合が好ましく、1:1〜1.2となる割合がより好ましく、1:1〜1.1であることがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂に含まれるリン原子およびナトリウム原子は、それぞれ、次亜リン酸ナトリウムに由来することが好ましい。次亜リン酸ナトリウムを用いた場合は、リン原子:ナトリウム原子のモル比率が通常1:1になる。なお、ナトリウム原子はナトリウムを含む触媒に由来することが好ましく、上記のとおり次亜リン酸ナトリウムに由来することがより好ましい。しかしながら、酢酸ナトリウム等、他のナトリウムを含む触媒を用いる態様を排除するものではない。また、ナトリウムを含む触媒は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、例えば、次亜リン酸ナトリウムと、酢酸ナトリウムを併用する態様が例示される。
本発明においては、リン原子およびナトリウム原子の濃度を、上記の範囲に規定することが重要である。本発明のポリアミド樹脂中のリン原子およびナトリウム原子は、ポリアミド樹脂の合成において、その重合触媒として用いられる化合物に由来するものであることが実際的である。具体的には、次亜リン酸ナトリウムに由来するものであることが好ましい。すなわち、通常ポリアミド樹脂中のリン原子は樹脂の合成時の触媒に由来するものとなり、したがって合成時の触媒量を増減することにより樹脂中のリン原子およびナトリウム原子の濃度を調節することができる。メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸とから合成されるポリアミド樹脂中のリン原子濃度を上記の範囲に規定し(合成時においては触媒量を規定することにより)、またリン原子とナトリウム原子の比率を特定の範囲に規定することで(合成時においては触媒の種類を選定する、あるいは共用するナトリウムを含有する化合物の量を調節することで)、成形品としたときに、高い酸素バリア性と十分に低い黄色度とを維持して、製品を製造する際には樹脂の分散性が向上しフィッシュアイの抑制を高いレベルで達成することができる。
本発明のポリアミド樹脂はカルシウム原子を含んでいてもよいが、実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、ポリアミド樹脂中のカルシウム原子の量が10質量ppm以下であることをいい、1質量ppm以下であることが好ましい。
リン原子、ナトリウム原子およびカルシウム原子の濃度の測定方法は、後述する実施例に記載の方法に従う。但し、実施例で使用する機器等が廃版等の場合、他の同様の性能を有する機器等を用いることができる。以下、他の測定方法についても同様である。
本発明のポリアミド樹脂の数平均分子量(Mn)は、下限値が6,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、12,000以上であってもよい。また、前記数平均分子量(Mn)の上限値は、50,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましく、25,000以下、18,000以下、15,000以下であってもよい。
本発明のポリアミド樹脂は、熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、10℃/分の昇温速度で300℃まで昇温したときの、融解に伴う吸熱ピークの熱量が5J/g未満であることが好ましい。このように融解に伴う吸熱ピークの熱量が5J/g未満のものは、いわゆる、非晶性樹脂と呼ばれる樹脂である。非晶性樹脂は、また、明確な融点のピークを持たない。吸熱ピークの熱量および融点の測定方法は、WO2017/090556号パンフレットの段落0036に記載の方法に従う。
本発明のポリアミド樹脂においては、フィッシュアイの数が、600以下であることが好ましく、550以下であることがより好ましく、500以下であることが一層好ましく、450以下であることがより一層好ましい。下限値は、0が理想であるが、100以上、200以上、300以上であっても、十分に性能要求を満たすものである。フィッシュアイの数とは、厚さ60μmのフィルムに成形したとき、フィルム1mあたりに含まれる円相当径200μm以上の微小な塊の数をいう。フィッシュアイの測定方法は、後述する実施例に記載の方法に従う。本発明では、リン原子を50〜150質量ppmの割合で含み、ナトリウム原子をリン原子:ナトリウム原子のモル比で1:1〜2となる割合で含むように、ポリアミド樹脂を調製することによって、フィッシュアイの数を減らすことができる。
本発明のポリアミド樹脂は、23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過係数(OTC)の上限値は、0.2cc・mm/m・day・atm以下であることが好ましく、0.15cc・mm/m・day・atm以下であることがより好ましく、0.1cc・mm/m・day・atm以下であることがさらに好ましい。また、OTCの下限値は、0cc・mm/m・day・atmが好ましいが、0.03cc・mm/m・day・atm以上、さらには0.05cc・mm/m・day・atm以上であっても実用的価値がある。本発明における酸素透過係数の測定方法は、後述する実施例に記載の方法に従う。
本発明のポリアミド樹脂は、2mmの厚さに成形した成形品の黄色度(YI)が10.0以下であることが好ましく、9.0以下であることがより好ましく、7.0以下であることがより好ましく、6.5以下であることがさらに好ましく、6.0以下であることが一層好ましく、5.0以下であることがより一層好ましく、4.5以下であることがさらに一層好ましく、4.0以下であることが特に一層好ましい。下限値については、0が理想であるが、2.5以上であっても十分な実用的価値がある。本発明においては、その一実施形態において、ナトリウムを含有する化合物(好ましくは次亜リン酸ナトリウム)を重合触媒として適用できるため、カルシウムを含有する化合物(例えば次亜リン酸カルシウム)を触媒として用いる場合に比べて、より低いYIを達成できる。本発明における黄色度の測定方法は、後述する実施例に記載の方法に従う。
本発明のポリアミド樹脂は、透明であることがより好ましい。具体的に、本発明のポリアミド樹脂は、2mmの厚さに成形した成形品を23℃の水に24時間浸漬した後のヘイズが、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、3.8%以下であることがより一層好ましい。本発明においては、このように透明性を確保しつつ、フィッシュアイの発生を効果的に抑制することができることが利点である。本発明におけるヘイズの測定方法は、WO2017/090556号パンフレットの段落0032に記載の方法に従う。
本発明のポリアミド樹脂は、特に、上記フィッシュアイ数とYIを同時に満たすことが好ましく、さらに、上記OTCの値および23℃の水に24時間浸漬した後のヘイズの少なくとも一方を満たすことがより好ましく、上記OTCの値および23℃の水に24時間浸漬した後のヘイズの両方を満たすことがさらに好ましい。本発明では、原料モノマーを適切に選択し、さらに、リン原子とナトリウム原子を所定の割合で含むポリアミド樹脂とすることにより、低フィッシュアイ数と低YIの両立に成功したものである。
<ポリアミド樹脂の製造方法>
次に、本発明のポリアミド樹脂の製造方法の一例について述べる。本発明のポリアミド樹脂は、以下に述べる方法で製造されたポリアミド樹脂であることが好ましいが、これに限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明のポリアミド樹脂の製造方法は、ジアミンとジカルボン酸とをナトリウムを含む触媒の存在下で重縮合することを含む。ここでのジアミンとジカルボン酸は、上記のポリアミド樹脂で述べたものと同義であり、好ましい範囲も同じである。上述のとおり、本発明は、その一実施形態において、特定量のナトリウムを含む触媒の存在下で、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸とを重縮合することでポリアミド樹脂を合成することにより、この樹脂のリン原子とナトリウム原子の濃度を規定し、これを用いて製造した成形品において高い酸素バリア性と低い黄色度とを保持し、フィッシュアイを効果的に抑制しうるとの知見に基づきなされたものである。従来、上記のモノマーを次亜リン酸ナトリウム触媒の存在下で重縮合しポリアミド樹脂を合成することは知られていたが、その触媒量と樹脂またはその成形品の特性との関係、特には、フィッシュアイの発生との因果関係は知られていなかった。
ナトリウムを含む触媒としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、エチルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸ナトリウムが例示され、次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、次亜リン酸ナトリウムの一部または全部は、重縮合時や二次加工時の酸化により、亜リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等に変化しうる。また、その比率は、重縮合条件や重縮合時の酸素濃度等によって変化しうる。したがって、本発明のポリアミド樹脂の製造方法によって得られたポリアミド樹脂に、次亜リン酸ナトリウムが存在しない場合もあろう。
重縮合は、通常、溶融重縮合法であり、溶融させた原料ジカルボン酸に原料ジアミンを滴下しつつ加圧下で昇温し、縮合水を除きながら重合させる方法、もしくは、原料ジアミンと原料ジカルボン酸から構成される塩を水の存在下で、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が好ましい。
本発明では、ナトリウムを含む触媒(好ましくは次亜リン酸ナトリウム)を、原料モノマーに対してリン原子濃度換算で50〜150質量ppmとなる割合で添加することが好ましい。さらには、ポリアミド樹脂に含まれるリン原子濃度が60質量ppm以上となるように添加することがより好ましく、70質量ppm以上となるように添加することがさらに好ましく、80質量ppm以上、さらには、90質量ppm以上となるように添加することが一層好ましい。上限値は、140質量ppm以下となるように添加することが好ましく、130質量ppm以下となるように添加することがより好ましく、120質量ppm以下、110質量ppm以下であってもよい。
また、本発明の製造方法においては、ポリアミド樹脂の合成時に、添加されるナトリウム原子の量が、リン原子:ナトリウム原子のモル比で1:1〜2となる割合であることが好ましく、1:1〜1.5となる割合がより好ましく、1:1〜1.2となる割合がさらに好ましく、1:1〜1.1であることが特に好ましい。
また、重縮合時には、次亜リン酸ナトリウムと併用して他のアルカリ金属化合物を添加してもよい。他のアルカリ金属化合物を添加することにより、アミド化反応速度を調整することが可能になる。他のアルカリ金属化合物としては、酢酸ナトリウムが例示される。他のアルカリ金属化合物を配合する場合は、他のアルカリ金属化合物/次亜リン酸ナトリウムのモル比が0.5〜2.0程度であってもよいが、ポリアミド樹脂中のナトリウムの量がリン原子に対して上述した比率(リン原子:ナトリウム原子のモル比で1:1〜2)に収まるように調節することが好ましく、他のアルカリ金属化合物は実質的に含まないことがより好ましい。ここでの、実質的に含まないとは、他のアルカリ金属化合物/次亜リン酸ナトリウムのモル比で、0.5以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましく、0.01以下、さらには0.001以下であってもよい。
その他重合条件については、特開2015−098669号公報や国際公開WO2012/140785号パンフレットの記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明のポリアミド樹脂の製造に関しては、WO2017/090556号パンフレットや国際公開WO2012/140785号パンフレットの記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<成形品>
本発明では、本発明のポリアミド樹脂を含む組成物から形成された成形品を開示する。ポリアミド樹脂を含む組成物は、本発明のポリアミド樹脂のみからなっていてもよいし、他の成分を含んでいてもよい。また、ポリアミド樹脂を含む組成物は、本発明のポリアミド樹脂を1種または2種以上含んでいてもよいし、他の成分を含んでいてもよい。
本発明の樹脂を用いた成形品の製造方法は、特に制限されず、熱可塑性樹脂について一般に使用されている成形方法、すなわち、射出成形、中空成形、押出成形、プレス成形などの成形方法を適用することができる
他の成分としては、本発明のポリアミド樹脂以外の他のポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂、滑剤、充填剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。これらの添加剤は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
他のポリアミド樹脂としては、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6/66(ポリアミド6成分およびポリアミド66成分からなる共重合体)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)、MPXD6(ポリメタパラキシリレンアジパミド)、MXD10(ポリメタキシリレンセバサミド)、MPXD10(ポリメタパラキシリレンセバサミド)およびPXD10(ポリパラキシリレンセバサミド)、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9I、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド6I/6T、ポリアミド9I/9T等が例示される。これらの他のポリアミド樹脂は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂を例示できる。これらのポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリアミド樹脂を含む組成物を成形してなる成形品としては、単層フィルム(単層シートを含む趣旨である)、多層フィルム(多層シートを含む趣旨である)、繊維、糸、モノフィラメント、マルチフィラメント、ロープ、チューブ、ホース、各種成形材料、容器、各種部品、完成品、筐体等が例示される。さらに成形品(特に、フィルム、モノフィラメント、マルチフィラメント)は、延伸してもよい。前記成形品は、薄肉成形品や中空成形品等であってもよい。なかでも、本発明においては、薄肉成形品(フィルム製品)であることが、本発明における酸素バリア性、低YI、フィッシュアイの抑制効果が顕著となるため好ましい。かかる観点から、薄肉成形品の厚さは、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることがさらに好ましい。フィルム製品は、ラップ、シュリンクフィルム、あるいは各種形状のパウチ、容器の蓋材、ボトル、カップ、トレイ、チューブ等の包装容器に好ましく利用できる。
成形品の利用分野としては、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、塗料やオイルの容器、防衛および航空宇宙製品等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<黄色度(YI)>
後述する実施例および比較例のポリアミド樹脂のペレットを乾燥させ、乾燥したポリアミド樹脂ペレットを、射出成形機(住友重機械工業社製、SE130DU−HP)にて、成形温度270℃、金型温度90℃で射出成形し、厚さ2mmのプレート状の成形品を作製した。
上記厚さ2mmの成形品の黄色度を測定した。黄色度は、JIS K7373に準拠して測定した。
測定装置は、色彩・濁度測定器(商品名:COH−400A、日本電色工業社製)を使用した。
<水浸漬後の透明性>
次いで、上記厚さ2mmの成形品を23℃の水に24時間浸漬し、ヘイズ(Haze)を測定した。ヘイズの測定は、JIS K−7105に準じて測定した。
測定装置は、色彩・濁度測定器(商品名:COH−400A、日本電色工業社製)を使用した。ヘイズ値(単位:%)が小さいほど、透明性が高いことを示す。
<酸素透過係数>
乾燥したポリアミド樹脂ペレットを、Tダイ付き単軸押出機(プラスチック工学研究所社製、PTM−30)にて、260℃で溶融押出し、厚み60μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて、23℃、相対湿度(RH)60%の雰囲気下、等圧法にて、酸素透過率(OTR)を測定し、測定結果から酸素透過係数(OTC)を算出した。酸素雰囲気の圧力は1atmとし、測定時間は24時間とした。なお、酸素透過係数(OTC)は以下のように計算される。
OTC=OTR×測定フィルム膜厚(μm)/1000
酸素透過率(OTR)は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、製品名:「OX−TRAN(登録商標) 2/21」)を使用して測定した。
<フィッシュアイ(FE)数>
乾燥したポリアミド樹脂ペレットを、Tダイ付き単軸押出機に供給し、260℃で溶融押出し、引き取り速度を調節して幅150mm、厚み60μmのフィルムとした。
この厚み60μmのフィルムをフィッシュアイ検査機のカメラと光源の間を通過させ、巻き取り機にて巻き取りつつ、幅100mm、長さ10mのフィルム中のフィッシュアイ数(円相当径が200μm以上)をカウントし、1m当たりのフィッシュアイ数を測定した。円相当径とは、同じ面積の円に換算したときの直径をいう。
Tダイ付き単軸押出機は、プラスチック工学研究所社製、PTM−30を用いた。フィッシュアイ検査機は、マミヤ・オーピー社製、GX‐70Wを用いた。
<数平均分子量(Mn)の測定>
ポリアミド樹脂0.3gを、フェノール/エタノール=4/1(体積比)の混合溶剤に投入して、25℃で撹拌し、完全に溶解させた後、撹拌しつつ、メタノール5mLで容器内壁を洗い流し、0.01mol/L塩酸水溶液で中和滴定して末端アミノ基濃度[NH]を求めた。また、ポリアミド樹脂0.3gを、ベンジルアルコールに投入して、窒素気流下170℃で撹拌し、完全に溶解させた後、窒素気流下80℃以下まで冷却し、撹拌しつつメタノール10mLで容器内壁を洗い流し、0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して末端カルボキシル基濃度[COOH]を求めた。測定した末端アミノ基濃度[NH](単位:μ当量/g)および末端カルボキシル基濃度[COOH](単位:μ当量/g)から、次式によって数平均分子量を求めた。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH2])
<リン原子濃度、ナトリウム原子濃度の測定方法>
ポリアミド樹脂0.2gと35%硝酸8mLを容器に入れ、内部温度230℃で30分間、マイクロウエーブ分解を行った。分解液を超純水で定容し、ICP(Inductively Coupled Plasma)測定溶液とした。
前記容器は、変性PTFE(TFM製)容器を用いた。マイクロウエーブ分解は、マイルストーンゼネラル社製 ETHOS Oneを用いた。ICP測定は、島津製作所社製 ICPE−9000を用いて行った。
<実施例1>
以下の方法に従って表1に示すポリアミド樹脂を合成し、そのペレットを得た。
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロートおよび窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、精秤したアジピン酸6,000g(41.06mol)、イソフタル酸6,821g(41.06mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物7.2g(NaHPO・HO)(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度換算で100質量ppm)を配合し、十分に窒素置換した後、窒素を内圧0.4MPaまで充填し、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら190℃まで加熱した。
これにメタキシリレンジアミン11,184g(82.11mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を上昇させ、255℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、さらに内温を上昇させて260℃で10分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、これをペレット化し、約21kgのポリアミド樹脂(MXD6I−1)を得た。この樹脂は、昇温過程における結晶融解エンタルピーΔHmがほぼ0J/gであり、非晶性であることが分かった。得られたポリアミド樹脂(重合物)に含まれるリン原子の濃度およびリン原子とナトリウム原子とのモル量の比率を表1に示した。また、ポリアミド樹脂の数平均分子量、YI、水浸漬後のHaze、FE数、OTCについても、それぞれ上記で示した測定方法に従って測定し、それらの値を表1に示した。
<比較例1>
実施例1において、次亜リン酸ナトリウム一水和物の添加量を2.16gとし、他は同様に行ってポリアミド樹脂(MXD6I−2)を得た。得られたポリアミド樹脂中のリン原子の濃度、リン原子とナトリウム原子とのモル量の比率、分子量、YI、FE数、OTRの値を表1に示した。
<比較例2>
実施例1において、次亜リン酸ナトリウム一水和物の添加量を12.6gとし、他は同様に行ってポリアミド樹脂(MXD6I−3)を得た。得られたポリアミド樹脂中のリン原子の濃度、リン原子とナトリウム原子とのモル量の比率、分子量、YI、FE数、OTRの値を表1に示した。
Figure 2019235201
P濃度:得られたポリアミド樹脂(重合物)中のリン原子の濃度、質量基準
P:Na :得られたポリアミド樹脂(重合物)中のリン原子とナトリウム原子とのモル量の比率
Mn:数平均分子量
上記の結果から明らかなとおり、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度とリン原子とナトリウム原子との比率を特定の範囲に規制することにより、高い酸素バリア性を付与し、黄色度が低く、かつ、フィッシュアイの発生を効果的に抑制することができることが分かった。

Claims (9)

  1. ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とから構成され、
    前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、
    前記ジカルボン酸由来の構成単位の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70〜30モル%がイソフタル酸に由来し(但し、ジカルボン酸由来の構成単位の合計が100モル%を超えることはない)、
    リン原子を50〜150質量ppmの割合で含み、ナトリウム原子をリン原子:ナトリウム原子のモル比で1:1〜2となる割合で含む、ポリアミド樹脂。
  2. 前記リン原子が、次亜リン酸ナトリウムに由来する、請求項1に記載のポリアミド樹脂。
  3. 前記炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸を含む、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂。
  4. 23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過係数が0.2cc・mm/m・day・atm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂。
  5. 2mmの厚さに成形した成形品のYIが10.0以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂。
  6. ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位とから構成され、
    前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、
    前記ジカルボン酸由来の構成単位の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、70〜30モル%がイソフタル酸に由来し(但し、ジカルボン酸由来の構成単位の合計が100モル%を超えることはない)、
    フィッシュアイの数が、600以下であり、
    2mmの厚さに成形した成形品のYIが6.5以下であるポリアミド樹脂;ここで述べるフィッシュアイの数とは、厚さ60μmのフィルムに成形したとき、フィルム1mあたりに含まれる円相当径200μm以上の微小な塊の数をいう。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂を含む組成物から形成された成形品。
  8. ジアミンとジカルボン酸を、ナトリウムを含む触媒の存在下で重縮合させることを含み、
    前記ジアミンの70モル%以上がメタキシリレンジアミンであり、
    前記ジカルボン酸の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸であり、70〜30モル%がイソフタル酸である(但し、ジカルボン酸の合計が100モル%を超えることはない)、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  9. ジアミンとジカルボン酸を、次亜リン酸ナトリウムの存在下で重縮合させることを含むポリアミド樹脂の製造方法であって、
    前記ジアミンの70モル%以上がメタキシリレンジアミンであり、
    前記ジカルボン酸の30〜70モル%が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸であり、70〜30モル%がイソフタル酸であり(但し、ジカルボン酸の合計が100モル%を超えることはない)、
    前記ポリアミド樹脂中に、リン原子を50〜150質量ppmの割合で含む、ポリアミド樹脂の製造方法。
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