JP2022184787A - ポリマー膜及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法 - Google Patents

ポリマー膜及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来と比較して誘電正接の低いポリマー膜及びその製造方法、並びに、ポリマー膜を用いた積層体及びその製造方法の提供。【解決手段】ポリマーと、A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含み、A群は、酸素反応性化合物、及び酸素反応性化合物と酸素との反応生成物の少なくとも一方であり、B群は、酸素吸着性化合物、及び酸素吸着性化合物の酸素吸着物の少なくとも一方であり、軟化温度が190℃以上である、ポリマー膜及びその応用。【選択図】なし

Description

本開示は、ポリマー膜及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法に関する。
近年、通信機器に使用される周波数は非常に高くなる傾向にある。高周波帯域における伝送損失を抑えるため、回路基板に用いられる絶縁材料の比誘電率と誘電正接とを低くすることが要求されている。
例えば、特許文献1には、液晶ポリエステルおよび溶媒が含まれる液状組成物を基材に流延して乾燥することにより、溶媒が含まれた状態の液晶ポリエステル前駆体フィルムを調製する液晶ポリエステル前駆体フィルム調製工程と、液晶ポリエステル前駆体フィルムを基材から剥離した後、表面に離型層を有する金属基材に液晶ポリエステル前駆体フィルムを転写することにより、当該液晶ポリエステル前駆体フィルムおよび当該金属基材からなる第1積層体を調製する第1積層体調製工程と、第1積層体を熱処理することにより、実質的に溶媒を含有しない液晶ポリエステルフィルムおよび金属基材からなる第2積層体を調製する第2積層体調製工程と、液晶ポリエステルフィルムを金属基材から剥離するフィルム剥離工程とを含むことを特徴とする液晶ポリエステルフィルムの製造方法が記載されている。
特開2011-167847号公報
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、従来と比較して誘電正接の低いポリマー膜及びその製造方法、並びに、ポリマー膜を用いた積層体及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ポリマーと、
A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含み、
A群は、酸素反応性化合物、及び酸素反応性化合物と酸素との反応生成物の少なくとも一方であり、
B群は、酸素吸着性化合物、及び酸素吸着性化合物の酸素吸着物の少なくとも一方であり、
軟化温度が190℃以上である、ポリマー膜。
<2> A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量が、ポリマー膜の全量に対して、0.0001質量%~10質量%である、<1>に記載のポリマー膜。
<3> ポリマーは、誘電正接が0.01以下である、<1>又は<2>に記載のポリマー膜。
<4> ポリマーは、液晶ポリマーである、<1>~<3>のいずれか1つに記載のポリマー膜。
<5> 液晶ポリマーは、式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位を有する、<4>に記載のポリマー膜。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
<6> <1>~<5>のいずれか1つに記載のポリマー膜と、
ポリマー膜の少なくとも一方の面上に配置され、酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層と、を含む積層体。
<7> 酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層が、金属層である<6>に記載の積層体。
<8> ポリマー膜の熱膨張係数と、酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層の熱膨張係数との差が、30ppm/K以下である、<6>又は<7>に記載の積層体。
<9> ポリマー及び溶媒を含むポリマー溶液を準備する工程と、
基材と、基材上に形成された、ポリマー溶液の硬化膜と、を有する前駆体を作製する工程と、
前駆体を加熱して、基材上にポリマー膜を形成する工程と、を含み、
ポリマー膜は、誘電正接が0.01以下であり、
ポリマー溶液の硬化膜は、前駆体の加熱開始時において、溶存酸素量が500ppm以下である、ポリマー膜の製造方法。
<10> 前駆体を作製する工程では、基材と、ポリマー溶液の硬化膜との間に、離型層が配置された前駆体を作製する、<9>に記載のポリマー膜の製造方法。
<11> 基材は、酸素透過係数が0.1cm/m・day以下である、<9>又は<10>に記載のポリマー膜の製造方法。
<12> 基材は、金属基材である、<11>に記載のポリマー膜の製造方法。
<13> 前駆体を作製した後、作製された前駆体をロール状に巻き取る工程をさらに含み、
ポリマー膜を形成する工程では、ロール状に巻き取られた前駆体を加熱する、<9>~<12>のいずれか1つに記載のポリマー膜の製造方法。
<14> 前駆体をロール状に巻き取る工程は、窒素雰囲気下で実施される、<13>に記載のポリマー膜の製造方法。
<15> ポリマー溶液は、さらに、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、<9>~<14>のいずれか1つに記載のポリマー膜の製造方法。
<16> 酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量は、ポリマー溶液の固形分の全量に対して、0.0001質量%~10質量%である、<15>に記載のポリマー膜の製造方法。
<17> 前駆体を作製する工程では、基材と、ポリマー溶液の硬化膜との間に、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む層が配置された前駆体を作製する、<9>~<16>のいずれか1つに記載のポリマー膜の製造方法。
<18> ポリマー膜を形成する工程では、加熱時間が0.1分~10時間である、<9>~<17>のいずれか1つに記載のポリマー膜の製造方法。
<19> ポリマー膜を形成する工程は、酸素濃度が500ppm以上の雰囲気下で実施される、<9>~<18>のいずれか1つに記載のポリマー膜の製造方法。
<20> <1>~<8>のいずれか1つに記載のポリマー膜と、金属基材と、を貼り合わせる工程を、含む、積層体の製造方法。
<21> <9>~<19>のいずれか1つに記載のポリマー膜の製造方法を用いてポリマー膜を形成する工程と、
形成されたポリマー膜と、金属基材と、を貼り合わせる工程を、含む、積層体の製造方法。
<22> 金属基材は、ポリマー膜と貼り合わせる面の表面粗さRaが1.0μm以下である、<20>又は<21>に記載の積層体の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、従来と比較して誘電正接の低いポリマー膜及びその製造方法、並びに、ポリマー膜を用いた積層体及びその製造方法が提供される。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel SuperHM-H(東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤PFP(ペンタフルオロフェノール)/クロロホルム=1/2(質量比)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
[ポリマー膜]
本開示に係るポリマー膜は、ポリマーと、A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含み、A群は、酸素反応性化合物、及び酸素反応性化合物と酸素との反応生成物の少なくとも一方であり、B群は、酸素吸着性化合物、及び酸素吸着性化合物の酸素吸着物の少なくとも一方であり、軟化温度が190℃以上である。
本発明者が鋭意検討した結果、上記構成をとることにより、従来と比較して誘電正接の低いポリマー膜を提供できることを見出した。
上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
本開示に係るポリマー膜は、A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むため、ポリマーの結晶性が向上し、誘電正接が低下したと考えられる。
これに対して、特許文献1では、上記A群及び上記B群を含むという点には着目していない。
以下、本開示に係るポリマー膜について、詳細に説明する。
本開示に係るポリマー膜は、単離された膜であってもよく、基材上に形成された膜であってもよい。ポリマー膜が、単離された膜である場合には、ポリマーフィルムともいう
本開示に係るポリマー膜は、ポリマーと、A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含む。A群は、酸素反応性化合物、及び酸素反応性化合物と酸素との反応生成物の少なくとも一方である。B群は、酸素吸着性化合物、及び酸素吸着性化合物の酸素吸着物の少なくとも一方である。
(A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物)
酸素反応性化合物とは、酸素に対する反応性を有する化合物を意味する。酸素反応性化合物と酸素との反応生成物とは、酸素反応性化合物が酸素と反応することによって生成される化合物を意味する。
酸素反応性化合物としては、例えば、オキシム化合物、ヒドロキシルアミン化合物、及びN置換アミノ複素環式化合物が挙げられる。中でも、酸素との反応速度の観点から、酸素反応性化合物は、ヒドロキシルアミン化合物とN置換アミノ複素環式化合物の併用であることが好ましい。
オキシム化合物としては、例えば、メチルエチルケトオキシム、ジメチルケトオキシム、メチルプロピルケトオキシム、及びメチルブチルケトオキシムが挙げられる。
ヒドロキシルアミン化合物としては、例えば、ジエチルヒドロキシルアミン及びジイソプロピルヒドロキシルアミンが挙げられる。中でも、ヒドロキシルアミン化合物は、ジエチルヒドロキシルアミンであることが好ましい。
N置換アミノ複素環式化合物としては、例えば、1-アミノ-4-メチルピペラジン、1-アミノピロリジン、1-アミノピペリジン、N-アミノモルホリン、N-アミノヘキサメチレンイミンが挙げられる。中でも、N置換アミノ複素環式化合物は、1-アミノ-4-メチルピペラジン又は1-アミノピロリジンであることが好ましい。
酸素吸着性化合物とは、酸素原子との間に化学的な結合を形成することなく酸素を存在させることができる性質を有する化合物を意味する。酸素吸着性化合物の酸素吸着物とは、酸素を吸着した状態にある酸素吸着性化合物を意味する。
酸素吸着性化合物は、多孔質構造を有することが好ましい。酸素吸着性化合物としては、例えば、ゼオライト、多孔質珪酸カルシウム、及び多孔質シリカが挙げられる。
A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量は、ポリマー前駆体の反応率を向上させる観点から、ポリマー膜の全量に対して、0.0001質量%~10質量%であることが好ましく、0.001質量%~1質量%であることがより好ましい。ポリマー膜に、上記A群及びB群からなる群より選択される化合物が2種以上含まれている場合には、上記含有量は、合計含有量を意味する。
本開示に係るポリマー膜は、誘電正接が0.01以下であり、0.005以下であることが好ましく、0を超え0.003以下であることがより好ましい。
(ポリマー)
本開示に係るポリマー膜は、ポリマーを含有する。
本開示に係るポリマー膜に含まれるポリマーは、誘電正接が0.01以下であることが好ましく、0.005以下であることがより好ましく、0を超え0.003以下であることがさらに好ましい。
本開示において、誘電正接は、周波数10GHzで共振摂動法により測定される。ネットワークアナライザ(Agilent Technology社製「E8363B」)に10GHzの空洞共振器((株)関東電子応用開発CP531)を接続し、空洞共振器にサンプル(幅:2.0mm×長さ:80mmを挿入し、温度25℃、湿度60%RH環境下、96時間の挿入前後の共振周波数の変化から誘電正接を測定する。
誘電正接が0.01以下のポリマーとしては、例えば、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリマー;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性ポリマーが挙げられる。
中でも、誘電正接の観点から、本開示に係るポリマー膜に含まれるポリマーは、液晶ポリマーであることが好ましい。
液晶ポリマーは、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーであってもよく、溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマーであってもよい。また、サーモトロピック液晶の場合は、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶ポリエステル、液晶ポリエステルにアミド結合が導入された液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルにエーテル結合が導入された液晶ポリエステルエーテル、及び、液晶ポリエステルにカーボネート結合が導入された液晶ポリエステルカーボネートが挙げられる。
また、液晶ポリマーは、液晶性の観点から、芳香環を有するポリマーであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることがより好ましい。
さらに、液晶ポリマーは、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドに、イミド結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
また、液晶ポリマーは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリマーであることが好ましい。
液晶ポリマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
1)(i)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、(ii)芳香族ジカルボン酸と、(iii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重縮合させてなるもの。
3)(i)芳香族ジカルボン酸と、(ii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
4)(i)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、(ii)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重縮合させてなるもの。
ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンはそれぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重縮合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリマーは、液晶性の観点から、下記式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位(以下、式(1)で表される構成単位等を、単位(1)等ということがある。)を有することが好ましく、下記式(1)で表される構成単位を有することがより好ましく、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、下記式(3)で表される構成単位とを有することが特に好ましい。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基及びn-デシル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
上記アリール基の例としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基及び2-ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは6~20である。
上記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される上記基毎にそれぞれ独立に、好ましくは2個以下であり、より好ましくは1個である。
上記アルキレン基の例としては、メチレン基、1,1-エタンジイル基、1-メチル-1,1-エタンジイル基、1,1-ブタンジイル基及び2-エチル-1,1-ヘキサンジイル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
単位(1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位である。
単位(1)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(p-ヒドロキシ安香酸に由来する構成単位)、及びArが2,6-ナフチレン基であるもの(6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位)、又は、4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4’-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸に由来する構成単位)が好ましい。
単位(2)は、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位である。
単位(2)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する構成単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成単位)、Arが2,6-ナフチレン基であるもの(2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位)、又は、Arがジフェニルエーテル-4,4’-ジイル基であるもの(ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸に由来する構成単位)が好ましい。
単位(3)は、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する構成単位である。
単位(3)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p-アミノフェノール又はp-フェニレンジアミンに由来する構成単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成単位)、又は、Arが4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル又は4,4’-ジアミノビフェニルに由来する構成単位)が好ましい。
単位(1)の含有量は、全構成単位の合計量(液晶ポリマーを構成する各構成単位の質量をその各単位の式量で割ることにより、各単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%~80モル%、更に好ましくは30モル%~60モル%、特に好ましくは30モル%~40モル%である。
単位(2)の含有量は、全構成単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
単位(3)の含有量は、全構成単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性、強度及び剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
単位(2)の含有量と単位(3)の含有量との割合は、[単位(2)の含有量]/[単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1~1/0.9、より好ましくは0.95/1~1/0.95、更に好ましくは0.98/1~1/0.98である。
なお、液晶ポリマーは、単位(1)~単位(3)をそれぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリマーは、単位(1)~単位(3)以外の他の構成単位を有してもよいが、他の構成単位の含有量は、全単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリマーは、単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する構成単位及び芳香族ジアミンに由来する構成単位の少なくとも一方を有することが、溶媒に対する溶解性が優れるので、好ましく、単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるもののみを有することが、より好ましい。
液晶ポリマーは、液晶ポリマーを構成する構成単位に対応する原料モノマーを溶融重合させることにより製造することが好ましい。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1-メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物などが挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。なお、溶融重合は、必要に応じて、更に固相重合させてもよい。
液晶ポリマーの流動開始温度は、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃以上350℃以下、更に好ましくは260℃以上330℃以下である。液晶ポリマーの流動開始温度が上記範囲であると、溶解性、耐熱性、強度及び剛性に優れ、また、溶液の粘度が適度である。
流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリマーを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4,800Pa・s(48,000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリマーの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー-合成・成形・応用-」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
また、液晶ポリマーの重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、3,000~300,000であることがより好ましく、5,000~100,000であること更に好ましく、5,000~30,000であることが特に好ましい。この液晶ポリマーの重量平均分子量が上記範囲であると、ポリマー膜において、厚み方向の熱伝導性、耐熱性、強度及び剛性に優れる。
ポリマーの含有量は、ポリマー膜の全量に対して、50質量%~99.99質量%であることが好ましく、80質量%~99.9質量%であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
本開示に係るポリマー膜は、ポリマー、並びに、上記A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができる。具体的には、例えば、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
本開示に係るポリマー膜は、ハンダ付けにおける耐熱性の観点から、軟化温度が190℃以上であり、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。軟化温度は、JIS K7196:2012に規定する軟化温度である。軟化温度の上限値は特に限定されず、軟化温度は500℃以下であることが好ましい。
本開示において、軟化温度は、熱機械分析装置を用いて測定される値であり、例えば、リガク社製の「TMA8310」を用いて測定される値である。
本開示に係るポリマー膜は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。
本開示に係るポリマー膜は、金属基材等の基材に設ける膜として用いられてもよい。
本開示に係るポリマー膜は、例えば、金属基材との密着性の観点から、ポリマー、並びに、上記A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む層Aと、層A上に配置され、接着剤を含む層Bとを含むことが好ましい。例えば、ポリマー膜の層B側を金属基材と貼り合わせることにより、密着性に優れた積層体を得ることができる。
層Aに含まれるポリマーの含有量は、層Aの全量に対して、25質量%~99質量%であることが好ましく、40質量%~60質量%であることがより好ましい。
層Aの平均厚みは特に限定されないが、5μm~100μmであることが好ましく、10μm~80μmであることがより好ましく、20μm~70μmであることがさらに好ましい。
層Bにおける接着剤の含有量は、層Bの全量に対して、5質量%~75質量%であることが好ましく、10質量%~50質量%であることがより好ましい。
層Bの平均厚みは特に限定されないが、1μm~10μmであることが好ましく、1μm~5μmであることがより好ましい。
本開示に係るポリマー膜における各層の平均厚みは、以下の方法を用いて測定される。
配線基板をミクロトームで切削し、断面を光学顕微鏡で観察して、各層の厚みを評価する。断面サンプルは3ヶ所以上切り出し、各断面において、3点以上厚みを測定し、それらの平均値を平均厚みとする。
[積層体]
本開示に係る積層体は、上記ポリマー膜と、ポリマー膜の少なくとも一方の面上に配置され、酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層と、を含むことが好ましい。
本開示において、酸素透過係数は、酸素ガス透過率測定装置を用いて測定され、例えば、測定温度23℃、相対湿度90%の条件下で、酸素ガス透過率測定装置(商品名「OX-TRAN 2/20」、MOCON社製)を用いて測定される。
酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層における酸素透過係数は、前駆体の反応率を向上させる観点から、0.05cm/m・day以下であることが好ましく、0.005cm/m・day以下であることがより好ましい。酸素透過係数の下限値は特に限定されず、例えば、0.001cm/m・dayである。
酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層は、金属層であることが好ましい。金属層を構成する金属としては、例えば、銀、銅、及びアルミニウムが挙げられる。
密着性の観点から、ポリマー膜の熱膨張係数と、酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層の熱膨張係数との差は、30ppm/K以下であることが好ましく、10ppm/K以下であることがより好ましい。上記差の下限値は特に限定されず、例えば5ppm/Kである。
ポリマー膜の熱膨張係数は、5ppm/K~30ppm/Kであることが好ましく、10ppm/K~20ppm/Kであることがより好ましい。
酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層の熱膨張係数は、0ppm/K~25ppm/Kであることが好ましく、10ppm/K~20ppm/Kであることがより好ましい。
本開示において、熱機械分析装置(TMA)を用いて測定される値であり、例えば、リガク社製の「TMA8310」を用いて測定される。
[ポリマー膜の製造方法]
本開示に係るポリマー膜の製造方法は、ポリマー及び溶媒を含むポリマー溶液を準備する工程(ポリマー溶液準備工程)と、基材と、基材上に形成された、ポリマー溶液の硬化膜と、を有する前駆体を作製する工程(前駆体作製工程)と、前駆体を加熱して、基材上にポリマー膜を形成する工程(ポリマー膜形成工程)と、を含む。
(ポリマー溶液準備工程)
本開示に係るポリマー膜の製造方法は、ポリマー及び溶媒を含むポリマー溶液を準備する工程を含む。
ポリマー溶液準備工程で準備するポリマー溶液に含まれるポリマーの好ましい態様は、上記ポリマー膜に含まれるポリマーの好ましい態様と同様である。
ポリマー溶液準備工程で準備するポリマー溶液は、1種であってもよく2種以上であってもよい。例えば、ポリマー膜を層A及び層Bからなる2層構造とする場合には、層A用ポリマー溶液と、層B用ポリマー溶液と、を準備する。
ポリマー溶液準備工程で準備するポリマー溶液に含まれる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1-クロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p-クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn-ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられる。
溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましい。溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。また、上記非プロトン性化合物は、液晶ポリマーを溶解し易いことから、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N-メチルピロリドン等のアミド又はγ-ブチロラクトン等のエステルであることが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、又はN-メチルピロリドンがより好ましい。
誘電正接を低下させる観点から、ポリマー溶液は、さらに、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物の好ましい態様は、上記ポリマー膜に含まれる得る酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物の好ましい態様と同様である。
酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、前駆体の反応率を向上させる観点から、ポリマー溶液の固形分の全量に対して、0.0001質量%~10質量%であることが好ましく、0.001質量%~1質量%であることがより好ましい。
ポリマー溶液に、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種が含まれていると、ポリマー溶液中の溶存酸素量が低下する。また、ポリマー溶液の硬化膜中の溶存酸素量が低下する。そのため、後述するポリマー膜形成工程において、大気雰囲気下で前駆体を加熱した場合にも、誘電正接の低いポリマー膜が得られる。
(前駆体作製工程)
本開示に係るポリマー膜の製造方法は、基材と、基材上に形成された、ポリマー溶液の硬化膜と、を有する前駆体を作製する工程を含む。
基材は、ポリマー膜の誘電正接を低下させる観点から、酸素透過係数が0.1cm/m・day以下であることが好ましく、0.05cm/m・day以下であることがより好ましく、0.005cm/m・day以下であることがさらに好ましい。上記酸素透過係数の下限値は特に限定されず、例えば、0.001cm/m・dayである。酸素透過係数の測定方法は、上記のとおりである。
基材は、金属基材であることが好ましい。金属基材を構成する金属は、アルミニウムであることが好ましい。
基材の厚みは特に限定されないが、1μm~50μmであることが好ましく、5μm~25μmであることがより好ましい。
以下、基材上にポリマー溶液の硬化膜を形成する方法を例示する。ポリマー溶液の硬化膜が形成される基材は、ポリマー溶液を付与する基材と同じであってもよく、異なっていてもよい。
-方法1
基材上にポリマー溶液を付与し、乾燥させる。ポリマー溶液の付与方法としては、例えば、流延法及び塗布法が挙げられる。また、ポリマー膜を多層構造とする場合には、例えば、共流延法及び重層塗布法が挙げられる。乾燥方法は特に限定されず、自然乾燥であってもよく、温風等を用いた加熱乾燥であってもよい。ポリマー溶液を乾燥させて、溶媒を除去することにより、基材上に、ポリマー溶液の硬化膜が形成される。
-方法2-
第1基材上にポリマー溶液を付与し、乾燥させる。第1基材上に、ポリマー溶液の硬化膜が形成される。その後、ポリマー溶液を第2基材上に転写させる。これにより、第2基材上にポリマー溶液の硬化膜が形成される。
ポリマー溶液の硬化膜の厚みは、特に限定されないが、5μm~200μmであることが好ましく、10μm~100μmであることがより好ましい。
前駆体作製工程では、基材と、ポリマー溶液の硬化膜との間に、離型層が配置された前駆体を作製することが好ましい。基材と、ポリマー溶液の硬化膜との間に、離型層を設けることにより、ポリマー膜が形成された後に、ポリマー膜が剥離されやすい。
離型層は、例えば、公知の離型剤を含む組成物を、基材上に付与して乾燥させることにより形成される。
前駆体作製工程では、基材と、ポリマー溶液の硬化膜との間に、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む層が配置された前駆体を作製することが好ましい。基材と、ポリマー溶液の硬化膜との間に、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む層を設けることにより、ポリマー溶液中の溶存酸素量が低下する。また、ポリマー溶液の硬化膜中の溶存酸素量が低下する。そのため、後述するポリマー膜形成工程において、大気雰囲気下で前駆体を加熱した場合にも、誘電正接の低いポリマー膜が得られる。
なお、剥離性及び誘電正接の低下の観点から、離型層に、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種が含まれていることが好ましい。すなわち、前駆体作製工程では、基材と、ポリマー溶液の硬化膜との間に、離型剤と、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含む層が配置された前駆体を作製することが好ましい。
また、前駆体作製工程では、基材と、ポリマー溶液の硬化膜との間に、離型層と、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む層の両方が配置された前駆体を作製してもよい。この場合、積層させる順番は、基材、離型層、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む層、ポリマー溶液の硬化膜であってもよく、基材、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む層、離型層、ポリマー溶液の硬化膜であってもよい。
(ポリマー膜形成工程)
本開示に係るポリマー膜の製造方法は、前駆体を加熱して、基材上にポリマー膜を形成する工程を含む。ポリマー溶液の硬化膜が加熱されて、ポリマー膜が形成される。
本開示に係るポリマー膜の製造方法では、ポリマー溶液の硬化膜は、前駆体の加熱開始時において、溶存酸素量が500ppm以下である。溶存酸素量が500ppm以下であるため、誘電正接の低いポリマー膜が得られる。溶存酸素量の下限値は特に限定されず、溶存酸素量は0ppm超であることが好ましい。
前駆体の加熱開始時とは、前駆体に対して熱の付与を開始した時点のことをいう。
ポリマー溶液の硬化膜における溶存酸素量は、前駆体の加熱開始時において、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。
本開示において、溶存酸素量は、溶存酸素計を用いて測定され、例えば、ハック・ウルトラ社製のポータブル酸素アナライザー「ORBISPHERE 3650」を用いて測定される。
ポリマー膜形成工程において、前駆体を加熱する際の加熱温度は、100℃~400℃であることが好ましい。また、前駆体を加熱する際の加熱時間は0.1分~10時間であることが好ましい。加熱温度及び加熱時間は、ポリマーの種類に応じて適宜変更することができ、触媒の添加等の別の手段によって、低温化又は短時間化することもできる。
ポリマー膜形成工程は、不活性ガス雰囲気下で実施されてもよく、酸素を含む雰囲気下で実施されてもよい。製造効率の観点から、ポリマー膜形成工程は、酸素濃度が500ppm以上の雰囲気下で実施されることが好ましく、大気雰囲気下で実施されることがより好ましい。従来、誘電正接を低下させるために、不活性ガス雰囲気下で実施されていた。しかし、本開示に係るポリマー膜の製造方法では、ポリマー溶液の硬化膜は、前駆体の加熱開始時において、溶存酸素量が500ppm以下であるため、大気雰囲気下で前駆体を加熱した場合にも、誘電正接の低いポリマー膜が得られる。
(前駆体巻き取り工程)
本開示に係るポリマー膜の製造方法は、前駆体作製工程の後に、作製された前駆体をロール状に巻き取る工程をさらに含むことが好ましい。また、ポリマー膜形成工程では、ロール状に巻き取られた前駆体を加熱することが好ましい。前駆体をローラーで搬送して加熱する場合と比較して、製造効率に優れる。
ロール状に巻き取る工程は、窒素雰囲気下で実施されることが好ましい。窒素雰囲気下で実施することにより、前駆体の加熱開始時において、ポリマー溶液の硬化膜の溶存酸素量をより低下させることができる。
(その他の工程)
本開示に係るポリマー膜の製造方法は、ポリマー膜形成工程の後に、基材からポリマー膜を剥離する工程を含んでいてもよい。基材からポリマー膜を剥離することにより、ポリマーフィルムとして得られ、他の用途へ適用することができる。
[積層体の製造方法]
本開示に係る積層体の製造方法は、本開示に係るポリマー膜と、金属基材と、を貼り合わせる工程を、含むことが好ましい。
また、本開示に係る積層体の製造方法は、本開示に係るポリマー膜の製造方法を用いてポリマー膜を形成する工程と、形成されたポリマー膜と、金属基材と、を貼り合わせる工程を、含むことが好ましい。
金属基材は、ポリマー膜と貼り合わせる面の表面粗さRaが1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。表面粗さRaが1.0μm以下であると、ポリマー膜と金属基材との界面における表面抵抗が低下する。表面粗さRaの下限値は特に限定されず、表面粗さRaは0.001μm以上であることが好ましい。
表面粗さRaは、表面粗さ計を用いて算出され、例えば、小坂研究所製の触針式表面粗さ計「サーフコーダSE3500」を用い、JIS B0601:2013の算術平均表面粗さRaの算出方法に基づいて算出される。
金属基材を構成する金属は、銅又は銀であることが好ましい。
金属基材の厚みは特に限定されないが、1μm~50μmであることが好ましく、5μm~25μmであることがより好ましい。
ポリマー膜と金属基材とを貼り合わせる方法は特に限定されず、公知のラミネート方法を用いることができる。
本開示に係る積層体における金属基材を、例えば、エッチングにより所望の回路パターンに加工し、フレキシブルプリント回路基板することも好ましい。エッチング方法としては、特に制限はなく、公知のエッチング方法を用いることができる。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた材料の詳細は、以下のとおりである。
<液晶ポリマー>
LC-A:下記製造方法に従って作製した液晶ポリマー
-LC-Aの製造-
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、4-ヒドロキシアセトアミノフェン377.9g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸867.8g(8.4モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温(23℃)から140℃まで60分かけて昇温し、140℃で3時間還流させた。
次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から300℃まで5時間かけて昇温し、300℃で30分保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(B1)を得た。
上記で得た液晶ポリエステル(B1)を、窒素雰囲気下、室温から160℃まで2時間20分かけて昇温し、次いで160℃から180℃まで3時間20分かけて昇温し、180℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却し、次いで、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(B2)を得た。
上記で得た液晶ポリエステル(B2)を、窒素雰囲気下、室温(23℃)から180℃まで1時間25分かけて昇温し、次いで180℃から255℃まで6時間40分かけて昇温し、255℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(LC-A)を得た。得られたLC-Aを窒素雰囲気下、280℃3時間加熱したサンプルの誘電正接は0.01以下であった。
<添加剤>
-酸素反応性化合物-
A-1:ジエチルヒドロキシルアミン及び1-アミノ-4-メチルピペラジンを、質量比が4:3になるようにし、合計添加量が表1に記載の量となるように用いた。
A-2:ジエチルヒドロキシルアミン及び1-アミノピロリジンを、質量比が3:4になるようにし、合計添加量が表1に記載の量となるように用いた。
-酸素吸着性化合物-
B-1:ジャイロライト型珪酸カルシウムと無定型二酸化珪素とからなる花冠状の湾曲板状結晶からなる珪酸カルシウム系化合物粉体(フローライトR、(株)トクヤマ製)を用いた。
B-2:平均一次粒径20nmの疎水性シリカ(NX90S(ヘキサメチルジシラザンで表面処理、日本アエロジル(株)製)を用い、固形分量が表1に記載の量となるように用いた。)
-接着剤-
M-1:低誘電接着剤(ポリマー型の硬化性化合物を主として含むSLKシリーズ(信越化学工業(株)製の熱硬化性樹脂)のワニス)
<離型層付きアルミニウム箔>
(AL-1)
シリコーン系離型処理剤(製品名「SYL-OFF(登録商標)SD7226ディスパージョン」、ダウ・ケミカル社製)15,000質量部、トルエン15,000質量部、触媒(製品名「DOWSIL(登録商標)SRX 212 キャタリスト」、ダウ・ケミカル社製)150質量部、及び、0-を混合して離型剤を得た。続けて、厚さ100μmの軟質アルミニウム箔上に離型剤をコーティングし、120℃で乾燥することにより、厚さ10μmの離型層を形成した。更に、同様に裏面にも厚さ1μmの離型層を形成することで、離型層付きのアルミニウム箔AL-1を作製した。
(AL-2)
離型剤の調製においてA-1を添加しなかったこと以外は、離型層付きのアルミニウム箔AL-1と同様の方法で、離型剤付きのアルミニウム箔AL-2を作製した。
本開示のポリマー膜に対応する例を実施例1~6及び比較例1に示す。
[実施例1~実施例6、比較例1]
共流延法を用いて、片面銅張積層板の作製を行った。
〔共流延(溶液製膜)〕
-ポリマー溶液の調製-
LC-A及び表1に記載の添加剤を、N-メチルピロリドンに加え、窒素雰囲気下、140℃4時間撹拌した。公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させた後、さらに上記と同じ公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させ、層A用の液晶ポリマー溶液と層B用の液晶ポリマー溶液をそれぞれ調製した(ポリマー溶液準備工程)。LC-Aと添加剤は、表1に記載の質量比率で添加し、固形分濃度はそれぞれ10質量%とした。
なお、ポリマー溶液に溶解しない添加剤(B1及びB2)は、フィルター通過後に添加、混合した。
-片面銅張積層板の作製-
層A用のポリマー溶液と、層B用のポリマー溶液とを、共流延用に調整したマルチマニホールドを装備した流延ダイに送液し、銅箔(福田金属箔粉工業(株)製、CF-T9DA-SV-12、平均厚み12μm;金属基材(金属層))の処理面上に、層Bが銅箔に接するように流延した。40℃にて4時間乾燥することにより、流延膜から溶媒を除去し、銅箔上に、層B及び層A(ポリマー溶液の硬化膜)をこの順に有する前駆体を得た(前駆体作製工程)。次に、得られた前駆体を15m/分の速度で、長さ2000mだけ巻き取ってロールを作製した(前駆体巻き取り工程)。この際、ロールの層Aにおける溶存酸素量は500ppm以上であった。得られたロールを、大気雰囲気下、280℃で3時間加熱した(ポリマー膜形成工程)。銅箔と、層Bと、層Aとをこの順に有する積層体(片面銅張積層板)を得た。層Bの平均厚みは3μm、層Aの平均厚みは47μmであった。
なお、片面銅張積層板における銅箔(金属層)は、酸素透過係数が0.01cm/m・day未満であり、熱膨張係数が16ppm/Kであった。
得られた片面銅張積層板を用いて、ポリマー膜の軟化温度、誘電正接、及び熱膨張係数を測定した。測定方法は、以下のとおりである。
<軟化温度>
熱機械分析装置(TMA)を用いて、5℃/分の速度で昇温しながらプローブの侵入深さを測定し、侵入深さの変化が偏奇し始める温度を軟化温度とした。
<誘電正接>
誘電正接は周波数10GHzで共振摂動法により測定した。ネットワークアナライザ(Agilent Technology社製「E8363B」)に10GHzの空洞共振器((株)関東電子応用開発CP531)を接続し、空洞共振器にポリマー膜のサンプル(幅:2.0mm×長さ:80mmを挿入し、温度25℃、湿度60%RH環境下、96時間の挿入前後の共振周波数の変化からポリマー膜の誘電正接を測定した。なお、銅箔は、測定前に、塩化第二鉄で除去した。
<熱膨張係数>
熱機械分析装置(TMA)を用いて、幅5mm、長さ20mmのポリマー膜の両端に1gの引張荷重をかけ、5℃/分の速度で25℃~200℃まで昇温した後、20℃/分の速度で30℃まで冷却し、再び5℃/分の速度で昇温したときの、30℃~150℃の間のTMA曲線の傾きから熱膨張係数を算出した。なお、銅箔は、測定前に、塩化第二鉄で除去した。
表1に、測定結果を示す。表1中、「熱膨張係数の差」は、ポリマー膜の熱膨張係数と、銅箔(金属層)の熱膨張係数との差を意味する。
Figure 2022184787000001

表1に示すように、実施例1~実施例6のポリマー膜は、ポリマーと、A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含み、A群は、酸素反応性化合物、及び酸素反応性化合物と酸素との反応生成物の少なくとも一方であり、B群は、酸素吸着性化合物、及び酸素吸着性化合物の酸素吸着物の少なくとも一方であり、軟化温度が190℃以上であるため、誘電正接が低いことが分かった。
一方、比較例1のポリマー膜には、A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が含まれておらず、誘電正接が高いことが分かった。
次に、本開示のポリマー膜の製造方法に対応する実施例及び比較例を以下に示す。
[実施例11]
-ポリマー溶液の調製(層a用)-
LC-AをN-メチルピロリドンに加え、窒素雰囲気下、140℃4時間撹拌し、液晶ポリマー溶液を得た。固形分濃度は8質量%とした。
続いて、公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させた後、さらに同じ公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させ、層a用のポリマー溶液を得た(ポリマー溶液準備工程)。
-ポリマー溶液の調製(層b用)-
LC-A及びM-1をN-メチルピロリドンに加え、窒素雰囲気下、140℃4時間撹拌し、液晶ポリマー溶液を得た。固形分濃度は8質量%とした。LC-AとM-1の質量比は1:1とした。
続いて、公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させた後、さらに同じ公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させ、層b用のポリマー溶液を得た。
-ポリマーフィルムの作製-
OPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)上に、層b用のポリマー溶液と、層a用のポリマー溶液とをこの順序で塗布した。各層は110℃で乾燥することにより、塗布膜から溶媒を除去し、OPPフィルム上に、層b及び層a(ポリマー溶液の硬化膜)をこの順に有する前駆体1を得た。次に、得られた前駆体1を、離型層付きのアルミニウム箔AL-1上に、厚さ10μmの離型層に接するように転写し、前駆体2を得た(前駆体作製工程)。次に、得られた前駆体2を15m/分の速度で、長さ2000mだけ巻き取ってロールを作製した(前駆体巻き取り工程)。得られたロールを、280℃で3時間加熱した(ポリマー膜形成工程)。アルミニウム箔と、離型層と、層a及び層b(ポリマー膜)とをこの順に有する積層体を得た。ポリマー膜を剥離して、ポリマーフィルムを得た。層bの平均厚みは3μm、層aの平均厚みは47μmであった。なお、全ての工程は、大気雰囲気下で実施された。なお、アルミニウム箔は、酸素透過係数が0.01cm/m・day未満であった。
-片面銅張積層板の作製-
得られたポリマーフィルム上に、銅箔(福田金属箔粉工業(株)製、CF-T9DA-SV-12、平均厚み12μm;金属基材)の処理面が、ポリマーフィルムの層b側と接するように銅箔を載せた。ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ社製「真空ラミネータV-130」)を使用して、140℃及びラミネート圧0.4MPaの条件で1分間のラミネート処理を行い、ラミネート体を得た。
熱圧着機(東洋精機製作所製「MP-SNL」)を用いて、得られたラミネート体を300℃及び4.5MPaの条件で10分間熱圧着することにより、銅箔とポリマーフィルムとを有する積層体(片面銅張積層板)を得た。
[実施例12]
実施例11における前駆体作製工程において、離型層付きのアルミニウム箔AL-1を離型層付きのアルミニウム箔AL-2に変更し、さらに、実施例11における前駆体巻き取り工程において、大気雰囲気下での実施を窒素雰囲気下での実施に変更したこと以外は、実施例11と同様の方法でポリマーフィルム及び積層体を得た。
[比較例11]
実施例11と同様の方法でポリマー溶液(層a用、層b用)を調製した。実施例1の層A用のポリマー溶液及び層B用のポリマー溶液を、調製した層a用のポリマー溶液及び層b用のポリマー溶液に代えて、実施例1と同様の方法で積層体(片面銅張積層板)を得た。
[比較例12]
実施例11における前駆体作製工程において、離型層付きのアルミニウム箔AL-1を離型層付きのアルミニウム箔AL-2に変更したこと以外は、実施例11と同様の方法でポリマーフィルム及び積層体を得た。
[比較例13]
特開2011-167847号公報の実施例1に準じて、ポリマーフィルムを作製した。
[比較例14]
比較例11におけるポリマー膜形成工程において、前駆体を窒素雰囲気下でローラー搬送しながら280℃で3時間加熱したこと以外は、比較例11と同様の方法で積層体(片面銅張積層板)を得た。
実施例11、実施例12、比較例12、及び比較例13では、得られたポリマーフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で、ポリマーフィルムの誘電正接及び熱膨張係数を測定した。比較例11及び比較例14では、得られた片面銅張積層板を用いて、実施例1と同様の方法で、ポリマー膜の誘電正接及び熱膨張係数を測定した。
また、前駆体の加熱開始時に、ポリマー溶液の硬化膜の溶存酸素量を測定した。測定方法は以下のとおりである。
<溶存酸素量>
ハック・ウルトラ社製のポータブル酸素アナライザー「ORBISPHERE 3650」を用いて測定した。
表2に、測定結果を示す。なお、表2には、実施例1も追加した。表2中、「脱酸素剤」とは、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物の少なくとも一方を意味する。
Figure 2022184787000002

表2に示すように、実施例1、実施例11及び実施例12では、ポリマー膜の製造方法において、前駆体の加熱開始時において、ポリマー溶液の硬化膜の溶存酸素量が500ppm以下であるため、誘電正接の低いポリマー膜が得られることが分かった。

Claims (23)

  1. ポリマーと、
    A群及びB群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含み、
    前記A群は、酸素反応性化合物、及び前記酸素反応性化合物と酸素との反応生成物の少なくとも一方であり、
    前記B群は、酸素吸着性化合物、及び前記酸素吸着性化合物の酸素吸着物の少なくとも一方であり、
    軟化温度が190℃以上である、ポリマー膜。
  2. 前記A群及び前記B群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量が、ポリマー膜の全量に対して、0.0001質量%~10質量%である、請求項1に記載のポリマー膜。
  3. 前記ポリマーは、誘電正接が0.01以下である、請求項1に記載のポリマー膜。
  4. 前記ポリマーは、液晶ポリマーである、請求項1に記載のポリマー膜。
  5. 前記液晶ポリマーは、式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位を有する、請求項4に記載のポリマー膜。
    式(1) -O-Ar-CO-
    式(2) -CO-Ar-CO-
    式(3) -X-Ar-Y-
    式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
    式(4) -Ar-Z-Ar
    式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
  6. 請求項1に記載のポリマー膜と、
    前記ポリマー膜の少なくとも一方の面上に配置され、酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層と、を含む積層体。
  7. 前記酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層が、金属層である請求項6に記載の積層体。
  8. 前記ポリマー膜の熱膨張係数と、前記酸素透過係数が0.1cm/m・day以下の層の熱膨張係数との差が、30ppm/K以下である、請求項6に記載の積層体。
  9. ポリマー及び溶媒を含むポリマー溶液を準備する工程と、
    基材と、前記基材上に形成された、前記ポリマー溶液の硬化膜と、を有する前駆体を作製する工程と、
    前記前駆体を加熱して、前記基材上にポリマー膜を形成する工程と、を含み、
    前記ポリマー膜は、誘電正接が0.01以下であり、
    前記ポリマー溶液の硬化膜は、前記前駆体の加熱開始時において、溶存酸素量が500ppm以下である、ポリマー膜の製造方法。
  10. 前記前駆体を作製する工程では、前記基材と、前記ポリマー溶液の硬化膜との間に、離型層が配置された前駆体を作製する、請求項9に記載のポリマー膜の製造方法。
  11. 前記基材は、酸素透過係数が0.1cm/m・day以下である、請求項9に記載のポリマー膜の製造方法。
  12. 前記基材は、金属基材である、請求項11に記載のポリマー膜の製造方法。
  13. 前記前駆体を作製した後、作製された前駆体をロール状に巻き取る工程をさらに含み、
    前記ポリマー膜を形成する工程では、ロール状に巻き取られた前駆体を加熱する、請求項9に記載のポリマー膜の製造方法。
  14. 前記前駆体をロール状に巻き取る工程は、窒素雰囲気下で実施される、請求項13に記載のポリマー膜の製造方法。
  15. 前記ポリマー溶液は、さらに、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項9に記載のポリマー膜の製造方法。
  16. 前記酸素反応性化合物及び前記酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量は、前記ポリマー溶液の固形分の全量に対して、0.0001質量%~10質量%である、請求項15に記載のポリマー膜の製造方法。
  17. 前記前駆体を作製する工程では、前記基材と、前記ポリマー溶液の硬化膜との間に、酸素反応性化合物及び酸素吸着性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む層が配置された前駆体を作製する、請求項9に記載のポリマー膜の製造方法。
  18. 前記ポリマー膜を形成する工程では、加熱時間が0.1分~10時間である、請求項9に記載のポリマー膜の製造方法。
  19. 前記ポリマー膜を形成する工程は、酸素濃度が500ppm以上の雰囲気下で実施される、請求項9に記載のポリマー膜の製造方法。
  20. 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のポリマー膜と、金属基材と、を貼り合わせる工程を、含む、積層体の製造方法。
  21. 請求項9~請求項19のいずれか1項に記載のポリマー膜の製造方法を用いてポリマー膜を形成する工程と、
    形成されたポリマー膜と、金属基材と、を貼り合わせる工程を、含む、積層体の製造方法。
  22. 前記金属基材は、前記ポリマー膜と貼り合わせる面の表面粗さRaが1.0μm以下である、請求項20に記載の積層体の製造方法。
  23. 前記金属基材は、前記ポリマー膜と貼り合わせる面の表面粗さRaが1.0μm以下である、請求項21に記載の積層体の製造方法。
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