JP2022085734A - 液晶ポリマーフィルム及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】密着性に優れる液晶ポリマーフィルム、及び、上記液晶ポリマーフィルムを用いた積層体の提供。【解決手段】液晶ポリマーを含み、少なくとも一方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、液晶ポリマーフィルム、及び、上記液晶ポリマーフィルムを用いた積層体。【選択図】なし

Description

本開示は、液晶ポリマーフィルム及び積層体に関する。
近年、通信機器に使用される周波数は非常に高くなる傾向にある。高周波帯域における伝送損失を抑えるため、回路基板に用いられる絶縁材料の比誘電率と誘電正接とを低くすることが要求されている。
従来、回路基板に用いられる絶縁材料として、ポリイミドが多く用いられてきたが、高耐熱性及び低吸水性であり、かつ、高周波帯域での損失が小さい液晶ポリマーが注目されている。
従来の液晶ポリマーフィルムとしては、例えば、特許文献1には、少なくとも液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステルフィルムであって、第1の配向度を、上記液晶ポリエステルフィルムの主面に平行な第1の方向に対する配向度とし、第2の配向度を、上記主面に平行であり、かつ上記第1の方向と直交する第2の方向に対する配向度としたとき、上記第1の配向度と上記第2の配向度との比である第1の配向度/第2の配向度が0.95以上1.04以下であり、上記主面に平行な方向において広角X線散乱法により測定される上記液晶ポリエステルの第3の配向度が60.0%以上である、液晶ポリエステルフィルムが記載されている。
また、表面に凹凸を有するフィルムとして、特許文献2には、熱可塑性樹脂シートの両面に微細な凹凸からなるエンボスが形成された合わせガラス用中間膜において、少なくとも片面のエンボスの表面粗さは、Raが3.5~7.0μmであり、且つRab/Ra比が百分率で15~25%であることを特徴とする合わせガラス用中間膜が記載されている。
特開2020-26474号公報 特開2000-203900号公報
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、密着性に優れる液晶ポリマーフィルムを提供することである。
また、本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記液晶ポリマーフィルムを用いた積層体を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1>液晶ポリマーを含み、少なくとも一方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、液晶ポリマーフィルム。
<2>両方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、<1>に記載の液晶ポリマーフィルム。
<3>上記液晶ポリマーの融点Tmが280℃以上である、<1>又は<2>に記載の液晶ポリマーフィルム。
<4>線膨張係数が、-20ppm/K~50ppm/Kである、<1>~<3>のいずれか1つに記載の液晶ポリマーフィルム。
<5>誘電正接が0.01以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の液晶ポリマーフィルム。
<6>フィラーを含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の液晶ポリマーフィルム。
<7>上記フィラーの数密度が、上記表面粗さRzが10nm~5000nmである表面より内部の方が大きい、<6>に記載の液晶ポリマーフィルム。
<8>上記液晶ポリマーが、式(1)~式(3)のいずれかで表される構成繰り返し単位を有する、<1>~<7>のいずれか1つに記載の液晶ポリマーフィルム。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Arで表される上記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
<9>層Aと、上記層Aの少なくとも一方の面に設けられた層Bとを有し、上記層Bの表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、<1>~<9>のいずれか1つに記載の液晶ポリマーフィルム。
<10>層Cを更に有し、上記層Bと、上記層Aと、上記層Cとをこの順で有し、上記層Cの表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、<10>に記載の液晶ポリマーフィルム。
<11><10>又は<11>に記載の液晶ポリマーフィルムと、上記液晶ポリマーフィルムにおける上記層B側の面に配置された銅層と、を有する積層体。
<12>上記層Bの厚みが、上記銅層の厚みより大きい、<12>に記載の積層体。
<13>上記層Bと上記銅層との剥離強度が、0.5kN/m以上である<11>又は<12>に記載の積層体。
<14><10>に記載の液晶ポリマーフィルムと、上記液晶ポリマーフィルムの上記層B側の面に配置された銅層と、上記液晶ポリマーフィルムの上記層C側の面に配置された銅層とを有する積層体。
<15>層Cと上記層C側の面に配置された上記銅層との剥離強度が、0.5kN/m以上である<14>に記載の積層体。
本発明の一実施形態によれば、密着性に優れる液晶ポリマーフィルムを提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、上記液晶ポリマーフィルムを用いた積層体を提供することができる。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel SuperHM-H(東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤PFP(ペンタフルオロフェノール)/クロロホルム=1/2(質量比)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
(液晶ポリマーフィルム)
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、液晶ポリマーを含み、少なくとも一方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである。
従来の液晶ポリマーフィルムは、例えば、銅箔と接着した際、又は、液晶ポリマーフィルム同士を接着した際に、密着性に劣ることが分かった。
本発明者が鋭意検討した結果、上記構成をとることにより、密着性に優れる液晶ポリマーフィルムを提供できることを見出した。
上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムでは、少なくとも一方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmであり、表面平滑性が高すぎず、かつ、表面粗さが大きくなりすぎず、適度な粗さであることにより、接着界面に気泡等が生じることがなく、他の層との密着性に優れるものと考えられる。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムでは、密着性の観点から、少なくとも一方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmであり、20nm~1000nmであることが好ましく、50nm~500nmであることがより好ましい。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムでは、密着性の観点から、両方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmであることが好ましく、20nm~1000nmであることがより好ましく、50nm~500nmであることが更に好ましい。
本開示において「表面粗さRz」とは、基準長さにおける粗さ曲線で観察される山の高さの最大値と谷の深さの最大値との合計値をナノメートルで表した値を意味する。
本開示において、液晶ポリマーフィルムの表面の表面粗さRzは、以下の方法により測定するものとする。
非接触表面・層断面形状計測システムVertScan(菱化システム社製)を用い、縦465.48μm、横620.64μm四方を測定して、測定対象物(液晶ポリマーフィルム)の表面における粗さ曲線及び上記粗さ曲線の平均線を作成する。粗さ曲線から基準長さに相当する部分を抜き取る。抜き出した粗さ曲線で観察される山の高さ(すなわち、平均線から山頂までの高さ)の最大値と谷の深さ(すなわち、平均線から谷底までの高さ)の最大値との合計値を求めることで、測定対象物の表面粗さRzを測定する。
表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである液晶ポリマーフィルムを形成する方法としては、例えば、製膜中にベナードセルを生じさせる方法、フィラー及び液晶ポリマーを含む溶液を用いる方法、製膜中に液晶ポリマーと混合した材料を相分離させる方法、製膜過程で表面に皮張りを形成し内部との収縮量差を用いる方法(レチキュレーション)、溶液製膜中に表面凹凸のある型でレプリカ処理を行う方法、及び、製膜後のフィルムをスパッタ等の表面処理で荒らす方法が挙げられる。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムの誘電正接は、密着性の観点から、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましく、0.005以下であることが更に好ましく、0を超え0.003以下であることが特に好ましい。
本開示における誘電正接の測定方法は、以下の方法により測定するものとする。
誘電正接の測定は周波数10GHzで共振摂動法により実施する。ネットワークアナライザ(Agilent Technology社製「E8363B」)に10GHzの空洞共振器((株)関東電子応用開発CP531)を接続し、空洞共振器にフィルムのサンプル(幅:2.0mm×長さ:80mmを挿入し、温度25℃、湿度60%RH環境下、96時間の挿入前後の共振周波数の変化からフィルムの誘電正接を測定する。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムの線膨張係数は、接着性の観点から、-20ppm/K~50ppm/Kであることが好ましく、-10ppm/K~40ppm/Kであることがより好ましく、0ppm/K~35ppm/Kであることがさらに好ましく、10ppm/K~30ppm/Kであることが特に好ましく、15ppm/K~25ppm/Kであることが特により好ましい。
本開示における線膨張係数の測定方法は、以下の方法により測定するものとする。
熱機械分析装置(TMA)を用いて、幅5mm、長さ20mmのフィルムの両端に1gの引張荷重をかけ、5℃/分の速度で25℃~200℃まで昇温した後、20℃/分の速度で30℃まで冷却し、再び5℃/分の速度で昇温したときの、30℃~150℃の間のTMA曲線の傾きから線膨張係数を算出する。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、液晶ポリマーを含む。
本開示において、液晶ポリマーの種類は特に限定されず、公知の液晶ポリマーを用いることができる。
また、液晶ポリマーは、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーでもよく、溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマーでもよい。また、サーモトロピック液晶の場合は、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶ポリエステル、液晶ポリエステルにアミド結合が導入された液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルにエーテル結合が導入された液晶ポリエステルエーテル、液晶ポリエステルにカーボネート結合が導入された液晶ポリエ
ステルカーボネートなどを挙げることができる。
また、液晶ポリマーは、液晶性の観点から、芳香環を有するポリマーであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることがより好ましい。
更に、液晶ポリマーは、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
また、液晶ポリマーは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリマーであることが好ましい。
液晶ポリマーの例としては、例えば、以下が挙げられる。
1)(i)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、(ii)芳香族ジカルボン酸と、(iii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重縮合させてなるもの。
3)(i)芳香族ジカルボン酸と、(ii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
4)(i)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、(ii)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重縮合させてなるもの。
ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンはそれぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重縮合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリマーは、液晶性の観点から、下記式(1)~式(3)のいずれかで表される構成繰り返し単位(以下、式(1)で表される構成繰り返し単位等を、繰り返し単位(1)等ということがある。)を有することが好ましく、下記式(1)で表される構成繰り返し単位を有することがより好ましく、下記式(1)で表される構成繰り返し単位と、下記式(2)で表される構成繰り返し単位と、下記式(2)で表される構成繰り返し単位とを有することが特に好ましい。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Arで表される上記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基及びn-デシル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
上記アリール基の例としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基及び2-ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは6~20である。
上記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される上記基毎にそれぞれ独立に、好ましくは2個以下であり、より好ましくは1個である。
上記アルキレン基の例としては、メチレン基、1,1-エタンジイル基、1-メチル-1,1-エタンジイル基、1,1-ブタンジイル基及び2-エチル-1,1-ヘキサンジイル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
繰り返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成繰り返し単位である。
繰り返し単位(1)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(p-ヒドロキシ安香酸に由来する構成繰り返し単位)、及びArが2,6-ナフチレン基であるもの(6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成繰り返し単位)、又は、4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4’-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸に由来する構成繰り返し単位)が好ましい。
繰り返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する構成繰り返し単位である。
繰り返し単位(2)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する構成繰り返し単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成繰り返し単位)、Arが2,6-ナフチレン基であるもの(2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成繰り返し単位)、又は、Arがジフェニルエーテル-4,4’-ジイル基であるもの(ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸に由来する構成繰り返し単位)が好ましい。
繰り返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する構成繰り返し単位である。
繰り返し単位(3)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p-アミノフェノール又はp-フェニレンジアミンに由来する構成繰り返し単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成繰り返し単位)、又は、Arが4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル又は4,4’-ジアミノビフェニルに由来する構成繰り返し単位)が好ましい。
繰り返し単位(1)の含有量は、全構成繰り返し単位の合計量(液晶ポリマーを構成する各構成繰り返し単位の質量をその各繰り返し単位の式量で割ることにより、各繰り返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%~80モル%、更に好ましくは30モル%~60モル%、特に好ましくは30モル%~40モル%である。
繰り返し単位(2)の含有量は、全構成繰り返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
繰り返し単位(3)の含有量は、全構成繰り返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
繰り返し単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性、強度及び剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
繰り返し単位(2)の含有量と繰り返し単位(3)の含有量との割合は、[繰り返し単位(2)の含有量]/[繰り返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1~1/0.9、より好ましくは0.95/1~1/0.95、更に好ましくは0.98/1~1/0.98である。
なお、液晶ポリマーは、繰り返し単位(1)~(3)をそれぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリマーは、繰り返し単位(1)~(3)以外の構成繰り返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰り返し単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリマーは、繰り返し単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する構成繰り返し単位及び芳香族ジアミンに由来する構成繰り返し単位の少なくとも一方を有することが、溶媒に対する溶解性が優れるので、好ましく、繰り返し単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるもののみを有することが、より好ましい。
液晶ポリマーは、それを構成する構成繰り返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させることにより製造することが好ましい。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1-メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物などが挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。なお、溶融重合は、必要に応じて、更に固相重合させてもよい。
液晶ポリマーは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃以上350℃以下、更に好ましくは260℃以上330℃以下である。液晶ポリマーの流動開始温度が上記範囲であると、溶解性、耐熱性、強度及び剛性に優れ、また、溶液の粘度が適度である。
流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリマーを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4,800Pa・s(48,000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリマーの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー-合成・成形・応用-」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
液晶ポリマーは、融点Tmが280℃以上であることが好ましく、より好ましくは290℃以上350℃以下、更に好ましくは300℃以上330℃以下である。液晶ポリマーの融点Tmが上記範囲であると、溶解性、耐熱性、強度及び剛性に優れ、また、溶液の粘度が適度である。
また、液晶ポリマーは、その重量平均分子量が1,000,000以下であることが好ましく、3,000~300,000であることがより好ましく、5,000~100,000であること更に好ましく、5,000~30,000であることが特に好ましい。この液晶ポリマーの重量平均分子量が上記範囲であると、熱処理後のフィルムにおいて、厚み方向の熱伝導性、耐熱性、強度及び剛性に優れる。
また、液晶ポリマーは、溶剤可溶性のポリマー(以下、「可溶性ポリマー」ともいう。)であることが好ましい。
具体的には、本開示における可溶性ポリマーは、25℃において、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、γ-ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノブチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤100gに、0.1g以上溶解するポリマーである。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、液晶ポリマーを1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
液晶ポリマーの含有量は、液晶ポリマーフィルムの誘電正接、及び、金属箔との密着性の観点から、液晶ポリマーフィルムの全質量に対し、20質量%~99質量%であることが好ましく、30質量%~98質量%であることがより好ましく、40質量%~97質量%であることが更に好ましく、50質量%~95質量%であることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、フィラーを含むことが好ましい。
-フィラー-
フィラーとしては、粒子状でも繊維状のものでもよく、無機フィラーであっても、有機フィラーであってもよい。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムにおいて、上記フィラーの数密度は、密着性の観点から、表面より内部の方が大きいことが好ましい。
無機フィラーとしては、公知の無機フィラーを用いることができる。
無機フィラーの材質としては、例えば、BN、Al、AlN、TiO、SiO、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、及び、これらを2種以上含む材質が挙げられる。
中でも、無機フィラーとしては、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、金属酸化物粒子、又は繊維が好ましく、シリカ粒子、チタニア粒子、又はガラス繊維がより好ましく、シリカ粒子又はガラス繊維が特に好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、5nm~20μmであることが好ましく、10nm~10μmであることがより好ましく、20nm~1μmであることが更に好ましく、25nm~500nmであることが特に好ましい。粒子、又は繊維が扁平状の場合には、短辺方向の長さを示す。
有機フィラーとしては、公知の有機フィラーを用いることができる。
有機フィラーの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、尿素-ホルマリンフィラー、ポリエステル、セルロース、アクリル樹脂、フッ素樹脂、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂、及び、これらを2種以上含む材質が挙げられる。
また、有機フィラーは、ナノファイバーのような繊維状であってもよく、中空樹脂粒子であってもよい。
中でも、有機フィラーとしては、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、フッ素樹脂粒子、若しくは、ポリエステル系樹脂、又はセルロース系樹脂のナノファイバーであることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン粒子であることがより好ましい。
有機フィラーの平均粒径は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、5nm~20μmであることが好ましく、10nm~1μmであることがより好ましく、20nm~500nmであることが更に好ましく、25nm~90nmであることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。フィルムが単層構造である場合、内部から表面にかけて組成が変化し、弾性率が変化する態様が好ましく挙げられる。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、層Aと、層Aの少なくとも一方の面に設けられた層Bとを有することが好ましい。層Bの表面の表面粗さRzが10nm~5000nmであることが好ましく、20nm~1000nmであることがより好ましく、50nm~500nmであることが更に好ましい。
層Bは、密着性の観点から、表面層(最外層)であることが好ましい。
<層A>
層Aは、液晶ポリマーを含むことが好ましい。層Aは、液晶ポリマーを1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
層Aにおける液晶ポリマーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Aの全体積に対し、20体積%~100体積%であることが好ましく、20体積%~90体積%であることがより好ましく、30体積%~80体積%であることが更に好ましく、40体積%~70体積%であることが特に好ましい。
層Aは、フィラーを含んでいてもよい。層Aがフィラーを含む場合、層Aは、フィラーを1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
層Aにおけるフィラーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Aの全体積に対し、5体積%~80体積%であることが好ましく、10体積%~70体積%であることがより好ましく、20体積%~70体積%であることが更に好ましく、30体積%~60体積%であることが特に好ましい。
層Aは、液晶ポリマー及びフィラー以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができる。具体的には、例えば、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
また、層Aは、その他の添加剤として、液晶ポリマー以外の樹脂を含んでいてもよい。
液晶ポリマー以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
層Aにおけるその他の添加剤の総含有量は、液晶ポリマーの含有量100質量部に対して、好ましくは25質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下であり、更に好ましくは5質量部以下である。
層Aの平均厚みは、特に制限はないが、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、5μm~90μmであることが好ましく、10μm~70μmであることがより好ましく、15μm~50μmであることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムにおける各層の平均厚みの測定方法は、以下の通りである。
液晶ポリマーフィルムをミクロトームで切削し、断面を光学顕微鏡で観察して、各層の厚みを評価する。断面サンプルは3ヶ所以上切り出し、各断面において、3点以上厚みを測定し、それらの平均値を平均厚みとする。
層Aの誘電正接は、密着性の観点から、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましく、0.005以下であることが更に好ましく、0を超え0.003以下であることが特に好ましい。
<層B>
層Bは、液晶ポリマーを含むことが好ましい。
層Bに用いられる液晶ポリマーの好ましい態様は、後述する以外、層Aに用いられる液晶ポリマーの好ましい態様と同様である。
層Bに含まれる液晶ポリマーは、層Aに含まれる液晶ポリマーと同じものであっても、異なるものであってもよい。
層Bにおける液晶ポリマーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Aにおける液晶ポリマーの含有量よりも多いことが好ましい。
また、層Bにおける液晶ポリマーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Bの全体積に対し、50体積%~100体積%であることが好ましく、80体積%~100体積%であることがより好ましく、90体積%~100体積%であることが更に好ましく、95体積%~100体積%であることが特に好ましい。
層Bは、フィラーを含むことが好ましい。層Bがフィラーを含む場合、層Bは、フィラーを1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
層Bにおけるフィラーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Bの全体積に対し、5体積%~80体積%であることが好ましく、10体積%~70体積%であることがより好ましく、20体積%~70体積%であることが更に好ましく、30体積%~60体積%であることが特に好ましい。
層Bは、液晶ポリマー及びフィラー以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
層Bに用いられるその他の添加剤の好ましい態様は、層Aに用いられるその他の添加剤の好ましい態様と同様である。
層Bの平均厚みは、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Aの平均厚みよりも薄いことが好ましい。
層Aの平均厚みTと層Bの平均厚みTとの比であるT/Tの値は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、1より大きいことが好ましく、2~100であることがより好ましく、2.5~20であることが更に好ましく、3~10であることが特に好ましい。
また、層Bの平均厚みは、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、0.1μm~20μmであることが好ましく、0.5μm~15μmであることがより好ましく、1μm~10μmであることが更に好ましく、3μm~8μmであることが特に好ましい。
層Bの誘電正接は、密着性の観点から、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましく、0.005以下であることが更に好ましく、0を超え0.003以下であることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、上記層A及び上記層Bに加え、層Cを更に有することが好ましく、上記層Bと、上記層Aと、上記層Cとをこの順で有することがより好ましい。層Cの表面の表面粗さRzが10nm~5000nmであることが好ましく、20nm~1000nmであることがより好ましく、50nm~500nmであることが更に好ましい。
<層C>
層Cは、表面層(最外層)であることが好ましい。
層Cは、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、液晶ポリマーを含むことが好ましい。
層Cに用いられる液晶ポリマーの好ましい態様は、後述する以外、層Aに用いられる液晶ポリマーの好ましい態様と同様である。
層Cに含まれる液晶ポリマーは、層A又は層Bに含まれる液晶ポリマーと同じものであっても、異なるものであってもよいが、層A及び層Bに含まれる液晶ポリマーと同じものであることが好ましい。
層Cにおける液晶ポリマーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Aにおける液晶ポリマーの含有量よりも多いことが好ましい。
また、層Cにおける液晶ポリマーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Cの全体積に対し、50体積%~100体積%であることが好ましく、80体積%~100体積%であることがより好ましく、90体積%~100体積%であることが更に好ましく、95体積%~100体積%であることが特に好ましい。
層Cは、フィラーを含んでいてもよい。
層Cに用いられるフィラーの好ましい態様は、後述する以外、層Aに用いられるフィラーの好ましい態様と同様である。
層Cにおけるフィラーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Aにおけるフィラーの含有量よりも少ないことが好ましい。
また、層Cにおけるフィラーの含有量は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、フィラーを含まないか、又は、層Cの全体積に対し、0体積%を超え20体積%以下であることが好ましく、フィラーを含まないか、又は、層Cの全体積に対し、0体積%を超え10体積%以下であることがより好ましく、フィラーを含まないか、又は、層Cの全体積に対し、0体積%を超え5体積%以下であることが更に好ましく、フィラーを含まないことが特に好ましい。
層Cは、液晶ポリマー及びフィラー以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
層Cに用いられるその他の添加剤の好ましい態様は、層Aに用いられるその他の添加剤の好ましい態様と同様である。
層Cの平均厚みは、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Aの平均厚みよりも薄いことが好ましい。
層Aの平均厚みTと層Cの平均厚みTとの比であるT/Tの値は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、1より大きいことが好ましく、2~100であることがより好ましく、2.5~20であることが更に好ましく、3~10であることが特に好ましい。
また、層Cの平均厚みTと層Bの平均厚みTとの比であるT/Tの値は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、0.2~5であることが好ましく、0.5~2であることがより好ましく、0.8~1.2であることが特に好ましい。
更に、層Cの平均厚みは、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、0.1μm~20μmであることが好ましく、0.5μm~15μmであることがより好ましく、1μm~10μmであることが更に好ましく、3μm~8μmであることが特に好ましい。
層Cの誘電正接は、密着性の観点から、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましく、0.005以下であることが更に好ましく、0を超え0.003以下であることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムの平均厚みは、強度、銅箔との積層体にした際の電気特性(特性インピーダンス)の観点から、6μm~500μmであることが好ましく、6μm~100μmであることがより好ましく、12μm~100μmであることが特に好ましい。
液晶ポリマーフィルムの平均厚みは、任意の5箇所について、接着式の膜厚計、例えば、電子マイクロメータ(製品名「KG3001A]、アンリツ社製)を用いて測定し、それらの平均値とする。
<フィルムの製造方法>
(製膜)
本開示に係る液晶ポリマーフィルムの製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を参照することができる。
本開示に係る液晶ポリマーフィルムの製造方法としては、例えば、流延法、塗布法、押出法等が好適に挙げられ、中でも、比較的薄手の製膜には流延法が特に好ましく、厚手の製膜には共押出法が特に好ましい。また、本開示に係る液晶ポリマーフィルムが、多層構造を有する場合には、例えば、共流延法、重層塗布法、共押出法等が好適に挙げられる。中でも、共流延法が特に好ましい。
液晶ポリマーフィルムにおける多層構造を共流延法及び重層塗布法により製造する場合、液晶ポリマー等の各層の成分をそれぞれ溶媒に溶解又は分散した層A形成用組成物、層B形成用組成物、層C形成用組成物等を用いて、共流延法又は重層塗布法を行うことが好ましい。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1-クロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p-クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn-ブチルリン酸等のリン化合物等が挙げられ、それらを2種以上用いてもよい。
溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。また、上記非プロトン性化合物としては、液晶ポリマーを溶解し易いことから、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N-メチルピロリドン等のアミド又はγ-ブチロラクトン等のエステルを用いることが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドンがより好ましい。
また、溶媒としては、液晶ポリマーを溶解し易いことから、双極子モーメントが3~5である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める双極子モーメントが
3~5である化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
上記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3~5である化合物を用いることが好ましい。
また、溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
上記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
また、本開示に係る液晶ポリマーフィルムの製造方法は、上記共流延法、重層塗布法及び共押出法等により製造する場合、支持体を使用してもよい。
支持体としては、例えば、金属ドラム、金属バンド、ガラス板、樹脂フィルム又は金属箔が挙げられる。中でも、金属ドラム、金属バンド、樹脂フィルムが好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド(PI)フィルムが挙げられ、市販品の例としては、宇部興産(株)製U-ピレックスS及びU-ピレックスR、東レデュポン(株)製カプトン、並びに、SKCコーロンPI社製IF30、IF70及びLV300等が挙げられる。
また、支持体は、容易に剥離できるように、表面に表面処理層が形成されていてもよい。表面処理層は、ハードクロムメッキ、フッ素樹脂等を用いることができる。
樹脂フィルム支持体の平均厚みは、特に制限はないが、好ましくは25μm以上75μm以下であり、より好ましくは50μm以上75μmである。
また、流延、又は、塗布された膜状の組成物(流延膜又は塗膜)から溶媒の少なくとも一部を除去する方法としては、特に制限はなく、公知の乾燥方法を用いることができる。
表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである液晶ポリマーフィルムを形成する方法としては、上記のとおり、製膜中にベナードセルを生じさせる方法、フィラー及び液晶ポリマーを含む溶液を用いる方法、製膜中に液晶ポリマーと混合した材料を相分離させる方法、製膜過程で表面に皮張りを形成し内部との収縮量差を用いる方法(レチキュレーション)、溶液製膜中に表面凹凸のある型でレプリカ処理を行う方法、及び、製膜後のフィルムをスパッタ等の表面処理で荒らす方法が挙げられる。製膜中にベナードセルを生じさせる方法では、空気界面側に低粘度であり、かつ、表面エネルギーが高い液晶ポリマー溶液を用いることが好ましい。相分離させる方法では、乾燥速度又は乾燥温度を調整して相分離性のある膜面温度及び固形分濃度で通過させること、高湿風のような相分離を誘発させる効果のある乾燥風を当てることも有効である。また、レチキュレーションを用いる場合には、支持体上に液晶ポリマー溶液をキャストした直後に乾燥風を強く当てて表面に皮張りを形成させることが好ましい。
(延伸)
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、分子配向を制御し、熱膨張係数や力学物性を調整する観点で、適宜、延伸を組み合わせることができる。延伸の方法は、特に制限はなく、公知の方法を参照することができ、溶媒を含んだ状態で実施してもよく、乾膜の状態で実施してもよい。溶媒を含んだ状態での延伸は、フィルムを把持して伸長してもよく、伸長せずに乾燥による自己収縮を利用して実施してもよい。延伸は、無機フィラー等の添加によってフィルム脆性が低下した場合に、破断伸度や破断強度を改善する目的で特に有効である。
<用途>
本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、種々の用途に用いることができる、中でも、プリント配線板などの電子部品用フィルムに好適に用いることができ、フレキシブルプリント回路基板により好適に用いることができる。
また、本開示に係る液晶ポリマーフィルムは、金属接着用液晶ポリマーフィルムとして好適に用いることができる。
(積層体)
本開示に係る積層体は、本開示に係る液晶ポリマーフィルムが積層されたものであればよい。本開示に係る積層体は、本開示に係る液晶ポリマーフィルムと、上記液晶ポリマーフィルムにおける上記層B側の面に配置された金属層と、を有することが好ましく、上記金属層が、銅層であることがより好ましい。
また、本開示に係る積層体は、層Bと、層Aと、層Cとをこの順で有する本開示に係る液晶ポリマーフィルムと、上記液晶ポリマーフィルムの上記層B側の面に配置された金属層と、上記液晶ポリマーフィルムの上記層C側の面に配置された金属層とを有することが好ましく、上記金属層がいずれも、銅層であることがより好ましい。
また、上記層B側の面に配置された金属層と上記層C側の面に配置された金属層とは、同じ材質、厚さ及び形状の金属層であっても、異なる材質、厚さ及び形状の金属層であってもよい。特性インピーダンス調整の観点からは、上記記層B側の面に配置された金属層と上記層C側の面に配置された金属層とは、異なる材質及び厚みの金属層であってもよく、層B又は層Cのうち、片側だけに金属層が積層されていてもよい。
更に、特性インピーダンス調整の観点から、層B又は層Cのうち、一方の側に金属層が積層され、他方の側に他のフィルム(好ましくは他の液晶ポリマーフィルム)が積層される態様も好ましく挙げられる。
上記層Bと上記銅層との剥離強度は、0.5kN/m以上であることが好ましく、0.7kN/m以上であることがより好ましく、0.7kN/m~2.0kN/mであることが更に好ましく、0.9kN/m~1.5kN/mであることが特に好ましい。
また、上記層Cと上記銅層との剥離強度は、0.5kN/m以上であることが好ましく、0.7kN/m以上であることがより好ましく、0.7kN/m~2.0kN/mであることが更に好ましく、0.9kN/m~1.5kN/mであることが特に好ましい。
本開示において、液晶ポリマーフィルムの層B又は層Cと金属層(例えば、銅層)との剥離強度は、以下の方法により測定するものとする。
液晶ポリマーフィルムと金属層との積層体から1.0cm幅の剥離用試験片を作製し、液晶ポリマーフィルムを両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016(1994)に準じて180°法により、50mm/分の速度で液晶ポリマーフィルムから金属層を剥離したときの強度(kN/m)を測定する。
金属層は、銅層であることが好ましい。銅層としては、圧延法により形成された圧延銅箔、又は、電解法により形成された電解銅箔が好ましく、耐屈曲性の観点から、圧延銅箔であることがより好ましい。
金属層、好ましくは銅層の平均厚みは、特に限定されないが、2μm~20μmであることが好ましく、3μm~18μmであることがより好ましく、5μm~12μmであることが更に好ましい。銅箔は、支持体(キャリア)上に剥離可能に形成されているキャリア付き銅箔であってもよい。キャリアとしては、公知のものを用いることができる。キャリアの平均厚みは、特に限定されないが、10μm~100μmであることが好ましく、18μm~50μmであることがより好ましい。
層Bの厚さは、金属層(例えば、銅層)の厚さより大きいことが好ましい。
本開示に係る積層体における金属層は、回路パターンを有する金属層であってもよい。
本開示に係る積層体における金属層を、例えば、エッチングにより所望の回路パターンに加工し、フレキシブルプリント回路基板することも好ましい。エッチング方法としては、特に制限はなく、公知のエッチング方法を用いることができる。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<<測定法>>
[誘電正接]
誘電正接の測定は周波数10GHzで共振摂動法により実施した。ネットワークアナライザ(Agilent Technology社製「E8363B」)に10GHzの空洞共振器((株)関東電子応用開発CP531)を接続し、空洞共振器にフィルムのサンプル(幅:2.0mm×長さ:80mmを挿入し、温度25℃、湿度60%RH環境下、96時間の挿入前後の共振周波数の変化から液晶ポリマーフィルムの誘電正接を測定した。
[表面粗さRz]
非接触表面・層断面形状計測システムVertScan(菱化システム社製)を用い、縦465.48μm、横620.64μm四方を測定して、測定対象物(液晶ポリマーフィルム)の表面における粗さ曲線及び上記粗さ曲線の平均線を作成した。粗さ曲線から基準長さに相当する部分を抜き取った。抜き出した粗さ曲線で観察される山の高さ(すなわち、平均線から山頂までの高さ)の最大値と谷の深さ(すなわち、平均線から谷底までの高さ)の最大値との合計値を求めることで、測定対象物の表面粗さRzを測定した。
[剥離強度]
液晶ポリマーフィルムと銅箔との両面銅張積層板から10mm幅の剥離用試験片を作製し、一方の銅箔を両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016(1994)に準じて180°法により、50mm/分の速度で液晶ポリマーフィルム同士の接着面を剥離したときの強度(kN/m)を測定した。
<<製造例>>
<液晶ポリマー>
LC-A:下記製造方法に従って作製した液晶ポリマー
-LC-Aの製造-
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、4-ヒドロキシアセトアミノフェン377.9g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸867.8g(8.4モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温(23℃)から140℃まで60分かけて昇温し、140℃で3時間還流させた。
次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から300℃まで5時間かけて昇温し、300℃で30分保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(B1)を得た。この液晶ポリエステル(B1)の流動開始温度は、193.3℃であった。
上記で得た液晶ポリエステル(B1)を、窒素雰囲気下、室温から160℃まで2時間20分かけて昇温し、次いで160℃から180℃まで3時間20分かけて昇温し、180℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却し、次いで、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(B2)を得た。この液晶ポリエステル(B2)の流動開始温度は、220℃であった。
上記で得た液晶ポリエステル(B2)を、窒素雰囲気下、室温(23℃)から180℃まで1時間25分かけて昇温し、次いで180℃から255℃まで6時間40分かけて昇温し、255℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(B)(LC-A)を得た。液晶ポリエステル(B)の流動開始温度は、302℃であった。また、この液晶ポリエステル(B)を、示差走査熱量分析装置を用いて融点を測定した結果、311℃であった。
<フィラー>
A-1:下記製造方法に従って作製した金平糖状シリカゾル(平均粒径36nm)
-金平糖状シリカゾルの作製方法-
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:カタロイドSI-40、平均粒子径21.2nm、SiO濃度40.7質量%)102.4gに水を加えて、4,170g(SiO濃度1質量%)とし、更にシリカゾルのpHが11となるように濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。次いで、シリカゾルの温度を80℃に昇温し、30分間80℃に維持して核粒子分散液(A液)とした。
水硝子(AGCエスアイテック(株)製:JIS3号水硝子、SiO濃度24質量%)575gを水2,185gで希釈して、珪酸アルカリ水溶液(B液)2,760gを調製した。また、電解質としての硫酸アンモニウム(三菱化学(株)製)98.0gに水2352gを加えて、電解質水溶液2,450gを調製した。そして、温度を80℃に維持した上記核粒子分散液(A液)全量に対して、上記珪酸アルカリ水溶液(B液)及び上記電解質水溶液を、それぞれ80℃にて1時間かけて全量添加することにより粒子成長を行った。
次いで、80℃で1時間熟成を行った後、粒子成長した核粒子分散液のpHが10.8になるまで限外濾過膜により洗浄を行った。次いで、濃縮してSiO濃度20質量%にした後、溶剤をN-メチルピロリドンに置換して金平糖状シリカゾルを得た。
<製膜>
下記の重層塗布、共流延のうちから、表1記載の方法を選択した。
〔重層塗布〕
-ポリマー溶液の調製-
上記液晶ポリマーをN-メチルピロリドンに加え、窒素雰囲気下、140℃4時間攪拌し、液晶ポリマー溶液を得た。液晶ポリマーと添加剤は、表1に記載の体積比率で添加し、固形分濃度は、層A用の溶液は10質量%、層B用の溶液は5質量%とした。
続いて、最初に、公称孔径5μmの焼結繊維金属フィルターを通過させ、ついで同じく公称孔径5μmの焼結繊維フィルターを通過させ、各ポリマー溶液をそれぞれ得た。
-フィルムの作製-
得られた層A用、及び、層B用のポリマー溶液を、スライドコーターを装備したスロットダイコーターに送液し、銅箔(福田金属箔粉工業製 CF-T4X-SV-12 12μm)の処理面上に2層構成(層B/層A)の層A側が接するように塗布した。140℃にて30分間乾燥することにより、流延膜から溶媒を除去し、銅層を有する液晶ポリマーフィルム(積層体)を得た。得られた積層体の銅層とは反対側の表面の表面粗さRzを測定した。表面粗さRzは、表1に記載の値であった。
〔共流延1(溶液製膜)〕
-ポリマー溶液の調製-
上記液晶ポリマーをN-メチルピロリドンに加え、窒素雰囲気下、140℃4時間撹拌し、液晶ポリマー溶液を得た。液晶ポリマーと添加剤は、表1に記載の体積比率で添加し、固形分濃度は、層A(コア層)用の溶液は23質量%、層B(表層)用の溶液はそれぞれ20質量%とした。
続いて、最初公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させ、ついで同じく10μmの焼結繊維フィルターを通過させ、ポリマー溶液を得た。
-フィルムの作製-
得られた層A用、及び、層B用のポリマー溶液を、共流延用に調整したフィードブロックを装備した流延ダイに送液し、銅箔(福田金属箔粉工業製 CF-T4X-SV-12 12μm)の処理面上に層A側が接するように流延した。140℃にて30分間乾燥することにより、流延膜から溶媒を除去し、銅層を有する液晶ポリマーフィルム(積層体)を得た。得られた積層体の銅層とは反対側の表面の表面粗さRzを測定した。表面粗さRzは、表1に記載の値であった。
〔共流延2(溶液製膜)〕
共流延1のフィルムの作製において、流延膜中の残留溶剤量が50質量%の時点で、バックアップロールを備えたエンボスロール(直径350mm、ロール表面にブラスト処理で高さ0.5μmの凹凸を形成)に押し当てた以外は、共流延1と同様に実施し、銅層を有する液晶ポリマーフィルム(積層体)を得た。得られた積層体の銅層とは反対側の表面の表面粗さRzを測定した。表面粗さRzは、表1に記載の値であった。
<両面銅張積層板の作製1>
(銅張積層板前駆体工程)
上記銅層を有する液晶ポリマーフィルム(積層体)を一対用意し、液晶ポリマーフィルム同士が接するように載せ、ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ社製「真空ラミネータV-130」)を使用して、140℃及びラミネート圧0.4MPaの条件で1分間のラミネート処理を行い、銅箔積層板前駆体を得た。
(本熱圧着工程)
熱圧着機(東洋精機製作所製「MP-SNL」)を用いて、得られた銅張積層板前駆体を300℃、4.5MPaの条件で10分間熱圧着することにより、両面銅張積層板を作製した。
<両面銅張積層板の作製2>
上記銅層を有する液晶ポリマーフィルム(積層体)に対して、別途準備した銅箔(福田金属箔粉工業製 CF-T4X-SV-12 12μm)の処理面を液晶ポリマーフィルムに接するように載せ、ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ社製「真空ラミネータV-130」)を使用して、140℃及びラミネート圧0.4MPaの条件で1分間のラミネート処理を行った。続けて、熱圧着機(東洋精機製作所製「MP-SNL」)を用いて、得られた銅張積層板前駆体を300℃、4.5MPaの条件で10分間熱圧着することにより、両面銅張積層板を作製した。作製された両面銅張積層板は、層間の密着性に優れ、気泡などの混入もなかった。
上記「両面銅張積層板の作製1」で作製した両面銅張積層板を用いて、剥離強度に関する評価を行った。剥離強度が大きいほど、密着性に優れるといえる。評価結果を表1に示す。
Figure 2022085734000001
表1に示すように、実施例1~実施例3では、液晶ポリマーを含み、少なくとも一方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmであるため、剥離強度が大きく、密着性に優れることが分かった。
一方、比較例1では、表面粗さRzが5nmであるため、剥離強度が小さく、密着性に劣ることが分かった。

Claims (15)

  1. 液晶ポリマーを含み、少なくとも一方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、液晶ポリマーフィルム。
  2. 両方の表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、請求項1に記載の液晶ポリマーフィルム。
  3. 前記液晶ポリマーの融点Tmが280℃以上である、請求項1又は請求項2に記載の液晶ポリマーフィルム。
  4. 線膨張係数が、-20ppm/K~50ppm/Kである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液晶ポリマーフィルム。
  5. 誘電正接が0.01以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の液晶ポリマーフィルム。
  6. フィラーを含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の液晶ポリマーフィルム。
  7. 前記フィラーの数密度が、前記表面粗さRzが10nm~5000nmである表面より内部の方が大きい、請求項6に記載の液晶ポリマーフィルム。
  8. 前記液晶ポリマーが、式(1)~式(3)のいずれかで表される構成繰り返し単位を有する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の液晶ポリマーフィルム。
    式(1) -O-Ar-CO-
    式(2) -CO-Ar-CO-
    式(3) -X-Ar-Y-
    式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Arで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
    式(4) -Ar-Z-Ar
    式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
  9. 層Aと、前記層Aの少なくとも一方の面に設けられた層Bとを有し、
    前記層Bの表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の液晶ポリマーフィルム。
  10. 層Cを更に有し、
    前記層Bと、前記層Aと、前記層Cとをこの順で有し、
    前記層Cの表面の表面粗さRzが10nm~5000nmである、請求項9に記載の液晶ポリマーフィルム。
  11. 請求項9又は請求項10に記載の液晶ポリマーフィルムと、
    前記液晶ポリマーフィルムにおける前記層B側の面に配置された銅層と、
    を有する積層体。
  12. 前記層Bの厚みが、前記銅層の厚みより大きい、請求項11に記載の積層体。
  13. 前記層Bと前記銅層との剥離強度が、0.5kN/m以上である請求項11又は請求項12に記載の積層体。
  14. 請求項10に記載の液晶ポリマーフィルムと、前記液晶ポリマーフィルムの前記層B側の面に配置された銅層と、前記液晶ポリマーフィルムの前記層C側の面に配置された銅層とを有する積層体。
  15. 前記層Cと前記層C側の面に配置された前記銅層との剥離強度が、0.5kN/m以上である請求項14に記載の積層体。
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WO2023238082A1 (ja) * 2022-06-09 2023-12-14 藤森工業株式会社 液晶ポリマーフィルムの製造方法、液晶ポリマーフィルム、高周波回路基板材料の製造方法、および高周波回路基板の製造方法
WO2024048348A1 (ja) * 2022-08-31 2024-03-07 富士フイルム株式会社 フィルム、及び、積層体

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