JP2023020291A - ポリマーフィルム及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電正接が低く、かつ、靭性が高いポリマーフィルム及び積層体の提供。【解決手段】ポリマーを含み、誘電正接が、0.01以下であり、少なくとも一方の表面の、内部に対する歪み率が0%未満である、ポリマーフィルム及び上記ポリマーフィルムを用いた積層体。【選択図】なし

Description

本開示は、ポリマーフィルム及び積層体に関する。
近年、ポリマーフィルムは、さまざまな分野に適用されており、用途によって、靭性、低誘電性等の性能が要求されている。
例えば、特許文献1には、第1の制御可能な方向に配向した2つの外側表面層;該外側表面層の各々内側にある第2の制御可能な方向に配向した2つの中間層;および該中間層に挟まれた第3の制御可能な方向に配向した中心コア層からなる液晶ポリマーフィルム構造が記載されている。特許文献2には、サーモトロピック液晶ポリマーを主成分とする組成物からなるフィルムであつて、長手方向と幅方向のヤング率の差が-500~600kg/mm、厚さが1~100μm、厚さ斑が20%以下の範囲であることを特徴とする液晶ポリマーフィルムが記載されている。特許文献3には、一つ又は一つ以上の他の液晶ポリマーの二つの層の間に配置された第一の液晶ポリマーの一層を含む多層のポリマーフィルム又はポリマーシートであって、該第一の液晶ポリマーが該他の液晶ポリマーの融点よりも高い融点を有することを特徴とする多層のポリマーのフィルム又はシートが記載されている。
特開2001-310367号公報 特開平2-98423号公報 特開平5-226796号公報
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、誘電正接が低く、かつ、靭性が高いポリマーフィルム及び積層体を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1>
ポリマーを含み、
誘電正接が、0.01以下であり、
少なくとも一方の表面の、内部に対する歪み率が0%未満である、ポリマーフィルム。
<2>
歪み率が、-0.01%以下である、<1>に記載のポリマーフィルム。
<3>
ポリマーフィルムを構成する成分のうち、最も含有量の多い成分は、誘電正接が0.01以下の成分である、<1>又は<2>に記載のポリマーフィルム。
<4>
誘電正接が0.01以下の成分は、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和基とを有する化合物の重合体、及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーである、<3>に記載のポリマーフィルム。
<5>
誘電正接が0.01以下の成分は、液晶ポリマーである、<3>又は<4>に記載のポリマ-フィルム。
<6>
液晶ポリマーは、N-メチル-2-ピロリドンに可溶である、<4>又は<5>に記載のポリマーフィルム。
<7>
液晶ポリマーは、式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位を有する<4>~<6>のいずれか1つに記載のフィルム。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
<8>
内部の剛性Scに対する、少なくとも一方の表面の剛性Saの比率が1未満である、<1>~<7>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<9>
<1>~<8>のいずれか1項に記載のポリマーフィルムと、
ポリマーフィルムの少なくとも一方の表面に配置された、金属層又は金属配線と、
を有する積層体。
本発明の実施形態によれば、誘電正接が低く、かつ、靭性が高いポリマーフィルム及び積層体を提供することができる。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel SuperHM-H(東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤PFP(ペンタフルオロフェノール)/クロロホルム=1/2(質量比)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
[ポリマーフィルム]
本開示に係るポリマーフィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)は、ポリマーを含み、誘電正接が、0.01以下であり、少なくとも一方の表面の、内部に対する歪み率が0%未満である。すなわち、本開示に係るポリマーフィルムは、少なくとも一方の表面が、内部よりも圧縮されている。そのため、靭性が高い。
一方、特許文献1には、フィルムの表面と内部において、液晶ポリマーの配向状態が異なることが記載されている。特許文献2には、フィルムの表面と内部において、液晶ポリマーの配向状態及びヤング率が異なることが記載されている。特許文献3には、フィルムの表面と内部において、融点が異なることが記載されている。しかし、特許文献1~特許文献3のいずれにも、歪みに着目した記載はない。
<少なくとも一方の表面の、内部に対する歪み率>
本開示に係るポリマーフィルムは、少なくとも一方の表面の、内部に対する歪み率が0%未満である。ポリマーフィルムの、内部に対する表面の歪み率は、下記式で表される。
歪み率(%)={(内部の長さ-表面の長さ)/内部の長さ}×100
歪み率が0%未満、すなわちマイナスの値であるということは、ポリマーフィルムの表面が内部よりも圧縮歪みが大きいことを意味する。
歪み率は、具体的に、以下の方法で算出される。
フィルムを、フィルムの厚み方向に沿ってミクロトームで切り出し、切片サンプルを得る。得られた切片サンプルを、さらに、フィルムの厚み方向と垂直な方向に沿ってミクロトームで切り出し、切片サンプルを9分割し、9個の短冊サンプルを得る。9個の短冊サンプルのうち、1番目と9番目の短冊サンプルの長さをそれぞれ測定し、「表面の長さ」とする。また、9個の短冊サンプルのうち、5番目の短冊サンプルの長さを測定し、「内部の長さ」とする。上記式より、歪み率を算出する。1番目と9番目の短冊サンプルのうち少なくとも一方の長さが、5番目の短冊サンプルよりも短い場合には、少なくとも一方の表面の、内部に対する歪み率が0%未満であるといえる。
靭性をより向上させる観点から、歪み率は、-0.01%以下であることが好ましく、-0.05以下であることがより好ましい。
また、本開示に係るポリマーフィルムは、靭性をより向上させる観点から、両方の表面の、内部に対する歪み率が0%未満であることが好ましく、-0.01%以下であることがより好ましく、-0.05%以下であることがさらに好ましい。
フィルム表面の、内部に対する歪み率を0%未満に調整する方法としては、例えば、内部に、表面よりも熱膨張係数の高いフィラーを含有させる方法、表面近傍の面内配向を高めて内部よりも熱膨張係数を低下させる方法、及び、内部に赤外光吸収材料を含有させる方法が挙げられる。
<誘電正接>
本開示に係るポリマーフィルムは、誘電正接が0.01以下であり、0.005以下であることが好ましく、0を超え0.003以下であることがより好ましい。
誘電正接は、以下の方法で算出される。
誘電正接の測定は、周波数10GHzで共振摂動法により実施する。ネットワークアナライザに10GHzの空洞共振器を接続し、空洞共振器にフィルムのサンプル(幅:2.0mm×長さ:80mmを挿入し、温度25℃、湿度60%RH環境下、96時間の挿入前後の共振周波数の変化からフィルムの誘電正接を測定する。ネットワークアナライザには、例えば、Agilent Technology社製の「E8363B」を用いることができ、空洞共振器には、例えば(株)関東電子応用開発のCP531を用いることができる。
<内部の剛性Scに対する、少なくとも一方の表面の剛性Sa>
本開示に係るポリマーフィルムは、靭性をより向上させる観点から、内部の剛性Scに対する、少なくとも一方の表面の剛性Saの比率が1未満であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.35以下であることがさらに好ましい。上記比率の下限値は特に限定されず、例えば、0.3である。
剛性は、以下の方法で測定される。
ミクロトームでフィルムを斜め切削し、AFM(原子間力顕微鏡法)を用いて厚み方向の弾性率分布を連続的に評価する。表層の弾性率(Ea)及び表層の厚み(ta)、並びに、内部層の弾性率(Ec)及び内部層の厚み(tc)を算出する。下記式に基づいて、表面の剛性Saと内部の剛性Scとを算出する。
Sa=Ea×ta
Sc=Ec×tc
なお、表層とは、ポリマーフィルムにおいて、表面からの深さに対して弾性率をプロットし、第一の変曲点が現れるまでの部分を意味する。内部層とは、表層よりも内側の部分を意味する。また、上記プロットにより変曲点が現れなかった場合は、厚み方向10%までの領域を表層とし、厚み方向40%~60%の領域を内部層とする。
<ポリマー>
本開示に係るポリマーフィルムは、ポリマーを含む。
ポリマーフィルムの誘電正接を低下させる観点から、ポリマーフィルムを構成する成分のうち、最も含有量の高い成分は、誘電正接が0.01以下の成分であることが好ましく、誘電正接が0.01以下のポリマーであることがより好ましい。誘電正接が0.01以下のポリマーは1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
誘電正接が0.01以下のポリマーとしては、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
誘電正接が0.01以下の成分は、誘電正接を効果的に低下させる観点から、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和基とを有する化合物の重合体、及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーであることが好ましく、液晶ポリマーであることがより好ましい。
-液晶ポリマー-
本開示において、液晶ポリマーの種類は特に限定されず、公知の液晶ポリマーを用いることができる。
また、液晶ポリマーは、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーでもよく、溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマーでもよい。また、サーモトロピック液晶の場合は、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶ポリエステル、液晶ポリエステルにアミド結合が導入された液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルにエーテル結合が導入された液晶ポリエステルエーテル、液晶ポリエステルにカーボネート結合が導入された液晶ポリエステルカーボネートなどを挙げることができる。
また、液晶ポリマーは、液晶性の観点から、芳香環を有するポリマーであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることがより好ましい。
更に、液晶ポリマーは、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
また、液晶ポリマーは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリマーであることが好ましい。
液晶ポリマーの例としては、例えば、以下が挙げられる。
1)(i)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、(ii)芳香族ジカルボン酸と、(iii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重縮合させてなるもの。
3)(i)芳香族ジカルボン酸と、(ii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
4)(i)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、(ii)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重縮合させてなるもの。
ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンはそれぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重縮合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリマーは、液晶性の観点から、下記式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位(以下、式(1)で表される構成単位等を、単位(1)等ということがある。)を有することが好ましく、下記式(1)で表される構成単位を有することがより好ましく、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、下記式(3)で表される構成単位とを有することが特に好ましい。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基及びn-デシル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
上記アリール基の例としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基及び2-ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは6~20である。
上記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される上記基毎にそれぞれ独立に、好ましくは2個以下であり、より好ましくは1個である。
上記アルキレン基の例としては、メチレン基、1,1-エタンジイル基、1-メチル-1,1-エタンジイル基、1,1-ブタンジイル基及び2-エチル-1,1-ヘキサンジイル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
単位(1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位である。
単位(1)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位)、及びArが2,6-ナフチレン基であるもの(6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位)、又は、4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4’-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸に由来する構成単位)が好ましい。
単位(2)は、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位である。
単位(2)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する構成単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成単位)、Arが2,6-ナフチレン基であるもの(2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位)、又は、Arがジフェニルエーテル-4,4’-ジイル基であるもの(ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸に由来する構成単位)が好ましい。
単位(3)は、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する構成単位である。
単位(3)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p-アミノフェノール又はp-フェニレンジアミンに由来する構成単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成単位)、又は、Arが4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル又は4,4’-ジアミノビフェニルに由来する構成単位)が好ましい。
単位(1)の含有量は、全構成単位の合計量(液晶ポリマーを構成する各構成単位の質量をその各単位の式量で割ることにより、各単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%~80モル%、更に好ましくは30モル%~60モル%、特に好ましくは30モル%~40モル%である。
単位(2)の含有量は、全構成単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
単位(3)の含有量は、全構成単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性、強度及び剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
単位(2)の含有量と単位(3)の含有量との割合は、[単位(2)の含有量]/[単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1~1/0.9、より好ましくは0.95/1~1/0.95、更に好ましくは0.98/1~1/0.98である。
なお、液晶ポリマーは、単位(1)~単位(3)をそれぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリマーは、単位(1)~単位(3)以外の他の構成単位を有してもよいが、他の構成単位の含有量は、全単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリマーは、単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する構成単位及び芳香族ジアミンに由来する構成単位の少なくとも一方を有することが、溶媒に対する溶解性が優れるので、好ましく、単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるもののみを有することが、より好ましい。
液晶ポリマーは、液晶ポリマーを構成する構成単位に対応する原料モノマーを溶融重合させることにより製造することが好ましい。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1-メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物などが挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。なお、溶融重合は、必要に応じて、更に固相重合させてもよい。
液晶ポリマーの流動開始温度は、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃以上350℃以下、更に好ましくは260℃以上330℃以下である。液晶ポリマーの流動開始温度が上記範囲であると、溶解性、耐熱性、強度及び剛性に優れ、また、溶液の粘度が適度である。
流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリマーを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4,800Pa・s(48,000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリマーの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー-合成・成形・応用-」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
また、液晶ポリマーの重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、3,000~300,000であることがより好ましく、5,000~100,000であること更に好ましく、5,000~30,000であることが特に好ましい。この液晶ポリマーの重量平均分子量が上記範囲であると、ポリマー膜において、厚み方向の熱伝導性、耐熱性、強度及び剛性に優れる。
液晶ポリマーは、フィルム形成容易性の観点から、25℃において、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、γ-ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノブチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒に可溶であることが好ましく、N-メチル-2-ピロリドンに可溶であることがより好ましい。
なお、N-メチル-2-ピロリドンに可溶であるポリマーとは、25℃において、N-メチル-2-ピロリドン100gに0.1g以上溶解するポリマーを意味する。液晶ポリマーは、N-メチル-2-ピロリドン100gに0.1g以上溶解することが好ましく、0.5g以上溶解することがより好ましい。
-フッ素系ポリマー-
本開示において、フッ素系ポリマーの種類は特に限定されず、公知のフッ素系ポリマーを用いることができる。
フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン共重合体、エチレン/四フッ化エチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
中でも、ポリテトラフルオロエチレンが好ましく挙げられる。
-環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物-
環状脂肪族炭化水素基の環構造としては、単環であっても、2以上の環が縮合した縮合環であっても、橋掛け環であってもよい。
環状脂肪族炭化水素基の環構造としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、イソボロン環、ノルボルナン環、ジシクロペンタン環等が挙げられる。
環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物としては、特に制限はなく、環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物、環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、環状脂肪族炭化水素基を有するビニル化合物等が挙げられる。中でも、環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく挙げられる。また、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物は、単官能エチレン性不飽和化合物であっても、多官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物における環状脂肪族炭化水素基の数は、1以上であればよく、2以上有していてもよい。
環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物は、少なくとも1種の環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物を重合してなる重合体であればよく、2種以上環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物であってもよいし、環状脂肪族炭化水素基を有しない他のエチレン性不飽和化合物との共重合体であってもよい。
また、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物は、アクリル樹脂であることが好ましい。
-ポリエーテルエーテルケトン-
ポリエーテルエーテルケトンは、芳香族ポリエーテルケトンの1種であり、エーテル結合、エーテル結合、カルボニル結合(ケトン)の順に結合が配置されたポリマーである。各結合間は、2価の芳香族基により連結されていることが好ましい。
本開示に係るポリマーフィルムは、ポリマーを1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
ポリマーの含有量は、フィルムの誘電正接、及び、金属層との密着性の観点から、フィルムの全質量に対し、20質量%~99質量%であることが好ましく、30質量%~98質量%であることがより好ましく、40質量%~97質量%であることがさらに好ましく、50質量%~95質量%であることが特に好ましい。
本開示に係るポリマーフィルムは、フィラーを含むことが好ましい。
-フィラー-
フィラーとしては、粒子状でも繊維状のものでもよく、無機フィラーであっても、有機フィラーであってもよい。
本開示に係るポリマーフィルムにおいて、上記フィラーの数密度は、金属配線と接着した際に、金属配線の歪みを抑制する観点から、表面より内部の方が大きいことが好ましい。
無機フィラーとしては、公知の無機フィラーを用いることができる。
無機フィラーの材質としては、例えば、BN、Al、AlN、TiO、SiO、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、及び、これらを2種以上含む材質が挙げられる。
中でも、無機フィラーとしては、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、金属酸化物粒子、又は繊維が好ましく、シリカ粒子、チタニア粒子、又はガラス繊維がより好ましく、シリカ粒子又はガラス繊維が特に好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、5nm~20μmであることが好ましく、10nm~10μmであることがより好ましく、20nm~1μmであることが更に好ましく、25nm~500nmであることが特に好ましい。粒子、又は繊維が扁平状の場合には、短辺方向の長さを示す。
有機フィラーとしては、公知の有機フィラーを用いることができる。
有機フィラーの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、尿素-ホルマリンフィラー、ポリエステル、セルロース、アクリル樹脂、フッ素樹脂、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂、及び、これらを2種以上含む材質が挙げられる。
また、有機フィラーは、ナノファイバーのような繊維状であってもよく、中空樹脂粒子であってもよい。
中でも、有機フィラーとしては、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、フッ素樹脂粒子、若しくは、ポリエステル系樹脂、又はセルロース系樹脂のナノファイバーであることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン粒子であることがより好ましい。
有機フィラーの平均粒径は、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、5nm~20μmであることが好ましく、10nm~1μmであることがより好ましく、20nm~500nmであることが更に好ましく、25nm~90nmであることが特に好ましい。
本開示に係るポリマーフィルムは、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。フィルムが単層構造である場合、内部から表面にかけて組成が変化し、歪みが変化する態様が好ましく挙げられる。
本開示に係るポリマーフィルムは、層Aと、層Aの少なくとも一方の面に設けられた層Bとを含む積層構造を有し、層Bの表面の、ポリマーフィルム内部(例えば層A)に対する歪み率が0%未満であることが好ましい。ポリマーフィルムの具体的な構成態様としては、層A/層Bの2層構造でもよいし、層B/層A/層B、層B/層A/層C等の3層構造でもよいし、層B/層C/層A/層B、層C/層B/層A/層B、層B/層C/層A/層C/層B等の4層以上の多層構造などであってもよい。なお、層Cは、層A及び層B以外の他の任意の層を表す。
層Bは、表面層(最外層)であることが好ましい。
<層A>
層Aは、ポリマーを含むことが好ましく、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和基とを有する化合物の重合体、及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーを含むことがより好ましく、液晶ポリマーを含むことがさらに好ましい。層Aは、ポリマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
層Aにおけるポリマーの含有量は、誘電正接、及び、金属層との密着性の観点から、層Aの全質量に対し、20質量%~100質量%であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、30質量%~80質量%であることが更に好ましく、40質量%~70質量%であることが特に好ましい。
層Aは、フィルム表面の内部に対する歪み率を0%未満とするために、赤外光吸収材料を含むことが好ましい。赤外光吸収材料とは、赤外光領域において、光を選択的に吸収する材料である。層Aに赤外光吸収材料が含まれていると、層Aでポリマーの結晶化が促進され、フィルム内部で体積収縮が生じる。その結果、フィルム表面の内部に対する歪み率が0%未満となる。
また、層Aは、フィルム表面の内部に対する歪み率を0%未満とするために、熱膨張係数が100ppm/K以上のフィラーを含むことが好ましい。熱膨張係数が100ppm/K以上のフィラーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリエチレン粒子、ポリ塩化ビニリデン粒子、ポリウレタン粒子、及びポリアクリロニトリル粒子が挙げられる。
さらに、層Aは、フィルムの誘電正接を低下させる観点から、金属酸化物粒子を含むことが好ましく、シリカ粒子を含むことがより好ましい。
層Aは、その他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができる。具体的には、例えば、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
層Aの平均厚みは、特に制限はないが、靭性を向上させる観点から、5μm~90μmであることが好ましく、10μm~70μmであることがより好ましく、15μm~50μmであることが特に好ましい。
本開示に係るフィルムにおける各層の平均厚みの測定方法は、以下の通りである。
フィルムをミクロトームで切削し、断面を光学顕微鏡で観察して、各層の厚みを評価する。断面サンプルは3ヶ所以上切り出し、各断面において、3点以上厚みを測定し、それらの平均値を平均厚みとする。
<層B>
層Bは、ポリマーを含むことが好ましく、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和基とを有する化合物の重合体、及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーを含むことがより好ましく、液晶ポリマーを含むことがさらに好ましい。
層Bに含まれるポリマーは、層Aに含まれるポリマーと同じものであっても、異なるものであってもよい。
層Bにおけるポリマーの含有量は、誘電正接、及び、金属層との密着性の観点から、層Bの全質量に対し、20質量%~100質量%であることが好ましく、30質量%~95質量%であることがより好ましく、40質量%~90質量%であることが更に好ましく、60質量%~90質量%であることが特に好ましい。
層Bは、フィラーを含むことが好ましく、有機フィラーを含むことがより好ましい。
層Bは、フィラーを1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
層Bは、その他の添加剤を含んでいてもよい。
層Bに用いられるその他の添加剤の好ましい態様は、層Aに用いられるその他の添加剤の好ましい態様と同様である。
層Bの平均厚みは、熱膨張係数、及び、金属箔との密着性の観点から、層Aの平均厚みよりも薄いことが好ましい。
層Aの平均厚みTと層Bの平均厚みTとの比であるT/Tの値は、靭性の向上、及び、金属層との密着性の観点から、1より大きいことが好ましく、2~100であることがより好ましく、2.5~20であることが更に好ましく、3~10であることが特に好ましい。
また、層Bの平均厚みは、靭性の向上、及び、金属層との密着性の観点から、0.1μm~20μmであることが好ましく、0.5μm~15μmであることがより好ましく、1μm~10μmであることが更に好ましい。
中でも、本開示に係るポリマーフィルムは、ポリマー及び赤外光吸収材料を含む層Aと、層Aの少なくとも一方の面に設けられ、ポリマーを含む層Bと、を含む積層構造を有していることが好ましい。
また、本開示に係るポリマーフィルムは、ポリマーと、熱膨張係数が100ppm/K以上のフィラーと、を含む層Aと、層Aの少なくとも一方の面に設けられ、ポリマーを含む層Bと、を含む積層構造を有していることが好ましい。
本開示に係るポリマーフィルムは、上記層Bと、上記層Aと、上記層Bとをこの順で有することが好ましく、層Aは、ポリマー及び赤外光吸収材料を含み、層Bは、ポリマーを含むことが好ましい。
また、本開示に係るポリマーフィルムは、上記層Bと、上記層Aと、上記層Bとをこの順で有することが好ましく、層Aは、ポリマーと、熱膨張係数が100ppm/K以上のフィラーとを含み、層Bは、ポリマーを含むことが好ましい。
本開示に係るポリマーフィルムの平均厚みは、強度の観点から、6μm~500μmであることが好ましく、6μm~100μmであることがより好ましく、12μm~100μmであることが特に好ましい。
フィルムの平均厚みは、任意の5箇所について、接着式の膜厚計である電子マイクロメータを用いて測定し、それらの平均値とする。測定は、電子マイクロメータとして、例えば、アンリツ社製の製品名「KG3001A])を用いて行うことができる。
<ポリマーフィルムの製造方法>
(形成工程)
本開示に係るポリマーフィルムの製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を参照することができる。本開示に係るポリマーフィルムの製造方法は、ポリマーと溶媒とが含まれるポリマー組成物を基材上に塗布し乾燥することによりフィルムを形成する形成工程を含むことが好ましい。ポリマー組成物には、上記他の添加剤が含まれていてもよい。
本開示に係るポリマーフィルムの製造方法としては、例えば、流延法、塗布法、押出法等が好適に挙げられ、中でも、比較的薄手の製膜には流延法が特に好ましく、厚手の製膜には共押出法が特に好ましい。また、本開示に係るポリマーフィルムが、多層構造を有する場合には、例えば、共流延法、重層塗布法、共押出法等が好適に挙げられる。中でも、共流延法が特に好ましい。
ポリマーフィルムにおける多層構造を共流延法及び重層塗布法により製造する場合、液晶ポリマー等の各層の成分をそれぞれ溶媒に溶解又は分散した層A形成用組成物、層B形成用組成物、層C形成用組成物等を用いて、共流延法又は重層塗布法を行うことが好ましい。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1-クロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p-クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn-ブチルリン酸等のリン化合物等が挙げられ、それらを2種以上用いてもよい。
溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。また、上記非プロトン性化合物としては、液晶ポリマーを溶解し易いことから、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N-メチルピロリドン等のアミド又はγ-ブチロラクトン等のエステルを用いることが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドンがより好ましい。
また、溶媒としては、液晶ポリマーを溶解し易いことから、双極子モーメントが3~5である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める双極子モーメントが3~5である化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
上記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3~5である化合物を用いることが好ましい。
また、溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とするとする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
上記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
また、本開示に係るポリマーフィルムの製造方法は、上記共流延法、重層塗布法及び共押出法等により製造する場合、支持体を使用してもよい。
支持体としては、例えば、金属ドラム、金属バンド、ガラス板、樹脂フィルム又は金属箔が挙げられる。中でも、金属ドラム、金属バンド、樹脂フィルムが好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド(PI)フィルムが挙げられ、市販品の例としては、宇部興産(株)製U-ピレックスS及びU-ピレックスR、東レデュポン(株)製カプトン、並びに、SKCコーロンPI社製IF30、IF70及びLV300等が挙げられる。
また、支持体は、容易に剥離できるように、表面に表面処理層が形成されていてもよい。表面処理層は、ハードクロムメッキ、フッ素樹脂等を用いることができる。
樹脂フィルム支持体の平均厚みは、特に制限はないが、好ましくは25μm以上75μm以下であり、より好ましくは50μm以上75μmである。
また、流延、又は、塗布された膜状の組成物(塗膜)から溶媒の少なくとも一部を除去する方法としては、特に制限はなく、公知の乾燥方法を用いることができる。
(延伸工程)
本開示に係るポリマーフィルムの製造方法においては、得られるフィルムの分子配向を制御し、線膨張係数及び力学物性を調整する観点で、適宜、延伸を組み合わせることができる。延伸の方法は、特に制限はなく、公知の方法を参照することができ、溶媒を含んだ状態で実施してもよく、乾膜の状態で実施してもよい。溶媒を含んだ状態での延伸は、フィルムを把持して伸長してもよく、伸長せずに乾燥によるウェブの自己収縮力を利用して実施してもよく、それらの組み合わせでもよい。延伸は、無機フィラー等の添加によってフィルム脆性が低下した場合に、破断伸度又は破断強度を改善する目的で特に有効である。
(加熱工程)
本開示に係るポリマーフィルムの製造方法は、上記フィルムを加熱する加熱工程を含む。
加熱工程を行うことにより、フィルム中にてポリマーの結晶化が進行し、フィルムの誘電正接を低くすることができると推定している。
本開示に係るポリマーフィルムの製造方法では、フィルムの加熱開始時において、溶存酸素量が500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。溶存酸素量が上記範囲であると、誘電正接のより低いフィルムが得られる。
なお、上記加熱開始時とは、フィルムに対して熱の付与を開始した時点のことをいう。
本開示において、溶存酸素量は、溶存酸素計を用いて測定され、例えば、ハック・ウルトラ社製のポータブル酸素アナライザー「ORBISPHERE 3650」を用いて測定される。
加熱工程における加熱温度は、100℃~400℃であることが好ましい。また、加熱時間は0.1分~10時間であることが好ましい。加熱温度及び加熱時間は、ポリマーの種類に応じて適宜変更することができ、触媒の添加等の別の手段によって、低温化又は短時間化することもできる。
加熱工程は、不活性ガス雰囲気下で実施されてもよく、酸素を含む雰囲気下で実施されてもよい。製造効率の観点からは、加熱工程は、酸素濃度が500ppm以上の雰囲気下で実施されることが好ましく、大気(空気)雰囲気下で実施されることがより好ましい。
<巻き取り工程>
本開示に係るポリマーフィルムの製造方法は、上記フィルムをロール状に巻き取る巻き取り工程を含むことが好ましく、形成工程の後、かつ加熱工程の前に、上記フィルムをロール状に巻き取る巻き取り工程を含むことがより好ましい。
ロール状に巻き取る工程は、窒素雰囲気下で実施されることが好ましい。窒素雰囲気下で実施することにより、フィルムの加熱開始時において、フィルム中の溶存酸素量をより低下させることができる。
<巻き出し工程>
本開示に係るフィルムの製造方法は、上記巻き取り工程後に、ロール状のフィルムを巻き出す巻き出し工程を含むことが好ましい。
また、上記巻き出し工程での上記フィルムを巻き出す際の剥離力が、1.0kN/m以下であることが好ましい。
<剥離工程>
本開示に係るフィルムの製造方法は、形成工程後、又は、加熱工程後に、上記基材より、上記フィルムを剥離する剥離工程を含むことが好ましく、形成工程後、上記基材より、上記フィルムを剥離する剥離工程を含むことがより好ましく、形成工程の後、かつ加熱工程の前に、上記基材より、上記フィルムを剥離する剥離工程を含むことが特に好ましい。基材からフィルムを剥離することにより、フィルムとして得られ、他の用途へ適用することができる。
<その他の工程>
本開示に係るフィルムの製造方法は、上述した以外のその他工程を含んでいてもよい。
その他の工程としては、公知の工程を含むことができる。
(積層体)
本開示に係る積層体は、本開示に係るフィルムが積層したものであればよく、本開示に係るポリマーフィルムと、上記ポリマーフィルムの少なくとも一方の表面に配置された金属層又は金属配線と、を有することが好ましい。
上記金属層又は金属配線の、ポリマーフィルム側の表面の表面粗さRaが、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。表面粗さRaが1.0μm以下であると、ポリマーフィルムと金属基材との界面における表面抵抗が低下する。
本開示における表面粗さRaは、表面粗さ計を用いて算出され、JIS B0601:2013の算術平均表面粗さRaの算出方法に基づいて算出される。表面粗さ計には、例えば、(株)小坂研究所製の触針式表面粗さ計「サーフコーダSE3500」を用いることができる。
また、上記表面粗さRaの測定においては、積層体における金属層又は金属配線の除去は、金属層又は金属配線を塩化鉄溶液を用いたエッチングで除去した後、金属層又は金属配線の表面粗さが転写されている金属層又は金属配線と接していたフィルム表面の表面粗さRaを測定し、上記金属層又は金属配線のフィルム側表面の表面粗さRaとするものとする。
また、本開示に係る積層体は、本開示に係るポリマーフィルムと、金属層又は金属配線とをこの順で有することが好ましい。特に、本開示に係る積層体は、上記層B、層A、及び層Bからなるポリマーフィルムと、金属層又は金属配線とをこの順で有することが好ましい。
金属層及び金属配線は、特に制限はなく、公知の金属層及び金属配線であればよいが、例えば、銀層、銀配線、銅層又は銅配線であることが好ましく、銅層又は銅配線であることがより好ましい。
また、上記金属層及び金属配線は、金属配線であることが好ましい。
更に、上記金属層及び金属配線における金属は、銀、又は、銅であることが好ましく、銅であることがより好ましい。
本開示に係るポリマーフィルムと金属層又は金属配線とを貼り付ける方法としては、特に制限はなく、公知のラミネート方法を用いることができる。
上記ポリマーフィルムと上記銅層との剥離強度は、0.5kN/m以上であることが好ましく、0.7kN/m以上であることがより好ましく、0.7kN/m~2.0kN/mであることが更に好ましく、0.9kN/m~1.5kN/mであることが特に好ましい。
本開示において、ポリマーフィルムと金属層(例えば、銅層)との剥離強度は、以下の方法により測定するものとする。
フィルムと金属層との積層体から1.0cm幅の剥離用試験片を作製し、フィルムを両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016(1994)に準じて180°法により、50mm/分の速度で金属層からフィルムを剥離したときの強度(kN/m)を測定する。
金属層は、銀層又は銅層であることが好ましく、銅層であることがより好ましい。銅層としては、圧延法により形成された圧延銅箔、又は、電解法により形成された電解銅箔が好ましく、耐屈曲性の観点から、圧延銅箔であることがより好ましい。
金属層、好ましくは銅層の平均厚みは、特に限定されないが、2μm~20μmであることが好ましく、3μm~18μmであることがより好ましく、5μm~12μmであることが更に好ましい。銅箔は、支持体(キャリア)上に剥離可能に形成されているキャリア付き銅箔であってもよい。キャリアとしては、公知のものを用いることができる。キャリアの平均厚みは、特に限定されないが、10μm~100μmであることが好ましく、18μm~50μmであることがより好ましい。
また、上記金属層は、本開示における効果をより発揮する観点から、上記フィルムに接する側の面に上記フィルムと相互作用可能な基を有することが好ましい。また、上記相互作用可能な基は、例えば、アミノ基とエポキシ基、ヒドロキシ基とエポキシ基のように、上記フィルムが含有する官能基を有する化合物の官能基に対応する基であることが好ましい。
相互作用可能な基としては、上記官能基を有する化合物において官能基をして挙げた基が挙げられる。
中でも、密着性、及び、処理容易性の観点から、共有結合可能な基であることが好ましく、アミノ基、又は、ヒドロキシ基であることがより好ましく、アミノ基であることが特に好ましい。
本開示に係る積層体における金属層を、例えば、エッチングにより所望の回路パターンに加工し、フレキシブルプリント回路基板することも好ましい。エッチング方法としては、特に制限はなく、公知のエッチング方法を用いることができる。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<<測定法>>
[誘電正接]
誘電正接の測定は周波数10GHzで共振摂動法により実施した。ネットワークアナライザ(Agilent Technology社製、「E8363B」)に10GHzの空洞共振器((株)関東電子応用開発CP531)を接続し、空洞共振器にフィルムのサンプル(幅:2.0mm×長さ:80mmを挿入し、温度25℃、湿度60%RH環境下、96時間の挿入前後の共振周波数の変化からフィルムの誘電正接を測定した。
[破断伸度]
フィルムをミクロトームで切り出し、150mm×10mmのサンプルを得た。万能引っ張り試験機(東洋ボールドウィン社製、「STM T50BP」)を用い、温度25℃、湿度60%RH環境下、初期のチャック間距離100mm、引張速度10%/分の条件で破断伸度を測定した。破断伸度は、フィルムの靭性を評価する指標である。
[歪み率]
フィルムを、フィルムの厚み方向に沿ってミクロトームで切り出し、切片サンプルを得た。得られた切片サンプルを、さらに、フィルムの厚み方向と垂直な方向に沿ってミクロトームで切り出し、切片サンプルを9分割し、9個の短冊サンプルを得た。9個の短冊サンプルのうち、1番目と9番目の短冊サンプルの長さをそれぞれ測定し、表面の長さとした。また、9個の短冊サンプルのうち、5番目の短冊サンプルの長さを測定し、内部の長さとした。下記式より、歪み率を算出した。
歪み率(%)={(表面の長さ-内部の長さ)/内部の長さ}×100
[剛性比(Sa/Sc)]
ミクロトームでフィルムを斜め切削し、AFM(原子間力顕微鏡法)を用いて厚み方向の弾性率分布を連続的に評価した。表層の弾性率(Ea)及び表層の厚み(ta)、並びに、内部層の弾性率(Ec)及び内部層の厚み(tc)を算出した。下記式に基づいて、表面の剛性Saと内部の剛性Scとを算出した。
Sa=Ea×ta
Sc=Ec×tc
<<製造例>>
<ポリマー>
LC-A:下記製造方法に従って作製した液晶ポリマー
-LC-Aの製造-
撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、4-アミノフェノール272.8g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸1123.0g(11モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温(23℃、以下同様)から150℃まで15分かけて昇温し、150℃で3時間還流させた。
次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで3時間かけて昇温し、増粘が認められた時点で、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(B1)を得た。
上記で得た液晶ポリエステル(B1)を、窒素雰囲気下、250℃で3時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(LC-A)を得た。得られたLC-Aを窒素雰囲気下、280℃で3時間加熱したサンプルの誘電正接は0.01以下であった。
FP-A:テトラフルオロエチレン/5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物/ペルフルオロプロポキシエチレン(質量比:98.0/0.1/1.9)のコポリマー(溶融温度300℃、誘電正接0.01以下)
<添加剤>
-フィラー-
F-1:平均一次粒径20nmの疎水性シリカ
製品名「NX90S」(ヘキサメチルジシラザンで表面処理、日本アエロジル(株)製)
A-1:市販のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ナノ粒子
製品名「ポリフロンPTFE D-210C」(平均粒径0.25μm、ダイキン工業(株)製)の溶媒をN-メチルピロリドンに置換したもの。
-赤外光吸収材料-
R-1:赤外線カット剤
製品名「FDM-008」(最大吸収波長992nm、熱分解温度340℃、山田化学工業(株)製)
-硬化性化合物-
M-1:低誘電接着剤(ポリマー型の硬化性化合物を主として含むSLKシリーズ(信越化学工業(株)製の熱硬化性樹脂)のワニス)
[実施例1~実施例7、比較例1]
共流延法を用いて、片面銅張積層板の作製を行った。
〔共流延(溶液製膜)〕
-ポリマー溶液の調製-
ポリマー(LC-A又はFP-A)を、N-メチル-2-ピロリドンに加え、窒素雰囲気下、120℃で加熱撹拌し、溶解させた。公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させた後、更に上記と同じ公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルターを通過させた。続いて、表1に記載の添加剤を加えて撹拌し、層A用のポリマー溶液と層B用のポリマー溶液をそれぞれ調製した。ポリマーと添加剤は、表1に記載の質量比率(添加剤は固形分量が表1に記載の量)で添加し、層A用の液晶ポリマー溶液と層B用の液晶ポリマー溶液の固形分濃度はそれぞれ10質量%とした。
-片面銅張積層板の作製-
層A用のポリマー溶液と、層B用のポリマー溶液とを、共流延用に調整したマルチマニホールドを装備した流延ダイに送液し、ステンレス製ベルト支持体上に、層Aをコアとし、層Bで挟み込むように流延した。残留溶剤量が25質量%になった時点で支持体から剥離し、ウェブの両端をテンタークリップで把持しながら乾燥した。続けて、窒素雰囲気下、熱風を用いて、300℃で3分間加熱することにより、層B/層A/層Bの積層構造を有するポリマーフィルムを得た。なお、実施例4~6では、加熱処理を、近赤外線ヒーター((株)ハイベック製)を用いて行った。また、実施例7では、加熱温度を380℃とし、加熱処理を、近赤外線ヒーター((株)ハイベック製)を用いて行った。
<銅箔の積層>
(銅張積層板前駆体工程)
上記ポリマーフィルムを、別途準備した銅箔(福田金属箔粉工業製 CF-T4X-SV-12 12μm)の処理面に接するように載せ、ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ社製「真空ラミネータV-130」)を使用して、140℃及びラミネート圧0.4MPaの条件で1分間のラミネート処理を行い、銅箔積層板前駆体を得た。
(本熱圧着工程)
熱圧着機(東洋精機製作所製「MP-SNL」)を用いて、得られた銅張積層板前駆体を300℃、4.5MPaの条件で10分間熱圧着することにより、片面銅張積層板を作製した。
表1に、評価結果を示す。
Figure 2023020291000001
表1に示すように、実施例1~実施例7のポリマーフィルムは、ポリマーを含み、誘電正接が、0.01以下であり、少なくとも一方の表面の、内部に対する歪み率が0%未満であるため、靭性が高いことが分かった。
一方、比較例1のポリマーフィルムは、歪み率が0%であり、靭性が低いことが分かった。

Claims (9)

  1. ポリマーを含み、
    誘電正接が、0.01以下であり、
    少なくとも一方の表面の、内部に対する歪み率が0%未満である、ポリマーフィルム。
  2. 前記歪み率が、-0.01%以下である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  3. 前記ポリマーフィルムを構成する成分のうち、最も含有量の多い成分は、誘電正接が0.01以下の成分である、請求項1又は請求項2に記載のポリマーフィルム。
  4. 前記誘電正接が0.01以下の成分は、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和基とを有する化合物の重合体、及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む、請求項3に記載のポリマーフィルム。
  5. 前記誘電正接が0.01以下の成分は、液晶ポリマーを含む、請求項3又は請求項4に記載のポリマーフィルム。
  6. 前記液晶ポリマーは、N-メチル-2-ピロリドンに可溶である、請求項4又は請求項5に記載のポリマーフィルム。
  7. 前記液晶ポリマーは、式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位を有する請求項4~請求項6のいずれか1項に記載のフィルム。
    式(1) -O-Ar-CO-
    式(2) -CO-Ar-CO-
    式(3) -X-Ar-Y-
    式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
    式(4) -Ar-Z-Ar
    式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
  8. 前記内部の剛性Scに対する、前記少なくとも一方の表面の剛性Saの比率が1未満である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
  9. 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のポリマーフィルムと、
    前記ポリマーフィルムの少なくとも一方の表面に配置された金属層又は金属配線と、
    を有する積層体。
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