JP2022184737A - 配線基板及び配線基板の製造方法 - Google Patents

配線基板及び配線基板の製造方法 Download PDF

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Genya Tanaka
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Abstract

【課題】配線追従性に優れ、かつ、配線歪みが抑制された配線基板及び配線基板の製造方法の提供。【解決手段】配線パターンが埋設されており、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であり、誘電正接が0.006以下である、配線基板及び配線基板の製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
近年、通信機器に使用される周波数は非常に高くなる傾向にある。高周波帯域における伝送損失を抑えるため、回路基板に用いられる絶縁材料の比誘電率と誘電正接とを低くすることが要求されている。
例えば、特許文献1には、複数の熱可塑性液晶ポリマーフィルムと、少なくとも一枚の導体層とを有する積層構造を有し、積層構造の少なくとも一部に、回路が加工された導体層が二枚の熱可塑性液晶ポリマーフィルムの層間にはさまれる構造を含む回路基板が記載されている。
国際公開第2016/072361号
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、配線追従性に優れ、かつ、配線歪みが抑制された配線基板及び配線基板の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 配線パターンが埋設されており、
配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であり、
誘電正接が0.006以下である、配線基板。
<2>
配線パターンが埋設されており、
配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であり、
誘電正接が0.006以下である、配線基板。
<3> 配線パターンの厚さが、5μm~40μmである、<1>又は<2>に記載の配線基板。
<4> 基材と、基材の少なくとも一方の面上に配置された配線パターンと、配線パターン間及び配線パターン上に配置された樹脂層とを、備え、
基材は、誘電正接が0.006以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の配線基板。
<5> 基材は、液晶ポリマーを含む、<4>に記載の配線基板。
<6> 液晶ポリマーは、式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位を有する、<5>に記載の配線基板。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
<7> 樹脂層は、240℃における弾性率が0.1MPa以下である、<5>又は<6>に記載の配線基板。
<8> 配線パターン付き基材の配線パターン上に、樹脂基材を重ね合わせる工程と、
配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱して、配線基板を得る工程と、を含み、
配線パターン付き基材における基材は、重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度における弾性率が300MPa以上であり、
配線基板の誘電正接が0.006以下である、配線基板の製造方法。
<9> 樹脂基材は、熱可塑性ポリマーを含み、
重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度は、熱可塑性ポリマーの融点よりも低い温度である、<8>に記載の配線基板の製造方法。
<10> 樹脂基材は、さらに、熱可塑性ポリマーの融点よりも低い融点を有する化合物を含み、
重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度は、化合物の融点よりも高い温度である、<9>に記載の配線基板の製造方法。
<11> 化合物は、誘電正接が0.01以下である、<10>に記載の配線基板の製造方法。
<12> 樹脂基材は、重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度における弾性率が0.1MPa以下である、<8>~<11>のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、配線追従性に優れ、かつ、配線歪みが抑制された配線基板及び配線基板の製造方法が提供される。
図1は、本開示に係る配線基板の一例を示す概略断面図である。 図2は、本開示に係る配線基板の他の一例を示す概略断面図である。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel SuperHM-H(東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤PFP(ペンタフルオロフェノール)/クロロホルム=1/2(質量比)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、「配線追従性」とは、配線パターンと接する層(具体的には、樹脂層又は基材)が、配線パターンへ追従して変形しやすい性質を意味する。具体的には、樹脂層又は基材と、配線パターンとの間に隙間が生じにくい性質を意味する。
[配線基板]
本開示に係る配線基板の第1態様は、配線パターンが埋設されており、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であり、誘電正接が0.006以下である。
本開示に係る配線基板の第2態様は、配線パターンが埋設されており、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であり、誘電正接が0.006以下である。
本発明者が鋭意検討した結果、上記構成をとることにより、配線追従性に優れ、かつ、配線歪みが抑制された配線基板を提供できることを見出した。
上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
本開示に係る配線基板では、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、特定の厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方において、240℃における弾性率が300MPa以上であるため、配線に対する応力が低減し、配線の歪みが抑制され、かつ、配線追従性に優れると考えられる。上記特定の厚み位置とは、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置であるか、又は、配線パターンから離れる方向に向かって、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置である。
これに対して、特許文献1では、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、特定の厚み位置までの厚み領域の240℃における弾性率には着目していない。
以下、本開示に係る配線基板について、詳細に説明する。
本開示に係る配線基板は、配線パターンを有し、配線パターンは埋設されている。配線パターンは、例えば、以下の方法により、配線基板に埋設させることができる。まず、基材上に金属層を形成し、金属層をパターン状にエッチングする。これにより、配線パターンが少なくとも一方の面上に配置された基材(以下、「配線パターン付き基材」ともいう)が得られる。次に、配線パターン付き基材と他の基材とを、配線パターン付き基材における配線パターンが内側になるように重ねる。配線パターン付き基材と他の基材とを重ねた後、貼り合わせてもよいし熱融着してもよい。これにより、配線パターンが埋設された配線基板が得られる。
本開示において、「配線パターンが埋設されている」とは、配線パターンの少なくとも一部が、配線基板の内部に存在していることを意味する。
配線パターンの材質は特に限定されないが、金属であることが好ましく、銀又は銅であることがより好ましい。
本開示に係る配線基板の第1態様では、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上である。本開示に係る配線基板の第2態様では、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上である。240℃における弾性率が300MPa以上であることにより、配線歪みが抑制される。以下、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置と、配線パターンから離れる方向に向かって、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置と、をいずれも「特定の厚み位置」ともいう。
本開示に係る配線基板では、配線パターンが埋設されていればよく、配線パターン以外の領域の材質は特に限定されない。また、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、特定の厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であればよく、その材質は特に限定されない。
配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準(起点)として、特定の厚み位置までの厚み領域とは、例えば、図1におけるP11及びP12を指す。また、図2においては、配線パターンが配線基板の厚み方向に2つ埋設されており、上記厚み領域とは、P21及びP22、並びに、P31及びP32を指す。図1における配線基板100においては、厚み領域P11及びP12の少なくとも一方の240℃における弾性率が300MPa以上である。図2における配線基板200においては、厚み領域P21及びP22の少なくとも一方の240℃における弾性率が300MPa以上であり、かつ、厚み領域P31及びP32の少なくとも一方の240℃における弾性率が300MPa以上である。
本開示において、弾性率は、押し込み弾性率(EIT)を意味する。240℃における弾性率とは、240℃の環境下で測定される弾性率のことである。
配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域の弾性率は、以下の方法で測定される。
まず、配線基板をミクロトーム等で断面切削し、光学顕微鏡で配線近傍を観察した画像から、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域を特定する、次に、上記特定した領域における弾性率を、ナノインデンテーション法を用いて、押し込み弾性率として測定する。押し込み弾性率は、微小硬度計を用いて測定され、例えば、微小硬度計(製品名「DUH-W201」、島津製作所製)を用い、ビッカース圧子により0.28mN/秒の荷重速度で、上記特定した領域に対して負荷をかけ、最大荷重10mNを10秒間保持した後に、0.28mN/秒の荷重速度で除荷を行うことにより、測定される。
なお、配線パターンから離れる方向に向かって、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置までの厚み領域の弾性率は、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域の代わりに、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置までの厚み領域を特定すること以外は、上記と同様の方法で測定される。
配線追従性を向上させ、かつ、配線歪みをより抑制する観点から、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、特定の厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が、300MPa以上であることが好ましく、400MPa以上であることがより好ましい。上記弾性率の上限値は特に限定されず、例えば、9000MPaである。
配線パターンの厚さは特に限定されないが、5μm~40μmであることが好ましく、5μm~35μmであることがより好ましい。
配線パターンの厚さは、ミクロトームで配線基板を切削し、光学顕微鏡で観察することにより、測定される。
本開示に係る配線基板は、誘電正接が0.006以下であり、0を超え0.003以下であることが好ましい。誘電正接が0.006以下であるため、伝送損失を小さくすることができる。
本開示において、誘電正接は、以下の方法を用いて測定される。
周波数28GHzで共振摂動法により実施する。具体的には、ネットワークアナライザ(キーサイト・テクノロジー社製「N5230A」)にスプリットシリンダ共振器(関東電子応用開発社製)を接続し、空洞共振器に試験片(幅:25mm×長さ:50mm、24℃・50%・24時間調湿)を挿入し、挿入前後の共振周波数の変化から、関東電子応用開発社製の解析ソフトを用いて誘電正接を測定する。
なお、配線基板の誘電正接は、配線基板が複数の層で構成される場合、各層の誘電正接及び厚みから、下記式を用いて算出される。
配線基板の誘電正接=Σ(各層の誘電正接×各層の厚み/各層の合計厚み)
本開示に係る配線基板は、基材と、基材の少なくとも一方の面上に配置された配線パターンと、配線パターン間及び配線パターン上に配置された樹脂層と、を備えることが好ましい。
図1は、本開示に係る配線基板の一例を示す概略断面図である。図1に示す配線基板100は、基材10と、基材10の一方の面上に配置された配線パターン20と、配線パターン20間及び配線パターン20上に配置された樹脂層30と、を備える。
図2は、本開示に係る配線基板の他の一例を示す概略断面図である。図2に示す配線基板200は、基材40と、基材40の両方の面上に配置された配線パターン50、70と、配線パターン50間及び配線パターン50上に配置された樹脂層60と、配線パターン70間及び配線パターン70上に配置された樹脂層80と、を備える。
基材40が均一な単層である場合、厚み領域22と、厚み領域31とは、240℃における弾性率が同様である。また、樹脂層60と樹脂層80とが同様の方法で形成された層である場合、厚み領域21と、厚み領域32とは、240℃における弾性率が同様である。したがって、基材40が均一な単層である場合には、厚み領域22及び厚み領域31のいずれか一方について、240℃における弾性率を測定すればよい。また、樹脂層60と樹脂層80とが同様の方法で形成された層である場合には、厚み領域21及び厚み領域32のいずれか一方について、240℃における弾性率を測定すればよい。
-基材-
配線基板は、基材を備えることが好ましい。
基材の材質は特に限定されないが、樹脂を含むことが好ましい。
基材は、誘電正接が0.006以下であることが好ましく、0を超え0.003以下であることがより好ましい。
基材に含まれる樹脂としては、例えば、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリマー;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性ポリマーが挙げられる。
中でも、誘電正接の観点から、基材は、液晶ポリマーを含むことが好ましい。
液晶ポリマーは、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーであってもよく、溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマーであってもよい。また、サーモトロピック液晶の場合は、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶ポリエステル、液晶ポリエステルにアミド結合が導入された液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルにエーテル結合が導入された液晶ポリエステルエーテル、及び、液晶ポリエステルにカーボネート結合が導入された液晶ポリエステルカーボネートが挙げられる。
また、液晶ポリマーは、液晶性の観点から、芳香環を有するポリマーであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることがより好ましく、芳香族ポリエステルアミドであることがさらに好ましい。
さらに、液晶ポリマーは、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドに、イミド結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
また、液晶ポリマーは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリマーであることが好ましい。
液晶ポリマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
1)(i)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、(ii)芳香族ジカルボン酸と、(iii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重縮合させてなるもの。
3)(i)芳香族ジカルボン酸と、(ii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
4)(i)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、(ii)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重縮合させてなるもの。
ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンはそれぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重縮合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリマーは、液晶性の観点から、下記式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位(以下、式(1)で表される構成単位等を、単位(1)等ということがある。)を有することが好ましく、下記式(1)で表される構成単位を有することがより好ましく、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、下記式(3)で表される構成単位とを有することが特に好ましい。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基及びn-デシル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
上記アリール基の例としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基及び2-ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは6~20である。
上記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される上記基毎にそれぞれ独立に、好ましくは2個以下であり、より好ましくは1個である。
上記アルキレン基の例としては、メチレン基、1,1-エタンジイル基、1-メチル-1,1-エタンジイル基、1,1-ブタンジイル基及び2-エチル-1,1-ヘキサンジイル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
単位(1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位である。
単位(1)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(p-ヒドロキシ安香酸に由来する構成単位)、及びArが2,6-ナフチレン基であるもの(6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位)、又は、4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4’-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸に由来する構成単位)が好ましい。
単位(2)は、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位である。
単位(2)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する構成単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成単位)、Arが2,6-ナフチレン基であるもの(2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位)、又は、Arがジフェニルエーテル-4,4’-ジイル基であるもの(ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸に由来する構成単位)が好ましい。
単位(3)は、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する構成単位である。
単位(3)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p-アミノフェノール又はp-フェニレンジアミンに由来する構成単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成単位)、又は、Arが4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル又は4,4’-ジアミノビフェニルに由来する構成単位)が好ましい。
単位(1)の含有量は、全構成単位の合計量(液晶ポリマーを構成する各構成単位の質量をその各単位の式量で割ることにより、各単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値;以下同様)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%~80モル%、更に好ましくは30モル%~60モル%、特に好ましくは30モル%~40モル%である。
単位(2)の含有量は、全構成単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
単位(3)の含有量は、全構成単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性、強度及び剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
単位(2)の含有量と単位(3)の含有量との割合は、[単位(2)の含有量]/[単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1~1/0.9、より好ましくは0.95/1~1/0.95、更に好ましくは0.98/1~1/0.98である。
なお、液晶ポリマーは、単位(1)~単位(3)をそれぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリマーは、単位(1)~単位(3)以外の他の構成単位を有してもよいが、他の構成単位の含有量は、全単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリマーは、単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるものを有すること、すなわち、芳香族ヒドロキシルアミンに由来する構成単位及び芳香族ジアミンに由来する構成単位の少なくとも一方を有することが、溶媒に対する溶解性が優れるので好ましく、単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるもののみを有することがより好ましい。
液晶ポリマーは、液晶ポリマーを構成する構成単位に対応する原料モノマーを溶融重合させることにより製造することが好ましい。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1-メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物などが挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。なお、溶融重合は、必要に応じて、更に固相重合させてもよい。
液晶ポリマーの流動開始温度は、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃以上350℃以下、更に好ましくは260℃以上330℃以下である。液晶ポリマーの流動開始温度が上記範囲であると、溶解性、耐熱性、強度及び剛性に優れ、また、溶液の粘度が適度である。
流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリマーを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4,800Pa・s(48,000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリマーの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー-合成・成形・応用-」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
また、液晶ポリマーの重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、3,000~300,000であることがより好ましく、5,000~100,000であること更に好ましく、5,000~30,000であることが特に好ましい。この液晶ポリマーの重量平均分子量が上記範囲であると、熱処理後のフィルムにおいて、厚み方向の熱伝導性、耐熱性、強度及び剛性に優れる。
基材の平均厚みは特に限定されないが、5μm~100μmであることが好ましく、10μm~80μmであることがより好ましく、20μm~70μmであることがさらに好ましい。
本開示に係る配線基板における各層の平均厚みは、以下の方法を用いて測定される。
配線基板をミクロトームで切削し、断面を光学顕微鏡で観察して、各層の厚みを評価する。断面サンプルは3ヶ所以上切り出し、各断面において、3点以上厚みを測定し、それらの平均値を平均厚みとする。
本開示に係る配線基板では、配線追従性を向上させ、かつ、配線歪みをより抑制する観点から、基材は、240℃における弾性率が300MPa以上であることが好ましく、400MPa以上であることがより好ましく、450MPa以上であることがさらに好ましい。上記弾性率の上限値は特に限定されず、例えば、9000MPaである。
なお、基材の240℃における弾性率は、上記と同様の方法で測定される。
-樹脂層-
配線基板は、樹脂層を備えることが好ましい。
樹脂層とは、樹脂(すなわち、ポリマー)を含む層を意味する。樹脂層には、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。また、樹脂層に含まれる樹脂は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。樹脂層は、樹脂を含んでいればよく、樹脂が主成分でない層であってもよい。なお、樹脂層における主成分とは、樹脂層に含まれる全ての成分のうち、最も含有量の多い成分のことをいう。
樹脂層に含まれる樹脂としては、例えば、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリマー;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性ポリマーが挙げられる。
中でも、誘電正接の観点から、樹脂層は、熱可塑性ポリマーを含むことが好ましく、熱可塑性ポリマーは液晶ポリマーであることが好ましい。
なお、本開示において、熱可塑性ポリマーとは、融点まで加熱すると軟化するポリマーを意味する。
樹脂層は、誘電正接が0.006以下であることが好ましく、0を超え0.003以下であることがより好ましい。
樹脂の含有量は、樹脂層の全量に対して、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。樹脂の含有量の上限値は特に限定されず、100質量%であってもよい。
樹脂層は、熱可塑性ポリマーを含み、かつ、熱可塑性ポリマーの融点よりも低い融点を有する化合物(以下、「化合物A」ともいう)を含むことがより好ましい。
本開示において、融点は、融点は、示差走査熱量計の測定により得られるスペクトルから算出される値である。
熱可塑性ポリマーの融点は、0℃~500℃であることが好ましく、20℃~400℃であることがより好ましい。
化合物Aの融点は、0℃~240℃であることが好ましく、20℃~190℃であることがより好ましい。
熱可塑性ポリマーの融点と、化合物Aの融点との差は、10℃~250℃であることが好ましく、30℃~200℃であることがより好ましい。
伝送損失を低減させる観点から、化合物Aの誘電正接は0.01以下であることが好ましく、0.001以下であることがより好ましい。
化合物Aの誘電正接は、以下の方法で測定される。
周波数28GHzで共振摂動法により実施する。具体的には、ネットワークアナライザ(キーサイト・テクノロジー社製「N5230A」)にスプリットシリンダ共振器(関東電子応用開発社製)を接続し、空洞共振器に化合物Aを充填したPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製チューブ(外径2.5mm、内径1.5mm、長さ10mm)を挿入し、挿入前後の共振周波数の変化から、関東電子応用開発社製の解析ソフトを用いて誘電正接を測定する。また、PTFE製チューブ内の空隙の影響をBruggemanの式と空隙率で補正することで、化合物Aの誘電正接が得られる。空隙率の算出方法は以下のとおりである。
PTFEチューブの内径及び長さから、PTFEチューブ内の空間体積を算出する。また、PTFEチューブに固体(粉末)を充填する前後の重さを測定し、充填した固体の質量を算出する。さらに、充填した固体の質量及び比重から、充填した固体の体積を算出する。空隙率は、下記式を用いて算出される。
空隙率(%)=100-(充填した固体の体積/PTFEチューブ内の空間体積)×100
化合物Aは、粒子状であってもよく、繊維状であってもよい。また、化合物Aは、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。
無機化合物の材質としては、例えば、BN、Al、AlN、TiO、SiO、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、及び、これらを2種以上含む材質が挙げられる。
有機化合物の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、尿素-ホルマリンフィラー、ポリエステル、セルロース、アクリル樹脂、フッ素樹脂、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂、及び、これらを2種以上含む材質が挙げられる。
中でも、屈曲性の観点から、化合物Aは、有機化合物であることが好ましく、ポリエチレン又はアクリル樹脂であることが好ましい。
また、誘電正接の観点から、化合物Aは、無機化合物であることが好ましく、窒化ホウ素又はシリカであることが好ましい。
化合物Aが粒子状である場合、平均粒径は、0.1μm~50μmであることが好ましく、1μm~20μmであることがより好ましい。平均粒径は、50%体積平均径(D50;中位粒子径ともいう。)を意味する。
化合物Aの含有量は、樹脂層の全量に対して、5質量%~95質量%であることが好ましく、15質量%~90質量%であることがより好ましい。
樹脂層は、樹脂及び化合物A以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができる。具体的には、例えば、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
配線追従性を向上させ、かつ、配線歪みをより抑制する観点から、樹脂層は、240℃における弾性率が0.1MPa以下であることが好ましく、0.08MPa以下であることがより好ましい。上記弾性率の下限値は特に限定されず、例えば、0.0001MPaである。
配線パターン間及び配線パターン上に樹脂層を設ける方法としては、例えば、配線パターン付き基材の配線パターン上に、樹脂基材を重ね合わせて、配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱する方法が挙げられる。樹脂基材を重ね合わせる工程、及び、配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱する工程については、後述する。
樹脂基材の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を参照することができる。
樹脂基材の製造方法としては、例えば、共流延法、重層塗布法、共押出法等が好適に挙げられる。中でも、比較的薄手の製膜には共流延法が特に好ましく、厚手の製膜には共押出法が特に好ましい。
共流延法及び重層塗布法により製造する場合、ポリマー等の各層の成分をそれぞれ溶媒に溶解又は分散した層A形成用組成物、層B形成用組成物等として、共流延法又は重層塗布法を行うことが好ましい。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1-クロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p-クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn-ブチルリン酸等のリン化合物等が挙げられ、それらを2種以上用いてもよい。
溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物(特に好ましくはハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物)を含むことが好ましい。溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。また、上記非プロトン性化合物としては、液晶ポリマーを溶解し易いことから、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N-メチルピロリドン等のアミド又はγ-ブチロラクトン等のエステルを含むことが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、又は、N-メチルピロリドンがより好ましい。
また、溶媒としては、液晶ポリマー等の上記ポリマーを溶解し易いことから、双極子モーメントが3~5である化合物を含むことが好ましい。溶媒全体に占める双極子モーメントが3~5である化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
上記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3~5である化合物を用いることが好ましい。
また、溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を含むこと好ましい。溶媒全体に占める1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
上記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
また、樹脂基材の製造方法において、上記共流延法、重層塗布法及び共押出法等により製造する場合、支持体を使用してもよい。
支持体としては、例えば、金属ドラム、金属バンド、ガラス板、樹脂フィルム又は金属箔が挙げられる。中でも、支持体は、金属箔であることが好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えばポリイミド(PI)フィルムを挙げることができ、市販品の例としては、宇部興産(株)製U-ピレックスS及びU-ピレックスR、東レデュポン(株)製カプトン、並びに、SKCコーロンPI社製IF30、IF70及びLV300等が挙げられる。
また、支持体は、容易に剥離できるように、表面に表面処理層が形成されていてもよい。表面処理層は、ハードクロムメッキ、フッ素樹脂等を用いることができる。
例えば、支持体が金属箔である場合、金属箔上に、ポリマーを含むポリマー溶液を塗布し、乾燥させることにより、ポリマー膜を形成することができる。ポリマー膜が形成された金属箔から、金属箔をエッチングして除去することにより、樹脂基材を得ることができる。
支持体の平均厚みは、特に制限はないが、好ましくは25μm以上75μm以下であり、より好ましくは50μm以上75μm以下である。
また、流延、又は、塗布された膜状の組成物(流延膜又は塗膜)から溶媒の少なくとも一部を除去する方法としては、特に制限はなく、公知の乾燥方法を用いることができる。
上記製膜によって、ポリマー膜が得られる。
樹脂基材の製造方法において、分子配向を制御し、線膨張係数、及び、力学物性を調整する観点で、ポリマー膜の延伸を行ってもよい。延伸の方法は、特に制限はなく、公知の方法を参照することができ、溶媒を含んだ状態で実施してもよく、乾膜の状態で実施してもよい。溶媒を含んだ状態での延伸は、樹脂基材を把持して伸長してもよく、伸長せずに乾燥によるウェブの自己収縮力を利用して実施してもよく、それらの組み合わせでもよい。延伸は、無機フィラー等の添加によって樹脂基材の脆性が低下した場合に、破断伸度及び破断強度を改善する目的で特に有効である。
樹脂基材の製造方法は、ポリマー膜を熱処理(アニール)する工程を含むことが好ましい。
上記熱処理する工程における熱処理温度として具体的には、誘電正接及び剥離強度の観点から、260℃~370℃であることが好ましく、280℃~360℃であることがより好ましく、300℃~350℃であることが更に好ましい。熱処理時間は、15分~10時間であることが好ましく、30分~5時間であることが更に好ましい。
また、樹脂基材の製造方法は、必要に応じ、他の公知の工程を含んでいてもよい。
<配線基板の製造方法>
本開示に係る配線基板の製造方法は、配線パターン付き基材の配線パターン上に、樹脂基材を重ね合わせる工程(以下、重ね合わせ工程)と、配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱して、配線基板を得る工程(以下、加熱工程)と、を含む。配線パターン付き基材における基材は、重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度における弾性率が300MPa以上であり、配線基板の誘電正接は0.006以下である、
-重ね合わせ工程-
本開示に係る配線基板の製造方法では、配線パターン付き基材の配線パターン上に、樹脂基材を重ね合わせる。後述する加熱工程において配線パターンを埋設する前にあらかじめ配線パターン上に樹脂基材を配置する。
樹脂基材を重ね合わせる場合、配線パターン上に樹脂基材を載置するだけでもよいし、圧力を加えて押し付けながら配線パターン上に樹脂基材を圧接するようにしてもよい。
配線パターン付き基材は、基材の一方の面にのみ配線パターンが形成されていてもよく、基材の両方の面に配線パターンが形成されていてもよい。
配線パターン付き基材は、公知の方法を用いて作製することができる。例えば、基材の少なくとも一方の面に金属層を貼り合わせて、基材と、基材の少なくとも一方の面に配置された金属層と、を備える積層体を得る。金属層に対して、公知のパターニング処理を施すことにより、配線パターン付き基材が得られる。
配線パターン付き基材における基材及び配線パターンの好ましい態様は、上記配線基板の欄で説明した基材及び配線パターンの好ましい態様と同様である。樹脂基材の好ましい態様は、以下に説明する点以外は、上記配線基板の欄で説明した樹脂層の好ましい態様と同様である
樹脂基材は、例えば、上記配線基板の欄で説明した樹脂層を設ける際に用いられる樹脂基材の製造方法により製造される。
配線パターン付き基材における基材は、後述の加熱工程において重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度における弾性率が300MPa以上であることが好ましく、350MPa以上であることがより好ましく、400MPa以上であることがさらに好ましい。上記弾性率の上限値は特に限定されず、例えば、9000MPaである。弾性率の測定方法は上記のとおりである。
樹脂基材は、後述の加熱工程において重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度における弾性率が0.1MPa以下であることが好ましく、0.08MPa以下であることがより好ましい。上記弾性率の下限値は特に限定されず、例えば、0.0001MPaである。弾性率の測定方法は上記のとおりである。樹脂基材は、熱可塑性ポリマーを含むことが好ましい。
樹脂基材は、さらに、熱可塑性ポリマーの融点よりも低い融点を有する化合物(すなわち、化合物A)を含むことが好ましい。
-加熱工程-
本開示の配線基板の製造方法では、上記の重ね合わせ工程の後、配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱して、配線基板を得る。得られた配線基板は、基材と樹脂基材との間に配線パターンが埋設されている。
加熱方法は特に限定されず、例えば、熱プレス機を用いて行うことができる。
配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度は、50℃~300℃であることが好ましく、100℃~250℃であることがより好ましい。
配線追従性を向上させ、かつ、配線歪みをより抑制する観点から、上記加熱温度は、樹脂基材に含まれる熱可塑性ポリマーの融点よりも低い温度であることが好ましく、熱可塑性ポリマーの融点よりも10℃以上低い温度であることがより好ましい。融点の測定方法は上記のとおりである。
また、樹脂基材がさらに熱可塑性ポリマーの融点よりも低い融点を有する化合物Aを含む場合は、配線追従性を向上させ、かつ、配線歪みをより抑制する観点から、上記加熱温度は、化合物Aの融点よりも高い温度であることが好ましく、化合物Aの融点よりも10℃以上高い温度であることがより好ましい。
配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱する際に、加圧することが好ましい。圧力は、0.5MPa~30MPaであることが好ましく、1MPa~20MPaであることがより好ましい。
配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱する際の加熱時間は特に限定されず、例えば、1分~2時間である。
<用途>
本開示に係る配線基板は、種々の用途に用いることができる、中でも、本開示に係る配線基板は、フレキシブルプリント回路基板に好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた材料の詳細は、以下のとおりである。
(基材)
・液晶ポリマー… 液晶ポリマーフィルム(製品名「ベクスターCTQ-50」、膜厚50μm、クラレ社製)
・ポリイミド… ポリイミドフィルム(製品名「ユーピレックス50S」、膜厚50μm、宇部興産社製)
・フッ素樹脂… 4フッ化エチレンと6フッ化プロピレンの共重合体フィルム(製品名「NR0538-02」、膜厚50μm、ダイキン社製)
・PET… ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「ルミラー#50-S10」、膜厚50μm、東レ社製)
(樹脂層)
-ポリマー-
・LCP… 下記製造方法に従って作製した液晶ポリマー
-LCPの製造-
撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、アセトアミノフェン377.9g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸867.8g(8.4モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温(23℃)から143℃まで60分かけて昇温し、143℃で1時間還流させた。
次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から300℃まで5時間かけて昇温し、300℃で30分保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(A1)を得た。
上記で得た液晶ポリエステル(A1)を、窒素雰囲気下、室温から160℃まで2時間20分かけて昇温し、次いで160℃から180℃まで3時間20分かけて昇温し、180℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却し、次いで、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(A2)を得た。
上記で得た液晶ポリエステル(A2)を、窒素雰囲気下、室温(23℃)から180℃まで1時間20分かけて昇温し、次いで180℃から240℃まで5時間かけて昇温し、240℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(LCP)を得た。
-添加剤:化合物A-
・CL-2080… 球状低密度ポリエチレン(製品名「フロービーズCL-2080」、中位粒子径11μm、融点105℃、密度0.92g/cm、誘電正接0.0007、住友精化社製)
-フィラー-
F-1:平均粒径0.5μmのシリカ微粒子(製品名「SO-C2」、(株)アドマテックス製)
F-2:窒化ホウ素粒子(製品名「HP40MF100」、水島合金鉄(株)製、誘電正接0.0007)
<実施例1>
-配線パターン付き基材の作製-
銅箔(製品名「CF-T4X-SV-18」、平均厚み18μm、福田金属箔粉工業社製)と、基材として液晶ポリマーフィルム(製品名「CTQ-50」、平均厚み50μm、クラレ社製)を準備した。銅箔の処理面が基材と接するように、銅箔と基材と銅箔とをこの順に重ねた。ラミネータ(製品名「真空ラミネータV-130」、ニッコー・マテリアルズ社製)を使用して、140℃及びラミネート圧0.4MPaの条件で1分間のラミネート処理を行い、両面銅箔積層板の前駆体を得た。続いて、熱圧着機(製品名「MP-SNL」、東洋精機製作所製)を用いて、得られた両面銅張積層板の前駆体を、300℃及び4.5MPaの条件で10分間熱圧着することにより、両面銅張積層板を作製した。
上記両面銅張積層板の両面の銅箔に対してそれぞれエッチングしてパターニングを施し、基材の両側にグランド線及び3対の信号線を含む配線パターン付き基材を作製した。信号線の長さは50mm、幅は特性インピーダンスが50Ωになるように設定した。
-配線基板の作製-
LCP0.36g及びN-メチルピロリドン4.19gを90℃で4時間加熱した後、室温まで放冷した。CL-2080を1.45g、N-メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製)を4g添加し、よく撹拌し、ポリマー溶液を得た。ポリマー溶液を、アプリケータ(クリアランス:250μm)を用いて、銅箔(製品名「CF-T9DA-SV-18」、平均厚み18μm、福田金属箔粉工業社製)上に塗布した後、50℃で3時間乾燥させ、ポリマー膜を得た。ポリマー溶液の塗布及び乾燥を2回繰り返すことにより、膜厚25μmのポリマー膜が形成された。120℃で1時間の予備乾燥を行った後、窒素雰囲気下において280℃で3時間アニール処理を行った。これにより、銅箔上にポリマー膜が形成された積層体を得た。塩化鉄(III)水溶液(固形分40質量%、富士フイルム和光純薬社製)に、積層体を1時間浸漬して、銅箔をエッチング除去した後、水洗した。これにより、ポリマーフィルム(樹脂基材)を得た。ポリマーフィルムと配線パターン付き基材とポリマーフィルムとを、ポリマーフィルムと配線パターン付き基材の配線パターン側とが対向するように、この順に積層し(重ね合わせ工程)、160℃及び4MPaの条件で、1時間の熱プレスを行うこと(加熱工程)により、図2と同様の構造を有する配線基板を得た。
得られた配線基板は、配線パターン(グランド線及び信号線)が埋設されており、配線パターンの厚みは18μmであった。
<実施例2、比較例1、比較例2>
実施例2及び比較例1では、配線パターン付き基材の作製において、基材を表1に記載の基材に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、配線基板を得た。
比較例2では、配線パターン付き基材の作製において、基材を表1に記載の基材に変更し、かつ、熱プレスの温度を200℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、配線基板を得た。
<実施例3>
実施例1の配線パターン付き基材の作製において、両面銅張積層板を下記の両面銅張積層板に変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。
-片面銅張積層板の作製-
LCP0.91g及びN-メチルピロリドン10.47gを90℃で4時間加熱した後、室温まで放冷した。F-1を0.90g、N-メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製)を4g添加し、よく撹拌し、ポリマー溶液を得た。ポリマー溶液を、アプリケータ(クリアランス:250μm)を用いて、銅箔(製品名「CF-T4X-SV-18」、平均厚み18μm、福田金属箔粉工業社製)上に塗布した後、50℃で3時間乾燥させ、ポリマー膜を得た。120℃で1時間の予備乾燥を行った後、窒素雰囲気下において280℃で3時間アニール処理を行った。これにより、銅箔上にポリマー膜が形成された片面銅張積層板を得た。
-両面銅張積層板の作製-
(銅張積層板前駆体工程)
片面銅張積層板に対し、銅箔(福田金属箔粉工業(株)製、CF-T4X-SV-18、平均厚み18μm)の処理面が、ポリマー膜と接するように載せ、ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ社製「真空ラミネータV-130」)を使用して、140℃及びラミネート圧0.4MPaの条件で1分間のラミネート処理を行い、両面銅箔積層板の前駆体を得た。
(本熱圧着工程)
熱圧着機(東洋精機製作所製「MP-SNL」)を用いて、得られた銅張積層板前駆体を300℃4.5MPaの条件で10分間熱圧着することにより、両面銅張積層板を作製した。
<実施例4>
実施例3の片面銅張積層板の作製において、F-1 0.90gをF-2 0.90gに変更したこと以外は、実施例3と同様に実施した。
得られた配線基板を用いて、誘電正接、及び弾性率を測定した。具体的に、弾性率については、厚み領域P21の240℃及び加熱温度における弾性率、厚み領域P22の240℃及び加熱温度における弾性率、並びに、樹脂層60の240℃及び加熱温度における弾性率を測定した。
なお、加熱温度とは、配線パターン付き基材と樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱する際の温度を意味し、上記熱プレスの温度に対応する。
厚み領域P21は、配線パターン50の厚み方向における樹脂層側の面を基準として、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域を指す。
厚み領域P22は、配線パターン50の厚み方向における基材側の面を基準として、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域を指す。
なお、厚み領域P21を、配線パターン50の厚み方向における樹脂層側の面を基準として、配線パターンから離れる方向に向かって、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置までの厚み領域に置き換えた場合にも、後述する測定結果は、同じであった。
また、厚み領域P22を、配線パターン50の厚み方向における基材側の面を基準として、配線パターンから離れる方向に向かって、配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置までの厚み領域に置き換えた場合にも、後述する測定結果は、同じであった。
-測定-
[誘電正接]
周波数28GHzで共振摂動法により実施した。具体的には、ネットワークアナライザ(キーサイト・テクノロジー社製「N5230A」)にスプリットシリンダ共振器(関東電子応用開発社製)を接続し、空洞共振器に試験片(幅:25mm×長さ:50mm、24℃・50%・24時間調湿)を挿入し、挿入前後の共振周波数の変化から、関東電子応用開発社製の解析ソフトを用いて誘電正接を測定した。
[弾性率]
まず、配線基板をミクロトームで断面切削し、光学顕微鏡で配線近傍を観察した画像から、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域を特定した。次に、上記特定した領域における弾性率を、ナノインデンテーション法を用いて、押し込み弾性率として測定した。押し込み弾性率は、微小硬度計(製品名「DUH-W201」、島津製作所製)を用い、ビッカース圧子により0.28mN/秒の荷重速度で、上記特定した領域に対して負荷をかけ、最大荷重10mNを10秒間保持した後に、0.28mN/秒の荷重速度で除荷を行うことにより、測定した。
-評価-
[配線追従性]
配線基板をミクロトームで厚み方向に沿って切削し、樹脂層60/配線パターン50/基材40/配線パターン70/樹脂層80の順に積層された断面を光学顕微鏡で観察した。樹脂層60と配線パターン50間において、上記断面の面内方向に生じる隙間の長さLを測定した。10箇所における平均値を算出した。評価基準は以下のとおりである。
A:Lは0μmである。
B:Lは0μm超4μm以下である。
C:Lは4μm超20μm以下である。
D:Lは20μm超である。
[配線歪み]
配線基板をミクロトームで切削し、断面を光学顕微鏡で観察した。信号線及びグランド線における歪みの有無に基づいて、配線歪みを評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:信号線及びグランド線に歪みが認められない。
B:信号線に歪みは認められないが、グランド線に歪みが認められる。
C:1対の信号線に歪みが認められる。
D:2対又は3対の信号線に歪みが認められる。
表1に、測定結果及び評価結果を示す。
Figure 2022184737000002
表1に示すように、実施例1~実施例4では、配線パターンが埋設されており、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、特定の厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であり、誘電正接が0.006以下であるため、配線追従性に優れ、かつ、配線歪みが抑制されることが分かった。
一方、比較例1及び比較例2では、配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、特定の厚み位置までの厚み領域がいずれも、240℃における弾性率が300MPa未満であるため、配線追従性と配線歪みの抑制とを両立できないことが分かった。
100、200…配線基板
10、40…基材
20、50、70…配線パターン
30、60、80…樹脂層
P11、P12、P21、P22、P31、P32…厚み領域

Claims (12)

  1. 配線パターンが埋設されており、
    前記配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、前記配線パターンから離れる方向に向かって7μmの厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であり、
    誘電正接が0.006以下である、配線基板。
  2. 配線パターンが埋設されており、
    前記配線パターンの厚み方向における一方面及び他方面のそれぞれを基準として、前記配線パターンから離れる方向に向かって、前記配線パターンの厚みの40%に相当する厚み位置までの厚み領域の少なくとも一方は、240℃における弾性率が300MPa以上であり、
    誘電正接が0.006以下である、配線基板。
  3. 前記配線パターンの厚さが、5μm~40μmである、請求項1又は請求項2に記載の配線基板。
  4. 基材と、基材の少なくとも一方の面上に配置された前記配線パターンと、前記配線パターン間及び前記配線パターン上に配置された樹脂層とを、備え、
    前記基材は、誘電正接が0.006以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
  5. 前記基材は、液晶ポリマーを含む、請求項4に記載の配線基板。
  6. 前記液晶ポリマーは、式(1)~式(3)のいずれかで表される構成単位を有する、請求項5に記載の配線基板。
    式(1) -O-Ar-CO-
    式(2) -CO-Ar-CO-
    式(3) -X-Ar-Y-
    式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Ar中の水素原子の少なくとも一つは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
    式(4) -Ar-Z-Ar
    式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
  7. 前記樹脂層は、240℃における弾性率が0.1MPa以下である、請求項5又は請求項6に記載の配線基板。
  8. 配線パターン付き基材の配線パターン上に、樹脂基材を重ね合わせる工程と、
    前記配線パターン付き基材と前記樹脂基材とを重ね合わせた状態で加熱して、配線基板を得る工程と、を含み、
    前記配線パターン付き基材における基材は、前記重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度における弾性率が300MPa以上であり、
    前記配線基板の誘電正接が0.006以下である、配線基板の製造方法。
  9. 前記樹脂基材は、熱可塑性ポリマーを含み、
    前記重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度は、前記熱可塑性ポリマーの融点よりも低い温度である、請求項8に記載の配線基板の製造方法。
  10. 前記樹脂基材は、さらに、前記熱可塑性ポリマーの融点よりも低い融点を有する化合物を含み、
    前記重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度は、前記化合物の融点よりも高い温度である、請求項9に記載の配線基板の製造方法。
  11. 前記化合物は、誘電正接が0.01以下である、請求項10に記載の配線基板の製造方法。
  12. 前記樹脂基材は、前記重ね合わせた状態で加熱する際の加熱温度における弾性率が0.1MPa以下である、請求項8~請求項11のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
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