JP2016169291A - ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法、フィルム、並びに多層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲル化を抑制することができるポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド等のポリアミド(B)と、アルカリ化合物(C)と、を含み、かつ、式(1)〔3100≦W≦4050〕及び式(2)〔0.5≦M≦50.0〕を満たすポリアミド樹脂組成物である。
式中、Wは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
【選択図】なし
【解決手段】キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド等のポリアミド(B)と、アルカリ化合物(C)と、を含み、かつ、式(1)〔3100≦W≦4050〕及び式(2)〔0.5≦M≦50.0〕を満たすポリアミド樹脂組成物である。
式中、Wは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法、フィルム、並びに多層フィルムに関する。
キシリレンジアミンは、ポリアミド樹脂の原料、エポキシ樹脂硬化剤、及びイソシアネート化合物等の原料として有用な化合物である。キシリレンジアミンを主たるジアミン成分として用いたポリアミド樹脂は、強度、弾性率などの機械的特性に優れることから、各種成形材料として有用である。また上記ポリアミド樹脂は、酸素や炭酸ガス等のガスバリア性に優れることから包装材料としても有用である。
しかしながら、ポリマー主鎖にキシリレンジアミンに由来する構成単位を含むポリアミドは、溶融した状態が続くことによってキシリレンジアミン部位での架橋構造を形成することがある。それによって樹脂の流動性が局所的に悪化し、特に成形時における合成機又は成型機の樹脂流路中の流れの悪い箇所で、この局所的滞留が続くことによってゲルと呼ばれる劣化異物が発生することがある。このゲルが成形品に混入することで品質や成形性を悪化させるために、例えば長時間の成形が困難となる問題があった。
ポリアミド組成物の成形加工性等を向上させるために、例えばポリアミド中にアルカリ化合物とリン原子化合物を存在させ、その比率を特定の範囲にすることによって劣化を抑制する方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
ポリアミド組成物の成形加工性等を向上させるために、例えばポリアミド中にアルカリ化合物とリン原子化合物を存在させ、その比率を特定の範囲にすることによって劣化を抑制する方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
しかしながら、いずれの処方でも、ポリアミド樹脂組成物のゲル化の抑制は十分とはいえず、生産性と品質向上のために更なる改善が求められていた。
本発明が解決しようとする課題は、ゲル化を抑制することができるポリアミド樹脂組成物及びその製造方法、並びに、該ポリアミド樹脂組成物を用いたフィルム及び多層フィルムを提供することにある。
本発明が解決しようとする課題は、ゲル化を抑制することができるポリアミド樹脂組成物及びその製造方法、並びに、該ポリアミド樹脂組成物を用いたフィルム及び多層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、ポリアミド樹脂組成物に、キシリレンジアミンに由来する構成単位を含むポリアミドと共に、特定のポリアミドとアルカリ化合物とを含有させることにより上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)と、アルカリ化合物(C)と、を少なくとも含み、かつ、下記式(1)及び(2)を満たすポリアミド樹脂組成物である。
3100≦W≦4050・・・・(1)
0.5≦M≦50.0・・・・・(2)
式中、Wは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
すなわち本発明は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)と、アルカリ化合物(C)と、を少なくとも含み、かつ、下記式(1)及び(2)を満たすポリアミド樹脂組成物である。
3100≦W≦4050・・・・(1)
0.5≦M≦50.0・・・・・(2)
式中、Wは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
本発明によれば、成形加工時においてゲルの生成が少ないポリアミド樹脂組成物を提供することができる。また、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いたフィルムは、酸素等のガスバリア性に優れ、さらに外観も優れており、フィルムとしての工業的価値は高い。
<ポリアミド樹脂組成物>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)と、アルカリ化合物(C)と、を少なくとも含み、かつ、下記式(1)及び(2)を満たすポリアミド樹脂組成物である。
3100≦W≦4050・・・・(1)
0.5≦M≦50.0・・・・・(2)
式中、Wは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
ポリアミド樹脂組成物が上記構成であることで、ポリアミド樹脂組成物を溶融混練したときに、ポリアミド樹脂組成物がゲル化することを抑制することができる。
さらに本発明では、ポリアミド(A)、ポリアミド(B)及びアルカリ化合物(C)を添加することによって、ポリアミド(A)とポリアミド(B)、あるいはポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)の混合時と比較して、溶融混練したときのゲル発生を飛躍的に抑制できることが分かった。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)と、アルカリ化合物(C)と、を少なくとも含み、かつ、下記式(1)及び(2)を満たすポリアミド樹脂組成物である。
3100≦W≦4050・・・・(1)
0.5≦M≦50.0・・・・・(2)
式中、Wは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
ポリアミド樹脂組成物が上記構成であることで、ポリアミド樹脂組成物を溶融混練したときに、ポリアミド樹脂組成物がゲル化することを抑制することができる。
さらに本発明では、ポリアミド(A)、ポリアミド(B)及びアルカリ化合物(C)を添加することによって、ポリアミド(A)とポリアミド(B)、あるいはポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)の混合時と比較して、溶融混練したときのゲル発生を飛躍的に抑制できることが分かった。
〔ポリアミド(A)〕
ポリアミド(A)は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位、及び、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有する。
ポリアミド(A)を使用した延伸フィルムはガスバリア性及び透明性に優れる。
ポリアミド(A)は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位、及び、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有する。
ポリアミド(A)を使用した延伸フィルムはガスバリア性及び透明性に優れる。
ポリアミド(A)を構成するジアミン単位は、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含み、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む。ジアミン単位中のキシリレンジアミンに由来する構成単位が70モル%以上であることで、ポリアミド(A)は優れたガスバリア性を発現することができる。
キシリレンジアミンは、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンのいずれでもよいが、入手の容易さ、重合反応の容易さの観点から、パラキシリレンジアミン及びメタキシリレンジアミンであることが好ましく、フィルム等に成形体した際の成形性、またガスバリア性の観点から、メタキシリレンジアミンであることが特に好ましい。
キシリレンジアミンは、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンのいずれでもよいが、入手の容易さ、重合反応の容易さの観点から、パラキシリレンジアミン及びメタキシリレンジアミンであることが好ましく、フィルム等に成形体した際の成形性、またガスバリア性の観点から、メタキシリレンジアミンであることが特に好ましい。
キシリレンジアミンに由来する構成単位以外にジアミン単位を構成し得る化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド(A)を構成するジカルボン酸単位は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含む。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも安価に入手でき、ポリアミドとして加工性にも優れることから、アジピン酸とセバシン酸が好ましい。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも安価に入手でき、ポリアミドとして加工性にも優れることから、アジピン酸とセバシン酸が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物に好ましく利用できるポリアミド(A)として、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位を70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミドであることが好ましい。
ジカルボン酸単位中にアジピン酸単位が70モル%以上含まれると、ポリアミド(A)のガスバリア性が優れたものとなる。ポリアミド(A)のアジピン酸単位以外のジカルボン酸単位を構成し得る化合物としては、アジピン酸以外であって、炭素数4〜20のα,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸から選択される1種以上が好ましく使用される。
ジカルボン酸単位中にアジピン酸単位が70モル%以上含まれると、ポリアミド(A)のガスバリア性が優れたものとなる。ポリアミド(A)のアジピン酸単位以外のジカルボン酸単位を構成し得る化合物としては、アジピン酸以外であって、炭素数4〜20のα,ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸から選択される1種以上が好ましく使用される。
ポリアミド(A)を構成するジカルボン酸単位は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位以外に、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリアミド(A)を構成するジカルボン酸単位として、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位以外に芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むことで、ポリアミド(A)を使用した包装材料や包装容器に更なるガスバリア性を付与したり、成形加工性を容易にすることが可能となる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリアミド(A)を構成するジカルボン酸単位として、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位以外に芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むことで、ポリアミド(A)を使用した包装材料や包装容器に更なるガスバリア性を付与したり、成形加工性を容易にすることが可能となる。
前記のジアミン単位及びジカルボン酸単位以外に、ポリアミド(A)を共重合し得る成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタム類;アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類;p−アミノメチル安息香酸等の芳香族アミノカルボン酸等を使用することができる。
ポリアミド(A)の数平均分子量は、溶融混練時におけるポリアミド樹脂組成物の滞留を抑制する観点から、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは15,000〜45,000、更に好ましくは20,000〜40,000である。
ポリアミド(A)の数平均分子量については、下式から算出される。
数平均分子量=2×1,000,000/([COOH]+[NH2])
式中、[COOH]はポリアミド(A)中の末端カルボキシル基濃度(μmol/g)を表し、[NH2]はポリアミド(A)中の末端アミノ基濃度(μmol/g)を表す。
末端アミノ基濃度は、ポリアミドをフェノールとエタノールとの混合溶液に溶解したものを希塩酸水溶液で中和滴定して算出した値を用い、末端カルボキシル基濃度は、ポリアミド(A)をベンジルアルコールに溶解したものを水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して算出した値を用いる。
ポリアミド(A)の数平均分子量については、下式から算出される。
数平均分子量=2×1,000,000/([COOH]+[NH2])
式中、[COOH]はポリアミド(A)中の末端カルボキシル基濃度(μmol/g)を表し、[NH2]はポリアミド(A)中の末端アミノ基濃度(μmol/g)を表す。
末端アミノ基濃度は、ポリアミドをフェノールとエタノールとの混合溶液に溶解したものを希塩酸水溶液で中和滴定して算出した値を用い、末端カルボキシル基濃度は、ポリアミド(A)をベンジルアルコールに溶解したものを水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して算出した値を用いる。
また、本発明のポリアミド(A)は、モル比、すなわち、「ポリアミド(A)中のジアミン単位のモル数/ジカルボン酸単位のモル数」が、0.930〜1.030であることを必要とする。0.930〜1.030とすることにより、短時間で十分な分子量を得ることが出来、かつ本発明のポリアミド(A)の成形加工等を行うために溶融加熱しても、黄色化やゲル化を効果的に少なくすることができる。
モル比(r)は、好ましくは0.950以上、より好ましくは0.980以上、特には0.990以上であり、その上限は、通常、1.020以下、より好ましくは1.010以下、特に好ましくは1.000以下である。モル比(r)が上記の範囲であると、ポリアミド(A)の重合時の反応速度が十分得られ、重合時の劣化が起こりにくく品質の優れた樹脂を得ることができる。
モル比(r)は、好ましくは0.950以上、より好ましくは0.980以上、特には0.990以上であり、その上限は、通常、1.020以下、より好ましくは1.010以下、特に好ましくは1.000以下である。モル比(r)が上記の範囲であると、ポリアミド(A)の重合時の反応速度が十分得られ、重合時の劣化が起こりにくく品質の優れた樹脂を得ることができる。
ここで、ポリアミド(A)を構成するジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比(r)は、工業化学雑誌74巻7号(1971)1444〜1449頁の記載に基づき次の式(7)から求められる。
r=〔1−cN−b(C−N)〕/〔1−cC+a(C−N)〕・・・・(7)
式(7)中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015〔水の分子量(g/mol)〕
M1:原料のジアミンモノマーの分子量(g/mol)
M2:原料のジカルボン酸モノマーの分子量(g/mol)
N:アミノ基濃度(eq/g)
C:カルボキシル基濃度(eq/g)
また、ポリアミド(A)中のジカルボン酸単位とジアミン単位の総量に対する、ジカルボン酸単位のモル比率は1/(r+1)で表すことができ、ジアミン単位のモル比率はr/(r+1)と表すことが出来る。
式(7)中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015〔水の分子量(g/mol)〕
M1:原料のジアミンモノマーの分子量(g/mol)
M2:原料のジカルボン酸モノマーの分子量(g/mol)
N:アミノ基濃度(eq/g)
C:カルボキシル基濃度(eq/g)
また、ポリアミド(A)中のジカルボン酸単位とジアミン単位の総量に対する、ジカルボン酸単位のモル比率は1/(r+1)で表すことができ、ジアミン単位のモル比率はr/(r+1)と表すことが出来る。
ポリアミド(A)の原料のジアミンモノマー、原料のジカルボン酸モノマーとして、種類、分子量の異なる複数のモノマーからポリアミド(A)を合成する際は、原料のジアミンモノマーの分子量M1及び原料のジカルボン酸モノマーの分子量M2は原料として配合するモノマーの配合比(モル比)に応じて計算される。
ここで、ポリアミドを溶融重合する際の、合成釜内が完全な閉鎖系であれば、仕込んだ原料モノマーのモル比と重合後に得られるポリアミド中の反応モル比r(ジアミン単位/ジカルボン酸単位)とは一致する。しかし実際の合成装置は完全な閉鎖系とはなりえないことから、「仕込みの」ジアミンモノマー/ジカルボン酸モノマーのモル比と、出来上がったポリアミド(A)中のジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比rが一致するとは限らない。したがって、本発明のポリアミド(A)を構成するジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比rは、重合前に仕込んだ原料のジアミンモノマーと原料のジカルボン酸の仕込み量をベースに、出来上がったポリアミド(A)のアミノ基濃度、カルボキシル基の濃度を用いて仕込み量モノマー量とのモル比のずれを補正することで、出来上がったポリアミド(A)のジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比rを算出する。具体的には式(7)を使用して、ポリアミド(A)のモル比rを算出する。
ここで、ポリアミドを溶融重合する際の、合成釜内が完全な閉鎖系であれば、仕込んだ原料モノマーのモル比と重合後に得られるポリアミド中の反応モル比r(ジアミン単位/ジカルボン酸単位)とは一致する。しかし実際の合成装置は完全な閉鎖系とはなりえないことから、「仕込みの」ジアミンモノマー/ジカルボン酸モノマーのモル比と、出来上がったポリアミド(A)中のジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比rが一致するとは限らない。したがって、本発明のポリアミド(A)を構成するジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比rは、重合前に仕込んだ原料のジアミンモノマーと原料のジカルボン酸の仕込み量をベースに、出来上がったポリアミド(A)のアミノ基濃度、カルボキシル基の濃度を用いて仕込み量モノマー量とのモル比のずれを補正することで、出来上がったポリアミド(A)のジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比rを算出する。具体的には式(7)を使用して、ポリアミド(A)のモル比rを算出する。
本発明のポリアミド(A)のアミノ基濃度(好ましくは、末端アミノ基濃度、[NH2])は、好ましくは1μeq/g以上、より好ましくは3μeq/g以上、さらに好ましくは5μeq/g以上、特に好ましくは10μeq/g以上である。本発明のポリアミド(A)のアミノ基濃度の上限としては、好ましくは100μeq/g以下、より好ましくは60μeq/g以下、さらに好ましくは50eq/g以下、特に好ましくは40eq/g以下である。ポリアミド(A)のアミノ基濃度(好ましくは、末端アミノ基濃度)を1〜100μeq/gとすることにより、本発明のポリアミド樹脂組成物を成形する時の溶融加熱工程において、樹脂の黄色化やゲル化を効果的に少なくすることができる。
また、本発明のポリアミド(A)のカルボキシル基濃度(好ましくは、末端カルボキシル基濃度、[COOH])は、好ましくは1μeq/g以上、より好ましくは3μeq/g以上、さらに好ましくは5μeq/g以上、特に好ましくは10μeq/g以上であることが好ましい。本発明のポリアミド(A)のカルボキシル基濃度(好ましくは、末端カルボキシル基濃度、[COOH])の上限としては、好ましくは150μeq/g以下、より好ましくは100μeq/g以下、さらに好ましくは90μeq/g以下、特に好ましくは80μeq/g以下である。本発明のポリアミド(A)のジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比rを上記数値範囲とし、さらにカルボキシル基濃度(好ましくは、末端カルボキシル基濃度)を1〜150μeq/gとすることにより、本発明のポリアミド(A)を含むポリアミド樹脂組成物を成形する時の溶融加熱工程において、樹脂の黄色化やゲル化を効果的に少なくすることができる。
ポリアミド(A)は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(A)の含有量は、ポリアミド樹脂組成物をフィルム等に成形したときのフィルム等のガスバリア性と、ポリアミド樹脂組成物の溶融混練時のゲル化抑制との観点から、99〜77質量%であることが好ましく、97〜80質量%であることがより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(A)の含有量は、ポリアミド樹脂組成物をフィルム等に成形したときのフィルム等のガスバリア性と、ポリアミド樹脂組成物の溶融混練時のゲル化抑制との観点から、99〜77質量%であることが好ましく、97〜80質量%であることがより好ましい。
〔ポリアミド(B)〕
ポリアミド(B)は、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明の樹脂組成物において、ポリアミド(A)に加えて、ポリアミド(B)を用いることで、ポリアミド樹脂組成物の増粘を抑制し、溶融混練時のゲル化を抑制することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド(A)に加えてポリアミド(B)を併用することでポリアミド樹脂組成物のゲル化を抑制できる原因について詳細な理由は不明であるが、ポリアミド樹脂組成物中のキシリレンジアミン単位の構成比率が下がることや、ゲル化が発生しやすい成形機中の樹脂滞留部等で熱履歴をうけて、ポリアミド(A)とポリアミド(B)が相溶化することで、異常な結合が発生しうるフリーラジカル化したキシリレンジアミン同士が近接する確立を低くし得ると考えられる。その結果、キシリレンジアミン部同士の架橋の発生を抑制し、結果的にゲル発生を抑制することが出来たものと考えられる。なお、ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(A)とポリアミド(B)は必ずしも相溶化していると限られるものではなく、互いが微分散状態を保っていてもよい。
ポリアミド(B)は、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明の樹脂組成物において、ポリアミド(A)に加えて、ポリアミド(B)を用いることで、ポリアミド樹脂組成物の増粘を抑制し、溶融混練時のゲル化を抑制することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド(A)に加えてポリアミド(B)を併用することでポリアミド樹脂組成物のゲル化を抑制できる原因について詳細な理由は不明であるが、ポリアミド樹脂組成物中のキシリレンジアミン単位の構成比率が下がることや、ゲル化が発生しやすい成形機中の樹脂滞留部等で熱履歴をうけて、ポリアミド(A)とポリアミド(B)が相溶化することで、異常な結合が発生しうるフリーラジカル化したキシリレンジアミン同士が近接する確立を低くし得ると考えられる。その結果、キシリレンジアミン部同士の架橋の発生を抑制し、結果的にゲル発生を抑制することが出来たものと考えられる。なお、ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(A)とポリアミド(B)は必ずしも相溶化していると限られるものではなく、互いが微分散状態を保っていてもよい。
ポリアミド(B)として、脂肪族ポリアミドを選択しうる。
本発明に用いることができるポリアミド(B)としての脂肪族ポリアミドは、アミド結合{−N H−C(=O )−}を含み、分子骨格中に芳香環を含まない構成単位を主成分とする、本質的に鎖状のポリアミドであれば特に制限されない。ここで「主成分とする」とは、脂肪族ポリアミドの構成単位のうち、芳香環を含まない構成単位が60モル%以上、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%占めることをいう。
ポリアミド(B)としては、例えば、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られる脂肪族ポリアミドを用いることができる。
ラクタム類としては、具体的にはε‐カプロラクタム、エナントラクタム、ω‐ラウロラクタムなどが挙げられる。
ジアミンとしては、脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミンが挙げられ、中でも、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどが好ましく挙げられる。
本発明に用いることができるポリアミド(B)としての脂肪族ポリアミドは、アミド結合{−N H−C(=O )−}を含み、分子骨格中に芳香環を含まない構成単位を主成分とする、本質的に鎖状のポリアミドであれば特に制限されない。ここで「主成分とする」とは、脂肪族ポリアミドの構成単位のうち、芳香環を含まない構成単位が60モル%以上、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%占めることをいう。
ポリアミド(B)としては、例えば、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られる脂肪族ポリアミドを用いることができる。
ラクタム類としては、具体的にはε‐カプロラクタム、エナントラクタム、ω‐ラウロラクタムなどが挙げられる。
ジアミンとしては、脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミンが挙げられ、中でも、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどが好ましく挙げられる。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸が挙げられ、中でも、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、コルク酸、グルタル酸、アゼライン酸、β−メチルアジピン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸、ピメリン酸、ドデカン二酸、1,1,3−トリデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸及びダイマー酸などが好ましく挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、具体的にはε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸及び13−アミノトリデカン酸などが挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、具体的にはε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸及び13−アミノトリデカン酸などが挙げられる。
ポリアミド(B)として使用される脂肪族ポリアミドとしては、ポリ(カプロラクタム)としても知られるポリ(6−アミノヘキサン酸)(ナイロン6)、ポリ(ラウロラクタム)(ナイロン12)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)、ポリ(7−アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8−アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10−アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11−アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン6,10)、ポリ(デカメチレンセバカミド)(ナイロン10,10)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン6,9)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(ナイロン4,6)、ポリ(テトラメチレンセバカミド)(ナイロン4,10)、ポリ(ペンタメチレンアジパミド)(ナイロン5,6)、ポリ(ペンタメチレンセバカミド)(ナイロン5,10)、といったホモポリマー、カプロラクタム−ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン6,6/6)、ポリ[メチレンビス(2−メチルシクロヘキシル)ドデカミド](ナイロンMACM12)、ポリ[4,4’−メチレンビス(シクロヘキシル)ドデカミド](ナイロンPACM12)等の脂肪族ポリアミドを例示できる。
これらの中でも、安価に入手でき、加工性に優れることから、ナイロン6、及びナイロン6,6/6が好ましく使用できる。
これらの中でも、安価に入手でき、加工性に優れることから、ナイロン6、及びナイロン6,6/6が好ましく使用できる。
ポリアミド(B)として、非晶質半芳香族ポリアミドを選択しうる。ここで本発明において「非晶質ポリアミド」とは、示差走査熱量測定において結晶化に由来する発熱ピークが見られない、あるいは非常に小さいものを指す。
また、「半芳香族ポリアミド」とは、(i)芳香族ジアミン単位と脂肪族ジカルボン酸単位を含有するポリアミド、または(ii)脂肪族ジアミン単位と芳香族ジカルボン酸単位を含有するポリアミドを意味する。
芳香族ジアミン単位を構成しうる化合物は、例えば、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
また、「半芳香族ポリアミド」とは、(i)芳香族ジアミン単位と脂肪族ジカルボン酸単位を含有するポリアミド、または(ii)脂肪族ジアミン単位と芳香族ジカルボン酸単位を含有するポリアミドを意味する。
芳香族ジアミン単位を構成しうる化合物は、例えば、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物は、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸等の炭素数3〜20の直鎖または分岐鎖脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジアミン単位を構成しうる化合物は、例えば、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。
脂環族ジアミンとしては、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミン、4、4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸などの無置換または種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
以上の化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸などの無置換または種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
以上の化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド(B)として使用される非晶質半芳香族ポリアミドとしては、具体的には、ポリ(ヘキサメチレンイソフタラミド)(ナイロン6I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)(ナイロン6T)、ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンテレフタラミドコポリマー(ナイロン6I/6T)、ポリ(トリメチル)ヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6−3−T)、カプロラクタム/メタキシリレンイソフタラミドコポリマー(ナイロン6/MXDI)、カプロラクタム/ヘキサメチレンイソフタラミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリ[メチレンビス(2−メチルシクロヘキシル)イソフタラミド/メチレンビス(2−メチルシクロヘキシル)テレフタラミド/ドデカミド](ナイロンMACMI/MACMT/12)等を例示できる。
これらの中でも安価であることや入手の用意さの点、及び、成型加工性に優れる点から、ナイロン6I/6Tが好ましく使用できる。
これらの中でも安価であることや入手の用意さの点、及び、成型加工性に優れる点から、ナイロン6I/6Tが好ましく使用できる。
更に、ポリアミド(B)は、ポリアミド樹脂組成物の成形加工温度が、その構成成分であるポリアミド(A)に対して過度に高くならないために、ポリアミド(B)の融点がポリアミド(A)の融点よりも低いか、又は、融点を持たないことが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物(A)を溶融混練するためには、ポリアミド(A)及びポリアミド(B)の融点以上の温度に加熱する必要がある。この際に、ポリアミド(B)がポリアミド(A)よりも融点が高いと、ポリアミド(A)の融点以上の加熱によりポリアミド(A)のキシリレンジアミン単位のメチレン部位が切断し、ゲル化が発生しやすくなる。
さらに、ポリアミド(B)は、ゲル化抑制の観点から、ポリアミド(A)よりも低融点又は融点を有しない脂肪族ポリアミド、及び、非晶質半芳香族ポリアミドの中でも、ポリアミド(A)よりも低融点又は融点を有しない脂肪族ポリアミドが好ましく、具体的には、ナイロン6、及びナイロン6,6/6が特に好ましい。
ポリアミド樹脂組成物(A)を溶融混練するためには、ポリアミド(A)及びポリアミド(B)の融点以上の温度に加熱する必要がある。この際に、ポリアミド(B)がポリアミド(A)よりも融点が高いと、ポリアミド(A)の融点以上の加熱によりポリアミド(A)のキシリレンジアミン単位のメチレン部位が切断し、ゲル化が発生しやすくなる。
さらに、ポリアミド(B)は、ゲル化抑制の観点から、ポリアミド(A)よりも低融点又は融点を有しない脂肪族ポリアミド、及び、非晶質半芳香族ポリアミドの中でも、ポリアミド(A)よりも低融点又は融点を有しない脂肪族ポリアミドが好ましく、具体的には、ナイロン6、及びナイロン6,6/6が特に好ましい。
ポリアミド(B)は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(B)の含有量は、ポリアミド樹脂組成物の溶融混練時のゲル化抑制の観点から、1〜23質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(B)の含有量は、ポリアミド樹脂組成物の溶融混練時のゲル化抑制の観点から、1〜23質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
ポリアミド(B)は、ポリアミド(A)とのドライブレンド後に押出機又は成形機内で溶融混練されることが好ましい。当該操作を行うことによって、ポリアミド(A)とポリアミド(B)はポリアミド樹脂組成物中にて完全に相溶化せずに少なくとも一部は微分散した状態となり、その結果、得られるポリアミド樹脂組成物からなる成形品はガスバリア性及び強度に優れたものとなる。
また、ポリアミド(A)とポリアミド(B)とをドライブレンドしてから、溶融混練することで、優れた物性を持ちつつ樹脂の熱劣化が進行しやすい箇所;例えば成形機中の樹脂滞留部等における熱劣化を抑え、十分なゲル抑制効果を得ることができる。
また、ポリアミド(A)とポリアミド(B)とをドライブレンドしてから、溶融混練することで、優れた物性を持ちつつ樹脂の熱劣化が進行しやすい箇所;例えば成形機中の樹脂滞留部等における熱劣化を抑え、十分なゲル抑制効果を得ることができる。
〔アルカリ化合物(C)〕
本発明のポリアミド樹脂組成物は、アルカリ化合物(C)を含む。
アルカリ化合物(C)としては、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましい。
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の好ましい具体例としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、水素化物、アルコキシド、炭酸塩、炭酸水素塩、又はカルボン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、アルカリ化合物(C)を含む。
アルカリ化合物(C)としては、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましい。
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の好ましい具体例としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、水素化物、アルコキシド、炭酸塩、炭酸水素塩、又はカルボン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の好ましい具体例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ただし、これらの中でも、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムがより好ましく、ナトリウムが更に好ましい。
ただし、これらの中でも、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムがより好ましく、ナトリウムが更に好ましい。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物としては、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物としては、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カルシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、マグネシウムエトキシド、カルシウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド、リチウム−t−ブトキシド、マグネシウム−t−ブトキシド、カルシウム−t−ブトキシド等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜4のアルカリ金属アルコキシド又は炭素数1〜4のアルカリ土類金属アルコキシドが好ましい。
これらの中でも、炭素数1〜4のアルカリ金属アルコキシド又は炭素数1〜4のアルカリ土類金属アルコキシドが好ましい。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等、及びこれらの水和物等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等、及びこれらの水和物等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等、及びこれらの水和物等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカルボン酸塩としては、ゲル化抑制効果の観点から、炭素数1〜10のカルボン酸塩が好ましく、炭素数1〜3のカルボン酸塩がより好ましい。
カルボン酸の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、モンタン酸、トリアコンタン酸等の直鎖飽和脂肪酸;12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸誘導体;シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、メバロン酸等のヒドロキシ酸;安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ピロメット酸、トリメリット酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸等、及びこれらの水和物が挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、モンタン酸、トリアコンタン酸等の直鎖飽和脂肪酸;12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸誘導体;シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、メバロン酸等のヒドロキシ酸;安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ピロメット酸、トリメリット酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸等、及びこれらの水和物が挙げられる。
以上の中でも、ポリアミド(A)及びポリアミド(B)中へのアルカリ化合物(C)の分散性の観点及びポリアミド樹脂組成物のゲル化抑制効果の観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカルボン酸塩が好ましく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカルボン酸塩がより好ましく、炭素数1〜10のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が更に好ましく、炭素数1〜3のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が特に好ましい。
また、アルカリ化合物(C)として使用しうる炭素数1〜10のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の中でも、アルカリ金属塩が好ましく、経済性及びゲル化抑制効果の観点から、酢酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウム三水和物がより好ましい。
また、アルカリ化合物(C)として使用しうる炭素数1〜10のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の中でも、アルカリ金属塩が好ましく、経済性及びゲル化抑制効果の観点から、酢酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウム三水和物がより好ましい。
アルカリ化合物(C)は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物中のアルカリ化合物(C)の含有量は、ポリアミド樹脂組成物のM量が後述する式(2)を満たす量である。
ポリアミド樹脂組成物中のアルカリ化合物(C)の含有量は、ポリアミド樹脂組成物のM量が後述する式(2)を満たす量である。
〔式(1)〕
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量W(μmol/g)が、下記式(1)を満たす。
3100≦W≦4050 (1)
ここで、ポリアミド(A)構成単位とは、ポリアミド(A)を構成するジアミン単位とジカルボン酸単位とを組み合わせた、ポリマーの最小繰り返し単位をいう。
ポリアミド(A)を構成するジアミン単位及びジカルボン酸単位のいずれか一方又は両方が2種類以上の単位を含む場合は、以下の手法でポリアミド構成単位の分子量を算出する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量W(μmol/g)が、下記式(1)を満たす。
3100≦W≦4050 (1)
ここで、ポリアミド(A)構成単位とは、ポリアミド(A)を構成するジアミン単位とジカルボン酸単位とを組み合わせた、ポリマーの最小繰り返し単位をいう。
ポリアミド(A)を構成するジアミン単位及びジカルボン酸単位のいずれか一方又は両方が2種類以上の単位を含む場合は、以下の手法でポリアミド構成単位の分子量を算出する。
ジアミン単位の分子量について、キシリレンジアミンに由来する構成単位以外の構成単位を含む場合、ジアミン単位の分子量Mwaは、ジアミン単位を構成する全ジアミン単位種のうちのキシリレンジアミンに由来する構成単位の分子量(Mwa1)とモル比率(x1)との積(Mwa1×x1)と、キシリレンジアミンに由来する構成単位以外のジアミン単位の分子量(Mwa2、Mwa3・・・)とモル比率の積(x2、x3・・・)を足し合わせた総和(Mwa1×x1+Mwa2×x2+Mwa3×x3・・・)とする。
次に、ジカルボン酸単位の分子量Mwcは、ジカルボン酸単位が複数の種類を含む場合、ジカルボン酸単位のそれぞれの分子量(Mwc1、Mwc2、Mwc3・・・)と各ジカルボン酸単位のモル比率の積(y1、y2、y3・・・)を足し合わせた総和Mwc(Mwc1×y1+Mwc2×y2+Mwc3×y3+・・・)とする。
次に、ジカルボン酸単位の分子量Mwcは、ジカルボン酸単位が複数の種類を含む場合、ジカルボン酸単位のそれぞれの分子量(Mwc1、Mwc2、Mwc3・・・)と各ジカルボン酸単位のモル比率の積(y1、y2、y3・・・)を足し合わせた総和Mwc(Mwc1×y1+Mwc2×y2+Mwc3×y3+・・・)とする。
さらに、ポリアミド(A)構成単位を構成するジアミン単位とジカルボン酸単位は、先述したように原料のジアミン成分とジカルボン酸成分の仕込み比や重合条件等により、ジアミン単位とジカルボン酸単位のモル比は厳密には1対1とならない。実際は、ポリアミド(A)を構成するジアミン単位とジカルボン酸単位のモル比(r)は、ポリアミド(A)の末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を実施例に記載の方法により測定し、前記式(7)により求められる。
上記手法により得られた、ジアミン単位の分子量Mwaとジカルボン酸単位の分子量Mwcを、ポリアミド(A)構成単位中のジアミン単位とジカルボン酸単位のモル比で補正した式:2(Mwa×r+Mwc×1)/(1+r)により得られた値を、ポリアミド構成単位の分子量とする。
上記手法により得られた、ジアミン単位の分子量Mwaとジカルボン酸単位の分子量Mwcを、ポリアミド(A)構成単位中のジアミン単位とジカルボン酸単位のモル比で補正した式:2(Mwa×r+Mwc×1)/(1+r)により得られた値を、ポリアミド構成単位の分子量とする。
さらに、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量W(単位:μmol/g)は、ポリアミド樹脂組成物1gに対して、ポリアミド(A)の質量割合(=M(A)/M(T))を掛けて、その値をポリアミド構成単位の分子量〔=2(Mwa×r+Mwc×1)/(1+r)]で割り、10の6乗を掛け合わせて得られた値である。即ち、Wは以下の式(8)で表される。
W={〔M(A)/M(T)〕×106}/{2(Mwa×r+Mwc×1)/(1+r)}・・・(8)
式(8)中、
M(A):ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド(A)の質量〔g〕
M(T):ポリアミド樹脂組成物の全質量〔g〕
Mwa:ジアミン単位の分子量
Mwc:ジカルボン酸単位の分子量
r:ポリアミド(A)中の(ジアミン単位/ジカルボン酸単位)モル比
式(8)中、
M(A):ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド(A)の質量〔g〕
M(T):ポリアミド樹脂組成物の全質量〔g〕
Mwa:ジアミン単位の分子量
Mwc:ジカルボン酸単位の分子量
r:ポリアミド(A)中の(ジアミン単位/ジカルボン酸単位)モル比
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)とポリアミド(B)のみ、あるいはポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)のみの混合時と比較して、ポリアミド(A)、ポリアミド(B)及びアルカリ化合物(C)の3成分を併用することで、成形加工時のゲル化が飛躍的に抑制される。この要因については、次のように推察される。
成形時における合成機又は成形機の樹脂流路中で、樹脂流れの悪い滞留部において一部のポリアミド樹脂組成物が過度の熱履歴を受けるため、ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド同士の相溶化が極端に促されていると考えられる。これにより、ポリアミド樹脂組成物を構成する各構成成分は相互の反応によって均質化が進むとも考えられる。
その結果、樹脂流れの悪い局所加熱部においては、ポリアミド樹脂組成物の相溶化が進行し、ゲル化の原因となるポリアミド(A)に由来するキシリレンジアミン単位がポリアミド(B)と相溶化し、キシリレンジアミン単位同士が近接する確率が下がり、架橋反応が抑制されるため、その結果ゲル抑制効果が発現すると推察される。
その結果、樹脂流れの悪い局所加熱部においては、ポリアミド樹脂組成物の相溶化が進行し、ゲル化の原因となるポリアミド(A)に由来するキシリレンジアミン単位がポリアミド(B)と相溶化し、キシリレンジアミン単位同士が近接する確率が下がり、架橋反応が抑制されるため、その結果ゲル抑制効果が発現すると推察される。
一方で、局所的な滞留部以外においては、ポリアミド樹脂組成物からなる成形品は、ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(A)とポリアミド(B)は少なくとも一部において海島構造に代表される分散状態を形成することが好ましい。成形品を構成するポリアミド樹脂組成物中でポリアミド(A)とポリアミド(B)が海島構造をとることで、ポリアミド樹脂組成物からなる成形体のガスバリア性などが優れたものとなる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド(A)の構成単位のモル量Wが3100μmol/g以上であることで、ポリアミド樹脂組成物を含むフィルム等の成形品はガスバリア性が優れたものとなる。また、ポリアミド樹脂組成物のモル量Wが4050μmol/g以下であることで、ポリアミド樹脂組成物のゲル化を抑制することができる。
ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(A)の構成単位であるモル量Wは、ガスバリア性の観点から、好ましくは3,200μmol/g以上であり、より好ましくは3,400μmol/g以上、更に好ましくは3,500μmol/g以上である。またモル量Wは、ゲル化をより抑制する観点から、好ましくは4,000μmol/g以下、より好ましくは3,950μmol/g以下、さらに好ましくは3,900μmol/g以下である。
ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド(A)の構成単位であるモル量Wは、ガスバリア性の観点から、好ましくは3,200μmol/g以上であり、より好ましくは3,400μmol/g以上、更に好ましくは3,500μmol/g以上である。またモル量Wは、ゲル化をより抑制する観点から、好ましくは4,000μmol/g以下、より好ましくは3,950μmol/g以下、さらに好ましくは3,900μmol/g以下である。
〔式(2)〕
本発明のポリアミド樹脂組成物は、更に、下記式(2)を満たす。
0.5≦M≦50.0・・・・・・・・・・(2)
式(2)において、Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
Mが0.5μmol/g以上であることで成形加工時のポリアミド樹脂組成物のゲル化を抑制することができる。またポリアミド樹脂組成物中のM量が50.0μmol/g以下であることで、ポリアミド樹脂組成物の着色を抑制することができる。同様の観点から、Mは8.0μmol/g以上が好ましく、8.5μmol/g以上であることがより好ましい。また、35μmol/g以下であることがより好ましく、30μmol/g以下であることが更に好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、更に、下記式(2)を満たす。
0.5≦M≦50.0・・・・・・・・・・(2)
式(2)において、Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
Mが0.5μmol/g以上であることで成形加工時のポリアミド樹脂組成物のゲル化を抑制することができる。またポリアミド樹脂組成物中のM量が50.0μmol/g以下であることで、ポリアミド樹脂組成物の着色を抑制することができる。同様の観点から、Mは8.0μmol/g以上が好ましく、8.5μmol/g以上であることがより好ましい。また、35μmol/g以下であることがより好ましく、30μmol/g以下であることが更に好ましい。
更に、ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物を溶融混練したときのゲル分率を下げる観点から、下記式(i)を満たすことが好ましい。
20.0≦M+〔(W0−W)/20〕≦65.0・・・・(i)
式中、Mは、式(2)におけるMと同義であり、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
Wは、式(1)におけるWと同義であり、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。
Woは、ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミドがポリアミド(A)のみでポリアミド(B)を含まないと仮定した場合の、ポリアミド(A)のモル量(μmol/g)を表す。
20.0≦M+〔(W0−W)/20〕≦65.0・・・・(i)
式中、Mは、式(2)におけるMと同義であり、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。
Wは、式(1)におけるWと同義であり、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。
Woは、ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミドがポリアミド(A)のみでポリアミド(B)を含まないと仮定した場合の、ポリアミド(A)のモル量(μmol/g)を表す。
式(i)について説明する。式(i)は、ポリアミド樹脂組成物のゲル化抑制に効果を示すアルカリ化合物とポリアミド(B)についての式であり、アルカリ化合物(C)のモル濃度と、ポリアミド(B)構成単位のモル量を足し合わせた値である。また、ポリアミド(B)のモル量を示す項に係数として1/20が付いているのは、ポリアミド(B)のゲル化抑制の効果は、アルカリ化合物(C)のおよそ1/20と概算できるためである。
本発明において、式(i)の値は、26以上が好ましく、60以下であることが好ましい。式(i)の値は、より好ましくは、26.5以上であり、また46以下が好ましく、さらに好ましくは43.5以下である。式(i)の値が20.0以上であると、ポリアミド樹脂組成物の成形安定性が安定し、ゲルが発生しにくい。また、式(i)の値が65.0以下であることで、バリア性や外観に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
本発明において、式(i)の値は、26以上が好ましく、60以下であることが好ましい。式(i)の値は、より好ましくは、26.5以上であり、また46以下が好ましく、さらに好ましくは43.5以下である。式(i)の値が20.0以上であると、ポリアミド樹脂組成物の成形安定性が安定し、ゲルが発生しにくい。また、式(i)の値が65.0以下であることで、バリア性や外観に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
(遷移金属)
ポリアミド樹脂組成物は、更に、遷移金属を含有することで、酸素吸収性能を有することができる。遷移金属は、金属単体として用いてもよく、遷移金属化合物として用いてもよく、具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属、銅や銀等の第I族金属、スズ、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等の第VI族、マンガン等の第VII族の金属の低価数の無機酸塩もしくは有機酸塩、又は上記遷移金属の錯塩を例示することができる。これらの中でも、酸素反応促進効果に優れるコバルト塩、及び、コバルト塩とマンガン塩との組合せが好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物の遷移金属の含有量は、金属原子濃度として1〜10,000ppmであることが好ましい。ポリアミド樹脂組成物が遷移金属を含むことにより発現する酸素吸収性能は、ポリアミド(A)及びポリアミド(B)の末端アミノ基濃度[NH2]に依存し、末端アミノ基濃度[NH2]が低いほど酸化反応が促進され、酸素吸収性能が向上する。
ポリアミド樹脂組成物は、更に、遷移金属を含有することで、酸素吸収性能を有することができる。遷移金属は、金属単体として用いてもよく、遷移金属化合物として用いてもよく、具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属、銅や銀等の第I族金属、スズ、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等の第VI族、マンガン等の第VII族の金属の低価数の無機酸塩もしくは有機酸塩、又は上記遷移金属の錯塩を例示することができる。これらの中でも、酸素反応促進効果に優れるコバルト塩、及び、コバルト塩とマンガン塩との組合せが好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物の遷移金属の含有量は、金属原子濃度として1〜10,000ppmであることが好ましい。ポリアミド樹脂組成物が遷移金属を含むことにより発現する酸素吸収性能は、ポリアミド(A)及びポリアミド(B)の末端アミノ基濃度[NH2]に依存し、末端アミノ基濃度[NH2]が低いほど酸化反応が促進され、酸素吸収性能が向上する。
(リン原子含有化合物)
ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物の溶融成形時の加工安定性を高める観点及びポリアミド樹脂組成物の着色を防止する観点から、リン原子含有化合物を更に含んでいてもよい。
リン原子含有化合物の好ましい具体例としては、次亜リン酸化合物(ホスフィン酸化合物又は亜ホスホン酸化合物ともいう)、亜リン酸化合物(ホスホン酸化合物ともいう)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。リン原子含有化合物は金属塩であってもよく、アルカリ金属塩であってもよい。
ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物の溶融成形時の加工安定性を高める観点及びポリアミド樹脂組成物の着色を防止する観点から、リン原子含有化合物を更に含んでいてもよい。
リン原子含有化合物の好ましい具体例としては、次亜リン酸化合物(ホスフィン酸化合物又は亜ホスホン酸化合物ともいう)、亜リン酸化合物(ホスホン酸化合物ともいう)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。リン原子含有化合物は金属塩であってもよく、アルカリ金属塩であってもよい。
次亜リン酸化合物の具体例としては、次亜リン酸;次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩;次亜リン酸エチル、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸エチル等の次亜リン酸化合物;フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム等のフェニル亜ホスホン酸金属塩等が挙げられる。
亜リン酸化合物の具体例としては、亜リン酸、ピロ亜リン酸;亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸金属塩;亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジエチル等の亜リン酸化合物;エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム等のフェニルホスホン酸金属塩等が挙げられる。
リン原子含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記の中でも、ポリアミド(A)及び(B)の重合反応を促進する効果の観点及びポリアミド樹脂組成物の着色防止効果の観点から、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が好ましく、次亜リン酸ナトリウムがより好ましい。
亜リン酸化合物の具体例としては、亜リン酸、ピロ亜リン酸;亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸金属塩;亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジエチル等の亜リン酸化合物;エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム等のフェニルホスホン酸金属塩等が挙げられる。
リン原子含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記の中でも、ポリアミド(A)及び(B)の重合反応を促進する効果の観点及びポリアミド樹脂組成物の着色防止効果の観点から、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が好ましく、次亜リン酸ナトリウムがより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物は、目的を損なわない範囲で、ガラス繊維、炭素繊維などの無機充填剤;ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、モンモリロナイト、有機化クレイなどの板状無機充填剤;各種エラストマー類などの耐衝撃性改質材;結晶核剤;脂肪酸アミド系、脂肪酸アマイド系化合物等の滑剤;銅化合物、有機もしくは無機ハロゲン系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、硫黄系化合物、リン系化合物等の酸化防止剤;着色防止剤;ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤;理系剤、可塑剤、着色剤、難燃剤等の添加剤;酸素捕捉能を付与する化合物であるコバルト金属、ベンゾキノン類、アントラキノン類、ナフトキノン類を含む化合部等の添加剤を含んでいてもよい。
<ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、上記構成を備えるポリアミド樹脂組成物を製造し得る方法であればよい。例えば、ポリアミド樹脂組成物に含まれる既述のポリアミド(A)、ポリアミド(B)及びアルカリ化合物(C)を直接混合してポリアミド樹脂組成物としてもよいが、ゲル化を抑制したポリアミド樹脂組成物を得る観点から、マスターバッチ法により製造することでもできる。マスターバッチ法としては、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。
ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、上記構成を備えるポリアミド樹脂組成物を製造し得る方法であればよい。例えば、ポリアミド樹脂組成物に含まれる既述のポリアミド(A)、ポリアミド(B)及びアルカリ化合物(C)を直接混合してポリアミド樹脂組成物としてもよいが、ゲル化を抑制したポリアミド樹脂組成物を得る観点から、マスターバッチ法により製造することでもできる。マスターバッチ法としては、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。
第1のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、
工程(a1):アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る工程、
工程(b1):工程(a1)で得られたポリアミド(A)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(X)を得る工程、及び
工程(c1):工程(b1)で得られたマスターバッチ(X)と、工程(a1)で得られたポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)とを、下記式(3)及び(4)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する工程を含み、
マスターバッチ(X)が、マスターバッチ(X)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和が、60〜1710μmol/gであるポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
80<W[A]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦99・・・・(3)
1.0≦W[B]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦23・・・(4)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[X]はマスターバッチ(X)の供給量(質量部)を表す。〕
工程(a1):アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る工程、
工程(b1):工程(a1)で得られたポリアミド(A)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(X)を得る工程、及び
工程(c1):工程(b1)で得られたマスターバッチ(X)と、工程(a1)で得られたポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)とを、下記式(3)及び(4)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する工程を含み、
マスターバッチ(X)が、マスターバッチ(X)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和が、60〜1710μmol/gであるポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
80<W[A]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦99・・・・(3)
1.0≦W[B]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦23・・・(4)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[X]はマスターバッチ(X)の供給量(質量部)を表す。〕
第2のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、
工程(a2):アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る工程、
工程(b2):脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる郡より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(Y)を得る工程、及び
工程(c2):工程(b2)で得られたマスターバッチ(Y)と、工程(a2)で得られたポリアミド(A)と、ポリアミド(B)とを、下記式(5)及び(6)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する工程を含み、
マスターバッチ(Y)が、マスターバッチ(Y)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和が、60〜1710μmol/gであるポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
80<W[A]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦99・・・(5)
1.0≦W[B]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦23・・・(6)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[Y]はマスターバッチ(Y)の供給量(質量部)を表す。〕
工程(a2):アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る工程、
工程(b2):脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる郡より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(Y)を得る工程、及び
工程(c2):工程(b2)で得られたマスターバッチ(Y)と、工程(a2)で得られたポリアミド(A)と、ポリアミド(B)とを、下記式(5)及び(6)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する工程を含み、
マスターバッチ(Y)が、マスターバッチ(Y)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和が、60〜1710μmol/gであるポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
80<W[A]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦99・・・(5)
1.0≦W[B]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦23・・・(6)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[Y]はマスターバッチ(Y)の供給量(質量部)を表す。〕
〔第1のポリアミド樹脂組成物の製造方法〕
[工程(a1)]
工程(a1)では、アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位、及び、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る。
[工程(a1)]
工程(a1)では、アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位、及び、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る。
ポリアミド(A)の重縮合は、アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で行われる。
リン原子含有化合物(Ab)の存在下でポリアミド(A)を重縮合することで、重縮合中のポリアミド(A)の着色を防止することができる。更にアルカリ金属化合物(Aa)が共存することで、アミド化反応速度を調整することができ、重合を制御しやすく、成形加工時のゲルやコゲの生成を抑制することができる。
リン原子含有化合物(Ab)の存在下でポリアミド(A)を重縮合することで、重縮合中のポリアミド(A)の着色を防止することができる。更にアルカリ金属化合物(Aa)が共存することで、アミド化反応速度を調整することができ、重合を制御しやすく、成形加工時のゲルやコゲの生成を抑制することができる。
アルカリ金属化合物(Aa)としては特に限定されないが、本発明のポリアミド樹脂組成物のアルカリ化合物(C)の説明において例示したアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いることができる。好ましい具体例として、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属酢酸塩を挙げることができる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムを挙げることができ、アルカリ金属酢酸塩としては、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウムを挙げることができる。
ポリアミド(A)の重合方法は、アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下であれば特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件等により重合することができる。
例えば、ジアミン成分(例えばメタキシリレンジアミン)とジカルボン酸成分(例えばアジピン酸)とからなるナイロン塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリアミド(A)を製造することができる。
また、ジアミン成分(例えばメタキシリレンジアミン)を溶融状態のジカルボン酸成分(例えばアジピン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリアミド(A)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
ポリアミド(A)の重縮合時に、分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。
例えば、ジアミン成分(例えばメタキシリレンジアミン)とジカルボン酸成分(例えばアジピン酸)とからなるナイロン塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリアミド(A)を製造することができる。
また、ジアミン成分(例えばメタキシリレンジアミン)を溶融状態のジカルボン酸成分(例えばアジピン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリアミド(A)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
ポリアミド(A)の重縮合時に、分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。
また、ポリアミド(A)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行うことによって重縮合を行ってもよい。固相重合は特に限定されず、任意の方法、重合条件により行うことができる。
アルカリ金属化合物(Aa)の使用量は、ポリアミド樹脂組成物のゲル化を抑制する観点から、アルカリ金属化合物(Aa)のモル数をリン原子含有化合物(Ab)のモル数で除した値(Aa/Ab)が、好ましくは0.5〜1、より好ましくは0.55〜0.95、更に好ましくは0.6〜0.9である。
[工程(b1)]
工程(b1)では、工程(a1)で得られたポリアミド(A)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(X)を得る。
アルカリ化合物(C)は、ポリアミド樹脂組成物を構成するアルカリ化合物(C)と同じ化合物が例示される。
工程(b1)では、工程(a1)で得られたポリアミド(A)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(X)を得る。
アルカリ化合物(C)は、ポリアミド樹脂組成物を構成するアルカリ化合物(C)と同じ化合物が例示される。
ポリアミド(A)に対してアルカリ化合物(C)を直接添加して成形加工に供した場合においてもゲル化抑制効果は得られるが、予めポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)を予め溶融混合したポリアミドマスターバッチ(X)を利用することで、成形加工品へのアルカリ化合物(C)の更に十分な分散を可能とし、より安定した成形性と共に、成形品は白化やブツの発生も無い外観により優れたものを得ることが可能となる。
アルカリ化合物(C)の例は前述のとおりであるが、アルカリ金属化合物(Aa)を溶融重合時に過剰に添加すると、リン原子含有化合物(B)のアミド化反応促進効果を抑制しすぎて重縮合の進行が遅くなり、場合によってはポリアミド製造時の熱履歴が増加してポリアミドの成形加工時にゲルやコゲが多くなることがある。そのため、ポリアミド(A)をモノマーから溶融重合する際に添加するアルカリ金属化合物(Aa)を増量させることでは、成形加工の際にゲルやコゲの生成を防止する役割を果たすことができない。これに対して、本発明では、得られたポリアミド(A)に対してアルカリ化合物(C)を添加することで、成形加工時におけるゲルやコゲの生成を効果的に防止することができる。
予めポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)を溶融混合してポリアミドマスターバッチ(X)を得るための押出機としては、バッチ式混練機、ニーダー、コニーダー、プラネタリ押出機、単軸もしくは二軸押出機等、任意の押出機を用いることができる。これらの中でも、混練能力及び生産性の観点から、単軸押出機や二軸押出機が好ましく用いられる。
押出機に各成分を供給する手段としては特に限定されないが、ベルトフィーダー、スクリューフィーダー、振動フィーダー等を用いることができる。各成分は、それぞれ単独のフィーダーを用いて供給してもよく、ドライブレンドして供給してもよい。
工程(b1)及び工程(c1)、並びに、後述する工程(a2)、工程(b2)、及び工程(c2)で用いる押出機も同様である。
押出機に各成分を供給する手段としては特に限定されないが、ベルトフィーダー、スクリューフィーダー、振動フィーダー等を用いることができる。各成分は、それぞれ単独のフィーダーを用いて供給してもよく、ドライブレンドして供給してもよい。
工程(b1)及び工程(c1)、並びに、後述する工程(a2)、工程(b2)、及び工程(c2)で用いる押出機も同様である。
工程(b1)において、ポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)との配合比(ポリアミド(A)/アルカリ化合物(C))は、粘度低下を抑制する観点、ゲルやコゲの生成及び着色を抑制する観点から、好ましくは86〜99.5質量部/14〜0.5質量部、より好ましくは88〜99質量部/12〜1質量部、更に好ましくは90〜98質量部/10〜2質量部である。
本発明のポリアミドマスターバッチ(X)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度及びアルカリ土類金属原子のモル濃度にそれぞれ価数を乗じた値の和(以下、「アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の総モル濃度」という)m(X)は、ポリアミドマスターバッチを利用した成形加工品に生じるおそれのある析出物を防止する観点から、60〜1710μmol/gであり、好ましくは100〜600μmol/g、より好ましくは200〜500μmol/gである。ポリアミドマスターバッチ中のアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の総モル濃度が60μmol/g未満であると、成形加工時においてポリアミドに対するポリアミドマスターバッチの配合量を低減させることができず、溶融粘度低下等の成形加工性を損ない易く、ゲルが生成し易い。アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の総モル濃度が1710μmol/gを超える場合、ポリアミドマスターバッチ(X)自体を製造する際に溶融粘度低下を招く可能性があり、ポリアミドマスターバッチの製造が困難になるおそれがあるほか、ポリアミド樹脂組成物へのポリアミドマスターバッチの分散むらが生じて、アルカリ化合物(C)がポリアミド樹脂組成物に局所的に存在する状態となるおそれがあり、十分なゲル抑制効果が得られない可能性がある。
[工程(c1)]
工程(c1)では、工程(b1)で得られたマスターバッチ(X)と、工程(a1)で得られたポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)とを、下記式(3)及び(4)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する。
80<W[A]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦99・・・・(3)
1.0≦W[B]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦23・・・(4)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[X]はマスターバッチ(X)の供給量(質量部)を表す。〕
アルカリ金属化合物(Aa)及びアルカリ化合物(C)を含むマスターバッチ(X)に、更にポリアミド(B)を添加することにより、溶融混練中のポリアミド樹脂組成物のゲル化の発生を減少することができる。
工程(c1)では、工程(b1)で得られたマスターバッチ(X)と、工程(a1)で得られたポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)とを、下記式(3)及び(4)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する。
80<W[A]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦99・・・・(3)
1.0≦W[B]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦23・・・(4)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[X]はマスターバッチ(X)の供給量(質量部)を表す。〕
アルカリ金属化合物(Aa)及びアルカリ化合物(C)を含むマスターバッチ(X)に、更にポリアミド(B)を添加することにより、溶融混練中のポリアミド樹脂組成物のゲル化の発生を減少することができる。
工程(c1)において、ポリアミド(A)は、ポリアミド(A)そのもの、及びマスターバッチ(X)の2種類の形で供給されるが、式(3)の「W[A]×100/(W[X]+W[A]+W[B])」は、工程(c1)におけるポリアミド(A)そのものの供給濃度(質量部)を表している。工程(c1)における原料供給濃度の安定性、及びコストダウンの観点から、式(3)の値は82以上であることが好ましく、84以上であることがより好ましい。更に、成形容易性の観点から、98以下であることがより好ましい。
式(4)の「W[B]×100/(W[X]+W[A]+W[B])」は、工程(c1)において、供給する材料すべての質量に対するポリアミド(B)の供給濃度(質量部)を表している。構成(C1)における原料供給濃度の安定性の観点から、式(4)の値は1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。更に、成形容易性及びガスバリア性等の物性保持の観点から、18以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましい。
式(4)の「W[B]×100/(W[X]+W[A]+W[B])」は、工程(c1)において、供給する材料すべての質量に対するポリアミド(B)の供給濃度(質量部)を表している。構成(C1)における原料供給濃度の安定性の観点から、式(4)の値は1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。更に、成形容易性及びガスバリア性等の物性保持の観点から、18以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましい。
工程(c1)で用いる脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)の具体例としては、本発明のポリアミド樹脂組成物の説明において例示したポリアミド(B)が挙げられ、好ましい態様も同様である。すなわち、ポリアミド(B)は、ゲル化抑制の観点から、ポリアミド(A)よりも低融点又は融点を有しない脂肪族ポリアミド、及び、非晶質半芳香族ポリアミドの中でも、ポリアミド(A)よりも低融点又は融点を有しない脂肪族ポリアミドが好ましく、具体的には、ナイロン6、及びナイロン6,6/6が特に好ましい。
〔第2のポリアミド樹脂組成物の製造方法〕
[工程(a2)]
工程(a2)では、アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位、及び、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る。
工程(a2)の内容は、第1のポリアミド樹脂組成物の製造方法における工程(a1)と同じであり、好ましい態様も同様である。
[工程(a2)]
工程(a2)では、アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位、及び、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る。
工程(a2)の内容は、第1のポリアミド樹脂組成物の製造方法における工程(a1)と同じであり、好ましい態様も同様である。
[工程(b2)]
工程(b2)では、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(Y)を得る。
工程(b2)で用いる脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)、及びアルカリ化合物(C)は、第1のポリアミド樹脂組成物の製造方法で用いるポリアミド(B)、及びアルカリ化合物(C)と同じであり、好ましい態様も同様である。
工程(b2)では、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(Y)を得る。
工程(b2)で用いる脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)、及びアルカリ化合物(C)は、第1のポリアミド樹脂組成物の製造方法で用いるポリアミド(B)、及びアルカリ化合物(C)と同じであり、好ましい態様も同様である。
ポリアミド(B)86〜99.5質量部を、アルカリ化合物(C)14〜0.5質量部と共に溶融混練して予めマスターバッチ(Y)を作製することで、次の工程(c2)において、ポリアミド(A)、ポリアミド(B)およびマスターバッチ(Y)を溶融混練する際に、ゲル化の原因となるフリーラジカル化したメタキシリレン部位の濃度を下げることができ、さらにゲル化及びコゲを抑制することができる。
工程(b2)におけるポリアミド(B)の供給量は、99〜90質量部であることが好ましく、98〜95質量部であることがより好ましい。
工程(b2)におけるアルカリ化合物(C)の供給量は、1〜10質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。
工程(b2)におけるポリアミド(B)の供給量は、99〜90質量部であることが好ましく、98〜95質量部であることがより好ましい。
工程(b2)におけるアルカリ化合物(C)の供給量は、1〜10質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。
工程(b2)で得られるマスターバッチ(Y)は、マスターバッチ(Y)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和m(Y)が、60〜1710μmol/gである。ポリアミド(B)86〜99.5質量部と、アルカリ化合物(C)14〜0.5質量部との混練により、m(Y)を上記範囲とすることができる。
マスターバッチ(Y)のm(Y)の値が60μmol/g以上であることで、ポリアミド樹脂組成物を成形する際の、ゲルの生成を抑制することができる。また、m(Y)が1710μmol/g以下であることで、マスターバッチ自体(Y)の溶融粘度低下を抑制することができる。
マスターバッチ(Y)のm(Y)の値は、200〜500μmol/gであることが好ましく、250〜350μmol/gであることがより好ましい。
なお、m(Y)の範囲は、アルカリ化合物(C)由来の濃度に限らず、
ポリアミド(B)に含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和も含む値である。
マスターバッチ(Y)のm(Y)の値は、200〜500μmol/gであることが好ましく、250〜350μmol/gであることがより好ましい。
なお、m(Y)の範囲は、アルカリ化合物(C)由来の濃度に限らず、
ポリアミド(B)に含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和も含む値である。
[工程(c2)]
工程(c2)では、工程(b2)で得られたマスターバッチ(Y)と、工程(a1)で得られたポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)とを、下記式(5)及び(6)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する。
80<W[A]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦99・・・(5)
1.0≦W[B]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦23・・・(6)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[Y]はマスターバッチ(Y)の供給量(質量部)を表す。〕
工程(c2)において、ポリアミド(A)に、ポリアミド(B)及びアルカリ化合物(C)を含むマスターバッチ(Y)、さらにポリアミド(B)を添加することにより、溶融混練中のポリアミド樹脂組成物のゲル化の発生を減少することができる。
工程(c2)では、工程(b2)で得られたマスターバッチ(Y)と、工程(a1)で得られたポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)とを、下記式(5)及び(6)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する。
80<W[A]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦99・・・(5)
1.0≦W[B]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦23・・・(6)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[Y]はマスターバッチ(Y)の供給量(質量部)を表す。〕
工程(c2)において、ポリアミド(A)に、ポリアミド(B)及びアルカリ化合物(C)を含むマスターバッチ(Y)、さらにポリアミド(B)を添加することにより、溶融混練中のポリアミド樹脂組成物のゲル化の発生を減少することができる。
式(5)の「W[A]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])」は、工程(C2)において、供給する材料すべての質量に対するポリアミド(A)の供給濃度(質量部)を表している。工程(c2)における原料供給濃度の安定性及びコストダウンの観点から、82以上であることが好ましく、84以上であることがより好ましい。更に、成形容易性の観点から、95以下であることが好ましく、90以下であることがより好ましい。
工程(c2)において、ポリアミド(B)は、ポリアミド(B)そのもの、及びマスターバッチ(Y)の2種類の形で供給されるが、式(6)の「W[B]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])」は、工程(c2)において、供給する材料すべてに対するポリアミド(B)の供給濃度(質量部)を表している。工程(c2)における原料供給濃度の、安定性の観点から、式(6)の値は、1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。更に、成形容易性及び物性保持の観点から、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
工程(c2)において、ポリアミド(B)は、ポリアミド(B)そのもの、及びマスターバッチ(Y)の2種類の形で供給されるが、式(6)の「W[B]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])」は、工程(c2)において、供給する材料すべてに対するポリアミド(B)の供給濃度(質量部)を表している。工程(c2)における原料供給濃度の、安定性の観点から、式(6)の値は、1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。更に、成形容易性及び物性保持の観点から、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
<フィルム、多層フィルム>
本発明のフィルムは、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層を含む。
本発明のポリアミド樹脂組成物はゲル化が抑制されるため、本発明のフィルムは成形加工性がよい。また本発明のフィルムは、またゲル化に起因して発生しやすい異物(フィッシュアイと称される場合がある)を含み難いため、外観に優れ、さらに、ガスバリア性にも優れる。
また、本発明のフィルムは、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含むフィルムであればよい。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる単層フィルムでもよく、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層を少なくとも1層を有する多層フィルムでもよい。
本発明のフィルムは、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層を含む。
本発明のポリアミド樹脂組成物はゲル化が抑制されるため、本発明のフィルムは成形加工性がよい。また本発明のフィルムは、またゲル化に起因して発生しやすい異物(フィッシュアイと称される場合がある)を含み難いため、外観に優れ、さらに、ガスバリア性にも優れる。
また、本発明のフィルムは、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含むフィルムであればよい。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる単層フィルムでもよく、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層を少なくとも1層を有する多層フィルムでもよい。
多層フィルムである場合、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層(D)以外に積層しうる層として、熱可塑樹脂からなる層(Ea)及び本発明のポリアミド樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂組成物からなる層(Eb)の少なくとも1層が挙げられる。
以下、本発明のポリアミド樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂組成物からなる層(Eb)を他の熱可塑性樹脂組成物層(Eb)と称することがあり、また、層(Ea)及び層(Eb)を「他の層(E)」と称することがある。
層(Ea)及び層(Eb)を構成する熱可塑樹脂としては、既述のポリアミド(A)、ポリアミド(B)の他、既述のポリアミド(A)、ポリアミド(B)以外の他のポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドエチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ポリイミド、植物由来樹脂等の熱可塑樹脂が挙げられる。
ただし、熱可塑樹脂からなる層(Ea)は、上記熱可塑樹脂のいずれか一種でもよいし、2種以上を含んでも良い。
以下、本発明のポリアミド樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂組成物からなる層(Eb)を他の熱可塑性樹脂組成物層(Eb)と称することがあり、また、層(Ea)及び層(Eb)を「他の層(E)」と称することがある。
層(Ea)及び層(Eb)を構成する熱可塑樹脂としては、既述のポリアミド(A)、ポリアミド(B)の他、既述のポリアミド(A)、ポリアミド(B)以外の他のポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドエチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ポリイミド、植物由来樹脂等の熱可塑樹脂が挙げられる。
ただし、熱可塑樹脂からなる層(Ea)は、上記熱可塑樹脂のいずれか一種でもよいし、2種以上を含んでも良い。
多層フィルムの構成としては、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層(D)と他の層(E)からなるD/E構成であってもよいし、一層の層(D)と2層の層(E)からなるE/D/Eの3層構成であってもよい。E/D/Eの3層構成においては、層(E)は熱可塑樹脂からなる層(Ea)であることが好ましく、2つの層(E)とも既述のポリアミド(B)からなる層であることがより好ましい。また、1層の層(D)と層(E1)および層(E2)からなるE1/E2/D/E2/E1の5層構成であってもよい。
また、多層フィルムが複数のポリアミド樹脂組成物からなる層(D)を有する場合、各層を構成するポリアミド樹脂組成物の種類は同じであっても、異なっていてもよい。
同様に、多層フィルムが複数の、熱可塑樹脂からなる層(Ea)又は他の熱可塑性樹脂組成物層(Eb)を有する場合、各層を構成する熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の種類は同じであっても、異なっていてもよい。
また、多層フィルムが複数のポリアミド樹脂組成物からなる層(D)を有する場合、各層を構成するポリアミド樹脂組成物の種類は同じであっても、異なっていてもよい。
同様に、多層フィルムが複数の、熱可塑樹脂からなる層(Ea)又は他の熱可塑性樹脂組成物層(Eb)を有する場合、各層を構成する熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の種類は同じであっても、異なっていてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層(D)の厚みは、フィルムが単層フィルムである場合、1〜400μmとすることが好ましい。また、フィルムが多層フィルムである場合には、多層フィルムに要求される柔軟性等の諸物性を確保する観点から、ポリアミド樹脂組成物からなる層(D)の厚みは一層につき、2〜100μmとすることが好ましく、より好ましくは5〜90μmであり、更に好ましくは10〜80μmである。
他の熱可塑性樹脂又は他の熱可塑性樹脂組成物からなる層(E)の厚みは、用途に応じて適宜決定することができ、多層フィルムに要求される耐ピンホール性、落下耐性等の強度及び柔軟性等の諸物性を確保する観点から、一層につき、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜150μm、更に好ましくは15〜100μmである。
他の熱可塑性樹脂又は他の熱可塑性樹脂組成物からなる層(E)の厚みは、用途に応じて適宜決定することができ、多層フィルムに要求される耐ピンホール性、落下耐性等の強度及び柔軟性等の諸物性を確保する観点から、一層につき、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜150μm、更に好ましくは15〜100μmである。
以下、本発明の多層フィルムにおいて、層(Ea)及び層(Eb)を構成しうる樹脂について説明する。
[ポリオレフィン]
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン単独重合体;エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ポリブテン−1共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のその他のエチレン共重合体;これらのポリオレフィンを無水マレイン酸等の酸無水物等でグラフト変性したグラフト変性ポリオレフィン等を挙げることができる。
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン単独重合体;エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ポリブテン−1共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のその他のエチレン共重合体;これらのポリオレフィンを無水マレイン酸等の酸無水物等でグラフト変性したグラフト変性ポリオレフィン等を挙げることができる。
[ポリエステル]
本発明において、ポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種又は二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種又は二種以上とからなるもの、又はヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体からなるもの、又は環状エステルからなるものをいう。
本発明において、ポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種又は二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種又は二種以上とからなるもの、又はヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体からなるもの、又は環状エステルからなるものをいう。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸等に例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等に例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等に例示される芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、2−リチウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸等に例示される金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸又はそれらの低級アルキルエステル誘導体等が挙げられる。
上記のジカルボン酸のなかでも、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の使用が、得られるポリエステルの物理特性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を共重合してもよい。
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
グリコールとしてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等に例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加されたグリコール等に例示される芳香族グリコールが挙げられる。
上記のグリコールのなかでも、特に、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールを主成分として使用することが好適である。これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、又はこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチド等が挙げられる。
多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物等が例示される。
本発明で用いられるポリエステルとしては、主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルが好ましい。
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。主たる酸成分がナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルも同様に、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、上述のジカルボン酸類に例示した1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいてもよい。
上記テレフタル酸/エチレングリコール以外の共重合成分は、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールおよび2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが、透明性と成形性とを両立する上で好ましく、特にイソフタル酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることがより好ましい。
本発明に用いられるポリエステルの好ましい一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、より好ましくはエチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレンテレフタレート単位を80モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのはエチレンテレフタレート単位を90モル%以上含む線状ポリエステルである。
また本発明に用いられるポリエステルの好ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−2,6−ナフタレートから構成されるポリエステルであり、より好ましくはエチレン−2,6−ナフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレン−2,6−ナフタレート単位を80モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのは、エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含む線状ポリエステルである。
また本発明に用いられるポリエステルの好ましいその他の例としては、プロピレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、プロピレンナフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、ブチレンナフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、またはブチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルである。
特にポリエステル全体の組成として、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコールの組合せ、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノールの組合せ、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコールの組合せは透明性と成形性とを両立する上で好ましい。なお、当然ではあるが、エステル化(エステル交換)反応、重縮合反応中に、エチレングリコールの二量化により生じるジエチレングリコールを少量(5モル%以下)含んでもよいことは言うまでもない。
また本発明に用いられるポリエステルの好ましいその他の例としては、グリコール酸やグリコール酸メチルの重縮合もしくは、グリコリドの開環重縮合にて得られるポリグリコール酸が挙げられる。このポリグリコール酸には、ラクチド等の他成分を共重合しても構わない。
[ポリアミド(他のポリアミド)]
層(Ea)及び層(Eb)に含み得るポリアミドは、既述のポリアミド(A)及びポリアミド(B)の他、ポリアミド(A)及びポリアミド(B)以外の他のポリアミドも含み得る。他のポリアミドは、ラクタムもしくはアミノカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とするポリアミド、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする脂肪族ポリアミド、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド等が挙げられ、必要に応じて、主構成単位以外のモノマー単位を共重合してもよい。
層(Ea)及び層(Eb)に含み得るポリアミドは、既述のポリアミド(A)及びポリアミド(B)の他、ポリアミド(A)及びポリアミド(B)以外の他のポリアミドも含み得る。他のポリアミドは、ラクタムもしくはアミノカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とするポリアミド、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする脂肪族ポリアミド、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド等が挙げられ、必要に応じて、主構成単位以外のモノマー単位を共重合してもよい。
前記ラクタムもしくはアミノカルボン酸としては、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等が使用できる。
前記脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジアミンあるいはその機能的誘導体が使用できる。さらに、脂環族のジアミンであってもよい。脂肪族ジアミンは直鎖状の脂肪族ジアミンであっても分岐を有する鎖状の脂肪族ジアミンであってもよい。このような直鎖状の脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。また、脂環族ジアミンの具体例としては、シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
また、前記脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸や脂環族ジカルボン酸が好ましく、さらに炭素数4〜12のアルキレン基を有する直鎖状脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。このような直鎖状脂肪族ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸およびこれらの機能的誘導体等を挙げることができる。脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
また、前記芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラ−ビス(2−アミノエチル)ベンゼン等が挙げられる。
また、前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸およびその機能的誘導体等が挙げられる。
具体的なポリアミドとしては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4,6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,6/6、ポリアミド6,10、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド6IT、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、イソフタル酸共重合ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6I)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカナミド(ポリアミドMXD12)、ポリ1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンアジパミド(ポリアミドBAC6)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)等がある。より好ましいポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6/6、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD6Iが挙げられる。
また、前記ポリアミドの共重合成分として、少なくとも一つの末端アミノ基、もしくは末端カルボキシル基を有する数平均分子量が2000〜20000のポリエーテル、又は前記末端アミノ基を有するポリエーテルの有機カルボン酸塩、又は前記末端カルボキシル基を有するポリエーテルのアミノ塩を用いることもできる。具体的な例としては、ビス(アミノプロピル)ポリ(エチレンオキシド)(数平均分子量が2000〜20000のポリエチレングリコール)が挙げられる。
また、前記部分芳香族ポリアミドは、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3塩基以上の多価カルボン酸から誘導される構成単位を実質的に線状である範囲内で含有していてもよい。
前記ポリアミドは、基本的には従来公知の、水共存下での溶融重縮合法あるいは水不存在下の溶融重縮合法や、これらの溶融重縮合法で得られたポリアミドを更に固相重合する方法等によって製造することが出来る。溶融重縮合反応は1段階で行ってもよいし、また多段階に分けて行ってもよい。これらは回分式反応装置から構成されていてもよいし、また連続式反応装置から構成されていてもよい。また溶融重縮合工程と固相重合工程は連続的に運転してもよいし、分割して運転してもよい。
本発明のフィルムの製造方法は、特に制限されず、例えば、押出成形や射出成形により製造することができる。また、押出成形や射出成形により得られた成形品を、更に一軸延伸、二軸延伸等により成形加工してもよい。
具体的には、Tダイを備えた押出法や、インフレーションフィルム法等により、ポリアミド樹脂組成物を板状(未延伸フィルム)に加工することができ、さらに得られた未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸等により延伸して、延伸加工することにより、延伸フィルム、熱収縮フィルム等を得ることができる。
具体的には、Tダイを備えた押出法や、インフレーションフィルム法等により、ポリアミド樹脂組成物を板状(未延伸フィルム)に加工することができ、さらに得られた未延伸フィルムを一軸延伸又は二軸延伸等により延伸して、延伸加工することにより、延伸フィルム、熱収縮フィルム等を得ることができる。
また、押出ラミネート、共押出等の方法により、多層フィルムを得ることができる。
例えば、単独種又は複数種の本発明のポリアミド樹脂組成物を用いて、複数のポリアミド樹脂組成物からなる層(D)を積層した多層フィルムを得ることができる。また、単独種又は複数種の本発明のポリアミド樹脂組成物(D)と、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の他の熱可塑性樹脂(Ea)や他の熱可塑性樹脂組成物層(Eb);金属箔;紙等とを用いて、本発明のフィルムと他のフィルムとの積層フィルムである多層フィルムを得ることができる。
例えば、単独種又は複数種の本発明のポリアミド樹脂組成物を用いて、複数のポリアミド樹脂組成物からなる層(D)を積層した多層フィルムを得ることができる。また、単独種又は複数種の本発明のポリアミド樹脂組成物(D)と、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の他の熱可塑性樹脂(Ea)や他の熱可塑性樹脂組成物層(Eb);金属箔;紙等とを用いて、本発明のフィルムと他のフィルムとの積層フィルムである多層フィルムを得ることができる。
押出ラミネート法では、層(D)を構成するフィルム及び層(E)を構成するフィルムをそれぞれ押出法等により製造した後、これらのフィルムを積層することで多層フィルムを得る。積層する方法としては、ホットメルトラミネーション法、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、熱ラミネーション法等、任意の方法で多層フィルムを得ることができる。
上記の積層を行う際、必要に応じて、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルム等に施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系等のラミネート用接着剤等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を使用することができる。
上記の積層を行う際、必要に応じて、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルム等に施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系等のラミネート用接着剤等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を使用することができる。
共押出法では、層(D)を構成する材料及び層(E)を構成する材料をそれぞれ押出機に投入し、共押出しすることで多層フィルムを得る。インフレーション法による共押出や、Tダイ法による共押出等、任意の方法で多層フィルムを得ることができる。
共押出法により得られた多層フィルムを更に一軸延伸又は二軸延伸等により延伸して、層(D)及び(E)が共延伸成形された多層フィルムを得ることができる。延伸方法は、共押出したフィルムを連続して、テンター方式による逐次二軸延伸や同時二軸延伸、インフレーション方式による同時二軸延伸が挙げられる。また、バッチ式の二軸延伸装置を使用してもよい。共押出延伸倍率は多層フィルムの用途に応じて適宜決定することができるが、フィルム搬送方向(MD;Machine Direction)に1.1〜15倍、MDとほぼ垂直方向(TD;Transverse Direction)に1.1〜15倍に二軸延伸することが好ましい。
共押出法により得られた多層フィルムを更に一軸延伸又は二軸延伸等により延伸して、層(D)及び(E)が共延伸成形された多層フィルムを得ることができる。延伸方法は、共押出したフィルムを連続して、テンター方式による逐次二軸延伸や同時二軸延伸、インフレーション方式による同時二軸延伸が挙げられる。また、バッチ式の二軸延伸装置を使用してもよい。共押出延伸倍率は多層フィルムの用途に応じて適宜決定することができるが、フィルム搬送方向(MD;Machine Direction)に1.1〜15倍、MDとほぼ垂直方向(TD;Transverse Direction)に1.1〜15倍に二軸延伸することが好ましい。
加工したフィルム及び多層フィルムは、ラップ、各種形状のパウチ、容器の蓋材、ボトル、カップ、トレイ等に利用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、本実施例において各種測定及び評価は以下の方法により行った。
<測定、評価>
〔アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子のモル濃度〕
ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子のモル濃度M〔式(2)〕は、ポリアミド樹脂組成物を、硝酸中、マイクロウェーブにて分解処理した後、原子吸光分析装置(商品名:AA−6650、(株)島津製作所製)またはICP発光分析装置(商品名:ICPE−9000、(株)島津製作所製)を用いて定量した。なお、測定値は重量分率(ppm)として得られるため、原子量及び価数を用いて、式(2)のM(μmol/g)を算出した。
また、ポリアミド1gあたりに含まれるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子のモル濃度、及びマスターバッチ1gあたりに含まれるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子のモル濃度m(μmol/g)も同様にして求めた。
〔アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子のモル濃度〕
ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子のモル濃度M〔式(2)〕は、ポリアミド樹脂組成物を、硝酸中、マイクロウェーブにて分解処理した後、原子吸光分析装置(商品名:AA−6650、(株)島津製作所製)またはICP発光分析装置(商品名:ICPE−9000、(株)島津製作所製)を用いて定量した。なお、測定値は重量分率(ppm)として得られるため、原子量及び価数を用いて、式(2)のM(μmol/g)を算出した。
また、ポリアミド1gあたりに含まれるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子のモル濃度、及びマスターバッチ1gあたりに含まれるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子のモル濃度m(μmol/g)も同様にして求めた。
〔ポリアミド樹脂組成物のゲル化抑制(ゲル分率)評価〕
ポリアミド樹脂組成物のゲル化抑制評価は、次の滞留試験におけるゲル分率を基準に行った。
(滞留サンプルの作製)
実施例1〜11及び比較例1〜6の250μm厚みフィルムを直径30mmの円形に切り取り、これを4枚作製した。該4枚の円形フィルムを同心円状に重ね、孔径30mmにくり抜いた孔を持つ1mm厚の100×100mmポリテトラフルオロエチレンシートの孔部に、前記の同心円状に重ねた円形フィルムをはめ込み、さらに該シートを、1mm厚の100×100mmポリテトラフルオロエチレンシート2枚の間に挟み込んだ。
次いで、中央部に深さ3mmの120mm×120mmの溝を持つ15mm厚×150mm×150mm金属板に、上述のフィルムを挟み込んだポリテトラフルオロエチレンシートを溝の中央に配置し、さらに15mm厚×150mm×150mm金属板にて上から蓋をした後、金属板同士をボルトで固定した。
続けて、予め加温した熱プレス機により50kg/cm2にて該金属板を挟んだ状態で、290℃にて、24時間、27時間、30時間、及び36時間のそれぞれの条件で加熱を行った。各時間経過後に該金属板を取り出して急冷し、室温まで十分に冷却させてから滞留サンプルを取り出した。
ポリアミド樹脂組成物のゲル化抑制評価は、次の滞留試験におけるゲル分率を基準に行った。
(滞留サンプルの作製)
実施例1〜11及び比較例1〜6の250μm厚みフィルムを直径30mmの円形に切り取り、これを4枚作製した。該4枚の円形フィルムを同心円状に重ね、孔径30mmにくり抜いた孔を持つ1mm厚の100×100mmポリテトラフルオロエチレンシートの孔部に、前記の同心円状に重ねた円形フィルムをはめ込み、さらに該シートを、1mm厚の100×100mmポリテトラフルオロエチレンシート2枚の間に挟み込んだ。
次いで、中央部に深さ3mmの120mm×120mmの溝を持つ15mm厚×150mm×150mm金属板に、上述のフィルムを挟み込んだポリテトラフルオロエチレンシートを溝の中央に配置し、さらに15mm厚×150mm×150mm金属板にて上から蓋をした後、金属板同士をボルトで固定した。
続けて、予め加温した熱プレス機により50kg/cm2にて該金属板を挟んだ状態で、290℃にて、24時間、27時間、30時間、及び36時間のそれぞれの条件で加熱を行った。各時間経過後に該金属板を取り出して急冷し、室温まで十分に冷却させてから滞留サンプルを取り出した。
(ゲル分率の算出)
次いで、上記の滞留サンプルを60℃にて30分恒温乾燥機にて乾燥させた後、乾燥したサンプルを直ちに100mg秤量した。秤量した滞留サンプルを10mlの純度99%以上のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に24時間浸漬後、予め秤量した300μm孔径のポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルターを通し減圧濾過した。メンブレンフィルターに残った残渣を2mlのHFIPにて3回洗浄した後、残渣の付着したフィルターを60℃にて30分恒温乾燥機にて乾燥した。
乾燥させた残渣及びフィルターの総質量を秤量し、予め秤量したメンブレンフィルター質量との差から、滞留サンプルのHFIP不溶成分量(ゲル量)を算出した。ゲル分率はHFIP浸漬前の滞留サンプルに対するHFIP不溶成分の質量%として求めた。
同様の操作を滞留サンプルの作製から同一条件にて3回行い、得られたゲル分率のそれぞれの条件における平均値を求めた。
次いで、上記の滞留サンプルを60℃にて30分恒温乾燥機にて乾燥させた後、乾燥したサンプルを直ちに100mg秤量した。秤量した滞留サンプルを10mlの純度99%以上のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に24時間浸漬後、予め秤量した300μm孔径のポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルターを通し減圧濾過した。メンブレンフィルターに残った残渣を2mlのHFIPにて3回洗浄した後、残渣の付着したフィルターを60℃にて30分恒温乾燥機にて乾燥した。
乾燥させた残渣及びフィルターの総質量を秤量し、予め秤量したメンブレンフィルター質量との差から、滞留サンプルのHFIP不溶成分量(ゲル量)を算出した。ゲル分率はHFIP浸漬前の滞留サンプルに対するHFIP不溶成分の質量%として求めた。
同様の操作を滞留サンプルの作製から同一条件にて3回行い、得られたゲル分率のそれぞれの条件における平均値を求めた。
〔フィルムの酸素バリア性(酸素透過率)評価〕
フィルムの酸素バリア性は、フィルムの酸素透過率を基準に評価した。
フィルムの酸素透過率は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、型式:OX−TRAN2/21)を使用し、ASTM D3985に準じて、23℃、相対湿度60%の雰囲気下にて測定した。
フィルムの酸素バリア性は、フィルムの酸素透過率を基準に評価した。
フィルムの酸素透過率は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、型式:OX−TRAN2/21)を使用し、ASTM D3985に準じて、23℃、相対湿度60%の雰囲気下にて測定した。
〔未延伸フィルムの外観〕
実施例1〜11及び比較例1〜6で得られた未延伸フィルムの外観を目視観察し、フィルムの着色の有無を、下記基準で評価した。
A:未延伸フィルムは着色していない。
B:未延伸フィルムがやや黄色に着色している。
実施例1〜11及び比較例1〜6で得られた未延伸フィルムの外観を目視観察し、フィルムの着色の有無を、下記基準で評価した。
A:未延伸フィルムは着色していない。
B:未延伸フィルムがやや黄色に着色している。
<ポリアミド樹脂組成物の原料成分>
ポリアミド樹脂組成物の製造に用いた原料成分となるポリアミド(A)、ポリアミド(B)、及びアルカリ化合物(C)は、次のようにして用意した。
ポリアミド樹脂組成物の製造に用いた原料成分となるポリアミド(A)、ポリアミド(B)、及びアルカリ化合物(C)は、次のようにして用意した。
−アルカリ化合物(C)の製造−
(アルカリ化合物の粉砕)
アルカリ化合物として酢酸ナトリウム(無水)(米山化学工業(株)製、平均粒子径325μm、300μm以上含有率50%)を、バグフィルターを備えたセイシン企業(株)製ジェットミルSTJ−400にて粉砕し、d(50)=4.8μm、d(100)=28.5μmとなる粉砕酢酸ナトリウムを得た。
(アルカリ化合物の粉砕)
アルカリ化合物として酢酸ナトリウム(無水)(米山化学工業(株)製、平均粒子径325μm、300μm以上含有率50%)を、バグフィルターを備えたセイシン企業(株)製ジェットミルSTJ−400にて粉砕し、d(50)=4.8μm、d(100)=28.5μmとなる粉砕酢酸ナトリウムを得た。
−ポリアミド(A)の製造−
[ポリアミド(A1)の製造]
(ポリアミドの溶融重合)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸15000g(102.6mol)、さらに次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH2PO2・H2O)432.5mg(4.083mmol、ポリアミド中のリン原子濃度として5ppm)及び酢酸ナトリウム207.7mg(2.53mmol、次亜リン酸ナトリウム一水和物に対するモル数比として0.62)になるよう入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン13895g(102.0mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミド(A1a)を得た。
[ポリアミド(A1)の製造]
(ポリアミドの溶融重合)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸15000g(102.6mol)、さらに次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH2PO2・H2O)432.5mg(4.083mmol、ポリアミド中のリン原子濃度として5ppm)及び酢酸ナトリウム207.7mg(2.53mmol、次亜リン酸ナトリウム一水和物に対するモル数比として0.62)になるよう入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン13895g(102.0mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミド(A1a)を得た。
(ポリアミドの固相重合)
窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに、得られたポリアミド(A1a)を仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr(133.3Pa)以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で30〜45分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却してポリアミド(A1)を得た。ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度は19.61μmol/g、末端カルボン酸濃度は56.45μmol/gであった。
得られたポリアミド(A1)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和は、0.26μmol/g(6ppm)であった。またモル比(r)は0.996であった。
窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに、得られたポリアミド(A1a)を仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr(133.3Pa)以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で30〜45分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却してポリアミド(A1)を得た。ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度は19.61μmol/g、末端カルボン酸濃度は56.45μmol/gであった。
得られたポリアミド(A1)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和は、0.26μmol/g(6ppm)であった。またモル比(r)は0.996であった。
なお、モル比(r)は、ポリアミド(A1)中の(ジアミン単位/ジカルボン酸単位)モル比であり、ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度から以下の式を用いて算出した。また、末端アミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度は次のようにして測定した。
r=〔1−cN−b(C−N)〕/〔1−cC+a(C−N)〕
式中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015〔水の分子量(g/mol)〕
M1:原料となるジアミンモノマーの分子量(g/mol)
M2:原料となるジカルボン酸モノマーの分子量(g/mol)
N:末端アミノ基濃度(eq/g)
C:末端カルボキシル基濃度(eq/g)
(1)末端アミノ基濃度([NH2]eq/g)
ポリアミド(A1)0.5gを精秤し、フェノール/エタノール=4/1容量溶液30mLにポリアミドを撹拌下に溶解した。ポリアミド樹脂が完全に溶解した後、N/100塩酸で中和滴定して求めた。
(2)末端カルボキシル基濃度([COOH]eq/g)
ポリアミド(A1)0.5gを精秤し、ベンジルアルコール30mLに窒素気流下160〜180℃でポリアミド樹脂を撹拌下に溶解した。ポリアミド樹脂が完全に溶解した後、窒素気流下80℃まで冷却し、撹拌しながらメタノール10mLを加え、40℃にてN/100水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
r=〔1−cN−b(C−N)〕/〔1−cC+a(C−N)〕
式中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015〔水の分子量(g/mol)〕
M1:原料となるジアミンモノマーの分子量(g/mol)
M2:原料となるジカルボン酸モノマーの分子量(g/mol)
N:末端アミノ基濃度(eq/g)
C:末端カルボキシル基濃度(eq/g)
(1)末端アミノ基濃度([NH2]eq/g)
ポリアミド(A1)0.5gを精秤し、フェノール/エタノール=4/1容量溶液30mLにポリアミドを撹拌下に溶解した。ポリアミド樹脂が完全に溶解した後、N/100塩酸で中和滴定して求めた。
(2)末端カルボキシル基濃度([COOH]eq/g)
ポリアミド(A1)0.5gを精秤し、ベンジルアルコール30mLに窒素気流下160〜180℃でポリアミド樹脂を撹拌下に溶解した。ポリアミド樹脂が完全に溶解した後、窒素気流下80℃まで冷却し、撹拌しながらメタノール10mLを加え、40℃にてN/100水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
[マスターバッチXの製造]
二軸押出機(型式:TEM37BS、東芝機械(株)製、口径:37mmφ)に40/100/400/100/40メッシュのフィルターを設けたストランドダイを取り付けた押出機を使用して、粉砕酢酸ナトリウム並びに上記のポリアミド(A1)を、それぞれ表1に示した配合量で、別フィーダーにて供給してストランド状とした。この際、押出機のヒーター温度は250〜280℃に設定した。次いで、ストランドを水冷槽で冷却した後、ペレタイザーを使用してペレット状とし、篩分けによって切り粉を落としてマスターバッチXを得た。
二軸押出機(型式:TEM37BS、東芝機械(株)製、口径:37mmφ)に40/100/400/100/40メッシュのフィルターを設けたストランドダイを取り付けた押出機を使用して、粉砕酢酸ナトリウム並びに上記のポリアミド(A1)を、それぞれ表1に示した配合量で、別フィーダーにて供給してストランド状とした。この際、押出機のヒーター温度は250〜280℃に設定した。次いで、ストランドを水冷槽で冷却した後、ペレタイザーを使用してペレット状とし、篩分けによって切り粉を落としてマスターバッチXを得た。
−ポリアミド(B)の用意−
[ポリアミド(B1)及びポリアミド(B2)]
ポリアミド(B1)は、宇部興産(株)製、登録商標「UBEナイロン」の「1024B」(ナイロン6)を用いた。ポリアミド(B1)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和は2.0μmol/gである。
ポリアミド(B2)は、宇部興産(株)製、登録商標「UBEナイロン」の「5034B」(ナイロン6,6/6)を用いた。ポリアミド(B2)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和は1.0μmol/gである。
[ポリアミド(B1)及びポリアミド(B2)]
ポリアミド(B1)は、宇部興産(株)製、登録商標「UBEナイロン」の「1024B」(ナイロン6)を用いた。ポリアミド(B1)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和は2.0μmol/gである。
ポリアミド(B2)は、宇部興産(株)製、登録商標「UBEナイロン」の「5034B」(ナイロン6,6/6)を用いた。ポリアミド(B2)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和は1.0μmol/gである。
[マスターバッチYの製造]
二軸押出機(型式:TEM37BS、東芝機械(株)製、口径:37mmφ)に40/100/400/100/40メッシュのフィルターを設けたストランドダイを取り付けた押出機を使用して、粉砕酢酸ナトリウム並びにナイロン6(宇部興産(株)製1024B)を、それぞれ表1に示した配合量で、別フィーダーにて供給してストランド状とした。この際、押出機のヒーター温度は250〜280℃に設定した。次いで、ストランドを水冷槽で冷却した後、ペレタイザーを使用してペレット状とし、篩分けによって切り粉を落としてマスターバッチYを得た。
二軸押出機(型式:TEM37BS、東芝機械(株)製、口径:37mmφ)に40/100/400/100/40メッシュのフィルターを設けたストランドダイを取り付けた押出機を使用して、粉砕酢酸ナトリウム並びにナイロン6(宇部興産(株)製1024B)を、それぞれ表1に示した配合量で、別フィーダーにて供給してストランド状とした。この際、押出機のヒーター温度は250〜280℃に設定した。次いで、ストランドを水冷槽で冷却した後、ペレタイザーを使用してペレット状とし、篩分けによって切り粉を落としてマスターバッチYを得た。
表1中、「m」は、マスターバッチX又はマスターバッチYそれぞれ1gあたりにおけるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の総モル濃度m(X)又はm(Y)である。
〔実施例1〕
−フィルムの製造−
25mmφ単軸押出機、600メッシュのフィルターを設けたヘッド、Tダイからなるフィルム押出機、冷却ロール、フィッシュアイ検査機(型式:GX70W、マミヤオーピー(株)製)、巻き取り機等を備えた引き取り装置を使用して、フィルムの製造を行った。
マスターバッチ(X)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表2に示す割合でドライブレンドしたのち、押出機に投入し、押出機からポリアミド樹脂組成物を3kg/hの吐出速度に保持しつつ、フィルム状に押し出し、引き取り速度を調節して幅15cm、厚み250μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムについて、目視観察を行いフィルムの着色を評価した。評価結果を表2に示した。
次いで、未延伸フィルムを、2軸延伸装置により、フィルム搬送方向(MD)及びMDとほぼ垂直方向(TD)にそれぞれ3倍延伸して、延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムについて滞留試験を行い、ゲル化分率を評価した。さらに得られた延伸フィルムについて酸素透過係数を測定した。得られた結果を表2に示した。
−フィルムの製造−
25mmφ単軸押出機、600メッシュのフィルターを設けたヘッド、Tダイからなるフィルム押出機、冷却ロール、フィッシュアイ検査機(型式:GX70W、マミヤオーピー(株)製)、巻き取り機等を備えた引き取り装置を使用して、フィルムの製造を行った。
マスターバッチ(X)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表2に示す割合でドライブレンドしたのち、押出機に投入し、押出機からポリアミド樹脂組成物を3kg/hの吐出速度に保持しつつ、フィルム状に押し出し、引き取り速度を調節して幅15cm、厚み250μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムについて、目視観察を行いフィルムの着色を評価した。評価結果を表2に示した。
次いで、未延伸フィルムを、2軸延伸装置により、フィルム搬送方向(MD)及びMDとほぼ垂直方向(TD)にそれぞれ3倍延伸して、延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムについて滞留試験を行い、ゲル化分率を評価した。さらに得られた延伸フィルムについて酸素透過係数を測定した。得られた結果を表2に示した。
〔実施例2〜5〕
マスターバッチ(X)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表2に示す割合でドライブレンドして押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表2に示した。
マスターバッチ(X)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表2に示す割合でドライブレンドして押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表2に示した。
〔実施例6、7〕
マスターバッチ(Y)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表2に示す割合でドライブレンドして押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表2に示した。
マスターバッチ(Y)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表2に示す割合でドライブレンドして押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表2に示した。
〔実施例8〕
マスターバッチ(X)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表3に示す割合でドライブレンドして押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表3に示した。
マスターバッチ(X)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表3に示す割合でドライブレンドして押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表3に示した。
〔実施例9〕
マスターバッチ(X)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表3に示す割合でドライブレンドして押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表3に示した。
マスターバッチ(X)と、ポリアミド(A1)と、ポリアミド(B1)とを、表3に示す割合でドライブレンドして押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表3に示した。
〔実施例10〕
ポリアミド(A1)と、マスターバッチ(X)と、ポリアミド(B2)とを、表4に示す割合でドライブレンドして、押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表4に示した。
ポリアミド(A1)と、マスターバッチ(X)と、ポリアミド(B2)とを、表4に示す割合でドライブレンドして、押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表4に示した。
〔比較例1〕
原料として、ポリアミド(A1)のみを使用した以外は、実施例1と同様に未延伸フィルム及び延伸フィルムを製造した。得られた未延伸フィルム及び延伸フィルムの評価結果を表3に示した。
原料として、ポリアミド(A1)のみを使用した以外は、実施例1と同様に未延伸フィルム及び延伸フィルムを製造した。得られた未延伸フィルム及び延伸フィルムの評価結果を表3に示した。
〔比較例2〕
マスターバッチ(X)を使用せずポリアミド(A1)とポリアミド(B1)をドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表3に示した。
マスターバッチ(X)を使用せずポリアミド(A1)とポリアミド(B1)をドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表3に示した。
〔比較例3〕
ポリアミド(B1)を使用せず、ポリアミド(A1)とマスターバッチ(X)をドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表3に示した。
ポリアミド(B1)を使用せず、ポリアミド(A1)とマスターバッチ(X)をドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表3に示した。
〔比較例4〕
マスターバッチ(X)を使用せずポリアミド(A1)とポリアミド(B2)をドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表4に示した。
マスターバッチ(X)を使用せずポリアミド(A1)とポリアミド(B2)をドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表4に示した。
〔比較例5〕
ポリアミド(B2)を使用せず、ポリアミド(A1)とマスターバッチ(X)をドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表4に示した。
ポリアミド(B2)を使用せず、ポリアミド(A1)とマスターバッチ(X)をドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表4に示した。
〔比較例6〕
ポリアミド(A1)、マスターバッチ(X)、ポリアミド(B2)の配合量を表4に記載の量でドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表4に示した。
ポリアミド(A1)、マスターバッチ(X)、ポリアミド(B2)の配合量を表4に記載の量でドライブレンドして押出機に投入した以外は、は実施例1と同様にして未延伸フィルム、および延伸フィルムを得た。得られた結果を表4に示した。
表2〜4の結果より、本発明のポリアミド樹脂組成物は、比較例に比べゲル分率が小さく、ゲル化が抑制されたことがわかる。また、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いて得られた未延伸フィルムは着色が少なく、延伸フィルムは酸素等のガスバリア性に優れることがわかった。
具体的には、表2、3の実施例、比較例において、ポリアミド(A)のみからなる比較例1は、ゲル分率が非常に高く滞留安定性に劣ることがわかった。また、ポリアミド(A)とポリアミド(B)を含有するが、アルカリ化合物(C)が少ない比較例2は、アルカリ化合物を所定量含む実施例1と比較して滞留安定性に劣ることがわかった。さらに、ポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)を含有するが、ポリアミド(B)を含まない比較例3は、ポリアミド(B)を所定量含む実施例1、2、5、及び8と比較して滞留安定性に劣ることがわかった。
同様に、表4の実施例、比較例において、ポリアミド(A)とポリアミド(B)を含有するが、アルカリ化合物(C)が少ない比較例4は、アルカリ化合物を所定量含む実施例10と比較して滞留安定性に劣ることがわかった。さらに、ポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)を含有するがポリアミド(B)を含まない比較例5は、ポリアミド(B)を所定量含む実施例10と比較して滞留安定性に劣ることがわかった。さらに、アルカリ化合物(C)を所定量含むものの、ポリアミド(A)構成単位の含有量が少ない比較例6は得られた延伸フィルムの酸素バリア性が劣るものであった。
具体的には、表2、3の実施例、比較例において、ポリアミド(A)のみからなる比較例1は、ゲル分率が非常に高く滞留安定性に劣ることがわかった。また、ポリアミド(A)とポリアミド(B)を含有するが、アルカリ化合物(C)が少ない比較例2は、アルカリ化合物を所定量含む実施例1と比較して滞留安定性に劣ることがわかった。さらに、ポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)を含有するが、ポリアミド(B)を含まない比較例3は、ポリアミド(B)を所定量含む実施例1、2、5、及び8と比較して滞留安定性に劣ることがわかった。
同様に、表4の実施例、比較例において、ポリアミド(A)とポリアミド(B)を含有するが、アルカリ化合物(C)が少ない比較例4は、アルカリ化合物を所定量含む実施例10と比較して滞留安定性に劣ることがわかった。さらに、ポリアミド(A)とアルカリ化合物(C)を含有するがポリアミド(B)を含まない比較例5は、ポリアミド(B)を所定量含む実施例10と比較して滞留安定性に劣ることがわかった。さらに、アルカリ化合物(C)を所定量含むものの、ポリアミド(A)構成単位の含有量が少ない比較例6は得られた延伸フィルムの酸素バリア性が劣るものであった。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形加工等を行う際に長時間溶融滞留させてもゲル化しにくい。また本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層を含むフィルム及び多層フィルムはほとんど着色がなく、ガスバリア性に優れる。従って、本発明のポリアミド樹脂組成物は、包装材料、ガソリンバリア材料、繊維材料等として工業的に有用である。
Claims (10)
- キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)と、
脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)と、
アルカリ化合物(C)と、
を少なくとも含み、かつ、下記式(1)及び(2)を満たすポリアミド樹脂組成物。
3100≦W≦4050・・・・(1)
0.5≦M≦50.0・・・・・(2)
〔式中、Wは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるポリアミド(A)構成単位のモル量(μmol/g)を表す。
Mは、ポリアミド樹脂組成物1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和を表す。〕 - ポリアミド(B)は、融点がポリアミド(A)の融点よりも低いか、又は、融点を持たない請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- アルカリ化合物(C)が、炭素数1〜10のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 式(2)において、Mが8.0以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂組成物がさらに遷移金属を含有し、その含有量が金属原子濃度として1〜10000ppmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物からなる層を含むフィルム。
- 請求項6に記載のフィルムに、熱可塑樹脂からなる層(Ea)、及び請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂組成物からなる層(Eb)の少なくとも1層を積層した多層フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、
工程(a1):アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る工程、
工程(b1):工程(a1)で得られたポリアミド(A)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(X)を得る工程、及び
工程(c1):工程(b1)で得られたマスターバッチ(X)と、工程(a1)で得られたポリアミド(A)と、脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)とを、下記式(3)及び(4)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する工程を含み、
マスターバッチ(X)が、マスターバッチ(X)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和が、60〜1710μmol/gであるポリアミド樹脂組成物の製造方法。
80<W[A]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦99・・・・・(3)
1.0≦W[B]×100/(W[X]+W[A]+W[B])≦23・・・・(4)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[X]はマスターバッチ(X)の供給量(質量部)を表す。〕 - 請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、
工程(a2):アルカリ金属化合物(Aa)及びリン原子含有化合物(Ab)の存在下で、キシリレンジアミンを含むジアミンと炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを重縮合して、キシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位及び炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド(A)を得る工程、
工程(b2):脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)86〜99.5質量部とアルカリ化合物(C)14〜0.5質量部とを押出機により溶融混練してマスターバッチ(Y)を得る工程、及び
工程(c2):工程(b2)で得られたマスターバッチ(Y)と、工程(a2)で得られたポリアミド(A)と、ポリアミド(B)とを、下記式(5)及び(6)を満たす条件で押出機に供給して溶融混練する工程を含み、
マスターバッチ(Y)が、マスターバッチ(Y)1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和が、60〜1710μmol/gであるポリアミド樹脂組成物の製造方法。
80<W[A]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦99・・・・・(5)
1.0≦W[B]×100/(W[Y]+W[A]+W[B])≦23・・・・(6)
〔式中、W[A]はポリアミド(A)の供給量(質量部)を表し、W[B]はポリアミド(B)の供給量(質量部)を表し、W[Y]はマスターバッチ(Y)の供給量(質量部)を表す。〕 - 脂肪族ポリアミド及び非晶質半芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリアミド(B)、及びアルカリ化合物(C)を含有し、
マスターバッチ1gあたりに含まれるアルカリ金属原子のモル濃度(μmol/g)及びアルカリ土類金属原子のモル濃度(μmol/g)にそれぞれ価数を乗じた値の和が、60〜1710μmol/gであり、かつアルカリ化合物(C)が、炭酸塩、炭酸水素塩、又は、炭素数10以下のカルボン酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩であるマスターバッチ。
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