JPWO2019208031A1 - 流体機械、機械要素およびフッ素樹脂材 - Google Patents

流体機械、機械要素およびフッ素樹脂材 Download PDF

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Abstract

摩耗耐久性の向上やメンテナンスサイクルの延長を図ることができる流体機械及びこれに用いる機械要素並びにフッ素樹脂材を提供する。機械要素は、金属表面を有する部材(31)と、部材(31)表面を摺動する摺動部材(32)と、を有し、摺動部材(32)は、フッ素樹脂(32a)を母材とし、該母材に、アルミニウム合金粒子(32b)が配合された複合樹脂材料により形成される。このような機械要素を用いて、レシプロ式の流体機械やスクロール式の流体機械を構成することで、摩耗耐久性の向上やメンテナンスサイクルの延長を図ることができる。

Description

本発明は、流体機械、機械要素およびフッ素樹脂材に関する。
空気などの流体を圧縮する流体機械としては、一般に、レシプロ式の流体機械やスクロール式の流体機械が用いられている。特に食品パッケージの製造工程や半導体製造工程などで使用される流体機械は、流体にオイルが混入することが嫌われる。したがって、このような用途で使用される流体機械の摺動部材は、潤滑油を用いないオイルフリーとされることが多い。
例えばレシプロ式流体機械において、金属製のシリンダ内を往復動するピストンには、シリンダの内面と摺動する摺動部材として、ピストンリングが取り付けられている。一方、例えばスクロール式の流体機械において、金属製の固定スクロールや、固定スクロールに対して円運動しながら摺接する旋回スクロールの端部には、これらの内面と摺動する摺動部材として、チップシールが取り付けられている。
オイルフリーの摺動部材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)に代表される樹脂材料が知られている。例えばPTFEは、結晶性が高く、せん断強度が小さいため、せん断を受けるとミクロレベルで容易に表層剥離し、シリンダ内面などの相手面に移着する。相手面に移着膜が形成されることにより、摺動部材自体は、シリンダ等の硬質の金属面とは直接接触せず、移着膜と接触して摺動することから、低摩擦化や低摩耗化の効果を得ることが可能となる。一方、摺動部材には耐摩耗性も必要となる。そこで摺動部材は、例えばPTFEを母材とし、耐摩耗性の向上のため、炭素繊維や二硫化モリブデンといった様々な粒子を配合した複合樹脂材として用いることが多い。
例えば特許文献1には、珪藻土やアルミナなど、歯底面以上の硬度をもった硬質充填材を摺動部材に配合することで、コストアップを招かずに高寿命化を実現できるスクロール式流体機械が開示されている。また、特許文献2には、放射線の照射による架橋法によって、耐摩耗性が顕著に向上し、基材との密着性にも優れた架橋フッ素樹脂層を有する架橋フッ素樹脂複合材料の製造方法が開示されている。
特開2011−179392号公報 特開2010−155443号公報
特許文献1に記載の技術を用いることで、摺動部材の耐摩耗性を向上し、それによって流体機械としての耐久性を飛躍的に向上できるようになった。しかし、近年になって、産業界から耐久性のさらなる向上が求められるようになってきた。
しかるに、特許文献1に記載の技術によれば、歯底面以上の硬度をもった硬質充填材を用いることで耐摩耗性の向上を図ることができるが、一方で、摺動中に摺動部材から硬質充填材が脱落などした際には、逆にアブレシブ作用による摩耗が予測不能に発生することがある。このように予測不能な摩耗が発生すると、期待される耐久性を発揮できない虞れがある。それにより、流体機械のメンテナンスサイクルの短縮を余儀なくされるか、さもなくば流体機械の寿命短縮を招来する。
また、特許文献2に記載の技術によれば、放射線の照射によって基材上に成膜されたフッ素樹脂材料の耐摩耗性の向上を図ることができるが、コストが膨大であることや、流体機械に具備されるピストンリングのようなバルク材の処理には適さないなどの問題があった。
そこで本発明は、摩耗耐久性の向上やメンテナンスサイクルの延長を図ることができる流体機械及びこれに用いる機械要素並びにフッ素樹脂材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の流体機械の一つは、作動室が、金属材からなる摺動面と、前記摺動面上を摺動するフッ素樹脂材と、を備え、前記フッ素樹脂材が、前記摺動面に対して銅系粒子よりも凝着度が低い金属合金の粒子を含むことにより達成される。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の機械要素の一つは、金属材からなる摺動面と、前記摺動面上を摺動するフッ素樹脂材と、を備え、前記フッ素樹脂材が、前記摺動面に対して銅系粒子よりも凝着度が低い金属合金の粒子を含むことにより達成される。
上記課題を解決するために、代表的な本発明のフッ素樹脂材の一つは、金属材からなる摺動面上を摺動するフッ素樹脂材であって、前記摺動面に対して銅系粒子よりも凝着度が低い金属合金の粒子を含むことにより達成される。
本発明によれば、摩耗耐久性の向上やメンテナンスサイクルの延長を図ることができる流体機械及びこれに用いる機械要素並びにフッ素樹脂材を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
図1は、実施形態に係る流体機械に備えられる摺動部30を示す断面図である。 図2は、アルミニウム合金粒子32bのミクロ組織を表す模式図である。 図3は、実施形態に係るレシプロ式流体機械40の全体構成を示す断面図である。 図4は、図3に示すレシプロ式流体機械40のシリンダ41内部の構成を拡大して示す断面図である。 図5は、スクロール式流体機械50の構成を示す断面図である。 図6は、図5に示すスクロール式流体機械50の固定スクロール51及び旋回スクロール52の一部を拡大して示す図である。 図7は、オルダム継手を備えたスクロール式流体機械70の構成を示す断面図である。 図8は、図7中のケーシング、旋回スクロール及びオルダム継手を示す分解斜視図である。 図9は、図7中のスライダを拡大して示す図である。 図10は、実施例1で用いたアルミニウム合金粒子32bのミクロ組織の光学顕微鏡写真をモノクロ画像化したものである。 図11は、実施例と比較例を供試した摩擦試験を説明するための図である。 図12は、実施例と比較例とで、摩擦係数の定常値とブロック状試験片の摩耗体積とを比較して示すグラフである。 図13は、実施例1〜実施例5について、ブロック状試験片の摩耗体積の測定結果を示すグラフである。
本明細書中、「アルミニウム合金」というときは、母相がビッカース硬度で200HV以下の、アルミニウムを主成分とする合金をいう。また、「銅系粒子」とは、銅粒子及び青銅粒子をいう。
図1は、実施形態に係る流体機械に備えられる摺動部30を示す図である。流体機械は機能としては、例えば流体を加圧するポンプや圧縮機、冷凍機、送風機、流体を減圧する膨張機などがあり、動作方式としては、例えばレシプロ式流体機械やスクロール式流体機械などを挙げることができる。レシプロ式流体機械やスクロール式流体機械の全体構成例については後述する。後述の構成例では主として圧縮機について説明するが、上述の通り流体を冷媒とする冷凍機や送風機、圧縮機の機構を逆回転させることで圧縮機の吐出口に相当する部位から膨張対象の流体を吸い込み、圧縮機の吸込口に相当する部位から流体を吐き出す膨張機も同様の構成である。
図1において、摺動部30は、金属製の部材31と、フッ素樹脂を母材とする複合樹脂材料(フッ素樹脂材)により形成された摺動部材32と、を有している。摺動部30では、摺動部材32が、摺動界面33において部材31と接触して摺動する。摺動界面33には、潤滑油やグリースなどが供給されてもよい。但し、実施形態の流体機械は、摺動界面33に潤滑油等を供給せず、オイルフリーの状態で使用したときに、特に効果が発揮される。
図1に示す例では、部材31は、基材としての金属材31aの表面に、表面処理31bが施されている。即ち、図1に示す例では、表面処理31bにより摺動面が形成されており、この表面処理31bが施された摺動面に、摺動部材32を接触させつつ摺動させることができる。なお、図1では、金属材31aの表面に表面処理31bがなされている例を示したが、金属材31aには、必ずしも表面処理31bがなされていなくてもよく、部材31の表面に、金属材31aが露出していていもよい。即ち、部材31の金属表面は、金属材31aを構成する金属そのものでもよく、かかる場合には金属材31aの表面が摺動面となり、あるいは金属材31a上に、表面処理31b等の金属化合物が形成されていてもよく、かかる場合には金属化合物の表面が摺動面となる。
摺動部材32を構成する複合樹脂材料には、母材であるフッ素樹脂32a中に、アルミニウム合金粒子(第一の材料ともいう)32bが配合されている。アルミニウム合金粒子32bの詳細については、後述する。摺動部材32には、上記したアルミニウム合金粒子32bに加えて、カーボンやアルミニウム合金でない金属粒子などの補強材や二硫化モリブデンなどの固体潤滑材が配合されていてもよい。
部材31を構成する金属材31aとしては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素等の軽金属や、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、銅等の遷移金属を用いることができる。金属材31aとしては、具体的には、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等のアルミニウム系材料、鉄や鉄−ニッケル合金等の鉄系材料、チタンやチタン合金等のチタン系材料、銅や銅合金等の銅系材料を用いることができる。中でも、アルミニウム系材料を用いた場合に、耐摩耗性について優れた効果を得ることができる。アルミニウム系材料には、例えば微量のマグネシウム、ケイ素等が含有されていてもよい。また、鉄系材料には、例えばクロム、ニッケル、モリブデン等が含有されていてもよい。
金属材31aの表面に形成される表面処理31bは、金属材31aに自然に生成した自然酸化膜や、人工的に施した表面コーティングのことを言う。自然酸化膜の場合、例えば金属材31aがアルミニウムの場合には酸化アルミニウムであり、鉄の場合には酸化鉄であり、銅の場合には酸化銅である。表面コーティングの場合、一例として、メッキ処理や物理蒸着(PVD)法、化学蒸着(CVD)法、浸炭処理等により施されるものであり、アルミニウム、リン、クロム、鉄、ニッケル、亜鉛のうち少なくとも1つを含む材料で構成される。このような元素を含む表面コーティングの一例として、アルマイト処理、アルミニウムめっき、ニッケルめっき、ニッケルリンめっき、クロムめっき、鉄めっき、亜鉛めっきなどを挙げることができる。
摺動部材32を構成する複合樹脂材料のフッ素樹脂32aとしては、PTFE、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選ばれる少なくとも一つを用いることができる。例えば、PTFEと、それ以外のフッ素樹脂とを2種類以上混合して用いてもよい。
摺動部材32を構成する複合樹脂材料に配合する添加物として、アルミニウム合金粒子32bを用いる理由について、説明する。例えば、特許文献1に記載の摺動部材は、PTFEなどのフッ素樹脂を母材とし、アルミナ粒子や珪藻土の粒子などの酸化物系材料、銅粒子や青銅粒子などの銅系材料が添加されている。酸化物系材料は比較的硬いので、摺動部材の耐摩耗性向上に有効ではあったが、前記の通り、せん断による脱落などによりアブレシブ粒子となり、切削作用によって摩耗を招来することがあった。
一方、銅系材料は、表面処理31bを構成する材料によっては、問題を引き起こすことがあった。具体的にその問題とは、摺動部材に添加された銅系材料と、表面処理31bとの化学的親和性が高い場合、摺動中に凝着現象が発生することである。凝着現象が発生すると、摩擦係数(動摩擦係数)の増大を招き、その結果として過大な摩擦熱により母材であるフッ素樹脂32aの溶融が生じて摩耗が増大し、また母材の強度低下により添加物の脱落が発生すると、脱落した添加物の切削作用により摩耗が増大する。例えば、表面処理31bが、ニッケルめっきやニッケルリンめっきの場合がこの例に相当する。
従って、摺動部材32としては、切削作用を生じる酸化物系粒子を取り除く必要がある。ただし、酸化物系粒子と銅系粒子の双方とも取り除いてしまうと、摺動部材32を物理的に補強する材料が皆無となってしまうため、さらなる摩耗悪化を招く。よって、表面処理31bと化学的親和性の低い代替材料を、補強する材料として用いることが望ましい。
そこで本実施形態では、摺動部材32に酸化物系粒子を添加せず、また銅系粒子の代わりにアルミニウム合金粒子32bを添加しており、これによって、摺動部材32の耐摩耗性を飛躍的に向上させることができる。ただし、銅系粒子と併存する形でアルミニウム合金粒子32bを添加してもよい。摺動部材32中のアルミニウム合金粒子32bは、銅系粒子に比べると明らかに、表面処理31bを構成する、例えばニッケルめっきやニッケルリンめっきと凝着を起こしにくい(凝着度が低い)ため、摩擦係数の増大を招かず、よって耐摩耗性が高くなる。
ここで、上記したアルミニウム合金粒子32bは、アルミニウムを主成分とし、ケイ素を含んで成る粒子である。この他、マグネシウムや亜鉛などのヘテロ元素を含んでいてもよい。図2に示すように、アルミニウム合金粒子32b中で、ケイ素の全部もしくは一部は、析出物32dが、アルミニウム−ケイ素合金相(第二の材料ともいう)32cのマトリックスの中に析出している。析出したケイ素の析出物32dは、一般にビッカース硬度で約1000HVとなり、部材31の表面に施された表面処理31b、例えばニッケルめっきやニッケルリンめっき(最大でもビッカース硬度800HV程度)よりも硬いため、部材31の耐摩耗性をより向上させることができる。尚、アルミニウム−ケイ素合金相(母相)32cのビッカース硬度は200HV以下であるので、摺動部材32として特に問題はない。ただしケイ素以外でも、アルミニウム合金における母相のビッカース硬度が200HV以下であれば、他の元素を用いてよい。
アルミニウム合金粒子32bは、例えば、アルミニウムとケイ素の粉末を原料としたガスアトマイズ法などによって製造できる。このとき、ケイ素を任意の割合とすることで、前述のケイ素の析出量を制御できる。摺動部材32の耐摩耗性の向上のため、アルミニウム合金粒子32b中のケイ素の割合は、特に限定されるものではないが、アルミニウム−ケイ素合金の共晶点付近の12質量%以上、30質量%以下の範囲で用いると好適である。ケイ素の割合が12質量%よりも小さいと、ケイ素の析出物が生じにくく、十分な耐摩耗性が得られず、また30質量%よりも大きいと、硬質なケイ素の析出物が表面処理31bを切削するなどして十分な耐摩耗性が得られないからである。アルミニウム合金粒子32bには、ケイ素が多く含まれている第1の部分と、第1の部分よりケイ素が少なく含まれている又はケイ素が含まれていない第2の部分とがあり、第1の部分の硬度が、アルミニウムの硬度よりも高いと好ましい。
また、摺動部材32の耐摩耗性の向上のため、アルミニウム合金粒子32bの粒径も特に限定されるものではないが、粒径10μm以上、300μm以下のものを用いると好適である。粒径が10μmよりも小さいと、摺動部材32から脱落しやすく、十分な耐摩耗性が得られず、また粒径が300μmよりも大きいと、表面処理31bを切削する作用が顕著に現れるため、十分な耐摩耗性が得られないからである。
摺動部材32を構成する複合樹脂材料を製造する際には、一般に、図1に示すPTFE32a等の母材の粉末、アルミニウム合金粒子32b、その他炭素繊維などの粉末を、ミキサーで均一に混合し、続いて圧縮成形又は射出成形で任意の形状に成形した後、電気炉等で焼成して得ることができる。焼成は、使用する母材の種類に応じて、その温度範囲を適宜調整して行う。
摺動部材32における、アルミニウム合金粒子32bの存在を確認するためには、目視による銀白色物質の確認の他、例えばX線回折(XRD)法を用いて確認することができる。アルミニウム合金粒子32bは、特定の金属結晶を有することが常であるため、XRD法で検出することができる。
図3は、一実施形態に係るレシプロ式流体機械40の全体構成を示す断面図である。レシプロ式流体機械40は、シリンダ41と、シリンダ41内部を往復動するピストン42と、を有している。シリンダ41内の、ピストン42により画成された空間には、流体を圧縮又は膨張させる作動空間としての圧縮/膨張室43が形成されている。
シリンダ41の図3中上端は、仕切り板44により閉塞されており、この仕切り板44に、吸入口44a、吐出口44bが設けられている。吸入口44a、吐出口44bには、それぞれ、吸入弁44c、吐出弁44dが設けられており、吸入弁44c、吐出弁44dの先には、それぞれ配管が接続されている。
シリンダ41は、図3中下端側が開放されており、この下端部において、筐体45と接続されている。ピストン42には、ピストンピン46aを介して連結棒46の上端が接続されている。筐体45内には、モータ47が収容されている。モータ47に連結されたプーリ48、及び連結棒46の下端が連結されたプーリ48間に巻き回されたベルト49を介して、モータ47は連結棒46に動力伝達可能に接続されている。
レシプロ式流体機械40の作動時には、モータ47の動力を、ベルト49を介してプーリ48に伝達し、連結棒46の上下運動に変換してピストン42に伝える。ピストン42を上下動させることで、吸入口44aから圧縮/膨張室43内に外気を吸入し、圧縮/膨張室43内で吸入ガスを圧縮する。圧縮されたガスは、吐出口44bを通って圧縮/膨張室43の外部に吐出され、配管により回収される。
図4に、図3に示すレシプロ式流体機械40のシリンダ41内部の構成を拡大して示す。ピストン42には、環状のピストンリング421、中空円筒状のライダーリング422が環装されており、ピストン42の上下動に伴い、ピストンリング421、ライダーリング422が、シリンダ41の内周面と低摩擦で摺動する。これにより、ピストン42とシリンダ41との接触やカジリを防止することができ、ピストン42とシリンダ41とのスムーズな摺動状態を得ることができる。
シリンダ41は、図1における部材31に該当し、ピストンリング421は、図1における摺動部材32に該当する。ピストン42は、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。シリンダ41は、金属材31a(図1参照)を基材とする金属製であり、金属材31aについて説明したものと同様の材料を用いて形成することができる。シリンダ41には、金属材31aに対する表面処理31bにより、適宜被膜を形成してもよい。例えば、金属材31aの表面は自然酸化膜が生じたまま用いてもよいし、アルマイト処理やニッケルめっき等を形成してもよい。なお、シリンダ41の金属材31aの表面には、被膜を形成しなくてもよい。
ピストンリング421は、上記した複合樹脂材料により形成する。即ち、ピストンリング421は、母材であるフッ素樹脂に、第一の材料32b又は第二の材料32cの少なくとも一方が配合されている複合樹脂材料を用いて形成する。ピストンリング421を構成する複合樹脂材料に配合する添加物としてアルミニウム合金粒子を用いることで、シリンダ41と摺動した際に摩擦係数を増大させることなく耐摩耗性を向上できる。ライダーリング422についても、ピストンリング421と同様、複合樹脂材料を用いて形成してもよい。
図5は、スクロール式流体機械50の構成を示す断面図である。図5において、スクロール式流体機械50は、スクロール式流体機械50の外殻をなすケーシング53と、ケーシング53に回転可能に設けられた駆動軸54と、ケーシング53に取り付けられた固定スクロール51と、駆動軸54のクランク軸54Aに旋回可能に設けられた旋回スクロール52と、を有している。
固定スクロール51は、固定鏡板51aと、固定鏡板51aの一主面側に渦巻状に形成された固定スクロールラップ51bと、を有している。これと対向する旋回スクロール52は、旋回鏡板52aと、旋回鏡板52aの一主面側に渦巻状に形成された旋回スクロールラップ52bと、を有している。旋回スクロール52には、旋回鏡板52aの背面側中央にボス部52fが突設されている。
旋回スクロール52は、旋回スクロールラップ52bが、固定スクロールラップ51bと互いに噛み合うように、互いに対向して配置されている。これにより、固定スクロールラップ51bと旋回スクロールラップ52bとの間に、流体を圧縮又は膨張する作動空間としての圧縮/膨張室55が形成される。
固定スクロール51の固定鏡板51aの外周側には、吸入口56が穿設されている。吸入口56は、最外周側の圧縮/膨張室55に連通している。また、固定スクロール51の固定鏡板51aの中心部には、吐出口57が穿設されている。吐出口57は、最内周側の圧縮/膨張室55に開口している。
駆動軸54は、玉軸受58を介してケーシング53に回転可能に支持されている。駆動軸54の一端側は、ケーシング53外で電動モータ等(不図示)に連結されており、駆動軸54の他端側は、ケーシング53内に伸張してクランク軸54Aとなる。クランク軸54Aの軸線は、駆動軸54の軸線に対して、所定寸法だけ偏心している。
ケーシング53の旋回スクロール52側の内周には、円環状のスラスト受部61が設けられている。スラスト受部61と旋回鏡板52aとの間には、スラストプレート62が設けられている。スラストプレート62は、例えば鉄等の金属材料により円環状の板体として形成されており、旋回スクロール52が旋回運動したときに、旋回鏡板52aに対してその表面が低摩擦で摺動し、主に圧縮運転時に旋回スクロール52に作用するスラスト方向(旋回スクロール52を固定スクロール51から離間させる方向)の荷重をスラスト受部61と共に受承する。これにより、ケーシング53と旋回鏡板52aとのかじりや異常摩耗を防止する。
また、スラスト受部61と旋回鏡板52aとの間には、スラストプレート62より中心寄りの位置に、オルダムリング63が設けられている。オルダムリング63は、駆動軸54によって旋回スクロール52が回転駆動されたときに、旋回スクロール52の自転を防止し、クランク軸54Aによる所定寸法の旋回半径を持った円運動を与える。
不図示の電動モータ等により駆動軸54を回転駆動させると、旋回スクロール52が所定寸法の旋回半径で旋回運動し、吸入口56から吸い込まれた外部の空気が、固定スクロールラップ51bと旋回スクロールラップ52bとの間に画成された圧縮/膨張室55…内で順次圧縮される。この圧縮空気は、固定スクロール51の吐出口57から、外部の空気タンク等に吐出される。
図6に、図5に示すスクロール式流体機械50の固定スクロール51及び旋回スクロール52の一部を拡大して示す。固定スクロールラップ51bの旋回鏡板52aとの対向側の端面51cには、溝51dが形成されており、この溝51dには、チップシール591が嵌め込まれている。また、旋回スクロールラップ52bの固定鏡板51aとの対向側の端面52cにも、溝52dが形成されており、この溝52dにもチップシール592が嵌め込まれている。
旋回スクロール52の旋回運動に伴い、チップシール591が旋回鏡板52aのラップ底面52eと摺動し、チップシール592が固定鏡板51aのラップ底面51eと摺動する。これにより、固定スクロールラップ51bと旋回鏡板52aのラップ底面52eとの接触や、旋回スクロールラップ52bと固定鏡板51aのラップ底面51eとの接触を防止することができ、スムーズな摺動状態を得ることができる。
図6において、固定スクロール51及び旋回スクロール52は、図1における部材31に該当し、チップシール591及びチップシール592は、図1における摺動部材32に該当する。固定スクロール51及び旋回スクロール52は、金属材31a(図1参照)を基材とする金属製であり、金属材31aについて説明したものと同様の材料を用いて形成することができる。固定スクロール51の固定鏡板51aのラップ底面51e及び固定スクロールラップ51bの側面には、金属材31aに対する表面処理により、適宜メッキ膜等の被膜を形成してもよい。
チップシール591及びチップシール592は、複合樹脂材料により形成する。即ち、チップシール591及びチップシール592は、母材であるフッ素樹脂に、第一の材料32b又は第二の材料32cの少なくとも一方が配合されている複合樹脂材料を用いて形成する。チップシール591及びチップシール592を構成する複合樹脂材料に配合する添加物としてアルミニウム合金粒子を用いることで、固定スクロール51及び旋回スクロール52と摺動した際に摩擦係数を増大させることなく耐摩耗性を向上できる。
また、図5においてスラストプレート62と旋回鏡板52aとの摺動部において、これらの摺動面を形成するスラストプレート62の表面又は旋回鏡板52aの表面に、上記した、複合樹脂材料をコーティングしてもよい。また、上記した説明では、スラストプレート62を、鉄等の金属材料により形成した例を示したが、スラストプレート62自体を、複合樹脂材料により形成してもよい。
また、上記した説明では、スラストプレート62と、スラストプレート62より中心寄りの位置に設けられたオルダムリング63により、旋回スクロール52の自転を防止する機構について示したが、本発明における実施形態はこれに限られるものではなく、本発明は、例えば補助クランク(図示しない)など他の自転防止機構を用いたスクロール式流体機械にも用いることができる。
図5〜図6では、旋回スクロール52の自転を防止する機構として、オルダムリング63を備えたスクロール式流体機械50の構成を示した。これに対し図7〜図9では、旋回スクロールの自転防止機構として、オルダム継手を備えたスクロール式流体機械70の構成を示す。図7において、スクロール式流体機械70は、固定スクロール71、旋回スクロール72、ケーシング73、駆動軸74を有する。旋回スクロール72は、旋回スクロール本体75と、旋回スクロール本体75の背面側に取り付けられた、略円板状の背面プレート76とを有している。
固定スクロール71は、固定鏡板71aの表面側(図7で左側)に固定スクロールラップ71bが設けられ、固定鏡板71aの背面側(図7で右側)に放熱板71cが設けられている。また、旋回スクロール本体75は、旋回鏡板75aの表面側(図7で右側)に、固定スクロールラップ71bと対向するように、旋回スクロールラップ75bが設けられ、旋回鏡板75aの背面側(図7で左側)に放熱板75cが設けられている。
背面プレート76は、旋回スクロール本体75の放熱板75cの先端に、ボルト等により固着されており、その背面中央部には、ボス部76dが軸方向に突出している。なお、スクロール式流体機械70の基本的な構成は、上記した点以外は、図5に示す構成と同様である。このため、図5と共通する部分については説明を省略する。
スクロール式流体機械70では、旋回スクロール72の背面プレート76と、ケーシング73のフランジ部77との間に、自転防止機構であるオルダム継手90が設けられている。図8〜図9に示すように、オルダム継手90は、X軸方向に延びるX軸ガイド91、91、X軸方向に直交するY軸方向に延びるY軸ガイド92、92、X軸ガイド91及びY軸ガイド92に摺接するスライダ93、及びスライダ93に配置された各球体94を有している。
X軸ガイド91、91、Y軸ガイド92、92は、いずれも細長い角柱状に形成されている。X軸ガイド91、91は、ケーシング73のフランジ部77の摺動面77Aに一体に設けられており、Y軸方向に一定の寸法だけ離間して設置されている。Y軸ガイド92、92は、背面プレート76の摺動面76Aに一体に設けられており、X軸方向に一定の寸法だけ離間して設置されている。
図9において、スライダ93は、略正方形の平板状に形成されており、側面93a、93aが、X軸ガイド91、91(図8)の内面に摺接し、側面93b、93bが、Y軸ガイド92、92(図8)の内面に摺接するように装着されている。スライダ93の中央部には、背面プレート76のボス部76dが貫通する逃し穴93cが穿設されており、その4隅には、貫通孔93d、93d、93d、93dが穿設されている。貫通孔93dには、球体94、94、94、94が挿入されて保持される。
オルダム継手90は、スライダ93をX軸方向、Y軸方向に摺動変位させることにより、旋回スクロール72の自転を防止し、旋回スクロール72に所定寸法の旋回半径をもった円運動を与える自転防止機構として機能する。
図7に示すスクロール式流体機械70は、不図示の電動モータ等により駆動軸74を回転駆動させると、旋回スクロール72が所定寸法の旋回半径で旋回運動し、吸入口78から吸込まれた外部の空気が、固定スクロールラップ71bと旋回スクロールラップ75bとの間に画成された圧縮/膨張室79、79…内で順次圧縮される。この圧縮空気は、固定スクロール71の吐出口80から、吐出パイプ81を介して吐き出され、外部のタンクに貯留される。
例えばX軸ガイド91、91、Y軸ガイド92、92が金属製であり、スライダ93が樹脂製である場合、スライダ93における、摺動面を構成する領域を、上記した複合樹脂材料により形成してもよい。かかる場合、スライダ93を構成する複合樹脂材料に配合する添加物としてアルミニウム合金粒子を用いることで、X軸ガイド91、91、Y軸ガイド92、92と摺動した際に摩擦係数を増大させることなく耐摩耗性を向上できる。
また、スライダ93の摺動面を形成する面を、複合樹脂材料によりコーティングしてもよい。また、X軸ガイド91、91、Y軸ガイド92、92が金属製である場合には、X軸ガイド91、91、Y軸ガイド92、92の表面に、複合樹脂材料をコーティングしてもよい。また、X軸ガイド91、91、Y軸ガイド92、92を複合樹脂材料により構成し、スライダ93を金属製としてもよい。
図3〜図4に示すレシプロ式流体機械、及び図5〜図9に示すスクロール式流体機械においては、いずれも圧縮/膨張室内に供給するガスとして、大気を用いてもよいし、乾燥ガスを用いてもよい。即ち、高純度窒素ガス等の、露点が低く、湿度が低いガスを圧縮する際には、フッ素樹脂を母材とする摺動部材の摩耗が悪化し易く、流体機械のメンテナンスサイクルや寿命が短くなり易かった。上記した実施形態に係る摺動部材は、圧縮する流体の種類に拠らずに、十分な摩耗耐久性を発現できる。このため、実施形態の摺動部材を適用した流体機械を、例えば乾燥ガスの圧縮に供することもできる。
乾燥ガスの例としては、露点が−30℃以下のガスを挙げることができる。乾燥ガスとしては、例えば合成空気、高純度窒素ガス、酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス等が挙げられる。
上記した実施形態では、圧縮機に代表される流体機械に、図1に示す摺動部材32を適用した場合を例に説明した。但し、本実施形態に係る摺動部材32は、流体機械以外にも、真空装置、印刷装置、分析装置、宇宙関連機器等の、固体潤滑性が求められる機械装置に用いてもよい。
以下、摩擦試験法を用いた実験により、本発明で提供する、アルミニウム合金粒子32bの耐摩耗性向上の効果を示す。以下の検討では、アルミニウムとケイ素から成るアルミニウム合金の粒子を用いた。実施例と比較例を表1に示す。
実施例1は、本発明で提供するアルミニウム合金粒子32bを配合した摺動部材である。アルミニウム合金粒子32bは、アルミニウムとケイ素から構成され、アルミニウムの濃度は75質量%、ケイ素の濃度は25質量%である。比較例1は、アルミニウム合金粒子の代わりに銅粒子を配合した摺動部材である。銅粒子の材質は、純銅であり、純度99.99%である。比較例2は、アルミニウム合金粒子の代わりに青銅粒子を配合した摺動部材である。青銅粒子は、銅とスズから構成され、銅の濃度は90質量%、スズの濃度は10質量%である。全ての実施例および比較例において、母材としてPTFEを用い、金属粒子の配合濃度は,体積基準で一定とした。
Figure 2019208031
実施例1で用いたアルミニウム合金粒子32bのミクロ組織の光学顕微鏡写真をモノクロ画像化した図を、図10に示す。図のように、共晶点を超えて析出したケイ素が析出物として表面に介在していることがわかる。
実施例と比較例を供試した摩擦試験は、図11に示す態様で行った。表1に示したそれぞれの材料をブロック状試験片に加工し、金属製のリング状試験片を接触させつつ、回転させることで摺動を行って、摩擦係数と摩擦体積を求めた。金属製のリング状試験片(金属材31a)は、外径φ13mm、内径φ9mmのアルミニウム合金の鋳物ADC3である。その表面には、工業的に利用される表面処理として代表的な、ニッケルリンめっきを施した。一方、ブロック状試験片は幅6mm、長さ20mm、高さ5mmとした。摩擦試験の実験条件として、ブロック状試験片とリング状試験片との荷重は18.8N、リング状試験片における半径5.5mm位置での周速度は2.3m/sブロック上試験片の表面温度は80℃に制御し、6時間連続で摺動させた。
摩擦試験の結果得られた、摩擦係数の定常値とブロック状試験片の摩耗体積と、を図12に示す。なお、摩耗体積は、レーザー変位計により摺動部を試験前後に形状測定を行って、その比較により求めた。
図12に示すように、摩擦係数および摩耗体積ともに、実施例1のアルミニウム合金粒子を用いた場合、比較例1,2と比較して最小となった。比較例1の銅粒子および比較例2の青銅粒子を用いた場合には、実施例1のアルミニウム合金粒子の場合の約3倍大きな摩擦係数を示している。これは、ブロック上試験片中に含まれる銅系粒子と、リング状試験片の表面に施されたニッケルリンめっきとが凝着したためである。摩擦係数が大きいことにより、単位時間あたりの摩擦熱も大きくなるため、母材であるPTFEの摩耗が増大した。よって、摺動部材としての摩耗は、アルミニウム合金粒子を用いた場合よりも、これら銅系粒子を用いた場合に増大する結果となった。
次に、表2に示す摺動部材を用いて、摺動部材32中に配合するアルミニウム合金粒子32bの組成が、摺動部材32の摩耗に与える影響を検討した。実施例2〜実施例5に示す摺動部材は、アルミニウム合金粒子32bが配合された点では、表1に示した実施例1と同様であるが、アルミニウム合金粒子32bを構成するアルミニウムおよびケイ素の濃度が異なる。
Figure 2019208031
実施例2〜実施例5について、前述と同様の実験条件の下、摩擦試験を行った。実施例1〜実施例5について、ブロック状試験片の摩耗体積の測定結果を図13に示す。
図12に示した比較例1および2と比べ、実施例1〜実施例5全てにおいて、摩耗体積が低下していることから、アルミニウム合金粒子32bが耐摩耗性向上に有効であることが確認できた。また、実施例同士を比較してみると、実施例1、3、4に比べ、ケイ素の濃度が最低の実施例2や、逆にケイ素の濃度が最高の実施例5では、摩耗が増大する結果となった。
これは、前述の通り、ケイ素の割合が12質量%(共結点付近)よりも小さいと、ケイ素の析出物が生じず、十分な耐摩耗性が得られず、また30質量%よりも大きいと、硬質なケイ素の析出物が表面処理31bを切削するなどして十分な耐摩耗性が得られないことを示している。したがって図13より、好ましくはケイ素濃度を20〜25質量%とすることで、最良の耐摩耗性を得ることができる。
以上説明した摩擦試験及び表面化学分析の結果から明らかなように、実施形態に係る摺動部材は、部材31との摺動時に、部材31の摺動面に金属フッ化物が生成されるのを抑制できる。このため、摺動面に移着膜が形成され易くなり、摺動部材32の摩耗耐久性を向上できる。従って、この摺動部材32を、例えばレシプロ式流体機械のピストンリングやスクロール式流体機械のチップシールに適用することで、ピストンリングやチップシールの摩耗耐久性が高められるため、これらの交換寿命が長くなる。このため、レシプロ式流体機械やスクロール式流体機械のメンテナンスサイクルや寿命を延長できる。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態における構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態における構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
30…摺動部、31…部材、31a…金属材、31b…表面処理、32…摺動部材、32a…フッ素樹脂、32b…アルミニウム合金粒子、32c…アルミニウム−ケイ素合金相、32d…析出物、33…摺動界面、40…レシプロ式流体機械、41…シリンダ、42…ピストン、421…ピストンリング、422…ライダーリング、43、55、79…圧縮/膨張室、44…仕切り板、44a、56、78…吸入口、44b、57、80…吐出口、44c…吸入弁、44d…吐出弁、45…筐体、46…連結棒、46a…ピストンピン、47…モータ、48…プーリ、49…ベルト、46…連結棒、50、70…スクロール式流体機械、51、71…固定スクロール、51a、71a…固定鏡板、51b、71b…固定スクロールラップ、51c、52c…端面、51d、52d…溝、51e、52e…ラップ底面、52、72…旋回スクロール、52a、75a…旋回鏡板、52b、75b…旋回スクロールラップ、52f、76d…ボス部、53、73…ケーシング、54、74…駆動軸、54A…クランク軸、58…玉軸受、591、592…チップシール、61…スラスト受部、62…スラストプレート、63…オルダムリング、71c、75c…放熱板、75…旋回スクロール本体、76…背面プレート、76A、77A…摺動面、77…フランジ部、81…吐出パイプ、90…オルダム継手、91…X軸ガイド、92…Y軸ガイド、93…スライダ、93a、93b…スライダ93の側面、93c…逃し穴、93d…貫通孔、94…球体

Claims (14)

  1. 作動室が、金属材からなる摺動面と、
    前記摺動面上を摺動するフッ素樹脂材と、を備え、
    前記フッ素樹脂材が、前記摺動面に対して銅系粒子よりも凝着度が低い金属合金の粒子を含む流体機械。
  2. 前記金属合金がアルミニウム合金である請求項1に記載の流体機械。
  3. 前記アルミニウム合金の粒子が、アルミニウムとケイ素とを含み、
    前記アルミニウム合金の粒子には、前記ケイ素が多く含まれている第1の部分と、前記第1の部分より前記ケイ素が少なく含まれている又は前記ケイ素が含まれていない第2の部分とがある請求項2に記載の流体機械。
  4. 前記第1の部分の硬度が、前記金属材の硬度よりも高い請求項3に記載の流体機械。
  5. 前記摺動面が、アルミニウム、リン、クロム、鉄、ニッケル、亜鉛のうち少なくとも1つを含む請求項1ないし4のいずれかに一項に記載の流体機械。
  6. 金属材からなる摺動面と、
    前記摺動面上を摺動するフッ素樹脂材と、を備え、
    前記フッ素樹脂材が、前記摺動面に対して銅系粒子よりも凝着度が低い金属合金の粒子を含む機械要素。
  7. 前記金属合金がアルミニウム合金である請求項6に記載の機械要素。
  8. 前記アルミニウム合金の粒子が、アルミニウムとケイ素とを含み、
    前記アルミニウム合金の粒子には、前記ケイ素が多く含まれている第1の部分と、前記第1の部分より前記ケイ素が少なく含まれている又は前記ケイ素が含まれていない第2の部分とがある請求項7に記載の機械要素。
  9. 前記第1の部分の硬度が、前記金属材の硬度よりも高い請求項8に記載の機械要素。
  10. 前記摺動面が、アルミニウム、リン、クロム、鉄、ニッケル、亜鉛のうち少なくとも1つを含む請求項6ないし9のいずれか一項に記載の機械要素。
  11. 金属材からなる摺動面上を摺動するフッ素樹脂材であって、
    前記摺動面に対して銅系粒子よりも凝着度が低い金属合金の粒子を含むフッ素樹脂材。
  12. 前記金属合金がアルミニウム合金である請求項11に記載のフッ素樹脂材。
  13. 前記アルミニウム合金の粒子が、アルミニウムとケイ素とを含み、
    前記アルミニウム合金の粒子には、前記ケイ素が多く含まれている第1の部分と、前記第1の部分より前記ケイ素が少なく含まれている又は前記ケイ素が含まれていない第2の部分とがある請求項12に記載のフッ素樹脂材。
  14. 前記第1の部分の硬度が、前記金属材の硬度よりも高い請求項13に記載のフッ素樹脂材。
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