JP2018159310A - 圧縮機用滑り軸受および圧縮機 - Google Patents

圧縮機用滑り軸受および圧縮機 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性、低摩擦特性、相手材への耐攻撃性に優れ、かつ、基材とすべり層との密着性にも優れる圧縮機用滑り軸受、および、該圧縮機用滑り軸受を備えた圧縮機を提供する。【解決手段】圧縮機の圧縮機構を駆動するための回転部材を回転可能に支持する圧縮機用滑り軸受であって、この滑り軸受1は、金属製基材2と、金属製基材2の一方の表面に設けられた多孔質層3と、多孔質層3に対する樹脂組成物の含浸被覆層4とからなり、上記樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂より低融点の溶融フッ素樹脂と、粉末状充填材とを含み、繊維状充填材を含まない樹脂組成物である。【選択図】図3

Description

本発明は、圧縮機の圧縮機構を駆動するための回転部材を回転可能に支持する圧縮機用滑り軸受および該圧縮機用滑り軸受を備えた圧縮機に関する。
空調装置(エアコン)等に用いられる圧縮機は、その圧縮機構を駆動するための駆動軸などの回転部材を有し、この回転部材を軸受により支持している。従来、例えば、この回転部材を回転可能に支持する滑り軸受を備えた圧縮機において、その滑り軸受として、金属製バックメタルに合成樹脂製すべり面が形成されたものが提案されている(特許文献1〜4参照)。
特開2002−349437号公報 特開2007−205254号公報 特開2010−159808号公報 特開2013−145026号公報
特許文献1に記載の滑り軸受は、SPCCなどの鉄製基材に青銅焼結層を介してポリテトラフルオロエチレンがコーティングされているが、耐摩耗性の面で改善の余地がある。また、特許文献2に記載の滑り軸受は、SPCCや純銅板製の金属製基材に多孔質青銅焼結層と合成樹脂組成物とが混在して露出しているが、低摩擦特性の面で改善の余地がある。
また、特許文献3に記載の滑り軸受は、多孔質層に含浸被覆された樹脂組成物に炭素繊維が必須とされた複層軸受であるが、相手材である圧縮機の駆動軸がアルミニウム合金や焼入れなしの鋼材である場合、該相手材への耐攻撃性(相手材を傷つけない性質)が不十分となるおそれがある。
また、特許文献4に記載の滑り軸受は、 焼結金属製基材に芳香族ポリエーテルケトン樹脂組成物の射出成形層が形成されるが、圧縮機の使用条件によっては、射出成形層の基材との密着性が不十分となるおそれがある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、耐摩耗性、低摩擦特性、相手材への耐攻撃性に優れ、かつ、基材とすべり層との密着性にも優れる圧縮機用滑り軸受、および、該圧縮機用滑り軸受を備えた圧縮機の提供を目的とする。
本発明の圧縮機用滑り軸受は、圧縮機の圧縮機構を駆動するための回転部材を回転可能に支持する圧縮機用滑り軸受であって、上記滑り軸受は、金属製基材と、金属製基材の一方の表面に設けられた多孔質層と、該多孔質層に対する樹脂組成物の含浸被覆層とからなり、上記樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂に、上記PTFE樹脂より低融点の溶融フッ素樹脂と、粉末状充填材とを含み、繊維状充填材を含まない樹脂組成物であることを特徴とする。ここで、粉末状充填材とは、粒状、球状、板状、鱗片状などのアスペクト比(長辺と短辺の比率)1.5以下の充填材をいう。
上記溶融フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAと記す)樹脂であることを特徴とする。
上記粉末状充填材は、粒状または球状の充填材であることを特徴とする。また、上記粒状または球状の充填材は、黒鉛または全芳香族ポリエステル樹脂であること特徴とする。
上記樹脂組成物は、該樹脂組成物全体積に対して、上記溶融フッ素樹脂を3〜30体積%、上記粉末状充填材を5〜30体積%含むことを特徴とする。
上記滑り軸受は、上記回転部材をラジアル方向に支持する(ラジアル滑り)軸受であることを特徴とする。また、上記ラジアル滑り軸受は、上記圧縮機構のハウジング内の内部空間を圧力的に隔絶するように配設されていることを特徴とする。
上記滑り軸受は、上記回転部材をスラスト方向に支持する(スラスト滑り)軸受であることを特徴とする。また、上記スラスト滑り軸受は、上記圧縮機構において発生する圧縮反力を上記回転部材を介して受ける側に配設されていることを特徴とする。
本発明の圧縮機は、圧縮機構を駆動するための回転部材を回転可能に支持する、上記本発明の滑り軸受を備えることを特徴とする。
本発明の圧縮機用滑り軸受は、金属製基材と、金属製基材の一方の表面に設けられた多孔質層と、該多孔質層に対する樹脂組成物の含浸被覆層とからなり、上記樹脂組成物は、PTFE樹脂に、上記PTFE樹脂より低融点の溶融フッ素樹脂と、粉末状充填材とを含み、繊維状充填材を含まない樹脂組成物からなるので、耐摩耗性、低摩擦特性、相手材への耐攻撃性に優れ、かつ、基材とすべり層との密着性にも優れる。
ここで、PTFE樹脂に配合した低融点の溶融フッ素樹脂は、圧縮機の製造において、多孔質層に樹脂組成物を含侵後、PTFE樹脂の融点をこえる所要温度で焼成した際に軟化溶融する。PTFE樹脂は高い非粘着性を有しているので、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの他の耐熱性熱可塑性樹脂とは容易に溶着できないが、溶融フッ素樹脂はPTFE樹脂と同じフッ素樹脂であるため、PTFE樹脂と溶着し易く保持機能に優れる。溶融した溶融フッ素樹脂は多孔質層、粒状または球状の充填材とも溶着可能である。従って、溶融フッ素樹脂が、粉末状充填材とPTFE樹脂の接着剤(バインダー樹脂)の役割を果たし、摺動時の充填材脱落を抑制できる。また、含浸被覆層(樹脂層)と多孔質層との接着剤の効果もあるので、摺動時における多孔質層からの含浸被覆層の摩耗脱落を抑制できる。
また、PTFE樹脂より低融点の溶融フッ素樹脂が特にPFA樹脂であるので、耐熱性、低摩擦特性に優れたバインダー樹脂として機能する。また、滑り軸受の製造におけるPTFE樹脂の焼成時に分解することなく、バインダー樹脂の役割を果たすことができ、低摩擦で低摩耗の滑り軸受となる。
粉末状充填材は、PTFE樹脂の本来の低摩擦特性を阻害することなく、含浸被覆層の耐摩耗性を向上させている。粉末状充填材の中でも、特に粒状または球状の充填材は、異方性がなく低摩擦特性に優れる。また、この粒状または球状の充填材が、潤滑性に優れた黒鉛または不溶融の全芳香族ポリエステル樹脂であるので、低摩擦で耐摩耗性に優れ、高面圧条件下であっても好適に使用可能な滑り軸受となる。
樹脂組成物が、該樹脂組成物全体積に対して溶融フッ素樹脂を3〜30体積%、粒状または球状の充填材を5〜30体積%含むので、より確実に低摩擦、低摩耗特性が得られる。
本発明の圧縮機用滑り軸受は、従来の圧縮機用滑り軸受と同じ軸受サイズでありながら、耐摩耗性、低摩擦性、寸法安定性などに優れる。このため、圧縮機の回転部材をラジアル方向に支持するラジアル滑り軸受、および、回転部材をスラスト方向に支持するスラスト滑り軸受として好適に使用できる。
本発明の圧縮機は、圧縮機構を駆動するための回転部材を回転可能に支持する滑り軸受を備えた圧縮機であって、この滑り軸受として本発明の圧縮機用滑り軸受を採用するので、省エネルギー性、長寿命性に優れる圧縮機となり得る。
圧縮機用滑り軸受を用いた圧縮機の第1実施形態を示す断面図である。 圧縮機用滑り軸受(ラジアル滑り軸受)の一例を示す斜視図等である。 図2の圧縮機用滑り軸受の摺動面の拡大断面図である。 圧縮機用滑り軸受を用いた圧縮機の第2実施形態を示す断面図である。 圧縮機用滑り軸受(スラスト滑り軸受)の一例を示す斜視図等である。 圧縮機用滑り軸受を用いた圧縮機の第3実施形態を示す断面図である。 圧縮機用滑り軸受を用いた圧縮機の第4実施形態を示す断面図である。
本発明の圧縮機用滑り軸受を用いた圧縮機の第1の実施形態として、図1に車両空調装置(カーエアコン)を構成する片頭型ピストン式圧縮機の例を説明する。
図1に示すように、圧縮機5は、そのハウジングを構成する、シリンダブロック6と、フロントハウジング7と、リヤハウジング9とを有する。リヤハウジング9は、弁形成体8を介してシリンダブロック6に接合固定されている。ここで、シリンダブロック6とフロントハウジング7とで囲まれる部分にクランク室10がある。ハウジングには、クランク室10を貫通する形で駆動軸11が回転自在に支持されている。駆動軸11は金属製のものなどが用いられる。駆動軸11の一端側(図中左側)が、動力伝達機構を介して車両エンジンに直結されている。駆動軸11には、クランク室10において鉄製のラグプレート12が一体回転可能に固定されている。駆動軸11およびラグプレート12によって回転部材が構成されている。
駆動軸11の一端部は、フロントハウジング7に設けられた貫通孔7aに嵌入されたラジアル滑り軸受1aによって回転自在に支持されている。また、駆動軸11の他端部は、シリンダブロック6に設けられた貫通孔6aに嵌入されたラジアル滑り軸受1bによって回転自在に支持されている。このラジアル滑り軸受1aおよび1bが本発明の圧縮機用滑り軸受である。
クランク室10には、カムプレートとしての斜板13が収容されている。斜板13は、ヒンジ機構14を介したラグプレート12との作動連結、および駆動軸11の支持によりラグプレート12および駆動軸11と同期回転可能であるとともに、駆動軸11の回転中心軸線方向へのスライド移動を伴いながら該駆動軸11に対して傾動可能に構成されている。また、シリンダブロック6には、複数のシリンダボア15が形成され、このシリンダボア15に片頭型のピストン16が往復動可能に収容されている。シリンダボア15の前後開口は、弁形成体8およびピストン16によって閉塞されており、このシリンダボア15内にピストン16の往復動に応じて体積変化する圧縮室が形成されている。各ピストン16は、シュー17を介して斜板13の外周部に係留されている。この構成により、駆動軸11の回転に伴う斜板13の回転運動が、シュー17を介してピストン16の往復直線運動に変換される。ピストン16、シュー17、斜板13、ヒンジ機構14およびラグプレート12によってクランク機構が構成され、該クランク機構、シリンダブロック6および駆動軸11によって圧縮機構が構成されている。
ラグプレート12とフロントハウジング7との間にはスラスト転がり軸受18aが配設されている。スラスト転がり軸受18aは、回転部材(駆動軸11およびラグプレート12)をスラスト方向に支持するとともに、圧縮機構において発生する圧縮反力をラグプレート12を介して受ける側に配設されている。また、駆動軸11は、シリンダブロック6の貫通孔6a内に配設されたスラスト転がり軸受18bによってその後端部が支持されており、後方へのスラスト移動が規制されるようになっている。
リヤハウジング9には、吸入室19および吐出室20が形成されている。吸入室19の冷媒ガスは、各ピストン16の移動により弁形成体8を介してシリンダボア15に導入される。シリンダボア15に導入された低圧な冷媒ガスは、ピストン16の移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁形成体8を介して吐出室20に導入される。この吸入室19、吐出室20、シリンダボア15、弁形成体8によって冷媒経路が構成されている。
以上の構成を有する圧縮機5は、車両エンジンから動力伝達機構を介して駆動軸11に動力が供給されると、駆動軸11とともに斜板13が回転する。斜板13の回転に伴って各ピストン16が斜板13の傾斜角度に対応したストロークで往復動され、各シリンダボア15において冷媒の吸入、圧縮および吐出が順次繰り返される。
以下、図2および図3に基づいて、本発明の圧縮機用滑り軸受であるラジアル滑り軸受1(1aおよび1b)について説明する。図2は、本発明の圧縮機用滑り軸受であるラジアル滑り軸受の斜視図および断面図である。また、図3は、摺動面の拡大断面図である。図2および図3に示すように、ラジアル滑り軸受1は、鋼板などの金属製基材2の表面に焼結金属などの多孔質層3を形成し、この多孔質層3中に樹脂組成物を含浸被覆して含浸被覆層(樹脂層)4を形成している。すなわち、このラジアル滑り軸受1は、(1)金属製基材2、(2)多孔質層3、(3)含浸被覆層4(樹脂層)とからなる三層構造体とされている。多孔質層と含浸被覆層からなるすべり層において、含浸被覆層の表面が摺動面となり、高面圧下での摺動特性や該すべり層と基材との密着性に優れた軸受となる。
本発明では、この含浸被覆層4を形成する樹脂組成物として、PTFE樹脂に、PTFE樹脂より低融点の溶融フッ素樹脂と、粉末状充填材とを含み、繊維状充填材を含まない組成物を用いている。ここで、含まないようにする繊維状充填材としては、炭素繊維、ガラス繊維、各種ウィスカなどが挙げられる。以下、含浸被覆層を形成する樹脂組成物について詳細に説明する。
含浸被覆層を形成する樹脂組成物のベース樹脂となるPTFE樹脂は、−(CF−CF−で表される一般のPTFE樹脂を使用できる。また、一般のPTFE樹脂にパーフルオロアルキルエーテル基(−C2p−O−)(pは1−4の整数)あるいはポリフルオロアルキル基(H(CF−)(qは1−20の整数)などを導入した変性PTFE樹脂も使用できる。上記の変性PTFE樹脂は、耐圧縮特性が一般のPTFE樹脂より優れているため、好適に使用できる。なお、一般のPTFE樹脂と変性PTFE樹脂を併用してもよい。
上記樹脂組成物に用いるPTFE樹脂(融点327℃)より低融点の溶融フッ素樹脂としては、PFA樹脂:融点310℃、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂:融点260℃、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体樹脂:融点270℃などが挙げられる。これらは粉末状または粒子状で樹脂組成物に配合される。これらの溶融フッ素樹脂の中でも、PFA樹脂が最も好ましい。PFA樹脂は、PTFE樹脂に分子構造が類似しており、最も高耐熱性であるため、耐摩耗性に優れ、滑り軸受の製造における樹脂組成物の焼成時に最も分解しにくいからである。
上記樹脂組成物に用いる溶融フッ素樹脂の平均粒径は5〜100μmであることが好ましい。なお、本発明における平均粒径は、レーザー解析法による測定値である。溶融フッ素樹脂の平均粒径が5μm未満では、多孔質層、粉末状充填材、およびPTFE樹脂の相互の接着力が低下し、耐摩耗性の向上が図れないおそれがある。また、100μmをこえると組成物中の粒子数が少なくなり、多孔質層、粉末状充填材、およびPTFE樹脂との接触割合が低くなり、耐摩耗性の均一な向上が図れないおそれがある。接着力による耐摩耗性向上のためには、平均粒径10〜50μmが好ましい。
上記樹脂組成物に用いる粉末状充填材は、耐面圧性を高く維持することができ、アスペクト比が1.5以下の各種形状の粉末状充填材であればよい。このような粉末状充填材を使用することで、炭素繊維、ガラス繊維、各種ウィスカなどの繊維状充填材を使用した場合に比べ、摩擦係数を低く維持できる。
上記樹脂組成物に用いる粉末状充填材としては、異方性の無い粒状または球状の充填材が好ましく、特に、黒鉛または全芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。黒鉛または全芳香族ポリエステル樹脂は単独で使用しても併用してもよい。黒鉛および全芳香族ポリエステル樹脂は、潤滑性を有し不溶融であり、充填材自身の摩耗も少ないので、摩擦係数を低く維持し、樹脂層の耐摩耗性に優れ、相手材を損傷し難い。このような粉末状充填材を含み、繊維状充填材を含まないことで、相手材への耐攻撃性に特に優れる。
上記樹脂組成物に用いる粉末状充填材の平均粒径は5〜60μmであることが好ましい。粉末状充填材の平均粒径が5μm未満では、耐摩耗性の付与が不十分となるおそれがある。また、60μmをこえると脱落し易く、耐摩耗性が低下するおそれがある。
上記樹脂組成物における配合比は、該樹脂組成物全体積に対して溶融フッ素樹脂が3〜30体積%であり、粉末状充填材が5〜30体積%であることが好ましい。溶融フッ素樹脂の配合比が3体積%未満では、多孔質層、粉末状充填材、PTFE樹脂の相互の接着力が乏しく、耐摩耗性の向上が図れないおそれがある。また、30体積%をこえると摩擦係数が増加するおそれがある。
粉末状充填材の配合比が5体積%未満では、耐摩耗性の付与が不十分となるおそれがある。また、30体積%をこえると、含浸被覆層の強度低下による耐摩耗性の低下、混合による均一分散性の低下、ならびに多孔質層への含浸工程で含浸性が悪くなり、未含浸部が発生するおそれがある。
上記樹脂組成物において、溶融フッ素樹脂と粉末状充填材を除いた残部をベース樹脂であるPTFE樹脂とし、実質的に3成分とすることが好ましい。また、上記樹脂組成物には、耐摩耗性、低摩擦特性、耐圧縮クリープ特性などの必要特性を低下させない範囲であれば、必要に応じて、熱可塑性樹脂粉末、二硫化モリブデン、顔料(カーボン、酸化鉄)などの他の充填剤を配合してもよい。
上記樹脂組成物を用いて含浸被覆層を形成する方法を例示する。溶媒にPTFE樹脂を分散させたディスバージョン(例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製31−JR)に、上述の各原料を所定の配合比で配合し、撹拌することによりペースト状にした後、多孔質層に含浸させて、溶媒を乾燥除去、焼成することにより含浸被覆層4が得られる。
圧縮機用のラジアル滑り軸受1において、多孔質層3は、金属製基材2に対し優れた接着強度を確保するために、非鉄金属の焼結層または溶射層として形成することが好ましい。非鉄金属としては、摩擦摩耗特性に優れることから、銅または銅を主成分とする銅合金が好ましい。非鉄金属(銅合金)の焼結層は、例えば、鋼板上に、銅合金粉末を厚さ0.3mmで散布し、次いで、還元雰囲気中で750〜900℃の温度に加熱して銅合金粉末を焼結することによって得られる。
金属製基材2としては、鋼(SPCCなどの構造用圧延鋼など)あるいは鋼以外の金属、例えばステンレス鋼または青銅などの銅系合金などを使用できる。運転時に異常摩耗が発生した場合でも、焼き付きを未然に防止するため、金属製基材を鋼板とし、多孔質層の非鉄金属を上記鋼板より軟質の金属とすることが好ましい。また、多孔質層の非鉄金属を、上述の銅または銅を主成分とする銅合金とすることで、焼き付き防止効果をさらに向上できる。
金属製基材2に対する多孔質層3の密着強度をさらに高めるために、金属製基材2の多孔質層3を形成する表面に、多孔質層3の非鉄金属と同等の金属をメッキすることが好ましい。
また、金属製基材2が使用中に錆びることを防止するため、金属製基材2の他方の表面(多孔質層3を形成する面の反対面)に防錆用メッキを付けることが好ましい。また、環境負荷を小さくし、どのような用途でも広く使用可能とするためには、この防錆用メッキを錫メッキとすることが好ましい。
含浸被覆層4の滑り面(摺動面)の表面形状は、含侵時のローラー表面形状などによって、様々な凹凸模様を付けることが可能である。しかしながら、高面圧において、すべり面が凹凸形状の場合、接触面積が低下しより高面圧となり、樹脂材の摩耗、変形が起こりやすいので、フラット形状(凹凸なし)であることが好ましい。
このようなラジアル滑り軸受1は、例えば、金属製基材となる鋼板(平板)の上に多孔質層と含浸被覆層とを上述の方法で形成し、この三層構造の鋼板を円筒状に丸め加工することで製造できる。この滑り軸受は、上記のとおり耐摩耗性、低摩擦特性、相手材への耐攻撃性、基材とすべり層との密着性に優れるものである。
図1に示す第1の実施形態では、駆動軸11は、上記した特性を有するラジアル軸受1aおよび1bの樹脂層の摺動面(内周面)に摺接して支持されている。このため、摺接面での摩耗や、樹脂層の変形を防止でき、低回転トルクを安定的に得ることができる。
また、貫通孔7aのラジアル滑り軸受1aよりも前方(図中左側)の部分には、リップシール7bが設けられており、ハウジング内の冷媒ガスの貫通孔7aを介した外部への漏洩を防止している。ここで、ラジアル滑り軸受1aは、寸法精度に優れ、駆動軸11の周面とのクリアランスが回転支持のために必要な最小限のものとなるようにこれに沿った形状に設定され、かつ、ラジアル滑り軸受1aの外周面と貫通孔7aの内周面とは可能な限り隙間なく密着した状態となるように設定されている。このため、貫通孔7a内におけるラジアル滑り軸受1aとリップシール7bとの間の空間の圧力を、クランク室10の圧力よりも低く維持することが容易になる。この構成により、ハウジング内の冷媒ガスの貫通孔7aを介した外部への漏洩を防止するためのリップシール7bの負担が軽くなる。
さらに、この第1の実施形態では、ラジアル滑り軸受1aおよび1bは、ハウジング内の冷媒経路には含まれないクランク室10に配設されている。これらラジアル滑り軸受1aおよび1bによれば、比較的冷媒ガスの循環量が少なく該冷媒ガスに混在するミスト状の潤滑オイルによる潤滑効果の低いクランク室10においても、樹脂層の摺動面によってラジアル滑り軸受1aおよび1bと駆動軸11との摺接部分の摩耗を抑止できる。この結果、圧縮機の寿命を延長できる。よって、この実施形態の圧縮機にラジアル滑り軸受1aおよび1bを採用することは特に有用である。
本発明の圧縮機用滑り軸受を用いた圧縮機の第2の実施形態を図4に基づいて説明する。この第2の実施形態は、図1に示す第1の実施形態における圧縮機の構成を、スラスト転がり軸受18aに代えて、本発明の圧縮機用滑り軸受であるスラスト滑り軸受21を用いた構成に変更したものである。その他の構成は、第1の実施形態と同一である。
図4に示すように、フロントハウジング7とラグプレート12との間には、スラスト滑り軸受21が配設されている。スラスト滑り軸受21はラグプレート12に固着され、フロントハウジング7に固定された鉄製のリング状のプレート25と摺接している。スラスト滑り軸受とプレート25との摺接により、回転部材の前方(図中左側)へのスラスト移動が規制される。
図5に基づいてスラスト滑り軸受21を説明する。図5は、本発明の圧縮機用滑り軸受であるスラスト滑り軸受の斜視図および断面図である。スラスト滑り軸受21は、鋼板などの金属製基材22の片側表面に焼結金属などの多孔質層23を形成し、この多孔質層23中に樹脂組成を含浸被覆して含浸被覆層(樹脂層)24を形成している。すなわち、このスラスト滑り軸受は、(1)金属製基材22、(2)多孔質層23、(3)含浸被覆層24(樹脂層)とからなる三層構造体とされている。この含浸被覆層24を形成する樹脂組成物は、上記した第1の実施形態と同じであり、摺動面の構造も図3に示すものと同様である。
この第2の実施形態では、スラスト方向であって圧縮機構において発生する圧縮反力をラグプレート12を介して受ける側において回転部材を支持する軸受として、スラスト滑り軸受21を採用している。この形態では、転がり軸受を採用した場合に比較してコストダウンすることが可能になる。また、このスラスト滑り軸受は、第1の実施形態のラジアル滑り軸受と同様に、冷媒経路には含まれない潤滑効果の低いクランク室10に配設されながら、樹脂層の摺動面によってスラスト滑り軸受21とプレート25との摺接部分の摩耗を抑止できる。この結果、圧縮機の寿命を延長できる。よって、この実施形態の圧縮機にスラスト滑り軸受21を採用することは特に有用である。
また、この実施形態において、さらにスラスト転がり軸受18bに代えて、本発明の圧縮機用滑り軸受であるスラスト滑り軸受を採用してもよい。
本発明の圧縮機用滑り軸受を用いた圧縮機の第3の実施形態として、図6に車両空調装置(カーエアコン)を構成する両頭型ピストン式圧縮機の例を説明する。この態様の圧縮機5’は、一対のシリンダブロック33、フロントハウジング34、およびリヤハウジング35によりハウジングが構成されている。また、駆動軸32と、クランク室37内において該駆動軸32に固定された斜板36とにより、回転部材が構成されている。複数のシリンダボア33aは、駆動軸32と平行に延びるように、各シリンダブロック33の両端部間に同一円周上で所定間隔おきに形成されている。両頭型のピストン39は、各シリンダボア33a内に往復動可能に嵌挿支持され、それらの両端面と対応する両弁形成体40との間において圧縮室が形成されている。また、シュー38および斜板36によってクランク機構が構成され、該クランク機構、シリンダブロック33(シリンダボア33a)、ピストン39、および駆動軸32によって圧縮機構が構成されている。
駆動軸32は、シリンダブロック33およびフロントハウジング34の中央に、一対のラジアル滑り軸受31aおよび31bを介して回転可能に支持されており、動力伝達機構を介して車両エンジン等の外部駆動源に作動連結されている。ラジアル滑り軸受31aおよび31bは、シリンダブロック33の内部に形成されたクランク室37に連通するようにシリンダブロック33の中央に形成された収容孔33bに挿入されている。このラジアル滑り軸受31aおよび31bが本発明の圧縮機用滑り軸受である。具体的な構成は、径方向および軸方向の寸法等を除いて第1の実施形態の場合と同様であり、同様の製法によって製造される。また、一対のスラスト転がり軸受44は、斜板36の支持円筒部の前後方向の両端面とこれらに対向する各シリンダブロック33の中央部との間に設けられ、該スラスト転がり軸受44を介して斜板36が両シリンダブロック33間に挟まれた状態で保持されている。
駆動軸の挿通孔34aと、シリンダブロック33に形成された収容孔33bとは、弁形成体40(図中左側)に形成された貫通孔を介して連通した状態となっている。挿通孔34aには、リップシール34bが設けられており、ハウジング内の冷媒ガスの挿通孔34aを介した外部への漏洩を防止している。ここで、ラジアル滑り軸受31aは、寸法精度に優れ、駆動軸32の周面とのクリアランスが回転支持のために必要な最小限のものとなるようにこれに沿った形状に設定され、かつ、ラジアル滑り軸受31aの外周面と収容孔33bの内周面とは可能な限り隙間なく密着した状態となるように設定されている。このため、挿通孔34a内におけるリップシール34bとラジアル滑り軸受31aとの間の空間の圧力を、クランク室37の圧力よりも低く維持することが容易になる。この構成により、ハウジング内の冷媒ガスの挿通孔34aを介した外部への漏洩を防止するためのリップシール34bの負担が軽くなる。
この実施形態では、クランク室37、ボルト挿通孔43、吸入室41、圧縮室、および吐出室42などによって、ハウジング内の冷媒経路が構成される。このハウジング内の冷媒経路内の各部位は、該経路内を流通する冷媒ガスに混在するミスト状の潤滑オイルなどにより潤滑される。このため、冷媒経路を構成するクランク室37(詳細には収容孔33b)に配設されたラジアル滑り軸受31aおよび31bと駆動軸32との摺接部分には、上記潤滑オイルによる潤滑作用が大きく働く。これにより、駆動軸32と滑り軸受31aおよび31bとの摺接部分は、良好に潤滑され、圧縮機の寿命を延長できる。
また、この実施形態において、さらにスラスト転がり軸受44に代えて、本発明の圧縮機用滑り軸受であるスラスト滑り軸受を採用してもよい。
本発明の圧縮機用滑り軸受を用いた圧縮機の第4の実施形態として、図7に車両空調装置(カーエアコン)を構成するスクロール式圧縮機の例を説明する。この態様の圧縮機5''は、固定スクロール51と、センターハウジング52と、モータハウジング53によってハウジングが構成されている。センターハウジング52およびモータハウジング53には、回転軸である鉄製のシャフト54がラジアル滑り軸受55および56を介して回転可能に支持されている。また、シャフト54には偏心軸54aが一体に形成され、これにバランスウエイト57が支持されている。シャフト54およびバランスウエイト57によって回転部材が構成されている。
偏心軸54aは、可動スクロール58が固定スクロール51と対向するように、ラジアル滑り軸受59およびブッシュ60を介して相対回転可能に支持されている。ラジアル滑り軸受59は、可動基板58aに突設されたボス部58c内に嵌合された略円筒状のブッシュ60内に嵌合されて収容されている。ラジアル滑り軸受59の内周面が、偏心軸54aの外周面との摺接面となる。可動スクロール58の可動基板58aには可動渦巻壁58bが形成され、固定スクロール51の固定基板51aには可動渦巻壁58bと噛合う固定渦巻壁51bが形成されている。固定基板51a、固定渦巻壁51b、可動基板58a、および可動渦巻壁58bにより区画される領域が、可動スクロール58の回転に応じて容積減少する密閉室61となる。固定スクロール51、可動スクロール58、センターハウジング52、ブッシュ60、ラジアル滑り軸受55、59、シャフト54、バランスウエイト57などによって、スクロール式圧縮機構が構成されている。
モータハウジング53の内周面には固定子であるステータ62が固定されており、シャフト54の外周面にはステータ62と相対する位置に回転子であるロータ63が固定されている。ステータ62およびロータ63は電動式モータを構成し、ステータ62への通電によりロータ63およびシャフト54が一体回転する。また、センターハウジング52には、隔壁部52aが設けられており、ラジアル滑り軸受55は、該隔壁部52aの中央に形成された貫通孔52bに嵌入されている。ラジアル滑り軸受55の内周面が、シャフト54の外周面との摺接面となる。
シャフト54には、その内部に吐出室64とモータ室65とを連通する流体通路54bと、モータ室65とモータハウジング53の外部とを連通する流体通路54cとが形成されている。可動スクロール58の公転に伴ない、固定スクロール51の入口から密閉室61に流入した冷媒ガスは、吐出ポート58d、吐出室64、流体通路54b、モータ室65、流体通路54cを通って、モータハウジング53の壁部に設けられた出口53aを介して外部に流出する。このため、吐出室64、流体通路54b、モータ室65、および流体通路54cは、吐出圧にほぼ等しい圧力値を有した高圧領域となる。一方、リング状のシール部材66を挟んで外側は吸入圧に近い圧力値を有した低圧室67となる。
ラジアル滑り軸受55、56、および59が、本発明の圧縮機用滑り軸受である。具体的な構成は、径方向および軸方向の寸法等を除いて第1の実施形態の場合と同様であり、同様の製法によって製造される。
ラジアル滑り軸受55および59は、それぞれ貫通孔52b、ブッシュ60に挿入されるとともにシャフト54(軸受59は具体的には偏心軸54a)が挿入された状態では、シャフト54の周面とのクリアランスが回転支持のために必要な最小限のものとなるようにこれに沿った形状に設定されている。なお、ラジアル滑り軸受55の外周面と貫通孔52bの内周面とは、ラジアル滑り軸受59の外周面とブッシュ60の内周面とは、それぞれ、可能な限り隙間なく密着した状態となるように設定されている。
ボス部58cの外周側と隔壁部52aの内周側とで囲まれた空間68とモータ室65との、貫通孔52bとシャフト54との隙間を介した連通は、ラジアル滑り軸受55によってほぼ遮断されている。また、吐出室64と空間68との、ブッシュ60と偏心軸54aとの隙間を介した連通は、ラジアル滑り軸受59によってほぼ遮断されている。すなわち、ラジアル滑り軸受55および59は、ハウジングの内部空間を圧力的に隔絶するように設けられている。
空間68は、調整弁による調圧やラジアル滑り軸受55および59と、シャフト54との僅かな隙間を介した高圧領域(モータ室65や吐出室64)からの冷媒ガスの漏洩により、該高圧領域よりも低圧であるとともに低圧室67よりも高圧な中間圧状態に維持される。可動スクロール58の背面に高圧領域よりも圧力が低い領域(空間68)が設けられることにより、可動スクロール58の背面に加わる圧力によって可動スクロール58に生じる固定スクロール51側への荷重は軽減される。そのため、可動スクロール58のスムーズな公転が得られるとともに、可動スクロール58の機械的損失が低減される。
ラジアル滑り軸受55および59は、上述のとおり耐摩耗性などに優れるため、シャフト54との摺接部分の摩耗が低減でき、この摩耗により両者間の隙間が広がることによる圧力隔絶効果の低下を抑止できる。このように、ラジアル滑り軸受55および59は、シャフト54との間で良好なシール性を発揮でき、さらにその効果を高く維持することが容易である。このため、特段にシール部材を設けることなく、吐出室64と空間68とを、モータ室65と空間68とを効果的に圧力的に隔絶することが可能になる。
以上、第1〜第4の実施形態について説明したが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
各実施例および各比較例に用いた樹脂組成物の配合材料を以下に示す。
(1)PTFE樹脂[PTFE]:三井・デュポンフロロケミカル社製;テフロン(登録商標)31JR
(2)PFA樹脂[PFA]:三井・デュポンフロロケミカル社製;テフロンMJ−102(融点310℃,平均粒径20μm)
(3)粒状黒鉛[GRP−1]:日本黒鉛社製;CGB20(平均粒径20μm)
(4)球状黒鉛[GRP−2]:エア・ウォーター・ベルパール社製;ベルパールC2000(平均粒径15μm)
(5)全芳香族ポリエステル樹脂[OBP]:住友化学工業社製;スミカスーパーE101S(平均粒径15μm)
(6)PPS樹脂[PPS]:東ソー社製;B160(融点288℃,平均粒径70μm)
(7)炭素繊維[CF]:東レ社製;トレカMLD30
(8)二硫化モリブデン粉末[MoS]:ダウコーニング社製;モリコートZパウダー(平均粒径4.3μm)
(9)硫酸カルシウム粉末[CaSO]:ノリタケカンパニーリミテド社製;D−101A(平均粒径24μm)
実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例4
両面に銅メッキの付けられたSPCC鋼板(日新製鋼社製;カッパータイト)の片方の表面に青銅粉末(#100メッシュパス、#200メッシュオン)を散布し、加熱・加圧することにより鋼板上に均一な層厚の多孔質層(焼結金属層)を形成した。この多孔質層の上に、表1に示す配合割合で調整したPTFE樹脂組成物のディスパージョンを塗布し、乾燥炉中で溶媒を蒸発させ、加熱・加圧により固形成分を多孔質層に含浸被覆した。
このようにして得られた厚み1mmの三層構造の板を、94.3mm×20mmにカットし、円筒状に丸め加工することで内径30mm、外形32mm、高さ20mmの試験用ラジアル軸受を作製した。
<耐焼き付き性試験>
得られた試験用ラジアル軸受を用い、油中ラジアル型試験機により耐焼付き性試験を実施した。表2の油供給条件で30分慣らし運転後、油供給を停止・油排出し焼付くまでの時間を測定した。焼付き時間は、滑り軸受の外径部温度が20℃上昇またはトルクが2倍に上昇するまでの時間(分)とし、表3に示した。
<耐摩耗試験>
耐焼付き性試験と同じ試験用ラジアル軸受について、油中ラジアル型試験機を用い、表2の油供給条件で30時間運転時の摩擦係数と30時間運転後の摩耗量(μm)を測定し表3に示した。
Figure 2018159310
Figure 2018159310
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本発明の実施例1〜実施例4のラジアル滑り軸受は、表3に示す試験結果のとおり、優れた耐焼付き性と耐摩耗性を有していた。一方、各比較例の場合、摩耗量が実施例の2倍以上であり、各実施例より耐摩耗性が劣ることが明らかである。耐摩耗性が劣るために、多孔質層の露出率が高くなり、動摩擦係数の上昇につながる。
本発明の圧縮機用滑り軸受は、耐摩耗性、低摩擦特性、相手材への耐攻撃性に優れ、かつ、基材とすべり層との密着性にも優れるので、ルームエアコン用やカーエアコン用の圧縮機(コンプレッサ)において、その圧縮機構を駆動するための回転部材を回転可能に支持する滑り軸受として好適に利用できる。
1、1a、1b ラジアル滑り軸受(圧縮機用滑り軸受)
2、22 金属製基材
3、23 多孔質層
4、24 含浸被覆層(樹脂層)
5、5’、5'' 圧縮機
6 シリンダブロック
7 フロントハウジング
8 弁形成体
9 リヤハウジング
10 クランク室
11 駆動軸
12 ラグプレート
13 斜板
14 ヒンジ機構
15 シリンダボア
16 ピストン
17 シュー
18a、18b スラスト転がり軸受
19 吸入室
20 吐出室
21 スラスト滑り軸受(圧縮機用滑り軸受)
25 プレート
31a、31b ラジアル滑り軸受(圧縮機用滑り軸受)
32 駆動軸
33 シリンダブロック
33a シリンダボア
33b 収容孔
34 フロントハウジング
34a 挿通孔
34b リップシール
35 リヤハウジング
36 斜板
37 クランク室
38 シュー
39 ピストン
40 弁形成体
41 吸入室
42 吐出室
43 ボルト挿通孔
44 スラスト転がり軸受
51 固定スクロール
51a 固定基板
51b 固定渦巻壁
52 センターハウジング
52a 隔壁部
52b 貫通孔
53 モータハウジング
53a 出口
54 シャフト
54a 偏心軸
54b、54c 流体通路
55、56、59 ラジアル滑り軸受(圧縮機用滑り軸受)
57 バランスウエイト
58 可動スクロール
58a 可動基板
58b 可動渦巻壁
58c ボス部
58d 吐出ポート
60 ブッシュ
61 密閉室
62 ステータ
63 ロータ
64 吐出室
65 モータ室
66 シール部材
67 低圧室
68 空間

Claims (10)

  1. 圧縮機の圧縮機構を駆動するための回転部材を回転可能に支持する圧縮機用滑り軸受であって、
    前記滑り軸受は、金属製基材と、金属製基材の一方の表面に設けられた多孔質層と、該多孔質層に対する樹脂組成物の含浸被覆層とからなり、
    前記樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂に、前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂より低融点の溶融フッ素樹脂と、粉末状充填材とを含み、繊維状充填材を含まない樹脂組成物であることを特徴とする圧縮機用滑り軸受。
  2. 前記溶融フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1記載の圧縮機用滑り軸受。
  3. 前記粉末状充填材は、粒状または球状の充填材であること特徴とする請求項1または請求項2記載の圧縮機用滑り軸受。
  4. 前記粒状または球状の充填材は、黒鉛または全芳香族ポリエステル樹脂であること特徴とする請求項3記載の圧縮機用滑り軸受。
  5. 前記樹脂組成物は、該樹脂組成物全体積に対して、前記溶融フッ素樹脂を3〜30体積%、前記粉末状充填材を5〜30体積%含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の圧縮機用滑り軸受。
  6. 前記滑り軸受は、前記回転部材をラジアル方向に支持する軸受であることを特徴とする請求項1ないし請求項5までのいずれか1項記載の圧縮機用滑り軸受。
  7. 前記滑り軸受は、前記圧縮機構のハウジング内の内部空間を圧力的に隔絶するように配設されていることを特徴とする請求項6記載の圧縮機用滑り軸受。
  8. 前記滑り軸受は、前記回転部材をスラスト方向に支持する軸受であることを特徴とする請求項1ないし請求項5までのいずれか1項記載の圧縮機用滑り軸受。
  9. 前記滑り軸受は、前記圧縮機構において発生する圧縮反力を前記回転部材を介して受ける側に配設されていることを特徴とする請求項8記載の圧縮機用滑り軸受。
  10. 圧縮機構を駆動するための回転部材を回転可能に支持する滑り軸受を備えた圧縮機であって、前記滑り軸受が、請求項1ないし請求項9までのいずれか1項記載の圧縮機用滑り軸受であることを特徴とする圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024010308A1 (ko) * 2022-07-04 2024-01-11 엘에스엠트론 주식회사 정유압변속기의 사판 지지용 베어링

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