JPWO2019189213A1 - 抗病性飼料、水生生物の生産方法、水生生物、及び抗病性付与方法 - Google Patents

抗病性飼料、水生生物の生産方法、水生生物、及び抗病性付与方法 Download PDF

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Abstract

簡便に水生生物(例えば甲殻類)の感染症を予防する手法を提供することを課題とする。ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む、水生生物養殖用抗病性飼料。前記水生生物は甲殻類であってもよく、当該抗病性飼料は、さらにポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)以外の飼料を含んでいてもよい。前記抗病性飼料を水生生物に給餌する、水生生物の生産方法及び水生生物に対する抗病性付与方法。

Description

本発明は、抗病性飼料、水生生物の生産方法、水生生物、及び抗病性付与方法に関する。
近年、魚介類のニーズが高まってきており、天然生物資源である魚類及び甲殻類等の魚介類の乱獲による個体数の減少が問題となっている。そこで、持続的な水産食料生産を実現すべく養殖技術の開発が進められている。しかしながら、養殖現場では、低コストを実現するために過密養殖を行う傾向にあり、疾病や感染症のリスクが飛躍的に増大していることから、その防除策へのニーズが高まっている。特に甲殻類の養殖においては、その傾向が強く、近年ホワイトスポット病の蔓延による養殖場の閉鎖など世界的な社会問題となっている。
疾病や感染症を予防するための代表的な方法として、抗生物質の投与が挙げられる。しかしながら、抗生物質の過剰投与は、薬剤耐性菌の出現を誘発するリスクがあり問題視されている。一方で、消費者の立場からすると、その医薬成分の残留が懸念され問題視されている。そこで、この問題を回避するために、ワクチンの開発が進められているが、その摂取の方法が経口法であれば効果が低く、注射法であれば操作が煩雑である。そのため、養殖業者にとっては、簡便な方法で疾病や感染症によるリスクを効果的に低減する方法が望まれている。
そこで、近年、免疫賦活化剤の検討が進められている。特許文献1には、有機酸を用いた生体防御能力増強剤について記載されている。しかしながら、有機酸は環境中に溶出しやすく、効果的に対象水産生物へ投与することが困難であり、持続的な効果を発揮することに課題があり、養殖現場への普及が進んでいない。
特開2007−119358号公報
したがって、本発明は、簡便に水生生物(例えば甲殻類)の感染症を予防する手法を提供することを課題とする。
本発明者らは、水生生物の感染症を予防し、生残率を向上させることができる飼料組成物について鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに、生分解性ポリエステルであるポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を水生生物(例えば甲殻類)に給餌することで飛躍的に感染症に対する抵抗力を水生生物(例えば甲殻類)に付与させられることを見出し、その結果、高い生残率で養殖を実現する方法を開発し、本課題を解決した。
すなわち、本開示は以下の抗病性飼料、水生生物の生産方法、水生生物、抗病性付与方法、抗病性付与剤、及び水生生物の養殖方法に関する。
[1]ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む、水生生物養殖用抗病性飼料。
[2]水生生物が甲殻類である、[1]に記載の抗病性飼料。
[3]さらに、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)以外の飼料を含む、[1]又は[2]に記載の抗病性飼料。
[4][1]〜[3]のいずれか1つに記載の抗病性飼料を水生生物に給餌する、水生生物の生産方法。
[5]水生生物が甲殻類である、[4]に記載の生産方法。
[6][4]に記載の方法により生産される水生生物。
[7][5]に記載の方法により生産される甲殻類。
[8][1]〜[3]のいずれか1つに記載の抗病性飼料を水生生物に給餌する、水生生物に対する抗病性付与方法。
[9]水生生物が甲殻類である、[8]に記載の抗病性付与方法。
[10]ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む、水生生物の抗病性付与剤。
[11]ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む抗病性飼料を用いる、水生生物の養殖方法。
本発明により、水生生物(例えば甲殻類)に対して抗病性を付与し、感染症を予防して生残率を向上させることができる。
実施例における感染性試験の結果を示すグラフ(横軸:経過日数(日)、縦軸:生残率(%))である。
<水生生物養殖用抗病性飼料>
本開示の水生生物養殖用抗病性飼料(単に「本開示の抗病性飼料」と称する場合がある)は、水生生物の養殖のために用いられる飼料であって、感染症に対する抵抗性(抗病性)を水生生物に対して付与可能な飼料である。本開示の抗病性飼料は、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(「P3HA」と称する場合がある)を必須成分として含むものであり、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)のみで構成されていてもよいし、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)以外の成分をさらに含むものであってもよい。
ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)は、水生生物の抗病性付与剤として利用できる。水生生物の抗病性付与剤は、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)のみで構成されていてもよいし、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)以外の成分をさらに含むものであってもよい。
[P3HA]
P3HAとは、下記一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカン酸を主要モノマーユニットとする重合体の総称である。
[−CHR−CH−CO−O−] (1)
主要モノマーユニットとは、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を構成するモノマーユニットのうち50モル%以上を占めるモノマーユニットをいう。
一般式(1)中、RはC2p+1で表されるアルキル基を示し、pは1〜15の整数を示す。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、メチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基等の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。pとしては、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましい。
3−ヒドロキシアルカン酸としては特に限定されないが、例えば、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシバレレート、3−ヒドロキシヘキサノエート、3−ヒドロキシヘプタノエート、及び3−ヒドロキシオクタノエート等が挙げられる。
また、P3HAは、単独重合体でも、2種以上のモノマーユニットを含む共重合体でも良い。P3HAが共重合体の場合には、2種類以上の3−ヒドロキシアルカン酸を共重合させたものであってもよいし、1種又は2種以上の3−ヒドロキシアルカン酸に対し、4−ヒドロキシブチレート等の4−ヒドロキシアルカン酸を共重合させたものであってもよい。
中でも、P3HAは、3−ヒドロキシブチレートをモノマーユニットとして含む重合体であることが供給の観点から好ましく、その具体例としては、ポリ−3−ヒドロキシブチレート単独重合体、並びに、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート(PHBH)ポリ−3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート(PHBV)、及びポリ−3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシブチレートなどのポリ−3−ヒドロキシブチレート共重合体が挙げられる。
P3HAは多くの微生物種によりその合成が確認されており、また、それを分解利用する微生物も自然環境下に広く存在している。このことは、P3HAは微生物が炭素源として有効利用できることを示唆されることから、P3HAは、生態系への負荷が少ないと一般的に考えられている。
本開示の抗病性飼料は、1種のみのP3HAを含むものであってもよいし、2種以上のP3HAを含むものであってもよい。
P3HAの形態としては、P3HAを生産する細胞又は微生物を含む培養液であって良く、その細胞又は微生物を乾燥して得られる乾燥菌体でも良く、また、細胞又は微生物由来の成分を取り除いたP3HAの乾燥体又は懸濁液でも良い。但し、他の飼料成分との混合の観点からP3HAの乾燥体が好ましい。
また、そのP3HAの乾燥体の大きさについても、他の飼料成分に均一に分散させる方が好ましいことから、可能な限り細かい方が好ましい。具体的には、体積平均粒径で5ミリメートル以下が好ましく、1ミリメートル以下がより好ましく、500マイクロメートル以下がさらに好ましく、300マイクロメートル以下が最も好ましい。但し、細かすぎると、餌の配合過程で微粉となり安全上好ましくないことから少なくとも2マイクロメートル以上が好ましく、5マイクロメートル以上がより好ましく、10マイクロメートル以上がさらに好ましい。
本開示の抗病性飼料の構成成分として用いるP3HAの重量平均分子量は、特に限定されないが、300万以下が好ましく、より好ましくは200万以下である。これは、本開示の抗病性飼料による抗病性付与効果はP3HAが水生生物の体内で分解することによるものと推測されることから、適度に低い分子量が望ましいと考えられるためである。一方、P3HAの取扱の観点では、分子量が低すぎると粘性の高いオリゴマー状となり、ハンドリングが困難になることからP3HAの重量平均分子量は2000以上が好ましく、より好ましくは1万以上である。
本開示の抗病性飼料におけるP3HAの含有量は、特に限定されないが、100重量%であってもよいし、100重量%未満であってもよい。例えば、本開示の抗病性飼料がP3HAとP3HA以外の飼料(「他の飼料」と称する場合がある)とを含むものである場合、当該他の飼料100重量部に対するP3HAの含有量は、20重量部以下がコストの観点から好ましく、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。一方で、十分な効果(例えば、抗病性付与効果)を発揮するためには、他の飼料100重量部に対してP3HAの含有量は、0.1重量部以上が好ましく、より好ましくは0.3重量部以上、さらに好ましくは0.5重量部以上である。
[任意成分]
本開示の抗病性飼料は、上述のようにP3HA以外の成分を含んでいてもよい。P3HA以外の成分としては、P3HA以外の飼料(他の飼料)が挙げられる。水生生物がより消化しやすい点からは、他の飼料を含むことが好ましい。ここで、飼料とは、養殖生物を飼育する際に与える食餌であり、当該技術分野において一般的に餌とされるものの他、栄養補助剤、及びサプリメント等も含む。
他の飼料としては、養殖業者や飼料メーカーなどの当業者が一般的に使用している飼料として、例えば、タンパク源として一般的な魚粉、及び大豆タンパクなどの魚粉代替タンパク等が挙げられる。魚油、DHA、EPA、及びビタミン類等も挙げられる。
本開示の抗病性飼料におけるP3HA以外の成分の含有量は、適宜調整可能である。例えば、魚油、DHA、EPA、及びビタミン類等は、一般的に使用している飼料に比べて微量成分(微量の飼料成分)として含んでよい。
本開示の抗病性飼料を用いて養殖する水生生物は、特に限定されず、甲殻類、魚類、貝類等の各種水生生物が挙げられる。甲殻類としては、例えば、クルマエビ、ブラックタイガー、及びバナメイなどのエビ類:並びにカニなどが挙げられる。魚類としては、例えば、メダカ及びイワシなどの小魚;ナマズ;マダイ;クロダイ;ヒラメ;トラフグ;ブリ;タラ;及びサーモン等が挙げられる。貝類としては、例えば、マガキ、及びムール貝等が挙げられる。中でも甲殻類がより効果的である。
本発明の抗病性飼料が付与する抗病性の対象としての感染症は、特に限定されないが、例えば甲殻類であれば、WSSV(Whitespotsyndromevirus)などの急性ウイルス血症;EMS/AHPND(AcuteHepatopancreaticNecrosisDisease:急性肝すい臓壊死病)、及びビブリオ病などの細菌感染症;並びにフサリウム症などの真菌感染症などが挙げられる。
本開示の抗病性飼料の形態は、特に限定されず、粉末状、顆粒状、ペースト状、シート状、液体状などの公知の形態から投与方法に応じて柔軟に選定することができる。
本開示の抗病性飼料によれば、水生生物(例えば甲殻類)に対して抗病性を付与し、生残率を向上させることができ、安定的な養殖生産へ寄与できる。また、消費者の観点からも安全、安心な水生生物を提供できる。
<水生生物の生産方法、及び水生生物に対する抗病性付与方法>
前記抗病性飼料を水生生物に給餌することにより、水生生物を生産することができる。即ち、本開示の水生生物の生産方法は、前記抗病性飼料を水生生物に給餌する工程を含む。
また、本開示の水生生物に対する抗病性付与方法は、前記抗病性飼料を水生生物に給餌する工程を含む。当該方法により、水生生物に対して抗病性を獲得させることができる。
このように単に給餌すればよく、簡便な操作で抗病性を付与した水生生物を生産できる。また、本開示の抗病性飼料は安価であるので、低コストで水生生物に抗病性を付与できる。
本開示の抗病性飼料を給餌することによる抗病性付与のメカニズムは明らかにはなっていないが、例えば以下のように推測される。水生生物にP3HAを含む抗病性飼料を給餌すると、それを摂取した水生生物の体内でP3HA分解菌が増殖し、P3HAが分解され、3−ヒドロキシアルカン酸が生成すると考えられる。つまり、分解菌の増殖により、他の病原菌やウイルスの増殖が抑制され、結果、水生生物に抗病性が付与されると推定される。もしくは、生成された3−ヒドロキシアルカン酸が他の病原菌やウイルスに対し増殖阻害を起こし、水生生物に抗病性が付与されると推定される。
本開示の水生生物の生産方法及び水生生物に対する抗病性付与方法(「本開示の方法」と総称する場合がある)は、上述のように前記抗病性飼料を水生生物に給餌する工程を必須の工程として含む。
当該工程における水生生物に対する前記抗病性飼料の給餌量は、特に限定されず、適宜調整可能である。
前記抗病性飼料の給餌期間も適宜調整可能であり、特に限定されないが、抗病性を効率的に付与する観点から、ある程度継続的に給餌することが好ましい。但し、連続的な給餌は必ずしも必要ではなく、例えば2日に1度、本開示の抗病性飼料を給餌し、それ以外は一般的に当業者が用いる汎用餌を給餌することでも同様に効果を発揮する。重要なのは、養殖期間中に通算で本開示の抗病性飼料をどれだけ給餌させたかであり、その期間は例えば、通算3日以上が好ましく、より好ましくは通算5日以上、さらに好ましくは通算7日以上である。ある程度継続的に給餌することで、水生生物の体内でP3HA分解菌をいっそう増殖させることができ、抗病性の付与効果がより発揮される傾向がある。
一方で、本開示の抗病性飼料の給餌のタイミングについては、水生生物が捕食可能なタイミングであれば特に限定されない。例えば甲殻類の場合、ポストラーバ幼生以降が好ましいが、稚エビの段階から給餌させても問題はなく、成体の段階から給餌させても問題はない。但し、前述の抗病性付与の推定メカニズムから考えると、給餌してから抗病性が付与されるまでにある程度のタイムラグが生じることが予想されるため、対象水生生物の抗病性を維持させ、養殖期間中の生残率を向上させ、安定的な養殖を実現させるためには、対象水産生物が本開示の抗病性飼料を捕食可能になった段階で速やかに給餌させることが好ましい。
本開示の水生生物の生産方法により、感染症(例えば、上述の感染症)に対する抵抗性(抗病性)が付与された水生生物(例えば甲殻類)が得られる。勿論、本開示の方法は成体を生産するための養殖現場でも勿論適用可能であるが、種苗生産にも好適に使用可能である。
従来、抗生物質の投与による水生生物の感染症予防法が存在し、このような抗生物質を投与した水生生物には医薬成分の残留が懸念されるのに対し、本開示の水生生物の生産方法によれば、懸念消費者への安全に配慮した水生生物が得られる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
製造例1(ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)粉体の製造)
国際公開第2010/067543の[0048]〜[0051]記載の方法にて、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)水性懸濁液を作成した。得られた水性懸濁液について、遠心分離機を用いて固形分を沈降させてこれを回収し、その後当該固形分に対して蒸留水を添加し、再懸濁を行った。この操作を蒸留水添加により得られる懸濁液のpHが6〜7となるまで繰り返し行い、固形分濃度を30重量%に調整し、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)水性懸濁液を取得した。この水性懸濁液をNiro社製のモービルマイナ型噴霧乾燥機を使用して噴霧乾燥し、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)の1種であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)の粉体を製造した。
この粉体について、マイクロトラックMT3300EXII(日機装社製)にて体積平均粒径を測定したところ、33μmであった。また、GPC−101(Shodex社製)を用い、カラム(GPC K−806L、Shodex社製)でクロロホルム(和光純薬製)を移動相として標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、87万であった。
製造例2(ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)粉体の製造)
菌株としてRalstonia eutropha KNK−005株の代わりにRalstoniaeutrophaH16株を用いたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)の粉体を製造した。
この粉体について、マイクロトラックMT3300EXII(日機装社製)にて体積平均粒径を測定したところ、30μmであった。また、GPC−101(Shodex社製)を用い、カラム(GPC K−806L、Shodex社製)でクロロホルム(和光純薬製)を移動相として標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、89万であった。
実施例1
(PHBH粉末0.1重量部含有抗病性飼料の製造)
動物性飼料72重量%、植物性飼料14重量%、穀類2重量%及びその他(魚油、ビタミンプレミックス、ミネラルプレミックス、色素など)12重量%を基本組成(以下、基本配合飼料又は基本飼料と記載)とし、当該基本配合飼料100重量部に対して製造例1で得られたPHBH粉体を0.1重量部添加して混合することにより、抗病性飼料を製造した。
(PHBH粉末0.1重量部含有抗病性飼料を用いた飼育試験)
試験は200L容水槽2槽を1試験区として実施し、ろ過海水を常時注加する掛け流し方式で飼育実験を行った。試験に用いた水生生物(甲殻類)は、種苗メーカーで生産された体重1g前後のクルマエビで、1水槽あたり30尾ずつ収容し、試験を行った。飼育は9週間行い、その間、PHBH粉末0.1重量部含有抗病性飼料を1日1回、飽食給餌となるように給餌した。その結果、増肉係数(以下、FCRと記載)は、1.4であった。なお、増肉係数(FCR)とは、飼育実験期間において給餌した飼料の重量/飼育実験期間において増加した体重をいう。
(PHBH粉末0.1重量部含有抗病性飼料を連続給餌した甲殻類を用いた感染性試験)
Vibrio penaeicidaを1Lのマリンブロース培地に接種し、28℃で16時間静置培養を行い、5.0×10cfu/mlの菌濃度を有する培養液を取得した。この培養液400mlを100L水槽中で、砂ろ過海水を使用し全量を20Lに調整し、1.0×10cfu/mlの菌濃度を有する感染水を作成した。
その後、上記飼育試験後のクルマエビをランダムに14尾ピックアップし(平均体重8.75g)、ネット(22cm×20cm×5cm)に収容した。これを常時通気25℃の条件下で、前述の感染水に浸漬させた。30分後、ネットから回収したクルマエビを新たな45L水槽に移動させ、常時通気の止水条件で飼育した。なお、飼育水の50重量%量を毎日換水し、水温を25℃に温調しながら飼育を継続した。その間、PHBH粉末0.1重量部含有抗病性飼料を一定量(上述の飼育試験と同様に飽食給餌となるように)給餌した。
感染試験後4日目の生残率(生残したエビ尾数/初期エビ尾数)を調べたところ、57.1%であり、後述の比較例1のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)無添加配合飼料試験区と比較して高い生残率を示した。感染性試験の結果は表1及び図1に示す。感染試験後の経過日数は、上記飼育試験後のクルマエビを感染水に浸漬させた日を1日目とした。
なお、実験終了後の各個体からリンパ様器官または心臓を無菌的に採取し、マリンアガー培地またはTCBS寒天培地へ釣菌し、28℃で24時間培養した。培養後、分離された細菌を抗Vibrio penaeicida血清を用いたスライド凝集反応により簡易同定した結果、へい死個体から全てVibrio penaeicidaが検出されたのに対し、生残個体からは検出されなかった。
実施例2
(PHBH粉末1重量部含有抗病性飼料の製造)
基本配合飼料100重量部に対するPHBH粉体の配合量を1重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、抗病性飼料を製造した。
(PHBH粉末1重量部含有抗病性飼料を用いた飼育試験)
さらに、飼料として当該抗病性飼料を用いたこと以外は実施例と同様にして、飼育試験を実施した。その結果、FCRは、1.6であった。
(PHBH粉末1重量部含有抗病性飼料を連続給餌した甲殻類を用いた感染性試験)
上記飼育試験後のクルマエビをランダムに14尾ピックアップし(平均体重8.65g)、実施例1と同様の方法で感染性試験を行った。その結果、感染試験後4日目の生残率(生残したエビ尾数/初期エビ尾数)を調べたところ、57.1%であり、後述の比較例1のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)無添加配合飼料試験区と比較し高い生残率を示した。感染性試験の結果は表1及び図1に示す。
なお、実施例1と同様の方法で簡易同定した結果、へい死個体から全てVibrio penaeicidaが検出されたのに対し、生残個体からは検出されなかった。
実施例3
(PHBH粉末5重量部含有抗病性飼料の製造)
基本配合飼料100重量部に対するPHBH粉体の配合量を5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、抗病性飼料を製造した。
(PHBH粉末5重量部含有抗病性飼料を用いた飼育試験)
さらに、飼料として当該抗病性飼料を用いたこと以外は実施例と同様にして、飼育試験を実施した。その結果、FCRは、1.6であった。
(PHBH粉末5重量部含有抗病性飼料を連続給餌した甲殻類を用いた感染性試験)
上記飼育試験後のクルマエビをランダムに14尾ピックアップし(平均体重8.71g)、実施例1と同様の方法で感染性試験を行った。その結果、感染試験後4日目の生残率(生残したエビ尾数/初期エビ尾数)を調べたところ、57.1%であり、後述の比較例1のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)無添加配合飼料試験区と比較し高い生残率を示した。感染性試験の結果は表1及び図1に示す。
なお、実施例1と同様の方法で簡易同定した結果、へい死個体から全てVibrio penaeicidaが検出されたのに対し、生残個体からは検出されなかった。
実施例4
(PHB粉末5重量部含有抗病性飼料の製造)
基本配合飼料100重量部に対して、PHBH粉体の代わりにPHB粉体5重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、抗病性飼料を製造した。
(PHB粉末5重量部含有抗病性飼料を用いた飼育試験)
さらに、飼料として当該抗病性飼料を用いたこと以外は実施例と同様にして、飼育試験を実施した。その結果、FCRは、1.5であった。
(PHB粉末5重量部含有抗病性飼料を連続給餌した甲殻類を用いた感染性試験)
上記飼育試験後のクルマエビをランダムに14尾ピックアップし(平均体重8.48g)、実施例1と同様の方法で感染性試験を行った。その結果、感染試験後4日目の生残率(生残したエビ尾数/初期エビ尾数)を調べたところ、71.4%であり、後述の比較例1のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)無添加配合飼料試験区と比較し高い生残率を示した。感染性試験の結果は表1及び図1に示す。
なお、実施例1と同様の方法で簡易同定した結果、へい死個体から全てVibrio penaeicidaが検出されたのに対し、生残個体からは検出されなかった。
比較例1
(ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)無添加飼育試験)
飼料として実施例1に記載の基本配合飼料を用いたこと以外は実施例1と同様にして給餌試験を行った。その結果、FCRは、1.5であった。
(ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)無添加配合飼料を連続給餌した甲殻類を用いた感染性試験)
上記で得られた飼育試験((ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)無添加飼育試験))後のクルマエビをランダムに14尾ピックアップし(平均体重8.77g)、実施例1と同様の方法で感染性試験を行った。その結果、感染試験後4日目の生残率(生残したエビ尾数/初期エビ尾数)を調べたところ、21.4%であった。感染性試験の結果は表1及び図1に示す。
なお、実施例1と同様の方法で簡易同定した結果、へい死個体から全てVibrio penaeicidaが検出されたのに対し、生残個体からは検出されなかった。
Figure 2019189213

Claims (11)

  1. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む、水生生物養殖用抗病性飼料。
  2. 前記水生生物が甲殻類である、請求項1に記載の抗病性飼料。
  3. さらに、前記ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)以外の飼料を含む、請求項1又は2に記載の抗病性飼料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗病性飼料を水生生物に給餌する、水生生物の生産方法。
  5. 前記水生生物が甲殻類である、請求項4に記載の生産方法。
  6. 請求項4に記載の方法により生産される、水生生物。
  7. 請求項5に記載の方法により生産される、甲殻類。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗病性飼料を水生生物に給餌する、水生生物に対する抗病性付与方法。
  9. 前記水生生物が甲殻類である、請求項8に記載の抗病性付与方法。
  10. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む、水生生物の抗病性付与剤。
  11. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む抗病性飼料を用いる、水生生物の養殖方法。
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