JP2014097940A - 免疫賦活剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、免疫機構のうち主に自然免疫に関与するナチュラルキラー細胞を選択的に活性化し、マクロファージは有意に活性化しない免疫賦活剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る免疫賦活剤は、パラクロレラ・バイノス(Parachlorella sp.binos)自体を有効成分として含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、選択性が高く安全性に優れた免疫賦活剤、並びに、当該免疫賦活剤を含む食品、医薬組成物および飼料に関するものである。
免疫は脊椎動物が備える防御機構であり、自己と非自己を認識して非自己を排除する機構をいい、自然免疫と獲得免疫に分けられる。
即ち、病原微生物やウィルスなどの異物が生体内に侵入すると、先ず好中球などの顆粒球やマクロファージが攻撃し、さらにNK細胞がこれらに感染した細胞を破壊し、マクロファージが感染細胞を貪食する。これを自然免疫という。
獲得免疫においては、抗原を摂取したマクロファージが生体内情報伝達物質であるサイトカインを放出し、T細胞を活性化する。また、マクロファージによる抗原提示のシグナルがヘルパーT細胞に伝達され、このT細胞は、マクロファージによって提示された抗原と結合することにより活性化される。活性化されたヘルパーT細胞は、サイトカインを産生してマクロファージを活性化すると共に、提示された抗原を認識するB細胞を活性化する。活性化したB細胞は増殖し、抗原に対する抗体を産生して放出する。かかる抗体は抗原を不活性化し、且つ、抗体が特異的に結合した抗原はマクロファージの攻撃に曝され易くなる。かかる抗原の情報はT細胞やB細胞に記憶され、同じ抗体が再侵入してきた場合に備えられる。
しかし、加齢、化学物質や運動不足、正しくない食生活、ストレスなどにより免疫力が低下することがある。例えば、40歳代の免疫力はピーク時である20歳代の約半分といわれており、がんの罹患者が急激に増加する時期と一致する。
そこで、低下した免疫を改善したり免疫力を向上するための薬剤、いわゆる免疫賦活剤が種々開発されている。例えば特許文献1には、褐藻の一種であるアスコフィラムノドサムから抽出された硫酸化多糖であるアスコフィランを有効成分として含む免疫賦活物質が記載されている。特許文献1には、アスコフィランがマウス由来のマクロファージ細胞を活性化し、そのG−CSF産生やTNF−α産生を誘導することを証明する実験データが開示されている。
ところが、マクロファージは上記のとおり免疫機構で重要な役割を担う一方で、活性化されたマクロファージから産生されたNO、PGE2、TNF−αなどの炎症性サイトカインが慢性炎症による組織障害を引き起こし、動脈硬化、リウマチ、がんなどの生活習慣病を引き起こすことが明らかにされている(非特許文献1)。よって、マクロファージの活性化には注意が必要である。
ところで、アルギン酸産生能を有する新規な微細藻類として、パラクロレラ・バイノス(Parachlorella sp.binos)が見出されている(特許文献2)。また、本発明者らは、アルギン酸オリゴマーが免疫賦活作用を有することを見出している(特許文献3〜4)。
特開2008−120707号公報 国際公開第2010/024367号パンフレット 特開2005−145885号公報 国際公開第2007/069468号パンフレット
細田明美ら,東京医療保健大学紀要,第5巻,第1号,第7〜13頁(2011年)
上述したように、免疫力を高めることは非常に重要であり、様々な免疫賦活剤が開発されている。しかし、アスコフィランやアルギン酸オリゴマーは、マクロファージ活性化作用を示す。マクロファージの活性化は生活習慣病などをかえって促進するおそれがあり得るので、免疫力の向上に寄与しつつも、マクロファージは積極的に活性化しない薬剤が求められている。
そこで本発明は、免疫機構のうち主に自然免疫に関与するナチュラルキラー細胞を選択的に活性化し、マクロファージは有意に活性化しない免疫賦活剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、パラクロレラ・バイノス(Parachlorella sp.binos)自体が、マクロファージを実質的に活性化しない一方で、ナチュラルキラー細胞を選択的に活性化できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を具体的に記載する。
[1]パラクロレラ・バイノス(Parachlorella sp.binos)自体を有効成分として含むことを特徴とする免疫賦活剤。
[2]ナチュラルキラー細胞に対する選択的な賦活作用を有する上記[1]に記載の免疫賦活剤。マクロファージを活性化せず、ナチュラルキラー細胞を選択的に賦活化する本発明の効果は、従来の免疫賦活剤にはない優れたものである。
[3]さらに、パラクロレラ・バイノスの分泌物を含むものである上記[1]または[2]に記載の免疫賦活剤。かかる免疫賦活剤の優れた選択的免疫賦活作用は、実験的に証明されている。
[4]乾燥体である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の免疫賦活剤。かかる免疫賦活剤は、取扱いが容易であり利便性が高い。
[5]パラクロレラ・バイノスがFERM BP−10969株である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の免疫賦活剤。当該株の優れた選択的免疫賦活作用は、本発明者らによる実験的知見により証明されている。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする食品。本発明に係る免疫賦活剤は比較的安全なものであることから、食品に添加することもできる。
[7]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする医薬組成物。本発明に係る免疫賦活剤は比較的安全なものであることから、医薬としても、例えば恒常的な摂取も可能であり、疾患や症状の治療のみならず、それらの予防にも有用である。
[8]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする飼料。
[9]養殖魚介類のためのものである上記[8]に記載の飼料。本発明に係る免疫賦活剤は比較的安全なものであることから、特に、狭い空間内において高密度に育成され、病気の発生し易い養殖魚類や養殖エビ類の飼料に配合して用いることが有効である。
本発明に係る免疫賦活剤は、マクロファージを有意に活性化することなく、免疫機構のうち主に自然免疫に関与するナチュラルキラー細胞を選択的に活性化する。よって、活性化されたマクロファージから産生される炎症性サイトカインなどを原因とする生活習慣病などの疾患を抑制しつつ、免疫力を向上することができる。その上、本発明に係る免疫賦活剤は、合成化合物ではなく、微細藻類自体を有効成分とするものであるため、より安全である。
図1は、本発明に係る微細藻類であるFERM BP−10969株、クロレラ、または免疫賦活作用を有する硫酸化多糖であるアスコフィランを投与したマウスから得られた脾臓細胞と、マウスリンパ腫細胞であるYAC−1細胞を共培養した場合における、YAC−1細胞に対する細胞傷害性の経時的変化を比較するためのグラフである。 図2は、本発明に係る微細藻類であるFERM BP−10969株、クロレラ、または免疫賦活作用を有する硫酸化多糖であるアスコフィランを投与したマウスから得られた脾臓細胞と、マウスリンパ腫細胞であるYAC−1細胞を共培養した場合における、YAC−1細胞に対する細胞傷害性を比較するためのグラフである。 図3は、本発明に係る微細藻類であるFERM BP−10969株とクロレラのマクロファージ細胞に対する細胞傷害性を試験した結果を示すグラフである。 図4は、本発明に係る微細藻類であるFERM BP−10969株とクロレラの、NO産生を指標としたマクロファージ細胞活性化作用を比較するためのグラフである。 図5は、本発明に係る微細藻類であるFERM BP−10969株とクロレラの、TNFα産生を指標としたマクロファージ細胞活性化作用を比較するためのグラフである。
本発明に係る免疫賦活剤は、パラクロレラ・バイノス(Parachlorella sp.binos)自体を有効成分として含むことを特徴とする。
パラクロレラ・バイノスは、トレボキシア藻綱(Trebouxiophyceae)と緑藻綱(Chlorophyceae)とにまたがるクロレラ属のうち、トレボキシア藻綱に属するものであるが、18S rDNAおよび16S rDNAを用いた分子系統学的解析によれば他のクロレラとは別のグループを形成するものである。
一般的に、パラクロレラ・バイノスは、野外で採取した淡水サンプルから、一般的な培地を使った継代培養によりコロニーを分離し、最終的に分子系統学的解析により属種を特定することにより得ることができる。
パラクロレラ・バイノスは、淡水培地やLB培地などの一般的な培地中、好気条件、嫌気条件のいずれでも生育可能であるが、室温〜30℃、明条件、好気条件で特によく増殖する。
パラクロレラ・バイノスのうち、特に好適なFERM BP−10969株は、下記の通り寄託機関に寄託されている。
(i) 寄託機関の名称およびあて名
名称: 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
あて名: 日本国 茨城県つくば市1丁目1番地1 中央第6
(ii) 受託日: 2008年2月28日
(iii) 受託番号: FERM P−21513
(iv) 国際受託番号: FERM BP−10969
(v) 国内寄託から国際寄託への移管日: 2008年5月23日
本発明に係るFERM BP−10969株の形態的特徴などは、以下のとおりである。
Figure 2014097940
後記の実施例のとおり、パラクロレラ・バイノス藻類は、ナチュラルキラー細胞に対して非常に優れた選択的賦活化作用を有する。よって、パラクロレラ・バイノス以外のパラクロレラ藻類も、ナチュラルキラー細胞に対して、パラクロレラ・バイノス藻類と同様の選択的賦活化作用を有する可能性がある。そのようなパラクロレラ・バイノス以外のパラクロレラ藻類としては、例えば、Parachlorella Marinichlorella、Parachlorella Dictyoshaerium、Parachlorella Mucidosphaerium、Parachlorella Closteriopsis、Parachlorella Dicloster、Parachlorella beijerinc、Parachlorella kessleri、Parachlorella Beijerinckが挙げられる。
本発明に係るパラクロレラ・バイノスには、その変異体であって、ナチュラルキラー細胞に対する選択的な賦活化作用を有するものも含むものとする。ここで「変異体」とは、人為的な選択、交雑、突然変異、遺伝子組み換えなどにより改良したパラクロレラ・バイノス藻類をいうものとする。
本発明に係る免疫賦活剤は、パラクロレラ・バイノス藻類体に加え、その分泌物を含んでいてもよい。パラクロレラ・バイノスの分泌物とは、パラクロレラ・バイノスの培養に従って細胞外へ放出される物質をいう。
当該分泌物を含む免疫賦活剤は、例えば、パラクロレラ・バイノスを培養した培養液や、その乾燥体とすることができる。或いは、パラクロレラ・バイノスを培養した培養液から藻類体を濾過や遠心分離で分離した後、液体部分を精製や部分精製し、特に活性の強いものを藻類体に加えてもよい。
本発明に係る免疫賦活剤の有効成分としてパラクロレラ・バイノス自体を用いる場合、当該藻類自体とその培養液との混合物、当該藻類の懸濁液、当該藻類の乾燥物、当該藻類のホモジェネートなどを用いることができる。
当該藻類自体は、例えば、その培養液を濾過や遠心分離することにより得ることができる。
当該藻類自体、および藻類自体とその培養液は、さらに乾燥してもよい。例えば、上記のように得られた当該藻類自体を50℃以上、200℃以下で10秒間以上、10時間以下程度乾燥すればよい。乾燥時には減圧してもよい。また、凍結乾燥してもよい。具体的な乾燥条件は、乾燥すべき藻類体や培養液の量、使用する機器などに応じて適宜調整することができる。また、菌体の乾燥物は、さらに粉砕してもよい。
当該藻類の懸濁液の溶媒としては、特に制限されないが、例えば生理食塩水などの等張液または略等張液を挙げることができる。
当該藻類のホモジェネートは、例えば、当該藻類を生理食塩水などの等張液または略等張液に懸濁した懸濁液を、ホモジェナイザーでホモジェナイズしたものを挙げることができる。
本発明に係る免疫賦活剤は、ナチュラルキラー細胞に対する選択的な活性化作用を有することから、安全性の高い免疫賦活剤の有効成分として用いることができる。
このような製剤の形態は特に制限されず、適宜選択すればよい。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、コーティング製剤などの固形製剤;溶液剤、懸濁液剤、エアゾール剤などの液剤などとすることができる。また、製剤形態に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、コーティング剤、蒸留水や生理食塩水などの溶媒、乳化剤、抗酸化剤などの安定剤、pH調整剤などを添加してもよい。
本発明に係る免疫賦活剤は、食品に配合してもよい。食品に配合することにより、ヒトの免疫力を改善もしくは増強することができる。なお、本発明において食品とは、ヒトの食餌をいうものとする。例えば、食品の材料として用いたり、食品に添加混合することが考えられる。また、いわゆる病院食に添加することも好適である。
また、本発明に係る免疫賦活剤は、免疫力を改善または増強するための医薬組成物へ配合することも考えられる。
本発明に係る免疫賦活剤は、非常に安全である。よって、食品や医薬組成物に配合し、長期にわたる継続的な摂取も可能であり、それにより、疾患や症状を治療できるのみならず、予防することも可能になる。
本発明に係る免疫賦活剤は、飼料に配合してもよい。飼料に配合することにより、免疫力を改善もしくは増強することができる。なお、本発明において飼料とは、ヒト以外の生物の食餌をいうものとする。
本発明の飼料は、養殖魚介類に用いることが好ましい。養殖魚介類には、限られた空間で成育せしめられるために病気が蔓延し易いので、飼料に抗生物質が配合される場合がある。しかし、かかる抗生物質には残留の問題がある。そこで、本発明に係る免疫賦活剤をこれらの飼料に配合すれば、魚介類の免疫力を高めて病気を予防できるのに加え、比較的安全であることから、残留による問題も少ない。
本発明において養殖魚介類とは、食品または食品材料として利用するため人工的に育成される魚介類をいい、例えば、タイ、ヒラメ、マグロ、ブリ、カンパチ、シマアジ、イサキなどの海水魚;ウナギ、イワナ、アマゴ、マスなどの淡水魚;クルマエビ、ブラックタイガー、ヴァナメイ、コウライエビ、オーストラリアタイガー、ギアナピンクなどのクルマエビ属;カキ、アワビ、ホタテ、シンジュガイ、イタヤガイ、ヒオウギガイなどの貝類を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: 本発明に係る微細藻類の培養
表2の組成を有する培地(pH6.5)を調製した。
Figure 2014097940
振盪フラスコに上記培地(100mL)を入れ、殺菌後、パラクロレラ・バイノス(Parachlorella sp. binos)FERM BP−10969株を接種した。アルミホイルで遮光した後、30℃で72時間振盪し、前培養した。前培養は、複数ロット行った。別途、表3の組成を有する培地を調製した。
Figure 2014097940
なお、Arnon’s A5溶液の組成は、表2に示すものと同一である。また、消泡剤としては、ADEKA社製のアデカノールLG109を用いた。5L容ジャーファーメンターに上記培地(2000mL)を入れ、殺菌後、上記の前培養液(200mL)を接種した。アルミホイルで遮光した後、内温30℃、通気量2L/分、撹拌数450rpm、pH6〜7で143時間培養した。pHは、30w/w%の水酸化ナトリウム水溶液と15w/w%の硫酸水溶液で調整した。また、培養開始の23時間後から、殺菌した流加用培地を培養液に流加した。流加用培地は、培養液中のグルコース濃度が20g/Lを超えないように添加速度を適宜調節し、培養終了までに合計560mLを添加した。流加用培地の組成は、表4に示すとおりである。なお、Arnon’s A5溶液の組成は、表2に示すものと同一である。
Figure 2014097940
培養終了後、当該培養液からサンプルをとって藻体乾燥物含量を測定したところ、54.3g/Lであった。
実施例2: 免疫賦活活性試験
上記実施例1で得られた培養液を、ドラムドライヤーで140℃、約1分間(ドラムとの接触時間)乾燥することにより、藻体乾物を得た。得られた藻体乾物の一部をメタノールに懸濁して粒度分布を測定したところ、d50は172.1μmであった。5週令の雄性ICRマウス(Texam,Nagasaki,Japan)に体重1kg当たり100mgの量の当該藻体乾物を0.1mlの生理食塩水に懸濁し、3日間連続して腹腔内注射した。また、比較のため、市販のクロレラ乾燥物粉末(販売者:原料屋ドットコム社,製品名:クロレラ粉末と、免疫賦活作用を有する硫酸化多糖であるアスコフィランも生理食塩水に溶解または懸濁し、同様に腹腔内注射した。さらに、コントロールとして、生理食塩水のみ腹腔内注射した。各グループ当たり、マウスを3匹用いた。4日目にマウスから脾臓を摘出した。摘出した脾臓細胞をRPMI 1640培地(100units/mLのペニシリンG、100μg/mLのストレプトマイシンおよび10%のFBSを含む)に懸濁した。同培地にて2回洗浄した後、1mL当たり5×107細胞の濃度に調整した。
一方、標的細胞として、マウスリンパ腫細胞であるYAC−1細胞を用いた。対数増殖期のYAC−1細胞を培地にて1mL当たり1.0×106細胞の濃度とした後、15μMの細胞染色用色素溶液(Calcein−AM solution,同人化学研究所製)にて37°Cで30分間標識反応を行った。遊離のcalcein−AMを遠心分離にて除去した後、37°Cにて2時間インキュベートした。細胞を遠心分離により再度洗浄後、アニオントランスポーター阻害剤(probenecid,1.25mM)を加え、標的細胞とした。
標識YAC−1細胞懸濁液(0.2mL)と脾臓細胞懸濁液(0.2mL)を混合し、5%のCO2雰囲気中、37°Cで4時間インキュベートした。脾臓細胞数と標的細胞数の比(E/T比)は50:1とした。0時間後(インキュベート開始時)、2時間後および4時間後に遠心分離にて細胞を分離し、上澄み40μLと500μLの50mM Tris−HCl(pH8.0)を混合後、蛍光高度計(Hitachi Model 650−40)を用い、蛍光強度をEx:530nm/Em:485nmにて測定した。免疫活性は、標的細胞の溶解により遊離した色素の割合(%)として、次の式で算出した。
Specific calcein release=[{(mean test release)−(mean spontaneous release)}/{(mean total release)−(mean spontaneous release)}]×100
なお、自発的放出は培地のみで測定した。また、100%溶解は2%Triton X−100を用いて測定した。0時間後、2時間後および4時間後における標的細胞に対する細胞傷害性を図1に、また、4時間後における標的細胞に対する細胞傷害性を比較するためのグラフを図2に示す。
図1〜図2のとおり、本発明に係る微細藻類は、脾臓細胞に含まれるナチュラルキラー細胞を活性化し、リンパ腫細胞を攻撃することが実証された。また、その免疫賦活活性は、クロレラよりも明らかに優れており、且つ、免疫賦活物質として知られているアスコフィランと同等であることが明らかとなった。
実施例3: マクロファージの活性化試験
マウスマクロファージ細胞であるRAW264.7を、30,000cells/wellの割合で96−wellプレートに付着させた。上記実施例2で得た本発明に係る微細藻類の乾燥物または市販のクロレラ乾燥物粉末(販売者:原料屋ドットコム社,製品名:クロレラ粉末)を生理食塩水に懸濁し、0〜1000μg/mLの濃度になるように各ウェルに加え、5%のCO2雰囲気中、37℃で24時間インキュベートした。次いで、コントロール(サンプル濃度が0%の場合)に対する細胞生残率をMTT法で測定した。また、上澄中のNOレベルをGriess法で測定した。なお、細胞により産生されたNOは液中で直ぐに酸化されてNO2になるので、実際には液中におけるNO2の濃度を測定した。細胞生残率を図3に、NOレベルを図4に示す。
図3のとおり、本発明微細藻類の存在下とクロレラの存在下では、高濃度のクロレラで低下が認められるものの、少なくとも低〜中程度の濃度においては、マクロファージ細胞の生残率にそれほどの違いはない。
その一方で、図4のとおり、クロレラ存在下では、高濃度で低下傾向が見られるものの、NO2濃度が濃度依存的に高まっており、クロレラがマクロファージを活性化していることが分かる。それに対して本発明微細藻類の存在下では、NO2はほとんど発生いていない。かかる結果より、本発明微細藻類は、上記実施例2の結果のとおりナチュラルキラー細胞を活性化する一方で、マクロファージ細胞は活性化しないことが明らかにされた。
実施例4: マクロファージの活性化試験
マウスマクロファージ細胞であるRAW264.7を、3.0×104cells/wellの割合で96−wellプレートに播いた後、5%のCO2雰囲気中、37℃で24時間インキュベートし、プレートに付着させた。別途、上記実施例2で得た本発明に係る微細藻類の乾燥物または市販のクロレラ乾燥物粉末(販売者:原料屋ドットコム社,製品名:クロレラ粉末)を100μg/mLの濃度になるように生理食塩水へ懸濁し、当該懸濁液100μLを各ウェルに加え、同様の条件で24時間インキュベートした。
次に、各ウェルにおけるTNF−α濃度を測定した。具体的には、ELISA用96−wellプレートに希釈サンプルを加え、さらに抗TNFαモノクローナル抗体(一次抗体)を1ウェル当たり100μL添加した。室温で24時間静置した後、洗浄用溶液で5回洗浄し、ブロッキング溶液を1ウェル当たり200μL添加した。室温で24時間静置後、さらに洗浄用溶液で5回洗浄した。上記懸濁液を加える直前(0時間)と、その後、2時間毎に各ウェルからサンプルを採取し、生理食塩水で100倍に希釈した後、1ウェル当たり100μL添加し、室温で2時間静置した。洗浄用溶液で5回洗浄し、ブロッキング溶液で希釈したHRP−抗IgG抗体(二次抗体)を1ウェル当たり100μL添加し、室温で30分間静置した。洗浄用溶液で5回洗浄後、TMBペルオキシダーゼ基質とペルオキシダーゼ基質溶液B(米国KPL社製)を1:1で混合した基質溶液を1ウェル当たり100μL添加し、室温で30分間静置した。次いで、反応停止剤として1Nリン酸水溶液を50μLずつ添加し、よく攪拌した後、マイクロプレートリーダーにより吸光度(A=450nm)を測定した。得られた測定値を検量線と比較することにより、希釈液中のTNF−αの濃度を測定した。結果を図5に示す。
図5のとおり、クロレラの存在下ではTNF−α濃度が上昇している。TNF−αは活性化されたマウスマクロファージ細胞から放出されるものであるので、クロレラによりマウスマクロファージ細胞が活性化されたことが分かる。
一方、本発明微細藻類の存在下では、TNF−αの放出はほとんど認められなかった。かかる結果より、本発明微細藻類は、上記実施例2の結果のとおりナチュラルキラー細胞を活性化する一方で、マクロファージ細胞は活性化しないことが明らかにされた。

Claims (9)

  1. パラクロレラ・バイノス(Parachlorella sp.binos)自体を有効成分として含むことを特徴とする免疫賦活剤。
  2. ナチュラルキラー細胞に対する選択的な賦活作用を有する請求項1に記載の免疫賦活剤。
  3. さらに、パラクロレラ・バイノスの分泌物を含むものである請求項1または2に記載の免疫賦活剤。
  4. 乾燥体である請求項1〜3のいずれかに記載の免疫賦活剤。
  5. パラクロレラ・バイノスがFERM BP−10969株である請求項1〜4のいずれかに記載の免疫賦活剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする食品。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする飼料。
  9. 養殖魚介類のためのものである請求項8に記載の飼料。
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