JP2008194001A - 魚類成長促進剤ならびにそれを用いた餌料組成物および養殖魚の生産方法 - Google Patents

魚類成長促進剤ならびにそれを用いた餌料組成物および養殖魚の生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 養殖時における養魚が病害に曝されることなく、安全でかつより早期に成長させることのできる魚類成長促進剤ならびにそれを用いた飼料組成物および養殖魚の生産方法を提供すること。
【解決手段】 魚類成長促進剤ならびにそれを用いた飼料組成物および養殖魚の生産方法が開示されている。本発明の魚類成長促進剤は、ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる。このような乳酸菌には、例えば、エンテロッコカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)NF−1011(微工研菌寄第12564号)を用いることができる。本発明の魚類成長促進剤は、飼料要素とともに配合して飼料組成物として使用することができ、養殖産業における養殖魚の生産効率性を高めることができるとともに、給餌組成物とした際の養魚の摂取消費量をも低減することができる。このため、養殖環境の汚染(例えば、海洋環境汚染)の抑制にも貢献し得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、魚類成長促進剤ならびにそれを用いた餌料組成物および養殖魚の生産方法に関し、より詳細には、養殖現場における養殖魚の生産または飼育効率を高めることのできる、魚類成長促進剤ならびにそれを用いた餌料組成物および養殖魚の生産方法に関する。
近年、水産資源保護などの観点より、養殖を含む栽培漁業の必要性がますます高くなってきている。養殖漁業は筏、棚、延縄、生簀、池、水槽などの施設を用いて魚介類などの水産物を管理し、人為的にその成長を図ろうとするものである。
このような魚介類の養殖においても経済性は重視すべきである。こうした経済性を高めるために、例えば、高密度な養殖および栄養強化された餌料の使用が提案されている。
餌料の栄養強化は、餌料に含まれる各種栄養要素の成分および含有量を適切にコントロールすることにより、養殖対象となる魚介類が病害に曝されることを回避し(すなわち健全に成長し)、かつより早期に成長することによって養殖工程自体の生産効率性を高めることを目的に行われる。例えば、餌料の栄養強化には、酵母または藻類等で培養を行い、次いで養魚に必須な栄養成分を二次培養によって生物餌料に取り込ませるという二段階の工程が用いられることがある。ただ、このような生物餌料の培養槽には、一次および二次で使用される各培養槽に多量の有機物が含まれているため、生物餌料以外に培養水由来のバクテリアが多量に繁殖している。その中には養魚にとって好ましくはないバクテリアも存在し、それらが生物餌料に取り込まれて養魚に悪影響を与えることがある。
これに対し、特許文献1および2は、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococuss faecium)SHO−31株のような乳酸菌を配合させた魚介類用生物餌料を用いて、上記バクテリアによる養魚への悪影響を回避することを開示している。また、特許文献3は、グリチルリチンを有効成分として養殖魚餌料に使用することにより、魚類の肝機能を強化してその免疫力を高めようとすることを開示している。
しかし、これら特許文献に記載の技術はいずれも、養魚とバクテリア等との関係から、上記養殖対象の魚介類を病害に曝される可能性を回避する観点でなされたものにすぎない。
他方、養殖対象の魚介類をより早期に成長させることにより、養殖工程自体の生産効率性を高めようとするアプローチとして、大豆粕に納豆菌、乳酸菌などの細菌類を用いて醗酵処理することにより、成長阻害因子を取り除いた養殖魚用餌料が知られている(特許文献4)。しかし、当該養魚用餌料では、使用する原料が実質大豆粕のみに限定されており、工業において必ずしも充分量の大豆粕が入手できるとは限らず、この点で工業生産性に不安が残る。
特許文献5は、魚類の成長ホルモン様物質の産生能を有する微生物で餌料生物を培養するか、または魚類の成長ホルモン様物質の産生能を有する微生物から抽出した魚類の成長ホルモン様物質をマイクロカプセル化したものを餌料生物に投与することにより、魚類の成長ホルモン様物質を餌料生物に取り込ませ、これを仔魚に投与して、養殖途中における当該幼魚の大量死の期間(いわゆるクリティカルピリオド)を早期かつ無事に通過させる技術を開示している。しかし、このような餌料生物は、仔魚の成長段階におけるごく限られた期間内で使用されるのみであり、当該技術をもって上記養殖工程自体の生産効率性が向上するともいえない。
さらに近年では、食品その他の分野において、培養物質や微生物を利用したいわゆるプロバイオティクス(probiotics)と、バクテリア等の成長および/または活性を選択的に刺激することにより宿主に有益に作用する非消化性成分を利用したいわゆるプレバイオティクス(prebiotics)との両方を含む、シンビオティクス(synbiotics)と呼ばれる製品が各種開発されている。このシンビオティクスは、上記プロバイオティクスが有する効果とプレビオティクスが有する効果との相乗を狙うものである。こうしたシンビオティクスの概念は、畜産業等への利用も報告されている(例えば、非特許文献1参照)。そのような中、当該養殖産業界への利用も期待されている。
特開平6−113750号公報 特開平6−046762号公報 特開平2−250832号公報 特開平5−268881号公報 特開平1−013928号公報 ホージック,ジェイ.ジー.エム.(Houdjl,J.G.M.)ら、アニマル・フィード・サイエンス・テクノロジー(Animal feed science technology),1998年,71号,p.35−48
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、養殖時における養魚が病害に曝されることなく、安全でかつより早期に成長させることのできる魚類成長促進剤ならびにそれを用いた餌料組成物および養殖魚の生産方法を提供することにある。
本発明は、本質的に、ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる、魚類成長促進剤である。
1つの実施態様では、上記乳酸菌はエンテロッコカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)NF−1011(微工研菌寄第12564号)である。
本発明はまた、本質的にポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる魚類成長促進剤と、少なくとも1種の餌料要素とを含有する、魚類の成長を促進させるための餌料組成物である。
本発明はさらに、本質的にポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる魚類成長促進剤を養魚に投与する工程を包含する、養殖魚の生産方法である。
1つの実施態様では、上記魚類成長促進剤は、少なくとも1種の餌料要素と一緒に混合された餌料組成物の形態で上記養魚に投与される。
本発明によれば、養魚を病害に曝すことなく、健全かつより早期に成長した養殖魚を得ることができる。本発明の魚類成長促進剤は、養魚を効率よく増加させることできる。特に当該促進剤を他の栄養要素とともに配合させた餌料組成物を使用すると、当該促進剤を含まない餌料組成物の場合よりも、より少量の給餌で養魚を成長させることができる。さらに、この成長によって得られた養殖魚のヘマトクリット値に異常が認められず、当該促進剤は養魚に対する安全性も有している。さらに、本発明の魚類成長促進剤を構成する成分は、ヒトが通常摂取し得るものであるため、仮に養殖魚の体内に残留していたとしても、これを食したヒトの健康に影響を与えることもない。
以下、本発明を詳述する。
<魚類成長促進剤>
本発明の魚類成長促進剤は、本質的に、ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる。
本発明の魚類成長促進剤は、魚類一般に対し経口摂取によって体内への取り込みが行われるものをいう。ここで、本発明おいて対象となり得る魚類の種類には、例えば、市場価値の高い魚類または熱帯魚のような観賞魚が挙げられる。これら魚類は海水魚または淡水魚のいずれのものであってもよく、より具体的な例としては、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョなどが挙げられるが特にこれらに限定されない。
本明細書中で用いられる用語「成長促進」または「成長を促進させる」とは、上記魚類の体重および/または全長その他各部位の長さ(例えば、体長、体高、頭長、躯幹長、尾部長、吻長、上顎長、眼径、眼後長、背鰭前長、腹鰭前長、背鰭基底長、臀鰭基底長、背鰭前部−臀鰭後部長、背鰭前部−肛門前部長、肛門前部−背鰭後部長、尾柄高、および尾柄長が包含される)が時間経過により増加および/または伸長することを包含していう。
本発明に用いられるポリヒドロキシ酪酸(PHB)は、β−ヒドロキシ短鎖脂肪酸に包含されるβ−ヒドロキシ酪酸の重合体である。このようなPHBは、経口摂取を経て胃や小腸で全量が分解されることなく、大腸まで届く送達物質であり、かつ従来より公知の短鎖または中鎖脂肪酸と同様の生理作用を発現し得ることが知られている。
ポリヒドロキシ酪酸は、例えば、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)の前培養物を培地に摂取・培養させることにより当業者は容易に得ることができる。このようなポリヒドロキシ酪酸の製造方法は、例えば、国際公開第JP2004/012638号パンフレットに開示されている。
本発明に用いられる乳酸菌には、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属、エンテロコッカス属またはペディオコッカス属のいずれかに属する微生物が包含される。本発明においては、エンテロコッカス属の乳酸菌を用いることが好ましい。このようなエンテロコッカス属に属する乳酸菌の例としては、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・エビウム(Enterococcus avium)、エンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans)、エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)などに属するものが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明においては、すでに市販されており入手が容易であるとの理由から、乳酸菌としてエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)に属する微生物を使用することが好ましく、エンテロッコカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)NF−1011(微工研菌寄第12564号)を使用することが特に好ましい。
本発明の魚類成長促進剤における上記ポリヒドロキシ酪酸と乳酸菌との配合量は、必ずしも限定されず、投与対象の魚類(養魚)の種類、投与時の成長段階、その他投与条件によって適宜変動され得る。ここで、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)と乳酸菌(P)との配合量の比(PHB/P)の例としては、重量基準として、0.25〜2000、好ましくは1〜1000、より好ましくは2〜500である。
本発明の魚類成長促進剤を製造するにあたり、上記ポリヒドロキシ酪酸と乳酸菌とは両者を適切な量で単に混合するだけでもよく、または後述するような餌料組成物を製造する際に、餌料要素と一緒に両者をそれぞれ混合して製造することもできる。あるいは、ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌を当業者に公知の手法でマイクロカプセル化させてもよい。
本発明の魚類成長促進剤は、上記投与対象の魚類(養魚)の給餌の際、餌料とともに投与してもよく、あるいはこれとは別のタイミングで当該養魚に与えてもよい。なお、養魚1個体に対する投与量は、必ずしも限定されず、投与対象の魚類(養魚)の種類、投与時の成長段階、その他投与条件によって適宜変動され得る。
<餌料組成物>
本発明の餌料組成物は、少なくとも1種の餌料要素とともに、上記ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌を含有する。当該餌料組成物は、上記魚類成長促進剤を構成するポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌を含有することにより、給餌した養魚の成長を通常の餌料を用いた場合よりも促進させることができる。
本発明に用いられる餌料要素は、養殖産業一般において通常に使用される養魚の生育に必要な栄養成分全般を包含し、例えば、ワムシ、アルテミア、クロレラなどの餌料生物;大豆粉、米粉などの穀粉;大豆油、魚油などの脂質分;魚粉、サナギ粉、生魚肉ミンチなどの魚介系餌料;麩;α化澱粉、コムギグルテン、カゼインナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、各種植物ガム、ダイズホエイなどの公知の粘結剤;各種のビタミン源;各種のミネラル源;各種のタンパク源;フラクトオリゴ糖、乳糖、オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などのプレビオティクス成分;などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。複数の餌料要素が用いられる場合、各要素の構成比は特に限定されず、当業者によって適宜選択され得る。
本発明の餌料組成物における上記ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌の含有量(すなわち、魚類成長促進剤の含有量)は、投与対象の魚類(養魚)の種類、投与時の成長段階、その他投与条件によって変動され得るため、必ずしも限定されないが、例えば、全体重量を基準として、好ましくは0.1重量%〜8重量%であり、より好ましくは0.5重量%〜3重量%であり、さらにより好ましくは0.8重量%〜2重量%である。
本発明において、上記ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌と餌料要素とは、当業者に周知の手段を用いてそれぞれが混合され、周知の方法により、ドライペレットなどの形態に加工され得る。
本発明の魚類成長促進剤は、上記投与対象の魚類(養魚)の給餌の際、餌料とともに投与してもよく、あるいはこれとは別のタイミングで当該養魚に与えてもよい。なお、養魚1個体に対する投与量は、必ずしも限定されず、投与対象の魚類(養魚)の種類、投与時の成長段階、その他投与条件によって適宜変動され得る。
<養殖魚の生産方法>
次に、本発明の養殖魚の生産方法について説明する。
本発明においては、養殖対象となる養魚(例えば、市場価値の高い魚類または熱帯魚のような観賞魚が挙げられ、これら魚類は海水魚または淡水魚のいずれのものであってもよく、さらに具体的な例としては、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョなどが挙げられる)に対し、上記魚類成長促進剤または餌料組成物が投与される。
本発明においては、上記養魚は、必要に応じて水温管理などがなされた、養殖漁業において通常に使用される施設・手段(例えば、筏、棚、延縄、生簀、池、水槽など)内に開放されており、当業者があらかじめ設定した時間間隔および量で上記魚類成長促進剤および/または餌料組成物が投与される。なお、養魚1個体に対する投与量は、必ずしも限定されず、投与対象の魚類(養魚)の種類、投与時の成長段階、その他投与条件によって適宜変動され得る。
このような投与工程を通じて当該養魚を飼育することにより、より早期に成長した養殖魚を生産することができる(すなわち、目的の養殖魚にまで成長させることができる)。こうして養殖魚の生産効率を高めることができ、同時に1個体の養殖魚を生産するまでに要する餌料組成物の全体使用量を低減させることもできる。その結果、水中に投与される餌料の量も減ることとから、水中に浮遊残存する餌料残渣ならびに各養魚からの排出物の全体量までもが低減し、養殖施設を含む海洋その他の水質汚染の抑制にも貢献し得る。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。しかし、これらによって本発明は限定されるものではない。
<調製例1:ミネラル源の予備調製>
NaCl(1g)、MgSO・7HO(15g)、NaHPO・2HO(25g)、KHPO(32g)、Ca(HPO・HO(20g)、FeC・nHO(2.5g)、C10Ca・5HO(1g)、MnSO・5HO(0.6g)、CuSO・5HO(0.1g)、CoCl・6HO(0.0035g)、KlO(0.0105g)およびセルロース(1.586g)を混合し、ミネラル源の予備調製物を調製した。
<調製例2:ビタミン源の予備調製>
チアミンヒロドクロリド(0.72g)、リボフラビン(1.21g)、ピリドキシンヒドロクロリド(0.48g)、シアノコバラミン(0.06g)、アスコルビン酸(60.40g)、ナイアシン(4.83g)、カルシウムパントセネート(1.21g)、イノシトール(24.15g)、ビオチン(3.62g)、葉酸(0.18g)、p−アミノ安息香酸(0.60g)、ビタミンAアセテート(0.97g)、ビタミンD(0.97)、およびビタミンK(0.60g)を混合し、ビタミン源の予備調製物を調製した。
<実施例1:飼料ペレットAの製造>
タンパク源としてのアジミール(魚粉)(60重量%)と、脂質源としての大豆油(3重量%;(有)林ケミカル製)およびタラ肝臓油(8重量%;栄研商事(株)製)、デキストリン(5重量%)、予めゼラチン化させておいたスターチ(10重量%)、調製例1で得られたミネラル源調製物(1重量%)、調製例2で得られたビタミン源調製物(3重量%)、塩化コリン(0.5重量%)、ビタミンE(0.1重量%;純度50%のDL−α−トコフェニルアセテート)、セルロース(8.15g)、乳酸菌(0.25重量%;エンテロッコカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)NF−1011(微工研菌寄第12564号)(ニチニチ製薬(株)製)、およびポリヒドロキシ酪酸(1重量%)を、ミキサー((株)愛工舎製作所製ACM−50 LAT)で機械混合し、これに蒸留水を1kgあたり約35%となるように添加し、ペレット成形機((株)平賀工作所製AFZ12M)で直径8mmのペレットに成形した。これを、凍結乾燥機(共和真空技術(株)製REL206)内で凍結乾燥して、飼料ペレットAとした。この飼料ペレットAを、さらなる使用まで−20℃にて保管した。
<比較例1:飼料ペレットB1(コントロール)の製造>
ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌を含有させることなく、かつセルロースの含有量を9.4重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして飼料組成物を得、実施例1と同様にして凍結乾燥することにより飼料ペレットB1を得た。これをコントロールとした。
<比較例2:飼料ペレットB2の製造>
ポリヒドロキシ酪酸を含有させることなく、かつセルロースの含有量を9.15重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして飼料組成物を得、実施例1と同様にして凍結乾燥することにより飼料ペレットB2を得た。
<比較例3:飼料ペレットB3の製造>
乳酸菌を含有させることなく、かつセルロースの含有量を8.40重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして飼料組成物を得、実施例1と同様にして凍結乾燥することにより飼料ペレットB3を得た。
<実施例2:養魚への給餌とその評価、各飼料ペレットの分析>
1.養殖条件
まず、ニジマス(Onocorhynchus mykiss)を、国立大学法人東京海洋大学の屋内循環式飼育システムに収容し、平均水温を13℃に保持した。初期段階の間かつ実験を開始するまで、ニジマスには市販の飼料(日本配合飼料(株)製)を与えた。
次いで、60リットルのガラス製水槽(合計8台)のそれぞれに上記ニジマス14尾ずつを入れ(平均初期体重は177.6gであった)、これを4つのグループ(A、B1、B2およびB3)に分けて当該グループ(各2台の水槽)ごとに上記実施例1および比較例1〜3で製造した飼料ペレットA、B1、B2およびB3を以下の条件で給餌することとした。
各グループへの給餌については、実施例1および比較例1〜3で製造した飼料ペレットA、B1、B2およびB3を、朝9時と夕方4時の一日あたり2回のタイミングで各グループの水槽に投与した。給餌比率を飽和レベルに設定し、この給餌を70日間行った。なお、給餌期間にわたって、各グループのニジマスの成長状態をモニターするために、各グループの水槽から2週間毎に4尾のニジマス(各グループのつき8尾のニジマス)を取り出して、体重を測定した後、各水槽に戻した。
70日間の給餌期間の経過後、各水槽から4尾のニジマス(各グループにつき8尾のニジマス)を取り出し、体重を測定し、死亡させた後乾燥させ、かつペーパーティッシュでラッピングし、窒素封入したプラスチックバッグに入れて、以下の分析操作を行うまで−28℃に保持した。
また、上記70日間の給餌期間の経過後、24時間の絶食期間をおいて、各水槽から4尾のニジマス(各グループにつき8尾のニジマス)を取り出した。300ppmの2−フェノキシエタノール(和光純薬工業(株)製)で麻酔した後、個々のニジマスの尾部静脈から血液を採取し、これを21G×11/2”(0.80×38mm)ニードル(テルモ(株)製)および2.5mlシリンジ(テルモ(株)製)を用いてヘパリンで凝血を防止した。
2.分析手順
2.1 飼料ペレットの分析
上記実施例1および比較例1〜3で製造された飼料ペレットA、B1、B2およびB3を、竹内らの方法(「フィッシュ・ニュートリション・アンド・マリカルチャー(Fish Nutrition and Mariculture)」,ジャイカ・テキストブック(JICA textbook),ザ・ジェネラル・アグリカルチャー・コース(the general agriculture course),1988年,p179−185)にしたがって水分および灰分を分析し、そしてケルダール(Kjeldahl)の方法にしたがって粗タンパク分を分析した。脂質含量を、フォルシュらの方法(フォルシュ,ジェイ.(Folch J.)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biological Chemistry),1957年,第226号、p.497−509)にしたがって抽出した後、重量測定法により測定した。各飼料ペレットについての測定結果を表1に示す。
Figure 2008194001
2.2 体重増加量(WG)、日間成長率(SGR)および増肉係数(FGR)
給餌評価を、サンプリングしたニジマスの体重増加量、毎日の飼料消費量、日間成長率(SGR)および増肉係数(FGR)に基づいて計算した。フォスター(Foster,2000年)の定義に基づき、ニジマスの成長をその大きさの変化と体重の増加をみなし、当該ニジマスの成長を、体重増加量(WG)に関する以下の式(I):
Figure 2008194001
によって表した。
また、この給餌期間における成長を、日間成長率(SGR)としてブューロー(Bureau,2000年)らによる以下の式(II):
Figure 2008194001
によって表した。
さらに、給餌効率を、ニジマスの体重増加量に対する消費された給餌ペレットの乾燥重量と定義し、増肉係数(FGR)を、フォスター(Foster,2000年)の定義に基づき、式(III):
Figure 2008194001
によって表した。
上記分析手順によって得られた結果を表2に示す。
Figure 2008194001
表2に示されるように、まず、実施例1または比較例1〜3で製造された飼料ペレットA、B1、B2またはB3が与えられたニジマスはいずれも、70日間の給餌期間を終えた段階ですべて生存しており、原則飼料として使用され得ることがわかる。また、上記平均採取体重および平均特定成長率の結果より、本発明の魚類成長促進剤(すなわち、ポリヒドロキシ酪酸と乳酸菌)を含有する本発明の飼料ペレットA1は、他の飼料ペレットB1〜B3と比較して、70日間の給餌期間の経過後、有意差をもってニジマスの成長を促進させていることがわかる。他方、この結果に伴って、増肉係数は、本発明の飼料ペレットA1が、他の比較例1〜3のペレットB1〜B3と比較して最も低くなっており、効率性に優れていることがわかる。
2.3 ヘマトクリット値の測定
採取した血液のヘマトクリット値を、ヘパリン化(heparinized)キャピラリーチューブ(長さ75mm、直径1.45mm〜1.65mm)(シブヤ社製)を用いて測定した。得られた結果を図1に示す。
図1に示されるように、本発明の給餌ペレットA1を与えたニジマスのヘマトクリット値は、他の値と比較して若干高くなっているものの、この差異は優位さとはいえず、むしろ他の給餌ペレットB1〜B3を与えた場合とほぼ同等であることがわかる。また、上記体重増加量、特定成長率、増肉係数などの結果を総合すれば、本発明の魚類成長促進剤は、養魚に対して安全でかつ飼料組成物に含有させたとしても、含有させない場合と比較して明らかに養魚の成長促進に寄与していることがわかる。
本発明によれば、養魚に対して安全でかつ早期成長が可能な魚類成長促進剤が提供される。このような魚類成長促進剤は、飼料要素とともに配合して飼料組成物として使用することができる。さらに、本発明の魚類成長促進剤は、養殖産業における養殖魚の生産効率性を高めることができるとともに、給餌組成物とした際の養魚の摂取消費量をも低減することができる。このため、養殖環境の汚染(例えば、海洋環境汚染)の抑制にも貢献し得る。
実施例1で製造した本発明の飼料ペレットA1を与えたニジマスから採取した血液のヘマトクリット値と、比較例1〜3で製造した飼料ペレットB1〜B3のいずれかを与えたニジマスから採取して血液のヘマトクリット値とを比較しかつ表すためのグラフである。

Claims (5)

  1. 本質的に、ポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる、魚類成長促進剤。
  2. 前記乳酸菌がエンテロッコカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)NF−1011(微工研菌寄第12564号)である、請求項1に記載の魚類成長促進剤。
  3. 本質的にポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる魚類成長促進剤と、少なくとも1種の餌料要素とを含有する、魚類の成長を促進させるための餌料組成物。
  4. 本質的にポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる魚類成長促進剤を養魚に投与する工程を包含する、養殖魚の生産方法。
  5. 前記魚類成長促進剤が、少なくとも1種の餌料要素と一緒に混合された餌料組成物の形態で前記養魚に投与される、請求項4に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101564829B1 (ko) 2014-02-05 2015-10-30 강릉원주대학교산학협력단 미세조류 부산물을 함유하는 어류 양식용 배합사료조성물
WO2017159461A1 (ja) * 2016-03-16 2017-09-21 株式会社カネカ 飼料組成物、動物プランクトンの製造方法、動物プランクトン、並びに動物プランクトンの成長促進剤及び生残率向上剤
CN112293605A (zh) * 2019-07-25 2021-02-02 领袖生物技术农业会社法人 具有促进鱼类的消化、免疫活性以及生长效果的ep膨化发酵配合饲料及其制造方法

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