JPH06263649A - 免疫賦活剤 - Google Patents

免疫賦活剤

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JPH06263649A
JPH06263649A JP5355242A JP35524293A JPH06263649A JP H06263649 A JPH06263649 A JP H06263649A JP 5355242 A JP5355242 A JP 5355242A JP 35524293 A JP35524293 A JP 35524293A JP H06263649 A JPH06263649 A JP H06263649A
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JP
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enzyme
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susabinori
immunopotentiator
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JP5355242A
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English (en)
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Takeshi Okada
剛 岡田
Masaya Atsumi
雅也 渥美
Takamasa Tsuchida
貴正 土田
Eiji Yamamoto
英司 山本
Nozomi Hiura
望 樋浦
Ryoichi Sato
良一 佐藤
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Maruha Corp
Original Assignee
Maruha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 紅藻の酵素分解物を有効成分として含有する
ことを特徴とする免疫賦活剤。 【効果】 安全性の高い、またその製剤化等の利用加工
が容易な低分子を有効成分とする免疫賦活剤を提供され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紅藻の酵素分解物を有
効成分とする免疫賦活剤に関する。更に詳しくは、生体
の免疫力低下に基づくと考えられている各種疾患、各種
病原微生物感染症の予防及び治療に有効な免疫増強及び
感染防御作用を有する紅藻の酵素分解物を有効成分とす
る免疫賦活剤に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、生体の免疫力低下に基づくと考え
られる各種疾患、例えば、癌、各種病原微生物感染症等
に対する免疫賦活剤は種々あるが、いずれも発熱或いは
組織障害等の重篤な副作用が多く、決定的な免疫療法が
ないのが現状である。また、個々の疾病予防を特異目的
とした食品、即ち、食品の栄養、嗜好の機能に加え、生
体調節機能を有する食品の研究が進められており、食品
業界における研究開発の重要な1分野となっている。
【0003】一方、畜水産業界においても、畜水産物の
消費量が増大している中、家畜、家禽又は養殖魚は集約
化され、大規模経営が行われ、過密飼育等によって市場
の需要に対応している。このため、過密飼育等によるス
トレスや幼若期における免疫不全による日和見感染症が
増大している。このような状況の中で近年、抗生物質の
使用が増加しており、大量の抗生物質の投与による畜水
産物への残留の問題又は耐性菌の増加等が社会的に問題
となっている。また、抗生物質等の効果がみられず、か
つ有効な治療法が見当たらないウィルス感染症等も増加
傾向にあり、このため抗生物質に代わる免疫賦活剤を使
用した予防法の開発が望まれている。
【0004】一方、このような状況のもと、従来、紅藻
から抽出等で得た成分を有効成分とする医薬組成物はい
くつか知られている。例えば、特開昭63−31673
2号の抗ウイルス剤、特開昭64−66126号の抗腫
瘍剤、特開平3−284626号の免疫賦活剤が記載さ
れている。しかしながら、紅藻を酵素で分解した分解成
分の免疫増強或いは感染防御作用については未だ知られ
ていない。また、紅藻から抽出で得られた成分は高分子
の多糖を多分に含み、粉末化或いはその免疫賦活剤とし
ての製剤化等の利用加工が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、宿主が本来
持つ生体防御能を増強する、安全性の高い、またその製
剤化等の利用加工が容易な低分子を有効成分とする免疫
賦活剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述した
目的を達成すべく、感染防御に主要な役割を果たす免疫
細胞の活性化を指標として、各種海藻由来の酵素分解物
について探索した結果、紅藻を酵素分解することにより
得られる成分が各種免疫細胞の活性化作用を有し、細菌
感染症に対して有効であり、かつ低毒性であることが判
明した。即ち、本発明の免疫賦活剤は、紅藻の酵素分解
物を有効成分として含有することを特徴とするものであ
る。
【0007】本発明で使用される紅藻の酵素分解物は紅
藻に海藻分解酵素を産生する微生物の菌体又はその処理
物を作用させることにより得られる。ここで原料として
用いる紅藻は、紅藻類のうち特に限定されないが、好ま
しくはスサビノリ、コスジノリ、オニマノリ、クロノ
リ、ウップルイノリ、マルバアサクサノリ、アサクサノ
リ、チシマクロノリ等のアマノリ属に属する紅藻が使用
される。また、紅藻を酵素処理する場合、原料である紅
藻は生のままでも乾燥したものでもよく、特にその保存
状態を限定するものではない。
【0008】また、ここで使用する微生物の菌体又はそ
の処理物としては、紅藻を分解し得るものであれば特に
制限はなく、例えば、ビブリオ属に属する微生物の菌
体、又はその破砕物、培養液、培養上清等の処理物が挙
げられ、またこれらの処理物を更に公知の方法で処理し
て精製したタンパク質分解酵素、多糖類分解酵素等を任
意に組み合わされたものを用いてもよい。
【0009】また、上記ビブリオ属に属する微生物とし
ては、例えばビブリオ・エスピー(Vibrio s
p.)No.6380が挙げられる。該微生物の菌学的
性質、即ち形態学的性質及び生理学的性質は以下に示す
とおりである。 〔菌学的性質〕 形態学的性質 1)グラム染色性 陰性 2)細胞の形状 杆菌 3)コロニーの色調 乳白色 4)運動性の有無 有り 5)鞭毛の有無 極鞭毛 6)発光の有無 無し 生理学的性質 1)O−Fテスト 醗酵型 2)オキシダーゼテスト 陽性 3)ゼラチンの分解 陽性 4)DNAの分解 陽性 5)好塩性 陽性 6)GC含量 49.4mol% ビブリオ・エスピー(Vibrio sp.)No.6
380は、工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌
寄第11948号として寄託されている。
【0010】この微生物の培養に用いられる培地の炭素
源としては、スサビノリ、寒天等が挙げられる。窒素源
としては、クエン酸アンモニウム、塩化アンモニウム等
が挙げられる。無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩
化カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二カリウム
が挙げられる。また、培地の基となる緩衝液としては、
トリス−塩酸緩衝液(pH7.8)等を使用することが
できる。更に、当該微生物の培養は、pH7.5〜8.
0の下、19〜20℃で行うのが特に好ましい。紅藻の
酵素による分解反応は、例えば、ビブリオ・エスピーN
o.6380の菌体又はその処理物を用いる場合、以下
のようにして行うことができる。
【0011】上記した紅藻に対し、例えば0.05Mリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0−7.5)を加え終
濃度10g/Lとなるようにする。また、上記菌体又は
その処理物は、通常反応液2Lに対し、培養上清1Lの
割合で用い、温度30〜40℃の範囲で、通常1時間以
上、好ましくは15〜30時間程度の条件で作用させ
る。その後、ろ過処理等、例えば分画分子量50万及び
5,000等の限外ろ過膜処理等で分解残渣を除去し
て、製剤上の便宜性等から、通常更に、例えば電気透析
による脱塩処理した後、紅藻の酵素分解物を得る。
【0012】このようにして得られる活性成分は、その
まま本発明の免疫賦活剤又はその有効成分として用いる
ことができるが、通常更に噴霧乾燥、凍結乾燥、熱風乾
燥等の方法で乾燥する。上記のごとくして得られる本発
明の免疫賦活剤は投与する対象を特に限定しない。例え
ば、個々の疾病を予防することを特異目的とする生体機
能調節機能を有する食品、即ち機能性食品として用いる
ことができる。更に、機能性飼料として家畜や養殖魚、
或いはペット等に使用することもできる。更に、医薬品
或いは動物用医薬品としても使用できる。また、投与す
る方法は経口又は非経口でもよく、経口投与には舌下投
与を包含する。非経口投与には、注射、例えば皮下、筋
肉、静脈注射、点滴の他、坐剤等を含む。また、その投
与量は動物か人間かによって、また、年齢、投与経路、
投与回数により異なり、広範囲に変えることができる。
通常1日1mg以上で好ましくは100〜2,000m
g程度である。
【0013】本発明の免疫賦活剤を経口投与する場合に
は、それに適用される錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カ
プセル剤等は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使
用される結合剤、包含剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿
潤剤のような添加物を含有する。また経口用液体製剤と
しては、内用水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等いずれ
の形態であってもよく、また、使用する際に再溶解させ
る乾燥生成物であってもよい。更に、その組成物は添加
剤、保存剤のいずれを含有してもよい。
【0014】また、非経口投与の場合には、安定剤、緩
衝剤、保存剤、等張化剤等の添加剤を含有し、通常単位
投与量アンプル又は多投与量容器の形態で提供される。
上記組成物は水溶液、溶液、油性又は水性担体液中の乳
液のような形態であってもよく、一方、活性成分は使用
する際に適当な担体、例えば発熱物質不含の滅菌した水
で再溶解させる粉体であってもよい。また、食品用に飲
料、食物に対して、また動物用には飼料に対していかな
る状態で添加してもよい。
【0015】
【実施例】以下、製造例、試験例及び実施例により本発
明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに
限定されるものではない。 (製造例1) (1)培養上清の製造 スサビノリ10g、人工海水(300mM塩化ナトリウ
ム、10mM塩化カリウム、50mM硫酸マグネシウ
ム、10mM塩化カルシウム)1000ml、クエン酸
鉄アンモニウム水溶液(10g/100ml)1ml、
リン酸水素二カリウム水溶液(7.5g/100ml)
1ml、塩化アンモニウム水溶液(20g/100m
l)5ml、1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)5
0mlの組成の培養液20Lに、ビブリオ・エスピーN
o.6380(微工研菌寄第11948号)を接種し、
20℃で2日間振盪培養し、次いで上記培養液20Lを
4℃で10,000rpmにて10分間遠心分離して培
養上清を得た。
【0016】(2)酵素分解物の製造 乾燥スサビノリ300gに0.5Mリン酸ナトリウム緩
衝液(pH7.0)20Lを加え懸濁後、(1)で得た
培養上清10Lを加え、35℃にて20時間攪拌して酵
素分解を行った。分解終了後、分画分子量50万及び
5,000の限外ろ過膜(ロミコン社製)で処理した。
更に電気透析機(旭化成社製)で脱塩処理して凍結乾燥
後、スサビノリ酵素分解物100gを得た。
【0017】このようにして得られたスサビノリ酵素分
解物は主に単糖、オリゴ糖、アミノ酸、ペプチド、脂
質、及び灰分の混合物であり、以下の組成からなる。 単糖、オリゴ糖 51.3% アミノ酸、ペプチド 38.0% 脂 質 0.1% 灰 分 6.7% 水 分 3.9%
【0018】(製造例2)乾燥マルバアサクサノリ30
0gに0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)20Lを加え懸濁後、製造例1(1)で得た培養上
清10Lを加え、35℃にて20時間攪拌して酵素分解
を行った。分解終了後、分画分子量50万及び5,00
0の限外ろ過膜(ロミコン社製)で処理した。更に電気
透析機(旭化成社製)で脱塩処理して凍結乾燥後、マル
バアサクサノリ酵素分解物90gを得た。
【0019】(製造例3)乾燥アサクサノリ300gに
0.05Mリン酸ナトリウミ緩衝液(pH7.0)20
Lを加え懸濁後、製造例1(1)で得た培養上清10L
を加え、35℃にて20時間攪拌して酵素分解を行っ
た。分解終了後、分画分子量50万及び5,000の限
外過膜(ロミコン社製)で処理した。更に電気透析機
(旭化成社製)で脱塩処理して凍結乾燥後、アサクサノ
リ酵素分解物100gを得た。
【0020】(試験例1) マクロファージ貪食能活性化作用 In vivo でニジマスに製造例1(2)で得たス
サビノリ酵素分解物(以下単に「スサビノリ酵素分解
物」という。)を経口投与し、マクロファージ貧食能の
活性化作用を検討した。
【0021】ニジマス(当歳魚、体重30〜40g)に
スサビノリ酵素分解物の表1に示す量を1日1回3日連
続経口投与した。投与終了48時間後、ニジマス頭腎を
RPMI1640培地で満たしたペトリディッシュ中に
摘出した。頭腎をピンセット等で解し浮遊細胞を得、
1,200rpmで5分間遠心処理し上清を除去後、R
PMI1640培地を加え、細胞数を1.0×10
ell/mlに調整した。次いで、ペトリディッシュ中
に置いたカバーグラスに細胞浮遊液1mlを滴下し、2
0℃で1時間静置し、カバーグラスに付着したマクロフ
ァージを得た。オプソニン化したラテックスビーズ懸濁
液を1mlずつカバーグラス上に滴下した後、20℃で
2時間静置し貧食させた。培養終了後、PBSを用いて
3回洗浄し、メタノールで2分間固定した後、風乾し、
ギムザ染色液にて20分間染色した。カバーグラスを水
洗、風乾後、スライドグラスにバルサムで封入し、油浸
レンズ(1,000倍)で検鏡した。マクロファージを
200個観察し、ラテックスビーズを取り込んだマクロ
ファージを陽性細胞として百分率で貪食能を算出した。
結果を表1に示す。
【0022】
【表1】 表1に示すようにスサビノリ酵素分解物投与群はいずれ
も貪食率が対照(スサビノリ酵素分解物無投与区)に比
べ高値を示し、スサビノリ酵素分解物の経口投与によっ
てマクロファージの貪食能が増進し活性化されているこ
とが明らかとなった。
【0023】(試験例2) マクロファージ遊走能活性化作用 In vivo でニジマスにスサビノリ酵素分解物を
経口投与し、マクロファージ貪食能の活性化作用を検討
した。ニジマス(当歳魚、体重30〜40g)にスサビ
ノリ酵素分解物の表2に示す量を1日1回3日連続経口
投与した。投与終了48時間後、ニジマス頭腎をRPM
I1640培地で満たしたペトリディッシュ中に摘出し
た。頭腎をピンセット等で解し浮遊細胞を得、1,20
0rpmで5分間遠心処理し上清を除去後、RPMI1
640培地を加え、細胞数を1.0×10cell/
mlに調整した。
【0024】バインドウェルチャンバーの下室にザイモ
サン20mgを試験魚血清1mlに懸濁し、20℃で1
時間静置して2,000rpmにて10分間遠心処理し
た上清を走化性因子として200μL入れ、次いでポリ
カーボンフィルター(孔径5μm)をはさみ、細胞浮遊
液200μLを上室に入れ、20℃で120分間遊走さ
せた。細胞浮遊液を除去後、PBSで2〜3回洗浄し、
スライドグラス上にフィルターの下面を上にして風乾し
た。メタノールで2分間細胞を固定し、ギムザ染色液に
て15分間染色した。水洗し風乾後、バルサムで封入し
て油浸レンズ(1,000倍)で検鏡した。数視野でフ
ィルター下面に到達したマクロファージを計測した。結
果を表2に示す。
【0025】
【表2】 表2に示すようにスサビノリ酵素分解物投与群は遊走能
が対照(スサビノリ酵素分解物無投与区)に比べ高値を
示し、スサビノリ酵素分解物の経口投与によってマクロ
ファージの遊走能が増進し活性化されていることが明ら
かとなった。
【0026】(試験例3) 食細胞化学発光能活性化作用 In vivo でニジマスにスサビノリ酵素分解物を
経口投与し、食細胞化学発光能の活性化作用を検討し
た。ニジマス(当歳魚、体重30〜40g)にスサビノ
リ酵素分解物の図1に示す量を1日1回3日連続経口投
与した。投与終了48時間後、ニジマス頭腎をイーグル
MEM培地で満たしたペトリディッシュ中に摘出した。
頭腎をピンセット等で解し浮遊細胞を得、1,200r
pmで5分間遠心処理し上清を除去後、イーグルMEM
培地を加え、細胞数を1.0×10cell/mlに
調整した。細胞浮遊液をルミノメーター用チューブに3
00μL取り、次いでルミノール液を100μL添加し
た。ルミノメーターで測定値が一定となった後、オプソ
ニン化したザイモサンを100μL添加して30分間発
光量を測定した。なお、対照としてはスサビノリ酵素分
解物無投与区を用いた。
【0027】結果を図1に示す。図1の結果よりスサビ
ノリ酵素分解物の経口投与により食細胞の化学発光能が
増進し、食細胞が活性化されていることが明らかとなっ
た。
【0028】(試験例4) 攻撃試験 40〜50gのニジマスを15尾ずつ2区用い、このう
ち1区はスサビノリ酵素分解物を500mg/kg経口
投与した。他の1区については対照としてスサビノリ酵
素分解物を投与しなかった。投与は24時間間隔で3度
行った。最終投与終了48時間後、Vibrio an
guillarum PT 479株を生理食塩水で
2.6×10cell/mlに調整し、腹腔内にそれ
ぞれ100μlずつ接種した。菌の接種後、24時間毎
に死亡魚数を計測した。結果を図2に示す。図2の結果
からスサビノリ酵素分解物の経口投与で病原細菌の感染
を防御し、生残率が向上することが示された。
【0029】(試験例5) 食細胞化学発光能活性化作用 BALB/C系マウスの腹腔内に1回注射した後、採取
した腹腔マクロファージをオプソニン化ザイモサンで刺
激した際に生成する活性酸素量をルミノール発光法で測
定することによって、ノリ酵素分解物の投与がマクロフ
ァージの化学発光に及ぼす効果について検討した。BA
LB/C系、5週齢の雌性マウスに、アサクサノリ酵素
分解物を図3に示した量(0.1、1、10、100m
g/kg及び対照区)でそれぞれ注射にて腹腔内投与し
た。投与終了24時間後、マウスを屠殺し、70%エタ
ノールで消毒して腹腔内にRPMI1640培地(10
%ガンマグロブリン不含のFBS、100μg/mlの
ストレプトマイシン、カナマイシン含)を5ml注入し
た。腹膜をマッサージして腹腔マクロファージを浮遊さ
せ、腹腔滲出細胞浮遊液を回収し、1,000rpmで
10分間遠心してイーグルMEM培地にて1×10
ell/mlのマクロファージ浮遊液を調整した。細胞
浮遊液をルミノメーター用チューブに300μlとり、
次いでルミノール液を100μL添加した。ルミノメー
ターで測定値が一定となった後、正常マウス血清でオプ
ソニン化したザイモサン懸濁液を100μL添加して3
0分間発光量を測定した。尚、対照としては、アサクサ
ノリ酵素分解物無投与区を用いた。
【0030】結果を図3に示す。図3の結果のとおり、
マクロファージは1〜100mg/kg量投与群で対照
群マクロファージより有意に化学発光能が高値を示し
た。このことから、アサクサノリ酵素分解物の腹腔内投
与によるマウスの食細胞の活性化が明らかとなった。
【0031】(試験例6) 食細胞細胞傷害活性活性化作用 アサクサノリ酵素分解物がマウスマクロファージの細胞
傷害活性に及ぼす効果を検討した。BALB/C系、5
週齢の雌性マウスに、アサクサノリ酵素分解物を図4に
示した量(0.1、1、10mg/kg及び対照区)で
注射にて腹腔内投与した。投与終了24時間後、マウス
を屠殺し、70%エタノールで消毒して腹腔内にRPM
I1640培地(10%ガンマグロブリン不含のFB
S、100μg/mlのストレプトマイシン、カナマイ
シン含)を5ml注入した。腹膜をマッサージして腹腔
マクロファージを浮遊させ、腹腔滲出細胞浮遊液を回収
し、1,000rpmで10分間遠心してRPMI16
40培地培地にて5×10cell/mlのマクロフ
ァージ浮遊液を調整した。浮遊液を96穴のマルチプレ
ートに分注した。5%COインキュベーターに2時間
静置した後、培養上清を取り除き、刺激物質としてLP
Sを添加した。18時間インキュベートし、上清中の窒
素酸化物量をGriess試薬を用いて測定した。尚、
対照としてはアサクサノリ酵索分解物無投与区を用い
た。
【0032】結果を図4に示す。図4の結果の通り、マ
クロファージは0.1〜10mg/kg量投与群で対照
群マクロファージより有意に窒素酸化物産生の増大を示
し、細胞傷害活性の促進が認められた。このことから、
アサクサノリ酵素分解物の腹腔内投与によるマウス食細
胞の活性化が明らかとなった。
【0033】(試験例7) 癌の増殖抑制効果 BALB/C系、5週齢の雌性マウスにアサクサノリ酵
素分解物を図4に示した量で注射にて腹腔内投与した。
投与終了24時間後、皮下にガン細胞ザルコーマ180
を1×10cell移植した。移植15日後の腫瘍部
分を取り出し、その重量を測定した。尚、対照としては
アサクサノリ酵素分解物無投与区を用いた。結果を表3
に示す。
【0034】
【表3】 表3の示すように、アサクサノリ酵素分解物投与群は対
照群と比べ有意に腫瘍重量の増加を抑制した。このこと
から、アサクサノリ酵素分解物にガン細胞増殖抑制効果
があることが示され、抗腫瘍効果が示された。
【0035】(試験例8) 急性毒性試験 ICR系の雌雄マウスにアサクサノリ酵素分解物を表4
に示した量、単回経口投与した。対照群には雄0.7m
l、雌0.6mlの精製水を同様に投与した。結果を表
4に示す。
【0036】
【表4】 表4に示したように、試験動物に異常及び死亡例は認め
られず、検体のマウスにおける単回経口投与による致死
量は、雌雄とも2,000mg/kg以上であるものと
認められた。
【0037】(実施例1) カプセル剤 スサビノリ酵素分解物 200g トウモロコシデンプン 150g タルク 80g ステアリン酸マグネシウム 30g 上記成分を充分混和し、60メッシュの金網を通過させ
て粒度を調整した後、1,000個のゼラチンカプセル
に充填した。
【0038】(実施例2) カプセル剤 アサクサノリ酵素分解物 200g トウモロコシデンプン 150g タルク 80g ステアリン酸マグネシウム 30g 上記成分を充分混和し、60メッシュの金網を通過させ
て粒度を調整した後、1,000個のゼラチンカプセル
に充填した。
【0039】(実施例3) 錠剤 スサビノリ酵素分解物 200g 乳糖 50g トウモロコシデンプン 30g ステアリン酸マグネシウム 5g 上記成分を充分混和し、60メッシュの金網を通過させ
て粒度を調整した後、打錠機を用いて1,000個の錠
剤を製造した。
【0040】(実施例4) 錠剤 アサクサノリ酵素分解物 200g 乳糖 50g トウモロコシデンプン 30g ステアリン酸マグネシウム 5g 上記成分を充分混和し、60メッシュの金網を通過させ
て粒度を調整した後、打錠機を用いて1,000個の錠
剤を製造した。
【0041】(実施例5) 坐剤 スサビノリ酵素分解物 140g カカオ脂 1,200g カカオ脂を50℃に加熱して溶解し、これにスサビノリ
酵素分解物を加えて均一にし、次いでコンテナーの中に
流し込み、冷却固化させて坐剤1,000個を製造し
た。
【0042】(実施例6) 坐剤 アサクサノリ酵素分解物 140g カカオ脂 1,200g カカオ脂を50℃に加熱して溶解し、これにスサビノリ
酵素分解物を加えて均一にし、次いでコンテナーの中に
流し込み、冷却固化させて坐剤1,000個を製造し
た。
【0043】(実施例7) 注射剤 スサビノリ酵素分解物 50mg N’−エトキシメチル−5−フルオロウラシル 200mg トリスアミノメタン 800mg 注射用蒸留水 適量 上記の処方に従い、常法により注射剤を調整し、1アン
プル5mlずつ充填した。
【0044】(実施例8) 注射剤 アサクサノリ酵素分解物 50mg N’−エトキシメチル−5−フルオロウラシル 200mg トリスアミノメタン 800mg 注射用蒸留水 適量 上記の処方に従い、常法により注射剤を調整し、1アン
プル5mlずつ充填した。
【0045】(実施例9) 養魚用飼料 スサビノリ酵素分解物 1,000g カゼイン 3,700g α−デンプン 1,500g デキストリン 1,000g ビタミン・ミネラル混合物 550g フィードオイル 1,000g セルロース 1,250g 上記成分を充分混和し、円筒造粒機及びハイスピードミ
キサーを用いて直径1.5mm×長さ3.0mmのペレ
ットに成型し、これを凍結乾燥して飼料を製造した。
【0046】(実施例10) 養魚用飼料 アサクサノリ酵素分解物 1,000g カゼイン 3,700g α−デンプン 1,500g デキストリン 1,000g ビタミン・ミネラル混合物 550g フィードオイル 1,000g セルロース 1,250g 上記成分を充分混和し、円筒造粒機及びハイスピードミ
キサーを用いて直径1.5mm×長さ3.0mmのペレ
ットに成型し、これを凍結乾燥して飼料を製造した。
【0047】(実施例11) 飲料 スサビノリ酵素分解物 50g 液糖 80ml 蜂蜜 10ml ワイン 10ml 香料 2ml ビタミンC 2ml 水 896ml 上記組成を用いて飲料を製造した。
【0048】(実施例12) 飲料 アサクサノリ酵素分解物 50g 液糖 80ml 蜂蜜 10ml ワイン 10ml 香料 2ml ビタミンC 2ml 水 896ml 上記組成を用いて飲料を製造した。
【0049】
【発明の効果】本発明の免疫賦活剤によれば、生体の免
疫力低下に基づくと考えられる各種疾患や各種病原微生
物感染症、癌等の予防治療剤、又は免疫増強及び感染防
御効果を有する食品及び飼料を提供することができ、本
発明は極めて有用である。また、有効成分である紅藻の
酵素分解物は分子量5,000以下の低分子であること
から、その飼料、食品、製剤化等の利用或いは加工が極
めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】紅藻の酵素分解物の経口投与による食細胞化学
発光能活性化作用を示す図である。
【図2】紅藻の酵素分解物の経口投与による病原微生物
Vibrio anguillarum PT 479
株接種攻撃試験の結果を示す図である。
【図3】紅藻の酵素分解物の腹腔内投与による食細胞化
学発光能活性化作用を示す図である。
【図4】紅藻の酵素分解物の腹腔内投与による食細胞細
胞傷害活性活性化作用を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A23L 2/38 F (72)発明者 山本 英司 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内 (72)発明者 樋浦 望 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内 (72)発明者 佐藤 良一 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紅藻の酵素分解物を有効成分として含有
    することを特徴とする免疫賦活剤。
  2. 【請求項2】 紅藻の酵素分解物がアマノリ属に属する
    紅藻をビブリオ属に属する微生物の菌体又はその処理物
    で処理したものである請求項1記載の免疫賦活剤。
JP5355242A 1993-01-13 1993-12-28 免疫賦活剤 Pending JPH06263649A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001005414A1 (fr) * 1999-07-19 2001-01-25 Qing Qi Extrait de polysaccharide d'une proteine d'algue et son utilisation
JP2002173438A (ja) * 2000-12-05 2002-06-21 Api Co Ltd エキナセア抽出物及びその製造方法
KR100358903B1 (ko) * 2000-03-31 2002-10-31 학교법인고려중앙학원 돌김으로부터 분리한 대식세포 활성화능을 갖는 다당류 및그 제조방법
JP2016084331A (ja) * 2014-10-28 2016-05-19 国立大学法人北海道大学 抗炎症性ポリペプチド及びこれを含む抗炎症性組成物

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