JPWO2019189146A1 - リチウムイオン二次電池、及びその作動方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極を有する、リチウムイオン二次電池であって、負極の充電下限電位が0.1V(vs.Li/Li+)以上で、1.0V(vs.Li/Li+)未満である、リチウムイオン二次電池である。また本発明は、硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極を有する、リチウムイオン二次電池であって、負極の充電下限電位が少なくとも0.1V(vs.Li/Li+)で、1.0V(vs.Li/Li+)未満とする、リチウムイオン二次電池の作動方法である。硫黄変性ポリアクリロニトリルの硫黄含有量が、25質量%〜60質量%であることが好ましい。

Description

本発明は、硫黄変性ポリアクリロニトリルを電極活物質とする、リチウムイオン二次電池、及びその作動方法に関する。
リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、小型で軽量、かつエネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能であり、携帯用パソコン、ハンディビデオカメラ、情報端末等の携帯電子機器の電源として広く用いられている。また、環境問題の観点から、非水電解質二次電池を使用した電気自動車や、動力の一部に電力を利用したハイブリッド車の実用化が行われている。そのため、近年では、二次電池のさらなる性能向上が求められている。
非水電解質二次電池の特性は、その構成部材である電極、セパレータ、電解質等に依存し、各構成部材の研究開発が盛んに行われている。電極においては、バインダー、集電材等と共に、電極活物質が重要であり、電極活物質の研究開発が盛んに行われている。
ポリアクリロニトリルと硫黄との混合物を非酸化性雰囲気下で熱処理することで得られる硫黄変性ポリアクリロニトリルは、大きな充放電容量を有し、充放電の繰り返しに伴う充放電容量の低下(以下、サイクル特性ということがある)が少ない電極活物質として知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。硫黄変性ポリアクリロニトリルは正極の活物質として使用されているが、負極の活物質としても検討されている(例えば、特許文献3を参照)。
US2011/200875A1 US2013/029222A1 US2014/134485A1
負極活物質への充電下限電位が低ければ、充放電容量が大きくできるが、あまりに充電下限電位が低い場合には、負極へのリチウム金属の析出の危険性がある。このため、例えば、特許文献3では、硫黄変性ポリアクリロニトリルのLi吸蔵時の平均電位を1.8V(Li基準)、即ち1.8V(vs.Li/Li+)としていることから、硫黄変性ポリアクリロニトリルを有する負極の充電下限電位は1.0V(vs.Li/Li+)程度と推定される(特許文献3を参照)。
非水電解質二次電池、特に電気自動車やハイブリッド車に使用される非水電解質二次電池では、高出力でサイクル特性に優れ、更に軽量・小型化したリチウムイオン二次電池が求められている。
本発明者らは、鋭意検討を行なった結果、硫黄変性ポリアクリロニトリルを負極活物質とする非水電解質二次電池において、負極の充電下限電位を1.0V(vs.Li/Li+)より下げても、電池性能の低下が低く、安全に充放電が可能であり、サイクル特性の低下も低いことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極を有する、リチウムイオン二次電池であって、負極の充電下限電位が0.1V(vs.Li/Li+)以上で、1.0V(vs.Li/Li+)未満である、リチウムイオン二次電池である。
また本発明は、硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極を有する、リチウムイオン二次電池の作動方法であって、負極の充電下限電位を0.1V(vs.Li/Li+)以上で、1.0V(vs.Li/Li+)未満とする、リチウムイオン二次電池の作動方法を提供するものである。
本発明では、リチウムイオン二次電池の負極の充電下限電位を0.1V(vs.Li/Li+)以上で、1.0V(vs.Li/Li+)未満とすることに特徴の一つを有する。本発明において、単位V(vs.Li/Li+)は、リチウム金属基準の電位である。負極の充電下限電位は低いことが好ましいが0.1V(vs.Li/Li+)よりも低い場合には、電池のサイクル特性の低下が大きくなる。本発明における負極の充電下限電位は、0.15V(vs.Li/Li+)以上で、0.9V(vs.Li/Li+)以下が好ましく、0.17V(vs.Li/Li+)以上で、0.85V(vs.Li/Li+)以下が更に好ましく、0.25V(vs.Li/Li+)以上で、0.8V(vs.Li/Li+)以下が特に好ましい。負極の充電下限電位を上記の範囲とするためには、例えば正極と負極の単位面積当たりの活物質重量(mg/cm)の比率を、電極塗工厚みを変更するなどして調整すればよい。負極の単位面積当たりの活物質重量の比率が、正極に対して低くなるほど、負極の充電下限電位は低くなる。
硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極の充放電容量は、硫黄変性ポリアクリロニトリルの硫黄含量により多少異なるが、充電下限電位が1.0V(vs.Li/Li+)の場合に対して、0.5V(vs.Li/Li+)で30〜50%程度、0.2V(vs.Li/Li+)で60〜80%程度、増加し、その増加分だけ、硫黄変性ポリアクリロニトリルの使用量を減らすことが可能である。充電下限電位を下げて負極の活物質を減らすことにより、リチウムイオン二次電池を軽量化、小型化することが可能になる。なお、充電下限電位の設定が1.0V(vs.Li/Li+)未満の設計のリチウムイオン二次電池を、充電下限電位が1.0V(vs.Li/Li+)以上で使用することは、十分な充放電容量が得られず好ましくない。
硫黄変性ポリアクリロニトリルは、ポリアクリロニトリルと単体硫黄を非酸化性雰囲気中で加熱処理して得られる化合物である。ポリアクリロニトリルは、アクリロニトリルと他のモノマー、例えば、アクリル酸、酢酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−N’メチレンビス(アクリルアミド)とのコポリマーでもよい。但し、アクリロニトリルの含量が低くなると電池性能が低くなることから、アクリロニトリルと他のモノマーとのコポリマーの場合、該コポリマー中のアクリロニトリルの含量は90質量%以上であることが好ましい。硫黄変性ポリアクリロニトリルの硫黄含量は、大きな充放電容量が得られ、本発明の作動方法におけるサイクル特性の低下が少ないことから、25質量%〜60質量%が好ましく、27質量%〜50質量%が更に好ましく、30質量%〜45質量%が最も好ましい。なお、硫黄変性ポリアクリロニトリルの硫黄含量は、例えば、硫黄及び酸素が分析可能なCHN分析装置を用いて元素分析を行い、硫黄含有量を算出すればよい。
加熱処理におけるポリアクリロニトリルと単体硫黄の割合は、ポリアクリロニトリル100質量部に対して単体硫黄100質量部〜1500質量部が好ましく、150質量部〜1000質量部が更に好ましい。加熱処理の温度は250℃〜550℃が好ましく、350℃〜450℃が更に好ましい。未反応の単体硫黄は二次電池のサイクル特性を低下させる要因となるため、例えば、加熱、溶媒洗浄等により除去することが好ましい。
本発明の硫黄変性ポリアクリロニトリルは、使用する用途に合わせて、例えば、二次電池の電極の電極活物質として使用する場合には、平均粒子径が0.5μm〜100μmであることが好ましい。平均粒子径とは、レーザー回折光散乱法により測定された50%粒子径をいう。粒子径は体積基準の直径であり、レーザー回折光散乱法では、二次粒子の直径が測定される。本発明の硫黄変性ポリアクリロニトリルの平均粒子径を0.5μmよりも小さくするには、粉砕等に多大な労力を要するが電池性能の更なる向上は望めず、100μm以下とすることで、平滑な電極合剤層が得やすい。本発明の硫黄変性ポリアクリロニトリルの平均粒子径は、0.5μm〜100μmが好ましく、1μm〜50μmがより好ましく、2μm〜30μmがさらに好ましい。
硫黄変性ポリアクリロニトリルを電極活物質とする電極の好適な構成及びその好適な製造方法について以下に説明する。電極は、集電体上に、硫黄変性ポリアクリロニトリルを有する電極合剤層を形成させる。電極合剤層は、例えば、硫黄変性ポリアクリロニトリル、バインダー及び導電助剤を溶媒に添加して調製したスラリーを集電体上に塗布し、乾燥することによって形成する。
バインダーは、電極のバインダーとして公知のものを用いることができ、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、フッ素ゴム、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、セルロースナノファイバー、ポリエチレンオキサイド、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸等が挙げられる。
バインダーとしては、環境負荷が低く、硫黄の溶出が起こりにくいため、水系バインダーが好ましく、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸が更に好ましい。バインダーは1種のみ使用することができ、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。スラリーにおけるバインダーの含有量は、本発明の硫黄変性ポリアクリロニトリル100質量部に対し、1質量部〜30質量部であることが好ましく、1.5質量部〜20質量部であることが更に好ましい。
導電助剤としては、電極の導電助剤として公知のものを用いることができ、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、剥片化黒鉛、グラフェン、フラーレン、ニードルコークス等の炭素材料;アルミニウム粉、ニッケル粉、チタン粉等の金属粉末;酸化亜鉛、酸化チタン等の導電性金属酸化物;La、Sm、Ce、TiS等の硫化物が挙げられる。導電助剤の粒子径は、平均粒子径が0.0001μm〜100μmが好ましく、0.01μm〜50μmがより好ましい。スラリーにおける導電助剤の含有量は、本発明の硫黄変性ポリアクリロニトリル100質量部に対し、通常0.1質量部〜50質量部であり、好ましくは1質量部〜30質量部、より好ましくは2質量部〜20質量部である。
スラリーを調製するための溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、ポリエチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、水、アルコール等が挙げられる。溶媒の使用量は、スラリーの塗布方法にあわせて調整することができ、例えば、ドクターブレード法の場合は、硫黄変性ポリアクリロニトリル、バインダー及び導電助剤の合計量100質量部に対し、20質量部〜300質量部が好ましく、30質量部〜200質量部が更に好ましい。
スラリーは、この他、他の成分を含んでいる場合がある。他の成分としては、例えば、粘度調整剤、補強材、酸化防止剤等が挙げられる。
スラリーを調製する方法としては特に制限されないが、例えば、通常のボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、自転・公転ミキサー、プラネタリーミキサー、フィルミックス、ジェットペースタ等を使用することができる。
集電体としては、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の導電材料が用いられる。これらの導電材料は表面がカーボンでコートされている場合がある。集電体の形状としては、箔状、板状、メッシュ状等が挙げられる。これらの中でも、導電性や価格の観点からアルミニウム、銅、ステンレス鋼が好ましく、形状は箔状が好ましい。箔状の場合の箔の厚さは、通常1〜100μmである。
スラリーを集電体に塗布する方法は、特に限定されず、ダイコーター法、コンマコーター法、カーテンコーター法、スプレーコーター法、グラビアコーター法、フレキソコーター法、ナイフコーター法、ドクターブレード法、リバースロール法、ハケ塗り法、ディップ法等の各手法を用いることができる。スラリーの粘性等の物性及び乾燥性に合わせて、良好な塗布層の表面状態を得ることが可能となることから、ダイコーター法、ドクターブレード法、ナイフコーター法が好ましい。塗布は、集電体の片面に施しても、両面に施してもよく、集電体の両面に塗布する場合は、片面ずつ逐次塗布することができ、両面同時に塗布することができる。また、集電体の表面に連続に塗布することができ、又は間欠して塗布することができ、ストライプ状で塗布することができる。電極合剤層の厚さは、通常1〜500μmであり、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは1〜150μmである。塗布層の厚さ、長さや幅は、電池の大きさに応じて、適宜、決定することができる。
集電体上に塗布されたスラリーを乾燥する方法としては、特に限定されず、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、加熱炉などに静置する、遠赤外線、赤外線、電子線などの照射等の各手法を用いることができる。この乾燥により、スラリーの塗膜から溶媒等の揮発成分が揮発し、集電体上に電極合剤層が形成される。この後、必要に応じて電極をプレス処理してもよい。プレス処理の方法としては、例えば、金型プレス法、ロールプレス法が挙げられる。
負極の電極合剤層における硫黄変性ポリアクリロニトリルを一定量以上とする場合、十分な充放電容量が得やすく、硫黄変性ポリアクリロニトリルを一定量以下とすることで導電性や集電体との密着性を十分にしやすい。これらの点から、負極の電極合剤層における硫黄変性ポリアクリロニトリルの含有量は30質量%〜99.5質量%であることが好ましく、40質量%〜99質量%であることが更に好ましく、50質量%〜98質量%であることが最も好ましい。
リチウムイオン二次電池は、硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極、正極、非水電解質で構成され、必要に応じて、正極と負極との間に、セパレータを有する。正極は、正極の活物質として公知の活物質を有する電極を使用すればよい。
公知の正極活物質としては、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物、リチウム含有ケイ酸塩化合物等が挙げられる。前記リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはバナジウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等が好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn24、Li2MnO3等のリチウムマンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をアルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、リチウム、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、ガリウム、ジルコニウム等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、Li1.1Mn1.8Mg0.14、Li1.1Mn1.85Al0.054、LiNi0.5Co0.2Mn0.32、LiNi0.8Co0.1Mn0.12、LiNi0.5Mn0.52、LiNi0.80Co0.17Al0.032、LiNi0.80Co0.15Al0.052、LiNi1/3Co1/3Mn1/32、LiNi0.6Co0.2Mn0.22、LiMn1.8Al0.24、LiMn1.5Ni0.54、Li2MnO3−LiMO2(M=Co,Ni,Mn)等が挙げられる。前記リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、バナジウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO4、LiMnxFe1-xPO4等のリン酸鉄化合物類、LiCoPO4等のリン酸コバルト化合物類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をアルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、リチウム、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ等の他の金属で置換したもの、Li32(PO43等のリン酸バナジウム化合物類等が挙げられる。リチウム含有ケイ酸塩化合物としては、Li2FeSiO4等が挙げられる。これらは1種のみを使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
正極の構成及びその製造方法としては、前述した硫黄変性ポリアクリロニトリルを電極活物質とする電極の好適な構成及びその好適な製造方法において、硫黄変性ポリアクリロニトリルを、前記公知の正極の活物質に置き換えたものが挙げられる。
非水電解質としては、例えば、電解質を有機溶媒に溶解して得られる液体電解質、電解質を有機溶媒に溶解し高分子でゲル化した高分子ゲル電解質、有機溶媒を含まず、電解質が高分子に分散させた純正高分子電解質、水素化ホウ素化合物、無機固体電解質等が挙げられる。
液体電解質及び高分子ゲル電解質に用いる電解質としては、例えば、従来公知のリチウム塩が用いられ、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiN(CF3SO22、LiN(C5SO22、LiN(SO2F)2、LiC(CF3SO23、LiB(CF3SO34、LiB(C242、LiBF2(C24)、LiSbF6、LiSiF5、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlF4、LiAlCl4、LiPO22及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(SO2F)2、及びLiC(CF3SO23並びにLiCF3SO3の誘導体、及びLiC(CF3SO23の誘導体からなる群から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。液体電解質及び高分子ゲル電解質における、電解質の含有量は、好ましくは0.5〜7mol/L、より好ましくは0.8〜1.8mol/Lである。
純正高分子電解質に用いる電解質としては、例えば、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(SO2F)2、LiC(CF3SO23、LiB(CF3SO34、LiB(C242が挙げられる。水素化ホウ素化合物としては、LiBH‐LiI、LiBH‐Pが挙げられる。
無機固体電解質としては、Li1+xx2-y(PO43(x=Al,Ge,Sn,Hf,Zr,Sc,Y、B=Ti,Ge,Zn、0<x<0.5)、LiMPO4(M=Mn,Fe,Co,Ni)、Li3PO4等のリン酸系材料;Li3XO4(X=As,V)、Li3+xx1-x(A=Si,Ge,Ti、B=P,As,V、0<x<0.6)、Li4+xxSi1-x4(A=B,Al,Ga,Cr,Fe、0<x<0.4)(A=Ni,Co、0<x<0.1)、Li4-3yAlySiO4(0<y<0.06)、Li4-2yZnyGeO4(0<y<0.25)、LiAlO2、Li2BO4、Li4XO4(X=Si,Ge,Ti)、リチウムチタネート(LiTiO2、LiTi24、Li4TiO4、Li2TiO3、Li2Ti37、Li4Ti512)等のリチウム複合酸化物;LiBr,LiF,LiCl、LiPF6、LiBF4等のリチウムとハロゲンを含む化合物;LiPON,LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、Li3N、LiN(SO2372等のリチウムと窒素を含む化合物;La0.55Li0.35TiO3等のリチウムイオン伝導性を有するペロブスカイト構造を有する結晶;Li7−La3Zr213等のガーネット型構造を有する結晶;50Li4SiO4・50Li3BO3、90LiBO・10LiSO等のガラス;70LiS・30P、75LiS・25P、LiPSCl、Li10GeP212、Li3.25Ge0.250.754等のリチウム・リン硫化物系の結晶、30Li2S・26B23・44LiI、63Li2S・36SiS2・1Li3PO4、57Li2S・38SiS2・5Li4SiO4、70Li2S・50GeS2、50Li2S・50GeS2等のリチウム・リン硫化物系のガラス;Li7311、Li3.250.954、Li10GeP12、Li9.612、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3等のガラスセラミック等が挙げられる。
本発明に用いられる、液状非水電解質の調製に用いる有機溶媒としては、液状非水電解質に通常用いられているものを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、飽和環状カーボネート化合物、飽和環状エステル化合物、スルホキシド化合物、スルホン化合物、アマイド化合物、飽和鎖状カーボネート化合物、鎖状エーテル化合物、環状エーテル化合物、飽和鎖状エステル化合物等が挙げられる。
前記有機溶媒のうち、飽和環状カーボネート化合物、飽和環状エステル化合物、スルホキシド化合物、スルホン化合物及びアマイド化合物は、比誘電率が高いため、非水電解質の誘電率を上げる役割を果たし、特に飽和環状カーボネート化合物が好ましい。斯かる飽和環状カーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,3−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,1−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。前記飽和環状エステル化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、δ−オクタノラクトン等が挙げられる。前記スルホキシド化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、チオフェン等が挙げられる。前記スルホン化合物としては、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホラン(テトラメチレンスルホンともいう)、3−メチルスルホラン、3,4−ジメチルスルホラン、3,4−ジフェニメチルスルホラン、スルホレン、3−メチルスルホレン、3−エチルスルホレン、3−ブロモメチルスルホレン等が挙げられ、スルホラン、テトラメチルスルホランが好ましい。前記アマイド化合物としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
前記有機溶媒のうち、飽和鎖状カーボネート化合物、鎖状エーテル化合物、環状エーテル化合物及び飽和鎖状エステル化合物は、非水電解質の粘度を低くすることができ、電解質イオンの移動性を高くすることができる等、出力密度等の電池特性を優れたものにすることができる。また、低粘度であるため、低温での非水電解質の性能を高くすることができ、特に飽和鎖状カーボネート化合物が好ましい。飽和鎖状カーボネート化合物としては、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、t−ブチルプロピルカーボネート等が挙げられる。前記の鎖状エーテル化合物又は環状エーテル化合物としては、例えば、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、1,2−ビス(メトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)プロパン、エチレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル、エチレングリコールビス(トリフルオロメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル等が挙げられ、これらの中でも、ジオキソランが好ましい。
前記飽和鎖状エステル化合物としては、分子中の炭素数の合計が2〜8であるモノエステル化合物及びジエステル化合物が好ましく、具体的な化合物としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、マロン酸メチル、マロン酸エチル、コハク酸メチル、コハク酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールジアセチル、プロピレングリコールジアセチル等が挙げられ、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、及びプロピオン酸エチルが好ましい。
その他、非水電解質の調製に用いる有機溶媒として、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタンやこれらの誘導体、各種イオン液体を用いることもできる。
高分子ゲル電解質に用いる高分子としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルクロライド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。純正高分子電解質に用いる高分子としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸が挙げられる。ゲル電解質中の配合比率、複合化の方法については特に制限はなく、本技術分野で公知の配合比率、公知の複合化方法を採用すればよい。
非水電解質は、電池寿命の向上、安全性向上等のため、例えば、電極被膜形成剤、酸化防止剤、難燃剤、過充電防止剤等、公知の他の添加剤を含んでもよい。他の添加剤を用いる場合、非水電解質全体に対し、通常0.01質量部〜10質量部であり、好ましくは、0.1質量部〜5質量部である。
本発明のリチウムイオン二次電池及び作動方法を適用することにより、硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極の充放電容量が大きくでき、硫黄変性ポリアクリロニトリルの使用量を減らすことができる。さらに、電池電圧を向上させることもでき、リチウムイオン二次電池を軽量化、小型化することが可能となる。
以下に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、以下の実施例等により本発明は何等制限されるものではない。なお、実施例中の「部」や「%」は、特にことわらない限り質量によるものである。
〔製造例1〕
ポリアクリロニトリル粉末(シグマアルドリッチ製、平均粒径200μm)10質量部及び硫黄粉末(シグマアルドリッチ製、平均粒径200μm)30質量部を、乳鉢を用いて混合した。ポリアクリロニトリルの硫黄変性には特開2013−054957号公報の実施例に準じた反応装置を用いた。この混合物を特開2013−054957号公報の実施例に記載されたものと同様の円筒状ガラスビンに入れ、ガラスビンの下部をルツボ型電気炉に入れ、窒素気流下に発生する硫化水素を除去しながら400℃で1時間加熱した。冷却後、生成物をガラスチューブオーブンに入れ、真空吸引しつつ250℃で3時間加熱することにより単体硫黄を除去した。得られた硫黄変性ポリアクリロニトリルを、乳鉢を用いて、平均粒子径が10μmになるまで粉砕し硫黄変性ポリアクリロニトリル粉末PANS1を得た。PANS1の硫黄含量は38質量%である。
〔製造例2〕
単体硫黄の除去温度を250℃から200℃に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い硫黄変性ポリアクリロニトリル粉末PANS2を得た。PANS2の硫黄含量は55質量%である。なお、製造例2の単体硫黄の除去条件は特許文献3に記載の条件と同様であり、PANS2の硫黄含量は特許文献3記載の硫黄変性ポリアクリロニトリルと同等であるものと考えられる。
〔実施例1〜6、比較例1〜4〕
〔負極1〜10の製造〕
電極活物質として、PANS1又はPANS2(表1参照)を92.0質量部、導電助剤として3.5質量部のアセチレンブラック(電気化学工業製)、1.5質量部のカーボンナノチューブ(昭和電工製、商品名 VGCF)、バインダーとして1.5質量部のスチレン−ブタジエンゴム(40質量%水分散液、日本ゼオン製)、1.5質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム製)、及び100質量部の水を、自転・公転ミキサーを用いて分散しスラリーを調製した。このスラリー組成物を、ドクターブレード法によりステンレス箔(厚さ10μm)の集電材に電極合剤層の厚さが下記表1の値となるように塗布し、90℃で3時間乾燥した。その後、この電極を所定の大きさにカットし、120℃で2時間真空乾燥を行い、円盤状電極を作製した。
Figure 2019189146
〔正極の製造〕
正極活物質として、LiNi1/3Co1/3Mn1/32(日本化学産業製、以下、NCMと略記)を90質量部、導電助剤として5質量部のアセチレンブラック(電気化学工業製)、バインダーとして5質量部のポリフッ化ビニリデン(クレハ製)、及び溶媒として100質量部のN−メチルピロリドンを、自転・公転ミキサーを用いて分散しスラリーを調製した。このスラリー組成物を、ドクターブレード法によりアルミニウム箔(厚さ20μm)の集電材に電極合剤層の厚さが62μmとなるように塗布し、90℃で3時間乾燥した。その後、この電極を所定の大きさにカットし、120℃で2時間真空乾燥を行い、円盤状の正極を作製した。正極容量は、負極の充電下限電位がいずれの場合においても、正極の充電上限電位が4.2V(vs.Li/Li+)になるようにした。
〔非水電解質の調製〕
エチレンカーボネート50体積%、ジエチルカーボネート50体積%からなる混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解し電解質溶液を調製した。
〔電池の組み立て〕
PANS1又は2を活物質とする負極1〜10、及び、NCMを活物質とする正極を、セパレータ(セルガード社製、商品名:セルガード2325)を挟んでケース内に保持した。その後、先に調製した非水電解質をケース内に注入し、ケースを密閉、封止して、非水電解質二次電池(φ20mm、厚さ3.2mmのコイン型)である電池1〜10を製作した。また、負極1〜10の初回充電時の下位電位の確認を行うため、三極セルキット(東洋システム社製)を用いて、負極1〜10、NCM正極、ガラスフィルターセパレータ、リチウム金属参照極、及び、先に調製した非水電解質から構成された三極セルを作製した。
(充放電試験方法)
三極セルを25℃の恒温槽にいれ、充電レート0.1CでNCM正極の電位が4.2V(vs.Li/Li+)になるまで充電し、その際の負極1〜10の電位が表2の値であることを確認した。
また、非水電解質二次電池を25℃の恒温槽に入れ、充電レート0.1Cで負極の充電下限電位が表2の値になるまで充電し、放電レート0.1Cで、電池電圧が0.8Vまで放電する充放電サイクルを50回行った。充放電サイクル10回目のPANS負極重量当たりの放電容量、及び充放電サイクル10回目のPANS負極重量当たりの放電容量に対する50回目の放電容量の比を表2に示す。この比の値が大きいほどサイクル特性に優れることを示す。
Figure 2019189146
表2から、負極の充電下限電位が0.1V(vs.Li/Li+)以上で、1.0V(vs.Li/Li+)未満の各実施例のリチウムイオン二次電池によれば、リチウムイオン二次電池の放電容量の大きさと、サイクル特性との両方が優れている。これに対し、負極の充電下限電位を1.0V(vs.Li/Li+)とした比較例1は、同じ硫黄含量のPANSを用いた実施例1、3及び5に比して、放電容量に劣り、また、負極の充電下限電位を0.1V未満とした比較例3は、実施例1、3及び5に比してサイクル特性が下がっている。比較例2及び4についても実施例2、4及び6に対して同様のことが言える。
本発明によれば、硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極を有する、リチウムイオン二次電池において、負極の充電下限電位を0.1V(vs.Li/Li+)以上で、1.0V(vs.Li/Li+)未満とすることにより、活物質あたりの充放電容量及び電池電圧が大きくなり、活物質の使用量を減らすことが可能になる。これにより、リチウムイオン二次電池の軽量・小型化が可能になる。

Claims (4)

  1. 硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極を有する、リチウムイオン二次電池であって、負極の充電下限電位が0.1V(vs.Li/Li+)以上で、1.0V(vs.Li/Li+)未満である、リチウムイオン二次電池。
  2. 硫黄変性ポリアクリロニトリルの硫黄含有量が、25質量%〜60質量%である請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 硫黄変性ポリアクリロニトリルを活物質とする負極を有する、リチウムイオン二次電池の作動方法であって、負極の充電下限電位を0.1V(vs.Li/Li+)以上で、1.0V(vs.Li/Li+)未満とする、リチウムイオン二次電池の作動方法。
  4. 硫黄変性ポリアクリロニトリルの硫黄含有量が、25質量%〜60質量%である請求項3記載のリチウムイオン二次電池の作動方法。
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