JPWO2019181673A1 - 太陽電池 - Google Patents

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Abstract

本発明は、光電変換効率に優れた太陽電池を提供することを目的とする。本発明は、陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極をこの順に有する太陽電池であって、前記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、前記光電変換層は、両側の表面に多孔質構造を有する太陽電池である。

Description

本発明は、光電変換効率に優れた太陽電池に関する。
従来から、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体(光電変換層)を備えた太陽電池が開発されている。このような太陽電池では、光励起により光キャリア(電子−ホール対)が生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。
現在、実用化されている太陽電池の多くは、シリコン等の無機半導体を用いて製造される無機太陽電池である。しかしながら、無機太陽電池は製造にコストがかかるうえ大型化が困難である。
近年、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有するペロブスカイト太陽電池が注目されている。ペロブスカイト太陽電池は、高い光電変換効率が期待できるうえに、印刷法によって製造できることから、大型の太陽電池であっても製造コストを大幅に削減して製造できるとされている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
特開2014−72327号公報
M.M.Lee,et al,Science,2012,338,643
ペロブスカイト太陽電池においては、光電変換層と陰極との間に電子輸送層を、光電変換層と陽極との間にホール輸送層を設けることが多い。電子輸送層及びホール輸送層は、光励起により生じた電子とホールが再結合することなく効率的に移動するようにして、太陽電池の光電変換効率を向上させる役割を発揮する。しかしながら、このようなペロブスカイト太陽電池であっても依然として光電変換効率は充分ではなく、更なる光電変換効率の向上が望まれている。
本発明は、光電変換効率に優れた太陽電池を提供することを目的とする。
本発明は、陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極をこの順に有する太陽電池であって、前記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、前記光電変換層は、両側の表面に多孔質構造を有する太陽電池である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、陰極、電子輸送層、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層、ホール輸送層及び陽極をこの順に有する太陽電池について検討した。このような太陽電池では、光電変換層において光励起により生じた電子とホールがいかに効率的に電子輸送層とホール輸送層に移動できるかが光電変換効率を大きく左右する。本発明者らは、光電変換層を両側の表面に多孔質構造を有するものとすることにより、光電変換層の表面積を増やし、光励起により生じた電子とホールが再結合することなく効率的に移動するようにして、光電変換効率を向上できることを見出した。これにより、本発明を完成させるに至った。
本発明の太陽電池は、陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極をこの順に有する。
本明細書中、層とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、太陽電池の断面のFE−TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
上記陰極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。陰極材料として、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物等が挙げられる。また、金、銀、チタン、モリブデン、タンタル、タングステン、カーボン、ニッケル、クロム等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型金属酸化物、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられる。具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物等が挙げられる。また、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層のみからなっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜である場合、より複雑な複合膜(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質状の電子輸送層上に複合膜が製膜されていることが好ましい。
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む。上記光電変換層が上記有機無機ペロブスカイト化合物を含む太陽電池は、有機無機ハイブリッド型太陽電池とも呼ばれる。
上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
上記Rは有機分子であり、C(l、m、nはいずれも正の整数)で示されることが好ましい。
上記Rは、具体的には例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、ホルムアミジン、アセトアミジン、グアニジン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、イミダゾリン、カルバゾール及びこれらのイオンやフェネチルアンモニウム等が挙げられる。上記イオンとしては、例えば、メチルアンモニウム(CHNH)等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ホルムアミジン、アセトアミジン及びこれらのイオンやフェネチルアンモニウムが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ホルムアミジン及びこれらのイオンがより好ましい。
上記Mは金属原子であり、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。これらの金属原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、バンドギャップが適切であり、かつ、結晶性が良好であることから、鉛、スズが好ましい。
上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、セレン等が挙げられる。上記Xがハロゲン原子又はカルコゲン原子であることで、上記有機無機ペロブスカイト化合物の吸収波長が広がり、高い光電変換効率を達成することができる。これらのハロゲン原子又はカルコゲン原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、構造中にハロゲンを含有することで、上記有機無機ペロブスカイト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能になることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素がより好ましい。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造を有することが好ましい。
図1は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造である、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。詳細は明らかではないが、上記構造を有することにより、結晶格子内の八面体の向きが容易に変わることができるため、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり太陽電池の光電変換効率が向上すると推定される。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、結晶性半導体であることが好ましい。結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味している。上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であることにより、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。
また、結晶化の指標として結晶化度を評価することもできる。結晶化度は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶部分の比を算出することにより求めることができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度の好ましい下限は30%である。結晶化度が30%以上であると、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
また、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を上げる方法として、例えば、熱アニール、レーザー等の強度の強い光の照射、プラズマ照射等が挙げられる。
また、他の結晶化の指標として結晶子径を評価することもできる。結晶子径は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークの半値幅からhalder−wagner法で算出することができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶子径の好ましい下限は5nmである。上記結晶子径が5nm以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記結晶子径のより好ましい下限は10nm、更に好ましい下限は20nmである。
上記光電変換層は、両側の表面に多孔質構造を有する。
上記光電変換層を両側の表面に多孔質構造を有するものとすることにより、上記光電変換層の表面積を増やし、光励起により生じた電子とホールが再結合することなく効率的に移動するようにして、光電変換効率を向上させることができる。なお、多孔質構造とは、多数の細孔を有するスポンジ様の構造をいう。また、光電変換層の両側の表面とは、光電変換層の電子輸送層側の表面及びホール輸送層側の表面の両方をいう。
なお、従来のペロブスカイト太陽電池においては、片側の表面のみではなく両側の表面に多孔質構造を有する光電変換層を形成することは難しかった。特に、両側の表面に多孔質構造を有し、かつ、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度や結晶子径が上述したような充分に大きい範囲となる光電変換層を形成することは難しかった。
上記光電変換層は、両側の表面において、多孔質構造を有する部位の厚みが50nm以上であることが好ましい。上記多孔質構造を有する部位の厚みが50nm以上であれば、上記光電変換層の表面積が増大し、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記多孔質構造を有する部位の厚みは75nm以上がより好ましく、100nm以上が更に好ましい。
上記多孔質構造を有する部位の厚みの上限は特に限定されないが、好ましい上限は200nmである。上記多孔質構造を有する部位の厚みが200nm以下であれば、上記光電変換層が充分に光を吸収できるようになり、光電変換効率が高くなる。上記多孔質構造を有する部位の厚みのより好ましい上限は150nmである。
上記光電変換層は、両側の表面において、多孔質構造を有する部位の空隙率が10%以上であることが好ましい。上記多孔質構造を有する部位の空隙率が10%以上であれば、上記光電変換層の表面積が増大し、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記多孔質構造を有する部位の空隙率は25%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。
上記多孔質構造を有する部位の空隙率の上限は特に限定されないが、好ましい上限は80%である。上記多孔質構造を有する部位の空隙率が80%以下であれば、上記光電変換層が充分に光を吸収できるようになり、光電変換効率が高くなる。上記多孔質構造を有する部位の空隙率のより好ましい上限は70%である。
上記光電変換層が両側の表面に多孔質構造を有すること、上記多孔質構造を有する部位の厚み、及び、上記多孔質構造を有する部位の空隙率は、次のようにして確認及び算出することができる。
即ち、太陽電池の断面を、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)(例えば、日本電子社製、JEM−ARM200F)、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)等の電子顕微鏡を用いて断面観察する。多孔質構造となっている面積に対する空隙の面積(電子輸送層又はホール輸送層により満たされた面積)の割合を計算することで、多孔質構造を有する部位の空隙率を得る。なお、上記面積の計算において、上記多孔質構造部位の始まり及び終わりは以下の方法で決定する。まず、電子顕微鏡等を用いて太陽電池の断面画像を撮影し、断面画像上に太陽電池の厚み方向と垂直な直線を引く。直線を画像の陽極側から陰極側へ平行移動させていき、光電変換層が上記直線と初めて接したときの上記直線上の位置を上記多孔質構造部位の始まりとし、ホール輸送層と最後に接したときの上記直線上の位置を上記多孔質構造の終わりとする。また、電子輸送層側の上記多孔質構造部位については、電子輸送層が上記直線と初めてと接したときの上記直線上の位置を上記多孔質構造部位の始まりとし、光電変換層と最後に接したときの上記直線上の位置を上記多孔質構造の終わりとする。
上記光電変換層、即ち、両側の表面に多孔質構造を有する光電変換層を形成する方法として、例えば、次の方法(A)が挙げられる。
まず、上記陰極上に、薄膜状の電子輸送層及び多孔質状の電子輸送層をこの順で形成する。次いで、上記多孔質状の電子輸送層上に、上記有機無機ペロブスカイト化合物の原料を溶解した溶液を用いて印刷法により光電変換層を形成する。上記多孔質状の電子輸送層上に光電変換層を形成するため、得られる光電変換層は、電子輸送層側の表面が多孔質構造となる。また、この際、上記有機無機ペロブスカイト化合物の原料を溶解した溶液に、ポリマー、低分子化合物、界面活性剤等の多孔質構造形成用添加剤を配合する。これにより、上記有機無機ペロブスカイト化合物の原料から上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造が形成されるにつれて、上記多孔質構造形成用添加剤は層の上部表面部分に偏在することとなり、得られる光電変換層は、ホール輸送層側の表面にも多孔質構造が形成される。
上記多孔質構造形成用添加剤は特に限定されず、例えば、ポリマー、低分子化合物、界面活性剤等が挙げられる。なかでも、多孔質構造が形成されやすいことから、ポリマーが好ましい。上記ポリマーは特に限定されないが、窒素原子を含む官能基を有するポリマーが好ましい。
上記窒素原子を含む官能基は、上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーの主鎖に含まれていてもよいし、側鎖に含まれていてもよい。なお、主鎖とは、ポリマーの主骨格、即ち、最も長い鎖を意味し、側鎖とは、ポリマーの主骨格から枝分かれした部分を意味する。なかでも、太陽電池の光電変換効率が向上することから、上記窒素原子を含む官能基は、上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーの側鎖に含まれていることが好ましい。
上記窒素原子を含む官能基は特に限定されず、例えば、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、ピリジル基、アゾ基、アジ基、イソシアネート基、ウレタン結合等が挙げられる。これらの窒素原子を含む官能基は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記光電変換層及び上記ホール輸送層の両方に対して親和性が高く、界面の欠陥密度が小さくなることから、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基又はピリジル基が好ましい。
上記窒素原子を含む官能基は、窒素原子に結合した電子吸引性基を含んでいてもよい。上記電子吸引性基は、窒素原子に1つ結合してもよく、2つ以上結合してもよい。
上記電子吸引性基は特に限定されず、例えば、スルホニル基、スルフィド基、チオエステル基、チオケトン基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、スルフィニル基、ホスホニル基等が挙げられる。これらの電子吸引性基は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、スルホニル基がより好ましい。
上記窒素原子を含む官能基は、上記電子吸引性基を含む場合、更に、上記電子吸引性基に結合した共役環式骨格を含んでいてもよい。上記電子吸引性基に共役環式骨格が結合していることで、窒素原子の酸性度が大きくなり、電子とホールの再結合をより抑制することができるため、太陽電池の光電変換効率が向上する。具体的には、上記窒素原子を含む官能基のpKaが3以下であることが好ましい。
上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーは、更に、フッ素原子を含むことが好ましい。上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーは、フッ素原子を含むことにより容易に有機溶媒に溶解し易くなり、上記光電変換層への配合が容易となる。
上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーは、上記窒素原子を含む官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有する重合体又は共重合体であることが好ましい。
上記窒素原子を含む官能基を有するモノマーは、上記窒素原子を含む官能基を有し、かつ、重合性を有するモノマーであれば特に限定されない。具体的には例えば、アリルアミン、エチレンイミン、(メタ)アクリルアミド、N−スクシンイミジル(メタ)アクリレート、トリメチル[3−((メタ)アクリロイルアミノ)プロピル]アミニウム・クロリド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの窒素原子を含む官能基を有するモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、電気的に中性であり、上記光電変換層及び上記ホール輸送層のキャリア密度に影響を与えないことから、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
上記窒素原子を含む官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は10重量%である。上記構成単位の含有量が10重量%以上であれば、多孔質界面の欠陥を抑えられ、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記構成単位の含有量のより好ましい下限は25重量%である。上記構成単位の含有量の上限は特に限定されず、100重量%であってもよい。
上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーが、更に、フッ素原子を含む場合には、上記窒素原子を含む官能基を有するモノマーが、更に、フッ素原子を含む官能基を有していてもよい。また、上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーが、上記窒素原子を含む官能基を有するモノマーに由来する構成単位に加えて、フッ素原子を含む官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有する共重合体であってもよい。
上記フッ素原子を含む官能基は特に限定されないが、フッ素原子、或いは、一部又は全ての水素がフッ素で置換されたアルキル基又はアリール基が好ましい。
上記窒素原子を含む官能基を有するモノマーが、更に、フッ素原子を含む官能基を有する場合、このようなモノマーとして、例えば、(4−スチレンスルホニル)−トリフルオロメタンスルホニルイミド、N−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−n−メチルアクリルアミド2−メチル−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシラン−2−カルボキサミド等が挙げられる。これらのモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記光電変換層の界面形成が良好なことから、(4−スチレンスルホニル)−トリフルオロメタンスルホニルイミドが好ましい。また、このようなモノマーは、上述したような窒素原子に結合した電子吸引性基を含むことが好ましく、フッ素原子の少なくとも1つが上記電子吸引性基又は上記電子吸引性基のα位に結合していることがより好ましい。
上記フッ素原子を含む官能基を有するモノマーとして、例えば、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリル酸メチル、3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン、トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸メチル等が挙げられる。これらのフッ素原子を含む官能基を有するモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、塗布溶媒に対する可溶性が高いことから、トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
上記フッ素原子を含む官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は100重量%である。上記構成単位の含有量がこの範囲であれば、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記構成単位の含有量のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は90重量%である。
上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーは、上記窒素原子を含む官能基を有するモノマーに由来する構成単位、及び、上記フッ素原子を含む官能基を有するモノマーに由来する構成単位に加えて、他の構成単位を有していてもよい。上記他の構成単位は特に限定されず、例えば、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエーテル等に由来する構成単位が挙げられる。
上記窒素原子を含む官能基を有するポリマーを合成する方法としては、例えば、上記窒素原子を含む官能基を有するモノマーを、必要に応じて上記フッ素原子を含む官能基を有するモノマー等とともに重合又は共重合する方法が挙げられる。また、上記窒素原子を含む官能基も、上記窒素原子に結合した電子吸引性基も、上記フッ素原子を含む官能基も有さないモノマーを重合又は共重合した後、上記窒素原子を含む官能基、必要に応じて上記窒素原子に結合した電子吸引性基、上記フッ素原子を含む官能基等を化学反応により付加させる方法も挙げられる。
上記ポリマーの平均重合度は、好ましい下限が5、好ましい上限が10000であり、より好ましい下限は10、より好ましい上限は5000であり、更に好ましい下限は20、更に好ましい上限は3000である。
なお、平均重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより算出した重量平均分子量をモノマーの分子量で除して求められる。
上記低分子化合物は特に限定されず、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、3,3,3−トリフルオロプロピルアミン、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパンアミン、2,2,2−トリフルオロ−N−メチルエタンアミン、トリフルオロメタンスルホンイミド、ビス(1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロ−1−ブタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
上記界面活性剤は特に限定されず、例えば、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸リチウム、ヘプタデカフルオロ−1−オクタンスルホン酸カリウム、ペンタデカフルオロオクタン酸アンモニウム、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸等が挙げられる。
上記多孔質構造形成用添加剤の配合量は特に限定されないが、上記有機無機ペロブスカイト化合物の原料100重量%に対する好ましい下限が0.1重量%、好ましい上限が50重量%である。上記多孔質構造形成用添加剤の配合量がこの範囲であれば、多孔質構造が形成されやすくなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記多孔質構造形成用添加剤の配合量のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は25重量%である。
また、上記光電変換層、即ち、両側の表面に多孔質構造を有する光電変換層を形成する方法として、例えば、次の方法(B)も挙げられる。
まず、上記陰極上に、薄膜状の電子輸送層及び多孔質状の電子輸送層をこの順で形成する。次いで、上記多孔質状の電子輸送層上に、上記有機無機ペロブスカイト化合物の原料を溶解した溶液を用いて印刷法により光電変換層を形成する。上記多孔質状の電子輸送層上に光電変換層を形成するため、得られる光電変換層は、電子輸送層側の表面が多孔質構造となる。この上に無機p型半導体ナノ粒子の分散溶液を塗布した後、溶剤雰囲気に置いてから焼成する。これにより、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶の表面が一度溶解し、ナノ粒子を取り込んだうえで再度結晶化した結果、ホール輸送層側の表面にも多孔質構造が形成される。
上記光電変換層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、更に、有機半導体又は無機半導体を含んでいてもよい。なお、ここでいう有機半導体又は無機半導体は、ホール輸送層、又は、電子輸送層としての役割を果たしてもよい。
上記有機半導体として、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物や、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含有材料も挙げられる。
上記無機半導体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、CuSCN、CuO、CuI、MoO、V、WO、MoS、MoSe、CuS等が挙げられる。
上記光電変換層は、上記有機無機ペロブスカイト化合物と上記有機半導体又は上記無機半導体とを含む場合、薄膜状の有機半導体又は無機半導体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層体であってもよい。また、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜であってもよい。製法が簡便である点では積層体が好ましく、上記有機半導体又は上記無機半導体中の電荷分離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましい。
上記薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜である場合、上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
上記光電変換層は、光電変換層形成後に熱アニール(加熱処理)が施されていることが好ましい。熱アニール(加熱処理)を施すことにより、光電変換層中の有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができ、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)をより抑制することができる。
上記熱アニール(加熱処理)を行う場合、上記光電変換層を加熱する温度は特に限定されないが、100℃以上、250℃未満であることが好ましい。上記加熱温度が100℃以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加熱温度が250℃未満であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。より好ましい加熱温度は、120℃以上、200℃以下である。また、加熱時間も特に限定されないが、3分以上、2時間以内であることが好ましい。上記加熱時間が3分以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加熱時間が2時間以内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。
これらの加熱操作は真空又は不活性ガス下で行われることが好ましく、露点温度は10℃以下が好ましく、7.5℃以下がより好ましく、5℃以下が更に好ましい。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられる。具体的には例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、トリフェニルアミン骨格、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物等が挙げられる。更に、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸、CuSCN、CuI等の銅化合物、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン含有材料等が挙げられる。
上記ホール輸送層は、その一部が上記光電変換層に浸漬していてもよい(上記光電変換層と入り組んだ構造を形成していてもよい)し、上記光電変換層上に薄膜状に配置されてもよい。上記ホール輸送層が薄膜状に存在する時の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記陽極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。なお、上記陽極は、パターニングされた電極であることが多い。陽極材料として、例えば、金等の金属、CuI、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)等の導電性透明材料又は導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の太陽電池は、更に、基板等を有していてもよい。上記基板は特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板、金属基板等が挙げられる。
本発明の太陽電池においては、上述したような陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極をこの順に有する積層体が、バリア層で封止されていてもよい。
上記バリア層の材料としてはバリア性を有していれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、無機材料等が挙げられる。上記バリア層の材料は、上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と、上記無機材料との組み合わせでもよい。
上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。また、ブチルゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリイソブチレン等が挙げられる。
上記バリア層の材料が熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である場合、バリア層(樹脂層)の厚みは、好ましい下限が100nm、好ましい上限が100000nmである。上記厚みのより好ましい下限は500nm、より好ましい上限は50000nmであり、更に好ましい下限は1000nm、更に好ましい上限は20000nmである。
上記無機材料としては、Si、Al、Zn、Sn、In、Ti、Mg、Zr、Ni、Ta、W、Cu若しくはこれらを2種以上含む合金の酸化物、窒化物又は酸窒化物が挙げられる。なかでも、上記バリア層に水蒸気バリア性及び柔軟性を付与するために、Zn、Snの両金属元素を含む金属元素の酸化物、窒化物又は酸窒化物が好ましい。
上記バリア層の材料が無機材料である場合、バリア層(無機層)の厚みは、好ましい下限が30nm、好ましい上限が3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、上記無機層が充分な水蒸気バリア性を有することができ、太陽電池の耐久性が向上する。上記厚みが3000nm以下であれば、上記無機層の厚みが増した場合であっても、発生する応力が小さいため、上記無機層と上記積層体との剥離を抑制することができる。上記厚みのより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は100nm、更に好ましい上限は500nmである。
なお、上記無機層の厚みは、光学干渉式膜厚測定装置(例えば、大塚電子社製のFE−3000等)を用いて測定することができる。
上記バリア層の材料のうち、上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂で上記積層体を封止する方法は特に限定されず、例えば、シート状のバリア層の材料を用いて上記積層体をシールする方法等が挙げられる。また、バリア層の材料を有機溶媒に溶解させた溶液を上記積層体に塗布する方法、バリア層となる液状モノマーを上記積層体に塗布した後、熱又はUV等で液状モノマーを架橋又は重合させる方法、バリア層の材料に熱をかけて融解させた後に冷却させる方法等が挙げられる。
上記バリア層の材料のうち、上記無機材料で上記積層体を封止する方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、イオンプレーティング法が好ましい。なかでも、緻密な層を形成するためにはスパッタリング法が好ましく、スパッタリング法のなかでもDCマグネトロンスパッタリング法がより好ましい。
上記スパッタリング法においては、金属ターゲット、及び、酸素ガス又は窒素ガスを原料とし、上記積層体上に原料を堆積して製膜することにより、無機材料からなる無機層を形成することができる。
上記バリア層は、例えば樹脂フィルム、無機材料を被覆した樹脂フィルム等のその他の材料で覆われていてもよい。これにより、仮に上記バリア層にピンホールがあった場合にも充分に水蒸気をブロックすることができ、太陽電池の耐久性をより向上させることができる。
図2は、本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す太陽電池1は、陰極2上に電子輸送層3(薄膜状の電子輸送層31と多孔質状の電子輸送層32)、光電変換層4、ホール輸送層5及び陽極6がこの順に積層されたものである。光電変換層4は、表面41a及び表面41bの両方に多孔質構造を有する。このような光電変換層4を有することにより、太陽電池1は、光電変換効率に優れたものとなる。なお、図2に示す太陽電池1において、陽極6はパターニングされた電極である。
本発明の太陽電池を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記基板上に上記陰極、上記電子輸送層、上記光電変換層、上記ホール輸送層及び上記陽極をこの順で形成する方法等が挙げられる。
上記光電変換層を形成する方法は特に限定されず、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法、印刷法等が挙げられる。なかでも、印刷法を採用することで、高い光電変換効率を発揮できる太陽電池を大面積で簡易に形成することができる。印刷法として、例えば、スピンコート法、キャスト法等が挙げられ、印刷法を用いた方法としてロールtoロール法等が挙げられる。両側の表面に多孔質構造を有する光電変換層を形成する方法としては、例えば、上述したような方法(A)、方法(B)等を用いることができる。
本発明によれば、光電変換効率に優れた太陽電池を提供することができる。
有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。 本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。 実施例1で得られた太陽電池の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面観察した写真である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ガラス基板上に、厚み200nmのアルミニウム膜、厚み50nmのモリブデン膜を電子ビーム蒸着法により立て続けに製膜し、これを陰極とした。
次に、陰極の表面上に酸化チタンをスパッタリング装置(アルバック社製)を用いてスパッタすることで厚み30nmの薄膜状の電子輸送層を形成した。更に、薄膜状の電子輸送層上に、酸化チタンナノ粒子(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)のエタノール分散液をスピンコート法により塗布した後、200℃で10分間焼成し、厚み150nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
次いで、有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液として、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を溶媒としてCHNHIとPbIをモル比1:1で溶かし、CHNHIとPbIの合計重量濃度を20%に調整した。この溶液に、窒素原子を含む官能基を有するポリマーとしてポリアクリルアミド(平均重合度50)を、CHNHIとPbIの合計重量100重量%に対して2重量%となるように添加した。この溶液を電子輸送層上にスピンコート法によって積層した後、100℃で10分間焼成し、光電変換層を形成した。
なお、CHNHIとPbIから有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造が形成されるにつれて、ポリアクリルアミドは層の上部表面部分に偏在することとなり、電子輸送層側の表面に多孔質構造を有し、かつ、上部表面部分にも多孔質構造を有する光電変換層が得られた。
次いで、光電変換層上に、クロロベンゼン1mLにSpiro−OMeTAD(スピロビフルオレン骨格を有する)を68mM、t−ブチルピリジンを55mM、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド・銀塩を9mM溶解させた溶液をスピンコート法により塗布して、厚み150nmのホール輸送層を形成した。
得られたホール輸送層上に、スパッタリング装置(アルバック社製)を用いてスパッタすることで陽極として厚み200nmのITO膜を形成し、陰極/電子輸送層/光電変換層/ホール輸送層/陽極が積層された太陽電池を得た。
得られた太陽電池の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)を用いて断面観察し、光電変換層が両側の表面に多孔質構造を有することを確認した。なお、図3は、実施例1で得られた太陽電池の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面観察した写真である。また、電子輸送層側の表面及びホール輸送層側の表面において、多孔質構造となっている面積に対する電子輸送層又はホール輸送層の面積(電子輸送層又はホール輸送層により満たされた面積)の割合を算出することにより、多孔質構造を有する部位の空隙率及び厚さを求めた。
なお、上記面積の計算において、上記多孔質構造部位の始まり及び終わりは以下の方法で決定した。まず、上記走査型電子顕微鏡で撮影した断面画像上に太陽電池の厚み方向と垂直な直線を引いた。直線を画像の陽極側から陰極側へ平行移動させていき、光電変換層が上記直線と初めて接したときの上記直線上の位置を上記多孔質構造部位の始まりとし、ホール輸送層と最後に接したときの上記直線上の位置を上記多孔質構造の終わりとした。また、電子輸送層側の上記多孔質構造部位については、電子輸送層が上記直線と初めてと接したときの上記直線上の位置を上記多孔質構造部位の始まりとし、光電変換層と最後に接したときの上記直線上の位置を上記多孔質構造の終わりとした。
(実施例2〜16)
使用した多孔質構造形成用添加剤の種類及び濃度を変更することで、多孔質構造を有する部位の空隙率及び厚さを表1に示したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
(比較例1)
薄膜状の電子輸送層上に多孔質状の電子輸送層を形成しなかったこと、及び、有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液にポリアリルアミン(平均重合度5)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。得られた光電変換層は、いずれの表面にも多孔質構造を有していなかった。
(比較例2)
有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液にポリアリルアミン(平均重合度5)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。得られた光電変換層は、電子輸送層側の表面にのみ多孔質構造を有していた。
(比較例3)
薄膜状の電子輸送層上に多孔質状の電子輸送層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。得られた光電変換層は、ホール輸送層側の表面にのみ多孔質構造を有していた。
<評価>
実施例及び比較例で得られた太陽電池について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
(1)光電変換効率の評価
太陽電池の電極間に電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて電流−電圧曲線を描画し、光電変換効率を算出した。
得られた光電変換効率が、比較例1で得られた光電変換効率と比べて120%以上であった場合を◎、120%未満100%以上であった場合を〇、100%未満90%以上であった場合を△、90%未満であった場合を×とした。
Figure 2019181673
本発明によれば、光電変換効率に優れた太陽電池を提供することができる。
1 太陽電池
2 陰極
3 電子輸送層
31 薄膜状の電子輸送層
32 多孔質状の電子輸送層
4 光電変換層
41a,41b 光電変換層の表面
5 ホール輸送層
6 陽極(パターニングされた電極)

Claims (3)

  1. 陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極をこの順に有する太陽電池であって、
    前記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
    前記光電変換層は、両側の表面に多孔質構造を有する
    ことを特徴とする太陽電池。
  2. 光電変換層は、両側の表面における多孔質構造を有する部位の厚みが50nm以上であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  3. 光電変換層は、両側の表面における多孔質構造を有する部位の空隙率が10%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池。
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