JP7431722B2 - 太陽電池 - Google Patents

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    • Y02E10/549Organic PV cells

Description

本発明は、光電変換効率が高く、耐熱性に優れた太陽電池に関する。
従来から、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体(光電変換層)を備えた太陽電池が開発されている。このような太陽電池では、光励起により光キャリア(電子-ホール対)が生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。
現在、実用化されている太陽電池の多くは、シリコン等の無機半導体を用いて製造される無機太陽電池である。しかしながら、無機太陽電池は製造にコストがかかるうえ大型化が困難である。
近年、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有するペロブスカイト太陽電池が注目されている。ペロブスカイト太陽電池は、高い光電変換効率が期待できるうえに、印刷法によって製造できることから、大型の太陽電池であっても製造コストを大幅に削減して製造できるとされている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
特開2014-72327号公報
M.M.Lee,et al,Science,2012,338,643
ペロブスカイト太陽電池においては、光電変換層と陽極との間にホール輸送層を設けることが多い。ホール輸送層は、光励起により生じた電子とホールが再接合することなく効率的に移動するようにして、太陽電池の光電変換効率を向上させる役割を発揮する。ホール輸送層には、添加材として、例えばリチウム-ビストリフルオロメタンスルホニルイミド(Li-TFSI)等を配合することが検討されている。Li-TFSI等を添加することにより、より高い光電変換効率を達成することができる。しかしながら、Li-TFSI等を添加すると太陽電池の耐熱性が低下するという問題があり、その原因としてはリチウム等の金属が他の層へと分子拡散することが考えられていた。
本発明は、光電変換効率が高く、耐熱性に優れた太陽電池を提供することを目的とする。
本発明は、陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極を含む構造を有する太陽電池であって、前記光電変換層は、一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、前記電子輸送層と前記光電変換層との界面(a)及び/又は前記ホール輸送層中(b)に、高分子アニオンの金属塩を含む太陽電池である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極を含む構造を有する太陽電池において、ホール輸送層にLi-TFSI等を添加した際のリチウム等の金属の分子拡散状態(即ち、分布)について詳細に分析し、リチウム等の金属の分子拡散状態が太陽電池の性能に与える影響について検討した。その結果、[1]リチウム等の金属は、ホール輸送層以外の領域にも存在していること、[2]リチウム等の金属が特に電子輸送層と光電変換層との界面(a)及び/又はホール輸送層中(b)に局在することにより、より高い光電変換効率を達成できることが明らかとなった。リチウム等の金属が特に電子輸送層と光電変換層との界面(a)及び/又はホール輸送層中(b)に局在することでより高い光電変換効率を達成できる理由としては、電子輸送層表面の欠陥を補修する効果と、ホール輸送層のキャリア密度を充分に高くする効果とがあるためだと考えられる。また、一方で、[3]有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層においてリチウム等の金属の濃度が高くなると、太陽電池の耐熱性が低下することも明らかとなった。
上記知見に基づき、本発明者らは、電子輸送層と光電変換層との界面(a)及び/又はホール輸送層中(b)に、分子拡散しにくいと考えられる高分子アニオンの金属塩を含有させることを検討した。本発明者らは、このような太陽電池とすることにより、電子輸送層と光電変換層との界面(a)及び/又はホール輸送層中(b)に高分子アニオンの金属塩を局在させつつ、高分子アニオンの金属塩が光電変換層に分子拡散することを抑えることができ、光電変換効率が高く、耐熱性に優れた太陽電池が得られることを見出した。これにより、本発明を完成させるに至った。
本発明の太陽電池は、陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極を含む構造を有する。
なお、本明細書中、「層」とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、太陽電池の断面のFE-TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
上記陰極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。陰極材料として、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられる。具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物等が挙げられる。また、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。なかでも、高分子アニオンの金属塩との親和性が比較的高く、高分子アニオンの金属塩が上記光電変換層に分子拡散することを抑えやすいことから、金属酸化物が好ましい。
上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層のみからなっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜である場合、より複雑な複合膜(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質状の電子輸送層上に複合膜が製膜されていることが好ましい。
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層は、一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む。
上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
上記Rは有機分子であり、C(l、m、nはいずれも正の整数)で示されることが好ましい。
上記Rは、具体的には例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、イミダゾリン、カルバゾール、メチルカルボキシアミン、エチルカルボキシアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン、ヘキシルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン、アニリン、ピリジン及びこれらのイオンやフェネチルアンモニウム等が挙げられる。上記イオンとしては、例えば、メチルアンモニウム(CHNH)等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンがより好ましい。なかでも、高い光電変換効率が得られることから、メチルアミン、ホルムアミジニウム及びこれらのイオンが更に好ましい。
上記Mは金属原子であり、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。なかでも、電子軌道の重なりの観点から、鉛又はスズが好ましい。これらの金属原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらのハロゲン原子又はカルコゲン原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、構造中にハロゲンを含有することで、上記有機無機ペロブスカイト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能になることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素がより好ましい。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造を有することが好ましい。
図4は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造である、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。詳細は明らかではないが、上記構造を有することにより、結晶格子内の八面体の向きが容易に変わることができるため、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり太陽電池の光電変換効率が向上すると推定される。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、結晶性半導体であることが好ましい。結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味している。
上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であれば、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制されやすくなる。
また、結晶化の指標として結晶化度を評価することもできる。結晶化度は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶部分の比を算出することにより求めることができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度の好ましい下限は30%である。上記結晶化度が30%以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。また、上記結晶化度が30%以上であれば、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制されやすくなる。上記結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
また、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を上げる方法として、例えば、熱アニール(加熱処理)、レーザー等の強度の強い光の照射、プラズマ照射等が挙げられる。
また、他の結晶化の指標として結晶子径を評価することもできる。結晶子径は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークの半値幅からhalder-wagner法で算出することができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶子径の好ましい下限は5nmである。上記結晶子径が5nm以上であれば、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制される。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記結晶子径のより好ましい下限は10nm、更に好ましい下限は20nmである。
上記光電変換層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、更に、有機半導体又は無機半導体を含んでいてもよい。
上記有機半導体として、例えば、ポリ(3-アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物や、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含有材料も挙げられる。
上記無機半導体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、CuSCN、CuO、CuI、MoO、V、WO、MoS、MoSe、CuS等が挙げられる。
上記光電変換層は、上記有機無機ペロブスカイト化合物と上記有機半導体又は上記無機半導体とを含む場合、薄膜状の有機半導体又は無機半導体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層体であってもよいし、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜であってもよい。製法が簡便である点では積層体が好ましく、上記有機半導体又は上記無機半導体中の電荷分離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましい。
上記薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜である場合、上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
上記光電変換層は、光電変換層形成後に熱アニール(加熱処理)が施されていることが好ましい。熱アニール(加熱処理)を施すことにより、光電変換層中の有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができ、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)をより抑制することができる。
上記熱アニール(加熱処理)を行う場合、上記光電変換層を加熱する温度は特に限定されないが、100℃以上、250℃未満であることが好ましい。上記加熱温度が100℃以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加熱温度が250℃未満であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。より好ましい加熱温度は、120℃以上、200℃以下である。また、加熱時間も特に限定されないが、3分以上、2時間以内であることが好ましい。上記加熱時間が3分以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加熱時間が2時間以内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。
これらの加熱操作は真空又は不活性ガス下で行われることが好ましく、露点温度は10℃以下が好ましく、7.5℃以下がより好ましく、5℃以下が更に好ましい。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられる。具体的には例えば、ポリ(3-アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、トリフェニルアミン骨格、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物等が挙げられる。更に、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸、CuSCN、CuI等の銅化合物、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン含有材料等が挙げられる。なかでも、高分子アニオンの金属塩との親和性が比較的高く、高分子アニオンの金属塩が上記光電変換層に分子拡散することを抑えやすいことから、P型導電性高分子又はP型低分子有機半導体が好ましい。
上記ホール輸送層は、その一部が上記光電変換層に浸漬していてもよい(上記光電変換層と入り組んだ構造を形成していてもよい)し、上記光電変換層上に薄膜状に配置されてもよい。上記ホール輸送層が薄膜状に存在する時の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明の太陽電池は、上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)及び/又は上記ホール輸送層中(b)に、高分子アニオンの金属塩を含む。
分子拡散しにくいと考えられる高分子アニオンの金属塩を含有させることにより、上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)及び/又は上記ホール輸送層中(b)に高分子アニオンの金属塩を局在させつつ、高分子アニオンの金属塩が上記光電変換層に分子拡散することを抑えることができる。これにより、太陽電池の光電変換効率が向上するとともに、耐熱性も向上する。なお、高分子アニオンの金属塩の上記光電変換層への移行の可能性は、以下のようにまとめられる。
(i)高分子アニオンの重量平均分子量が小さいほど移行しやすく、大きいほど移行しにくい。
(ii)ホール輸送層中の高分子アニオンの金属塩は、ホール輸送層形成時に焼成を行わない場合には移行しやすく、焼成を行う場合には移行しにくい。また、焼成を行う場合にでも、前焼成のみを行う場合よりも、前焼成と後焼成とを行う場合の方が移行しにくい。
上記高分子アニオンの重量平均分子量の好ましい下限は2000、好ましい上限は100万である。上記高分子アニオンの重量平均分子量がこの範囲であることにより、上記高分子アニオンの金属塩がより分子拡散しにくくなるため、太陽電池の光電変換効率が向上するとともに、耐熱性も向上する。上記高分子アニオンの重量平均分子量のより好ましい下限は4000、より好ましい上限は50万であり、更に好ましい下限は5000、更に好ましい上限は10万である。
なお、本明細書において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、HSPgel RT MB-M(ウォーターズコーポレーション社製)等が挙げられる。また、GPCで用いる溶媒としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記高分子アニオンは特に限定されず、例えば、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド等に由来する構成単位を有する重合体又は共重合体のアニオンが挙げられる。なかでも、高い酸性度を発現することができることから、スチレン誘導体に由来する構成単位を有する重合体又は共重合体のアニオンが好ましい。このような重合体又は共重合体のアニオンとして、具体的には例えば、ポリスチレンスルホン酸のアニオンが挙げられる。
また、上記高分子アニオンとしては、フッ素原子を含み、ヘテロ原子に電子吸引性基が結合した構造の構成単位を有するフッ素含有重合体のアニオン(本明細書中、「フッ素含有重合体アニオン」ともいう)も好ましい。
酸性度が大きいヘテロ原子を有するフッ素含有重合体アニオンが、上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)及び/又は上記ホール輸送層中(b)に局在することにより、光励起により生じた電子とホールが再接合することなく効率的に移動するようになり、太陽電池の光電変換効率が向上すると考えられる。上記フッ素含有重合体アニオンの金属塩は、フッ素原子を含有することにより容易に有機溶媒に溶解し易くなり、上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)及び/又は上記ホール輸送層中(b)への配合が容易である。
上記ヘテロ原子は特に限定されず、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。なかでも、窒素原子、硫黄原子が好ましく、窒素原子がより好ましい。
上記電子吸引性基は、上記ヘテロ原子に1つ結合してもよく、2つ以上結合してもよい。上記電子吸引性基は特に限定されず、例えば、スルホニル基、スルフィド基、チオエステル基、チオケトン基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、スルフィニル基、ホスホニル基等が挙げられる。これらの電子吸引性基は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、スルホニル基がより好ましい。
上記フッ素原子の少なくとも1つは、上記電子吸引性基又は上記電子吸引性基のα位に結合していることが好ましい。
上記フッ素含有重合体アニオンは、上記電子吸引性基に結合した共役環式骨格を有していることが好ましい。上記電子吸引性基に結合した共役環式骨格を有することで、上記ヘテロ原子の酸性度が大きくなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。具体的には、上記フッ素含有重合体アニオンのpKaが3以下であることが好ましい。
上記フッ素含有重合体アニオンは、下記一般式(X)で表される、フッ素原子を含み、ヘテロ原子に電子吸引性基が結合した構造を有することが好ましい。
Figure 0007431722000001
一般式(X)中、R及びRは、電子吸引性基を表し、Rは、フッ素原子を含む基を表す。R及びRは、同じであっても異なっていてもよい。R及びRで表される電子吸引性基としては、上述したような電子吸引性基が挙げられる。Rで表されるフッ素原子を含む基は特に限定されないが、フッ素原子、或いは、一部又は全ての水素がフッ素で置換されたアルキル基又はアリール基が好ましい。
上記フッ素含有重合体アニオンとしては、具体的には例えば、下記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体等が挙げられる。
Figure 0007431722000002
一般式(1)中、Rは、フッ素原子を含む基を表し、mは、2以上の整数を表す。Rで表されるフッ素原子を含む基は特に限定されないが、フッ素原子、或いは、一部又は全ての水素がフッ素で置換されたアルキル基又はアリール基が好ましい。
なお、上記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体は、全ての構成単位が上記一般式(1)で表される構成単位である必要はなく、上記一般式(1)で表される構成単位を含んでいれば、他の構成単位を含んでいてもよい。
上記他の構成単位は特に限定されず、例えば、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド等に由来する構成単位が挙げられる。
上記フッ素含有重合体アニオンを合成する方法としては、例えば、フッ素原子を含み、ヘテロ原子に電子吸引性基が結合した構造を有するモノマーを重合する方法が挙げられる。また、フッ素原子もヘテロ原子に電子吸引性基が結合した構造も有さないモノマーを重合した後に、フッ素原子とヘテロ原子に電子吸引性基が結合した構造とを化学反応により付加させる方法も挙げられる。
上記高分子アニオンの金属塩は特に限定されず、例えば、高分子アニオンのアルカリ金属塩、高分子アニオンのアルカリ土類金属塩等が挙げられる。上記アルカリ金属塩として、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩等が挙げられる。上記アルカリ土類金属塩として、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。なかでも、太陽電池の光電変換効率が向上することから、アルカリ金属塩が好ましい。更に、太陽電池の光電変換効率が向上するから、リチウム塩又はナトリウム塩がより好ましい。
上記高分子アニオンの金属塩は、上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)のみに含まれていてもよいし、上記ホール輸送層中(b)のみに含まれていてもよいし、上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)及び上記ホール輸送層中(b)の両方に含まれていてもよい。
上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)に上記高分子アニオンの金属塩が含まれているとは、上記電子輸送層の上記光電変換層側のごく表面に上記高分子アニオンの金属塩が含まれていることを意味する。なお、ここでごく表面とは、電子輸送層表面から厚み方向へ10nm以内の領域を意味する。
上記電子輸送層の上記光電変換層側のごく表面における上記高分子アニオンの金属塩の含有量は特に限定さないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は10重量%である。上記高分子アニオンの金属塩の含有量が0.1重量%以上であれば、より高い光電変換効率を達成できる。上記高分子アニオンの金属塩の含有量が10重量%以下であれば、上記光電変換層に分子拡散する上記高分子アニオンの金属塩の量が抑えられ、太陽電池の耐熱性がより向上する。上記電子輸送層の上記光電変換層側のごく表面における上記高分子アニオンの金属塩の含有量のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は5重量%である。
上記ホール輸送層中(b)の上記高分子アニオンの金属塩の含有量は特に限定さないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は30重量%である。上記高分子アニオンの金属塩の含有量が0.1重量%以上であれば、より高い光電変換効率を達成できる。上記高分子アニオンの金属塩の含有量が30重量%以下であれば、上記光電変換層に分子拡散する上記高分子アニオンの金属塩の量が抑えられ、太陽電池の耐熱性がより向上する。上記ホール輸送層中(b)の上記高分子アニオンの金属塩の含有量のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は10重量%である。
本発明の太陽電池は、上記有機無機ペロブスカイト化合物を表す一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)における金属原子Mが鉛であり、上記高分子アニオンの金属塩が高分子アニオンのリチウム塩である場合に、次のことを満たすことが好ましい。即ち、以下の手順(A)~(C)にて作成したグラフにおいて、Pb(N)のピークの前、及び/又は、Pb(N)のピークの後にLi(N)のピークが存在し、かつ、Pb(N)がピークを示すときのNをαとしたとき、Li(α)の値が0.2以下であることが好ましい。
<手順>
(A)陽極側の表面においてn回(nは0を含む整数)のスパッタリングを行う。同時に、スパッタリング毎に飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて該表面におけるリチウムイオン強度とトータルイオン強度の比(リチウムイオン強度/トータルイオン強度)Li(n)と、鉛イオン強度とトータルイオン強度の比(鉛イオン強度/トータルイオン強度)Pb(n)を測定する。
(B)前記(A)で得られたnとLi(n)及びPb(n)との関係をもとに、スパッタリング累積時間Nと、該累積時間Nにおけるリチウムイオン強度とトータルイオン強度の比(リチウムイオン強度/トータルイオン強度)Li(N)と、鉛イオン強度とトータルイオン強度の比(鉛イオン強度/トータルイオン強度)Pb(N)を算出する。
(C)スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしてグラフを作成する。
手順(A)では、まず、陽極側の表面においてn回(nは0を含む整数)のスパッタリングを行う。同時に、スパッタリング毎にTOF-SIMSを用いて該表面におけるリチウムイオン強度とトータルイオン強度の比Li(n)と、鉛イオン強度とトータルイオン強度の比Pb(n)測定する。これにより、太陽電池の陽極側の表面から深さ方向のリチウム元素及び鉛元素の分布を求めることができる。なお、リチウム元素は上記高分子アニオンのリチウム塩に由来するものであり、鉛元素は上記有機無機ペロブスカイト化合物の金属原子Mに由来するものである。
飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)は、固体試料にイオンビーム(一次イオン)を照射し、表面から放出されるイオン(二次イオン)を、その飛行時間差(飛行時間は重さの平方根に比例)を利用して質量分離する方法である。TOF-SIMSでは、試料表面から1nm以下の深さに存在する元素や分子種に関する情報を高い検出感度で得ることができる。
TOF-SIMSに用いる分析装置としては、例えば、アルバック・ファイ社製「PHI nanoTOFII」等の市販品が挙げられる。
市販のTOF-SIMS分析装置を用いて太陽電池の陽極側の表面のリチウムイオン強度、鉛イオン強度及びトータルイオン強度を測定するためには、例えば、Bi イオンガンを測定用の一次イオン源とし、30keVの条件の条件にて測定すればよい。
スパッタリングは、真空中でアルゴン等の不活性ガスを導入し、ターゲットにマイナスの電圧を印加してグロー放電を発生させ、不活性ガス原子をイオン化し、高速でターゲットの表面にガスイオンを衝突させて激しく叩くものであり、ターゲットの表面をナノメートル~マイクロメートルオーダーの深さで研削していくことができる。
具体的には例えば、O を用いてスパッタリングを行うことにより、0.01nm~10nm/回の深さで光電変換層の表面を掘り進んでいくことができる。
手順(B)では、上記(A)で得られたnとLi(n)及びPb(n)との関係をもとに、スパッタリング累積時間Nと、該累積時間Nにおけるリチウムイオン強度とトータルイオン強度の比Li(N)と、鉛イオン強度とトータルイオン強度の比Pb(N)を算出する。スパッタリング累積時間Nが長いほど、太陽電池の陽極側の表面から深い部分の測定が行われる。
そして、手順(C)では、上記(B)で得られたスパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしてグラフを作成する。
上記(A)~(C)の手順にて作成したグラフにおいて、鉛元素は上記有機無機ペロブスカイト化合物の金属原子Mに由来するものであるため、Pb(N)のピークは、上記光電変換層にて現れるものである。従って、太陽電池の陽極側の表面から測定した際にPb(N)のピークの前にLi(N)のピークが存在するとは、上記ホール輸送層中(b)にリチウム元素、即ち、上記高分子アニオンのリチウム塩が高濃度で存在していることを意味する。また、Pb(N)のピークの後にLi(N)のピークが存在するとは、上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)にリチウム元素、即ち、上記高分子アニオンのリチウム塩が高濃度で存在していることを意味する。また、Pb(N)がピークを示すときのNをαとしたとき、Li(α)の値が0.2以下であるとは、上記光電変換層においてはリチウム元素の濃度が一定値以下であり、濃度が低いことを意味する。
このように上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)及び/又は上記ホール輸送層中(b)に高分子アニオンの金属塩が局在し、かつ、高分子アニオンの金属塩が上記光電変換層に分子拡散することが抑えられていることにより、太陽電池の光電変換効率が向上するとともに、耐熱性も向上する。Li(α)の値は0.15以下がより好ましく、0.1以下が更に好ましい。
上記陽極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。なお、上記陽極は、パターニングされた電極であることが多い。陽極材料として、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)、BZO(ホウ素亜鉛酸化物)等の導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の太陽電池は、更に、基板等を有していてもよい。上記基板は特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板、金属基板等が挙げられる。
本発明の太陽電池においては、上述したような陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極を含む構造の積層体が、バリア層で封止されていてもよい。
上記バリア層の材料としてはバリア性を有していれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、無機材料等が挙げられる。上記バリア層の材料は、上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と、上記無機材料との組み合わせでもよい。
上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。また、ブチルゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリイソブチレン等が挙げられる。
上記バリア層の材料が熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である場合、バリア層(樹脂層)の厚みは、好ましい下限が100nm、好ましい上限が100000nmである。上記厚みのより好ましい下限は500nm、より好ましい上限は50000nmであり、更に好ましい下限は1000nm、更に好ましい上限は20000nmである。
上記無機材料としては、Si、Al、Zn、Sn、In、Ti、Mg、Zr、Ni、Ta、W、Cu若しくはこれらを2種以上含む合金の酸化物、窒化物又は酸窒化物が挙げられる。なかでも、上記バリア層に水蒸気バリア性及び柔軟性を付与するために、Zn、Snの両金属元素を含む金属元素の酸化物、窒化物又は酸窒化物が好ましい。
上記バリア層の材料が無機材料である場合、バリア層(無機層)の厚みは、好ましい下限が30nm、好ましい上限が3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、上記無機層が充分な水蒸気バリア性を有することができ、太陽電池の耐熱性が向上する。上記厚みが3000nm以下であれば、上記無機層の厚みが増した場合であっても、発生する応力が小さいため、上記無機層と上記積層体との剥離を抑制することができる。上記厚みのより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は100nm、更に好ましい上限は500nmである。
なお、上記無機層の厚みは、光学干渉式膜厚測定装置(例えば、大塚電子社製のFE-3000等)を用いて測定することができる。
上記バリア層の材料のうち、上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂で上記積層体を封止する方法は特に限定されず、例えば、シート状のバリア層の材料を用いて上記積層体をシールする方法等が挙げられる。また、バリア層の材料を有機溶媒に溶解させた溶液を上記積層体に塗布する方法、バリア層となる液状モノマーを上記積層体に塗布した後、熱又はUV等で液状モノマーを架橋又は重合させる方法、バリア層の材料に熱をかけて融解させた後に冷却させる方法等が挙げられる。
上記バリア層の材料のうち、上記無機材料で上記積層体を封止する方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、イオンプレーティング法が好ましい。なかでも、緻密な層を形成するためにはスパッタリング法が好ましく、スパッタリング法のなかでもDCマグネトロンスパッタリング法がより好ましい。
上記スパッタリング法においては、金属ターゲット、及び、酸素ガス又は窒素ガスを原料とし、上記積層体上に原料を堆積して製膜することにより、無機材料からなる無機層を形成することができる。
上記バリア層は、例えば樹脂フィルム、無機材料を被覆した樹脂フィルム等のその他の材料で覆われていてもよい。これにより、仮に上記バリア層にピンホールがあった場合にも充分に水蒸気をブロックすることができ、太陽電池の耐熱性をより向上させることができる。
図5は、本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示す太陽電池1は、陰極2上に電子輸送層3(薄膜状の電子輸送層31と多孔質状の電子輸送層32)、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層4、ホール輸送層5及び陽極6がこの順に積層されたものである。図示しないが、高分子アニオンの金属塩は、電子輸送層3と光電変換層4との界面及び/又はホール輸送層5中に含まれている。なお、図5に示す太陽電池1において、陽極6はパターニングされた電極である。
本発明の太陽電池を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記基板上に上記陰極、上記電子輸送層、上記光電変換層、上記ホール輸送層及び上記陽極をこの順で形成する方法等が挙げられる。
上記電子輸送層と上記光電変換層との界面(a)に上記高分子アニオンの金属塩を含有させる方法、即ち、上記電子輸送層の上記光電変換層側のごく表面に上記高分子アニオンの金属塩を含有させる方法は特に限定されないが、次の方法が挙げられる。即ち、上記高分子アニオンの金属塩を溶解した水溶液を調製し、その水溶液中に上記電子輸送層を浸漬する。
上記ホール輸送層中(b)に上記高分子アニオンの金属塩を含有させる方法は特に限定されないが、次の方法が挙げられる。即ち、上記ホール輸送層を形成するための塗工液中に上記高分子アニオンの金属塩を溶解させて、上記ホール輸送層を形成する。
本発明によれば、光電変換効率が高く、耐熱性に優れた太陽電池を提供することができる。
実施例1において手順(A)~(C)にて作成した、スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしたグラフである。 実施例12において手順(A)~(C)にて作成した、スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしたグラフである。 比較例2において手順(A)~(C)にて作成した、スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしたグラフである。 有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。 本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(高分子アニオンの金属塩の合成)
(1)Li-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドの合成
p-スチレンスルホン酸15gと、塩化チオニル30mLとをDMF70mL中で3時間反応させ、その後、分液によってスチレンスルホニルクロリドを得た。その後、トリエチルアミン13mLにジメチルアミノピリジン0.23gを添加して得られた溶液の中に、上記で得られたスチレンスルホニルクロリドとトリフルオロメタンスルホンアミド10gとを添加して反応させ、その後、更に酸化銀を17g添加して沈殿物を得ることで、フッ素原子を含むモノマーを得た。
その後、アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として、アルゴン雰囲気下、上記で得られたフッ素原子を含むモノマーを65℃で18時間反応させた。これにより、上記一般式(1)においてRがCFである、下記式で表されるフッ素含有重合体アニオン(式中、mは、2以上の整数を表す)の銀塩、即ちポリ(N-スチレンスルホニル-トリフルオロメタンスルホンイミド)(PSTFSI)の銀塩を得た。
Figure 0007431722000003
得られたフッ素含有重合体アニオンの銀塩に純水と炭酸リチウムとを添加し、15分攪拌した。析出物を取り除いた後、エバポレーターにて水を揮発させ、Li-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドを得た。
Li-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドについて、カラムとしてHSPgel RT MB-M(ウォーターズコーポレーション社製)を、溶媒としてジメチルスルホキシドを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により重量平均分子量を測定したところ、20万であった。
(2)Na-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドの合成
炭酸リチウムの代わりに炭酸ナトリウムを用いたこと以外はLi-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドと同様にして、Na-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドを得た。
(3)Mg-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドの合成
炭酸リチウムの代わりに炭酸マグネシウムを用いたこと以外はLi-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドと同様にして、Mg-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドを得た。
(4)K-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドの合成
炭酸リチウムの代わりに炭酸カリウムを用いたこと以外はLi-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドと同様にして、K-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドを得た。
(5)Li-ポリスチレンスルホン酸の合成
ポリスチレンスルホン酸水溶液に炭酸リチウムを加え、15分攪拌した。その後、エバポレーターにて水を揮発させ、Li-ポリスチレンスルホン酸を得た。
Li-ポリスチレンスルホン酸について、カラムとしてHSPgel RT MB-M(ウォーターズコーポレーション社製)を、溶媒としてジメチルスルホキシドを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により重量平均分子量を測定したところ、7万であった。
(6)Rb-ポリスチレンスルホン酸の合成
炭酸リチウムの代わりに炭酸ルビジウムを用いたこと以外はLi-ポリスチレンスルホン酸と同様にして、Rb-ポリスチレンスルホン酸を得た。
(7)Mg-ポリスチレンスルホン酸の合成
炭酸リチウムの代わりに炭酸マグネシウムを用いたこと以外はLi-ポリスチレンスルホン酸と同様にして、Mg-ポリスチレンスルホン酸を得た。
(8)Li-ポリアクリル酸の合成
ポリアクリル酸水溶液に炭酸リチウムを加え、15分攪拌した。その後エバポレーターにて水を揮発させ、Li-ポリアクリル酸を得た。
Li-ポリアクリル酸について、カラムとしてHSPgel RT MB-M(ウォーターズコーポレーション社製)を、溶媒としてジメチルスルホキシドを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により重量平均分子量を測定したところ、3万であった。
(実施例1)
(1)太陽電池の作製
ガラス基板上に、陰極として厚み1000nmのFTO膜を形成し、純水、アセトン、メタノールをこの順に用いて各10分間超音波洗浄した後、乾燥させてFTO膜からなる陰極を形成した。
得られた陰極の表面上に、2%に調整したチタンイソプロポキシドエタノール溶液をスピンコート法により塗布した後、400℃で10分間焼成し、厚み20nmの薄膜状の電子輸送層を形成した。更に、薄膜状の電子輸送層上に、有機バインダとしてのポリイソブチルメタクリレートと酸化チタン(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、500℃で10分間焼成し、厚み100nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒にPbIを溶解させた溶液を、上記電子輸送層上にスピンコートした。その後、CHNHIをイソプロパノールに溶解させた溶液をスピンコートし、150℃で5分焼成することにより400nmの厚みの光電変換層を形成した。
クロロベンゼン1mLに、上記で得られたLi-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドを1mg、t-ブチルピリジンを30μL、2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-メトキシフェニルアミン)-9,9’-スピロビフルオレン(Spiro-OMeTAD)を20mg溶解してホール輸送層形成用塗工液を調製した。上記光電変換層上に、ホール輸送層形成用塗工液をスピンコート法によって50nmの厚みになるように塗工した。ホール輸送層形成直後に100℃、10分の条件にて焼成を行い(前焼成)、ホール輸送層を形成した。
得られたホール輸送層上に、陽極として真空蒸着により厚み100nmのITO膜を形成し、陽極形成直後に100℃、10分の条件にて焼成を行い(後焼成)、陰極/電子輸送層/光電変換層/ホール輸送層/陽極が積層された太陽電池を得た。
(2)手順(A)~(C)の実施
上記(A)~(C)の手順を行った。
図1に、実施例1において手順(A)~(C)にて作成した、スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしたグラフを示す。
図1に示すグラフでは、太陽電池の陽極側の表面から測定した際、スパッタリング累積時間Nが進むに従って、Pb(N)のピークの前にLi(N)のピークが存在しており、ホール輸送層中にリチウム元素、即ち、Li-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドが高濃度で存在していた(Li(N)のピークの数=1)。また、Pb(N)がピークを示すときのNをαとしたときのLi(α)の値を求めたところ、0.1であり、光電変換層においてはリチウム元素の濃度が低かった。即ち、ホール輸送層中にLi-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドが局在し、かつ、Li-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドが光電変換層に分子拡散することは抑えられていたことが判った。
(実施例2~4)
ホール輸送層中の添加材を表1に示したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。その後、上記(A)~(C)の手順を行った。
(実施例5)
ガラス基板上に、陰極として厚み1000nmのFTO膜を形成し、純水、アセトン、メタノールをこの順に用いて各10分間超音波洗浄した後、乾燥させてFTO膜からなる陰極を形成した。
得られた陰極の表面上に、スパッタリングにて酸化チタンを成膜し、厚み20nmの薄膜状の電子輸送層を形成した。更に、薄膜状の電子輸送層上に、酸化チタン30mg(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とエタノール1mLとを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、100℃で10分間焼成し、厚み100nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。更に、上記で得られたLi-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドのエタノール溶液を多孔質状の電子輸送層上にスピンコート法により塗布した後、180℃で10分間焼成した。
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒にPbIを溶解させた溶液を、上記電子輸送層上にスピンコートした。その後、CHNHIをイソプロパノールに溶解させた溶液をスピンコートし、150℃で5分焼成することにより400nmの厚みの光電変換層を形成した。
クロロベンゼン1mLに、t-ブチルピリジンを30μL、2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-メトキシフェニルアミン)-9,9’-スピロビフルオレン(Spiro-OMeTAD)を20mg溶解してホール輸送層形成用塗工液を調製した。上記光電変換層上に、ホール輸送層形成用塗工液をスピンコート法によって50nmの厚みになるように塗工した。ホール輸送層形成直後に100℃、10分の条件にて焼成を行い(前焼成)、ホール輸送層を形成した。
得られたホール輸送層上に、陽極として真空蒸着により厚み100nmのITO膜を形成し、陽極形成直後に100℃、10分の条件にて焼成を行い(後焼成)、陰極/電子輸送層/光電変換層/ホール輸送層/陽極が積層された太陽電池を得た。その後、上記(A)~(C)の手順を行った。
(実施例6~11)
多孔質状の電子輸送層と光電変換層との界面の添加材を表1に示したように変更したこと以外は実施例4と同様にして、太陽電池を得た。その後、上記(A)~(C)の手順を行った。
(実施例12)
ホール輸送層中及び電子輸送層と光電変換層との界面の両方に表1に示した添加材を配合したこと以外は実施例1及び4と同様にして、太陽電池を得た。その後、上記(A)~(C)の手順を行った。
図2に、実施例12において手順(A)~(C)にて作成した、スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしたグラフを示す。
図2に示すグラフでは、太陽電池の陽極側の表面から測定した際、スパッタリング累積時間Nが進むに従って、Pb(N)のピークの前にLi(N)のピークが存在しており、ホール輸送層中にリチウム元素、即ち、Li-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドが高濃度で存在していた。また、Pb(N)のピークの後にもLi(N)のピークが存在しており、電子輸送層と光電変換層との界面にもリチウム元素、即ち、Li-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドが高濃度で存在していた(Li(N)のピークの数=2)。また、Pb(N)がピークを示すときのNをαとしたときのLi(α)の値を求めたところ、0.15であり、光電変換層においてはリチウム元素の濃度が低かった。即ち、ホール輸送層中及び電子輸送層と光電変換層との界面にLi-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドが局在し、かつ、Li-ポリスチレントリフルオロメタンスルホンイミドが光電変換層に分子拡散することは抑えられていたことが判った。
(比較例1~5)
ホール輸送層中の添加材、又は、多孔質状の電子輸送層と光電変換層との界面の添加材を表1に示したように変更したこと以外は実施例1又は4と同様にして、太陽電池を得た。その後、上記(A)~(C)の手順を行った。
図3に、比較例2において手順(A)~(C)にて作成した、スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしたグラフを示す。
図3に示すグラフでは、太陽電池の陽極側の表面から測定した際、スパッタリング累積時間Nが進むに従って、Pb(N)のピークの前にLi(N)のピークが存在しており、ホール輸送層中にリチウム元素、即ち、Li-ビストリフルオロメタンスルホンイミドが高濃度で存在していた。また、Pb(N)のピークの後にもLi(N)のピークが存在しており、電子輸送層と光電変換層との界面にもリチウム元素が高濃度で存在していた(Li(N)のピークの数=2)。また、Pb(N)がピークを示すときのNをαとしたときのLi(α)の値を求めたところ、0.25であり、光電変換層においてもリチウム元素の濃度が高かった。即ち、ホール輸送層中のリチウム元素が、分子拡散により、ホール輸送層中のみならず電子輸送層と光電変換層との界面にも局在し、光電変換層におけるリチウム元素の濃度も高いことが判った。
<評価>
実施例及び比較例で得られた太陽電池について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
(1)光電変換効率の評価
太陽電池の電極間に電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて電流-電圧曲線を描画し、光電変換効率(%)を算出した。
(2)耐熱性の評価
太陽電池を露点0℃以下の環境にある85℃のオーブンに投入した(耐熱試験)。耐熱試験前後において、上記と同様の方法にて光電変換効率を算出した。
耐熱試験後の光電変換効率が耐熱試験前の光電変換効率(初期変換効率)の90%以上の場合を「5」と、80%以上、90%未満の場合を「4」と、60%以上、80%未満の場合を「3」と、40%以上、60%未満の場合を「2」と、40%未満の場合を「1」と評価した。
Figure 0007431722000004
本発明によれば、光電変換効率が高く、耐熱性に優れた太陽電池を提供することができる。
1 太陽電池
2 陰極
3 電子輸送層
31 薄膜状の電子輸送層
32 多孔質状の電子輸送層
4 光電変換層
5 ホール輸送層
6 陽極(パターニングされた電極)

Claims (2)

  1. 陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極を含む構造を有する太陽電池であって、
    前記光電変換層は、一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
    前記電子輸送層と前記光電変換層との界面(a)及び前記ホール輸送層中(b)、又は、前記ホール輸送層中(b)に、高分子アニオンの金属塩を含み、
    前記有機無機ペロブスカイト化合物を表す一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)において、金属原子Mが鉛であり、
    前記高分子アニオンの金属塩は、高分子アニオンのリチウム塩であり、
    以下の手順(A)~(C)にて作成したグラフにおいて、Pb(N)のピークの前、又は、Pb(N)のピークの前及びPb(N)のピークの後にLi(N)のピークが存在し、かつ、Pb(N)がピークを示すときのNをαとしたとき、Li(α)の値が0.2以下である
    ことを特徴とする太陽電池。
    <手順>
    (A)陽極側の表面においてn回(nは0を含む整数)のスパッタリングを行う。同時に、スパッタリング毎に飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて該表面におけるリチウムイオン強度とトータルイオン強度の比(リチウムイオン強度/トータルイオン強度)Li(n)と、鉛イオン強度とトータルイオン強度の比(鉛イオン強度/トータルイオン強度)Pb(n)を測定する。
    (B)前記(A)で得られたnとLi(n)及びPb(n)との関係をもとに、スパッタリング累積時間Nと、該累積時間Nにおけるリチウムイオン強度とトータルイオン強度の比(リチウムイオン強度/トータルイオン強度)Li(N)と、鉛イオン強度とトータルイオン強度の比(鉛イオン強度/トータルイオン強度)Pb(N)を算出する。
    (C)スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしてグラフを作成する。
  2. 陰極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層及び陽極を含む構造を有する太陽電池であって、
    前記光電変換層は、一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
    前記電子輸送層と前記光電変換層との界面(a)に、高分子アニオンの金属塩を含み、
    前記有機無機ペロブスカイト化合物を表す一般式R-M-X (但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)において、金属原子Mが鉛であり、
    前記高分子アニオンの金属塩は、高分子アニオンのリチウム塩であり、
    以下の手順(A)~(C)にて作成したグラフにおいて、Pb(N)のピークの後にLi(N)のピークが存在し、かつ、Pb(N)がピークを示すときのNをαとしたとき、Li(α)の値が0.2以下である
    ことを特徴とする太陽電池。
    <手順>
    (A)陽極側の表面においてn回(nは0を含む整数)のスパッタリングを行う。同時に、スパッタリング毎に飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて該表面におけるリチウムイオン強度とトータルイオン強度の比(リチウムイオン強度/トータルイオン強度)Li(n)と、鉛イオン強度とトータルイオン強度の比(鉛イオン強度/トータルイオン強度)Pb(n)を測定する。
    (B)前記(A)で得られたnとLi(n)及びPb(n)との関係をもとに、スパッタリング累積時間Nと、該累積時間Nにおけるリチウムイオン強度とトータルイオン強度の比(リチウムイオン強度/トータルイオン強度)Li(N)と、鉛イオン強度とトータルイオン強度の比(鉛イオン強度/トータルイオン強度)Pb(N)を算出する。
    (C)スパッタリング累積時間Nを横軸に、各々の最大値を1として規格化したLi(N)及びPb(N)の値を縦軸にプロットしてグラフを作成する。
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