以下に、本発明の実施の形態にかかる空気調和システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和システム100の構成を示す模式図である。本実施の形態1にかかる空気調和システム100は、建物内に配置されて室内の空調を行うとともに互いに通信可能な複数の室内装置を備えた空気調和システムである。空気調和システム100は、1つの室外機3に対して複数の室内機4が備えられている構成を有するマルチ形空気調和機と、複数の換気装置5とを有する。すなわち、空気調和システム100は、複数の室内装置として複数の室内機4と、複数の換気装置5とを有する。
図1において、空気調和システム100は、室外に設置される室外機3と、室内に設置される複数の室内機4a,4b,…,4nと、建物内に設置される複数の換気装置5a,…,5mと、室内機用リモートコントローラ6a,6b,…,6nと、換気装置用リモートコントローラ7a,…,7mと、中央監視装置8とを備える。以下、室内機4a,4b,…,4nを個別に区別しない場合には、単に室内機4と呼ぶ。また、換気装置5a,…,5mを個別に区別しない場合には、単に換気装置5と呼ぶ。また、室内機用リモートコントローラ6a,6b,…,6nを個別に区別しない場合には、単にリモートコントローラ6と呼ぶ。また、換気装置用リモートコントローラ7a,…,7mを個別に区別しない場合には、単にリモートコントローラ7と呼ぶ。また、以下では、リモートコントローラをリモコンと呼ぶ場合がある。
空気調和システム100において、室外機3と、複数の室内機4a,4b,…,4nと、はマルチ形空気調和機を構成する。空気調和システム100において、室内機4および換気装置5は、室内装置を構成している。なお、室内機4および換気装置5は、室内装置の一例であり、室内装置はこれに限定されない。
室外機3と室内機4とは冷媒の流れる方向を切り替える分岐ユニット9を介して冷媒配管1で接続されている。一方、換気装置5は、温度調整機能がないため、冷媒配管1は接続されていない。室外機3、室内機4、換気装置5および中央監視装置8は、それぞれ互いに通信線2を介して接続されており、互いに通信可能とされている。
室外機3と各々の室内機4とは、室外機3と室内機4とで完結した冷凍サイクルを形成する空気調和機を構成している。複数の室内機4は、室外機3に対して並列に接続されている。空気調和機は、冷媒配管1を通って室内機4と室外機3との間を循環する冷媒を使用して、空調対象空間である室内の空気と室外の空気との間で熱移動を行い、室内に対する空気調和を実現している。すなわち、室内機4と室外機3とは冷媒配管1により接続されており、冷媒配管1中を流れる冷媒の圧力を室外機3の備える圧縮機により変化させて冷媒の吸熱、放熱により空気調和を行う。
室内機4とリモコン6とは、通信線21を介して有線通信可能とされている。リモコン6は、たとえば、室内機4の運転要求操作または停止要求操作、室内機4の暖房要求操作または冷房要求操作、室内機4の風速設定操作などの操作をユーザから受け付けることができる。また、リモコン6は、たとえば室内機4の運転状態、室内機4に搭載された室内温度センサによる検出値を表示することができる。
また、リモコン6は、室内機4を運転または停止させるための指令、空気調和機を暖房運転または冷房運転させるための指令、および室内機4から吹き出させる気流の風速を設定させるための指令等を室内機4に送信することができる。また、リモコン6は、室内機4に搭載された室内温度センサによる検出結果を、室内機4から受信することができる。なお、室内機4とリモコン6とは、無線通信可能とされてもよい。
換気装置5とリモコン7とは、通信線71を介して有線通信可能とされている。リモコン7は、たとえば、換気装置5の運転要求操作または停止要求操作、および換気装置5の換気風量の設定要求操作などの操作をユーザから受け付けることができる。また、リモコン7は、たとえば換気装置5の運転状態、換気装置5に搭載された外気温度センサ、室内温度センサ、外気湿度センサおよび室内の二酸化炭素濃度を検出する室内二酸化炭素(CO2)センサによる検出結果を表示することができる。
また、リモコン7は、換気装置5を運転または停止させるための指令、および換気装置5の換気風量を設定させるための指令等を換気装置5に送信することができる。また、リモコン7は、換気装置5に搭載された外気温度センサ、室内温度センサ、外気湿度センサ、室内湿度センサおよび室内CO2センサなどによる検出結果を、換気装置5から受信することができる。なお、換気装置5とリモコン7とは、無線通信可能とされてもよい。
室内機4は、リモコン6から送信された指令、および中央監視装置8から送信された指令を受信すると、指令に含まれる、暖房運転または冷房運転といった運転設定情報、風速設定情報、温度設定情報、湿度設定情報、および調温対象空間の温度情報といった情報に基づいて、室外機3を制御するための指令を生成し、生成した指令を、通信線2を介して室外機3に送信する。
室外機3は、通信線2を介して室内機4から受信した指令に基づいて室外機3内の図示しない圧縮機を制御し、室内機4へ冷媒配管1および分岐ユニット9を介して供給する冷媒の温度または流量を制御する。
中央監視装置8は、通信線2を介して室外機3、室内機4および換気装置5の運転を個別にまたは一括に制御でき、また運転状態を監視することができる。たとえば、中央監視装置8は、室内機4を運転または停止させるための指令、空気調和機を暖房運転または冷房運転させるための指令、室内機4から吹き出させる気流の風速を設定するための指令、換気装置5を運転または停止させるための指令、換気装置5の換気風量を設定するための指令を、室内機4および換気装置5へ送信することができる。
また、中央監視装置8は、室内機4に搭載された後述する室内温度センサによる検出結果を室内機4から受信することができる。また、中央監視装置8は、換気装置5に搭載された外気温度センサ、室内温度センサ、外気湿度センサ、室内湿度センサ、室内CO2センサなどによる検出結果を、換気装置5から受信することができる。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる室内機4の構成を示す模式図である。室内機4は、送風機11と、空調コイル12と、室内温度センサ13と、室内機制御装置20と、を備える。室内温度センサ13は、センサ通信線16を介して室内機制御装置20と有線通信可能とされている。なお、室内温度センサ13は、室内機制御装置20と無線通信可能とされてもよい。
送風機11は、室内から空気15を吸い込み、吸い込んだ空気15が空調コイル12を通過して室内に供給されるように空気15を循環させる。
空調コイル12は、冷媒配管1および分岐ユニット9を介して室外機3と接続されている。空調コイル12は、室外機3から冷媒配管1および分岐ユニット9を介して供給された冷媒を用いて、空気15を加熱または冷却する。以下の説明で、空気を加熱または冷却させることを調温するともいう。空調コイル12に接続される冷媒配管1には、冷媒流量を調節するための膨張弁22が設けられている。
室内温度センサ13は、室内機4の運転制御に必要な室内の空気の状態値である室内の空気15の温度を検出するセンサである。室内温度センサ13は、送風機11によって吸い込んだ室内の空気15の温度を、空調コイル12よりも上流側で検出する。室内温度センサ13は、検出された検出温度の情報を、後述するセンサ検知部36を介して室内機制御部32に送信する。
室内機制御装置20は、室内機4の全体の動作を制御する。室内機制御装置20は、通信線21を介してリモコン6と有線通信可能とされている。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる室内機制御装置20の主要な機能構成を示す図である。図3に示すように、室内機制御装置20は、電源回路31と、室内機制御部32と、送風機駆動部33と、不揮発性メモリ34と、膨張弁駆動部35と、センサ検知部36と、機能設定部37と、リモートコントローラ通信部38と、通信部39と、を備える。
電源回路31は、室内機制御装置20の外部の商用電源30に接続されている。電源回路31は、商用電源30から供給される電源から、室内機制御装置20の各構成部を駆動するための専用電源を生成する。電源回路31で生成された専用電源は、室内機制御装置20の各構成部へ供給される。なお、図3においては、電源回路31から室内機制御装置20の各構成部に専用電源を供給するための接続線の図示は省略している。
送風機駆動部33は、送風機11と接続されている。送風機駆動部33は、室内機制御部32から出力される指令に基づいて、送風機11の送風能力を多段階制御することができる。たとえば、送風機駆動部33は、送風機11の送風能力を弱、中および強の3段階に切り替えることができる。
不揮発性メモリ34は、室内機4を制御するための運転データ、後述する他の室内機4の温度情報との温度差のデータなど、室内機4の制御に用いられる各種の情報を記憶する。不揮発性メモリ34は、停電などの要因によって商用電源30から電源回路31への電力の供給が遮断された場合でも、記憶された各種の情報が失われない。また、不揮発性メモリ34は、後述するように他の機器から受信した情報、室内機制御部32での演算結果および判定結果を記憶する。
膨張弁駆動部35は、膨張弁22に接続されている。膨張弁駆動部35は、室内機制御部32から出力される指令に基づいて、膨張弁22を開状態または閉状態に制御することができる。また、膨張弁駆動部35は、膨張弁22の開状態における開度の度合いを制御することができる。
センサ検知部36は、室内温度センサ13と通信可能とされている。センサ検知部36は、室内温度センサ13における検出結果である室内温度の情報を受信して、室内機制御部32に送信する。
機能設定部37は、たとえば室内温度センサ13の異常を検出したときの動作設定情報を室内機制御部32に送信する。
リモコン通信部38は、リモコン6と通信可能とされている。リモコン通信部38は、リモコン6から送信される、たとえば、室内機4を運転または停止させるための指令、空気調和機を暖房運転または冷房運転させるための指令、および室内機4の風速を設定するための指令等を受信して、室内機制御部32に出力する。
また、リモコン通信部38は、室内機制御部32が有している各種の情報をリモコン6へ送信する。リモコン通信部38は、たとえば、室内機4が運転しているかまたは停止しているかを示す運転状態情報、室内機4が暖房運転しているかまたは冷房運転しているかを示す運転モード情報、室内機4から吹き出す気流の風速を示す風速情報、室内温度センサ13によって検出された温度を示す室内温度情報、といった各種の情報を室内機制御部32から受信してリモコン6へ送信する。
通信部39は、空気調和システム100における自室内機4以外の装置である、室外機3、自室内機4以外の他の室内機4、換気装置5および中央監視装置8と、通信線2を介して通信可能とされている。通信部39は、たとえば、室内機4を運転させるための指令、空気調和機を停止させるための指令、室内機4を暖房運転させるための指令、室内機4を冷房運転させるための指令、および室内機4の風速を設定するための指令といった各種の指令を、通信線2を介して中央監視装置8から受信することができる。
また、通信部39は、たとえば、他の室内機4が運転しているかまたは停止しているかを示す運転状態情報、他の室内機4が暖房運転しているかまたは冷房運転しているかを示す運転モード情報、他の室内機4から吹き出す気流の風速を示す風速情報、および他の室内温度センサ13によって測定された温度を示す温度情報、といった各種の情報を他の室内機4から受信する。また、通信部39は、たとえば、換気装置5が運転しているかまたは停止しているかを示す運転状態情報、換気装置5が動作している換気風量を示す風量情報、および換気装置5に搭載されたセンサによって検出された検出値、といった各種の情報を換気装置5から受信する。
通信部39は、室内機制御部32が有している各種の情報を、通信線2を介して送信する。通信部39は、たとえば、室内機4が運転しているかまたは停止しているかを示す運転状態情報、室内機4が暖房運転しているかまたは冷房運転しているかを示す運転モード情報、室内機4から吹き出す気流の風速を示す風速情報、および室内温度センサ13によって測定された室内温度を示す温度情報といった各種の情報を、室内機制御部32から受信して送信する。
室内機制御部32は、室内機4の動作の全体を制御する。また、室内機制御部32は、リモコン6から受信する指令、中央監視装置8から受信する指令、不揮発性メモリ34に記憶されている指令等に基づいて室内機4の動作および室外機3の動作を制御する。また、室内機制御部32は、室内温度センサ13で検出された室内の検出温度の情報、すなわち、室内温度センサ13によって検出された温度を示す室内温度情報を、センサ検知部36を介して受信する。なお、センサ検知部36が、室内温度センサ13から送信される検出信号から検出温度を算出して、算出した検出温度を室内機制御部32に送信してもよい。また、室内機制御部32が、室内温度センサ13から送信される検出信号を、センサ検知部36を介して受信して、受信した検出信号から検出温度を算出してもよい。また、室内機制御部32は、センサ検知部36から送信される入力値から、室内温度センサ13が断線または配線外れなどによる異常があるかどうかを判断する。
図4は、本発明の実施の形態1にかかる室内機制御部32の機能構成を示す図である。室内機制御部32は、差分演算部41と、推定部42と、応急運転制御部43とを有する。
差分演算部41は、自室内機4に備えられた室内温度センサ13が正常な場合に、自装置に備えられた室内温度センサ13によって検出された室内温度と、他の室内装置に備えられた正常な室内温度センサによって検出された室内温度と、の温度差を演算する。
推定部42は、室内機制御部32において自装置の室内温度センサ13の異常を検出した場合に、室内温度センサ13が正常な他の室内装置に備えられた室内温度センサによって検出された室内温度と、差分演算部41で演算した温度差を用いて、室内温度の推定検出値である推定室内温度を演算する。
推定検出温度は、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が正常であったと想定した場合に、現在検出されると推定される推定検出温度である。
したがって、差分演算部41は、自装置に搭載された各種のセンサが正常な場合に、自装置に搭載されたセンサによって検出された検出結果と、他の室内装置に搭載された正常なセンサによって検出された検出結果と、の差分を求める演算を行う。検出結果の差分は、同種類のセンサの検出結果の差分である。
また、推定部42は、室内機制御部32において自装置に搭載された各種のセンサの異常を検出した場合に、センサが正常な他の室内装置に搭載されたセンサによって検出された検出結果と、差分演算部41で演算した検出結果の差分から、異常が検出された自装置に搭載されたセンサの検出結果の推定値である推定検出値を演算する。
応急運転制御部43は、推定検出値に基づいて室内機4の応急運転を制御する。なお、応急運転制御部43における運転制御は、室内機4の応急運転に限定されない。すなわち、応急運転制御部43は、応急時も含めた運転を制御できる運転制御部である。
室内機制御部32は、マイクロコンピュータにより実現可能である。すなわち、室内機制御部32は、例えば、図5に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図5は、本発明の実施の形態1における処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。室内機制御部32が図5に示す処理回路により実現される場合、室内機制御部32は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、室内機制御部32の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、送風機駆動部33と膨張弁駆動部35とセンサ検知部36と機能設定部37とリモコン通信部38と通信部39との各々を、同様にプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して送風機駆動部33と膨張弁駆動部35とセンサ検知部36と機能設定部37とリモコン通信部38と通信部39との各々の機能を実現してもよい。また、送風機駆動部33と膨張弁駆動部35とセンサ検知部36と機能設定部37とリモコン通信部38と通信部39との各々の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、室内機制御部32と送風機駆動部33と膨張弁駆動部35とセンサ検知部36と機能設定部37とリモコン通信部38と通信部39とのうちの1つの構成部を実現するためのプロセッサおよびメモリは、室内機制御部32と送風機駆動部33と膨張弁駆動部35とセンサ検知部36と機能設定部37とリモコン通信部38と通信部39とのうちの他の構成部を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
図6は、本発明の実施の形態1にかかる換気装置5の構成を示す模式図である。換気装置5は、本体箱体51に、熱交換器52と排気用送風機53と給気用送風機54とが組み込まれて構成されている。給気用送風機54は、給気風路55内に配置され、室外側吸込口57から熱交換器52を通って室内側吐出口58へ流れる空気流である給気流を形成する。排気用送風機53は、排気風路56内に配置され、室内側吸込口59から熱交換器52を通って室外側吐出口60へ流れる空気流である排気流を形成する。熱交換器52は、給気流の空気と排気流の空気との間で、空気対空気での熱交換を行う。
室外側吸込口57から換気装置5までは外気側ダクト61によってダクト配管接続されている。換気装置5から室内側吐出口58までは給気側ダクト62によってダクト配管接続されている。室内側吸込口59から換気装置5までは室内側ダクト63によってダクト配管接続されている。換気装置5から室外側吐出口60までは排気側ダクト64によってダクト配管接続されている。外気側ダクト61、給気側ダクト62、室内側ダクト63、排気側ダクト64は、換気装置5を設置する位置によって、それぞれの距離が異なっている。
また、換気装置5は、換気制御装置70を備える。換気制御装置70は、通信線71を介してリモコン7と有線通信可能とされている。換気制御装置70は、換気装置5の全体の動作を制御する。排気用送風機53および給気用送風機54は、換気制御装置70により独立に駆動制御される。換気装置5の操作および状態確認は、換気制御装置70に接続されたリモコン7から行うことができる。
また、換気装置5は、室内温度を検出する室内温度センサ65、室内湿度を検出する室内湿度センサ66および室内の二酸化炭素濃度を検出する室内二酸化炭素(CO2)センサ67を排気風路56に有する。また、換気装置5は、外気温度を検出する外気温度センサ68および外気湿度を検出する外気湿度センサ69を給気風路55に有する。室内温度センサ65、室内湿度センサ66、室内CO2センサ67、外気温度センサ68および外気湿度センサ69は、センサ通信線72を介して換気制御装置70と有線通信可能とされている。なお、室内温度センサ65、室内湿度センサ66、室内CO2センサ67、外気温度センサ68および外気湿度センサ69と、換気制御装置70とは、無線通信可能とされてもよい。
室内温度センサ65は、換気装置5の運転制御に必要な室内の空気の状態値である室内の空気の温度を検出するセンサである。室内温度センサ65は、排気流の空気の温度を、熱交換器52よりも上流側で検出して室内温度を検出する。室内温度センサ65は、検出された室内温度の情報を、後述するセンサ検知部86を介して換気装置制御部82に送信する。
室内湿度センサ66は、換気装置5の運転制御に必要な室内の空気の状態値である室内の空気の湿度を検出するセンサである。室内湿度センサ66は、排気流の空気の湿度を、熱交換器52よりも上流側で検出して室内湿度を検出する。室内湿度センサ66は、検出された室内湿度の情報を、後述するセンサ検知部86を介して換気装置制御部82に送信する。
室内CO2センサ67は、換気装置5の運転制御に必要な室内の空気の状態値である室内の空気の二酸化炭素の濃度を検出するセンサである。室内CO2センサ67は、排気流の空気の二酸化炭素の濃度を、熱交換器52よりも上流側で検出して室内の二酸化炭素濃度を検出する。室内CO2センサ67は、検出された室内の二酸化炭素濃度の情報を、後述するセンサ検知部86を介して換気装置制御部82に送信する。
外気温度センサ68は、換気装置5の運転制御に必要な外気の状態値である外気の温度を検出するセンサである。外気温度センサ68は、給気流の空気の温度を、熱交換器52よりも上流側で検出して外気温度を検出する。外気温度センサ68は、検出された外気温度の情報を、後述するセンサ検知部86を介して換気装置制御部82に送信する。
外気湿度センサ69は、換気装置5の運転制御に必要な外気の状態値である外気の湿度を検出するセンサである。外気湿度センサ69は、給気流の空気の湿度を、熱交換器52よりも上流側で検出して外気湿度を検出する。外気湿度センサ69は、検出された外気湿度の情報を、後述するセンサ検知部86を介して換気装置制御部82に送信する。
図7は、本発明の実施の形態1にかかる換気制御装置70の主要な機能構成を示す図である。図7に示すように、換気制御装置70は、電源回路81と、換気装置制御部82と、給気用送風機駆動部83と、排気用送風機駆動部84と、不揮発性メモリ85と、センサ検知部86と、リモートコントローラ通信部87と、機能設定部88と、通信部89と、を備える。
電源回路81は、換気制御装置70の外部の商用電源80に接続されている。電源回路81は、商用電源80から供給される電源から、換気制御装置70の各構成部を駆動するための専用電源を生成する。電源回路81で生成された専用電源は、換気制御装置70内の各構成部へ供給される。なお、図7においては、電源回路81から換気制御装置70内の各構成部に専用電源を供給するための接続線の図示は省略している。
給気用送風機駆動部83は、給気用送風機54と接続されている。給気用送風機駆動部83は、換気装置制御部82から送信される指令に基づいて、給気用送風機54の運転を制御する。
排気用送風機駆動部84は、排気用送風機53と接続されている。排気用送風機駆動部84は、換気装置制御部82から送信される指令に基づいて、排気用送風機53の運転を制御する。
不揮発性メモリ85は、換気装置5を制御するための運転データ、後述する推定検出温度を推定するためのデータなど、換気装置5の制御に用いられる各種の情報を記憶する。不揮発性メモリ85は、停電などの要因によって商用電源80から電源回路81への電力の供給が遮断された場合でも、各種の情報が失われないように記憶する。また、不揮発性メモリ85は、後述するように他の機器から受信した情報、換気装置制御部82での演算結果および判定結果を記憶する。
センサ検知部86は、換気装置5の備える各種センサと通信可能とされている。センサ検知部86は、換気装置5の備える各種センサにおける検出結果である、室内温度の検出値の情報、室内湿度の検出値の情報、室内の二酸化炭素濃度の検出値の情報、外気温度の検出値の情報および外気湿度の検出値の情報などの情報を受信して、換気装置制御部82に送信する。
リモコン通信部87は、リモコン7と通信可能とされている。リモコン通信部87は、リモコン7から送信される、たとえば、換気装置5を運転または停止させるための指令、および換気装置5の換気風量を設定するための指令等を受信して、換気装置制御部82に出力する。また、リモコン通信部87は、換気装置制御部82が有している各種の情報をリモコン7へ送信する。
機能設定部88は、たとえば換気装置5の備える各種センサの異常を検出したときの動作設定情報を換気装置制御部82に送信する。
通信部89は、空気調和システム100における自換気装置5以外の装置である、室外機3、室内機4、自換気装置5以外の他の換気装置5および中央監視装置8と、通信線2を介して通信可能とされている。通信部89は、たとえば、換気装置5を運転させるための指令、換気装置5を停止させるための指令、および換気装置5の換気風量を強風量または弱風量にさせるための指令といった各種の指令を、通信線2を介して中央監視装置8から受信することができる。
また、通信部89は、たとえば、室内機4が運転しているかまたは停止しているかを示す運転状態情報、室内機4が暖房運転しているかまたは冷房運転しているかを示す運転モード情報、室内機4から吹き出す気流の風速を示す風速情報、および室内機4に搭載された各種のセンサによって検出された検出結果の情報、といった各種の情報を室内機4から受信する。また、通信部89は、たとえば、他の換気装置5が運転しているかまたは停止しているかを示す運転状態情報、他の換気装置5が動作している換気風量を示す風量情報、および他の換気装置5に搭載された各種のセンサによって検出された検出結果、といった各種の情報を他の換気装置5から受信する。
通信部89は、換気装置制御部82が有している各種の情報を、通信線2を介して送信する。通信部89は、たとえば、換気装置5が運転しているかまたは停止しているかを示す運転状態情報、換気装置5が動作している換気風量を示す風量情報、および換気装置5の備える各種センサよって検出された検出結果の情報を、換気装置制御部82から受信して送信する。
換気装置制御部82は、換気装置5の動作の全体を制御する。また、換気装置制御部82は、換気制御装置70内の構成部より受信する指令、リモコン7から受信する指令、中央監視装置8から受信する指令、不揮発性メモリ85に記憶されている指令等に基づいて換気装置5の動作を制御する。換気装置制御部82は、たとえば、給気用送風機54を駆動するための給気用送風機駆動部83への駆動指令の出力と、排気用送風機53を駆動するための排気用送風機駆動部84への駆動指令の出力を行う。
また、換気装置制御部82は、換気装置5に搭載された各種のセンサによって検出された検出結果の情報、すなわち、室内温度の情報、室内湿度の情報、室内の二酸化炭素濃度の情報、外気温度の情報および外気湿度の情報などの情報を、センサ検知部86を介して受信する。なお、センサ検知部86が、換気装置5に搭載された各種のセンサから送信される検出信号から上述した室内温度の情報などの情報を算出して、算出した情報を換気装置制御部82に送信してもよい。また、換気装置制御部82が、換気装置5に搭載された各種のセンサから送信される検出信号を、センサ検知部86を介して受信して、受信した検出信号から上述した室内温度の情報などの情報を算出してもよい。また、換気装置制御部82は、センサ検知部86から送信される入力値から、換気装置5に搭載された各種のセンサが断線または配線外れなどによる異常があるかどうかを判断する。
また、換気装置制御部82は、差分演算部91と、推定部92と、応急運転制御部93とを有する。図8は、本発明の実施の形態1にかかる換気装置制御部82の機能構成を示す図である。差分演算部91と推定部92と応急運転制御部93とについては後述する。
換気装置制御部82は、マイクロコンピュータにより実現可能である。すなわち、換気装置制御部82は、例えば、図5に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。換気装置制御部82が図5に示す処理回路により実現される場合、換気装置制御部82は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、換気装置制御部82の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、給気用送風機駆動部83と排気用送風機駆動部84とセンサ検知部86とリモートコントローラ通信部87と機能設定部88と通信部89との各々を、同様にプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して給気用送風機駆動部83と排気用送風機駆動部84とセンサ検知部86とリモートコントローラ通信部87と機能設定部88と通信部89との各々の機能を実現してもよい。また、給気用送風機駆動部83と排気用送風機駆動部84とセンサ検知部86とリモートコントローラ通信部87と機能設定部88と通信部89との各々の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、換気装置制御部82と給気用送風機駆動部83と排気用送風機駆動部84とセンサ検知部86とリモートコントローラ通信部87と機能設定部88と通信部89とのうちの1つの構成部を実現するためのプロセッサおよびメモリは、換気装置制御部82と給気用送風機駆動部83と排気用送風機駆動部84とセンサ検知部86とリモートコントローラ通信部87と機能設定部88と通信部89とのうちの他の構成部を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常となった場合における室内温度の推定処理について説明する。図9は、本発明の実施の形態1にかかる不揮発性メモリ34に記憶される室内機4aと他の機器との温度差の情報の一例を示す図である。ここでは、理解の容易のため、空気調和システム100において、室内機4a、室内機4b、室内機4c、室内機4dおよび換気装置5aが、空気調和システム100の室内装置を構成する機器として室内に配置されている場合について説明する。この場合の他の機器は、室内機4aから見た場合の、空気調和システム100において室内に配置されている室内機4a以外の機器であり、室内機4b、室内機4c、室内機4dおよび換気装置5aである。室内機4bを機器番号1の他の機器、室内機4cを機器番号2の他の機器、室内機4dを機器番号3の他の機器、換気装置5aを機器番号4の他の機器とする。
室内機4aの室内機制御部32は、他の機器に搭載された室内温度センサ13が正常か異常かを示すセンサ状態情報、および他の機器に搭載された室内温度センサによって測定された検出温度の情報を、通信線2および通信部39を介して他の機器から受信する。
なお、対象とする他の機器は、室内機4aと同じ部屋に設置された機器、または室内機4aが設置されている環境と同じような環境に設置された機器など、任意に選択できるようにしてもよい。室内機4aが設置されている環境と同じような環境の一例は、たとえば室内機4aが建物内で南向きに面した部屋に設置されている場合に、同様に建物内で南向きに面した部屋に設置されていることである。この場合、中央監視装置8から任意の機器を選択できるようにしてもよい。また、リモコン6あるいは機能設定部37から任意に対象とする他の機器を選択できるようにしてもよい。
図9に示すように、機器番号1の室内機4bから室内機4aが受信した情報は、室内機4bの室内温度センサ13のセンサ状態が「正常」、室内温度センサ13での検出温度が「25.0℃」とする。機器番号2の室内機4cから室内機4aが受信した情報は、室内機4cの室内温度センサ13のセンサ状態が「正常」、室内温度センサ13での検出温度が「21.0℃」とする。機器番号3の室内機4dから室内機4aが受信した情報は、室内機4dの室内温度センサ13のセンサ状態が「異常」、室内温度センサ13での検出温度は「80.0℃」とする。機器番号4の換気装置5aから室内機4aが受信した情報は、換気装置5aの室内温度センサ65のセンサ状態は「正常」、室内温度センサ65での検出温度は「23.5℃」とする。このときの室内機4aの室内温度センサ13によって測定された検出温度、すなわち室内機4aが配置された室内における現在の室内温度は、24.0℃とする。
室内機4aに搭載された室内温度センサ13による検出温度と、他の機器から受信した検出温度とから、室内機4aと他の機器との室内温度の検出温度の温度差は、他の機器のセンサ状態が正常の場合に、下記式(1)によって演算される。なお、以下では、検出温度の温度差を、単に温度差と呼ぶ場合がある。検出温度の温度差は、差分演算部41において演算される。室内機4aに搭載された室内温度センサ13による検出温度を、単に室内機4aの検出温度と呼ぶ場合がある。他の機器の室内温度センサによる検出温度を、単に他の機器の検出温度と呼ぶ場合がある。
検出温度の温度差=室内機4aの検出温度−他の機器の検出温度・・・(1)
すなわち、差分演算部41は、室内機4aの検出温度と他の機器の検出温度とを比較して差分を取得する。したがって、室内機4aと他の機器との検出温度の温度差は以下のようになる。
機器番号1の他の機器との温度差:24.0℃−25.0℃=−1.0℃
機器番号2の他の機器との温度差:24.0℃−21.0℃=+3.0℃
機器番号4の他の機器との温度差:24.0℃−23.5℃=+0.5℃
一方、室内機4aと機器番号3の他の機器との検出温度の温度差は、機器番号3の他の機器の搭載する室内温度センサ13のセンサ状態が「異常」のため、差分演算部41は、検出温度の温度差の演算は「不能」とする。
温度差の演算は、差分演算部41において定期的に実施され、本実施の形態1では1時間ごとに行うものとする。図9に示すように、今回の演算結果をX1、1回前の温度差の演算結果をX2、2回前の温度差の演算結果をX3、3回前の温度差の演算結果をX4、4回前の温度差の演算結果をX5で表す。なお、機器番号3である室内機4dのように、搭載する室内温度センサのセンサ状態が「異常」だったため温度差を演算できなかった場合は、X1からX5までの値を更新しない。すなわち、機器番号3である室内機4dのX1からX5の値は、1回前の温度差の演算から5回前の温度差の演算の演算結果となる。演算結果であるX1からX5は、他の機器毎に不揮発性メモリ34に記憶される。
本実施の形態1では、4回前までの温度差を用いるが、設置環境などによって温度差の変動が大きい場合は10回前までの温度差を用いるなど回数を増やしてもよく、変動が小さい場合は回数を減らしてもよい。
他の機器のX2、X3、X4およびX5の温度差の演算結果は、図9に示すように以下のとおりとする。
(室内機4b)
X2:−1.2℃、X3:−1.2℃、X4:−0.8℃、X5:−0.8℃
(室内機4c)
X2:+1.0℃、X3:+2.5℃、X4:+2.0℃、X5:+3.0℃
(室内機4d)
X2:+12.0℃、X3:+10.0、X4:+8.0℃、X5:+7.0℃
(換気装置5a)
X2:+0.5℃、X3:+0.4℃、X4:+0.6℃、X5:+0.5℃
また、差分演算部41では、室内機4aと他の機器との室内温度の検出温度の温度差の平均値を演算する。本実施の形態1では、差分演算部41は、室内機4aと他の機器との室内温度の検出温度の温度差の平均値を、5回分の温度差から演算するものとする。以下では、室内機4aと他の機器との室内温度の検出温度の温度差の平均値を、単に温度差の平均値または平均値と呼ぶ場合がある。X1からX5までの平均値は下記式(2)により演算される。
温度差の平均値=(X1+X2+X3+X4+X5)÷5・・・(2)
X1からX5までの5回分の温度差より求めた検出温度の温度差の平均値は、以下のとおりである。
室内機4b:−1.0℃
室内機4c:+2.3℃
室内機4d:+10.0℃
換気装置5a:+0.5℃
なお、温度差の平均値は、室内機制御部32が1時間ごとに受信した、他の機器に搭載された室内温度センサのセンサ状態情報および検出温度に基づいて差分演算部41において演算され、更新される。
室内機制御部32は、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常になった場合に、他の機器の室内温度センサ13,65で検出された検出温度を用いて推定検出温度を、推定部42で推定する。推定検出温度は、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が正常であったと想定した場合に、現在検出されると推定される検出温度である。推定部42は、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常になった場合にどの他の機器の室内温度センサ13,65で検出された検出温度を用いて検出温度を演算するかを決めるために、室内機4aの室内温度センサ13での検出温度により近い機器が優先となるように、検出温度を用いる他の機器の優先順位をあらかじめ決定する。
優先順位は、温度差の平均値の絶対値が最小の機器を最優先となるよう、温度差の平均値が小さい順に設定される。したがって、優先順位は、温度差の平均値の絶対値が0.5℃である、機器番号4の換気装置5aの優先順位を優先順位1とする。温度差の平均値の絶対値が1.0℃である、機器番号1の室内機4bの優先順位を、優先順位2とする。温度差の平均値の絶対値が2.3℃である、機器番号2の室内機4cの優先順位を、優先順位3とする。温度差の平均値の絶対値が10.0℃である、機器番号3の室内機4dの優先順位を、優先順位4とする。
なお不揮発性メモリ34には、それぞれの他の機器のX1からX5までの温度差および温度差の平均値が記憶される。
図10は、本発明の実施の形態1にかかる室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常になった場合の推定検出温度の一例を示す図である。室内温度センサ13の異常は、室内機4aに搭載の室内温度センサ13が断線または配線外れ、感熱素子の劣化などによって通常の製品使用状態では起こりえない検出温度が室内温度センサ13で検出された場合とする。通常の製品使用状態では起こりえない温度の一例は、たとえば80.0℃以上、−30.0℃以下である。なお、通常の製品使用状態では起こりえない温度はこれらに限定されず、適切に設定されればよい。
室内機4aは、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常となったとき、通信部39を介して、他の機器に搭載された温度センサが正常か異常かを示すセンサ状態情報、および他の機器に搭載された温度センサによって検出された検出温度の情報について、現在の情報を他の機器から受信する。ここでは、受信したセンサ状態情報および検出温度の各情報は、以下のとおりとする。
(機器番号1:室内機4b)
センサ状態:「正常」、検出温度:「24.0℃」
(機器番号2:室内機4c)
センサ状態:「正常」、検出温度:「26.0℃」
(機器番号3:室内機4d)
センサ状態:「異常」、検出温度:「80.0℃」
(機器番号4:換気装置5a)
センサ状態:「正常」、検出温度:「23.5℃」
前述の温度差の平均値、現在の他の機器のセンサ状態、他の機器の室内温度センサの現在の検出温度より、室内機4aの推定検出温度は、センサ状態が正常の場合に、下記式(3)によって演算される。
推定検出温度=他の機器の室内温度センサの現在の検出温度+温度差の平均値・・・(3)
すなわち、推定部42は、他の機器の室内温度センサの現在の検出温度に、温度差の平均値を加算して推定検出温度を推定する。したがって、他の機器の情報から推定した推定検出温度の演算結果は、以下のとおりとなる。
(機器番号1:室内機4bの情報から推定される推定検出温度)
推定検出温度=24.0℃−1.0℃=23.0℃
(機器番号2:室内機4cの情報から推定される推定検出温度)
推定検出温度=26.0℃+2.3℃=28.3℃
(機器番号3:室内機4dの情報から推定される推定検出温度)
推定検出温度=センサ状態が異常のため、演算不能
(機器番号4:換気装置5aの情報から推定される推定検出温度)
推定検出温度=23.5℃+0.5℃=24.0℃
そして、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常となった場合、推定部42は、前述の優先順位より、優先順位が1の他の機器である機器番号4:換気装置5aの情報を用いて演算した推定検出温度である「24.0℃」を、室内機4aの推定検出温度と決定する。そして、応急運転制御部43は、推定検出温度である「24.0℃」を室内温度センサ13での検出温度とみなして、室内機4aの応急運転を実施することができる。
つぎに、室内機4aの室内機制御部32における他の機器との温度差の演算処理についてフローチャートを用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態1にかかる室内機4aの検出温度と他の機器の検出温度との温度差の演算処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内機4aの室内機制御部32は、既定のタイミングで他の機器との温度差の演算処理を開始する。室内機4aの室内機制御部32の差分演算部41は、ステップS10において、自装置に搭載された室内温度センサ13が正常状態であるか異常状態であるかを判定する。室内温度センサ13が正常状態であるか、または異常状態であるかの判定方法としては、既定期間だけ連続で80.0℃以上または−30.0℃以下の温度を室内温度センサ13が検出した場合を異常状態とし、これ以外の場合を正常状態とする。既定期間の一例は、3分間である。
室内機4aに搭載された室内温度センサ13が正常状態であった場合は、ステップS10においてYesとなり、ステップS20に進む。ステップS20では、差分演算部41が、他の機器との温度差を前回更新してから温度差の演算の既定の更新周期である既定時間が経過したか否かを判断する。経過時間の計測は、室内機制御部32が有する更新用タイマにより行われる。既定時間の一例は、1時間である。更新用タイマは、温度差の演算を既定時間ごとに実施するための時間管理用のタイマであり、前回の温度差の演算を行ってからの経過時間を計測する。また、更新用タイマは、たとえば1秒ごとにカウントを1だけ加算するように制御されている。本実施の形態1では、温度差の演算の更新周期を1時間に設定したが、室内機4aの設置環境などによって、任意に時間を設定できるようにしてもよい。
ステップS20において、既定時間が経過している場合は、ステップS20においてYesとなり、ステップS30に進み、他の機器のセンサ状態、および他の機器の室内温度センサ13,65の検出温度から温度差を演算する処理へ移行する。本実施の形態1では、他の機器として機器番号1から機器番号4までの4台の機器を対象とするため、4台の他の機器について、以降の繰り返し処理を行う。繰り返し処理では、機器番号をnで表す。nを1から始めて、ステップS30からステップS90まで進んだら、nを1だけ加算し、再びステップS20からステップS90までの処理を行う。また、nが4のときに、ステップS90まで処理が進んだら、繰り返し処理を終了し、つぎのステップS100へ進む。
ステップS40では、機器番号=nの他の機器の現在のセンサが正常状態であるか異常状態であるかを示すセンサ状態情報および検出温度を取得するために、差分演算部41は、センサ状態情報および検出温度を要求するための要求コマンドを、通信部39を介して機器番号=nの他の機器へ送信する。
つぎに、ステップS50では、ステップS40で送信した要求コマンドに対して機器番号=nの他の機器から送信された、センサ状態情報および検出温度の応答コマンドを差分演算部41が受信する。
つぎに、ステップS60では、差分演算部41は、ステップS50で受信した機器番号=nの他の機器の室内温度センサが正常状態であるか、または異常状態であるかを判定する。
ステップS60において、機器番号=nの他の機器の室内温度センサが正常状態であると判定された場合は、ステップS60においてYesとなり、ステップS70に進む。ステップS70では、差分演算部41が、現在の機器番号=nの他の機器について、機器番号=nの他の機器の検出温度と、自装置に搭載された室内温度センサ13の検出温度との今回の温度差を演算する。また、差分演算部41は、不揮発性メモリ34に記憶されている前回、2回前、3回前、4回前の温度差と今回演算した温度差との平均値を演算する。
つぎに、ステップS80では、差分演算部41が、ステップS70における演算結果を不揮発性メモリ34へ書き込む。差分演算部41は、まず不揮発性メモリ34に書き込まれていた機器番号=nの他の機器のX1からX4の温度差の情報を、それぞれX2からX5の温度差として書き込み更新する。つぎに、差分演算部41は、ステップS70における演算結果である機器番号=nの他の機器の現在の温度差を、機器番号=nの他の機器のX1の温度差として書き込む。最後に、差分演算部41は、ステップS70における演算結果である温度差の平均値を不揮発性メモリ34へ書き込んで記憶させる。
ステップS80の処理の終了後、機器番号=nの他の機器についての繰り返し処理が完了となり、ステップS80においてnを1加算し、再びステップS30から処理を開始する。また、nが4の場合のステップS80の処理の終了後は、繰り返し処理を終了する。
繰り返し処理が終了した後、ステップS100において、更新用タイマを0にするためのクリア処理を行う。これによって、差分演算部41は、既定の周期である1時間毎に温度差を演算することができる。そして、推定部42は、1時間毎に更新される温度差の平均値に基づいて推定検出値を推定することができるため、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常になった時点に近い条件から推定検出値を推定することができる。
つぎに、ステップS110において、差分演算部41が、各他の機器の温度差の平均値より、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態になった場合に、どの他の機器の検出温度を用いて推定検出温度を演算するかの優先順位を設定する。優先順位は、温度差の平均値の絶対値が最小の機器を最優先となるよう、温度差の平均値の絶対値が小さい順に設定される。優先順位を設定したところで、温度差の演算処理は終了となる。
ステップS10において室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態であった場合は、ステップS10においてNoとなり、他の機器の検出温度と、室内機4aに搭載された室内温度センサ13での検出温度との温度差を演算できないため、温度差の演算処理は終了する。
ステップS20において既定時間が経過していない場合は、ステップS20においてNoとなり、差分演算部41は、他の機器の検出温度と室内機4aに搭載された室内温度センサ13での検出温度との温度差の演算は実施せずに、温度差の演算処理を終了する。
温度差の演算処理を終了した場合、室内機4aの室内機制御部32がたとえば送風機の制御などの他の処理を実施した後、再びステップS10から温度差の演算処理が繰り返し行われる。
ステップS60において、機器番号=nの他の機器の室内温度センサが異常状態であると判定された場合は、ステップS60においてNoとなり、差分演算部41は、他の機器の検出温度と室内機4aに搭載された室内温度センサ13での検出温度との温度差の演算は実施せずに、温度差の演算処理を終了する。
つぎに、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合の推定検出温度の推定処理についてフローチャートを用いて説明する。図12は、本発明の実施の形態1にかかる室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合の推定検出温度の推定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内機4aの室内機制御部32は、既定のタイミングで推定検出温度の推定処理を開始する。室内機4aの室内機制御部32の推定部42は、ステップS210において、自装置に搭載された室内温度センサ13が正常状態であるか異常状態であるかを判定する。室内温度センサ13が正常状態であるか異常状態であるかの判定方法は、上述したステップS10の場合と同様である。
室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態であった場合は、ステップS210においてNoとなり、ステップS220に進む。ステップS220では、推定部42は、他の機器のセンサ状態、他の機器の検出温度および温度差の平均値を用いて推定検出温度の演算を行うに先立ち、推定検出温度の初期値を「未定」に設定する。
つぎに、上述した図11のステップS110で設定した優先順位に従って、以下に示す繰り返し処理を行う。繰り返し処理では、優先順位番号をpで表す。pを最優先である1から始めて、ステップS230からステップS270まで進んだら、pを1だけ加算し、再びステップS230からステップS270までの処理を行う。また、pが4のときに、ステップS270まで処理が進んだら、繰り返し処理を終了し、推定検出温度の推定処理を終了する。
まず、ステップS240では、推定部42は、優先順位番号=pの他の機器の現在のセンサ状態情報および検出温度を取得するために、センサ状態情報および検出温度を要求するための要求コマンドを、通信部39を介して優先順位番号=pの他の機器へ送信する。
つぎに、ステップS250では、ステップS240で送信した要求コマンドに対して優先順位番号=pの他の機器から送信された、センサ状態情報および検出温度の情報が含まれた応答コマンドを推定部42が受信する。
つぎに、ステップS260では、推定部42は、ステップS250で受信した優先順位番号=pの他の機器のセンサ状態情報より、他の機器の室内温度センサが正常状態であるか、または異常状態であるかを判定する。
優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサが異常状態と判定された場合は、ステップS260においてNoとなり、優先順位番号=pの他の機器についての繰り返し処理を終了し、ステップS270においてpを1加算し、再びステップS230から処理を開始する。
また、pが4でありステップS260においてNoとなった場合は、繰り返し処理を終了する。この場合は、推定検出温度を演算できなかったことを意味する。この場合は、推定部42は、推定検出温度を「未定」として、推定検出温度の推定処理を終了する。なお、推定検出温度が「未定」の場合は、応急運転制御部43は室内機4aの応急運転は実施しない。
また、ステップS260において、優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサが正常状態と判定された場合は、ステップS260においてYesとなり、推定部42は、繰り返し処理を終了する。そして、ステップS280において推定部42は、ステップS250で受信した優先順位番号=pの他の機器の現在の検出温度と、不揮発性メモリ34に書き込まれている優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサの温度差の平均値とを用いて、下記式(4)に従って推定検出温度を演算する。
推定検出温度=「優先順位番号=pの他の機器の現在の検出温度」+「優先順位番号=pの他の機器の温度差の平均値」・・・(4)
推定部42は、ステップS280において推定検出温度を演算した後、推定検出温度の推定処理を終了する。なお、推定検出温度を演算できた場合は、応急運転制御部43は、演算した推定検出温度を用いて室内機4aの応急運転を実施する。
また、ステップS210において、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が正常状態であった場合は、推定検出温度を推定する必要がないため、推定部42は、推定検出温度の推定処理を終了する。
なお、ステップS260において、優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサが正常状態と判定された場合にステップS280に進むことにより、推定部42は、優先順位の高い他の機器の室内温度センサが異常である場合には、つぎに優先順位の高い他の機器の室内温度センサでの検出値を用いて、推定検出値である推定検出温度を推定することができる。
室内機4aは、上記の処理を行うことにより、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合でも、空気調和システム100を構成する他の機器に搭載された正常状態の室内温度センサの検出値を用いて、推定検出温度を推定することができる。これにより、室内機4aは、室内機4aと他の機器との設置環境の差異および他の機器の種類のばらつき等による影響を抑制して、精度良く推定検出温度を推定することができる。
そして、室内機4aは、空気調和システム100を構成する複数の他の機器で室内温度センサが異常状態となっても、室内温度センサが正常な他の機器が1台でもあれば、推定検出温度を推定することができる。これにより、室内機4aは、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合でも、該センサの検出対象の空間の状態に応じた、使用者に不快感を与えず、快適性を損なわない応急運転を行うことができる。すなわち、空気調和システム100では、室内装置の運転制御に必要な室内の空気の状態値を検出するセンサが故障しても、室内の空気の状態値を精度良く推定することができ、応急運転を継続することが可能となる。
また、空気調和システム100では、温度差の平均値が小さい順に設定された優先順位の順番で推定検出温度を演算するため、室内温度センサが正常な複数の他の機器の中でも最も温度調整状態が現在の室内機4aと近いと推測される他の機器の情報を用いて推定検出温度を推定することができる。これにより、他の機器と運転モードと自装置の運転モードとが異なる状況においても、最も温度調整状態が現在の室内機4aと近いと推測される他の機器の情報を用いて精度良く推定検出温度を推定することができる。
上述したように、本実施の形態1にかかる空気調和システム100は、室内装置に搭載されたセンサが異常状態となった場合でも、該センサの検出対象の空間の状態に応じた、快適性を損なうことがない応急的な運転が可能となる、という効果を奏する。
実施の形態2.
実施の形態2では、上述した実施の形態1において説明した空気調和システム100における処理において、温度差を演算する他の機器を、他の機器のセンサが正常状態であり、且つ運転モードが自装置と同じ運転モードである他の機器とする。また、実施の形態2では、上述した実施の形態1において説明した空気調和システム100の処理において、優先順位の決定方法を、温度差の平均値の絶対値の小さい順ではなく、温度差の平均偏差の小さい順に変更した。これら以外の基本的な処理については、実施の形態1と同様である。
図13は、本発明の実施の形態2において不揮発性メモリ34に記憶される室内機4aと他の機器との温度差情報の一例を示す図である。ここでは、理解の容易のため、実施の形態1における説明と同様に、空気調和システム100において、室内機4a、室内機4b、室内機4c、室内機4dおよび換気装置5aが、空気調和システム100の室内装置を構成する機器として建物内に配置されている場合について説明する。この場合の他の機器は、室内機4aから見た場合の、空気調和システム100において建物内に配置されている室内機4a以外の機器であり、室内機4b、室内機4c、室内機4dおよび換気装置5aである。室内機4bを機器番号1の他の機器、室内機4cを機器番号2の他の機器、室内機4dを機器番号3の他の機器、換気装置5aを機器番号4の他の機器とする。
また、図13では、室内機4aは、通信部39を介して、他の機器から受信した現在の情報として、他の機器に搭載された室内温度センサが正常状態であるか異常状態であるかを示すセンサ状態、他の機器に搭載された室内温度センサによって検出された検出温度、他の機器の運転状態が冷房運転中であるか、暖房運転中であるか、送風運転中であるかを示す運転モードを示している。また、図13では、室内機4aと他の機器との室内温度の検出温度の温度差であるX1からX5、室内機4aと他の機器との室内温度の検出温度の温度差の平均値、X1からX5までの温度差の平均偏差、および優先順位を運転モード毎に示している。
図13に示すように、他の機器から受信した現在の情報は、以下のとおりである。
(機器番号1:室内機4b)
センサ状態:「正常」、検出温度:「25.0℃」、運転モード:「暖房」
(機器番号2:室内機4c)
センサ状態:「正常」、検出温度:「21.0℃」、運転モード:「暖房」
(機器番号3:室内機4d)
センサ状態:「異常」、検出温度:「80.0℃」、運転モード:「暖房」
(機器番号4:換気装置5a)
センサ状態:「正常」、検出温度:「23.5℃」、運転モード:換気装置のために温度調整機能がないので「送風」
また、このときの室内機4aの室内温度センサ13は、センサ状態が「正常」、検出温度が「24.0℃」、運転モードが「暖房」とする。
本実施の形態2では、他の機器の室内温度センサのセンサ状態が正常状態であり、且つ他の機器の運転モードが室内機4aの運転モードと同じ場合、差分演算部41は、室内機4aの検出温度と、他の機器から受信した他の機器の検出温度とより、室内機4aと各他の機器との温度差を上記式(1)により演算する。
したがって、室内機4aと他の機器との検出温度の温度差は以下のようになる。
機器番号1の他の機器との温度差:24.0℃−25.0℃=−1.0℃
機器番号2の他の機器との温度差:24.0℃−21.0℃=+3.0℃
一方、室内機4aと機器番号3の他の機器との温度差は、機器番号3の他の機器の搭載する室内温度センサ13のセンサ状態が「異常」のため、差分演算部41は、温度差の演算は「不能」とする。また、機器番号4の他の機器は、運転モードが「送風」であり、室内機4aの運転モードである「暖房」と一致しないため、差分演算部41は、温度差を演算しない。
差分演算部41は、既定の周期でセンサ状態、検出温度および運転モードの情報を他の機器から受信して温度差の演算を行う。演算結果であるX1からX5は、他の機器毎および運転モード毎に不揮発性メモリ34に記憶される。
他の機器のX1からX5の温度差の演算結果は、図13に示すように以下のとおりとする。以下では、X1からX5の順で温度差の演算結果を示している。
(機器番号1:室内機4b)
・暖房時:−1.0℃、−1.2℃、−1.2℃、−0.8℃、−0.8℃
・冷房時:+1.0℃、+0.8℃、+0.9℃、+0.6℃、+0.7℃
・送風時:+1.2℃、−0.9℃、−0.6℃、+0.1℃、−0.3℃
(機器番号2:室内機4c)
・暖房時:+3.0℃、+1.0℃、+2.5℃、+2.0℃、+3.0℃
・冷房時:−1.0℃、−3.0℃、−3.5℃、−3.0℃、−2.5℃
・送風時:+1.5℃、+2.0℃、+1.5℃、+1.8℃、+2.2℃
(機器番号3:室内機4d)
・暖房時:+15.0℃、+11.0℃、+10.0℃、+8.0℃、+7.0℃
・冷房時:−1.0℃、−0.9℃、−1.0℃、−1.1℃、−1.0℃
・送風時:+0.3℃、+0.1℃、+0.2℃、+0.2℃、+0.1℃
(機器番号4:換気装置5a)
・暖房時:換気装置であるため温度調整機能がなく暖房運転できないので演算結果はなし
・冷房時:換気装置であるため温度調整機能がなく冷房運転できないので演算結果はなし
・送風時:−1.0℃、−2.0℃、−2.2℃、−1.5℃、−1.5℃
差分演算部41は、X1からX5までの平均値を、上記式(2)により演算する。X1からX5までの5回分の温度差より求めた、暖房時、冷房時および送風時の検出温度の温度差の平均値は、以下のとおりである。
(機器番号1:室内機4b)
・暖房時:−1.0℃
・冷房時:+0.8℃
・送風時:−0.1℃
(機器番号2:室内機4c)
・暖房時:+2.3℃
・冷房時:−2.6℃
・送風時:+1.8℃
(機器番号3:室内機4d)
・暖房時:+10.2℃、
・冷房時:−1.0℃
・送風時:+0.2℃
(機器番号4:換気装置5a)
・暖房時:暖房時の温度差の演算結果がないため無し
・冷房時:冷房時の温度差の演算結果がないため無し
・送風時:−1.6℃
差分演算部41は、X1からX5までの検出温度の温度差の平均偏差(℃)を、下記式(5)により演算する。以下では、検出温度の温度差の平均偏差を、単に平均偏差と呼ぶ場合がある。
平均偏差=(|X1−平均値|+|X2−平均値|+|X3−平均値|+|X4−平均値|+|X5−平均値|)÷5・・・(5)
X1からX5の温度差の演算結果と、X1からX5までの5回分の温度差の平均値とにより求めた検出温度の温度差の平均偏差は、以下のとおりである。
(機器番号1:室内機4b)
・暖房時:0.16℃
・冷房時:0.12℃
・送風時:0.60℃
(機器番号2:室内機4c)
・暖房時:0.64℃
・冷房時:0.68℃
・送風時:0.24℃
(機器番号3:室内機4d)
・暖房時:2.24℃
・冷房時:0.04℃
・送風時:0.06℃
(機器番号4:換気装置5a)
・暖房時:暖房時の温度差の演算結果がないため無し
・冷房時:冷房時の温度差の演算結果がないため無し
・送風時:0.37℃
差分演算部41は、各他の機器の温度差の平均偏差より優先順位を設定する。優先順位は、温度差の平均偏差が最小の機器が最優先となるよう、温度差の平均偏差が小さい順に設定される。なお、温度差の平均偏差が無い他の機器については優先順位を最下位とし、温度差の平均偏差が等しい他の機器が複数台存在した場合は、機器番号の順に優先順位を設定する。
したがって、暖房時の優先順位は、機器番号1の室内機4b、機器番号2の室内機4c、機器番号3の室内機4d、機器番号4の換気装置5aの順番となる。また、冷房時の優先順位は、機器番号3の室内機4d、機器番号1の室内機4b、機器番号2の室内機4c、機器番号4の換気装置5aの順番となる。また、送風時の優先順位は、機器番号3の室内機4d、機器番号2の室内機4c、機器番号4の換気装置5a、機器番号1の室内機4bの順番となる。
図14は、本発明の実施の形態2において室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常になった場合の推定検出温度の一例を示す図である。室内機4aは、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常となったとき、通信部39を介して、他の機器に搭載された温度センサが正常か異常かを示すセンサ状態情報、他の機器の運転状態が冷房運転か、暖房運転か、送風運転かを示す運転モード情報、および他の機器に搭載された温度センサによって検出された検出温度の情報について、現在の情報を他の機器から受信する。ここでは、受信した各情報は、以下のとおりとする。
(機器番号1:室内機4b)
センサ状態:「正常」、運転モード:「暖房」、検出温度:「24.0℃」
(機器番号2:室内機4c)
センサ状態:「正常」、運転モード:「暖房」、検出温度:「26.0℃」
(機器番号3:室内機4d)
センサ状態:「異常」、運転モード:「暖房」、検出温度:「80.0℃」
(機器番号4:換気装置5a)
センサ状態:「正常」、運転モード:換気装置のために温度調整機能がないため「送風」、検出温度:「23.5℃」
室内機4aの推定検出温度は、他の機器のセンサ状態が正常の場合に、前述の温度差の平均値、他の機器のセンサ状態、他の機器の運転モードおよび他の機器の検出温度に基づいて下記式(6)により演算される。
推定検出温度=「他の機器の検出温度」+「他の機器における自装置の運転モードに対応した温度差の平均値」・・・(6)
したがって、各他の機器の情報から推定される暖房時の推定検出温度は、以下のようになる。
(機器番号1:室内機4b)
推定検出温度:24.0℃+(−1.0℃)=23.0℃
(機器番号2:室内機4c)
推定検出温度:26.0℃+2.3℃=28.3℃
(機器番号3:室内機4d)
推定検出温度:センサ状態が異常のため、演算不能
(機器番号4:換気装置5a)
推定検出温度:暖房モードでの温度差の平均値のデータがないため、演算不能
なお、ここでは、暖房時の推定検出温度について示したが、室内機4aの運転モードが冷房時または送風時の場合も同様にして演算される。
そして、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が室内機4aの暖房運転時に異常となった場合、推定部42は、前述の優先順位より、優先順位が1の他の機器である機器番号1:室内機4bの情報を用いて演算した推定検出温度である「23.0℃」を、室内機4aの推定検出温度と決定する。そして、応急運転制御部43は、推定検出温度である「23.0℃」を室内温度センサ13での検出温度とみなして、室内機4aの応急運転を実施することができる。
なお、上述したように各他の機器の温度差の平均値により優先順位を設定する場合においても、他の機器の温度差の平均値を運転モード毎に管理し、優先順位を運転モード毎に設定してもよい。そして、上記式(6)により推定検出温度を演算し、優先順位に従って推定検出温度と決定してもよい。
つぎに、室内機4aの室内機制御部32における他の機器との温度差の演算処理についてフローチャートを用いて説明する。図15は、本発明の実施の形態2における室内機4aの検出温度と他の機器の検出温度との温度差の演算処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS410およびステップS420が実施される。なお、ステップS410およびステップS420は、実施の形態1で説明したステップS10およびステップS20と同様であるため、説明は省略する。
ステップS420において、既定時間が経過している場合は、ステップS420においてYesとなり、ステップS430に進み、他の機器のセンサ状態、他の機器の運転モードおよび他の機器の検出温度から温度差の演算を行うための繰り返し処理を行う。本実施の形態2では、他の機器として機器番号1から機器番号4までの4台の機器を対象とするため、4台の他の機器について、以降の繰り返し処理を行う。繰り返し処理では、機器番号をnで表す。nを1から始めて、ステップS430からステップS500まで進んだら、nを1だけ加算し、再びステップS430からステップS500までの処理を行う。また、nが4のときに、ステップS500まで処理が進んだら、繰り返し処理を終了し、つぎのステップS510へ進む。
ステップS440では、機器番号=nの他の機器の現在のセンサ状態情報、運転モードおよび検出温度を取得するために、差分演算部41は、センサ状態情報、運転モードおよび検出温度を要求するための要求コマンドを、通信部39を介して機器番号=nの他の機器へ送信する。
つぎに、ステップS450では、ステップS440で送信した要求コマンドに対して機器番号=nの他の機器から送信された、センサ状態情報、運転モードおよび検出温度の情報が含まれた応答コマンドを差分演算部41が受信する。
つぎに、ステップS460では、差分演算部41は、ステップS450で受信した機器番号=nの他の機器の室内温度センサが正常状態であるか、または異常状態であるかを判定する。
ステップS460において、機器番号=nの他の機器の室内温度センサが正常状態であると判定された場合は、ステップS460においてYesとなり、ステップS470に進む。ステップS470では、差分演算部41が、ステップS450で受信した機器番号=nの他の機器の運転モードが、自装置の現在の運転モードと一致しているか否かを判定する。
ステップS470において、機器番号=nの他の機器の運転モードが自装置の現在の運転モードと一致していると判定された場合は、ステップS470においてYesとなり、ステップS480に進む。ステップS480では、差分演算部41は、現在の機器番号=nの他の機器の検出温度と、自装置に搭載された室内温度センサ13の検出温度との今回の温度差であるX1を演算する。また、差分演算部41は、自装置の運転モードおよび機器番号=nの運転モードに対応した、不揮発性メモリ34に記憶されている前回、2回前、3回前、4回前の温度差と今回演算した温度差との平均値、および温度差の平均偏差を演算する。
つぎに、ステップS490では、差分演算部41が、ステップS480における演算結果を、自装置の運転モードおよび機器番号=nの運転モードに対応させて不揮発性メモリ34へ書き込む。差分演算部41は、まず不揮発性メモリ34に書き込まれていた機器番号=nの該運転モードにおける他の機器のX1からX4の温度差の情報を、それぞれX2からX5の温度差として書き込み更新する。つぎに、差分演算部41は、ステップS480における演算結果である機器番号=nの該運転モードにおける他の機器の現在の温度差を、機器番号=nの該運転モードにおける他の機器のX1の温度差として書き込む。また、温度差の平均値、および平均偏差は、自装置の運転モードおよび機器番号=nの運転モードに対応した機器番号=nの他の機器の情報として、不揮発性メモリ34に記憶される。
ステップS490の処理の終了後、機器番号=nの他の機器についての繰り返し処理が完了となり、ステップS500においてnを1加算し、再びステップS430から処理を開始する。また、nが4の場合のステップS490の処理の終了後は、繰り返し処理を終了する。
ステップS460において、機器番号=nの他の機器のセンサ状態が異常状態と判定された場合は、温度差、温度差の平均値、温度差の平均偏差の演算は行わず、ステップS500へ進む。
ステップS470において、機器番号=nの他の機器の運転モードと、自装置の現在の運転モードとが不一致であると判定された場合は、温度差、温度差の平均値、温度差の平均偏差の演算は行わず、ステップS500へ進む。
繰り返し処理が終了した後、ステップS510において、更新用タイマを0にするためのクリア処理を行う。これによって、差分演算部41は、1時間毎に温度差、温度差の平均値、温度差の平均偏差の演算を行うことができる。そして、推定部42は、1時間毎に更新される温度差、温度差の平均値、温度差の平均偏差に基づいて推定検出値を推定することができるため、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常になった時点に近い条件から推定検出値を推定することができる。
つぎに、ステップS520において、差分演算部41が、各他の機器の温度差の平均偏差より、自装置に搭載された室内温度センサ13が異常状態になった場合に、どの他の機器の検出温度を用いて推定検出温度を演算するかの優先順位を設定する。優先順位は、温度差の平均偏差が最小の機器を最優先となるよう、温度差の平均偏差が小さい順に設定される。優先順位を設定したところで、温度差の演算処理は終了となる。
つぎに、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合の推定検出温度の推定処理についてフローチャートを用いて説明する。図16は、本発明の実施の形態2において室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合の推定検出温度の推定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS610およびステップS620が実施される。なお、ステップS610およびステップS620は、実施の形態1で説明したステップS210およびステップS220と同様であるため、説明は省略する。
つぎに、上述した図15のステップS520で設定した優先順位に従って、以下に示す繰り返し処理を行う。繰り返し処理では、優先順位番号をpで表す。pを最優先である1から始めて、ステップS630からステップS670まで進んだら、pを1だけ加算し、再びステップS630からステップS670までの処理を行う。また、pが4のときに、ステップS670まで処理が進んだら、繰り返し処理を終了し、推定検出温度の推定処理を終了する。
まず、ステップS640では、推定部42は、優先順位番号=pの他の機器の現在のセンサ状態情報、運転モードおよび検出温度を取得するために、センサ状態情報、運転モードおよび検出温度を要求するための要求コマンドを、通信部39を介して優先順位番号=pの他の機器へ送信する。
つぎに、ステップS650では、ステップS640で送信した要求コマンドに対して優先順位番号=pの他の機器から送信された、センサ状態情報、運転モードおよび検出温度の情報が含まれた応答コマンドを推定部42が受信する。
つぎに、ステップS660では、推定部42は、ステップS650で受信した優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサが正常状態であるか、または異常状態であるかを判定する。室内温度センサが正常状態であるか、または異常状態であるかの判定方法は、上述したステップS10の場合と同様である。
優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサが異常状態と判定された場合は、ステップS660においてNoとなり、推定部42は、優先順位番号=pの他の機器についての繰り返し処理を終了し、ステップS670においてpを1加算し、再びステップS630から処理を開始する。
また、pが4でありステップS660においてNoとなった場合は、繰り返し処理を終了する。この場合は、推定検出温度を演算できなかったことを意味する。この場合は、推定部42は、推定検出温度を「未定」として、推定検出温度の推定処理を終了する。なお、推定検出温度が「未定」の場合は、応急運転制御部43は室内機4aの応急運転は実施しない。
また、ステップS660において、優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサが正常状態と判定された場合は、ステップS660でYesとなり、ステップS680へ進む。そして、ステップS680において推定部42は、ステップS650において受信した優先順位番号=pの他の機器の運転モードが、自装置の運転モードと一致しているか否かを判定する。
ステップS680において、優先順位番号=pの他の機器の運転モードと自装置の運転モードとが不一致と判定された場合、ステップS680においてNoとなり、推定部42は、優先順位番号=pの他の機器についての繰り返し処理を終了し、pを1加算し、再びステップS630から処理を開始する。
また、pが4でありステップS680においてNoとなった場合は、繰り返し処理を終了する。この場合は、推定部42は、推定検出温度を「未定」として、推定検出温度の推定処理を終了する。なお、推定検出温度が「未定」の場合は、応急運転制御部43は室内機4aの応急運転は実施しない。
また、ステップS680において、優先順位番号=pの他の機器の運転モードと自装置との運転モードとが一致と判定された場合は、推定部42は、繰り返し処理を終了する。そして、ステップS690において推定部42は、ステップS650で受信した優先順位番号=pの他の機器の現在の検出温度と、優先順位番号=pの他の機器と自装置との運転モードに対応する、不揮発性メモリ34に書き込まれている優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサの温度差の平均値とを用いて、下記式(7)に従って推定検出温度を演算する。
推定検出温度=「優先順位番号=pの他の機器の現在の検出温度」+「優先順位番号=pの他の機器と自装置との運転モードに対応した優先順位番号=pの他の機器の温度差の平均値」・・・(7)
推定部42は、ステップS690において推定検出温度を演算した後、推定検出温度の推定処理を終了する。なお、推定検出温度を演算できた場合は、応急運転制御部43は、演算した推定検出温度を用いて室内機4aの応急運転を実施する。
なお、ステップS660において、優先順位番号=pの他の機器の室内温度センサが正常状態と判定された場合にステップS680に進むことにより、推定部42は、優先順位の高い他の機器の室内温度センサが異常である場合には、つぎに優先順位の高い他の機器の室内温度センサでの検出値を用いて、推定検出値である推定検出温度を推定することができる。
また、優先順位番号=pの他の機器の運転モードと自装置の運転モードとが一致していると判定された場合にステップS690に進むことにより、推定部42は、優先順位の高い他の機器の運転モードと自装置の運転モードとが不一致である場合には、つぎに優先順位の高い他の機器の室内温度センサでの検出値を用いて、推定検出値である推定検出温度を推定することができる。
室内機4aは、上記の処理を行うことにより、室内機4aに搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合でも、自装置と同じ運転モードで運転している他の機器に搭載された正常状態の室内温度センサの検出値を用いて、精度良く推定検出温度を推定することができる。そして、室内機4aは、空気調和システム100を構成する複数の他の機器で室内温度センサが異常状態となっても、自装置と同じ運転モードで運転しており室内温度センサが正常な他の機器が1台でもあれば、推定検出温度を推定することができる。これにより、室内機4aは、室内機4に搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合でも、他の機器と自装置との運転状態の相違による影響を受けずに、精度良く推定検出温度を推定することができ、使用者に不快感を与えずに応急運転を行うことができる。
上記の実施の形態1および実施の形態2で説明した例では、複数の室内装置のうちの第1室内装置である室内機4aが、室内機4aの空気調和運転を制御するための第1の状態値を検出する第1センサである室内温度センサ13を備える。また、複数の室内装置のうちの室内機4a以外の第2室内装置である室内機4b、室内機4c、室内機4dおよび換気装置5aが、自装置の空気調和運転を制御するための第2の状態値を検出する第2センサである室内温度センサ13または室内温度センサ65を備える。すなわち、第1センサと第2センサとは、同種のセンサである。
また、上記の例では、室内機4aは、室内機4aが備える第1センサである室内温度センサ13が正常な場合に、該室内温度センサ13での検出値と正常な第2室内装置の第2センサであるである室内温度センサ13または室内温度センサ65での検出値との差分を演算する差分演算部を備える。また、室内機4aは、室内機4aが備える第1センサである室内温度センサ13が異常となった場合に、正常な第2センサである室内温度センサ13または室内温度センサ65での検出値と、上記差分とを用いて、第1の状態値の推定検出値を演算する推定部を備える。第1の状態値の推定検出値は、室内機4aが備える室内温度センサ13が正常である場合に検出されると推定される推定検出値である。
なお、室内機4および換気装置5は、室内温度センサ、室内湿度センサ、外気温度センサ、外気湿度センサおよび室内CO2センサの任意のセンサを備えることができる。そして、第1センサと第2センサとは、これらのセンサのうちの同種のセンサとする。これにより、室内機4は、室内湿度センサ、外気温度センサ、外気湿度センサおよび室内CO2センサのいずれの場合も、上述した処理と同様の処理を行うことによって、室内機4が搭載するセンサが異常となった場合に、センサが正常である場合に検出されると推定される推定検出値を演算することができる。
上述したように、本実施の形態2においては、室内機4aは、室内機4に搭載された室内温度センサ13が異常状態となった場合でも、他の機器と自装置との運転状態の相違による影響を受けずに、精度良く推定検出温度を推定することができ、使用者に不快感を与えずに応急運転を行うことができる。
実施の形態3.
上述した実施の形態1および実施の形態2では、室内機4において推定検出温度の推定および応急運転を実施する場合について説明した。本実施の形態3では、換気装置5において推定検出温度の推定および応急運転を実施する場合について説明する。
図8に示すように、換気装置5の換気装置制御部82は、差分演算部91と、推定部92と、応急運転制御部93とを有する。
差分演算部91は、差分演算部41と同様の機能を有する。すなわち、差分演算部91は、自装置に搭載された各種のセンサが正常な場合に、自装置に搭載されたセンサによって検出された検出結果と、他の室内装置に搭載された正常なセンサによって検出された検出結果と、の差分を求める演算を行う。検出結果の差分は、同種類のセンサの検出結果の差分である。
また、推定部92は、推定部42と同様の機能を有する。すなわち、推定部92は、換気装置制御部82において自装置に搭載された各種のセンサの異常を検出した場合に、センサが正常な他の室内装置に搭載されたセンサによって検出された検出結果と、差分演算部41で演算した検出結果の差分から、異常が検出された自装置に搭載されたセンサの検出結果の推定値である推定検出値を演算する。
応急運転制御部93は、推定検出値に基づいて換気装置5の応急運転を制御する。
たとえば、複数の室内装置のうちの第1室内装置である換気装置5aが、換気装置5aの空気調和の対象の室内の状態値である第1の状態値である室内温度を検出する第1センサである室内温度センサ65を備える。また、複数の室内装置のうちの換気装置5a以外の第2室内装置である室内機4a、室内機4b、室内機4cおよび室内機4dが、自装置の空気調和の対象の第2の室内の状態値である第2の状態値を検出する第2センサである室内温度センサ13を備える。すなわち、第1センサと第2センサとは、同種のセンサである。
また、上記の例では、換気装置5aの差分演算部91は、換気装置5aが備える第1センサである室内温度センサ65が正常な場合に、該室内温度センサ65での検出値と正常な第2室内装置の第2センサである室内温度センサ13での検出値との差分を演算する。また、換気装置5aの推定部92は、換気装置5aが備える第1センサである室内温度センサ65が異常となった場合に、正常な第2センサである室内温度センサ13での検出値と、上記差分とを用いて、第1の状態値の推定検出値を演算する。第1の状態値の推定検出値は、換気装置5aが備える室内温度センサ65が正常である場合に検出されると推定される推定検出値である。
なお、室内機4および換気装置5は、室内温度センサ、室内湿度センサ、外気温度センサ、外気湿度センサおよび室内CO2センサの任意のセンサを備えることができる。そして、第1センサと第2センサとは、これらのセンサのうちの同種のセンサとする。これにより、換気装置5は、室内湿度センサ、外気温度センサ、外気湿度センサおよび室内CO2センサのいずれの場合も、実施の形態1または実施の形態2で説明した処理と同様の処理を行うことによって、換気装置5が搭載するセンサが異常となった場合に、センサが正常である場合に検出されると推定される推定検出値を演算することができる。
上述したように、換気装置5aは、差分演算部91、推定部92および応急運転制御部93を備えることにより、換気装置5aが搭載する室内温度センサ65が異常となった場合に、該室内温度センサ65の推定検出値を推定し、応急運転を実施することが可能である。
したがって、室内機4および換気装置5など、室内装置の機器の形態によらず、センサを搭載した機器であれば、上述したような差分演算部、推定部および応急運転制御部を備えることにより、異常となったセンサの推定検出値を推定し、応急運転を実施することが可能である。
実施の形態4.
上述したように、空気調和システム100は、中央監視装置8と、各種の室内機器とを有している。
室内機器は、中央監視装置8によって制御される、建物内に配置された各種電子機器であり、ここでは、室外機3と、複数の室内機4と、複数の換気装置5と、が例示される。なお、室内機器はこれらに限定されず、他の各種の電子機器が中央監視装置8に接続されてもよい。
本実施の形態4における室内機4は、上述した差分演算部および推定部の機能を実行しないこと以外は、上述した室内機4と同じ構成および機能を有する。また、本実施の形態4における換気装置5は、上述した差分演算部および推定部の機能を実行しないこと以外は、上述した換気装置5と同じ構成および機能を有する。
そして、本実施の形態4では、上述した差分演算部および推定部の機能を中央監視装置8が有する。これらの構成以外は、本実施の形態4での空気調和システム100の構成および機能は、上述した実施の形態と同様である。
図17は、本発明の実施の形態4における中央監視装置8の機能構成を示す図である。中央監視装置8は、中央制御部110と、通信部113を有する。
通信部113は、空気調和システム100における自装置以外の装置である、室外機3および換気装置5と、通信線2を介して通信可能とされている。
中央制御部110は、空気調和システム100の全体の動作を制御可能である。中央制御部110は、たとえば、室内機4を運転させるための指令、室内機4を停止させるための指令、空気調和機を暖房運転させるための指令、室内機4を冷房運転させるための指令、および室内機4の風速を設定するための指令といった各種の指令を、通信部113を介して室内機4に送信することができる。また、中央制御部110は、たとえば、換気装置5を運転させるための指令、換気装置5を停止させるための指令、および換気装置5の換気風量を設定するための指令といった各種の指令を、通信部113を介して換気装置5に送信することができる。
また、中央制御部110は、差分演算部111と、推定部112とを有する。
差分演算部111は、基本的に差分演算部41と同様の機能を有する。すなわち、差分演算部111は、室内装置に搭載された各種のセンサが正常な場合に、1つの室内装置に搭載されたセンサによって検出された検出結果と、他の室内装置に搭載された正常なセンサによって検出された検出結果と、の差分を求める演算を行う。検出結果の差分は、同種類のセンサの検出結果の差分である。
また、推定部112は、基本的に推定部42と同様の機能を有する。すなわち、推定部112は、1つの室内装置に搭載されたセンサの異常が検出された場合に、センサが正常な他の室内装置に搭載されたセンサによって検出された検出結果と、差分演算部111で演算した検出結果の差分から、異常が検出された室内装置に搭載されたセンサの検出結果の推定値である推定検出値を演算する。
中央制御部110は、マイクロコンピュータにより実現可能である。すなわち、中央制御部110は、例えば、図5に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。中央制御部110が図5に示す処理回路により実現される場合、中央制御部110は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、中央制御部110の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、通信部113を、同様にプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して通信部113の機能を実現してもよい。また、通信部113の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、中央制御部110と通信部113とのうちの1つの構成部を実現するためのプロセッサおよびメモリは、中央制御部110と通信部113とのうちの他の構成部を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
図18は、本発明の実施の形態4における中央監視装置8での温度差の演算処理および推定検出温度の推定処理の手順を示すシーケンス図である。シーケンスSQ1において、中央監視装置8の中央制御部110の差分演算部111は、空気調和システム100内の室内装置である室内機4a、室内機4b、室内機4c、室内機4dおよび換気装置5aのセンサ状態、運転モードおよび検出温度を取得するために、室内機4および換気装置5のセンサ状態、運転モード、および検出温度を要求する状態要求コマンドを、通信部113を介して各機器へ送信する。
状態要求コマンドを受信した各機器は、シーケンスSQ2において、自装置の室内温度センサのセンサ状態、運転モードおよび検出温度の情報が含まれた状態応答コマンドを中央監視装置8の差分演算部111へ送信する。
室内機4および換気装置5から状態要求コマンドを受信した差分演算部111は、シーケンスSQ3において、受信した各機器のセンサ状態、運転モードおよび検出温度から、温度差の平均値を演算し、優先順位を設定する。ここで、差分演算部111は、室内機4a、室内機4b、室内機4c、室内機4dおよび換気装置5aの各々について、搭載された室内温度センサが異常になった場合に使用する優先順位を、運転モード毎に設定する。
上述したシーケンスSQ1からシーケンスSQ3の処理は、既定の更新周期である既定時間毎に実施される。既定時間の一例は、1時間である。
あるタイミングのシーケンスSQ11で、換気装置5aに搭載された室内温度センサ65で異常が発生したとする。室内温度センサ65の異常が発生した換気装置5aの応急運転制御部93は、自装置の運転モードに対する推定検出温度を要求するための推定検出温度要求コマンドを中央監視装置8の中央制御部110へ送信する。ここで、換気装置5には温度調整機能がないため、換気装置5の応急運転制御部93は、自装置の運転モードを常に送風運転とみなし、送風運転時の推定検出温度を要求する送風運転時の推定検出温度要求コマンドを中央制御部110へ送信する。
送風運転時の推定検出温度要求コマンドを受信した中央制御部110では、センサ状態、運転モード、および検出温度を要求する状態要求コマンドを、シーケンスSQ3で設定した優先順位の高い順に、推定部112が室内機4a、室内機4b、室内機4cおよび室内機4dの各機器へ送信する。本実施の形態4では、室内機4a、室内機4b、室内機4cおよび室内機4dの優先順位を、室内機4c>室内機4b>室内機4aとする。
すなわち、推定部112が、シーケンスSQ12において状態要求コマンドを室内機4cに送信する。状態要求コマンドを受信した室内機4cは、シーケンスSQ13において、自装置のセンサ状態、運転モードおよび検出温度の情報が含まれた状態応答コマンドを推定部112へ送信する。
状態要求コマンドを受信した推定部112は、シーケンスSQ14において、受信した各機器のセンサ状態、運転モードおよび検出温度を用いて推定検出温度の演算を行う。推定検出温度を演算するにあたって、推定部112は、室内機4cの室内温度センサ13のセンサ状態が正常であるか、および換気装置5aの運転モードと室内機4cの運転モードとが一致しているかを判定する。推定部112は、室内機4cの室内温度センサ13のセンサ状態が正常であり、且つ換気装置5aの運転モードと室内機4cの運転モードとが一致した場合は、推定検出温度の演算を行う。
推定部112は、室内機4cの室内温度センサ13のセンサ状態が異常である、または換気装置5の運転モードと室内機4cの運転モードとが不一致の場合は、シーケンスSQ15において、つぎに優先順位の高い室内機4bの室内温度センサ13のセンサ状態、運転モードおよび検出温度を要求する状態要求コマンドを、室内機4bに送信する。
状態要求コマンドを受信した室内機4bは、シーケンスSQ16において、自装置のセンサ状態、運転モードおよび検出温度の情報が含まれた状態応答コマンドを推定部112へ送信する。
状態要求コマンドを受信した推定部112は、シーケンスSQ17において、受信した各機器のセンサ状態、運転モードおよび検出温度を用いて推定検出温度の演算を行う。推定検出温度を演算するにあたって、推定部112は、室内機4bの室内温度センサ13のセンサ状態が正常であるか、および換気装置5aの運転モードと室内機4bの運転モードとが一致しているかを判定する。推定部112は、室内機4bの室内温度センサ13のセンサ状態が正常であり、且つ換気装置5aの運転モードと室内機4bの運転モードとが一致した場合は、推定検出温度の演算を行う。
推定部112は、室内機4bの室内温度センサ13のセンサ状態が正常であり、且つ換気装置5aの運転モードと室内機4bの運転モードとが一致し、推定検出温度の演算を完了したら、シーケンスSQ18において、演算した送風運転時の推定検出温度を含む送風運転時の推定検出温度応答コマンドを換気装置5aへ送信する。
そして、換気装置5aの応急運転制御部93は、受信した送風運転時の推定検出温度を用いて換気装置5aの応急運転を実施する。
なお、室内機4a,4b,4cのいずれも、室内温度センサ13のセンサ状態が異常、あるいは換気装置5aの運転モードとの運転モードとが一致しなかった場合は、推定検出温度を「未定」として、換気装置5aへ推定検出温度応答コマンドを送信する。また、推定検出温度「未定」を受信した換気装置5aは、応急運転を実施しない。
推定検出温度応答コマンドを受信した換気装置5aは、その後、既定期間ごとに推定検出温度要求コマンドを中央監視装置8へ送信し、室内温度の変化に追従した応急運転を実施する。既定期間の一例は、10分である。
本実施の形態4では、空気調和システム100内の室内装置である室内機4および換気装置5と、中央監視装置8の中央制御部110との間で上記の処理が行われることによって、室内機4および換気装置5における温度差の演算、温度差の平均値の演算、優先順位の設定、推定検出温度の演算といった処理を、中央監視装置8で一元的に実施することができる。
したがって、中央監視装置8が差分演算部111および推定部112を備え、換気装置5aが応急運転制御部93を備えることにより、換気装置5aが搭載する室内温度センサ65が異常となった場合に、該室内温度センサ65の推定検出値を推定し、応急運転を実施することが可能である。
また、室内機4および換気装置5における温度差の演算、温度差の平均値の演算、優先順位の設定、推定検出温度の演算といった処理を、中央監視装置8で一元的に実施することで、応急運転を実施するために空気調和システムの通信線2を介して行う通信の頻度を抑制することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。