JPWO2019167123A1 - 誘電体多層膜ミラー - Google Patents

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Abstract

基板10と、基板10の上に形成された、第2低屈折率材料32と同じ又は該第2低屈折率材料32よりも屈折率が小さい第1低屈折率材料22と、第2高屈折率材料31よりも屈折率が大きい第1高屈折率材料21を交互に積層してなる第1多層膜構造体20と、第1多層膜構造体20の上に形成された、第2低屈折率材料32と、該第2低屈折率材料32よりも屈折率が大きく第1高屈折率材料21よりも消衰係数が小さい第2高屈折率材料31を交互に積層してなる第2多層膜構造体30とを備える誘電体多層膜ミラー。

Description

本発明は、紫外光を反射するために用いられる誘電体多層膜ミラーに関する。
微細な計測や高精度の加工が要求される半導体製造プロセス等、幅広い分野で紫外光が用いられている。計測装置や加工装置においてその精度や効率を向上するには紫外光の強度を高くすることが効果的である。紫外光を用いる計測装置や加工装置では、光源から発せられた紫外光をロスなく用いるために、誘電体多層膜ミラーが用いられている。
図1に、従来用いられている誘電体多層膜ミラーの例を示す。
この誘電体多層膜ミラー100は、基板110上に、屈折率が異なる2種類の材料からなる層(低屈折率材料層122、高屈折率材料層121)を交互に積層したものである。低屈折率材料層122としては、例えば屈折率が1.49(波長250nmにおける値。以下、これを「@250nm」と表記する。)である酸化シリコンSiO2が用いられる。また、高屈折率材料層121としては、例えば屈折率が2.18(@250nm)である酸化ハフニウムHfO2が用いられる。誘電体多層膜ミラー100では、低屈折率材料層122と高屈折率材料層121の屈折率の差が大きいほど、それらの界面における反射率を高くすることができる。最も表面側に位置する層(図1では低屈折率材料層123)には、耐環境性に優れる酸化シリコンSiO2が用いられ、最も反射効率が良くなる膜厚(典型的には光学膜厚が目的波長の1/2)で形成されている。レーザー用途においては、レーザーのエアーブレイクダウンから高屈折率材料を保護する効果もある。
特開2007-133325号公報
誘電体多層膜ミラー100では、誘電体の積層数を増やすほど低屈折率材料層122と高屈折率材料層121の界面の数が増加し、界面の数だけ紫外光が反射される機会が増える。しかし、基板110に近い(深い)位置の界面で反射された光はミラー表面に到達するまでの間に多数の誘電体層を通過するため、それら誘電体層で反射光の一部が吸収されてしまう。
図2に、酸化シリコンSiO2と酸化ハフニウムHfO2を交互に積層してなる誘電体多層膜ミラーについて、積層数を10層(5ペア)、20層(10ペア)、30層(15ペア)、及び40層(20ペア)としたときの反射率特性を示す。図2(b)は図2(a)の部分拡大図である。酸化シリコンSiO2と酸化ハフニウムHfO2を交互に積層してなる誘電体多層膜ミラーの場合、30層(15ペア)程度までは積層数の増加に伴って反射率が99.67%まで高くなるが、それ以上積層数を増やしても反射率を高くすることができない。
本発明が解決しようとする課題は、紫外領域において従来よりも高い反射率が得られる誘電体多層膜ミラーを提供することである。
本発明者は、酸化シリコンSiO2と酸化ハフニウムHfO2を交互に積層してなる誘電体多層膜ミラーにおいて積層数を増やしても反射率をその上限(99.67%)よりも高くすることができないことから、これ以上の反射率を得るには新たな構造の誘電体多層膜ミラーを開発する必要があると考え、種々の材料や構成を検討した。その結果、入射光量が多い表面近くに配置する高屈折率材料を、従来用いられている酸化ハフニウムHfO2よりも消衰係数が小さい酸化アルミニウムAl2O3に置き換えることにより、高屈折率材料層における光吸収を低減することができると考え、本発明に想到した。ここでは、従来技術として酸化ハフニウムHfO2と酸化シリコンSiO2を組み合わせてなる誘電体多層膜ミラーを例に挙げて説明したが、他の高屈折率材料と低屈折率材料の組み合わせを用いる場合にも上記同様の課題があり上記同様の技術的思想を適用することができる。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明に係る誘電体多層膜ミラーは、
a) 基板と、
b) 前記基板の上に形成された、後記第2低屈折率材料と同じ又は該第2低屈折率材料よりも屈折率が小さい第1低屈折率材料と、前記第1低屈折率材料及び後記第2高屈折率材料よりも屈折率が大きい第1高屈折率材料を交互に積層してなる第1多層膜構造体と、
c) 前記第1多層膜構造体の上に形成された、第2低屈折率材料と、該第2低屈折率材料よりも屈折率が大きく前記第1高屈折率材料よりも消衰係数が小さい第2高屈折率材料を交互に積層してなる第2多層膜構造体と
を備えることを特徴とする。
前記第1低屈折率材料と前記第2低屈折率材料は、異なるものであってもよく、同じものであってもよい。前記第1低屈折率材料と前記第2低屈折率材料には、例えば酸化シリコンを好適に用いることができる。
前記第1高屈折率材料及び前記第2高屈折率材料としては、例えば酸化ハフニウムと酸化アルミニウムを好適に用いることができる。
誘電体多層膜ミラーでは、その表面に近いほど多くの光量の光が反射される。本発明に係る誘電体多層膜ミラーは、表面近くに第1高屈折率材料よりも消衰係数の小さい第2高屈折率材料(例えば酸化アルミニウムAl2O3)と第2低屈折率材料(例えば酸化シリコンSiO2)を交互に積層してなる第2多層膜構造体を配置しているため、表面近傍での光吸収による光量の損失が従来よりも少なくなる。第2多層膜構造体を通過した光は、第2高屈折率材料(例えば酸化アルミニウムAl2O3)よりも屈折率が大きい材料である第1高屈折率材料(例えば酸化ハフニウムHfO2)と第1低屈折率材料(例えば酸化シリコンSiO2)を交互に積層してなる第1多層膜構造体の内部の界面において高効率で反射される。このように、本発明に係る誘電体多層膜ミラーでは、従来の誘電体多層膜ミラーに比べて表面近傍での光吸収による光量の損失が抑えられるため、従来よりも高い反射率が得られる。積層数等の詳細は後述するが、本発明者が作製した誘電体多層膜ミラーを用いると、250nmの紫外光を99.82%反射することができる。
本発明に係る誘電体多層膜ミラーを用いることにより、紫外領域における光反射率を従来よりも高くすることができる。
従来の誘電体多層膜ミラーの構成。 酸化シリコンと酸化ハフニウムを交互に積層してなる従来の誘電体多層膜ミラーにおける積層数と反射率の関係を示すグラフ。 酸化シリコンと酸化アルミニウムを交互に積層してなる従来の誘電体多層膜ミラーにおける積層数と反射率の関係を示すグラフ。 酸化シリコンと酸化アルミニウムを交互に積層してなる誘電体多層膜ミラーの表面近傍における反射率を説明する図。 本発明に係る誘電体多層膜ミラーの一実施例の構造を示す図。 本実施例の誘電体多層膜ミラーの反射率特性を示すグラフ。
上述の通り、本発明者は、酸化シリコンSiO2と酸化ハフニウムHfO2を交互に積層してなる誘電体多層膜ミラーにおいて積層数を増やしても反射率をその上限(99.67%)よりも高くすることができないことから、これ以上の反射率を得るには新たな構造の誘電体多層膜ミラーを開発する必要があると考え、種々の材料や構成を検討した。本発明に係る誘電体多層膜ミラーの具体的な実施例を説明する前にそれら検討の内容を説明する。
本発明者は、従来の誘電体多層膜ミラーよりも高い反射率を得るために、酸化ハフニウムHfO2よりも消衰係数の小さい材料である酸化アルミニウムAl2O3を高屈折率材料として用いることを考えた。そして、酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を交互に配置してなる誘電体多層膜ミラーについて、その積層数と反射率の関係を調べた。図3(a)にその結果を示す。また、図3(b)に本誘電体多層膜ミラーによる反射対象である紫外光の中心波長(250nm)近傍の部分拡大図を示す。
酸化アルミニウムAl2O3を高屈折率材料として用いた場合も、酸化ハフニウムHfO2を用いた場合と同様に、積層数が多くなるにつれて反射率が高くなる。図2に示すように酸化ハフニウムHfO2を用いた誘電体多層膜では30層(15ペア)まで積層数が増えたところで反射率が上限(99.67%)に達したが、酸化アルミニウムAl2O3を用いた誘電体多層膜では70層(35ペア)まで反射率が高くなり、この層数で反射率が上限(99.80%)に達した。
酸化ハフニウムHfO2に比べ、酸化アルミニウムAl2O3は250nmの消衰係数が小さいため、酸化ハフニウムHfO2を用いる場合よりも多くの積層数に達するまで反射率が上昇し続ける。しかし、酸化ハフニウムHfO2の屈折率2.18(@250nm)に比べて酸化アルミニウムAl2O3の屈折率は1.68(@250nm)と小さく、従って、高屈折率材料として酸化ハフニウムHfO2を用いる誘電体多層膜ミラーに比べると酸化シリコンSiO2との屈折率差が小さくなる。そのため、酸化アルミニウムAl2O3を用いる誘電体多層膜ミラーでは、その反射率を上限まで高めるには、70層(35ペア)もの積層数が必要となる。この最高反射率は酸化ハフニウムHfO2を用いた誘電体多層膜の最高反射率(99.67%)よりも高いが、積層数が多くなるため作製に時間がかかり、またコストも高くなる。
上記の検討を経て、本発明者は、250nmの消衰係数が小さい酸化アルミニウムAl2O3を、入射光量が多い領域に配置して(即ち前記第2高屈折率材料として使用して)光吸収による光量の損失を抑え、また入射光量が比較的少ない領域には屈折率が高い酸化ハフニウムHfO2を配置して(即ち前記第1高屈折率材料として使用して)、酸化シリコンSiO2との界面における反射効率を高めることに想到した。
図4に示すように、本発明者が行ったシミュレーション(波長250nm)によれば、酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を交互に積層した誘電体多層膜ミラーでは、最表に位置する2層(1ペア)で入射光の14%が、4層(2ペア)で入射光の23%(即ち、第3層と第4層の追加により入射光の9%)が、6層(3ペア)で入射光の32%(即ち、第5層と第6層の追加により入射光の9%)が反射される。つまり、最表に位置する少数の層で入射光の大半が反射されるため、それよりも深層に位置する層に達し、それらの層で吸収される光量はそれほど多くない。そこで、表面に近い側に酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる多層膜構造体を配し、基板に近い側(深層側)に酸化ハフニウムHfO2と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる多層膜構造体を配する構成を採ることにより、反射率を高め、かつコストを抑えた誘電体多層膜ミラーを作製できるという結論に達した。
本発明に係る誘電体多層膜ミラーの一実施例の構成を図5に示す。本実施例の誘電体多層膜ミラーは、大別して、基板10と、該基板10上に形成された第1多層膜構造体20と、該第1多層膜構造体20上に形成された第2多層膜構造体30とで構成されている。第1多層膜構造体20は第1低屈折率材料層22と第1高屈折率材料層21を交互に積層した構造体であり、第2多層膜構造体30は第2低屈折率材料層32と第2高屈折率材料層31を交互に積層した構造体である。
第2多層膜構造体30は、入射光量が多いミラーの表面側に位置することから、上記の考え方に基づき、第2高屈折率材料層31に、酸化ハフニウムHfO2よりも消衰係数の小さい酸化アルミニウムAl2O3を使用した。第2低屈折率材料層32は従来同様に酸化シリコンSiO2である。これにより、光吸収量を抑えつつ入射光量の大半を反射する。なお、第2多層膜構造体30の最表層は、ミラー表面の破損を防止するための保護層33を兼ねており、本実施例では第2低屈折率材料層32と同じ酸化シリコンSiO2が、第1多層膜構造体20及び第2多層膜構造体30内の第1低屈折率材料層22及び第2低屈折率材料層32(酸化シリコン)の2倍の厚さで形成されている。保護層33には、隣接して位置する第2多層膜構造体30で使用する第2高屈折率材料31(酸化アルミニウムAl2O3)を用いても良いが、本実施例では、より耐環境性に優れる酸化シリコンSiO2を用いた。また、本実施例では保護層33の厚さを他の層の2倍(即ち光学膜厚λ/2)とした。なお、保護層33の光学膜厚はλ/2の整数倍であればよく、必ずしもλ/2のみに限定されない。
一方、第1多層膜構造体20は、入射光量の少ない深層部に位置することから、上記の考え方に基づき、第1高屈折率材料層21として、酸化アルミニウムAl2O3よりも屈折率が大きい酸化ハフニウムHfO2を使用した。第1低屈折率材料層22は、第2多層膜構造体30で使用した第2低屈折率材料層32と同じく酸化シリコンSiO2である。これにより、第1多層膜構造体20では第2多層膜構造体30に比べて高屈折率材料と低屈折率材料の屈折率差が大きくなるため、第2多層膜構造体30を通過した光を効率よく反射する。本実施例では第1低屈折率材料層22と第2低屈折率材料層32をいずれも酸化シリコンSiO2としているが、第2低屈折率材料層32よりも屈折率が低い材料を第1低屈折率材料層22に用いることにより、さらに屈折率差を大きくすることもできる。
図5に示す構成において、第1多層膜構造体20の積層数を30層(15ペア)とし、第2多層膜構造体30の積層数を10層(5ペア)にしたところ、図6に示すように、250nmの紫外光について99.82%という高い反射率を得ることができた。この反射率は、酸化ハフニウムHfO2と酸化シリコンSiO2を40層(20ペア)積層した誘電体多層膜ミラーの最高反射率(99.67%)、及び酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を70層(35ペア)積層した誘電体多層膜ミラーの最高反射率(99.80%)のいずれよりも高い。本実施例の誘電体多層膜反射ミラーを構成する各層の材料及び物理的膜厚を下表に示す。
Figure 2019167123
第1多層膜構造体20及び第2多層膜構造体30の各層の物理的膜厚は、該物理的膜厚と屈折率の積が、目的波長(本実施例では250nm)の1/4となるように設定されている。即ち、第1多層膜構造体20における第1低屈折率材料層22(酸化シリコン)の物理的膜厚は41.99nm、第1高屈折率材料層21(酸化ハフニウム)の物理的膜厚は28.64nmであり、第2多層膜構造体30における第2低屈折率材料層32(酸化シリコン)の物理的膜厚は41.99nm、第2高屈折率材料層31(酸化アルミニウム)の物理的膜厚は37.11nmである。ただし、最表に位置する保護層33の物理的膜厚は83.98nmである。
入射光の波長λの4分の1(λ/4)の光学膜厚で積層された層の各境界で反射した光には、2分の1波長(λ/4+λ/4)の光路差が生じる。また、低屈折率層から入射して高屈折率層との境界で反射した光の位相は反射時に反転する(λ/2の光路差の発生と同じ効果が生じる)。一方、高屈折率層から入射して低屈折率層との境界で反射する光の位相は反転しない。それらの結果、高屈折率層/低屈折率層の各境界で反射した光の位相が揃う(光路差λ/2+位相反転効果による効果λ/2=λ)。
以上、説明したように、本実施例の誘電体多層膜ミラーでは、従来用いられている、酸化ハフニウムHfO2と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる多層膜反射ミラーの反射率の上限(99.67%)、及び酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる多層膜反射ミラーの反射率の上限(99.80%)のいずれよりも高い反射率(99.82%)が得られた。また、酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる誘電体多層膜反射ミラーでは、反射率の上限値を得るために70層(35ペア)積層しなければならないのに対し、本実施例の誘電体多層膜反射ミラーでは、第1多層膜構造体20と第2多層膜構造体30の層数の合計が40層(20ペア)に抑えられるため、作製が容易でありコストも抑えることができる。なお、酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を本実施例と同じ層数、即ち合計40層(20ペア)積層した場合に得られる反射率は98.17%であり、本実施例の誘電体多層膜ミラーではこれよりも十分に高い反射率が得られている。
上記実施例は一例であって、本発明の主旨に沿って適宜に変更することができる。上記実施例では第1多層膜構造体20の積層数を30層(15ペア)、第2多層膜構造体30の積層数を10層(5ペア)としたが、これらの積層数は求められる反射率の高さとコストのバランスを考慮して適宜に変更することができる。例えば、従来と同程度の反射率でコストを抑える(即ち積層数を抑える)場合には、第1多層膜構造体20の積層数を18層(9ペア)、第2多層膜構造体30の積層数を8層(4ペア)とすればよく(反射率:99.68%)、また、酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる従来の誘電体多層膜ミラーと同程度の積層数(70層)が許容される場合には、第1多層膜構造体20の積層数を22層(11ペア)、第2多層膜構造体30の積層数を48層(24ペア)とすることにより99.84%という高い反射率が得られる。
また、上記実施例では第1低屈折率材料及び第2低屈折率材料に酸化シリコンを用い、第1高屈折率材料として酸化ハフニウム、第2高屈折率材料として酸化アルミニウムを用いたが、必ずしもこれらの組合せのみに限定されない。上述の通り、第1低屈折率材料には、第2低屈折率材料以下の屈折率を有する適宜の材料を、第1高屈折率材料には第1低屈折率材料よりも屈折率が大きい適宜の材料を、第2高屈折率材料には酸化シリコンよりも屈折率が大きく前記第1材料よりも消衰係数が小さい適宜の材料を、それぞれ用いることができる。
10…基板
20…第1多層膜構造体
21…第1高屈折率材料層
22…第1低屈折率材料層
30…第2多層膜構造体
31…第2高屈折率材料層
32…第2低屈折率材料層
33…保護層
酸化アルミニウムAl2O3を高屈折率材料として用いた場合も、酸化ハフニウムHfO2を用いた場合と同様に、積層数が多くなるにつれて反射率が高くなる。図2に示すように酸化ハフニウムHfO2を用いた誘電体多層膜ミラーでは30層(15ペア)まで積層数が増えたところで反射率が上限(99.67%)に達したが、酸化アルミニウムAl2O3を用いた誘電体多層膜ミラーでは70層(35ペア)まで反射率が高くなり、この層数で反射率が上限(99.80%)に達した。
酸化ハフニウムHfO2に比べ、酸化アルミニウムAl2O3は250nmの消衰係数が小さいため、酸化ハフニウムHfO2を用いる場合よりも多くの積層数に達するまで反射率が上昇し続ける。しかし、酸化ハフニウムHfO2の屈折率2.18(@250nm)に比べて酸化アルミニウムAl2O3の屈折率は1.68(@250nm)と小さく、従って、高屈折率材料として酸化ハフニウムHfO2を用いる誘電体多層膜ミラーに比べると酸化シリコンSiO2との屈折率差が小さくなる。そのため、酸化アルミニウムAl2O3を用いる誘電体多層膜ミラーでは、その反射率を上限まで高めるには、70層(35ペア)もの積層数が必要となる。この最高反射率は酸化ハフニウムHfO2を用いた誘電体多層膜ミラーの最高反射率(99.67%)よりも高いが、積層数が多くなるため作製に時間がかかり、またコストも高くなる。
第2多層膜構造体30は、入射光量が多いミラーの表面側に位置することから、上記の考え方に基づき、第2高屈折率材料層31に、酸化ハフニウムHfO2よりも消衰係数の小さい酸化アルミニウムAl2O3を使用した。第2低屈折率材料層32は従来同様に酸化シリコンSiO2である。これにより、光吸収量を抑えつつ入射光量の大半を反射する。なお、第2多層膜構造体30の最表層は、ミラー表面の破損を防止するための保護層33を兼ねており、本実施例では第2低屈折率材料層32と同じ酸化シリコンSiO2が、第1多層膜構造体20及び第2多層膜構造体30内の第1低屈折率材料層22及び第2低屈折率材料層32(酸化シリコン)の2倍の厚さで形成されている。保護層33には、隣接して位置する第2多層膜構造体30で使用する第2高屈折率材料31(酸化アルミニウムAl2O3)を用いても良いが、本実施例では、より耐環境性に優れる酸化シリコンSiO2を用いた。また、本実施例では保護層33の厚さを他の層の2倍(即ち光学膜厚λ/2)とした。なお、保護層33の光学膜厚はλ/2の整数倍であればよく、必ずしもλ/2のみに限定されない。
図5に示す構成において、第1多層膜構造体20の積層数を30層(15ペア)とし、第2多層膜構造体30の積層数を10層(5ペア)にしたところ、図6に示すように、250nmの紫外光について99.82%という高い反射率を得ることができた。この反射率は、酸化ハフニウムHfO2と酸化シリコンSiO2を40層(20ペア)積層した誘電体多層膜ミラーの最高反射率(99.67%)、及び酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を70層(35ペア)積層した誘電体多層膜ミラーの最高反射率(99.80%)のいずれよりも高い。本実施例の誘電体多層ミラーを構成する各層の材料及び物理的膜厚を下表に示す。
Figure 2019167123
以上、説明したように、本実施例の誘電体多層膜ミラーでは、従来用いられている、酸化ハフニウムHfO2と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる誘電体多層膜ミラーの反射率の上限(99.67%)、及び酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる誘電体多層膜ミラーの反射率の上限(99.80%)のいずれよりも高い反射率(99.82%)が得られた。また、酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を交互に積層してなる誘電体多層膜ミラーでは、反射率の上限値を得るために70層(35ペア)積層しなければならないのに対し、本実施例の誘電体多層膜ミラーでは、第1多層膜構造体20と第2多層膜構造体30の層数の合計が40層(20ペア)に抑えられるため、作製が容易でありコストも抑えることができる。なお、酸化アルミニウムAl2O3と酸化シリコンSiO2を本実施例と同じ層数、即ち合計40層(20ペア)積層した場合に得られる反射率は98.17%であり、本実施例の誘電体多層膜ミラーではこれよりも十分に高い反射率が得られている。
また、上記実施例では第1低屈折率材料及び第2低屈折率材料に酸化シリコンを用い、第1高屈折率材料として酸化ハフニウム、第2高屈折率材料として酸化アルミニウムを用いたが、必ずしもこれらの組合せのみに限定されない。上述の通り、第1低屈折率材料には、第2低屈折率材料以下の屈折率を有する適宜の材料を、第1高屈折率材料には第1低屈折率材料よりも屈折率が大きい適宜の材料を、第2高屈折率材料には酸化シリコンよりも屈折率が大きく前記第1高屈折率材料よりも消衰係数が小さい適宜の材料を、それぞれ用いることができる。

Claims (8)

  1. a) 基板と、
    b) 前記基板の上に形成された、後記第2低屈折率材料と同じ又は該第2低屈折率材料よりも屈折率が小さい第1低屈折率材料と、前記第1低屈折率材料及び後記第2高屈折率材料よりも屈折率が大きい第1高屈折率材料を交互に積層してなる第1多層膜構造体と、
    c) 前記第1多層膜構造体の上に形成された、第2低屈折率材料と、該第2低屈折率材料よりも屈折率が大きく前記第1高屈折率材料よりも消衰係数が小さい第2高屈折率材料を交互に積層してなる第2多層膜構造体と
    を備えることを特徴とする誘電体多層膜ミラー。
  2. 前記第1低屈折率材料及び前記第2低屈折率材料が酸化シリコンであることを特徴とする請求項1に記載の誘電体多層膜ミラー。
  3. 前記第1高屈折率材料が酸化ハフニウムであることを特徴とする請求項1に記載の誘電体多層膜ミラー。
  4. 前記第2項屈折率材料が酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の誘電体多層膜ミラー。
  5. さらに、
    d) 前記第2多層膜構造体の上に形成された、前記第2低屈折率材料と前記第2高屈折率材料のうち、該第2多層膜構造体の最表面に配された物質と異なる物質からなる保護層
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の誘電体多層膜ミラー。
  6. 前記保護層の光学膜厚が、目的波長λに関してλ/2の整数倍である
    ことを特徴とする請求項5に記載の誘電体多層膜ミラー。
  7. 前記第2多層膜構造体における積層数が8層以上48層以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘電体多層膜ミラー。
  8. 前記第2多層膜構造体における積層数と前記第1多層膜構造体における積層数の合計が26層以上70層以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘電体多層膜ミラー。
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