JPWO2019142634A1 - 磁気検出装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

固定磁化方向Pとバイアス印加方向Fとの関係が互いに異なる2種類の磁気抵抗効果膜MR1,MR2を備える磁気検出素子M1,R2が同一基板SB上に設けられたフルブリッジ回路HBを備える磁気検出装置100であって、ブロッキング温度Tbが異なる反強磁性層を備える3種類以上の交換結合膜511,512,521,522によって固定磁化方向Pおよびバイアス印加方向Fが設定されているため、強磁場耐性を有し、製造も容易であって製造自由度が高い。

Description

本発明は磁気抵抗効果膜を有する磁気検出素子を複数備えるフルブリッジ回路を備える磁気検出装置およびその製造方法に関する。
固定磁性層およびフリー磁性層を含む磁気抵抗効果膜を有する磁気検出素子を用いた磁気検出装置(磁気センサ)は、地磁気センサ、位置センサ、電流センサなどの様々な分野に使用されている。こうした各種センサの検出精度を高めたり測定可能な範囲を広げたりする観点から、外部磁場への応答性が異なる2種類の磁気検出素子を直列に接続してなるハーフブリッジ回路を並列に接続して構成されるフルブリッジ回路(ホイートストンブリッジ回路)を磁気センサが備える場合がある。フルブリッジ回路に用いられる2種類の磁気検出素子は、通常、外部磁場が印加されていない状態におけるフリー磁性層の磁化方向と感度軸方向との相対関係が異なることに基づき、外部磁場への応答性が相違する。
例えば、特許文献1には、固定磁化軸が互いに反平行な設定された2種類の磁気検出素子が記載されている。また、特許文献2には、固定磁化軸は同じ方向に設定されているがフリー磁性層に印加されるバイアス磁界の方向が異なるように設定された2種類の磁気検出素子が記載されている。
特開2006−527497号公報 特表2014−516406号公報
特許文献1では、基板上に形成された複数の磁気検出素子の固定磁化軸の方向を互いに異なるように設定するために、磁場を印加しながら複数の磁気検出素子のいずれかを選択的に通電加熱することによって、通電加熱された磁気検出素子の反強磁性層をそのブロッキング温度以上に加熱し、外部磁場の印加方向に揃っている固定磁性層の磁化方向に反強磁性層の磁化方向を揃え、結果、通電加熱された磁気検出素子の固定磁化軸を所望の方向に設定している。
特許文献2では、2種類の磁気検出素子について固定磁化軸の方向を揃え、外部磁場が印加されていない状態のフリー磁性層の方向を互いに異なるようにして2種類の磁気検出素子を同一基板上に形成している。このフリー磁性層の方向を制御する方法として、磁気抵抗効果膜の形状異方性を用いる、永久磁石によるバイアス磁界を用いる、フリー磁性層に反強磁性層を積層して交換結合磁界を発生させる、といった方法が記載されている。
本発明は、こうした特許文献1および特許文献2に記載される構成とは異なる構成により、外部磁場への応答性が異なる2種類の磁気検出素子を同一基板上に有するフルブリッジ回路(ホイートストンブリッジ回路)を備える磁気検出装置を提供することを目的とする。また、本発明は、上記の磁気検出装置を製造する方法を提供することも目的とする。
上記課題を解決するために提供される本発明は、一態様において、第1固定磁性層と第1フリー磁性層とが積層された第1磁気抵抗効果膜を備える第1磁気検出素子、および第2固定磁性層と第2フリー磁性層とが積層された第2磁気抵抗効果膜を備える第2磁気検出素子を有するフルブリッジ回路を備える磁気検出装置であって、前記フルブリッジ回路は、前記第1磁気検出素子と前記第2磁気検出素子とが直列に接続されてなる第1ハーフブリッジ回路と、前記第2磁気検出素子と前記第1磁気検出素子とが直列に接続されてなる第2ハーフブリッジ回路と、が、電源端子とグランド端子との間で並列接続されてなり、前記第1磁気検出素子と前記第2磁気検出素子とは同一の基板上に設けられ、前記第1磁気抵抗効果膜において、前記第1固定磁性層と、前記第1固定磁性層の前記第1フリー磁性層に対向する側とは反対側に積層された第1固定用反強磁性層とが第1固定用交換結合膜を構成し、前記第1フリー磁性層と、前記第1フリー磁性層の前記第1固定磁性層に対向する側とは反対側に積層された第1バイアス用反強磁性層とが第1バイアス用交換結合膜を構成し、前記第2磁気抵抗効果膜において、前記第2固定磁性層と、前記第2固定磁性層の前記第2フリー磁性層に対向する側とは反対側に積層された第2固定用反強磁性層とが第2固定用交換結合膜を構成し、前記第2フリー磁性層と、前記第2フリー磁性層の前記第2固定磁性層に対向する側とは反対側に積層された第2バイアス用反強磁性層とが第2バイアス用交換結合膜を構成し、前記第1固定磁性層の固定磁化軸と前記第2固定磁性層の固定磁化軸とは共軸に設定され、前記第1バイアス用交換結合膜の交換結合磁界の方向と前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定され、前記第2バイアス用交換結合膜の交換結合磁界の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定され、前記第1固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf1および前記第2固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf2は、それぞれ、前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1および前記第2バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb2のいずれよりも高く、前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1は前記第2バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb2よりも高いことを特徴とする磁気検出装置である。
上記のように、ブロッキング温度Tbが異なる反強磁性層を少なくとも3種類用いることにより、2種類の磁気抵抗効果素子について、固定磁化軸の方向およびフリー磁性層のバイアス磁界の印加方向を自由度高く設定することが可能となる。しかも、固定磁化軸の設定およびバイアス磁界の設定をいずれも反強磁性層と強磁性層との交換結合磁界を用いて行うため、強磁場耐性に優れる。また、隣り合って配置される2種類の磁気抵抗効果素子が相互に影響を与えにくい。それゆえ、例えば永久磁石を用いてバイアス磁界の設定する場合に比べて、磁気検出装置の小型化が可能となる。
上記の磁気検出装置において、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とは反平行に設定され、前記第1バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向と前記第2バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向とは平行に設定され、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第1バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向とは非平行に(具体的には積層方向視で直交するように)設定されていてもよい。
上記の磁気検出装置において、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とは平行に設定され、前記第1バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向と前記第2バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向とは非平行に設定されていてもよい。この場合において、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向に対する前記第1バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向の積層方向視での傾き角度が、前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向に対する前記第2バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向の積層方向視での傾き角度と反対向きで絶対値が等しいことが好ましい。具体的には傾き角度の絶対値がいずれも45度で、結果、積層方向視で直交する場合が例示される。
上記の磁気検出装置において、前記第1固定用反強磁性層および前記第2固定用反強磁性層の少なくとも一方である固定用反強磁性層は、白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素XならびにMnおよびCrを含有するX(Cr−Mn)層を備え、前記X(Cr−Mn)層は、前記固定用反強磁性層と交換結合する固定用強磁性層(第1固定用反強磁性層および/または第2固定用反強磁性層)に相対的に近位な第1領域と、前記固定用強磁性層から相対的に遠位な第2領域とを有し、前記第1領域におけるMnの含有量は、前記第2領域におけるMnの含有量よりも高いことが好ましい。第1固定用反強磁性層および前記第2固定用反強磁性層の双方が上記の固定用反強磁性層であることが好ましい。
図1は、上記の固定用反強磁性層を有する交換結合膜の磁化曲線のヒステリシスループを説明する図である。通常、軟磁性体のM−H曲線(磁化曲線)が作るヒステリシスループは、H軸とM軸との交点(磁界H=0A/m、磁化M=0A/m)を中心として対称な形状となるが、図1に示されるように、交換結合膜のヒステリシスループは、固定用反強磁性層と交換結合する強磁性層に対して交換結合磁界Hexが作用するため、交換結合磁界Hexの大きさに応じてH軸に沿ってシフトした形状となる。交換結合膜の固定用強磁性層は、この交換結合磁界Hexが大きいほど外部磁界が印加されても磁化の向きが反転しにくいため、かかる固定用反強磁性層を備える磁気検出装置は、強磁場耐性に優れる。
しかも、上記の固定用反強磁性層は、特許文献1に記載されるIrMn、PtMnといった従来の反強磁性材料から形成された反強磁性層よりもブロッキング温度Tbが高いため、例えば350℃程度であって外部磁場が印加される環境に置かれていても、交換結合磁界Hexを維持することができる。
上記の磁気検出装置において、前記第1領域が前記固定用強磁性層に接していてもよい。
上記の磁気検出装置において、前記第1領域は、Mnの含有量のCrの含有量に対する比であるMn/Cr比が0.3以上の部分を有していてもよい。この場合において、前記第1領域は、前記Mn/Cr比が1以上である部分を有することが好ましい。
上記の磁気検出装置の具体的な一態様として、前記固定用反強磁性層は、PtCr層と、前記PtCr層よりも前記固定用強磁性層に近位なXMn層(ただし、Xは白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素)とが積層されてなるものであってもよい。
上記の磁気検出装置の具体例として、前記固定用反強磁性層は、PtCr層とPtMn層とがこの順番で前記PtMn層が前記固定用強磁性層に近位になるように積層されてなるものであってもよい。この場合において、前記PtMn層よりも前記固定用強磁性層に近位にさらにIrMn層が積層されてもよい。この場合には、上記のXMn層がPtMn層とIrMn層との積層構造を有している。
上記の磁気検出装置において、前記第1固定用反強磁性層および前記第2固定用反強磁性層の少なくとも一方である固定用反強磁性層は、XCr層(ただし、Xは白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素)とXMn層(ただし、Xは白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素であって、Xと同じでも異なっていてもよい)とが交互に積層された三層以上の交互積層構造を有していてもよい。このような構成を有する場合も、磁気検出装置は強磁場耐性を有する。
上記の磁気検出装置において、前記XがPtであり、前記XがPtまたはIrであってもよい。
上記の磁気検出装置において、前記固定用反強磁性層は、XCr層とXMn層とからなるユニットが複数積層されたユニット積層部を有していてもよい。この場合において、前記ユニット積層部における、前記XCr層および前記XMn層は、それぞれ同じ膜厚であり、前記XCr層の膜厚が、前記XMn層の膜厚よりも大きくてもよい。このとき、前記XCr層の膜厚と前記XMn層の膜厚との比が、5:1〜100:1であることが好ましい場合がある。
上記の磁気検出装置において、前記第1バイアス用反強磁性層はPtMn層からなり、前記第2バイアス用反強磁性層はIrMn層からなることが好ましい。この場合には、ブロッキング温度が従来になく高く、しかも強い交換結合磁界を発生させうる反強磁性層によって固定磁化軸の方向が設定される。
本発明は、他の一態様として、第1固定磁性層と第1フリー磁性層とが積層された第1磁気抵抗効果膜を備える第1磁気検出素子、および第2固定磁性層と2フリー磁性層とが積層された第2磁気抵抗効果膜を備える第2磁気検出素子を有するフルブリッジ回路を備える磁気検出装置の製造方法を提供する。この製造方法により製造される磁気検出装置について、前記フルブリッジ回路は、前記第1磁気検出素子と前記第2磁気検出素子とが直列に接続されてなる第1ハーフブリッジ回路と、前記第2磁気検出素子と前記第1磁気検出素子とが直列に接続されてなる第2ハーフブリッジ回路と、が、電源端子とグランド端子との間で並列接続されてなり、前記第1磁気検出素子と前記第2磁気検出素子とは同一の基板上に設けられ、前記第1磁気抵抗効果膜において、前記第1固定磁性層と、前記第1固定磁性層の前記第1フリー磁性層に対向する側とは反対側に積層された第1固定用反強磁性層とが第1固定用交換結合膜を構成し、前記第1フリー磁性層と、前記第1フリー磁性層の前記第1固定磁性層に対向する側とは反対側に積層された第1バイアス用反強磁性層とが第1バイアス用交換結合膜を構成し、前記第2磁気抵抗効果膜において、前記第2固定磁性層と、前記第2固定磁性層の前記第2フリー磁性層に対向する側とは反対側に積層された第2固定用反強磁性層とが第2固定用交換結合膜を構成し、前記第2フリー磁性層と、前記第2フリー磁性層の前記第2固定磁性層に対向する側とは反対側に積層された第2バイアス用反強磁性層とが第2バイアス用交換結合膜を構成し、前記第1固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf1および前記第2固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf2は、それぞれ、前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1および前記第2バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb2のいずれよりも高く、前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1は前記第2バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb2よりも高い。かかる製造方法は、熱処理により前記第1固定用反強磁性層および前記第2固定用反強磁性層を規則化して、前記第1バイアス用交換結合膜および前記第2バイアス用交換結合膜に交換結合磁界を生じさせることにより、前記第1固定磁性層の固定磁化軸と前記第2固定磁性層の固定磁化軸とを共軸に設定する固定磁化軸設定工程と、前記第1固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf1および前記第2固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf2より低い温度で外部磁場を印加しながら熱処理することにより、前記第1バイアス用交換結合膜によるバイアス磁界の方向を前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定する第1バイアス磁界設定工程と、前記第1バイアス磁界設定工程の後に、前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1より低い温度で外部磁場を印加しながら熱処理することにより、前記第2バイアス用交換結合膜によるバイアス磁界の方向を前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定する第2バイアス磁界設定工程と、を備える。
かかる製造方法によれば、外部磁場への応答性が異なる2種類の磁気検出素子を同一基板上に有するフルブリッジ回路(ホイートストンブリッジ回路)を備え、強磁場耐性に優れる磁気検出装置を、磁気検出素子単位で外部磁場を印加する工程なしに製造することが可能である。
上記の製造方法において、前記固定磁化軸設定工程では、前記第1固定用交換結合膜の交換結合磁界の方向を第1固定用強磁性層の磁化方向に揃え、前記第2固定用交換結合膜の交換結合磁界の方向を第2固定用強磁性層の磁化方向に揃えてもよい。第1固定用交換結合膜の交換結合磁界の方向を揃える第1固定用強磁性層の磁化方向および第2固定用交換結合膜の交換結合磁界の方向を揃える第2固定用強磁性層の磁化方向は、成膜段階で所定の方向に揃えられていてもよいし、固定磁化軸設定工程において外部磁場を印加しながら加熱することにより揃えてもよい。
上記の製造方法において、前記固定磁化軸設定工程では、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とを反平行に設定し、第1バイアス磁界設定工程では、前記第1バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向を、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定し、第2バイアス磁界設定工程では、前記第2バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向を、前記第1バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向と平行に設定してもよい。このように設定することにより、特許文献1に開示される構成のフルブリッジ回路を、磁気抵抗効果膜を通電加熱することなく形成することが可能である。
上記の製造方法において、前記固定磁化軸設定工程では、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とを平行に設定し、前記第1バイアス磁界設定工程では、前記第1バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向を、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定し、前記第2バイアス磁界設定工程では、前記第2バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向を前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向および前記第1バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向のいずれとも非平行に設定してもよい。このように設定することにより、特許文献2に開示される構成のフルブリッジ回路を、永久磁石バイアスやバイアス磁界発生用の電流導体を不要として形成することが可能である。
本発明によれば、外部磁場への応答性が異なる2種類の磁気検出素子を同一基板上に有するフルブリッジ回路を備え、強磁場耐性に優れる磁気検出装置が提供される。また、本発明によれば、上記の磁気検出装置を製造する方法も提供される。
本発明に係る磁界印加バイアス膜の磁化曲線のヒステリシスループを説明する図である。 本発明の第1の実施形態に係る磁気センサの回路ブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る磁気検出素子の構成を示す説明図であって、(a)第1磁気検出素子の磁気抵抗効果膜をY1−Y2方向からみた図、(b)第2磁気検出素子の磁気抵抗効果膜をY1−Y2方向からみた図である。 (a)本発明の一実施形態に係る積層型の反強磁性層と同様の反強磁性層を備える交換結合膜を含む膜の構成の説明図、(b)図4(a)のデプスプロファイルの一例である。 図4のデプスプロファイルの一部を拡大したプロファイルである。 図5に基づき求めたMnの含有量に対するCrの含有量の比(Mn/Cr比)を、図5と横軸の範囲を等しくして示したグラフである。 (a)本発明の第1の実施形態の変形例に係る第1磁気検出素子の磁気抵抗効果膜の構成を示す説明図、(b)本発明の第1の実施形態の別の変形例に係る第1磁気検出素子の磁気抵抗効果膜の構成を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る磁気センサの回路ブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る磁気検出素子の構成を示す説明図であって、(a)第1磁気検出素子の磁気抵抗効果膜をY1−Y2方向からみた図、(b)第2磁気検出素子の磁気抵抗効果膜をY1−Y2方向からみた図である。 交換結合磁界Hexの強度の温度依存性を示すグラフである。
<第1の実施形態に係る磁気検出素子>
図2は、本発明の第1の実施形態に係る磁気センサ(磁気検出装置)の回路ブロック図である。図3は本発明の第1の実施形態に係る磁気検出素子の構成を示す説明図であって、図3(a)は第1磁気検出素子の磁気抵抗効果膜をY1−Y2方向からみた図であり、図3(b)は第2磁気検出素子の磁気抵抗効果膜をY1−Y2方向からみた図である。
図2に示されるように、磁気センサ100は、第1ハーフブリッジ回路HB1と第2ハーフブリッジ回路HB2とが電源端子Vddとグランド端子GNDとの間で並列接続されてなるフルブリッジ回路FBを備える。第1ハーフブリッジ回路HB1は、第1磁気検出素子M1と第2磁気検出素子M2とが直列に接続されてなり、第2ハーフブリッジ回路HB2は、第2磁気検出素子M2と前記第1磁気検出素子M1とが直列に接続されてなる。第1磁気検出素子M1と第2磁気検出素子M2とは同一の基板SB上に設けられている。
フルブリッジ回路FBを構成する第1ハーフブリッジ回路HB1の中点V1の出力電位(OutX1)と、第2ハーフブリッジ回路HB2の中点V2の出力電位(OutX2)との差動出力(OutX1)−(OutX2)がX1−X2方向の検知出力(検知出力電圧)VXsとして得られる。
第1磁気検出素子M1は第1磁気抵抗効果膜MR1を備え、第1磁気抵抗効果膜MR1は、X1−X2方向X2向き(固定磁化方向P)に磁化が固定された第1固定磁性層15と、印加された外部磁場Hに沿って容易に磁化される第1フリー磁性層13とを有する巨大磁気抵抗効果膜からなる。
第1固定磁性層15と、第1固定磁性層15の第1フリー磁性層13に対向する側とは反対側(Z1−Z2方向Z1側)に積層された第1固定用反強磁性層16とが第1固定用交換結合膜511を構成する。第1固定用交換結合膜511の第1固定磁性層15の間(界面)には交換結合磁界Hexが生じ、この交換結合磁界Hexに基づいて、図2および図3に黒矢印で示すように、第1固定磁性層15はX1−X2方向X2向きに固定磁化方向Pが設定される。
第1フリー磁性層13と、第1フリー磁性層13の第1固定磁性層15に対向する側とは反対側(Z1−Z2方向Z2側)に積層された第1バイアス用反強磁性層12とが第1バイアス用交換結合膜512を構成する。第1バイアス用交換結合膜512では、第1バイアス用反強磁性層12と第1フリー磁性層13との間(界面)にはY1−Y2方向Y1向きの交換結合磁界Hexが生じる。この交換結合磁界Hexに基づいて、図2に白矢印で示し、図3では紙面奥向きに示すように、第1フリー磁性層13には、発生した交換結合磁界Hexの向きに沿ってY1−Y2方向Y1向き(バイアス印加方向F)のバイアス磁界が印加される。外部磁場Hが印加されていない状態では、このバイアス磁界に基づき、第1フリー磁性層13はバイアス印加方向Fに磁化した状態となる。
第2磁気検出素子M2は第2磁気抵抗効果膜MR2を備え、第2磁気抵抗効果膜MR2は、X1−X2方向X1向き(固定磁化方向P)に磁化が固定された第2固定磁性層25と、印加された外部磁場Hに沿って容易に磁化される第2フリー磁性層23とを有する巨大磁気抵抗効果膜からなる。
第2固定磁性層25と、第2固定磁性層25の第2フリー磁性層23に対向する側とは反対側(Z1−Z2方向Z1側)に積層された第2固定用反強磁性層26とが第2固定用交換結合膜521を構成する。第2固定用交換結合膜521の第2固定磁性層25の間(界面)には交換結合磁界Hexが生じ、この交換結合磁界Hexに基づいて、図2および図3に黒矢印で示すように、第2固定磁性層25はX1−X2方向X1向きに固定磁化方向Pが設定される。すなわち、第1固定磁性層15の固定磁化方向Pと第2固定磁性層25の固定磁化方向Pとは共軸であるが反対向き、つまり反平行になるように設定されている。
第2フリー磁性層23と、第2フリー磁性層23の第2固定磁性層25に対向する側とは反対側(Z1−Z2方向Z2側)に積層された第2バイアス用反強磁性層22とが第2バイアス用交換結合膜522を構成する。第2バイアス用交換結合膜522では、第2バイアス用反強磁性層22と第2フリー磁性層23との間(界面)にはY1−Y2方向Y1向きの交換結合磁界Hexが生じる。この交換結合磁界Hexに基づいて、図2に白矢印で示し、図3では紙面奥向きに示すように、第2フリー磁性層23には、発生した交換結合磁界Hexの向きに沿ってY1−Y2方向Y1向き(バイアス印加方向F)のバイアス磁界が印加される。外部磁場Hが印加されていない状態では、このバイアス磁界に基づき、第2フリー磁性層23はバイアス印加方向Fに磁化した状態となる。第1フリー磁性層13に印加されるバイアス磁界の方向(バイアス印加方向F)と第2フリー磁性層23に印加されるバイアス磁界の方向(バイアス印加方向F)とは共軸であってかつ同じ向き、つまり平行になるように設定されている。
このように、第1固定用交換結合膜511の交換結合磁界Hexの方向と第1バイアス用交換結合膜512の交換結合磁界Hexの方向とが非平行(具体的にはZ1−Z2方向からみて(積層方向視で)直交)に設定されているため、第1固定磁性層15の固定磁化方向Pと第1フリー磁性層13のバイアス印加方向FとはZ1−Z2方向からみて直交している。また、第2固定用交換結合膜521の交換結合磁界Hexの方向と第2バイアス用交換結合膜522の交換結合磁界Hexの方向とが非平行(具体的にはZ1−Z2方向からみて直交)に設定されているため、第2固定磁性層25の固定磁化方向Pと第2フリー磁性層23のバイアス印加方向FとはZ1−Z2方向からみて直交している。磁気センサ100にX1−X2方向の外部磁場Hが印加されたときに、第1フリー磁性層13の磁化方向および第2フリー磁性層23の磁化方向は外部磁場Hの方向に沿うように回転し、このとき、固定磁性層の磁化方向とフリー磁性層の磁化方向と向きに応じて、第1磁気検出素子M1の抵抗値および第2磁気検出素子M2の抵抗値が変化する。
ここで、第1固定磁性層15の固定磁化方向Pと第2固定磁性層25の固定磁化方向Pとは反平行であるから、外部磁場HがX1−X2方向X2向きである場合には、第1磁気検出素子M1の抵抗が小さくなり、第2磁気検出素子M2の抵抗が大きくなる。このため、差動出力(OutX1)−(OutX2)の出力は正となる。これに対し、外部磁場HがX1−X2方向X1向きである場合には、第1磁気検出素子M1の抵抗が大きくなり、第2磁気検出素子M2の抵抗が小さくなる。このため、差動出力(OutX1)−(OutX2)の出力は負となる。すなわち、差動出力(OutX1)−(OutX2)の極性によって外部磁場Hの向きを検知することができる。
以上説明したように、磁気センサ100では、交換結合磁界Hexによって、第1磁気検出素子M1に関する固定磁化方向P(X1−X2方向X2向き)、第2磁気検出素子M2に関する固定磁化方向P(X1−X2方向X1向き)、第1磁気検出素子M1および第2磁気検出素子M2に関するバイアス磁界の方向(バイアス印加方向F、Y1−Y2方向Y1向き)の3方向に磁化が設定されている。この3方向の磁化設定を実現するために、磁気センサ100では、次のように、交換結合磁界Hexの発生に関わる反強磁性層として、ブロッキング温度Tbが互いに異なる3種類の材料を用いている。
具体的には、第1固定用反強磁性層16のブロッキング温度Tbf1および第2固定用反強磁性層26のブロッキング温度Tbf2が、それぞれ、第1バイアス用反強磁性層12のブロッキング温度Tb1および第2バイアス用反強磁性層22のブロッキング温度Tb2のいずれよりも高くなるようにしている。また、第1バイアス用反強磁性層12のブロッキング温度Tb1は第2バイアス用反強磁性層22のブロッキング温度Tb2よりも高くなるようにしている。このようにブロッキング温度Tbが異なることにより、互いに異なる3方向に交換結合磁界の方向を設定することができる。
表1に第1磁気抵抗効果膜MR1の具体例を示す。表1の左端列は第1磁気抵抗効果膜MR1の各層を示し、それぞれを構成する材料の例が右から2列目に示されている。右端列の数値は各層の厚さ(単位:オングストローム(Å))を示している。第1磁気抵抗効果膜MR1は巨大磁気抵抗効果膜であるから、第1固定磁性層15と第1フリー磁性層13との間には、非磁性材料層14が位置して、スピンバルブ構造が形成されている。
基板SB上に設けられる下地層11は、NiFeCr合金(ニッケル・鉄・クロム合金)、CrあるいはTaなどで形成される。表1では、下地層1は厚さ42ÅのNiFeCr合金からなる。
下地層11の上に第1バイアス用反強磁性層12が積層される。表1では、第1バイアス用反強磁性層12は厚さ300ÅのPt50原子%Mn50原子%からなる。第1バイアス用反強磁性層12をアニール処理することにより、第1バイアス用反強磁性層12は規則化して第1フリー磁性層13と交換結合して第1バイアス用交換結合膜512を形成し、第1バイアス用反強磁性層12と第1フリー磁性層13との間(界面)に交換結合磁界Hexが生じる。第1バイアス用反強磁性層12のブロッキング温度Tb1は400℃程度である。したがって、第1バイアス用交換結合膜512が300℃程度に加熱されても、その交換結合磁界Hexは維持される。なお、第1バイアス用反強磁性層12など合金層を成膜する際には、合金を形成する複数種類の金属(第1バイアス用反強磁性層12の場合にはPtおよびMn)を同時に供給してもよいし、合金を形成する複数種類の金属を交互に供給してもよい。前者の具体例として合金を形成する複数種類の金属の同時スパッタが挙げられ、後者の具体例として異なる種類の金属膜の交互積層が挙げられる。合金を形成する複数種類の金属の同時供給が交互供給よりも交換結合磁界Hexを高めることにとって好ましい場合がある。
第1バイアス用反強磁性層12の上に第1フリー磁性層13が積層される。第1フリー磁性層13を構成する材料はCoFe合金(コバルト・鉄合金)、NiFe合金(ニッケル・鉄合金)などを用いることができ、単層構造、積層構造、積層フェリ構造などとして形成することができる。表1では、第1バイアス用反強磁性層12に近位な側から、厚さ10ÅのCo90原子%Fe10原子%からなる層、厚さ80ÅのNi81.5原子%Fe18.5原子%からなる層、および厚さ10ÅのCo90原子%Fe10原子%からなる層が積層されて第1フリー磁性層13が構成される。
第1フリー磁性層13の上に非磁性材料層14が積層される。非磁性材料層14は、Cu(銅)などを用いて形成することができる。表1では、非磁性材料層14は厚さ30ÅのCuからなる。
非磁性材料層14の上に第1固定磁性層15が積層される。第1固定磁性層15は、強磁性のCoFe合金(コバルト・鉄合金)で形成される。CoFe合金は、Feの含有割合を高くすることにより、保磁力が高くなる。第1固定磁性層15はスピンバルブ型の巨大磁気抵抗効果に寄与する層であり、第1固定磁性層15の固定磁化方向Pが延びる方向が第1磁気検出素子M1の感度軸方向である。第1固定用交換結合膜511の強磁場耐性を高める観点から、第1固定磁性層15は表1に示されるようなセルフピン止め構造を有していることが好ましい。表1では、非磁性材料層14に近位な側から、強磁性層として厚さ24ÅのCo90原子%Fe10原子%、非磁性中間層として厚さ3.6ÅのRu、強磁性層として厚さ17ÅのFe60原子%Co40原子%が積層されている。
第1固定磁性層15を構成する厚さ17ÅのFe60原子%Co40原子%からなる強磁性層の上に第1固定用反強磁性層16が積層される。第1固定用反強磁性層16を形成するために、第1固定磁性層15に近位な側から、厚さ20ÅのPt50原子%Mn50原子%からなる層および厚さ280ÅのPt51原子%Cr49原子%からなる層が積層される。第1固定用反強磁性層16をアニール処理することにより、第1固定用反強磁性層16は規則化して第1固定磁性層15と第1固定用交換結合膜511を形成し、第1固定用反強磁性層16と第1固定磁性層15との間(界面)に交換結合磁界Hexが生じる。第1固定用反強磁性層16のブロッキング温度Tbf1は500℃程度である。したがって、第1固定用交換結合膜511が400℃程度に加熱されても、その交換結合磁界Hexは維持される。
第1固定用反強磁性層16の上に保護層17が積層される。保護層17は、Ta(タンタル)などを用いて形成することができる。表1では厚さ90ÅのTaが積層される。
表2に第2磁気抵抗効果膜MR2の具体例を示す。表2の左端列は第2磁気抵抗効果膜MR2の各層を示し、それぞれを構成する材料の例が右から2列目に示されている。右端列の数値は各層の厚さ(単位:オングストローム(Å))を示している。第2磁気抵抗効果膜MR2は巨大磁気抵抗効果膜であるから、第2固定磁性層25と第2フリー磁性層23との間には、非磁性材料層24が位置して、スピンバルブ構造が形成されている。
下地層21、第2フリー磁性層23、非磁性材料層24、第2固定磁性層25、および保護層27の構成は、対応する下地層11、第1フリー磁性層13、非磁性材料層14、第1固定磁性層15、および保護層17の構成と等しいので説明を省略する。
第2バイアス用反強磁性層22は、厚さ80ÅのIr20原子%Mn80原子%からなる。第2バイアス用反強磁性層22は第2フリー磁性層23と交換結合して第2バイアス用交換結合膜522を形成し、第2バイアス用反強磁性層22と第2フリー磁性層23との間(界面)に交換結合磁界Hexが生じる。第2バイアス用反強磁性層22のブロッキング温度Tb2は300℃程度であり、第1バイアス用反強磁性層12のブロッキング温度Tb1(400℃程度)よりも低い。
第2固定用反強磁性層26を形成するために、第2固定磁性層25に近位な側から、厚さ20ÅのPt50原子%Mn50原子%からなる層および厚さ280ÅのPt51原子%Cr49原子%からなる層が積層される。第2固定用反強磁性層26をアニール処理することにより、第2固定用反強磁性層26は規則化して第2固定磁性層25と交換結合して第2固定用交換結合膜521を形成し、第2固定用反強磁性層26と第2固定磁性層25との間(界面)に交換結合磁界Hexが生じる。第2固定用反強磁性層26のブロッキング温度Tbf2は500℃程度である。したがって、第2固定用交換結合膜521が400℃程度に加熱されても、その交換結合磁界Hexは維持される。
このように、磁気センサ100が互いに異なる3種類のブロッキング温度Tbを有する反強磁性層を含むため、各層を成膜したのち次のように熱処理を行う製造方法を行うことによって、各磁気検出素子(第1磁気検出素子M1、第2磁気検出素子M2)の固定磁化方向Pおよびバイアス印加方向Fが所定の方向に設定された磁気センサ100を製造することができる。
まず、固定磁化軸設定工程を行う。この工程では、次の第1固定用反強磁性層16および第2固定用反強磁性層26を、熱処理により規則化する。その温度は、規則化が実現される限り特に限定されない。通常、第1固定用反強磁性層16のブロッキング温度Tbf1および第2固定用反強磁性層26のブロッキング温度Tbf2よりもやや低い温度、例えば300℃から400℃程度とされる。熱処理の時間も規則化が実現される限り任意である。限定されない例示として、1位時間以上、具体的には5時間程度が挙げられる。
こうして第1固定用反強磁性層16および第2固定用反強磁性層26が規則化して、第1固定用交換結合膜511および第2固定用交換結合膜521に交換結合磁界Hexが生じる。この規則化の際に、第1固定用反強磁性層16の磁化方向は第1固定磁性層15の磁化方向に揃う。このため、第1固定磁性層15の磁化方向に揃うように第1固定用交換結合膜511の交換結合磁界Hexが生じる。また、第2固定用反強磁性層26の磁化方向の規則化の際に第2固定磁性層25の磁化方向に揃う。このため、第2固定磁性層25の磁化方向に揃うように第2固定用交換結合膜521の交換結合磁界Hexが生じる。
そこで、第1固定磁性層15を成膜する際にその磁化方向をX1−X2方向X2向きに設定し、第2固定磁性層25を成膜する際にその磁化方向をX1−X2方向X1向きに設定しておくことにより、固定磁化軸設定工程において、第1固定磁性層15の固定磁化方向Pと第2固定磁性層25の固定磁化方向Pとを共軸に(具体的には反平行に)設定することができる。
なお、第1バイアス用反強磁性層12は、これに接するように積層される第1フリー磁性層13の磁化方向を揃えないようにしておけば、固定磁化軸設定工程において第1バイアス用反強磁性層12の磁化方向が揃うことはない。同様に、第2バイアス用反強磁性層22についても、これに接するように積層される第2フリー磁性層23の磁化方向を揃えないようにしておくことにより、固定磁化軸設定工程において第2バイアス用反強磁性層22の磁化方向が揃わないようにすることができる。
次に、第1固定用反強磁性層16のブロッキング温度Tbf1よりも低く、第2固定用反強磁性層26のブロッキング温度Tbf2よりも低い温度(例えば350℃)で熱処理を行う第1バイアス磁界設定工程を行う。この熱処理において、Y1−Y2方向Y1向きに外部磁場を印加することにより、印加された外部磁場の方向に沿って、第1バイアス用反強磁性層12と第1フリー磁性層13との間に交換結合磁界Hexが生じ、第1フリー磁性層13には、Y1−Y2方向Y1向き(バイアス印加方向F)のバイアス磁界が印加される。こうして設定された第1フリー磁性層13のバイアス印加方向Fは、第1固定磁性層15の固定磁化方向Pとは非平行であり、具体的にはZ1−Z2方向からみて直交している。
第1バイアス磁界設定工程の熱処理温度は、第1固定用反強磁性層16のブロッキング温度Tbf1および第2固定用反強磁性層26のブロッキング温度Tbf2よりも低いため、第1固定磁性層15において設定された固定磁化方向Pおよび第2固定磁性層25において設定された固定磁化方向Pは印加された外部磁場の方向に沿うことはなく、それぞれの方向を維持することができる。
最後に、第1バイアス用反強磁性層12のブロッキング温度Tb1よりも低い温度(例えば300℃)で熱処理を行う第2バイアス磁界設定工程を行う。この熱処理において、Y1−Y2方向Y1向きに外部磁場を印加すると、印加された磁場の方向に沿って、第2バイアス用反強磁性層22と第2フリー磁性層23との間に交換結合磁界Hexが生じ、第2フリー磁性層23には、Y1−Y2方向Y1向き(バイアス印加方向F)のバイアス磁界が印加される。こうして設定された第2フリー磁性層23のバイアス印加方向Fは、第2固定磁性層25の固定磁化方向Pとは非平行であり、具体的にはZ1−Z2方向からみて直交している。
第2バイアス磁界設定工程の熱処理温度は、第1固定用反強磁性層16のブロッキング温度Tbf1および第2固定用反強磁性層26のブロッキング温度Tbf2ならび第1バイアス用反強磁性層12のブロッキング温度Tb1によりも低いため、第1固定磁性層15において設定された固定磁化方向Pおよび第2固定磁性層25において設定された固定磁化方向Pならびに第1フリー磁性層13に印加されるバイアス磁界の方向(バイアス印加方向F)は印加された磁場の方向に沿うことはなく、それぞれの方向を維持することができる。
このように、磁気センサ100が互いに異なる3種類のブロッキング温度Tbを有する反強磁性層を含む場合には、上記のような工程を実施することにより、それぞれの反強磁性層と交換結合する強磁性層(第1固定磁性層15および第2固定磁性層25、第1フリー磁性層13ならびに第2フリー磁性層23)に任意の方向の交換結合磁界Hexを生じさせることができる。
以下、第1固定用交換結合膜511の第1固定用反強磁性層16および第2固定用交換結合膜521の第2固定用反強磁性層26に用いられうる積層型の反強磁性層について、詳しく説明する。
本発明の一実施形態に係る積層型の反強磁性層は、白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素XならびにMnおよびCrを含有するX(Cr−Mn)層を有する。上記の第1固定用反強磁性層16および第2固定用反強磁性層26は、元素XがPtであるから、Pt(Cr−Mn)層となる。このPt(Cr−Mn)層は、反強磁性層(第1固定用反強磁性層16、第2固定用反強磁性層26)と交換結合する強磁性層(第1固定磁性層15、第2固定磁性層25)に相対的に近位な第1領域と、強磁性層(第1固定磁性層15、第2固定磁性層25)から相対的に遠位な第2領域とを有し、第1領域におけるMnの含有量は、第2領域におけるMnの含有量よりも高い。このような構造を有するPt(Cr−Mn)層は、積層されたPtMn層およびPtCr層がアニール処理を受けることにより形成される。スパッタリングしながら表面分析を行うことにより得られる構成元素の深さ方向の含有量分布(デプスプロファイル)により確認することができる。
図4(a)は、本発明の一実施形態に係る積層型の反強磁性層と同様の反強磁性層64を備える交換結合膜55を含む膜60の構成の説明図である。図4(b)は、この膜60のデプスプロファイルの一例である。図4(a)に示されるように、膜60は、以下の積層構成を有する。()内の数値は膜厚(Å)を示す。反強磁性層64を形成するために、固定磁性層63に近位な側から、IrMn層641、PtMn層642およびPtCr層643積層が積層される。
基板/下地層61:NiFeCr(40)/非磁性材料層62:[Cu(40)/Ru(20)]/固定磁性層63:Co40at%Fe60at%(20)/反強磁性層64[IrMn層641:Ir22at%Mn78at%(10)/PtMn層642:Pt50at%Mn50at%(16)/PtCr層643:Pt51at%Cr49at%(300)]/保護層65:Ta(100)
図4(b)に示されるデプスプロファイルは、以下の構成を備えた膜60に対して、15kOeの磁場中において350℃で20時間アニール処理して規則化させた膜から得られたものである。
図4(b)のデプスプロファイルは、具体的には、保護層65側からアルゴンスパッタリングしながらオージェ電子分光装置により表面分析を行うことによって得られた、深さ方向におけるPt,Ir,CrおよびMnの含有量分布からなる。アルゴンによるスパッタ速度はSiO換算で求め、1.1nm/分であった。
図5は、図4(b)の一部を拡大したものである。図4(b)および図5のいずれについても、固定磁性層63および非磁性材料層62の深さ位置を確認するために、Co(固定磁性層63の構成元素の1つ)の含有量分布およびRu(非磁性材料層62の反強磁性層64側を構成する元素)の含有量分布についてもデプスプロファイルに含めてある。
図4(b)に示されるように、反強磁性層64の厚さは30nm程度であって、白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素XとしてのPtおよびIrとMnおよびCrとを含有するX(Cr−Mn)層を備え、具体的には(Pt−Ir)(Cr−Mn)層からなるものである。そして、X(Cr−Mn)層((Pt−Ir)(Cr−Mn)層)は、固定磁性層63に相対的に近位な第1領域R1と、固定磁性層63から相対的に遠位な第2領域R2とを有し、および第1領域R1におけるMnの含有量は、第2領域R2におけるMnの含有量よりも高い。このような構造は、XCrからなる層およびXMnからなる層などを適宜積層して多層積層体を形成し、この多層積層体に対して上記のようなアニール処理を行うことにより得ることができる。
図6は、デプスプロファイルにより求められた各深さのMnの含有量およびCrの含有量に基づき算出された、Mnの含有量のCrの含有量に対する比(Mn/Cr比)を、図4(b)と横軸の範囲を等しくして示したグラフである。図6に示される結果に基づき、本明細書において、Mn/Cr比が0.1となる深さを第1領域R1と第2領域R2との境界とする。すなわち、反強磁性層64において、固定磁性層63に近位な領域でMn/Cr比が0.1以上の領域を第1領域R1と定義し、反強磁性層64における第1領域以外の領域を第2領域と定義する。この定義に基づくと、図4(b)に示されるデプスプロファイルにおいて第1領域R1と第2領域R2との境界は深さ44.5nm程度に位置する。
Mn/Cr比が大きいことは交換結合磁界Hexの大きさに影響を与えるのみならず、Mn/Cr比が大きいほど、Hex/Hcの値が正の値で絶対値が大きくなりやすい。具体的には、第1領域R1は、Mn/Cr比が0.3以上の部分を有することが好ましく、Mn/Cr比が0.7以上の部分を有することがより好ましく、Mn/Cr比が1以上の部分を有することが特に好ましい。
このように第1領域R1にMnを相対的に多く含有するため、交換結合膜55は高い交換結合磁界Hexを発生させることができる。一方、第2領域R2においてMnの含有量が低く、相対的にCrの含有量が高いため、反強磁性層64は、高いブロッキング温度Tbを有する。このため、交換結合膜55はは高温環境下に置かれても交換結合磁界Hexが維持される。なお、上記の説明では、PtCr層643に対して固定磁性層63側に積層される層はPtMn層642およびIrMn層641であったが、これに限定されない。PtCr層643よりも強磁性層に近位なXMn層(ただし、Xは白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素)が積層されてもよい。上記の第1固定用交換結合膜511では、XMn層はPtMn層(表1の50PtMn)からなる。
図7(a)は、他の一実施形態に係る積層型の反強磁性層の構成を説明するための図である。本実施形態に係る積層型の反強磁性層における、前述の本発明の一実施形態に係る反強磁性層(第1固定用反強磁性層16、第2固定用反強磁性層26、反強磁性層64)との相違は、反強磁性層を形成するための積層される複数の層の構成である。図7(a)に示されるように、膜70の交換結合膜56が備える反強磁性層74は、XCr層74AとXMn層74Bとが交互に三層積層された交互積層構造(ただし、XおよびXはそれぞれ白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素であり、XとXとは同じでも異なっていてもよい)である。これら各層は、例えばスパッタ工程やCVD工程で成膜される。反強磁性層74は、成膜後、アニール処理されることにより規則化し、下地層71および非磁性材料層72の上に積層された固定磁性層73と交換結合して、固定磁性層73に交換結合磁界Hexが発生する。
図7(a)には、XCr層74AとXMn層74Bとが三層以上積層された交互積層構造の一態様として、XCr層74A/XMn層74B/XCr層74Aの三層構造であってXCr層74Aが固定磁性層73に接する反強磁性層74を示した。しかし、XCr層74AとXMn層74Bとを入れ替えた、XMn層74B/XCr層74A/XMn層74Bの三層構造としてもよい。この三層構造の場合、XMn層74Bが固定磁性層73に接する。反強磁性層74に係る層数が4以上である場合の形態については、後述する。
Cr層74Aが固定磁性層73に最近位である場合には、保護層75側のXCr層74Aの膜厚D1を、固定磁性層73に接するXCr層74Aの膜厚D3よりも大きくすることが、交換結合磁界Hexを高くする観点から好ましい。また、反強磁性層74のXCr層74Aの膜厚D1は、XMn層74Bの膜厚D2よりも大きいことが好ましい。膜厚D1と膜厚D2の比(D1:D2)は、5:1〜100:1がより好ましく、10:1〜50:1がさらに好ましい。膜厚D1と膜厚D3の比(D1:D3)は、5:1〜100:1がより好ましく、10:1〜50:1がさらに好ましい。
なお、XMn層74Bが固定磁性層73に最近位であるXMn層74B/XCr層74A/XMn層74Bの三層構造の場合には、固定磁性層73に最近位なXMn層74Bの膜厚D3と保護層75側のXMn層74Bの膜厚D1とを等しくしてもよい。
交換結合磁界Hexを高くする観点から、XCr層74AのXはPtが好ましく、XMn層74BのXは、PtまたはIrが好ましく、Ptがより好ましい。XCr層74AをPtCr層とする場合には、PtCr100−X(Xは45原子%以上62原子%以下)であることが好ましく、X Cr100−X(Xは50原子%以上57原子%以下)であることがより好ましい。同様の観点から、XMn層74Bは、PtMn層が好ましい。
図7(b)は、他の一実施形態の変形例に係る積層型の反強磁性層の構成を説明するための図である。本例では、図7(a)に示す膜70と機能が等しい層に同じ符号を付して、説明を省略する。図7(b)に示す膜70Aにおいては、固定磁性層73と反強磁性層741とが交換結合膜57を構成する。
図7(b)に示す交換結合膜57が図7(a)の交換結合膜56と相違している点は、反強磁性層74に係る層数が4以上であり、XCr層74AとXMn層74Bとからなるユニットが複数積層されたユニット積層部を有する点である。図7(b)では、XCr層74A1とXMn層74B1とからなるユニット積層部4U1からXCr層74AnとXMn層74Bnとからなるユニット4Unまで、n層積層されたユニット積層部4U1〜4Unを有している(nは2以上の整数)。
ユニット積層部4U1〜4Unにおける、XCr層74A1、・・・XCr層74Anは、それぞれ同じ膜厚D1であり、XMn層74B1、・・・XMn層74Bnも、それぞれ同じ膜厚D2である。同じ構成のユニット積層部4U1〜4Unを積層し、得られた積層体をアニール処理することにより、交換結合膜57の固定磁性層73に高い交換結合磁界Hexを発生させるとともに、反強磁性層74の高温安定性を高めることが実現される。
なお、図7(b)の反強磁性層74は、ユニット積層部4U1〜4UnとXCr層74Aとからなり、XCr層74Aが固定磁性層73に接しているが、ユニット積層部4U1〜4Unのみからなるものであってもよい。ユニット積層部4U1〜4Unのみからなる積層体から形成された反強磁性層74は、XMn層74Bnが固定磁性層73に接する。
ユニット積層部4U1〜4Unの積層数は、反強磁性層74、膜厚D1および膜厚D2の大きさに応じて、設定することができる。例えば、膜厚D1が5〜15Å、膜厚D1が30〜40Åの場合、高温環境下における交換結合磁界Hexを高くするために、積層数は、3〜15が好ましく、5〜12がより好ましい。
<第2の実施形態に係る磁気検出素子>
図8は、本発明の第2の実施形態に係る磁気センサ(磁気検出装置)の回路ブロック図である。図9は本発明の第2の実施形態に係る磁気検出素子の構成を示す説明図であって、図9(a)は第1磁気検出素子の磁気抵抗効果膜をY1−Y2方向からみた図であり、図9(b)は第2磁気検出素子の磁気抵抗効果膜をY1−Y2方向からみた図である。
本実施形態では、図2および図3に示す磁気センサ100と機能が同じ構成に同じ符号を付して、説明を省略する。
図8に示されるように、磁気センサ101は、第1ハーフブリッジ回路HB1と第2ハーフブリッジ回路HB2とからなるフルブリッジ回路FBを備え、各ハーフブリッジ回路が備える第1磁気検出素子M1と第2磁気検出素子M2とが同一の基板SB上に設けられている点で、磁気センサ100と共通する。磁気センサ101は、各磁気検出素子の固定磁化方向Pおよびバイアス印加方向Fが磁気センサ100と相違する。
第1磁気検出素子M1は第1磁気抵抗効果膜MR1を備え、第1磁気抵抗効果膜MR1は、Y1−Y2方向Y1向き(固定磁化方向P)に磁化が固定された第1固定磁性層34と、印加された外部磁場Hに沿って容易に磁化される第1フリー磁性層36とを有するトンネル磁気抵抗効果膜からなる。
第1固定磁性層34と、第1固定磁性層34の第1フリー磁性層36に対向する側とは反対側(Z1−Z2方向Z2側)に積層された第1固定用反強磁性層33とが第1固定用交換結合膜532を構成する。第1固定磁性層34と第1固定用反強磁性層33の間(界面)とには交換結合磁界Hexが生じ、この交換結合磁界Hexに基づいて、図8に黒矢印で示し、図9では奥向き矢印に示すように、第1固定磁性層34はY1−Y2方向Y1向きに固定磁化方向Pが設定される。
第1フリー磁性層36と、第1フリー磁性層36の第1固定磁性層34に対向する側とは反対側(Z1−Z2方向Z1側)に積層された第1バイアス用反強磁性層37とが第1バイアス用交換結合膜531を構成する。第1バイアス用反強磁性層37と第1フリー磁性層36との間(界面)にはX−Y面内方向でY1−Y2方向Y1向きからX1−X2方向X2側に45度傾いた向き(X2−Y1方向)に交換結合磁界Hexが生じ、この交換結合磁界Hexに基づいて、図8および図9(a)に白矢印で示すように、第1フリー磁性層36には、発生した交換結合磁界Hexの向きに沿って、X2−Y1方向(バイアス印加方向F)のバイアス磁界が印加される。外部磁場Hが印加されていない状態では、このバイアス磁界に基づき、第1フリー磁性層36はバイアス印加方向Fに磁化した状態となる。
第2磁気検出素子M2は第2磁気抵抗効果膜MR2を備え、第2磁気抵抗効果膜MR2は、Y1−Y2方向Y1向き(固定磁化方向P)に磁化が固定された第2固定磁性層44と、印加された外部磁場Hに沿って容易に磁化される第2フリー磁性層46とを有するトンネル磁気抵抗効果膜からなる。
第2固定磁性層44と、第2固定磁性層44の第2フリー磁性層46に対向する側とは反対側(Z1−Z2方向Z2側)に積層された第2固定用反強磁性層43とが第2固定用交換結合膜542を構成する。第2固定磁性層44と第2固定用反強磁性層43との間(界面)には交換結合磁界Hexが生じ、この交換結合磁界Hexに基づいて、図8に黒矢印で示し、図9では奥向き矢印に示すように、第2固定磁性層44はY1−Y2方向Y1向きに固定磁化方向Pが設定される。すなわち、第1固定磁性層34の固定磁化方向Pと第2固定磁性層44の固定磁化方向Pとは共軸であって等しい向き(平行)になるように設定されている。
第2フリー磁性層46と、第2フリー磁性層46の第2固定磁性層44に対向する側とは反対側(Z1−Z2方向Z1側)に積層された第2バイアス用反強磁性層47とが第2バイアス用交換結合膜541を構成する。第2バイアス用反強磁性層47と第2フリー磁性層46との間(界面)にはX−Y面内方向でY1−Y2方向Y1向きからX1−X2方向X1側に45度傾いた向き(X1−Y1方向)に交換結合磁界Hexが生じ、この交換結合磁界Hexに基づいて、図2および図3に白矢印で示すように、第2フリー磁性層46には、発生した交換結合磁界Hexの向きに沿って、X1−Y1方向にバイアス印加方向Fのバイアス磁界が印加される。外部磁場Hが印加されていない状態では、このバイアス磁界に基づき、第2フリー磁性層46はバイアス印加方向Fに磁化した状態となる。第1フリー磁性層36に印加されるバイアス磁界の方向(バイアス印加方向F)と第2フリー磁性層46に印加されるバイアス磁界の方向(バイアス印加方向F)とはZ1−Z2方向からみて直交している。
このように、第1固定磁性層34の固定磁化方向Pと第2固定磁性層44の固定磁化方向Pとが平行である。一方、第1フリー磁性層36のバイアス印加方向Fと第2フリー磁性層46のバイアス印加方向Fとは、上記の固定磁化方向Pから互いに反対向きに傾き、結果、Z1−Z2方向からみて直交に設定されている。
このため、磁気センサ101にX1−X2方向に外部磁場Hが印加されて、第1フリー磁性層36の磁化方向および第2フリー磁性層46の磁化方向が外部磁場Hの方向に沿うように回転する際に、固定磁化方向P(Y1−Y2方向Y1向き)との関係が相違する。例えば、外部磁場HがX1−X2方向X2向きである場合には、第1フリー磁性層36の磁化方向および第2フリー磁性層46の磁化方向はいずれも図8において反時計回りに回転する。この回転によって、第1フリー磁性層36の磁化方向は固定磁化方向P(Y1−Y2方向Y1向き)と直交関係に近づくが、第2フリー磁性層46の磁化方向は、いったん固定磁化方向P(Y1−Y2方向Y1向き)と平行関係となり、その後、直交関係となる。したがって、外部磁場Hが印加された直後は、第1磁気検出素子M1の抵抗値は大きくなるが、第1磁気検出素子M1の抵抗値は小さくなる。このため、差動出力(OutX1)−(OutX2)の出力は負となる。これに対し、外部磁場HがX1−X2方向X1向きである場合には、外部磁場Hが印加された直後は、第1磁気検出素子M1の抵抗値は小さくなるが、第1磁気検出素子M1の抵抗値は大きくなる。このため、差動出力(OutX1)−(OutX2)の出力は正となる。
このように、外部磁場Hが印加された直後は、外部磁場Hの印加方向に応じて差動出力(OutX1)−(OutX2)の出力極性が相違するため、例えばフィードバックコイルを併用すれば、外部磁場Hを打ち消すキャンセル磁界を発生させるためのコイル電流の向きを適切に制御することが可能となる。
以上説明したように、磁気センサ101では、交換結合磁界Hexによって、第1磁気検出素子M1および第2磁気検出素子M2に関する固定磁化方向P(Y1−Y2方向Y2向き)、第1磁気検出素子M1に関するバイアス印加方向F(X2−Y1方向)、第2磁気検出素子M2に関するバイアス印加方向F(X1−Y1方向)の3方向に磁化が設定されている。この3方向の磁化設定を実現するために、磁気センサ101では、磁気センサ100と同様に、交換結合磁界Hexの発生に関わる反強磁性層として、ブロッキング温度が互いに異なる3種類の材料を用いている。
具体的には、第1固定用反強磁性層33のブロッキング温度Tbf1および第2固定用反強磁性層43のブロッキング温度Tbf2が、それぞれ、第1バイアス用反強磁性層37のブロッキング温度Tb1および第2バイアス用反強磁性層47のブロッキング温度Tb2のいずれよりも高くなるようにしている。また、第1バイアス用反強磁性層37のブロッキング温度Tb1は第2バイアス用反強磁性層47のブロッキング温度Tb2よりも高くなるようにしている。このようにブロッキング温度が異なることにより、互いに異なる3方向に交換結合磁界の方向を設定することができる。
図9(a)に示されるように、トンネル磁気抵抗効果膜からなる第1磁気抵抗効果膜MR1は、基板SB上に形成された下部電極31の上に、下から、シード層32、第1固定用反強磁性層33、第1固定磁性層34、絶縁障壁層35、第1フリー磁性層36、第1バイアス用反強磁性層37、上部電極38の順に積層されて形成される。
表3に第1磁気抵抗効果膜MR1の具体例を示す。表3の左端列は第1磁気抵抗効果膜MR1の各層を示し、それぞれを構成する材料の例が右から2列目に示されている。右端列の数値は各層の厚さ(単位:オングストローム(Å))を示している。
下部電極31は、基板SB側から30ÅのTa層、200ÅのCu層、30ÅのTa層、200ÅのCu層および150ÅのTa層が積層されてなる。
シード層32は下部電極31上に形成され、その上に形成される各層の結晶配向性を整えるために用いられ、RuやNi−Fe−Cr等で形成される。表3では、シード層32は厚さ42ÅのNiFeCr合金からなる。
第1固定用反強磁性層33はシード層32の上に積層される。第1固定用反強磁性層33を形成するために、シード層32に近位な側から、厚さ300ÅのPt50原子%Cr50原子%からなる層、厚さ14ÅのPt50原子%Mn50原子%からなる層および厚さ8ÅのIr20原子%Mn80原子%からなる層が積層される。第1固定用反強磁性層33をアニール処理することにより、第1固定用反強磁性層33は規則化して第1固定磁性層34と交換結合して第1固定用交換結合膜532を形成し、第1固定用反強磁性層33と第1固定磁性層34との間(界面)に交換結合磁界Hexが生じる。第1固定用反強磁性層33のブロッキング温度Tbf1は500℃程度である。したがって、第1固定用交換結合膜532が400℃程度に加熱されても、その交換結合磁界Hexは維持される。第1固定用反強磁性層33を形成するために積層される各層は、例えばスパッタ工程やCVD工程で成膜される。なお、PtCr層など合金層を成膜する際には、合金を形成する複数種類の金属(PtCr層の場合にはPtおよびCr)を同時に供給してもよいし、合金を形成する複数種類の金属を交互に供給してもよい。前者の具体例として合金を形成する複数種類の金属の同時スパッタが挙げられ、後者の具体例として異なる種類の金属膜の交互積層が挙げられる。合金を形成する複数種類の金属の同時供給が交互供給よりも交換結合磁界Hexを高めることにとって好ましい場合がある。
第1固定磁性層34は、表3に示すように、第1固定用反強磁性層33に近位な側から、強磁性層(90CoFe)、非磁性中間層(Ru)、強磁性層(50FeCo)の順に積層された積層フェリ構造を有する。さらに、バリア層(Ta)および強磁性層((50CoFe)B30、50FeCo)が設けられている。第1固定磁性層34は、上記のとおり第1固定用反強磁性層33との間で生じる交換結合磁界Hexや非磁性中間層を挟む2つの強磁性層(90CoFe、60FeCo)間で生じるRKKY相互作用により、磁化が一方向(図9(a)ではY1−Y2方向Y1向き)に固定される。
絶縁障壁層35は第1固定磁性層34の上に形成される。表3の例では、絶縁障壁層35は厚さ20ÅのMgOで形成される。Mgの組成比は40原子%以上60原子%以下の範囲内であることが好ましい。Mg50原子%50原子%であることがより好ましい。
第1フリー磁性層36は絶縁障壁層35の上に積層される。第1フリー磁性層36は、例えば、Co−Fe層とCo−Fe−B層との積層構造で構成される。表3に示される例では、4層構成(50FeCo、(50CoFe)B30、86NiFe、90CoFe)である。第1フリー磁性層36の磁化方向は外部磁場Hの印加される方向に応じてX−Y面内で磁化変動可能である。外部磁場Hが印加されていない状態での第1フリー磁性層36の磁化方向を揃える観点から、第1フリー磁性層36は第1バイアス用反強磁性層37と交換結合して第1バイアス用交換結合膜531を形成し、第1バイアス用交換結合膜531の交換結合磁界Hexに基づくバイアス磁界がX2−Y1方向(バイアス印加方向F)に印加されている。
第1バイアス用反強磁性層37は第1フリー磁性層36の上に積層される。表3では、第1バイアス用反強磁性層37は厚さ300ÅのPt50原子%Mn50原子%からなる。第1バイアス用反強磁性層37をアニール処理することにより、第1バイアス用反強磁性層37は規則化して第1フリー磁性層36と交換結合して第1バイアス用交換結合膜531を形成し、第1バイアス用反強磁性層37と第1フリー磁性層36との間(界面)に交換結合磁界Hexが生じる。第1バイアス用反強磁性層37のブロッキング温度Tb1は400℃程度である。したがって、第1バイアス用交換結合膜531が300℃程度に加熱されても、その交換結合磁界Hexは維持される。
上部電極38は第1バイアス用反強磁性層37の上に積層される。表3に示す例では、上部電極38は、第1バイアス用反強磁性層37に近位な側から、厚さ50ÅのRu層、厚さ100ÅのTa層および厚さ70ÅのRu層が積層されてなる。
表4に第2磁気抵抗効果膜MR2の具体例を示す。表4の左端列は第2磁気抵抗効果膜MR2の各層を示し、それぞれを構成する材料の例が右から2列目に示されている。右端列の数値は各層の厚さ(単位:オングストローム(Å))を示している。
下部電極41、シード層42、第2固定磁性層44、絶縁障壁層45、第2フリー磁性層46、および上部電極48の構成は、それぞれ、下部電極31、シード層32、第1固定磁性層34、絶縁障壁層35、第1フリー磁性層36、および上部電極38の構成と等しいので説明を省略する。
第2固定用反強磁性層43を形成するために、シード層42に近位な側から、厚さ300ÅのPt50原子%Cr50原子%からなる層、厚さ14ÅのPt50原子%Mn50原子%からなる層および厚さ8ÅのIr20原子%Mn80原子%からなる層が積層される。第2固定用反強磁性層43をアニール処理することにより、第2固定用反強磁性層43は規則化して第2固定磁性層44と交換結合して第2固定用交換結合膜542を形成し、第2固定用反強磁性層43と第2固定磁性層44との間(界面)に交換結合磁界Hexが生じる。第2固定用反強磁性層43のブロッキング温度Tbf2は500℃程度である。したがって、第2固定用交換結合膜542が400℃程度に加熱されても、その交換結合磁界Hexは維持される。第2固定用反強磁性層43を形成するために積層される各層は、例えばスパッタ工程やCVD工程で成膜される。
第2バイアス用反強磁性層47は厚さ80ÅのIr20原子%Mn80原子%からなる。第2バイアス用反強磁性層47は第2フリー磁性層46と第2バイアス用交換結合膜541を形成し、第2バイアス用反強磁性層47と第2フリー磁性層46との間(界面)に交換結合磁界Hexが生じる。第2バイアス用反強磁性層47のブロッキング温度Tb2は300℃程度であり、第1バイアス用反強磁性層37のブロッキング温度Tb1(400℃程度)よりも低い。
このように、磁気センサ101が互いに異なる3種類のブロッキング温度Tbを有する反強磁性層を含むため、各層を成膜したのち次のように熱処理を行う製造方法を行うことによって、各磁気検出素子(第1磁気検出素子M1、第2磁気検出素子M2)の固定磁化方向Pおよびバイアス印加方向Fが所定の方向に設定された磁気センサ101を製造することができる。
まず、固定磁化軸設定工程を行う。この工程では、次の第1固定用反強磁性層33および第2固定用反強磁性層43を、熱処理により規則化する。その温度は、規則化が実現される限り特に限定されない。通常、第1固定用反強磁性層33のブロッキング温度Tbf1および第2固定用反強磁性層43のブロッキング温度Tbf2よりもやや低い温度、例えば300℃から400℃程度とされる。熱処理の時間も規則化が実現される限り任意である。限定されない例示として、1位時間以上、具体的には5時間程度が挙げられる。
こうして第1固定用反強磁性層33および第2固定用反強磁性層43が規則化して、第1固定用交換結合膜532および第2固定用交換結合膜542に交換結合磁界Hexが生じる。この規則化の際に、第1固定用反強磁性層33の磁化方向は第1固定磁性層34の磁化方向に揃う。このため、第1固定磁性層34の磁化方向に揃うように第1固定用交換結合膜532の交換結合磁界Hexが生じる。また、第2固定用反強磁性層43の磁化方向の規則化の際に第2固定磁性層44の磁化方向に揃う。このため、第2固定磁性層44の磁化方向に揃うように第2固定用交換結合膜542の交換結合磁界Hexが生じる。
そこで、第1固定磁性層34および第2固定磁性層44を成膜する際にその磁化方向をY1−Y2方向Y1向きに設定しておくことにより、固定磁化軸設定工程において、第1固定磁性層15の固定磁化方向Pと第2固定磁性層25の固定磁化方向Pとを共軸に(具体的には平行に)設定することができる。前述の第1の実施形態に係る磁気センサ100の場合には、第1固定磁性層15および第2固定磁性層25では磁化方向が反平行であるため、異なる成膜プロセスとなるが、第2の実施形態に係る磁気センサ101の場合には、第1固定磁性層34および第2固定磁性層44を同一の成膜プロセスにより製造することができる。
なお、第1バイアス用反強磁性層37はこれに接するように積層される第1フリー磁性層36の磁化方向を揃えないようにしておけば、固定磁化軸設定工程において第1バイアス用反強磁性層37の磁化方向が揃うことはない。同様に、第2バイアス用反強磁性層47についても、これに接するように積層される第2フリー磁性層46の磁化方向を揃えないようにしておくことにより、固定磁化軸設定工程において第2バイアス用反強磁性層47の磁化方向が揃わないようにすることができる。
次に、第1固定用反強磁性層33のブロッキング温度Tbf1よりも低く、第2固定用反強磁性層43のブロッキング温度Tbf2よりも低い温度(例えば350℃)で熱処理を行う第1バイアス磁界設定工程を行う。この熱処理において、X2−Y1方向に外部磁場を印加することにより、印加された外部磁場の方向に沿って、第1バイアス用反強磁性層37と第1フリー磁性層36との間に交換結合磁界Hexが生じ、第1フリー磁性層36には、X2−Y1方向(バイアス印加方向F)のバイアス磁界が印加される。こうして設定された第1フリー磁性層36のバイアス印加方向Fは、第1固定磁性層34の固定磁化方向Pとは非平行であり、具体的にはZ1−Z2方向からみてX1−X2方向X2向きに45度傾いている。
第1バイアス磁界設定工程の熱処理温度は、第1固定用反強磁性層33のブロッキング温度Tbf1および第2固定用反強磁性層43のブロッキング温度Tbf2よりも低いため、第1固定磁性層34において設定された固定磁化方向Pおよび第2固定磁性層44において設定された固定磁化方向Pは印加された外部磁場の方向に沿うことはなく、それぞれの方向を維持することができる。なお、第1バイアス磁界設定工程によって第2バイアス用反強磁性層47と第2フリー磁性層46との間に交換結合磁界Hexが生じるが、次に説明する第2バイアス磁界設定工程によって第2バイアス用反強磁性層47と第2フリー磁性層46との間の交換結合磁界Hexの向きを任意に設定することができる。
最後に、第1バイアス用反強磁性層37のブロッキング温度Tb1よりも低い温度(例えば300℃)で熱処理を行う第2バイアス磁界設定工程を行う。この熱処理において、X1−Y1方向に外部磁場を印加すると、印加された磁場の方向に沿って、第2バイアス用反強磁性層47と第2フリー磁性層46との間に交換結合磁界Hexが生じ、第2フリー磁性層46には、X1−Y1方向(バイアス印加方向F)のバイアス磁界が印加される。こうして設定された第2フリー磁性層46のバイアス印加方向Fは、第2固定磁性層44の固定磁化方向Pとは非平行であり、具体的にはZ1−Z2方向からみてX1−X2方向X1向きに45度傾いている。
第2バイアス磁界設定工程の熱処理温度は、第1固定用反強磁性層33のブロッキング温度Tbf1および第2固定用反強磁性層43のブロッキング温度Tbf2ならび第1バイアス用反強磁性層37のブロッキング温度Tb1によりも低いため、第1固定磁性層34において設定された固定磁化方向Pおよび第2固定磁性層44において設定された固定磁化方向Pならびに第1フリー磁性層36に印加されるバイアス磁界の方向(バイアス印加方向F)は印加された磁場の方向に沿うことはなく、それぞれの方向を維持することができる。
このように、磁気センサ101が互いに異なる3種類のブロッキング温度Tbを有する反強磁性層を含む場合には、上記のような工程を実施することにより、それぞれの反強磁性層と交換結合する強磁性層(第1固定磁性層34および第2固定磁性層44、第1フリー磁性層36ならびに第2フリー磁性層46)に任意の方向の交換結合磁界Hexを生じさせることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、第1の実施形態に係る磁気センサ100では、第1磁気検出素子M1および第2磁気検出素子M2のそれぞれについて、固定磁化方向Pとバイアス印加方向Fとは直交し、第1磁気検出素子M1と第2磁気検出素子M2とは、固定磁化方向Pは反平行であり、バイアス印加方向Fは平行となっているが、第2の実施形態に係る磁気センサ101と同様に、第1磁気検出素子M1および第2磁気検出素子M2の固定磁化方向Pは平行であり、第1磁気検出素子M1のバイアス印加方向Fと第2磁気検出素子M2のバイアス印加方向Fとが、固定磁化方向Pを挟んで反対向きに傾き、互いに直交していてもよい。第2の実施形態に係る磁気センサ101の固定磁化方向Pとバイアス印加方向Fとの関係が第1の実施形態に係る磁気センサ100のように設定されていてもよい。
第1の実施形態に係る磁気センサ100が備える第1磁気抵抗効果膜MR1および第2磁気抵抗効果膜MR2は巨大磁気抵抗効果膜であったが、第2の実施形態と同様にトンネル磁気抵抗効果膜であってもよい。第2の実施形態に係る磁気センサ101が備える第1磁気抵抗効果膜MR1および第2磁気抵抗効果膜MR2はトンネル磁気抵抗効果膜であったが、第1の実施形態と同様に巨大磁気抵抗効果膜であってもよい。
第1の実施形態に係る磁気センサ100が備える第1磁気抵抗効果膜MR1および第2磁気抵抗効果膜MR2は、基板SBに近位な側にフリー磁性層が位置するいわゆるトップピン構造であるが、第2の実施形態と同様に基板SBに近位な側に固定磁性層が位置するいわゆるボトムピン構造であってもよい。第2の実施形態に係る磁気センサ101が備える第1磁気抵抗効果膜MR1および第2磁気抵抗効果膜MR2は、基板SBに近位な側に固定磁性層が位置するいわゆるボトムピン構造であるが、第2の実施形態と同様に基板SBに近位な側にフリー磁性層が位置するいわゆるトップピン構造であってもよい。
第1の実施形態に係る磁気センサ100および第2の実施形態に係る磁気センサ101のいずれについても、フリー磁性層および固定磁性層は多層構造であるが、いずれか一方または双方が単層構造であってもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例1)
交換結合磁界Hexの強度と環境温度との関係を確認するために、次の構成の積層膜を作製した。()内は各層の厚さ(単位:Å)である。
基板/下地層:NiFeCr(42)/反強磁性層/固定磁性層:90CoFe(100)/保護層:Ta(90)
本例では、反強磁性層の積層構成を、下地層に近位な側から、54PtCr(280)/50PtMn(20)として、得られた積層膜を1kOeの磁場中において400℃で5時間アニール処理し、固定磁性層と反強磁性層の磁化を固定して交換結合膜を得た。
(実施例2)
実施例1の反強磁性層の積層構成を、下地層に近位な側から、50PtMn(300)として積層膜を形成し、得られた積層膜を1kOeの磁場中において300℃で4時間アニール処理し、固定磁性層と反強磁性層の磁化を固定して交換結合膜を得た。
(実施例3)
実施例1の反強磁性層の積層構成を、下地層に近位な側から、20IrMn(80)として積層膜を形成し、得られた積層膜を1kOeの磁場中において300℃で1時間アニール処理し、固定磁性層と反強磁性層の磁化を固定して交換結合膜を得た。
VSM(振動試料型磁力計)を用いて、実施例1から実施例3に係る交換結合膜の磁化曲線を、環境温度(単位:℃)を変化させながら測定し、得られたヒステリシスループから、各温度の交換結合磁界Hex(単位:Oe)を求めた。各温度の交換結合磁界Hex、および各温度の交換結合磁界Hexを室温での交換結合磁界Hexで規格化した値(室温規格化の交換結合磁界)を表5から表7に示すとともに、室温規格化の交換結合磁界と測定温度との関係を示すグラフを図10に示す。
表5から表7および図10に示されるように、実施例1から実施例3に係る交換結合膜は環境温度に対する交換結合磁界Hexの維持の程度が異なる。特に、実施例1に係る積層型の反強磁性層を備える交換結合膜は実施例2および実施例3に係る交換結合膜の交換結合磁界Hexが実質的に消滅する350℃から400℃の温度においても、交換結合磁界Hexを維持することができる。
Hex :交換結合磁界
Hc :保磁力
100、101 :磁気センサ(磁気検出装置)
FB :フルブリッジ回路
HB1 :第1ハーフブリッジ回路
HB2 :第2ハーフブリッジ回路
GND :グランド端子
Vdd :電源端子
M1 :第1磁気検出素子
M2 :第2磁気検出素子
MR1 :第1磁気抵抗効果膜
MR2 :第2磁気抵抗効果膜
H :外部磁場
P :固定磁化方向
F :バイアス印加方向
SB :基板
1、11、21、61、71 :下地層
12、37 :第1バイアス用反強磁性層
13、36 :第1フリー磁性層
14、24 :非磁性材料層
15、34 :第1固定磁性層
16、33 :第1固定用反強磁性層
17、27、65、75 :保護層
22、47 :第2バイアス用反強磁性層
23、46 :第2フリー磁性層
25、44 :第2固定磁性層
26、43 :第2固定用反強磁性層
511、532 :第1固定用交換結合膜
512、531 :第1バイアス用交換結合膜
521、542 :第2固定用交換結合膜
522、541 :第2バイアス用交換結合膜
31、41 :下部電極
32、42 :シード層
35、45 :絶縁障壁層
38、48 :上部電極
55、56、57 :交換結合膜
60、70、70A :膜
62、72 :非磁性材料層
63、73 :強磁性層
64、74、741 :反強磁性層
641 :IrMn層
642 :PtMn層
643 :PtCr層
R1 :第1領域
R2 :第2領域
74A、74A1、74An :XCr層
74B、74B1、74Bn :XMn層
4U1、4Un :ユニット積層部
D1、D2、D3 :膜厚

Claims (21)

  1. 第1固定磁性層と第1フリー磁性層とが積層された第1磁気抵抗効果膜を備える第1磁気検出素子、および第2固定磁性層と第2フリー磁性層とが積層された第2磁気抵抗効果膜を備える第2磁気検出素子を有するフルブリッジ回路を備える磁気検出装置であって、
    前記フルブリッジ回路は、前記第1磁気検出素子と前記第2磁気検出素子とが直列に接続されてなる第1ハーフブリッジ回路と、前記第2磁気検出素子と前記第1磁気検出素子とが直列に接続されてなる第2ハーフブリッジ回路と、が、電源端子とグランド端子との間で並列接続されてなり、
    前記第1磁気検出素子と前記第2磁気検出素子とは同一の基板上に設けられ、
    前記第1磁気抵抗効果膜において、
    前記第1固定磁性層と、前記第1固定磁性層の前記第1フリー磁性層に対向する側とは反対側に積層された第1固定用反強磁性層とが第1固定用交換結合膜を構成し、
    前記第1フリー磁性層と、前記第1フリー磁性層の前記第1固定磁性層に対向する側とは反対側に積層された第1バイアス用反強磁性層とが第1バイアス用交換結合膜を構成し、
    前記第2磁気抵抗効果膜において、
    前記第2固定磁性層と、前記第2固定磁性層の前記第2フリー磁性層に対向する側とは反対側に積層された第2固定用反強磁性層とが第2固定用交換結合膜を構成し、
    前記第2フリー磁性層と、前記第2フリー磁性層の前記第2固定磁性層に対向する側とは反対側に積層された第2バイアス用反強磁性層とが第2バイアス用交換結合膜を構成し、
    前記第1固定磁性層の固定磁化軸と前記第2固定磁性層の固定磁化軸とは共軸に設定され、
    前記第1バイアス用交換結合膜の交換結合磁界の方向と前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定され、前記第2バイアス用交換結合膜の交換結合磁界の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定され、
    前記第1固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf1および前記第2固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf2は、それぞれ、前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1および前記第2バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb2のいずれよりも高く、
    前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1は前記第2バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb2よりも高いこと
    を特徴とする磁気検出装置。
  2. 前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とは反平行に設定され、
    前記第1バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向と前記第2バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向とは平行に設定され、
    前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第1バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向とは非平行に設定された、請求項1に記載の磁気検出装置。
  3. 前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とは平行に設定され、
    前記第1バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向と前記第2バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向とは非平行に設定された、請求項1に記載の磁気検出装置。
  4. 前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向に対する前記第1バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向の積層方向視での傾き角度は、前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向に対する前記第2バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向の積層方向視での傾き角度と反対向きで絶対値が等しい、請求項3に記載の磁気検出装置。
  5. 前記第1固定用反強磁性層および前記第2固定用反強磁性層の少なくとも一方である固定用反強磁性層は、白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素XならびにMnおよびCrを含有するX(Cr−Mn)層を備え、
    前記X(Cr−Mn)層は、前記固定用反強磁性層と交換結合する固定用強磁性層に相対的に近位な第1領域と、前記固定用強磁性層から相対的に遠位な第2領域とを有し、
    前記第1領域におけるMnの含有量は、前記第2領域におけるMnの含有量よりも高い、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気検出装置。
  6. 前記第1領域が前記固定用強磁性層に接している、請求項5に記載の磁気検出装置。
  7. 前記第1領域は、Mnの含有量のCrの含有量に対する比であるMn/Cr比が0.3以上の部分を有する、請求項5または請求項6に記載の磁気検出装置。
  8. 前記第1領域は、前記Mn/Cr比が1以上である部分を有する、請求項7に記載の磁気検出装置。
  9. 前記固定用反強磁性層は、PtCr層と、前記PtCr層よりも前記固定用強磁性層に近位なXMn層(ただし、Xは白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素)とが積層されてなる、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の磁気検出装置。
  10. 前記固定用反強磁性層は、PtCr層とPtMn層とがこの順番で前記PtMn層が前記固定用強磁性層に近位になるように積層されてなる、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の磁気検出装置。
  11. 前記PtMn層よりも前記固定用強磁性層に近位にさらにIrMn層が積層された、請求項10に記載の磁気検出装置。
  12. 前記第1固定用反強磁性層および前記第2固定用反強磁性層の少なくとも一方である固定用反強磁性層は、XCr層(ただし、Xは白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素)とXMn層(ただし、Xは白金族元素およびNiからなる群から選ばれる一種または二種以上の元素であって、Xと同じでも異なっていてもよい)とが交互に積層された三層以上の交互積層構造を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気検出装置。
  13. 前記XがPtであり、前記XがPtまたはIrである、請求項12に記載の磁気検出装置。
  14. 前記固定用反強磁性層は、XCr層とXMn層とからなるユニットが複数積層されたユニット積層部を有する、請求項12または請求項13に記載の磁気検出装置。
  15. 前記ユニット積層部における、前記XCr層および前記XMn層は、それぞれ同じ膜厚であり、前記XCr層の膜厚が、前記XMn層の膜厚よりも大きい、請求項14に記載の磁気検出装置。
  16. 前記XCr層の膜厚と前記XMn層の膜厚との比が、5:1〜100:1である、請求項15に記載の磁気検出装置。
  17. 前記第1バイアス用反強磁性層はPtMn層からなり、前記第2バイアス用反強磁性層はIrMn層からなる、請求項4から請求項16のいずれか1項に記載の磁気検出装置。
  18. 第1固定磁性層と第1フリー磁性層とが積層された第1磁気抵抗効果膜を備える第1磁気検出素子、および第2固定磁性層と2フリー磁性層とが積層された第2磁気抵抗効果膜を備える第2磁気検出素子を有するフルブリッジ回路を備える磁気検出装置の製造方法であって、
    前記フルブリッジ回路は、前記第1磁気検出素子と前記第2磁気検出素子とが直列に接続されてなる第1ハーフブリッジ回路と、前記第2磁気検出素子と前記第1磁気検出素子とが直列に接続されてなる第2ハーフブリッジ回路と、が、電源端子とグランド端子との間で並列接続されてなり、
    前記第1磁気検出素子と前記第2磁気検出素子とは同一の基板上に設けられ、
    前記第1磁気抵抗効果膜において、
    前記第1固定磁性層と、前記第1固定磁性層の前記第1フリー磁性層に対向する側とは反対側に積層された第1固定用反強磁性層とが第1固定用交換結合膜を構成し、
    前記第1フリー磁性層と、前記第1フリー磁性層の前記第1固定磁性層に対向する側とは反対側に積層された第1バイアス用反強磁性層とが第1バイアス用交換結合膜を構成し、
    前記第2磁気抵抗効果膜において、
    前記第2固定磁性層と、前記第2固定磁性層の前記第2フリー磁性層に対向する側とは反対側に積層された第2固定用反強磁性層とが第2固定用交換結合膜を構成し、
    前記第2フリー磁性層と、前記第2フリー磁性層の前記第2固定磁性層に対向する側とは反対側に積層された第2バイアス用反強磁性層とが第2バイアス用交換結合膜を構成し、
    前記第1固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf1および前記第2固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf2は、それぞれ、前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1および前記第2バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb2のいずれよりも高く、
    前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1は前記第2バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb2よりも高く、
    前記第1固定用反強磁性層および前記第2固定用反強磁性層を熱処理により規則化して、前記第1バイアス用交換結合膜および前記第2バイアス用交換結合膜に交換結合磁界を生じさせることにより、前記第1固定磁性層の固定磁化軸と前記第2固定磁性層の固定磁化軸とを共軸に設定する固定磁化軸設定工程と、
    前記第1固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf1および前記第2固定用反強磁性層のブロッキング温度Tbf2より低い温度で外部磁場を印加しながら熱処理することにより、前記第1バイアス用交換結合膜によるバイアス磁界の方向を前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定する第1バイアス磁界設定工程と、
    前記第1バイアス磁界設定工程の後に、前記第1バイアス用反強磁性層のブロッキング温度Tb1より低い温度で外部磁場を印加しながら熱処理することにより、前記第2バイアス用交換結合膜によるバイアス磁界の方向を前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定する第2バイアス磁界設定工程と、
    を備えることを特徴とする磁気検出装置の製造方法。
  19. 前記固定磁化軸設定工程では、前記第1固定用交換結合膜の交換結合磁界の方向を第1固定磁性層の磁化方向に揃え、前記第2固定用交換結合膜の交換結合磁界の方向を第2固定磁性層の磁化方向に揃える、請求項18に記載の磁気検出装置の製造方法。
  20. 前記固定磁化軸設定工程では、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とを反平行に設定し、
    第1バイアス磁界設定工程では、前記第1バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向を、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定し、
    第2バイアス磁界設定工程では、前記第2バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向を、前記第1バイアス用反強磁性層の交換結合磁界の方向と平行に設定する、請求項18または請求項19に記載の磁気検出装置の製造方法。
  21. 前記固定磁化軸設定工程では、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向と前記第2固定磁性層の固定磁化軸の方向とを平行に設定し、
    前記第1バイアス磁界設定工程では、前記第1バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向を、前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向とは非平行に設定し、
    前記第2バイアス磁界設定工程では、前記第2バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向を前記第1固定磁性層の固定磁化軸の方向および前記第1バイアス用交換結合膜のバイアス磁界の方向のいずれとも非平行に設定する、請求項18または請求項19に記載の磁気検出装置の製造方法。
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