JP2020136306A - 交換結合膜、磁気抵抗効果素子および磁気検出装置 - Google Patents

交換結合膜、磁気抵抗効果素子および磁気検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】反強磁性層に積層される固定磁性層を角型比が良好な磁化曲線を備えたものとして、強磁場耐性の高い、交換結合膜、磁気抵抗効果素子および磁気検出装置を提供する。【解決手段】反強磁性層12と固定磁性層13とが積層された交換結合膜において、固定磁性層13が、反強磁性層12側からCo層131aおよびCoFe層131bを備えており、Co層131aの厚さを7〜15Åとすることにより、第1磁性層131の磁化曲線の角型比を大きくするとともに、第1磁性層131と反強磁性層12との交換結合磁界を大きくすることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、交換結合膜、この交換結合膜を用いた磁気抵抗効果素子および磁気検出装置に関する。
電気自動車やハイブリッドカーにおけるモータ駆動技術などの分野や、柱状トランスなどインフラ関連の分野では、比較的大きな電流が取り扱われるため、大電流を非接触で測定可能な電流検出装置が求められている。このような電流検出装置としては、被測定電流からの誘導磁界を検出する磁気検出装置を用いたものが知られている。磁気検出装置用の磁気抵抗効果素子として、例えば、GMR素子(巨大磁気抵抗効果素子)やTMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)などが挙げられる。
磁気抵抗効果素子は、固定磁性層とフリー磁性層とが他の層を介して積層された積層構造を備えている。固定磁性層は磁化方向が一方向に固定されており、フリー磁性層は外部磁界に応じて磁化方向が変化可能とされている。固定磁性層の磁化方向を固定する交換結合バイアスを与えるために反強磁性層が積層されたものがある。
特許文献1には、磁化固定層(固定磁性層)の磁化方向を強固に保持することを目的として、反強磁性層と交換結合する磁化固定層を、面心立方格子となる組成と体心立方格子となる組成の二層のCoFeとした交換結合膜が記載されている。また、特許文献2には、反強磁性層と交換結合する強磁性層(固定磁性層)をCo層とCoFe層との二層で構成することが記載されている。
特開2008−306112号公報 特開2015−015068号公報
保磁力の高いFeCoで構成された固定磁性層を反強磁性層に積層すると、固定磁性層の磁化曲線の角型比(M0/Ms、M0:残留磁化、Ms:飽和磁化)が劣化するという問題がある。角型比の劣化により固定磁性層の磁化分散が大きくなり、十分な残留磁化を発生できなくなる。しかし、特許文献1および特許文献2では、固定磁性層の磁化曲線の角型比を高くするための構成について記載されていない。
本発明は、反強磁性層に積層される固定磁性層を角型比が良好な磁化曲線を備えたものとして、強磁場耐性の高い、交換結合膜、磁気抵抗効果素子および磁気検出装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明は、一態様において、反強磁性層と固定磁性層とが積層された交換結合膜において、前記固定磁性層が、前記反強磁性層側からCo層およびCoFe層を備えており、前記Co層の厚さが7〜15Åであることを特徴とする交換結合膜である。
Co層の厚さを上記範囲とすることで、固定磁性層の磁化曲線の角型比を良好なものとしつつ反強磁性層と固定磁性層の間の交換結合エネルギーを大きくすることができる。角型比を良好にする観点から、前記Co層の厚さが9〜11Åであることが好ましい。また、固定磁性層の保磁力を大きくする観点から、前記CoFe層の厚さが前記Co層の厚さよりも大きいことが好ましい。
本発明は、他の一態様において、上記の交換結合膜およびフリー磁性層を備えており、前記固定磁性層が前記フリー磁性層よりも基板に近い側に設けられていることを特徴とする磁気抵抗効果素子である。
上記磁気抵抗効果素子は、前記固定磁性層と前記フリー磁性層との間に非磁性中間層が設けられている巨大磁気抵抗効果素子や、前記固定磁性層と前記フリー磁性層との間に絶縁障壁層が設けられているトンネル型磁気抵抗効果素子であってもよい。
固定磁性層がフリー磁性層よりも基板に近い側に形成された、いわゆるボトムピン構造とすることにより、基板から離れた位置にフリー磁性層を配置できる。このため、フリー磁性層にバイアス磁場を印加するバイアス膜をフリー磁性層の真横に配置することが容易になる。したがって、強磁場耐性とフリー磁性層の低ヒステリシスとを容易に両立させることができる。
本発明は、他の一態様において、上記の磁気抵抗効果素子が同一基板上に複数形成された磁気検出装置であって、前記複数の磁気抵抗効果素子の前記反強磁性層がIrMnであり、複数の前記磁気抵抗効果素子には、前記固定磁性層の固定磁化方向が異なるものが含まれる磁気検出装置である。
本発明は、他の一態様において、上記の磁気抵抗効果素子が同一基板上に複数形成された磁気検出装置の製造方法であって、前記反強磁性層をIrMnで形成し、磁場中で前記固定磁性層を形成して前記反強磁性層に積層し、複数の前記磁気抵抗効果素子に、前記固定磁性層の固定磁化方向が異なるものが含まれるように前記磁気抵抗効果素子を形成し、複数の前記磁気抵抗効果素子を無磁場中でアニールする磁気検出装置の製造方法である。
IrMnからなる反強磁性層に固定磁性層を磁場中で成膜して積層することにより、固定磁性層の磁化方向を固定することができる。反強磁性層側からCo層およびCoFe層の積層構造を備え、Co層の厚さを所定の厚さとすることにより、当該積層構造が角型比の良好な磁化曲線を備えたものとなる。このため、無磁場中でのアニールにより、固定磁性層と反強磁性層との交換結合磁界を一方向に発生させることができる。
Co層とCoFe層との積層構造におけるCo層を所定の厚さにすることにより、角型比が大きい磁化曲線を備えた固定磁性層となるから、磁化方向が揃った状態で、反強磁性層と固定磁性層との界面における交換結合を生じさせることができる。したがって、強磁場耐性の良好な交換結合膜、磁気抵抗効果素子および磁気検出装置を提供することができる。
本発明の巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)の積層膜の構成を示す説明図 磁化曲線の角型比(M0/Ms)を説明するグラフ 本発明のトンネル型磁気抵抗効果素子(TMR素子)の積層膜の構成を示す説明図 本発明の磁気検出装置の回路ブロック図 (a)(b)(c)(d)本発明の磁気検出装置の製造方法における固定磁性層の形成工程を模式的に示した図 反強磁性層(IrMn層)にCo層およびCoFe層を積層した交換結合膜の磁気特性を示す(a)Co層の膜厚と角型比(M0/Ms)とのグラフ、(b)Co層の膜厚とJkとのグラフ 本発明のトンネル型磁気抵抗効果素子の強磁場耐性を示すグラフ Co100−AFeの組成とアニール処理の前における角型比(M0/Ms)とを示すグラフ
(磁気抵抗効果素子)
図1は、GMR(Giant Magneto Resistive effect)素子(巨大磁気抵抗効果素子)10の膜構成を示す説明図である。GMR素子10は、基板20の表面から、図示しない絶縁層等を介して、下地層(シード層)11、反強磁性層12、固定磁性層13、非磁性材料層14、フリー磁性層15、および保護層16の順に積層されて成膜されている。これら各層は、例えばスパッタ工程やCVD工程で成膜される。本明細書では、反強磁性層12と固定磁性層13とからなる積層構造を交換結合膜17という。
下地層11は、例えば、Ru等で形成される。
反強磁性層12は、例えば、IrMn、PtMn等で形成される。反強磁性層12をIrMnとすれば、第1磁性層131を磁場中で成膜することにより、成膜後にアニール処理を行う前における状態(as-depo)において、第1磁性層131の固定磁化方向を固定することができる。このため、第1磁性層131を成膜する際に印加する磁場の方向を変えて複数のGMR素子10を形成し、固定磁化方向が異なるGMR素子10を同一基板上に形成することができる。
反強磁性層12をPtMnとした場合、第1磁性層131の固定磁化方向は、成膜時に印加される磁場ではなく、アニール処理を行う際に印加される磁場によって固定される。このため、第1磁性層131を成膜する際に印加する磁場の方向を変えて複数のGMR素子10を形成し、固定磁化方向が異なるGMR素子10を同一基板上に形成することができない。
したがって、固定磁化方向が異なるGMR素子10を同一基板上に形成するためには、反強磁性層12がIrMnであることが好ましい。
本実施形態のGMR素子10の固定磁性層13は、第1磁性層131と第2磁性層133とが非磁性中間層132を介して積層されたセルフピン止め構造であり、第1磁性層131の固定磁化方向と、第2磁性層133の固定磁化方向とが反平行となっている。反強磁性層12は、交換結合作用により、固定磁性層13の第1磁性層131の磁化方向を固定する(ピン止めする)。GMR素子10の感度軸方向は、第2磁性層133の固定磁化方向によって規定される。
第2磁性層133は、非磁性材料層14に接して形成されており、磁気抵抗効果(具体的には巨大磁気抵抗効果)に寄与する。第1磁性層131と第2磁性層133とは、磁化量(飽和磁化Ms・層厚t)の差が実質的にゼロになるように調整されている。
固定磁性層13の磁化固定力を高めるには、第1磁性層131または第2磁性層133の一方の保磁力を高めること、第1磁性層131と第2磁性層133の磁化量の差を実質的にゼロに調整すること、さらに非磁性中間層132の厚さを調整して第1磁性層131と第2磁性層133との間に生じるRKKY相互作用による反平行結合磁界を強めることが重要とされている。このようにすることで、固定磁性層13の磁化がより強固に固定され、固定磁性層13の磁化状態が外部からの磁界の影響を受けることが抑えられる。
図2は、第1磁性層131の磁化曲線の角型比(M0/Ms、M0:残留磁化、Ms:飽和磁化)を説明するグラフである。磁化曲線の角型比がよい(1に近い)場合、ゼロ磁場における第1磁性層131の磁化分散が小さくなる。これにより、無磁場中でアニールして、反強磁性層12との交換結合磁界(Hex)を一方向に発生させることができるから、抵抗変化率(△MR)が大きいGMR素子10となる。
また、反強磁性層12と第1磁性層131との間で発生する交換結合磁界を十分に大きくすれば、GMR素子10に対して強磁場が印加された際、強磁場印加前に対して磁化状態が変化することを防止できる。したがって、強磁場によるヒステリシスの影響を受けて第1磁性層131の磁化が分散して、GMR素子10の抵抗変化率が劣化することを防止できる。
固定磁性層13の第1磁性層131は、反強磁性層12側から、所定の膜厚のCo層131aとCoFe層131bとが積層された積層構造を備えている。積層構造を構成するCo層131aの厚さが磁化曲線の角型比および交換結合磁界に影響する。角型比および交換結合磁界の両方が大きくなるCo層131aの厚さは7〜15Åであり、9〜11Åがより好ましい。また、積層構造を構成するCoFe層131bの膜厚は、CoFe層131bよりも大きければよく、例えば、10〜30Å程度とすればよい。
CoFe層131bは、反強磁性層12との交換結合磁界を大きくする観点から、CoFe中のFeの割合(at.%)が20〜50%のものが好ましく、25〜35%のものがより好ましく、29〜31%のものがさらに好ましい。
非磁性材料層14は、Cu(銅)などである。
GMR素子10のフリー磁性層15は、その材料および構造が限定されるものではない。例えば、材料としてCoFe合金(コバルト・鉄合金)、NiFe合金(ニッケル・鉄合金)などを用いて、単層構造、積層構造、積層フェリ構造などとして形成することができる。
保護層16を構成する材料は限定されない。Ta(タンタル)などが例示される。
GMR素子10は、図1に示すように、固定磁性層13がフリー磁性層15と基板20との間に位置する、いわゆるボトムピン(ボトムスピンバルブ)構造である。同図に示す構造とは異なり、固定磁性層13がフリー磁性層15を基準として基板20の反対側に位置するトップピン構造(トップスピンバルブ)とすれば、固定磁性層13の第1磁性層131の磁化曲線の角型比を大きくすることができる。なぜなら、CoFe層131bを形成した後に反強磁性層12を積層すれば、CoFe層131bの磁気異方性が分散しないからである。
しかし、トップピン構造では、フリー磁性層15が基板20の近くに配置されるため、バイアス磁場を加える磁気バイアス膜とフリー磁性層15との高さを合わせて形成する工程の難易度が高くなる。磁気バイアス膜は、GMR素子10のフリー磁性層15にバイアス磁場を印加するために、GMR素子10に隣接して配置されるものであり、バイアス磁場を水平に印加するために、フリー磁性層15に対して水平な高さに磁気バイアス膜を設けるのが望ましい。
そこで、磁気バイアス膜を精度よく配置する観点から、GMR素子10は、図1に示すボトムピン構造が好ましい。ボトムピン構造は、トップピン構造よりも、基板20から離れてフリー磁性層15が配置されるため、フリー磁性層15の真横に磁気バイアス膜を配置しやすい。したがって、フリー磁性層15に対して水平にバイアス磁場を印加する磁気バイアス膜を設けて、フリー磁性層15を低ヒステリシス化することが容易である。
図3は本発明のトンネル型磁気抵抗効果素子(TMR素子)の積層膜の構成を示す説明図である。TMR素子30は、非磁性材料層14に代えて、MgO、Al、酸化チタン等で形成される絶縁障壁層(トンネルバリア層)34を備えている点において、図1に示すGMR素子10と異なっている。GMR素子10では膜面と平行な方向に電流が流れるのに対して、TMR素子30では膜面と垂直な方向に電流が流れる。
TMR素子30においても、GMR素子同様、磁場中で反強磁性層12に第1磁性層131を形成することにより、アニール処理を行う前の(as-depo)状態で、固定磁性層13の磁化方向を固定することができ、固定された磁化方向がその後のアニール処理によって変わることはない。このため、同一基板上に固定磁性層13の磁化方向が異なる複数のTMR素子30を形成した後、複数のTMR素子30についてアニール処理を行い、同一基板上に固定磁性層13の磁化方向が異なるTMR素子30を形成することができる。
(磁気検出装置)
図4は、本実施形態の磁気検出装置50の回路ブロック図である。磁気検出装置50は、フルブリッジ回路40により構成されている。同図には矢印で固定磁性層13の磁化方向を示す。フルブリッジ回路40は、固定磁性層13の第2磁性層の固定磁化方向が異なるGMR素子10の順番を入れ替えた2つの直列回路42aおよび直列回路42bが、電源電圧41と接地電位44との間に、並列に接続された構成である。
フルブリッジ回路40を構成する、直列回路42aの中点端子43aの出力電位と直列回路42bの中点端子43bの出力電位との差動出力が、磁界の検知出力電圧として得られる。
磁気検出装置50では、GMR素子10のフリー磁性層15(図1参照)の向きが外部磁界の方向に倣うように変化する。このとき、GMR素子10の抵抗値は、固定磁性層13の第2磁性層133の固定磁化方向とフリー磁性層15の磁化方向との相対角度に応じて変化する。
外部磁界の方向や強度が変化すると、それに伴いフルブリッジ回路40の検知出力電圧も変動する。このため、フルブリッジ回路40から得られる検知出力電圧に基づいて、外部磁界を検出できる。図4では、図の紙面に向かって左右方向の磁場を検出可能に構成された磁気検出装置50を示したが、図の紙面に向かって上下方向の磁場を可能に構成された磁気検出装置と組み合わせれば、上下方向および左右方向の磁場を同時に検出することができる。
(磁気検出装置の製造方法)
図5(a)から図5(d)は、図4の磁気検出装置50の製造方法を模式的に示す図であり、成膜工程における基板と磁場の印加方向との関係を示している。同図では、磁気抵抗効果素子としてGMR素子10を形成する場合について説明する。
図5(a)および図5(b)の工程では、基板20に2つのGMR素子10を形成する。図5(a)に示すように、GMR素子10における固定磁性層13の第1磁性層131(図1参照)を成膜する工程において、基板20に180°方向の磁場を与えながら第1磁性層131を成膜する。その後、図5(b)に示すように第2磁性層133を成膜する。第1磁性層131と第2磁性層133との間に生じるRKKY相互作用により、第2磁性層133の固定磁化方向が0°方向のGMR素子10を形成することができる。なお、成膜時に印加する磁場よりもRKKY相互作用が大きい場合には、第2磁性層133を成膜する際(図5(b))にも基板20に180°方向の磁場を与えてもよい。
図5(c)および図5(d)の工程では、上記工程において形成されたGMR素子10とは、固定磁化方向の異なる2つのGMR素子10を形成する。図5(c)に示すように、第1磁性層131を成膜する工程において与える磁場を0°方向に変えて第1磁性層131を成膜する。その後、図5(d)に示すように第2磁性層133を形成する。第1磁性層131と第2磁性層133との間のRKKY相互作用により、第2磁性層133の固定磁化方向が180°方向のGMR素子10を形成することができる。このように、GMR素子10の形成を複数回行うことにより、固定磁性層13の磁化方向が異なるGMR素子10を同一の基板20に形成することができる。磁場の印加方向は、基板20と磁場との相対関係により決まるから、印加する磁場の方向を変化させる際、基板20または磁場印加手段のいずれを移動させてもよい。なお、成膜時に印加する磁場よりもRKKY相互作用が大きい場合には、第2磁性層133を成膜する際(図5(d))にも基板20に0°方向の磁場を与えてもよい。
このように、磁場を印加する方向を変えて固定磁性層13の形成工程を繰り返すことにより、固定磁性層13の固定磁化方向が異なるGMR素子10を同一の基板20に形成することができる。
基板20上に固定磁性層13の固定磁化方向が相違する複数のGMR素子10の成膜が完了した後に、磁場を印加しないでアニールを行う。これにより、GMR素子10をエージングして安定な磁気検出装置50とすることができる。
その後、1つの基板20上に形成された複数のGMR素子10を結線することで図4に示すフルブリッジ回路40を形成し、磁気検出装置50の製造を完了する。
反強磁性層12をIrMnとすれば、磁場中において固定磁性層13を成膜する際に印加する磁場の方向により、固定磁性層13の固定磁化方向を固定することができる。このため、固定磁化方向が異なるGMR素子10を同一基板上に形成した後、これらを無磁場中でアニールすることで、固定磁性層13の第1磁性層131と反強磁性層12との間の交換結合により固定磁性層13の磁化状態を安定化することができる。
反強磁性層12をPtMnとした場合、固定磁性層13の固定磁化方向は、固定磁性層13を成膜する際に印加する磁場の方向によっては十分に固定されず、成膜後にアニールする際に印加する磁場の方向によって固定される。このため、固定磁化方向の異なるGMR素子10を同一基板上に形成することが困難である。
したがって、固定磁化方向が異なるGMR素子10を同一基板上に複数形成するために、反強磁性層12をIrMnとすることが好ましい。
1つの基板20上に、固定磁性層13の磁化方向が異なる複数のGMR素子10を形成するためには、アニール処理の前(as−depo)において、固定磁性層13の磁化曲線の角型比(Mo/Ms)が大きい必要がある。角型比が小さい場合、ゼロ磁場における磁化分散が大きいから、アニール処理によって発生するIrMnなど反強磁性層12との交換結合磁界が一方向に発生しない。したがって、交換結合膜17を用いたGMR素子10またはTMR素子30の抵抗変化率を大きくすることはできない。
さらに、反強磁性層12と第1磁性層131との間で発生する交換結合磁界は十分に大きくなければならない。交換結合磁界が小さいとGMR素子10またはTMR素子30に対して強磁場が印加された際、第1磁性層131のヒステリシスの影響で磁化が分散してしまう。すなわち、強磁場が印加される前に対して、固定磁性層13における第1磁性層131の磁化状態が変化するため、磁気検出装置50の抵抗変化率が劣化してしまう。
そこで、本発明の交換結合膜17は、固定磁性層13の反強磁性層12側にCo層131aとCoFe層131bとを積層し、Co層131aの膜厚を調整することにより、良好な角型比と大きな交換結合磁界とを両立させている。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(第1磁性層を構成する層の厚さ、角型比、Jk)
表1に示す構成(Taが基板側)を備えた交換結合膜において、第1磁性層を構成するCo層の厚さ、およびCo70at.%Fe30at.%層(本明細書においては、at.%を省略し、適宜、Co70at.%Fe30at.%と記す)の厚さを変化させたものを作製した。膜の厚さの異なる交換結合膜について、アニール処理の前(as−depo)における角型比(Mo/Ms)、および無磁場中のアニール処理の後における一方向異方性定数Jk(Jk=Ms×d×Hex、Ms:飽和磁化、d:膜厚、Hex:交換結合磁界)を測定した結果を図6(a)、図6(b)および表2に示す。
図6(a)および図6(b)に示すように、Co層とCo70Fe30層との積層膜(第1磁性層)は、角型比(Mo/Ms)および一方向異方性定数Jkが、Co層の厚さによって異なることが分かった。良好な角型比(Mo/Ms>0.7)および高い一方向異方性定数Jk(>0.3erg/cm)を備えた第1磁性層を形成する観点から、Co層の厚さは10Å程度(9〜11Å)が好ましいことが分かった。Co層が10Å程度と薄い場合、第1磁性層は良好な角型比を維持したまま、Co70Fe30層とIrMnの間の大きなJk成分が生じたことが影響していると考えられる。
(強磁場耐性の評価)
以下の構成を備えたTMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)を製造し1.5Tの磁場を印加する前後において抵抗変化率(△MR)を測定した。()内の数値は各層の膜厚(Å)を示している。
(実施例1)
絶縁層を有する基板上に、基板表面側から、Ta(70)/シード層:Ru(40)/反強磁性層:IrMn(80)/固定磁性層:[第1磁性層:Co(10)/Co70Fe30(25)/非磁性中間層:Ru(4.0)/第2磁性層:Fe60Co40(14)/(CoFe)7030(16)]/絶縁障壁層:MgO(20)/フリー磁性層:[Co90Fe10(10)/Ni86Fe14(90)]/Ru(20)/Ta(100)/Ru(20)の順に積層してTMR素子を得た。
(比較例1)
絶縁層を有する基板上に、基板表面側から、Ta(70)/シード層:NiFeCr(42)/固定磁性層:[第1磁性層:Fe60Co40(20)/非磁性中間層:Ru(4.0)/第2磁性層:Co90Fe10(24)]/絶縁障壁層:MgO(20)/フリー磁性層:[Co90Fe10(10)/Ni86Fe14(90)]/Ru(20)/Ta(100)/Ru(20)の順に積層してTMR素子を得た。
図7は、磁場印加後(1.5T印加後)の抵抗変化率を磁場印加前(初期)の抵抗変化率を基準として規格化して示すグラフである。同図に示すように、実施例1のTMR素子は、強磁場を印加した後においても抵抗変化率の劣化が生じず、高磁場耐性が良好であった。これは、第1磁性層の磁化方向が分散しておらず、反強磁性層と第1磁性層との間の交換結合磁界が大きいことによるといえる。このように、本発明の交換結合膜を用いて強磁場耐性に優れたボトムスピンバルブ構造を備えたTMR素子やGMR素子を形成できることが分かった。
(CoFe層におけるFeのat.%、角型比、結晶構造)
表3に示す構成(Taが基板側)を備えた交換結合膜において、Co100−AFeのFeのat.%を変化させたものを製造し、各交換結合膜の角型比(M0/Ms)および結晶構造を測定した。結果を表4および図8に示す。
図8に示すように、Co(A=0)は、他のCo100−AFe(A=10、30、60および100)と比較して、アニール処理の前における角型比(Mo/Ms)が良好であった。これは、Coのみが六方最密充填構造(hcp)であって、CoFeとは結晶構造が異なることに関係していると推測できる。
本発明は、第1磁性層の角型比を向上させるために、反強磁性層側にCo層とCoFe層とを積層した積層構造を採用している。図6(a)に示すように、Co層による第1磁性層の角型比向上の効果は、Co層の膜厚が10Å程度まで急激に向上し、膜厚が10Åを超えると大きく変化しない。また、図6(b)に示すように、Co層の膜厚が10Å程度であれば、一方向異方性定数Jkが0.3(erg/cm)よりも大きいから、交換結合により第1磁性層の磁化状態を保持することができる。そこで、本発明の交換結合膜は、第1磁性層におけるCo層の膜厚を7〜15Åとすることにより、角型比(Mo/Ms)と一方向異方性定数Jkとの両方を大きくしている。これらを両立する観点から、Co層の膜厚は9〜11Åがより好ましい。
本発明の交換結合膜は、同一基板上に固定磁性層の磁化方向が異なる磁気抵抗効果素子を複数備えた磁気検出装置などに用いることができる。
10 :GMR素子(巨大磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果素子)
11 :下地層
12 :反強磁性層
13 :固定磁性層
131 :第1磁性層
131a :Co層
131b :CoFe層
132 :非磁性中間層
133 :第2磁性層
14 :非磁性材料層
15 :フリー磁性層
16 :保護層
17 :交換結合膜
20 :基板
30 :TMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果素子)
34 :絶縁障壁層
40 :フルブリッジ回路
41 :電源電圧
42a、42b:直列回路
43a、43b:中点端子
44 :接地電位
50 :磁気検出装置

Claims (8)

  1. 反強磁性層と固定磁性層とが積層された交換結合膜において、
    前記固定磁性層が、前記反強磁性層側からCo層およびCoFe層を備えており、前記Co層の厚さが7〜15Åであることを特徴とする交換結合膜。
  2. 前記Co層の厚さが9〜11Åである請求項1に記載の交換結合膜。
  3. 前記CoFe層の厚さが前記Co層の厚さよりも大きい請求項1に記載の交換結合膜。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の交換結合膜およびフリー磁性層を備えており、
    前記固定磁性層が前記フリー磁性層よりも基板に近い側に設けられていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  5. 請求項4に記載の磁気抵抗効果素子において、前記固定磁性層と前記フリー磁性層との間に非磁性中間層が設けられている巨大磁気抵抗効果素子。
  6. 請求項4に記載の磁気抵抗効果素子において、前記固定磁性層と前記フリー磁性層との間に絶縁障壁層が設けられているトンネル型磁気抵抗効果素子。
  7. 請求項4に記載の磁気抵抗効果素子が同一基板上に複数形成された磁気検出装置であって、
    複数の前記磁気抵抗効果素子の前記反強磁性層がIrMnであり、
    複数の前記磁気抵抗効果素子には、前記固定磁性層の固定磁化方向が異なるものが含まれる磁気検出装置。
  8. 請求項4に記載の磁気抵抗効果素子が同一基板上に複数形成された磁気検出装置の製造方法であって、
    前記反強磁性層をIrMnで形成し、
    磁場中で前記固定磁性層を形成して前記反強磁性層に積層し、
    複数の前記磁気抵抗効果素子に、前記固定磁性層の固定磁化方向が異なるものが含まれるように前記磁気抵抗効果素子を形成し、
    複数の前記磁気抵抗効果素子を無磁場中でアニールする磁気検出装置の製造方法。
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